JP7846956B2 - 導電性組成物とこれを用いた複合体 - Google Patents

導電性組成物とこれを用いた複合体

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Description

本発明は、導電性組成物とこれを用いた複合体に関する。
近年、製造業や介護等の分野では、業務の自動化や機械化による効率改善が進められている。これに伴い、ロボットや身体装着型のパワーアシストデバイスの研究が加速している。この種の用途に用いられる人工筋肉やアクチュエータのような生体模倣型駆動材料では、駆動のための電気信号を送るため、導電性の組成物を用いて伸縮性の基板の上に配線や導電回路(導電膜)を形成する必要がある。導電膜には、生体模倣型駆動材料が伸長および収縮を繰り返しても導電性を維持することができる程度の伸縮性が求められる。
伸縮性の導電膜に関連する従来技術文献として、特許文献1~3が挙げられる。例えば特許文献1には、エラストマーと、導電性フィラーと、溶剤とを含み、伸縮性配線基板を構成する配線を形成するために用いられる導電性ペーストが開示されている。特許文献1には、伸縮性配線基板を長さ方向に20%繰り返し伸縮させた後にも、配線の導電性を維持しうる旨が記載されている。
特開2019-110093号公報 国際公開第2017/217509号 国際公開第2017/026420号
しかしながら、生体模倣型駆動材料には、さらに高いレベルの伸縮性が要求されることがある。例えば、長さ方向に2倍の長さ(200%)にまで引き伸ばして元の長さ(100%)に戻したときにも導電膜が導電性を維持することができ、好ましくは、引き伸ばした後も抵抗の増加を小さく抑えることが求められる。
また、例えば、導電膜形成に用いられる導電ペーストがエストラマーを含む場合、かかるエストラマーとしてはシリコーンゴム等が用いられる。そして、シリコーンゴムのなかでも、比較的低温(例えば100℃以下)における加熱処理により硬化する付加硬化型のシリコーンゴムは、熱による生体模倣型駆動材料の損傷を抑制するという観点から好適に用いられる。しかしながら、その一方で、付加硬化型のシリコーンゴムの硬化には白金系触媒が必要であり、かかる白金系触媒が様々な材料に対して硬化阻害を起こすことが課題となっている。そして、特に導電性フィラーとして液相法により合成された銀粉末を用いた場合、白金系触媒による硬化阻害が顕著に起こり、膜硬化が困難であることが知られている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、付加硬化型のシリコーンゴムと、銀粉末とを含み、伸縮性の向上した導電膜を形成することができる導電性組成物を提供することである。
上述した目的を実現するべく、本発明は、電解銀粉末と、付加硬化型のシリコーンゴムとを含む導電性組成物を提供する。
ここで開示される導電性組成物は、上記電解銀粉末のタップ密度(g/cm)を該電解銀粉末の真密度(g/cm)で除して100を掛けることによって求められる当該電解銀粉末の充填率をX(体積%)とし、該電解銀粉末の体積と上記シリコーンゴムの体積との合計体積に対する、当該電解銀粉末の体積の比をY(体積%)としたときに、下記式:
1.5≦(Y/X)≦4.0
を満たすことを特徴とする。
上述したように、ここで開示される導電性組成物は、銀粉末として電解銀粉末を含むことを特徴とする。一般的には、液相法等により合成された銀粉末が用いられるが、かかる銀粉末には合成試薬由来のアミン成分等が付着していることがある。そして、かかる銀粉末を付加硬化型のシリコーンゴムと併用した場合、添加する白金系触媒がアミン成分等により被毒されるため膜硬化の進行が不十分となるというような課題があった。これに対して、金属粗銀を電解質溶液中で電解精製することにより得られる電解銀粉末を用いた場合、白金系触媒による硬化阻害が抑制され得るため好ましい。
また、上記比(Y/X)が上述したような範囲を満たすことにより、導電性と優れた伸縮性とを備えた導電膜を形成することができる。
ここで開示される好適な一態様においては、上記電解銀粉末の体積の比(Y)が、10体積%以上40体積%以下である。これにより、導電膜の電気伝導性と伸縮性とを好適にバランスすることが可能になる。
ここで開示される好適な一態様においては、上記電解銀粉末のタップ密度が、1.5g/cm以下である。これにより、電解銀粉末の隙間にシリコーンゴムが入り込みやすくなり、導電膜の伸縮性をより好適に向上させることが可能になる。
ここで開示される好適な一態様においては、上記電解銀粉末の充填率(X)が、5体積%以上15%体積以下である。充填率が所定値以上であると、導電膜において電解銀粒子同士が接触しやすくなり、導電膜の電気伝導性をより好適に向上することができる。充填率が所定値以下であると、電解銀粉末の空孔部分にシリコーンゴムが入り込みやすくなり、導電膜の伸縮性をより好適に向上させることが可能になる。
ここで開示される好適な一態様においては、有機溶剤を含み、ペースト状に調製されている。これにより、導電性組成物の取扱性や、導電膜形成時の作業性を向上させることが可能になる。
ここで開示される好適な一態様においては、上記有機溶剤は、溶解度パラメータ(SP値)が6(cal/cm0.5以上8(cal/cm0.5以下の化合物を含む。これにより、シリコーンゴムとの相溶性を高めることができ、均質なペーストを安定して調製することが可能になる。
