以下、本発明に係る弁装置の第1実施形態を、図1~4に基づいて説明する。弁装置は、例えば車両等に搭載される電動弁1であり、弁本体10と、弁体40と、駆動部50と、流路ブロック70と、を備えている。なお、以降の説明では、図において弁本体10の軸線Lに沿う方向を「軸線L方向」と記し、軸線L方向の一方側を「上側L1」、他方側を「下側L2」と記す。また、軸線L方向に直交する方向を「径方向X」と記す。これらの方向の定義はあくまでも説明の便宜のためのものであり、必ずしも電動弁1の実際の使用状態における各方向と一致するとは限らず、電動弁1の実際の使用状態における各方向を限定するものではない。
図2に示すように、弁本体10は、筒状の弁ハウジング11を備えている。弁ハウジング11は、例えばSUS(ステンレス)等の金属製の材料をプレス成形等することにより円筒状に形成され、軸線L方向に延びている。弁ハウジング11の側壁には、板厚方向(弁ハウジング11の内外)に貫通する貫通孔12が形成されている。貫通孔12は、弁ハウジング11の外周面を一周しない範囲で、軸線Lまわりの周方向に亘って断続的または連続的に形成されている。貫通孔12の内部には、インサート成形により弁ハウジング11と一体となった樹脂が埋め込まれており、この樹脂は、貫通樹脂部13を構成している。弁ハウジング11の側壁の外周面には、環状の樹脂成形部14が、インサート成形により一体に成形されている。樹脂成形部14は、貫通樹脂部13の径方向X外方側の端部に連続する第一樹脂成形部15と、第一樹脂成形部15と軸線L方向に間隔をあけて上側L1に配置される第二樹脂成形部16と、を備えている。
すなわち、樹脂成形部14は、軸線L方向に非連続の第一樹脂成形部15と第二樹脂成形部16と、を備えている。第一樹脂成形部15は、貫通樹脂部13に連続することで貫通孔12周縁に位置決めされている。第二樹脂成形部16は、その上端面が後述するフランジ部24の下端面に当接しており、この当接によって、第二樹脂成形部16の上側L1への変位が規制されている。なお、第一樹脂成形部15と第二樹脂成形部16は、弁ハウジング11に対して同時にインサート成形されてもよいし、第一樹脂成形部15と第二樹脂成形部16とのうち、一方をインサート成形により成形した後に、他方をインサート成形してもよい。
そして、この場合、第一樹脂成形部15と第二樹脂成形部16の樹脂材料を同一としてもよいし、異なるものとしてもよい。例えば、第一樹脂成形部15と第二樹脂成形部16のうち一方は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)とPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)とを混合した樹脂材料等で成形し、他の部材との摺動性を向上させてもよい。また、例えば、第一樹脂成形部15と第二樹脂成形部16のうち他方は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)にGF(グラスファイバー)を加えた樹脂材料等で形成し、強度と絶縁性を向上させてもよい。
ここで、第一樹脂成形部15を上記の様にPPSとPTFEとを混合した樹脂材料で成形することで、後述のホルダガイド部31の弁ホルダガイド孔32aと弁ホルダ43との摺動性を向上させることができるため、電動弁1の作動時の摺動抵抗が減り、摺動部分の摩耗を低減し、電動弁1の作動安定性が維持される。この様に、第一樹脂成形部15に用いる摺動性を向上させることができる樹脂材料としては、PPSとPTFEとを混合した樹脂材料を挙げたが、この樹脂材料以外にも、PPSとPTFEにCF(カーボンファイバー)を混合した樹脂材料を用いてもよく、また、これ以外にも、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の樹脂材料を用いてもよく、上記と同様に摩耗低減、作動安定性維持の効果がある。
