JPH0126345B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は磁性インクを画像信号に対応して記録
面に吐出・飛翔させて画像を得る画像記録装置に
おける記録ヘツドに関するもので、磁性インクの
供給が容易で、かつ前記磁性インクの良好で安定
した吐出特性が得られる磁性インク記録ヘツドを
提供することを目的とする。

従来、インクジエツト記録法は記録時における
騒音が極めて小さく、また普通紙が使用できるた
めランニングコストが安価である等の点から各種
の記録装置に採用されている。また、近年記録の
高速化・高密度化が要求されるのに伴つて各種の
記録ヘツドが提案されている。しかしこれらに共
通して以下のような解決すべき問題点がある。

１ 記録を高速化する目的から吐出ノズル（又は
オリフイス等）をマルチアレイ化すること。

２ 印字品質及び記録密度の向上のため、高密度
（５〜20本／mm）で、かつ安定して記録液（イ
ンク）を吐出・飛翔させることが可能な記録ヘ
ツドであること。

３ 記録液（インク）中に発生する気泡や、乾燥
及びゴミ・ホコリ等に影響されずに安定した記
録ならびに記録液（インク）の供給が行える記
録ヘツドであること。

４ 記録液（インク）の吐出、又は飛翔に際して
各吐出ノズルの選択性・分離性（記録Ｓ／Ｎ）
が良好であること。

これらの問題にかんがみ、第１図及び第２図に
示す様に、基板１上に複数本設けたＵ字形断面形
状のインク溝２底部に磁性針電極３を配設すると
ともに磁化手段４により前記磁性針電極３を磁化
することにより、インク溝２に配した磁性インク
５の隆起メニスカスを形成せしめ、前記メニスカ
スから磁性インク５を記録面６に飛翔させるよう
に構成することにより、前述した様な問題点を解
決した高速・高密度記録が可能な磁性インク記録
ヘツドが既に提案されている。

しかし前述の記録ヘツドにおいては、インク室
７に満した磁性インク５を、インク溝２の毛細管
現象と、磁化手段４により磁化された磁性針電極
３の磁力により、インク溝２先端部に供給せしめ
インク溝壁８と磁性針電極３先端との間で第３図
ａ及びｂに示す様なメニスカスを形成しているた
め、なお以下に示す様な欠点を有していた。

すなわち、磁性針電極３先端に磁性インク５を
供給するのに毛細管現象を利用しているため、イ
ンクタンク９の液面位置変動や装置の傾きによつ
て、磁性針電極３の先端部のメニスカス形状が変
動すると、第４図及び第５図に示すようにとなり
合うインク溝２の磁性インク５がつながつてしま
い隆起メニスカスができなくなつてしまつたり、
インクが供給不足となりまつたく隆起メニスカス
が形成できないため、安定した磁性インクの供給
や飛翔が困難となり、良好な記録画像を得ること
ができなかつた。

本発明は、前述した様な欠点を解決し安定した
良好な記録画像を得ることができる磁性インク記
録ヘツドを提供するものである。

本発明の一実施例の構成を以下図面に基づいて
説明する。

第６図及び第７図は本発明における第１の実施
例を示すものであり、本発明による磁性インク記
録ヘツドを使用する記録装置の概略構成を示す。
記録部は、記録紙面１１と対向して設けられてお
り、複数のインク溝１４を設けた基台１６と、前
記インク溝１４中に設けた針状の磁性体から成る
磁性針電極１５とから構成されている。また、前
記磁性針電極１５は磁化手段１３により磁化され
ている。

前記複数のインク溝１４は、ガラスやプラスチ
ツク等の絶縁体から成る基台１６上に形成されて
おりそのＵ字形断面の大きさは８〜10本／mmの密
度で形成された場合、幅60〜70μm、深さ100〜
200μmである。

前記Ｕ字形断面のインク溝１４の底部には針状
の磁性体から成る磁性針電極１５が配設されてお
り、前記磁性針電極１５は、ヘツド基台１６に設
けたインク溝先端部より若干（約0.1〜0.5mm）奥
まつた位置又は同一面上に電極先端部が位置する
様設けられている。

