JPH0113597Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、排水処理装置、特に中水造水装置
として使用可能なコンパクトな排水処理装置に係
わる。

「従来の技術」 近来、大都市で建設される大型ビルでは省エネ
ルギー等の社会的要請に基き、中水道を導入しよ
うとする機運にある。

このような中水道では、生活雑排水を処理して
水洗便所や洗車、散水、空調設備等の用水として
使用するようにしているが、特にビル等に設置す
る場合には、小型で処理性能が高く、かつ雑持管
理がしやすい排水処理装置が必要となる。

このような要望に適合した排水処理装置とし
て、標準活性汚泥処理と濾過機能を一体化した曝
気濾過型の装置、つまり、上下に前記２つの機能
を１槽に併せもつた処理槽で、上部は汚泥処理や
生物膜法等の生物学的処理を行うための微生物繁
殖滞留域であり、下部は上記の処理された汚水を
濾過する濾過層である微生物繁殖滞留域と濾過層
とを夫々平面的に配置したものに比して設置面積
が小、つまり小型に構成し得るものとして、例え
ば特公昭56−14360号、特開昭57−48388号等に提
案されている。

一方、活性汚泥や生物膜等の生物処理を行うた
めの曝気部に構成される微生物繁殖滞留域への酸
素供給を高濃度酸素で行わせると、活性汚泥の酸
素吸収効率が高まり、生物処理能力が高まり曝気
槽容量を削減させ、また固液分離性能の良い活性
汚泥が形成されるので、濾過層部の占有面積を削
減することが出来ることが知られているが、コス
ト高をまねくこの方式を前述の中水道用の排水処
理装置に取り入れた例は無い。

「考案が解決しようとする問題点」 上述の如く生物処理能力向上、固液分離性能の
良い活性汚泥の形成という明らかに有利な効果を
奏する高濃度酸素投入方式を取り入れるにはコス
ト高を解消し得る酸素の有効利用が達成されねば
ならない。

「問題点を解決するための手段」、「作用」 本案は叙上の事情に鑑みなされたもので、その
要旨とするところは、活性汚泥処理と濾過機能を
一体化した曝気濾過処理槽に於いて、天蓋付設の
閉塞槽に構成し、上部微生物滞留層並びに下部濾
過層を縦隔壁で３槽に区画し、該上部微生物滞留
層のうち第１、第２槽は区画底板で濾過槽と連続
しない曝気層とすると共に両者区画用縦隔壁の上
部気体部と下部液体部には隣接槽間についての連
通口を穿設し、且つ第２，３槽間区画縦隔壁には
オーバフロー口を設け、さらに、当該第１槽に原
水供給管並びに高濃度酸素含有空気の曝気用散気
管を組み入れ、他方第３槽部は気体収集部屋とし
て循環ブロワを有する気体収集管を組み入れ、当
該気体収集管の先方を該第２槽の曝気用散気管と
該３槽区画の濾過槽の各曝気用散気管並びに空洗
用散気管に分枝構成し、他方、該気体収集部には
設定値を下まわると高濃度酸素含有空気を該第１
槽に注入し設定濃度を越えると注入を停止させる
ための酸素濃度計並びに設定値を越えると外部に
放出させ設定値以下になると外部放出を停止する
ための圧力計を設置するとして、高濃度酸素を投
入するも有効利用にてコスト高を解消すると共に
水槽を上下に立体化して設置することによつて所
要面積の削減を期した点にある。

「実施例」 以下これを図に基づいて詳細に説明する。

第１図は本案装置の構成説明図、第２図は見取
図を夫々示し、図中１は天蓋付設の閉塞槽で、そ
の上部並びに下部は縦隔壁２，２′，３，３′で
夫々３槽に区画される。

上部の第１槽４、第２槽５は区画底板４ａ，５
ａを有して下部濾過層を連続しない曝気層のみの
微生物滞留層を構成している。

該縦隔壁２には上部気体部と下部液体部との間
の連通口２ａ，２ｂが穿設されてあり、又該縦隔
壁２′にはオーバーフロー口６が第３槽７に向け
て設けられている。

該第１槽４には原水供給管８並びに高濃度酸素
含有空気の曝気用散気管９が組み込れられてい
る。

該第３槽７は下部濾過層への連絡路となつてお
り、ここに下部の気体も集まり気体収集部屋とな
つているもので、循環ブロワ１０を有する気体収
集管１１が組み入れられている。

当該気体収集管１１の先方は排気１２を有する
他、分枝して該第２槽５の曝気用散気管１３と該
第３槽に区画の濾過槽１４，１５，１６に於ける
各曝気用散気管１４ａ，１５ａ，１６ａ並びに空
洗用散気管１４ｂ，１５ｂ，１６ｂとなつてい
る。