また、本発明により、基板と、該基板上に設けられ、請求項1~6のいずれか1項に記載の導電性組成物の乾燥体からなる導電膜とを備えた複合体が提供される。
ここで開示される好適な一態様においては、上記導電膜の体積抵抗率が1Ω・cm以下である。これにより、電気伝導性に優れた導電膜を実現することができる。
ここで開示される好適な一態様においては、上記複合体を2倍の長さに引き伸ばして元の長さに戻したときに、上記導電膜の体積抵抗率の増加率が10%以下である。これにより、伸縮性に優れた導電膜を実現することができる。
一実施形態に係る配線基板を模式的に表す断面図である。
以下、ここで開示される技術の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、導電性組成物の構成)以外の事柄であって、本発明の実施に必要な事柄(例えば、導電性組成物の調製方法や、使用方法等)は、本明細書により教示されている技術内容と、当該分野における当業者の一般的な技術常識とに基づいて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において数値範囲を示す「A~B(A,Bは任意の値)」の表記は、A以上B以下の意と共に、「好ましくはAより大きい」および「好ましくはBより小さい」の意を包含する。
<導電性組成物>
ここで開示される導電性組成物は、主要構成として(A)電解銀粉末と、(B)付加硬化型のシリコーンゴムとを含んでいる。導電性組成物は、典型的には(C)有機溶剤を含んでおり、ペースト状(スラリー状、インク状を包含する。以下同様。)に調製し得る。導電性組成物は、さらに(D)その他の任意成分を含有し得る。導電性組成物は、例えば、(A)電解銀粉末と、(B)付加硬化型のシリコーンゴムと、(D)その他の任意成分とを、(C)有機溶剤に分散または溶解させることで調製し得る。
ここで開示される導電性組成物は、導電膜の形成に用いることができる。なお、本明細書において「導電膜」とは、導電性組成物を、(B)付加硬化型のシリコーンゴムの耐熱温度(すなわち、使用限界の温度)よりも低い温度、典型的には200℃以下、例えば150℃以下、さらには120℃以下、好ましくは100℃以下で乾燥させた膜状体(乾燥物)をいう。以下、各構成成分について順に説明する。
<(A)電解銀粉末>
ここで開示される導電性組成物は、電解銀粉末を含む。本明細書における「電解銀粉末」とは、例えば、金属粗銀を電解質溶液中で電解精製すること(すなわち、電解法)により得られる銀粉末のことをいう。電解法により得られる銀粉末には、液相法等により得られるものとは異なり、アミン成分等の白金径触媒を被毒する物質が付加しにくいため、ここで開示される技術において好ましく使用され得る。
電解銀粉末を構成する粒子(以下、「電解銀粒子」ともいう。)の性状、例えばサイズや形状等は、後述する比(Y/X)を満たす限りにおいて、特に限定されない。電解銀粒子のサイズは、例えば導電性組成物の用途や形成する導電膜の寸法等に応じて適宜選択することができる。また、電解銀粒子のサイズは、導電膜の最小寸法、例えば厚みおよび/または幅に収まるように選択するとよい。特に限定されるものではないが、電解銀粒子の平均粒径(D50)は、概ね0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、例えば1μm以上、2μm以上、3μm以上、5μm以上であってもよい。平均粒径が所定値以上であると、電解銀粉末の隙間に(B)付加硬化型のシリコーンゴムが入り込みやすくなる。これにより、電解銀粉末と付加硬化型のシリコーンゴムとの密着性が高まり、導電膜の伸縮性をより好適に向上することができる。電解銀粒子の平均粒径(D50)は、概ね50μm以下、例えば30μm以下、20μm以下、10μm以下であってもよい。平均粒径が所定値以下であると、電解銀粒子同士が接触しやすくなり、導電膜の電気伝導性をより好適に向上することができる。
なお、本明細書において「平均粒径(D50)」とは、レーザー回折・光散乱法で測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側から累積50%に相当する粒子径(50%体積平均粒径)をいう。
電解銀粒子の形状は、例えば、樹枝状(デンドライト状)、針状(紡錘状、円柱状を包含する。)、麟片状(フレーク状)、略球状、不定形状等であってもよい。特に限定されるものではないが、電解銀粒子は、平均アスペクト比(長径/短径比)が2以上、さらには3以上となるような形状、例えば、樹枝状、針状であってもよい。これにより、導電膜の伸縮方向に導電性ネートワークを好適に形成して、電気伝導性を向上することができる。なかでも、樹枝状が好ましい。
なお、本明細書において「アスペクト比」とは、電解銀粒子を電子顕微鏡で観察し、得られた観察画像に外接する矩形を描いたときの、粒子短辺の長さ(a)に対する長辺の長さ(b)の比(b/a)をいう。平均アスペクト比は、複数の粒子(例えば100個の粒子)のアスペクト比の算術平均値を意味する。また、本明細書において「樹枝状」とは、電解銀粒子を電子顕微鏡で観察した際に、最も長い主軸から、複数の分岐枝が2次元的または3次元的に延在する形状をいう。
