JPH0133815Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、シリンダブロツクの構造に関する。

（従来技術） 最近、クランクシヤフトをシリンダブロツクに
該シリンダブロツクが高剛性化され得るように支
持するために、例えば第１図に示すようにベアリ
ングキヤツプ１を従来のように分割型でなく一体
型としたものが開発されている。第１図中、２は
シリンダブロツク、３はシリンダボア、４はウオ
ータージヤケツト、５はベアリングキヤツプ１を
シリンダブロツク２のクランクケースに下方か
ら、締着するためのボルトである。

かかるクランクシヤフトの支持方法によれば、
系の固有振動数を高めて外力に基づく振動と共振
させないようにして防振効果および騒音低減の効
果を上げることができる。

しかし一体型ベアリングキヤツプ１は、クラン
クシヤフトの主軸部６の取付を前提条件とすると
ころから、第１図のようにシリンダブロツク２の
クランクケースとは別に形成し、該クランクケー
スにあとから取付ける構造とせざるを得ないもの
であり、そして特に燃焼室での爆発時に図示を省
略したコンロツドに作用する下向きの大荷重を、
ベアリングキヤツプ１の取付ボルト５で受けるた
め、防振上のデメリツトは避けられないものであ
つた。

（考案の目的） 本考案は上記問題を解決するためのものであ
り、燃焼室での爆発時にコンロツドに下向きに作
用する大荷重をクランクケース自体で受けるとと
もにクランクケースを高剛性化構造にして、防振
効果および騒音低減の効果の向上を図つたシリン
ダブロツクを提供することを目的とする。

（考案の構成） かかる目的を達成するため、本考案のシリンダ
ブロツクは、シリンダブロツクを気筒数分のシリ
ンダボアを有する上部シリンダブロツクとそれよ
り下側のクランクケースとに分割した構造とな
し、該クランクケースの内側に前記気筒数分のシ
リンダボアの隣接シリンダボア間に位置するが如
く横桁リブを一体的に設け、さらに該横桁リブお
よびクランクケースの横手方向の両側壁にクラン
クシヤフトの主軸部を支持するための凹所を上辺
側から設けて、該凹所とこれに嵌まつて締着され
るベアリングキヤツプとの間にクランクシヤフト
の主軸部を軸受メタルを介して支持し、しかる後
上部シリンダブロツクとクランクケースとを締着
してなる。

シリンダブロツクを上部シリンダブロツクとク
ランクケースとで分割したのは、この部分が特に
鋳造方案上の厚肉部位であり、高剛性化に対する
阻害要因が少ないからである。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図に従つて説明す
る。

本例のシリンダブロツクは、第２図に示すよう
にシリンダボア１０の下端部位にて上部シリンダ
ブロツク１１と、それより下側のクランクケース
１２とに分割された構造であり、気筒数分のピス
トン１３およびコンロツド１４ならびにクランク
シヤフト１５からなるアツセンブリ体をクランク
ケース１２の上側から組付け、ピストン１３を対
応するシリンダボア１０に嵌合して、上部シリン
ダブロツク１１下端部をクランクケース１２上部
に形成されている段部１６にシム１７を介して温
度差嵌め圧入し、ボルト１８により上部シリンダ
ブロツク１１とクランクケース１２とを強固に締
着してなるものである。なお、第２図中、１５ａ
はクランクピン部、１５ｂはクランクシヤフトの
主軸部である。

クランクケース１２は吹抜き構造であつて、さ
らに第４図に示すようにその長手方向に気筒数分
のシリンダボア１０の隣接シリンダボア１０間に
位置するように内側に横桁リブ１９を一体的に鋳
造してなるものである。そして各横桁リブ１９お
よびクランクケース１２の短手（横手）方向側壁
１２ａの上辺部には凹所２０が形成されており、
さらにこの凹所２０には、クランクシヤフト１５
の軸受メタルの一片２１を嵌合させる窪み部２０
ａが形成されている。他方、この凹所２０に嵌め
込まれるベアリングキヤツプ２２にも、クランク
シヤフト１５の軸受メタルの他片２３を嵌合させ
る窪み部２２ａが形成されている。クランクシヤ
フト１５の主軸部１５ｂは、軸受メタル２１，２
３を介して、横桁リブ１９および短手方向側壁１
２ａの凹所２０の窪み部２０ａ内にセツトされ上
からベアリングキヤツプ２２が温度差嵌め圧入セ
ツトされ、さらにソケツトボルト２４でベアリン
グキヤツプ２２が横桁リブ１９およびクランクケ
ース１２の短手方向側壁１２ａに一体化固定され
ることにより支持される。