また、第二樹脂成形部16を上記の様にPPSにGFを加えた樹脂材料で形成することで強度が向上し、絶縁性も向上するため、流路ブロック70の取付孔71に弁本体10を挿入する際に、第二樹脂成形部16が削れにくく、弁ハウジング11と流路ブロック70とが絶縁され、弁ハウジング11と流路ブロック70との間の電蝕を抑制することができる。この様に、第二樹脂成形部16に用いる強度と絶縁性を向上させることができる樹脂材料としては、PPSにGFを加えた樹脂材料を挙げたが、この樹脂材料以外にも、PBT(ポリブチレンテレフタレート)や、PC(ポリカーボネート)や、PA(ポリアミド)や、PS(ポリスチレン)等の樹脂材料を用いてもよく、上記と同様に電蝕抑制の効果がある。
第一樹脂成形部15と第二樹脂成形部16の成形により、弁ハウジング11の外周面には、径方向Xに凹む断面凹状の環状溝17が形成されている。環状溝17の底面は、弁ハウジング11の外周面で構成されており、環状溝17の下側L2の側面は、第一樹脂成形部15の上側L1の端面で構成されており、環状溝17の上側L1の側面は、第二樹脂成形部16の下側L2の端面で構成されている。すなわち、環状溝17は、弁ハウジング11の外周面で構成された底面と、樹脂成形部14で構成された一対の側面と、で断面凹状に形成されている。環状溝17には、環状のシール部材18が取り付けられている。シール部材18は、例えば、ゴム等の弾性を有する樹脂製の材料で形成されたOリングである。そして、弁ハウジング11の外周面における貫通孔12よりも下側L2部分には、板厚方向に貫通する第一ポート19(弁ポート)が形成されている。
第一ポート19は、弁ハウジング11内部と、後述する流路ブロック70の第一流路75と、を連通している。なお、この第一ポート19の配置、および、貫通孔12の配置、によれば、貫通孔12は、シール部材18よりも第一ポート19側で内外に貫通していることとなる。弁ハウジング11の下端部は、軸線L方向に開口し、その開口部分には、弁座部材20が嵌合し、嵌合状態で溶接やろう付け等により弁ハウジング11に固定されている。弁座部材20は、例えば、SUS(ステンレス)等の金属製の材料で円柱状に形成され、軸線L方向に延びている。弁座部材20の中心には、軸線L方向に貫通する第二ポート21(弁ポート)が形成されている。第二ポート21は、弁ハウジング11内部と、後述する流路ブロック70の第二流路77と、を連通している。弁座部材20の外周面には、径方向に凹む凹部22が形成されている。凹部22には、第二シール部材23が装着されている。第二シール部材23は、例えば、ゴム等の弾性を有する樹脂製の材料で形成されたOリングである。
弁ハウジング11の上端部は、軸線L方向に開口し、その開口縁部には、径方向外方に突出するフランジ部24が形成されている。フランジ部24の上端面には、SUS(ステンレス)等の金属製の材料で有底筒状に形成されたケース25が、その開口端縁を溶接等によって固定することで気密に固定されている。ケース25の固定と、上述した弁座部材20の固定と、により、弁本体10は、内部が気密の圧力容器となっている。ケース25の底部中央(図2では、電動弁1の上端部内側の内壁面に相当する部分)には、支持部26が取り付けられている。支持部26は、ケース25の上部内壁面に沿って延びて、ケース25に固定される傘部26aと、傘部26aの中央から軸線Lに沿って下側L2に突出する筒部26bと、を備えている。筒部26bは、下側L2に開口して形成されており、筒部26bの内周には、軸受26cが固定されている。この軸受26cの内周には、後述する駆動軸56の上端部57が挿入されている。弁ハウジング11の内部には、樹脂製筒状の支持部材30(樹脂製部材)が、インサート成形により一体に成形されている。
支持部材30は、軸線L方向に延びる筒状のホルダガイド部31を備えている。ホルダガイド部31の中心には、下側L2に延びる弁ホルダガイド孔32aと、弁ホルダガイド孔32aに連続し下側L2に開口する弁体ガイド孔32bが形成されている。弁ホルダガイド孔32aには、弁ホルダ43が挿入され、弁体ガイド孔32bには、弁体40の大径部42が挿入されている。ホルダガイド部31の下側L2部分は、弁ハウジング11の内周面に密着している。ホルダガイド部31の下端部33の外周面の一部は、上述した貫通樹脂部13に連続している。ホルダガイド部31の上端部には、上側L1に突出する筒状の軸ガイド部34が形成されている。軸ガイド部34はホルダガイド部31と同軸に形成され、その内周面には、駆動軸56の外周面に形成された雄ねじ58に螺合する雌ねじ35が形成されている。
