本明細書では、FOXP3遺伝子または非FOXP3遺伝子座に組み込まれたDNA配列(たとえばコドンが最適化されたDNA配列、たとえば、ヒト細胞において発現させるためにコドンが最適化されたDNA配列)からのFOXP3の発現について述べる。ガイドRNAを使用して(たとえばマウス、ヒトまたはヒト以外の霊長類の)FOXP3遺伝子または非FOXP3遺伝子座を標的とし、CRISPR/Casを介してゲノム編集を行う。したがって、本発明の態様は、新規ガイドRNAをCasタンパク質と併用することにより、FOXP3遺伝子または非FOXP3標的遺伝子座においてDNAを切断し、FOXP3のコード配列の組み込みを促すことに関する。いくつかの実施形態において、この組み込みは、FOXP3のコード配列を含むドナー鋳型と関連した非相同末端結合(NHEJ)または相同組換え修復(HDR)により行われる。本明細書に記載のいくつかの実施形態は、LNG FR、RQR8、CISC/DISC/μDISCなどの広範囲な選択マーカーと組み合わせて使用することができ、別の標的遺伝子座の編集または別の遺伝子産物(サイトカインなど)の共発現と組み合わせて多重化することができる。
より詳しくは後述するが、本出願人らは、遺伝子送達カセットを含む新規AAVドナー鋳型およびCas9タンパク質と併用することによって、初代ヒトCD34+細胞においてオンターゲットな切断を高頻度に生じさせ、FOXP3遺伝子へ前記遺伝子送達カセットを組み込むことができるガイドRNAを同定した。さらに、NSGレシピエントマウスに編集したCD34+細胞を持続的に生着させることができ、FOXP3遺伝子に組み込まれたGFPレポーターコンストラクトを長期にわたり発現させることができた。これらの知見から、本明細書に記載のCRISPR/Casシステムなどのゲノム編集システムは、効率的な編集を行うことができ、これにより、ヒト造血幹細胞においてヒト野生型FOXP3を発現させ、かつ、たとえばIPEX症候群を有する対象への自家細胞の養子細胞療法などとして投与した後に、FOXP3の機能に異常を有する疾患または障害に臨床的有用性を提供できると予測されるレベルで生着を持続させることができることが示された。過去の研究では、ドナーキメリズムが5%と低いIPEX症候群の対象でも、同種幹細胞移植後に臨床的有用性が認められることが示唆された。Seidel, M. G. et al. (2009). Blood, 113(22):5689-5691を参照されたい。
内在性FOXP3遺伝子にFOXP3遺伝子のcDNAを挿入するように構成された、gRNAおよびドナー鋳型を含むCRISPR/Casシステムの使用は、自己免疫疾患であるIPEX症候群などの炎症性疾患の治療法として有望である。IPEX症候群の治療に関して、この疾患は、遺伝子全体にわたって広がった様々な変異に起因する場合があり、このため、開始コドンへのFOXP3 cDNAの全体(たとえばヒトのコドンに最適化されたFOXP3 cDNAの全体)の挿入が望ましい場合がある。CD34+細胞からの細胞分化後に内在性FOXP3プロモーターを利用することによって、最適なFOXP3発現量を得るために必要とされる転写シグナルを提供できると予想される。
用語の定義
本明細書において「核酸」および「核酸分子」は、たとえば、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを含み、たとえば、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により得られた断片、ならびにライゲーション、切断、エンドヌクレアーゼ作用、エキソヌクレアーゼ作用および合成のいずれかにより得られた断片などが挙げられるが、これらに限定されない。核酸分子は、天然のヌクレオチドモノマー(DNA、RNAなど)、または天然のヌクレオチドの類似体(たとえば、天然のヌクレオチドのエナンチオマー)からなるモノマー、またはこれらの組み合わせから構成されていてもよい。修飾ヌクレオチドは、糖部分および/またはピリミジン塩基部分もしくはプリン塩基部分に修飾を有していてもよい。糖部分の修飾としては、たとえば、ハロゲン、アルキル基、アミンまたはアジド基による1つ以上のヒドロキシル基の置換が挙げられ、糖部分はエーテル化またはエステル化されていてもよい。さらに、糖部分全体が、立体構造的に類似の構造や電子的に類似の構造と置換されていてもよく、このような構造として、たとえば、アザ糖または炭素環式糖類似体が挙げられる。修飾塩基部分としては、アルキル化プリン、アルキル化ピリミジン、アシル化プリン、アシル化ピリミジン、およびその他の公知の複素環置換基が挙げられる。核酸モノマーは、ホスホジエステル結合またはこれと似た結合により連結することができる。ホスホジエステル結合と似た結合としては、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホロセレノエート結合、ホスホロジセレノエート結合、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)結合、ホスホロアニリデート(phosphoranilidate)結合およびホスホロアミデート結合が挙げられる。「核酸分子」は、いわゆる「ペプチド核酸」も包含し、これは、ポリアミド主鎖に付加された天然の核酸塩基または修飾核酸塩基を含む。核酸は、一本鎖であってもよく、二本鎖であってもよい。
本明細書において「コード鎖」は、たとえば、産生されるRNA転写物と同じ塩基配列を有するDNA鎖(ただし、チミンはウラシルで置換される)を含むが、これに限定されない。コード鎖はコドンを含み、非コード鎖はアンチコドンを含む。
本明細書において「調節エレメント」は、たとえば、生物体内において特定の遺伝子の発現を増加または減少させることが可能な核酸分子のセグメントを含み、たとえば、作動可能に連結された転写可能なDNA分子の転写および/または翻訳に影響を与えることができる核酸分子のセグメントが挙げられるが、これらに限定されない。プロモーター(たとえばMNDプロモーター)、リーダー、イントロン、転写終結領域などの調節エレメントは、遺伝子調節活性を有し、生細胞における遺伝子の全体的な発現において不可欠な役割を果たすDNA分子である。したがって、植物において機能する単離された調節エレメント(プロモーターなど)は、遺伝子工学的方法により植物の表現型を修飾するのに有用である。遺伝子発現の制御は、あらゆる生物およびウイルスの基本的な機能である。調節エレメントとしては、CAATボックス、CCAATボックス、プリブノーボックス、TATAボックス、SECISエレメント、mRNAポリアデニル化シグナル、Aボックス、Zボックス、Cボックス、Eボックス、Gボックス、インスリン遺伝子調節配列などのホルモン応答エレメント、DNA結合領域、活性化領域および/またはエンハンサー領域が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、ガイドRNAは、5’末端または3’末端のいずれかに前記特徴のいずれかを提供するさらなるセグメントを含む。たとえば、適切な第3のセグメントとして、5’末端キャップ(たとえば、7-メチルグアニル酸キャップ(m7G));3’末端ポリアデニル化テール(たとえば、3’末端ポリ(A)テール);リボスイッチ配列(たとえば、制御下での安定化させたり、かつ/または制御下においてタンパク質もしくはタンパク質複合体によるアクセスを可能にするもの);安定性制御配列;dsRNA二本鎖(たとえば、ヘアピン)を形成する配列;RNAを細胞レベル以下の場所(たとえば、核、ミトコンドリア、葉緑体など)に標的化する配列;追跡を可能とする修飾または配列(たとえば、蛍光分子への直接結合、蛍光検出を容易にする部分への結合、蛍光検出を可能にする配列など);タンパク質(たとえば、転写活性化因子、転写抑制因子、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAメチル基分解酵素、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼなどの、DNAに作用するタンパク質)の結合部位を提供する修飾または配列;ならびにそれらの組み合わせを挙げることができる。
ガイドRNAおよびCasエンドヌクレアーゼ(たとえば、Cas9エンドヌクレアーゼ)は、リボ核タンパク複合体を形成してもよい(たとえば、非共有結合性相互作用を介して結合してもよい)。ガイドRNAは、標的DNAの配列に相補的なヌクレオチド配列を含むことにより、リボ核タンパク複合体に標的特異性を提供する。リボ核タンパク複合体の部位特異的修飾酵素は、エンドヌクレアーゼ活性を提供する。換言すれば、部位特異的修飾酵素は、ガイドRNAのタンパク質結合セグメントとの会合により、標的DNA配列(たとえば、染色体の核酸中の標的配列;染色体外の核酸中の標的配列(たとえば、エピソームの核酸、ミニサークルなど);ミトコンドリアの核酸中の標的配列;葉緑体の核酸中の標的配列;プラスミド中の標的配列など)に先導される。
本明細書において「FOXP3」は、たとえば、免疫系の応答に関与するタンパク質を含むが、これに限定されない。FOXP3遺伝子(フォークヘッドボックスタンパク質P3、フォークヘッドボックスP3、AAID、DIETER、IPEX、JM2、PIDX、XPIDまたはscurfinとしても知られている)は、11個のコーディングエキソンを含んでいる。Foxp3は、内在性制御性T細胞(nTreg(T細胞系))および養子移入/誘導制御性T細胞(a/iTreg)の特異的マーカーである。動物研究では、FOXP3陽性T細胞を誘導または投与すると、糖尿病モデル、多発性硬化症モデル、喘息モデル、炎症性腸疾患モデル、甲状腺炎モデルまたは腎臓病モデルにおいて疾患(自己免疫性疾患)の重症度が顕著に低下する。しかし、過去の研究ではT細胞は可塑性を示すことが報告されている。したがって、対象に移入された制御性T細胞は、制御性細胞ではなく炎症促進性のヘルパーT17(Th17)細胞に変化する可能性があるため、制御性T細胞の治療への使用にはリスクがある。これを踏まえ、制御性細胞から炎症促進性細胞への変化に起因するリスクを回避するための方法を本明細書において提供する。たとえば、iTregから発現されたFOXP3は、免疫系のマスター調節因子として利用されるとともに、免疫寛容および免疫抑制にも利用される。Tregは、IPEX症候群、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどの様々な自己免疫疾患において極めて重要な役割を果たしていると考えられている。ヒトTreg細胞の数またはその機能を増強するための様々なアプローチは、現在臨床試験段階にあり、たとえば、低用量のIL-2と拡大培養した自己由来Tregの養子移入とを組み合わせた治療法が臨床試験中である。IL-2療法は、その多面的活性と、炎症を増強しうる潜在的な「オフターゲット」効果を有することから、その有効性は限定的である。また、養子移入Treg療法も、拡大培養したTregはインビボでの安定性と生存能力に問題があり、治療に有用な抗原特異性が欠如していることから、恐らく限定的にしか利用できない。
本明細書において「ヌクレアーゼ」は、たとえば、核酸のヌクレオチドサブユニット間のリン酸ジエステル結合を切断することができるタンパク質または酵素を含むが、これらに限定されない。本明細書に記載のヌクレアーゼは「遺伝子編集」に使用される。遺伝子編集とは、1種類のヌクレアーゼもしくは遺伝子組換えヌクレアーゼまたは複数の種類のヌクレアーゼを使用して、生物のゲノムにおいてDNAの挿入、欠失または置換を行う遺伝子工学技術の1種である。ヌクレアーゼとしては、CRISPR/Casシステム(たとえばCRISPR/Cas9システム)で使用されるヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼおよびTALENヌクレアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。ヌクレアーゼは、遺伝子座、たとえば、核酸配列中の標的遺伝子座を標的とするために使用することができる。
本明細書において「コーディングエキソン」は、たとえば、RNAスプライシングによってイントロンが除去された後の遺伝子により産生される最終的な成熟RNAの一部をコードする遺伝子の一部を含むが、これに限定されない。「エキソン」は、遺伝子内のDNA配列と、これに対応するRNA転写物配列の両方を指す。RNAスプライシングによってイントロンが除去され、残されたエキソン同士が互いに共有結合で連結し、成熟メッセンジャーRNAの一部を構成する。
本明細書において「Casエンドヌクレアーゼ」または「Casヌクレアーゼ」は、たとえば、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)獲得免疫系と関連したRNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ酵素を含むが、これに限定されない。本明細書において「Casエンドヌクレアーゼ」は、天然Casエンドヌクレアーゼおよび組換えCasエンドヌクレアーゼの両方を指す。
本明細書において「Cas9」または「CAS9」(Csn1およびCsx12としても知られている)は、たとえば、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)獲得免疫系と関連したRNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼ酵素を含むが、これに限定されない。本明細書において「Cas9」は、天然Cas9および組換えCas9の両方を指す。
本明細書において「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」は、たとえば、ジンクフィンガーDNA結合ドメインとDNA分解ドメインを融合させることにより作製された人工制限酵素を含むが、これに限定されない。ジンクフィンガードメインは、所望とする特定のDNA配列を標的とするように改変することができ、これによって、ジンクフィンガーヌクレアーゼが、複雑なゲノム内のユニークな配列を標的とすることが可能となる。
本明細書において「TALEN」すなわち「転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ」は、たとえば、特定のDNA配列を切断するように改変することができる制限酵素を含むが、これに限定されない。TALENは、TALエフェクターDNA結合ドメインを、DNA分解ドメイン(DNA鎖を切断するヌクレアーゼ)に融合することによって作製される。転写活性化因子様エフェクター(TALE)は、事実上、所望とするあらゆるDNA配列に結合するように改変することができることから、ヌクレアーゼと組み合わせることによって、特定の位置でDNAを切断することができる。制限酵素は、インサイチューで遺伝子編集またはゲノム編集を行うことを目的として細胞に導入することができ、この技術は、遺伝子組換えヌクレアーゼを使用したゲノム編集技術として知られている。TALENは、ジンクフィンガーヌクレアーゼやCRISPR/Casと並んで、ゲノム編集分野におけるツールの1つである。
本明細書において「ノックイン」は、たとえば、遺伝子座内の野生型コピーを持つDNA配列情報を1対1で置換したり、遺伝子座内に存在しない配列情報を挿入したりするための遺伝子工学的方法を含むが、これに限定されない。
本明細書において「プロモーター」は、たとえば、構造遺伝子の転写を誘導するヌクレオチド配列を含むが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、プロモーターは遺伝子の5’末端の非コード領域に位置し、構造遺伝子の転写開始点の近傍にある。転写を開始させるプロモーター配列のエレメントは、コンセンサスヌクレオチド配列によって特徴付けられることが多い。プロモーターは、特定の遺伝子の転写を開始させるDNA領域である。プロモーターは、同じDNA鎖内の上流(センス鎖の5’領域方向)の遺伝子転写開始部位の近傍に位置する。プロモーターの長さは、100塩基対、200塩基対、300塩基対、400塩基対、500塩基対、600塩基対、700塩基対、800塩基対もしくは1000塩基対、または約100塩基対、約200塩基対、約300塩基対、約400塩基対、約500塩基対、約600塩基対、約700塩基対、約800塩基対もしくは約1000塩基対、またはこれらの長さのいずれか2つによって定義される範囲内の長さであってもよい。本明細書において、プロモーターは、構成的に活性なプロモーター、抑制型プロモーター、誘導型プロモーターのいずれであってもよい。プロモーターが誘導型プロモーターである場合、転写率は誘導剤に応答して上昇する。これに対して、プロモーターが構成的プロモーターである場合、転写率は誘導剤による制御を受けない。抑制型プロモーターも公知である。プロモーターの例としては、構成的プロモーター、弱い異種プロモーター(たとえば、内在性プロモーターおよび/または構成的プロモーターよりも発現が低くなるプロモーター)、または誘導型プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、プロモーターの例として、EF1αプロモーター、PGKプロモーター、MNDプロモーター、KIプロモーター、Ki-67遺伝子プロモーター、またはタモキシフェンおよび/もしくはその代謝産物などの薬物によって誘導可能なプロモーターが挙げられる。一般的に使用される構成的プロモーターとしては、哺乳動物系において使用されるSV40、CMV、UBC、EF1A、PGKまたはCAGGが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「転写エンハンサードメイン」は、たとえば、タンパク質(アクチベーター)が結合することができる短いDNA領域(50~1500bp)であって、アクチベーターが転写エンハンサードメインに結合することによって特定の遺伝子の転写が起こる可能性やその転写量を高めたり、促進したり、増強させたりすることができるDNA領域を含むが、これに限定されない。このようなアクチベータータンパク質は、通常、転写因子と呼ばれる。エンハンサーは、通常、シス作用性であり、標的遺伝子から最大で1Mbp(1,000,000bp)離れて位置し、転写開始部位の上流または下流に存在し、順方向または逆方向である。エンハンサーは、制御対象の遺伝子の上流または下流に位置していてもよい。いくつかの実施形態において、転写量を増加させるために複数のエンハンサードメインを使用してもよく、たとえば、多量体化した活性化結合ドメインを使用して、転写量をさらに増強または増加させることができる。さらに、エンハンサーは、転写開始部位から数十万塩基対離れた上流または下流に位置することが何人かの研究者によって見出されたことから、転写に影響を与えるためにエンハンサーを転写開始部位の近傍に置く必要はない。エンハンサーは、プロモーター領域自体には作用しないが、アクチベータータンパク質と結合する。アクチベータータンパク質は、メディエーター複合体と相互作用し、ポリメラーゼIIおよび基本転写因子を動員し、遺伝子の転写を開始する。エンハンサーもイントロン内に存在しうる。エンハンサーの方向は、逆方向であってもよく、逆方向であることによってその機能は影響を受けない。さらに、エンハンサーは、切断されてもよく、染色体の任意の位置に挿入されてもよく、このような処理を行っても遺伝子の転写に効果を発揮することができる。いくつかの実施形態において、FOXP3遺伝子の転写を阻止する抑制機構をサイレンシングするためにエンハンサーを使用する。エンハンサー結合ドメインの一例として、TCRαエンハンサーが挙げられる。いくつかの実施形態において、エンハンサードメインは、TCRαエンハンサーである。いくつかの実施形態において、エンハンサー結合ドメインをプロモーターの上流に配置し、これによってプロモーターを活性化して、タンパク質の転写を増加させる。いくつかの実施形態において、エンハンサー結合ドメインをプロモーターの上流に配置し、これによってプロモーターを活性化して、FOXP3遺伝子の転写を増加させる。
本明細書において「転写活性化因子ドメイン」または「転写活性化ドメイン」は、たとえば、転写因子が結合することができる特定のDNA配列であって、転写因子が転写活性化領域に結合することによって、DNAからメッセンジャーRNAへの遺伝子情報の転写率を制御することができるDNA配列を含むが、これに限定されない。転写因子の具体例としては、SP1、AP1、C/EBP、熱ショック因子、ATF/CREB、c-Myc、Oct-1、およびNF-1が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、アクチベータードメインを利用して、FOXP3遺伝子の転写を阻止する抑制機構をサイレンシングする。
本明細書において「遍在性クロマチンオープニングエレメント(UCOE)」は、たとえば、ハウスキーピング遺伝子由来の非メチル化CpGアイランドに存在し双方向に転写されるデュアルプロモーターを特徴とするエレメントを含むが、これに限定されない。UCOEは、細胞株、多能性造血幹細胞、PSC、これらから分化した子孫細胞などの様々な細胞モデルにおいて、導入外来遺伝子のサイレンシングを阻止し、かつ発現を維持するための有望なツールである。
本明細書において「作動可能に連結される」は、たとえば、調節配列と異種核酸配列との間の機能的な連結により、この異種核酸配列が発現されることを含むが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、第1の分子が第2の分子に結合されており、第1の分子が第2の分子の機能に対して影響を及ぼすようにこれらの分子が配置されている。これら2つの分子は、連続した単一分子の一部であってもよく、互いに隣接していてもよい。たとえば、プロモーターが細胞内の転写可能な目的のDNA分子の転写を調節する場合、このプロモーターは、この転写可能なDNA分子に作動可能に連結されている。
ペプチド断片などの分子についての説明において使用される「濃度」という用語は、所定の体積の溶液中に存在する分子の量、たとえば、分子のモル数を指す。
「個体」、「対象」および「宿主」という用語は、本明細書において同じ意味で使用され、診断、治療または治療法が所望とされる任意の対象を指す。いくつかの態様において、前記対象は哺乳動物である。いくつかの態様において、前記対象はヒトである。いくつかの態様において、前記対象はヒト患者である。いくつかの態様において、前記対象は、FOXP3に関連する障害または健康状態を有しているか、FOXP3に関連する障害または健康状態を有している疑いがある。いくつかの態様において、前記対象は、診断時またはその後に、FOXP3に関連する障害または健康状態のリスクがあると診断されたヒトである。いくつかの場合、FOXP3に関連する障害または健康状態のリスクを有するという診断は、FOXP3をコードする内在性遺伝子またはFOXP3の発現に影響を与えうる近傍のゲノム配列における1つ以上の変異の存在に基づいて決定することができる。たとえば、いくつかの態様において、前記対象は、自己免疫障害を有しているか、自己免疫障害を有している疑いがあるか、かつ/または自己免疫障害の1つ以上の症状を有している。いくつかの態様において、前記対象は、診断時またはその後に、自己免疫障害のリスクがあると診断されたヒトである。いくつかの場合、自己免疫障害のリスクを有するという診断は、内在性FOXP3遺伝子またはFOXP3遺伝子の発現に影響を与えうる近傍のゲノム配列における1つ以上の変異の存在に基づいて決定することができる。
「治療」という用語は、疾患または状態を指すときに使用される場合、個体が罹患している状態に関連する症状が少なくとも緩和されることを意味し、ここで「緩和」は、広い意味で使用され、治療を受けている状態(たとえば自己免疫疾患)に関連するパラメータ(たとえば症状)の程度が少なくとも減少することを指す。したがって、治療には、病的状態または少なくともそれに関連する症状が完全に抑制される状態、たとえば、病的状態やその症状の発症が予防される状態、または病的状態やその症状が完全に排除されて、病的状態または少なくとも病的状態を特徴付ける症状によって宿主が苦しむことがなくなる状態も含まれる。したがって、治療には、(i)予防、すなわち、臨床症状を発症するリスクの低減、たとえば疾患の進行の予防などの臨床症状の発症の予防、(ii)抑制、すなわち、臨床症状の発症またはさらなる発症の阻止、たとえば、活動性疾患の軽減または完全な抑制が含まれる。
本明細書において「有効量」、「医薬的有効量」または「治療有効量」は、特定の状態を有する対象に投与されたときに所望の有用性を提供するのに十分な組成物の量を意味する。自己免疫障害のエクスビボ治療に関する説明において使用される「有効量」という用語は、自己免疫障害の少なくとも1つ以上の徴候または症状を予防または緩和するために必要とされる治療用細胞またはその子孫細胞の集団の量を指し、所望の効果を提供するため、たとえば、対象において自己免疫障害の症状を治療するために十分な、治療用細胞またはその子孫細胞を含む組成物の量に関する。したがって、「治療有効量」という用語は、自己免疫障害を有するかまたはそのリスクがある対象などの、治療を必要とする対象に投与されたときに特定の効果を促進するのに十分な治療用細胞の数または治療用細胞を有する組成物の量を指す。また、「有効量」は、疾患の症状の発症を予防もしくは遅延させるのに十分な量、疾患の症状の経過を変えるのに十分な量(たとえば、疾患の症状の進行を遅らせるのに十分な量(ただしこれに限定されない)、または疾患の症状を改善するのに十分な量を含む場合もある。対象(たとえば、患者)における自己免疫障害のインビボ治療またはインビトロで培養された細胞におけるゲノム編集に関する説明において、「有効量」は、対象における細胞もしくはインビトロで培養された細胞のゲノムを編集するために必要とされるgRNA、ドナー鋳型および/または部位特異的ポリペプチド(たとえばDNAエンドヌクレアーゼ)などの、ゲノム編集に使用される構成要素の量を指す。どのような症例であっても、適切な「有効量」は、当業者が日常的な実験を行うだけで決定することができる。
本明細書において「自己免疫疾患」は、たとえば、免疫系の活性が異常に低くなっているか、あるいは免疫系が過剰に活性化されている状態を含むが、これらに限定されない。免疫系が過剰に活性化されている場合、自己組織が攻撃され、損傷を受ける(自己免疫疾患)。免疫不全疾患では、侵入物に対する生体の攻撃力が弱まるため、感染に対して抵抗性が低くなる。本明細書に記載の組成物および方法を使用して抑制、緩和または治療することができる自己免疫障害または自己免疫疾患の例としては、全身性エリテマトーデス、強皮症、溶血性貧血、血管炎、1型糖尿病、グレーヴス病、関節リウマチ、多発性硬化症、グッドパスチャー症候群、筋疾患、重症複合免疫不全、ディ・ジョージ症候群、高IgE症候群、分類不能型免疫不全、慢性肉芽腫症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、高IgM症候群、白血球接着不全症、NF-κB必須モジュレーター(NEMO)変異、選択的免疫グロブリンA欠損症、X連鎖無γグロブリン血症、X連鎖リンパ増殖症、IPEX、免疫制御異常、多腺性内分泌障害、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群(免疫制御異常、多腺性内分泌障害、腸疾患およびX連鎖性遺伝を特徴とする疾患)ならびに毛細血管拡張性運動失調症を挙げることができるが、これらに限定されない。免疫疾患は、たとえば、対象の血清または脳脊髄液において神経特異的自己抗体またはその他のバイオマーカーが検出された場合、これらの神経特異的自己抗体またはその他のバイオマーカーのプロファイルを調べることによって分析することができる。本明細書において提供される典型的な方法のいくつかにおいて、これらの方法は、自己免疫障害を治療、緩和または抑制する方法である。いくつかの実施形態において、自己免疫障害は、全身性エリテマトーデス、強皮症、溶血性貧血、血管炎、1型糖尿病、グレーヴス病、関節リウマチ、多発性硬化症、グッドパスチャー症候群、筋疾患、重症複合免疫不全、ディ・ジョージ症候群、高IgE症候群、分類不能型免疫不全、慢性肉芽腫症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、高IgM症候群、白血球接着不全症、NF-κB必須モジュレーター(NEMO)変異、選択的免疫グロブリンA欠損症、X連鎖無γグロブリン血症、X連鎖リンパ増殖症、IPEX、免疫制御異常、多腺性内分泌障害、腸疾患、X連鎖(IPEX)症候群(免疫制御異常、多腺性内分泌障害、腸疾患およびX連鎖性遺伝を特徴とする疾患)ならびに毛細血管拡張性運動失調症またはこれらの任意の組み合わせである。
「IPEX症候群」とは、免疫制御異常、多腺性内分泌障害、腸疾患およびX連鎖を特徴とする症候群を指し、制御性T細胞系統のマスター調節因子であると広く考えられている転写因子FOXP3の機能不全に関連するまれな疾患である。IPEX症候群に罹患した対象は、自己免疫性腸疾患、乾癬状または湿疹性の皮膚炎、爪ジストロフィー、自己免疫性内分泌障害、自己免疫性皮膚疾患(全身性脱毛症や水疱性類天疱瘡など)などの症状を示すことがある。IPEX症候群は、免疫系が自己の組織や臓器を攻撃する自己免疫疾患である。IPEX症候群は、CD4+CD25+T制御性細胞の欠損、および転写因子FOXP3の発現の欠損を招く。FOXP3の減少は、制御性T細胞の欠損に続いて、T細胞がチェックを受けずに活性化することに起因すると考えられている。
本明細書において「臓器移植」は、たとえば、1つの体から別の体へと臓器を移動させたり、患者自身の体内のドナー部位から別の部位へと臓器を移動させることによって、レシピエントの損傷臓器を置き換えたり、レシピエントの体内に存在しない臓器を移すことを含むが、これらに限定されない。同一人物の生体内における臓器および/または組織の移植は自家移植と呼ばれる。近年実施されているような、同じ生物種に属する2つの対象間での移植は同種移植と呼ばれる。同種移植では、生体または死体から得た臓器または組織が移植される。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、対象における臓器拒絶などの臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法を提供する。
移植可能な臓器としては、たとえば、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、腸管および胸腺が挙げられる。移植可能な組織としては、たとえば、骨および腱(これらを筋骨格移植片と呼ぶ)、角膜、皮膚、心臓弁、神経および静脈が挙げられる。腎臓、肝臓および心臓は、最も一般的に移植が行われている臓器である。角膜および筋骨格移植片は、最も一般的に移植が行われている組織である。
本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、対象における臓器拒絶などの臓器移植の副作用を治療、抑制または緩和する方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗拒絶反応薬の投与対象として選択された対象である。いくつかの実施形態において、抗拒絶反応薬は、プレドニゾン、イムラン(アザチオプリン)、セルセプト(ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、Myfortic(ミコフェノール酸)、ラパミューン(シロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、またはプログラフ(タクロリムス)を含む。
いくつかの実施形態において、前記対象は、本発明の実施形態に記載の遺伝子組換え細胞を使用した抑制、緩和または治療を実施する対象として選択された対象である。いくつかの実施形態において、前記対象は、抗炎症薬または抗拒絶反応薬に対して副作用を起こしている。したがって、本明細書において提供される代表的な細胞または組成物を、前記選択された対象に提供する。抗拒絶反応薬の副作用としては、他の薬物との相互作用による血中タクロリムス量の上昇または低下、腎毒性、高血圧、神経毒性(振戦、頭痛、刺痛および不眠)、糖尿病(高血糖)、下痢、悪心、脱毛もしくは高カリウム血症、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。したがって、本明細書に記載の治療方法、抑制方法または緩和方法を実施するために前記対象が選択される。そのような選択または同定は、臨床評価または診断評価によって行うことができる。
本明細書において「臓器拒絶」または「移植拒絶反応」は、たとえば、レシピエントの免疫系によって移植組織が拒絶されて、移植組織が破壊されることを含むが、これに限定されない。
本明細書において「移植片対宿主病(GVHDまたはGvHD)」は、遺伝学的に異なるヒトからの組織移植を受けた後に起こる医学的合併症を含むが、これに限定されない。GVHDは、幹細胞移植または骨髄移植に付随して起こることが多いが、GVHDという用語は、その他の形態の移植組織片による合併症を指す場合にも使用される。ドナーから提供された組織中の免疫細胞は、レシピエントを「自己」ではなく異物として認識する。本発明の実施形態のいくつかにおいて、本発明の方法は、GVHDに起因する合併症を予防または緩和するために使用することができる。
本明細書において「医薬添加剤」は、たとえば、細胞を添加して組成物を得るための不活性物質を含むが、これに限定されない。
本明細書において「キメラ抗原受容体(CAR)」は、たとえば、キメラT細胞受容体としても知られており、エフェクター免疫細胞に所望の特異性を移植することができる人工T細胞受容体または遺伝子組換え受容体を含むが、これらに限定されない。CARは、前記疾患または障害に関連する分子と結合する抗体配列やその他のタンパク質配列のリガンド結合ドメインを含む合成設計された受容体であってもよく、該リガンド結合ドメインが、スペーサードメインを介して、T細胞受容体またはその他の受容体に由来する1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(たとえば共刺激ドメイン)に連結されている。いくつかの実施形態において、融合タンパク質をコードする核酸を含み、キメラ抗原受容体を含む細胞(哺乳動物細胞など)が製造される。キメラ抗原受容体を使用して、たとえば、モノクローナル抗体またはその結合部分の特異性をT細胞に移植することができる。本発明の実施形態のいくつかにおいて、前記遺伝子組換え細胞は、キメラ抗原受容体をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、腫瘍細胞上の分子に特異的である。T細胞受容体を発現する遺伝子組換え細胞またはキメラ抗原受容体を使用して、FOXP3の発現を必要とする特定の組織を標的することができる。いくつかの実施形態は、特定の組織を標的とすることによってFOXP3を提供および送達する方法を含む。いくつかの実施形態において、前記組織は移植組織である。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、移植組織上の標的分子に特異的である。
本明細書で述べるように、本発明の遺伝子組換え細胞は、FOXP3を発現するように遺伝子組換えされた細胞であり、したがって、本発明の実施形態において、これらの細胞を「Treg表現型」細胞とも呼ぶ。前記細胞は、CD34+細胞、たとえばCD34+造血幹細胞であってもよい。
本明細書において「タンパク質配列」は、たとえば、タンパク質の一次構造であるアミノ酸のポリペプチド配列を含むが、これに限定されない。また、本明細書において「上流」は、ポリヌクレオチド上の5’位側の位置、およびポリペプチド上のN末端側に向かった位置を意味する。また、本明細書において「下流」は、ヌクレオチド上の3’位側の位置、およびポリペプチド上のC末端側に向かった位置を意味する。したがって、「N末端」は、ポリペプチド上のN末端側の位置に向かったポリヌクレオチド上のエレメントの位置または特定の位置を指す。
本明細書において「発現」または「タンパク質発現」いう用語は、転写されたRNA分子がタンパク質分子へと翻訳されることを指す。タンパク質発現は、その時間的特性、空間的特性、発生的特性または形態学的特性、および定量的指標または定性的指標によって特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態において、前記タンパク質または前記複数のタンパク質は、リガンドの存在下で二量体化できる配置で発現される。
タンパク質の説明に関する「機能性等価物」または「機能性等価物の断片」は、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有していてもよい。「保存的アミノ酸置換」は、元のアミノ酸と同等の特性を有する別のアミノ酸へのアミノ酸置換を指す。保存的アミノ酸群を以下に示す。
