JPH0139718Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は紡機の定長満管停止装置に関するもの
であり、更に詳しくはボビン上に所定長さの粗糸
あるいは糸条が巻取られたとき、粗紡機やこれと
同様な捲取り機構を有する機械の運転を自動的に
停止させるためのフルボビン停止装置に関するも
のである。

従来の技術 粗紡機やこれに類する紡機には、ボビン上に一
定の長さの粗糸や糸条が巻取られたとき自動的に
該紡機の運転を停止せしめる目的でオートカウン
タが設けられている。然しながら、汎用のオート
カウンタによつて紡機の停止時期を正確に制御す
ることは該紡機に設けられたボビンの定位置停止
装置の作動タイミングとの関係もあつて可成り困
難であり、ボビン上に可成りの長さの粗糸が余分
に巻取られた後、紡機が停止する場合が少なくな
い。更に温湿度の変化等による紡出テンシヨンの
変化に起因して定長が不安定になる場合がしばし
ばあるし、定長メートル数を変更する場合に定長
停止位置の調整が困難であり、リフト量やレヤー
数の調整によつて修正するなど可成りの手間がか
かる。このようにボビン上に粗糸の過剰巻取り部
分が残存していると、精紡工程に於いて篠巻きを
一斉替えしたとき、あるいは粗紡工程に於いて台
裏のスライバ収納ケンスを一斉替えしたときの粗
糸やスライバの残量が増加し、その処理に多大の
労力を要することになる。このような粗糸やスラ
イバ残屑は再用綿として使用せざるを得ないか
ら、単に紡績工程の省力化および省エネルギー化
が阻害されるだけでなく生産性や最終製品の品質
向上に対しても悪影響を及ぼす。

考案が解決しようとする問題点 以下、在来のオートカウンタに認められた上記
の如き問題点を粗紡機の定長満管停止装置の例示
に基いて更に詳細に説明する。周知の如く粗紡機
には満ボビンと空ボビンとの交換ならびに空ボビ
ンへの粗糸の巻付けを容易化して該粗紡機に安定
した再起動条件を確保せしめると共に、ボビンレ
ールの昇降ストロークの変換点に於いてボビン上
に巻取られる粗糸に肩外れを発生することのない
安定した巻取りを姿勢を付与する目的で、オート
カウンタのほかに、定位置停止用のボビンストツ
パが設けられている。即ち、現行の粗紡機に於い
ては、粗糸巻取り形態の安定性を向上せしめ、且
つ、ボビン交換の容易化を図ることが運転操作の
安定上特に要請されており、このため、オートカ
ウンタによる定長巻取り停止機能よりもボビンス
トツパによる定位置停止機能が優先的に働くよう
に満ボビン停止装置の作動条件が調整されてい
る。このため、オートカウンタが計測された粗糸
の巻取り長さが予め設定された基準値を超過して
も、ボビンストツパから停止位置の検知信号が発
信されない限り粗紡機は停止せず、ボビンストツ
パからの検知信号によつて粗紡機が停止する迄に
ボビン上には設定値を相当上廻る例えば最大90ｍ
にも及ぶ余分の粗糸が巻取られる。以上の説明か
ら理解し得るように、慣用の停止位置優先型の定
長満管停止装置には、工程の省力化ならびに生産
性の向上を阻害する重大な欠陥が認められ、この
ような障害を効果的に排除することのできる技術
的手段の確立が当業界に於いて強く要望せられて
いた。

斯かる事情に鑑みて本考案の主要な目的は、ボ
ビン上に巻取られる粗糸あるいは糸条の長さを、
極めて僅かな誤差範囲内に制御しながら、ボビン
の停止位置を実用上問題のない許容範囲内に維持
させ得る紡機の定長満管停止装置を提供すること
にある。

問題点を解決するための手段 斯かる目的を達成するため、本考案は、ボビン
への粗糸あるいは糸条の巻取り長さを計測し、所
定長さに達したとき、定長巻取り終了信号を発信
してON作動するオートカウンタのスイツチと、 上下運動して粗糸あるいは糸条にビルデイング
モーシヨンを伝達する紡機の可動部分に取付けら
れた定位置停止用のボビンストツパに対して紡機
の静止部分に固着され、上記ボビンストツパの押
圧によつてON作動するボビン停止位置検出用の
リミツトスイツチとを機台駆動用モータの停止回
路に直列に挿入接続し、 上記ボビンストツパに、ボビンの停止基準点の
上下に設定された許容停止範囲に亘つて上記リミ
ツトスイツチを押圧し続ける押圧部材を具備させ
たもので、これにより、ボビン上に巻取られる粗
糸あるいは糸条が所定長さに近ずくと、ボビンス
トツパの押圧部材によりボビン停止位置検出用の
リミツトスイツチがONとなり、この状態でオー
トカウンタの定長巻取り終了信号の到来を待機さ
せることができ、ボビンへの巻取り長さが所定長
さに達すれば、直ちに機台駆動用モータを停止さ
せることができ、いわゆる巻取り長さ優先式の定
長満管停止装置となる。

実施例 第１図は本考案装置の要部構造を粗紡用満ボビ
ンの寸法と関連付けて例示する斜視図であり、第
２図は本考案装置の全体的配置を例示する粗紡機
のギヤエンドフレームの正面図である。また第３
図はオートカウンタとボビン停止位置検出用のリ
ミツトスイツチとの接続状態を示すシーケンス・
ダイヤグラムである。