弁体40は、第二ポート21に近接または離間するニードル弁である。弁体40は、第二ポート21に挿入されるニードル部41を備えている。ニードル部41は、軸線L方向に延びる柱状に形成され、その下端部は下側L2に向かうにしたがって縮径した略円錐状に形成されている。ニードル部41の上端部には、円柱状の大径部42が形成されている。大径部42は、ニードル部41よりも大径かつ、弁体ガイド孔32bよりも小径に形成され、軸線L方向に延びている。これによって、弁体40の大径部42の外周面が弁体ガイド孔32bの内周面に摺動可能となっている。大径部42の上端部は、筒状に形成された弁ホルダ43の下端部に挿入されて固定されている。
弁ホルダ43は、軸線L方向に延びて形成されている。弁ホルダ43の外径は、弁ホルダガイド孔32aの内径よりもやや小さく形成されており、これによって、弁ホルダ43の外周面が弁ホルダガイド孔32aの内周面に摺動可能となっている。なお、弁ホルダ43の外周面と弁ホルダガイド孔32aの内周面との摺動可能部分における径方向Xの隙間は、弁体40の大径部42の外周面と弁体ガイド孔32bの内周面との摺動部分における径方向Xの隙間よりも広くなっている。したがって、弁体40は、電動弁1の作動時に、主に、弁体40の大径部42の外周面と弁体ガイド孔32bの内周面との間の摺動部分で摺動することで、軸線L方向にガイドされる。弁ホルダ43の上端部には、軸線L方向に貫通する貫通孔44が形成され、貫通孔44には、駆動軸56の下端部59が挿通されている。弁ホルダ43の内部には、軸線L方向に延びる柱状のばね受け45が設置されている。ばね受け45の下端部は、大径部42の上端部と軸線L方向に対向しており、このばね受け45と大径部42の上端部との間には、ばね46が介在している。ばね46の設置により、ニードル部41は、第二ポート21側に付勢されている。
駆動部50は、弁体40を軸線L方向に駆動する部分であり、モータ51を備えている。モータ51は、ケース25の外部に配置されたステータコイル52と、ケース25の内部でステータコイル52に囲まれる位置に配置されるマグネットロータ53と、を備えている。ステータコイル52は、巻線部52aと、不図示のヨークや外装部材等を備えている。ステータコイル52は、不図示の制御部に接続され、制御部からパルス信号を受信することで、当該パルス信号に応じた所定の回転角度分、軸線Lを中心として左回りまたは右回りにマグネットロータ53を回転させる。なお、ステータコイル52のケース25への固定手段は、公知のものを用いることができる。
例えば、ケース25上端を跨ぐブラケットや、ケース下端外周面に接するブラケットをステータコイル52に設置し、当該ブラケットに凸部を設け、ケース25の凸部に対応する位置にディンプルを設け、凸部とディンプルの係合によりケース25とステータコイル52とを固定してもよい。例えば、第1実施形態の図1の構造では、ケース25上端を跨ぐブラケット(不図示)の凸部をケース25の上方外周の凹部25a(ディンプル)に係合させる構成であり、後述する第2実施形態の図5の構造では、ケース25下端外周面に接するブラケット(不図示)の凸部をケース25の下方外周の凹部25b(ディンプル)に係合する構成である。また、上記ブラケットを、後述する固定板79や流路ブロック70本体にボルト固定等してもよい。
マグネットロータ53は、磁性粉を混入した樹脂材でブッシュ55をインサート成形して、筒状に形成されている。マグネットロータ53の上側L1の内周面の一部には、径方向X内方に突出する突状としてのマグネット突出部54が形成されている。マグネットロータ53の中心部には、ブッシュ55がインサート成形にて設置され、ブッシュ55の中心には、軸線L方向に延びる駆動軸56が挿通している。駆動軸56は、マグネットロータ53とともに軸線L周りに回転する軸部である。駆動軸56の上端部57は、上述した支持部26の筒部26b内の軸受26cの内部に挿入され、軸線L周りに回転可能かつ軸線L方向に進退移動可能に支持されている。駆動軸56の外周面には、支持部材30の雌ねじ35に螺合する雄ねじ58が形成されている。駆動軸56の下端部59は、弁ホルダ43の貫通孔44に挿通して弁ホルダ43内に位置しており、その外周面には、径方向X外方に突出するフランジ60が形成されている。フランジ60の上側L1には、ワッシャ61が設置され、ワッシャ61とばね受け45とでフランジ60が軸線L方向に挟まれることで駆動軸56が弁ホルダ43に接続されている。
