以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」とも称する。)に係るインク容器(以下、「容器」とも称する。)が搭載されたインクジェット記録装置を例に挙げて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置の構造の理解を容易にするために、尺度を適宜変更している場合がある。
また、図1、図5~6及び図13では、説明の便宜上、互いに直交する3軸として、x軸、y軸、及びz軸を設定しており、本明細書ではこれに基づいて説明する。また、本明細書では、x軸に平行な方向を「x軸方向」と称し、y軸に平行な方向を「y軸方向」と称し、z軸に平行な方向を「z軸方向」と称する。
本明細書では、図1、図5~6及び図13中のz軸方向、すなわち、上下方向を「鉛直方向」と称し、x軸方向及びy軸方向、すなわち、左右方向を「水平方向」とし、x-y平面を「水平面」と称する。
本明細書では、図示された各矢印の先端側を「+(プラス)」又は「正」、基端側を「-(マイナス)」又は「負」と称する。また、説明の便宜上、図1、4~5及び図11中の+z軸方向、すなわち、上側を「上」又は「上方」、-z軸方向、すなわち、下側を「下」又は「下方」とも称する。
本明細書において、誘電体とは、絶縁性を有する物質を称する。加えて、誘電体とは、比誘電率が空気よりも大きい、すなわち、比誘電率が1よりも大きい物質を称する。
1.インクジェット記録装置
本実施形態のインクジェット記録装置(以下、「記録装置」とも称する)は、インクジェットインク組成物(以下、「インク組成物」又は「インク」とも称する。)を収容する収容空間を内部に有する容器と、前記収容空間を介して対向配置された第1電極及び少なくとも1つの第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間の静電容量を相互容量方式で検出する静電容量検出部と、を備えるインク量検出装置を有し、前記インクジェットインク組成物の電気伝導率が10.0mS/cm以下である。
このようなインクジェット記録装置により、特に、電気伝導率が10.0mS/cm以下であるインク組成物を用いることにより、静電容量式の検出における誤検知を抑制することができる。そのため、より正確にインク液面高さを検知でき、より精度よくインク残量を検知することができる。
1.1.インクジェットインク組成物
本実施形態に係る容器2は、インク100を収容可能である。インク100は、記録装置10や容器2の構造及び性質に基づいて要求特性を満たすように設計されてもよい。
インク100は、水系インクであることが好ましい。水系インクは静電容量が大きいため、静電容量形式によるインク量検知において、より正確にインク液面高さを検知でき、より精度よくインク残量を検知することができる傾向にある。また、水系インクであることで、環境負荷を低減でき、例えば、臭気等の少ない記録を行うことができる。なお、本明細書において、水系とは主要な溶媒成分の1つとして水を含む組成物を称する。
次に、インク100の物性について説明する。インク100の組成及び製造方法、インクジェット記録装置10、並びにインク量検出装置1等の詳細については後述する。
1.1.1.インク100の物性
1.1.1.1.インク100の電気伝導率
本実施形態に係るインク100の電気伝導率は、10.0mS/cm以下である。このようなインク100を用いることにより、優れた効果が得られる。この要因について、図1におけるインク量検出装置1が備える容器2の斜視図、図2における容器2の内部構造の一部を示す模式図、及び図3における容器2の収容空間20内におけるインク100の液面の推移を示す模式図を用いて説明する。
図1及び2に示すとおり、容器2において、収容空間20を区画する側壁22~25の内側(以下、これらをまとめて「内壁面」とも称する)、すなわち、収容空間20内でインク100と接触可能な部分と、インク100の液面LFにおける気液界面と、が接触する境界部分Aでは、インク100の薄膜が形成されやすい。ここで、インク100が良好な画質の画像を形成するために、インク100は一定の濡れ性を持つ必要があるが、インク100が内壁面に対して濡れると、薄膜が形成される傾向にある。特に、内壁面を構成する部材とインク100との濡れ性が高い場合、内壁面をインク100が濡れ上がりやすく、凹状のメニスカスが形成される。
凹状のメニスカスの具体例を図2における容器2の内部構造の一部を示す模式図を用いて説明する。図2の模式図に示すように、内壁面の一つである側壁22の内側とインク100の液面LFとが接触する境界部分Aには、凹状のメニスカスが形成されている。凹状のメニスカス部分では、図2において両矢印で示すように、インク100の気液界面と側壁22の内側までの距離aが短いので、インク100の消費や乾燥等により薄膜が形成されやすい。本実施形態において、容器2内におけるインク100の残量は、第1電極3及び第2電極4間の静電容量を相互容量方式で検出する。そのため、薄膜が形成されると、正しくインク100の液面高さを検知できなくなる。
また、図3に示すとおり、インク100の消費に伴って、インク100の液面がLFからLF1まで低下した場合、境界部分Aに形成されていた凹状のメニスカスは、境界部分A1まで低下する。このとき、境界部分Aと境界部分A1との間に存在する壁面には、インク100が残留することがある。インク100の残量を第1電極3及び第2電極4間の静電容量を相互容量方式で検出するため、インク100が残留すると、正しくインク100の液面高さを検知できなくなる。
本発明者らは、容器2も充填するインクとして、電気伝導率が10.0mS/cm以下であるインク100を用いることで、境界部分Aにおいて形成されるインク100の薄膜では通電し難く、また、境界部分Aと境界部分A1との間に存在する壁面に残留するインク100でも通電し難いことを見出した。これにより、インク100の薄膜が形成されることで、また、インク100が壁面に残留することで引き起こされる、静電容量式の検出における誤検知を抑制することができる。そのため、より正確にインク100の液面高さを検知でき、より精度よくインク100の残量を検知することができる。
なお、本明細書においてインク100の電気伝導率は、公知の電気伝導率計を用いて測定できる。具体的な測定方法は、実施例を参照してもよい。
本実施形態において、インク100の電気伝導率は、インク100に配合する成分と、好ましくはその成分の配合比とを適正に制御することで、所望の電気伝導率を得ることができる。
インク100の電気伝導率は、8.0mS/cm以下であることが好ましい。電気伝導率が上記範囲にあるインク組成物を用いることで、境界部分Aにおいて形成されるインク100の薄膜ではより通電し難くなり、また、境界部分Aと境界部分A1との間に存在する壁面に残留するインク100でもより通電し難くなるため、静電容量式の検出における誤検知を一層抑制することができる傾向にある。インク100の電気伝導率の下限は、特に限定されないが、インク残量を相互容量方式で検出することを考慮すると、インク100中を通電させる必要があるため、0.5mS/cm以上であることが好ましく、1.0mS/cm以上であることがより好ましい。
1.1.1.2.インク100の表面張力
インク100は、25℃における表面張力が、好ましくは25mN/m以上であり、より好ましくは27mN/m以上40mN/m以下である。表面張力が上記範囲にあるインク組成物を用いることで、壁面に対してインク100がより濡れにくくなり、インク100に由来する薄膜の形成や、インク100の残留をより好適に抑制することができるため、静電容量式の検出における誤検知をより一層抑制することができる傾向にある。そのうえで、インク100の表面張力が上記範囲であれば、記録媒体への濡れ拡がり性を適切なものとすることでき、更に、インクジェット記録における吐出安定性及び初期充填性をより良好にすることができる傾向にある。
なお、本明細書において、表面張力は、表面張力計CBVP-Z(商品名、協和界面科学(株)製)を用いて、常温常圧下で白金プレートをインク100で濡らしたときの表面張力として測定することができる。具体的な測定方法は、実施例を参照してもよい。
1.1.1.3.インク100の粘度
インク100の粘度は、20℃において、好ましくは1.5mPa・s以上15mPa・s以下である。なお、本明細書において、粘度は、BL型粘度計を用いて測定することができる。
1.1.1.4.インク100の色調
インク組成物の電気伝導率をより低くすることができ、一層正確にインク液面高さを検知でき、一層精度よくインク残量を検知できる傾向にあることから、インク100としては、淡色インク100であることが好ましい。なお、本明細書において、淡色インクとは、彩度C*が15以下であるインクを意味し、いわゆる無彩色インクを含む。
1.1.2.色材
インク100は、色材を含んでもよい。色材としては、例えば、染料及び分散色材が挙げられる。色材は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
より正確にインク液面高さを検知でき、より精度よくインク残量を検知できることから、色材としては、好ましくは染料であり、より好ましくは水溶性染料である。色材は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
1.1.2.1.染料
インク100は、色材として、染料を含んでもよい。染料としては、例えば、水溶性染料が挙げられる。水溶性染料としては、例えば、酸性染料、反応染料、及び直接染料が挙げられる。染料は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
酸性染料としては、例えば、C.I.Acid Red 1、6、8、9、13、14、18、19、24、26、27、28、32、35、37、42、51、52、57、62、75、77、80、82、83、85、87、88、89、92、94、95、97、106、111、114、115、117、118、119、127、128、129、130、131、133、134、138、143、145、149、151、154、155、158、168、180、183、184、186、194、198、199、209、211、215、216、217、219、249、252、254、256、257、260、261、262、263、265、266、274、276、282、283、289、299、301、303、305、315、318、320、321、322、336、337、361、396、397等;C.I.Acid Violet 5、7、11、15、31、34、35、41、43、47、48、49、51、54、66、68、75、78、90、97、103、106、126等;C.I.Acid Yellow 1、3、7、11、17、19、23、25、29、36、38、39、40、42、44、49、50、59、61、64、70、72、75、76、78、79、98、99、110、111、112、114、116、118、119、127、128、131、135、141、142、143、151、159、161、162、163、164、165、169、174、184、190、195、196、197、199、207、218、219、222、227、246等;C.I.Acid Blue 1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、49、54、59、60、62、72、74、76、78、80、82、83、87、90、92、93、100、102、103、104、106、112、113、114、117、120、126、127、127:1、128、129、130、131、133、138、140、142、143、151、154、156、158、161、166、167、168、170、171、175、181、182、183、184、185、187、192、193、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、232、239、247、249、258、260、264、271、277、277:1、278、279、280、284、288、290、296、298、300、317、324、326、333、335、338、342、350等;C.I.Acid