電解銀粒子は、複数の電解銀粒子(1次粒子)が3次元的に凝集してなる凝集粉状であってもよい。1次粒子は、略球状ないし不定形状であってもよい。凝集粉状では、1次粒子同士が物理的に接触していることから、導電膜の伸縮方向に好適に導電性ネートワークを形成して、電気伝導性を向上することができる。また、凝集粉状や樹枝状の電解銀粒子は、例えば略球状の電解銀粒子に比べて相対的に嵩高く、タップ密度が小さいことから、電解銀粉末の隙間に(B)付加硬化型のシリコーンゴムが入り込みやすくなる。これにより、電解銀粉末と付加硬化型のシリコーンゴムとの密着性が高まり、導電膜の伸縮性をより好適に向上することができる。
特に限定されるものではないが、電解銀粉末のタップ密度は、好ましくは1.5g/cm以下、より好ましくは1.4g/cm以下、さらに好ましくは1.35g/cm以下である。例えば1.0g/cm~1.35g/cmとすることができる。タップ密度が所定値以下であると、電解銀粉末の隙間に(B)付加硬化型のシリコーンゴムが入り込みやすくなる。これにより、電解銀粉末と付加硬化型のシリコーンゴムとの密着性が高まり、導電膜の伸縮性をより好適に向上することができる。電解銀粉末のタップ密度は、概ね0.1g/cm以上、好ましくは0.2g/cm以上、より好ましくは0.5g/cm以上であり、例えば0.5g/cm~1.0g/cm、0.6g/cm~0.7g/cmとすることができる。タップ密度が所定値以上であると、電解銀粉末同士が接触しやすくなり、導電膜の電気伝導性をより好適に向上することができる。電解銀粉末のタップ密度は、例えば電解銀粉末の粉砕や分級等によって調整することができる。
なお、本明細書において「タップ密度」とは、所定の容器に電解銀粉末を投入して1000回タップし、慣性による圧縮力をかけた後の見掛け密度(嵩密度)をいう。タップ密度は、JIS Z2512:2012年に規定される「金属粉-タップ密度測定方法」に準じて測定することができる。
特に限定されるものではないが、次の式:(タップ密度/真密度)×100;で表される電解銀粉末の充填率Xは、概ね3体積%以上、好ましくは4体積%以上、5体積%以上、5.5体積%以上とすることができる。真密度は、電解銀粒子の内部や電解銀粒子間の空孔部分を除いた電解銀粉末そのものの体積で、電解銀粉末の質量を割った値を意味する。銀の真密度は10.5g/cmである。また、上記のとおり、タップ密度は、慣性による圧縮力をかけた後の嵩密度をいう。そのため、充填率Xの値が大きいほど、空孔部分が少ないことを意味する。充填率Xが所定値以上であると、導電膜において電解銀粒子同士が接触しやすくなり、導電膜の電気伝導性をより好適に向上することができる。充填率Xは、概ね30体積%以下、好ましくは20体積%以下、15体積%以下、13体積%以下とすることができる。充填率Xが所定値以下であると、電解銀粉末の空孔部分に(B)付加硬化型のシリコーンゴムが入り込みやすくなる。これにより、電解銀粉末と付加硬化型のシリコーンゴムとの密着性が高まり、導電膜の伸縮性をより好適に向上することができる。
特に限定されるものではないが、(A)電解銀粉末の体積と(B)付加硬化型のシリコーンゴムの体積との合計を100体積%としたときに、電解銀粉末の体積比Yは、概ね5体積%以上、好ましくは10体積%以上、12体積%以上とすることができる。体積比が所定値以上であると、導電膜において電解銀粒子同士が接触しやすくなり、導電膜の電気伝導性をより好適に向上することができる。体積比Yは、典型的には(B)付加硬化型のシリコーンゴムよりも小さく、概ね50体積%未満、好ましくは45体積%以下、40体積%以下、36体積%以下とすることができる。体積比が所定値以下であると、電解銀粉末の隙間に(B)付加硬化型のシリコーンゴムが入り込みやすくなる。これにより、電解銀粉末と付加硬化型のシリコーンゴムとの密着性が高まり、導電膜の伸縮性をより好適に向上することができる。なお、電解銀粉末の体積は、電解銀粉末の質量を真密度で割った値により求めることができ、付加硬化型のシリコーンゴムの体積は、付加硬化型のシリコーンゴムの質量を密度で割った値により求めることができる。
本実施形態において、電解銀粉末の上記充填率Xと上記体積比Yとは、次の式:1.5≦(Y/X)≦4.0;を満たしている。上記比(Y/X)を所定値以下とすることで、導電膜に優れた伸縮性を付与することができる。また、上記比(Y/X)を所定値以上とすることで、導電膜に電気伝導性を付与することができる。導電膜の電気伝導性を向上する観点からは、上記比(Y/X)は、好ましくは1.7以上、2.0以上、2.1以上とすることができる。また、上記比(Y/X)は、好ましくは3.8以下、3.0以下、2.8以下とすることができる。上記比(Y/X)は、例えば1.7~3.8とすることができる。
<(B)付加硬化型のシリコーンゴム>
ここで開示される導電性組成物は、付加硬化型のシリコーンゴムを含む。シリコーンゴムは、導電膜に柔軟性や伸縮性を付与する成分であり、ケイ素(Si)を含む有機化合物である。付加硬化型のシリコーンゴムは、加熱により硬化反応が進行する加熱付加硬化型のシリコーンゴムや、室温(例えば20±5℃)で硬化反応が進行する室温付加硬化型のシリコーンゴムであってもよい。付加硬化型のシリコーンゴムは、室温(例えば20±5℃)、常圧の環境下で流動性を有する液状シリコーンゴムであってもよい。
付加硬化型のシリコーンゴムとしては特に限定されず、従来公知のもののなかから、例えば導電性組成物の用途等に応じて、1種類を単独で、または2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。付加硬化型のシリコーンゴムは、例えば、下記平均組成式(I)で表される分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンであり得る。
