JPH0111281Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、原水の流入サイフオン及び逆洗時に
ろ過池内の水を排出させる排水サイフオンを備え
た自然平衡型サイフオン式ろ過装置に関するもの
である。

〔従来技術〕

従来、流入サイフオン及び排水サイフオンを備
え、各種開閉弁を省略した自然平衡型のサイフオ
ン式ろ過装置においては、各サイフオンの形成に
真空ポンプなどの動力を必要とするものが多かつ
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このようにサイフオン形成に真空ポンプなどを
設置することは構造を複雑にし、設備費の増大に
つながり、しかも維持管理上も問題が多かつた。

本考案は、ろ過池内の水位降下を利用して流入
サイフオンの真空醸成を行い、装置の簡略化と維
持管理の容易化をはかろうとするものである。

〔問題点を解決するたの手段〕

本考案は、頂部にサイフオン破壊弁を付設した
流入サイフオンを配備したサイフオン式ろ過装置
において、流入サイフオン用真空タンクを設置す
ると共にろ過池内に下端が開放され上部に大気開
放弁を付設した真空醸成タンクを水封的に設置
し、前記流入サイフオン頂部と前記流入サイフオ
ン用真空タンクとを開閉弁を介して連通し、さら
に前記流入サイフオン用真空タンクと前記真空醸
成タンク頂部とを開閉弁を介して連通したことを
特徴とするものである。

〔実施例〕

本考案の一実施例を図面を参照しながら説明す
れば、槽壁１によつてろ過池２を形成し、ろ過池
２内には仕切壁３によつてろ材層４とその下部に
設けられた集水室５を区画し、ろ材層４の上部に
排水樋６を設け、集水室５を池外で天端を排水樋
６より高い位置とした溢流壁７を設けて隣接した
ろ過水室８と連通口９とを介して連通させてあ
る。

また、ろ過池２の上部には、原水渠１０と隔壁
１１にて区分した流入渠１２を隣設し、流入渠１
２をさらに該渠１２内の水位を保つ溢流壁１３を
介してろ過池２に臨ませてある。原水渠１０と流
入渠１２間には隔壁１１を跨いだ流入サイフオン
１４を設けてその端部を水封し、ろ過池２内の排
水樋６より下方部と池外の排水渠１５間には槽壁
１を跨いだ排水サイフオン１６を設けてその端部
を水封してあり、流入サイフオン１４の頂部は流
入サイフオン破壊弁１７を介して、排水サイフオ
ン１６の頂部は排水サイフオン破壊弁１８を介し
て大気に連通させてある。また流入サイフオン１
４の頂部には、流入サイフオン形成弁１９を有す
る流入サイフオン形成管２０が、排水サイフオン
１６の頂部には、排水サイフオン形成弁２１を有
し図示しない真空ポンプなどの排水用真空醸成装
置へ連結される排水サイフオン形成管２２が連な
つている。

さらに、ろ過池２内の適当な箇所、例えば原水
渠１０内には下面がて開放された流入サイフオン
用真空タンク２３が水封設置され、またろ過池２
内には下面が開放された真空醸成タンク２４が水
封設置され、これら流入サイフオン用真空タンク
２３と真空醸成タンク２４の頂部とは真空元弁２
５を介して連通する一方、真空醸成タンク２４の
頂部には大気開放弁２６が設けられている。

図中、１９′，１９″……は前記ろ過池２が複数
池併設されている場合に、流入サイフオン用真空
タンク２３と各流入サイフオンの連通部に介在さ
せる流入サイフオン形成弁を示す。

なお、流入サイフオン用真空タンク２３の設置
位置は原水渠１０内に限定されるものではなく、
またその下面は必ずしも解放されることなく、密
閉されていてもよい。

また、真空醸成タンク２４の設置位置はろ過池
２内ならばどこでもよく、ろ過停止時の水位降下
により水封が破られないような位置とする。

次にその作用を説明すれば、ろ過工程では排水
サイフオン形成弁２１を閉、排水サイフオン破壊
弁１８を開にし、大気開放弁２６を開、真空元弁
２５を閉、流入サイフオン形成弁１９を開、流入
サイフオン破壊弁１７を閉とし、原水は原水渠１
０、流入サイフオン１４、流入渠１２、溢流壁１
３を経てろ過池２に流入し、ろ材層４にてろ過さ
れ、集水室５から連通口９を経てろ過水室８に至
り、溢流壁７を溢流して取り出される。このとき
のろ過池２内の水位はＡの位置にあり、真空醸成
タンク２４内水位も同じになつている（第１図）。

