JPH0116773Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 考案の目的 ａ 産業上の利用分野 本考案はメツキバレル装置等で用いられるメツ
キドラムに関するものである。

ｂ 従来の技術 メツキドラムは、その中に微少部品の被メツキ
物を入れ、メツキ槽内で回転せしめてメツキ処理
を行なうためのものである。そのメツキドラムは
一般に耐メツキ液性のあるプラスチツク製の筒状
で、両側板の少なくとも一方にギヤを設け、周部
を多細孔のプラスチツク薄板で形成してある。ま
た一部には、周部を構成する板に、部分的にやや
大きい孔をいくつか形成し、その各孔にネツトを
嵌入れるようにしたものもある。

ｃ 考案が解決しようとする問題点 上記従来のメツキドラムのうち、周部を多細孔
の薄板で形成したものは、孔の数や大きさに限度
があつて、メツキ液流通可能な面積があまり大き
くない。そのためメツキの付き回りが悪かつた
り、膜厚の均一性に問題が出たり、高速メツキも
不可能である。また被メツキ物が小さいと孔から
こぼれ落るので、内面にネツトを貼付する必要が
ある。さらに周部が被メツキ物との接触で摩耗・
損傷すると、ドラム全体または周部を構成する薄
板を交換せねばならない等の欠点がある。

他方、周部の板に形成した孔にネツトを嵌め入
れるものは、ネツトを用いているので被メツキ物
が小さくてもそこからこぼれ落ちることはない
が、孔の数が少ないためメツキ液流通可能な面積
が大きくない。それゆえ前記と同様にメツキの付
き回りが悪く、膜厚が不均一となつたり、高速メ
ツキができない等の問題がある。

本考案はメツキドラムに関し、上記問題点を解
決しようとするものである。即ち目的とするとこ
ろは、メツキ液流通可能な面積が大きく、また内
部の被メツキ物がこぼれ落ちぬとともに、ネツト
が摩耗・損傷してもネツトだけを容易に交換可能
であり、かつ被メツキ物の大きさに対応してネツ
トを交換しようとすれば、容易にできるメツキド
ラムを提供することにある。

ロ 考案の構成 ａ 問題点を解決するための手段 本考案のメツキドラムは、両側板１とその間で
周部を形成する数枚の周部板２とからなり、両側
板１は少なくとも一方にギヤ部３を設け、各周部
板２は横長の枠部材４間に取外し可能に並べて嵌
入れた格子状枠５と、該各格子状枠５に取外し可
能に設けたネツト６とで形成し、該各周部板２を
枠部材４前・後縁の係合用凹部７と凸部８とで円
筒状に連結させ、かつ各周部板２の両側部を両側
板１に、止め部片９にて取外し可能に係止させて
なるものである。

上記構成において、材質は耐メツキ液性のある
プラスチツク製であり、ネツト６は網目の小さい
ものから少し大きいものまで数種を用意しておく
ことが望しい。各格子状枠５の枠部材４への取付
けは、例えば枠部材４の内側を、横桟10にて格子
状枠５を嵌入れ可能な数個の空所１１に分割し、
その各空所１１に各格子状枠５を嵌入れ係止させ
る。また格子状枠５が不用意に外れぬようにする
ため、例えば押え枠１２を枠部材４に形成の凹溝
１３に差入れて押えることが望しい。ネツト６を
格子状枠５に設けるには、例えばネツト６を格子
状枠５の内側面に当て４辺を格子状枠５の側部へ
折曲げておき、格子状枠５と共に前記枠部材４の
空所１１に嵌入れ、ネツト６の折返し部分を枠部
材４や横桟１０との間で挾持させるようにする。

なお周部板２の１つは、被メツキ物（図示略）
の出入用開口部の蓋板２′とするため、掴持部１
４を設けるとともに、迅束な取付け・取外しのた
め両側板１への止め部片９を、つまみ部付のネジ
にしておくことが望しい。

なお両側板１にも孔を形成して、取外し可能に
ネツト１５を設けておくのがよい。

ｂ 作用 本考案の使用状態は次の如くである。

メツキ処理する場合には、メツキドラムの周部
を形成する周部板２の１つの蓋板２′を外して、
開口部から小物品の被メツキ物を投入し、蓋板
２′を閉る。この状態でドラムをメツキ液中に浸
漬させ、駆動装置（図示略）により側板１のギヤ
部３を介してドラムを回転させればよい。これに
より、各周部板２の各ネツト６を通つてメツキ液
がドラム内へ流入し、また流出してメツキ処理が
なされる。