また、前記インク溝１５中に設けられた磁性針
電極１５を磁化せしめる磁化手段１３は、記録面
１１背後に設けた対向電極１２近傍に配設した永
久磁石（電磁石等でも良い。）から構成されてい
る。

なお、本実施例においては磁化手段を対向電極
近傍に設けたが、インク溝１４中の磁性針電極１
５を磁化せしめる最適の位置であれば、その位置
は限定されるものではない。

インク供給部２８は第６図及び第７図に示す様
にインク供給室１７を形成する枠体２７とインク
保持部２４及び毛細管束２５とから構成されてお
り、前記ヘツド基台１６上に設けられている。前
記インク保持部材２４はスポンジや繊維等の多孔
質体で構成されている。前記保持部材２４と接し
て設けた毛細管束２５はその厚み方向のみに磁性
インク２０を通過させる様に毛細管２６の配列方
向を一方向にそろえて構成されており、前記の条
件を満たす紙や繊維、また第８図に示す様な、エ
ツチング等により複数の毛細管の孔加工を施した
金属基板等でも良い。

尚、前記毛細管束２５はヘツド基台１６に密着
させると共に、その端面がヘツド基台端面２３と
同一面もしくは、端面から若干（0.5〜２mm程度）
引込んだ位置に取付けられている。磁性インク供
給パイプ１９はインクタンク１８から磁性インク
２０をインク供給室１７に供給するものである。

また、前記の磁性針電極１５にはインク溝１４
内の磁性インク２０を画信号に対応して記録紙面
１４上に吐出・飛翔せしめる画信号電圧印加手段
２２が接続されている。さらに前記画信号電圧印
加手段２２と対向電極１２との間にはバイアス電
圧が電源２１によつて印加されている。ポンプ２
９はメインタンク（図示せず）から磁性インク２
０をインクタンク１８に供給するものである。

以下上記本発明の第１の実施例において、記録
紙面１１に磁性インク２０を吐出・飛翔させて画
像記録を行う記録動作及び、これに伴う磁性イン
ク２０の流れについて説明する。なお図中の矢印
は磁性インク２０の流れを示す。

第６図および第７図において、磁性インク２０
はインクタンク１８からインク供給パイプ１９を
通じて、ヘツド基板１６上に設けたインク供給部
２８のインク室１７に供給される。このときイン
クタンク１８の液面は一定位に保つか、インク室
１７内に適宜圧力（低圧）がかかる様に設定して
も良い。

インク室１７に供給された磁性インク２０は、
多孔質材料からなるインク保持部材２４中に、毛
細管現象により浸透保持される。またインク保持
部材２４に磁性インク２０が満たされると同時
に、毛細管束２５の毛細管２６を通つてヘツド基
台１６に設けたインク溝１４中に磁性インク２０
が供給される。

このとき、ヘツド基台１６表面に毛細管束２５
を密着させているため、磁性インク２０はヘツド
基台１６上のインク溝１４の部分しか通過するこ
とができず、また毛細管束２５はその厚み方向の
みに磁性インク２０を通過させる様に毛細管２６
の配列方向をそろえた構成のため、となり合うイ
ンク溝１４間において磁性インク２０がつながる
ことなく保持される。従つて磁性インク２０はイ
ンク溝１４各々に分離性よく供給されるととも
に、毛細管現象によりしつかりとインク室１７内
に保持される。

インク溝１４に供給された磁性インク２０は、
インク溝１４の毛細管現象と、磁化手段１３によ
り磁化された磁性針電極１５の磁力によりインク
溝先端部に供給されるとともに、インク溝１４の
壁面と磁性針電極先端との間で第３図ａ及びｂに
示す様なメニスカスを形成する。

