JPH0118564Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は腋下の汗取り部分を有する着心地の良
好な肌襦袢に関する。

従来の和装製品、殊に襦袢に於いては、前身頃
と後身頃とを腋下から下降する線に沿つて直接に
縫合するのを常としていた。この場合、身幅を想
定して前身頃および後身頃を予め幅広にして仕立
てるのであるが、両身頃に縫合線、特に腋下相当
位置の縫合線は腋下に沿わず、発汗時に腋下の汗
は衣類に吸収されることなく身体に沿つて流下す
る傾向を示し、不快感を生ずるばかりか着用衣類
を汚染させたり、また金銀糸等に変色を招来させ
る等の諸種欠陥を有するものであつた。

本考案は前述従来の欠点を是正することを目的
としたもので、襦袢に新たに吸汗パツドを組み込
み、吸汗パツドが常に腋下と接触するように仕立
てており、発汗時に瞬時に汗が吸収されるので汗
が身体に沿つて流下する従来の不快感や長着に対
する色褪せ等の欠陥は全くなく、而も立体裁断と
なつているので着心地が極めて良好となるもの
で、即ち本考案の要旨は袖付縫着下端を可及的に
上昇させて身八つ口相当位置６から馬乗位置７近
傍に至る前身頃１と後身頃２との対応縁の間に、
上方部に吸汗パツド９を縫着した身幅に近似する
脇布８を介し、脇布８長縁と前身頃１および後身
頃２の縁とを縫着して成ることを特徴とする肌襦
袢に係る。

本考案に於いて袖付縫着下端を可及的に上昇さ
せると云う意味は、従来の肌襦袢に於ける袖明と
身八つ口は略直角をなす、つまりこの交点が袖付
縫着下端であるが、本考案では袖明を傾斜させて
袖付縫着下端を上昇させると云うことである。

この構成で吸汗パツド９を腋下に接触可能とし
ている。そして脇布８は身八つ口相当位置６から
馬乗位置７近傍までの長さとするが、馬乗位置７
では多重となるので縫合位置とはしない。前身頃
１と後身頃２との間に脇布８を縫合するので、肌
襦袢自体が立体裁断となり、着心地が頗る良好と
なるものである。

次ぎに図面に基ずいて本考案になる肌襦袢を説
述する。

第１図の平面図に於いて、本考案の肌襦袢は前
身頃１、後身頃２、袖３、襟４、肩当５から成る
通常の肌襦袢に特に工夫を凝らしている。即ち、
従来設けられていた縦方向に切截される身八つ口
がなく、その身八つ口相当位置６を含めて馬乗位
置７近傍に至る前身頃１と後身頃２との間に脇布
８を縫合している。

脇布８の幅は身幅に近似させ、そして脇布８の
上部には吸汗パツド９を縫着する。

脇布８の上部、即ち当該パツド９の位置は、パ
ツド９が特に発汗の多い腋下から吸汗するよう
に、パツド９が腋下と接触する位置が好ましく、
従来の身八つ口の位置では適さない。従つて袖明
を上向きに傾斜させることにより袖付の縫合線下
端を上昇させて、吸汗パツド９の位置を襦袢着用
時の腋下へ極めて接近させ、接触させることが出
来る。脇布８は縦長の帯状片であつて、上縁が半
月状に下向きに弯曲している。

吸汗パツド９はこの弯曲部分と弯曲部分から懸
吊した放物線との間に囲まれた特殊形状をしてい
て、脇布８とパツド９とは互いの弯曲部分を合致
させた状態で縫着する。通常、パツド９は脇布８
の両面に縫着する。

脇布８とパツド９の縫着体は上縁の弯曲部分お
よびパツド９の放物線部分が腋下両側の部位に存
する筋に接触せず、着用感が極めて良好となるば
かりか、柔軟性をも該部に期待し得るものとな
る。パツド９は吸湿性の優れた編糸から形成した
網状組成が汗の粘着を防ぎ、また肌ざわりを快適
とならしめるものである。

本考案の肌襦袢は、着用時に吸汗パツド９が腋
下と接触し、吸汗パツド９が汗を速やかに吸収す
るので、従来の肌襦袢のように汗が腋下から身体
に沿つて流れる等の不快感は全くなく、而も脇布
８自体が肌襦袢に立体性を付与し、身体に対して
引きつりが誘発されると云う着物類独特の欠点を
著しく緩和する等の効果を存するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案肌襦袢の正面図、第２図は要部
の側面図、第３図は要部拡大図を夫々示すもので
ある。 １……前身頃、２……後身頃、３……袖、４…
…襟、５……肩当、６……身八つ口相当位置、７
……馬乗位置、８……脇布、９……吸汗パツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 袖付縫着下端を可及的に上昇させて身八つ口相
   当位置６から馬乗位置７近傍に至る前身頃１と後
   身頃２との対応縁の間に、上方部に吸汗パツド９
   を縫着した身幅に近似する脇布８を介し、脇布８
   長縁と前身頃１および後身頃２の縁とを縫着して
   成ることを特徴とする肌襦袢。