詳細な説明
定義
本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、下記で他に定義されない限り、当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有することが意図される。本明細書で用いられる技法の言及は、当業者に認識されるであろうその技法に対する変形形態または等価な技法の置換を含んで、当技術分野において通常理解される技法を指すことが意図される。以下の用語は、当業者によって十分に理解されると考えられるが、以下の定義は、ここに開示される主題の説明を容易にするために記載する。
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じていくらかの程度まで変わる。用語が使用される文脈を考慮して当業者に明確ではないこの用語の使用が存在する場合、「約」は、特定の値のプラスまたはマイナス10%までを意味する。
本明細書で使用される場合、「変更ペプチドリガンド」または「APL」は、MHC結合性ペプチドなどのペプチドリガンドの変更バージョンまたは突然変異バージョンを指す。ペプチドリガンドの変更バージョンまたは突然変異バージョンは、それが由来するペプチドリガンドと比較して、少なくとも1つの構造的改変(例えば、アミノ酸置換)を含有する。例えば、APLのパネルは、公知のMHC結合性ペプチドの体系的またはランダム突然変異によって調製されて、それによって、本明細書に記載されるMHCコンジュゲート化多量体上へのローディングのためのMHC結合性ペプチドのライブラリーとして使用することができるAPLのプールを作出することができる。
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、実体のリストの文脈で使用される場合、単独で、または任意の可能な組合せもしくは下位組合せに存在している実体を指す。
「抗原決定基」または「エピトープ」という用語は、T細胞受容体、MHC分子または抗体の可変ドメインが特異的に結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、連続アミノ酸、またはタンパク質の三次フォールディングによって並置される不連続アミノ酸の両方から形成され得る。連続アミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露において保持されるが、三次フォールディングによって形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒による処理において失われる。エピトープは、典型的には、固有の空間コンフォメーションにおいて、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個のアミノ酸を含む。どのエピトープが所与のTCRまたは抗体によって結合されるかを決定するための方法(すなわち、エピトープマッピング)は、当技術分野において周知であり、例えば、免疫ブロットおよび免疫沈降アッセイが挙げられ、ここで、抗原由来の重複または連続ペプチドが、所与のTCRまたは免疫グロブリンとの反応性について試験される。エピトープの空間コンフォメーションを決定する方法は、当技術分野における技法および本明細書に記載される技法、例えば、x線結晶学的核磁気共鳴、極低温電子顕微鏡法(cryo-EM)、水素重水素交換質量分析(HDX-MS)、および部位特異的突然変異誘発が挙げられる(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, G. E. Morris, Ed. (1996)を参照されたい)。
「アビディティー」という用語は、本明細書で使用される場合、多価分子(例えば、可溶性多量体pMHC-免疫グロブリンタンパク質)の標的分子との多数の結合部位の協同的相互作用性の機能としての結合強度を指す。switchSENSEおよび表面プラズモン共鳴を含む、分子相互作用のアビディティーを特徴付けるためにいくつかの技術が存在する(Gjelstrup et al., J. Immunol. 188:1292-1306, 2012);Vorup-Jensen, Adv. Drug. Deliv. Rev. 64:1759-1781, 2012)。
本明細書で使用される場合、「バーコード」は、オリゴヌクレオチドバーコードとも称され、それがコンジュゲートされる分子を識別する短いヌクレオチド配列(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヌクレオチドの長さ)である。バーコードは、例えば、反応混合物中の分子を識別するために使用することができる。バーコードは、例えば「固有分子識別子」バーコードをそれぞれ含有するプライマーを使用して逆転写を行うことによって、それがコンジュゲートされる分子を固有に識別する。他の実施形態では、それぞれの分子に固有の「分子バーコード」を含有するプライマーを利用することができる。分子をバーコードで標識するプロセスは、本明細書では、「バーコード化」と称する。「DNAバーコード」は、DNA配列決定の間に標的分子を識別するために使用されるDNA配列である。一部の実施形態では、DNAバーコードのライブラリーは、例えばプール中のオリゴをアセンブルすることによって、ランダムに生成される。他の実施形態では、DNAバーコードのライブラリーは、インシリコで合理的に設計され、次いで製造される。
「結合親和性」は、一般に、分子(例えば、TCR、pMHC)の単一の結合部位とその結合パートナーとの間の非共有結合的相互作用の総計の強度を指す。他に示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対(例えば、TCRおよび抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する内因的な結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(kd)によって表すことができる。例えば、kdは、約200nM、150nM、100nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、8nM、6nM、4nM、2nM、1nM、またはそれよりも強くあり得、最大で1μMを含む。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当技術分野において公知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性TCRは、一般に、抗原にゆっくりと結合し、直ちに解離する傾向があるが、高親和性TCRは、一般に、抗原により速く結合し、より長く結合したままである傾向がある。結合親和性を測定する各種の方法は、当技術分野において公知であり、そのいずれかを本開示の目的のために使用することができる。
「生体直交型ケミストリー」という用語は、天然の生化学的プロセスを妨げることなく、生体系の内部で起こり得る任意の化学反応を指す。この用語は、生理学的pHでin vitroで、または水の存在下で起こる化学反応である化学反応を含む。生体直交型を考慮すると、反応は、選択的であり、出発化合物中に見出される他の官能基との副反応は回避される。加えて、反応パートナー間で生じる共有結合は、強く、かつ生体反応に化学的に不活性でなければならず、所望の分子の生物活性に影響を及ぼしてはならない。
本明細書で使用される場合、「担体」および「薬学的に許容される担体」という用語は、生理学的に適合性である、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。
「キレーターリガンド」という用語は、本明細書で使用される場合、放射性標識された補欠分子族を生物学的に活性な標的分子(例えば、ペプチドまたはタンパク質)に共有結合的に連結する二官能性コンジュゲート性部分を指す。二官能性コンジュゲート性部分は、官能基、例えば、アミドカップリングのためにカルボン酸または活性化エステル、チオウレアカップリングのためにイソチオシアネート、およびチオールカップリングのためにマレイミドを利用する。
本明細書で使用される場合、「切断可能部分」という用語は、切断可能であるモチーフまたは配列を指す。一部の実施形態では、切断部分は、タンパク質、例えば、酵素的切断部位を含む。一部の実施形態では、切断部分は、例えば酸化/還元条件への曝露、光/超音波、温度、pH、圧力などによる、化学的切断部位を含む。
「クリックケミストリー」という用語は、新たな化合物およびコンビナトリアルライブラリーの迅速な合成のための信頼できる選択的な生体直交型反応のセットを指す。クリック反応の特性としては、生理学的条件下で安定な化合物を産生するための、モジュール性、範囲の広さ、高収率、立体選択性、およびシンプルな産物単離(非クロマトグラフ法による不活性副産物からの分離)が挙げられる。放射化学およびラジオファーマシーでは、クリックケミストリーは、選択的なモジュール性のビルディングブロックを使用し、触媒の非存在下で生物学的に関連する化合物を放射性標識するための化学選択的ライゲーションを可能にする、一連の標識化反応に対する一般的な用語である。「クリック反応」は、銅を用いて行うことができ、またはこれは、無銅クリック反応であり得る。クリックケミストリーハンドルおよび反応の非限定的な例を図1に示す。
本明細書で使用される場合、「共有結合的コンジュゲーションのために十分な条件」という用語は、限定されるものではないが、所望の共有結合的コンジュゲーション化学反応が起こるような好適な温度、pHおよび反応構成要素の濃度を含む反応条件を指す。
本明細書で使用される場合、「コンジュゲート化多量体」という用語は、pMHCコンジュゲート化多量体とも称され、コンジュゲーション部分を含むpMHC単量体とコンジュゲーション部分を含む多量体化ドメインとの反応から生じる反応産物を指し、ここで、2つのコンジュゲーション部分は互いと反応して、pMHC単量体と多量体化ドメインとの間で共有結合的連結を形成し、それによってコンジュゲート化多量体を形成する。一実施形態では、コンジュゲート化多量体は、コンジュゲート化四量体であり、ここで、4つのpMHC単量体は、それらのコンジュゲーション部分を通して多量体化ドメインと反応して、それによって四量体を形成する。一実施形態では、コンジュゲート化多量体は、pMHCIコンジュゲート化多量体(例えば、四量体)であり、ここで、pMHCクラスI単量体が多量体化される。一実施形態では、コンジュゲート化多量体は、pMHCIIコンジュゲート化多量体(例えば、四量体)であり、ここで、pMHCクラスII単量体が多量体化される。
本明細書で使用される場合、「架橋ユニット」という用語は、別の(同じまたは異なる)分子に連結される分子を指し得る。一部の実施形態では、架橋ユニットは、単量体である。一部の実施形態では、架橋は、化学結合である。一部の実施形態では、架橋は、共有結合である。一部の実施形態では、架橋は、イオン結合である。一部の実施形態では、架橋は、連結される分子の少なくとも1つの物理的特性、例えばポリマーの物理的特性を変更する。
本明細書で使用される場合、「エンドプロテアーゼ」という用語は、非末端アミノ酸のペプチド結合を切断するプロテアーゼを指す。
本明細書で使用される場合、「エピトープ」(「ペプチドエピトープ」におけるような)という用語は、免疫受容体に結合する(それと相互作用する、またはそれによって認識される)抗原(例えば、抗原性タンパク質)の一部を指す。そのため、T細胞受容体は、ペプチドエピトープと複合体化された(それがロードされた)MHC分子を認識し、それに結合する。
「交換可能pMHCポリペプチド」、「交換可能pMHC多量体」および「プレースホルダペプチドロードMHCポリペプチド」という用語は、本明細書で互換的に使用され、MHCポリペプチドの結合溝中にプレースホルダペプチドを含むMHC単量体またはMHC多量体を指し、「p*MHC」単量体または多量体とも称される。「交換可能」は、プレースホルダペプチドの抗原ペプチドとの交換を可能にするp*MHC単量体またはp*MHC多量体の特性を指す。一実施形態では、交換可能pMHCまたはp*MHCポリペプチドは、MHCクラスI分子の結合溝中にMHCクラスI結合性ペプチドを有するMHCクラスI分子を含む。別の実施形態では、交換可能pMHCまたはp*MHCポリペプチドは、MHCクラスII分子の結合溝中にMHCクラスII結合性ペプチドを有するMHCクラスII分子を含む。
本明細書で互換的に使用される「融合タンパク質」または「融合ポリペプチド」は、2つのポリペプチドが単一のタンパク質分子に連結または融合することによって調製される組換えタンパク質を指す。
本明細書でMHC単量体に適用される「単離された」という用語は、MHC糖タンパク質を指し、これは、その天然の状態以外であり、例えば、正常にMHCを発現する細胞の細胞膜と会合しない。この用語は、全長サブユニット鎖、およびMHC単量体の機能的断片を包含する。機能的断片は、抗原結合部位および適切なT細胞受容体による認識のために必要な配列を含むものである。これは、典型的には、全長鎖の配列の少なくとも約60~80%、典型的には90~95%を含む。「単離された」MHCサブユニット構成要素は、適切な細胞起源から組換え的に産生または可溶化され得る。一実施形態では、「単離された」MHC単量体は、MHCクラスI単量体、例えばβ2-ミクログロブリンと会合されるMHCクラスI重鎖(α鎖)の可溶性形態である。別の実施形態では、「単離された」MHC単量体は、MHCクラスII単量体、例えばMHCクラスIIα/β鎖の可溶性形態である。
本明細書で使用される場合、「識別子」という用語は、識別子に対応する同一性などの情報を提供するデータの読み取り可能な表現を指す。
本明細書で使用される場合、「連結された」、「コンジュゲートされた」、「融合された」または「融合」という用語は、組換えまたは化学手段を含むどんな手段によっても、2つより多くのエレメントまたは構成要素またはドメインを一緒に接合することに言及する場合、互換的に使用される。
「主要組織適合遺伝子複合体」または「MHC」という用語は、それぞれ、断片化タンパク質のペプチドを循環する細胞傷害性およびヘルパーTリンパ球に提示することによって免疫応答を調節するMHC古典的クラスIおよびクラスII分子として公知の多様な細胞膜結合糖タンパク質をコードする遺伝子の群を含有するゲノム遺伝子座を指す。ヒトでは、この遺伝子の群は、「ヒト白血球抗原」または「HLA」系とも呼ばれる。ヒトMHCクラスI遺伝子は、例えば、HLA-A、HL-BおよびHLA-C分子をコードする。HLA-Aは、ヒトMHCクラスI細胞表面受容体の3つの主要な種類のうちの1つである。他は、HLA-BおよびHLA-Cである。HLA-Aタンパク質は、ヘテロ二量体であり、重α鎖およびより小さいβ鎖で構成される。α鎖は、バリアントHLA-A遺伝子によってコードされ、β鎖は、インバリアントβ2ミクログロブリン(β2m)ポリペプチドである。β2ミクログロブリンポリペプチドは、ヒト遺伝子の別々の領域によってコードされる。HLA-A*02(A*02)は、HLA-A血清型群内のヒト白血球抗原血清型である。血清型は、HLA-A α鎖のα2ドメインの抗体認識によって決定される。A*02について、α鎖はHLA-A*02遺伝子によってコードされ、β鎖はB2M遺伝子座によってコードされる。ヒトMHCクラスII遺伝子は、例えば、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、およびHLA-DRB1をコードする。ヒト主要組織適合遺伝子複合体の完全なヌクレオチド配列および遺伝子地図は公開されている(例えば、The MHC sequencing consortium, Nature 401:921-923, 1999)。
本明細書で使用される場合、「MHC分子」および「MHCタンパク質」という用語は、本明細書で、MHCクラスIおよびMHCクラスII遺伝子によってコードされる多様な糖タンパク質を指すために使用され、これは、ペプチドエピトープのT細胞への提示に関与する。「MHCクラスI」または「MHC I」という用語は、3つのドメイン(α1、α2およびα3)で構成されるα鎖、および第2のインバリアントβ2-ミクロブロブリンを含むタンパク質分子を指すために互換的に使用される。α3ドメインは、膜貫通性であり、MHCクラスI分子を細胞膜にアンカリングする。抗原由来ペプチドエピトープは、α1/α2ヘテロ二量体の中央領域において、ペプチド結合溝中に位置する。HLA-AなどのMHCクラスI分子は、短ポリペプチドを免疫系に提示するプロセスの部分である。これらのポリペプチドは、典型的には、9~11アミノ酸長であり、細胞によって発現されるタンパク質が起源である。MHCクラスI分子は、抗原をCD8+細胞傷害性T細胞に提示する。「MHCクラスII」または「MHC II」という用語は、2つのドメイン(α1およびα2)を有するα鎖および2つのドメイン(β1およびβ2)を有するβ鎖を含有するタンパク質分子を指すために互換的に使用される。ペプチド結合溝は、α1/β1ヘテロ二量体によって形成される。MHCクラスII分子は、抗原を特異的なCD4+T細胞を提示する。APCに内因的に送達される抗原は、MHCクラスIとの会合のために主にプロセシングされる。APCに外因的に送達される抗原は、MHCクラスIIとの会合のために主にプロセシングされる。
本明細書で使用される場合、MHCタンパク質(MHCクラスIまたはクラスIIタンパク質)はMHCバリアントも含み、これは、アミノ酸の置換、欠失または挿入を含有し、MHCペプチドエピトープ(MHCクラスIまたはMHCクラスIIペプチドエピトープ)に依然として結合する。この用語は、これらのタンパク質すべての断片、例えば、ペプチド結合を保持する細胞外ドメインも含む。
「MHCタンパク質」という用語は、脊椎動物の非ヒト種のMHCタンパク質も含む。脊椎動物の非ヒト種のMHCタンパク質は、脊椎動物のこれらの種の疾患の実験および治癒において、例えば獣医学において、およびヒト疾患が動物モデルにおいて調べられる動物試験、例えばヒト疾患の多発性硬化症の動物モデルであるマウス(mus musculus)におけるEAE(実験的自己免疫性脳脊髄炎)において、役割を果たす。脊椎動物の非ヒト種は、例えば、より具体的には、マウス(mus musculus)、ラット(rattus norvegicus)、ウシ(bos taurus)、ウマ(equus equus)、およびミドリザル(macaca mulatta)である。マウスのMHCタンパク質は、例えば、H-2タンパク質と称され、ここで、MHCクラスIタンパク質は、遺伝子座H2K、H2LおよびH2Dによってコードされ、MHCクラスIIタンパク質は、遺伝子座H2Iによってコードされる。
「ペプチドフリーMHCポリペプチド」または「ペプチドフリーMHC多量体」は、本明細書で使用される場合、MHCポリペプチドの結合溝中にペプチドを含有しないMHC単量体またはMHC多量体を指す。ペプチドフリーMHC単量体および多量体は、「空」とも称される。一実施形態では、ペプチドフリーMHCポリペプチドまたは多量体は、MHCクラスIポリペプチドまたは多量体である。別の実施形態では、ペプチドフリーMHCポリペプチドまたは多量体は、MHCクラスIIポリペプチドまたは多量体である。
本明細書で使用される場合、「多量体」という用語は、複数のユニットを指す。一部の実施形態では、多量体は、1つまたは複数の異なるユニットを含む。一部の実施形態では、多量体中のユニットは同じである。一部の実施形態では、多量体中のユニットは異なる。一部の実施形態では、多量体は、同じおよび異なるユニットの混合物を含む。
「ペプチドエピトープ」、「MHCペプチドエピトープ」、「MHCペプチド抗原」および「MHCリガンド」という用語は、本明細書で互換的に使用され、MHC分子のペプチド結合溝中で結合することができるMHCリガンドを指す。ペプチドエピトープは、典型的には、MHC分子によって提示され得る。ペプチドエピトープは、典型的には、ペプチド結合を介して連結されている8~25個のアミノ酸を有する。ペプチドは、改変、例えば、限定されるものではないが、アミノ酸残基の側鎖、標識またはタグの存在、合成アミノ酸の存在、アミノ酸の機能的等価体などを含有することができる。典型的な改変としては、細胞機構、例えば、グリカンの付加およびリン酸化によって産生するものが挙げられる。しかしながら、他の種類の改変も本開示の範囲内である。
本明細書で使用される場合、「ペプチド交換」という用語は、プレースホルダペプチドが除去され、「レスキューペプチド(または「レスキューペプチドエピトープ」)または「競合ペプチド」(または「競合ペプチドエピトープ」)とも本明細書で称される「交換されるペプチド」(または「交換ペプチドエピトープ」)によって置き換えられる競合アッセイを指す。典型的には、ペプチド交換は、プレースホルダペプチドがペプチドの切断によって放出される条件下、またはレスキューペプチドがMHC単量体もしくは多量体の結合性ポケットへの結合について競合するのを可能にする好適な条件下で起こる。例えば、ペプチド交換は、UV誘導交換、ジペプチド誘導交換、温度誘導交換、または当技術分野において公知および本明細書に開示される他の交換方法によって達成することができる。ペプチド交換の例示的な方法は、図2に示される。
本明細書で使用される場合、「ペプチドライブラリー」という用語は、複数のペプチドを指す。一部の実施形態では、ライブラリーは、固有の配列を有する1つまたは複数のペプチドを含む。一部の実施形態では、ライブラリー中の各ペプチドは、異なる配列を有する。一部の実施形態では、ライブラリーは、同じおよび異なる配列を有するペプチドの混合物を含む。
本明細書で使用される場合、「高多様性ペプチドライブラリー」という用語は、高度のペプチドの多様さを有するペプチドライブラリーを指す。例えば、高多様性ペプチドライブラリーは、約103、約104、約105、約106、約107、約108、約109、約1010、約1011、約1012、約1013、約1014、約1015、約1016、約1017、約1018、約1019、約1020、またはそれよりも多くの異なるペプチドを含む。
本明細書で使用される場合、「ライブラリーペプチド」という用語は、ライブラリー中の単一のペプチドを指す。
本明細書で使用される場合、「プレースホルダペプチド」または「交換可能ペプチド」という用語は、MHCタンパク質(例えば、MHCIまたはMHCIIタンパク質)に十分な親和性で結合し、アンフォールド状態からのMHCタンパク質の適当なフォールディングもしくはフォールドされたMHCタンパク質の安定化を引き起こすか、または促進する、ペプチドまたはペプチド様化合物を指すために互換的に使用される。プレースホルダペプチドは、その後、異なる目的のペプチド(交換ペプチドまたはレスキューペプチドと称される)と交換され得る。この交換は、UV誘導交換、ジペプチド誘導交換、温度誘導交換、または当技術分野において公知の他の交換方法によって達成することができる。
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。この用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的ミメティック、ならびに天然に存在するアミノ酸のポリマー、および天然に存在しないアミノ酸のポリマーである、アミノ酸のポリマーに適用される。「単離されたタンパク質」および「単離されたポリペプチド」という用語は、他の構成要素(例えば、タンパク質、細胞材料)および/または化学物質から分離または精製されているタンパク質(例えば、可溶性の多量体タンパク質)を指すために互換的に使用される。典型的には、ポリペプチドは、試料中の総タンパク質の少なくとも60(例えば、少なくとも65、70、75、80、85、90、92、95、97、または99)重量%を構成する場合、精製されている。
本明細書で使用される場合、「タンパク質フォールディング」という用語は、ペプチドの空間的組織化を指す。一部の実施形態では、アミノ酸配列は、ペプチドの空間的組織化またはフォールディングに影響を及ぼす。一部の実施形態では、ペプチドは、機能的コンフォメーションにフォールドされ得る。一部の実施形態では、フォールドされたペプチドは、1つまたは複数の生物学的機能を有する。一部の実施形態では、フォールドされたペプチドは、三次元構造を獲得する。
本明細書で使用される場合、「N末端アミノ酸残基」という用語は、ポリペプチドのN末端の1つまたは複数のアミノ酸を指す。
本明細書で使用される場合、「小ユビキチン様修飾因子部分」または「SUMOドメイン」または「SUMO部分」という用語は、互換的に使用され、特定のプロテアーゼ認識部分を指す。
本明細書で使用される場合、「タグ」という用語は、オリゴヌクレオチド構成要素、一般にDNAを指し、これは、それが接合される標的分子(例えば、コンジュゲート化多量体)を対処する手段を提供する。例えば、一部の実施形態では、タグは、(例えば、固有の配列および/またはオリゴヌクレオチド、例えばDNAポリメラーゼによる伸長のためのプライマー、または捕捉のためもしくはライゲーション反応のためのオリゴヌクレオチドのアニーリングのための部位を提供することによって)タグが付着している分子の識別、認識および/または分子もしくは生化学的操作を可能にするヌクレオチド配列を含む。タグを標的分子に接合するプロセスは、本明細書で「タグ化」と称される場合があり、タグ化を受けるか、またはタグを含有する標的分子は、「タグ化された」と称される(例えば、「タグ化されたコンジュゲート化多量体」)。タグは、バーコード、アダプター配列、プライマーのハイブリダイゼーション部位、またはそれらの組合せであり得る。
「T細胞」という用語は、細胞表面上のT細胞受容体の存在によって他の白血球から区別され得る白血球の種類を指す。いくつかのT細胞のサブセットが存在し、限定されるものではないが、ヘルパーT細胞(別名TH細胞またはCD4+T細胞)およびサブタイプ、例えば、TH1、TH2、TH3、TH17、TH9、およびTFH細胞、細胞傷害性T細胞(別名TC細胞、CD8+T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、T-キラー細胞、キラーT細胞)、メモリーT細胞およびサブタイプ、例えば、セントラルメモリーT細胞(TCM細胞)、エフェクターメモリーT細胞(TEMおよびTEMRA細胞)、およびレジデントメモリーT細胞(TRM細胞)、調節性T細胞(別名Treg細胞またはサプレッサーT細胞)およびサブタイプ、例えば、CD4+FOXP3+Treg細胞、CD4+FOXP3-Treg細胞、Tr1細胞、Th3細胞、およびTreg17細胞、ナチュラルキラーT細胞(別名NKT細胞)、粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT)、ならびにガンマデルタT細胞(γδT細胞)、例えば、Vγ9/Vδ2T細胞が挙げられる。「T細胞傷害性」という用語は、CD8+T細胞活性化によって媒介される任意の免疫応答を含む。
本明細書で使用される場合、「T細胞受容体」という語句および「TCR」という用語は、T細胞が抗原および/またはそのエピトープを認識するのを可能にする、典型的には、1つまたは複数の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合する、T細胞の表面タンパク質を指す。TCRは、抗原決定基を認識し、免疫応答を開始するように機能する。典型的には、TCRは、2つの異なるタンパク質鎖を含むヘテロ二量体である。大部分のT細胞では、TCRは、アルファ(α)鎖およびベータ(β)鎖を含む。各鎖は、2つの細胞外ドメイン:可変(V)領域および定常(C)領域を含み、その後者は、膜に近接している。α鎖およびβ鎖の可変ドメインは、相補性決定領域(CDR)とも称される3つの超可変領域から構成される。CDR、特にCDR3は、抗原に接触する主な原因となり、したがってTCRの特異性を定義するが、α鎖のCDR1は、抗原のN末端部分と相互作用することができ、β鎖のCDR1は、抗原のC末端部分と相互作用する。T細胞のおよそ5%が、ガンマおよびデルタ(γ/δ)鎖で作り上げられたTCRを有する。TCRのタンパク質ループおよびシートのアミノ酸配列のすべての番号付けおよび命名は、IMGT番号付けスキーム(IMGT、the international ImMunoGeneTics information system@imgt.cines.fr;http://imgt.cines.fr;Lefranc et al., (2003) Dev Comp Immunol 27:55 77.;Lefranc et al. (2005) Dev Comp Immunol 29:185-203)に従う。
本明細書で使用される場合、「可溶性T細胞受容体」および「sTCR」という用語は、TCRのヘテロ二量体性の短縮されたバリアントを指し、これは、TCRのα鎖およびβ鎖の細胞外部分(例えば、ジスルフィド結合によって連結される)を含むが、全長タンパク質の膜貫通およびサイトゾルドメインを欠く。可溶性TCRα鎖およびβ鎖の配列(アミノ酸または核酸)は、天然のTCR中の対応する配列と同一であってもよく、または、対応する天然のTCR配列と比較して、バリアント可溶性TCRα鎖およびβ鎖配列を含んでいてもよい。「可溶性T細胞受容体」という用語は、本明細書で使用される場合、バリアントまたは非バリアント可溶性TCRα鎖およびβ鎖配列を有する可溶性TCRを包含する。変形形態は、可溶性TCRα鎖およびβ鎖配列の可変または定常領域であってもよく、限定されるものではないが、アミノ酸の欠失、挿入、置換突然変異、およびアミノ酸配列を変更しない核酸配列に対する変更が挙げられ得る。バリアントは、それらの親分子の結合機能性を保持する。
本明細書で使用される場合、「TCR/pMHC複合体」は、T細胞受容体(TCR)またはその可溶性部分とペプチドロードMHC分子との間の結合によって形成されるタンパク質複合体を指す。したがって、「TCR/pMHC複合体の構成要素」は、TCRの1つまたは複数のサブユニット(例えば、Vα、Vβ、Cα、Cβ)、あるいはMHCまたはpMHCクラスIもしくはII分子の1つまたは複数のサブユニットを指す。
本明細書で使用される場合、「偏りのない」という用語は、1つまたは複数の選択基準を欠くことを指す。
概要
本開示は、MHC結合溝中の複数の固有のペプチドを含有し、ライブラリーメンバーの識別を容易にするためのオリゴヌクレオチドバーコード標識化を有するペプチドロードMHC(pMHC)多量体を含有するライブラリーのハイスループット生成のための方法を提供する。本明細書に提供される方法では、pMHC多量体の生成のための挑戦的で可能性がある非効率的な化学ステップのすべてを、クロマトグラフ浄化および精製を含む単一のバルク反応において行い、それに続いて非常に効率的なペプチド交換およびオリゴヌクレオチドバーコード化を行う。特に、pMHC単量体は、単量体と多量体化ドメインとの間の安定な化学的連結(すなわち、共有結合)を形成するために反応する単量体および多量体化ドメイン上のコンジュゲーション部分の使用により多量体化ドメインに連結され、それによってpMHCコンジュゲート化多量体、例えばpMHCコンジュゲート化四量体が形成される。さまざまなコンジュゲーション部分および反応が、本明細書に記載されるコンジュゲート化多量体の形成における使用のために好適であり、生体直交型ケミストリー、例えば、クリックケミストリーの使用を含み、これは、容易で効率的な反応を可能にする。また、多量体化ドメインがストレプトアビジンである場合、ビオチン結合部位は、pMHC単量体に付着するために使用されないので、このビオチン結合部位は、したがって、ビオチン化オリゴヌクレオチドバーコードの好都合な付着のために利用可能であり、それによって多量体を容易におよび効率的に標識する。
本明細書に提供されるpMHC多量体のライブラリーは、ある範囲の治療、診断および研究適用において、特にpMHC多量体が有用である任意の状況において有用である。例えば、本明細書に記載されるpMHC多量体は、各種の方法、例えば、幅広い適用において特異的T細胞を識別および単離する方法において使用することができる。一実施形態では、pMHC多量体は、pMHCクラスI多量体であり、これは、CD8+T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)の抗原特異性を決定するために有用である。別の実施形態では、pMHC多量体は、pMHCクラスII多量体であり、これは、CD4+T細胞(例えば、ヘルパーT細胞)の抗原特異性を決定するために有用である。
I.MHCポリペプチド
A.MHCクラスIポリペプチド
クラスI組織適合性三重複合体は、非共有結合によって会合される3つの部分から構成される。MHCI重鎖は、3つの細胞外ドメインから構成される約45kDaの多様な膜貫通糖タンパク質であり、約90アミノ酸(N末端のα1、α2およびα3)、約40アミノ酸の膜貫通ドメインおよび約30アミノ酸の細胞質尾部をそれぞれ含有する。MHCI重鎖のα1およびα2ドメインは、ペプチド結合溝または間隙を形成するアルファヘリックスの2つのセグメントを含有する。約8~10アミノ酸の短いペプチドは、2つのアルファヘリックス間のこの溝に非共有結合的に結合する(「フィットする」)。MHCI重鎖のα3ドメインは、細胞膜に近接している。MHCI重鎖は、β2ミクログロブリン(β2m)ポリペプチドに非共有結合して、三重複合体を形成する。MHCIでは、結合溝は、保存されたチロシン残基によって両方の末端で閉じられ、FポケットへのそのC末端ドッキングによる通常8~10残基への結合したペプチドのサイズ制限をもたらす。
本開示は、2つまたはそれよりも多くのMHCIまたはMHCI様ポリペプチドを含む多量体タンパク質を提供する。MHCI分子は、好適には、ヒト、マウス、ラット、ブタ、ウシ、または鳥類のMHC分子などの脊椎動物のMHC分子であり得る。
本明細書に記載される多量体性MHCI多量体の一部の実施形態では、MHC分子は、ヒトMHCクラスIタンパク質:HLA-A、HLA-BまたはHLA-Cである。一部の実施形態では、多量体は、MHCIクラスI様分子(非古典的MHCクラスI分子を含む)を含み、限定されるものではないが、CD1d、HLA E、HLA G、HLA F、HLA H、MIC A、MIC B、ULBP-1、ULBP-2、およびULBP-3が挙げられる。各種の脊椎動物種由来のMHCI重鎖、β2mポリペプチドおよびMHCクラスI様分子のアミノ酸配列は、当技術分野において公知であり、公開されている。
一部の実施形態では、MHCI重鎖アルファドメインは、ヒトであり、例えば、HLA-A*01:01、HLA-A*03:01、HLA-A*11:01、HLA-A*24:02、HLA-B*07:02、HLA-C*04:01、HLA-C*07:02、HLA-B*08:01、HLA-B*35:01、HLA-B*57:01、HLA-B*57:03、HLA-E、HLA-C*16:01、HLA-C*08:02、HLA-C*07:01、HLA-C*05:01、HLA-B*44:02、HLA-A*29:02、HLA-B*44:03、HLA-C*03:04、HLA-B*40:01、HLA-C*06:02、HLA-B*15:01、HLA-C*03:03、HLA-A*30:01、HLA-B*13:02、HLA-C*12:03、HLA-A*26:01、HLA-B*38:01、HLA-B*14:02、HLA-A*33:01、HLA-A*23:01、HLA-A*25:01、HLA-B*18:01、HLA-B*37:01、HLA-B*51:01、HLA-C*14:02、HLA-C*15:02、HLA-C*02:02、HLA-B*27:05、HLA-A*31:01、HLA-A*30:02、HLA-B*42:01、HLA-C*17:01、HLA-B*35:02、HLA-B*39:06、HLA-C*03:02、HLA-B*58:01、HLA-A*33:03、HLA-A*68:02、HLA-C*01:02、HLA-C*07:04、HLA-A*68:01、HLA-A*32:01、HLA-B*49:01、HLA-B*53:01、HLA-B*50:01、HLA-A*02:05、HLA-B*55:01、HLA-B*45:01、HLA-B*52:01、HLA-C*12:02、HLA-B*35:03、HLA-B*40:02、HLA-B*15:03、および/またはHLA-A*74:01からなる群から選択されるヒトMHCクラスI分子由来のMHCI重鎖アルファドメインを含む。これらのMHCI分子の全長アミノ酸配列(シグナル配列および膜貫通ドメインを含む)は、それぞれ、配列番号28~93に示される。これらのMHCI分子の可溶型のアミノ酸配列(シグナル配列および膜貫通ドメインを欠く)は、それぞれ、配列番号94~159に示される。
一部の実施形態では、本明細書に記載されるpMHCI多量体は、MHCI重鎖のα1およびα2ドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、MHCI重鎖のα1、α2、およびα3ドメインを含む。
一部の実施形態では、多量体中の2つまたはそれよりも多くのpMHCIまたはpMHCI様ポリペプチドは、β2-ミクログロブリンポリペプチド、例えば、ヒトβ2-ミクログロブリンを含む。一部の実施形態では、β2-ミクログロブリンは、野生型ヒトβ2-ミクログロブリンである。一部の実施形態では、β2-ミクログロブリンは、ヒトβ2-ミクログロブリンのアミノ酸配列と少なくとも80、85、90、95、または99%同一であるアミノ酸配列を含み、その全長配列は、配列番号160に示される(UniProt Id.番号P61769)。あるいは、pMHCI多量体中で使用されるヒトβ2-ミクログロブリンポリペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み得るか、またはそれからなり得る。
一部の実施形態では、多量体タンパク質は、可溶性MHCIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、MHC多量体タンパク質は、可溶性MHCI αドメインおよびβ2-ミクログロブリンポリペプチドを含む。一部の実施形態では、可溶性MHCIタンパク質は、MHCI重鎖α1ドメインおよびMHCI重鎖α2ドメインを含む。
あるいは、一部の実施形態では、MHCI単量体は、MHCI重鎖またはその機能的断片に共有結合的に連結されたβ2mポリペプチドまたはその機能的断片を含む融合タンパク質である。一部の実施形態では、β2mのカルボキシ(-COOH)末端は、MHCI重鎖のアミノ(-NH2)末端に共有結合的に連結されている。
一部の実施形態では、MHC単量体は、MHCI単量体の個々の構成要素間に1つまたは複数のリンカーを含む。一部の実施形態では、MHCI単量体は、リンカーを通してβ2mと融合された重鎖を含む。一部の実施形態では、重鎖とβ2mとの間のリンカーは、例えばグリシンおよびセリンで作られている可撓性リンカーである。一部の実施形態では、重鎖とβ2mとの間の可撓性リンカーは、5~20残基の間の長さである。他の実施形態では、重鎖とβ2mとの間のリンカーは、定義された構造を伴う剛性であり、例えば、グルタミン酸、アラニン、リシン、およびロイシンのようなアミノ酸で作られている。一実施形態では、リンカーは、(G4S)4リンカー(配列番号181、ここで、n=4である)である。
多くのMHCクラスIタンパク質のアミノ酸配列が公知であり、その遺伝子がクローニングされており、したがって、重鎖単量体は、組換え法を使用して発現させることができる。MHCI分子の発現および精製のための方法は、広く記載されている(例えば、Altman et al., Curr. Protoc. Enz. 17.3.1-17.2-44, 2016)。例えば、MHCI重鎖およびβ2-ミクログロブリンは、別々の細胞において発現され、精製によって単離され、次いで、in vitroで再フォールドすることができる。例えば、MHCポリペプチド鎖は、E.coliにおいて発現させることができ、ここで、MHCポリペプチド鎖は、細菌細胞中の不溶性封入体として蓄積する。in vitro再フォールディングは、例えば透析または希釈によって、ポリペプチドが添加される再フォールディング緩衝液中で起こる。再フォールディング緩衝液は、MHCポリペプチド鎖およびペプチドが天然の三量体フォールドを再構成することを可能にする任意の緩衝液であり得る。緩衝液は、酸化剤および/または還元剤を含有していてもよく、それによってMHCタンパク質が正しいフォールドを確立するのを助けるレドックス緩衝液系を作出する。好適な再フォールディング緩衝液の例としては、限定されるものではないが、トリス緩衝液、CAPS緩衝液、TAPs緩衝液、PBS緩衝液、他のリン酸緩衝液、炭酸緩衝液、およびChes緩衝液が挙げられる。シャペロン分子または正しいタンパク質フォールディングを改善する他の分子も添加されてもよく、同様に、溶解性を増加させる薬剤および凝集体形成を防止する薬剤が緩衝液に添加されてもよい。そのような分子の例としては、限定されるものではないが、アルギニン、GroE、HSP70、HSP90、小有機化合物、DnaK、CIpB、プロリン、グリシンベタイン、グリセロール、tween、塩、PLURONIC(登録商標)が挙げられる。