上述した様なメニスカスを形成した状態におい
て磁性針電極１５と対向電極１２との間に電源２
１によりバイアス電圧を印加すると共に、画信号
に対応したパルス電圧を画信号電圧印加手段２２
により磁性針電極１４に印加すると、インク溝先
端部から磁性インク滴が吐出・飛翔する。飛翔し
た磁性インク滴は、記録面１１に付着し所望の画
像を形成する。

画像形成による磁性インク２０の消費に伴つ
て、インク室１７からインク保持部材２４、毛細
管束２５およびインク溝１４を径てインク溝先端
部へ磁性インク２０が供給される。

また、本発明の第２の実施例として、前述した
第１の実施例におけるインク保持部材２４及び毛
細管束２５を磁性体で形成することにより本発明
第１の実施例と同等又は以上の効果を得ることが
できる。例えば、多孔質のインク保持部材として
ニツケル等の金属磁性体を発泡させて形成した多
孔質部材（発泡金属）を用いると共に、毛細管束
も磁性体で形成し、磁性針電極１５を磁化せしめ
る永久磁石１３を用いて、磁性針電極１５と同じ
ように磁化する構成により、磁性インクの供給・
保持を毛細管及び磁力によつて行うことができ
る。

以上のように本発明はヘツド基台表面に設けた
Ｕ字形断面形状をしたインク溝の上部に密着させ
て、毛細管の配列方向をそろえた毛細管束と多孔
質物材から成るインク保持部材とから成るインク
供給部を構成し、毛細管束と保持部材の毛細管現
象を利用して磁性インクの供給及び保持を行なう
ように構成したものであり、したがつて、磁性イ
ンクを貯蔵するインクタンクの液面位置の変動や
装置の傾き等があつても、記録ヘツド部における
インク室内の液面変動は極めて少なく、安定した
液位を保つことができるため、メニスカスの形状
も常に安定し良好な記録画像を得ることができ
る。

また毛細管の配列方向をそろえた毛細管束をイ
ンク溝を設けたヘツド基台に密着させて設けてい
るため、となり合うインク溝間のインクのつなが
りによるメニスカス形状の変化等がなく、各イン
ク溝の各々に対応してインクが供給され分離性の
良いメニスカス形成及びインク供給が行える。

さらに、前述のインク保持部材及び毛細管束を
磁性体で形成し、磁化手段で磁化させてインク供
給部を構成せしめれば、上述の効果をより高める
ことができる。

以上述べたように本発明によれば、インク液面
位の変動や装置の傾きに対して、これらの影響が
極めて少ない記録ヘツドを提供できると共に、高
速高密度記録に適した磁性インク供給部を具備し
た、良好で安定した記録画像を得ることができる
磁性インク記録ヘツドを提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の磁性インク記録ヘツドの斜視
図、第２図は同概略構成を示す側面断面図、第３
図ａはメニスカスの断面図、第３図ｂは同平面
図、第４図および第５図は従来例におけるメニス
カス形状の変動状態を示す断面図、第６図は本発
明の一実施例における磁性インク記録ヘツドの斜
視図、第７図は同概略構成図、第８図は同記録ヘ
ツドに使用するインク供給毛細管束の一構成例を
示す斜視図である。 １６……基台、１４……インク溝、１５……磁
性針電極、１３……磁化手段、２４……インク保
持部、２５……毛細管束。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 非磁性体基台表面に、先端を基台端面に臨ま
   せると共に等間隔に複数本の断面Ｕ字形のインク
   溝を構成し、前記インク溝の各々の底部に少なく
   ともその先端部近傍まで延在させて配設した、磁
   性体から成る針状電極と、前記針状電極を磁化せ
   しめる磁石と、インク溝に磁性インクを供給する
   供給手段とを有し、前記供給手段は、前記基台表
   面に密着させた毛細管束を有する部材と多孔質物
   材からなり、前記毛細管束はその厚み方向のみに
   前記磁性インクを通過させるように毛細管の配列
   方向をそろえたことを特徴とする磁性インク記録
   ヘツド。 ２ 毛細管束を有する部材もしくは多孔質物材が
   磁性体であることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載の磁性インク記録ヘツド。