JPH0129015Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は回転軸の端部のテーパ部に焼嵌めまた
は圧入して取付けたキーレステーパ軸継手を油圧
により抜き取るための高圧を発生するキーレステ
ーパ軸継手抜き取り装置に関するものである。

テーパ面で嵌合わせた軸継手を軸から抜き取る
ときに、該テーパ面に高圧油を供給して軸継手の
筒状部を拡大して嵌合わせをゆるめることによつ
て軸から引き抜くことは、従来から高圧ポンプを
用いて実施されており、第１図はその従来例を示
したものである。

第２図は一般的なテーパ軸へ軸継手を嵌合せた
状態を示したもので、軸１のテーパ部２に軸継手
３が嵌合つていて、軸継手３は、プレート４を介
してボルト５により軸１に固定されている。軸１
にはテーパ部２の嵌合面に圧油を分配するための
円周溝６が設けられており、該円周溝６には圧油
を供給するために、軸端から軸方向に延びる抜取
り用ねじ穴７に連通する半径方向のたて穴８が接
続されている。

このような軸と軸継手の嵌合において、従来は
第１図に示す如く、プレート４を取除いてから抜
き取り用ねじ穴７に、高圧ポンプ９からの高圧配
管１０を取付具１１を介して接続し、高圧ポンプ
９を作動させて発生した高圧油をテーパ面２に供
給して軸継手３の内面を押し広げ軸１から抜き取
つていた。このように従来の方式では高圧ポンプ
を必要としたもので、高圧ポンプを常備していな
いのが普通である船舶や作業場では軸継手の分
解、組立が手間どりすみやかな対応が出来ない欠
点があつた。

本考案は、従来の高圧ポンプに代る低廉でコン
パクトな高圧油発生装置を与えるものである。

第３図は本考案の１実施例をしめすもので、抜
き取り用ねじ穴７に螺嵌した筒体１３が高圧を発
生するための装置で、筒体１３の頭部には押し込
み用ボルト１４が螺嵌されている。該ボルト１４
によつて、封じ込められる筒体１３の内室１６に
はあらかじめ潤滑油又はグリースが充填されてか
らボルト１４がねじ込められる。この際、ボルト
１４と筒体１３のねじ部の間際からの潤滑油又は
グリースの漏洩は、ボルト１４のねじ部にテフロ
ンテープなどのシール材を巻きつけておくことに
よつて容易に防止することができる。

ボルト１４をメガネレンチやインパクトレンチ
などを使用して回転して筒体１３内にねじ込む
と、内室１６内の油は押圧されて高圧となり、こ
の高圧油が抜き取り用ねじ穴７からたて穴８を経
て円周溝６に流入し、更に軸１と軸継手３の間の
テーパ面２に侵入、その圧力で軸継手を押し広げ
る結果、軸１から軸継手３を容易に引き抜くこと
ができる。

この抜き取り用ねじ穴７は、プレート４を軸１
に固定するボルト５を螺着するプレート用ねじ穴
を兼用することもできる。第５図および第６図は
それぞれ抜き取り用ねじ穴７を独立して設けた場
合とプレート用ねじ穴１７の一つの１８を兼用し
た場合を示したものである。第６図において、ね
じ穴１８をプレート用と抜き取り用とに兼用する
ためプレート用ねじ穴１８は半径方向のたて穴１
９を介して円周溝６に連通されている。ここでプ
レート固定用ボルト５を取除いた後抜き取り用ね
じ穴として高圧油発生装置の筒体が螺嵌されて前
記した如く操作することにより軸継手が抜き取ら
れる。第４図は筒体１３を６角棒から切削したも
のを示したもので、構造が簡単で製作し易く外面
が６角柱であることから軸１への螺嵌が容易であ
る。

第３図に示した如く筒体１３を水平に螺嵌する
場合には、グリースのように半固体の油なら充填
が可能であるが、潤滑油のように流動性を有する
油は充填が困難である。

潤滑油の充填を容易とする別の実施例として第
７図および第８図を示す。第７図は筒体１３の先
端部２０と抜き取り用ねじ穴７との間に一方に雄
ねじを他方に雌ねじを設けた曲管２３を螺嵌し、
筒体１３を傾斜して取付けたものである。一方第
８図は軸継手３に、軸１の円周溝６に開口するよ
うに半径方向に穿設した穴２６に該穴２６と同軸
で連通する抜き取り用ねじ穴２を穿設し、該抜き
取り用ねじ穴２５に筒体１３を上向きに螺嵌した
ものである。このように筒体１３を上向きに取付
けることによつて、潤滑油の充填が容易になる。

上記した筒体１３、抜き取り穴７及び曲管２３
など間の螺嵌に際しては油の漏洩を防止するため
にねじ部にシール材を巻き付けることは当然必要
なことである。

上記の如く高圧油を供給することによつて、軸
継手が拡大して軸から抜ける際、急に飛び出すこ
とがあるので、プレート用ねじ穴を利用して、軸
継手が飛び出すのを押止める押え片（図示されて
いない）をボルトでプレート用ねじ穴にルーズに
とめるようにするのが安全である。

本考案は上記した如く簡単な構成でコンパクト
な押し込みボルトを螺嵌した筒体を用いて、軸継
手を油圧により容易に抜き取るようにしたので、
船舶、作業所などでの軸継手の抜き取りにすみや
かに対応できることから現場では補修が効率的に
行なえるようになつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を、第２図は軸継手の構成を、
第３，７，８図は実施例を示した断面図、第４図
は筒体１３の見取図、第５図は第２図の−の
断面図、そして第６図は第５図と同じ断面である
が抜き取り用ねじ穴とプレート用ねじ穴を兼用し
た場合の断面図である。 １……軸、２……テーパ面、３……軸継手、４
……プレート、５……プレート用ボルト、６……
円周溝、７，２５……抜き取り用ねじ穴、８，１
９，２６……たて穴、１３……筒体、１４……押
し込みボルト、１６……内室、１７……プレート
用ねじ穴、１８……プレート用及び抜き取り用兼
用のねじ穴、２３……曲管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸と軸継手をテーパ面で嵌合せ、該軸のテーパ
   面に円周溝と、該円周溝に連通する圧油供給孔と
   を設けたキーレステーパ軸継手において、上記圧
   油供給孔に、一方の開口端にボルトを螺嵌した筒
   体の他方の開口端を螺嵌するようにしたことを特
   徴とするキーレステーパ軸継手抜き取り装置。