発現されたら、MHCI複合体は、MHCI発現細胞から全MHCIまたはMHCIペプチド単量体として直接精製することができる。MHCI単量体は、細胞の表面上で発現され得、次いで、例えば界面活性剤を使用して、細胞膜の破壊によって単離され、MHCIの精製に続く。一部の実施形態では、MHC単量体は、ペリプラズムに発現され、発現細胞は、溶解され、精製されるMHCI単量体が放出される。あるいは、MHC単量体は、発現されたタンパク質を培養上清に分泌する細胞の上清から精製され得る。MHCI単量体を精製するための方法は、当技術分野において周知であり、例えば、アフィニティークロマトグラフィーと一緒にアフィニティータグ、antタグでコーティングされたビーズ、および/またはMHCIタンパク質のアフィニティーマトリックスへの固定化を含む他の技法の使用、例えばゲル濾過を使用するサイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換、または細胞および/もしくは細胞溶解物からMHC分子を分離することができる他の方法による。
一部の実施形態では、MHCIポリペプチドの組換え発現は、多くのMHC単量体の改変を可能にする。例えば、組換え技法は、疎水性膜貫通ドメインを欠失させるカルボキシ末端短縮のための方法を提供する。カルボキシ末端は、例えばシステインおよび/またはリシン残基を分子に導入することによって、リガンドまたは標識のコンジュゲーションを容易にするために任意に選択することもできる。合成遺伝子は、典型的には、発現ベクターへの挿入および遺伝子配列の操作を支援する制限部位を含む。適切な単量体をコードする遺伝子は、次いで、発現ベクターに挿入され、適切な宿主、例えばE.coli、酵母、昆虫または他の好適な細胞において発現され、組換えタンパク質が得られる。例えば、MHCクラスIポリペプチドの産生は、細菌発現、およびMHCクラスI軽鎖、β2-ミクログロブリン(β2m)のフォールディング、ならびにMHCクラスI重鎖、β2m、およびプレースホルダペプチドから構成される複合体の形成を含む。
一部の実施形態では、MHCI単量体は、それらの重鎖またはβ2mのいずれかにおいてビオチン化される。一部の実施形態では、MHCI単量体は、再フォールディングまたはペプチド交換のいずれかによるペプチドのローディングの前にビオチン化される。MHC単量体のビオチン化は、当技術分野において公知の通り、例えばビオチン化酵素の認識部位である特異的付着部位にビオチンを付着させることによって、達成することができる。一部の実施形態では、ビオチン化酵素は、BirAである。一部の実施形態では、ビオチン化は、タンパク質発現の間の翻訳後修飾として、in vivoで所望のタンパク質鎖に対して行われる。
B.MHCクラスIIポリペプチド
MHCクラスII分子は、α鎖およびβ鎖で構成されるヘテロ二量体であり、その両方ともMHCによってコードされる。アルファ鎖は、α1およびα2ドメインで構成される。ベータ鎖は、β1およびβ2ドメインで構成される。鎖のα1およびβ1ドメインは、非共有結合的に相互作用して、膜の遠位でペプチド結合性ドメインを形成する一方、α2およびβ2ドメインは、膜の近位で免疫グロブリン様ドメインを形成する。ペプチドエピトープが結合する抗原結合溝は、2つのα-ヘリックスおよびβ-シートで作り上げられる。MHCクラスII分子の抗原結合溝は、両方の末端で開放されているので、溝は、MHCクラスI分子よりも長いペプチドエピトープに適合し得る。MHCクラスII分子によって提示されるペプチドエピトープは、典型的には、約15~24アミノ酸残基長である。
本開示は、2つまたはそれよりも多くのMHCIIまたはMHCII様ポリペプチドを含む多量体タンパク質を提供する。MHCII分子は、好適には、ヒト、マウス、ラット、ブタ、ウシ、または鳥類のMHCII分子などの脊椎動物のMHCII分子であり得る。
本明細書に記載される多量体性MHCII多量体の一部の実施形態では、MHC分子は、ヒトMHCクラスIIタンパク質:HLA-DR、HLA-DQ、HLA-DX、HLA-DO、HLA-DZ、およびHLA-DPである。ヒトを含む各種の脊椎動物種由来のMHCII αおよびβ鎖のアミノ酸配列は、当技術分野において公知であり、公開されている。
一部の実施形態では、ヒトMHCII分子は、DRB1*0101(例えば、Cameron et al. (2002) J. Immunol. Methods, 268:51-69;Cunliffe et al. (2002) Eur. J. Immunol., 32:3366-3375;Danke et al. (2003) J. Immunol., 171:3163-3169を参照されたい)、DRB1*1501(例えば、Day et al. (2003) J. Clin. Invest, 112:831-842を参照されたい)、DRB5*0101(例えば、Day et al.、同書を参照されたい)、DRB1*0301(例えば、Bronke et al. (2005) Hum. Immunol., 66:950-961を参照されたい)、DRB1*0401(例えば、Meyer et al. (2000) PNAS, 97:11433-11438;Novak et al. (1999) J. Clin. Invest, 104:R63-R67;Kotzin et al. (2000) PNAS, 97:291-296を参照されたい)、DRB1*0402(例えば、Veldman et al. (2007) Clin. Immunol., 122:330-337を参照されたい)、DRB1*0404(例えば、Gebe et al. (2001) J. Immunol. 167:3250-3256を参照されたい)、DRB1*1101(例えば、Cunliffe、同書;Moro et al.(2005) BMC Immunol., 6:24を参照されたい)、DRB1*1302(例えば、Laughlin et al.(2007) Infect. Immunol. 75:1852-1860を参照されたい)、DRB1*0701(例えば、Danke、同書を参照されたい)、DQA1*0102(例えば、Kwok et al.(2000) J. Immunol., 164:4244-4249を参照されたい)、DQB1*0602(例えば、Kwok、同書を参照されたい)、DQA1*0501(例えば、Quarsten et al.(2001) J. Immunol., 167:4861-4868を参照されたい)、DQB1*0201(例えば、Quarsten、同書を参照されたい)、DPA1*0103(例えば、Zhang et al.(2005) Eur. J. Immunol, 35:1066-1075;Yang et al.(2005) J. Clin. Immunol., 25:428-436を参照されたい)、およびDPB1*0401(例えば、Zhang、同書;Yang、同書を参照されたい)からなる群から選択されるアロタイプのものである。
一部の実施形態では、MHCII分子は、ヒトであり、例えば、HLA-DRA*01:01、HLA-DRB1*01:01、HLA-DRB1*01:02、HLA-DRB1*03:01、HLA-DRB1*04:01、HLA-DRB1*04:04、HLA-DRB1*07:01、HLA-DRB1*08:01、HLA-DRB1*10:01、HLA-DRB1*11:01、HLA-DRB1*11:04、HLA-DRB1*13:01、HLA-DRB1*13:02、HLA-DRB1*14:01、HLA-DRB1*15:01、HLA-DRB1*15:03、HLA-DQA1*01:01、HLA-DQB1*05:01、HLA-DQA1*01:02、HLA-DQB1*06:02、HLA-DQA1*03:01、HLA-DQB1*03:02、HLA-DQA1*05:01、HLA-DQB1*02:01、HLA-DQB1*03:01、HLA-DQB1*03:03、HLA-DQB1*04:02、HLA-DQB1*05:03、HLA-DQB1*06:03、およびHLA-DQB1*06:04からなる群から選択されるMHCIIアルファ鎖およびベータ鎖を含む。これらのMHCII鎖の全長アミノ酸配列(シグナル配列および膜貫通ドメインを含む)は、それぞれ、配列番号194~223に示される。これらのMHCII鎖の可溶型のアミノ酸配列(シグナル配列および膜貫通ドメインを欠く)は、それぞれ、配列番号224~253に示される。
ある特定の実施形態では、追加のアミノ酸配列を、例えば多量体化ドメインへの付着(例えば、コンジュゲーション)を媒介する部分を標識するおよび/または付着させる目的のために、MHCII分子のアルファまたはベータ鎖のC末端配列に付け加えることができる。例えば、avitag(Savのビオチン結合部位を通して結合を媒介する)、例えば、MycタグおよびHisタグを有するavitage(配列番号254)またはMycタグを有するavitag(配列番号255)を付け加えることができる。別の実施形態では、sortag(本明細書に記載されるように、ソルターゼを通してクリックケミストリー部分のコンジュゲーションを媒介することができる)、例えば、配列番号257に示されるsortagまたは配列番号256に示されるHisタグを有するsortagを付け加えることができる。別の実施形態では、V5タグ(配列番号258)が、C末端に付け加えられる。
ある特定の実施形態では、ヘテロ二量体化対を、MHCII分子のアルファ鎖および/またはベータ鎖のC末端配列に付け加えることができる。そのようなヘテロ二量体化対配列の非限定的な例としては、FosおよびJun(例えば、それぞれ、配列番号259および260に示されるアミノ酸配列を有する)、酸性および塩基性ロイシンジッパー(例えば、それぞれ、配列番号261および262に示されるアミノ酸配列を有する)、ノブ-イントゥ-ホール技術のためのノブおよびホール配列(例えば、それぞれ、配列番号263および264に示されるアミノ酸配列を有する)、またはspytabおよびspycatcher配列(例えば、それぞれ、配列番号265および266に示されるアミノ酸配列を有する)が挙げられる。
ある特定の実施形態では、MHCII結合性プレースホルダペプチドは、MHCII鎖の1つ、好ましくはベータ鎖のための発現構築物中に含まれ、その結果、プレースホルダペプチドおよび消化可能リンカーは、(N-末端)の上流の、かつMHCII鎖についてのコード配列との作動可能な連結の構築物においてコードされる。例えば、発現構築物は、以下をコードすることができる(N末端からC末端に):プレースホルダペプチド、消化可能リンカー、MHCII鎖(例えば、ベータ鎖)およびC末端タグ(例えば、配列番号192に示されるアミノ酸配列をコードする)。ある特定の実施形態では、N末端タグはまた、プレースホルダペプチドの上流に付け加えられ、これは、ペプチド交換後に非交換ペプチド種の除去を可能にする。そのようなN末端タグの非限定的な例としては、FLAGタグ(例えば、配列番号267に示されるアミノ酸配列を有する)、Strepタグ(例えば、配列番号268に示されるアミノ酸配列を有する)、およびプロテインCタグ(例えば、配列番号269に示されるアミノ酸配列を有する)が挙げられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載されるpMHCII多量体は、MHCIIアルファ鎖のα1およびα2ドメイン、ならびにMHCIIベータ鎖のβ1およびβ2ドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される多量体は、MHCII重鎖のα1およびβ1ドメインのみを含む。他の実施形態では、pMHCII多量体は、ペプチドと組み合わされたアルファ鎖およびベータ鎖を含む。他の実施形態としては、アルファ鎖およびベータ鎖のみで構成されるMHCII分子(いわゆるペプチドがロードされていない「空」MHC II)、空またはペプチドがロードされた全長ベータ鎖と組み合わされた短縮されたアルファ鎖(例えば、α1ドメイン)、空もしくはペプチドがロードされた全長アルファ鎖と組み合わされた短縮されたベータ鎖(例えば、β1ドメイン)、または空もしくはペプチドがロードされた短縮されたベータ鎖と組み合わされた短縮されたアルファ鎖(例えば、α1およびβ1ドメイン)が挙げられる。
一部の実施形態では、多量体タンパク質は、可溶性MHCIIポリペプチドを含む。一部の実施形態では、MHC多量体タンパク質は、膜貫通および細胞内ドメインを欠く可溶性MHCIIを含む。
ヒトMHCIIを含む多数のMHCクラスIIタンパク質のアミノ酸配列は、当技術分野において公知であり、その遺伝子がクローニングされている。したがって、アルファおよびベータ鎖単量体は、組換え法を使用して発現させることができる。MHCII分子の発現および精製のための方法は、広く記載されている(例えば、Crawford et al. (1998) Immunity, 8:675-682;Novak et al. (1999) J. Clin. Invest., 104:R63-R67;Nepom et al. (2002) Arthrit. Rheum., 46:5-12;Day et al. (2003) J. Clin. Invest., 112:831-842;Vollers and Stern (2008) Immunol., 123:305-313;Cecconi et al. (2008) Cytometry, 73A:1010-1018、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。
MHC II分子について、アルファ鎖およびベータ鎖は、個々のポリペプチドとして別々の細胞において、または融合タンパク質として同じ細胞において発現されてもよい。MHC II-ペプチド複合体のペプチドは、別々に産生され、全MHC複合体の精製後に添加されてもよく、またはin vitro再フォールディングの間に添加されてもよく、またはリンカーを通していずれかの鎖に接続されたアルファ鎖および/もしくはベータ鎖と一緒に発現されてもよい。遺伝子材料は、MHCクラスIIアルファおよびベータ鎖のすべてまたは断片のみをコードすることができる。遺伝子材料は、発現されたポリペプチド鎖の精製に有用なタンパク質(例えば、精製タグ)、ポリペプチドの溶解性の増加/減少に有用なタンパク質、ポリペプチドの検出に有用なタンパク質、MHC複合体の多量体化ドメインへのカップリングならびに/または標識のMHC複合体および/もしくはMHC多量体へのカップリングに関与するタンパク質を含む他のタンパク質をコードする遺伝子と融合されていてもよい。
MHC I複合体とは対照的に、MHC II複合体は、in vitroでの変性後に容易に再フォールドされない。一部のMHC II対立遺伝子のみが、E.coliにおいて発現され、in vitroで再フォールドされ得る。したがって、MHC II分子の産生のために好ましい発現系は、タンパク質の発現後の再フォールディングが必要ではない真核細胞系である。好ましい発現系としては、哺乳動物発現系、例えば、CHO細胞、HEK細胞、またはヒトタンパク質の発現に好適な他の哺乳動物細胞系が挙げられる。他の発現系としては、可溶性Drosophila細胞トランスフェクタント、バキュロウイルス感染昆虫細胞、またはタンパク質の発現に好適な他の哺乳動物細胞系が挙げられる。
可溶性MHC II複合体の安定化は、アルファ鎖およびベータ鎖の両方がペプチド結合溝の形成に関係し、細胞膜の埋め込まれなかった場合に解離する傾向があるので、MHC I分子についてよりもさらにより重要である。したがって、一実施形態では、MHCII単量体は、ペプチドがMHCII分子に共有結合的に連結されて調製される。例えば、ある手法は、ベータ鎖相補的DNA(cDNA)に近接するペプチド特異的cDNA配列を操作することによって方向付けられる、一本鎖MHCクラスII鎖-ペプチド複合体の共有結合的合成である(Crawford et al. (1999) Immunity, 8:675-682に記載される通り)。この戦略では、得られるポリペプチドは、クラスII分子のアミノ末端から伸張したペプチド配列により再フォールドする。ペプチド中のリンカー配列の繋留は、成熟クラスII分子中のペプチド結合溝を占有するペプチドに対する十分な可撓性を可能にする。切断可能リンカーは、ペプチドとMHCII分子との間の共有結合的連結の切断を可能にするために使用することができ(例えば、Day et al. (2003) J. Clin. Invest., 112:831-842に記載される通り)、それによって他のペプチド(例えば、異なるペプチドのライブラリー)とのペプチド交換およびMHCII分子のローディングを可能にする。
発現されたら、MHCII複合体は、MHCII発現細胞から全MHCIIまたはMHCIIペプチド単量体として直接精製することができる。MHCII単量体は、細胞の表面上で発現され得、次いで、例えば界面活性剤を使用して、細胞膜の破壊によって単離され、MHCIIの精製に続く。一部の実施形態では、MHC単量体は、ペリプラズムに発現され、発現細胞は、溶解され、精製されるMHCII単量体が放出される。あるいは、MHC単量体は、発現されたタンパク質を培養上清に分泌する細胞の上清から精製され得る。MHCII単量体を精製するための方法は、当技術分野において周知であり、例えば、アフィニティークロマトグラフィーと一緒にアフィニティータグ、antタグでコーティングされたビーズ、および/またはMHCIIタンパク質のアフィニティーマトリックスへの固定化を含む他の技法の使用、例えばゲル濾過を使用するサイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換、または細胞および/もしくは細胞溶解物からMHC分子を分離することができる他の方法による。
一部の実施形態では、MHCIIポリペプチドの組換え発現は、多くのMHC単量体の改変を可能にする。例えば、組換え技法は、疎水性膜貫通ドメインを欠失させるカルボキシ末端短縮のための方法を提供する。カルボキシ末端は、例えばシステインおよび/またはリシン残基を分子に導入することによって、リガンドまたは標識のコンジュゲーションを容易にするために任意に選択することもできる。合成遺伝子は、典型的には、発現ベクターへの挿入および遺伝子配列の操作を支援する制限部位を含む。適切な単量体をコードする遺伝子は、次いで、発現ベクターに挿入され、適切な宿主、例えばE.coli、酵母、昆虫または他の好適な細胞において発現され、組換えタンパク質が得られる。
一部の実施形態では、MHCII単量体は、それらのアルファまたはベータ鎖のいずれかにおいてビオチン化される。一部の実施形態では、MHCII単量体は、再フォールディングまたはペプチド交換のいずれかによるペプチドのローディングの前にビオチン化される。MHC単量体のビオチン化は、当技術分野において公知の通り、例えばビオチン化酵素の認識部位である特異的付着部位にビオチンを付着させることによって、達成することができる。一部の実施形態では、ビオチン化酵素は、BirAである。一部の実施形態では、ビオチン化は、タンパク質発現の間の翻訳後修飾として、in vivoで所望のタンパク質鎖に対して行われる。
II.プレースホルダペプチド
A.MHCクラスIプレースホルダペプチド
本明細書に提供される方法では、MHCI単量体は、MHCI単量体の適当なフォールディングを容易にするようにプレースホルダペプチドがロードされて、多量体化前にプレースホルダペプチドロードMHCI(p*MHCI)が産生する。プレースホルダペプチド、ならびにプレースホルダペプチドの存在下でin vitroでMHCI重鎖およびβ2-ミクログロブリンのフォールディングを誘導する方法の例は、当技術分野において記載されている(例えば、Bakker et al., PNAS 105:3825-3830, 2008;Rodenko et al., Nat. Prot. 1: 1120-1132, 2006)。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、HLA-A、HLA-BまたはHLA-Cペプチドである。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、HLA-A1ペプチド(例えば、A*1:01結合性ペプチド)である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、HLA-A2ペプチド(例えば、A*02:01結合性ペプチド、A*02:02結合性ペプチド、A*02:06結合性ペプチド)である。他の実施形態では、プレースホルダペプチドは、HLA-A3ペプチド(例えば、A*3:01結合性ペプチド)、HLA-A11ペプチド(例えば、A*11:01結合性ペプチド)、HLA-A23ペプチド(例えば、A*23:01結合性ペプチド)、HLA-A24ペプチド(例えば、A*24:02結合性ペプチド)、HLA-A26ペプチド(例えば、A*26:01結合性ペプチド)、HLA-A29ペプチド(例えば、A*29:02結合性ペプチド)、HLA-A30ペプチド(例えば、A*30:01結合性ペプチド;A*30:02結合性ペプチド)、HLA-A31ペプチド(例えば、A*31:01結合性ペプチド)、HLA-A32ペプチド(例えば、A*32:01結合性ペプチド)、HLA-A33ペプチド(例えば、A*33:01結合性ペプチド;A*33:03結合性ペプチド)、HLA-A68ペプチド(例えば、A*68:02結合性ペプチド)、HLA-B7ペプチド(例えば、B*07:02結合性ペプチド)、HLA-B8ペプチド(例えば、B*08:01結合性ペプチド)、HLA-B15ペプチド(例えば、B*15:01結合性ペプチド;B*15:03結合性ペプチド)、HLA-B18ペプチド(例えば、B*18:01結合性ペプチド)、HLA-B35ペプチド(例えば、B*35:01結合性ペプチド)、HLA-B38ペプチド(例えば、B*38:01結合性ペプチド)、HLA-B40ペプチド(例えば、B*40:01結合性ペプチド;B*40:02結合性ペプチド)、HLA-B45ペプチド(例えば、B*45:01結合性ペプチド)、HLA-B51ペプチド(例えば、B*51:01結合性ペプチド)、HLA-B53ペプチド(例えば、B*53:01結合性ペプチド)、HLA-B58ペプチド(例えば、B*58:01結合性ペプチド)、HLA-C3ペプチド(例えば、C*03:03結合性ペプチド;C*03:04結合性ペプチド)、HLA-C4ペプチド(例えば、C*04:01結合性ペプチド)、HLA-C7ペプチド(例えば、C*07:01結合性ペプチド;C*07:02結合性ペプチド)、またはHLA-C8ペプチド(例えば、C*08:01結合性ペプチド)である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、合成ペプチドである。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドのMHCIの結合溝に対する親和性は、レスキューペプチドよりも低い。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドのMHCI結合溝に対する親和性は、レスキューペプチドよりも約10倍低い。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドのMHCIの結合溝に対する親和性は、レスキューペプチドよりも高いが、しかしながら、プレースホルダペプチドは、依然として、過剰濃度のレスキューペプチドの使用によりレスキューペプチドによって置き換えることができる。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、熱不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、約30~37℃の間の温度で熱不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、30℃もしくはそれを上回る、32℃もしくはそれを上回る、34℃もしくはそれを上回る、35℃もしくはそれを上回る、36℃もしくはそれを上回る、または約37℃の温度で不安定である。熱不安定なプレースホルダペプチド、および熱不安定なプレースホルダペプチドを識別および産生する方法は、記載されている(例えば、WO93/10220号;WO2005/047902号;US2008/0206789号;Luimstra et al., Curr. Protoc. Immunol. 126(1):e85, 2019;Luimstra et al., J. Exp. Med. 215(5):1493-1504, 2018)。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、酸性pHで不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、約pH2.5~6.5で不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、約2.5~6.0、3.0~6.0、3.0~6.5、3.5~6.0、3.5~6.5、4.0~6.0、4.0~6.5、4.5~6.0、4.5~6.5、5.0~6.0、5.0~6.5、5.0、5.5、6.0、または6.5のpHで不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、塩基性pHで不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、約pH9~11の間で不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、pH9もしくはそれを上回る、pH9.5もしくはそれを上回る、pH10もしくは約pH10、pH10.5もしくは約pH10.5、またはpH11もしくは約pH11で不安定である。pH感受性のプレースホルダペプチドを生成および使用する方法は、公開されており、例えば、WO93/10220号;US2008/0206789号;およびCameron et al., J. Immunol. Meth. 268:51-59に記載される通りである。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、切断可能部分を含む。さまざまな種類の切断可能部分が、当技術分野において公知であり、例えば、光照射、酵素、求核剤または求電子剤、還元剤および酸化剤によって切断される部分が挙げられる(例えば、Leriche et al., Biorg. Med. Chem. 20(2):571-582, 2012において概説)。
一部の実施形態では、切断可能プレースホルダペプチドは、1つまたは複数の光切断可能な非天然β-アミノ酸を含む。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、3-アミノ-3-(2-ニトロ-フェニル)-プロピオン酸を含む。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、(2-ニトロ)フェニルグリシンを含む。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、アゾベンゼン基を含む。一部の実施形態では、HLA-A2プレースホルダペプチドは、A*02:01、KILGFVFJV(配列番号15)またはGILGFVFJL(配列番号7)(ここで、Jは、3-アミノ-3-(2-ニトロ)フェニル-プロピオン酸である)である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、A*01:01、STAPGJLEY(配列番号16);A*03:01、RIYRJGATR(配列番号17);A*11:01、RVFAJSFIK(配列番号18);A*24:02、VYGJVRACL(配列番号11);B*07:02、AARGJTLAM(配列番号14);B*35:01、KPIVVLJGY(配列番号19);C*03:04、FVYGJSKTSL(配列番号20)、B*08:01、FLRGRAJGL(配列番号21);C*07:02、VRIJHLYIL(配列番号22);C*04:01、QYDJAVYKL(配列番号23);B*15:01、ILGPJGSVY(配列番号24);B*40:01、TEADVQJWL(配列番号25);B*58:01、ISARGQJLF(配列番号26);およびC*08:01、KAAJDLSHFL(配列番号27)(ここで、Jは、3-アミノ-3-(2-ニトロ)フェニル-プロピオン酸である)からなる群から選択される。別の実施形態では、プレースホルダペプチドは、配列番号7~27または271~279のいずれか1つに示される配列を含む。別の実施形態では、プレースホルダペプチドは、配列番号7~27または271~279のいずれか1つに示される配列からなる。
光切断可能アミノ酸を含有するプレースホルダペプチドを生成する方法は、当技術分野において公知であり、以前に記載されている(例えば、Toebes et al., Curr. Protoc. Immunol. 87:18.16.1-18.16.20, 2009;Bakker et al.、上記、Rodenko et al.上記)。さまざまな実施形態では、光切断可能プレースホルダペプチドは、以前に記載された方法(例えば、Toebes et al., Nat Med. 2006 Feb; 12(2):246-51;Bakker et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Mar 11; 105(10):3825-30;Rodenko et al., Nat Protoc. 2006; 1(3):1120-32;Frosig et al., Cytometry A. 2015 Oct; 87(10):967-75)を使用して、UV光への曝露の際に切断される。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、化学選択的部分を含む。一部の実施形態では、化学選択的部分は、亜ジチオン酸ナトリウム感受性アゾベンゼンリンカーを含み、ここで、アゾベンゼンは、電子供与基を含む少なくとも1つの芳香族基を含み、2個のアミノ酸残基間に位置する。アゾベンジンリンカーおよび化学選択的ペプチド交換のための方法は、当技術分野において公知であり、例えば米国特許第10,400,024号に記載されている。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、アミノペプチダーゼへの曝露の際に切断される切断可能部分を含む。一部の実施形態では、アミノ酸残基の切断は、メチオニンアミノペプチダーゼの使用を介して起こる。メチオニンアミノペプチダーゼは、2位のアミノ酸残基が、例えば、グリシン、アラニン、セリン、システイン、またはプロリンである場合に、ペプチドからメチオニンを切断することができる。一部の実施形態では、切断可能部分は、トロンビン切断ドメインを含む。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、化学的トリガーに対して感受性である切断可能部分を含む。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、過ヨウ素酸塩感受性アミノ酸を含む。一部の実施形態では、過ヨウ素酸塩感受性アミノ酸は、ビシナルジオール部分を含む。一部の実施形態では、過ヨウ素酸塩感受性アミノ酸は、ビシナルアミノアルコールを含む。一部の実施形態では、過ヨウ素酸塩感受性アミノ酸は、1,2-アミノアルコール含有アミノ酸である。一部の実施形態では、過ヨウ素酸塩感受性アミノ酸は、α、γ-ジアミノ-β-ヒドロキシブタン酸(DAHB)である。過ヨウ素酸塩感受性アミノ酸を含有するペプチドを産生および使用するための方法は、公開されており、例えば、Rodenko et al. (J. Am. Chem. Soc. 131:12605-12313, 2009)およびAmore et al. (ChemBioChem 14:123-131, 2013)に記載されている。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、ジペプチドである。一部の実施形態では、ジペプチドは、MHCI結合溝のFポケットに結合する。一部の実施形態では、ジペプチドの第2のアミノ酸は、疎水性である。一部の実施形態では、ジペプチドは、グリシル-ロイシン(GL)、グリシル-バリン(GV)、グリシル-メチオニン(GM)、グリシル-シクロヘキシルアラニン(GCha)、グリシル-ホモロイシン(GHle)、およびグリシル-フェニルアラニン(GF)からなる群から選択される。プレースホルダペプチドとしてジペプチドを産生および使用するための方法は、公開されており、例えば、Saini et al. (PNAS 112:202-207, 2015)に記載されている。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、GILGFVFJL(配列番号7)を含む。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、GILGFVFJL(配列番号7)からなる。他の実施形態では、プレースホルダペプチドは、配列番号8~27または271~279のいずれか1つに示される配列を含む。他の実施形態では、プレースホルダペプチドは、配列番号8~27または271~279のいずれか1つに示される配列からなる。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、蛍光標識をさらに含む。一部の実施形態では、蛍光標識は、プレースホルダペプチド中のシステイン残基に付着している。
一部の実施形態では、p*MHCI分子は、精製され、本明細書に記載されるペプチド交換条件への曝露の際に目的のペプチドエピトープと交換され得るストック分子の起源としての役割を果たすために保管される。
B.MHCクラスIIプレースホルダペプチド
本明細書に提供される方法では、MHCII単量体は、MHCII単量体の適当なフォールディングを容易にするようにプレースホルダペプチドがロードされて、多量体化前にプレースホルダペプチドロードMHCII(p*MHCII)が産生する。さまざまな実施形態では、プレースホルダペプチドは、HLA-DR、HLA-DQ、HLA-DX、HLA-DO、HLA-DZ、またはHLA-DPと結合するペプチドである。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、合成ペプチドである。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドのMHCIIの結合溝に対する親和性は、レスキューペプチドよりも低い。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドのMHCII結合溝に対する親和性は、レスキューペプチドよりも約10倍低い。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、熱不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、約30~37℃の間の温度で熱不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、30℃もしくはそれを上回る、32℃もしくはそれを上回る、34℃もしくはそれを上回る、35℃もしくはそれを上回る、36℃もしくはそれを上回る、または約37℃の温度で不安定である。熱不安定なプレースホルダペプチド、および熱不安定なプレースホルダペプチドを識別および産生する方法は、記載されている(例えば、WO93/10220号;WO2005/047902号;US2008/0206789号;Luimstra et al., Curr. Protoc. Immunol. 126(1):e85, 2019;Luimstra et al., J. Exp. Med. 215(5):1493-1504, 2018)。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、酸性pHで不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、約pH2.5~6.5で不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、約2.5~6.0、3.0~6.0、3.0~6.5、3.5~6.0、3.5~6.5、4.0~6.0、4.0~6.5、4.5~6.0、4.5~6.5、5.0~6.0、5.0~6.5、5.0、5.5、6.0、または6.5のpHで不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、塩基性pHで不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、約pH9~11の間で不安定である。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、pH9もしくはそれを上回る、pH9.5もしくはそれを上回る、pH10もしくは約pH10、pH10.5もしくは約pH10.5、またはpH11もしくは約pH11で不安定である。pH感受性のプレースホルダペプチドを生成および使用する方法は、公開されており、例えば、WO93/10220号;US2008/0206789号;およびCameron et al., J. Immunol. Meth. 268:51-59に記載される通りである。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、切断可能部分を含む。さまざまな種類の切断可能部分が、当技術分野において公知であり、例えば、光照射、酵素、求核剤または求電子剤、還元剤および酸化剤によって切断される部分が挙げられる(例えば、Leriche et al., Biorg. Med. Chem. 20(2):571-582, 2012において概説)。
一実施形態では、プレースホルダペプチドは、分解タグに融合され、ペプチド交換は、レスキューペプチドの存在と一緒に対応するプロテアーゼ(分解タグを消化する)の存在下でのタンパク分解によって促進される。
一部の実施形態では、切断可能プレースホルダペプチドは、光切断可能ペプチドであり、例えば、UV光への曝露の際に切断される。例えば、プレースホルダペプチドは、1つまたは複数の光切断可能な非天然アミノ酸を含むことができる。例えばUV感受性アミノ酸アナログの3-アミノ-3-(2-ニトロフェニル)-プロピオネートを組み込むMHCII結合性光切断可能ペプチドが記載されている(例えば、Negroni and Stern (2018) PLos One, 13(7):e0199704を参照されたい)。
一実施形態では、MHCIIプレースホルダペプチドは、CLIPペプチド、例えばアミノ酸配列KPVSKMRMATPLLMQA(配列番号189)またはATPLLMQALPMGA(配列番号280)を有するものである。一実施形態では、CLIPペプチドは切断可能である。一実施形態では、MHCII単量体は、例えば一本鎖MHCクラスII鎖-ペプチド複合体の合成によって共有結合的に付着され、ベータ鎖cDNAの近位のペプチド特異的相補的DNA(cDNA)配列を操作することによって方向付けられる、切断可能CLIPペプチドを用いて合成される(例えば、Day et al. (2003) J. Clin. Invest., 112:831-842を参照されたい)。CLIPペプチド(プレースホルダペプチドとして)とMHCIIとの間の共有結合的連結の切断は、このようにして、他のMHCII結合性ペプチドとのペプチド交換を可能にする。
MHCII分子およびその公知のMHCII結合性ペプチドの適切な対形成に基づいて、プレースホルダペプチドとして使用することができる他のMHCII結合性ペプチドは、当技術分野において記載されている。公知のMHCII分子/MHCII結合性ペプチド対の非限定的な例としては、DRA1*0101/DRB1*0401および赤血球凝集素のHA307~319の免疫優性ペプチド(Novak et al. (1999) J. Clin. Invest., 104:R63-R67を参照されたい)、ならびにHLA-DR*1101およびアミノ酸配列QIYKANSKFIGITEL(配列番号190)を有する破傷風トキソイド(TT)由来p2ペプチド(TT830~844)(Cecconi et al. (2008) Cytometry, 73A:1010-1018を参照されたい)が挙げられる。
III.p*MHC多量体の産生
本明細書に提供されるpMHC多量体の産生における使用のための多量体化ドメインは、2つまたはそれよりも多くのpMHCまたはp*MHC単量体の共有結合的コンジュゲートに好適であり、pMHCポリペプチドの細胞への結合を妨げない、タンパク質、ポリペプチド、または他の多量体部分を含む。一部の実施形態では、多量体化ドメインは、タンパク質サブユニットを含む。一部の実施形態では、多量体化ドメインは、タンパク質サブユニットのホモ多量体である。一部の実施形態では、多量体化ドメインは、タンパク質サブユニットのヘテロ多量体である。一実施形態では、多量体は、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、八量体、十量体、または十二量体である。好ましい一実施形態では、pMHC多量体は、四量体である。