保存的置換は、所定のペプチドまたはその断片のどの位置に導入してもよい。しかしながら、非保存的置換が望ましい場合もあり、特に、任意の1つ以上の位置に非保存的置換を導入することが望ましい場合もあるが、これに限定されない。ペプチドの機能的等価物断片を形成することが可能な非保存的置換は、たとえば、極性、電荷、および/または立体的嵩高さが実質的に異なるが、誘導体またはバリアントの断片の機能性を維持している。
「配列同一性(%)」は、比較ウィンドウ上の最適アライメントにおいて2つの配列を比較することによって決定される。比較ウィンドウ上のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の一部は、2つの配列の最適アライメント用の参照配列(付加や欠失を含まない)と比較して付加または欠失(すなわちギャップ)を有していてもよい。場合によっては、配列同一性(%)は、両方の配列において同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を測定して、核酸塩基またはアミノ酸残基が一致する位置の数を算出し、一致した位置の数を比較ウィンドウ上の位置の総数で割り、得られた結果に100を掛けることにより、配列同一性(%)を算出することができる。
2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列に関する「同一性」または「同一性(%)」は、後述する配列比較アルゴリズムのいずれかを使用して、または手動のアライメントおよび目視での判別により測定した場合に、比較ウィンドウまたは指定された領域において最大の一致が得られるように比較および整列した際に、同一であると判定された2つ以上の配列または部分配列を指すか、または同一であるアミノ酸残基またはヌクレオチドが特定のパーセンテージ(たとえば特定の領域、たとえばポリペプチド配列全体またはポリペプチドの個々のドメインにおいて、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%の同一性)を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。このような配列を「実質的に同一」と呼ぶ。この定義は、試験配列の相補鎖にも当てはまる。
本明細書において「相補的」または「実質的に相補的」という用語は、同じ意味で使用され、特定の核酸(たとえばDNAまたはRNA)が、配列特異的かつ逆平行に別の核酸に非共有結合を介して結合し(すなわち、特定の核酸が相補的な核酸に特異的に結合し)、すなわち、ワトソン-クリック塩基対またはG/U塩基対を形成することが可能なヌクレオチド配列を有することを意味する。当技術分野で知られているように、標準的なワトソン-クリック塩基対合として、チミジン(T)とアデニン(A)の対合、ウラシル(U)とアデニン(A)の対合、およびシトシン(C)とグアニン(G)の対合がある。
特定のRNAを「コードする」DNA配列は、RNAに転写されうるDNA核酸配列である。DNAポリヌクレオチドは、タンパク質に翻訳されるRNA(mRNA)をコードすることもあれば、タンパク質に翻訳されないRNA(たとえば、tRNA、rRNA、またはガイドRNA;本明細書において「非コード」RNAまたは「ncRNA」とも呼ぶ)をコードすることもある。「タンパク質のコード配列」または「特定のタンパク質またはポリペプチドをコードする配列」は、インビトロまたはインビボにおいて適切な調節配列の制御下に置かれたときに、mRNAに転写され(DNAの場合)、ポリペプチドに翻訳される(mRNAの場合)核酸配列である。
本明細書において「コドン」は、DNA分子またはRNA分子において、3つのヌクレオチドからなる配列によって形成される1つの遺伝コード単位を指す。本明細書において「コドンの縮重」は、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に影響を与えることなく、ヌクレオチド配列の変化を可能にする遺伝コードの特性を指す。
「コドン最適化された」または「コドンの最適化」は、様々な宿主の形質転換のための核酸分子の遺伝子またはコード領域を指し、DNAによってコードされるポリペプチドの変化を伴わずに宿主生物において典型的に使用されるコドンを反映させるための、核酸分子の遺伝子またはコード領域におけるコドンの変更を指す。このような最適化には、その生物の遺伝子において使用頻度の高い1つ以上のコドンで、少なくとも1つのコドン、複数のコドン、または非常に多数の数のコドンを置き換えることが含まれる。コドンの使用頻度を示した表は、たとえば「Codon Usage Database」から容易に入手することができる。当業者であれば、各生物におけるコドンの使用頻度またはコドンの嗜好性に関する知識を利用して、所定のポリペプチド配列にコドンの頻度を適用することによって、ポリペプチドをコードし、所定の生物種に最適なコドンが使用されたコドン最適化コード領域の核酸断片を製造することができる。コドン最適化されたコード領域は、当業者に公知の様々な方法によって設計することができる。
たとえば、細胞、核酸、タンパク質またはベクターに関して使用される「組換え」または「操作された」という用語は、その細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが、実験室的方法により改変されたものであるか、実験室的方法の結果として得られたものであることを示す。したがって、たとえば、組換えタンパク質または操作されたタンパク質には、実験室的方法によって生成されたタンパク質が含まれる。組換えタンパク質または操作されたタンパク質は、天然(非組換えまたは野生型)のタンパク質には見られないアミノ酸残基を含んでいたり、修飾(たとえば標識)されたアミノ酸残基を含むことがある。「組換え」または「操作された」という用語は、ペプチド、タンパク質または核酸配列への何らかの改変を含むことがある。このような改変には、ペプチド、タンパク質もしくは核酸配列(1つ以上のアミノ酸、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドを含む)の化学的改変;ペプチドもしくはタンパク質における1つ以上のアミノ酸の付加、欠失もしくは置換;または、核酸配列における1つ以上の核酸の付加、欠失、もしくは置換が含まれていてもよい。
「ゲノムDNA」または「ゲノム配列」は、細菌、真菌、古細菌、植物または動物のゲノムDNAを含む(ただし、これらに限定されない)、生物のゲノムDNAを指す。
本明細書において、核酸に関する「導入遺伝子」、「外来性遺伝子」または「外来性配列」は、細胞のゲノムには存在しないが、たとえばゲノム編集などを介してゲノムに人工的に導入された核酸配列または遺伝子を指す。
本明細書において、核酸に関する「内在性遺伝子」または「内在性配列」は、人工的手段を介して導入されることなく、細胞のゲノムに元から存在する核酸配列または遺伝子を指す。
「ベクター」、「発現ベクター」または「コンストラクト」は、細胞に異種核酸を導入するために使用される核酸であり、様々な調節エレメントを含むことから、細胞において異種核酸を発現させることができる。ベクターとしては、プラスミド、ミニサークル、酵母、およびウイルスゲノムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ベクターは、プラスミド、ミニサークル、酵母またはウイルスゲノムである。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、レンチウイルスである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであるいくつかの実施形態において、前記ベクターは、大腸菌などの細菌系におけるタンパク質発現用のベクターである。本明細書において「発現」または「タンパク質発現」は、転写されたRNA分子がタンパク質分子へと翻訳されることを指す。タンパク質発現は、その時間的特性、空間的特性、発生的特性または形態学的特性、および定量的指標または定性的指標によって特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態において、前記タンパク質または前記複数のタンパク質は、リガンドの存在下で二量体化できる配置で発現される。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、レンチウイルスである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである(たとえば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11などが挙げられるが、これらに限定されない)。
本明細書において「融合タンパク質」または「キメラタンパク質」は、たとえば、元は別々のタンパク質または別々のタンパク質の一部分をコードしていた2つ以上の遺伝子を連結することによって作製されたタンパク質を含むが、これに限定されない。融合タンパク質は別々の2つ以上のタンパク質に由来する特定のタンパク質ドメインから作製することもできる。このような融合遺伝子を翻訳することによって、元の各タンパク質に由来する機能特性を持つ単一のポリペプチドまたは複数のポリペプチドが得られる。組換え融合タンパク質は、生物学的研究または治療に使用される組換えDNA技術により人工的に作製することができる。このような融合タンパク質の作製方法は、当業者に公知である。いくつかの融合タンパク質は、複数のペプチド全体を組み合わせたものであり、したがって、元のタンパク質のすべてのドメインを含み、特にすべての機能ドメインを含むことがある。しかしながら、その他の融合タンパク質、特に天然に存在しないタンパク質は、コード配列の一部のみを組み合わせたものであることから、このようなタンパク質が由来する親遺伝子の元の機能を維持していない。いくつかの実施形態において、インターフェロンもしくはPD-1タンパク質またはその両方を含む融合タンパク質を提供する。
本明細書において「条件的」プロモーターまたは「誘導型」プロモーターは、誘導因子の存在下で遺伝子を発現させるが、誘導因子の非存在下では実質的に遺伝子を発現させないプロモーターを含む核酸コンストラクトを指す。
本明細書において「構成的」は、 構成的なプロモーターを含むことから、継続的に産生されるポリペプチドを発現させる核酸コンストラクトを指す。
いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターは、基底レベルでの活性が低い。いくつかの実施形態において、レンチウイルスベクターを用いる場合、発現が誘導されていない細胞における基底レベルでの活性は、細胞において遺伝子の発現が誘導された場合の20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%もしくはこれら以下(ただし0%ではない)、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内のパーセンテージである。基底レベルでの活性は、フローサイトメトリーを用いて、誘導因子(たとえば薬物)の非存在下で導入遺伝子(たとえばマーカー遺伝子)の発現量を測定することによって決定することができる。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、Aktなどのマーカータンパク質を使用して発現が測定される。
いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターが発現されると、発現が誘導されていない場合や基底レベルでの活性と比べて高い活性を誘導することができる。いくつかの実施形態において、発現が誘導された場合の活性レベルは、発現が誘導されていない場合の2倍、4倍、6倍、8倍、9倍、10倍もしくはそれ以上、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の倍率である。いくつかの実施形態において、前記誘導型プロモーターの制御下にある導入遺伝子は、トランス活性化因子の非存在下において、10日未満、8日未満、6日未満、4日未満、2日未満もしくは1日未満、またはこれらの期間のいずれか2つによって定義される範囲内の期間でオフの状態となるが、0日ではオフの状態とはならない。
いくつかの実施形態において、基底レベルでの活性が低く、高レベルの発現が誘導され、かつ/または短期間でオンとオフとを切り替えることができるように、誘導型プロモーターを設計または改変する。
「ウッドチャック肝炎ウイルス(WHP)転写後調節エレメント(WPRE)」は、転写されると、発現を増強する三次構造を形成するDNA配列である。WPREを使用しては、ウイルスベクターによって送達される遺伝子の発現を増加させてもよい。本明細書に記載の実施形態において、WPRE3エレメントを使用して、送達された核酸(送達されたcDNAなど)の発現を増強させる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法で使用される免疫調節性イミド薬は、サリドマイド(その類似体、誘導体または薬学的に許容される塩を含む)を含んでいてもよい。サリドマイドとして、Immunoprin、サロミド、Talidex、Talizer、Neurosedyn、α-(N-フタルイミド)グルタルイミド、2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1,3-ジオン);またはポマリドマイド(その類似体、誘導体または薬学的に許容される塩を含む)を挙げることができる。ポマリドマイドとして、ポマリスト、Imnovid、(RS)-4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオン;またはレナリドミド(その類似体、誘導体または薬学的に許容される塩を含む)を挙げることができる。レナリドマイドとして、レブリミド、(RS)-3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン;またはアプレミラスト(その類似体、誘導体または薬学的に許容される塩を含む)を挙げることができる。アプレミラストとして、オテズラ、CC-10004、N-{2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イル}アセトアミド);またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
本明細書において「細胞外結合ドメイン」は、複合体を構成するドメインの1つであり、特定の原子または特定の分子に結合するように構成され、細胞の外側に存在するドメインを指す。いくつかの実施形態において、CISCの細胞外結合ドメインは、FKBPドメインまたはその一部である。いくつかの実施形態において、細胞外結合ドメインは、FRBドメインまたはその一部である。いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、リガンドまたは薬剤に結合することにより、2つのCISC構成要素の二量体化を刺激するように構成されている。いくつかの実施形態において、細胞外結合ドメインは、サイトカイン受容体モジュレーターに結合するように構成されている。
CISC(化学誘導性シグナル伝達複合体(chemically induced signaling complex))は、国際特許出願PCT/US2017/065746(この文献は引用によってその全体が本明細書に明示的に援用される)に記載されているように、宿主細胞において2種のキメラタンパク質として共発現するように構成された、複数の構成要素からなる合成タンパク質複合体である。CISCに含まれる2つのキメラタンパク質構成要素は、一方が、ラパマイシン結合複合体の半分を構成する細胞外ドメインであり、これが、ラパマイシン結合複合体の残りの半分を構成する細胞内シグナル伝達複合体に融合されている。CISCをコードする核酸を宿主細胞に送達することによって、この宿主細胞において、ラパマイシンまたはラパマイシン関連化合物の存在によって制御可能な細胞内シグナル伝達を発生させることができる。
ラパマイシン誘導性のCISCの二量体化によって細胞内シグナル伝達を惹起させることができるものの、ラパマイシンの存在により宿主細胞の増殖および生存能力が抑制されることから、治療目的および研究目的での使用における有用性が制限されている。したがって、ラパマイシンを介したCISCによる細胞内シグナル伝達の利用が可能であり、宿主細胞の増殖および生存能力に対するラパマイシンまたはラパマイシン関連化合物の悪影響を緩和することが可能な、新規の組成物および方法が必要とされている。
本明細書において、「二量体化した化学誘導シグナル伝達複合体(dimeric chemical-induced signaling complex)」、「二量体化CISC」または「二量体」は、CISCを構成する2つの構成要素を指し、これらの2つの構成要素は、互いに結合して融合タンパク質複合体を形成してもよく、互いに結合せずに融合タンパク質複合体を形成していなくてもよい。「二量体化」とは、たとえばリガンド(たとえばラパマイシン)の結合などに応答して、2つの別々のものが互いに結合して単一のものになるプロセスを指す。いくつかの実施形態では、リガンドまたは薬剤によって二量体化が刺激される。いくつかの実施形態において、「二量体化」はホモ二量体化を指し、すなわち、2つの同一のものが結合して二量体化すること、たとえば、2つの同一のCISC構成要素が結合して二量体化することを指す。いくつかの実施形態では、「二量体化」はヘテロ二量体化を指し、2つの異なるものが結合して二量体化すること、たとえば、2つの異なる別々のCISC構成要素が結合して二量体化することを指す。いくつかの実施形態では、CISC構成要素の二量体化によって、細胞シグナル伝達経路が形成される。いくつかの実施形態では、CISC構成要素の二量体化によって、細胞または細胞集団の選択的な拡大増殖が可能となる。さらなるCISCシステムは、CISCとジベレリンによるCISC二量体化システム、またはSLF-TMPを使用したCISC二量体化システムを含んでいてもよい。その他の化学的に誘導可能な二量体化(CID)システムおよびその構成要素を使用してもよい。
本明細書において「化学誘導シグナル伝達複合体(chemical-induced signaling complex)」または「CISC」は、細胞の内部においてシグナルを開始し、その直接的な結果として、リガンドの誘導により二量体化を起こす遺伝子組換え複合体を指す。CISCは、ホモ二量体(2つの同一の構成要素が二量体化したもの)であってもよく、ヘテロ二量体(2つの異なる構成要素が二量体化したもの)であってもよい。したがって、本明細書において「ホモ二量体」という用語は、同一のアミノ酸配列を有する本明細書中に記載の2つのタンパク質構成要素からなる二量体を指す。また、「ヘテロ二量体」という用語は、アミノ酸配列が同一ではない本明細書に記載の2つのタンパク質構成要素からなる二量体を指す。
CISCは、本明細書においてさらに詳細に述べるような合成複合体であってもよい。本明細書において「合成」は、天然のものではなく、自然界でも見られない本明細書に記載の複合体、タンパク質、二量体または組成物を指す。いくつかの実施形態において、「IL2R-CISC」は、インターロイキン2受容体の構成要素を含むシグナル伝達複合体を指す。いくつかの実施形態において、「IL2/15-CISC」は、インターロイキン2およびインターロイキン15によって共有される受容体シグナル伝達サブユニットを含むシグナル伝達複合体を指す。いくつかの実施形態において、「IL7-CISC」は、インターロイキン7受容体の構成要素を含むシグナル伝達複合体を指す。したがって、CISCは、特定のCISCの構成要素を構成する構成要素部分に従って命名してもよい。当業者であれば、化学誘導シグナル伝達複合体の構成要素部分が、CISCへの組み込みに有用な天然または合成の構成要素から構成されていてもよいことを認識できるであろう。したがって、本明細書で提供されるこれらの例は、本発明を限定するものではない。
本明細書において「FKBP」は、FK506結合タンパク質ドメインである。FKBPは、プロリルイソメラーゼ活性を有するタンパク質ファミリーを指し、シクロフィリンと機能の点で関連しているが、アミノ酸配列の点では類似していない。FKBPは、酵母からヒトを含む多くの真核生物において同定されており、プロリン残基を含むタンパク質のタンパク質フォールディングシャペロンとして機能する。FKBPは、シクロフィリンとともにイムノフィリンファミリーに属する。FKBPは、たとえば、FKBP12を含むとともに、AIP遺伝子、AIPL1遺伝子、FKBP1A遺伝子、FKBP1B遺伝子、FKBP2遺伝子、FKBP3遺伝子、FKBP5遺伝子、FKBP6遺伝子、FKBP7遺伝子、FKBP8遺伝子、FKBP9遺伝子、FKBP9L遺伝子、FKBP10遺伝子、FKBP11遺伝子、FKBP14遺伝子、FKBP15遺伝子、FKBP52遺伝子、またはLOC541473遺伝子によってコードされるタンパク質;それらのホモログおよび機能性タンパク質断片を含む。
本明細書において「FRB」は、FKBPラパマイシン結合ドメインである。FRBドメインは、FKBPタンパク質とラパマイシンまたはそのラパログと一緒になって三者複合体を形成するように構成されたポリペプチド領域(タンパク質「ドメイン」)である。FRBドメインは、様々な天然のタンパク質中に存在し、ヒトおよびその他の生物種に由来するmTORタンパク質(本明細書中でFRAP、RAPT1またはRAFTとも呼ばれる);Tor1またはTor2を含む酵母タンパク質;ならびにカンジダ属のFRAPホモログなどに存在する。FKBPおよびFRBはいずれも、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)のシグナル伝達の主要構成要素である。
「ネイキッドなFKBPラパマイシン結合ドメインポリペプチド」または「ネイキッドなFRBドメインポリペプチド」(「FKBPラパマイシン結合ドメインポリペプチド」または「FRBドメインポリペプチド」とも呼ばれる)は、FRBドメインのアミノ酸配列のみを含むポリペプチドを指すか、あるいはタンパク質のアミノ酸配列の90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%、または約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%もしくは約100%がFRBドメインのアミノ酸配列からなるタンパク質を指す。FRBドメインは、12kDaの可溶性タンパク質として発現させることができる(Chen, J. et al. (1995). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 92(11):4947-4951)。FRBドメインは4ヘリックスバンドルを形成し、これは球状タンパク質に一般に見られる構造モチーフである。FRBドメイン全体の寸法は、30Å×45Å×30Åであり、4本のヘリックス同士は、シトクロムb562のフォールディングに類似した下側の短いループで連結されている(Choi, J. et al. (1996). Science, 273(5272):239-242)。いくつかの実施形態において、ネイキッドなFRBドメインは、配列番号37(MEMWHEGLEEASRLYFGERNVKGMFEVLEPLHAMMERGPQTLKETSFNQAYGRDLMEAQEWCRKYMKSGNVKDLTQAWDLYYHVFRRISK;配列番号37)または配列番号38(MEMWHEGLEEASRLYFGERNVKGMFEVLEPLHAMMERGPQTLKETSFNQAYGRDLMEAQEWCRKYMKSGNVKDLLQAWDLYYHVFRRISK;配列番号38)に示されるアミノ酸を含む。
本明細書において「活性化する」とは、目的のタンパク質の少なくとも1つの生物学的活性の増強を指す。同様に、「活性化」は、活性が増強した状態にある目的のタンパク質の状態を指す。「活性化可能」は、目的のタンパク質が、シグナル、薬剤、リガンド、化合物または刺激の存在下で活性化可能であることを指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の二量体は、シグナル、薬剤、リガンド、化合物または刺激の存在下で活性化され、シグナル伝達能を有する二量体になる。本明細書中において「シグナル伝達能を有する」とは、下流のシグナル伝達経路を開始または持続させることができるという二量体の能力またはその配置を指す。
本明細書において「シグナル伝達ドメイン」は、細胞(哺乳動物細胞など)の内部のシグナル伝達カスケードに関与する融合タンパク質のドメインまたはCISCの構成要素のドメインを指す。「シグナル伝達ドメイン」は、TCR/CD3複合体のCD3ζ鎖などによって提供される第1のシグナルに加えて、細胞性応答(T細胞応答など)を仲介するシグナルを細胞(T細胞など)に提供するシグナル伝達部分を指し、仲介される細胞性応答としては、活性化、増殖、分化またはサイトカイン分泌またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメイン、ヒンジドメインおよび細胞外ドメインのN末端側にある。いくつかの実施形態において、シグナル伝達ドメインは、合成ドメインまたは天然のドメインである。いくつかの実施形態において、シグナル伝達ドメインは、連結された細胞質内シグナル伝達ドメインである。いくつかの実施形態において、シグナル伝達ドメインは、サイトカインシグナル伝達ドメインである。いくつかの実施形態において、シグナル伝達ドメインは、抗原シグナル伝達ドメインである。いくつかの実施形態において、シグナル伝達ドメインは、インターロイキン2受容体γサブユニット(IL2RγまたはIL2Rg)ドメインである。いくつかの実施形態において、シグナル伝達ドメインは、インターロイキン2受容体βサブユニット(IL2RβまたはIL2Rb)ドメイン、または切断型IL2Rβドメイン(たとえば配列番号5のアミノ酸配列を含む切断型IL2Rβドメイン)である。いくつかの実施形態において、細胞外結合ドメインに薬剤またはリガンドが結合することにより、CISC構成要素が二量体化し、その結果、シグナル伝達経路が活性化され、シグナル伝達ドメインを介したシグナル伝達が起こる。本明細書において「シグナル伝達」は、細胞外ドメインにリガンドまたは薬剤が結合することによって、シグナル伝達経路が活性化されることを指す。リガンドまたは薬剤に細胞外ドメインが結合することによって、CISC構成要素が二量体化し、シグナルが活性化される。
本明細書において「IL2Rb」または「IL2Rβ」は、インターロイキン2受容体βサブユニットを指す。同様に、「IL2Rg」または「IL2Rγ」は、インターロイキン2受容体γサブユニットを指し、「IL2Ra」または「IL2Rα」はインターロイキン2受容体αサブユニットを指す。IL-2受容体には3つの形態、すなわちα鎖、β鎖およびγ鎖があり、これらは、その他のサイトカインの受容体のサブユニットでもある。IL2RβおよびIL2Rγは、I型サイトカイン受容体ファミリーのメンバーである。本明細書において「IL2R」は、インターロイキン2受容体を指し、T細胞を介した免疫応答に関与する。IL2Rは、受容体依存性エンドサイトーシス、およびインターロイキン2からの細胞分裂促進性シグナルの伝達に関与する。
同様に、「IL-2/15R」は、IL-2およびIL-15によって共有される受容体シグナル伝達サブユニットを指し、αサブユニット(IL2/15RaまたはIL2/15Rα)、βサブユニット(IL2/15RbまたはIL2/15Rβ)またはγサブユニット(IL2/15RgまたはIL2/15Rγ)を含みうる。
いくつかの実施形態では、化学誘導シグナル伝達複合体は、2つの構成要素を含むヘテロ二量体化活性化シグナル伝達複合体である。いくつかの実施形態において、第1の構成要素は、ヘテロ二量体化ペアの一方である細胞外結合ドメイン、任意のヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、および1つ以上の連結された細胞質内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、第2の構成要素は、ヘテロ二量体化ペアのもう一方である細胞外結合ドメイン、任意のヒンジドメイン、膜貫通ドメイン、および1つ以上の連結された細胞質内シグナル伝達ドメインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、2種の遺伝子組換えイベントが起こる。いくつかの実施形態において、これら2つのCISC構成要素は、哺乳動物細胞などの細胞において発現される。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞などの細胞、または哺乳動物細胞集団などの細胞集団を、ヘテロ二量体化を起こすリガンドまたは因子と接触させ、それによってシグナル伝達を開始させる。いくつかの実施形態において、ホモ二量体化ペアが二量体化し、それによって単一のCISC構成要素が哺乳動物細胞などの細胞において発現され、ホモ二量体化したCISC構成要素がシグナル伝達を開始する。
本明細書において「選択的な拡大増殖」は、哺乳動物細胞のような所望の細胞、または哺乳動物細胞集団のような所望の細胞集団の拡大増殖能を指す。いくつかの実施形態では、選択的な拡大増殖は、2種の遺伝子が組換えられた純粋な細胞(哺乳動物細胞など)の集団の発生または拡大増殖を指す。二量体化CISCを構成する一方の構成要素は、一方の遺伝子組換えに関与し、もう一方の構成要素は、もう一方の遺伝子組換えに関与する。したがって、ヘテロ二量体化CISCの各構成要素は、各遺伝子組換えと関連している。細胞をリガンドに曝露することによって、所望とする両方の改変を有する細胞(哺乳動物細胞など)のみを選択的に拡大増殖させることが可能になる。したがって、いくつかの実施形態では、リガンドとの接触に対して応答することができる細胞(たとえば哺乳動物細胞)は、ヘテロ二量体化CISCの両方の構成要素を発現する細胞のみである。
本明細書において「サイトカイン受容体モジュレーター」は、サイトカイン受容体の下流の標的のリン酸化、サイトカイン受容体に関連するシグナル伝達経路の活性化、および/またはサイトカインなどの特定のタンパク質の発現を調節する薬剤を指す。そのような薬剤は、サイトカイン受容体の下流の標的のリン酸化、サイトカイン受容体に関連するシグナル伝達経路の活性化、および/またはサイトカインなどの特定のタンパク質の発現を、直接的または間接的に調節してもよい。したがって、サイトカイン受容体モジュレーターの例としては、サイトカイン;サイトカインの断片;融合タンパク質;またはサイトカイン受容体もしくはその断片に免疫特異的に結合する抗体もしくはその結合部分が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、サイトカイン受容体モジュレーターの例としては、サイトカインまたはその断片に免疫特異的に結合するペプチド、ポリペプチド(たとえば可溶性サイトカイン受容体)、融合タンパク質、または抗体もしくはその結合部分が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「ヒンジドメイン」は、細胞外結合ドメインを膜貫通ドメインに連結し、それによって細胞外結合ドメインに柔軟性を付与してもよいドメインを指す。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインによって細胞外ドメインを細胞膜の近くに配置し、抗体またはその結合断片による認識の可能性を最小限に抑える。いくつかの実施形態では、細胞外結合ドメインは、ヒンジドメインのN末端に位置する。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは天然のものであってもよく、合成されたものであってもよい。
本明細書において「膜貫通ドメイン」または「TMドメイン」は、細胞膜などの膜の内部で安定なドメインを指す。「膜貫通スパン」、「膜内在性タンパク質」、および「膜内在性ドメイン」という用語も本明細書で使用される。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインおよび細胞外ドメインは、膜貫通ドメインのN末端に位置する。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、天然のドメインまたは合成されたドメインである。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、IL-2膜貫通ドメインである。
本明細書において「宿主細胞」は、核酸コンストラクトまたはベクターによる形質転換、トランスフェクションまたは形質導入に感受性を有するあらゆる種類の細胞(たとえば哺乳動物細胞)を含む。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞などの宿主細胞は、T細胞または制御性T細胞である(本明細書において「Treg」または「Treg」と短縮する)。いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞などの宿主細胞は造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、CD34+細胞、たとえばCD34+造血幹細胞である。本明細書において「細胞集団」は、2種以上の細胞を含む細胞群(哺乳動物細胞群など)を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質配列または該タンパク質配列をコードする発現ベクターを含む細胞(哺乳動物細胞など)が製造される。
本明細書において「形質転換された」または「トランスフェクトされた」とは、コンストラクトなどの外来ポリヌクレオチド分子が導入された細胞(哺乳動物細胞など)、組織、臓器または生物を指す。導入されたポリヌクレオチド分子は、レシピエント細胞(哺乳動物細胞など)、組織、臓器または生物のゲノムDNAに組み込まれてもよく、それによって、導入されたポリヌクレオチド分子が次の子孫に受け継がれてもよい。さらに、「トランスジェニックな」細胞(哺乳動物細胞など)もしくは「トランスジェニックな」生物、または「トランスフェクトされた」細胞(哺乳動物細胞など)もしくは「トランスフェクトされた」生物は、トランスジェニックな細胞もしくは生物またはトランスフェクトされた細胞もしくは生物の子孫を含み、そのようなトランスジェニック生物を親として交配に使用した繁殖計画により作製された子孫を含み、かつ外来ポリヌクレオチド分子の存在により生じた改変表現型を示すものを含む。「トランスジェニック」は、1種以上の異種ポリ核酸分子を含む細菌、真菌または植物も指す。「形質導入」は、哺乳動物細胞などの細胞にウイルスを介して遺伝子を移入することを指す。
本明細書において「哺乳動物」は、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類(サル、チンパンジーまたは類人猿)および特にヒトを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記対象はヒトである。
本明細書に記載の「マーカー配列」は、目的のタンパク質を有する細胞(哺乳動物細胞など)または目的のタンパク質を選択または追跡するために使用されるタンパク質をコードする。本明細書に記載の実施形態において、フローサイトメトリーなどの実験において選択可能なマーカー配列を含んでいてもよい融合タンパク質を提供する。
本明細書に記載の「エピトープ」は、抗体、T細胞またはB細胞を含む免疫系によって認識される抗原または分子の一部を指す。エピトープは、通常、少なくとも7個のアミノ酸を有し、線状エピトープであってもよく、高次構造エピトープであってもよい。いくつかの実施形態では、融合タンパク質を発現する細胞(哺乳動物細胞など)が提供され、この細胞はキメラ抗原受容体をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記キメラ抗原受容体は、がん細胞上のエピトープを認識することができるscFvを含む。本明細書において開示される様々なポリペプチドまたは核酸について述べる際に使用される「単離」または「精製」という用語は、ポリペプチドまたは核酸が本来存在する環境にある他の構成要素から同定、分離かつ/または回収されたポリペプチドまたは核酸を指す。いくつかの実施形態において、単離されたポリペプチドまたは核酸は、これらが本来関連する他の構成要素を全く含まない。単離されたポリペプチドまたは核酸が本来存在する環境にある不純物は、通常、該ポリペプチドまたは核酸の診断用途または治療用途を妨害する物質であり、たとえば、酵素、ホルモンおよびその他のタンパク質性の溶質または非タンパク質性の溶質が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる核酸または本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる発現ベクターを、細菌細胞、哺乳動物細胞または昆虫細胞に送達する工程、前記細胞を培養物中で増殖させる工程、融合タンパク質の発現を誘導する工程、および前記融合タンパク質を精製して処理を行う工程を含む方法を提供する。