駆動部50は、マグネットロータ53の回転を規制するストッパ機構62を更に備えている。ストッパ機構62は、上述したケース25の支持部26における筒部26bを備えている。筒部26bの外周面には、螺旋状の溝を構成するガイド部64が形成されている。ガイド部64には、螺旋状の溝に螺合するスライダ65が設置されている。スライダ65には、径方向外方に突出する爪部66が形成されており、爪部66は、マグネットロータ53のマグネット突出部54に対して軸線L周りに当接可能となっている。この構成により、マグネットロータ53が回転すると、その回転に追従してスライダ65が軸線L周りに回転し、ガイド部64に案内されて上側L1または下側L2にスライダ65が移動することとなっている。そして、スライダ65がガイド部64の上端部に位置する支持部26の切り起こし部またはガイド部64の下端部に当接すると、それ以上回転できなくなることで、マグネットロータ53の回転が停止することとなっている。
次に流路ブロック70について説明する。流路ブロック70は、流体の流路を構成する部材であり、その全体形状は図示しないが、例えば、アルミ合金等の金属で箱状に形成されている。図3に示すように、流路ブロック70の中央には、軸線L方向に延びて上側L1に開口する取付孔71が形成されている。取付孔71は、弁本体10を挿入するための部分である。取付孔71の内周面上端には、下側L2に凹む段部72が形成されている。段部72の下側L2には、段部72よりも縮径した縮径部73が連続して形成されている。縮径部73の下側L2には、下側L2に向かうにしたがって縮径するテーパ部73aが形成され、この下側L2には、円筒状の第一被シール部74が形成されている。第一被シール部74の一部には、径方向Xに延びる第一流路75(流路)が形成されている。
第一流路75は、径方向X内方側の端部が取付孔71に連通し、径方向X外方側の端部が流路ブロック70の外部に連通している。第一被シール部74の下側L2には、円筒状の第二被シール部76が形成されている。第二被シール部76は、第一被シール部74よりも縮径し、軸線L方向に延びている。第二被シール部76の一部には、径方向Xに延びる第二流路77(流路)が形成されている。第二流路77は、径方向X内方側の端部が取付孔71に連通し、径方向X外方側の端部が流路ブロック70の外部に連通している。流路ブロック70の上面の中心から径方向X外方に離れた位置には、上側L1に開口する雌ねじ部78が形成されている。
上述のように構成された弁本体10および駆動部50と、流路ブロック70とは、本実施形態では、図1に示すように固定板79とボルト82を用いて接続される。固定板79は、弁本体10のフランジ部24の上端面および流路ブロック70の上端面に当接する板部材である。固定板79の中心には、弁本体10のケース25を挿通可能な貫通孔80が、軸線L方向に貫通形成されている。また、固定板79の上面において、上述した流路ブロック70の雌ねじ部78に対応する位置には、ボルト82を挿通可能なボルト孔81が、軸線L方向に貫通形成されている。弁本体10を流路ブロック70に接続する際には、まず、ステータコイル52を取り付けていない弁本体10を流路ブロック70の取付孔71に挿入する。これにより、弁本体10のフランジ部24の下端面を流路ブロック70の段部72上端面に当接させる。
