JPH0133052Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は歯列矯正用ワイヤーリテーナーに関す
るものであり、更に詳しくは、歯列の矯正治療
後、歯列が固まる迄の期間装着する歯列矯正用ワ
イヤーリテーナーに関するものである。

従来の技術 周知の如く、歯列の矯正治療後、歯列が固まる
迄可成り長期に亘つて歯列矯正用リテーナーが使
用されている。リテーナーは、矯正治療を施した
歯列をそのまま放置しておくと、リラツプス現象
によつて歯列が矯正治療を施す以前の状態に戻つ
てしまうので、これを防止するため所定期間、歯
列に装着するものである。このような要請に答え
て種々の型式のリテーナーが開発されているが、
公知のリテーナーは第２図に例示するように、歯
列の前面に沿つて配設された金属線、例えばステ
ンレス鋼線やコバルトクローム線１の一部を歯列
の背面迄延長し、該延長部分２を、口蓋内に嵌め
込み可能に成形された合成樹脂、例えばポリエポ
キシ樹脂製のベース３に固着することによつて製
作されている。

考案が解決しようとする問題点 上記の如き構造を有する在来のリテーナーは、
使用に際し口蓋内に樹脂製の比較的厚みのあるベ
ース３が存在しているため、異和感があるだけで
なく、該ベースにより舌の動きが妨げられ会話が
しにくいという欠点を付随せしめている。

また在来のリテーナーは、口蓋内に前記ベース
３が存在していることに起因して、食事中の使用
がむずかしく、食事に先立つて一時的に取外され
る場合が多い。このような理由から、公知のリテ
ーナーは、長期間に亘つて連続的に使用すること
が不可能に近く、その使用効果が大幅に損なわれ
ていた。

更に歯列矯正治療に際し抜歯処置を伴うケース
が可成りの割合を占めており、このような状況下
では抜歯スペースが矯正治療後日時の経過と共に
開いてくる場合があり、一旦抜歯スペースが形成
されてしまうと、公知の歯列矯正用リテーナー
は、歯列の前面に沿つて配設された金属線１のみ
によつて実質的な歯列支持部材が形成されている
ため、歯列矯正機能を殆ど発揮することができな
い。

本考案の主要な目的は、在来の歯列矯正用リテ
ーナーに認められた上記の如き不都合を解消し得
る樹脂製ベースを有しない歯列矯正用ワイヤーリ
テーナーを提供することにある。

問題点を解決するための手段 斯かる目的に鑑みて本考案は、歯列の矯正治療
後に歯列に装着する矯正用ワイヤーリテーナーで
あつて、歯列１０の背面に沿つて配設された第１
の金属線１１と、歯列１０の前面に沿つて配設さ
れた第２の金属線１２が、犬歯２０と小臼歯３０
との間、もしくは小臼歯３０と大臼歯４０との間
に嵌まり込む第３の金属線１３に熔着され、歯列
１０を弾性的に挟持する環状ブリツジ１４を形成
してなる歯列矯正用ワイヤーリテーナーを要旨と
するものである。

作 用 本考案によれば、歯列１０の背面に沿つて配設
された第１の金属線、例えば細いステンレス鋼線
やコバルトクローム線１１が、在来の歯列矯正用
リテーナーに於ける合成樹脂製ベース３として機
能すると共に、歯列１０の前面に沿つて配設され
た第２の金属線、例えば前記第１の金属線よりも
更に細いステンレス鋼線やコバルトクローム線１
２、ならびに歯の間に嵌まり込む第３の金属線、
例えば前記第１の金属線１１と略同一の太さを有
するステンレス鋼線やコバルトクローム線１３と
共働して、歯列１０を弾性的に挟持する環状ブリ
ツジ１４を形成する。

実施例 第１図は、本考案に係る歯列矯正用ワイヤーリ
テーナーの前面斜視図である。図示する如く、歯
列矯正用ワイヤーリテーナーは、歯列１０の背面
に沿うようにループを描いて延びる直径約１mmの
ステンレス鋼線１１と、歯列１０の前面に沿うよ
うにループを描いて延びる直径約0.5mmのステン
レス鋼線１２と、犬歯２０と小臼歯３０との間に
嵌め込まれた状態で前記ステンレス鋼線１１，１
２に鑞付けされた直径約0.8mmのステンレス鋼線
１３から構成されている。これらのステンレス鋼
線１１，１２，および１３は、鑞付けによつて、
一体構造の環状ブリツジ１４を形成し、歯列１０
を弾性的に挟持して歯列矯正用の加圧力を伝達す
る歯列締付け器具を構成している。本考案の実施
に際し、ステンレス鋼線１１，１２，および１３
の直径は、歯列１０に付与すべき弾性的な締付け
力の大きさに応じて適宜選択する。例えば、第１
図に例示する実施態様は、歯列１０に働くリラツ
プス・フオースが、口蓋側に向いている場合であ
り、このリラツプス・フオースに対抗するため、
歯列１０の背面に沿つて配設された第１のステン
レス鋼線１１が、歯列１０の前面に沿つて配設さ
れた第２のステンレス鋼線１２の約２倍の直径を
持つように設計上の考慮が払われている。

また、本考案の好ましい実施態様として、歯列
１０に対するワイヤーリテーナーの沈み込みを防
止する目的で、第１のステンレス鋼線１１、第２
のステンレス鋼線１２、および第３のステンレス
鋼線１３の端末部は、それぞれ大臼歯４０、小臼
歯３０、もしくは犬歯２０の表面に沿つて湾曲し
レスト１５を形成している。この実施態様に於い
て第３のステンレス鋼線１３は、犬歯２０と小臼
歯３０の間、もしくは小臼歯２０と大臼歯４０の
間に配置されるが、ワイヤーリテーナーの嵌着保
持機能を所定の水準に維持するため、前記環状ブ
リツジ１４の外側で少なくとも１枚の小臼歯３０
もしくは大臼歯に対して前記レスト１５が沈み込
み防止機能を発揮し得るように前記第３のステン
レス鋼線１３の配設位置を選定することが好まし
い。

考案の効果 以上の説明から理解されるように、本考案に於
いては歯列に弾性的な締付け力を伝達する金属線
が合成樹脂製のベースを使用することなくワイヤ
ーリテーナーを構成しているから、口蓋内へのベ
ースの嵌め込みに起因する会話のしにくさや食事
に際してのリテーナーの取外し等の不都合を効果
的に排除することができる。従つて、本考案によ
れば、リテーナーを長時間連続的に使用すること
が可能となり、在来のリテーナーに比較して歯列
矯正機能が大幅に向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る歯列矯正用ワイヤーリテ
ーナーの前面斜視図であり、第２図は在来の歯列
矯正用リテーナーの前面斜視図である。 １０…歯列、１１…第１の金属線、１２…第２
の金属線、１３…第３の金属線、１４…環状ブリ
ツジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 歯列の矯正治療後に歯列に装着する矯正用ワイ
   ヤーリテーナーであつて、歯列の背面に沿つて配
   設された第１の金属線と、歯列の前面に沿つて配
   設された第２の金属線が、犬歯と小臼歯との間、
   もしくは小臼歯と大臼歯との間に嵌まり込む第３
   の金属線に熔着され、歯列を弾性的に挟持する環
   状ブリツジを形成していることを特徴とする歯列
   矯正用ワイヤーリテーナー。