Black 1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、51、52、52:1、58、60、62、63、64、67、72、76、77、94、107、108、109、110、112、115、118、119、121、122、131、132、139、140、155、156、157、158、159、172、191、194、234等;C.I.Acid Orange 1、7、8、10、19、20、24、28、33、41、43、45、51、56、63、64、65、67、74、80、82、85、86、87、88、94、95、122、123、124等;C.I.Acid Green 3、7、9、12、16、19、20、25、27、28、35、36、40、41、43、44、48、56、57、60、61、65、73、75、76、78、79等;C.I.Acid Brown 2、4、13、14、19、20、27、28、30、31、39、44、45、46、48、53、100、101、103、104、106、160、161、165、188、224、225、226、231、232、236、247、256、257、266、268、276、277、282、289、294、295、296、297、298、299、300、301、302等が挙げられる。
直接染料としては、例えば、C.I.Direct Red 2、4、9、23、26、31、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、221、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247等;C.I.Direct Violet 7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101等;C.I.Direct Yellow 8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、136、142、144、161、163等;C.I.Direct Blue 1、10、15、22、25、41、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、120、151、156、158、159、160、153、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、226、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291等;C.I.Direct Black 9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、195、199等が挙げられる。
直接染料としては、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 136、及びC.I.Direct Blue 199を含むことが好ましい。これらの直接染料を用いることで、インク組成物の電気伝導率をより低くすることができる傾向にあるため、一層正確にインク液面高さを検知でき、一層精度よくインク残量を検知できる傾向にある。
反応染料としては、例えば、C.I.Reactive Yellow1、2、3、5、11、13、14、15、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、29、35、37、40、41、42、47、51、55、65、67、81、95、116、142、161等;C.I.Reactive Red 1、3、3:1、4、13、14、17、19、21、22、23、24、24:1、25、26、29、31、32、35、37、40、41、43、44、45、46、49、55、60、66、74、79、96、97、108、141、180、218、226、245等;C.I.Reactive Violet 1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34等;C.I.Reactive Blue 1、2、3、5、7、8、10、13、14、15、17、18、19、21、23、25、26、27、28、29、32、35、38、41、49、63、72、75、80、95、190等;C.I.Reactive Orange 1、2、4、5、7、12、13、14、16、20、29、33、35、38、64、67、71、72、72:1、78、82、84、86、87、91、99、99:1、107、113、122、124、125等;C.I.Reactive Black 1、3、4、5、7、8、11、12、14、17、21、23、26、31、32、34、39等が挙げられる。
反応染料としては、C.I.Reactive Red 14を含むことが好ましい。C.I.Reactive Red 14を用いることで、インク組成物の電気伝導率をより低くすることができる傾向にある。そのため、一層正確にインク液面高さを検知でき、一層精度よくインク残量を検知できる傾向にある。
また、水溶性染料としては、下記式(1)で表される黄色染料、下記式(2)で表される黒色染料、及び下記式(3)で表されるマゼンタ染料を用いてもよい。これらの水溶性染料を用いることで、インク組成物の電気伝導率をより低くすることができる傾向にあり、一層正確にインク液面高さを検知でき、一層精度よくインク残量を検知できる傾向にあるため、好ましい。
式(1)中、Mは、Na又はLiである。
式(2)中、Mは、Liである。
式(3)中、Mは、NH4又はNaである。
染料の含有量は、インク100の総量に対して、好ましくは5.0質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上3.0質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以上3.0質量%以下であり、特に好ましくは1.0質量%以上3.0質量%以下である。染料の含有量が上記範囲にあることにより、インク組成物の電気伝導率を更に低くすることができる傾向にあるため、より一層正確にインク液面高さを検知でき、より一層精度よくインク残量を検知できる傾向にある。
1.1.2.2.分散色材
インク100は、色材として、分散色材を含んでもよい。分散色材としては、例えば、無機顔料、有機顔料、油溶染料、及び分散染料が挙げられる。また、顔料及び染料の色相は、特に限定されず、シアン、イエロー、マゼンタ、オレンジ、グリーン、及びブラック等のいわゆるプロセスカラーや、白色、蛍光色、及び光輝色等のいわゆる特色であってもよい。分散色材は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
分散色材は、インク100中で安定に分散できることが好ましい。分散色材は、例えば、オゾン、次亜塩素酸、発煙硫酸等により、色材表面を酸化、あるいはスルホン化して色材粒子の表面を修飾することにより、自己分散型の色材として使用してもよいし、後述の分散剤によって分散させて使用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、及びシリカが挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、三菱化学(株)製のNo.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、及びNo2200B;デグサ社製のカラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、及び250;コロンビアカーボン社製のコンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、及び700;キャボット社製のリガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、及びエルフテックス12;オリヱント化学工業(株)製のBONJET BLACK CW-1、CW-1S、CW-2、CW-3、及びM-800が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。
シアン顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、及び60;C.I.Vat Blue 4、及び60が挙げられる。
マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、及び202;C.I.Pigment Violet 19が挙げられる。
イエロー顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14C、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、119、110、114、128、129、138、150、151、154、155、180、及び185が挙げられる。
オレンジ顔料としては、例えば、C.I.Pigment Orange 36、及び43が挙げられる。
グリーン顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、及び36が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、金属酸化物、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウム等の金属化合物が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、及び酸化マグネシウムが挙げられる。また、白色顔料には、中空構造を有する粒子を用いてもよい。
光輝性顔料としては、媒体に付着させたときに光輝性を呈しうるものであれば特に限定されない。このような顔料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、及び銅、並びにこれらの合金の金属粒子;パール光沢を有するパール顔料が挙げられる。パール顔料としては、例えば、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、及び酸塩化ビスマスの真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。光輝性顔料は、水との反応を抑制するための表面処理が施されていてもよい。
顔料は、あらかじめ分散剤によって分散されたものを用いてもよい。
このような分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸-アクリルニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸共重合体、及びビニルナフタレン-(メタ)アクリル酸共重合体等の(メタ)アクリル系樹脂及びその塩;スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、及びスチレン-無水マレイン酸共重合体等のスチレン系樹脂及びその塩;イソシアネート基とヒドロキシル基とが反応したウレタン結合を含む高分子化合物(樹脂);架橋構造の有無を問わないウレタン系樹脂及びその塩;ポリビニルアルコール類;ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体及びその塩;酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体及びその塩;酢酸ビニル-クロトン酸共重合体及びその塩等の水溶性樹脂が挙げられる。これらは、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。分散剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