SiO(4-a)/2(I)
ここで、上記式(I)中のRは、同一または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基を示しており、例えば炭素数が1~20、さらには1~10の炭化水素基であり得る。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、シクロアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。あるいは、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子もしくはシアノ基等で置換した基等も挙げられる。なかでもメチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、メチル基、ビニル基が特に好ましい。また、上記式(I)中のaは、1.95~2.05の正数であり得る。
付加硬化型のシリコーンゴムとしては、例えばオルガノポリシロキサンの主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位(RSiO2/2、Rは上記と同じ、以下同様)の繰り返し構造がジメチルシロキサン単位のみの繰り返しからなるものが好適に使用され得る。また、かかる主鎖を構成するジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるジメチルポリシロキサン構造に、メチルビニルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位、メチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサン単位等のジオルガノシロキサン単位が導入されたものなども好適に使用され得る。
また、分子鎖両末端は、例えばトリメチルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、ジビニルメチルシロキシ基、トリビニルシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基(RSiO1/2)等が挙げられる。また、ヒドロキシジメチルシロキシ基等のヒドロキシジオルガノシロキシ基(R(HO)SiO1/2)などで封鎖されていてもよい。
付加硬化型のシリコーンゴムの密度は、概ね0.5~2g/cm、好ましくは1.0±0.3g/cm、例えば1.0±0.2g/cmであってもよい。これにより、ここで開示される技術の効果をより高いレベルで奏することができる。なお、付加硬化型のシリコーンゴムの密度は、物質に固有の値であり、例えば従来公知の各種文献や辞典、メーカーの製品カタログ等に記載された値を用いることができる。また、JIS K0061:2001年に規定される「化学製品の密度及び比重測定方法」に準じて、例えば液相置換法(ピクノメーター法)で実測することもできる。
特に限定されるものではないが、付加硬化型のシリコーンゴムの硬度は、概ね35度以下、好ましくは30度以下であるとよい。硬度を所定値以下とすることにより、導電膜の柔軟性を高めて、導電膜の伸縮性をより好適に向上することができる。なお、本明細書において「付加硬化型のシリコーンゴムの硬度」とは、タイプAのデュロメータ(ゴム硬度計)を用いて測定した硬さをいう。付加硬化型のシリコーンゴムの硬度は、JIS K6253-3:2012年に規定される「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ」に準じて測定することができる。
特に限定されるものではないが、付加硬化型のシリコーンゴムの切断時伸びは、概ね200%以上、好ましくは250%以上、例えば300%以上であるとよい。切断時伸びを所定値以上とすることにより、導電膜の柔軟性を高めて、導電膜の伸縮性をより好適に向上することができる。なお、本明細書において「付加硬化型のシリコーンゴムの切断時伸び」とは、所定の試験片を用意し、引張試験機によって試験片を引っ張り、試験片が切断したときの伸びをいう。切断時伸びは、試験片の初期の長さに対する比率(%)で表される。すなわち、次の式:{(試験片の切断時の長さL-試験片の初期の長さL)/試験片の初期の長さL}×100(%);で表される。付加硬化型のシリコーンゴムの切断時伸びは、JIS K6251:2010年に規定される「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準じて測定することができる。
導電性組成物は、体積基準で、付加硬化型のシリコーンゴムを主体(50体積%以上を占める成分。)として構成されているとよい。特に限定されるものではないが、(A)電解銀粉末の体積と(B)付加硬化型のシリコーンゴムの体積との合計を100体積%としたときに、付加硬化型のシリコーンゴムの体積比は、典型的には(A)電解銀粉末よりも大きく、概ね50体積%以上、好ましくは60体積%以上、65体積%以上、例えば70体積%以上であってもよい。体積比が所定値以上であると、導電膜の伸縮性をより好適に向上することができる。付加硬化型のシリコーンゴムの体積比は、概ね95体積%以下、好ましくは90体積%以下、例えば85体積%以下であってもよい。体積比が所定値以下であると、導電膜において電解銀粒子同士が接触しやすくなり、導電膜の電気伝導性をより好適に向上することができる。