該気体収集部には（図示例では気体収集管１
１）設置値を下まわると高濃度酸素含有空気を該
第１槽４に注入し設定濃度を越えると注入を停止
されるための酸素濃度計１７並びに設定値を越え
ると外部に放出させ設定値以下になると外部放出
を停止するための圧力計１８を設置してある。

尚、図中１９は集水管、２０は処理水管、２１
は逆洗水管、Ｖは各管の操作バルブである。

しかして、叙上の如く構成した本案装置は、先
ず原水は第１槽４に注入され、新鮮な高濃度酸素
含有空気によつて曝気されて反応速度が上昇する
ため、短時間に効率的に汚濁有機物質が分解され
る。

さらに第２槽５に流入して残存有機物を除去す
る。この槽に吹き込む空気は、第３槽７上部の酸
素含有空気を循環利用している。これは液中有機
物濃度が第１槽４に比べて小さいため、注入空気
は第１槽４よりも酸素含有率が低いものでよいた
めである。

第１槽４、第２槽５と区分けしているのは、そ
れぞれのBOD負荷に適合した生物相を保持し、
効率的な処理を図るためである。

この結果、本案装置は原水BOD濃度が高い
（BOD500mg／以上）場合にも如何んなく能力
を発揮出来る。

この合理化で酸素は有効に利用されるものとな
つている。

第１槽４、第２槽５で殆どの有機物質を除去し
たのち、第３槽７にオーバーフローし濾過槽１
４，１５，１６に入る。

濾過層を３区分しているのは、空洗時の送気量
が一時的に大きくなつてしまつて、能力の大きな
ブロワが必要となり動力費の上昇を招くことを防
ぐためであり、全く同様に逆洗水を注入するポン
プについても設備費の上昇を防ぐためである。

尚、酸素含有空気は空洗用にも循環利用されて
いるので、酸素の有効利用は更に高められてい
る。

「考案の効果」 以上の如く本案によるならば、高濃度酸素の有
効利用が図られそのコスト高解消が果されると共
に能力の大きなブロワを必要とせず動力費の低下
が期し得る他、以下列記の如き高性能を示す。

原水中の汚濁有機物が十分に処理されてから
濾過に移るので、濾過層へのBOD負が小さく
なるために安定して良質な処理水が得られる。

原水BOD濃度が高くなつても、それに見合
つた高純度の酸素を供給することによつて微生
物の反応速度を高めることができるので、水槽
をコンパクトにできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案装置の構成説明図、第２図は本案
装置の見取図である。 符号の説明、１……閉塞槽、２，２′，３，
３′……縦隔壁、２ａ，２ｂ……連通口、４……
第１槽、５……第２槽、４ａ，５ａ……区画底
板、６……オーバーフロー口、７……第３槽、８
……原水供給管、９……曝気用散気管、１０……
循環ブロワ、１１……気体収集管、１２……排
気、１３……曝気用散気管、１４，１５，１６…
…濾過槽、１４ａ，１５ａ，１６ａ……曝気用散
気管、１４ｂ，１５ｂ，１６ｂ……空洗用散気
管、１７……酸素濃度計、１８……圧力計、１９
……集水管、２０……処理水管、２１……逆洗水
管、Ｖ……操作バルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 活性汚泥処理と濾過機能を一体化した曝気濾過
   処理槽に於いて、天蓋付設の閉塞槽に構成し、上
   部微生物滞留層並びに下部濾過層を縦隔壁で３槽
   に区画し、該上部微生物滞留層のうち第１、第２
   槽は区画底板で濾過槽と連続しない曝気層とする
   と共に両者区画用縦隔壁の上部気体部と下部液体
   部には隣接槽間についての連通口を穿設し、且つ
   第２，３槽間区画縦隔壁にはオーバーフロー口を
   設け、さらに、当該第１槽に原水供給管並びに高
   濃度酸素含有空気の曝気用散気管を組み入れ、他
   方第３槽部は気体収集部屋として循環ブロワを有
   する気体収集管を組み入れ、当該気体収集管の先
   方を該第２槽の曝気用散気管と該３槽区画の濾過
   槽の各曝気用散気管並びに空洗用散気管に分枝構
   成し、他方、該気体収集部には設定値を下まわる
   と高濃度酸素含有空気を該第１槽に注入し設定濃
   度を越えると注入を停止させるための酸素濃度計
   並びに設定値を越えると外部に放出させ設定値以
   下になると外部放出を停止するための圧力計を設
   置するとしてなることを特徴とする排水処理装
   置。