上記場合に、ドラムの周部を形成する各周部板
２の大部分の面積がネツト６で構成されているの
で、メツキ液が流入・流出しやすい。そのためメ
ツキの付き回りが良くなり、膜厚も均一で高速メ
ツキが可能となつている。またネツト６を用いて
いるので、被メツキ物が小さくても、従来の多細
孔板のようにその孔からこぼれ落ちるようなこと
はない。そのため被メツキ物が小さいからといつ
て、その都度周部板の内側面にネツトを張付ける
必要はない。

もしネツト６が摩耗・損傷した場合には、その
分の周部板２を止め部片９を緩めて取外し、次い
で格子状枠５を外して損耗したネツト６だけを新
しいものに交換する。そして新しいネツト６付の
格子状枠５を枠部材４の空所１１に嵌め入れ、周
部板２として再びドラムの周部に取付けて固定す
ればよい。なお上記ネツト６の交換はネツト６を
格子状枠５の内側面から周縁に折曲げ、枠部材４
や横桟１０間の空所１１に嵌入れ挾持させるもの
であるから、ネツト６の取換えは容易・迅速に行
える。またいずれの周部板２についても、上記と
同様に取外してネツト６の交換が可能である。

ハ 考案の効果 以上で明かな如く、本考案のメツキドラムは次
のような効果を有する。

ａ メツキ液の流通が良くなる。即ち、従来のメ
ツキドラムの周部は多細孔板製や、周部板に部
分的にやや大きな孔をあけてそこにネツトを張
るようにしたものである。そのため多細孔の数
や大きさに限度があり、またやや大きな孔の数
も限られているので、メツキ液が流入・流出可
能な面積が少なかつた。しかし本考案のメツキ
ドラムは、各周部板の枠部分を除く全てがネツ
トで形成されているので、メツキ液の流入・流
出可能面積が大幅に増大している。そのためメ
ツキの付き回りが良くなり、膜厚も均一になる
しまた高速メツキができるものである。

ｂ ドラム周の摩耗・損傷時に修理が容易・迅速
に行える。即ち、従来のメツキドラムでは周部
の一部が摩耗・損傷すれば、ドラム全体や周部
板の少なくとも一枚を交換する必要があり、不
経済であるとともに交換に手間を要した。これ
に対して本考案では、ドラムの周部を形成する
各周部板がいずれも取外し可能であるととも
に、各周部板は数枚のネツトからなり、かつ各
ネツトも取外しが可能としてある。そのためネ
ツトの一部が損耗した場合には、その分の周部
板だけを取外し、損耗したネツトだけを容易・
迅速に交換することができ、経済性・作業性に
優れるものである。

ｃ 被メツキ物の大きさに対応したネツトにでき
る。即ち、従来の多細孔板を用いたものでは、
メツキ液流入・出の関係から細孔もあまり小さ
くできない。そのため、被メツキ物が小さいと
その孔からこぼれ落ちてしまうので、内側面に
別にネツトを張らねばならない。しかし本考案
では、前記の如くネツトの交換が容易・迅速に
行えるので、被メツキ物が小さいとそれに対応
したネツトに交換できる。それゆえ、被メツキ
物がこぼれ落ちるようなことはないし、また常
にメツキ液の流入・出を良好に保ちながらメツ
キ処理をできることになる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示すもので、第１図は周
部板の一つの蓋板を取外し分解した状態の斜視
図、第２図は周部板の縦断拡大側面図である。 図面符号１…側板、２…周部板、３…ギヤ部、
４…枠部材、５…格子状枠、６…ネツト、７…係
合用凹部、８…係合用凸部、９…止め部片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 両側板１とその間で周部を形成する数枚の周部
   板２とからなり、両側板１は少なくとも一方にギ
   ヤ部３を設け、周部板２は横長の枠部材４間に取
   外し可能に並べて嵌入れた格子状枠５と、該各格
   子状枠５に取外し可能に設けたネツト６とで形成
   し、該各周部板２を枠部材４前・後縁の係合用凹
   部７と凸部８とで円筒状に連結させ、かつ各周部
   板２の両側部を両側板１に、止め部片９にて取外
   し可能に係止させてなるメツキドラム。