特に限定されるものではないが、導電性組成物の全体を100質量%としたときに、付加硬化型のシリコーンゴムの質量比は、概ね5質量%以上、典型的には7質量%以上、例えば10質量%以上、15質量%以上であってもよい。質量比が所定値以上であると、導電膜の伸縮性をより好適に向上することができる。シリコーンゴムの質量比は、概ね50質量%以下、典型的には40質量%以下、35質量%以下、例えば30質量%以下であってもよい。質量比が所定値以下であると、導電膜において電解銀粒子同士が接触しやすくなり、導電膜の電気伝導性をより好適に向上することができる。
また、付加硬化型のシリコーンゴムの硬化反応には、硬化剤(触媒や架橋剤等)が併せて使用され得る。触媒としては、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の触媒として従来公知のものを使用することができる。かかる触媒としては、例えば白金族金属系触媒(白金族の金属単体とその化合物等)が挙げられる。また、触媒の添加量は、付加反応の促進に寄与することができる範囲内の量(例えば、触媒量)とすることができる。
架橋剤としては、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の架橋剤として従来公知のものを使用することができる。かかる架橋剤としては、例えばオルガノハイドロジェンポリシロキサン(1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等)が挙げられる。また、架橋剤の添加量は、これに限定されるものではないが、例えばオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~10質量部、更に好ましくは0.3~10質量部であり得る。
上記触媒のほかに硬化速度を調整する目的で、付加架橋制御剤を使用してもよい。具体的には、エチニルシクロヘキサノールやテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
<(C)有機溶剤>
有機溶剤は、導電性組成物の固形分、主には(A)電解銀粉末と、(B)付加硬化型のシリコーンゴムとを溶解または分散させて、導電性組成物の流動性を調整する任意成分である。導電性組成物の流動性を調整することで、導電性組成物の取扱性や、導電膜形成時の作業性を向上することができる。
有機溶剤としては特に限定されず、従来公知のもののなかから、例えば導電性組成物の用途や導電膜を形成する基板の種類等に応じて、1種類を単独で、または2種類以上を適宜組み合わせて用いることができる。有機溶剤の種類としては、例えば、炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、グリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、グリコールエステル系溶剤、アルコール系溶剤等が挙げられる。炭化水素系溶剤としては、例えば、N-ペンタン、N-ヘキサン、シクロヘキサン、N-ヘプタン、N-ノナン、N-オクタン、N-デカン、N-ウンデカン、N-ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ケロシン、石油系炭化水素、ナフサ、ジペンテン、テレピン油等の脂肪族炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素が挙げられる。有機溶剤は、非極性溶剤であってもよい。なかでも、導電性組成物の保存安定性や導電膜形成時の取扱性を向上する観点からは、揮発しにくく、かつ引火性が低い(例えば引火点が40℃以上)ものが好ましい。
特に限定されるものではないが、有機溶剤の溶解度パラメータ(SP値)は、概ね4(cal/cm0.5以上、典型的には5(cal/cm0.5以上、好ましくは6(cal/cm0.5以上、例えば6.5(cal/cm0.5以上であってもよい。有機溶剤の溶解度パラメータは、概ね10(cal/cm0.5以下、典型的には9(cal/cm0.5以下、好ましくは8(cal/cm0.5以下であってもよい。SP値は、導電性組成物の固形分と有機溶剤との「混ざり易さ」の尺度となる値である。本発明者の検討によれば、有機溶剤の溶解度パラメータを上記範囲とすることにより、(B)付加硬化型のシリコーンゴムとの相溶性を高めることができ、均質なペーストを安定して調製することができる。また、適用可能な基板の幅(バリエーション)を広げることができる。
なお、本明細書において「溶解度パラメータ(Solubility Parameter:SP)」とは、R.F.Fedors, Polymer Engineering Science,14,p147(1974)に記載される、所謂、Fedors法で計算された溶解度パラメータをいう。溶解度パラメータは、各化合物に固有の値である。なお、SP値のSI単位は、(J/cm0.5または(MPa)0.5であるが、本明細書では従来慣用的に使用される(cal/cm0.5を用いる。SP値の単位は、次の式:1(cal/cm0.5≒2.05(J/cm0.5≒2.05(MPa)0.5;で換算することができる。