分散剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。分散剤の含有量は、顔料100質量部に対して、通常0.1質量部以上30質量部以下である。
油溶染料、及び分散染料としては、インクビヒクル中で溶解せずに分散する色材であればいずれも用いることができる。このような色材としては、例えば、アゾ系、金属錯塩アゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、及びトリアリルメタン系が挙げられる。
分散染料として、より具体的には、C.I.Disperse Red 60、82、86、86:1、92、152、154、167:1、191、及び279;C.I.Disperse Yellow 64、71、86、114、153、163、233、及び245;C.I.Disperse Blue 27、60、73、77、77:1、87、165、165:1、257、及び367;C.I.Disperse Violet 26、33、36、及び57;C.I.Disperse Orange 30、41、61、及び80等が挙げられる。
より正確にインク液面高さを検知でき、より精度よくインク残量を検知できることから、分散色材の含有量は、インク100の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上3.0質量%以下である。
1.1.3.界面活性剤
インク100は、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、及びポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;フッ素アルキルエステル及びパーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
インク100には、界面活性剤として、アセチレングリコール系界面活性剤を含むことが好ましい。インク100がアセチレングリコール系界面活性剤を含むことで、収容空間20の内壁面を構成する部材に対する濡れ性をより好適に制御できる傾向にある。そのため、内壁面をインク100が濡れ上がり難く、凹状のメニスカスが形成され難くなり、また、インク100の消費に伴ってインク100の液面が低下した場合においてもインク100が液面に残留し難くなる。これにより、静電容量式の検出における誤検知をより好適に抑制することができるため、より正確にインク100の液面高さを検知でき、より精度よくインク100の残量を検知することができる傾向にある。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフィノール(登録商標)104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG-50、104S、420、440、465、485、SE、SE-F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(日信化学工業(株)製);オルフィン(登録商標)B、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD-001、PD-002W、PD-003、PD-004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、EXP.4123、AF-103、AF-104、AK-02、SK-14;AE-3(日信化学工業(株)製);アセチレノール(登録商標)E00、E00P、E40、E100(川研ファインケミカル(株)製)が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、インク100の総量に対して、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上5.0質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下である。アセチレングリコール系界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、収容空間20の内壁面を構成する部材に対する濡れ性を更に好適に制御できる傾向にあるため、更に正確にインク100の液面高さを検知でき、更に精度よくインク100の残量を検知することができる傾向にある。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等のポリシロキサン系化合物が挙げられる。ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK(登録商標)-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、及びBYK-348(ビックケミー・ジャパン(株)製);KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6004、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、及びKF-6017(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、BYK(登録商標)-340(ビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられる。
一層正確にインク液面高さを検知でき、一層精度よくインク残量を検知できることから、界面活性剤の含有量は、インク100の総量に対して、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上5.0質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下である。
1.1.4.有機溶剤
インク100は、有機溶剤を含んでもよい。
より正確にインク液面高さを検知でき、より精度よくインク残量を検知することができることから、有機溶剤は水溶性を有することが好ましい。有機溶剤の機能としては、例えば、記録媒体に対するインク100の濡れ性を向上させることや、インク100の保湿性を高めることが挙げられる。また、有機溶剤は、浸透剤としても機能する。
有機溶剤としては、例えば、エステル類、アルキレングリコールエーテル類、環状エステル類、含窒素溶剤、及び多価アルコールが挙げられる。含窒素溶剤としては、例えば、環状アミド類、及び非環状アミド類が挙げられる。非環状アミド類としては、例えば、アルコキシアルキルアミド類が挙げられる。有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
エステル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、等のグリコールジエステル類が挙げられる。
アルキレングリコールエーテル類としては、アルキレングリコールのモノエーテル又はジエーテルであればよく、アルキルエーテルが好ましい。具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、及び、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類が挙げられる。
また、上記のアルキレングリコールは、モノエーテルよりも、ジエーテルのほうが、インク中の樹脂粒子を溶解又は膨潤させやすい傾向があり、形成される画像の耐擦性を向上させる点でより好ましい。
環状エステル類としては、例えば、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、β-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、β-ヘキサノラクトン、γ-ヘキサノラクトン、δ-ヘキサノラクトン、β-ヘプタノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、δ-ヘプタノラクトン、ε-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、δ-オクタノラクトン、ε-オクタノラクトン、δ-ノナラクトン、ε-ノナラクトン、ε-デカノラクトン等の環状エステル類(ラクトン類)、並びに、それらのカルボニル基に隣接するメチレン基の水素が炭素数1以上4以下のアルキル基によって置換された化合物が挙げられる。
アルコキシアルキルアミド類としては、例えば、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-エトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-n-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-iso-プロポキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-ジエチルプロピオンアミド、3-tert-ブトキシ-N,N-メチルエチルプロピオンアミド、等が挙げられる。
環状アミド類としては、例えば、ラクタム類が挙げられる。具体的には、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-プロピル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン、ε-カプロラクタム、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、及びN-ビニル-2-ピロリドン等のピロリドン類が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール等のアルカンジオール類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、トリメチロールプロパン、及びグリセリン等のアルカンジオール類を除くポリオール類が挙げられる。
アルカンジオール類及びポリオール類は、主に浸透剤及び/又は保湿剤として機能することができる。アルカンジオール類は浸透剤としての性質が強い傾向があり、ポリオール類は保湿剤としての性質が強い傾向がある。保湿剤としての性質が強い有機溶剤としては、例えば、グリセリンが挙げられる。
より正確にインク液面高さを検知でき、より精度よくインク残量を検知することができることから、有機溶剤としては、アルキレングリコールエーテル類及び多価アルコールからなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。多価アルコールとしては、グリセリンがより好ましい。
更に正確にインク液面高さを検知でき、更に精度よくインク残量を検知することができることから、有機溶剤の含有量は、インク100の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上45質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以上40質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以上30質量%以下である。