好適な結合性実体の例としては、ストレプトアビジン(SA)およびアビジンならびにそれらの誘導体、ビオチン、免疫グロブリン、抗体(モノクローナル、ポリクローナル、および組換え)、それらの抗体断片および誘導体、AP-1のロイシンジッパードメイン(junおよびfos)、ヘキサ-his(金属キレート部分)、ヘキサ-hat GST(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)グルタチオン親和性、カルモジュリン結合性ペプチド(CBP)、Strep-tag(登録商標)、セルロース結合性ドメイン、マルトース結合性タンパク質、S-ペプチドタグ、キチン結合性タグ、免疫反応性エピトープ、エピトープタグ、E2Tag、HAエピトープタグ、Mycエピトープ、FLAGエピトープ、AU1およびAU5エピトープ、Glu-Gluエピトープ、KT3エピトープ、IRSエピトープ、Btagエピトープ、プロテインキナーゼ-Cエピトープ、VSVエピトープ、炭水化物、脂質、およびタンパク質を含む多様な化合物への結合を媒介するレシチン、例えばCon A(Canavaliaensi formis)またはWGA(小麦胚芽凝集素)、ならびにテトラネクチン、またはプロテインAもしくはG(抗体親和性)、またはコイルドコイルポリペプチド、例えば、ロイシンジッパーである。そのような結合性実体の組合せも含まれる。
一部の実施形態では、多量体化ドメインは、ストレプトアビジン(SAまたはSAv)またはその誘導体の四量体である。一部の実施形態では、多量体化ドメインは、四量体ストレプトアビジンである。一部の実施形態では、四量体は、Strep-tag(登録商標)またはStrep-tactin(登録商標)を含む。Strep-tag(登録商標)またはStrep-tactin(登録商標)は、それぞれ、米国特許第5,506,121号および米国特許第6,103,493号に記載されており、いくつかの供給源から市販されている。MHC単量体をストレプトアビジンにSAvのビオチン結合部位を介して非共有結合的に付着させるために、avitag(例えば、配列番号161に示されるアミノ酸配列を有する、これは6×HisタグおよびFLAGタグを含む)を、例えばC末端で、MHC単量体に組み込むことができる(例えば、実施例3を参照されたい)。
本明細書に提供される方法では、pMHC多量体は、多量体化ドメインの各サブユニットのNまたはC末端への各p*MHC単量体の共有結合的コンジュゲーションによって産生され、本明細書でコンジュゲート化多量体と称される反応産物をもたらす。一実施形態では、コンジュゲート化多量体は、pMHCクラスI(pMHCI)コンジュゲート化多量体である。別の実施形態では、コンジュゲート化多量体は、pMHCクラスII(pMHCII)コンジュゲート化多量体である。
一部の実施形態では、pMHCI多量体は、MHCI α1ドメインのC末端への多量体化ドメインの共有結合的コンジュゲーションによって産生される。一部の実施形態では、pMHCI多量体は、MHCI α2ドメインのC末端への多量体化ドメインの共有結合的コンジュゲーションによって産生される。一部の実施形態では、pMHCI多量体は、MHCI α3ドメインのC末端への多量体化ドメインの共有結合的コンジュゲーションによって産生される。一部の実施形態では、pMHCI多量体は、各p*MHC単量体のβ2-ミクログロブリンのC末端への多量体化ドメインの共有結合的コンジュゲーションによって産生される。
好ましい実施形態では、pMHCII多量体は、MHCII α鎖への多量体化ドメインの共有結合的コンジュゲーションによって産生される。別の実施形態では、pMHCII多量体は、MHCII β鎖への多量体化ドメインの共有結合的コンジュゲーションによって産生される。ある特定の実施形態では、pMHCII多量体は、MHCII α1ドメインのC末端への多量体化ドメインの共有結合的コンジュゲーションによって産生される。ある特定の実施形態では、pMHCII多量体は、MHCII α2ドメインのC末端への多量体化ドメインの共有結合的コンジュゲーションによって産生される。ある特定の実施形態では、pMHCII多量体は、MHCII β1ドメインのC末端への多量体化ドメインの共有結合的コンジュゲーションによって産生される。ある特定の実施形態では、pMHCII多量体は、MHCII β2ドメインのC末端への多量体化ドメインの共有結合的コンジュゲーションによって産生される。
各MHC単量体と多量体化ドメインとの間で共有結合を形成するためのいくつかの好適な方法が本明細書に提供される。
A.化学的バイオコンジュゲーション
一部の実施形態では、p*MHC多量体は、化学的コンジュゲーションによって産生される。一部の実施形態では、化学的コンジュゲーションは、多量体化ドメインへのp*MHCポリペプチドのシステインバイオコンジュゲーションによって媒介される。一部の実施形態では、システインバイオコンジュゲーションは、システインのアルキル化によって媒介される。一部の実施形態では、システインバイオコンジュゲーションは、システインの酸化によって媒介される。他の実施形態では、システインバイオコンジュゲーションは、脱硫反応によって媒介される。一部の実施形態では、システインバイオコンジュゲーションは、ヨードアセトアミドによって媒介される。一部の実施形態では、システインバイオコンジュゲーションは、マレイミドによって媒介される。本明細書に開示されるpMHC多量体を産生するために使用され得る2つの部分のシステイン媒介連結を利用するための方法は記載されており、例えば、Chalker et al., Chem Asian J.4(5):630-40, 2009;Spicer et al., Nat Commun. 5:4740, 2015を参照されたい。
一部の実施形態では、MHC多量体は、以前に記載されているように(Basle et al., M Chem Biol. 17(3):213-27, 2010;Hu et al., Chem Soc Rev. 45(6):1691-719, 2016;Lin et al., Science 355(6325):597-602, 2017)、限定されるものではないが、リシン、チロシン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、セリン、トレオニン、メチオニン、ヒスチジン、およびトリプトファン側鎖、ならびにN末端アミンまたはC末端カルボキシルを含む、システイン以外のアミノ酸の化学的改変によって産生される。
B.天然の化学的ライゲーション
一部の実施形態では、pMHC多量体は、天然の化学的ライゲーション(NCL)によって産生され、ここで、各p*MHCポリペプチドは、C末端チオエステルを含み、多量体化ドメインの各サブユニットは、N末端システイン残基またはその機能的等価体を含み、システイン側鎖とチオエステルとの間の反応は、不可逆的に天然のペプチド結合を形成し、このようにしてp*MHC単量体を多量体化ドメインにライゲーションする。NCLのための方法は記載されている(Hejjaoui et al., M Protein Sci. 24(7):1087-99. 2015) Mandal et al., Proc Natl Acad Sci USA 109(37):14779-84, 2012;Torbeev et al., Proc Natl Acad Sci USA 110(50):20051-6, 2013)。
一部の実施形態では、β-および/またはγ-チオアミノ酸がp*MHC単量体に組み込まれる。一部の実施形態では、β-および/またはγ-チオアミノ酸は、多量体化ドメインの各サブユニットのN末端位でシステイン様残基を置き換えて、例えば、トランス-チオエステル化のための反応性チオールを提供する。次いで、脱硫プロトコールは、所望の天然の側鎖を産生することができる。一部の実施形態では、NCLは、アラニン残基で行われる。他の実施形態では、NCLは、フェニルアラニン(Crich & Banerjee, 2007)、バリン(Chen et al. 2008;Haase et al. 2008)、ロイシン(Harpaz et al. 2010;Tan et al. 2010)、トレオニン(Chen et al. 2010b)、リシン(El Oualid et al. 2010;Kumar et al. 2009;Yang et al. 2009)、プロリン(Shang et al. 2011)、グルタミン(Siman et al. 2012)、アルギニン(Malins et al. 2013)、トリプトファン(Malins et al. 2014)、アスパラギン酸(Thompson et al. 2013)、グルタミン酸(Cergol et al. 2014)、およびアスパラギン(Sayers et al. 2015)で行われる。精製ステップを除去し、ライゲーションされた産物の収率を増加させるライゲーション/脱硫手法は記載されている(Moyal et al. 2013;Thompson et al. 2014)。
C.クリックケミストリー媒介生体直交型コンジュゲーション
一部の実施形態では、p*MHC多量体は、各p*MHC単量体のC末端のコンジュゲーション部分と多量体化ドメインの各サブユニットのN末端のコンジュゲーション部分との間の生体直交型コンジュゲーションによって産生される。一部の実施形態では、生体直交型コンジュゲーションは、「クリックケミストリー」(例えば、Kolb, Finn and Sharpless, Angewandte Chemie International Edition (2001) 40: 2004-2021を参照されたい)によって媒介される。クリックケミストリーのために好適なコンジュゲーション部分、反応条件および関連方法は、当技術分野において利用可能である(例えば、Kolb et al., Angewandte Chemie International Edition 40:2004-2021, 2001;Evans, Australian Journal of Chemistry 60: 384-395, 2007;Lahann, Click Chemistry for Biotechnology and Materials Science, John Wiley & Sons Ltd, ISBN 978-0-470-69970-6, 2009)。一部の実施形態では、クリックケミストリー部分は、末端アルキン、アジド、歪んだアルキン、ジエン、ジエノフィル、アルコキシアミン、カルボニル、ホスフィン、ヒドラジド、チオール、またはアルケン部分を含み得るか、またはそれらからなり得る。ある特定の実施形態では、アジドは、銅キレート化アジドである。一実施形態では、銅キレート化アジドは、ピコリルアジド、例えば、Gly-Gly-Gly-(PEG)4-ピコリルアジドである。クリックケミストリー反応における使用のための試薬は、例えばClick Chemistry Tools(Scottsdale、AZ)またはGenScript(Piscataway、NJ)から、市販されている。
クリックケミストリーを介した多量体化ドメインのサブユニットへの各p*MHC単量体のコンジュゲーションのために、タンパク質のクリックケミストリー部分は、例えば、各p*MHC単量体のクリックケミストリー部分の1つの反応性基が多量体化ドメインのサブユニット上の第2のクリックケミストリー部分の反応性基と反応して、共有結合を形成するという点で、互いと反応性でなければならない。クリックケミストリーハンドルのそのような反応性対は、当業者に周知であり、限定されるものではないが、図1に示されるものが挙げられる。
一部の実施形態では、各p*MHCコンジュゲーション部分は、クリックケミストリー反応条件下で多量体化ドメインの各サブユニットのコンジュゲーション部分に共有結合的にコンジュゲーションすることができる。一部の実施形態では、各p*MHC単量体のC末端の第1のクリックケミストリー部分、および多量体化ドメインの各サブユニットに第2のクリックケミストリー部分の反応をインストールするために、ソルターゼ媒介コンジュゲーションが使用される。本明細書に提供される方法では、第1のクリックケミストリー部分を含有する2つまたはそれよりも多くのp*MHC単量体は、クリックケミストリー条件下で多量体化ドメインの各サブユニットのC末端の第2のクリックケミストリー部分にコンジュゲートされる。ソルターゼを利用してクリックケミストリー部分を付着させる方法は、例えば、WO2013/00355号に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。アルキン-アジドクリックケミストリーをソルターゼ媒介コンジュゲーションと組み合わせて使用して調製されるpMHC多量体の非限定的な例示を、実施例1、5、6および7に詳細に記載する。
一部の実施形態では、各p*MHC単量体のC末端の第1のクリックケミストリー部分、および多量体化ドメインの各サブユニットに第2のクリックケミストリー部分の反応をインストールするために、インテイン媒介コンジュゲーションが使用される。インテイン媒介コンジュゲート化を利用する方法を本明細書でさらに記載する。
一部の実施形態では、本明細書に提供される多量体化ドメインへのp*MHC単量体のクリックケミストリー媒介共有結合的コンジュゲーションの方法は、C末端チオエステルとβ-アミノチオールとの天然の化学的ライゲーションを含む(Xiao J, Tolbert TJ Org Lett. 2009 Sep 17; 11(18):4144-7)。
一部の実施形態では、p*MHC多量体を産生するために使用されるクリックケミストリーは、1,3-双極性環化付加(例えば、銅(I)触媒の段階的バリアント、多くの場合単純に「クリック反応」と称される;例えば、Tornoe et al., Journal of Organic Chemistry (2002) 67: 3057-3064を参照されたい)を含む。銅およびルテニウムは、反応において一般に使用される触媒である。触媒としての銅の使用は、1,4-位置異性体の形成をもたらすが、ルテニウムは、1,5-位置異性体の形成をもたらす。
一部の実施形態では、MHC単量体は、発現されたタンパク質ライゲーション(EPL)によってアルキン化ペプチドにライゲーションされ、次いで銅(I)触媒末端アジド-アルキン環化付加(CuAAC)によるアジド標識化多量体化ドメインにコンジュゲートされる。
一部の実施形態では、クリックケミストリーコンジュゲーションは、ディールス-アルダー反応などの環化付加反応を含む。一部の実施形態では、MHCIおよび多量体化ドメインは、アジド-アルキン1,3-双極性環化付加(「クリックケミストリー」)によってコンジュゲートされる。一部の実施形態では、環化付加は、銅(I)触媒環化付加(CuAAC)の存在によって促進される。
一部の実施形態では、クリックケミストリーコンジュゲーションは、エポキシドおよびアジリジンのような小さな歪んだ環への求核付加を含む。一部の実施形態では、環化付加は、例えばAgard NJ, Prescher JA, Bertozzi CR J Am Chem Soc. 2004 Nov 24; 126(46):15046-7に記載されるように、歪んだシクロオクチン系によって促進される。
一部の実施形態では、クリックケミストリーコンジュゲーションは、活性化されたカルボニル基への求核付加を含む。
一部の実施形態では、pMHC単量体および多量体化ドメインのコンジュゲーションは、生体直交反応によって起こる。一部の実施形態では、MHCおよび多量体化ドメインは、例えば、Blackman ML, Royzen M, Fox JM J Am Chem Soc. 2008 Oct 15; 130(41):13518-9;およびDevaraj NK, Weissleder R, Hilderbrand SA Bioconjug Chem. 2008 Dec; 19(12):2297-9に記載されるように、歪んだジエノフィルとテトラジンジエンとの間の逆電子要求ディールス-アルダー反応によってコンジュゲートされる。一部の実施形態では、ジエノフィルは、トランス-シクロオクテンである。一部の実施形態では、ジエノフィルは、ノルボルネンである。
D.ソルターゼ媒介コンジュゲーション
一部の実施形態では、p*MHC単量体と多量体化ドメインとの間のコンジュゲーションは、システイントランスペプチダーゼによって媒介される。一部の実施形態では、システイントランスペプチダーゼは、ソルターゼまたはその酵素的に活性な断片である。各種のソルターゼ酵素が記載されており、市販されている(例えば、Antos et al., Curr. Opin. Struct. Biol. 38:111-118, 2016)。ソルターゼは、「sortag」と称されるアミノ酸モチーフを認識および切断して、2つのポリペプチド上のアシルドナーとアクセプター部位との間でペプチド結合を生じ、NまたはC末端sortagを含有する異なるポリペプチドのライゲーションをもたらす。(アルキン-アジドクリックケミストリーと組み合わせて)ソルターゼ媒介コンジュゲーションを使用して調製されるpMHC多量体の非限定的な例示を、実施例1、5、6および7に詳細に記載する。
したがって、一部の実施形態では、各p*MHC単量体は、C末端sortagを含み、多量体化ドメインの各サブユニットは、N末端sortagを含む。他の実施形態では、各p*MHC単量体は、N末端sortagを含み、多量体化ドメインの各サブユニットは、C末端sortagを含む。一部の実施形態では、ソルターゼは、MHCポリペプチドと多量体化ドメインのサブユニットのそれぞれとの間のペプチド結合の形成を触媒する。
一部の実施形態では、認識モチーフは、pMHC単量体のそれぞれのC末端に付加され、オリゴ-グリシンモチーフは、多量体化ドメインのサブユニットのそれぞれのN末端に付加される。MHC単量体および多量体化ドメインの混合物へのソルターゼの添加の際に、ポリペプチドは、天然のペプチド結合を通して共有結合的に連結されて、pMHC多量体を産生する。
一部の実施形態では、MHC単量体および/または多量体化ドメインは、sortagとともにインフレームで発現される。一部の実施形態では、追加のタグとしては、例えば、6×-Hisタグ(Sinisi et al. Bioconjug. Chem 23:1119-1126, 2012)、求核性蛍光色素(Nair et al. Immun. Inflamm. Dis. 1:3-13, 2013)、および/またはFLAGタグ(Greineder et al. Bioconjug. Chem. 29:56-66, 2018)が挙げられ得る。
一部の実施形態では、sortagは、MHC単量体と多量体化ドメインとの間の化学的コンジュゲーションに好適な改変アミノ酸を含有する。一部の実施形態では、sortagは、本明細書に記載されるクリック-クリックケミストリーコンジュゲーションを方向付けることが可能なC末端アジドリシン残基を含有する。
一部の実施形態では、MHCポリペプチドおよび/または多量体化ドメインは、ポリペプチドとsortagとの間にリンカーを含む。一部の実施形態では、各MHCポリペプチドおよび多量体化ドメインの各サブユニットは、sortagをリンカーとともに含む。好適なリンカーは、例えば、Greineder et al., Bioconjug. Chem. 29:56-66, 2018に記載されている。一部の実施形態では、リンカーは、半剛性リンカーである。一部の実施形態では、リンカーは、(SSSSG)2SAA(配列番号182)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、(G)5(配列番号183)を含む。
一部の実施形態では、sortagは、反応の進行および効率の測定を容易にするためにフルオロフォア改変リシン残基を含有する。
一部の実施形態では、ソルターゼは、Ca2+依存性である。一部の実施形態では、ソルターゼは、Ca2+非依存性である。
一部の実施形態では、sortag標識化MHC分子は、例えば配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する、C末端sortagおよび6×Hisタグを有する可溶性HLA-A2(HLA-A*02:01)である。一部の実施形態では、sortag標識化多量体化ドメインは、例えば配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する、C末端sortagおよび6×Hisタグを有するストレプトアビジン分子である。一部の実施形態では、6×Hisタグを有するsortag標識は、配列番号162に示されるアミノ酸配列を有する。さまざまな他のsortag配列が当技術分野において公知であり、本開示のコンジュゲート化多量体の調製における使用のために好適であり、その非限定的な例を下記にさらに記載する。
一部の実施形態では、sortagは、アミノ酸配列LPXTG(配列番号163)(ここで、Xは、任意のアミノ酸である)を含み、ソルターゼは、モチーフ内のトレオニンとグリシン骨格との間を切断する。
一部の実施形態では、ソルターゼは、IPKTG(配列番号164)、MPXTG(配列番号165)、LAETG(配列番号166)、LPXAG(配列番号167)、LPESG(配列番号168)、LPELG(配列番号169)、またはLPEVG(配列番号170)から選択されるアミノ酸配列を含むsortagを認識する。
一部の実施形態では、ソルターゼは、SrtAstaph突然変異体である。一部の実施形態では、SrtAstaph突然変異体は、F40であり、認識モチーフは、XPKTG(配列番号171)である(Piotukh et al., J. Am. Chem. Soc. 2011 133:17536-17539)。一部の実施形態では、SrtAstaph突然変異体は、F40であり、認識モチーフは、APKTG(配列番号172)、DPKTG(配列番号173)、またはSPKTG(配列番号174)である。
一部の実施形態では、SrtAstaph突然変異体は、SrtAstaph五重突然変異体であり、認識モチーフは、LPXTG(配列番号163)(ここで、Xは、任意のアミノ酸である)、LPEXG(配列番号175)(ここで、Xは、任意のアミノ酸である)、またはLAETG(配列番号166)である。一部の実施形態では、突然変異体は、SrtAstaph五重突然変異体であり、認識モチーフは、LPEAG(配列番号176)、LPECG(配列番号177)、またはLPESG(配列番号168)である。一部の実施形態では、SrtAstaph突然変異体は、2A-9であり、認識モチーフは、LAETG(配列番号166)である。一部の実施形態では、SrtAstaph突然変異体は、4S-9であり、認識モチーフは、LPEXG(配列番号178)(ここで、X=A、CまたはSである)である。
一部の実施形態では、ソルターゼは、野生型ソルターゼの可溶性断片である。一部の実施形態では、ソルターゼは、改変ソルターゼAの可溶性断片である(Mao H, Hart SA, Schink A, Pollok BA, J Am Chem Soc. 2004 Mar 10; 126(9):2670-1 A)。
一部の実施形態では、ソルターゼは、S.aureusソルターゼAのバリアントまたはホモログである(Antos JM, Truttmann MC, Ploegh HL Curr Opin Struct Biol. 2016 Jun; 38:111-8;Dorr BM, Ham HO, An C, Chaikof EL, Liu DR Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Sep 16; 111(37):13343-8;Glasgow JE, Salit ML, Cochran JR J Am Chem Soc. 2016 Jun 22; 138(24):7496-9)。
タンパク質へのsortagのコンジュゲーションの方法も記載されている(Matsumoto T, Furuta K, Tanaka T, Kondo A ACS Synth Biol. 2016 Nov 18; 5(11):1284-1289;Williams FP, Milbradt AG, Embrey KJ, Bobby R PLoS One. 2016; 11(4):e0154607;およびWitte MD, Cragnolini JJ, Dougan SK, Yoder NC, Popp MW, Ploegh HL Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Jul 24; 109(30):11993-8;Mao H, Hart SA, Schink A, Pollok BA J Am Chem Soc. 2004 Mar 10; 126(9):2670-1;Guimaraes CP, Witte MD, Theile CS, Bozkurt G, Kundrat L, Blom AE, Ploegh HL Nat Protoc. 2013 Sep; 8(9):1787-99およびTheile CS, Witte MD, Blom AE, Kundrat L, Ploegh HL, Guimaraes CP Nat Protoc. 2013 Sep; 8(9):1800-7)。
一部の実施形態では、ソルターゼ反応によって生成されるアミノグリシンペプチド断片は、透析または遠心分離によって、例えば反応が進行している間に、除去される(Freiburger L, Sonntag M, Hennig J, Li J, Zou P, Sattler M J Biomol NMR. 2015 Sep; 63(1):1-8)。一部の実施形態では、アフィニティー固定化戦略またはフロー系プラットフォームが反応構成要素の選択的除去のために使用される(Policarpo RL, Kang H, Liao X, Rabideau AE, Simon MD, Pentelute BL Angew Chem Int Ed Engl. 2014 Aug 25; 53(35):9203-8)。
一部の実施形態では、反応の平衡は、ライゲーション産物または副産物の不活性化によって制御することができる。例えば、一部の実施形態では、反応は、Yamamura Y, Hirakawa H, Yamaguchi S, Nagamune T Chem Commun (Camb). 2011 Apr 28; 47(16):4742-4に記載されるように、ドナーおよびアクセプターへの付加されたWTWTW(配列番号179)モチーフのライゲーションによって制御される。他の実施形態では、副産物は、例えばLiu F, Luo EY, Flora DB, Mezo AR J Org Chem. 2014 Jan 17; 79(2):487-92;およびWilliamson DJ, Webb ME, Turnbull WB Nat Protoc. 2014 Feb; 9(2):253-62に記載されるように、アシルドナーのグリシンの化学的改変によって不活性化される。
E.インテイン媒介コンジュゲーション
インテインは、天然に存在する自己スプライシングタンパク質のサブドメインであり、これは、成熟宿主タンパク質を形成するために、一緒に2つの元の隣接するペプチド領域(「エクステイン」)を同時に接合しながら、より大きなタンパク質構造からそれら自体のタンパク質サブドメインを切除することができる。タンパク質改変およびライゲーションのインテインに基づく方法が開発されている。インテインは、前駆体タンパク質からインテイン配列を切り取り、隣接する配列(NまたはCエクステイン)をペプチド結合で接合する、タンパク質スプライシング反応を触媒することができる内在性タンパク質配列である。インテイン媒介コンジュゲーションを使用して調製されるpMHC多量体の非限定的な例示を、実施例2に詳細に記載する。
本明細書で使用される場合、「スプリットインテイン」という用語は、N末端およびC末端インテインセグメントが、スプライシングまたは切断反応に対して機能的であるインテインに非共有結合的に再会合または再構築できる別々の分子になるように、N末端インテインセグメントとC末端インテインセグメントとの間に存在する1つまたは複数のペプチド結合を破壊する任意のインテインを指す。任意の触媒的に活性なインテインまたはその断片を使用して、本明細書に開示されるシステムおよび方法における使用のためのスプリットインテインが誘導され得る。例えば、一態様では、スプリットインテインは、真核生物インテインから誘導され得る。別の態様では、スプリットインテインは、細菌インテインから誘導され得る。別の態様では、スプリットインテインは、古細菌インテインから誘導され得る。好ましくは、そのように誘導されたスプリットインテインは、スプライシング反応を触媒するために必須のアミノ酸配列のみを持つ。
本明細書で使用される場合、「N末端インテインセグメント」は、対応するC末端インテインセグメントと組み合わされた場合に、スプライシングおよび/または切断反応に対して機能的であるN末端アミノ酸配列を含む任意のインテイン配列を指す。したがって、N末端インテインセグメントは、スプライシングが起こる場合にスプライスされる配列も含む。N末端インテインセグメントは、天然に存在する(ネイティブ)インテイン配列のN末端部分の改変である配列を含むことができる。例えば、N末端インテインセグメントは、そのような追加のおよび/または突然変異した残基の包含がインテインをスプライシングまたは切断に対して非機能的にしない限り、追加のアミノ酸残基および/または突然変異した残基を含むことができる。好ましくは、追加のおよび/または突然変異した残基の包含は、インテインのスプライシング活性および/または制御性を改善または増強する。非インテイン残基を、アフィニティー精製される能力または共有結合的に固定化される能力などの追加の機能性を提供するために、インテインセグメントに遺伝子学的に融合することもできる。
本明細書で使用される場合、「C末端インテインセグメント」は、対応するN末端インテインセグメントと組み合わされた場合に、スプライシングまたは切断反応に対して機能的であるC末端アミノ酸配列を含む任意のインテイン配列を指す。一態様では、C末端インテインセグメントは、スプライシングが起こる場合にスプライスされる配列を含む。別の態様において、C末端インテインセグメントは、そのC末端に融合されたペプチド配列から切断される。C末端インテインセグメントは、天然に存在する(ネイティブ)インテイン配列のC末端部分の改変である配列を含むことができる。例えば、C末端インテインセグメントは、そのような追加のおよび/または突然変異した残基の包含がC末端インテインセグメントをスプライシングまたは切断に対して非機能的にしない限り、追加のアミノ酸残基および/または突然変異した残基を含むことができる。
発現されたタンパク質ライゲーション(EPL)は、C末端チオエステルを有する組換えタンパク質とN末端システインを有する第2の薬剤との間の天然の化学的ライゲーションを指す。C末端チオエステルは、インテイン(介在するタンパク質)によって媒介されるタンパク質スプライシングとしても公知の自動プロセシングの使用により任意の組換えタンパク質(すなわち、標的リガンド)に容易に導入され得る。インテインは、隣接するエクステイン(外部タンパク質)断片間の天然のペプチド結合の形成をもたらすプロセスを利用して、より大きな前駆体ポリペプチド鎖からそれ自体を切り取ることができるタンパク質である。自動プロセシングタンパク質が標的リガンドの下流でクローニングされると、チオール(例えば、2-メルカプトエタンスルホン酸、MESNA)を使用して、自動プロセシングタンパク質の部位特異的切断を誘導し、反応性チオエステルの形成をもたらすことができる。次いで、チオエステルは、N末端システインを有する任意の薬剤と反応する。EPLは部位特異的な様式で作動し、反応は、両方の官能基が高濃度である場合に非常に効率的であることが公知である(Elias et al. Small 6:2460-2468において概説)。
したがって、一部の実施形態では、MHC単量体は、発現されたタンパク質ライゲーション(EPL)によってアルキン化ペプチドにライゲーションされ、次いで銅(I)触媒末端アジド-アルキン環化付加(CuAAC)によってアジド標識化多量体化ドメインにコンジュゲートされる。
一部の実施形態では、MHC単量体は、インテインペプチドタグによって多量体化ドメインにコンジュゲートされている。一部の実施形態では、MHCポリペプチドはC末端チオエステルを含み、多量体化ドメインは、トランス-エステル化を行う能力を欠く改変インテインに融合されたN-エクステインを含み、トランス-エステル化は、外因性チオールの添加によって起こる。
多くのインテインが現在記載されており、限定されるものではないが、MxeGyrA(Frutos et al. (2010);Southworth et al. (1999));SspDnaE(Shah et al. (2012);Wu et al. (1998));NpuDnaE(Shah et al. (2012);Vila-Perello et al. (2013));AvaDnaE(David et al. (2015);Shah et al. (2012));Cfa(コンセンサスDnaEスプリットインテイン)(Stevens et al. (2016));gp41-1およびgp41-8(Carvajal-Vallejos et al. (2012));NrdJ-1(Carvajal-Vallejos et al. (2012));IMPDH-1(Carvajal-Vallejos et al)、およびAceL-TerL(Thiel et al. (2014))が挙げられる。これらのインテインの特性および使用を表1に要約する。
一部の実施形態では、インテインは、Mycobacterium xenopi由来の198残基のジャイレースAインテイン(Mxe GyrA)である(Southworth MW, Amaya K, Evans TC, Xu MQ, Perler FB Biotechniques. 1999 Jul; 27(1):110-4, 116, 118-20)。一部の実施形態では、インテインは、シアノバクテリアSynechocystis sp.株PCC6803(Ssp)由来である。
一部の実施形態では、インテインは、スプリットインテイン対である。一部の実施形態では、スプリットインテイン対は、直交型スプリットインテイン対である(Carvajal-Vallejos P, Pallisse R, Mootz HD, Schmidt SR J Biol Chem. 2012 Aug 17; 287(34):28686-96;Shah NH, Vila-Perello M, Muir TW Angew Chem Int Ed Engl. 2011 Jul 11; 50(29):6511-5)。
一部の実施形態では、スプリットインテイン対は、6または11残基程度の短さの人工スプリットインテイン対である(Appleby JH, Zhou K, Volkmann G, Liu XQ J Biol Chem. 2009 Mar 6; 284(10):6194-9;Ludwig C, Pfeiff M, Linne U, Mootz HD Angew Chem Int Ed Engl. 2006 Aug 4; 45(31):5218-21)。
一部の実施形態では、インテインは、DnaEインテインである。一部の実施形態では、DnaEインテインは、Nostoc punctiforme(Npu)由来である。一部の実施形態では、インテインは、gp41-1インテインである。一部の実施形態では、インテインは、gp41-8インテインである。一部の実施形態では、インテインは、IMPDH-1インテインである。一部の実施形態では、インテインは、NrdJインテインである。
一部の実施形態では、スプリットインテイン対は、AceL-TerLである(Thiel IV, Volkmann G, Pietrokovski S, Mootz HD Angew Chem Int Ed Engl. 2014 Jan 27; 53(5):1306-10)。
一部の実施形態では、インテインは、コンセンサススプリットインテイン配列(Cfa)を含む(Stevens AJ, Brown ZZ, Shah NH, Sekar G, Cowburn D, Muir TW. Design of a split intein with exceptional protein splicing activity. Journal of the American Chemical Society. 2016;138(7):2162-2165)。
インテイン媒介コンジュゲーションのためのいくつかのプロトコールが利用可能であり、例示的な方法を本明細書の実施例2に提供する。タンパク質コンジュゲーションにおける使用のための好適なインテイン配列およびプロトコールは、当技術分野、例えば、Stevens, et al. J. Am. Chem. Soc., 138, 2162-2165, 2016;Shah et al. J. Am. Chem. Soc., 134, 11338-11341, 2012;およびVila-Perello et al., J. Am. Chem. Soc., 135, 286-292, 2013;Batjargal S, Walters CR, Petersson EJ J Am Chem Soc. 2015 Feb 11; 137(5):1734-7;およびGuan D, Ramirez M, Chen Z Biotechnol Bioeng. 2013 Sep; 110(9):2471-81において記載されており、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、インテイン標識化MHC分子は、例えば配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する、N-インテインタグを有する可溶性HLA-A2(HLA-A*02:01)である。一部の実施形態では、インテイン標識化多量体化ドメインは、例えば配列番号5に示されるアミノ酸配列を有する、C-インテインタグおよびFLAGタグを有するストレプトアビジン分子である。一部の実施形態では、FLAGタグを含むN-インテインタグは、配列番号180に示されるアミノ酸配列を有する。さまざまな他のN-インテインおよびC-インテイン配列が当技術分野において公知であり、本開示のコンジュゲート化多量体の調製における使用のために好適であり、その非限定的な例は、上記に引用された参考文献に記載されている。
F.追加のバイオコンジュゲーション方法
一部の実施形態では、MHCおよび多量体化ドメインのコンジュゲーションは、酵素的に媒介される。一部の実施形態では、酵素は、CXPXRアミノ酸配列モチーフを認識し、システイン残基をホルミルグリシンに変換し、このようにしてアルデヒド官能基を導入するホルミルグリシン生成酵素(FGE)(Wu P, Shui W, Carlson BL, Hu N, Rabuka D, Lee J, Bertozzi CR Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Mar 3; 106(9):3000-5)であり、これは、オキシム化およびヒドラジノ-ピクテ-スペングラー反応などの生体直交型変換に付される(Agarwal P, Kudirka R, Albers AE, Barfield RM, de Hart GW, Drake PM, Jones LC, Rabuka D Bioconjug Chem. 2013 Jun 19; 24(6):846-51;Dirksen A, Dawson PE Bioconjug Chem. 2008 Dec; 19(12):2543-8)。
部位特異的バイオコンジュゲーション戦略は、対象とするタンパク質改変に対して多くの可能性を提供する。さまざまな酵素に基づくコンジュゲーションプロトコールの中で、ホルミルグリシン生成酵素は、別個のコンセンサスモチーフ内のシステインまたはセリン残基から出発して、組換えタンパク質にアミノ酸Cα-ホルミルグリシン(FGly)を翻訳後導入することを可能にする。アルデヒド保持FGly残基は、すべての他の天然アミノ酸に対して直交型反応性を提示し、したがって、タンパク質スキャフォールドにおける部位特異的標識化反応のために使用することができる(Kruger et al., Biol Chem. 2019 Feb 25;400(3):289-297. doi: 10.1515/hsz-2018-0358において概説)。
ホルミルグリシン生成酵素(FGE)は、ペンタペプチドコンセンサス配列CxPxRを認識し、これは、この配列中のシステインを異常なアルデヒド保持ホルミルグリシンに特異的に酸化する。FGE認識配列またはアルデヒドタグを、原核生物または真核生物発現系のいずれかにおいて産生される異種組換えタンパク質に挿入することができる。ホルミルグリシンへのシステインの変換は、一過性にまたは安定な細胞系としてのいずれかで、FGEの共過剰発現によって達成され、生じるアルデヒドは、α-求核試薬と選択的に反応して、部位選択的に改変されたバイオコンジュゲートが生成され得る(Rabuka et al. Nat Protoc. 2012 May 10; 7(6): 1052-1067)。
一部の実施形態では、酵素は、13残基標的配列内のリシン側鎖を改変して(Uttamapinant C, White KA, Baruah H, Thompson S, Fernandez-Suarez M, Puthenveetil S, Ting AY Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Jun 15; 107(24):10914-9)、アジド、アリールアルデヒドおよびヒドラジン、p-ヨードフェニル誘導体、ノルボルネン、ならびにトランス-シクロオクテンを含むバイオ直交基を導入する酵素である、リポ酸リガーゼである(Debelouchina et al. Q. Rev Biophys. 2017; 50 e7. doi:10.1017/S0033583517000021において概説)。