次に、貫通孔80にケース25を通しながら、固定板79を流路ブロック70の上端面およびフランジ部24の上端面に載置する。そして、この状態で、ボルト82をボルト孔81に挿通させ、雌ねじ部78に螺合させていく。この螺合の際、フランジ部24が固定板79によって段部72に押し付けられることにより、弁本体10と流路ブロック70とが一体となり、弁本体10が流路ブロック70に固定される。弁本体10が流路ブロック70に固定された状態では、図4に示すように、第二樹脂成形部16の径方向X外方側の端面と、流路ブロック70の縮径部73、および、テーパ部73aの径方向X内面と、の間に外部に連通する空間が生じており、フランジ部24下端と、流路ブロック70の段部72上面との間、および、フランジ部24上面と固定板79下面との間は接してはいるが、密封されておらず流体(大気)は流通するため、上記空間は大気圧部83を構成している。また、この状態では、第一流路75、第一ポート19、弁本体10内部、第二ポート21、および第二流路77が連通して空間を形成しており、この空間は、大気圧部83よりも高圧の流体高圧部84となっている。
また、この状態では、弁ハウジング11の外周面と、流路ブロック70の第一被シール部74と、によって、シール部材18が径方向Xに圧縮されている。これにより、シール部材18は、弁ハウジング11の外周面と、第一被シール部74と、に密接している。すなわち、シール部材18は、環状溝17の底面と、取付孔71の内周面と、に密接している。そして、このシール部材18の配置により、流体高圧部84を流れる流体が、大気圧部83側に漏れることが防止されている。また、この状態では、図1に示すように、弁座部材20の凹部22底面と、流路ブロック70の第二被シール部76と、によって第二シール部材23が径方向Xに圧縮されている。これにより、第二シール部材23は、凹部22底面と、第二被シール部76と、に密接している。そして、このような第二シール部材23の配置により、流体高圧部84を流れる流体が、弁本体10外部を通って第二流路77側に漏れることが防止されている。
なお、この状態では、図1に示すように、弁ハウジング11の外周面と第一被シール部74との間には、第一樹脂成形部15と、第二樹脂成形部16と、が介在しており、弁ハウジング11と第一被シール部74とが直接接触していない。また、図1では、弁座部材20の外周面と、第二被シール部76と、の間に隙間が生じていないように見えるが、実際は、当該部分に隙間が生じている。この構成により、弁ハウジング11と流路ブロック70とは、樹脂成形部14を介することで互いに非接触状態で取り付けられていることとなる。ここで、例えば、弁ハウジング11がステンレス等で構成され、流路ブロック70がアルミ合金等で構成され、互いに接触状態で取り付けられている場合、異種金属間のイオン化傾向差により電蝕が発生する場合がある。しかしながら、本実施形態では、弁ハウジング11と流路ブロック70とが互いに非接触状態で取り付けられているため、この電蝕の発生が抑制されることとなる。
次に、電動弁1の動作について説明する。本実施形態の電動弁1は、例えば、車両等に設けられた冷媒の流路に設置され、冷媒の流量を制御することに用いられる。まず、図1に示す状態では、弁体40のニードル部41が弁座部材20に着座して第二ポート21を閉塞している。この状態では、第二ポート21の部分で第一流路75、第二流路77間に流れる冷媒の流路が遮断されることで、冷媒の流れが止まる。次に、モータ51を駆動する。モータ51が駆動されると、マグネットロータ53および駆動軸56が軸線L周りに回転する。この回転により、駆動軸56の雄ねじ58が、支持部材30の雌ねじ35にねじ送りされ、マグネットロータ53および駆動軸56が上側L1に移動する。そして、駆動軸56が上側L1に移動することにより、弁ホルダ43が弁ホルダガイド孔32a内で上側L1に引き上げられ、その際、弁体40の大径部42の外周面が、弁ガイド孔32bの内周面に摺動しながら上側L1に引き上げられ、これに合わせてニードル部41が第二ポート21から離座して上側L1に移動する。