本明細書に記載のCISC配列に関する「アミノ酸配列同一性(%)」は、候補配列中の細胞外結合ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメインおよび/またはシグナル伝達ドメインのそれぞれのアミノ酸残基が、参照配列中の各ドメインのアミノ酸残基と一致しているパーセンテージとして定義され、このアミノ酸配列同一性は、配列同一性(%)の最大値を算出するため、候補配列と参照配列をアラインし、必要に応じてギャップを挿入した後に算出されたものであり、保存的置換は配列同一性の一部として考慮しない。アミノ酸配列同一性(%)を決定するためのアラインメントは、当技術分野の範囲に含まれる様々な方法で行うことができ、たとえば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2、Megalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの一般公開されているコンピューターソフトウェアを使用して行うことができる。当業者であれば、アラインメントを測定するのに適切なパラメータを決定することができ、このようなパラメータとしては、比較される複数の配列の全長にわたってアラインメントを最大とするのに必要な任意のアルゴリズムが含まれる。たとえば、WU-BLAST-2コンピュータープログラム(Altschul, S. F. et al. (1996). Methods Enzymol., 266:460-480)を用いてアミノ酸配列同一性(%)を算出するには、いくつかの検索パラメータを用いるが、それらのほとんどはデフォルト値に設定される。デフォルト値に設定されないパラメータ(たとえば調整可能なパラメータ)は、overlap span=1、overlap fraction=0.125、word threshold (T) =11およびscoring matrix=BLOSUM62に設定される。CISCの実施形態のいくつかにおいて、CISCは、細胞外結合ドメイン、ヒンジドメイン、膜貫通ドメインおよびシグナル伝達ドメインを含み、各ドメインは、天然ドメインもしくは合成ドメイン、または天然ドメインの変異型もしくは切断型(たとえば切断型インターロイキン2受容体βシグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの実施形態において、所定のドメインの変異型または切断型は、本明細書で提供する配列に示される配列と、100%、95%、90%もしくは85%の配列同一性、または前記パーセンテージのいずれか2つによって定義される範囲内の配列同一性(%)を有するアミノ酸配列を含む。
本明細書において「T細胞」または「Tリンパ球」は、どのような哺乳動物から得られたものであってもよく、たとえば、サル、イヌおよびヒトを含む、霊長類またはその他の生物種から得られたものであってもよい。いくつかの実施形態において、前記T細胞は、レシピエント対象と同種(同種であるが別のドナーに由来するもの)である。いくつかの実施形態において、前記T細胞は自己由来である(ドナーとレシピエントは同じである)。いくつかの実施形態において、前記T細胞は同系である(ドナーとレシピエントは異なるが、一卵性双生児である)。
本明細書において、請求項の移行句、本体部を問わず、「含む(comprise(s))」および「含んでいる(comprising)」という用語は、オープンエンドの意味を有するものと解釈される。すなわち、これらの用語は、「少なくとも有する」または「少なくとも含んでいる」という表現と同義であると解釈される。「含む」という用語が方法に関わる文脈で用いられる場合、当該方法が、明記された工程を少なくとも含み、さらに別の工程を含んでもよいことを意味する。また、「含む」という用語が化合物、組成物または装置に関わる文脈で用いられる場合、当該化合物、当該組成物または当該装置が、明記された特徴または構成要素を少なくとも含み、さらに別の特徴または構成要素を含んでもよいことを意味する。
ゲノム編集システム
FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸を細胞のゲノムに標的化して組み込むことなどによって、FOXP3の発現、機能または活性を調節するために、細胞(たとえばCD34+細胞)のゲノム編集用システムを提供する。また、本開示は、特に、エクスビボおよび/またはインビボにおけるゲノム編集を使用して、FOXP3に関連する障害または健康状態を有する対象またはFOXP3に関連する障害または健康状態を有すると疑われる対象に治療を提供するためのシステムを提供する。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患(たとえばIPEX症候群)または臓器移植に起因する障害(たとえば移植片対宿主病(GVHD))を有するか、これらの疾患を有することが疑われる対象である。
いくつかの実施形態は、
(a)DNAエンドヌクレアーゼ、または該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸;
(b)FOXP3遺伝子または非FOXP3遺伝子座(たとえばAAVS1(すなわち、細胞のゲノムのアデノ随伴ウイルス組み込み部位))に前記DNAエンドヌクレアーゼを標的化することができるgRNA(たとえばsgRNA)または該gRNAをコードする核酸;および
(c)FOXP3のコード配列を含むドナー鋳型
を含むシステムに関する。
いくつかの実施形態において、前記DNAエンドヌクレアーゼは、Cas1エンドヌクレアーゼ、Cas1Bエンドヌクレアーゼ、Cas2エンドヌクレアーゼ、Cas3エンドヌクレアーゼ、Cas4エンドヌクレアーゼ、Cas5エンドヌクレアーゼ、Cas6エンドヌクレアーゼ、Cas7エンドヌクレアーゼ、Cas8エンドヌクレアーゼ、Cas9エンドヌクレアーゼ(Csn1およびCsx12としても知られている)、Cas100エンドヌクレアーゼ、Csy1エンドヌクレアーゼ、Csy2エンドヌクレアーゼ、Csy3エンドヌクレアーゼ、Cse1エンドヌクレアーゼ、Cse2エンドヌクレアーゼ、Csc1エンドヌクレアーゼ、Csc2エンドヌクレアーゼ、Csa5エンドヌクレアーゼ、Csn2エンドヌクレアーゼ、Csm2エンドヌクレアーゼ、Csm3エンドヌクレアーゼ、Csm4エンドヌクレアーゼ、Csm5エンドヌクレアーゼ、Csm6エンドヌクレアーゼ、Cmr1エンドヌクレアーゼ、Cmr3エンドヌクレアーゼ、Cmr4エンドヌクレアーゼ、Cmr5エンドヌクレアーゼ、Cmr6エンドヌクレアーゼ、Csb1エンドヌクレアーゼ、Csb2エンドヌクレアーゼ、Csb3エンドヌクレアーゼ、Csx17エンドヌクレアーゼ、Csx14エンドヌクレアーゼ、Csx10エンドヌクレアーゼ、Csx16エンドヌクレアーゼ、CsaXエンドヌクレアーゼ、Csx3エンドヌクレアーゼ、Csx1エンドヌクレアーゼ、Csx15エンドヌクレアーゼ、Csf1エンドヌクレアーゼ、Csf2エンドヌクレアーゼ、Csf3エンドヌクレアーゼ、Csf4エンドヌクレアーゼおよびCpf1エンドヌクレアーゼ、ならびにこれらの機能性誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記DNAエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼ(たとえば化膿レンサ球菌由来のCas9エンドヌクレアーゼ)などの、Casエンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、FOXP3遺伝子内の標的配列に相補的なスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、FOXP3遺伝子のエキソン1内の標的配列に相補的なスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号1~7および27~29のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号1~7および27~29のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する該スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号1~7のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号1~7のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号2、3および5のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号2、3および5のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、非FOXP3遺伝子座(たとえばAAVS1)中の標的配列に相補的なスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号15~20のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号15~20のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、FOXP3のコード配列は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする。いくつかの実施形態において、FOXP3のコード配列はFOXP3 cDNAである。典型的なFOXP3 cDNA配列は、配列番号34のヌクレオチド配列を有するAAVドナー鋳型に含まれていてもよい。いくつかの実施形態において、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列は、配列番号110または111に示される配列と、少なくとも70%または少なくとも約70%の配列同一性を有し、たとえば少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%もしくは少なくともそれ以上、または少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくは少なくともそれ以上の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、前記システムは、DNAエンドヌクレアーゼを含む。いくつかの実施形態において、前記システムは、DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記システムはgRNAを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAはsgRNAである。いくつかの実施形態において、前記システムは、gRNAをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記システムは、1つ以上のさらなるgRNAまたは該1つ以上のさらなるgRNAをコードする核酸をさらに含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、前記gRNAは、配列番号1~7、15~20および27~29のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号1~7、15~20および27~29のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号1~7のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号1~7のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号2、3および5のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号2、3および5のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号2に示されるスペーサー配列、または配列番号2と比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号3に示されるスペーサー配列、または配列番号3と比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号5に示されるスペーサー配列、または配列番号5と比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、前記Cas DNAエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態において、前記Cas9エンドヌクレアーゼは、化膿レンサ球菌由来のCas9エンドヌクレアーゼ(spCas9)である。いくつかの実施形態において、前記Cas9は、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)由来のCas9(SluCas9)である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、該システムは、DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼをコードする前記核酸は、宿主細胞における発現のためにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼをコードする前記核酸は、ヒト細胞における発現のためにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼをコードする前記核酸は、DNA(DNAプラスミドなど)である。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼをコードする前記核酸は、RNA(mRNAなど)である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列は、宿主細胞における発現のためにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態において、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列は、ヒト細胞における発現のためにコドンが最適化されている。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、ドナー鋳型は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列と、FOXP3またはその機能性誘導体を発現させるように構成されたプロモーターとを含むドナーカセットを含む。プロモーターの例としては、MNDプロモーター、PGKプロモーター、およびEF1プロモーターが挙げられる。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、配列番号147~149のいずれかに示される配列を有するか、あるいは配列番号147~149のいずれかと少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するバリアントを有する。いくつかの実施形態では、前記ドナー鋳型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、AAV6ベクターである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、ドナー鋳型はドナーカセットを含み、このドナーカセットは、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むが、FOXP3またはその機能性誘導体を発現させるように構成された外来性プロモーターを含んでいない。いくつかの実施形態では、前記細胞はCD34+細胞であり、FOXP3またはその機能性誘導体の発現は、該細胞内の内在性プロモーターに依存する。いくつかの実施形態では、前記ドナー鋳型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、AAV6ベクターである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、ドナー鋳型は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナーカセットを含み、このドナー鋳型は、相同組換え修復(HDR)によって、該システムに含まれるgRNAにより標的化されたゲノム遺伝子座にドナーカセットを組み込むことができるように構成されている。いくつかの実施形態において、標的化されたゲノム遺伝子座の配列に対応する相同アームがドナーカセットを挟んで両側に配置される。いくつかの実施形態において、相同アームの長さは、少なくとも0.2kbまたは少なくとも約0.2kb(たとえば、少なくとも0.3kb、0.4kb、0.5kb、0.6kb、0.7kb、0.8kb、0.9kb、1kbもしくはそれ以上、または少なくとも約0.3kb、約0.4kb、約0.5kb、約0.6kb、約0.7kb、約0.8kb、約0.9kb、約1kbもしくはそれ以上)である。いくつかの実施形態において、相同アームの長さは、少なくとも0.6kbまたは少なくとも約0.6kbである。典型的な相同アームは、配列番号34または161の配列を有するドナー鋳型に含まれる相同アームを含む。いくつかの実施形態では、前記ドナー鋳型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、AAV6ベクターである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、ドナー鋳型は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナーカセットを含み、このドナー鋳型は、非相同末端結合(NHEJ)によって、該システムに含まれるgRNAにより標的化されたゲノム遺伝子座にドナーカセットを組み込むことができるように構成されている。いくつかの実施形態において、ドナーカセットの片側または両側にgRNA標的部位が隣接して配置される。いくつかの実施形態において、ドナーカセットの両側にgRNA標的部位が隣接して配置される。いくつかの実施形態において、gRNA標的部位は、前記システムに含まれるgRNAの標的部位である。いくつかの実施形態において、ドナー鋳型のgRNA標的部位は、前記システムに含まれるgRNAが標的とする細胞ゲノムgRNA標的部位の逆相補鎖である。いくつかの実施形態では、前記ドナー鋳型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、AAV6ベクターである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、ドナー鋳型は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナーカセットを含み、該ドナー鋳型は、安定した発現を増強する調節エレメントをさらに含む。安定した発現を増強する典型的な調節エレメントとして、WPREおよびUCOEが挙げられる。いくつかの実施形態において、WPREはWPREの全長である。いくつかの実施形態において、WPREは切断型WPREである。典型的なWPREとして、配列番号33、34、および161のいずれかに示される配列を有するドナー鋳型に含まれるWPREが挙げられる。いくつかの実施形態では、前記ドナー鋳型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、AAV6ベクターである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、ドナー鋳型は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナーカセットを含み、該ドナー鋳型は、選択マーカーをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、選択マーカーは、該選択マーカーを発現する細胞の選択が可能となる表面マーカーである。いくつかの実施形態において、選択マーカーは、低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)ポリペプチド、緑色蛍光タンパク質(GFP)、またはそれらの機能性誘導体である。いくつかの実施形態において、LNGFRポリペプチドまたはその機能性誘導体は、配列番号144のアミノ酸配列を含むか、配列番号144のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有するそのバリアントを含む。いくつかの実施形態において、GFPまたはその機能性誘導体をコードする核酸は、配列番号33、35および36のいずれかに示されるGFPコード領域の核酸配列を有する。いくつかの実施形態では、前記ドナー鋳型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、AAV6ベクターである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、ドナー鋳型は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナーカセットを含み、該ドナー鋳型は、前記システムの構成要素をコードする隣接する核酸の間に2A自己切断ペプチドをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、ドナー鋳型は、前記システムの構成要素をコードする隣接する各核酸の間に2A自己切断ペプチドをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、各2A自己切断ペプチドは、それぞれ独立してT2A自己切断ペプチドまたはP2A自己切断ペプチドである。たとえば、いくつかの実施形態において、ドナー鋳型は、5’末端から3’末端の方向に、FOXP3またはその機能性バリアントの発現をコードする核酸、2A自己切断ペプチドをコードする核酸、および選択マーカーをコードする核酸をこの順序で含む。いくつかの実施形態において、ドナー鋳型は、配列番号72または73に示される核酸を含むか、配列番号72または73と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の同一性を有する核酸バリアントを含む。いくつかの実施形態では、前記ドナー鋳型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、AAV6ベクターである。
典型的なドナー鋳型には、配列番号33~36および161の配列のいずれか1つを有するドナー鋳型を含む。いくつかの実施形態において、前記ドナー鋳型は、配列番号34または161の配列を含む。いくつかの実施形態では、前記ドナー鋳型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、AAV6ベクターである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、前記DNAエンドヌクレアーゼまたは該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸は、リポソームまたは脂質ナノ粒子への内包化により製剤化される。いくつかの実施形態において、前記リポソームまたは前記脂質ナノ粒子はgRNAをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記リポソームまたは前記脂質ナノ粒子は、脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、前記システムは、DNAエンドヌクレアーゼおよびgRNAをコードする核酸を含む脂質ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼをコードする前記核酸は、DNAエンドヌクレアーゼをコードするmRNAである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステムのいずれかによれば、前記DNAエンドヌクレアーゼは、gRNAと複合体化して、リボ核タンパク質(RNP)複合体を形成する。
核酸
ゲノム標的化核酸またはガイドRNA
本開示は、関連するポリペプチド(たとえば、部位指向性ポリペプチドまたはDNAエンドヌクレアーゼ)の活性を標的核酸内の特定の標的配列に指向させることができるゲノム標的化核酸を提供する。いくつかの実施形態において、前記ゲノム標的化核酸は、RNAである。本明細書では、ゲノム標的化RNAを「ガイドRNA」または「gRNA」と呼ぶ。ガイドRNAは、目的の標的核酸配列にハイブリダイズできるスペーサー配列とCRISPR反復配列を少なくとも有する。II型のシステムでは、gRNAは、tracrRNA配列と呼ばれる第2のRNAをさらに有する。II型ガイドRNA(gRNA)は、CRISPR反復配列とtracrRNA配列が互いにハイブリダイズして二本鎖を形成する。V型ガイドRNA(gRNA)では、crRNAが二本鎖を形成する。いずれのシステムにおいても、部位特異的ポリペプチドに前記二本鎖が結合して、ガイドRNAと部位特異的ポリペプチドの複合体が形成される。このゲノム標的化核酸は、部位特異的ポリペプチドと会合することによって、形成される複合体に標的特異性を付与する。したがって、このゲノム標的化核酸は、部位特異的ポリペプチドの活性に指向性を付与する。
いくつかの実施形態において、前記ゲノム標的化核酸は、二分子ガイドRNAである。いくつかの実施形態において、ゲノム標的化核酸は、単一分子ガイドRNAである。二分子ガイドRNAは2本のRNA鎖を有する。第1の鎖は、5’末端から3’末端の方向に、任意のスペーサー伸長配列、スペーサー配列、およびCRISPR最小反復配列を有する。第2の鎖は、(CRISPR最小反復配列に相補的な)tracrRNA最小配列、3’tracrRNA配列、および任意のtracrRNA伸長配列を有する。II型システムの単分子ガイドRNA(sgRNA)は、5’末端から3’末端の方向に、任意のスペーサー伸長配列、スペーサー配列、CRISPR最小反復配列、単分子ガイドリンカー、tracrRNA最小配列、3’tracrRNA配列、および任意のtracrRNA伸長配列を有する。任意で設けられるtracrRNA伸長配列は、ガイドRNAにさらなる機能(たとえば、安定性)を付与するエレメントを有していてもよい。単分子ガイドリンカーは、CRISPR最小反復配列とtracrRNA最小配列を連結して、ヘアピン構造を形成する。任意で設けられるtracrRNA伸長配列は、1つ以上のヘアピンを有する。V型システムの単分子ガイドRNA(sgRNA)は、5’末端から3’末端の方向に、CRISPR最小反復配列とスペーサー配列を有する。
一例として、CRISPR/Cas/Cpf1システムで使用されるガイドRNA、またはその他のより小さなRNAは、当技術分野で公知の後述する化学的手段によって容易に合成することができる。化学的合成手順は継続的に拡充されているが、ポリヌクレオチドの長さが約100ヌクレオチド長を大幅に超えるため、高速液体クロマトグラフィー(PAGEなどのゲルを使用しないHPLC)などの手順による前記RNAの精製は難しくなる傾向がある。長いRNAの作製に使用される方法の1つとして、2個以上の分子を作製して、後からこれらを連結する方法が挙げられる。Casエンドヌクレアーゼ(たとえば、Cas9またはCpf1エンドヌクレアーゼ)をコードRNAなどの非常に長いRNAは、酵素を使用して容易に作製される。RNAの化学合成および/または酵素的作製の工程中またはその後に様々なRNA修飾を導入することができ、たとえば、当技術分野で報告されているように、安定性を高める修飾、自然免疫応答の可能性もしくはその程度を低減する修飾、および/またはその他の属性を高める修飾が挙げられる。
いくつかの実施形態において、細胞のFOXP3遺伝子内のゲノム配列または該FOXP3遺伝子の近傍のゲノム配列に相補的なスペーサー配列を含むガイドRNA(gRNA)を提供する。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号1~7および27~29のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号1~7および27~29のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する該スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号1~7のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号1~7のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号2、3および5のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号2、3および5のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。
いくつかの実施形態において、細胞のAAVS1遺伝子内のゲノム配列または該AAVS1遺伝子内の近傍のゲノム配列に相補的なスペーサー配列を含むガイドRNA(gRNA)を提供する。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号15~20のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号15~20のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。
インビトロ転写によって作製されたガイドRNAは、ガイドRNA分子の全長とガイドRNA分子の一部の混合物を含んでいる場合がある。化学合成されたガイドRNA分子は、通常、ガイド分子の全長の占める割合が75%を超えており、細胞内のヌクレアーゼによる切断に対するガイドRNAの耐性を増強するための化学修飾塩基などの、化学的に修飾された塩基をさらに含む場合がある。
スペーサー伸長配列
ゲノムを標的とした核酸の実施形態のいくつかにおいて、スペーサー伸長配列は、活性を調節したり、安定性を付与したり、ゲノムを標的とした核酸を修飾するための場所を提供したりすることができる。また、スペーサー伸長配列は、オンターゲット活性もしくはオフターゲット活性または特異性を調節することができる。いくつかの実施形態において、スペーサー伸長配列を提供する。スペーサー伸長配列の長さは、1ヌクレオチド長を超える長さ、5ヌクレオチド長を超える長さ、10ヌクレオチド長を超える長さ、15ヌクレオチド長を超える長さ、20ヌクレオチド長を超える長さ、25ヌクレオチド長を超える長さ、30ヌクレオチド長を超える長さ、35ヌクレオチド長を超える長さ、40ヌクレオチド長を超える長さ、45ヌクレオチド長を超える長さ、50ヌクレオチド長を超える長さ、60ヌクレオチド長を超える長さ、70ヌクレオチド長を超える長さ、80ヌクレオチド長を超える長さ、90ヌクレオチド長を超える長さ、100ヌクレオチド長を超える長さ、120ヌクレオチド長を超える長さ、140ヌクレオチド長を超える長さ、160ヌクレオチド長を超える長さ、180ヌクレオチド長を超える長さ、200ヌクレオチド長を超える長さ、220ヌクレオチド長を超える長さ、240ヌクレオチド長を超える長さ、260ヌクレオチド長を超える長さ、280ヌクレオチド長を超える長さ、300ヌクレオチド長を超える長さ、320ヌクレオチド長を超える長さ、340ヌクレオチド長を超える長さ、360ヌクレオチド長を超える長さ、380ヌクレオチド長を超える長さ、400ヌクレオチド長を超える長さ、1000ヌクレオチド長を超える長さ、2000ヌクレオチド長を超える長さ、3000ヌクレオチド長を超える長さ、4000ヌクレオチド長を超える長さ、5000ヌクレオチド長を超える長さ、6000ヌクレオチド長を超える長さ、もしくは7000ヌクレオチド長を超える長さ、またはこれらのヌクレオチド長を超える長さであってもよい。スペーサー伸長配列の長さは、1ヌクレオチド長、5ヌクレオチド長、10ヌクレオチド長、15ヌクレオチド長、20ヌクレオチド長、25ヌクレオチド長、30ヌクレオチド長、35ヌクレオチド長、40ヌクレオチド長、45ヌクレオチド長、50ヌクレオチド長、60ヌクレオチド長、70ヌクレオチド長、80ヌクレオチド長、90ヌクレオチド長、100ヌクレオチド長、120ヌクレオチド長、140ヌクレオチド長、160ヌクレオチド長、180ヌクレオチド長、200ヌクレオチド長、220ヌクレオチド長、240ヌクレオチド長、260ヌクレオチド長、280ヌクレオチド長、300ヌクレオチド長、320ヌクレオチド長、340ヌクレオチド長、360ヌクレオチド長、380ヌクレオチド長、400ヌクレオチド長、1000ヌクレオチド長、2000ヌクレオチド長、3000ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド長、5000ヌクレオチド長、6000ヌクレオチド長、もしくは7000ヌクレオチド長、または約1ヌクレオチド長、約5ヌクレオチド長、約10ヌクレオチド長、約15ヌクレオチド長、約20ヌクレオチド長、約25ヌクレオチド長、約30ヌクレオチド長、約35ヌクレオチド長、約40ヌクレオチド長、約45ヌクレオチド長、約50ヌクレオチド長、約60ヌクレオチド長、約70ヌクレオチド長、約80ヌクレオチド長、約90ヌクレオチド長、約100ヌクレオチド長、約120ヌクレオチド長、約140ヌクレオチド長、約160ヌクレオチド長、約180ヌクレオチド長、約200ヌクレオチド長、約220ヌクレオチド長、約240ヌクレオチド長、約260ヌクレオチド長、約280ヌクレオチド長、約300ヌクレオチド長、約320ヌクレオチド長、約340ヌクレオチド長、約360ヌクレオチド長、約380ヌクレオチド長、約400ヌクレオチド長、約1000ヌクレオチド長、約2000ヌクレオチド長、約3000ヌクレオチド長、約4000ヌクレオチド長、約5000ヌクレオチド長、約6000ヌクレオチド長、もしくは約7000ヌクレオチド長、これらのヌクレオチド長を超える長さであってもよい。スペーサー伸長配列の長さは、1ヌクレオチド長未満、5ヌクレオチド長未満、10ヌクレオチド長未満、15ヌクレオチド長未満、20ヌクレオチド長未満、25ヌクレオチド長未満、30ヌクレオチド長未満、35ヌクレオチド長未満、40ヌクレオチド長未満、45ヌクレオチド長未満、50ヌクレオチド長未満、60ヌクレオチド長未満、70ヌクレオチド長未満、80ヌクレオチド長未満、90ヌクレオチド長未満、100ヌクレオチド長未満、120ヌクレオチド長未満、140ヌクレオチド長未満、160ヌクレオチド長未満、180ヌクレオチド長未満、200ヌクレオチド長未満、220ヌクレオチド長未満、240ヌクレオチド長未満、260ヌクレオチド長未満、280ヌクレオチド長未満、300ヌクレオチド長未満、320ヌクレオチド長未満、340ヌクレオチド長未満、360ヌクレオチド長未満、380ヌクレオチド長未満、400ヌクレオチド長未満、1000ヌクレオチド長未満、2000ヌクレオチド長未満、3000ヌクレオチド長未満、4000ヌクレオチド長未満、5000ヌクレオチド長未満、6000ヌクレオチド長未満、7000ヌクレオチド長未満、これらのヌクレオチド長を超える長さ未満であってもよい。いくつかの実施形態において、スペーサー伸長配列の長さは、10ヌクレオチド長未満である。いくつかの実施形態において、スペーサー伸長配列の長さは、10~30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、スペーサー伸長配列の長さは、30~70ヌクレオチド長である。
いくつかの実施形態において、スペーサー伸長配列は、別の部分(たとえば、安定性制御配列、エンドリボヌクレアーゼ結合配列、またはリボザイム)を有する。いくつかの実施形態において、前記別の部分は、核酸を標的とする核酸の安定性を減少または増加させる。いくつかの実施形態において、前記別の部分は、転写ターミネーターセグメント(すなわち、転写終結配列)である。いくつかの実施形態において、前記別の部分は真核細胞において機能する。いくつかの実施形態において、前記別の部分は原核細胞において機能する。いくつかの実施形態において、前記別の部分は、真核細胞および原核細胞の両方において機能する。適切な部分としては、5’キャップ(たとえば、7-メチルグアニル酸キャップ(m7G));リボスイッチ配列(たとえば、制御下での安定化させたり、かつ/または制御下においてタンパク質もしくはタンパク質複合体によるアクセスを可能にするもの);dsRNA二本鎖(すなわちヘアピン)を形成する配列;RNAを細胞レベル以下の場所(たとえば、核、ミトコンドリア、葉緑体など)に標的化する配列;追跡を可能とする修飾または配列(たとえば、蛍光分子への直接結合、蛍光検出を容易にする部分への結合、蛍光検出を可能にする配列など);またはタンパク質(たとえば、転写活性化因子、転写抑制因子、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAメチル基分解酵素、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼなどの、DNAに作用するタンパク質)の結合部位を提供する修飾または配列が挙げられるが、これらに限定されない。