他の実施形態では、酵素は、ビオチンリガーゼ、ファルネシルトランスフェラーゼ、トランスグルタミナーゼ、またはN-ミリストイルトランスフェラーゼである(Rashidian M, Dozier JK, Distefano MD Bioconjug Chem. 2013 Aug 21; 24(8):1277-94において概説)。
G.ペプチドリンカー
他の実施形態では、p*MHC多量体は、ペプチドリンカーを含む。「ペプチドリンカー」という用語は、天然および/または合成起源の直鎖状アミノ酸鎖を表す。リンカーは、ポリペプチドが正しくフォールドされ、かつ適当に提示されることを可能にすることによって、互いにコンジュゲートされたポリペプチドが、それらの生物活性を行うことができることを確実にする機能を有する。ペプチドリンカーは、反復アミノ酸配列または天然に存在するポリペプチドの配列を含有していてもよい。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、2~50個のアミノ酸の長さを有する。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、3~30個のアミノ酸、5~25個のアミノ酸、5~20個のアミノ酸、または10~20個のアミノ酸である。
一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、グリシン、グルタミン、および/またはセリン残基がリッチである。これらの残基は、例えば最大で5個のアミノ酸の小さな反復ユニットで配列する。この小さな反復ユニットは、1~5回反復され得る。多量体ユニットのアミノおよび/またはカルボキシ末端で、最大で6個の追加の任意の天然に存在するアミノ酸が付加されてもよい。他の合成ペプチドリンカーは、単一アミノ酸で構成され、これは、10~20回反復され、アミノおよび/またはカルボキシ末端に、最大で6個の追加の任意の天然に存在するアミノ酸を含み得る。すべてのペプチドリンカーは、核酸分子によってコードされ得、したがって、組換え的に発現され得る。リンカーはそれ自体がペプチドであるので、リンカーによって接続されるポリペプチドは、2個のアミノ酸間で形成されるペプチド結合を介してリンカーに接続される。
好適なペプチドリンカーは、当技術分野において周知であり、例えば、US2010/0210511号、US2010/0179094号、およびUS2012/0094909号に開示されており、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他のリンカーは、例えば、米国特許第5,525,491号;Alfthan et al., Protein Eng., 1995, 8:725-731;Shan et al., J. Immunol., 1999, 162:6589-6595;Newton et al., Biochemistry, 1996, 35:545-553;Megeed et al.; Biomacromolecules, 2006, 7:999-1004;およびPerisic et al., Structure, 1994, 12:1217-1226に提供されており、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、合成である。本明細書で使用される場合、ポリペプチドリンカーに関する「合成」という用語は、アミノ酸の線状配列が、実際は天然で連結されていない配列(天然に存在していてもよく、または存在していなくてもよい)に連結されたアミノ酸配列(天然に存在していてもよく、または存在していなくてもよい)を含むペプチド(またはポリペプチド)を含む。例えば、ポリペプチドリンカーは、天然に存在するポリペプチドの改変された形態であるか(例えば、付加、置換または欠失などの突然変異を含む)、または最初のアミノ酸配列(天然に存在していてもよく、または存在していなくてもよい)を含む、天然に存在しないポリペプチドを含んでいてもよい。ポリペプチドリンカーは、例えば、結合性部分(TCRまたはMHC)、多量体化ドメイン、および各多量体融合ポリペプチドのIggフレームワークが、機能的多量体タンパク質複合体の適当なフォールディングおよび形成を確実にするように並置されることを確実にするために用いられてもよい。好ましくは、ポリペプチドリンカーは、結合タンパク質の単量体サブユニットの中で、比較的非免疫原性であり、任意の非共有結合的会合を阻害しない。
一部の実施形態では、リンカーは、Gly-Serポリペプチドリンカー、すなわち、グリシンおよびセリン残基から構成されるペプチドである。1つの例示的なGly-Serポリペプチドリンカーは、アミノ酸配列(Gly4Ser)n(ここで、n=1~6である)(配列番号181)を含む。ある特定の実施形態では、n=1である。ある特定の実施形態では、n=2である。ある特定の実施形態では、n=3である。ある特定の実施形態では、n=4である。ある特定の実施形態では、n=5である。ある特定の実施形態では、n=6である。別の例示的なGly-Serポリペプチドリンカーは、アミノ酸配列Ser(Gly4Ser)n(ここで、n=1~10である)(配列番号184)を含む。ある特定の実施形態では、n=1である。ある特定の実施形態では、n=2である。ある特定の実施形態では、n=3、すなわち、Ser(Gly4Ser)3である。ある特定の実施形態では、n=4、すなわち、Ser(Gly4Ser)4である。ある特定の実施形態では、n=5である。ある特定の実施形態では、n=6である。ある特定の実施形態では、n=7である。ある特定の実施形態では、n=8である。ある特定の実施形態では、n=9である。ある特定の実施形態では、n=10である。
他の例示的なリンカーとしては、GSリンカー(すなわち、(GS)n)、GGSGリンカー(すなわち、(GGSG)n)(配列番号185)、GSATリンカー(配列番号186)、SEGリンカー、およびGGSリンカー(すなわち、(GGSGGS)n)(配列番号187)(ここで、nは、正の整数(例えば、1、2、3、4、または5)である)が挙げられる。多量体融合タンパク質における使用のための他の好適なリンカーは、Linker Database(ibi.vu.nl/programs/linkerdbwww)などの公開されているデータベースを使用して見出すことができる。Linker Databaseは、新規の多量体融合タンパク質において可能性があるリンカーとしての役割を果たす多機能酵素中のドメイン間リンカーのデータベースである(例えば、George et al., Protein Engineering 2002;15:871-9を参照されたい)。
ポリペプチドリンカーは、当技術分野において公知の技法を使用して、ポリペプチド配列に導入することができる。改変は、DNA配列決定解析によって確認することができる。プラスミドDNAを使用して、産生されるポリペプチドの安定な産生のために宿主細胞を形質転換することができる。
H.追加のペプチドリンカーおよびタグ
本明細書に提供される方法および組成物における使用のために好適な追加のタグとしては、アフィニティータグが挙げられ、限定されるものではないが、タンパク質の迅速で効率的な精製を可能にする、酵素、タンパク質ドメイン、または炭水化物、小生体分子、金属キレート、抗体などのようなある範囲の基質に高い特異性で結合する小ポリペプチドを含む。溶解性タグは、タンパク質の適当なフォールディングおよび溶解性を増強し、アフィニティータグとタンデムで頻繁に使用される。
限定されるものではないが、6×His、FLAG、Strep IIおよびカルモジュリン結合性ペプチド(CBP)タグを含む小サイズのタグは、MHCポリペプチドの構造、活性および特徴に対する効果を最小限にする利点を有する(Zhao et al. J. Anal. Chem. 2013 581093)。
一部の実施形態では、タグは、FLAGタグである。FLAGタグは、異なる認識および結合特徴を有するM1、M2、およびM5などのいくつかの特異的抗FLAGモノクローナル抗体に結合する親水性オクタペプチドエピトープタグである(Einhauer et al. J. Biochem. Biophys. 49:455-465, 2001: Hopp et al. Mol. Immunol. 33:601-608, 1996)。FLAG融合タンパク質は、カルシウム依存性(例えば、M2)またはカルシウム非依存性の様式で、モノクローナル抗体によって認識され得る。特に、融合タンパク質のN末端に付け加えられたタグは、M1モノクローナル抗体による免疫アフィニティー精製に必要であるが、M2は位置非感受性である。
IV.MHCペプチドエピトープ
A.ペプチドエピトープ選択
T細胞エピトープであり得る新しいMHC結合性ペプチドを識別するためのさまざまなプロセスが開発されており、多くの実験方法は、固定数のアミノ酸によるタンパク質配列に沿って互いから相殺される一定の長さ(n-mer)のアミノ酸配列を合成することによって、所与のタンパク質配列由来のペプチド断片の重複ライブラリーを構築することで開始する。次いで、各配列のT細胞を活性化するためのMHC結合の特性および可能性を、いくつかのアッセイにおいて評価することができる。
上記で概要を述べた方法および他の方法、例えば、コンフォメーションの結晶学的解析およびMHC結合溝中の荷電の分布で識別された既存のMHC結合性ペプチドは、最も一般的なMHC対立遺伝子に対して定義される結合性モチーフをもたらし、どんな種類の推定MHC結合性ペプチドが所与の対立遺伝子のMHC分子に実際に十分に結合することができるかについての規則を設定する。これらのモチーフは、SYFPEITHIアルゴリズム(Rammensee H.-G., et al. (1995), Immunogenetics 41:178-228)などのMHC分子へのペプチド結合を予測するための予測的コンピューターアルゴリズムに翻訳されている。
所望の抗原に対するタンパク質配列は、SYFPEITHI(Rammensee et al. Immungenetics 50:213-219, 1999)、ならびにIEDB(Peters et al. PLoS Biol. 3:e91, 2005)からの人工ニューラルネットワーク(ANN)および安定化マトリックス法(SMM)アルゴリズムを使用することによって、可能性のあるHLA特異的抗原について解析される。ペプチドは、SYFPEITHYについて>21、ANNについて<6000、またはSMMについて<600のいずれかの予測結合値に基づいて選択される。選択されたペプチドが合成される。
結合アッセイは、以前に記載されている蛍光偏光(FP)アッセイを使用して行うことができる(例えば、Buchi et al. Biochemistry 43:14852-14863, 2004;Sette et al., Mol. Immunol. 31:813-822.)。ペプチドの結合能力を決定するために、対照に対する阻害パーセンテージを、プレースホルダペプチドを用いるFP競合アッセイにおいて決定することができる。
一部の実施形態では、pMHC多量体に結合したペプチドは、ペプチドの偏りのないライブラリー由来である。一部の実施形態では、ペプチドは、9-merである。一部の実施形態では、pMHCI多量体に結合したペプチドは、イソロイシン(I)、バリン(V)、またはロイシン(L)を含み得る2および9位に重要なアミノ酸を有するHLA-A2結合性モチーフを含む9-merである。
一部の実施形態では、ライブラリーは、目的の任意のポリヌクレオチド配列の転写および翻訳、例えば、6つのリーディングフレームすべてにおいてゲノムまたはメタゲノムのフォワードおよびリバース鎖の両方の転写および翻訳産物のインシリコ産生によって産生されるすべてのk-merペプチドを含む。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のエクソームのインシリコ翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のトランスクリプトームのインシリコ翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のプロテオームに由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のORFeomeのインシリコ翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。
一部の実施形態では、アルゴリズムを使用して、ペプチドライブラリー中のペプチドを選択することができる。例えば、アルゴリズムを使用して、MHC/HLA結合性ポケット中でフォールドまたはドッキングする可能性が最も高いペプチドを予測することができ、ある特定の閾値を上回るペプチドを、ライブラリーへの包含のために選択することができる。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、一群のゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せのインシリコ転写および翻訳または翻訳に由来し得るすべてのペプチドを含む。
一部の実施形態では、ペプチドは、一群の試料、例えば、患者集団からの臨床試料、または病原体ゲノムの群からのポリヌクレオチド配列のインシリコ転写および翻訳または翻訳に由来する。
一部の実施形態では、ペプチドは、異なるゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せに由来し、ここで、2つまたはそれよりも多くのゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの組合せは、差分配列である(例えば、それらの間で異なる)配列を識別するために比較される。一部の実施形態では、ペプチド配列は、目的の組織を比較することによって識別される。一部の実施形態では、ペプチド配列は、目的の細胞を比較することによって識別される。一部の実施形態では、ペプチド配列は、健康な細胞または組織に対して罹患した細胞または組織を比較することによって識別される。一部の実施形態では、罹患した細胞または組織は、がん細胞または組織である。一部の実施形態では、罹患した細胞は、自己免疫障害を有する個体に由来する。
一部の実施形態では、ペプチドは、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せの相同配列に由来し、ここで、2つまたはそれよりも多くのゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの組合せは、相同配列である配列を識別するために比較される。
一部の実施形態では、ペプチドは、目的の配列、例えば、抗原またはエピトープをコードするポリヌクレオチド配列中の単一のヌクレオチド突然変異から生成され得るすべての9-merペプチド中の突然変異に由来する。
一部の実施形態では、重複ペプチドライブラリーのペプチドは、鋳型配列(例えば、インシリコ翻訳されたゲノム)からの重複ペプチドを含み、ここで、設定された長さの重複ペプチドは、定義された数の残基によって相殺される。
一部の実施形態では、ペプチドの選択は、ある特定のHLA型に対する予測結合親和性に基づいてペプチドに優先順位をつけることを含む。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーのためのペプチドの選択は、集団、例えばヒト集団における有病率に基づいてHLA型または対立遺伝子に優先順位をつける。
一部の実施形態では、ライブラリーは、目的の任意のポリヌクレオチド配列の転写および翻訳、例えば、6つのリーディングフレームすべてにおいてゲノムまたはメタゲノムのフォワードおよびリバース鎖の両方の転写および翻訳産物のインシリコ産生によって産生されるすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、哺乳動物ゲノム、例えば、マウスゲノム、ヒトゲノム、患者ゲノム、自己免疫患者ゲノム、またはがんゲノムのインシリコ転写および翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、微生物ゲノム、例えば、細菌ゲノム、ウイルスゲノム、原生動物ゲノム、原生生物ゲノム、酵母ゲノム、古細菌ゲノム、またはバクテリオファージゲノムのインシリコ転写および翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、病原体ゲノム、例えば、細菌性病原体ゲノム、ウイルス病原体ゲノム、真菌病原体ゲノム、日和見病原体ゲノム、条件付き病原体ゲノム、または真核性寄生生物ゲノムのインシリコ転写および翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、植物ゲノムまたは真菌ゲノムに由来し得る。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、ゲノムのインシリコ転写および翻訳に由来するk-merペプチドを含み、ここで、ゲノムは、インシリコ転写および翻訳の間に改変され、例えば、インシリコで突然変異されて、突然変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを産生する。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のエクソーム、例えば、哺乳動物エクソーム、ヒトエクソーム、マウスエクソーム、患者エクソーム、自己免疫患者エクソーム、がんエクソーム、ウイルスエクソーム、原生動物エクソーム、原生生物エクソーム、酵母エクソーム、病原体エクソーム、真核性寄生生物エクソーム、植物エクソーム、または真菌エクソームのインシリコ翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、エクソームのインシリコ翻訳に由来し得るk-merペプチドを含み、ここで、エクソームは、インシリコ翻訳の間に改変され、例えば、インシリコで突然変異されて、突然変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを産生する。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のトランスクリプトーム、例えば、哺乳動物トランスクリプトーム、ヒトトランスクリプトーム、マウストランスクリプトーム、患者トランスクリプトーム、自己免疫患者トランスクリプトーム、がんトランスクリプトーム、微生物トランスクリプトーム、細菌トランスクリプトーム、ウイルストランスクリプトーム、原生動物トランスクリプトーム、原生生物トランスクリプトーム、酵母トランスクリプトーム、古細菌トランスクリプトーム、バクテリオファージトランスクリプトーム、病原体トランスクリプトーム、真核性寄生生物トランスクリプトーム、植物トランスクリプトーム、真菌トランスクリプトーム、RNA配列決定に由来するトランスクリプトーム、マイクロバイオームトランスクリプトーム、またはメタゲノムRNA配列決定に由来するトランスクリプトームのインシリコ翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、トランスクリプトームのインシリコ翻訳に由来するk-merペプチドを含み、ここで、トランスクリプトームは、インシリコ翻訳の間に改変され、例えば、インシリコで突然変異されて、突然変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを産生する。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のプロテオーム、例えば、哺乳動物プロテオーム、ヒトプロテオーム、マウスプロテオーム、患者プロテオーム、自己免疫患者プロテオーム、がんプロテオーム、微生物プロテオーム、細菌プロテオーム、ウイルスプロテオーム、原生動物プロテオーム、原生生物プロテオーム、酵母プロテオーム、古細菌プロテオーム、バクテリオファージプロテオーム、病原体プロテオーム、真核性寄生生物プロテオーム、植物プロテオーム、または真菌プロテオームに由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、プロテオームに由来するk-merペプチドを含み、ここで、k-merペプチドは、プロテオーム配列から改変されている、例えば、突然変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドである。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のORFeome、例えば、哺乳動物ORFeome、ヒトORFeome、マウスORFeome、患者ORFeome、自己免疫患者ORFeome、がんORFeome、微生物ORFeome、細菌ORFeome、ウイルスORFeome、原生動物ORFeome、原生生物ORFeome、酵母ORFeome、古細菌ORFeome、バクテリオファージORFeome、病原体ORFeome、真核性寄生生物ORFeome、植物ORFeomeまたは真菌ORFeome、次世代配列決定に由来するORFeome、マイクロバイオームORFeome、またはメタゲノム配列決定に由来するORFeomeのインシリコ翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、ORFeomeのインシリコ翻訳に由来するk-merペプチドを含み、ここで、ORFeomeは、インシリコ翻訳の間に改変され、例えば、インシリコで突然変異されて、突然変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを産生する。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、一群のゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せのインシリコ転写および翻訳または翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、一群の試料、例えば、患者集団からの臨床試料、または病原体ゲノムの群からのポリヌクレオチド配列のインシリコ転写および翻訳または翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、一群のウイルスゲノム、例えば、ヒトビロームのインシリコ転写および翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、一群のゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せのインシリコ転写および翻訳に由来し得るすべてのk-merペプチドを含み、ここで、起源配列は、インシリコ翻訳の間に改変され、例えば、インシリコで突然変異されて、突然変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを産生する。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、異なるゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せに由来し得るすべてのk-merペプチドを含み、ここで、2つまたはそれよりも多くのゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの組合せは、差分配列である(例えば、それらの間で異なる)、例えば、ヌクレオチド配列、アミノ酸配列、ヌクレオチドの存在量、またはタンパク質の存在量において異なる配列を識別するために比較される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの差分配列は、目的の組織を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの差分配列は、目的の細胞(例えば、健康な細胞対がん細胞)由来の配列を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの差分配列は、目的の生物体の配列を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの差分配列は、目的の対象(例えば、罹患した対象対健康な対象)を比較することによって生成され得る。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの任意の組合せの相同配列に由来し得るすべてのk-merペプチドを含み、ここで、2つまたはそれよりも多くのゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、ORFeome、またはそれらの組合せは、相同配列(例えば、ある程度の相同性を共有する)である配列、例えば、相同ヌクレオチド配列、相同アミノ酸配列、相同ヌクレオチドの存在量、または相同タンパク質の存在量を識別するために比較される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの相同配列は、目的の組織を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの相同配列は、目的の細胞(例えば、健康な細胞対自己免疫細胞に関与する細胞(例えば、自己免疫を誘発する細胞または自己免疫の間に標的となる細胞)由来の配列を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの相同配列は、目的の生物体の配列を比較することによって生成される。一部の実施形態では、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、またはORFeomeの相同配列は、目的の対象(例えば、罹患した対象対健康な対象)を比較することによって生成される。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のポリペプチド配列に由来し得るすべてのk-merペプチド、例えば、ウイルスタンパク質の完全なタンパク質配列を網羅するすべての可能な9-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的のポリペプチド配列から生成され得るk-merペプチドを含み、ここで、目的のポリペプチド配列は、改変され、例えば、インシリコで突然変異されて、突然変異(例えば、置換、挿入、欠失)を含むk-merペプチドを産生する。
一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、目的の配列中の突然変異に由来し得るすべてのk-merペプチド、例えば、抗原またはエピトープをコードするポリヌクレオチド配列中の単一のヌクレオチド突然変異から生成され得るすべての9-merペプチドを含む。例えば、本開示のライブラリーは、抗原またはエピトープをコードするポリヌクレオチド配列中の2、3、4、5、6、7、8、または9個のヌクレオチドの突然変異から生成され得るすべての9-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、アラニン置換、例えば、本明細書に記載される配列のいずれかにおける任意の位置でのアラニン置換(例えば、タンパク質、一群のタンパク質、プロテオーム、インシリコ転写および翻訳されたゲノム)に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、位置走査ライブラリーを含み、ここで、選択されたアミノ酸残基は、他のすべての天然アミノ酸で順次置換される。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、コンビナトリアル位置走査ライブラリーを含み、ここで、選択されたアミノ酸残基は、一度に2つまたはそれよりも多くの位置で、他のすべての天然アミノ酸で順次置換される。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、鋳型配列(例えば、インシリコ翻訳されたゲノム)からの重複ペプチドを含む重複ペプチドライブラリーを含み、ここで、設定された長さの重複ペプチドは、定義された数の残基によって相殺される。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、T細胞の短縮されたペプチドライブラリーを含み、ここで、ライブラリーの各複製は、1つの末端に短縮を有するペプチド(例えば、名目上の11-merのC末端短縮から誘導され得る8-mer、9-mer、10-mer、および11-mer)の等モル混合物を含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、カスタマイズされたペプチドのセットを含み、ここで、カスタマイズされたペプチドのセットは、リストに記載される。
一部の実施形態では、本開示のゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeは、ウイルスのゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeである。ウイルスの非限定的な例としては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バナナウイルス、バーマフォレストウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ラクロスブニヤウイルス、カンジキウサギブニヤウイルス、オナガザルヘルペスウイルス、チャンディプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア-コンゴ出血熱ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、デングウイルス、ドーリウイルス、ジュグベウイルス、ドウベンハーゲウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、馬痘ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒト内在性レトロウイルス(HERV)、ヒトエンテロウイルス、ヒトヘルペスウイルス(例えば、HHV-1、HHV-2、HHV-6A、HHV-6B、HHV-7、HHV-8)、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、HIV-1、HIV-2)、ヒトパピローマウイルス(例えば、HPV-1、HPV-2、HPV-16、HPV-18)、ヒトパラインフルエンザ、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器多核体ウイルス(RSV)、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV、例えば、HTLV-1、HTLV-2、HTLV-3)、ヒトトロウイルス、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、インフルエンザC型ウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、ビクトリア湖マールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、マリーバレー脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、オーフウイルス、オロプーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロサウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルス(例えば、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、ロタウイルスX)、風疹ウイルス、サギヤマウイルス、サリウイルスA、シチリア型サシチョウバエ熱ウイルス、サッポロウイルス、セムリキ森林熱ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、シミアンウイルス5、シンドビスウイルス、サウサンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、西ナイルウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ様疾患ウイルス、黄熱病ウイルス、およびジカウイルスが挙げられる。
一部の実施形態では、本開示のゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeは、がんのゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeである。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、公知のがんネオエピトープを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、公知のがん抗原タンパク質に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、上皮間葉移行に関与する遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、がんに関係する遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、突然変異性がんドライバー遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、がん原遺伝子、がん遺伝子、または腫瘍抑制遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、がん原遺伝子、がん遺伝子、または腫瘍抑制遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含み、ここで、k-merは、本明細書に記載される突然変異(例えば、アミノ酸置換、アラニン置換、位置走査、コンビナトリアル位置走査など)を含む。
がんの非限定的な例としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、AIDS関連がん、AIDS関連リンパ腫、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原発不明の癌腫、心臓腫瘍、中枢神経系がん、子宮頸がん、胆管細胞癌、脊索腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性新生物、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞性リンパ腫、非浸潤性乳管癌、胚芽腫、子宮内膜がん、上皮がん、上衣腫、食道がん、感覚神経芽腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼がん、卵管がん、骨の線維性組織球腫、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、組織球増殖症、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼球内黒色腫、膵島腫瘍、カポジ肉腫、腎臓(腎細胞)がん、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、喉頭がん、白血病、口唇がんおよび口腔がん、肝臓がん、肺がん(非小細胞および小細胞)、リンパ腫、男性の乳がん、骨の悪性線維性組織球腫および骨肉腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移性がん、原発不明の転移性頸部扁平上皮がん、正中線癌、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成性/骨髄増殖性新生物、鼻腔がん、上咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口腔がん、口唇がんおよび口腔がん、中咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、膵神経内分泌腫瘍、乳頭腫、傍神経節腫、副鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞新生物、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、原発性腹膜がん、前立腺がん、直腸がん、再発がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部肉腫、皮膚の扁平上皮癌、原発不明の頸部扁平上皮がん、胃がん、T細胞リンパ腫、精巣がん、喉がん、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺がん、移行細胞がん、尿管および腎盂がん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、血管腫瘍、外陰がん、ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。
一部の実施形態では、本開示のゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeは、炎症または自己免疫原性のゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム、プロテオーム、またはORFeomeである。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、公知の炎症または自己免疫原性のネオエピトープまたは自己エピトープを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、公知の炎症または自己免疫原性の抗原タンパク質に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、炎症または自己免疫に関係する遺伝子に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示のライブラリーは、炎症または自己免疫に関連するドライバー遺伝子の突然変異に由来し得るすべてのk-merペプチドを含む。
炎症性疾患もしくは状態または自己免疫性疾患または状態の非限定的な例としては、急性散在性脳脊髄炎(ADEM);急性壊死性出血性白質脳炎;アジソン病;アジュバント誘発関節炎;無ガンマグロブリン血症;円形脱毛症;アミロイド症;強直性脊椎炎;抗GBM/抗TBM腎炎;抗リン脂質症候群(APS);自己免疫性血管性浮腫;自己免疫性再生不良性貧血;自己免疫性自律神経障害;自己免疫性胃萎縮症;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性肝炎;自己免疫性高脂血症;自己免疫性免疫不全;自己免疫性内耳疾患(AIED);自己免疫性心筋炎;自己免疫性卵巣炎;自己免疫性膵炎;自己免疫性網膜症;自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP);自己免疫性甲状腺疾患;自己免疫性蕁麻疹;軸索型および神経型ニューロパチー;バロ病;ベーチェット病;水疱性類天疱瘡;心筋症;キャッスルマン病;セリアック病;シャーガス病;慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP);慢性再発性多発性骨髄炎(Chronic recurrent multifocal ostomyelitis)(CRMO);チャーグ-ストラウス症候群;瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡;クローン病;コーガン症候群;コラーゲン誘発関節炎;寒冷凝集素症;先天性心臓ブロック;コクサッキー心筋炎;CREST病;本態性混合型クリオグロブリン血症;脱髄性ニューロパチー;疱疹状皮膚炎;皮膚筋炎;デビック病(視神経脊髄炎);円板状ループス;ドレスラー症候群;子宮内膜症;好酸球性食道炎;好酸球性筋膜炎;結節性紅斑実験的アレルギー性脳脊髄炎;実験的自己免疫性脳脊髄炎;エヴァンス症候群;線維筋痛症;線維化性肺胞炎;巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎);巨細胞心筋炎;糸球体腎炎;グッドパスチャー症候群;多発血管炎性肉芽腫症(GPA)(以前はウェゲナー肉芽腫症と呼ばれていた);グレーブス病;ギラン-バレー症候群;橋本脳炎;橋本甲状腺炎;甲状腺炎;溶血性貧血;ヘノッホ-シェーンライン紫斑病;妊娠性疱疹;低ガンマグロブリン血症;特発性血小板減少性紫斑病(ITP);IgA腎症;IgG4関連硬化性疾患;免疫調節性リポタンパク質;封入体筋炎;間質性膀胱炎;炎症性腸疾患;若年性関節炎;若年性少関節炎;若年性糖尿病(1型糖尿病);若年性筋炎;川崎症候群;ランバート-イートン症候群;白血球破壊性血管炎;扁平苔癬;硬化性苔癬;木質性結膜炎;線状IgA病(LAD);ループス(SLE);慢性ライム病;メニエール病;顕微鏡的多発血管炎;混合結合組織病(MCTD);モーレン潰瘍;ムッハ-ハーベルマン病;多発性硬化症;重症筋無力症;筋炎;ナルコレプシー;視神経脊髄炎(デビック);好中球減少症;非肥満糖尿病;眼部瘢痕性類天疱瘡;視神経炎;回帰性リウマチ;PANDAS(Streptococcusに関連する小児自己免疫性神経精神障害);傍腫瘍性小脳変性症;発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH);パリーロンベルグ症候群;パーソネージ-ターナー症候群;毛様体扁平部炎(周辺部ぶどう膜炎);天疱瘡;尋常性天疱瘡;末梢神経障害;静脈周囲性脳脊髄炎;悪性貧血;POEMS症候群;結節性多発動脈炎;I型、II型、およびIII型の多腺性自己免疫症候群;リウマチ性多発性筋痛;多発性筋炎;心筋梗塞後症候群;心膜切開後症候群;プロゲステロン皮膚炎;原発性胆汁性肝硬変;原発性硬化性胆管炎;乾癬;尋常性乾癬;乾癬性関節炎;特発性肺線維症;壊疽性膿皮症; 赤芽球癆;レイノー現象;反応性関節炎;反射性交感神経性ジストロフィー;ライター症候群;再発性多発性軟骨炎;下肢静止不能症候群;後腹膜線維症;リウマチ熱;関節リウマチ;サルコイドーシス;シュミット症候群;強膜炎;強皮症;硬化性胆管炎;硬化性唾液腺炎;シェーグレン症候群;精液精巣自己免疫;全身硬直症候群;亜急性細菌性心内膜炎(SBE);スザック症候群;交感性眼炎;全身性エリテマトーデス(SLE);全身性硬化症;高安動脈炎;側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎;血小板減少性紫斑病(TTP);トロサ-ハント症候群;横断性脊髄炎;1型糖尿病;潰瘍性大腸炎;未分化結合組織疾患(UCTD);ぶどう膜炎;血管炎;小水疱水疱性皮膚病;白斑;ウェゲナー肉芽腫症(現在は多発血管炎性肉芽腫症(GPA)と称される)が挙げられる。炎症性疾患もしくは状態または自己免疫性疾患または状態の非限定的な例としては、慢性感染症、潜伏感染症、遅発性感染症、持続性ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、マイコプラズマ感染症、または寄生生物感染症などの感染症が挙げられる。
