JPH0118563Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 考案の目的 〔産業上の利用分野〕 この考案はフアスナーを開いて着るという操作
だけで、同時に各部体型を容易かつコンパクトに
同時補正ができ、簡単な操作で着崩れ防止のでき
る着脱自在なワンタツチ着用式和装用肌着に関す
る。

〔従来の技術〕

従来の和装用肌着においては、肌襦袢と裾よけ
を別体にしているものが多く、又それを一体にし
ているものでも補正を要する各部全体に体型補正
用芯を装着しているものはなく、着用時に胸部又
はウエスト部等一部のみに綿等の充填物を挿入し
て使用するもので、二段操作を要し、かつコンパ
クトな体型補正ができない欠点があり、又チヨツ
キ型等の襦袢においては補正用パツトが体の曲線
に合わない煎餅式のものが多く体型にフイツトす
る補正ができない欠点があり、又その殆んどが前
合せ式で後布と前布を紐で留めるもので、手間が
掛るのみならず端正さに欠けるうらみがあり、又
中には前でフアスナーにより留めるものもある
が、フアスナーの位置によつては着付と合致せず
不体裁になることが多く、又肌襦袢、裾よけ、補
正用充填物が別体であると整頓に手数が掛り、不
経済になることが多いなどの欠点がある。

尚従来技術の内、特に進歩しているものを次に
挙げて考察するに、実公昭53−32723号考案の
「和装用の補正着」は肌じゆばんのみによる補正
着であつて、和服着用の際胸部と前ウエスト部の
みに別体の補正用パツトを保持部に挿入して使用
するもので、補正に二段の操作を要し、かつ裾よ
けは別体によらねばならず着用にも二段の操作を
要し、而かもコンパクトな各部補正は望めないも
のであり、実公昭54−11054号考案の「和装用下
着」は肌襦袢と裾よけを一体にしている点では本
考案と同様であるが、前合わせ式であつて腰紐で
前身頃と後身頃を締結するもので、各部に補正用
パツトの装着はなく、肌襦袢部の下縁を後身頃の
中央部において頂点をなす弧状とし、裾よけ部の
上縁を肌襦袢下縁の弧状よりゆるい弧状にくり、
両縁を裾よけ部の後身頃において縫いひだをとつ
て縫着することによつて、ブレストとヒツプの形
状に適合するように構成したもので、これによる
のみでは各部のコンパクトな補正は期し難く、必
ずや体型とのズレが生ずるうらみがあり、補正用
肌着とは申し難いものであり、その他実公昭56−
17443号、実公昭57−20561号、実開昭56−103001
号等の考案もあるがそれぞれ前記２例と同様又は
別異の前述中の欠点を有するものである。

〔本考案が解決しようとする問題点〕

そこで、本考案の目的とするところは従来の和
装用肌着における前記のような、着用と体型補正
に手間が掛るのみならず、体型補正が不完全で、
着崩れも生じ易く、経済的にも割高である等の欠
点を除去し、ワンタツチで着用ができ同時に各部
の体型補正が簡単に実施され、着崩れも生せず、
コンパクトなフアンデーシヨンのできる和装用肌
着を安価に提供せんとするにある。