これらの図面に於いて、ボビン１上に粗糸２の
巻層を形成するため、粗紡機のボビンレールは図
示しないスピンドルの軸線方向に沿つて上昇スト
ロークと下降ストロークを繰返し得るように上下
動自在に懸垂支持されている。而して該ボビンレ
ールと一体構造をなすギヤーエンド側のコピーエ
ンド３には、定位置停止用のボビンストツパ４が
ネジ止め等の適当な固着手段によつて位置調節自
在に取付けられており、これに対応して粗紡機の
ギヤーエンドフレーム８には、ボビン停止位置検
出用のリミツトスイツチ、即ちポジシヨンスイツ
チ６が取付けられている。一方、該粗紡機の本体
には、前記ボビンストツパ４の作動下に粗糸２の
定長巻取り終了信号を発信するオートカウンタ５
が取付けられている。ポジシヨンスイツチ６とオ
ートカウンタ５とは、第３図に示すようにキープ
リレー９に直列接続され、図示しない機台駆動用
モータの運転制御回路を構成している。ボビンス
トツパ４は、ギヤーエンド側のコピーエンド３に
ネジ止めされる支持部材１０と、該支持部材の先
端に熔接された細長い鋼板製のスイツチ押圧片１
１から形成されている。而してスイツチ押圧片１
１は、ボビンレールの上昇ならびに下降ストロー
クの方向に沿つて、ボビン１の停止基準点Poの
上下に許容停止範囲LupおよびLdownを維持し、
この許容停止範囲の全域に亘つて前記ポジシヨン
スイツチ６を押圧し続けるように設計されてい
る。スイツチ押圧片１１の寸法は、ボビン１上に
巻付けられる粗糸２にボビンレールの上下動スト
ロークの変換点で肩外れを発生させず、且つ満ボ
ビンと空ボビンとの交換時ならびに再起動時の安
定性を確保し得る範囲で自由に調整することがで
きる。例えば本実施例に於いては、ボビン１の軸
線方向長さの略中央に位置する停止基準点Poの
上方に約30mmに亘つて上方許容停止範囲Lupを設
定し、また停止基準点Poの下方に約100mmに亘つ
て下方許容停止範囲Ldownを設定することによ
つてスイツチ押圧片１１の長さ方向に沿つて合計
約130mmのオートカウンタ５との共働域を確保し
ている。

上記実施例に於いては、粗紡機のギヤーエンド
側のコピーエンド３にネジ止めされた支持部材１
０とスイツチ押圧片１１とが熔接されているが、
前記停止基準点Poの上下に上方許容停止範囲
Lupおよび下方許容停止範囲Ldownを設定し得る
ものであれば、熔接以外の固着手段、例えばアジ
ヤストスクリユー等によつて長さ調節可能に形成
されたスイツチ押圧片を支持部材１０にネジ止め
方式で固着する方法あるいは支持部材１０とスイ
ツチ押圧片１１とをプレス加工によつて一体成形
する方法等も採用することができる。また応用例
として、粗紡機と同様の捲取り機構を有する他の
機械の定長満管停止装置にも利用することができ
る。

考案の効果 本考案によれば、ボビンの停止位置を実用上問
題のない許容範囲内に維持しつつ、巻取り長さの
バラツキを０乃至１ｍ以下（０乃至0.05％以下）
の極めて小さな誤差範囲内に納めることができ
る。また、温湿度変化による紡出テンシヨンの変
化に起因する巻取り長さの誤差の発生を確実に防
止できると共に、定長の設定値の変更にも簡単に
対処することができる。従つて、精紡工程での篠
巻きの一斉替え時、あるいは粗紡工程での台裏の
スライバ収納ケンスを一斉替えする時において、
粗糸やスライバの残量差を殆んど皆無にすること
ができ、後処理を大幅に軽減でき、省力化および
省エネルギー化に寄与し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の要部構造を粗紡用満管ボ
ビンの寸法と関連付けて例示する斜視図であり、
第２図は本考案装置の全体的配置を例示する粗紡
機のギヤーエンドフレームの正面図である。また
第３図はオートカウンタとボビン停止位置検出用
のリミツトスイツチとの接続状態を示すシーケン
スダイヤグラムである。 １……ボビン、２……粗糸あるいは糸条、３…
…粗糸あるいは糸条にビルデイングモーシヨンを
伝達する紡機の可動部分、４……ボビンストツ
パ、５……オートカウンタ、６……ボビン停止位
置検出用のリミツトスイツチ、Po……ボビンの
停止基準点、Lup，Ldown……許容停止範囲。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ボビンへの粗糸あるいは糸条の巻取り長さを計
   測し、所定長さに達したとき、定長巻取り終了信
   号を発信してON作動するオートカウンタのスイ
   ツチと、 上下運動して粗糸あるいは糸条にビルデイング
   モーシヨンを伝達する紡機の可動部分に取付けら
   れた定位置停止用のボビンストツパに対して紡機
   の静止部分に固着され、上記ボビンストツパの押
   圧によつてON作動するボビン停止位置検出用の
   リミツトスイツチとを機台駆動用モータの停止回
   路に直列に挿入接続し、 上記ボビンストツパに、ボビンの停止基準点の
   上下に設定された許容停止範囲に亘つて上記リミ
   ツトスイツチを押圧し続ける押圧部材を具備させ
   たことを特徴とする紡機の定長満管停止装置。