記載されるように、例えば、米国仮出願第62/791,601号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
B.ペプチド産生
pMHC多量体における使用のために好適なペプチドは、当技術分野において公知の方法に従って生成されるか、または商業的供給業者によって、もしくは製造業者の使用説明書に従ってペプチド合成機を使用することによって合成的に産生される。例えば、一部の実施形態では、pMHC多量体における使用のために好適なペプチドは、インシリコ産生方法によって作製することができる。
他の実施形態では、ペプチドは、化学的方法、例えば、ティーバッグ合成、デジタルフォトリソグラフィー、ピン合成、およびSPOT合成を介して合成することができる。例えば、ペプチドのアレイを、SPOT合成を介して作製することができ、ここで、アミノ酸鎖は、アミノ酸の付加および側鎖保護基の切断の反復サイクルによってセルロース膜上で構築される。
他の実施形態では、ペプチドは、例えば、発現構築物を細菌細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞に導入し、細胞抽出物から組換えタンパク質を精製する、組換えDNA技術を使用して発現させることができる。
一部の実施形態では、ペプチドは、in vitro転写および翻訳によって合成することができ、ここで、合成は、例えば、核酸鋳型、関連するビルディングブロック(例えば、RNA、アミノ酸)、酵素(例えば、RNAポリメラーゼ、リボソーム)、および条件を提供することによって、無細胞の状況で転写および翻訳の生物学的原理を利用する。
一部の実施形態では、in vitro転写および翻訳は、無細胞タンパク質合成(CFPS)を含み得る。CFPSによって高収率を得るには、細菌系の使用を必要とし、ここで、翻訳された配列の最初のアミノ酸は、N-ホルミルメチオニン(fMet)である。この残基は、正に荷電したアミノ末端(NH3
+)の代わりに中性のホルミル基(HCO)を含有することによって、メチオニンとは異なる。構築物を、酵素切断ドメインをコードする遺伝子、およびその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国仮出願第62/791,601号に記載されるライブラリーポリペプチドを含むように操作される。
少なくとも最初のメチオニンアミノ酸の除去は、ペプチドフォールディングおよびMHCタンパク質上のローディングを成功させる。加えて、最初のメチオニンアミノ酸の除去は、より高いペプチドライブラリーの多様性の上限、例えば、20x(ここで、xは、ペプチドの長さである)を提供するが、この残基の包含は、ライブラリーの多様性を20(x-1)に制限する。
一部の実施形態では、ペプチドは、例えばDNA構築物のRNAへの転写、次いでタンパク質へのRNAの翻訳の両方を行うことができるin vitro転写/翻訳(IVTT)系を利用して合成される。例えば、本開示の方法は、in vitro転写/翻訳(IVTT)を行って、高多様性ペプチドライブラリーを産生し、タンパク質の正しいフォールディングを可能にするための方法を含む。IVTTは、DNAまたはRNA鋳型から、直接、無細胞環境でのタンパク質産生を可能にし得る。
本明細書で使用されるIVTT法は、例えば、PCR産物、線状DNAプラスミド、環状DNAプラスミド、またはリボソーム結合部位(RBS)配列を有するmRNA鋳型を使用して行うことができる。適切な鋳型を単離した後、例えば、リボヌクレオチド三リン酸およびRNAポリメラーゼを含む転写構成要素を、鋳型に添加することができる。転写が完了した後、例えば、ウサギ網状赤血球溶血液または小麦胚芽抽出物中に見出すことができる翻訳構成要素を添加することができる。一部の方法では、転写および翻訳を、単一ステップの間で行うことができ、ここで、例えばウサギ網状赤血球溶血液または小麦胚芽抽出物中に見出される精製された翻訳構成要素は、転写構成要素を核酸鋳型に添加するのと同時に添加される。
一部の実施形態では、ペプチドのN末端のメチオニン残基および切断可能部分をコードするヌクレオチド配列は、DNA構築物またはRNA構築物にコードすることができる。切断可能部分は、ペプチドの少なくとも1個のN末端アミノ酸残基が切断可能部分の前またはその中にあるように位置する。一部の実施形態では、方法は、ペプチドの1個のN末端アミノ酸残基が切断可能部分の前またはその中にあるように位置する切断可能部分をコードすることを含む。一部の実施形態では、1個のN末端アミノ酸残基は、メチオニン残基である。切断可能部分は、酵素、例えば切断可能部分に特異的なプロテアーゼを使用して切断することができ、これは、ペプチドの残りから切断可能部分を切断することもできる。
本明細書に記載されるDNAまたはRNA構築物にコードされ得る切断可能部分の例としては、酵素によって切断される任意の切断可能部分が挙げられる。一部の実施形態では、切断可能部分は、プロテアーゼによって切断され得る。切断部分は、切断部分に特異的な酵素を使用して、ペプチドを切断することができる。酵素は、例えば、第Xa因子、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ、AcTEV(商標)プロテアーゼ、WELQutプロテアーゼ、Genenase(商標)、小ユビキチン様修飾因子(SUMO)タンパク質、Ulp1プロテアーゼ、またはエンテロキナーゼであり得る。Ulp1プロテアーゼは、アミノ酸配列よりもむしろ三次構造を認識することによって、特異的な様式で切断部分を切断し得る。エンテロキナーゼ(エンテロペプチダーゼ)も、候補ペプチドから切断部分を切断するために使用することができる。エンテロキナーゼは、以下の切断部位:DDDDK(配列番号188)で、リジンの後を切断することができる。エンテロキナーゼは、タンパク質基質の配列およびコンフォメーションに応じて、他の塩基性残基で切断することもできる。
一部の実施形態では、切断可能部分は、小ユビキチン様修飾因子(SUMO)タンパク質であり得る。SUMOドメインは、SUMOに特異的なプロテアーゼを使用して、ペプチドを切断することができる。一部の実施形態では、切断可能部分は、エンテロキナーゼ切断部位:DDDDK(配列番号188)であり得る。プロテアーゼは、例えば、Ulp1プロテアーゼまたはエンテロキナーゼであり得る。Ulp1プロテアーゼは、アミノ酸配列よりもむしろSUMOの三次構造を認識することによって、特異的な様式でSUMOを切断し得る。エンテロキナーゼ(エンテロペプチダーゼ)は、以下の切断部位:DDDDK(配列番号188)で、リジンの後を切断するために使用することもできる。エンテロキナーゼは、タンパク質基質の配列に応じて、他の塩基性残基で切断することもできる。
ペプチドをコードする構築物の翻訳の間またはその後、N末端アミノ酸残基(例えば、SUMOドメイン)を効率的に切断して、適当にフォールドされたペプチドを産生することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つのN末端アミノ酸残基が切断されて、ペプチドが産生される。一部の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも多くのN末端アミノ酸残基が切断されてペプチドが産生される。N末端アミノ酸は、任意のアミノ酸残基であり得る。N末端アミノ酸残基は、メチオニンアミノ酸残基であり得る。したがって、この適当にフォールドされたペプチドは、N末端メチオニンを有して構築されず、無細胞in vitro法によって産生される高多様性ペプチドライブラリーの一部であり得る。
ペプチドをコードする構築物の翻訳後、N末端アミノ酸残基を切断して、高多様性ペプチドライブラリーのためのペプチドを産生することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つのN末端アミノ酸残基が切断されて、ペプチドが産生される。一部の実施形態では、1つまたは複数のN末端アミノ酸が切断され、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、140、150、160、170、180、190、200、250、またはそれよりも多くのN末端アミノ酸残基が切断されて、ペプチドが産生される。N末端アミノ酸は、任意のアミノ酸残基であり得る。N末端アミノ酸残基は、メチオニンアミノ酸残基であり得る。
一部の実施形態では、DNAまたはRNA構築物は、ピューロマイシンを含む。一部の実施形態では、DNAまたはRNA構築物は、停止コドンを欠くスペーサー配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、アフィニティータグ精製によって(例えば、FLAGタグを用いて)精製される。一部の実施形態では、ペプチドは、HaloTag酵素配列を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、アビジンまたはストレプトアビジンを含む。
哺乳動物発現のために、CMVペプチドをコードする構築物は、哺乳動物発現ベクターにC末端HisタグがありまたはなしのC末端のFlagタグを用いて設計された。ペプチドを、製造業者の推奨に従って、Expi293FまたはExpiCHO-S細胞(Life Technologies)において、一過性トランスフェクションによって発現させた。
ペプチドを、細胞培養上清から、抗Flagアフィニティークロマトグラフィー(Genscript)でまたはNiアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、20mMのHEPES、150mMのNaCl、pH7.2で事前に平衡化された親水性樹脂(GE Life Sciences)において行った。
あるいは、ペプチドを、23mMのリン酸ナトリウム、500mMの塩化ナトリウム、500mMのイミダゾール、pH7.4のカラム緩衝液を使用して、SEC精製なしで、Niアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。
哺乳動物細胞において産生されたペプチドを、280nmのUVによって定量化した一方、CFPSで産生されたペプチドを、標準タンパク質と比べて、サンドイッチELISAによって定量化した。
V.ペプチド交換
p*MHC多量体を使用して、本明細書に記載されるin situまたはin vitroペプチド交換反応によって多様な固有のペプチドエピトープロードpMHC多量体のライブラリーまたはそのマイクロアレイを生成する。一部の実施形態では、ペプチド交換反応は、マルチウェルフォーマットで、天然の条件下で行われる。結合は、MHC構造の安定性をモニターするELISAなどのいくつかの技法によって、または蛍光偏光などのペプチド結合をモニターする生物物理学的技法によって決定される。ジペプチド交換またはUV媒介交換を介したペプチド交換の非限定的な例示を、実施例4に詳細に記載する。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドまたはペプチド断片の解離効率を測定するために、蛍光標識化プレースホルダペプチドは、標識されていない交換ペプチドの存在下、交換反応において使用される。蛍光標識化p*MHC多量体のアリコートは、未処理のままか、または異なる期間ペプチド交換条件(例えば、UV曝露)に曝露される。残っているP*MHC含有プレースホルダペプチドの量は、p*MHC複合体の低減をモニターする蛍光分析によってモニターされる。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、交換されたペプチドエピトープよりもMHCペプチド結合溝に対して低い親和性を有し、ステップ(d)は、競合アッセイにおいて、p*MHC単量体を過剰のペプチドエピトープと接触させることを含む。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、交換されたペプチドエピトープよりも約10倍低いKDを有する。
MHC分子のペプチド結合溝に結合するペプチドは、天然に存在するペプチドであり得るが、特定のMHC分子またはそれが属するスーパータイプファミリーのBおよびFポケットの結合特異性の知識を使用して合成的に作出することもできる。好適なリガンドは、MHC複合体の利用可能な3D構造、および個々のMHC分子の結合性ポケット特異性に対する知識を使用して生成することができる。
MHC Iポリペプチドのペプチド結合特異性は、カップリングされた様式におけるBおよびF結合性ポケットの生理化学的特性によって主に支配される。BおよびF結合性ポケットは、典型的には、MHCのペプチド結合溝におけるペプチドの結合を定義するペプチド中の「アンカー残基」に結合する。MHC分子のペプチド結合溝のアミノ酸残基において観察された多様性は、個々のMHC分子のペプチド結合および提示レパートリーを定義する(Chang et al. 2011; Frontiers in Bioscience, Landmark Edition, Vol. 16:3014-3035)。アンカー残基に対するポケットの特異性は、例えばSidney et al. (BMC Immunology Vol. 9:1, 2008)に記載されるように、多数のMHC分子について解明されている。
本開示は、p*MHC多量体を産生するステップであって、結合溝中のペプチドがプレースホルダペプチドである、ステップ;p*MHC多量体を還元剤と接触させて、プレースホルダペプチドを除去するステップ;およびMHCペプチド結合溝中のペプチドエピトープの結合のために十分な条件下でp*MHC多量体をMHCペプチドエピトープと接触させるステップを含む、p*MHC多量体を産生する方法をさらに提供する。
2つの接触ステップは、好ましくは、MHCペプチドエピトープを有するMHC分子を含む試料、および還元剤を提供することによって行われる。MHCペプチドエピトープは、還元剤が添加される時に存在することが好ましい。一部の実施形態では、1つのMHCペプチドエピトープが、反応ごとに添加される。一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多くのペプチドエピトープが反応に添加される。
一部の実施形態では、ペプチド交換は、混合物の温度を約30℃~37℃の間に上昇させることによって誘導される。一部の実施形態では、混合物は、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、または37℃に上昇させる。
一部の実施形態では、ペプチド交換は、混合物のpHを約pH2.5~5.5の間に低減することによって誘導される。一部の実施形態では、ペプチド交換は、混合物のpHを約pH9~11に増加させることによって誘導される。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、記載されるpMHC複合体を形成するための光切断可能部分を含む(例えば、Toebes et al. Nat. Med. 12:246-251, 2006;Bakker et al. PNAS 105:3825-383, 2008;Frosig et al., Cytometry Part A, 87A:967-975, 2015;Chang et al., Eur. J. Immunol. 43:1109-1120, 2013)。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、(2-ニトロ)フェニル側鎖を含有する非天然アミノ酸を含む。一部の実施形態では、アミノ酸は、3-アミノ-3-(2-ニトロ)フェニル-プロピオン酸を含むUV感受性β-アミノ酸である。一部の実施形態では、UV感受性アミノ酸は、(2-ニトロ)フェニルグリシンである。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、HLA-A2ペプチドである。一部の実施形態では、HLA-A2プレースホルダペプチドは、p*A2、KILGCVFJV(配列番号15)またはGILGFVFJL(配列番号7)(ここで、Jは、3-アミノ-3-(2-ニトロ)フェニル-プロピオン酸である)である。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、光切断可能部分を含有する、HLA-A1、-A3、A11または-B7ペプチドである。一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、A*01:01、STAPGJLEY(配列番号16);A*03:01、RIYRJGATR(配列番号17);A*11:01、RVFAJSFIK(配列番号18);A*24:02、VYGJVRACL(配列番号11);B*07:02、AARGJTLAM(配列番号14);B*35:01、KPIVVLJGY(配列番号19);C*03:04、FVYGJSKTSL(配列番号20)、B*08:01、FLRGRAJGL(配列番号21);C*07:02、VRIJHLYIL(配列番号22);C*04:01、QYDJAVYKL(配列番号23);B*15:01、ILGPJGSVY(配列番号24);B*40:01、TEADVQJWL(配列番号25);B*58:01、ISARGQJLF(配列番号26);およびC*08:01、KAAJDLSHFL(配列番号27)(ここで、Jは、3-アミノ-3-(2-ニトロ)フェニル-プロピオン酸である)からなる群から選択される。他の実施形態では、プレースホルダペプチドは、配列番号7~27または271~279のいずれか1つに示される配列を有する。
一部の実施形態では、プレースホルダペプチドは、蛍光標識をさらに含む。そのような実施形態では、蛍光標識は、プレースホルダペプチド中のシステイン残基に付着している。
長波長UVによる照射の際に、ペプチドは、安定なpMHC単量体または多量体の形成を容易にするために、1つまたは複数のペプチドの存在下で切断され、MHC複合体から解離する。典型的には、MHCペプチド交換は、本明細書に記載されるペプチドリガンドのハイスループットスクリーニングのためのマルチウェルフォーマットで行われる。ペプチド-受容可能MHC分子と効率的に結合し、それを安定化するペプチド候補のみが、MHC複合体の解離を防止する。ペプチド交換は、ELISAまたは蛍光偏光などのいくつかの技法によって、例えば、Rodenko et al. (Nat. Protocol. 1:1120-1132, 2006)に一般に記載されるようにモニターすることができる。
生じるpMHC多量体は、その後、ゲル濾過HPLCおよびMHC ELISAによって分析されて、3つのパラメーター:MHC再フォールディングの効率、UV曝露の非存在下でのpMHC複合体の安定性、および複合体のUV感受性が決定される。
ある特定のジペプチドは、MHCクラスI分子のフォールディングおよびペプチド交換を支援することができる。ジペプチドは、MHCクラスI分子のFポケットに特異的に結合して、ペプチド交換を促進し、HLA-A*02:01、HLA-B*27:05、およびH-2Kb分子におけるペプチド交換についてこれまでに記載され、検証されている(Saini et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Sep 17; 110(38):15383-8)。
したがって、一部の実施形態では、ペプチドまたは目的のペプチドとのプレースホルダペプチドのペプチド交換は、MHCクラスI分子における迅速なペプチド交換を触媒するジペプチドによって触媒される(例えば、Saini et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2015 Jan 6; 112(1):202を参照されたい)。好適なジペプチドは、疎水性の第2の残基を有するものである。一部の実施形態では、ジペプチドは、グリシル-ロイシン(GL)、グリシル-バリン(GV)、グリシル-メチオニン(GM)、グリシル-シクロヘキシルアラニン(GCha)、グリシル-ホモロイシン(GHle)、またはグリシル-フェニルアラニン(GF)である。
別の実施形態では、ペプチドまたは目的のペプチド(peotides)とのプレースホルダペプチドのペプチド交換は、Overall et al. (2020) Nature Comm. 11:1909に記載されるように、例えば分子シャペロンTAPBPRを使用するシャペロン媒介ペプチド交換によって達成される。
VI.pMHCライブラリーの産生
一態様では、多様なロードペプチドエピトープを含むpMHC多量体のライブラリーを産生する方法が本明細書に提供される。ペプチド交換されたバーコード化pMHCライブラリーの調製におけるさまざまなステップは、図18に概略的に示される。これらのステップは、バーコード化ライブラリーを調製するための当技術分野において公知の標準的な方法を使用し、単一細胞配列決定の使用、多孔性ヒドロゲルの使用、ペプチドコードアンプリコン(バーコード)を生成するための単一鋳型PCRの使用、および液滴中のin vitro転写/翻訳(IVTT)の使用を含む。
プールされたバーコード化UVペプチド交換MHC四量体による単一細胞配列決定の非限定的な例示を、実施例9に記載する。バーコード化UVペプチド交換MHC四量体プールのハイスループット産生のための多孔性ヒドロゲルの産生の非限定的な例示を、実施例10に詳細に記載する。ペプチドコードアンプリコンを生成するための単一鋳型PCRの使用の非限定的な例示を、実施例11に詳細に記載する。ヒドロゲル上のバーコード化可能な交換の準備ができているMHC四量体のローディングの非限定的な例示を、実施例12に記載する。ペプチドの液滴中のin vitro転写/翻訳(IVTT)およびロードされたMHC四量体へのUV交換の非限定的な例示を、実施例13に詳細に記載する。UVペプチド交換されたバーコード化pMHC四量体のヒドロゲルからの放出の非限定的な例示を、実施例14に詳細に記載する。
一部の実施形態では、方法は、(a)(i)MHCI重鎖ポリペプチドまたはその機能的断片、(ii)β2-ミクログロブリンポリペプチドまたはその機能的断片、(iii)コンジュゲーション部分、および(iv)各MHCI単量体のペプチド結合溝中で結合したプレースホルダペプチドをそれぞれ含む、複数のプレースホルダペプチドロードMHCI(p*MHCI)単量体を提供するステップ;(b)複数の多量体化ドメインを提供するステップであって、多量体化ドメインの各サブユニットが、コンジュゲーション部分を含む、ステップ;(c)2つまたはそれよりも多くのp*MHCI単量体と多量体化ドメインとの間の共有結合的コンジュゲーションのために十分な条件下でp*MHCI単量体および多量体化ドメインを組み合わせて、p*MHCI多量体を産生するステップ;ならびに(d)複数のp*MHCI多量体中のプレースホルダペプチドを複数の固有のMHCIペプチドエピトープを含むペプチドライブラリーで置き換えて、複数のペプチドロードMHCI(pMHCI)多量体を産生するステップを含む。
一部の実施形態では、方法は、(a)(i)MHCI重鎖ポリペプチドまたはその機能的断片、(ii)β2-ミクログロブリンポリペプチドまたはその機能的断片、(iii)コンジュゲーション部分、および(iv)各MHCI単量体のペプチド結合溝中で結合したプレースホルダペプチドをそれぞれ含む、複数のプレースホルダペプチドロードMHCI(p*MHCI)単量体を提供するステップ;(b)複数の多量体化ドメインを提供するステップであって、多量体化ドメインの各サブユニットが、コンジュゲーション部分を含み、多量体化ドメインが、少なくとも1つの非共有結合部位を含む、ステップ;(c)2つまたはそれよりも多くのp*MHCI単量体と多量体化ドメインとの間の共有結合的コンジュゲーションのために十分な条件下で複数のp*MHCI単量体および複数の多量体化ドメインを組み合わせて、複数のp*MHCI多量体を産生するステップ;(d)p*MHCI多量体のペプチド結合溝中で結合したプレースホルダペプチドを複数の固有のレスキューペプチドエピトープで置き換えて、複数のpMHCI多量体を産生するステップ;ならびに(e)オリゴヌクレオチドバーコードを多量体化ドメイン上の非共有結合部位に結合させるステップを含む。
一部の実施形態では、方法は、(a)(i)MHCI重鎖ポリペプチドまたはその機能的断片、(ii)β2-ミクログロブリンポリペプチドまたはその機能的断片、(iii)(i)または(ii)のC末端にコンジュゲーション部分を含むペプチドリンカー、および(iv)各MHCI単量体のペプチド結合溝中で結合したプレースホルダペプチドをそれぞれ含む、複数のプレースホルダペプチドロードMHCI(p*MHCI)単量体を提供するステップ;(b)多量体化ドメインの各サブユニットのN末端にコンジュゲーション部分を含むペプチドリンカーを含む複数の多量体化ドメインを提供するステップ;(c)多量体化ドメインへの2つまたはそれよりも多くのp*MHCI単量体間の共有結合的コンジュゲーションのために十分な条件下で複数のp*MHCI単量体および複数の多量体化ドメインを組み合わせて、複数のp*MHCI多量体を産生するステップ;ならびに(d)p*MHCI多量体のペプチド結合溝中で結合したプレースホルダペプチドを複数の固有のレスキューペプチドエピトープで置き換えて、複数のpMHCI多量体を産生するステップを含む。
VII.標識化
pMHC多量体は、例えばフローサイトメトリーまたは顕微鏡法を介して、ペプチド-MHC多量体と結合するT細胞の識別を可能にする蛍光標識とコンジュゲートすることができる。T細胞は、例えば蛍光標識細胞分取により、蛍光標識に基づいて選択することもできる。
一部の実施形態では、1つまたは複数の検出可能な標識は、リンカーにコンジュゲートされる。本発明によれば、「検出可能な標識」は、系における生物学的または化学的特徴または変化、例えば試料中の標的物質の存在の検出を可能にする任意の分子または官能基である。
使用され得る検出可能な標識の例としては、フルオロフォア、発色団、電子化学発光標識、生物発光標識、ポリマー、ポリマー粒子、ビーズもしくは他の固体表面、金もしくは他の金属粒子または重原子、スピン標識、放射性同位元素、酵素基質、ハプテン、抗原、量子ドット、アミノヘキシル、ピレン、核酸もしくは核酸アナログ、またはタンパク質、例えば受容体、ペプチドリガンドもしくは基質、酵素、および抗体(抗体断片を含む)が挙げられる。
使用され得るポリマー粒子標識の例としては、ポリスチレン、PMMAまたはシリカのマイクロ粒子、ビーズ、またはラテックス粒子が挙げられ、これらは、蛍光色素、またはポリマーミセル、または色素、酵素もしくは基質を含有するカプセルが埋め込まれ得る。使用され得る金属粒子の例としては、金粒子およびコーティング金粒子が挙げられ、これらは、銀染色によって変換され得る。コンジュゲートされ得るハプテンの例としては、一部の実施形態では、フルオロフォア、myc、ニトロチロシン、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、2,4-ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、ブロモデオキシウリジン、スルホネート、アセチルアミノフルレン、トリニトロフェノール水銀、およびエストラジオールである。
使用され得る酵素の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、ベータ-ガラクトシダーゼ(GAL)、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ベータ-N-アセチルグルコサミニダーゼ、βグルクロニダーゼ、インベルターゼ、キサンチンオキシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ、およびグルコースオキシダーゼ(GO)を含む。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)のために一般に使用される基質の例としては、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)、ニッケル増強を伴うジアミノベンジジン、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、ベンジジン二塩酸塩(BDHC)、ハンカー-イエーツ試薬(HYR)、インドファンブルー(IB)、テトラメチルベンジジン(TMB)、4-クロロ-1-ナフトール(CN)、アルファ-ナフトールピロニン(.アルファ.-NP)、o-ジアニシジン(OD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、塩化2-(p-ヨードフェニル)-3-p-ニトロフェニル-5-フェニルテトラゾリウム(INT)、テトラニトロブルーテトラゾリウム(TNBT)、.デルタ.-ブロモ-クロロ-S-インドキシル-ベータ-D-ガラクトシド/フェロ-フェリシアン化物(BCIG/FF)が挙げられる。アルカリホスファターゼのために一般に使用される基質の例としては、ナフトール-AS-B1-ホスフェート/ファストレッドTR(NABP/FR)、ナフトール-AS-MX-ホスフェート/ファストレッドTR(NAMP/FR)、ナフトール-AS-B1-ホスフェート/ファストレッドTR(NABP/FR)、ナフトール-AS-MX-ホスフェート/ファストレッドTR(NAMP/FR)、ナフトール-AS-B1-ホスフェート/new fuschin(NABP/NF)、ブロモクロロインドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT)、b-ブロモ-クロロ-S-インドリル-ベータ-デルタ-ガラクトピラノシド(BCIG)が挙げられる。
使用され得る発光標識の例としては、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウムエステル、1,2-ジオキセタン、およびピリドピリダジンが挙げられる。電気化学発光標識の例としては、ルテニウム誘導体が挙げられる。使用され得る放射性標識の例としては、ヨウ素、コバルト、セレン、水素、炭素、硫黄、およびリンの放射性同位元素が挙げられる。
一部の「検出可能な標識」は「色標識」も含み、ここで、系における生物学的な変化または事象は、色の存在または色の変化によってアッセイされ得る。「色標識」の例は、発色団、フルオロフォア、化学発光化合物、電気化学発光標識、生物発光標識、および基質の色の変化を触媒する酵素である。
「フルオロフォア」は、本明細書で記載される場合、1つまたは複数の波長での電磁放射による励起の際に、検出可能な電磁放射を発する分子である。多種多様なフルオロフォアが、当技術分野において公知であり、検出可能な分子標識としての使用のために化学者によって開発されており、本明細書に提供されるpMHC多量体にコンジュゲートされ得る。例としては、FLUORESCEIN(商標)またはその誘導体、例えば、FLUORESCEIN(登録商標)-5-イソチオシアネート(FITC)、5-(および6)-カルボキシFLUORESCEIN(登録商標)、5-または6-カルボキシFLUORESCEIN(登録商標)、6-(FLUORESCEIN(登録商標))-5-(および6)-カルボキサミドヘキサン酸、FLUORESCEIN(登録商標)イソチオシアネート、ローダミンまたはその誘導体、例えば、テトラメチルローダミンおよびテトラメチルローダミン-5-(および-6)イソチオシアネート(TRITC)が挙げられる。他のフルオロフォアとしては、クマリン色素、例えば、(ジエチル-アミノ)クマリンまたは7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸、スクシンイミジルエステル(AMCA);スルホローダミン101スルホニルクロリド(TexasRed(登録商標)またはTexasRed(登録商標)スルホニルクロリド;5-(および-6)-カルボキシローダミン101、スクシンイミジルエステル、5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミン、スクシンイミジルエステル(CXR)としても公知;リサミンまたはリサミン誘導体、例えば、リサミンローダミンBスルホニルクロリド(LisR);5-(および-6)-カルボキシFLUORESCEIN(登録商標)、スクシンイミジルエステル(CFI);FLUORESCEIN(登録商標)5-イソチオシアネート(FITC);7-ジエチルアミノクマリン-3-カルボン酸、スクシンイミジルエステル(DECCA);5-(および-6)-カルボキシテトラメチル-ローダミン、スクシンイミジルエステル(CTMR);7-ヒドロキシクマリン-3-カルボン酸、スクシンイミジルエステル(HCCA);6->FLUORESCEIN(登録商標).-5-(および-6)-カルボキサミドヘキサン酸(FCHA);N-(4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-3-インダセンプロピオン酸、スクシンイミジルエステル;5,7-ジメチルBODIPY(登録商標)プロピオン酸、スクシンイミジルエステル(DMBP)としても公知;「活性化FLUORESCEIN(登録商標)誘導体」(FAP)、Probes、Inc.から入手可能;エオシン-5-イソチオシアネート(EITC);エリスロシン-5-イソチオシアネート(ErlTC);およびCascade(登録商標)ブルーアセチルアジド(CBAA)(1-ヒドロキシ-3,6,8-ピレン-トリスルホン酸のO-アセチル化誘導体)が挙げられる。本発明において有用なさらに他の可能性のあるフルオロフォアとしては、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質およびそのアナログまたは誘導体、蛍光アミノ酸、例えば、チロシンおよびトリプトファン、およびそれらのアナログ、蛍光ヌクレオシド、ならびに他の蛍光分子、例えば、Cy2、Cy3、Cy3.5、CY5.TM、CY5.TM.5、Cy7、IR色素、Dyomics色素、フィコエリトリン、オレゴングリーン488、パシフィックブルー、ローダミングリーン、ならびにAlexa色素が挙げられる。蛍光標識のさらに他の例としては、R-フィコエリトリンオラロフィコエリトリン、無機蛍光標識、例えば、コーティングされたCdSeナノ結晶のような半導体材料に基づく粒子のコンジュゲートが挙げられる。
上記のフルオロフォアおよび他のもののいくつかは、Probes、Inc.(Eugene、Oreg.)、Pierce Chemical Co.(Rockford、Ill.)、またはSigma-Aldrich Co.(St.Louis、Mo.)などの企業から市販されている。
検出可能な標識は、例えば、光標識の場合では、反射率、透過率、光散乱、旋光度および蛍光、もしくはこれらの組合せ、または放射性標識の場合では、フィルム、シンチレーション計数、もしくはホスホイメージングによってを含む多数の方法によって検出することができる。例えば、Larsson, 1988, Immunocytochemistry: Theory and Practice, (CRC Press, Boca Raton, Fla.);Methods in Molecular Biology, vol. 80 1998, John D. Pound (ed.) (Humana Press, Totowa, N.J.)を参照されたい。一部の実施形態では、2つ以上の検出可能な標識が用いられた。
VIII.識別子/バーコード化
ある特定の実施形態では、本開示のコンジュゲート化多量体は、識別子タグまたは標識、例えばオリゴヌクレオチドバーコードを含み、これは、コンジュゲート化多量体の識別を容易にする。典型的には、識別子タグ、例えばオリゴヌクレオチドバーコードは、多量体化ドメイン上の結合部位に結合する識別子タグ、例えばオリゴヌクレオチドバーコード上の結合性部分を通してなどで、コンジュゲート化多量体の多量体化ドメインに付着される。例えば、多量体化ドメインがストレプトアビジンまたはアビジンである場合、pMHCI単量体がビオチン結合部位以外の部位で多量体化ドメインにコンジュゲートされるので、コンジュゲート化多量体は、識別子タグのビオチン化形態、例えばビオチン化オリゴヌクレオチドバーコードを使用して、識別子タグ、例えばオリゴヌクレオチドバーコードで標識され得る。次いで、コンジュゲート化多量体の標識化は、ビオチン化識別子タグ、例えばビオチン化オリゴヌクレオチドバーコードとのコンジュゲート化多量体のインキュベーションによって容易に達成される。ビオチン化オリゴヌクレオチドを使用するコンジュゲート化多量体のバーコード化の非限定的な例示を、実施例8に詳細に記載する。
別の実施形態では、コンジュゲート化多量体は、多量体のペプチド部分において、識別子タグ、例えばオリゴヌクレオチドバーコードで標識される。すなわち、バーコード標識化MHC結合性ペプチドを、バーコード標識化ペプチドによるコンジュゲート化多量体のロードへの本明細書に記載される交換反応において使用することができる。
典型的には、オリゴヌクレオチドバーコードは、10から50よりも多くのヌクレオチドの範囲の固有のオリゴヌクレオチド配列である。バーコードは、3’および5’末端の共有される増幅配列、ならびに中央に固有の配列を有する。この配列は、配列決定によって明らかにすることができ、所与の分子のための特異的なバーコードとして機能し得る。
一実施形態では、バーコードの核酸構成要素(典型的にはDNA)は特定の構造を有する。したがって、一実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、少なくとも5’の第1のプライマー領域、中央領域(バーコード領域)、および3’の第2のプライマー領域で構成される。この方法では、中央領域(バーコード領域)は、プライマーセットによって増幅することができる。また、核酸分子の長さは変わり得る。したがって、他の実施形態では、少なくとも1つの核酸分子は、20~100個のヌクレオチド、例えば30~100個、例えば30~80個、例えば30~50個のヌクレオチドの範囲の長さを有する。一実施形態では、核酸識別子は、40ヌクレオチド長~120ヌクレオチド長である。コンジュゲート化多量体へのオリゴヌクレオチドバーコードのカップリングも変わり得る。したがって、一実施形態では、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドバーコードは、コンジュゲート化多量体内のストレプトアビジンまたはアビジンと相互作用するビオチン結合性ドメインを介して前記コンジュゲート化多量体に連結される。他のカップリング部分も、コンジュゲート化多量体との適切な結合部位(例えば、コンジュゲート化多量体の多量体化ドメイン内)の利用性、および付着を容易にするためにオリゴヌクレオチドバーコード分子に付着され得る適切な対応する結合性ドメインに応じて使用され得る。
さらなる実施形態では、少なくともオリゴヌクレオチドバーコード分子は、DNA、RNA、および/または人工ヌクレオチド、例えばPLAもしくはLNAを含むか、あるいはこれらからなる。好ましくは、他のヌクレオチドであるが、DNAが、例えば安定性を増加させるために含まれ得る。