スペーサー配列
スペーサー配列は、目的の標的核酸内の配列にハイブリダイズする。ゲノム標的化核酸のスペーサーは、ハイブリダイゼーション(すなわち塩基対合)を介して配列特異的に標的核酸と相互作用する。したがって、スペーサーのヌクレオチド配列は、目的の標的核酸の配列に応じて変動する。
本明細書に記載のCRISPR/Casシステムにおいて、スペーサー配列は、このシステムで使用されるCasエンドヌクレアーゼにおいて、PAMの5’末端側に位置する標的核酸にハイブリダイズするように設計される。スペーサーは、標的配列と完全に一致する場合もあれば、ミスマッチを有する場合もある。各Casエンドヌクレアーゼは、標的DNAを認識する特定のPAM配列を有する。たとえば、化膿レンサ球菌(S.pyogenes)由来のCas9は、標的核酸において、配列5’-NRG-3’(Rは、AまたはGを示し、Nは、スペーサー配列によって標的化される標的核酸配列の3’末端に隣接する任意のヌクレオチドである)を有するPAMを認識する。
いくつかの実施形態において、標的核酸配列は、20個のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、標的核酸は、1個以上かつ20個未満のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、標的核酸は、20個を超えるヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、標的核酸は、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも30個、または少なくともそれ以上の個数のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、標的核酸は、最大でも5個、最大でも10個、最大でも15個、最大でも16個、最大でも17個、最大でも18個、最大でも19個、最大でも20個、最大でも21個、最大でも22個、最大でも23個、最大でも24個、最大でも25個、最大でも30個、または最大でもそれ以上の個数のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、標的核酸配列は、PAMの1番目のヌクレオチドの5’末端側に隣接する20個の塩基を有する。いくつかの実施形態において、化膿レンサ球菌(S.pyogenes)由来のCas9によって認識される配列として本開示の組成物および方法で使用されるPAM配列は、NGGである。
いくつかの実施形態において、標的核酸にハイブリダイズするスペーサー配列の長さは、少なくとも6ヌクレオチド長(nt)または少なくとも約6ヌクレオチド長(nt)である。スペーサー配列は、少なくとも6ntもしくは少なくとも約6nt、10ntもしくは約10nt、15ntもしくは約15nt、18ntもしくは約18nt、19ntもしくは約19nt、20ntもしくは約20nt、25ntもしくは約25nt、30ntもしくは約30nt、35ntもしくは約35nt、もしくは40ntもしくは約40nt、または6nt~80ntもしくは約6nt~約80nt、6nt~50ntもしくは約6nt~約50nt、6nt~45ntもしくは約6nt~約45nt、6nt~40ntもしくは約6nt~約40nt、6nt~35ntもしくは約6nt~約35nt、6nt~30ntもしくは約6nt~約30nt、6nt~25ntもしくは約6nt~約25nt、6nt~20ntもしくは約6nt~約20nt、6nt~19ntもしくは約6nt~約19nt、10nt~50ntもしくは約10nt~約50nt、10nt~45ntもしくは約10nt~約45nt、10nt~40ntもしくは約10nt~約40nt、10nt~35ntもしくは約10nt~約35nt、10nt~30ntもしくは約10nt~約30nt、10nt~25ntもしくは約10nt~約25nt、10nt~20ntもしくは約10nt~約20nt、10nt~19ntもしくは約10nt~約19nt、19nt~25ntもしくは約19nt~約25nt、19nt~30ntもしくは約19nt~約30nt、19nt~35ntもしくは約19nt~約35nt、19nt~40ntもしくは約19nt~約40nt、19nt~45ntもしくは約19nt~約45nt、19nt~50ntもしくは約19nt~約50nt、19nt~60ntもしくは約19nt~約60nt、20nt~25ntもしくは約20nt~約25nt、20nt~30ntもしくは約20nt~約30nt、20nt~35ntもしくは約20nt~約35nt、20nt~40ntもしくは約20nt~約40nt、20nt~45ntもしくは約20nt~約45nt、20nt~50ntもしくは約20nt~約50nt、もしくは20nt~60ntもしくは約20nt~約60ntであってもよい。いくつかの実施形態において、スペーサー配列は20ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、スペーサーは19ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、スペーサーは18ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、スペーサーは17ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、スペーサーは16ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、スペーサーは15ヌクレオチド長である。
いくつかの実施形態において、スペーサー配列と標的核酸の間の相補性(%)は、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも100%である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列と標的核酸の間の相補性(%)は、最大でも30%もしくは最大でも約30%、最大でも40%もしくは最大でも約40%、最大でも50%もしくは最大でも約50%、最大でも60%もしくは最大でも約60%、最大でも65%もしくは最大でも約65%、最大でも70%もしくは最大でも約70%、最大でも75%もしくは最大でも約75%、最大でも80%もしくは最大でも約80%、最大でも85%もしくは最大でも約85%、最大でも90%もしくは最大でも約90%、最大でも95%もしくは最大でも約95%、最大でも97%もしくは最大でも約97%、最大でも98%もしくは最大でも約98%、最大でも99%もしくは最大でも約99%、または最大でも100%である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列と標的核酸の間の相補性(%)は、標的核酸の相補鎖の標的配列の6個の連続する5’最末端ヌクレオチドにおいて100%である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列と標的核酸の間の相補性(%)は、20個または約20個の連続するヌクレオチドにおいて少なくとも60%である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列の長さと標的核酸の長さは、1~6ヌクレオチド長の差があってもよく、この差は1個または複数個のバルジと見なすことができる。
いくつかの実施形態において、スペーサー配列は、コンピュータープログラムを使用して設計または選択される。コンピュータープログラムは変数を使用することができ、このような変数として、たとえば、予測される融解温度、二次構造の形成、予測されるアニーリング温度、配列同一性、ゲノムコンテキスト、クロマチンのアクセス性、GC比(%)、ゲノム発生頻度(たとえば、同一または類似の配列において、ミスマッチ、挿入または欠失により発生した1つ以上の位置における変化など)、メチル化状態、SNPの存在などが挙げられる。
CRISPRの最小反復配列
いくつかの実施形態において、CRISPRの最小反復配列は、参照CRISPR反復配列(たとえばS.pyogenes由来のcrRNA)と少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、または少なくとも100%の配列同一性を有する配列である。
いくつかの実施形態において、CRISPRの最小反復配列は、細胞においてtracrRNAの最小配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチドを有する。CRISPRの最小反復配列とtracrRNAの最小配列は、二本鎖を形成し、すなわち、塩基対二本鎖構造を形成する。CRISPRの最小反復配列とtracrRNAの最小配列は一緒になって、部位指向性ポリペプチドに結合する。CRISPRの最小反復配列の少なくとも一部は、tracrRNAの最小配列にハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、CRISPRの最小反復配列の少なくとも一部は、tracrRNAの最小配列と少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、または少なくとも100%の相補性を有する。いくつかの実施形態において、CRISPRの最小反復配列の少なくとも一部は、tracrRNAの最小配列と最大でも30%もしくは最大でも約30%、最大でも40%もしくは最大でも約40%、50%もしくは最大でも約50%、最大でも60%もしくは最大でも約60%、最大でも65%もしくは最大でも約65%、最大でも70%もしくは最大でも約70%、最大でも75%もしくは最大でも約75%、最大でも80%もしくは最大でも約80%、最大でも85%もしくは最大でも約85%、90%もしくは最大でも約90%、最大でも95%もしくは最大でも約95%、または最大でも100%の相補性を有する。
CRISPRの最小反復配列の長さは、7ヌクレオチド長~100ヌクレオチド長または約7ヌクレオチド長~約100ヌクレオチド長である。たとえば、CRISPRの最小反復配列の長さは、7ヌクレオチド長(nt)~50ntもしくは約7nt~約50nt、7nt~40ntもしくは約7nt~約40nt、7nt~30ntもしくは約7nt~約30nt、7nt~25ntもしくは約7nt~約25nt、7nt~20ntもしくは約7nt~約20nt、7nt~15ntもしくは約7nt~約15nt、8nt~40ntもしくは約8nt~約40nt、8nt~30ntもしくは約8nt~約30nt、8nt~25ntもしくは約8nt~約25nt、8nt~20ntもしくは約8nt~約20nt、8nt~15ntもしくは約8nt~約15nt、15nt~100ntもしくは約15nt~約100nt、15nt~80ntもしくは約15nt~約80nt、15nt~50ntもしくは約15nt~約50nt、15nt~40ntもしくは約15nt~約40nt、15nt~30ntもしくは約15nt~約30nt、または15nt~25ntもしくは約15nt~約25ntである。いくつかの実施形態において、CRISPRの最小反復配列の長さは約9ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、CRISPRの最小反復配列の長さは約12ヌクレオチド長である。
いくつかの実施形態において、CRISPRの最小反復配列は、少なくとも6個、7個または8個の連続するヌクレオチドからなる配列において、参照CRISPR最小反復配列(たとえばS.pyogenes由来の野生型crRNA)と少なくとも60%または少なくとも約60%の同一性を有する。たとえば、CRISPRの最小反復配列は、少なくとも6個、7個または8個の連続するヌクレオチドからなる配列において、参照CRISPR最小反復配列と、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%の同一性、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%の同一性、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%の同一性、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%の同一性、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%の同一性、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%の同一性、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の同一性、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%の同一性、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%の同一性、または少なくとも100%の同一性を有する。
tracrRNAの最小配列
いくつかの実施形態において、tracrRNAの最小配列は、参照tracrRNA配列(たとえばS.pyogenes由来の野生型tracrRNA)と少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、または少なくとも100%の配列同一性を有する配列である。
いくつかの実施形態において、tracrRNAの最小配列は、細胞においてCRISPRの最小反復配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチドを有する。tracrRNAの最小配列とCRISPRの最小反復配列は、二本鎖を形成し、すなわち、塩基対二本鎖構造を形成する。tracrRNAの最小配列とCRISPRの最小反復配列は一緒になって、部位指向性ポリペプチドに結合する。tracrRNAの最小配列の少なくとも一部は、CRISPRの最小反復配列にハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、tracrRNAの最小配列は、CRISPRの最小反復配列と少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、または少なくとも100%の相補性を有する。
tracrRNAの最小配列の長さは、7ヌクレオチド長~100ヌクレオチド長または約7ヌクレオチド長~約100ヌクレオチド長である。たとえば、tracrRNAの最小配列の長さは、7ヌクレオチド長(nt)~50ntもしくは約7nt~約50nt、7nt~40ntもしくは約7nt~約40nt、7nt~30ntもしくは約7nt~約30nt、7nt~25ntもしくは約7nt~約25nt、7nt~20ntもしくは約7nt~約20nt、7nt~15ntもしくは約7nt~約15nt、8nt~40ntもしくは約8nt~約40nt、8nt~30ntもしくは約8nt~約30nt、8nt~25ntもしくは約8nt~約25nt、8nt~20ntもしくは約8nt~約20nt、8nt~15ntもしくは約8nt~約15nt、15nt~100ntもしくは約15nt~約100nt、15nt~80ntもしくは約15nt~約80nt、15nt~50ntもしくは約15nt~約50nt、15nt~40ntもしくは約15nt~約40nt、15nt~30ntもしくは約15nt~約30nt、または15nt~25ntもしくは約15nt~約25ntであってもよい。いくつかの実施形態において、tracrRNAの最小配列の長さは約9ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、tracrRNAの最小配列の長さは約12ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、tracrRNAの最小配列は、Jinek, M. et al. (2012). Science, 337(6096):816-821に記載の23~48ntのtracrRNAからなる。
いくつかの実施形態において、tracrRNAの最小配列は、少なくとも6個、7個または8個の連続するヌクレオチドからなる配列において、参照tracrRNA最小配列(たとえばS.pyogenes由来の野生型tracrRNA)と少なくとも60%または少なくとも約60%の同一性を有する。たとえば、tracrRNAの最小配列は、少なくとも6個、7個または8個の連続するヌクレオチドからなる配列において、参照tracrRNA最小配列と、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%の同一性、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%の同一性、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%の同一性、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%の同一性、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%の同一性、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%の同一性、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の同一性、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%の同一性、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%の同一性、または少なくとも100%の同一性を有する。
いくつかの実施形態において、CRISPR RNA最小配列とtracrRNA最小配列により形成される二本鎖は、二重らせん構造を有する。いくつかの実施形態において、CRISPR RNA最小配列とtracrRNA最小配列により形成される二本鎖は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、もしくは少なくともそれ以上の個数、または少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、もしくは少なくともそれ以上の個数のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、CRISPR RNA最小配列とtracrRNA最小配列により形成される二本鎖は、最大でも1個、最大でも2個、最大でも3個、最大でも4個、最大でも5個、最大でも6個、最大でも7個、最大でも8個、最大でも9個、最大でも10個、もしくは最大でもそれ以上の個数、または最大でも約1個、最大でも2個、最大でも3個、最大でも4個、最大でも5個、最大でも6個、最大でも7個、最大でも8個、最大でも9個、最大でも10個、もしくは最大でもそれ以上の個数のヌクレオチドを有する。
いくつかの実施形態において、前記二本鎖はミスマッチを有する(すなわち、二本鎖に含まれる2本の鎖は100%の相補性を有さない)。いくつかの実施形態において、前記二本鎖は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、もしくは少なくとも5個または少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、もしくは少なくとも約5個のミスマッチを有する。いくつかの実施形態では、前記二本鎖は、最大でも1個、最大でも2個、最大でも3個、最大でも4個、もしくは最大でも5個、または最大でも約1個、最大でも約2個、最大でも約3個、最大でも約4個、もしくは最大でも約5個のミスマッチを有する。いくつかの実施形態において、前記二本鎖は2個以下のミスマッチを有する。
バルジ
いくつかの実施形態では、CRISPR RNA最小配列とtracrRNA最小配列により形成される二本鎖に「バルジ」が存在する。バルジは、前記二本鎖内のヌクレオチド非対合領域である。いくつかの実施形態において、バルジは、部位特異的ポリペプチドへの前記二本鎖の結合に寄与する。バルジは、二本鎖の一方に、非対合配列5’-XXXY-3’を有し(Xは任意のプリン塩基であり、Yは、反対鎖のヌクレオチドとゆらぎ塩基対を形成しうるヌクレオチドを有する)、二本鎖のもう一方に非対合ヌクレオチド領域を有する。二本鎖の各鎖にある非対合ヌクレオチドの数は異なる場合がある。
一例では、前記バルジは、該バルジを形成しているCRISPR最小反復鎖上に非対合プリン塩基(たとえばアデニン)を有する。いくつかの実施形態において、前記バルジは、該バルジを形成しているtracrRNA最小配列鎖上に非対合配列5’-AAGY-3’を有する(Yは、CRISPR最小反復鎖上のヌクレオチドとゆらぎ塩基対を形成しうるヌクレオチドを有する)。
いくつかの実施形態において、二本鎖を形成するCRISPR最小反復鎖側のバルジは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、または少なくともそれ以上の個数の非対合ヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、二本鎖を形成するCRISPR最小反復鎖側のバルジは、最大でも1個、最大でも2個、最大でも3個、最大でも4個、最大でも5個、または最大でもそれ以上の個数の非対合ヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、二本鎖を形成するCRISPR最小反復鎖側のバルジは、1個の非対合ヌクレオチドを有する。
いくつかの実施形態において、二本鎖を形成するtracrRNA最小配列側のバルジは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、または少なくともそれ以上の個数の非対合ヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、二本鎖を形成するtracrRNA最小配列側のバルジは、最大でも1個、最大でも2個、最大でも3個、最大でも4個、最大でも5個、最大でも6個、最大でも7個、最大でも8個、最大でも9個、または最大でも10個、または最大でもそれ以上の個数の非対合ヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、二本鎖を形成する第2の鎖上(たとえば二本鎖を形成するtracrRNA最小配列側上)のバルジは、4個の非対合ヌクレオチドを有する。
いくつかの実施形態において、バルジは、少なくとも1個のゆらぎ塩基対を有する。いくつかの実施形態において、バルジは、1個以下のゆらぎ塩基対を有する。いくつかの実施形態において、バルジは、少なくとも1個のプリンヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、バルジは、少なくとも3個のプリンヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、バルジ配列は、少なくとも5個のプリンヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、バルジ配列は、少なくとも1個のグアニンヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、バルジ配列は、少なくとも1個のアデニンヌクレオチドを有する。
ヘアピン
様々な実施形態において、3’tracrRNA配列中のtracrRNA最小配列の3’末端側に1つ以上のヘアピンが存在する。
いくつかの実施形態において、前記ヘアピンは、CRISPR最小反復配列とtracrRNA最小配列からなる二本鎖の最後の対合ヌクレオチドから3’末端側の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個もしくは少なくともそれ以上の個数、または少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約15個、少なくとも約20個もしくは少なくともそれ以上の個数のヌクレオチドから始まる。いくつかの実施形態において、前記ヘアピンは、CRISPR最小反復配列とtracrRNA最小配列からなる二本鎖の最後の対合ヌクレオチドから3’末端側の最大でも1個、最大でも2個、最大でも3個、最大でも4個、最大でも5個、最大でも6個、最大でも7個、最大でも8個、最大でも9個、最大でも10個もしくは最大でもそれ以上の個数、または最大でも約1個、最大でも約2個、最大でも約3個、最大でも約4個、最大でも約5個、最大でも約6個、最大でも約7個、最大でも約8個、最大でも約9個、最大でも約10個、もしくは最大でもそれ以上の個数のヌクレオチドから始まってもよい。
いくつかの実施形態において、前記ヘアピンは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個もしくは少なくともそれ以上の個数、または少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、少なくとも約8個、少なくとも約9個、少なくとも約10個、少なくとも約15個、少なくとも約20個もしくは少なくともそれ以上の個数の連続したヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、前記ヘアピンは、最大でも1個、最大でも2個、最大でも3個、最大でも4個、最大でも5個、最大でも6個、最大でも7個、最大でも8個、最大でも9個、最大でも10個、もしくは最大でも15個もしくは最大でもそれ以上の個数、または最大でも約1個、最大でも約2個、最大でも約3個、最大でも約4個、最大でも約5個、最大でも約6個、最大でも約7個、最大でも約8個、最大でも約9個、最大でも約10個、最大でも約15個もしくは最大でもそれ以上の個数の連続したヌクレオチドを有する。
いくつかの実施形態において、ヘアピンは、CCジヌクレオチド(すなわち、2個の連続したシトシンヌクレオチド)を有する。
いくつかの実施形態では、ヘアピンは、二本鎖ヌクレオチド(たとえば、ヌクレオチドが互いにハイブリダイズしたヘアピンヌクレオチド)を有する。たとえば、ヘアピンは、3’tracrRNA配列のヘアピン二本鎖中に、GGジヌクレオチドにハイブリダイズするCCジヌクレオチドを有する。
1つ以上のヘアピンは、部位特異的ポリペプチドのガイドRNA相互作用領域と相互作用することができる。
いくつかの実施形態では、2つ以上のヘアピンが存在し、いくつかの実施形態では、3つ以上のヘアピンが存在する。
3’tracrRNA配列
いくつかの実施形態において、3’tracrRNA配列は、参照tracrRNA配列と(たとえばS.pyogenes由来のtracrRNA)と少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、または少なくとも100%の配列同一性を有する配列である。
いくつかの実施形態において、3’tracrRNA配列の長さは、6ヌクレオチド長~100ヌクレオチド長または約6ヌクレオチド長~約100ヌクレオチド長である。たとえば、3’tracrRNA配列の長さは、6ヌクレオチド長(nt)~50ntもしくは約6nt~約50nt、6nt~40ntもしくは約6nt~約40nt、6nt~30ntもしくは約6nt~約30nt、6nt~25ntもしくは約6nt~約25nt、6nt~20ntもしくは約6nt~約20nt、6nt~15ntもしくは約6nt~約15nt、8nt~40ntもしくは約8nt~約40nt、8nt~30ntもしくは約8nt~約30nt、8nt~25ntもしくは約8nt~約25nt、8nt~20ntもしくは約8nt~約20nt、8nt~15ntもしくは約8nt~約15nt、15nt~100ntもしくは約15nt~約100nt、15nt~80ntもしくは約15nt~約80nt、15nt~50ntもしくは約15nt~約50nt、15nt~40ntもしくは約15nt~約40nt、15nt~30ntもしくは約15nt~約30nt、または15nt~25ntもしくは約15nt~約25ntであってもよい。いくつかの実施形態において、3’tracrRNA配列の長さは、約14ヌクレオチド長である。
いくつかの実施形態において、3’tracrRNA配列は、少なくとも6個、7個または8個の連続するヌクレオチドからなる配列において、参照3’tracrRNA配列(たとえばS.pyogenes由来の野生型3’tracrRNA配列)と少なくとも60%または少なくとも約60%の同一性を有する。たとえば、3’tracrRNA配列は、少なくとも6個、7個または8個の連続するヌクレオチドからなる配列において、参照3’tracrRNA配列(たとえばS.pyogenes由来の野生型3’tracrRNA配列)と、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%の同一性、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%の同一性、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%の同一性、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%の同一性、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%の同一性、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%の同一性、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%の同一性、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の同一性、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%の同一性、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%の同一性、または少なくとも100%の同一性を有する。
いくつかの実施形態では、3’tracrRNA配列は、2つ以上の二本鎖領域(たとえば、ヘアピン、ハイブリダイズした領域)を有する。いくつかの実施形態において、3’tracrRNA配列は、2つの二本鎖領域を有する。
いくつかの実施形態において、3’tracrRNA配列は、ステムループ構造を有する。いくつかの実施形態において、3’tracrRNAのステムループ構造は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個または少なくともそれ以上の個数のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、3’tracrRNAのステムループ構造は、最大でも1個、最大でも2個、最大でも3個、最大でも4個、最大でも5個、最大でも6個、最大でも7個、最大でも8個、最大でも9個、最大でも10個または最大でもそれ以上の個数のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、ステムループ構造は機能性部分を有する。たとえば、ステムループ構造は、アプタマー、リボザイム、タンパク質と相互作用するヘアピン、CRISPRアレイ、イントロン、またはエキソンを有していてもよい。いくつかの実施形態において、ステムループ構造は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個もしくは少なくともそれ以上の個数、または少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、もしくはそれ以上の個数の機能性部分を有する。いくつかの実施形態において、ステムループ構造は、最大でも1個、最大でも2個、最大でも3個、最大でも4個、最大でも5個もしくはそれ以上の個数、または最大でも約1個、最大でも約2個、最大でも約3個、最大でも約4個、最大でも約5個もしくは最大でもそれ以上の個数の機能性部分を有する。
いくつかの実施形態において、3’tracrRNA配列のヘアピンは、Pドメインを有する。いくつかの実施形態において、ヘアピン上の前記Pドメインは、二本鎖領域を有する。
tracrRNA伸長配列
いくつかの実施形態において、ガイドRNAが単一分子ガイドまたは二分子ガイドである場合、tracrRNA伸長配列を提供する。いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列の長さは、1ヌクレオチド長~400ヌクレオチド長または約1ヌクレオチド長~約400ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列の長さは、1ヌクレオチド長を超える長さ、5ヌクレオチド長を超える長さ、10ヌクレオチド長を超える長さ、15ヌクレオチド長を超える長さ、20ヌクレオチド長を超える長さ、25ヌクレオチド長を超える長さ、30ヌクレオチド長を超える長さ、35ヌクレオチド長を超える長さ、40ヌクレオチド長を超える長さ、45ヌクレオチド長を超える長さ、50ヌクレオチド長を超える長さ、60ヌクレオチド長を超える長さ、70ヌクレオチド長を超える長さ、80ヌクレオチド長を超える長さ、90ヌクレオチド長を超える長さ、100ヌクレオチド長を超える長さ、120ヌクレオチド長を超える長さ、140ヌクレオチド長を超える長さ、160ヌクレオチド長を超える長さ、180ヌクレオチド長を超える長さ、200ヌクレオチド長を超える長さ、220ヌクレオチド長を超える長さ、240ヌクレオチド長を超える長さ、260ヌクレオチド長を超える長さ、280ヌクレオチド長を超える長さ、300ヌクレオチド長を超える長さ、320ヌクレオチド長を超える長さ、340ヌクレオチド長を超える長さ、360ヌクレオチド長を超える長さ、380ヌクレオチド長を超える長さ、または400ヌクレオチド長を超える長さである。いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列の長さは、20ヌクレオチド長~5000ヌクレオチド長以上または約20ヌクレオチド長~約5000ヌクレオチド長以上である。いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列の長さは、1000ヌクレオチド長を超える。いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列の長さは、1ヌクレオチド長以上であり、かつ1ヌクレオチド長未満、5ヌクレオチド長未満、10ヌクレオチド長未満、15ヌクレオチド長未満、20ヌクレオチド長未満、25ヌクレオチド長未満、30ヌクレオチド長未満、35ヌクレオチド長未満、40ヌクレオチド長未満、45ヌクレオチド長未満、50ヌクレオチド長未満、60ヌクレオチド長未満、70ヌクレオチド長未満、80ヌクレオチド長未満、90ヌクレオチド長未満、100ヌクレオチド長未満、120ヌクレオチド長未満、140ヌクレオチド長未満、160ヌクレオチド長未満、180ヌクレオチド長未満、200ヌクレオチド長未満、220ヌクレオチド長未満、240ヌクレオチド長未満、260ヌクレオチド長未満、280ヌクレオチド長未満、300ヌクレオチド長未満、320ヌクレオチド長未満、340ヌクレオチド長未満、360ヌクレオチド長未満、380ヌクレオチド長未満、400ヌクレオチド長未満またはそれ以上の個数未満である。いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列の長さは、1ヌクレオチド長以上かつ1000ヌクレオチド長未満であってもよい。いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列の長さは、1ヌクレオチド長以上かつ10ヌクレオチド長未満である。いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列の長さは、10~30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列の長さは、30~70ヌクレオチド長である。
いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列は、機能性部分(たとえば、安定性制御配列、リボザイム、またはエンドリボヌクレアーゼ結合配列)を有する。いくつかの実施形態において、前記機能性部分は、転写ターミネーターセグメント(たとえば転写終結配列)である。いくつかの実施形態において、前記機能性部分の全長は、10ヌクレオチド長(nt)~100ヌクレオチド長もしくは約10nt~約100nt、10nt~20ntもしくは約10nt~約20nt、20nt~30ntもしくは約20nt~約30nt、30nt~40ntもしくは約30nt~約40nt、40nt~50ntもしくは約40nt~約50nt、50nt~60ntもしくは約50nt~約60nt、60nt~70ntもしくは約60nt~約70nt、70nt~80ntもしくは約70nt~約80nt、80nt~90ntもしくは約80nt~約90nt、90nt~100ntもしくは約90nt~約100nt、15nt~80ntもしくは約15nt~約80nt、15nt~50ntもしくは約15nt~約50nt、15nt~40ntもしくは約15nt~約40nt、15nt~30ntもしくは約15nt~約30nt、または15nt~25ntもしくは約15nt~約25ntである。いくつかの実施形態において、前記機能性部分は真核細胞において機能する。いくつかの実施形態において、前記機能性部分は原核細胞において機能する。いくつかの実施形態において、前記機能性部分は、真核細胞および原核細胞の両方において機能する。
tracrRNA伸長配列の適切な機能性部分の例として、3’末端ポリアデニル化テール;リボスイッチ配列(たとえば、制御下での安定化させたり、かつ/または制御下においてタンパク質もしくはタンパク質複合体によるアクセスを可能にするもの);dsRNA二本鎖を形成する配列(すなわちヘアピン);RNAを細胞レベル以下の場所(たとえば、核、ミトコンドリア、葉緑体など)に標的化する配列;追跡を可能とする修飾または配列(たとえば、蛍光分子への直接結合、蛍光検出を容易にする部分への結合、蛍光検出を可能にする配列など);およびタンパク質(たとえば、転写活性化因子、転写抑制因子、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAメチル基分解酵素、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼなどの、DNAに作用するタンパク質)の結合部位を提供する修飾または配列が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列は、プライマー結合部位または分子インデックス(たとえば、バーコード配列)を有する。いくつかの実施形態において、tracrRNA伸長配列は、1つ以上のアフィニティータグを有する。
単一分子ガイドのリンカー配列
いくつかの実施形態において、単一分子ガイド核酸のリンカー配列の長さは、3ヌクレオチド長~100ヌクレオチド長または約3ヌクレオチド長~約100ヌクレオチド長である。Jinek, M. et al. (2012). Science, 337(6096):816-821では、たとえば、4個のヌクレオチドからなる単純な「テトラループ」(-GAAA-)が使用された。前記リンカーの長さは、たとえば、3ヌクレオチド長(nt)~90ntもしくは約3nt~約90nt、3nt~80ntもしくは約3nt~約80nt、3nt~70ntもしくは約3nt~約70nt、3nt~60ntもしくは約3nt~約60nt、3nt~50ntもしくは約3nt~約50nt、3nt~40ntもしくは約3nt~約40nt、3nt~30ntもしくは約3nt~約30nt、3nt~20ntもしくは約3nt~約20nt、または3nt~10ntもしくは約3nt~約10ntである。たとえば、前記リンカーの長さは、3nt~5ntもしくは約3nt~約5nt、5nt~10ntもしくは約5nt~約10nt、10nt~15ntもしくは約10nt~約15nt、15nt~20ntもしくは約15nt~約20nt、20nt~25ntもしくは約20nt~約25nt、25nt~30ntもしくは約25nt~約30nt、30nt~35ntもしくは約30nt~約35nt、35nt~40ntもしくは約35nt~約40nt、40nt~50ntもしくは約40nt~約50nt、50nt~60ntもしくは約50nt~約60nt、60nt~70ntもしくは約60nt~約70nt、70nt~80ntもしくは約70nt~約80nt、80nt~90ntもしくは約80nt~約90nt、または90nt~100ntもしくは約90nt~約100ntであってもよい。いくつかの実施形態において、単一分子ガイド核酸のリンカーの長さは、4~40ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、前記リンカーの長さは、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも500ヌクレオチド長、少なくとも1000ヌクレオチド長、少なくとも1500ヌクレオチド長、少なくとも2000ヌクレオチド長、少なくとも2500ヌクレオチド長、少なくとも3000ヌクレオチド長、少なくとも3500ヌクレオチド長、少なくとも4000ヌクレオチド長、少なくとも4500ヌクレオチド長、少なくとも5000ヌクレオチド長、少なくとも5500ヌクレオチド長、少なくとも6000ヌクレオチド長、少なくとも6500ヌクレオチド長、もしくは少なくとも7000ヌクレオチド長、または少なくとも約100ヌクレオチド長、少なくとも約500ヌクレオチド長、少なくとも約1000ヌクレオチド長、少なくとも約1500ヌクレオチド長、少なくとも約2000ヌクレオチド長、少なくとも約2500ヌクレオチド長、少なくとも約3000ヌクレオチド長、少なくとも約3500ヌクレオチド長、少なくとも約4000ヌクレオチド長、少なくとも約4500ヌクレオチド長、少なくとも約5000ヌクレオチド長、少なくとも約5500ヌクレオチド長、少なくとも約6000ヌクレオチド長、少なくとも約6500ヌクレオチド長、もしくは少なくとも約7000ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、前記リンカーの長さは、最大でも100ヌクレオチド長、最大でも500ヌクレオチド長、最大でも1000ヌクレオチド長、最大でも1500ヌクレオチド長、最大でも2000ヌクレオチド長、最大でも2500ヌクレオチド長、最大でも3000ヌクレオチド長、最大でも3500ヌクレオチド長、最大でも4000ヌクレオチド長、最大でも4500ヌクレオチド長、最大でも5000ヌクレオチド長、最大でも5500ヌクレオチド長、最大でも6000ヌクレオチド長、最大でも6500ヌクレオチド長、もしくは最大でも7000ヌクレオチド長、または最大でも約100ヌクレオチド長、最大でも約500ヌクレオチド長、最大でも約1000ヌクレオチド長、最大でも約1500ヌクレオチド長、最大でも約2000ヌクレオチド長、最大でも約2500ヌクレオチド長、最大でも約3000ヌクレオチド長、最大でも約3500ヌクレオチド長、最大でも約4000ヌクレオチド長、最大でも約4500ヌクレオチド長、最大でも約5000ヌクレオチド長、最大でも約5500ヌクレオチド長、最大でも約6000ヌクレオチド長、最大でも約6500ヌクレオチド長、もしくは最大でも約7000ヌクレオチド長である。
リンカーは、様々な配列を有することができるが、いくつかの実施形態において、リンカーは、ガイドRNAのその他の部分との相同性を備えた広範な領域を有する配列を持たず、これは、このような相同性を有する広範な領域が存在すると、ガイドRNAのその他の機能性領域を妨害しうる分子内結合が起こることがあるからである。Jinek, M. et al. (2012). Science, 337(6096):816-821では、4個のヌクレオチドからなる単純な配列-GAAA-が使用されたが、より長い配列などのその他の様々な配列も同様に使用することができる。
いくつかの実施形態において、前記リンカー配列は機能性部分を有する。たとえば、前記リンカー配列は、アプタマー、リボザイム、タンパク質と相互作用するヘアピン、タンパク質結合部位、CRISPRアレイ、イントロン、エキソンなどの、1種以上の特徴を有していてもよい。いくつかの実施形態において、前記リンカー配列は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個もしくは少なくともそれ以上の個数、または少なくとも約1個、少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約4個、少なくとも約5個、もしくはそれ以上の個数の機能性部分を有する。いくつかの実施形態において、前記リンカー配列は、最大でも1個、最大でも2個、最大でも3個、最大でも4個、最大でも5個もしくは最大でもそれ以上の個数、または最大でも約1個、最大でも約2個、最大でも約3個、最大でも約4個、最大でも約5個もしくは最大でもそれ以上の個数の機能性部分を有する。
いくつかの実施形態において、本開示に従ってgRNAによって標的化されるゲノム部位は、ゲノム(たとえばヒトゲノム)内のFOXP3遺伝子に存在してもよく、ゲノム内のFOXP3遺伝子内に存在してもよく、ゲノム内のFOXP3遺伝子の近傍に存在していてもよい。このような部位を標的とするガイドRNAとして典型的なものとして、配列番号1~7、15~20および27~29に示されるスペーサー配列が挙げられる。たとえば、配列番号1に示されるスペーサー配列を含むgRNAは、i)配列番号1の配列、ii)配列番号1の2番目~20番目からなる配列、iii)配列番号1の3番目~20番目からなる配列、iv)配列番号1の4番目~20番目からなる配列などを含むスペーサー配列を有していてもよい。当業者であれば理解できるように、各ガイドRNAは、そのゲノム標的配列に相補的なスペーサー配列を含むように設計されている。たとえば、配列番号1~7、15~20および27~29に示される各スペーサー配列は、単一のRNAキメラまたは(対応するtracrRNAとともに)crRNAに組み込むことができる。Jinek, M. et al. (2012). Science, 337(6096):816-821およびDeltcheva, E. et al. (2011). Nature, 471:602-607を参照されたい。
ドナーDNAまたはドナー鋳型
DNAエンドヌクレアーゼなどの部位指向性ポリペプチドは、核酸(たとえばゲノムDNA)に二本鎖切断または一本鎖切断を導入することができる。二本鎖切断により、細胞に内在するDNA修復経路(たとえば、相同性依存的修復(HDR)、非相同末端結合、代替非相同末端結合(A-NHEJ)またはマイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ)を刺激することができる。NHEJは、相同鋳型を必要とせずに、切断された標的核酸を修復することができる。これによって、切断部位の標的核酸に小さな欠失または挿入(indel)が生じることがあり、遺伝子発現の破壊または変化がもたらされる場合がある。相同性依存的修復(HDR)は相同組換え(HR)としても知られ、相同修復鋳型またはドナーが利用可能な場合に発生することがある。
相同ドナー鋳型は、標的核酸の切断部位を挟んで隣接する配列と相同な配列を有する。一般に、姉妹染色分体は、修復鋳型として細胞により利用される。一方、ゲノム編集を目的とした修復鋳型は、プラスミド、二重鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチド、またはウイルス核酸などの外来性核酸として提供されることが多い。外来性ドナー鋳型では、一般に、隣り合う相同領域の間にさらなる核酸配列(導入遺伝子など)または修飾(1個もしくは複数個の塩基の変化または欠失など)を導入することによって、該さらなる核酸配列または変更された核酸配列が標的遺伝子座に組み込まれるようにする。MMEJは、小さな欠失と挿入が切断部位で起こりうるという点でNHEJと類似した遺伝的結果が得られる。MMEJは、切断部位を挟んで隣接する数個の塩基対からなる相同配列を利用することにより、所望の末端結合DNA修復結果を得るものである。場合によっては、ヌクレアーゼの標的領域において予測される短い相同配列(マイクロホモロジー)の分析に基づいて、得られる見込みのある修復結果を予測できる場合もある。
したがって、場合によっては、相同組換えを使用して、標的核酸の切断部位に外来性のポリヌクレオチド配列が挿入される。本明細書では、外来性ポリヌクレオチド配列をドナーポリヌクレオチド(またはドナー、ドナー配列またはポリヌクレオチドドナー鋳型)と呼ぶ。いくつかの実施形態において、ドナーポリヌクレオチド、ドナーポリヌクレオチドの一部、ドナーポリヌクレオチドのコピー、またはドナーポリヌクレオチドのコピーの一部が、標的核酸の切断部位に挿入される。いくつかの実施形態において、ドナーポリヌクレオチドは、外来性ポリヌクレオチド配列であり、すなわち、天然では標的核酸の切断部位に存在しない配列である。
二本鎖切断が起こる細胞の核内に外来性DNA分子が十分な濃度で供給されると、NHEJ修復プロセスにおいて外来性DNAが二本鎖切断部位に挿入されるため、ゲノムに永続的に付加されることになりうる。このような外来性DNA分子を、いくつかの実施形態ではドナー鋳型と呼ぶ。ドナー鋳型が、必要に応じて、プロモーター、エンハンサー、ポリA配列および/またはスプライスアクセプター配列などの関連する調節配列とともに、FOXP3遺伝子などの目的の遺伝子のコード配列を含む場合(本明細書では「ドナーカセット」とも呼ぶ)、ゲノムに組み込まれたコピーから目的の遺伝子が発現され、細胞が生きている間はこの遺伝子が永続的に発現されうる。さらに、ドナーDNA鋳型から組み込まれたコピーは、細胞が分裂するときに娘細胞に伝達されうる。
二本鎖切断部位の両側のDNA配列と相同性を有する隣接したDNA配列(相同アームと呼ばれる)を含むドナーDNA鋳型が十分な濃度で存在する場合、このドナーDNA鋳型はHDR経路を介して組み込むことができる。相同アームは、ドナー鋳型と二本鎖切断部位の両側の配列の間での相同組換えの基質として作用する。これによって、二本鎖切断部位の両側の配列が未修飾ゲノムの配列から変更されていないドナー鋳型が、エラーを起こすことなく挿入することが可能になる。
HDRによる編集用に提供されるドナーは非常に多様であるが、一般に、意図する編集用の配列と、これを挟んで両側に位置する短いまたは長い相同アームとを含むことから、ゲノムDNAへのアニーリングが可能になる。導入された遺伝子変化部位に隣接する相同領域は、30bp以下であってもよく、あるいはプロモーターやcDNAなどを含んでいてもよい数キロベースのカセットと同程度に大きいものであってもよい。一本鎖オリゴヌクレオチドドナーおよび二本鎖オリゴヌクレオチドドナーをいずれも使用することができる。これらのオリゴヌクレオチドのサイズは、100nt未満~数kb以上にも及ぶが、より長いssDNAを生成して使用することもできる。PCRアンプリコン、プラスミド、ミニサークルなどの二本鎖ドナーを使用することが多い。一般に、AAVベクターはドナー鋳型の送達に非常に効果的な手段であることが分かっているが、個々のドナーにパッケージングする際の限界は5kb未満である。ドナーの活発な転写によりHDR率が3倍に増加したことから、プロモーターを含めることで変換を増加可能であることが示されている。逆に、ドナーのCpGメチル化は、遺伝子発現とHDR率を低下させる場合がある。
いくつかの実施形態において、たとえば、トランスフェクション、ナノ粒子、マイクロインジェクション、ウイルスによる形質導入などの様々な方法によって、ドナーDNAを単独であるいはヌクレアーゼと一緒に導入することができる。いくつかの実施形態では、ドナーDNAとヌクレアーゼを連結する様々な方法を使用して、HDRにおけるドナーの利用性を高めることができる。このような方法の例としては、ドナーをヌクレアーゼに結合させる方法、ドナーおよびヌクレアーゼの近傍に結合するDNA結合タンパク質に結合させる方法、またはDNA末端結合もしくはDNA修復に関与するタンパク質に結合させる方法などが挙げられる。
NHEJまたはHDRによるゲノム編集に加えて、NHEJ経路とHRの両方を使用した部位指向性遺伝子挿入を行うことができる。このような併用手法は、イントロン/エキソンの境界を含む可能性のある特定の状況で適用可能である。NHEJは、イントロンでのライゲーションに効果的であることが実証可能であるが、一方、エラーのないHDRはコード領域により適している場合がある。
いくつかの実施形態において、ゲノムへの挿入が意図される外来性配列は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードするヌクレオチド配列である。FOXP3の機能性誘導体としては、野生型FOXP3(たとえば野生型ヒトFOXP3など)と実質的に同等な活性を有するFOXP3誘導体が挙げられ、たとえば、野生型FOXP3の活性の少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、40%もしくは少なくとも約40%、50%もしくは少なくとも約50%、60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは少なくとも約70%、80%もしくは少なくとも約80%、90%もしくは少なくとも約90%、95%もしくは少なくとも約95%または少なくとも100%もしくは少なくとも約100%の活性を示すFOXP3誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態において、FOXP3の機能性誘導体は、FOXP3(たとえば野生型のFOXP3)と、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、40%もしくは少なくとも約40%、50%もしくは少なくとも約50%、60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは少なくとも約70%、80%もしくは少なくとも約80%、85%もしくは少なくとも約85%、90%もしくは少なくとも約90%、95%もしくは少なくとも約95%、96%もしくは少なくとも約96%、97%もしくは少なくとも約97%、98%もしくは少なくとも約98%または99%もしくは少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有していてもよい。いくつかの実施形態において、当業者であれば、当技術分野で公知の様々な方法を使用して、化合物(たとえばペプチドやタンパク質など)の機能性または活性を試験することができる。FOXP3の機能性誘導体として、さらに、野生型FOXP3の全長の1つ以上のアミノ酸残基に保存的修飾を有する修飾FOXP3の断片または野生型FOXP3の断片を挙げることができる。したがって、いくつかの実施形態において、FOXP3の機能性誘導体をコードする核酸配列は、FOXP3(たとえば野生型のFOXP3)をコードする核酸配列と、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、40%もしくは少なくとも約40%、50%もしくは少なくとも約50%、60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは少なくとも約70%、80%もしくは少なくとも約80%、85%もしくは少なくとも約85%、90%もしくは少なくとも約90%、95%もしくは少なくとも約95%、96%もしくは少なくとも約96%、97%もしくは少なくとも約97%、98%もしくは少なくとも約98%または99%もしくは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有していてもよい。いくつかの実施形態において、FOXP3は、ヒト野生型FOXP3である。
FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸が挿入される実施形態のいくつかにおいて、FOXP3遺伝子またはその機能性誘導体のcDNAは、異常のあるFOXP3遺伝子またはその調節配列を有する対象のゲノムに挿入することができる。このような場合、ドナーDNAまたはドナー鋳型は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする配列(たとえばcDNA配列)を含む発現カセットまたはベクターコンストラクトであってもよい。
ドナーカセットを含む本明細書に記載のドナー鋳型による実施形態のいくつかにおいて、このドナーカセットは、一端がgRNA標的部位と隣接しているか、両端がgRNA標的部位と隣接している。たとえば、このようなドナー鋳型は、5’末端側にgRNA標的部位を有し、かつ/または3’末端側にgRNA標的部位を有するドナーカセットを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記ドナー鋳型は、5’末端側にgRNA標的部位を有するドナーカセットを含む。いくつかの実施形態において、前記ドナー鋳型は、3’末端側にgRNA標的部位を有するドナーカセットを含む。いくつかの実施形態において、前記ドナー鋳型は、5’末端側にgRNA標的部位を有し、かつ3’末端側にgRNA標的部位を有するドナーカセットを含む。いくつかの実施形態において、前記ドナー鋳型は、5’末端側にgRNA標的部位を有し、かつ3’末端側にgRNA標的部位を有するドナーカセットを含み、これら2つのgRNA標的部位は同じ配列を含む。いくつかの実施形態において、前記ドナー鋳型は、少なくとも1つのgRNA標的部位を含み、前記ドナー鋳型中のこの少なくとも1つのgRNA標的部位は、ドナー鋳型のドナーカセットが組み込まれる標的遺伝子座中のgRNA標的部位と同じ配列を含む。いくつかの実施形態において、前記ドナー鋳型は、少なくとも1つのgRNA標的部位を含み、前記ドナー鋳型中のこの少なくとも1つのgRNA標的部位は、ドナー鋳型のドナーカセットが組み込まれる標的遺伝子座中のgRNA標的部位の逆相補鎖を含む。いくつかの実施形態において、前記ドナー鋳型は、5’末端側にgRNA標的部位を有し、かつ3’末端側にgRNA標的部位を有するドナーカセットを含み、前記ドナー鋳型中のこれら2つのgRNA標的部位は、ドナー鋳型のドナーカセットが組み込まれる標的遺伝子座中のgRNA標的部位と同じ配列を含む。いくつかの実施形態において、前記ドナー鋳型は、5’末端側にgRNA標的部位を有し、かつ3’末端側にgRNA標的部位を有するドナーカセットを含み、前記ドナー鋳型中のこれら2つのgRNA標的部位は、ドナー鋳型のドナーカセットが組み込まれる標的遺伝子座中のgRNA標的部位の逆相補鎖を含む。
いくつかの実施形態において、FOXP3遺伝子への標的化された組み込みを行うための、FOXP3またはその機能性誘導体をコードするヌクレオチド配列を含むドナー鋳型を提供し、このドナー鋳型は、5’末端から3’末端の方向に、i)第1のgRNA標的部位;ii)スプライスアクセプター;iii)FOXP3またはその機能性誘導体をコードするヌクレオチド配列;およびiv)ポリアデニル化シグナルを含む。いくつかの実施形態において、ドナー鋳型は、iv)ポリアデニル化シグナルの下流に第2のgRNA標的部位をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のgRNA標的部位と第2のgRNA標的部位は同じものである。いくつかの実施形態において、ドナー鋳型は、i)第1のgRNA標的部位とii)スプライスアクセプターとの間にポリヌクレオチドスペーサーをさらに含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドスペーサーは、18ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、ドナー鋳型は、一方の末端が第1のAAV ITRに隣接し、かつ/または他方の末端が第2のAAV ITRに隣接している。いくつかの実施形態において、第1のAAV ITRはAAV2 ITRであり、かつ/または第2のAAV ITRはAAV2 ITRである。いくつかの実施形態において、FOXP3は、ヒト野生型FOXP3である。
部位指向性ポリペプチドまたはDNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸
いくつかの実施形態において、前述を踏まえれば、前記ゲノム編集方法および前記組成物において、部位指向性ポリペプチドまたはDNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列(またはオリゴヌクレオチド)を使用することができる。部位指向性ポリペプチドをコードする核酸配列は、DNAであってもよく、RNAであってもよい。部位指向性ポリペプチドをコードする核酸配列がRNAである場合、このRNA は、gRNA配列に共有結合することができるか、別個の配列として存在することができる。いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドまたはDNAエンドヌクレアーゼのペプチド配列を、これらの核酸配列の代わりに使用することができる。
ベクター
別の一態様において、本開示は、本開示のゲノム標的化核酸をコードするヌクレオチド配列を有する核酸、本開示の部位指向性ポリペプチド、および/または本開示の方法の実施形態を実施するために必要な任意の核酸もしくはタンパク質分子を提供する。いくつかの実施形態において、このような核酸は、ベクター(たとえば組換え発現ベクター)である。
本発明において想定される発現ベクターとして、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、シミアンウイルス40(SV40)、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、レトロウイルス(たとえば、マウス白血病ウイルス;脾臓壊死ウイルス;もしくはラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、乳癌ウイルスなどのレトロウイルスに由来するベクター)に基づくウイルスベクター、またはその他の組換えベクターが挙げられるが、これらに限定されない。真核生物の標的細胞に対しての使用が想定されるその他のベクターとして、pXT1ベクター、pSG5ベクター、pSVK3ベクター、pBPVベクター、pMSGベクター、およびpSVLSV40ベクター(ファルマシア)が挙げられるが、これらに限定されない。真核生物の標的細胞に対しての使用が想定されるさらなるベクターとして、pCTx-1ベクター、pCTx-2ベクター、およびpCTx-3ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。その他のベクターでも、宿主細胞と適合性がある限り使用することができる。
いくつかの実施形態において、ベクターは、1つ以上の転写制御エレメントおよび/または翻訳制御エレメントを有する。利用する宿主/ベクターシステムに応じて、構成的プロモーター、誘導型プロモーター、転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの、様々な適切な転写制御エレメントおよび翻訳制御エレメントを発現ベクターにおいて使用することができる。いくつかの実施形態において、ベクターは、ウイルス配列またはCRISPR機構の構成要素またはその他のエレメントを不活化する自己不活化ベクターである。
適切な真核生物プロモーター(すなわち、真核生物細胞において機能するプロモーター)の例として、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)の最も初期のチミジンキナーゼプロモーター、初期または後期のSV40、レトロウイルス由来のロングターミナルリピート(LTR)、ヒト伸長因子1プロモーター(EF1)、ニワトリβアクチンプロモーター(CAG)にサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサーを融合させたハイブリッドコンストラクト、マウス幹細胞ウイルスプロモーター(MSCV)、ホスホグリセリン酸キナーゼ1遺伝子座プロモーター(PGK)、またはマウスメタロチオネインIが挙げられるが、これらに限定されない。
Casエンドヌクレアーゼとともに使用されるガイドRNAなどの小型RNAを発現させるために、たとえばU6やH1などのRNAポリメラーゼIIIプロモーターなどの様々なプロモーターが有用である場合がある。このようなプロモーターの使用を容易にする説明およびパラメータは当技術分野で知られており、新たな情報およびアプローチが常時報告されている。たとえば、Ma, H. et al. (2014). Molecular Therapy - Nucleic Acids 3, e161, doi:10.1038/mtna.2014.12を参照されたい。
発現ベクターは、翻訳開始および転写終了のためのリボソーム結合部位をさらに含むことができる。また、発現ベクターは、発現を増幅するための適切な配列を含むことができる。さらに、発現ベクターは、部位指向性ポリペプチドに融合されていることから、融合タンパク質の一部として発現される非天然タグ(たとえば、ヒスチジンタグ、ヘマグルチニンタグ、緑色蛍光タンパク質など)をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、プロモーターは、誘導型プロモーター(たとえば、熱ショックプロモーター、テトラサイクリン制御性プロモーター、ステロイド制御性プロモーター、金属制御性プロモーター、エストロゲン受容体制御性プロモーターなど)である。いくつかの実施形態において、プロモーターは、構成的プロモーター(たとえば、CMVプロモーター、またはUBCプロモーター)である。いくつかの実施形態において、プロモーターは、空間的に制限されるプロモーター、または時間的に制限されるプロモーター(たとえば、組織特異的プロモーター、細胞種特異的プロモーターなど)である。いくつかの実施形態において、宿主細胞において発現される少なくとも1つの遺伝子がゲノムに挿入された後、このゲノムに存在する内在性プロモーターの制御下で発現される場合、ベクターは、この遺伝子のためのプロモーターを含まない。
部位指向性ポリペプチドまたはDNAエンドヌクレアーゼ
NHEJおよび/またはHDRによる標的DNAの修飾によって、たとえば、変異、欠失、変化、組み込み、遺伝子の修正、遺伝子の置換、遺伝子へのタグ付加、導入遺伝子の挿入、ヌクレオチドの欠失、遺伝子破壊、転座、および/または遺伝子変異が起こりうる。ゲノムDNAへの非天然核酸の組み込みは、ゲノム編集の一例である。
部位指向性ポリペプチドは、DNAを切断するためのゲノム編集で使用されるヌクレアーゼである。部位指向性ポリペプチドは、1つ以上のポリペプチド、または該ポリペプチドをコードする1つ以上のmRNAとして細胞または対象に投与することができる。
CRISPR/CasシステムまたはCRISPR/Cpf1システムに関して、部位指向性ポリペプチドはガイドRNAに結合し、それによって、ガイドRNAが、部位指向性ポリペプチドが指向される標的DNAの部位を特定する。本明細書に記載のCRISPR/CasシステムまたはCRISPR/Cpf1システムの実施形態では、部位指向性ポリペプチドは、DNAエンドヌクレアーゼなどのエンドヌクレアーゼである。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、複数の核酸切断ドメイン(たとえばヌクレアーゼ部位)を有する。2つ以上の核酸切断ドメインをリンカーを介して連結することができる。いくつかの実施形態において、リンカーは柔軟性のあるリンカーを有する。リンカーの長さは、1アミノ酸長、2アミノ酸長、3アミノ酸長、4アミノ酸長、5アミノ酸長、6アミノ酸長、7アミノ酸長、8アミノ酸長、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、20アミノ酸長、21アミノ酸長、22アミノ酸長、23アミノ酸長、24アミノ酸長、25アミノ酸長、30アミノ酸長、35アミノ酸長、40アミノ酸長、またはそれ以上のアミノ酸長であってもよい。
天然の野生型Cas9酵素は、HNHヌクレアーゼドメインとRuvCドメインの2つのヌクレアーゼドメインを有する。本明細書で想定されるCas9酵素は、HNHヌクレアーゼドメインもしくはHNH様ヌクレアーゼドメイン、および/またはRuvCヌクレアーゼドメインもしくはRuvC様ヌクレアーゼドメインを有する。
HNHドメインまたはHNH様ドメインは、McrA様の折り畳みを有する。HNHドメインまたはHNH様ドメインは、2本の逆平行β鎖と1つのαヘリックスを有する。HNHドメインまたはHNH様ドメインは、金属結合部位(たとえば2価カチオン結合部位)を有する。HNHドメインまたはHNH様ドメインは、標的核酸の1本鎖(たとえば、crRNAの標的鎖の相補鎖)を切断することができる。
RuvCドメインまたはRuvC様ドメインは、RNaseHの折り畳みまたはRNaseH様の折り畳みを有する。RuvCドメインまたはRNaseHドメインは、RNAとDNAの両方に対する作用など、核酸に基づく多様な一連の機能に関与している。RNaseHドメインは、複数のαヘリックスに囲まれた5本のβ鎖を有する。RuvCドメインもしくはRNaseHドメインまたはRuvC様ドメインもしくはRNaseH様ドメインは、金属結合部位(たとえば、二価カチオン結合部位)を有する。RuvCドメインもしくはRNaseHドメインまたはRuvC様ドメインもしくはRNaseH様ドメインは、標的核酸の一本鎖(たとえば、二本鎖標的DNAの非相補鎖)を切断することができる。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、典型的な野生型部位指向性ポリペプチド([たとえば、S.pyogenes由来のCas9、US2014/0068797に記載の配列番号8、またはSapranauskas , R. et al. (2011). Nucleic Acids Res, 39(21): 9275-9282に記載のCas9]、およびその他の様々な部位指向性ポリペプチド)と、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、典型的な野生型の部位指向性ポリペプチド(たとえばS.pyogenes由来のCas9(上掲))のヌクレアーゼドメインと、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、10個の連続するアミノ酸において、野生型の部位指向性ポリペプチド(たとえば前記のS.pyogenes由来のCas9)と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%または100%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、10個の連続するアミノ酸において、野生型の部位指向性ポリペプチド(たとえば前記のS.pyogenes由来のCas9)と、最大でも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%または100%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドのHNHヌクレアーゼドメインは、10個の連続するアミノ酸において、野生型の部位指向性ポリペプチド(たとえば前記のS.pyogenes由来のCas9)と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%または100%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドのHNHヌクレアーゼドメインは、10個の連続するアミノ酸において、野生型の部位指向性ポリペプチド(たとえば前記のS.pyogenes由来のCas9)と、最大でも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%または100%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドのRuvC ヌクレアーゼドメインは、10個の連続するアミノ酸において、野生型の部位指向性ポリペプチド(たとえば前記のS.pyogenes由来のCas9)と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%または100%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドのRuvCヌクレアーゼドメインは、10個の連続するアミノ酸において、野生型の部位指向性ポリペプチド(たとえば前記のS.pyogenes由来のCas9)と、最大でも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%または100%の同一性を有する。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、典型的な野生型部位指向性ポリペプチドの修飾形態を有する。典型的な野生型部位指向性ポリペプチドの修飾形態は、部位指向性ポリペプチドの核酸切断活性を低下させる変異を有する。いくつかの実施形態において、典型的な野生型部位指向性ポリペプチドの修飾形態は、典型的な野生型部位指向性ポリペプチド(たとえば、前記のS.pyogenes由来のCas9)の核酸切断活性の90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満の核酸切断活性(ただしゼロではない)を有する。また、部位指向性ポリペプチドの修飾形態は、核酸切断活性を実質的に有していない場合もある。部位指向性ポリペプチドが、核酸切断活性を実質的に有していない修飾形態である場合、このような修飾形態を本明細書では「酵素的に不活性」と呼ぶ。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドの修飾形態は、(たとえば、二本鎖の標的核酸の糖-リン酸骨格の1つのみを切断することによって)標的核酸上で一本鎖切断(SSB)を誘導することができる変異を有する。いくつかの実施形態において、この変異によって、野生型部位指向性ポリペプチド(たとえば、上記のS.pyogenes由来のCas9)の複数の核酸切断ドメインのうちの1つ以上における核酸切断活性の90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満の核酸切断活性(ただしゼロではない)となる。いくつかの実施形態において、前記変異によって、複数の核酸切断ドメインのうちの1つ以上は、標的核酸の相補鎖を切断する能力を保持しながらも、標的核酸の非相補鎖を切断する能力が低下する。いくつかの実施形態において、前記変異によって、複数の核酸切断ドメインのうちの1つ以上は、標的核酸の非相補鎖を切断する能力を保持しながらも、標的核酸の相補鎖を切断する能力が低下する。たとえば、Asp10、His840、Asn854、Asn856などの、典型的な野生型S.pyogenes Cas9ポリペプチドの残基において、複数の核酸切断ドメイン(たとえばヌクレアーゼドメイン)のうちの1つ以上が不活化される変異が生じる。いくつかの実施形態において、変異が誘導される残基は、(たとえば、配列および/または構造のアライメントによって決定した場合)典型的な野生型S.pyogenes由来のCas9ポリペプチドのAsp10残基、His840残基、Asn854残基、およびAsn856残基に対応する。このような変異の例として、D10A、H840A、N854A、またはN856Aが挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、アラニン置換以外の変異が適切であることを理解するであろう。