このようなろ過を継続するにつれてろ材層４内
に原水中の懸濁物質が蓄積され、次第にろ過抵抗
が高くなり、水位はＡから上昇して高水位Ｂに達
する（第２図）。このとき、流入サイフオン形成
弁１９を閉、流入サイフオン破壊弁１７を開、大
気開放弁２６を閉、真空元弁２５を閉（真空元弁
２５は開でもよい）、とすると、ろ過池２内への
原水の流入は停止するから、水位はＣに降下する
が、真空醸成タンク２３内水位は高水位Ｂを保つ
て真空圧h₁mの状態で釣り合うことになる（第３
図）。

次に、真空元弁２５を開とすると、真空醸成タ
ンク２３は真空圧h₁mにて流入サイフオン用真空
タンク２３内を連通され、流入サイフオン用真空
タンク２３内水位はh₂m上昇して水位Ｄになつた
とき、真空元弁２５を閉とする。このとき、真空
醸成タンク２４内の水位はh₃mのＥにて釣り合う
ことになる（第４図）。このようにして次のろ過
開始まで待機させ、ろ材層４の洗浄を行う。

したがつて次のろ過開始にあたつては、流入サ
イフオン破壊弁１７を閉、流入サイフオン形成弁
１９を開にすると、流入サイフオン用真空タンク
２３内の水位はＤから一旦降下して、流入サイフ
オン１４内を真空にしサイフオン形成を行えばよ
い。このようなろ過開始によつて、流入サイフオ
ン用真空タンク２３内の水位は、一旦Ｄより下降
するが再びＤに戻る。

また、真空醸成タンク２４内の真空圧形成は、
前述したようにろ過停止によるろ過池２内の水位
の自然降下を利用するこができるが、ろ材層４の
洗浄時のろ過池２内水位降下を利用することもで
きる。すなわち、ろ材層４の洗浄に際しては、排
水サイフオン形成弁２１を開、排水サイフオン破
壊弁１８を閉にし、図示しない排水用真空醸成装
置にて排水サイフオン形成管２２を通じて排水サ
イフオン管１６内を真空にしてサイフオン作用を
生じさせると、ろ過池２内の水は排水渠１５に排
出され、排水樋６以下の水位になると、ろ過水室
８との水位差によりろ過水は連通口９から集水室
５を経てろ材層４を逆流洗浄し、洗浄排水は洗浄
排水樋６から流れ、排水サイフオン１６によつて
排水渠１５に排出される。したがつてこのときの
水位降下を利用して真空醸成タンク２４内の真空
形成を行うことができる。

なお、このようなサイフオン式ろ過池２が複数
池併設されている場合には、流入サイフオン用真
空タンク２３の上部を各ろ過池のそれぞれの流入
サイフオンの頂部に流入サイフオン形成弁１９′，
１９″……を介して連通させて、適宜選択的に開
閉すればよく、その場合流入サイフオン用真空タ
ンク２３を増設する必要なく、またろ過水室８を
各ろ過池共通のものとすることができる。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案によれば、サイフオン
式ろ過装置において、ろ過池内の水位降下を利用
して流入サイフオンの真空醸成を行うもので、装
置はきわめて簡略化され、またその維持管理も容
易になり、省エネルギー化をはかることができる
等、実用上きわめて有用なる効果を有するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示す断面図であり、
第１図〜第４図は作動説明図である。 １…槽壁、２…ろ過池、３…仕切壁、４…ろ材
層、５…集水室、６…排水樋、７，１３…溢流
壁、８…ろ過水室、９…連通口、１０…原水渠、
１１…隔壁、１２…流入渠、１４…流入サイフオ
ン、１５…排水渠、１６…排水サイフオン、１７
…流入サイフオン破壊弁、１８…排水サイフオン
破壊弁、１９，１９′，１９″…流入サイフオン形
成弁、２０…流入サイフオン形成管、２１…排水
サイフオン形成弁、２２…排水サイフオン形成
管、２３…流入サイフオン用真空タンク、２４…
真空醸成タンク、２５…真空元弁、２６…大気開
放弁、Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅ…水位。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 頂部にサイフオン破壊弁を付設した流入サイ
   フオンを配備したサイフオン式ろ過装置におい
   て、流入サイフオン用真空タンクを設置すると
   共にろ過池内に下端が開放され上部に大気開放
   弁を付設した真空醸成タンクを水封的に設置
   し、前記流入サイフオン頂部と前記流入サイフ
   オン用真空タンクとを開閉弁を介して連通し、
   さらに前記流入サイフオン用真空タンクと前記
   真空醸成タンク頂部とを開閉弁を介して連通し
   たことを特徴とするろ過装置。 ２ 前記流入サイフオン真空タンクを、底面を開
   放し、原水渠内に水封したものである実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のろ過装置。