バーコード技術の使用は、当技術分野において周知であり、例えば、Shiroguchi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 2012 Jan. 24; 109(4):1347-52;およびSmith et al., Nucleic Acids Research, 2010 July; 38(13)11:e142を参照されたい。バーコード技術を使用するためのさらなる方法および組成物は、U.S.2016/0060621号に記載されるものが挙げられる。MHC多量体を特異的に標識するためのバーコード技術の使用も記載されており、例えば、Bentzen et al., Nature Biotech. 34:10: 1037-1045, 2016;Bentzen and Hadrup, Cancer Immunol. Immunotherap. 66:657-666, 2017を参照されたい。コンジュゲート化多量体と結合することができる好適な結合性部分とのそれらのコンジュゲート化(例えば、ビオチン化)を含むバーコードオリゴヌクレオチドを調製するための標準的な方法は、当技術分野において公知であり、コンジュゲート化多量体を標識するためのバーコードオリゴヌクレオチドを調製するために適用することができる。
カスタマイズ可能なDNAバーコードライブラリーを生成するための方法は公開されている。プログラムとしては、それぞれ96~587バーコードから構成されるGeneratorおよびnxCode、ならびにThe DNA Barcodes Package and TagDソフトウェア(100,000バーコードから構成されるライブラリーを生成することを報告している)が挙げられる。
各種の大スケールバーコードライブラリーの調製は、当技術分野において記載されており、その手法は、pMHCコンジュゲート化多量体ライブラリーを標識するためのバーコードライブラリーを得るために使用することができる。例えば、Xuらは、それらの識別モチーフの最大の多様性を維持しながら、類似の増幅特性を有する配列を有する240,000の固有の25-merオリゴヌクレオチドのセットを記載している(Xu et al. PNAS 106:2289-2294, 2008)。Wangらは、粒子群の最適化を使用するバーコードセットの構築を記載している(Wang et al. IEEE/ACM Trans. Comput. Biol. Bioinform. 15:999-1002)。Lyonsは、最大で100万メンバーのDNAバーコードの大スケールライブラリーの生成を記載している(Lyons, Sci. Reports 7:13899, 2017)。
一部の場合では、固有の分子識別子バーコードは、標的核酸の一端にタグ化されたヌクレオチドの連続配列によってコードされる。他の場合では、固有の分子識別子(UMI)バーコードは、不連続配列によってコードされる。不連続UMIは、標的核酸の第1の端にバーコードの一部分、および標的核酸の第2の端にバーコードの一部分を有することができる。一部の場合では、UMIは、標的核酸の第1の端に可変長バーコード配列および第2の端に第2の識別子配列を含有する不連続バーコードである。一部の場合では、UMIは、標的核酸の第1の端に可変長バーコード配列および第2の端に第2の識別子配列を有する不連続バーコードであり、ここで、第2の識別子配列は、トランスポザーゼ断片化事象の位置、例えばトランスポザーゼ断片化部位およびトランスポザーゼ末端挿入事象によって決定される。
一部の場合では、バーコードは、「可変長バーコード」である。本明細書で使用される場合、可変長バーコードは、長さによって集団中の他の可変長バーコードオリゴヌクレオチドと異なるオリゴヌクレオチドであり、これは、バーコード中の連続ヌクレオチドの数によって識別することができる。一部の場合では、可変長に加えて、上記の段落に記載されるように、可変長バーコードについての追加のバーコードの複雑さが、可変ヌクレオチド配列の使用によって提供され得る。
例示的な実施形態では、可変長バーコードは、0から5以下のヌクレオチドの長さを有し得る。そのような可変長バーコードは、「[0-5]」という用語によって表され得る。そのような実施形態では、そのような可変長バーコードに付着される標的核酸の集団が、少なくとも1個のヌクレオチドを有する可変長バーコードに付着される(例えば、1つのみ、2つのみ、3つのみ、4つのみ、または5つのみのヌクレオチドを有する可変長バーコードに付着される)少なくとも1つの標的核酸を含むと予想されることが理解される。そのような実施形態では、そのような可変長バーコードに付着される標的核酸の集団が、可変長バーコードを含有しない(すなわち、0の長さを有する可変長バーコード)少なくとも1つの標的核酸、および/または1つのヌクレオチドのみを有する可変長バーコードを含有する少なくとも1つの標的核酸、および/または2つのヌクレオチドのみを有する可変長バーコードを含有する少なくとも1つの標的核酸、および/または3つのヌクレオチドのみを有する可変長バーコードを含有する少なくとも1つの標的核酸、および/または4つのヌクレオチドのみを有する可変長バーコードを含有する少なくとも1つの標的核酸、および/または5つのヌクレオチドのみを有する可変長バーコードを含有する少なくとも1つの標的核酸を含み得ることがさらに理解される。そのような実施形態では、[0-5]可変長バーコードは、それ自体によって、同じ配列の5つの異なる標的核酸分子を固有に識別する(区別する)ことができる。さらに、そのような実施形態では、[0-5]可変長バーコードは、それぞれの異なる標的核酸配列について、第1の配列の5つの異なる標的核酸分子、第2の配列の5つの異なる標的核酸分子などを固有に識別する(区別する)ことができる。さらには、バーコード標識化MHC多量体は、単一細胞選別およびTCR配列決定と組み合わせて使用することができ、ここで、TCRの特異性は、共付着バーコードによって決定することができる。これは、我々が、同じ試料から並行して可能性のある1000+の異なる抗原反応性T細胞についてのTCR特異性を識別すること、およびTCR配列を抗原特異性とマッチさせることを可能にする。この技術の将来の可能性は、TCR配列に基づく抗原応答性を予測する能力に関する。
バーコード標識化MHC多量体ライブラリーの複雑さは、所与の個体中の関連するTCRの個別化された選択を可能にする。
バーコードは、多量体に共付着され、特定のペプチド-MHC複合体に対する特異的標識としての役割を果たす。この方法では、少なくとも1000~10,00またはそれよりも多くの異なるペプチド-MHC多量体を混合することができ、血液または他の生物学的検体からのT細胞との特異的な相互作用、未結合MHC多量体の洗い流し、DNAバーコードの配列の決定を可能にする。目的の細胞集団を選択する場合、バックグラウンドレベルを上回って存在するバーコードの配列は、所与の細胞集団中に存在する抗原応答性細胞の識別のためのフィンガープリントを提供する。それぞれの特異的なバーコードについての配列リードの数は、特異的T細胞の頻度と相関し、頻度は、リードの頻度をT細胞のインプット頻度と比較することによって推定することができる。
DNAバーコードは、抗原特異的T細胞のための特異的標識としての役割を果たし、例えば単一細胞選別、機能分析または表現型評価後に、T細胞の特異性を決定するために使用することができる。この方法では、抗原特異性は、T細胞受容体配列(単一細胞配列決定法によって明らかにされ得る)ならびに抗原特異的細胞の機能的および表現型的特徴の両方に関連し得る。
バーコード標識化MHC多量体ライブラリーは、所与のT細胞クローンまたはTCR形質導入/トランスフェクト細胞へのMHC多量体結合の定量的評価のために使用することができる。バーコード標識の配列決定は、いくつかの異なる標識が同じ細胞集団において同時に決定されるのを可能にするので、この戦略は、関連するペプチド-MHC多量体のライブラリーと比べて、所与のTCRのアビディティーを決定するために使用することができる。最終読み取りにおける異なるDNA-バーコード配列の相対的寄与は、ライブラリー中の異なるペプチド-MHC多量体のそれぞれに対するTCR結合の定量的寄与に基づいて決定される。タイトレーションに基づく分析により、単一試料にすべてマージされた、ペプチド-MHC多量体の大きなライブラリーに関連して、TCRの定量的な結合特性を決定することが可能である。この特定の目的のために、MHC多量体ライブラリーは、関連ペプチド配列またはアラニン置換ペプチドライブラリーを特異的に保持し得る。
一部の実施形態では、固有の識別子は、複数の試料の各試料のために使用することができる。一部の実施形態では、識別子は、2つまたはそれよりも多くの試料の間で共有することができる。一部の実施形態では、識別子は、すべての試料間で共有される一部の配列、および1つの試料に固有である他の配列を含むことができる。一部の実施形態では、識別子は、すべての試料間で共有される配列、および1つの試料に固有の配列を含むことができる。一部の実施形態では、試料間で共有される配列は、増幅(例えば、好適なプライマーによるPCR増幅)の識別子のために使用することができる。一部の実施形態では、1つの試料に固有の配列または試料のサブセット間で共有される配列は、qPCRによる検出または定量化のために使用することができる(例えば、加水分解プローブ、例えばTaqManプローブのための配列)。一部の実施形態では、1つの試料に固有の配列または試料のサブセット間で共有される配列は、配列決定を介した検出または定量化のために使用することができる。
一部の実施形態では、識別子は、固有のインシリコで生成された配列を含むことができ、各識別子配列は、複数の試料のうちの1つの試料に割り当てることができ、識別子-試料割り当ては、データベースに保存することができる。一部の実施形態では、識別子は、ペプチドまたはタンパク質のすべてまたは部分をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態では、識別子は、オープンリーディングフレームをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態では、識別子は、プロモーター配列を含むヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態では、識別子は、DNA結合性タンパク質、例えば転写因子またはポリメラーゼ酵素のための結合部位を含むヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態では、識別子は、ヌクレアーゼ、例えば制限酵素によって標的にされる1または複数の配列を含むことができる。一部の実施形態では、識別子は、配列のin vitro転写および翻訳に必要なすべての配列エレメントを含むことができる。一部の実施形態では、識別子は、配列のin vitro転写および翻訳に必要なすべての配列エレメントを含まない。
一部の実施形態では、識別子は、ビオチン化ヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態では、識別子は、ビオチン化プライマーによるPCR増幅によってビオチン化され得る。一部の実施形態では、識別子は、Klenow DNAポリメラーゼ酵素、ニック翻訳、またはT7、T3、およびSP6 RNAポリメラーゼを含むRNAポリメラーゼを標識する混合プライマーの使用による、ビオチン化標識、例えばビオチンdUTP標識の酵素的組み込みによってビオチン化され得る。一部の実施形態では、識別子は、光ビオチン化によってビオチン化することができる、例えば、光活性化可能ビオチンを試料に添加し、試料にUV光を照射することができる。
一部の実施形態では、識別子は、例えば、鋳型DNAのPCR増幅を介して、鋳型ポリヌクレオチドから生成することができる。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、オープンリーディングフレームをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、プロモーター配列を含むヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、DNA結合性タンパク質、例えば転写因子またはポリメラーゼ酵素のための結合部位を含むヌクレオチド配列を含むことができる。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、ヌクレアーゼ、例えば制限酵素によって標的にされる1または複数の配列を含むことができる。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、配列のin vitro転写および翻訳に必要なすべての配列エレメントを含むことができる。一部の実施形態では、鋳型ポリヌクレオチドは、配列のin vitro転写および翻訳に必要なすべての配列エレメントを含まない。
付着された識別子(例えば、オリゴヌクレオチドバーコード)を有するpMHC多量体は、複数のT細胞とともにインキュベートし、それに続いて単一細胞コンパートメントへのT細胞の選別を行うことができる。T細胞は溶解され、識別子を含む溶解されたT細胞から核酸が産生される。核酸はプールされ、配列決定される。識別子により、ペプチド識別子を同じコンパートメントからのT細胞配列とマッチさせることが可能である。TCR抗原特異性プロファイルは、コンパートメントからTCR配列(例えば、可変領域、超可変領域、またはCDR)を識別すること、および同じコンパートメントからのペプチド識別子リードを定量化することによって決定される。
ペプチドライブラリーのペプチドについて結合親和性を示す多数のTCRを識別することができ、特異的TCRに対する結合親和性を示す多数のペプチドを識別することができる。
TCR結合親和性の増加をもたらす識別されたTCR-抗原対の抗原におけるエピトープ突然変異を、識別することができる。
疾患関連タンパク質の対照と関連するペプチドおよびTCR配列を識別することができ、ワクチンおよび細胞療法を設計するために使用することができる。
治療に対する応答を評価するために、配列決定された各ペプチド識別子について、対応するTCR配列が識別される。ペプチドライブラリーの一部のペプチドについて結合親和性を示す多数のTCRが識別され、一部のTCRに対する結合親和性を示す多数のペプチドが識別される。対象は長期的に追跡され、アッセイの結果を比較して、免疫療法に対する成功した応答に関連するペプチドおよびTCR配列が識別される。
IX.ベクターおよびポリヌクレオチド
本明細書に記載されるタンパク質のいずれかをコードする核酸配列も本開示に含まれる。当業者に認識されるように、第3の塩基縮重のために、ほとんどすべてのアミノ酸は、コードするヌクレオチド配列中で2つ以上のトリプレットコドンによって表すことができる。加えて、マイナーな塩基対変化は、コードされるアミノ酸配列において保存的置換をもたらし得るが、遺伝子産物の生物活性を実質的に変更するとは予想されない。したがって、本明細書に記載されるタンパク質をコードする核酸配列は、配列中でわずかに改変され得、そのそれぞれの遺伝子産物をさらに依然としてコードし得る。
本明細書に記載されるさまざまなタンパク質またはポリペプチドのいずれかをコードする核酸は、化学的に合成されてもよい。コドン使用頻度は、細胞中での発現を改善するために選択されてもよい。そのようなコドン使用頻度は、選択される細胞型に依存する。特定化されたコドン使用頻度のパターンは、E.coliおよび他の細菌、ならびに哺乳動物細胞、植物細胞、酵母細胞および昆虫細胞のために発達している。例えば、Mayfield et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100(2):438-442 (Jan. 21, 2003); Sinclair et al., Protein Expr. Purif., 26(I):96-105 (October 2002);Connell, N.D., Curr. Opin. Biotechnol., 12(5):446-449 (October 2001);Makrides et al., Microbiol. Rev., 60(3):512-538 (September 1996);およびSharp et al., Yeast, 7(7):657-678 (October 1991)を参照されたい。
核酸操作のための一般技法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、またはAusubel, F. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing and Wiley-Interscience, New York (1987)および定期的更新に記載されている。一般に、ポリペプチドをコードするDNAは、哺乳動物、ウイルスまたは昆虫遺伝子に由来する好適な転写または翻訳調節エレメントに作動可能に連結されている。そのような調節エレメントは、転写プロモーター、転写を制御する必要に応じたオペレーター配列、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列を含む。通常複製起点によって付与される宿主中で複製する能力、および形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子が、追加で組み込まれる。
本明細書に記載されるタンパク質は、直接的にだけでなく、好ましくは、シグナル配列、または成熟タンパク質もしくはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとして、組換え的に産生されてもよい。選択された異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識およびプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。
天然のシグナル配列を認識およびプロセシングしない原核宿主細胞のために、シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、1pp、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核シグナル配列によって置換される。
酵母分泌のために、天然のシグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼリーダー、因子リーダー(SaccharomycesおよびKluyveromycesアルファ因子リーダーを含む)、または酸ホスファターゼリーダー、C.albicansグルコアミラーゼリーダー、または米国特許第5,631,144号に記載されるシグナル配列によって置換されていてもよい。哺乳動物細胞発現では、哺乳動物シグナル配列、およびウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。そのような前駆体領域のためのDNAは、リーディングフレームにおいて、タンパク質をコードするDNAにライゲーションされていてもよい。
発現およびクローニングベクターは両方とも、1つまたは複数の選択された宿主細胞におけるベクターの複製を可能にする核酸配列を含有する。一般に、クローニングベクターでは、この配列は、ベクターが宿主染色体DNAとは無関係に複製することを可能にするものであり、複製起点または自己複製する配列を含む。そのような配列は、各種の細菌、酵母およびウイルスについて周知である。プラスミドpBR322由来の複製起点は、ほとんどのグラム陰性菌に好適であり、2ミクロンプラスミドの起点は、酵母に好適であり、さまざまなウイルスの起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)は、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターのために有用である。一般に、複製起点の構成要素は、哺乳動物発現ベクターのために必要ではない(SV40起点は、典型的には、それが初期プロモーターを含有する理由だけで使用され得る)。
発現およびクローニングベクターは、選択マーカーとも称される選択遺伝子を含有していてもよい。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート、またはテトラサイクリン(tracycline)に対する耐性を付与するタンパク質、(b)栄養要求性の欠乏を補うタンパク質、または(c)複合培地からは利用可能ではない重要な栄養素、例えば、BacilliのD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子を供給するタンパク質をコードする。
発現およびクローニングベクターは、通常、宿主生物体によって認識され、本明細書に記載されるタンパク質、例えばフィブロネクチンに基づくスキャフォールドタンパク質をコードする核酸に作動可能に連結されているプロモーターを含有する。原核生物宿主での使用に好適なプロモーターとしては、phoAプロモーター、ベータ-ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにハイブリッドプロモーター、例えばtanプロモーターが挙げられる。しかしながら、他の公知の細菌プロモーターが好適である。細菌系における使用のためのプロモーターは、本明細書に記載されるタンパク質をコードするDNAに作動可能に連結されたシャイン-ダルガーノ(S.D.)配列も含有する。プロモーター配列は、真核生物について公知である。事実上、すべての真核遺伝子は、転写が開始される部位からおよそ25~30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写の開始から70~80塩基上流で見出される別の配列は、CNCAAT領域(ここで、Nは、任意のヌクレオチドであり得る)である。ほとんどの真核遺伝子の3’末端に、コード配列の3’末端でのポリAテイルの付加のためのシグナルであり得るAATAAA配列がある。これらの配列のすべてが、好適には、真核発現ベクターに挿入される。
酵母宿主での使用のための好適なプロモートする配列の例としては、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、または他の糖分解酵素、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼのためのプロモーターが挙げられる。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの転写は、例えば、ウイルス、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、最も好ましくは、シミアンウイルス40(SV40)のゲノムから得られるプロモーターによって、異種哺乳動物プロモーター、例えば、熱ショックプロモーター由来のアクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターから、制御され得、但し、そのようなプロモーターは、宿主細胞系と適合性である。
高等真核生物による本明細書に記載されるタンパク質をコードするDNAの転写は、多くの場合、ベクターへのエンハンサー配列の挿入によって増加する。多くのエンハンサー配列が、哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、およびインスリン)から現在公知である。しかしながら、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用される。例としては、複製起点の後側(bp100~270)のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。真核細胞プロモーターの活性化について増強するエレメントに対して、Yaniv, Nature, 297:17-18 (1982)も参照されたい。エンハンサーは、ペプチドコード配列に対して5’または3’位でベクターにスプライシングされ得るが、好ましくは、プロモーターから5’の部位に位置する。
真核宿主細胞(例えば、酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物体由来の有核細胞)において使用される発現ベクターは、転写の終結のためおよびmRNAを安定化するために必要な配列も含有する。そのような配列は、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの5’および時折3’非翻訳領域から通常利用可能である。これらの領域は、本明細書に記載されるタンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分において、ポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終結構成要素は、ウシ成長ホルモンのポリアデニル化領域である。WO94/11026号およびそこに開示されている発現ベクターを参照されたい。
組換えDNAは、タンパク質を精製するために有用であり得る任意の種類のタンパク質タグ配列を含むこともできる。タンパク質タグの例としては、限定されるものではないが、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、mycタグ、HAタグ、またはGSTタグが挙げられる。細菌、真菌、酵母および哺乳動物細胞宿主での使用のための適切なクローニングおよび発現ベクターは、Cloning Vectors: A Laboratory Manual, (Elsevier, New York (1985))において見出すことができ、その関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
発現構築物は、当業者に明らかであるように、宿主細胞に対して適切な方法を使用して、宿主細胞に導入される。宿主細胞に核酸を導入するための各種の方法は、当技術分野において公知であり、限定されるものではないが、電気穿孔;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の物質を用いるトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(ベクターが感染病原体である場合)が挙げられる。
好適な宿主細胞としては、原核生物、酵母、哺乳動物細胞、または細菌細胞が挙げられる。好適な細菌としては、グラム陰性またはグラム陽性生物体、例えば、E.coliまたはBacillus spp.が挙げられる。酵母、好ましくはSaccharomyces種由来の酵母、例えばS.cerevisiaeも、ポリペプチドの産生のために使用され得る。さまざまな哺乳動物または昆虫細胞培養系を、組換えタンパク質を発現させるために用いることもできる。昆虫細胞における異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルス系は、Luckow et al. (Bio/Technology, 6:47 (1988))によって概説されている。好適な哺乳動物宿主細胞系の例としては、内皮細胞、COS-7サル腎臓細胞、CV-1、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト胚腎臓細胞、HeLa、293、293T、およびBHK細胞系が挙げられる。精製されたポリペプチドは、好適な宿主/ベクター系を培養して、組換えタンパク質を発現させることによって調製される。多くの適用のために、小さなサイズの多くの本明細書に記載されるポリペプチドは、発現のための好ましい方法としてE.coliにおいて発現されるであろう。次いで、タンパク質は、培養培地または細胞抽出物から精製される。
本発明のタンパク質を産生するために使用される宿主細胞は、各種の培地中で培養され得る。市販の培地、例えば、ハムF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma))、RPMI-1640(Sigma)、およびダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma))は、宿主細胞を培養するために好適である。加えて、Ham et al., Meth. Enzymol., 58:44 (1979)、Barites et al., Anal. Biochem., 102:255 (1980)、米国特許第4,767,704号、同第4,657,866号、同第4,927,762号、同第4,560,655号、同第5,122,469号、同第6,048,728号、同第5,672,502号、または米国特許第RE30,985号に記載される多くの培地が、宿主細胞のための培養培地として使用され得る。これらの培地のいずれかは、必要により、ホルモンおよび/または他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質(ゲンタマイシン薬など)、微量元素(マイクロモル濃度範囲の最終濃度で通常存在する無機化合物として定義される)、およびグルコースまたは同等のエネルギー源が補充されていてもよい。任意の他の必要な補充物はまた、当業者に公知であろう適切な濃度で含まれ得る。培養条件、例えば、温度、pH等は、発現のために選択された宿主細胞で以前に使用されているものであり、当業者に明らかである。
本明細書に記載されるタンパク質はまた、無細胞翻訳系を使用して産生させることができる。そのような目的のために、ポリペプチドをコードする核酸は、mRNAを産生するようにin vitroでの転写を可能にし、利用される特定の無細胞系におけるmRNAの無細胞翻訳を可能にするように改変されなければならない(哺乳動物もしくは酵母の無細胞翻訳系などの真核生物、または細菌の無細胞翻訳系などの原核生物)。
本明細書に記載されるタンパク質はまた、化学合成によって産生することができる(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd Edition, The Pierce Chemical Co., Rockford, Ill. (1984)に記載される方法によって)。タンパク質に対する改変はまた、化学合成によって産生することができる。
本発明のタンパク質は、タンパク質化学の分野において一般に公知のタンパク質のための単離/精製方法によって精製することができる。非限定的な例としては、抽出、再結晶、塩析(例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムを用いる)、遠心分離、透析、限外濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲル濾過、ゲル浸透クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動、向流分配、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。精製後、ポリペプチドは、異なる緩衝液に交換されてもよく、および/または限定されるものではないが、濾過および透析を含む当技術分野において公知の各種の方法のいずれかによって濃縮されてもよい。
精製されたポリペプチドは、好ましくは、少なくとも85%純粋、または好ましくは少なくとも95%純粋、最も好ましくは少なくとも98%純粋である。純度の正確な数値にかかわらず、ポリペプチドは、その意図される使用のために十分純粋である。
X.使用の方法
本発明の別の態様は、例えば試料中の、抗原応答性T細胞を検出するための方法に関する。一般に、方法は、本開示の複数のpMHCコンジュゲート化多量体を提供するステップ;コンジュゲート化多量体を前記試料と接触させるステップ;および試料内の抗原応答性T細胞へのコンジュゲート化多量体の結合を検出し、それによって複数のコンジュゲート化多量体中に存在する抗原ペプチドに対するT細胞応答を検出するステップを含む。一実施形態では、結合は、コンジュゲート化多量体に連結されたオリゴヌクレオチドバーコードのバーコード領域を増幅することによって検出される。典型的には、pMHCIコンジュゲート化多量体について、抗原応答性T細胞はCD8+T細胞であり、そのTCRは、ペプチドが結合したMHCクラスI分子を認識する一方、pMHCIIコンジュゲート化多量体について、抗原応答性T細胞はCD4+T細胞であり、そのTCRは、ペプチドが結合したMHCクラスII分子を認識する。
このコンジュゲート化多量体技術は、単一試料中の多数の(潜在的に>1000)異なる抗原特異的T細胞の検出を可能にする。技術は、例えば、T細胞エピトープマッピング、免疫認識の発見、診断検査、およびワクチン接種または免疫関連療法後の免疫反応性の測定のために使用することができる。治療的使用のために、pMHCコンジュゲート化多量体は、治療のために、例えば養子T細胞移入療法のために投与される抗原特異的T細胞の識別および選択を可能にする。
A.アッセイ
本発明の一実施形態では、MHC多量体は、フローサイトメトリーまたはフローサイトメトリー様分析を使用する液状試料中の個々のT細胞の検出のために使用することができる。
液状細胞試料は、フローサイトメーターを使用して分析することができ、レーザービームがストリームを通過して、個々の細胞を検出および計数することが可能である。MHC多量体を使用する特異的T細胞の識別のために、細胞は、細胞をMHC多量体とともにインキュベートし、次いで離された細胞のストリームを作出するノズルに、細胞を大体積の液体で強引に通すことによって、蛍光標識化MHC多量体で染色される。各細胞はレーザービームを通過し、細胞に結合した任意の蛍光色素は励起され、それによって蛍光を発する。感受性光電子増倍管は、放たれた蛍光を検出し、細胞に結合したMHC多量体の量についての情報を提供する。この方法によって、MHC多量体は、液状試料中の個々のT細胞および/または特異的T細胞集団を識別するために使用することができる。
フローサイトメトリー分析においてMHC多量体によって分析され得る細胞試料としては、限定されるものではないが、血液試料もしくはその画分、T細胞系(ハイブリドーマ、トランスフェクト細胞)およびホモジネートされた脾臓のような組織、リンパ節、腫瘍、脳、またはT細胞を含む任意の他の組織が挙げられる。
血液試料を分析する場合、全血は、フローサイトメーターにおける分析の前に、赤血球の溶解を伴ってまたは伴わずに、使用することができる。溶解試薬は、MHC多量体による染色の前または後に添加することができる。赤血球を溶解せずに血液試料を分析する場合、1種または複数のゲーティング試薬を、赤血球からリンパ球を区別するために含めてもよい。好ましいゲーティング試薬は、赤血球上の表面タンパク質に特異的なマーカー分子であり、試料の残っている細胞由来のこの細胞集団の減算を可能にする。例として、蛍光色素標識化CD45特異的マーカー分子、例えば抗体は、フローサイトメーターが赤血球と染色された白血球との間を区別することを可能にするトリガー識別物を設定するために使用することができる。
全血の分析の代替として、リンパ球は、例えばFICOLL(登録商標)-Hypaque勾配のような標準手順を使用して、フローサイトメトリー分析の前に精製することができる。別の可能性は、例えば固体支持体上に固定化された抗体または他のT細胞特異的マーカーに試料を添加することによって、血液試料からT細胞を単離することである。次いで、T細胞に特異的なマーカーを、固体支持体上に付着させ、洗浄後、特異的T細胞を溶出させることができる。次いで、この精製されたT細胞集団は、MHC多量体と一緒に、フローサイトメトリー分析のために使用することができる。
T細胞はまた、ロゼット形成によって、他のリンパ球または血液細胞から精製され得る。ヒトT細胞は、Eロゼット形成とも呼ばれる、ヒツジ赤血球との自発的ロゼットを形成する。Eロゼット形成は、リンパ球をヒツジ赤血球とともにインキュベートし、それに続いて密度勾配、例えばFICOLL(登録商標)Hypaque勾配上で精製することによって行うことができる。
T細胞を能動的に単離する代わりに、B細胞、NK細胞または他の細胞集団のような所望されない細胞を、分析の前に除去することができる。所望されない細胞の除去のための好ましい方法は、固体支持体に固定化された所望されない細胞に特異的なマーカー分子またはその上の1種もしくは複数の表面タンパク質とともに試料をインキュベートすることである。例としては、所望されない細胞上の表面受容体に特異的な抗体または他のマーカー分子、例えばCD19、CD56、CD14、CD15または他のものに対するマーカーでコーティングされたビーズの使用が挙げられる。簡潔には、特異的表面マーカーでコーティングされたビーズを、細胞試料に添加する。適切な表面受容体を有する所望のT細胞とは異なる細胞を、ビーズに結合させる。ビーズは、例えば遠心分離または磁気引き抜き(磁気ビーズを使用する場合)によって除去され、残っている細胞は、T細胞について富化されている。
別の例は、所望されない細胞に特異的な抗体または他のマーカーでコーティングされた材料を有するカラムを使用するアフィニティークロマトグラフィーである。
あるいは、特異的抗体またはマーカーは、補体と一緒に血液試料に添加され、それによって抗体またはマーカーによって認識された細胞を死滅させることができる。
さまざまなゲーティング試薬を、分析に含めることができる。ここで、ゲーティング試薬は、固有の表面タンパク質または細胞内構成要素または細胞内分泌構成要素への結合によって、細胞のサブセットを識別する標識化抗体または他の標識化マーカー分子を意味する。MHC多量体を使用する場合の好ましいゲーティング試薬は、T細胞の主要なサブセットを識別するCD2、CD3、CD4、およびCD8に対する抗体およびマーカー分子である。他の好ましいゲーティング試薬は、CD11a、CD14、CD15、CD19、CD25、CD30、CD37、CD49a、CD49e、CD56、CD27、CD28、CD45、CD45RA、CD45RO、CD45RB、CCR7、CCR5、CD62L、CD75、CD94、CD99、CD107b、CD109、CD152、CD153、CD154、CD160、CD161、CD178、CDw197、CDw217、Cd229、CD245、CD247、Foxp3に対する抗体およびマーカー、または異なるリンパ球、リンパ球集団もしくは他の細胞集団に固有の特異的タンパク質を認識する他の抗体もしくはマーカー分子である。インターロイキン、例えば、IL-2、IL-4、II-6、IL-10、IL-12、IL-21;インターフェロン、例えば、INFγ、TNFα、TNFβ、または他のサイトカインもしくはケモカインに対する抗体およびマーカーも挙げられる。
ゲーティング試薬は、試料へのMHC多量体の添加の前、その後、またはそれと同時に添加することができる。MHC多量体で標識した後、およびフローサイトメーターにおける分析の前に、染色された細胞を、固定試薬(例えば、ホルムアルデヒド、エタノールまたはメタノール)で処理して、細胞表面にMHC多量体を架橋結合させることができる。染色された細胞は、固定なしで直接分析することもできる。
フローサイトメーターは、一実施形態では、特定の細胞型を分離および収集するために用意され得る。これは、細胞選別と呼ばれる。フローサイトメーターにおける選別と組み合わされたMHC多量体は、抗原特異的T細胞集団を単離するために使用することができる。上記に記載されたゲーティング試薬は、単離されるT細胞集団をさらに特定化することを含み得る。次いで、単離および収集された特異的T細胞集団は、本明細書の他の場所に記載されるように、さらに操作することができる、例えばin vitroで拡大することができる。
試料中のMHCペプチド特異的T細胞の濃度の直接決定は、MHC多量体および関連するゲーティング試薬で血液試料または他の細胞試料を染色すること、それに続いて公知の濃度の計数ビーズの正確な量の添加によって得ることができる。一般に、計数ビーズは、フローサイトメーターによって認識された場合に、目的の細胞の状況にそれらを置く散乱性を有する微小粒子である。それらは、抗体、蛍光色素もしくは他のマーカー分子で標識され得るか、またはそれらは未標識であり得る。一部の実施形態では、ビーズは、フローサイトメーターのほとんどのチャネルにおいて蛍光を発するポリマー中に埋め込まれた分子を有するポリスチレンビーズである。ここで、「計数ビーズ」および「微小粒子」という用語は、互換的に使用される。