ロ 考案の構成 〔問題点を解決するための手段および作用〕 この考案の要旨とするところは、伸縮性殊に横
方向への伸縮性の大きい綿ようりゆう又はシルク
ニツト等の布地を用いて、前身頃と後身頃を肩部
において縫い合わせ、衿ぐりを深くした肌襦袢Ａ
の下縁６を、すべりがよく伸縮性を有する裾よけ
Ｂの上縁８に。ウエストの稍々下の位置で縫合
し、肌襦袢と裾よけを一体となし、衿ぐり４の前
中央上端から裾よけＢの前中央ヒツプラインまで
縦貫する切り開き部９を設けてこれの両側にフア
スナー１０を付装し、これの開閉によりワンタツ
チで着脱自在に着用できるようにした和装用肌着
本体Ｃを形成し、この衿ぎわ部、胴部、後腰部、
背中部の各部裏に本体襦袢部の表地と同一布地に
よる裏地を縫着して袋状部１６を形成し、これに
上記各部の体型の曲線にフイツトする厚みと伸縮
性を有する不織布等の体型補正用芯１７を縫い込
むことにより該本体Ｃ着用と同時に補正を要する
各部全体が一体的に各曲線にフイツトする補正が
できるようにし、更に両脇下に伸縮性布地による
襠１８を入れることにより肌襦袢の伸縮性を補強
し、又両胸部１２に乳押え布１２ａを縫着し、背
中央および両脇下にマヂツクテープを介し、伸縮
性布テープ２０，２０′を付装し、該布テープ２
０の先端に取付けた尾錠２１により長じゆばんの
背中央縫代を裏からはさみ、両後脇下に付装した
布テープ２０′の先端に取付けた尾錠２１′により
長じゆばんの両衿先をはさんで着崩れを防止する
ようにし、フアスナーを開いて着用すればワンタ
ツチで容易に身体各部の体型補正がコンパクトに
でき、かつ簡単な操作で着崩れ防止ができるよう
にし、更に前記裾よけＢの下部両側にスリツト７
を設け、裾さばきがスムーズにできるように構成
したことを特徴とする各部体型補正を同時にコン
ンパクトにできるようにしたワンタツチ着用式和
装用肌着である。

〔実施例〕

この考案の一実施例を添付図面に基いて詳述す
る。

伸縮性殊に横方向に伸縮性の大なる綿ようりゆ
う又はシルクニツト等の布地により第１図〜第４
図に示す通り、前身頃１と後身頃２とを肩部３に
おいて縫い合わせ、衿ぐり４を深くし、前中央部
に切り開き部５を設けた肌襦袢Ａの下縁６を、す
べりがよい、伸縮性布地で作られた下部の左右側
又は片方側にスリツト７を設けた裾よけＢの上縁
８にウエストの稍々下の位置で縫着し、該裾よけ
Ｂの前中央部に前記開き部５と縦にヒツプライン
９′まで連通する切り開き部５′を設けることによ
つて衿ぐり４の前中央上端から裾よけのヒツプラ
イン９′まで縦貫する切り開き部９を形成し、こ
れの両側にフアスナー１０を付装して和装用肌着
本体Ｃを形成し、該本体Ｃの衿ぎわ部１１、胴部
１３、後腰部１４、背中部１５の各部裏に表地ａ
と同一布地による裏地ｂを縫着して上記各部の表
地ａと裏地ｂとの間に袋状部１６を形成し、該袋
状部に不織布等の伸縮性の体型補正用芯１７を封
入縫い込みし、更に両脇下を切り開いて伸縮性布
地による襠１８を入れ、両胸部１２には乳押え布
１２ａを縫着し、背中央および両脇下にマヂツク
テープ１９，１９′を介し、先端に尾錠２１，２
１′を取付けた着崩れ防止用の伸縮性布テープ２
０，２０′を付装することにより各部体型を同時
に補正できるワンタツチ着用式和装用肌着が完成
される。尚裾よけＢにはレース飾りを付していな
いものを使用する。

ハ 本願考案の効果 (a) この考案における第一の特長は伸縮性のある
肌襦袢と裾よけを一体となし衿ぐりの前中央上
端から裾よけのヒツプラインに至るまで縦貫す
る切り開き部にフアスナーを付装し、補正を要
する各部にそれぞれその体型に適合する厚みと
伸縮性を有する柔軟な補正用芯及び乳押え布１
２ａが一体的に組込まれているので装着時にず
り落ちたり弛むこともなく、フアスナー１本を
あけて着用することにより、即ちワンタツチで
着装と同時に身体各部の曲線にフイツトするコ
ンパクトな補正が簡単にできる点にあり、従つ
て着付、補正に二段、三段の操作を要せず、又
長時間各部補正状態を保持できる効果がある。

(b) 又両脇下に伸縮性殊に横への伸縮性の大きい
襠を入れて伸縮性を更に補強しているので体の
動きにつれて自在に伸縮するため、楽に着用さ
れ、各部補正の調整ができるので補正を更に端
正なものとする効果がある。