1.1.5.pH調整剤
インク100は、pH調整剤を含んでもよい。pH調整剤がインク100に含まれると、インク100の保存安定性がより向上する傾向にある。
pH調整剤としては、例えば、酸、塩基、弱酸、及び弱塩基の適宜の組み合わせが挙げられる。そのような組み合わせに用いる酸、及び塩基としては、例えば、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、及びアンモニア等の無機塩基;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びトリスヒドロキシメチルアミノメタン(THAM)等の有機塩基;アジピン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、モルホリノエタンスルホン酸(MES)、モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、カルバモイルメチルイミノビス酢酸(ADA)、ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン等のグッドバッファー、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、及びトリス緩衝液等の有機酸が挙げられる。また、pH緩衝効果をより安定に得ることができることから、pH調整剤の一部又は全部として、トリエタノールアミン、及びトリイソプロパノールアミン等の第三級アミン;アジピン酸、クエン酸、コハク酸、及び乳酸等のカルボキシル基含有有機酸が含まれることが好ましい。pH調整剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
pH調整剤の含有量は、インク100の総量に対して、好ましくは1.0質量%以下であり、より好ましく0.05質量%以上0.5質量%以下である。pH調整剤の含有量が上記範囲にあることにより、インク100の保存安定性が更に向上する傾向にある。また、インク組成物の電気伝導率をより低くすることもできるため、より一層正確にインク液面高さを検知でき、より一層精度よくインク残量を検知できる傾向にもある。
1.1.6.水
インク100は、水を含んでもよい。
水は、乾燥により蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、インク100を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好適である。
水の含有量は、インク100の総量に対して、好ましくは45質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上98質量%以下であり、さらに好ましくは55質量%以上95質量%以下である。
1.1.7.その他の成分
インク100は、上記以外の成分として、樹脂粒子、キレート化剤、尿素類、防腐剤、防かび剤、糖類、及びその他を含んでもよい。その他の成分は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
1.1.7.1.樹脂粒子
インク100は、樹脂粒子を含んでもよい。
樹脂粒子は、記録媒体に付着させたインク100による画像の密着性などをさらに向上させることができる。
樹脂粒子としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂(スチレンアクリル系樹脂を含む)、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、及びエチレン酢酸ビニル系樹脂が挙げられる。樹脂粒子は、エマルジョンの形態であってもよい。樹脂粒子は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子の含有量は、インク100の総量に対して、固形分換算で、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下である。
1.1.7.2.キレート化剤
インク100は、キレート化剤を含んでもよい。
キレート化剤は、インク100中の所定のイオンを除去することができる。
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩(EDTA-2Na)、エチレンジアミン四酢酸一水素三ナトリウム塩(EDTA-3Na)、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩(EDTA-4Na)、及びエチレンジアミン四酢酸一水素三カリウム塩(EDTA-3K)等のエチレンジアミン四酢酸及びその塩類;ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ジエチレントリアミン五酢酸二ナトリウム塩(DTPA-2Na)、及びジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩(DTPA-5Na)等のジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類;ニトリロ三酢酸(NTA)、ニトリロ三酢酸二ナトリウム塩(NTA-2Na)、及びニトリロ三酢酸三ナトリウム塩(NTA-3Na)等のニトリロ三酢酸及びその塩類;エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸及びその塩類;3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸及びその塩類;L-アスパラギン酸-N,N’-二酢酸及びその塩類;L-グルタミン酸二酢酸及びその塩類;N-(1-カルボキシラトメチル)イミノ二酢酸及びその塩類;N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸及びその塩類;エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸及びその塩類;エチレンジアミンテトラメタリン酸及びその塩類;エチレンジアミンピロリン酸及びその塩類;エチレンジアミンメタリン酸及びその塩類が挙げられる。キレート化剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
キレート化剤の含有量は、インク100の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。
1.1.7.3.尿素類
インク100は、尿素類を含んでもよい。
尿素類は、インク100の保湿剤として、あるいは、染料の染着性を向上させる染着助剤として機能する。
尿素類としては、例えば、尿素、エチレン尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。尿素類は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
尿素類の含有量は、インク100の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。
1.1.7.4.防腐剤、防かび剤、防錆剤
インク100は、防腐剤、防かび剤、及び防錆剤からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい。
防腐剤及び防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2-ジベンゾイソチアゾリン-3-オン(ゼネカ社のプロキセル(登録商標)シリーズのCRL、BDN、GXL、XL-2、TN、及びLV(以上、商品名))、及び4-クロロ-3-メチルフェノール(バイエル社のプリベントール(登録商標)CMK(商品名))が挙げられる。防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールが挙げられる。
1.1.7.5.糖類
インク100は、糖類を含んでもよい。
糖類は、インク100中の固化及び乾燥を抑制することができる。
糖類としては、例えば、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、及びマルトトリオースが挙げられる。糖類は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
1.1.7.6.その他
インク100は、更に必要に応じて、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、及び溶解助剤などインクジェット用のインクジェットインク組成物において通常用いることができる添加剤を含んでもよい。
1.1.8.インク100の製造方法
インク100は、上記の成分を、任意の順序で混合し、必要に応じてろ過などを実施して不純物や異物などを除去することで調製することができる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、及びマグネティックスターラーなどの撹拌装置を備えた容器に、各成分を順次添加して撹拌、及び混合する方法が用いられる。ろ過方法としては、例えば、遠心ろ過、及びフィルターろ過などが挙げられる。
1.2.インクジェット記録装置の概略
本実施形態に係るインクジェット記録装置10を図4の概略構成図を用いて説明する。なお、本実施形態では、一例として、インク量検出装置1が記録装置10に内蔵される場合について説明する。
記録装置10は、印刷用紙であるシートSを貯留する貯留部11と、貯留部11から供給されたシートSにインク100を吐出するインクジェットヘッド12と、インク量検出装置1と、表示部13とを有する。また、インクジェットヘッド12には、インク量検出装置1からインク100が供給される。
表示部13は、後述するように、インク量検出装置1が検出したインク100の残量を報知する報知部として機能する。表示部13は、例えば、液晶画面等で構成されている。なお、表示部13に限定されず、報知部としては、例えば、音声により報知する構成や、振動により報知する構成や、ランプの点滅パターンにより報知を行う構成のものであってもよい。また、PCの画面やスマートフォンのような通信機能を有する装置が報知部として機能してもよい。
このような記録装置10にインク量検出装置1が内蔵されていることにより、後述するようにインク100の残量を正確に検出することができ、使用者がインク100の残量を正確に把握することができる。
1.3.インク量検出装置
図1、図5~図8に示すように、本実施形態に係るインク量検出装置1は、インク100を収容する収容空間20を内部に有する容器2と、収容空間20を介して対向配置された第1電極3及び少なくとも1つの第2電極4と、第1電極3と第2電極4との間の静電容量を相互容量方式で検出する静電容量検出部50と、を備える。インク量検出装置1は、制御部6を有していてもよい。また、制御部6は、記録装置10の各部を制御する制御部を兼ねていてもよい。
容器2は、内部に収容空間20を有し、収容空間20に検出対象物であるインク100を収容し得る。容器2は、z軸方向を深さ方向とし、有底筒状をなしている。すなわち、図1に示すように、容器2は、-z軸側に位置する底板21と、底板21から+z軸側に向かって突出するように立設された4つの側壁22、側壁23、側壁24、側壁25とを有する。これら底板21及び側壁22~側壁25によって囲まれた空間が収容空間20である。
なお、容器2は、図示はしないが、底板21とは反対側、すなわち、側壁22~側壁25の+z軸側に天板を有する。この天板は、側壁22~側壁25に接合されていてもよく、着脱自在に構成されていてもよい。
