JPH0135403Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 無線通信の送信管あるいは陽極非接地型のＸ線
管等の電子管に水冷を施す場合に、その冷却水の
純度が低くいと陽極の漏洩電流が増大して電子管
の正常な動作が阻害されるだけでなく時には電子
管が破損することもある。従つてこのような場合
はイオンを除去した工業用純水を冷却水として用
いるが、使用中の汚損によつて次第に純度が低下
し、イオン漏洩電流が増大して事故を生ずること
がある。このため冷却水の純度、すなわち導電率
を常時監視してその導電率が一定の基準値以上に
増大すると警報を発する装置が用いられる。しか
し、その監視装置におけるプローブと本体とを接
続するコードの接続部等の接触不良等があると、
冷却水の純度が基準値より低下して漏洩電流が増
大した場合でも警報が送出されないために事故を
生ずることがある。従つて本考案は冷却水の純度
を監視するだけでなく、上述のような接続不良が
あつた場合にも警報を発する装置を提供するもの
である。

第１図は本考案実施例の回路構成を示した図
で、冷却水の純度、すなわち導電率を監視するた
めのプローブ１は１対の電極２，３を適当な間隔
で対設したもので、このプローブ１と直流阻止用
のコンデンサ４および抵抗５を適宜の周波数の低
周波交流電源６に直列に接続して、抵抗５の両端
間の電圧を増幅器７に加えてある。その増幅器７
の出力を整流器８に加えて、直流電圧に変換し、
この直流出力電圧を第１比較器９の非逆転入力端
と第２比較器１０の逆転入力端とに加え、それら
の逆転入力端および非逆転入力端にポテンシヨメ
ータ１１から第１および第２基準値を加えてあ
る。上記第１比較器９の出力をダイオード１２を
介して冷却水の純度低下信号の発生器１３に加
え、第２比較器１０の出力をダイオード１４を介
して故障信号の発生器１５に加えてある。

上述の装置において、コンデンサ４は充分大き
い容量を有し、また抵抗５は比較的小さい値に選
定されているから、電極２，３の間に電源６のほ
ぼ全電圧が加わる。従つてこの電極２，３を監視
しようとする冷却水の中に浸漬すると、その導電
率に比例した交流電流が流えて、抵抗５に生ずる
電圧降下が増幅器７で増幅され、整流器８で直流
電圧に変換される。このため比較器９は冷却水の
導電率に比例した電圧と第１基準値とを比較して
前者が後者より大きくなると正の出力電圧を送出
し、また比較器１０は上記電圧と第２基準値とを
比較して前者が後者より小さくなると正の出力電
圧を送出する。これらの出力がダイオード１２ま
たは１４を通つて信号発生器１３または１５を動
作させる。すなわち上述の導電率に比例した出力
電圧が第１基準値と第２基準値との中間にある場
合は、信号を送出しないが、前者より大きくなる
と信号発生器１３が動作して純度低下信号が送出
され、後者より小さくなると信号発生器１５から
故障信号が送出される。例えば通常の水道の水は
数百マイクロシーメンス／センチメータの導電率
であるが、イオン除去処理を施した工業用純水の
導電率は10マイクロシーメンス／センチメータ程
度以下であつて、その理論上の最底値は0.055マ
イクロシーメンス／センチメータである。しかし
Ｘ線管の冷却に使用し得る純水の導電率は例えば
２マイクロシーメンス／センチメータ程度以下で
あるから前述の第１基準値をこの程度の導電率と
相当する電圧に設定する。またプローブ１のコネ
クタ等に接触不良があると、見かけ上の導電率が
上記最底値より遥かに小さい値となるから、第２
基準値はこれを0.055マイクロシーメンス／セン
チメータ程度に相当する電圧に設定する。

第２図は上述のような監視装置２０を用いたＸ
線管２１の水冷装置の構成を示した図で、タンク
２２に収容した冷却用の純水２３を合成樹脂また
はゴム等のパイプ２４および合成樹脂ポンプ２５
で上記Ｘ線管の陽極２６に循還させてある。その
陽極２６には電源装置２７の高電圧端子２８から
正の高電圧が加えられ、またフイラメント２９に
は大地電位の端子３０から加熱電流が加えられ
る。上述のタンク２２に、第１図のプローブ１を
浸漬して、電極２，３の端子と監視装置２０にお
けるプローブ接続端子３１とを２芯コード３２お
よびその両端におけるコネクタ３３，３４によつ
て連結してある。このような装置において、第１
図のポテンシヨメータ１１の摘み３５，３６によ
つて前述の第１および第２基準値を所望の値に設
定して水冷を行う。その動作中に冷却用純水２３
の導電率が増大して第１図における整流器８の出
力が第１基準値を越すと信号発生器１３から純度
低下信号が送出されて電源装置２７の出力が遮断
されると共にパイロツトランプ３７が点灯し、か
つブザ等が鳴動する。またもしコネクタ３１ある
いは３２等が完全に装着されていないために第１
図の電極２，３の回路が開放状態にある場合等は
整流器８の出力が第２基準値以下になるために、
ランプ３８が点灯すると共にブザ等によつて監視
装置の異常を報知する。

以上実施例について説明したように、本考案の
監視装置は冷却水の純度を監視するだけでなく、
この監視のためのプローブを接続するコネクタの
接触不良等の異状を報知することができる。従つ
て監視装置の故障のために冷却水の純度が低下し
た場合でも警報が発せられることなく、このため
Ｘ線管等が破損するようなおそれを除くことがで
きる。しかも僅かな回路を附加するだけであるか
ら装置の構成も簡単である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の回路構成を示した図、
第２図は第１図の装置を用いた冷却装置の構成の
一例を示した図である。なお図において、１はプ
ローブ、２，３は１対の電極、６は交流電源、７
は増幅器、８は整流器、９，１０は比較器、１
３，１５は信号発生器である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 冷却水に浸漬される１対の電極と、上記電極間
   に一定の電圧を加える電源と、上記電極間に流れ
   る電流に対応した電圧を加えられる増幅器と、上
   記増幅器の出力電圧と第１の基準値とを比較して
   前者が後者より大きい場合に冷却水の純度低下信
   号を送出する第１比較器と、前記増幅器の出力電
   圧と第２の基準値とを比較して前者が後者より小
   さい場合に故障信号を送出する第２比較器とより
   なる電子管冷却水の純度監視装置。