導電性組成物が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の量は、固形分を均質に溶解または分散可能な量であって、導電膜の形成に適した粘度となるように適宜調整すればよい。一例として、導電性組成物の全体を100質量%としたときに、有機溶剤の質量比は、概ね5質量%以上、典型的には7質量%以上、例えば10質量%以上、15質量%以上であってもよい。有機溶剤の質量比は、概ね50質量%以下、典型的には40質量%以下、35質量%以下、例えば30質量%以下であってもよい。溶媒の量を必要最小限に抑えることで、緻密な導電膜を形成することができ、導電膜の電気伝導性および伸縮性のうちの少なくとも一方をより好適に向上することができる。
<(D)その他の任意成分>
導電性組成物は、ここで開示される技術の効果を著しく損なわない限りにおいて、上記した成分に加えて、さらに必要に応じて種々の任意成分を含有することができる。任意成分としては、一般的な導電性組成物等に用いられている従来公知のもののなかから、必要に応じて、1種類を単独で、または2種類以上を適宜組み合わせて用いることができる。任意成分の一例としては、例えば、分散剤、増粘剤、界面活性剤、消泡剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、pH調整剤、防腐剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、有機バインダ、(B)付加硬化型のシリコーンゴム以外の結着成分(例えば、各種エラストマー)等が挙げられる。なかでも、分散剤を含むことが好ましい。また、導電性組成物は、(A)電解銀粉末以外の導電性粉末(例えば、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)等の貴金属の単体、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の卑金属の単体、カーボンブラック等の炭素質材料、およびこれらの混合物や合金等)を、1種類を単独で、または2種類以上を適宜組み合わせて含有していてもよい。
分散剤は、(A)電解銀粉末の凝集を抑制し、導電性組成物の分散安定性を高める成分である。なお、本明細書において「分散剤」とは、親水性部位と親油性部位とを有する両親媒性を有する化合物全般をいい、界面活性剤、湿潤分散剤、乳化剤をも包含する用語である。分散剤としては、従来公知のもののなかから、1種類を単独で、または2種類以上を適宜組み合わせて用いることができる。一例として、カルボキシル基を有するカルボン酸系分散剤、ホスホン酸基を有するリン酸系分散剤、スルホン酸基を有するスルホン酸系の分散剤、アミノ基を有するアミン系の分散剤等が挙げられる。(B)付加硬化型のシリコーンゴムおよび/または(C)有機溶剤との親和性を高める観点からは、酸価を有する有酸価分散剤が好ましい。
導電性組成物が任意成分を含む場合、(A)電解銀粉末を100質量部としたときに、分散剤は、概ね0.01~1質量部、例えば0.1~0.5質量部であってもよい。これにより、上記比(Y/X)を満たす導電性粉末の凝集を好適に抑制することができる。
導電性組成物が任意成分を含む場合、任意成分の量は、典型的には(A)電解銀粉末、(B)付加硬化型のシリコーンゴム、および(C)有機溶剤よりも少ない。一例として、導電性組成物の全体を100質量%としたときに、任意成分(例えば分散剤)の質量比は、概ね5質量%以下、典型的には3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、例えば0.5質量%以下であってもよい。また、(A)電解銀粉末、(B)付加硬化型のシリコーンゴム、および(D)その他の任意成分の全体を100質量%としたときに、(A)電解銀粉末と(B)付加硬化型のシリコーンゴムとの合計が、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、95質量%以上、例えば98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上であってもよい。任意成分の量を必要最小限に抑えることで、導電膜の電気伝導性および伸縮性のうちの少なくとも一方をより好適に向上することができる。
<導電性組成物の使用方法>
導電性組成物は、配線や導電回路の形成、各種電子部品の接合や実装、回路接続、各種部品同士の接着等に好ましく用いることができる。一使用例では、先ず、伸縮性を有する基板を準備する。ただし、基板は伸縮性を有していなくてもよい。伸縮性の基板としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンゴム、プロピレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム等のゴムやエラストマーからなる基板が挙げられる。
次に、この基板上に、導電性組成物を所望の厚み(例えば0.01~10mm、0.1~1μm)となるように付与する。導電性組成物の付与(典型的には塗布)は、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、バーコーター、ドクターブレード、スリットコーター、グラビアコーター、ディップコーター、スプレーコーター、ディスペンサー等を用いて行うことができる。