ニードル部41が離座すると、第二ポート21が開口し、第一流路75、第一ポート19、弁本体10内、第二ポート21、第二流路77が連通し、この連通部分に冷媒が流れる。なお、この際、ニードル部41が第二ポート21内に位置するうちは、ニードル部41が第二ポート21から離れるほど、ニードル部41外周面と第二ポート21内周面との隙間が増大し、徐々に冷媒の流量が増加する。そして、ニードル部41が第二ポート21外に位置すると、第二ポート21の開度は最大となり、その後は弁体40が上昇しても冷媒の流量が一定となる。そして、ストッパ機構62のスライダ65がガイド部64の上端部に位置する支持部26の切り起こし部に当接すると、マグネットロータ53の回転が規制されることで、弁体40の上昇が止まる。その後、マグネットロータ53を逆回転させると、マグネットロータ53および駆動軸56が軸線L周りに回転しながら下側L2に移動し、これに合わせて弁体40が下側L2に移動し、ニードル部41が弁座部材20に着座する。この着座により、再び第二ポート21が閉塞させられる。
以上、上述した第1実施形態によれば、樹脂成形部14と弁ハウジング11の外周面とで環状溝17を構成したことにより、切削加工で環状溝17を成形する必要がない。このため、環状溝17の製造が容易となり、電動弁1(弁装置)の製造コストを低減することができる。また、この構成によれば、環状溝17における金属製の底面と、取付孔71における金属製の内周面と、の間を直接シール部材18で接続することができることから、樹脂成形部14の一部が金属製の弁ハウジング11から剥離し樹脂成形部14と弁ハウジング11の接触部分に隙間等が生じたとしても弁本体10の外周面と流路ブロック70の内周面との間のシール性能を確実に確保することができ、外部に流体が漏れることがない。したがって、低コストで流体の外部漏れを防止することができる電動弁1(弁装置)を提供することができる。
また、弁ハウジング11の貫通孔12に設けられた貫通樹脂部13に連続して樹脂成形部14を設けることで、樹脂成形部14の弁ハウジング11に対する軸線L方向や軸線Lまわりの回転方向への位置ずれを抑制することができる。また、貫通孔12は、シール部材18よりも第一ポート19(弁ポート)側に形成されている。このため、仮に貫通孔12から貫通樹脂部13が剥離し、貫通孔12内周面と貫通樹脂部13との隙間を通って弁ハウジング11の内方から外方に流体が流れたとしても、その流体の流れをシール部材18で止めることができる。したがって、弁ハウジング11内方から弁ハウジング11と流路ブロック70の間を通って外部に流体が流出することを抑制することができる。
また、貫通樹脂部13を介して支持部材30(樹脂製部材)と第一樹脂成形部15とを連続形成したことで、支持部材30と第一樹脂成形部15の弁ハウジング11に対する軸線L方向や軸線Lまわりの回転方向への位置ずれを抑制することができる。そして、弁ハウジング11に対する支持部材30の位置ずれが抑制されるため、例えば、支持部材30が、モータ等の回転力を受けた弁体40の軸線Lまわりの回転を規制するホルダガイド部31等を備えていた場合、軸線Lまわりに回転しようとする弁体40に合わせてホルダガイド部31等が軸線Lまわり回転してしまうことを防止することができる。このため、弁体40の回転規制の機能を確実に確保することができる。
また、本実施形態では、弁ハウジング11と流路ブロック70とは、樹脂成形部14を介することで互いに非接触状態で取り付けられていた。電動弁1では、弁ハウジング11がステンレス等の金属で成形され、流路ブロック70がアルミ合金等で成形される場合がある。この場合、弁ハウジング11と流路ブロック70とが接触するとイオン化傾向差により電蝕の発生が懸念される。しかしながら、本構成によれば、樹脂成形部14を介して弁ハウジング11と流路ブロック70とを非接触状態にすることができる。このため、弁ハウジング11がステンレス等で成形され、流路ブロック70がアルミ合金等で成形されていたとしても、上述した電蝕の発生を抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態の電動弁100(弁装置)の断面図である。図6は、図5に示す電動弁100の領域Bにおける拡大断面図である。図7は、第2実施形態の電動弁100が備えるプッシュナット90(留め具)の平面図である。電動弁100は、弁ハウジング11’と別体に設けられたフランジ部材27(固定部)を備えている。フランジ部材27は、弁ハウジング11を流路ブロック70に固定するための部分であり、図5に示すように、弁ハウジング11の外周面を周方向に覆う筒状部28と、筒状部28の上端に連続し、径方向X外方に突出するフランジ部29と、で構成されている。フランジ部材27は、溶接またはろう付け等によって弁ハウジング11に固定されている。そして、第2実施形態では、弁ハウジング11へのフランジ部29の固定が完了した状態で、第一樹脂成形部15’と第二樹脂成形部16’とがインサート成形される。第一樹脂成形部15’は、貫通樹脂部13に連続し、筒状部28の下端面から筒状部28の径方向X外方側の端面に亘って成形されている。