底板21は、側壁22~側壁25の-z軸側に接合された板部材である。また、底板21は、貫通孔で構成された排出部としての排出口211を有する。これにより、収容空間20内のインク100を容器2外に排出することができる。また、排出口211は、図示しない管路を介してインクジェットヘッド12に接続されている。排出口211から排出されたインク100は、管路を介して図2に示すインクジェットヘッド12に供給され、シートSへの印刷が行われる。
また、排出口211からインク100が排出されると、収容空間20内のインク100は、液面が水平方向に沿った状態を維持しつつ、液面が-z軸側に移動するように減っていく。
また、検出対象物としてのインク100は、液体であり、流動性を有する。容器2は、検出対象物としてのインク100を排出する排出部としての排出口211を有する。このように、容器2内のインク100が排出されて順次減っていく場合、容器2内の残量を把握しておく必要がある。この残量を把握しておくことで、不本意なタイミングでインク100が無くなってしまったりするのを防止することができる。
なお、排出口211は、底板21以外の部分、例えば、側壁22~側壁25のうちのいずれかの側壁の底板21付近に設けられていてもよい。また、排出口211を有する構成に限定されず、例えば、底板21以外の部位からチューブ等が収容空間20内に挿入されて容器2内のインク100を吸引する構成であってもよい。この場合、チューブが排出部として機能する。
側壁22は、底板21の-x軸側の縁部から+z軸側に沿って立設されている。また、側壁22は、x軸方向を厚さ方向とする板状をなしている。また、側壁22の外面側、すなわち、-x軸側の面側には、3つの第2電極4A~第2電極4Cが配置されている。
側壁23は、底板21の-y軸側の縁部から+z軸側に沿って立設されている。また、側壁23は、y軸方向を厚さ方向とする板状をなしている。
側壁24は、底板21の+x軸側の縁部から+z軸側に立設されている。また、側壁24は、x軸方向を厚さ方向とする板状をなしている。また、側壁22の外面側、すなわち、+x軸側の面側には、第1電極3が配置されている。
側壁25は、底板21の+y軸側の縁部から+z軸側に沿って立設されている。また、側壁25は、y軸方向を厚さ方向とする板状をなしている。
側壁22と側壁24とは、x軸方向に沿って離間して平行に対向配置されている。側壁22と側壁24とは、寸法、形状が同じである。また、側壁23と側壁25とは、y軸方向に離間して平行に対向配置されている。側壁23と側壁25とは、寸法、形状が同じである。すなわち、容器2は、外形形状が直方体をなしている。
なお、側壁22~側壁25は、平板である。ただし、少なくとも一部が湾曲又は屈曲していてもよい。
また、側壁23及び側壁25のx軸方向の長さ、すなわち、後述する第1電極3及び第2電極4の離間距離Dは、側壁22及び側壁24のy軸方向の長さy3よりも短いのが好ましい。これにより、後述する第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcの最大静電容量を十分に確保することができ、インク100の残量の検出精度を高めることができる。
離間距離Dは、5mm以上100mm以下であることが好ましく、10mm以上50mm以下であることがより好ましい。これにより、上記効果をより確実に発揮することができる。
側壁22及び側壁24のy軸方向の長さy3は、20mm以上200mm以下であることが好ましく、30mm以上150mm以下であることがより好ましい。これにより、上記効果をより確実に発揮することができる。
容器2の構成材料としては、インク100を透過せず、かつ、誘電体で構成されていれば特に限定されない。容器2は、例えば、主としてポリプロピレンなどの合成樹脂からなるプラスチック板から構成されており、プラスチック板の一部が可撓性の部材により形成されていてもよい。可撓性の部材としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリアミド;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;酢酸ビニル及び塩化ビニル等のビニル系共重合体;アルミニウム及びアルミナ等の金属又は金属酸化物等の材料を単独又は併用して形成されたフィルムが挙げられる。収容空間20の内壁面を構成する部材に対する、インク100の静的接触角をより容易に50°以上とすることができることから、容器2の構成材料は、ポリプロピレンであることが好ましい。また、容器2の少なくとも一部は、透明又は半透明であることが好ましい。これにより、容器2内のインクの状態を確認することができる。側壁23及び側壁25は、内部視認性を有していることがより好ましい。
容器2の構成材料の比誘電率は1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。これにより、インク100の残量の検出に有利となる。
容器2の外側には、第1電極3及び少なくとも1つの第2電極4が配置されている。図1及び図5に示すように、第1電極3及び第2電極4は、それぞれ、x軸方向に平行に対向している。
後述するが、第1電極3は、z軸方向に延在する長尺状をなしていることが好ましい。また、第2電極4は、単独でも動作するが、z軸に沿って互いに離間して複数設けられていることが好ましい。これにより、後述するように、インク100の残量を段階的に検出することができる。また、複数の高さで静電容量を検知することができるため、インク100の残量をより精度よく検出することができる。更に、本実施形態によれば、z軸方向に複数の電極が存在する場合においても、収容空間20の内壁面を構成する部材に対するインク100の静的接触角の角度が大きいため、実際の液面の高さより高い位置でインク100を誤検知するリスクを小さくすることができる。
図1及び図5に示すとおり、一例では、第2電極4は、3つ設けられている。なお、これらを、第2電極4A、第2電極4B、及び第2電極4Cと称する。また、第2電極4A~第2電極4Cは、z軸方向に沿って+z軸側からこの順で互いに離間して配置されている。また、第2電極4A~第2電極4Cは、互いに平行になるように設置されている。
図5に示すように、第1電極3、及び第2電極4A~第2電極4Cをx軸方向に投影したとき、すなわち、x軸方向から見たとき、第1電極3及び第2電極4A~第2電極4Cは、互いに重なり合う3つの領域を形成する。なお、第1電極3と第2電極4Aとが重なっている領域を有効領域300Aと称し、第1電極3と第2電極4Bとが重なっている領域を有効領域300Bと称し、第1電極3と第2電極4Cとが重なっている領域を有効領域300Cと称する。これら有効領域300A~有効領域300Cは、x軸方向に沿って互いに離間して+z軸側からこの順で並んでいる。
第1電極3及び第2電極4Aの有効領域300Aに対応する部分、すなわち、第1電極3及び第2電極4Aの有効領域300Aを形成する部分が、図7に示す等価回路において第1コンデンサーCaを構成する。第1電極3及び第2電極4Bの有効領域300Bに対応する部分、すなわち、第1電極3及び第2電極4Bの有効領域300Bを形成する部分が、図7に示す等価回路において第2コンデンサーCbを構成する。第1電極3及び第2電極4Cの有効領域300Cに対応する部分、すなわち、第1電極3及び第2電極4Cの有効領域300Cを形成する部分が、図7に示す等価回路において第3コンデンサーCcを構成する。第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcは、キャパシターであり、図7に示す等価回路で表される。このことに関しては、後述する。
まず、第1電極3の構成について説明する。
第1電極3は、後述する第1電源8Aからパルス電圧が印加される送信電極である。図1、図5、及び図6に示すように、第1電極3は、側壁24の外側、すなわち、+x軸側に配置されている。第1電極3は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、コバルト、又はこれらを含む合金等の金属材料で構成されている。第1電極3は、例えば、めっき、蒸着、印刷等により側壁24の外面に直接形成されていてもよく、図示しない粘着剤層を介して側壁24の外面に貼り付けられていてもよく、図示しない支持部材により側壁24に接触又は非接触で支持されていてもよい。
第1電極3は、z軸方向に延在する長尺状をなしている。図5に示すように、第1電極3の幅、すなわち、y軸方向の長さy1は、z軸方向に沿って一定である。長さy1としては、例えば、2mm以上100mm以下であることが好ましく、5mm以上50mm以下であることがより好ましい。これにより、有効領域300A~有効領域300Cの大きさを十分に確保しやすくなり、インク100の残量検出の精度を高めることができる。
また、第1電極3の長さ、すなわち、z軸方向の長さz1は、例えば、3mm以上100mm以下であることが好ましく、5mm以上200mm以下であることがより好ましい。これにより、x軸方向から見たとき、第1電極3は、第2電極4A~第2電極4Cの各々とより確実に重なることができる。また、有効領域300A~300Cの面積を同じにすることができる。
また、第1電極3のx軸方向から見た平面視形状の面積S1は、6mm2以上30000mm2以下であることが好ましく、25mm2以上10000mm2以下であることがより好ましい。これにより、有効領域300A~有効領域300Cの大きさを十分に確保しやすくなり、インク100の残量検出の精度を高めることができる。
また、第1電極3の-z軸側の端部は、容器2の収容空間20に臨む底面212よりも-z軸側に位置している。仮に、第1電極3の-z軸側の端部が、容器2の収容空間20に臨む底面212よりも+z軸側に位置していた場合、第2電極4Cの位置によっては、第1電極3と第2電極4Cとが重なっている有効領域300Cの面積が小さくなってしまうおそれがある。これに対し、インク量検出装置1では、上記構成により、有効領域300Cの面積を可及的に大きく確保することができる。よって、インク100の残量検出の精度を高めることができる。
また、第1電極3の+z軸側の端部は、図示の構成では、側壁24の+z軸側の縁部よりも-z軸側に位置している。ただし、これに限定されず、第1電極3の+z軸側の端部は、側壁24の+z軸側の縁部の位置と一致していてもよい。
なお、第1電極3は、図示の構成では、z軸方向に延在する長尺状をなしているが、本発明ではこれに限定されず、側壁24の形状によっては、y1≧z1なる関係を満足する形状であってもよい。また、第1電極3は、有効領域300A~300Cを形成する部分以外の部分は、分割されていてもよい。
次に、第2電極4A~第2電極4Cについて説明する。
第2電極4A~第2電極4Cは、受信電極であり、側壁22の外側の面、すなわち、-x軸側に配置されている。第2電極4A~第2電極4Cは、それぞれ、y軸方向に延在する長尺状をなしている。第2電極4A~第2電極4Cは、z軸方向に沿って+z軸側からこの順で互いに離間して配置されている。また、第2電極4A~第2電極4Cは、平行になるように設置されている。
図1、図5、及び図6に示すように、第2電極4A~第2電極4Cは、側壁22の外側、すなわち、-x軸側に配置されている。第2電極4A~第2電極4Cは、第1電極3で挙げたのと同様の材料、形成方法とすることができる。
第2電極4A~第2電極4Cは、同じ形状、寸法、間隔であるため、次では、第2電極4Aについて代表的に説明する。ただし、これに限定されず、形状、寸法、間隔は、少なくとも1つが異なっていてもよい。
図5に示すように、第2電極4Aの長さ、すなわち、y軸方向に沿った長さy2は、本実施形態では、第1電極3のy軸方向の長さy1よりも長く、例えば、3mm以上110mm以下であることが好ましく、6mm以上60mm以下であることがより好ましい。これにより、有効領域300A~有効領域300Cの大きさを十分に確保しやすくなり、インク100の残量検出の精度を高めることができる。