いくつかの実施形態において、D10A変異は、H840A変異、N854A変異およびN856A変異のうちの1つ以上と組み合わせることにより、DNA切断活性を実質的に欠く部位指向性ポリペプチドを生成する。いくつかの実施形態において、H840A変異は、D10A変異、N854A変異およびN856A変異のうちの1つ以上と組み合わせることにより、DNA切断活性を実質的に欠く部位指向性ポリペプチドを生成する。いくつかの実施形態において、N854A変異は、H840A変異、D10A変異およびN856A変異のうちの1つ以上と組み合わせることにより、DNA切断活性を実質的に欠く部位指向性ポリペプチドを生成する。いくつかの実施形態において、N856A変異は、H840A変異、N854A変異およびD10A変異のうちの1つ以上と組み合わせることにより、DNA切断活性を実質的に欠く部位指向性ポリペプチドを生成する。実質的に不活性な1つのヌクレアーゼドメインを有する部位指向性ポリペプチドは、「ニッカーゼ」と呼ばれる。
いくつかの実施形態において、RNA誘導性エンドヌクレアーゼ(たとえばCas9)のバリアントを使用して、CRISPRを介したゲノム編集の特異性を高めることができる。野生型Casエンドヌクレアーゼは、一般に、標的配列中の特定の約20個のヌクレオチドからなる配列(内在性ゲノム遺伝子座など)とハイブリダイズするように設計された単鎖ガイドRNAによって先導される。しかしながら、ガイドRNAと標的遺伝子座の間では数個のミスマッチは許容されうることから、標的部位で必要とされる相同配列の長さが、たとえば13ntほどの相同配列にまで効率良く短縮され、それによって、CRISPR/Cas複合体が標的ゲノムの他の場所に結合して二本鎖核酸を切断する可能性が高まる場合がある。これは、オフターゲット切断としても知られている。一方、Casエンドヌクレアーゼのニッカーゼバリアントはそれぞれ1本の鎖のみを切断するため、二本鎖切断を生じるには、一対のニッカーゼが、標的核酸の向かい合った鎖上で近接して結合する必要があり、それによって一対のニックが作製され、二本鎖切断が生じる。これには、2つの別々のガイドRNA(各ニッカーゼにつき1つ)が、標的核酸の向かい合った鎖上で近接して結合する必要がある。この要件に従うと、二本鎖切断を生じるために必要な相同配列の最短長は実質的に2倍になり、その結果、2つのガイドRNA部位は(これらが存在する場合)、二本鎖切断部分を生じることができるほど互いに十分に接近している可能性は低くなることから、二本鎖切断がゲノムのその他の場所で生じる可能性を低減することができる。当技術分野で報告されているように、ニッカーゼは、NHEJよりもHDRを促進するために使用することもできる。所望の変更を効果的に仲介する特定のドナー配列を使用してHDRを行うことにより、選択した変更をゲノムの標的部位に導入することができる。遺伝子編集で使用するための様々なCRISPR/Casシステムの説明は、たとえば、WO2013/176772およびSander, J. D. et al. (2014). Nature Biotechnology, 32(4):347-355、ならびにこれらの文献で引用されている参考文献に記載されている。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチド(たとえば、部位指向性ポリペプチドのバリアント、部位指向性ポリペプチドの変異体、酵素的に不活性な部位指向性ポリペプチド、または特定の条件下で酵素的に不活性な部位指向性ポリペプチド)は、核酸を標的とする。いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチド(たとえば、エンドリボヌクレアーゼのバリアント、エンドリボヌクレアーゼの変異体、酵素的に不活性なエンドリボヌクレアーゼ、または特定の条件下で酵素的に不活性なエンドリボヌクレアーゼ)は、DNAを標的とする。いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチド(たとえば、エンドリボヌクレアーゼのバリアント、エンドリボヌクレアーゼの変異体、酵素的に不活性なエンドリボヌクレアーゼ、または特定の条件下で酵素的に不活性なエンドリボヌクレアーゼ)は、RNAを標的とする。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、1つ以上の非天然配列を有する(たとえば、部位指向性ポリペプチドは融合タンパク質である)。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、細菌(たとえばS.pyogenes)に由来するCasエンドヌクレアーゼと少なくとも15%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、核酸結合ドメイン、および2つの核酸切断ドメイン(たとえばHNHドメインおよびRuvCドメインなど)を有する。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、細菌(たとえばS.pyogenes)に由来するCasエンドヌクレアーゼと少なくとも15%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、および2つの核酸切断ドメイン(たとえばHNHドメインおよびRuvCドメインなど)を有する。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、細菌(たとえばS.pyogenes)に由来するCasエンドヌクレアーゼと少なくとも15%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、および2つの核酸切断ドメインを有し、該核酸切断ドメインの一方または両方が、細菌(たとえばS.pyogenes)に由来するCasエンドヌクレアーゼのヌクレアーゼドメインと少なくとも50%のアミノ酸同一性を有する。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、細菌(たとえばS.pyogenes)に由来するCasエンドヌクレアーゼと少なくとも15%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、2つの核酸切断ドメイン(たとえばHNHドメインおよびRuvCドメインなど)、および非天然配列(たとえば核移行シグナル)または部位指向性ポリペプチドを非天然配列に連結するリンカーを有する。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、細菌(たとえばS.pyogenes)に由来するCasエンドヌクレアーゼと少なくとも15%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、および2つの核酸切断ドメイン(たとえばHNHドメインおよびRuvCドメインなど)を有し、該核酸切断ドメインの一方または両方に、これらのヌクレアーゼドメインの切断活性を少なくとも50%低下させる変異を有する。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、細菌(たとえばS.pyogenes)に由来するCasエンドヌクレアーゼと少なくとも15%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列、および2つの核酸切断ドメイン(たとえばHNHドメインおよびRuvCドメインなど)を有し、該ヌクレアーゼドメインの一方の10番目のアスパラギン酸に変異を有し、かつ/または該ヌクレアーゼドメインの一方の840番目のヒスチジンに変異を有し、この変異によって該ヌクレアーゼドメインの切断活性が少なくとも50%低下する。
いくつかの実施形態において、1つ以上の部位指向性ポリペプチド(たとえばDNAエンドヌクレアーゼ)は、2つのニッカーゼを含み、これらは協働してゲノム内の特定の遺伝子座に1つの二本鎖切断を生じ、あるいは、1つ以上の部位指向性ポリペプチドは、4つのニッカーゼを含み、これらは協働してゲノム内の特定の遺伝子座に2つの二本鎖切断を生じる。あるいは、1つの部位指向性ポリペプチド(たとえばDNAエンドヌクレアーゼ)は、ゲノムの特定の遺伝子座において1つの二本鎖切断に作用する。
いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ゲノムの編集に使用することができる。このような実施形態のいくつかにおいて、部位指向性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の方法に従って、目的の標的DNAを含む細胞における発現のためにコドン最適化されている。たとえば、目的とする標的核酸がヒト細胞内に存在する場合、Casエンドヌクレアーゼ(たとえばCas9)をコードするポリヌクレオチドをヒトのコドンに対して最適化し、これを使用してCasエンドヌクレアーゼポリペプチドを作製することが想定される。
以下、本開示の様々な実施形態で使用することができる部位指向性ポリペプチドのいくつかの例を提供する。
CRISPRエンドヌクレアーゼシステム
CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)のゲノム遺伝子座は、多くの原核生物(細菌や古細菌など)のゲノムに見出すことができる。原核生物では、CRISPR遺伝子座は、ウイルスやファージなどの外来侵入物からの原核生物の防御に有用な免疫系の一種として機能する生成物をコードする。CRISPR遺伝子座の機能には3つの段階があり、CRISPR遺伝子座への新たな配列の組み込み、CRISPR RNA(crRNA)の発現、および外来侵入核酸のサイレンシングからなる。5つの種類のCRISPRシステム(たとえば、I型、II型、III型、U型、およびV型)が同定されている。
CRISPR遺伝子座には、「反復配列」と呼ばれる短い反復配列が多数含まれている。反復配列は、発現すると、二次ヘアピン構造(たとえばヘアピン)および/または一定の構造をとっていない一本鎖配列を形成することができる。反復配列は、通常、クラスターとして発生し、生物種間で様々に異なっている。反復配列は、「スペーサー」と呼ばれるユニークな介在配列で一定の間隔が設けられ、反復配列-スペーサー-反復配列という構造を有する遺伝子座が形成される。スペーサーは、既知の外来侵入配列と同一であるか、または高い相同性を有する。スペーサーと反復配列からなるユニットは、crisprRNA(crRNA)をコードし、これがプロセシングされて、スペーサーと反復配列からなるユニットの成熟形態が得られる。crRNAは、標的核酸の標的化に関与する「シード」配列またはスペーサー配列を有する(原核生物に天然の形態では、スペーサー配列は外来侵入物の核酸を標的とする)。スペーサー配列は、crRNAの5’末端または3’末端に位置する。
CRISPR遺伝子座は、CRISPR関連(Cas)遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列をさらに有する。Cas遺伝子は、原核生物におけるcrRNA機能の生合成段階および干渉段階に関与するエンドヌクレアーゼをコードする。いくつかのCas遺伝子は、相同的な二次および/または三次構造を有する。
II型CRISPRシステム
自然界のII型CRISPRシステムにおけるcrRNAの生合成では、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)が必要とされる。tracrRNAは内在性RNaseIIIによって修飾され、次いでpre-crRNAアレイのcrRNA反復配列にハイブリダイズする。内在性RNaseIIIが、pre-crRNAの切断ために動員される。切断されたcrRNAは、エキソリボヌクレアーゼによりトリミングされ(たとえば、5’末端のトリミング)、成熟形態のcrRNAを生成する。tracrRNAは、crRNAにハイブリダイズしたまま残り、tracrRNAとcrRNAが、部位指向性ポリペプチド(たとえばCas9などのCasエンドヌクレアーゼ)と会合する。crRNA-tracrRNA-Cas複合体では、crRNAがハイブリダイズできる標的核酸へと該複合体がcrRNAにより先導される。crRNAが標的核酸にハイブリダイズすることによって、Casエンドヌクレアーゼが活性化されて、標的核酸を切断する。II型CRISPRシステムにおける標的核酸は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と呼ばれる。実際、PAMは、標的核酸への部位指向性ポリペプチド(たとえばCas9)の結合を促すために必須である。II型システム(NmeniまたはCASS4とも呼ばれる)は、II-A型(CASS4)とII-B型(CASS4a)にさらに細分化される。Jinek, M. et al. (2012). Science, 337(6096):816-821では、RNAでプログラム可能なゲノム編集にCRISPR/Cas9システムが有用であることが示されており、さらにWO 2013/176772では、部位指向性遺伝子編集にCRISPR/Casエンドヌクレアーゼシステムを使用した多数の例と適用が記載されている。
V型CRISPRシステム
V型のCRISPRシステムは、II型システムとはいくつかの重要な違いがある。たとえば、Cpf1は単鎖RNA誘導性エンドヌクレアーゼであるが、II型システムとは異なり、tracrRNAを欠く。実際、Cpf1と会合したCRISPRアレイは、トランス活性化されたtracrRNAをさらに必要とすることなく、成熟したcrRNAにプロセシングされる。V型CRISPRアレイは、42~44ヌクレオチド長の短い成熟crRNAにプロセシングされ、各成熟crRNAは、19ヌクレオチド長の直接反復配列から始まり、その後に23~25ヌクレオチド長のスペーサー配列が続く。これとは対照的に、II型システムの成熟crRNAでは、20~24ヌクレオチド長のスペーサー配列から始まり、その後に約22ヌクレオチド長の直接反復配列が続く。また、Cpf1は、Tリッチのプロトスペーサー隣接モチーフを利用することにより、この短いTリッチPAMの後に続く標的DNAがCpf1-crRNA複合体によって効率的に切断される。これは、II型システムにおいて、標的DNAに続くGリッチのPAMが利用されることとは対照的である。したがって、V型システムはPAMから離れた位置で標的を切断し、II型システムはPAMに隣接する位置で標的を切断する。さらに、II型システムとは対照的に、Cpf1は、ずれた位置でDNA二本鎖を切断することから、4ヌクレオチド長または5ヌクレオチド長の5’末端突出を形成する。これに対して、II型システムによる二本鎖切断では、平滑末端が形成される。Cpf1は、II型システムと同様に、RuvC様エンドヌクレアーゼドメインを含むと予測されているが、II型システムとは異なり、第2のHNHエンドヌクレアーゼドメインを持たない。
Cas遺伝子/ポリペプチドおよびプロトスペーサー隣接モチーフ
典型的なCRISPR/Casポリペプチドとして、Fonfara, I. et al. (2014). Nucleic Acids Res., 42(4):2577-2590の図1に示されるCas9ポリペプチドが挙げられる。CRISPR/Cas遺伝子の命名システムは、Cas遺伝子が発見されて以来、大幅に改訂が重ねられている。上掲のFonfaraらによる図5で、様々な生物種に由来するCas9ポリペプチド用のPAM配列が示されている。
ゲノム標的化核酸と部位指向性ポリペプチドの複合体
ゲノム標的化核酸は、部位指向性ポリペプチド(たとえばCas9などの核酸誘導性ヌクレアーゼ)と相互作用することにより、複合体を形成する。ゲノム標的化核酸(たとえばgRNA)は、部位指向性ポリペプチドを標的核酸に先導する。
前述したように、いくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドとゲノム標的化核酸は、それぞれ別々に細胞または対象に投与することができる。一方、別のいくつかの実施形態において、部位指向性ポリペプチドは、1つ以上のガイドRNAとあらかじめ複合体化することができ、あるいは部位指向性ポリペプチドは、tracrRNAおよび1つ以上のcrRNAとあらかじめ複合体化することができる。あらかじめ複合体化した材料を細胞または対象に投与することができる。このようなあらかじめ複合体化された材料は、リボ核タンパク質粒子(RNP)として知られている。
ゲノムの編集方法
FOXP3タンパク質またはその機能性誘導体の発現を必要とする生物において、FOXP3タンパク質またはその機能性誘導体を発現させる方法の1つとして、内在性FOXP3遺伝子または関連する細胞種(たとえばT細胞)において十分に発現される非FOXP3遺伝子に、FOXP3タンパク質をコードするコード配列を含む核酸が組み込まれるようにゲノム編集により標的化し、それによって、組み込まれたコード配列の発現を、内在性FOXP3遺伝子または非FOXP3遺伝子の内在性プロモーターにより誘導する方法が挙げられる。非FOXP3遺伝子が標的化されるいくつかの実施形態において、非FOXP3遺伝子の発現は、関連しない細胞種での発現を防ぐため、標的化される細胞種(たとえばCD34+造血幹細胞などのCD34+細胞、またはそれに由来する細胞(たとえば、T細胞))に特異的であることが望ましい。
いくつかの実施形態において、ノックイン法は、野生型FOXP3遺伝子(たとえば、野生型ヒトFOXP3遺伝子)、FOXP3 cDNAまたはFOXP3ミニ遺伝子(天然または合成のエンハンサーおよびプロモーター、1つ以上のエキソン、天然または合成のイントロン、および天然または合成の3’UTRおよびポリアデニル化シグナルを有する)などの、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする配列をゲノム配列にノックインすることを含む。いくつかの実施形態において、FOXP3をコードする配列が挿入されているゲノム配列は、FOXP3遺伝子に存在するか、FOXP3遺伝子内に存在するか、FOXP3遺伝子の近傍に存在する。いくつかの実施形態において、FOXP3をコードする配列が挿入されているゲノム配列は、FOXP3遺伝子のエキソン1に存在するか、FOXP3遺伝子のエキソン1内に存在するか、FOXP3遺伝子のエキソン1の近傍に存在する。
本明細書で提供する実施形態のいくつかにおいて、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする配列をゲノムにノックインする方法を提供する。一態様において、本開示は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする配列を含む核酸の細胞ゲノムへの挿入を提供する。いくつかの実施形態において、FOXP3をコードする配列は、野生型FOXP3をコードする。FOXP3の機能性誘導体としては、野生型FOXP3(たとえば野生型ヒトFOXP3など)と実質的に同等な活性を有するFOXP3誘導体が挙げられ、たとえば、野生型FOXP3の活性の少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、40%もしくは少なくとも約40%、50%もしくは少なくとも約50%、60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは少なくとも約70%、80%もしくは少なくとも約80%、90%もしくは少なくとも約90%、95%もしくは少なくとも約95%または少なくとも100%もしくは少なくとも約100%の活性を示すFOXP3誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態において、FOXP3の機能性誘導体は、FOXP3(たとえば野生型のFOXP3)と、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、40%もしくは少なくとも約40%、50%もしくは少なくとも約50%、60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは少なくとも約70%、80%もしくは少なくとも約80%、85%もしくは少なくとも約85%、90%もしくは少なくとも約90%、95%もしくは少なくとも約95%、96%もしくは少なくとも約96%、97%もしくは少なくとも約97%、98%もしくは少なくとも約98%または99%もしくは少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、FOXP3は、イントロンを欠失するヌクレオチド配列(たとえばFOXP3 cDNA)によってコードされる。当業者であれば、当技術分野で公知の方法を使用して、FOXP3誘導体の機能性または活性を試験することができる。FOXP3の機能性誘導体として、野生型のFOXP3の全長の1つ以上のアミノ酸残基に保存的修飾を有する野生型FOXP3の断片を挙げることができる。したがって、いくつかの実施形態において、FOXP3の機能性誘導体をコードする核酸配列は、FOXP3をコードする核酸配列(たとえば野生型のFOXP3)と、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、40%もしくは少なくとも約40%、50%もしくは少なくとも約50%、60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは少なくとも約70%、80%もしくは少なくとも約80%、85%もしくは少なくとも約85%、90%もしくは少なくとも約90%、95%もしくは少なくとも約95%、96%もしくは少なくとも約96%、97%もしくは少なくとも約97%、98%もしくは少なくとも約98%または99%もしくは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有していてもよい。いくつかの実施形態において、FOXP3またはその機能性バリアントは、ヒト野生型FOXP3である。
いくつかの実施形態において、ゲノム編集方法は、CRISPR/CasエンドヌクレアーゼなどのDNAエンドヌクレアーゼを利用して、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする配列を遺伝的に導入する(ノックイン)。いくつかの実施形態において、前記DNAエンドヌクレアーゼは、Cas1エンドヌクレアーゼ、Cas1Bエンドヌクレアーゼ、Cas2エンドヌクレアーゼ、Cas3エンドヌクレアーゼ、Cas4エンドヌクレアーゼ、Cas5エンドヌクレアーゼ、Cas6エンドヌクレアーゼ、Cas7エンドヌクレアーゼ、Cas8エンドヌクレアーゼ、Cas9エンドヌクレアーゼ(Csn1およびCsx12としても知られている)、Cas100エンドヌクレアーゼ、Csy1エンドヌクレアーゼ、Csy2エンドヌクレアーゼ、Csy3エンドヌクレアーゼ、Cse1エンドヌクレアーゼ、Cse2エンドヌクレアーゼ、Csc1エンドヌクレアーゼ、Csc2エンドヌクレアーゼ、Csa5エンドヌクレアーゼ、Csn2エンドヌクレアーゼ、Csm2エンドヌクレアーゼ、Csm3エンドヌクレアーゼ、Csm4エンドヌクレアーゼ、Csm5エンドヌクレアーゼ、Csm6エンドヌクレアーゼ、Cmr1エンドヌクレアーゼ、Cmr3エンドヌクレアーゼ、Cmr4エンドヌクレアーゼ、Cmr5エンドヌクレアーゼ、Cmr6エンドヌクレアーゼ、Csb1エンドヌクレアーゼ、Csb2エンドヌクレアーゼ、Csb3エンドヌクレアーゼ、Csx17エンドヌクレアーゼ、Csx14エンドヌクレアーゼ、Csx10エンドヌクレアーゼ、Csx16エンドヌクレアーゼ、CsaXエンドヌクレアーゼ、Csx3エンドヌクレアーゼ、Csx1エンドヌクレアーゼ、Csx15エンドヌクレアーゼ、Csf1エンドヌクレアーゼ、Csf2エンドヌクレアーゼ、Csf3エンドヌクレアーゼ、Csf4エンドヌクレアーゼ、もしくはCpf1エンドヌクレアーゼ、これらのホモログ、天然分子の組換え体、これらがコドン最適化もしくは修飾されたもの、またはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記DNAエンドヌクレアーゼはCas9である。いくつかの実施形態において、前記Cas9は、化膿レンサ球菌由来のCas9(spCas9)である。いくつかの実施形態において、前記Cas9は、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)由来のCas9(SluCas9)である。
いくつかの実施形態において、ゲノム編集の対象となる細胞は、変異を有していない正常細胞における発現と比較して内在性FOXP3遺伝子の発現が低下する1つ以上の変異をゲノムに有する。正常細胞は、FOXP3遺伝子異常を有していない別の対象に由来する(から単離された)健常な細胞またはコントロール細胞であってもよい。いくつかの実施形態において、ゲノム編集の対象となる細胞は、FOXP3遺伝子関連状態またはFOXP3遺伝子関連障害の治療を必要とする対象(たとえば自己免疫障害(たとえばIPEX症候群)に罹患した対象)に由来する(から単離された)細胞であってもよい。したがって、いくつかの実施形態において、このような細胞における内在性FOXP3遺伝子の発現は、正常細胞における内在性FOXP3遺伝子の発現と比較して、10%もしくは約10%、20%もしくは約20%、30%もしくは約30%、40%もしくは約40%、50%もしくは約50%、60%もしくは約60%、70%もしくは約70%、80%もしくは約80%、90%もしくは約90%、または100%もしくは約100%低下している。
いくつかの実施形態において、
CD34+細胞のゲノムを編集する方法であって、
(a)Cas DNAエンドヌクレアーゼ(たとえばCas9エンドヌクレアーゼ)または該Cas DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸;
(b)前記細胞のゲノム内のFOXP3遺伝子または非FOXP3遺伝子座(たとえばAAVS1)に前記Cas DNAエンドヌクレアーゼを標的化することができるgRNA(たとえばsgRNA)または該gRNAをコードする核酸;および
(c)FOXP3のコード配列を含むドナー鋳型
をCD34+細胞に提供する工程を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、前記Cas DNAエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼ(たとえば化膿レンサ球菌由来のCas9エンドヌクレアーゼ)である。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、FOXP3遺伝子中の標的配列に相補的なスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、FOXP3遺伝子のエキソン1内の標的配列に相補的なスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号1~7および27~29のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号1~7および27~29のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する該スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号1~7のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号1~7のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号2、3および5のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号2、3および5のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、非FOXP3遺伝子座(たとえばAAVS1)中の標的配列に相補的なスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号15~20のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号15~20のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、FOXP3のコード配列は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする。いくつかの実施形態において、FOXP3のコード配列はFOXP3 cDNAである。代表的なFOXP3 cDNA配列は、配列番号34のヌクレオチド配列を有するAAVドナー鋳型に含まれていてもよい。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記CD34+細胞に前記Cas DNAエンドヌクレアーゼを提供する工程を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記Cas DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸を前記CD34+細胞に提供する工程を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記gRNAを前記CD34+細胞に提供する工程を含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAはsgRNAである。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記gRNAをコードする核酸を前記CD34+細胞に提供する工程を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、1つ以上のさらなるgRNAまたは該1つ以上のさらなるgRNAをコードする核酸を前記CD34+細胞に提供する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞のゲノムを編集する方法のいずれかによれば、前記DNAエンドヌクレアーゼは、Cas9である。いくつかの実施形態において、前記Cas9は、化膿レンサ球菌由来のCas9(spCas9)である。いくつかの実施形態において、前記Cas9は、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)由来のCas9(SluCas9)である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞のゲノムを編集する方法のいずれかによれば、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列は、前記細胞における発現のためにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態において、前記細胞はヒト細胞である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞のゲノムを編集する方法のいずれかによれば、該方法は、DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸を使用する。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼをコードする前記核酸は、前記細胞における発現のためにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ヒト細胞、たとえばヒトCD34+細胞である。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼをコードする前記核酸は、DNA(DNAプラスミドなど)である。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼをコードする前記核酸は、RNA(mRNAなど)である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞のゲノムを編集する方法のいずれかによれば、前記ドナー鋳型は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナーカセットを含み、該ドナー鋳型は、前記(b)のgRNAにより標的化された前記ゲノム遺伝子座に、前記ドナーカセットが相同組換え修復(HDR)により組み込まれるように構成されている。いくつかの実施形態において、標的化されたゲノム遺伝子座の配列に対応する相同アームがドナーカセットを挟んで両側に配置される。いくつかの実施形態において、相同アームの長さは、少なくとも0.2kbまたは少なくとも約0.2kb(たとえば、少なくとも0.3kb、少なくとも0.4kb、少なくとも0.5kb、少なくとも0.6kb、少なくとも0.7kb、少なくとも0.8kb、少なくとも0.9kb、少なくとも1kbもしくは少なくともそれ以上、または少なくとも約0.3kb、少なくとも約0.4kb、少なくとも約0.5kb、少なくとも約0.6kb、少なくとも約0.7kb、少なくとも約0.8kb、少なくとも約0.9kb、少なくとも約1kbもしくは少なくともそれ以上)である。いくつかの実施形態において、相同アームの長さは、少なくとも0.8kbまたは少なくとも約0.8kbである。典型的な相同アームは、配列番号34または161の配列を有するドナー鋳型に含まれる相同アームを含む。典型的なドナー鋳型として、配列番号34または161の配列を有するドナー鋳型が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記ドナー鋳型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、AAV6ベクターである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞のゲノムを編集する方法のいずれかによれば、前記ドナー鋳型は、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナーカセットを含み、該ドナー鋳型は、前記(b)のgRNAにより標的化された前記ゲノム遺伝子座に、前記ドナーカセットが非相同末端結合(NHEJ)により組み込まれるように構成されている。いくつかの実施形態において、ドナーカセットの片側または両側にgRNA標的部位が隣接して配置される。いくつかの実施形態において、ドナーカセットの両側にgRNA標的部位が隣接して配置される。いくつかの実施形態において、gRNA標的部位は、前記システムに含まれるgRNAの標的部位である。