使用のために好適なビーズまたは微小粒子としては、ゲルクロマトグラフィーのために使用されるもの、例えばSEPHADEX(登録商標)などのゲル濾過媒体が挙げられる。この選別の好適なマイクロビーズとしては、限定されるものではないが、40~120μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-10(SigmaAldrichカタログ番号27,103-9)、40~120μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-15(Sigma Aldrichカタログ番号27,104-7)、20~50μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-25(Sigma Aldrichカタログ番号27,106-3)、20~80μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-25(Sigma Aldrichカタログ番号27,107-1)、50~150μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-25(Sigma Aldrichカタログ番号27,109-8)、100~300μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-25(Sigma Aldrichカタログ番号27,110-1)、20~50μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-50(Sigma Aldrichカタログ番号27,112-8)、20~80μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-50(Sigma Aldrichカタログ番号27,113-6)、50~150μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-50(Sigma Aldrichカタログ番号27,114-4)、100~300μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-50(SigmaAldrichカタログ番号27,115-2)、20~50μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-75(Sigma Aldrichカタログ番号27,116-0)、40~120μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-75(Sigma Aldrichカタログ番号27,117-9)、20~50μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-100(SigmaAldrichカタログ番号27,118-7)、40~120μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-100(Sigma Aldrichカタログ番号27,119-5)、40~120μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-150(Sigma Aldrichカタログ番号27,121-7)、および40~120μmのビーズサイズを有するSEPHADEX(登録商標)G-200(Sigma Aldrichカタログ番号27,123-3)が挙げられる。
本明細書に記載される方法および組成物における使用のための他の好ましい粒子は、プラスチックマイクロビーズを含む。プラスチックマイクロビーズは通常固体であるが、それらは、内部が中空であってもよく、ベシクルおよび他のマイクロキャリアであり得る。それらは、本明細書に記載される方法において機能するために、完全な球形である必要はない。ポリスチレン、ポリアクリルアミドおよび他のラテックス材料などのプラスチック材料が、ビーズを製造するために用いられ得るが、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどのような他のプラスチック材料も使用され得る。
計数ビーズは、分析される試料の正確な体積を測定するための参照集団として使用される。試料は、フローサイトメーターにおいて分析され、MHC特異的T細胞の量は、例えば所定のゲーティング戦略を使用し、次いでこの数を同じ試料中の計数された計数ビーズの量と相関させて、決定される。
T細胞の活性化状態の同時検出と組み合わされた試料中の特異的T細胞の検出はまた、MHC多量体と一緒に、上方調節または下方調節された表面に露出した受容体に特異的なマーカー分子を使用して、測定することができる。マーカー分子およびMHC多量体は、同じ標識または異なる標識分子で標識することができ、同時または順次または別々に試料に添加することができる。
1.顕微鏡法を使用する液状試料中の個々のT細胞の検出
液状試料中の個々のT細胞の検出のための別の好ましい方法は、顕微鏡法を使用することである。顕微鏡法は、光学、電子および走査プローブ顕微鏡法、明視野顕微鏡法、暗視野顕微鏡法、位相差顕微鏡法、微分干渉顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、共焦点レーザー走査顕微鏡法、X線顕微鏡法、透過型電子顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡、走査トンネル顕微鏡、および光子力顕微鏡を含む任意の種類の顕微鏡法を含む。これは、以下の通り行うことができる:T細胞の懸濁液をMHC多量体に添加し、試料を洗浄し、次いで各細胞に結合したMHC多量体の量を測定する。結合したMHC多量体は、直接標識されてもよく、または標識化マーカー分子の添加により測定されてもよい。次いで、試料は、スライド上に、または同様に個々の細胞を区別することができる薄層上に広げられ、標識化細胞は、顕微鏡を使用して識別される。標識の種類に応じて、異なる種類の顕微鏡が使用され得る、例えば、蛍光標識が使用される場合、蛍光顕微鏡が分析のために使用される。例えば、MHC多量体は、蛍光色素で標識され得るか、または結合したMHC多量体は、蛍光抗体で検出され得る。次いで、結合した蛍光MHC多量体を有する細胞は、例えば免疫蛍光顕微鏡または共焦点蛍光顕微鏡を使用して、可視化することができる。
2.免疫組織化学的検査(IHC)
IHCは、MHC多量体を、例えば固形組織の切片中で、特異的T細胞を直接検出するために使用することができる方法である。一部の実施形態では、固定または凍結組織試料の切片を、MHC多量体とともにインキュベートして、MHC多量体を組織中の特異的T細胞に結合させる。MHC多量体は、蛍光色素、発色団、または検出することができる任意の他の標識分子で標識され得る。MHC多量体の標識化は、直接、または第2のマーカー分子を通してであり得る。例として、MHC多量体は、例えば二次抗体によって認識され得るタグで標識され得、必要に応じて、HRPまたは別の標識で標識され得る。次いで、結合したMHC多量体は、その蛍光もしくは吸光度(フルオロフォアまたは発色団について)によって、またはこのタグもしくはMHC多量体の別の構成要素(例えば、タンパク質鎖の1つ、1つまたは複数の多量体化ドメイン上の標識)に対する酵素標識化抗体の添加によって、検出される。酵素は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)またはアルカリホスファターゼ(AP)であり得、これらは両方とも、in situで無色物質を着色反応産物に変換する。この着色した沈殿物は、MHC多量体の結合部位を識別し、例えば光学顕微鏡下で可視化することができる。MHC多量体はまた、例えばHRPまたはAPで直接標識することができ、追加の抗体なしでIHCにおいて使用することができる。
一部の実施形態では、固形組織中のT細胞の検出は、組織切片が染色の前に作製され、ホルマリン中で固定される、パラフィンに包埋された組織の使用を含む。抗体は、ホルマリン固定組織切片の染色のために使用される標準的な試薬であり、これらの抗体は、多くの場合、線状エピトープを認識する。対照的に、ほとんどのMHC多量体は、TCR上の立体構造エピトープを認識すると予想される。この場合では、TCRの天然の構造は、固定組織中で少なくとも部分的に保存されている必要がある。
他の実施形態では、染色は、凍結組織ブロックからの組織切片で行われた。この種類の染色では、固定は、MHC多量体染色の後に行われる。
3.免疫蛍光顕微鏡法
一部の実施形態では、MHC多量体は、固形組織の切片中の特異的T細胞を識別するために使用することができる。酵素反応による結合したMHC多量体の可視化の代わりに、MHC多量体は、蛍光色素で標識されるか、または結合したMHC多量体は、蛍光抗体によって検出される。結合した蛍光MHC多量体を有する細胞は、免疫蛍光顕微鏡または共焦点蛍光顕微鏡において可視化することができる。この方法は、本明細書の他の箇所に記載される液状試料中のT細胞の検出のために記載される原理を使用する液状試料中のT細胞の検出のために使用することもできる。
4.in vivoでの固形組織中のT細胞の検出
MHC多量体はまた、in vivoでの固形組織中のT細胞の検出のために使用され得る。T細胞のin vivo検出のために、標識化MHC多量体は、調査される個体の身体に注射される。MHC多量体は、例えば常磁性同位元素で標識されていてもよい。磁気共鳴画像法(MRI)スキャナーまたは電子スピン共鳴(ESR)スキャナーを使用して、次いで、T細胞に結合するMHC多量体を測定および局在化することができる。一般に、診断的イメージングの可視化のための任意の従来の方法を利用することができる。通常、ガンマおよび陽電子放出放射性同位元素が、MRIのためのカメラおよび常磁性同位元素のために使用される。
5.固体支持体上に固定化されたT細胞の検出
いくつかの適用では、固体または半固体支持体上にT細胞を固定化することが有利であり得る。そのような支持体は、固定化、分離などのために適している任意のものであり得る。非限定的な例としては、粒子、ビーズ、生分解性粒子、シート、ゲル、フィルター、膜(例えば、ナイロン膜)、繊維、毛細管、針、マイクロタイターストリップ、管、プレートもしくはウェル、コーム、ピペットチップ、マイクロアレイ、チップ、スライド、または実際に任意の固体表面材料が挙げられる。固体または半固体支持体は、これが所望される場合、標識されていてもよい。支持体はまた、散乱特性またはサイズを有していてもよく、これは、同じ性質、例えば異なるサイズもしくは散乱特性、色または強度の粒子の支持体の中での区別を可能にする。
MHC多量体を固定化されたT細胞の検出のために使用することができる方法の例は、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)である。ELISAは、抗体-抗原相互作用の検出のために最初は使用された結合アッセイである。検出は、酵素反応に基づき、通常使用される酵素は、例えば、HRPおよびAPである。MHC多量体は、精製されたTCRおよびマイクロタイタープレートのウェルに固定化されたT細胞の分析のためのELISAに基づくアッセイにおいて使用することができる。結合したMHC多量体は、MHC多量体(例えば、1つまたは複数の多量体化ドメインまたはMHCタンパク質)への例えばHRPまたはAPの直接化学的カップリングによって、あるいは例えばMHC多量体に結合するHRPもしくはAPカップリング抗体または他のマーカー分子によってのいずれかで標識され得る。次いで、酵素標識の検出は、HRPまたはAP酵素によって検出可能産物(例えば、着色した)に変えられる基質(例えば、無色)の添加によってである。
固体支持体は、例えば、ガラス、シリカ、ラテックス、プラスチック、または任意のポリマー材料製であり得る。支持体はまた、生分解性材料から作られていてもよい。一般的に言えば、支持体の性質は重要ではなく、各種の材料が使用され得る。支持体の表面は、疎水性または親水性であり得る。非磁気ポリマービーズも適用可能であり得る。そのようなものは、広範囲の製造業者、例えば、Dynal Particles AS、Qiagen、Amersham Biosciences、Serotec、Seradyne、Merck、Nippon Paint、Chemagen、Promega、Prolabo、Polysciences、Agowa、およびBangs Laboratoriesから入手可能である。
好適な支持体の別の例は、磁気ビーズまたは粒子である。「磁気」という用語は、本明細書のいずれの箇所においても使用される場合、支持体が、磁場に置かれた場合にそれに付与される磁気モーメントを有することができ、したがって、その磁場の作用下で動くことが可能であることを意味することが意図される。言い換えれば、磁気ビーズまたは粒子を含む支持体は、磁気凝集によって容易に除去され得、これは、ビーズまたは粒子を溶液から、迅速に、簡便かつ効率的に分離する方法を提供する。磁気ビーズおよび粒子は、好適には、常磁性または超常磁性であり得る。超常磁性ビーズおよび粒子は、例えば、EP0106873号に記載されている。磁気ビーズおよび粒子は、いくつかの製造業者、例えば、Dynal Biotech ASA(Oslo、Norway、以前はDynal AS、例えばDYNABEADS.RTM.)から入手可能である。
6.マイクロチップMHC多量体技術
MHC多量体のマイクロアレイを、固体支持体上の異なるMHC多量体の固定化によって形成して、その位置が、この位置に固定化されたMHC-ペプチド複合体または特異的な空のMHCの識別を特定化する空間配列を形成することができる。標識化細胞が、マイクロアレイ(例えば、血液細胞)上を通過すると、マイクロアレイ中のMHC多量体に特異的なTCRを持つ細胞が固定化される。したがって、標識は、マイクロアレイの特定の領域に位置し、これは、細胞に結合するMHC多量体の識別を可能にし、したがって、固定化されたMHC多量体に対する認識特異性を有する例えばT細胞の識別を可能にする。あるいは、細胞は、それらがMHC多量体に結合した後に標識され得る。標識は、MHC多量体に結合すると予想される細胞型に特異的であり得るか、または標識は、一般に細胞を染色し得る(例えば、DNAに結合する標識)。あるいは、サイトカイン捕捉抗体を、固体支持体上のMHCと一緒に同時スポットすることができ、結合した抗原特異的T細胞からのサイトカイン分泌を分析することができる。これは、特異的MHC-ペプチド複合体を認識および結合すると、T細胞がサイトカインを分泌するように刺激するためである可能性がある。
7.pMHC多量体を使用するT細胞の間接的検出
試料中のT細胞はまた、MHC多量体を使用して、間接的に検出されてもよい。間接的検出では、T細胞の数または活性は、TCR-MHC-ペプチド複合体相互作用の結果である事象の検出によって測定される。MHC多量体とT細胞との間の相互作用は、T細胞を刺激し、T細胞集団の細胞分裂および増殖においてT細胞の活性化をもたらし、または代わりに、T細胞の不活性化をもたらす。これらのメカニズムのすべては、これらの事象を検出することが可能な検出方法を使用して測定することができる。
活性化の測定の例としては、特異的な可溶性因子、例えば、フローサイトメトリーによるセクションに記載されるような、フローサイトメトリーを使用して測定することができるサイトカインの分泌の測定、活性化マーカーの発現の測定、例えばフローサイトメトリーおよび/またはELISA様の方法による、例えば、CD27およびCD28、ならびに/または他の受容体の発現の測定、ならびにT細胞エフェクター機能、例えば、当業者に公知のクロム放出アッセイのような細胞傷害性アッセイにおいて測定することができるCD8 T細胞傷害性の測定が挙げられる。
増殖の測定の例としては、限定されるものではないが、mRNAの測定、チミジンの組み込みまたはブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)のような他の分子の組み込みの測定が挙げられる。
T細胞の不活性化の測定の例としては、限定されるものではないが、特異的TCRの遮断の効果の測定、およびアポトーシスの測定が挙げられる。
T細胞の多様な集団と接触する場合、例えば対象の末梢血リンパ球(PBL)の試料中に含有される場合、試料中のT細胞によって認識されるpMHCを含有するこれらの四量体は、マッチしたT細胞に結合する。反応の内容物は、蛍光フローサイトメトリーを使用して分析されて、それらに結合したMHC四量体を有するT細胞が決定、定量化および/または単離される。
B.スクリーニング
本開示のコンジュゲート化多量体は、各種の異なるスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。例えば、一実施形態では、1つまたは複数の抗原に由来する蛍光標識化ペプチドのライブラリーは、プレースホルダペプチドの放出および抗原由来ペプチドの結合を誘導する条件下でプレースホルダペプチドを含むpMHC多量体に適用される。ペプチド交換は、蛍光偏光アッセイによってモニターされる。プレースホルダペプチドの使用は、生理学的条件下で空のペプチド-受容可能MHC多量体の生成を可能にする。このスクリーニング手法は、MHC分子に結合するペプチドリガンドを識別するために使用することができる。ペプチド交換反応は、マルチウェルフォーマットで、天然の条件下で行うことができる。結合は、MHC構造の安定性をモニターするELISAなどのいくつかの技法によって、または蛍光偏光などのペプチド結合をモニターする生物物理学的技法によって決定することができる。このスクリーニング手法は、MHCリガンドについてのペプチドセット(病原体ゲノム、腫瘍関連抗原または自己免疫抗原に由来するものなど)を精査するために使用することもできる。
本明細書に開示されるpMHCコンジュゲート化多量体およびそのライブラリーは、免疫細胞受容体への抗原特異的結合の便利な検出および定量化を可能にするいくつかのスクリーニング方法において使用することができる。そのようなコンジュゲート化多量体ライブラリーは、例えば、所与の抗原に特異的なT細胞の検出、所与の試料におけるT細胞特異性のマルチプレックス検出、特異性とのTCR配列のマッチング(例えば、単一細胞配列決定を介して)、競合的TCR親和性決定、所与のTCRのコンセンサス特異性配列の決定、または目的の配列に対するT細胞の抗原応答性のマッピングを可能にし得る。コンジュゲート化多量体は、特定のMHC Iポリペプチドに特異的な受容体を持つナチュラルキラー(NK)細胞の検出において使用することもできる。
得られるpMHCコンジュゲート化多量体ライブラリーは、例えばSimon et al, Cancer Immunol Res, 2014, 2(12):1230-1244に記載される抗原反応性T細胞を決定するためのT細胞スクリーニングにおいて使用されてもよい。
一部の実施形態では、本開示は、TCR発現細胞-pMHC対を単離するための方法であって、複数のTCR発現細胞を本明細書に記載されるpMHC多量体ライブラリーと接触させるステップ、複数のコンパートメントを生成するステップであって、複数のコンパートメントがライブラリーのpMHCに結合した複数のTCR発現細胞のうちの1つのTCR発現細胞を含み、それによってコンパートメント中のTCR発現細胞-pMHC対を単離する、ステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、TCR発現細胞は、T細胞、例えば、pMHCI多量体ライブラリーを使用する場合にはCD8+T細胞、またはpMHCII多量体ライブラリーを使用する場合にはCD4+T細胞である。一部の実施形態では、細胞は、TCRを発現するように、トランスフェクトまたは形質導入され得る。一部の実施形態では、非リンパ球細胞は、TCRを発現するように、トランスフェクトまたは形質導入され得る。
C.識別する方法
本開示のpMHCコンジュゲート化多量体は、例えばpMHCIコンジュゲート化多量体のライブラリーにより複数のT細胞をスクリーニングすることによって、目的の抗原特異的T細胞を識別するために使用することができる。さまざまな実施形態では、ライブラリーは、10より多く、100より多く、500より多く、1000、2,000より多く、5,000より多く、10,000より多く、106より多く、107より多く、108より多く、109より多く、または1010より多くの多様な固有のペプチドロードpMHCコンジュゲート化多量体を含む。識別手法は、単一コンパートメント中にライブラリーのpMHCコンジュゲート化多量体に結合した複数の細胞のうちの1つの細胞をコンパートメント化することを含み得、ここで、pMHCコンジュゲート化多量体は、固有の識別子を含み、コンパートメント化細胞に結合した各pMHCコンジュゲート化多量体についての固有の識別子を決定する。コンパートメントは、別々の空間、例えば、ウェル、プレート、分割された境界、位相シフト、容器、ベシクル、細胞などであり得る。
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、TCRに結合する複数のペプチドを識別するために使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、pMHCと結合する複数のTCRを識別するために使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、複数のpMHCと結合する複数のTCR(例えば、病原体ライブラリー、がんライブラリー、または自己免疫ライブラリーに由来するpMHC多量体に結合する複数のTCR)を識別するために使用することができる。
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、TCR抗原特異性を識別するために使用される。
一部の実施形態では、選択されたT細胞上のTCRの識別は、配列決定(例えば、TCRの可変領域、超可変領域または相補性決定領域(CDR)の配列決定)によって決定される。一部の実施形態では、TCRに結合する結合したpMHCのペプチドの識別は、配列決定によって(例えば、本明細書に開示される識別子を使用して)決定される。
一実施形態では、本開示のpMHCコンジュゲート化多量体は、フローサイトメトリーによる抗原特異的T細胞の検出のために使用することができ、またはT細胞精製のために使用することができる。本開示の組成物および方法は、pMHCI多量体を使用する場合に細胞傷害性T細胞(すなわち、CD8+T細胞)抗原、およびpMHCII多量体を使用する場合にヘルパーT細胞(すなわち、CD4+T細胞)抗原の迅速な識別に十分に適している、ペプチドロードMHC多量体の非常に大きなコレクションの産生を可能にする。
一実施形態では、固体表面に付着されるpMHCコンジュゲート化多量体は、T細胞機能を精査するために使用することができる。固体表面に固定されたペプチド-MHC抗原性複合体は、TCRを通してT細胞活性を刺激するように機能して、それによってTCR刺激の後、下流のT細胞機能の研究を可能にし得る。
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、識別されたMHC結合性ペプチド中のどのような突然変異がTCR結合に影響を及ぼすかを決定するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、TCR結合親和性の増強または低減をもたらす識別されたMHC結合性ペプチド中の突然変異を識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、TCR結合親和性を保持する識別されたMHC結合性ペプチド中の突然変異を識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、TCR結合親和性の喪失をもたらす識別されたMHC結合性ペプチド中の突然変異を識別するために使用される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、本明細書に記載される方法を使用して識別されたTCR中のどのような突然変異がペプチドエピトープの結合を変更するかを決定するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、ペプチドエピトープに対する結合親和性の減少または増加をもたらすTCR中の突然変異を識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、ペプチドエピトープの結合を保持するTCR中の突然変異を識別するために使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、ペプチドエピトープの結合の喪失をもたらすTCR中の突然変異を識別するために使用することができる。
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、複数の対象由来のT細胞において行われる。一部の実施形態では、多数の対象からのデータの分析は、多数の対象によって認識されるMHC結合性ペプチドエピトープの識別を可能にする。一部の実施形態では、多数の対象からのデータの分析は、多数のTCRクローン型によって認識されるMHC結合性ペプチドエピトープの識別を可能にする。一部の実施形態では、多数の対象からのデータの分析は、多数の患者、例えば、多数のがん患者、自己免疫状態を有する多数の患者、または病原体に対する防御免疫を有する多数の患者によって認識されるMHC結合性ペプチドエピトープの識別を可能にする。一部の実施形態では、多数の対象からのデータの分析は、異なるHLA型または対立遺伝子を含む対象において認識されるMHC結合性ペプチドエピトープの識別を可能にする。一部の実施形態では、多数の対象からのデータの分析は、収束性の抗原結合を示すTCRの別個の超可変領域または相補性決定領域の配列の識別を可能にする。
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、複数のライブラリーを使用して行われる。一部の実施形態では、多数のライブラリーからのデータの分析は、ライブラリー、例えば、病原体の多数の株、多数のがんの型、多数のがん患者、多数の自己免疫疾患、または多数の自己免疫状態に存在するTCR親和性を示す抗原の間の共有される反応性MHC結合性ペプチドエピトープの識別を可能にする。一部の実施形態では、多数のライブラリーからのデータの分析は、ライブラリー、例えば、病原体株、がん、状態、または患者のサブセットに存在する抗原の中での別個の反応性HMCI結合性ペプチドエピトープの識別を可能にする。
一部の実施形態では、本開示のpMHCコンジュゲート化多量体ライブラリーを使用して識別されたT細胞は、遺伝子発現分析(例えば、RNA-seq、qPCR)に付される。一部の実施形態では、遺伝子発現分析は、本開示のライブラリー中のペプチドに対して特異性を示す受容体を持つとして識別された細胞において実施される。例えば、病原体ライブラリー、がんライブラリー、または自己免疫ライブラリーに由来するpMHCコンジュゲート化多量体に結合するTCRを発現することが決定された細胞が、遺伝子発現分析に付される。遺伝子発現分析は、包括的であり得るか、または標的化され得る。発現について分析される遺伝子としては、限定されるものではないが、公知の機能を有する遺伝子、免疫エフェクター分子(例えば、パーフォリン、グランザイム、サイトカイン、ケモカイン)、免疫チェックポイント分子、炎症促進性分子、抗炎症性分子、系列マーカー、インテグリン、セレクチン、リンパ球メモリーマーカー、死受容体、カスパーゼ、細胞周期チェックポイント分子、酵素、ホスファターゼ、キナーゼ、リパーゼをコードする遺伝子、および代謝関連遺伝子が挙げられる。
一部の実施形態では、遺伝子発現分析は、pMHCコンジュゲート化多量体ライブラリースクリーニングとともに実施することができる。一部の実施形態では、遺伝子発現分析は、pMHCコンジュゲート化多量体ライブラリースクリーニング結果の分析後に実施することができる。一部の実施形態では、遺伝子発現分析は、pMHCコンジュゲート化多量体ライブラリースクリーニング結果の分析前に実施することができる。一部の実施形態では、遺伝子発現分析は、本明細書に記載される方法を使用して産生されたpMHC-T細胞受容体の対形成から目的の細胞として識別された細胞の免疫タイピングを可能にする。
本明細書に記載される方法および組成物は、スクリーニングアッセイのために使用することができる。例えば、本明細書に記載される複数のpMHCコンジュゲート化多量体を含むライブラリーは、T細胞試料と接触され、限定されるものではないが、T細胞増殖、T細胞傷害性、T細胞増殖の抑制、T細胞による抑制、およびT細胞のサイトカイン産生を含む1つまたは複数のT細胞機能が決定される。
一部の実施形態では、次いで、機能的特性を誘導することができるpMHCコンジュゲート化多量体は、ペプチドライブラリーサブセットにすることができる。例えば、ライブラリーサブセットは、TCRへの結合の際にT細胞の増殖を、TCRへの結合の際に細胞傷害性を、TCRへの結合の際にT細胞抑制を、TCRへの結合の際にT細胞による抑制を、TCRへの結合の際にサイトカイン産生を、またはこれらの任意の組合せを誘導するpMHCコンジュゲート化多量体を含むことができる。増殖は、例えば、色素希釈アッセイ(例えば、CFSE希釈アッセイ)、またはDNA複製の定量化(例えば、BrdU組み込みアッセイ)によって決定することができる。細胞傷害性は、例えば、死細胞による細胞内酵素の放出(例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ)、色素排除アッセイ(例えば、ヨウ化プロピジウム)、またはフローサイトメトリーもしくはqPCRによる細胞傷害性マーカー(例えば、グランザイム、CD107a)の発現に基づくアッセイによって決定することができる。サイトカイン産生は、例えば、ELISA、マルチプレックスイムノアッセイ、細胞内サイトカイン染色、ELISPOT、ウエスタンブロット、またはqPCRによって決定することができる。T細胞抑制は、例えば、T細胞クローンをエフェクター細胞および標的抗原とともに共培養し、増殖、細胞傷害性、サイトカイン産生、活性化マーカーの発現などを測定することによって決定することができる。
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、防御免疫、非防御免疫、または自己免疫に関連する抗原特異的T細胞エフェクタークローンを識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、アネルギー、消耗、寛容原性特性、自己免疫特性、炎症特性、または抗炎症性特性(例えば、Treg)を示す抗原特異的T細胞エフェクタークローンを識別するために使用される。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、ある特定のエフェクターまたはメモリー特性(例えば、ナイーブ、ターミナルエフェクター、エフェクターメモリー、セントラルメモリー、レジデントメモリー、TH1、TH2、TH17、TH9、TC1、TC2、TC17、ある特定のサイトカインの産生)を示す抗原特異的T細胞エフェクタークローンを識別するために使用される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法を使用して識別されたTCRは、治療的介入の一部として使用される。例えば、TCR配列、TCR可変領域配列、またはCDR配列は、同じ抗原特異性の改変T細胞を生成するために、T細胞にトランスフェクトまたは形質導入され得る。改変T細胞は、拡大され、所望のエフェクター表現型(例えば、TH1、TC1、Treg)に極性化され、対象に注入され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法を使用して識別された多数のTCRは、オリゴクローナル療法において使用される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して識別されたペプチド、リガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、抗原、またはエピトープは、治療的介入の一部として使用される。一部の実施形態では、ペプチド、抗原、またはエピトープは、例えば、抗原提示細胞、人工抗原提示細胞、固定化されたペプチド、または可溶性ペプチドを使用して、ex vivoで細胞の集団を拡大するために使用される。一部の実施形態では、拡大された細胞が患者に注入される。一部の実施形態では、末梢血リンパ球が拡大される。一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が拡大される。一部の実施形態では、TH1細胞が拡大される。一部の実施形態では、細胞傷害性Tリンパ球が拡大される。一部の実施形態では、調節性T細胞が拡大される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、ワクチン、例えば、サブユニットワクチン、ある範囲の防御抗原に対する適用範囲を誘発するワクチン、またはユニバーサルワクチンの開発における使用のためのMHC結合性抗原ペプチドを識別するために使用される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、病状の診断のために使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、臨床的判断、例えば、処置の選択、予後因子の識別、処置応答もしくは疾患の進行のモニタリング、または予防的手段の実施を導くために使用される。
一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法は、病状に対する処置の選択および/または設計において、特に、養子移入T細胞療法における使用のための抗原特異的T細胞(例えば、CD8+細胞傷害性T細胞および/またはCD4+ヘルパーT細胞)またはそれらに由来するTCRの選択において使用することができる。例えば、pMHCコンジュゲート化多量体は、目的の抗原、例えば、がん抗原または病原体抗原と反応する患者試料内のT細胞を識別して、それによってin vitroでの拡大のためにこれらの細胞を選択し、それに続いて患者に再導入するために使用することができる。また、そのような抗原特異的T細胞から識別されたTCRは、配列決定され得、患者における治療目的の抗原に結合するTCRを発現する細胞の集団を増加させるためにT細胞に組換え的に導入され得る。
XI.組成物およびキット
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される方法における使用のための組成物およびキットを含む。一実施形態では、本開示は、pMHCコンジュゲーション多量体組成物を提供する。一実施形態では、pMHCコンジュゲーション多量体は、pMHCコンジュゲーション四量体である。一実施形態では、四量体の多量体化ドメインは、ストレプトアビジンまたはアビジンである。一実施形態では、pMHCコンジュゲーション四量体は、ストレプトアビジンまたはアビジンのビオチン結合部位以外の部位でストレプトアビジンまたはアビジン分子に共有結合的にコンジュゲートされた4つのMHC単量体を含む。一実施形態では、4つのMHC単量体は、MHC結合性ペプチドをそれぞれ含み(すなわち、それがロードされており)、ここで、各単量体は、同じMHC結合性ペプチドを含む。一実施形態では、MHCコンジュゲーション四量体は、ストレプトアビジンまたはビオチンのビオチン結合部位に結合したビオチン化オリゴヌクレオチドバーコードをさらに含む。一実施形態では、pMHCコンジュゲーション多量体(例えば、四量体)は、pMHCクラスIコンジュゲーション多量体(例えば、四量体)である。別の実施形態では、pMHCコンジュゲーション多量体(例えば、四量体)は、pMHCクラスIIコンジュゲーション多量体(例えば、四量体)である。
一実施形態では、本開示は、複数のpMHCコンジュゲーション多量体組成物を含むキットを含む。一実施形態では、複数のpMHCコンジュゲーション多量体の各pMHCコンジュゲーション多量体は、pMHCコンジュゲーション四量体である。一実施形態では、各四量体の多量体化ドメインは、ストレプトアビジンまたはアビジンである。一実施形態では、各MHCコンジュゲーション四量体は、ストレプトアビジンまたはアビジンのビオチン結合部位以外の部位でストレプトアビジンまたはアビジン分子に共有結合的にコンジュゲートされた4つのMHC単量体を含む。一実施形態では、4つのMHC単量体は、MHC結合性ペプチドをそれぞれ含み、ここで、各単一四量体内の各MHC単量体は、同じMHC結合性ペプチドを含み(すなわち、それがロードされており)、複数のコンジュゲーション四量体内の各MHCコンジュゲーション四量体は、異なるMHC結合性ペプチドを含み(すなわち、それがロードされており)、それによってMHC結合性ペプチドのライブラリーが形成される。一実施形態では、複数のMHCコンジュゲーション四量体内の各MHCコンジュゲーション四量体は、ストレプトアビジンまたはビオチンのビオチン結合部位に結合したビオチン化オリゴヌクレオチドバーコードをさらに含む。一実施形態では、複数のpMHCコンジュゲート多量体(例えば、四量体)の各pMHCコンジュゲート多量体は、pMHCクラスIコンジュゲーション多量体(例えば、四量体)である。別実施形態では、複数のpMHCコンジュゲート多量体(例えば、四量体)内の各pMHCコンジュゲート多量体は、pMHCクラスIIコンジュゲーション多量体(例えば、四量体)である。
下記は、本発明を行うための具体的な実施形態の例である。この例は、例示的な目的のためにのみ提供され、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本発明の実施は、他に指示されない限り、当業者の技能内のタンパク質化学、生化学、組換えDNA技法、および薬理学の従来の方法を用いる。そのような技法は、文献において完全に説明されている。例えば、T.E. Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W.H. Freeman and Company, 1993);A.L. Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., current addition);Sambrook, et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989);Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.);Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition (Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990);Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed. (Plenum Press) Vols A and B (l992)を参照されたい。
他に述べられない限り、すべての試薬および化学物質は、商業的供給源から入手し、さらなる精製なしで使用した。
(実施例1)
ソルターゼタグを有する交換可能ペプチドMHCクラスI多量体の生成
この実施例では、MHC I重鎖を、発現させ、β2-ミクログロブリン(β2m)および交換可能ペプチドと複合体化し、その結果、MHC重鎖は、ストレプトアビジン(SAv)と翻訳後カップリングして、バーコード化可能な交換可能MHC I四量体を形成することが可能なC末端ソルターゼタグを含有する。MHC I重鎖およびSAvは、C末端ソルターゼタグ(そのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号1および3に示される)とともに発現される。次いで、ソルターゼ酵素(配列番号6に示されるアミノ酸配列を有する)を使用して、GGG-XクリックハンドルペプチドをMHC IにまたはGGG-YクリックハンドルペプチドをSAvにコンジュゲートさせ、ここで、クリックハンドルペプチドは、アルキン(X)もしくはアジド(Y)、またはその逆などのクリック部分を含有する。次いで、銅支援アルキン-アジド環化付加または無銅アルキン-アジド環化付加によるその後のSAvへのMHC Iの化学的コンジュゲーションは、交換可能ペプチドロードMHC I四量体をもたらす。
HLAおよびβ2m発現および再フォールディング。本明細書でHLA-A2-Sorttagと称される、Sorttag(C末端ソルターゼタグ、6×Hisタグを含有する)に連結されたHLA-A*02:01(そのアミノ酸配列は配列番号1に示される)およびβ2m(そのアミノ酸配列は配列番号2に示される)をコードする細菌発現プラスミドを生成した。HLA-A2-Sorttagおよびβ2mを、E.Coliにおいて、封入体中で発現させた。封入体を、精製し、HLA-A2-Sorttagについて1mMもしくは0.1mMのDTT、またはβ2mについて0.1mMのDTTを含有する尿素緩衝液(20mMのMES、pH6.0、8Mの尿素、10mMのEDTA)に可溶化した。UV不安定性プレースホルダペプチド(GILGFVFJL(配列番号7)、ここで、Jは、3-アミノ-3-(2-ニトロ)フェニルプロピオン酸である)を化学的に合成した。HLA-A2を、マイナーな改変を伴う以前に記載されたプロトコール(Garboczi, et al., PNAS, 89: 3429-3433, 1992;Rodenko, et al., Nat Protoc., 1:1120-32, 2006)に従って、β2mおよびプレースホルダペプチドで再フォールドさせた。簡潔には、以下の構成要素を、撹拌しながら、事前に冷却された再フォールド緩衝液(100mMのトリス、pH8.0、0.4Mのアルギニン-HCl、2mMのEDTA、5mMの還元グルタチオン、0.5mMの酸化グルタチオン、0.2mMのPMSF)に、示された最終濃度で以下の順序で添加した:ペプチド(45uM)、β2m(3uM)、および次いでHLA-A2-Sorttag(1.5uM)可溶化封入体。再フォールド反応物を、撹拌しながら、4℃で終夜インキュベートした。翌日、β2mおよびHLA-A2-Sorttag可溶化封入体を、それぞれ、6uMおよび3uMの最終濃度で再フォールド反応物に添加した。4日目に、再フォールド反応物を、遠心分離とそれに続く0.2uMフィルターを通す濾過によって、任意の沈殿物を清澄化した。次いで、再フォールド反応物を、10kDaのMinimate TFFカプセル(Pall)を有するMinimateタンジェント流濾過システム(Pall)および10000Da分子量カットオフ膜(Millipore)を有するAmicon Ultra-15遠心分離フィルターを使用して濃縮した。濃縮された再フォールド反応物を、SEC緩衝液(20mMのHEPES pH7.2、150mMのNaCl)中で事前に平衡化されたHiLoad 26/600 Superdex 200調製グレード(GE Life Sciences)におけるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製した。単量体HLA-A2-Sorttag/β2m/ペプチド複合体に対応する精製画分をプールし、濃縮した。HLA-A2、β2m、およびNLVPMVATV(配列番号8)ペプチド(NLVと省略)の再フォールディングおよび精製のために、同様の手順を続けた。