また、第2電極4Aの幅、すなわち、z軸方向に沿った長さz2は、本実施形態では、第1電極3の長さz1よりも短く、例えば、0.2mm以上10mm以下であることが好ましく、0.5mm以上5mm以下であることがより好ましい。これにより、x軸方向から見たとき、第2電極4A~第2電極4Cの全てが第1電極3と最大限重なることができる。また、有効領域300A~300Cの面積を同じにすることができる。
また、第2電極4Aのx軸方向から見た平面視形状の面積S2は、0.6mm2以上1100mm2以下であることが好ましく、3mm2以上300mm2以下であることがより好ましい。これにより、有効領域300A~有効領域300Cの大きさを十分に確保しやすくなり、インク100の残量検出の精度を高めることができる。
また、図示の構成では、第2電極4Aの+y軸側の端部は、側壁22の+y軸側の縁部と一致している。ただし、これに限定されず、第2電極4Aの+y軸側の端部は、側壁22の+y軸側の縁部よりも-y軸側に位置していてもよい。
また、図示の構成では、第2電極4Aの-y軸側の端部は、側壁22の-y軸側の縁部と一致している。ただし、これに限定されず、第2電極4Aの-y軸側の端部は、側壁22の-y軸側の縁部よりも+y軸側に位置していてもよい。
このように、互いに直交するx軸、y軸及び鉛直方向に沿ったz軸を設定したとき、容器2は、z軸方向を深さ方向とするものであり、第2電極4は、y軸方向に沿って延在する長尺状をなし、第1電極3に対しx軸方向に離間して配置されている。これにより、後述するように、第1電極3及び第2電極4の配置精度に関わらず、容器2内のインク100の残量を正確に検出することができる。
また、インク量検出装置1では、1つの第1電極3が、第1コンデンサーCaの一方の電極板と、第2コンデンサーCbの一方の電極板と、第3コンデンサーCcの一方の電極板とを兼ねた構成である。これにより、第1電極3に電圧を印加した際、第1コンデンサーCa、第2コンデンサーCb及び第3コンデンサーCcに印加される電圧を同じにすることができる。よって、第1コンデンサーCa、第2コンデンサーCb及び第3コンデンサーCcの静電容量の検出精度のバラツキを抑制し、インク100の残量によらず高い検出精度を実現することができる。
インク量検出装置1は、次に説明するように、各電極の位置が多少ずれていたとしても静電容量の検出精度が低下するのを防止又は抑制することができる。
インク量検出装置1では、図5に示すように、第1電極3のy軸方向の長さy1と、第1電極3のz軸方向の長さz1と、第2電極4A~第2電極4Cのy軸方向に沿った長さy2と、第2電極4A~第2電極4Cのz軸方向に沿った長さz2とは、y1<y2、かつ、z1>z2を満足する。これにより、第1電極3と、第2電極4A~第2電極4Cが、相対的に+y軸方向、-y軸方向、+z軸方向及び-z軸方向に多少ずれたとしても、有効領域300A~有効領域300Cの面積は変化しない。また、例えば、図13に示すように、第1電極3の延在方向がz軸に対して多少傾斜した状態で設置してしまったとしても、有効領域300A~有効領域300Cの形状が長方形から平行四辺形になるだけで、面積は変化しない。このようなことから、第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcの最大静電容量が低下するのが防止され、静電容量の検出精度が低下するのを防止又は抑制することができる。その結果、第1電極3及び第2電極4A~第2電極4Cの配置精度に関わらず、容器2内のインク100の残量を正確に検出することができる。
なお、図示はしないが、第2電極4A~第2電極4Cの延在方向がy軸に対して多少傾斜している場合も、上記と同様に有効領域300A~有効領域300Cの形状が変化するだけで、有効領域300A~有効領域300Cの面積は変化しない。従って、第2電極4A~第2電極4Cの配置精度が悪い場合であっても上記と同様の効果が得られる。
また、図5に示すように、x軸方向から見たとき、第1電極3は、有効領域300Aの+z軸側及び-z軸側に突出した部分を有し、有効領域300Bの+z軸側及び-z軸側に突出した部分を有し、有効領域300Cの+z軸側及び-z軸側に突出した部分を有する。これにより、第1電極3及び第2電極4A~第2電極4Cの配置精度が低くても、有効領域300A~有効領域300Cの面積が変化するのをより確実に防止することができる。
このように、x軸方向から見て第1電極3と第2電極4A~第2電極4Cとが重なる領域を有効領域300A、有効領域300B及び有効領域300Cとしたとき、第1電極3は、有効領域300A~有効領域300Cのz軸方向正側及びz軸方向負側にそれぞれ突出した部分を有する。これにより、第1電極3又は第2電極4A~第2電極4Cの配置精度が低くても、有効領域300A~有効領域300Cの面積が変化してしまうのをより確実に防止することができる。
また、図5に示すように、x軸方向から見たとき、第2電極4Aは、有効領域300Aの+y軸側及び-y軸側に突出した部分を有する。また、x軸方向から見たとき、第2電極4Bは、有効領域300Bの+y軸側及び-y軸側に突出した部分を有する。また、x軸方向から見たとき、第2電極4Cは、有効領域300Cの+y軸側及び-y軸側に突出した部分を有する。これにより、第1電極3及び第2電極4A~第2電極4Cの配置精度が低くても、有効領域300A~有効領域300Cの面積が変化してしまうのをより確実に防止することができる。
このように、x軸方向から見て第1電極3と第2電極4A~第2電極4Cとが重なる領域を有効領域300A、有効領域300B及び有効領域300Cとしたとき、第2電極4A~第2電極4Cは、有効領域300A~有効領域300Cのy軸方向正側及びy軸方向負側にそれぞれ突出した部分を有する。これにより、第1電極3又は第2電極4A~第2電極4Cの配置精度が低くても、有効領域300A~有効領域300Cの面積が変化してしまうのをより確実に防止することができる。
また、図5に示すように、第1電極3の長さz1は、第2電極4Aの+z軸側の長辺41と、第2電極4Cの-z軸側の長辺42との離間距離、すなわち、最大離間距離をz3よりも長い。すなわち、第1電極3の長さz1は、第2電極4A~第2電極4Cが形成されている領域のz軸方向の最大長さよりも長い。
このように、複数の第2電極4のうち、最も鉛直上方に位置する第2電極4Aの鉛直上方側の長辺41と、複数の第2電極4のうち、最も鉛直下方に位置する第2電極4Cの鉛直下方側の長辺42とのz軸に沿った最大離間距離をz3としたとき、z1>z3を満足する。これにより、x軸方向から見たとき、第1電極3が、有効領域300A~有効領域300Cの各々において+z軸側及び-z軸側に突出した部分を有するという構成をより確実に実現することができる。よって、前述した効果をより確実に発揮することができる。
有効領域300A~300Cの面積の合計をS0とし、第1電極3の面積をS1としたとき、0.03≦S0/S1≦0.7を満足するのが好ましく、0.05≦S0/S1≦0.6を満足するのがより好ましい。これにより、有効領域300A~有効領域300Cの大きさを十分に確保することができ、インク100の検出精度を高めることができる。
有効領域300A~300Cの面積の合計をS0とし、第2電極4A~第2電極4Cの面積の合計をS2としたとき、0.1≦S0/S2≦0.6を満足するのが好ましく、0.2≦S0/S1≦0.5を満足するのがより好ましい。これにより、有効領域300A~有効領域300Cの大きさを十分に確保することができ、インク100の検出精度を高めることができる。
容器2の収容空間20の最大深さをD1とし、x軸方向から見たときの第2電極4Cと容器2の底部である底面212との最小離間距離をD2としたとき、0≦D2/D1≦0.5を満足するのが好ましく、0≦D2/D1≦0.3を満足するのがより好ましい。このように、第2電極4Cを容器2の底面212側に偏在させることにより、インク100の残量が0又は0に近くなったことを検出することができる。
また、第1電極3及び第2電極4A~第2電極4Cは、図6に示すように、絶縁層7によってそれぞれ覆われている。そして、絶縁層7の外側がさらにシールド材9により覆われている。シールド材9は、電磁波シールドである。シールド材9を有することにより、第1電極3及び第2電極4A~第2電極4Cが、図示しない他の電子回路や他の電子部品と電気的に干渉したり、検出信号にノイズが入ってしまうのを防止することができる。よって、インク100の残量の検出精度を高めることができる。また、絶縁層7を有することにより、第1電極3及び第2電極4A~第2電極4Cが、シールド材9と電気的に接続されるのを防止することができる。
各絶縁層7の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種ゴム材料、各種樹脂材料等を用いることができる。
また、各シールド材9は、基準電位、すなわち、グランド電極に接続されている。シールド材9の構成材料としては、第1電極3及び第2電極4A~第2電極4Cの構成材料として挙げた材料と同様のものを用いることができる。
次に、インク量検出装置1の主要部の回路図について説明する。
図7に示すように、インク量検出装置1は、第1電極3に電気的に接続された第1電源8Aと、第2電極4A~第2電極4Cにそれぞれ接続された第2電源8Bと、第1コンデンサーCaと、第2コンデンサーCbと、第3コンデンサーCcと、第2電極4A~4Cにそれぞれ電気的に接続された検出部5と、制御部6と、を備える。第1電源8A、第2第2電源8B、検出部5及び制御部6により、静電容量検出部50が構成される。
第1コンデンサーCa、第2コンデンサーCb及び第3コンデンサーCcは、互いに並列接続されている。第1電源8Aは、第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcの第1電極3に、周期、位相及び大きさが同じパルス電圧を印加する。また、第2電源8Bは、第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcの第2電極4A~第2電極4Cに、周期、位相及び大きさが同じパルス電圧をそれぞれ印加する。第1電源8Aが印加するパルス電圧の大きさと、第2電源8Bが印加するパルス電圧の大きさとは、異なっている。なお、これに限定されず、第1電源8Aが印加するパルス電圧の大きさと、第2電源8Bが印加するパルス電圧の大きさとは、同じであってもよい。
第1電源8A及び第2電源8Bが印加するパルス電圧の周波数は、1kHz以上であることが好ましく、1MHz以上であることがより好ましい。これにより、例えば、液面よりも上側においてインク100が容器2の内面に付着していたとしても、インク100の残量の検出を正確かつ迅速に行うことができる。
インク100の残量を検出する際、第1電源8Aは、所定の周波数のパルス波のパルス電圧を第1電極3に印加する。第2電源8Bは、第1電源8Aと同じ周波数のパルス波のパルス電圧を第2電極4A~第2電極4Cに印加する。また、第1電源8Aは、第2電源8Bと同位相のパルス電圧を第1電極3に印加する状態と、第2電源8Bと逆位相のパルス電圧を第1電極3に印加する状態とに切り替え可能である。これにより、第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcには、同位相のパルス電圧が印加された第1状態と、逆位相のパルス電圧が印加された第2状態とに切り替えられる。
また、図7に示す等価回路において、第1コンデンサーCaには、第1寄生コンデンサーCa’が直列で接続され、第2コンデンサーCbには、第2寄生コンデンサーCb’が直列で接続され、第3コンデンサーCcには、第3寄生コンデンサーCc’が直列で接続されている。
第1寄生コンデンサーCa’は、第1コンデンサーCaの第1電極3又は第2電極4Aと、その周辺の部位、例えば、絶縁層7及びシールド材9とで構成され寄生容量であり、あたかもコンデンサーのようにふるまう部位である。