第二樹脂成形部16’は、フランジ部29の径方向X外方側の端面からフランジ部29の下面および筒状部28の径方向X外方側の端面に亘って成形されている。なお、このように、第二樹脂成形部16’は、フランジ部29の一部を覆うように成形されてもよいが、第二樹脂成形部16’の構造はこれに限られない。図8は、第2実施形態の変形例に係る電動弁100の拡大断面図である。図8に示すように、第二樹脂成形部16’aは、フランジ部29の上面、フランジ部29の径方向X外方側の端面、およびフランジ部29の下面に亘って成形されている。このように、フランジ部材27(固定部)の外面の少なくとも一部が樹脂成形部14に覆われていればよい。
そして、筒状部28の径方向X外方側の端面(弁ハウジング11の外周面)と、第一樹脂成形部15’の上面と、第二樹脂成形部16’の下端面と、で環状溝17’が形成されている。環状溝17’は第1実施形態の環状溝17に相当し、環状溝17’には、シール部材18が取り付けられている。第2実施形態の支持部材30’には、ホルダガイド部31の上端部から上側L1に延びる軸ガイド部34’が形成されている。軸ガイド部34’は、第1実施形態の軸ガイド部34に相当するが、第2実施形態では、軸ガイド部34’の外周面には、螺旋状のガイド部64’が形成されている。ガイド部64’には、スライダ65が設置されている。スライダ65の爪部66は、マグネットロータ53のマグネット突出部54に当接している。すなわち、第2実施形態では、支持部材30に上述したストッパ機構62が設けられている。
図6に示すように、第2実施形態の流路ブロック70’における取付孔71’には、取付凹部85と、取付突起86と、が形成されている。取付凹部85は、段部72の上端部に連続し、軸線L周りの全周に亘って径方向X外方に凹んでいる。取付突起86は、取付凹部85の上端部から軸線L周りの全周に亘って径方向X内方に突出している。第2実施形態の電動弁100は、プッシュナット90(留め具)を備えている。プッシュナット90は、弁本体10’と流路ブロック70’との取り付け状態を維持するための部品であり、例えば、本実施形態では、樹脂製の材料を用いて筒状に形成されている。プッシュナット90は、弁ハウジング11を周方向に覆う円筒状の胴部91と、胴部91の上端部から径方向X外方に突出するフランジ部92と、を備えている。胴部91には、径方向X外方に突出する係止突起93が形成されている。
図7に示すように、フランジ部92の一部には、軸線L方向から見て胴部91にまで亘る割り部94が形成されている。割り部94は、フランジ部92を軸線L方向から見た場合に、軸線L周りに所定角度θ分、形成されている。割り部94の形成により、胴部91は、径方向X内方に弾性変形可能となっている。係止突起93は、胴部91が弾性変形する前の状態で、流路ブロック70の取付突起86の内径よりも大きな外径を備えて形成されている。弁本体10’は、以下のように流路ブロック70に取り付けられる。まず、ステータコイル52を取り付けていない弁本体10’を流路ブロック70’の取付孔71’に挿入する。これにより、図6に示すように、第二樹脂成形部16’のうちフランジ部29の下面を覆う部分を、流路ブロック70’の段部72上端面に当接させる。