次に、基板上に付与した導電性組成物を乾燥する。基板の損傷を抑える観点からは、乾燥温度を基板の耐熱温度よりも十分低く設定することが好ましい。また、硬化を促進して作業効率を高める観点からは、適宜加熱乾燥を行ってもよい。耐熱性の低い基板を使用する場合には、加熱温度の上限を、概ね200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下とするとよい。また、乾燥時間は、典型的には1時間~数日程度(例えば1~5日程度)とするとよい。これにより、基板上に導電膜が形成される。また、上記加熱温度よりも沸点が低い成分、例えば(C)有機溶剤や(D)その他の任意成分は気化して、導電膜から除去され得る。
図1は、配線基板10の断面図である。なお、ここでいう配線基板には、回路基板やプリント基板等が包含される。配線基板10は、基板12と、基板12の上(例えば表面)に形成された導電膜14とを備えている。導電膜14は、ここで開示される導電性組成物の乾燥体で構成されている。導電膜14は、予め定められた設計図にしたがって、基板12の上に所定の回路パターンで形成されている。なお、導電膜14は、図1に示すように基板12の片面のみに備えられていてもよく、あるいは基板12の両面に備えられていてもよい。また、導電膜14は、基板12の一部のみに備えられていてもよいし、あるいは基板12の全面にわたって備えられていてもよい。
導電膜14は、(A)電解銀粉末と(B)付加硬化型のシリコーンゴムとを主体として構成されている。導電膜14の固形分全体を100体積%としたときに、(A)電解銀粉末と(B)付加硬化型のシリコーンゴムとの合計は、概ね80体積%以上、典型的には90体積%以上、95体積%以上、例えば98体積%以上、99体積%以上、99.5体積%以上、実質的に100体積%であってもよい。
導電膜14の初期の体積抵抗率は、実用レベルを考慮すると、概ね5Ω・cm以下、例えば2Ω・cm以下、好ましくは1Ω・cm以下、0.5Ω・cm以下、さらには0.2Ω・cm以下であるとよい。また、配線基板10を長さ方向に2倍の長さ(200%)にまで引き伸ばして元の長さ(100%)に戻したときに、導電膜14の体積抵抗率の増加率は、概ね100%以下、例えば50%以下、好ましくは10%以下、さらには5%以下であるとよい。
<導電性組成物の用途>
ここで開示される導電性組成物は、電気伝導性と伸縮性とに優れる。このため、人工筋肉やアクチュエータのような生体模倣型駆動材料、各種電子機器のアクチュエータやセンサ(例えば、圧力センサ、衝撃センサ、振動センサ等)、身体装着型のウェアラブルデバイス、ロボット用デバイス、パワーアシストデバイス、発電装置、衝撃吸収材料、制振材料等で好ましく利用することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を係る実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[導電性組成物の調製]
まず、表1~4に示す銀粉末と、付加硬化型のシリコーンゴムと、有機溶剤と、分散剤とを用意した。
次に、上記用意した銀粉末とシリコーンゴムと有機溶剤と分散剤とを、各例につき、表5および表6に示す質量で混合して、真空装置付撹拌・脱泡装置(マゼルスターKK-VT300、倉敷紡績株式会社製)を用いて均一に撹拌した。これにより、導電性組成物(例1~15)を調製した。なお、表5および表6には、質量と併せて、銀粉末の体積比Y、充填率X、および比(Y/X)を示している。銀粉末の体積は、上記質量を真密度(10.5g/cm)で割ることにより算出した。
〔試験片の作製〕
次に、メタルマスク(開口部のサイズ:10mm×10mm、厚み:0.12mm)を用いたスクリーン印刷により、上記導電性組成物を、窒化ケイ素基板(サイズ:縦35mm×横35mm×厚み0.32mm)の表面に付与した。次に、導電性組成物付きの窒化ケイ素基板を、100℃のホットプレート上で1時間、加熱乾燥させた。これにより、シリコーンゴムを硬化させて窒化ケイ素基板の上に導電膜を形成することにより、各例の試験片(以下、「試験片1」ともいう。)を作製した。
また、試験片1と同様にして、シリコーンゴム製の基板(サイズ:縦40mm×横40mm×厚み1mm、硬度:30度)の上に導電膜を形成することにより、各例の試験片(以下、「試験片2」ともいう。)を作製した。
〔試験片の評価〕
上記作製した試験片について、下記(1)~(5)の評価を行った。評価結果を、表5および表6の該当欄にそれぞれ示す。
(1)膜硬化
「○」:導電膜を形成することができ、導電膜を触っても変形やべたつきがなかった。
「×」:導電膜を形成することができない、導電膜を触ると変形やべたつきがあった。
(2)体積抵抗率・導電性
試験片1の導電膜の体積抵抗率を、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、型式:ロレスタGP MCP-T610)を用いて、4探針法で測定した。なお、「OL」は、測定上限値を越えたことを表し、「-」は未測定であることを表している。また、導電性は、下記符号で表している。
「○」:体積抵抗率が1Ω・cm以下であった。
「×」:体積抵抗率が1Ω・cmを超えた。
(3)伸縮性