同様に、第2寄生コンデンサーCb’は、第2コンデンサーCbの第1電極3又は第2電極4Bと、その周辺の部位、例えば、絶縁層7及びシールド材9とで構成され寄生容量であり、あたかもコンデンサーのようにふるまう部位である。
同様に、第3寄生コンデンサーCc’は、第3コンデンサーCcの第1電極3又は第2電極4Cと、その周辺の部位、例えば、絶縁層7及びシールド材9とで構成された寄生容量であり、あたかもコンデンサーのようにふるまう部位である。
また、第1寄生コンデンサーCa’は、等価回路において、直列接続で第1コンデンサーCaに接続されている。また、第2寄生コンデンサーCb’は、等価回路において、直列接続で第2コンデンサーCbに接続されている。また、第3寄生コンデンサーCc’は、等価回路において、直列接続で第3コンデンサーCcに接続されている。
検出部5は、第1電極3、第2電極4間の静電容量に関する情報として第1電極3、第2電極4間の電流を経時的に検出する電流計である。本実施形態では、第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcの電流をそれぞれ検出する。第1電源8A及び第2電源8Bがパルス電圧を第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcに印加すると、インク100の有無によって、第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcの静電容量値が変化し、この静電容量に応じて、電流波形が変化する。検出部5は、この電流の情報を制御部6に出力する。
なお、検出部5は、第1電極3、第2電極4間の静電容量に関する情報として第1電極3、第2電極4間の電圧を検出する電圧計であってもよい。
図8に示すように、制御部6は、CPU(Central Processing Unit)61と、記憶部62とを有する。制御部6は、検出部5の検出結果に基づいて、第1電極3、第2電極4間でのインク100の有無を判断する判断部である。
CPU61は、記憶部62に記憶されている各種プログラム等を読み出し、実行する。記憶部62は、CPU61が実行可能な各種プログラム等を保存する。記憶部62としては、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリー、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリー、着脱式の外部記憶装置等が挙げられる。
また、記憶部62には、CPU61によって実行される各種プログラムや、第1基準値K1~第3基準値K3が記憶されている。
次に、インク100の残量を検出する原理について説明する。以下では、第1コンデンサーCa、すなわち、第1電極3及び第2電極4Aに着目して説明する。
インク100の液面が図4に示す位置P1に位置している場合、すなわち、第1電極3、第2電極4A間にインク100がある場合、前述した同位相の第1状態では、検出部5は、図9に示すような電流波形を検出し、前述した逆位相の第2状態では、検出部5は、図10に示すような電流波形を検出する。これらの電流波形は、逆位相である。
制御部6は、これらの電流波形に基づいて、第1状態における第1コンデンサーCaにおける平均電流値I(A)と、第2状態における第1コンデンサーCaにおける平均電流値I(B)とをそれぞれ算出する。第1状態における平均電流値I(A)は、以下の式(1)で表され、第2状態における平均電流値I(B)は、以下の式(2)で表される。
I(1)=F・((Vt-Vd)・Cm+Vt・CpT)…(1)
I(2)=F・((Vt+Vd)・Cm+Vt・CpT)…(2)
なお、式(1)及び式(2)中、Fがパルス電圧の周波数、Vtが第1電極3に印加されるパルス電圧の最大値を示し、Vdが第2電極4に印加されるパルス電圧の最大値を示し、Cmが第1コンデンサーCaの静電容量値を示し、CpTが第1寄生コンデンサーCa’の静電容量値を示す。
そして、制御部6は、平均電流値I(A)及び平均電流値I(B)の差分ΔI=I(A)-I(B)を算出する。すなわち、下記式(3)を演算する。
ΔI=F・((Vt-Vd)・Cm+Vt・CpT)-F・((Vt+Vd)・Cm+Vt・CpT)…(3)
式(3)を演算すると、差分ΔI=2F・Vd・Cmとなり、第1寄生コンデンサーCa’の静電容量値CpTがキャンセルされることとなる。このため、インク100の残量検出に際し、第1寄生コンデンサーCa’の静電容量値CpTの影響を受けることがない。
そして、制御部6は、差分ΔIが第1基準値K1未満であるか否かを判断する。第1基準値K1は、予め記憶部62に記憶されている値である。上述したようなインク100が第1電極3、第2電極4間にある状態では、差分ΔIが第1基準値K1以上となるため、第1電極3、第2電極4間にインク100があると判断する。
一方で、インク100の液面が図6に示す位置P2までインク100の残量が減った場合、すなわち、第1電極3、第2電極4A間にインク100がない場合、前述した同位相の第1状態では、検出部5は、図11に示すような電流波形を検出し、前述した逆位相の第2状態では、検出部5は、図12に示すような電流波形を検出する。
図11及び図12に示す電流波形の振幅、すなわち、電流の最大値は、図9及び図10に示す電流波形における電流の最大値よりも小さい。これは、第1コンデンサーCa内の誘電体がインク100から空気に代わったことによって、第1コンデンサーCaの静電容量が変化したためである。
そして、制御部6は、前記と同様に、第1状態における平均電流値I(A)及び第2状態における平均電流値I(B)をそれぞれ算出し、これらの差分ΔIを算出する。そして、差分ΔIが第1基準値K1未満であるか否かを判断する。第1電極3、第4電極4A間にインク100がない場合、差分ΔIが第1基準値K1未満となる。このため、制御部6は、インク100第1電極3、第4電極4A間にインク100がないと判断する。
このように、検出部5の検出結果に基づいて、第1状態における第1コンデンサーCaの平均電流値I(A)と、第2状態における第1コンデンサーCaの平均電流値I(B)との差分ΔIを算出し、その算出結果に基づいてインク100の有無を判断する方式がいわゆる相互容量方式である。このような相互容量方式では、上記したように、差分ΔIを算出する際に第1寄生コンデンサーCa’の静電容量値CpTが消されるため、差分ΔIには、静電容量値CpTの値が加味されない。よって、差分ΔIと第1基準値K1との比較を正確に行うことができ、インク100の有無の判断を正確に行うことができる。
制御部6は、このような判断を、第2コンデンサーCb及び第3コンデンサーCcにおいても同様に行う。すなわち、制御部6は、第1電極3、第2電極4B間のインク100の有無の検出、及び、第1電極3、第2電極4C間のインク100の有無の検出についても、上記と同様にして行う。なお、第1電極3、第2電極4B間のインク100の有無の検出の際には、第2基準値K2を用い、第1電極3、第2電極4C間のインク100の有無の検出の際には、第3基準値K3を用いる。第1基準値K1~第3基準値K3は、同じ値であってもよく、異なる値であってもよい。
なお、本実施形態では、検出部5は、第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcの電流を検出する構成であったが、本実施形態ではこれに限定されず、例えば、電圧を検出する構成であってもよい。
このような判断を行うことにより、検出部5の検出結果に基づいて容器2内のインク100の残量に関する情報を得ることができる。
また、インク100の残量に関する情報は、例えば、「0」、「1/2」、「1」や、「0%」、「30%」、「60%」、「100%」等、インク100の残量を段階的に数値化した情報や、「A」、「B」、「C」、「D」等、インク100の残量に応じてランク分けした文字又は記号等が挙げられる。以下では、これらを総称して単に「インク100の残量」と称する。
このような情報は、上記した表示部13に表示される。これにより、使用者は、インク100の残量を把握することができる。
以上説明したように、インク量検出装置1は、誘電体で構成される検出対象物としてのインク100を収容する収容空間20を内部に有する容器2と、収容空間20を介して対向配置された第1電極3及び少なくとも1つの第2電極4と、第1電極3と第2電極4との間の静電容量を相互容量方式で検出する静電容量検出部50と、を備える。第1電極3及び第2電極4間の静電容量を相互容量方式で検出することにより、検出結果が寄生容量、すなわち、第1寄生コンデンサーCa’~第3寄生コンデンサーCc’の影響を受けることがない。よって、第1電極3及び第2電極4間の静電容量を正確に検出することができる。その結果、インク100の残量を正確に検出することができる。
また、第1電極3及び第2電極4を覆う絶縁層7と、絶縁層7を覆う電磁波シールドであるシールド材9と、を備える。このような構成により、上記したように、第1電極3及び第2電極4が周囲と導通するのを防止するとともに、ノイズの影響を軽減することができる。さらに、このような構成によれば、等価回路において上記したような第1寄生コンデンサーCa’~第3寄生コンデンサーCc’が形成されることとなるが、本実施形態では、静電容量検出部50は、相互容量方式でインク100の残量を検出するため、第1寄生コンデンサーCa’~第3寄生コンデンサーCc’の影響を無視することができる。すなわち、絶縁層7及びシールド材9を有する構成であるからこそ、本実施形態の効果が顕著となる。
また、静電容量検出部50は、第1電極3にパルス電圧を印加し、パルス電圧の位相を切り替え可能な第1電源8Aと、第2電極4にパルス電圧を印加する第2電源8Bと、第1電極3、第2電極4間の電流又は電圧を検出する検出部5と、を有する。また、静電容量検出部50は、検出部5の検出結果に基づいて、第1電極3、第2電極4間での検出対象物の有無を判断する判断部としての制御部6と、を有する。これにより、上記したような相互容量方式でのインク100の残量の検出が可能となる。
また、上記したように、判断部としての制御部6は、前記検出部5の検出結果に基づいて、第1電源8A、第2電源8B及び検出部5を含む回路の寄生容量(第1寄生コンデンサーCa’~第3寄生コンデンサーCc’の静電容量)を相殺するような演算を行う。これにより、第1寄生コンデンサーCa’~第3寄生コンデンサーCc’の影響を無視することができ、インク100の残量を正確に検出することができる。
また、本実施形態の記録装置10は、インク量検出装置1を備える。これにより、上記したインク量検出装置1の利点を享受しつつ、印刷を行うことができる。特に、インク100の残量を正確に検出することができるので、例えば、インク100の残量が減ってきた際、適宜インク100を補充することにより、不本意なタイミングで印刷が停止したりするのを防止することができる。さらに、第2電極4が複数ある場合、インク100の減り度合いを段階的に把握することができ、インク100の補充タイミングを良好に予測することができる。
次に、制御部6が行う制御動作について、図14に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、ステップS101において、インク100の残量の検出を開始する。すなわち、図7に示す第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcに電圧を印加して、第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcの静電容量に対応する電流をそれぞれ検出する。