そして、この状態で、プッシュナット90の胴部91を、径方向X内方に弾性変形させながら、弁ハウジング11と流路ブロック70との間に挿入する。この際、弾性変形により、係止突起93の径方向X外方側の端部が、流路ブロック70の取付突起86を乗り越える。その後、プッシュナット90の挿入が完了すると、胴部91は復元して弾性変形前の状態に戻る。この復元により、係止突起93が、流路ブロック70の取付凹部85に嵌まり込むとともに、復元力によって取付凹部85に押し付けられる。そして、この状態で、係止突起93と取付突起86とが噛合って係止されることで、プッシュナット90の上側L1への変位が規制される。そして、プッシュナット90の取り付けが完了すると、フランジ部材27(弁ハウジング11)の外周面と、流路ブロック70の第一被シール部74と、によって、シール部材18が径方向Xに圧縮されることとなる。これにより、シール部材18は、フランジ部材27の外周面と、第一被シール部74と、に密接している。
そして、この際、第一樹脂成形部15’と、第二樹脂成形部16’とが、フランジ部材27と流路ブロック70との間に介在しており、弁ハウジング11と流路ブロック70とが直接接触していない。これにより、弁ハウジング11がステンレス等で構成され、流路ブロック70がアルミ合金等で構成されていたとしても、上述した異種金属管のイオン化傾向差による電蝕を防止することができる。なお、この際、図6に示す第2実施形態のように、フランジ部材27の外面の全てを第二樹脂成形部16で覆っていない場合は、プッシュナット90を樹脂製の材料で形成すると、第一樹脂成形部15の下端からプッシュナット90の上端までの部分で、弁ハウジング11と流路ブロック70との間に樹脂が介在することとなる。このため、当該部分で弁ハウジング11と流路ブロック70とが直接接触することを確実に防止することができ、上記電蝕を防止することができる。
一方、第2実施形態の変形例のように、フランジ部材27の外面の全てを第二樹脂成形部16で覆う場合は、プッシュナット90を金属製の材料で形成したとしても、特にフランジ部材27と流路ブロック70とが直接接触することがないため、プッシュナット90は必ずしも樹脂製の材料で形成しなくてもよい。このように、プッシュナット90は、弁本体10’等の他の構成との兼ね合いを考慮しつつ、様々な材料で形成することができる。例えば、プッシュナット90は、金属製の材料で形成してもよいし、樹脂製の材料で構成してもよいし、金属製の材料で形成した後に樹脂でコーティングする、樹脂をインサート成形する等の方法で形成してもよい。
第2実施形態および第2実施形態の変形例によれば、フランジ部材27(固定部)の少なくとも一部が樹脂成形部14に覆われていることで、フランジ部材27と流路ブロック70とが直接接触することを防止することができる。このため、例えば、フランジ部材27がステンレス等の金属で成形され、流路ブロック70’がアルミ合金等で形成されていた場合、フランジ部材27と流路ブロック70’の接触による電蝕の発生を抑制することができる。また、本構成によれば、プッシュナット90(留め具)を用いて弁ハウジング11’と流路ブロック70’との取り付け状態を維持することができる。この際、プッシュナット90は、弾性変形後の復元力により取付孔71’に係止されるため、弁ハウジング11’と流路ブロック70’との固定に際し、ねじ止め等の煩雑な作業をする必要がない。したがって、プッシュナット90を取付孔71’に容易に固定することができる。
そして、取付孔71’にプッシュナット90が係止された状態では、弁ハウジング11’と流路ブロック70’との間にプッシュナット90が介在することとなるため、当該プッシュナット90により、弁ハウジング11’と流路ブロック70’とが直接接触することを防止することができる。このため、例えば、弁ハウジング11’がステンレス等の金属で成形され、流路ブロック70’がアルミ合金等で形成されていた場合、弁ハウジング11’と流路ブロック70’の接触による電蝕の発生を抑制することができる。
以上、弁装置の実施形態および変形例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本実施形態では、弁装置の例として電動弁1および電動弁100を例示したが、電動弁1および電動弁100には、例えば、ステッピングモータで第二ポート21を開閉する電子膨張弁も含まれる。また、弁装置は、電動弁1および電動弁100に限られず、電磁コイルでプランジャを進退移動させる電磁弁であってもよいし、弁体を手動で移動させる手動弁であってもよい。