上部シリンダブロツク１１は、第３図に示すよ
うにシリンダボア１０の両側に、クランクケース
１２組付時にベアリングキヤツプ２２に当接する
ようにリブ２５を一体鋳造してなる。シリンダボ
ア間隙部Ｃを極小となしうる構成となつている。
第３図中、２６はボルト１８の螺合用穴である。

シリンダブロツクの材質は、アルミ系を選ぶか
あるいは鉄系を選ぶかは任意所望である。例えば
上部シリンダブロツク１１は熱影響を受け易いた
め熱膨張係数の少ない鉄系鋳物構成として、寸法
の安定性、シリンダボア１０精度の向上をはかる
ようにするとともに、クランクケース１２はアル
ミ合金鋳物として軽量化するとともに各種部品取
付可の複雑形状の出し易いものとしてよい。また
鋳造構成の代りに綱板ないし鋼材構成の一体化溶
接構造に成るブロツク体構成であつても勿論よ
い。

上述の構成からなるシリンダブロツクは、特に
燃焼室での爆発時にコンロツド１４の大端部に作
用する下向きの大荷重を、クランクシヤフト１５
および軸受メタル２１を介してクランクケース１
２により受ける高剛性構造となつており、しかも
上部シリンダブロツク１１とクランクケース１２
とを締着するためのボルト１８が、第３図に示す
ように細幅リブ２５の位置を外して多数取付けら
れているため、引張の高荷重にも十分耐えうる構
造となつている。さらにクランクケース１２に横
桁リブ１９を設けているので高剛性化の効果は極
めて大きく、かかる高剛性化構造のシリンダブロ
ツクにあつては、系の固有振動数を高めて、外力
に基づく振動と共振させないようにして防振効果
および騒音低減の効果を向上させることができ
る。

またクランクケース１２下側に取付けるオイル
パンは、本考案のシリンダブロツクにあつてはク
ランクシヤフトを下方より取付けないため必ずし
も従来形状のように深底タイプにしなくてもよ
く、浅底のものとなしうる。

（考案の効果） 以上説明したように本考案のシリンダブロツク
は、燃焼室での爆発時にコンロツドに下向きに作
用する大荷重をクランクケース自体で受けれるよ
うに、クランクケースとそれより上側の上部シリ
ンダブロツクとを分けて設けて、両者の間にクラ
ンクシヤフトの主軸部を介在させて支持し、しか
もクランクケースにはそれ自体の剛性を高める横
桁リブを一体的に設けて横桁リブとクランクケー
スの横手方向両側壁とで支持する構成としている
ので、従来クランクシヤフトの主軸部をクランク
ケース下側からベアリングキヤツプにて支持して
いたタイプのシリンダブロツクと同一条件の形状
に限定して比較した場合、顕著に高剛性化構造と
なし得る。

従つて本考案は、高剛性化構造によつてシリン
ダブロツク全体の固有振動数を高めて外力に基づ
く振動と共振させないようにして防振効果および
騒音低減の効果を、従来のシリンダブロツクより
大巾に向上させることができる。

また、上部シリンダブロツクを別体構成として
いることから、これを鉄系の熱特性、摺動特性の
よいものとしうる効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシリンダブロツクを示す縦断面
図、第２図は本考案の一実施例を示す縦断面図、
第３図は第２図における上部シリンダブロツクを
示す底面図、第４図は第３図におけるクランクケ
ースを示す斜視図である。 １０……シリンダボア、１１……上部シリンダ
ブロツク、１２……クランクケース、１２ａ……
クランクケースの横手方向側壁、１５……クラン
クシヤフト、１５ｂ……クランクシヤフトの主軸
部、１８……締結用ボルト、１９……横桁リブ、
２０……凹所、２１，２３……軸受メタル、２４
……締結用ソケツトボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツクを気筒数分のシリンダボアを
   有する上部シリンダブロツクとそれより下側のク
   ランクケースとに分割した構造となし、該クラン
   クケースの内側に前記気筒数分のシリンダボアの
   隣接シリンダボア間に位置するが如く横桁リブを
   一体的に設け、さらに該横桁リブおよびクランク
   ケースの横手方向の両側壁にクランクシヤフトの
   主軸部を支持するための凹所を上辺側から設け
   て、該凹所とこれに嵌まつて締着されるベアリン
   グキヤツプとの間にクランクシヤフトの主軸部を
   軸受メタルを介して支持し、しかる後上部シリン
   ダブロツクとクランクケースとを締着してなるこ
   とを特徴とするシリンダブロツク。