いくつかの実施形態において、ドナー鋳型のgRNA標的部位は、前記システムに含まれるgRNAが標的とする細胞ゲノムgRNA標的部位の逆相補鎖である。いくつかの実施形態では、前記ドナー鋳型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、AAV6ベクターである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞のゲノムを編集する方法のいずれかによれば、前記DNAエンドヌクレアーゼまたは該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸は、リポソームまたは脂質ナノ粒子への内包化により製剤化される。いくつかの実施形態において、前記リポソームまたは前記脂質ナノ粒子はgRNAをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記リポソームまたは前記脂質ナノ粒子は、脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、前記方法は、DNAエンドヌクレアーゼおよびgRNAをコードする核酸を含む脂質ナノ粒子を使用する。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼをコードする前記核酸は、DNAエンドヌクレアーゼをコードするmRNAである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞のゲノムを編集する方法のいずれかによれば、前記DNAエンドヌクレアーゼは、gRNAとあらかじめ複合体化されて、リボ核タンパク質(RNP)複合体を形成する。いくつかの実施形態において、前記RNP複合体は、エレクトロポレーションによって前記細胞に提供される。いくつかの実施形態において、ドナー鋳型は、AAVベクター(たとえばAAV6ベクター)にコードされたAAVドナー鋳型である。いくつかの実施形態において、前記RNP複合体が細胞に提供されるのと同時またはそれとほぼ同時に、前記AAVドナー鋳型が前記細胞に提供される。たとえば、いくつかの実施形態において、前記RNP複合体が前記細胞にエレクトロポレーションされ、同日にAAVドナー鋳型が形質導入される。いくつかの実施形態において、前記細胞に前記RNP複合体がエレクトロポレーションされ、AAVドナー鋳型が形質導入されるが、このエレクトロポレーションと形質導入の時間差は12時間以内もしくは約12時間以内(たとえば、11時間以内もしくは約11時間以内、10時間以内もしくは約10時間以内、9時間以内もしくは約9時間以内、8時間以内もしくは約8時間以内、7時間以内もしくは約7時間以内、6時間以内もしくは約6時間以内、5時間以内もしくは約5時間以内、4時間以内もしくは約4時間以内、3時間以内もしくは約3時間以内、2時間以内もしくは約2時間以内、1時間以内もしくは約1時間またはこれら以下)である。いくつかの実施形態において、前記RNP複合体を前記細胞にエレクトロポレーションした後、該細胞を播種し、AAVドナー鋳型で該細胞を形質導入する。いくつかの実施形態において、前記細胞は、RNPおよびAAVドナー鋳型を提供する前に、サイトカイン(たとえば、TPO、SCF、FLT3LもしくはIL6またはこれらの任意の組み合わせ)および/またはHSCの増殖または自己複製を促進することができる低分子(たとえばUM171またはStemRegenin(SR1))の存在下で前刺激される。いくつかの実施形態において、前刺激は、少なくとも12時間または少なくとも約12時間かけて実施される(たとえば、16時間もしくは約16時間、20時間もしくは約20時間、24時間もしくは約24時間、36時間もしくは約36時間、48時間もしくは約48時間、またはそれ以上かけて実施される)。いくつかの実施形態において、前刺激は、少なくとも48時間または少なくとも約48時間かけて実施される。いくつかの実施形態において、前刺激は、前記細胞を含む細胞組成物中で実施され、細胞組成物および/または培地中の前記細胞の濃度は、細胞組成物中の前記細胞の少なくとも10%または少なくとも約10%(たとえば、少なくとも20%もしくは少なくとも約20%、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、または少なくとも50%もしくは少なくとも約50%)が、前刺激の終了後も静止状態のまま留まることができる濃度である。いくつかの実施形態において、前記細胞組成物中の前記細胞の10%~60%もしくは約10%~約60%(たとえば、10%~50%もしくは約10%~約50%、10%~40%もしくは約10%~約40%、または10%~30%もしくは約10%~約30%)は、前刺激の終了後も静止状態のまま留まる。いくつかの実施形態において、前記細胞組成物中の前記細胞の濃度は、5×105個/ml以下または約5×105個/ml以下(たとえば、4×105個/ml以下もしくは約4×105個以下、3×105個/ml以下もしくは約3×105個以下、2.5×105個/ml以下もしくは約2.5×105個以下、2×105個/ml以下もしくは約2×105個以下、1×105個/ml以下もしくは約1×105個以下、0.5×105個/ml以下もしくは約0.5×105個以下、またはこれらより低い濃度)である。いくつかの実施形態において、前記細胞組成物中の前記細胞の濃度は、2.5×105個/ml以下または約2.5×105個/ml以下である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞のゲノムを編集する方法のいずれかによれば、細胞ゲノム内のFOXP3遺伝子へのドナー鋳型の標的化された組み込みの頻度は、0.1%~99%もしくは約0.1%~約99%である。いくつかの実施形態において、標的化された組み込みの頻度は、2%~70%または約2%~約70%(たとえば、2%~65%もしくは約2%~約65%、2%~55%もしくは約2%~約55%、3%~70%もしくは約3%~約70%、5%~70%もしくは約5%~約70%、5%~60%もしくは約5%~約60%、5%~50%もしくは約5%~約50%、10%~60%もしくは約10%~約60%、または10%~50%もしくは約10%~約50%)である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、対象(ヒト対象など)の細胞である。
標的配列の選択
いくつかの実施形態において、特定の参照遺伝子座に対して5’末端の境界の位置もしくは3’末端の境界の位置またはその両方の位置を移動させて、遺伝子編集の特定の適用を容易にしたり、増強したりすることができ、本明細書でさらに説明および図示するように、これは、遺伝子編集を行うために選択されるエンドヌクレアーゼシステムに部分的に依存する。
このような標的配列の選択の第1の態様において(ただしこれに限定されない)、多くのエンドヌクレアーゼシステムでは、切断可能な標的部位を最初に選択する際の規則または基準があり、たとえば、CRISPR II型またはV型エンドヌクレアーゼの場合は、DNA切断部位に隣接する特定の位置のPAM配列モチーフに特定の要件が必要とされる。
標的配列の選択または最適化に関する別の態様において(ただしこれに限定されない)、標的配列と遺伝子編集エンドヌクレアーゼの特定の組み合わせによる「オフターゲット」活性の頻度(たとえば、選択した標的配列以外の部位で生じる二本鎖切断の頻度)は、オンターゲット活性の頻度に対して評価される。場合によっては、所望の遺伝子座で正確に編集された細胞は、その他の細胞と比較して選択的な利点を有しうる。選択的な利点の具体例として、複製速度の向上、持続性、特定の条件に対する耐性、対象へのインビボ導入後の生着の成功率または持続性の向上などの様々な属性の獲得、およびこのような細胞の数または生存能力の維持または向上に関連するその他の属性の獲得が挙げられるが、これらに限定されない。別の場合、所望の遺伝子座において正確に編集された細胞は、正確に編集された細胞の同定、選別またはその他の目的での選択に使用される1種以上のスクリーニング方法によって陽性細胞として選択することができる。選択的な利点と指向的な選択方法では、修正に関連した表現型を利用することができる。いくつかの実施形態において、細胞を2回以上編集して、意図する細胞集団の選択または精製に使用される新しい表現型を作製するための第2の修飾を作製することができる。このような第2の修飾は、選択マーカーまたはスクリーニングマーカーのための第2のgRNAを追加することによって作製することができる。場合によっては、cDNAと選択マーカーを含むDNA断片を使用して、所望の遺伝子座において細胞を正確に編集することができる。
実施形態において、特定の場合に選択的な利点が適用可能であるか、指向的な選択が適用されるのかにかかわらず、選択的な利点または指向的な選択の適用の有効性を向上し、かつ/または所望の標的以外の部位での望ましくない変更の可能性を低減するため、オフターゲット頻度を考慮して標的配列が選択される。本明細書および当技術分野においてさらに詳しく説明および図解されているように、オフターゲット活性は様々な要因の影響を受けて発生し、このような要因として、標的部位と様々なオフターゲット部位の間の類似性および相違性、および使用される特定のエンドヌクレアーゼが挙げられる。オフターゲット活性の予測を支援するバイオインフォマティクスツールが利用可能であり、多くの場合、そのようなツールを使用して、オフターゲット活性が起こる可能性が最も高い部位を同定することができ、このような予測や同定を実験により評価して、オンターゲット活性に対するオフターゲット活性の相対頻度を推定することができ、これによって、相対的なオンターゲット活性が高い配列の選択が可能となる。そのような技術の具体例が本明細書で提供されており、その他のものも当技術分野で知られている。
標的配列の選択の別の態様は、相同組換えイベントに関連する。相同領域を共有する配列は、介在配列を欠失させる相同組換えイベントにおいて中心的役割を果たしうる。このような組換えイベントは、染色体やその他のDNA配列の通常の複製過程で発生し、また、通常の細胞複製サイクルにおいて定期的に起こる二本鎖切断修復の際などの、DNA配列が合成されるその他の時点でも発生するが、様々なイベント(UV光やその他のDNA切断誘導物質など)の発生または特定の薬剤(様々な化学誘導物質など)の存在によっても増強されることがある。このような誘導物質の多くは、ゲノム内で二本鎖切断(DSB)を無差別に発生させ、正常細胞でもDSBは定期的に誘導され、修復されている。二本鎖切断の修復中に、元の配列を完全に忠実に再構築することができるが、場合によっては、DSB部位に短い挿入または欠失(「indel」と呼ばれる)が導入されることがある。
また、本明細書に記載のエンドヌクレアーゼシステムを使用した場合のように、二本鎖切断(DSB)を特定の位置に特異的に誘導することができ、これを利用して、選択された染色体の位置において指向的または選択的な遺伝子組換えイベントを起こすことができる。DNA修復(および複製)において、相同配列が組換えられる傾向は、様々な状況で利用することができ、CRISPRなどの遺伝子編集システムの適用のうちの1つの基礎をなすものであり、このような遺伝子編集システムでは、「ドナー」ポリヌクレオチドを使用することにより提供される目的の配列が、相同組換え修復により所望の染色体の特定の位置に挿入される。
特定の配列間の相同領域を使用して、所望の欠失を作製することができるが、この相同領域は、わずか10塩基対以下でありうる短い「マイクロホモロジー」領域である場合もある。たとえば、単一の二本鎖切断(DSB)が、近傍の配列とのマイクロホモロジーを示す部位に導入される。そのようなDSBの通常の修復過程では、介在配列の欠失が高頻度で発生し、これは、DSBおよびこれに付随する細胞修復プロセスによって促進される組換えの結果として起こる。
しかしながら、状況によっては、相同領域内で標的配列を選択すると、遺伝子融合(コード領域内での欠失)などのはるかに大きな欠失が生じる可能性もあり、このような結果は、特定の状況では、所望される場合と所望されない場合がある。
本明細書で提供される例では、FOXP3をコードする遺伝子を挿入するように設計されたDSBを作製するための様々な標的領域の選択、およびオンターゲットイベントに対するオフターゲットイベントが最小限に抑えられるように設計されたそのような領域内の特定の標的配列の選択をさらに説明している。いくつかの実施形態において、標的遺伝子座は、FOXP3遺伝子、AAVS1遺伝子座およびTRA遺伝子から選択される。
核酸の修飾
いくつかの実施形態において、本明細書で詳しく説明し、当技術分野でも知られているように、細胞に導入されるポリヌクレオチドは、たとえば、活性、安定性もしくは特異性の増強、送達の変更、宿主細胞の自然免疫応答の低減またはその他の増強のための、個別または組み合わせて利用可能な1つ以上の修飾を有する。
特定の実施形態において、修飾されたポリヌクレオチドは、CRISPR/Casシステム(たとえばCRISPR/Cas9システム)において使用され、この場合、細胞に導入されるガイドRNA(単一分子ガイドまたは二分子ガイド)および/またはCasエンドヌクレアーゼをコードするDNAもしくはRNAは、以下で説明および図示するように修飾することができる。このような修飾ポリヌクレオチドをCRISPR/Casシステムで使用して、1つ以上のゲノム遺伝子座を編集することができる。
このような一例としての用途を目的として(ただしこれに限定されない)CRISPR/Casシステムを使用する際に、ガイドRNAを修飾することにより、該ガイドRNAを含むCRISPR/Casゲノム編集複合体の形成または安定性を向上させることができるが、この複合体は、単一分子ガイドまたは二分子ガイドとCasエンドヌクレアーゼから形成されてもよい。別の方法では、ガイドRNAを修飾することにより、ゲノム編集複合体とゲノム内の標的配列の間の相互作用の開始、安定性または動態を向上させることができ、これは、たとえばオンターゲット活性を増強するために使用することができる。別の方法では、ガイドRNAを修飾することにより、特異性を向上させてもよく、たとえば、他の部位での効果(オフターゲット)と比較した場合の、オンターゲット部位における相対的なゲノム編集率を向上させることができる。
別の方法として、あるいは前記に加えて、たとえば、細胞中に存在するリボヌクレアーゼ(RNase)による分解に対するガイドRNAの耐性を修飾により向上させることによって、ガイドRNAの安定性を向上させることができ、その結果、細胞におけるガイドRNAの半減期を延長することができる。ガイドRNAの半減期を延長する修飾は、エンドヌクレアーゼを生成するために翻訳される必要があるRNAを使用してCasエンドヌクレアーゼが細胞に導入されて編集が行われる実施形態において特に有用でありうるが、この理由として、エンドヌクレアーゼをコードするRNAと同時に導入されるガイドRNAの半減期が延長されることを利用して、ガイドRNAとコードされたCasまたはCpf1エンドヌクレアーゼが細胞内で共存する時間を延長することができることが挙げられる。
別の方法として、あるいは前記に加えて、細胞に導入されたRNAが自然免疫応答を誘導する可能性またはその程度を低減するために修飾を利用することができる。本明細書において後述し、当技術分野でも知られているように、このような免疫応答は、低分子干渉RNA(siRNA)などのRNA干渉(RNAi)に関して十分に評価されており、RNAの半減期の短縮および/またはサイトカインもしくは免疫応答に関連するその他の因子の誘導に関連する傾向がある。
細胞に導入されるエンドヌクレアーゼをコードするRNAに1種以上の修飾を加えることも可能であり、このような修飾として、RNAの安定性を向上させる修飾(細胞内に存在するRNAseによる分解を増加させる修飾など)、生成物(たとえばエンドヌクレアーゼ)の翻訳を増強する修飾、および/または細胞に導入されたRNAが自然免疫応答を誘導する可能性またはその程度を低減させる修飾が挙げられるが、これらに限定されない。
前述した修飾やその他の修飾などの様々な修飾を組み合わせて同様に使用することができる。たとえば、CRISPR/Casの場合、ガイドRNAに1種以上の修飾を加えることができ(前記で例示したものを含む)、かつ/またはCasエンドヌクレアーゼをコードするRNAに1種以上の修飾を加えることができる(前記で例示したものを含む)。
送達
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法で使用される核酸分子、たとえば、本開示のゲノム標的化核酸または部位指向性ポリペプチドをコードする核酸は、細胞への送達用の送達担体の内部またはその表面にパッケージされる。想定される送達担体として、ナノスフェア、リポソーム、量子ドット、ナノ粒子、ポリエチレングリコール粒子、ヒドロゲル、またはミセルが挙げられるが、これらに限定されない。当技術分野で報告されているように、様々な標的化部分を使用して、このような担体と所望の細胞種または位置との選択的な相互作用を増強することができる。
本開示の複合体、ポリペプチドまたは核酸の細胞への導入は、ウイルスもしくはバクテリオファージの感染、トランスフェクション、接合、プロトプラスト融合、リポフェクション、エレクトロポレーション、ヌクレオフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレンイミン(PEI)を介したトランスフェクション、DEAE-デキストランを介したトランスフェクション、リポソームを介したトランスフェクション、パーティクルガン技術、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、またはナノ粒子を介した核酸送達などにより行うことができる。
実施形態において、ガイドRNAポリヌクレオチド(RNAまたはDNA)および/またはエンドヌクレアーゼポリヌクレオチド(RNAまたはDNA)は、当技術分野で公知のウイルスを使用した送達担体またはウイルスを使用しない送達担体によって送達することができる。別法として、単一または複数のエンドヌクレアーゼポリペプチドは、エレクトロポレーションまたは脂質ナノ粒子などの、当技術分野で公知のウイルスを使用した送達担体またはウイルスを使用しない送達担体によって送達することができる。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼは、1つ以上のポリペプチドとして、単独で送達することができ、あるいは1つ以上のガイドRNAとあらかじめ複合体化して送達することができ、またはtracrRNAおよび1つ以上のcrRNAとあらかじめ複合体化して送達することができる。
実施形態において、ポリヌクレオチドは、ウイルスを使用しない送達担体によって送達することができ、このようなウイルスを使用しない送達担体として、ナノ粒子、リポソーム、リボ核タンパク質、正帯電ペプチド、小分子RNAコンジュゲート、アプタマー-RNAキメラ、およびRNA融合タンパク質複合体が挙げられるが、これらに限定されない。ウイルスを使用しない送達担体のいくつかの具体例は、Peer, D. et al. (2011). Gene Therapy, 18: 1127-1133に記載されている(この文献は、その他のポリヌクレオチドの送達にも有用な、siRNA用の非ウイルス送達担体に焦点を当てている)。
実施形態において、ガイドRNA、sgRNA、またはエンドヌクレアーゼをコードするmRNAなどのポリヌクレオチドは、脂質ナノ粒子(LNP)によって細胞または対象に送達することができる。
ウイルスを使用しない核酸送達法が動物モデルとヒトの両方で試験されているが、最もよく開発されたシステムは脂質ナノ粒子である。脂質ナノ粒子(LNP)は、一般に、イオン化可能なカチオン性脂質と3種以上のさらなる構成要素で構成されており、このさらなる構成要素は、通常、コレステロール、DOPE、および脂質含有ポリエチレングリコール(PEG)である(たとえば実施例2を参照されたい)。カチオン性脂質は、正に帯電した核酸に結合して、核酸を分解から保護する稠密な複合体を形成することができる。マイクロ流体システムを通過する際に、各構成要素が自己集合して50~150nMのサイズの粒子を形成し、カチオン性脂質と複合体化したコアに核酸が封入されて、脂質二重層様構造に囲まれる。対象の循環系への注射後、これらの粒子はアポリポタンパク質E(apoE)に結合することができる。ApoEはLDL受容体のリガンドであり、受容体を介したエンドサイトーシスにより肝臓の肝細胞への取込みを仲介する。このタイプのLNPは、げっ歯類、霊長類またはヒトの肝臓の肝細胞にmRNAおよびsiRNAを効率的に送達できることが示されている。エンドサイトーシス後、LNPはエンドソームに存在する。封入された核酸は、カチオン性脂質のイオン化可能な性質によって、エンドソームを脱出する。これにより、核酸が細胞質に送達され、コードされたタンパク質へとmRNAが翻訳される。エンドソームからの脱出後、Cas mRNA(たとえばCas9 mRNA)はCasタンパク質に翻訳され、gRNAと複合体を形成することができる。いくつかの実施形態において、Casタンパク質配列に核局在化シグナルを含めることによって、Casタンパク質/gRNA複合体の核内移行が促進される。別法として、小さなgRNAは核膜孔複合体を通過し、核内のCasタンパク質と複合体を形成する。gRNA/Cas複合体が核内に入ると、ゲノムをスキャンして相同な標的部位を探し、ゲノム内の所望の標的部位で選択的に二本鎖切断を生成する。インビボでのRNA分子の半減期は一般に短く、数時間から数日程度である。同様に、タンパク質の半減期も短い傾向があり、数時間から数日程度である。したがって、いくつかの実施形態において、LNPを使用したgRNAおよびCas mRNAの送達は、gRNA/Cas複合体の一過性に過ぎない発現および活性をもたらすことができる。これは、オフターゲット切断の頻度を低減するという利点を提供することができ、したがって、いくつかの実施形態において遺伝毒性のリスクを最小限に抑えることができる。LNPは一般にウイルス粒子よりも免疫原性が低い。多くのヒトではAAVに対して免疫性を既に有しているが、LNPに対する既存の免疫性はない。さらに、LNPに対する適応免疫反応が発生する可能性は低く、LNPの反復投与が可能になる。
LNPにおいて使用するため、いくつかの種類のイオン化可能なカチオン性脂質が開発されている。このようなものとして、C12-200(Love, K. T. et al. (2010). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 107(5):1864-1869)、MC3、LN16、MD1などが挙げられる。LNPの1つのタイプでは、GalNac部分がLNPの外側に付加されており、アシアロ糖タンパク質受容体を介して肝臓に取り込むためのリガンドとして機能する。これらのカチオン性脂質のいずれかを使用して、gRNAおよびCas mRNAを肝臓に送達するためのLNPが製剤化される。
いくつかの実施形態において、LNPは、1000nm未満、500nm未満、250nm未満、200nm未満、150nm未満、100nm未満、75nm未満、50nm未満または25nm未満の直径を有する粒子を指す。あるいは、ナノ粒子のサイズは、1~1000nm、1~500nm、1~250nm、25~200nm、25~100nm、35~75nmまたは25~60nmの範囲であってもよい。
LNPは、カチオン性脂質、アニオン性脂質、または中性脂質から作製することができる。融合性リン脂質であるDOPEや膜構成要素であるコレステロールなどの中性脂質は、トランスフェクション活性とナノ粒子の安定性を高めるための「ヘルパー脂質」としてLNPに含めることができる。カチオン性脂質の制限事項として、安定性の低さと急速なクリアランスにより有効性が低いこと、および炎症反応または抗炎症反応が発生することが挙げられる。また、LNPは、疎水性脂質、親水性脂質、または疎水性脂質と親水性脂質の両方を有することができる。
当技術分野で公知の脂質またはその組み合わせであれば、どのようなものであってもLNPの作製に使用することができる。LNPの作製に使用される脂質の例としては、DOTMA、DOSPA、DOTAP、DMRIE、DC-コレステロール、DOTAP-コレステロール、GAP-DMORIE-DPyPEおよびGL67A-DOPE-DMPE-ポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。カチオン性脂質の例としては、98N12-5、C12-200、DLin-KC2-DMA(KC2)、DLin-MC3-DMA(MC3)、XTC、MD1および7C1が挙げられる。中性脂質の例としては、DPSC、DPPC、POPC、DOPEおよびSMが挙げられる。PEG修飾脂質の例としては、PEG-DMG、PEG-CerC14およびPEG-CerC20が挙げられる。
実施形態において、複数種の脂質を任意のモル数比で組み合わせてLNPを作製することができる。さらに、単一または複数のポリヌクレオチドと単一または複数の脂質を様々なモル比で組み合わせてLNPを作製することもできる。
実施形態において、部位指向性ポリペプチドとゲノム標的化核酸は、それぞれ別々に細胞または対象に投与することができる。一方、部位指向性ポリペプチドは、1つ以上のガイドRNAとあらかじめ複合体化することができ、あるいはtracrRNAおよび1つ以上のcrRNAとあらかじめ複合体化することができる。あらかじめ複合体化した材料を細胞または対象に投与することができる。このようなあらかじめ複合体化された材料は、リボ核タンパク質粒子(RNP)として知られている。
RNAは、別のRNAまたはDNAと特定の相互作用を形成することができる。この特性は多くの生物学的プロセスで利用されているが、核酸が豊富な細胞環境において無差別な相互作用が起こるリスクも伴う。この問題の解決策の1つとして、RNAをエンドヌクレアーゼとあらかじめ複合体化させたリボ核タンパク質粒子(RNP)を形成させることが挙げられる。RNPの別の利点として、分解からのRNAの保護がある。
いくつかの実施形態において、RNPに含まれるエンドヌクレアーゼは、修飾されていてもよく、修飾されていなくてもよい。同様に、gRNA、crRNA、tracrRNAまたはsgRNAも、修飾されていてもよく、修飾されていなくてもよい。様々な修飾が当技術分野で知られており、これらを使用することができる。
エンドヌクレアーゼとsgRNAを、通常、1:1のモル比で組み合わせることができる。別法として、エンドヌクレアーゼ、crRNAおよびtracrRNAを、通常、1:1:1のモル比で組み合わせることができる。しかしながら、様々なモル比を用いてRNPを作製することができる。
いくつかの実施形態において、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを使用して送達を行うことができる。送達するポリヌクレオチド、rep遺伝子およびcap遺伝子を含むようにパッケージ化されるAAVゲノムとヘルパーウイルスの機能を細胞に提供するためのrAAV粒子を作製する技術は当技術分野で知られている。rAAVの作製には、rAAVゲノム、このrAAVゲノムから分離された(たとえば内部には含まれない)AAV rep遺伝子およびcap遺伝子、ならびにヘルパーウイルスの機能を単一の細胞内に(本明細書においてパッケージング細胞と呼ぶ)存在させる必要がある。AAV rep遺伝子およびcap遺伝子は、組換えウイルスを作製することが可能などのような血清型のAAVに由来するものであってもよく、rAAVのゲノム内のITRとは異なる血清型のAAVに由来するものであってもよく、AAVの血清型としては、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13およびAAV rh.74が挙げられるが、これらに限定されない。シュードタイプ化したrAAVの作製については、たとえば、国際特許出願WO01/83692に開示されている。表1に、選択したいくつかのAAVのAAV血清型とGenbankアクセッション番号を示す。
いくつかの実施形態において、パッケージング細胞を作製する方法は、AAV粒子の作製に必要なすべての構成要素を安定して発現する細胞株を作製することを含む。たとえば、AAV rep遺伝子およびcap遺伝子を持たないrAAVゲノムと、このrAAVゲノムとは別個AAV rep遺伝子およびcap遺伝子と、ネオマイシン耐性遺伝子などの選択マーカーとを有する単一のプラスミド(または複数のプラスミド)を細胞のゲノムに組み込む。AAVゲノムは、GCテーリング(Samulski, R. J. et al. (1982). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 79(6):2077-2081)、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む合成リンカーの付加(Laughlin, C. A. et al. (1983). Gene, 23(1):65-73)、または直接的な平滑末端ライゲーション(Senapathy, P. et al. (1984). J. Biol. Chem., 259:4661-4666)などの手法によって、細菌プラスミドに導入される。次いで、パッケージング細胞株を、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスに感染させる。この方法の利点として、細胞を選択可能であり、細胞はrAAVの大量生産に適していることが挙げられる。好適な別の方法の例として、プラスミドではなくアデノウイルスまたはバキュロウイルスを使用して、rAAVゲノムならびに/またはrep遺伝子およびcap遺伝子をパッケージング細胞に導入する方法が挙げられる。
rAAVの製造の一般的な原則は、たとえば、Carter, B. J. (1992). Curr. Opin. Biotechnol., 3(5):533-539;およびMuzyczka, M. (1992). Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158:97-129においてレビューされている。様々なアプローチは、Tratschin, J. D. et al. (1984). Mol. Cell. Biol., 4(10):2072-2081;Hermonat, P. L. et al. (1984). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81(20):6466-6470;Tratschin, J. D. et al. (1985). Mo1. Cell. Biol., 5(11):3251-3260;McLaughlin, S. K. et al. (1988). J. Virol. , 62(6):1963-1973;Lebkowski, J. S. et al. (1988). Mol. Cell. Biol., 8(10):3988-3996.;Samulski, R. J. et al. (1989), J. Virol. , 63(9):3822-3828;米国特許第5,173,414号;WO 95/13365およびこれに対応する米国特許第5,658.776号;WO 95/13392;WO 96/17947;PCT/US98/18600;WO 97/09441(PCT/US96/14423);WO 97/08298(PCT/US96/13872);WO 97/21825(PCT/US96/20777);WO 97/06243(PCT/FR96/01064);WO 99/11764;Perrin, P. et al. (1995). Vaccine, 13(13):1244-1250;Paul, R. W. et al. (1993). Hum. Gene Ther. , 4(5):609-615;Clark, K. R. et al. (1996). Gene Ther. 3(12):1124-1132;米国特許第5,786,211号;米国特許第5,871,982号;ならびに米国特許第6,258,595号に記載されている。
AAVベクターの血清型を標的細胞種に一致させることができる。たとえば、後述する典型的な細胞種は、本明細書に記載の血清型のAAVを形質導入することができる。たとえば、造血幹細胞に適したAAVベクターの血清型として、AAV2およびAAV6が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、AAVベクターの血清型は、AAV6である。
いくつかの実施形態において、AAVベクターは、配列番号33~36および161のいずれか1つと少なくとも90%または少なくとも約90%(たとえば、少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上)の配列同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、配列番号33と少なくとも90%または少なくとも約90%(たとえば、少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上)の配列同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、配列番号34と少なくとも90%または少なくとも約90%(たとえば、少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上)の配列同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、配列番号35と少なくとも90%または少なくとも約90%(たとえば、少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上)の配列同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、配列番号36と少なくとも90%または少なくとも約90%(たとえば、少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上)の配列同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、配列番号161と少なくとも90%または少なくとも約90%(たとえば、少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上)の配列同一性を有する核酸配列を含む。
アデノ随伴ウイルスベクターに加えて、その他のウイルスベクターを使用することもできる。このようなウイルスベクターとして、レンチウイルス、アルファウイルス、エンテロウイルス、ペスチウイルス、バキュロウイルス、ヘルペスウイルス、エプスタイン・バールウイルス、パポバウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、および単純ヘルペスウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、Cas mRNA(たとえば、Cas9 mRNA)、FOXP3遺伝子の1つまたは2つの遺伝子座を標的とするsgRNA、およびドナーDNAは、それぞれ別々に脂質ナノ粒子への内包化により製剤化されるか、これらのすべてが一緒に1つの脂質ナノ粒子への内包化により製剤化されるか、これらのすべてが一緒に2つ以上の脂質ナノ粒子への内包化により製剤化される。
いくつかの実施形態において、Cas mRNA(たとえばCas9 mRNA)は、脂質ナノ粒子への内包化により製剤化され、一方、sgRNAおよびドナーDNAは、AAVベクターに組み込まれて送達される。いくつかの実施形態において、Cas mRNAおよびsgRNAは一緒に脂質ナノ粒子への内包化により製剤化され、一方、ドナーDNAは、AAVベクターに組み込まれて送達される。
Casエンドヌクレアーゼ(たとえばCas9エンドヌクレアーゼ)をDNAプラスミドとして、mRNAとして、またはタンパク質として送達することもできる。ガイドRNAを同じDNAから発現させることができ、あるいはRNAとして送達することもできる。このRNAを化学的に修飾して、その半減期を変更または向上し、かつ/または免疫応答が起こる可能性またはその程度を低下させることができる。エンドヌクレアーゼタンパク質は、送達前にgRNAと複合体化することもできる。ウイルスベクターにより、効率的な送達が可能となる。スプリット型のCasエンドヌクレアーゼおよびCasエンドヌクレアーゼのより小さなオーソログは、HDR用ドナーと同様に、AAVにパッケージングすることができる。また、これらの構成要素のそれぞれを送達することができる様々な非ウイルス性の送達方法が存在し、非ウイルス性送達方法とウイルス性送達方法を併用することができる。たとえば、ナノ粒子を使用してタンパク質とガイドRNAを送達し、AAVを使用してドナーDNAを送達することができる。
