JPH0124341B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はジヤイロトロン、ジヤイロクライスト
ロン及びジヤイロ進行波管などのような電子サイ
クロトロンメーザの原理に基づく大電力マイクロ
波電子管に関する。

ジヤイロトロン、ジヤイロクライストロン及び
ジヤイロ進行波管などの所謂電子ビームジヤイロ
装置は、高周波回路のTEモードと電子ビームの
サイクロトロンモード結合を利用し、大電力の電
磁波を発生させるものである。高周波回路はTE
モードが励起される円形導波管または円筒空胴で
あり、電子銃は横方向ビームエネルギーが管軸方
向ビームエネルギーに比べて十分に大きく、しか
も横方向ビームエネルギーのばらつきが少ない中
空ビームを形成射出するマグネトロン型のものが
用いられる。高周波回路のTEモードの周波数ｗ
と電子ビームのサイクロトロン周波数w_cとがｎ
を整数として、ｗnw_cなる同期条件を満足する
とき、強い相互作用が生じ、高周波回路内に大電
力電磁波が発生する。このような電子ビームのサ
イクロトロン運動を利用した相互作用は、電子ビ
ーム及び高周波回路の寸法が波長に比較して大き
くなることを可能にし、従来のミリ波帯における
進行波管やクライストロンが当面する電力密度の
問題を回避することが出来る。

電子ビームジヤイロ装置はミリ波からサブミリ
波帯における大電力源として各方面から期待を集
めている。特に、ミリ波帯において高効率で大電
力が発生できることは、核融合炉のプラズマ追加
熱の手段として魅力的である。しかしながら、プ
ラズマ追加熱用としては、パルス巾が0.1〜10秒
程度のロングパルス動作もしくは連続波動作が必
要とされており、このような電子ビームジヤイロ
装置を実現するためには、解決しなければならな
い技術的問題が数多くあり、各方面で活発な研究
がなされている。

技術的問題の重要なものの１つに出力窓の電子
衝撃からの保護ということがある。電子ビームジ
ヤイロ装置では円形のコレクタ電極が出力導波管
を兼ねており、コレクタ電極の先端に出力窓が付
いた構造になつている。大電力の電子ビームジヤ
イロ装置の動作条件は、ビーム電圧が80kv前後、
ビーム電流が10A前後に選ばれている。このため
高速、高密度の電子ビームによつて出力窓が衝撃
を受けるので、ロングパルスあるいは連続波動作
時には、出力窓が破壊されるという重大な問題が
あつた。

1978年に米国で発行された研究報造書「Deve
lopmevt Program for ａ 200kw、cw、28−
ＧHz Gyroklystron」Quarterly Report No.10
（報造書番号ORNL／Sub−01617／）には、コレ
クタ電極を長大化すると同時に、電子ビームを発
散させるコレクタコイルを用い、さらに出力窓の
直前には電子ビームを偏向させるための横磁界を
入れた構成が開示されている。しかし、この従来
技術では、コレクタ電極が長大化するだけでな
く、磁界の構成が複雑になるという欠点があつ
た。

本発明の目的は、コレクタ電極を長大化するこ
となくまた磁界の構成を複雑化することなく、出
力窓の電子衝撃を防止し、電子ビームジヤイロ装
置のロングパルス化あるいは連続波動作を実現す
ることである。

第１図は本発明を実施したジヤイロトロン１の
全体図であり、同図には、中空電子ビーム３を形
成射出する電子銃組立体２と、高周波回路４と、
コレクタ電極６と、出力窓７及び出力導波管８が
管軸１１上に配列された構造が示されている。

主ソレノイド９は高周波回路４に沿つた部分に
高強度直流磁界を発生する。その磁界強度は中空
電子ビームが管１の動作周波数のミリ波に近い相
対論的電子サイクロトロン周波数で螺旋運動をす
るに充分大きいものである。

高周波回路４はその中心部に管１の動作周波数
においてTE₀₂₁モードで共振する円筒空胴５を含
み、その電子銃側はTE₀₁モードがカツトオフに
なるような径の小さい部分があり、コレクタ側は
TE_0oモードが伝搬できるよう径を大きくしてい
る。円筒空胴５内のTE₀₂₁モードに対し中空電子
ビーム３のサイクロトロンモードの角周波数が同
期するように、主ソレノイド９を調整することに
よつて、電子ビーム３と円筒空胴５内の電磁波の
間に強い相互作用が生じ、電子ビームの運動エネ
ルギーが変換されて大電力の電磁波が発生する。
円筒空胴５の内部で発生した大電力の電磁波はコ
レクタ６、出力窓７を通じて出力導波管８から外
部の負荷へ導びかれる。

一方、中空電子ビーム３は、主ソレノイド９に
よる磁界が弱くなるコレクタ電極６の領域におい
て電子自身の空間電荷力により発散しコレクタ電
極６に捕捉される。このとき、コレクタ電極６が
十分に長くない場合には電子ビーム３の１部が出
力窓７を衝撃することがある。本発明のジヤイロ
トロン１では、コレクタ電極６の側壁に２個の磁
石１０，１１を管軸１２上の位置を違えて、しか
も２個の磁石１０，１１間の磁束の管軸方向成分
１３が主ソレノイド９の漏洩磁束を打消すように
置くことによつて、電子ビーム３の発散を早める
と同時に、２個の磁石１０，１１間の磁束の横方
向成分１４によつて電子ビーム３を偏向させるこ
とができ、出力窓７への電子衝撃をも効果的に防
止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を実施するジヤイロトロンの一
実施例の全体図である。 １……ジヤイロトロン、２……電子銃組立体、
３……中空電子ビーム、４……高周波回路、５…
…円筒空胴、６……コレクタ電極、７……出力
窓、８……出力導波管、９……主ソレノイド、１
０，１１……磁石、１２……管軸、１３……磁束
の管軸方向成分、１４……磁束の横方向成分。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 中空の螺旋運動を行なう電子ビームを形成射
   出する電子銃組立体と、該中空電子ビームに沿つ
   て円形導波管もしくは円筒空胴を含む高周波回路
   と、前記電子ビームを捕捉するコレクタ電極が管
   軸上に配列され、該コレクタ電極の先には出力窓
   と出力導波管が取付けられた電子ビームジヤイロ
   装置において、前記のコレクタ電極の外側に複数
   個の磁石を管軸上の位置を違えて配置したことを
   特徴とする電子ビームジヤイロ装置。