そして、ステップS102において、第1コンデンサーCaの平均電流値I(1)及び平均電流値I(2)の差分ΔI(以下、「差分ΔI」とも称する)が第1基準値K1未満になったか否かを判断する。例えば、図6に示すように、インク100の液面が位置P1に位置している場合には、第1コンデンサーCa内の誘電体はインク100であり、差分ΔIは、第1基準値K1以上であり、ステップS102において、差分ΔIが第1基準値K1未満になっていないと判断し、ステップS103において、残量を表示する。すなわち、インク100の液面が第1コンデンサーCaよりも上側に位置している旨を表示部13に表示する。
この表示方法は、上記したように、「0」、「1/2」、「1」や、「0%」、「30%」、「60%」、「100%」等、インク100の残量を段階的に数値化した情報や、「A」、「B」、「C」、「D」等、インク100の残量に応じてランク分けした文字又は記号等が挙げられる。ステップS103では、例えば、「100%」や「A」と表示する。
ステップS102において、第1コンデンサーCaの電流が第1基準値K1未満になったと判断した場合、ステップS104に移行する。例えば、インク100の液面が図6に示す位置P2に位置していた場合、第1コンデンサーCa内の誘電体は空気であり、図11に示すように、第1コンデンサーCaの電流の振幅が小さくなる。
ステップS104では、第2コンデンサーCbの差分ΔIが第2基準値K2未満になったか否かを判断する。インク100の液面が図6に示す位置P2に位置していた場合、第2コンデンサーCb内の誘電体はインク100であり、第2コンデンサーCbの差分ΔIは、第2基準値K2以上である。この場合、ステップS104では、第2コンデンサーCbの差分ΔIが第2基準値K2未満になっていないと判断し、ステップS105において、残量を表示する。すなわち、インク100の液面が第1コンデンサーCaと第2コンデンサーCbとの間に位置している旨を表示部13に表示する。ステップS105では、例えば、「60%」や「B」と表示する。
ステップS104において、第2コンデンサーCbの差分ΔIが第2基準値K2未満になったと判断した場合、ステップS106に移行する。例えば、インク100の液面が図6に示す位置P3に位置していた場合、第2コンデンサーCb内の誘電体は空気であり、図11に示すように、第2コンデンサーCbの電流の振幅が小さくなる。
ステップS106では、第3コンデンサーCcの差分ΔIが第3基準値K3未満になったか否かを判断する。インク100の液面が図6に示す位置P3に位置していた場合、第3コンデンサーCc内の誘電体はインク100であり、ステップS106では、第3コンデンサーCcの差分ΔIが第3基準値K3未満になっていないと判断し、ステップS107において、残量を表示する。すなわち、インク100の液面が第2コンデンサーCbと第3コンデンサーCcとの間に位置している旨を表示部13に表示する。ステップS107では、例えば、「30%」や「C」と表示する。
ステップS106において、第3コンデンサーCcの差分ΔIが第3基準値K3未満になったと判断した場合、ステップS108において、インク100の残量が0である旨を表示部13に表示する。ステップS108では、例えば、「0%」や「D」と表示する。
例えば、インク100の残量が0の場合、第3コンデンサーCc内の誘電体は空気であり、図11に示すように、第3コンデンサーCcの電流の振幅が小さくなる。
そして、ステップS109において、終了指示があったか否かを判断する。本ステップの判断は、例えば、記録装置10のユーザーが電源をOFFにしたか否かに基づいて行われる。ステップS109において、終了指示があったと判断した場合、そこでプログラムを終了する。また、ステップS109において、終了指示がないと判断した場合、ステップS108に戻り、インク100の残量が0である旨を表示部13に表示したままの状態とする。
以上のようなステップを経て、インク100の残量を正確に検出することができる。なお、図15に示すような制御動作を行ってもよい。以下、図14に示す制御動作との相違点のみを説明する。
図15に示されている制御動作では、ステップS103を経たのち、ステップS102に戻り、ステップ105を経たのち、ステップS102に戻り、ステップ107を経たのち、ステップS102に戻り、ステップ109でNOと判断した場合、ステップS102に戻る。すなわち、インク100の残量を検出するにあたって、インク100の残量に関わらず、全ての第1コンデンサーCa~第3コンデンサーCcの差分ΔIを検出する。このような構成によれば、インク100が途中で補充された場合であっても、補充後のインク100の量を正確に検出することができる。
以上、本実施形態のインク量検出装置及び記録装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、容器は、記録装置に対して着脱可能であってもよく、固定されたものであってもよい。着脱可能な場合、容器は、インクが無くなり次第新たな容器と交換する構成であってもよく、インクを補充して繰り返し使用する構成であってもよい。容器が記録装置に固定されている構成の場合、インク残量が減ったらインクを補充して用いられる。
また、本実施形態では、インク量検出装置を記録装置のインクタンクに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、内部容量が変化する誘電体材料タンクの残量検出に好適に適応することができる。他の実施形態として、3Dプリンターや射出成型機の造形材タンク、給湯器、飲料タンク、点滴やインシュリンなどの医療用タンク、冷却用の冷媒タンク等がある。また、液体タンクに限定されず、固体残量検出、例えば、給紙用ストッカーや排紙用ストッカー等にも適用可能である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り「部」は質量部を示す。
1.インクジェットインク組成物の調製
(実施例1~15、並びに比較例1及び2)
表1及び2に記載の組成になるように、各原料を混合物用タンクに入れて、マグネティックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、さらに、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルにて分散処理を行うことにより十分に混合した。1時間攪拌してから、5.0μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、実施例、及び比較例に係るインク組成物をそれぞれ得た。表1および2中の数値は、質量%を示す。水はイオン交換水を用い、各インクの質量がそれぞれ100質量%となるように添加した。
また、表1及び2に示す各成分は、次のとおりである。
〔色材〕
・DB199…C.I.Direct Blue 199(市販品)
・Yellow染料…上記式(1)で表される黄色染料
・DY86…C.I.Direct Yellow 86(市販品)
・DY136…C.I.Direct Yellow 136(市販品)
・Black染料…上記式(2)で表される黒色染料
・RR14…C.I.Reactive Red 14(市販品)
・Magenta染料…上記式(3)で表されるマゼンタ染料
〔水溶性有機溶剤〕
・グリセリン
・トリエチレングリコール
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル
・1,2-ヘキサンジオール
〔pH調整剤〕
・水酸化カリウム
・アジピン酸
〔界面活性剤〕
・104PG-50…サーフィノール(登録商標)104PG-50(商品名、日信化学工業(株))
・E1010…オルフィン(登録商標)E1010(商品名、日信化学工業(株))
2.インク容器の製造
図2と同様の形状を有する、インク組成物を収容する収容空間を内部に有するインク容器を公知の方法により作製した。なお、収容空間の内壁面を構成する部材を含め、インク容器の部材の全ては、ポリプロピレンを用いた。
3.測定及び評価方法
3.1.インク組成物の電気伝導率
上記で得られた各インク組成物の電気伝導率(mS/cm)は、電気伝導率計ES-51(商品名、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。それらの結果を表3及び4に示す。
3.2.インク組成物の表面張力
上記で得られた各インク組成物の表面張力(mN/m)は、ウィルヘルミー法にて、常温常圧下で白金プレート上に各インク組成物を濡し、その時の液滴を表面張力計CBVP-Z(商品名、協和界面科学(株)製)を用いて測定した。それらの結果を表3及び4に示す。
3.3.検出精度
検出精度を次のようにして評価した。
まず、検出精度の評価に用いるインク容器として、送信機構として第1の電極と、送信機構の反対側に対向して、送受信できるように、静電容量受信機構として、一つの第2の電極とを備え、インク組成物を収容する収容空間を内部に有する容器を作製した。なお、インク容器の形状は、図1と同様とした。第1の電極は、インク容器におけるz軸方向の高さが10mmであり、y軸方向における幅が20mmであった。第2の電極は、インク容器におけるz軸方向の高さが0.5mmであり、y軸方向における幅が20mmであった。なお、第1の電極及び第2の電極において、天板から、それらの電極のz軸方向の上端までの長さ、すなわち-z軸方向の高さを同じとした。また、インク容器の部材としては、収容空間の内壁面を構成する部材と共に、ポリプロピレンを用いた。
このインク容器において、第1の電極と、第2の電極のz軸方向上端との間が上記で得られた各インク組成物で満たされるように、インク組成物をインク容器に充填した。その後、-z軸方向に向かって、第1の電極と第2の電極との間にインク組成物が満たされなくなった後、さらに第1の電極と第2の電極との間の静電容量を検出しなくなるまで、インク組成物を使用した。その後、第2の電極のz軸方向下端から、インク組成物の使用後の液面までの高さをノギスにて測定した。この測定結果から、下記の基準に基づいて、検出精度を評価した。それらの結果を表3及び4に示す。ノギスで測定された高さが大きいほど、実際には第2の電極の下方にインク組成物の液面があるにも関わらず、第1の電極と第2の電極との間がインク組成物で満たされているとの判断を行っており、すなわち検出精度が小さいと評価される。
(評価基準)
A:ノギスで測定した高さが、1mm以内であった。
B:ノギスで測定した高さが、1mmより大きく6mm以内であった。
C:ノギスで測定した高さが、6mmより大きかった。
3.4.保存安定性
インク組成物の保存安定性を次のようにして評価した。
インクを密閉できる貯蔵瓶に上記で得られた各インク組成物を充填し、この貯蔵瓶を60℃の恒温槽内に投入した。2時間放置後に貯蔵瓶を取り出し、十分に室温まで冷却してから、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して粘度を測定した。上記放置前の初期粘度に対する、2時間放置後の粘度の変化率を計算し、下記の基準に基づいて、保存安定性を評価した。それらの結果を表3及び4に示す。
(評価基準)
A:インク組成物の粘度の変化率が±2%未満であった。
B:インク組成物の粘度の変化率が±2%以上であった。
表3及び4に示すとおり、本実施形態によれば、より正確にインク液面高さを検知でき、より精度よくインク残量を検知するインクジェット記録装置を得ることができることがわかった。
実施例2と9との対比から、インク組成物の表面張力が25mN/m以上であると、壁面に対してインク組成物がより濡れにくくなり、インク組成物に由来する薄膜の形成や、インク組成物の残留をより好適に抑制することができるため、より一層正確にインク液面高さを検知でき、より一層精度よくインク残量を検知できる傾向にあることがわかった。
実施例1と2との対比から、インク組成物にpH調整剤が含まれると、保存安定性が向上することがわかった。また、インク組成物の電気伝導率をより低くすることもできるため、より一層正確にインク液面高さを検知でき、より一層精度よくインク残量を検知できる傾向にあることがわかった。