(c) 本考案は前合せ式のものでないので余分の布
地を巻く要もなく、肌襦袢や裾よけを部分的に
細紐等で締めつけることもないので体が苦しく
ない。

(d) 背中央の補正によりおたいこを落着かせる効
果がある。

(e) 背中央、両脇下に装着した尾錠付テープによ
り長じゆばんの背中央縫代と両衿先に止定され
るので着崩れ防止が簡単かつ完全にできる効果
がある。

(f) フアスナー切り開き部が深くあけられている
ので、下から容易に着用でき、着脱時に髪形が
崩れるおそれがない。

(g) 図示の通り衿ぐりを深くしているので婚礼時
の着付にも便利で衿首から該肌着が見えること
なく奇麗な気付けができる。

(h) 更に裾よけはすべりがよくて伸縮性の有る布
地を用い、下部左右両側又は左右何れか一方側
にスリツトを設け、かつレース飾りを付してい
ないので裾さばき、足さばきがスムーズにでき
る効果がある。

(i) 本考案においては素材の性質上吸汗性や保温
性に富み、上記の通りの伸縮性があるので肌触
りがよく快適な着用ができることは云うまでも
ない。

以上の通り本考案は従来のものの前記欠点を解
消し、種々の効果を有するコンパクトな和装用肌
着のフアンデーシヨンということができ、而かも
余分の布地を要せず、又、種々の別体の小物類の
必要がなく、大量生産にも適し、廉価に提供し得
る便益な合理的和装用補正肌着である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は本考案
の完成品斜視図、第２図は同正面図、第３図は同
背面図、第４図はＸ−Ｘ線における拡大展開図、
第５図は人体に着せた状態を示す側断面図であ
る。第６図１は着用状態を示す側面図、第６図２
は同正面図、第６図３は同背面図である。 図において、Ａ……肌襦袢、Ｂ……裾よけ、Ｃ
……和装用肌着本体、１……前身頃、２……後身
頃、３……肩部、４……衿ぐり、５，５′……切
り開き部、６……肌襦袢の下縁、７……スリツ
ト、８……裾よけの上縁、９……切り開き部、
９′……切り開き部最下端（ヒツプライン）、１０
……フアスナー１１……衿ぎわ部、１２……両胸
部、１２ａ……乳押え布、１３……胴部、１４…
…後腰部、１５……背中部、１６……袋状部、１
７……体型補正用芯、１８……襠、１９，１９′
……マヂツクテープ、２０，２０′……布テープ、
２１，２１′……尾錠を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 伸縮性布地を用いて、前身頃１と後身頃２とを
   肩部３において縫合し、衿ぐり４を深くし、前中
   央部に切り開き部５を設けた肌襦袢Ａの下縁６
   を、すべりのよい伸縮性布地で作られ、その前中
   央をヒツプラインまで切り開き、上記肌襦袢の切
   り開き部５と縦に連通する切り開き部５′を設け、
   この裾部の左右又は片方にスリツト７を設けた裾
   よけＢの上縁８に、ウエストより稍々下の位置に
   おいて縫合して、肌着袢Ａと裾よりＢを一体とな
   し、前記両開き部により衿ぐり４の前中央上端か
   ら裾よけＢの前中央ヒツプラインまで縦に貫通す
   る切り開き部９の両側をフアスナー１０で留める
   よりにした和装用肌着本体Ｃの衿ぎわ部１１、胴
   部１３、後腰部１４、背中部１５に該本体襦袢部
   の表地ａと同一布地による裏地ｂをそれぞれ縫着
   して、上記本体各部の表地との間に袋状部１６を
   形成し、該袋状部に上記各部の体型の曲線にフイ
   ツトする適宜の厚みを有し、かつ伸縮性を有する
   不織布等の体型補正用芯１７を縫い込み、両胸部
   １２に乳押え布１２ａを縫着し又両脇下を切り開
   いて伸縮性布地によるマチ１８を入れ、背中央お
   よび両脇下にマヂツクテープ１９，１９′を介し
   先端に尾錠２１，２１′を取付けた着崩れ防止用
   の伸縮性布テープ２０，２０′を付装して成るこ
   とを特徴とする各部体型を同時に補正できるワン
   タツチ着用式和装用肌着。