JPH0114331Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ロールカツプリング、例えば圧延
機用ロールとその駆動軸とをトルクの伝達可能に
連結するために、ロール軸部に嵌合させられるロ
ールカツプリングに関する。

この種のロールカツプリングは大トルク伝達用
として広く使用されているものであるが、従来の
ロールカツプリングは、そのために第１図に示す
ように、カツプリング本体１の内径面に、軸方向
に延びる各１対のプレート嵌入凹溝２，３を設
け、該凹溝２に、小判形断面形状に形成されたロ
ール軸部４の平行平面部５に密接する側面プレー
ト７を対称配置で嵌合し、凹溝３に、ロール軸部
４の円筒面部６に密接する弧形プレート８を対称
配置で嵌合し、カツプリング本体１に放射方向に
螺合するボルト９により各プレート７，８を締め
つけて固定する構造である。

ところがこのような構造では、ロールからの大
きなスラスト力が、各プレート７，８を介して締
付ボルト９に作用するため、ボルト９が弛み、ま
た折損するというような不都合があり、さらに圧
延用クーラント液をかぶるために、ねじ部を始め
カツプリング本体の内径面にまで錆が発生しやす
いという欠点がある。

また前記各凹溝２，３が〓形に形成されている
ために、そのエツジ部においてカツプリング本体
に集中応力が発生して、クラツクＣの発生、或は
破壊等の危険があり、このためにカツプリング本
体の肉厚を一定値以下に小さくすることができな
いという問題もある。

この考案は以上のような従来のロールカツプリ
ングが持つている本質的な前記の欠点を解消し、
側面プレート及び弧形プレートのすべてを、カツ
プリング本体の内底部と、開口端部とのそれぞれ
に固定した内側ガイドリングと外側ガイドリング
とに係合せしめて、ボルトレスタイプとした点に
特徴を有し、前記従来品の欠点の解消と共に、カ
ツプリング強度の向上を目的とするものである。

以下この考案を、図示の実施例について詳述す
る。第２図、第３図及び第４図において、カツプ
リング本体１０の内径面１１に、軸方向に延びる
複数のプレート嵌入凹溝１２と、該内径面１１の
開口端部にあつて前記凹溝１２の溝底１３より浅
い拡径段部１４を設ける。すなわち拡径段部１４
の内径面１５が、凹溝１２の溝底１３よりも内径
側にあるように構成する。

一方、小判形断面形状とされたロール軸部１６
の平行平面部１７に密接する平面からなる内側面
１９と、プレート嵌入凹溝１２の内面と同形の外
側面２０とを有する１対の側面プレート２１と、
ロール軸部１６の円筒面１８に密接する弧状の内
側面２２と、プレート嵌入凹溝１２の内面と密接
する外側面２３とを有する複数（少なくとも２
個）の弧形プレート２４とを設けて、各プレート
２１，２４をそれぞれ対称配置で各プレート嵌入
凹溝１２に嵌合し、各プレート２１，２４のカツ
プリング本体１０の内底部２５側端部を、該内底
部２５にボルト２６等をもつて固定した内側ガイ
ドリング２７に係合支持させる。内側ガイドリン
グ２７は、その外周面の形状を、ロール軸部１６
の外周面と同一形状寸法として前記内底部２５に
固定するのがよく、またその円筒面２８を、カツ
プリング本体１０の内径面１１に圧入嵌合し、ボ
ルト２６を省く構造としてもよい。２９は内側ガ
イドリング２７の平行平面部であつて、ロール軸
部１６の平行平面部１７に対応している。

各弧形プレート２４は、その他端部の内側面
に、拡径段部１４の内径面１５に連続する同一曲
率半径の円弧面３０を有する段部３１を設け、各
側面プレート２１は、その他端部の内側面に、カ
ツプリング本体１０の内径面１１と同一曲率半径
の円弧面３２を有する段部３３を設ける。