ソルターゼを使用するHLA-A2-Sorttagへのクリックハンドルペプチドのコンジュゲーション。HLA-A2を、トランスペプチダーゼのソルターゼを使用して、クリックハンドルペプチドで酵素的に改変した。5つの増強突然変異を含有するソルターゼ酵素(Chen, PNAS 2011 108(28) 11399-11404)(そのアミノ酸配列は配列番号6に示される)を、E.coliにおいて発現させ、(Antos, Curr Protoc Protein Sci, 2009 doi:10.1002/0471140864.ps1503s56)に従って精製した。N末端にトリグリシンとそれに続いてPEGリンカー(PEG4またはPEG5)を含有するクリックハンドルペプチドを、1)プロパルギルグリシン(GGG-アルキン、アルキンまたはAlkと称される)、2)スルホ-DBCO(GGG-DBCOまたはDBCOと称される)、または3)ピコリルアジド(GGG-アジド、アジドまたはAzと称される)に合成的に連結した。C末端アミド化を有するGGG-PEG5-アルキンペプチドは、GenScript(Piscataway、NJ)によって合成された。C末端アミド化を有するGGG-PEG4-アジドペプチドおよびGGG-PEG4-DBCOペプチドは、Click Chemistry Tools(Scottsdale、AZ)によって合成された。
HLA-A2/β2m/ペプチド単量体(100~150uM)、クリックハンドルペプチド(6~10mMのGGG-アルキン、GGG-DBCO、またはGGG-アジド)、ソルターゼ(5~6uM)および10mMのCaCl2を混合し、4℃で最大で4時間インキュベートして、HLA-クリックハンドル融合物を生成した。反応混合物を、上記に記載されるようにSECによって精製して、残留ソルターゼおよびクリックハンドルペプチドを除去した。単量体HLA-クリックハンドル/β2m/ペプチド複合体に対応する精製画分をプールし、濃縮した。
SAv発現、精製、およびソルターゼを使用するSAvへのクリックハンドルペプチドのコンジュゲーション。C末端ソルターゼタグおよび6×Hisタグを含有する全長SAv(そのアミノ酸配列は配列番号3に示される)を、標準的な方法によって、BL21(DE3)細胞において発現させた。SAvを、上記に記載されるように、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)およびSECによって、可溶性画分から精製した。SAvは、天然の四量体を形成し、SDS-PAGEにおいて安定な四量体として移動する(Waner M.J., et al., 2004, doi: 10.1529/biophysj.104.047266)。四量体SAvに対応する精製画分をプールし、濃縮した。SAvクリックハンドル融合物を、SAv(70~150uM)、クリックハンドルペプチド(3~10mMのGGG-DBCOまたはGGG-アジド)、ソルターゼ(6uM)およびCaCl2(10mM)を4℃で最大で4時間混合することによって生成した。反応混合物をSECによって精製して、残留ソルターゼおよびペプチドを除去し、SAvクリックハンドル融合物に対応する精製画分をプールし、濃縮した。SAvへのコンジュゲーションの程度を、未処理SAv試料の異なる量と比べて抗6×His反応性のバンド強度の喪失の度合いを決定することによる抗Hisウエスタンブロット解析によって評価した(図3A)。
クリックされたペプチド/MHCクラスI-SAv多量体の生成。クリックされたHLA-ストレプトアビジン融合物の生成を、いくつかの異なるクリックケミストリーフォーマット(例えば、Agard NJ, Prescher JA, Bertozzi CR J Am Chem Soc. 2004 Nov 24; 126(46):15046-7;およびHong, V., et al., Angew Chem Int Ed Engl. 2009 ; 48(52): 9879-9883. doi:10.1002/anie.200905087にさらに記載されるクリックケミストリー)を使用して、本明細書に記載する。SAvは、SDS耐性四量体を形成するので、SDS-PAGEを、反応の程度をモニターし、SAv上のHLAの価数を決定するために用いることができる(Waner M.J., et al., 2004, doi: 10.1529/biophysj.104.047266)。
1)無銅アルキン-アジド環化付加によるクリックされた多量体の形成を、HLA-A2-DBCO/NLV(150uM)をSAv-Az(SA単量体について50uM)と混合すること、および氷上で3時間インキュベートすることによって行った。SDS-PAGE分析は、付着した1、2、3および4つのHLA分子を有する四量体SAの形成を確認した(図3B)。副産物は、DBCOとβ2mまたはHLA-A2上のシステイン残基との所望されない副反応に寄与したことが観察された(van Geel, R, Bioconjugate Chem. 2012, 23(3): 392-398. doi.org/10.1021/bc200365k)。
2)共有結合的にコンジュゲートされた多量体HLAはまた、異なる比のHLA-A2-Az/NLVおよびSA-DBCO(3:1および2:1)を室温または氷上(示さない)で1.5~3.0時間混合することによって調製した。SDS-PAGE分析は、HLA-A2-DBCO-SAv-Azと比較して所望されない副反応産物のレベルが低減されて、四量体、三量体、二量体および単量体のHLA-A2-Az-SAv-DBCO種の形成を示す(図3C)。
3)共有結合的に連結されたHLA-A2およびSAvを生成するための追加の方法は、銅支援アルキン-アジド環化付加によるものであった。HLA-A2-Alk-SAv-Azを、氷上、以下の反応構成要素を混合することによって生成した:HLA-A2-Alk/GILGFVFJL(配列番号7)/β2m(100~130uM)、SAv-Az(SA単量体について70~80uM)、硫酸銅(0.5mM)、BTTAA(2.5mM)およびアスコルビン酸(5mM)。反応を、SDS-PAGEによってモニターし、4時間後、反応混合物をSECによって精製して、未反応のHLA、SAv、および他の反応構成要素を、精製されたHLA-A2-アルキン-SAv-Az多量体から分離した。SEC画分を、SDS-PAGEによって分析し、大部分の四量体/三量体種に対応する画分をプールし、濃縮した。ペプチド/HLA-A2-アルキン-SAv-Az/β2m試料を、SDS-PAGEによって分析し、これは、ボイルなし/還元なし試料について明らかな四量体および三量体種、ならびに非常に少量の単量体を示したが、ボイルおよび還元されたゲルの分析は、およそ53kDaで、HLA-A2-AlkおよびSAv-Az単量体の共有結合的連結を確認する(図3D)。変性条件下での質量分析も、HLA-A2とSAvとの間のアジド-アルキン融合物の形成を確認した(示さない)。HLA-アルキン-SAv-Azフォーマットは、図3Eに示されるように、HLA-A01:01、HLA-A*03:01およびHLA-A*24:02についても生成した。
(実施例2)
インテインタグを有する交換可能ペプチドMHCクラスI多量体の生成
この実施例では、C末端N-インテインタグを有するMHCI重鎖を発現させ、N末端C-インテインタグを有するストレプトアビジン(SA)を発現させ、それに続いてインテイン媒介コンジュゲーションを行って、交換可能なペプチドロードMHC I四量体を作出する。インテインについての配列およびタンパク質をコンジュゲートするためのその使用は、例えば、Stevens, et al. J. Am. Chem. Soc., 138, 2162-2165, 2016;Shah et al. J. Am. Chem. Soc., 134, 11338-11341, 2012;およびVila-Perello et al., J. Am. Chem. Soc., 135, 286-292, 2013にさらに記載されており、それらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
HLA-A2(HLA-A*02:01)を、C末端でのNpu N-インテイン断片との融合物として、BL21(DE3)において発現させた(そのアミノ酸配列は配列番号4に示される)。ストレプトアビジンを、Npu-C-インテイン断片およびC末端FlagタグとのN末端融合物とともに、BL21(DE3)において発現させた(そのアミノ酸配列は配列番号5に示される)。HLA-A2-N-インテインおよびC-インテイン-SAvは、細菌封入体において発現した。封入体を、単離し、尿素緩衝液(25mMのMES、8Mの尿素、10mMのEDTA、0.1mMのDTT、pH6.0)に可溶化した。HLA-A2-N-インテインを、β2mおよびUV不安定性プレースホルダペプチド(GILGFVFJL(配列番号7)(ここで、Jは、3-アミノ-3-(2-ニトロ)フェニルプロピオン酸である)で再フォールドさせた。以下の構成要素を、実施例1に記載されるように、撹拌しながら、事前に冷却された再フォールド緩衝液に添加した。再フォールド反応物を、10000Da MWCOを有するAmicon撹拌セル、Millipore Biomax限外濾過ディスク(Millipore)、およびAmicon Ultra-15遠心分離フィルターユニット10,000MWCO(Millipore)を使用して濃縮した。濃縮された再フォールド反応物を、SEC緩衝液(20mMのHEPES pH7.2、150mMのNaCl)中で事前に平衡化されたHiLoad 26/600 Superdex 200調製グレード(GE Life Sciences)におけるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製した。単量体HLA-A2-N-インテイン/β2m/ペプチド複合体に対応する精製画分をプールし、100~200uMに濃縮した。C-インテイン-SAvを、同じ手法によって再フォールドした:簡潔には、尿素-可溶化C-インテイン-SAvを、実施例1に記載されるプロトコールに従って、事前に冷却された再フォールド緩衝液に注入し、再フォールドさせ、記載されるように、10K MWCO膜を有するAmicon撹拌セルにおいて濃縮し、上記に記載されるように、サイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。SEC精製されたC-インテイン-SAvを、100~200uMに濃縮した。
HLA-A2-N-インテイン/β2m/ペプチド複合体とC-インテイン-SAvとの間のスプライシング反応を、HLA-A2-インテインおよびC-インテイン-SA構成要素の両方に、0.5mMの最終濃度までトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)を添加することによって行った。すべての構成要素は、氷上で保った。四量体種の好ましい形成のために、ストレプトアビジンを、HLA-A2-インテインに対して等モル量が達成されるまで16時間の期間にわたって、5増分で添加した。還元なし/ボイルなし条件下での反応のSDS-PAGE分析は、より高次のMW種の形成を示すが、ボイル/還元試料は、HLA-A2-SAv融合物について予想されるサイズと一致する、およそ52kDaの種を示した(図4)。
(実施例3)
ビオチン化およびストレプトアビジンへのカップリングを介した交換可能MHCI四量体の産生
C末端Avitagを有するHLA-A*02重鎖を、E.Coliにおいて、封入体中で発現させた。Avitagのアミノ酸配列は、配列番号161に示される。文献の方法(Altman & Davis, Curr Protoc Immunol. 2003;Chapter 17:Unit 17.3; Rodenko et. al., Nat Protoc. 2006;1(3):1120-32)に従って、精製された封入体を、尿素に可溶化させ、ベータ-2-ミクログロブリンおよびペプチドNLVPMVATV(配列番号8)または条件付けリガンドGILGFVFJL(配列番号7)(ここで、Jは、2-ニトロフェニルアミノ酸残基である)で再フォールドさせた。次いで、重鎖、β-2-ミクログロブリンおよびペプチドを含むSEC精製されたMHC単量体を、ビオチンリガーゼを使用してビオチン化し、次いで、再びSEC精製を1回行った。ストレプトアビジンを、10の別々のアリコート中のビオチン化MHC単量体に添加して、MHC単量体わたるわずかなモル過剰のビオチン部位を達成した。ペプチド交換(実施例4に記載される通り)を、ビオチン媒介ストレプトアビジン四量体、またはビオチン化HLA単量体のいずれかにおいて実施する。後者の場合では、単量体は、交換後にストレプトアビジンで四量体化される。
(実施例4)
ジペプチドまたはUV交換を介したペプチド交換
実施例1において上記に記載されるように産生されたHLA-A*02:01-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体、および実施例3と同様に産生されたビオチン媒介HLA-A*02四量体を、2つの方法のいずれかによって交換した。ジペプチド交換のために、プレースホルダペプチド(例えば、GILGFVFJL(配列番号7))がロードされた5uMのMHC四量体を、30倍過剰のNLVPMVATV(配列番号8)ペプチドとともに、10mMのGMジペプチドの存在下または非存在下、室温で3時間インキュベートした(Saini et al., PNAS 2006;112(1):202-206)。UV交換のために、プレースホルダペプチド(GILGFVFJL(配列番号7))がロードされた2~10uMのMHC単量体または0.5~2.5uMのMHC四量体を、30~100倍モル過剰のNLVPMVATV(配列番号8)(または他のペプチド)とともに、氷上で1時間インキュベートし、それに続いて試料から2~5cmを保持したランプからの365nmのUV光に30分間曝露した。UV曝露は、交換を完了させるために、30℃での30分のインキュベーションに続く場合があった。ペプチド交換の効率を、示差走査蛍光定量法(DSF)、ELISA、および細胞染色/フローサイトメトリーによってモニターした。
DSFのために、0.25mg/mlのHLA-A*02四量体を、等体積の20×Sypro Orange(Invitrogen S6650)と混合し、qPCR機器(例えば、Applied Biosystems Quant Studio 3)において、25℃から99℃まで0.05℃の勾配に付した。溶融曲線の第1の誘導体におけるピークは、pMHCのTmを示す。図5Aにおいて見られるように、実施例1と同様に産生されたHLA-A*02:01-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体のTmは、プレースホルダGILGFVFJL(配列番号7)ペプチドからNLVPMVATV(配列番号8)へのUV交換の際に、40℃から61℃にシフトする。UV交換後のTmは、ビオチン化単量体に交換され、それに続いて四量体化された(業界標準)か、またはビオチン媒介四量体に直接交換された、NLVPMVATV(配列番号8)について観察されたTmと同一である(図5B)。これらのデータは、多量体状態がUV交換の効率に対して影響を有さないこと、および本発明のコンジュゲート化四量体が業界標準のpMHCと同じ安定性を有することを確認する。
フローサイトメトリーのために、NLVPMVATV(配列番号8)(または他のペプチド)とともに拡大された10^5個のドナーT細胞を、上記のように産生されたpMHC四量体で染色した。すべてのpMHCを、PBSと10%のFBSに希釈し、抗CD8-BV785で染色し、抗Flag-APCまたは抗ストレプトアビジン-PE(Biolegend)を二次として使用した。図6A~Fにおいて見られるように、ビオチン媒介四量体形態において実施されたジペプチド交換またはUV交換は、業界標準の方法(ビオチン化単量体の再フォールディング後またはUV交換後の四量体化)によって産生されたものと、同じレベルの拡大されたT細胞への結合を示すHLA-A*02四量体を産生する。図7は、拡大されたT細胞に対して、NLVPMVATV(配列番号8)ペプチドにUV交換されたHLA-A*02:01-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体の高親和性結合を示す。
ELISAはまた、四量体における交換をモニターするためにも使用され、pMHC安定性の別の指標である。最初に、プレートを抗ストレプトアビジン抗体でコーティングし、それに続いてpH5.4で、クエン酸-リン酸緩衝液中で四量体の捕捉を行い、次いで、HRPコンジュゲート化抗β2-ミクログロブリン(Biolegend)を使用して読み取った。図8Aにおいて見られるように、NLVPMVATV(配列番号8)突然変異体ペプチドのパネルは、効率的に、ある範囲のELISAシグナルを生成する、HLA-A*02:01-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体にUV交換され得る。ビオチン媒介HLA-A*02四量体にUV交換された類似のペプチドのより小さいパネルも、ある範囲のELISAシグナルを生成し(図8C)、これは、DSFによって測定されたTmと正に相関した(図8B)。
(実施例5)
HLA-A*01:01を用いて産生されたコンジュゲート化四量体
ペプチドSTAPGJLEY(配列番号16)で再フォールドされたHLA-A*01:01単量体を、上記の実施例1に記載されるように、HLA-A*01:01-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体の構築およびQC’dのために使用した。図9Aおよび図9Bにおいて見られるように、HLA-A*01:01-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体は、低パーセンテージの凝集体(3%)を伴ってより高次の多量体であった。コグネイトペプチドVTEHDTLLY(配列番号10)の存在下でのUV処理は、有効なペプチド交換を示すDSF溶融曲線における特徴的なシフトをもたらした(図9C)。交換されたHLA-A*01:01-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体は、ビオチンを介してストレプトアビジンにコンジュゲートされたVTEHDTLLYペプチド(配列番号10)で再フォールドされたHLA-A*01:01と同様に、VTEHDTLLYペプチド(配列番号10)とともに拡大されたPBMCに強く結合した(図9D)。予想通り、結合は、UV交換の非存在下で観察されなかった。
(実施例6)
HLA-A*24:02を用いて産生されたコンジュゲート化四量体
ペプチドVYGJVRACL(配列番号11)で再フォールドされたHLA-A*24:02単量体を、上記の実施例1に記載されるように、HLA-A*24:02-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体の構築およびQC’dのために使用した。図10Aおよび図10Bにおいて見られるように、HLA-A*24:02-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体は、低パーセンテージの凝集体(6%)を伴ってより高次の多量体であった。コグネイトペプチドQYDPVAALF(配列番号12)の存在下でのUV処理は、有効なペプチド交換を示すDSF溶融曲線における特徴的なシフトをもたらした(図10C)。交換されたHLA-A*24:02-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体は、ビオチンを介してストレプトアビジンにコンジュゲートされたQYDPVAALFペプチド(配列番号12)で再フォールドされたHLA-A*24:02と同様に、QYDPVAALFペプチド(配列番号12)とともに拡大されたPBMCに強く結合した(図10D)。予想通り、結合は、UV交換の非存在下で観察されなかった。
(実施例7)
HLA-B*07:02を用いて産生されたコンジュゲート化四量体
ペプチドAARGJTLAM(配列番号14)で再フォールドされたHLA-B*07:02単量体を、上記の実施例1に記載されるように、HLA-B*07:02-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体の構築およびQC’dのために使用した。図11Aおよび図11Bにおいて見られるように、HLA-B*07:02-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体は、検出可能な凝集体なしの多量体であった。コグネイトペプチドRPHERNGFTVL(配列番号13)の存在下でのUV処理後、交換されたHLA-B*07:02-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体は、ビオチンを介してストレプトアビジンにコンジュゲートされたRPHERNGFTVLペプチド(配列番号13)で再フォールドされたHLA-B*07:02と同様に、RPHERNGFTVLペプチド(配列番号13)とともに拡大されたPBMCに強く結合した(図11C)。予想通り、結合は、UV交換の非存在下で観察されなかった。
(実施例8)
UV交換四量体のバーコード化およびプール化
交換されたHLA-A*02:01-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体は、ストレプトアビジンに対するビオチン結合部位が空であったという事実に起因して、識別性オリゴヌクレオチドタグ(バーコード)で容易に標識された。5’ビオチン化オリゴヌクレオチドを、2:1のオリゴ:四量体のモル比で添加し、4℃で30分間インキュベートし、それに続いて400:1のビオチン:四量体のモル比で、4℃で30分間、ビオチンでクエンチした。バーコード化を、4~12%のビス-トリスゲル上での電気泳動、それに続いてニトロセルロースへのブロッティングおよび抗Flag抗体(Invitrogen番号MA1-91878-D800)で染色を行うことによって確認した。図12において見られるように、四量体出発材料と比べたゲルのシフトは、オリゴヌクレオチドバーコードによる適正な標識化を示す。
(実施例9)
プールされたバーコード化UV交換四量体による単一細胞配列決定
NLVPMVATV(配列番号8)の192個の異なるAPLバリアントについてUV交換された個々のHLA-A*02:01-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体試料を、個々に、オリゴヌクレオチド標識にコンジュゲートさせ、プールし、NLVPMVATV(配列番号8)-拡大T細胞において染色し、単一細胞配列決定に付した。分析された結果を図13のヒートマップに示し、APLバリアントのサブセットのクローン型特異的結合を示す。
(実施例10)
バーコード化UV交換四量体プールのハイスループット産生のための多孔性ヒドロゲルの産生
ヒドロゲルビーズを、アクリルアミド単量体ユニットおよびビス-アクリルアミド架橋剤ユニットを異なる相対濃度で、アクリル化オリゴヌクレオチドプライマーの混合物と一緒に混合し、マイクロ流体ドロップメーカーを使用して液滴に封入し、架橋が完了するまで混合物をインキュベートすることによって産生した。この実施例では、事前に架橋された水性ミックスは、10%のTEBST(トリス-EDTA緩衝生理食塩水とTween-20)中に、0.75%のビス-アクリルアミド、3%のアクリルアミド、25uMの5’-アクリル化フォワードプライマー、0.5%過硫酸アンモニウムを含んでいた。水性混合物のすべての試薬を混合および撹拌した。混合物に、1.5%のTEMEDおよび1%の008-FluoroSurfactantを補充し、液滴に封入し、室温で1時間インキュベートし、次いで、終夜のインキュベートのために60℃のオーブンに移し、このようにして、ヒドロゲルを形成した。ヒドロゲルビーズを、20%の1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-オクタノール(PFO)で1回洗浄し、次いで、TEBSTで3回洗浄し、次いで、低TE(1mMのトリス-Cl pH7.5、0.1mMのEDTA)で3回洗浄した。ヒドロゲルビーズは、使用まで、TEBST中、4℃で保存した。
(実施例11)
ペプチドコードアンプリコンを生成するための単一鋳型PCR
SUMOドメイン-ペプチド融合物をコードする線状DNA鋳型を、単一鋳型条件下で液滴中、ヒドロゲルビーズ上でPCR増幅し、ここで、各液滴は、最大で単一のDNA鋳型を得た。実施例10において産生された1.4mlのヒドロゲルビーズを、2mlの反応体積で以下の通りのPCR構成要素と一緒に混合した:400ulのQ5反応緩衝液(New England Biolabs)、40ulの10mMのdNTP、40ulの1uMのフォワードプライマー、40ulの25uMの5’-ビオチン化リバースプライマー、40ulの0.1pg/ulの線状DNA鋳型(または鋳型のミックス)、8ulの20%のIGEPAL、および20uLのQ5 DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)。混合物を、液滴に封入し、35サイクルのPCRに付した。等体積の100%のパーフルオロオクタノール(PFO)の添加による液滴溶解の後、ヒドロゲルを、10体積の低TEで5回洗浄した。ヒドロゲルビーズのアリコート(各10ul)を、アンプリコン内を切断するXbaIで、37℃で1時間消化し、1.2%のアガロースゲル上をPCR上清と一緒に泳動させて、アンプリコンの収率および品質を定量化した(図14)。単一鋳型条件が有効であることは、ヒドロゲルをストレプトアビジン-PEで標識することによって実証され、ここで、バルク増幅ヒドロゲルの100%と比較して、わずか23%の液滴増幅ヒドロゲルが染色された(図15)。
(実施例12)
ヒドロゲル上のバーコード化可能な交換の準備ができているコンジュゲート化四量体のローディング
PCR増幅されたヒドロゲルを、UV不安定性ペプチド(例えば、GILGFVFJL(配列番号7))がロードされた50~500nMのHLA-A*02:01-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体と、体積で1:1で混合し、周辺光から保護し、氷上で2時間インキュベートした。図16Aにおいて見られるように、HLA-A*02:01-Alk-SAv-Azコンジュゲート化四量体のローディングを、洗浄し、抗Flag-APCまたは抗β2M-Alexa488で染色することによって確認した。図16Bに示されるように、ロードされた四量体の品質を、アンプリコン内を切断するベンゾナーゼまたはSmaIで放出させることによって定量化し、それに続いて抗ストレプトアビジン捕捉によるELISA、および抗Flag-HRPまたは抗β2M-HRP検出を行った。
(実施例13)
液滴中のペプチドのin vitro転写/翻訳(IVTT)およびロードされた四量体へのUV交換
120ulのヒドロゲルビーズを、120ulのPURExpress溶液A(New England Biolabs)、90ulのPURExpress溶液B(NEB)、6ulのRNAse OUT(Invitrogen)、および1.2UのUlp1プロテアーゼ(Invitrogen)を含む、240ulのIVTTマスターミックスとともに液滴に共封入する。液滴を、振とうせずに、30℃で4時間インキュベートし、次いで、試料から2~5cmを保持したランプからの365nmのUV光への30分の曝露によってUV交換した。UV曝露は、交換を完了させるために、30℃での30分のインキュベーションに続いた。D-ビオチンを、液滴を破壊する前に、IVTT反応に、500uMの最終濃度まで添加し、次いで、等体積の100%のPFOの添加によって液滴の破壊を達成した。ヒドロゲルビーズを、10体積のPBSと2%のBSAで5回洗浄した。図17Aおよび17Bに示されるように、十分なペプチドが、PCRアンプリコンから産生されて、機能的交換四量体を生成することができる。
(実施例14)
単一鎖多量体ペプチド-MHCの放出および分析
UV交換pMHCは、ペプチドコード領域の上流のアンプリコン内で切断するSmaIによる消化によって洗浄されたヒドロゲルから放出され、その結果、四量体は、図16Bに示されるように、自己識別性オリゴヌクレオチドタグ(バーコード)とともに放出された。放出されたpMHCを、図16Bに示されるように、ELISAによって定量化し、図18に示されるように、抗原特異的CD8+T細胞において染色した。液滴中の産生のための全プロセスは、図19に概略的に要約される。
(実施例15)
コンジュゲート化ペプチド/MHCクラスII-SAv多量体の生成
ソルターゼを使用するMHC II-Sortagへのクリックハンドルペプチドのコンジュゲーション。MHC II αおよびβ鎖の配列を、以下の通り組換え的に発現させた:α鎖細胞外ドメイン配列を、ストレプトアビジン(SAv)と翻訳後カップリングして、バーコード化可能な交換可能MHC II多量体を形成することが可能なC末端ソルターゼタグとともに発現させた。α鎖は、診断目的のためにMycタグも含有した。sortagおよびMycタグを有するα鎖細胞外ドメインのアミノ酸配列を配列番号191に示す。β鎖を、N末端低親和性プレースホルダペプチド(CLIPペプチド、その配列は配列番号189に示される)とそれに続く可撓性リンカー、β鎖細胞外ドメイン、およびヒスチジン精製タグとともに組換え的に発現させた。プレースホルダペプチド、可撓性リンカーおよびHisタグを有するβ鎖細胞外ドメインのアミノ酸配列を配列番号192に示す。可撓性リンカーは、ペプチドとβ鎖との間の接続を特異的プロテアーゼによって破壊するのを可能にする切断部位を含有し、このようにしてその後のペプチド交換を促進する。そこにロードされた共有結合的プレースホルダペプチドを有するMHCII分子は、本明細書で、P*MHCIIと称される。
p*MHCII αおよびβ鎖は、CHO細胞において共発現され、安定なヘテロ二量体として発現媒体に分泌された。CHO発現後、p*MHCIIを、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製した。次いで、ソルターゼ酵素を使用して、GGG-Xペプチドをp*MHCII α鎖にコンジュゲートさせた(図20、ステップ1)(ここで、Xは、アジド、アルキン、または任意のクリック可能な化学部位であり得る)。化学的コンジュゲーション反応を実施するために、p*MHCII(30~50uM)、クリックハンドルペプチド(6~10mMのGGG-アルキン、GGG-DBCO、またはGGG-アジド)、ソルターゼ(5~6uM)および10mMのCaCl2を混合し、4℃で最大で2時間インキュベートして、p*MHCII-クリックハンドル融合物を生成した。反応混合物を、SECによって精製して、残留ソルターゼおよびクリックハンドルペプチドを除去した。p*MHCII-クリックハンドル融合物に対応する精製画分をプールし、濃縮した。クリックハンドルの添加は、ソルターゼ媒介ライゲーションの成功を検証する、コンジュゲート化タンパク質のサイズのシフトを引き起こした(図21A)。
コンジュゲート化p*MHCII-SAv多量体の生成。クリックハンドルP*MHCIIの発現、精製、およびソルターゼを使用するSAvへのコンジュゲーションは、図20のステップ2に示され、MHCI多量体について実施例1に本質的に記載されるように行った。銅支援アルキン-アジド環化付加を使用して、共有結合的に連結されたp*MHCIIおよびSAvを生成した(図20、ステップ3)。p*MHCII-Alk-SAv-Azを、氷上、以下の反応構成要素を混合することによって生成した:MHC II-Alk(50uM)、SAv-Az(SA単量体について25uM)、硫酸銅(0.5mM)、BTTAA(2.5mM)およびアスコルビン酸(5mM)。反応を、SDS-PAGEによってモニターし(図21B)、4時間後、反応混合物をSECによって精製して、未反応のHLA、SAv、および他の反応構成要素を、精製されたp*MHCII-Alk-SAv-Az多量体から分離した(図21C)。SAvおよびβ鎖は、多量体種に対応する画分を区別することを可能にする、それぞれ、FLAGおよびHisタグを含有した(図21Dおよび21E)。多量体画分は、明らかな四量体および三量体種を示した。より重要には、遊離SAv種は、SDS-PAGEおよびウエスタンブロット解析下、多量体画分から採取されたボイル試料中で観察されなかった(図21D)。これは、主要な種が、各SAvサブユニットが、p*MHCIIサブユニットに共有結合的に連結されている四量体であることを示す。
(実施例16)
pMHC II多量体は、交換可能であり、コグネイトエピトープ特異的TCRと結合する
リンカー消化およびペプチド交換
p*MHCII-Alk-SAv-Az多量体(これ以降、p*MHCII-SAv)を、1mMのCaCl2の存在下、5:1(w/w)の比で、第Xa因子(NEB)によって、4℃で終夜消化した(図20、ステップ4)。次いで、プロテアーゼを、製造業者の推奨に従って(Sigma-Aldrich)、1,5-ダンシル-Glu-Gly-Argクロロメチルケトン阻害剤の添加によって不可逆的に不活性化した。消化された試料は、消化されていない試料よりも素早く移動し、SDS-PAGE変性条件下で新たに切断されたペプチドの除去を示した(図22A)。
切断されたp*MHCII-SAv(これ以降、p↓MHCII-SAv)が交換されたペプチドと結合するかどうかを試験するために、ELISA結合アッセイを行った。このアッセイでは、インフルエンザA型ウイルス(赤血球凝集素、HA、そのアミノ酸配列は配列番号193に示される)由来のビオチン化ペプチドエピトープがロードされたが、切断されたプレースホルダペプチドは、穏和な酸性pH条件下で除去された(図20、ステップ5)。次いで、交換のレベルを、新たにスワップされたビオチン化ペプチドへのストレプトアビジン-HRPの結合のモニタリングによって決定した。ストレプトアビジン上の遊離ビオチン結合部位は、交換反応の前に、過剰の遊離ビオチンでブロッキングした。このステップは、任意の検出されるビオチン化ペプチドのみがペプチド結合性ポケットに結合することができることを確実にした。交換緩衝液組成物は以下の通りであった:100mMのクエン酸ナトリウム pH5.5、50mMの塩化ナトリウム、1%のオクチルグルコシド(v/v)、1×のSIGMAFASTプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma-Aldrich)および0.1mMのDTT。150μlのペプチド交換反応物を、96ウェルプレートにおいて調製し、ここで、各ウェルは、1×交換緩衝液、30nMのp↓MHCII-SAv、およびHA-ビオチン化ペプチド、HA-非ビオチン化ペプチドまたは緩衝液のいずれかの5倍連続希釈物から構成される。6nMのp↓MHCII単量体とHA-ビオチン化ペプチドの5倍連続希釈物とのインキュベーションは、陽性対照として含まれた。交換反応を、37℃での終夜インキュベーション後、1:15(v/v)の1Mのトリス-HCl、pH10の添加により酸性pHを中和することによって、停止した。96チャネルの卓上ピペッターを使用して、各ウェルからの100μlを、(100ng/ウェル)L243立体配座感受性抗体(Abcam)で事前にコーティングされたELISAプレートに移し、洗浄し(3×PBS-T)、2%(v/v)のBSAが補充されたPBS-Tでブロッキングした。室温で1時間のインキュベーション後、プレートを、洗浄し(3×PBS-T)、SA-HRPとともに暗所で30分間インキュベートし、再び洗浄し(3×PBS-T)、HRP基質および停止溶液を使用して発色させた。ペプチド濃度とSA-HRP結合のレベルとの間の正の相関が、両方の単量体p↓MHCIIおよびp↓MHCII-SAvについて観察された(図21B)。これは、両方の種が、プレースホルダペプチドがビオチン化-HAペプチドと交換されたことを示す。非ビオチン化ペプチドまたは緩衝液のいずれかとのインキュベーションは、検出可能なシグナルを生じず、ビオチン化エピトープの結合が特異的であったことを暗示した。単量体p↓MHCIIとは対照的に、p↓MHCII-SAvについての曲線は、右にシフトし、より高いペプチド濃度で飽和に達しなかった。多量体は、少なくとも4倍大きなサイズであり、これは、捕捉抗体および/またはSA-HRP読み取りプローブへの結合を妨げる可能性がある。
可溶性TCRへの交換p↓MHCII-SAvの結合
Wagner et al. J Biol Chem., 294:5790-5804, 2019に記載されるように、HA-ペプチドエピトープ特異的可溶性TCRであるF11を、FCドメインに融合し、産生した(図20、ステップ6)。簡潔には、F11細胞外アルファおよびベータ鎖をコードするDNAを、マウスIgGk鎖リーダー配列の下流のpDT5プラスミドにクローニングした。ヒトTCR定常ドメインは、追加の鎖間ジスルフィド結合を含有した。C-アルファドメインは、ヒトIgG1の上部ヒンジ配列(VEPKSC;配列番号270)、コアおよび下部ヒンジ、次いでFcドメインが続いた。天然のIgG1軽鎖システインを、C-ベータのC末端に挿入して、上部ヒンジシステインと対形成させ、TCRヘテロ二量体化をさらに安定化した。追加の改変は、N連結グリコシル化部位の除去を含んでいた。アルファ-Fcおよびベータドメインをコードするプラスミドを、一過性トランスフェクションによってExpi-CHO細胞において発現させ、産物を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって清澄化上清から精製した。
交換反応を、2つの相違を伴って、実施例1において上記に記載されるように行った:単一の管を、96ウェルプレートの代わりに使用した、およびタンパク質濃度を変えた。1.75μMのp↓MHCII-SAvを、交換緩衝液の存在下、100μMのHAペプチドとともにインキュベートした。反応を停止し、氷上で保った後、バイオレイヤー干渉(BLI)アッセイを、BLI緩衝液(PBS+0.02%のTween20、0.1%のBSA、0.05%のアジ化ナトリウム)中、30℃で、Octet RED96機器(ForteBio)を使用して行った。F11 TCRを、抗hIgG Fc捕捉バイオセンサー(Molecular Devices)上に、0.6nmのローディングシグナルまでロードした。BLI緩衝液で洗浄した後、バイオセンサーを、14nMの交換p↓MHCII-SAv、125nMの非交換p*MHCII-SAvまたはBLI緩衝液のいずれかを含有するウェルに移動させて、会合動態を測定した(図22C)。解離動態を測定するために、バイオセンサーを、多量体を欠くBLI緩衝液に移動して戻した。BLI応答シグナルの有意な増加が、HA-交換p↓MHCII-SAvについて観察され、F11 TCRとの強い会合を示唆した(図22C)。対照的に、非交換p*MHCII-SAvは、非常に少ない会合を示し、F11-TCRとHAを提示する多量体との間の相互作用が特異的であることを示した。バイオセンサーがBLI緩衝液に浸された場合に、会合は観察されなかった。HA交換p↓MHCII-SAvは、F11-TCRからの非常にわずかな解離を示した。この結果は、高アビディティーの多量体相互作用の特徴である緊密なTCR-MHC II結合を示す。
抗原特異的CD4+T細胞への交換p↓MHCII-SAvのライブラリーの結合
インフルエンザ赤血球凝集素(HA)ペプチド(配列番号281)および9つの他の対照ペプチドについてUV交換された個々のDRB1*01:01-SAvコンジュゲート化四量体試料を、オリゴヌクレオチドで標識し、プールした。その後、プールを使用して、HA-拡大CD4+T細胞を染色し、これを選別し、HLA-A*02:01四量体プールで染色された対照エピトープELAGIGILTV(配列番号282)-拡大細胞が添加された後、単一細胞配列決定に付した。分析された結果を、図23のヒートマップに示し、HAロードDRB1*01:01四量体についてのクローン型特異的結合を示す。
参照による組み込み
本出願において引用された各特許、公開および非特許文献は、それぞれが個々に参照により組み込まれるかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。