引張試験機に試験片2を取り付け、横方向に2倍の長さ(200%)に引き伸ばした後、元の長さ(100%)に戻した。そして、引き伸ばし後の導電膜の状態を目視で確認した。また、上記(2)と同様にして引き伸ばし前後の体積抵抗率をそれぞれ測定し、次の式:{(引き伸ばし後の体積抵抗率-引き伸ばし前の体積抵抗率)/引き伸ばし前の体積抵抗率}×100から、体積抵抗率の増加率を算出した。伸縮性は、下記符号で表している。なお、「-」は未測定であることを表している。
「○」:引き伸ばし後の導電膜にひび割れが発生せず、かつ、引き伸ばし後の体積抵抗率の増加率が10%以下であった。
「×」:引き伸ばし後の導電膜にひび割れが発生した、または、引き伸ばし後の体積抵抗率の増加率が10%を超えた。
(4)導電性組成物の再利用の可否
例1~例15に係る導電性組成物の再利用の可否を調べた。具体的には、上記(1)の試験片の作製において、各例に係る導電組成物を用いて印刷を行った後、余った導電性組成物をそれぞれ回収して再利用することが可能であるか否かを確認した。再利用の可否は、下記符号で表している。なお、「-」は未測定であることを表している。
「○」:導電性組成物が硬化しておらず、再び印刷に用いることが可能である状態であった。
(5)総合評価
「○」:導電性、伸縮性(および、再利用性)がいずれも「○」であった。
「×」:導電性および/または伸縮性が「×」であった。
上記比(Y/X)が4.0よりも大きい例1と、該比(Y/X)が1.5よりも小さい例5および例6とでは、いずれも総合評価が「×」であった。詳しくは、例1では、導電膜の電気伝導性は得られたものの、2倍の長さ(200%)の引き伸ばしには耐えることができず、導電ネットワークが切断されて、伸縮性の基準を満たさなかった。また、例5および例6では、体積抵抗率がオーバーレンジとなり、導電性を得ることさえできなかった。そして、デンドライト銀を用いた例9および例10では、上記比(Y/X)が1.5以上4.0以下の範囲を満たしているものの、それぞれ伸縮性、導電性の項目が「×」であるため、総合評価は「×」であった。
これらの例(すなわち、例1,5,6,9,10)に対して、デンドライト電解銀を用い、かつ、上記比(Y/X)が1.5以上4.0以下である例2~4,7,8,11~15は、体積抵抗率が1Ω・cm以下で、かつ、200%の伸縮性を有し、導電性および伸縮性の基準を満たすことが分かった。また、これらは再利用することが可能であることも確認された。かかる結果は、ここで開示される発明の技術的意義を裏付けるものである。
なお、特に限定的に解釈されるものではないが、上記比(Y/X)を満たすことにより導電性と伸縮性とを兼ね備えた導電膜を形成できる一因として、本発明者は次のように考えている。すなわち、上記充填率Xと上記体積比Yとは、いずれも電解銀粉末の体積割合である。十分な伸縮性を得るためには、導電膜中の固体成分(電解銀粉末と付加硬化型のシリコーンゴムとの合計)に占める付加硬化型のシリコーンゴムの体積比を確保する必要がある。そのためには、電解銀粉末の充填率Xを抑える必要がある。上記体積比Yが上記充填率Xに対して大きくなると、導電膜中で電解銀粉末が過剰にあることになり、導電は可能であるが膜強度が不足して引き伸ばしに耐えないと想定できる。また逆に、上記体積比Yが上記充填率Xに対して小さくなると、電解銀粉末の体積比が小さくなることになり、導電自体が難しくなると想定できる。したがって、導電性と伸縮性とを兼ね備えた導電膜を形成するためには、上記比(Y/X)をバランスすることが必要であると考えられ得る。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 配線基板
12 基板
14 導電膜

Claims (8)

  1. 電解銀粉末と、付加硬化型のシリコーンゴムと、有機溶剤と、を含み、ペースト状に調製されている、導電性組成物であって、
    前記電解銀粉末のタップ密度(g/cm)を該電解銀粉末の真密度(g/cm)で除して100を掛けることによって求められる当該電解銀粉末の充填率をX(体積%)とし、
    該電解銀粉末の体積と前記シリコーンゴムの体積との合計体積に対する、当該電解銀粉末の体積の比をY(体積%)としたときに、下記式:
    1.5≦(Y/X)≦4.0
    を満た
    前記電解銀粉末のタップ密度が1.5g/cm 以下である、導電性組成物。
  2. 前記電解銀粉末の体積の比(Y)が、10体積%以上40体積%以下である、請求項1に記載の導電性組成物。
  3. 前記電解銀粉末のレーザー回折・光散乱法で測定した50%体積平均粒径(D50)が0.5μm以上10μm以下である、請求項1または2に記載の導電性組成物。
  4. 前記電解銀粉末の充填率(X)が5体積%以上15体積%以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の導電性組成物。
  5. 前記有機溶剤は、溶解度パラメータ(SP値)が6(cal/cm0.5以上8(cal/cm0.5以下の化合物を含む、請求項に記載の導電性組成物。
  6. 基板と、
    該基板上に設けられ、請求項1~のいずれか1項に記載の導電性組成物の乾燥体からなる導電膜と、
    を備えた複合体。
  7. 前記導電膜の体積抵抗率が1Ω・cm以下である、請求項に記載の複合体。
  8. 前記複合体を2倍の長さに引き伸ばして元の長さに戻したときに、前記導電膜の体積抵抗率の増加率が10%以下である、請求項またはに記載の複合体。
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