カツプリング本体１０の開口端部３４に、ボル
ト３５等をもつて装着固定する外側ガイドリング
３６を設け、その端面に、外径寸法を拡径段部１
４の内径面１５と同一直径とし、内径寸法をカツ
プリング本体内径面１１と同一直径とした筒状突
起３７を形成し、該突起３７を拡径段部１４に嵌
合して各プレート２１，２４の前記段部３３，３
１に係合させる。R₀はロール、Ｗはロール軸部
１６の平行平面部１７の対向間隔である。

各プレート嵌入凹溝１２は、すべてその形状寸
法を同一とするとその工作が容易であり、またそ
の内面（溝底１３面）を、カツプリング本体内径
面１１の曲率半径Ｒより小径の曲率半径ｒの円筒
面とすれば、カツプリング本体１０の応力集中部
がなくなる。

この考案は以上のような構造であつて、側面プ
レート、弧形プレートがボルトレス構造でカツプ
リング本体に取付けられるため、例えばロールか
らの大きなスラスト力によるもボルトが折損する
というような不都合がなく、カツプリング本体の
外面にクーラント液をかぶることがあつても、ボ
ルト孔を介してその内面にクーラント液の浸入を
生ずるというようなことがなく、カツプリング本
体内面および各プレートがきわめて錆難い構造と
なり、その耐久性が大巾に向上する。

また、各プレート嵌入凹溝の溝底面を円弧面と
することにより、ボルトレス構造によるもロール
軸部のサポートを確実に行わせることができ、か
つロールカツプリングの振れも少なく、また負荷
に対する応力集中部がなくなるので、亀裂の発
生、破壊等におそれがなく、カツプリング本体の
肉厚の設定が容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のロールカツプリングの横断面
図、第２図はこの考案の実施例の第３図−ｏ−
線における縦断面展開図、第３図は第２図の
−線における横断面図、第４図は分解斜面図で
ある。 １０……カツプリング本体、１１……内径面、
１２……プレート嵌入凹溝、１３……溝底、１４
……拡径段部、１５……内径面、１６……ロール
軸部、１７……平行平面部、１８……円筒部、１
９……内側面、２０……外側面、２１……側面プ
レート、２２……内側面、２３……外側面、２４
……弧形プレート、２５……底面部、２７……内
側リング、３１，３３……段部、３４……端面、
３６……外側リング、３７……円筒状突起。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) カツプリング本体の内径面に、軸受方向に延
   びる複数のプレート嵌入凹溝と、該内径面の開
   口端部にあつて前記凹溝の溝底より浅い拡径段
   部とを設け、小判形断面形状とされたロール軸
   部の平行平面部に密接する内側面とプレート嵌
   入凹溝の内面と同形の外側面とを有する１対の
   側面プレートと、ロール軸部の円筒面に密接す
   る弧状の内側面とプレート嵌入凹溝の内面と同
   形の外側面とを有する複数の弧形プレートと
   を、それぞれ対称配置で各プレート嵌入凹溝に
   嵌合し、各プレートのカツプリング本体の内底
   部側端部を、該内底部に固定した内側ガイドリ
   ングに係合支持せしめ、カツプリング本体の開
   口端部に装着固定する外側ガイドリングに設け
   た筒状突起を、前記拡径段部と各プレートの前
   記各端部に係合させたことを特徴とするロール
   カツプリング。 (2) 各プレート嵌入凹溝を同一形状寸法とした実
   用新案登録請求の範囲(1)記載のロールカツプリ
   ング。 (3) 各プレート嵌入凹溝の内面を、カツプリング
   本体内径面の曲率半径より小径の曲率半径を有
   する円筒面とした実用新案登録請求の範囲(1)又
   は(2)記載のロールカツプリング (4) 内側ガイドリングの外周面を、ロール軸部の
   外周面と同一形状寸法となし、各プレートのカ
   ツプリング本体内底部側端部を内側ガイドリン
   グの外周面に係合させた実用新案登録請求の範
   囲(1)から(3)までのいずれか１つに記載のロール
   カツプリング。