治療的処置用のゲノム編集構成要素の送達に関連するいくつかの実施形態では、少なくとも2つの構成要素、すなわち配列特異的ヌクレアーゼとDNAドナー鋳型が、形質転換を受ける細胞(たとえばCD34+細胞)の核内に送達される。いくつかの実施形態において、AAVは、AAV2またはAAV6の血清型から選択される。いくつかの実施形態において、AAVにパッケージされたDNAドナー鋳型が、末梢静脈注射によって対象(たとえば患者)に最初に投与され、続いて配列特異的ヌクレアーゼが投与される。AAVにパッケージされたドナーDNA鋳型を最初に送達することの利点は、送達されたドナーDNA鋳型が、形質導入されたCD34+細胞の核内で安定して維持され、これによって次の配列特異的ヌクレアーゼの投与が可能になり、ゲノムに二本鎖切断が作製されて、HDRまたはNHEJによるDNAドナーの組み込みが行われることが挙げられる。いくつかの実施形態において、配列特異的ヌクレアーゼは、所望の治療効果を発揮するのに十分なレベルで、導入遺伝子の標的化組み込みを促進するために必要とされる時間だけ、標的細胞において活性を維持することが望ましい。配列特異的ヌクレアーゼが細胞内で長期間にわたり活性を維持する場合、これによって、オフターゲット部位での二本鎖切断の頻度が増加することになる。具体的には、オフターゲット切断の頻度は、オフターゲット切断効率にヌクレアーゼが活性な時間を掛けた関数である。mRNAおよびこれから翻訳されたタンパク質は細胞内で短命であるため、配列特異的ヌクレアーゼをmRNAの形態で送達すると、数時間から数日間の範囲でヌクレアーゼ活性の持続時間が短くなる。したがって、ドナー鋳型を既に含む細胞に配列特異的ヌクレアーゼを送達すると、オフターゲットな組み込みに対する標的化された組み込みの比率を可能な限り高くできると予想される。
いくつかの実施形態において、配列特異的ヌクレアーゼは、FOXP3遺伝子に対して指向性のsgRNAとCasエンドヌクレアーゼから構成されるCRISPR/Casシステムにおいて使用されるCasエンドヌクレアーゼ(たとえばCas9エンドヌクレアーゼ)である。いくつかの実施形態において、Casエンドヌクレアーゼは、1つ以上の核局在化シグナル(NLS)に作動可能に融合されたCasタンパク質をコードするmRNAとして送達される。いくつかの実施形態において、sgRNAおよびCas mRNAは、脂質ナノ粒子にパッケージングされることによって、CD34+細胞(たとえばCD34+造血幹細胞)に送達される。
いくつかの実施形態において、ドナー鋳型の核局在化を促進するため、プラスミドの核局在化を促進することができるDNA配列、たとえば、シミアンウイルス40(SV40)の複製起点および初期プロモーターからなる366bpの領域をドナー鋳型に付加することができる。細胞タンパク質に結合するその他のDNA配列も、DNAの核内移行を向上させるために使用することができる。
遺伝子組換え細胞および遺伝子組換え細胞集団
一態様において、本明細書の開示は、細胞のゲノムを編集して、遺伝子組換え細胞を作製する方法を提供する。いくつかの態様において、遺伝子組換え細胞集団を提供する。したがって、遺伝子組換え細胞は、ゲノム編集(たとえばCRISPR/Casシステムを使用したゲノム編集)によって導入された少なくとも1つの遺伝子組換えを有する細胞を指す。いくつかの実施形態において、遺伝子組換え細胞は、遺伝子組換え造血幹細胞、たとえば遺伝子組換えCD34+造血幹細胞などの遺伝子組換えCD34+細胞である。組み込まれたFOXP3のコード配列を有する遺伝子組換え細胞が本明細書において想定される。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞は生殖細胞ではない。
本明細書に記載の実施形態において、遺伝子編集ヌクレアーゼを使用してFOXP3遺伝子の調節エレメントを改変することによりFOXP3を安定に発現させて、FOXP3を安定に発現する治療用細胞を作製する。本明細書において提供した代表的なデータでは、FOXP3のコーディングエキソンの上流にプロモーター(構成的プロモーターの例としては、EF1αプロモーター、PGKプロモーターまたはMNDプロモーターなどが挙げられる)を配置してFOXP3の発現を誘導したが、その他の様々なアプローチを使用して調節エレメントを改変することにより、FOXP3を安定に発現させることも可能であると想定される。いくつかのアプローチを使用して内在性調節エレメントを改変することによって、本発明の治療用細胞において内在性FOXP3遺伝子を構成的に発現させることができ、この結果、FOXP3遺伝子のサイレンシングや非抑制性細胞表現型への転換を引き起こす制御に対して感受性を示さなくなる。したがって、本明細書に記載の典型的な方法では、内在性調節配列および内在性プロモーターに対するエピジェネティックな作用によってFOXP3の発現が欠失するという問題が解決されている。
CD34+細胞のバルク集団においてFOXP3の発現を増強する方法の提案も想定される。自己免疫疾患の対象または臓器移植片の拒絶反応を起こした対象の炎症性T細胞集団の内在性TCRレパトアには、臓器中の炎症を起こした組織または外来組織を認識し、正確に結合する特異性を備えたTCRが見られる。このようなT細胞は、自己炎症反応または臓器拒絶を媒介すると考えられている。バルクT細胞集団の一部を制御性の表現型に変換することによって、炎症促進性集団のTCR特異性を、治療効果のある細胞集団において利用することができる。この点において、本発明の方法は、胸腺由来制御性T細胞(炎症性T細胞と重複することのない異なるTCRレパトアを有すると考えられている)を利用した他の治療法よりも優れている。さらに、自己免疫疾患の対象または臓器拒絶を起こした対象では、恐らく、生体内のtTreg集団は、炎症の回避に必要な免疫寛容の誘導に失敗していると考えられる。本明細書に記載の方法は、自己免疫疾患の治療、および移植臓器に対する免疫寛容の誘導に使用することができる。
顕著な欠点としては、FOXP3遺伝子において効率的に組換えを行うことができる遺伝子編集ツールを使用する必要があることが挙げられる。本明細書で提供する方法では、TALENヌクレアーゼを使用してこの反応を効率的に行うことができることを示したが、原則として、どのようなヌクレアーゼプラットフォームであっても同様かつ良好に組換えを行うことができると考えられる。
制御性T細胞療法は、移植および自己免疫疾患において免疫寛容を誘導するために使用することができる。現在、Treg輸液はエクスビボで拡大培養されている。第1相試験では、1型糖尿病(T1D)に対して限定的な有効性しか認められていないが、移植後にGvHDに対してベネフィットが認められたケースもいくつかあった。いくつかの実施形態において、次世代の遺伝子組換え制御性T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)によって指向性を付与した内在性Tregであってもよい。FOXP3を発現させることによって、エフェクターT細胞をTregに変換することもできる。
しかし、治療方法に使用される内在性Tregと遺伝子組換えTregでは、なんらかの差異があると考えられる。内在性Treg療法は安全であると考えられるが、内在性Tregの数が少なすぎるため、自己免疫を引き起こしてしまう。また、Tregは、様々な自己免疫疾患(IPEX、T1D、SLE、RA、EAEなど)において重要な役割を果たしている。ヒトTreg細胞の数またはその機能を増強するための様々なアプローチは、現在臨床試験段階にあり、たとえば、低用量のIL-2と拡大培養した自己由来Tregの養子移入とを組み合わせた治療法が臨床試験中である。IL-2療法は、その多面的活性と、炎症を増強しうる潜在的な「オフターゲット」効果を有することから、その有効性は限定的である。また、養子移入Treg療法も、拡大培養したTregはインビボでの安定性と生存能力に問題があり、治療に有用な抗原特異性が欠如していることから、恐らく限定的にしか利用できない。
内在性Treg(nTreg)の使用には潜在的な欠点もある。たとえば、自己免疫疾患を有する対象は、Tregが不安定であるという遺伝的素因を有することがある。たとえば、CAR発現nTregからCAR発現エフェクターT細胞への変換が起こりうる。さらに、nTregは、FOXP3のエピジェネティックな調節を受ける可能性があることから、所望とするFOXP3の誘導がダウンレギュレートされることがある。さらに、内在性Tregは、TCR(T細胞受容体)に対する正確な特異性を有していない場合もある。Tregの機能は選択マーカーとも関連しており、拡大増殖した内在性Treg細胞集団には、炎症性細胞が常に混在していると考えられる。したがって、本明細書で提供される方法は、組換え細胞を使用していることから、CARの発現により制御性T細胞の機能を誘導することができるとともに、生着させたCAR Tregが炎症促進性CAR T細胞に変換されてしまうという可能性を回避することができ、このような点において、天然のTregを移植する方法と比べて改良された方法である。
いくつかの実施形態において、細胞のゲノムは、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を該細胞のゲノム配列に挿入することによって編集することができる。いくつかの実施形態において、ゲノム編集の対象となる細胞は、変異を有していない正常細胞における発現と比較して内在性FOXP3遺伝子の発現が低下する1つ以上の変異をゲノムに有する。正常細胞は、FOXP3遺伝子異常を有していない別の対象に由来する(から単離された)健常な細胞またはコントロール細胞であってもよい。いくつかの実施形態において、ゲノム編集の対象となる細胞は、FOXP3遺伝子に関連する状態または障害の治療を必要とする対象に由来する細胞(または単離された細胞)であってもよい。したがって、いくつかの実施形態において、このような細胞における内在性FOXP3遺伝子の発現は、正常細胞における内在性FOXP3遺伝子の発現と比較して、10%もしくは約10%、20%もしくは約20%、30%もしくは約30%、40%もしくは約40%、50%もしくは約50%、60%もしくは約60%、70%もしくは約70%、80%もしくは約80%、90%もしくは約90%、または100%もしくは約100%上昇している。
たとえばFOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸などの導入遺伝子の挿入に成功した場合、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする導入された核酸の細胞における発現は、細胞中の内在性FOXP3遺伝子の発現の少なくとも10%もしくは少なくとも約10%、少なくとも20%もしくは少なくとも約20%、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも100%もしくは少なくとも約100%、少なくとも200%もしくは少なくとも約200%、少なくとも300%もしくは少なくとも約300%、少なくとも400%もしくは少なくとも約400%、少なくとも500%もしくは少なくとも約500%、少なくとも600%もしくは少なくとも約600%、少なくとも700%もしくは少なくとも約700%、少なくとも800%もしくは少なくとも約800%、少なくとも900%もしくは少なくとも約900%、少なくとも1,000%もしくは少なくとも約1,000%、少なくとも2,000%もしくは少なくとも約2,000%、少なくとも3,000%もしくは少なくとも約3,000%、少なくとも5,000%もしくは少なくとも約5,000%、少なくとも10,000%もしくは少なくとも約10,000%、またはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態において、ゲノム編集された細胞における、導入されたFOXP3のコード配列産物(FOXP3の機能性誘導体を含む)の活性は、細胞中の内在性FOXP3遺伝子の活性の少なくとも10%もしくは少なくとも約10%、少なくとも20%もしくは少なくとも約20%、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも100%もしくは少なくとも約100%、少なくとも200%もしくは少なくとも約200%、少なくとも300%もしくは少なくとも約300%、少なくとも400%もしくは少なくとも約400%、少なくとも500%もしくは少なくとも約500%、少なくとも600%もしくは少なくとも約600%、少なくとも700%もしくは少なくとも約700%、少なくとも800%もしくは少なくとも約800%、少なくとも900%もしくは少なくとも約900%、少なくとも1,000%もしくは少なくとも約1,000%、少なくとも2,000%もしくは少なくとも約2,000%、少なくとも3,000%もしくは少なくとも約3,000%、少なくとも5,000%もしくは少なくとも約5,000%、少なくとも10,000%もしくは少なくとも約10,000%、またはそれ以上であってもよい。いくつかの実施形態において、導入されたFOXP3のコード配列の細胞における発現は、細胞中の内在性FOXP3遺伝子の発現の少なくとも2倍もしくは少なくとも約2倍、少なくとも3倍もしくは少なくとも約3倍、少なくとも4倍もしくは少なくとも約4倍、少なくとも5倍もしくは少なくとも約5倍、少なくとも6倍もしくは少なくとも約6倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも約7倍、少なくとも8倍もしくは少なくとも約8倍、少なくとも9倍もしくは少なくとも約9倍、少なくとも10倍もしくは少なくとも約10倍、少なくとも15倍もしくは少なくとも約15倍、少なくとも20倍もしくは少なくとも約20倍、少なくとも30倍もしくは少なくとも約30倍、少なくとも50倍もしくは少なくとも約50倍、少なくとも100倍もしくは少なくとも約100倍、少なくとも1000倍もしくは少なくとも約1000倍、またはそれ以上である。さらに、いくつかの実施形態において、ゲノム編集された細胞における、導入されたFOXP3のコード配列産物(FOXP3の機能性誘導体を含む)の活性は、正常な健常細胞中の内在性FOXP3遺伝子産物の活性と同程度であってもよく、それを上回るものであってもよい。
一実施形態において、エクスビボでCD34+細胞を遺伝子組換えし、次いで対象に再導入することによって、該対象において、挿入されたFOXP3遺伝子を発現する遺伝子組換えT細胞が生じる。
作製方法
いくつかの実施形態において、遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、
少なくとも1つの遺伝子座を含む第1の核酸を含むCD34+細胞を提供する工程;
Casエンドヌクレアーゼ(たとえばCas9エンドヌクレアーゼ)または該Casエンドヌクレアーゼをコードする第2の核酸を提供する工程;
前記Casエンドヌクレアーゼまたは第2の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程;
少なくとも1つの遺伝子座にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つのgRNAをコードする第3の核酸または該少なくとも1つのgRNAをコードする1組の核酸を導入する工程;および
遺伝子送達カセットを含む第4の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程
を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供する遺伝子組換え細胞を作製する方法によれば、この方法は、前記CD34+細胞を活性化する工程をさらに含み、該活性化は、該CD34+細胞に第2の核酸を導入する前に行われる。いくつかの実施形態において、この活性化は、トロンボポエチン(TPO)、幹細胞因子(SCF)、FLT3LおよびIL-6からなる群から選択されるサイトカインにCD34+細胞を接触させることによって行われる。これらのサイトカインはビーズ上に担持されていてもよい。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供する遺伝子組換え細胞を作製する方法によれば、前記少なくとも1つの遺伝子座は、FOXP3遺伝子、AAVS1遺伝子座またはTRA遺伝子である。
いくつかの実施形態において、第2の核酸、第3の核酸、前記1組の核酸および/または第4の核酸は、1つ以上のベクターに組み込まれて提供される。いくつかの実施形態において、前記1つ以上のベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、自己相補型ベクターである。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは一本鎖ベクターである。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、自己相補型ベクターと一本鎖ベクターの組み合わせである。
いくつかの実施形態において、前記Casエンドヌクレアーゼをコードする第2の核酸は、mRNAである。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つのgRNAは、配列番号2、3または5に示される配列を含むスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態において、第2の核酸、第3の核酸、前記1組の核酸および/または第4の核酸は、真核細胞(ヒト細胞など)における発現のためにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、ヒトのコドンに最適化されたFOXP3 cDNA配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、プロモーターをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、MNDプロモーター、PGKプロモーター、またはE2Fプロモーターである。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)のコード配列、μCISC、CISCγ、FRBまたはLNGFR(LNGFRエピトープのコード配列)をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)のコード配列またはLNGFRe(LNGFRエピトープのコード配列)をコードする配列をさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記方法は、第2の遺伝子送達カセットを含む第5の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、第5の核酸はベクターに含まれている。いくつかの実施形態において、前記ベクターはAAVベクターである。いくつかの実施形態において、第5の核酸は、CISC、FRB、マーカータンパク質、μCISC、および/またはβCISCをコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第5の核酸は、マーカータンパク質をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第4の配列および/または第5の配列は、P2A自己切断ペプチドをコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第4の配列および/または第5の配列は、ポリA配列をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ポリA配列は、SV40ポリAまたはFOXP3の3’UTRを含む。いくつかの実施形態において、第4の配列は、配列番号37~42のいずれかに示される配列を含む。
いくつかの実施形態において、第4の配列および第5の配列が前記CD34+細胞に導入され、該第4の配列および第5の配列は、FOXP3cDNA-LNGFRとDISC、FOXP3cDNA-LNGFRとμDISC、LNGFR-FOXP3cDNAとDISC、LNGFR-FOXP3cDNAとμDISC、CISCβ-DNとCISCγ-FOXP3cDNA-LNGFR、またはCISCβ-DNとCISCγ-LNGFR-FOXP3cDNAを発現するように構成された発現カセットをコードする配列を含む。
いくつかの実施形態において、第4の核酸は、遺伝子座に特異的な配列を有する少なくとも1つの相同アームを含み、該相同アームの長さは、AAVベクターへの効率的なパッケージングが達成されるように構成されている。
いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの相同アームの長さは、0.25kb、0.3kb、0.45kb、0.6kbもしくは0.8kb、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の長さである。
いくつかの実施形態において、前記マーカーは、LNGF、RQR8またはEGFRtである。
いくつかの実施形態において、前記方法は、FOXP3と共発現させるためのタンパク質またはサイトカインをコードする第6の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記マーカーの濃度を上昇させることによって前記CD34+細胞を選択する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態において、hTPO、hFlt3、hSCFまたはhIL6を含む培地に前記CD34+細胞を接触させる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つに記載の方法によって製造されたFOXP3発現用CD34+細胞を提供する。いくつかの実施形態において、前記FOXP3は、構成的に発現されるか、制御下で発現される。
いくつかの実施形態において、FOXP3をコードする遺伝子をコードする核酸を含むFOXP3発現用CD34+細胞を提供する。いくつかの実施形態において、FOXP3をコードする前記遺伝子は、FOXP3遺伝子または非FOXP3遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態において、前記非FOXP3遺伝子座は、AAVS1遺伝子座またはTRA遺伝子である。
いくつかの実施形態において、前記CD34+細胞は、CISCβ:FRB-IL2Rβ、DISC、CISC-FRB、μDISC、μCISC-FRB、FRB、LNGFRまたはLNGFReを発現する。いくつかの実施形態において、前記CD34+細胞は、Treg表現型を含む。
いくつかの実施形態において、前記実施形態のいずれか1つに記載のCD34+細胞を含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、対象における疾患および/または状態を治療、緩和および/または抑制する方法であって、疾患および/または状態を有する対象に、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによるCD34+細胞または組成物を提供する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記疾患は自己免疫疾患である。いくつかの実施形態において、前記疾患は、免疫制御異常、多腺性内分泌障害、腸疾患およびX連鎖を特徴とする(IPEX)症候群である。いくつかの実施形態において、前記状態は、移植片対宿主病(GVHD)である。
本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、
少なくとも1つの遺伝子座を含む第1の核酸を含むCD34+細胞を提供する工程;
Casエンドヌクレアーゼ(たとえばCas9エンドヌクレアーゼ)または該Casエンドヌクレアーゼをコードする第2の核酸を提供する工程;
前記Casエンドヌクレアーゼまたは第2の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程;
少なくとも1つの遺伝子座にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つのCRISPRスペーサー配列をコードする第3の核酸または該少なくとも1つのCRISPRスペーサー配列をコードする1組の核酸を導入する工程;および
遺伝子送達カセットを含む第4の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程
を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、第4の核酸は、プロモーターをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、MNDプロモーター、PGKプロモーターまたはE2Fプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、MNDプロモーターである。本明細書の記載の実施形態で述べるように、MNDプロモーターは、ベクター#3008(pAAV_FoxP3.0.6kb.MND.GFP.WPRE3.pA)(配列番号33)に組み込まれて提供される。
いくつかの実施形態において、前記細胞はT細胞に分化し、このT細胞はFOXP3を発現する。いくつかの実施形態において、前記内在性FOXP3プロモーターは、導入されたFOXP3 cDNAの発現を誘導する。
弱いプロモーターと強いプロモーターによって同じコード配列を発現させた場合、弱いプロモーターは、強いプロモーターよりもmRNAの発現が低くなる。これは、たとえば、アガロースゲルで分析することによって比較することができる。近接するクロマチンによる制御を受けるプロモーターの一例としては、短いEF1αプロモーターが挙げられ、このプロモーターは、いくつかの遺伝子座において非常に活発であるが、その他の遺伝子座においてはほぼ不活性である(Eyquem, J. et al. (2013). Biotechnol. Bioeng., 110(8):2225-2235)。
治療的アプローチ
本明細書で提供される一態様は、FOXP3タンパク質に関連する障害もしくは健康状態を有する対象またはFOXP3タンパク質に関連する障害もしくは健康状態を有すると疑われる対象のゲノムを編集することによって、該対象に治療を提供するための遺伝子治療的アプローチである。たとえば、いくつかの実施形態では、前記障害または前記健康状態は、自己免疫疾患(たとえばIPEX症候群)または臓器移植に起因する障害(たとえばGVHD)である。いくつかの実施形態において、前記遺伝子治療的アプローチにより、機能性FOXP3遺伝子をコードする配列を含む核酸を対象の関連する細胞種のゲノムに組み込み、これによって、前記障害または前記健康状態を根治することができる。いくつかの実施形態において、FOXP3をコードする配列を組み込む遺伝子治療的アプローチの対象となる細胞種は、CD34+細胞、たとえばCD34+造血幹細胞であり、この理由として、これらの細胞は対象においてT細胞に効率的に分化できることが挙げられる。
別の一態様では、ゲノム工学ツールを使用して、FOXP3またはその機能性誘導体をコードするコード配列を細胞ゲノムの遺伝子座にノックインし、FOXP3の活性を回復させることにより、細胞のゲノムに永続的な変化を生じさせるエクスビボおよびインビボの細胞内での方法を提供する。このような方法では、CRISPR関連(CRISPR/Cas9、Cpf1など)ヌクレアーゼなどのエンドヌクレアーゼを使用して、細胞ゲノムから任意の配列を永続的に欠失、挿入、編集、修正または置換したり、外来性配列(たとえばFOXP3をコードする配列)を細胞のゲノム遺伝子座に挿入する。このようにして、本開示に記載された例示により、(対象の生涯にわたって代替療法の送達が必要となることなく)単一の治療工程でFOXP3の活性が回復される。
いくつかの実施形態において、エクスビボの細胞を用いた治療法は、対象から単離されたCD34+細胞、たとえば、臍帯血に由来するCD34+細胞を使用して実施される。次に、本明細書に記載のシステム、組成物および方法を使用して、細胞の染色体DNAが編集される。最後に、編集された細胞が前記対象に移植される。
エクスビボ細胞療法によるアプローチの利点の1つとして、投与前に治療薬の包括的な分析を実施できることがある。ヌクレアーゼを使用した治療法は常にある程度のオフターゲット効果が付随する。エクスビボで遺伝子修正を行うことにより、移植前に修正された細胞集団の特性を網羅的に確認することができる。本開示の態様は、修正された細胞のゲノム全体のシーケンシングを行い、オフターゲットな切断が存在する場合、このオフターゲットな切断が、対象へのリスクが最小限となるゲノム位置にあることを確認することを含む。さらに、クローン集団などの特定の細胞の集団は、移植前に単離することができる。
このような方法の別の一実施形態は、インビボでの治療法である。この方法では、本明細書に記載のシステム、組成物および方法を使用して、対象における細胞の染色体DNAが修正される。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD34+細胞である。
インビボ遺伝子治療の利点は、治療薬の製造と投与が容易なことである。同じ治療的アプローチおよび治療法を使用して、1つ以上の対象、たとえば、同一または類似の遺伝子型またはアレルを有する多数の対象を治療することができる。対照的に、エクスビボでの細胞療法では、通常、対象自身の細胞を使用し、対象自身の細胞を単離し、遺伝子操作した後、同じ対象に戻す。
いくつかの実施形態において、本明細書の開示による治療法を必要とする対象は、FOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態の症状を有する対象である。たとえば、いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患(たとえばIPEX症候群)または臓器移植に起因する障害(たとえばGVHD)の症状を有する。いくつかの実施形態において、前記対象は、前記疾患または前記状態を有することが疑われるヒトであってもよい。あるいは、前記対象は、前記疾患または前記状態のリスクがあると診断されたヒトであってもよい。いくつかの実施形態において、前記治療法を必要とする対象は、内在性FOXP3遺伝子またはその調節配列に1つ以上の遺伝子異常(たとえば欠失、挿入および/または変異)を有することから、FOXP3の発現量または機能性が、正常な健常対象と比較して大幅に低下している対象である。
いくつかの実施形態において、対象において、FOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態(たとえば自己免疫疾患)を治療または抑制する方法であって、
(a)細胞ゲノム内のFOXP3遺伝子を標的とするガイドRNA(gRNA);
(b)DNAエンドヌクレアーゼ、または該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸;および
(c)FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナー鋳型
を対象の細胞に提供する工程を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、前記gRNAは、FOXP3遺伝子、AAVS1遺伝子座またはTRA遺伝子を標的とする。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号1~7、15~20および27~29のいずれかに示されるスペーサー配列を含む。
いくつかの実施形態において、対象において、FOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態(たとえば自己免疫疾患)を治療または抑制する方法であって、
(a)細胞の内在性FOXP3遺伝子内のゲノム配列または該内在性FOXP3遺伝子の近傍のゲノム配列に相補的なスペーサー配列を含むgRNA;
(b)DNAエンドヌクレアーゼ、または該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸;および
(c)FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナー鋳型
を対象の細胞に提供する工程を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号1~7および27~29のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号1~7および27~29のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する該スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号1~7のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号1~7のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号2、3および5のいずれかに示されるスペーサー配列、または配列番号2、3および5のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号2に示されるスペーサー配列、または配列番号2と比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記gRNAは、配列番号5に示されるスペーサー配列、または配列番号5と比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアントを含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ヒト細胞、たとえばヒト幹細胞、たとえばヒトCD34+造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患(たとえばIPEX症候群)または移植片対宿主病(GVHD)を有するか、これらの疾患を有することが疑われる患者である。いくつかの実施形態において、前記対象は、自己免疫疾患(たとえばIPEX症候群)または移植片対宿主病(GVHD)のリスクがあると診断された対象である。
いくつかの実施形態において、対象において、FOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態(たとえば自己免疫疾患)を治療または抑制する方法であって、本明細書に記載の細胞ゲノムを編集する方法のいずれかによって調製された遺伝子組換え細胞を対象に提供する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列は、内在性FOXP3プロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態において、FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列は、前記細胞における発現のためにコドンが最適化されている。いくつかの実施形態において、前記細胞はCD34+細胞である。いくつかの実施形態において、前記遺伝子組換え細胞は、対象から得た自家細胞である。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記対象から生体試料を得る工程をさらに含み、該生体試料はインプット用細胞を含み、このインプット用細胞から遺伝子組換え細胞を調製する。いくつかの実施形態において、前記インプット用細胞はCD34+細胞である。
いくつかの実施形態は、対象におけるFOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態(たとえば自己免疫疾患)の治療または抑制において使用するための医薬品を含む。別の実施形態は、炎症性疾患または自己免疫疾患などのFOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態の抑制または治療において使用するための、本明細書に記載の方法のいずれか1つによってゲノム編集された遺伝子組換えCD34+細胞に関する。さらなる実施形態は、本明細書に記載の方法のいずれか1つによってゲノム編集された遺伝子組換えCD34+細胞の、医薬品としての使用に関する。
対象への細胞の移植
いくつかの実施形態において、本開示のエクスビボでの方法は、このような方法を必要とする対象にゲノム編集された細胞を移植することを含む。この移植工程は、当技術分野で公知の移植方法であれば、どのような方法を使用しても行うことができる。たとえば、遺伝子組換え細胞を、対象の血液中に直接注射することができ、あるいはその他の方法で対象に投与することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、「投与」を含むが、この用語は、「導入」および「移植」と同じ意味で使用することができ、本明細書に開示される方法は、所望の単一の効果または複数の効果が得られるように、導入された細胞の少なくとも一部を所望の部位に局在化させることができる方法または経路によって、遺伝子組換えされた治療用細胞を対象に投与することを含む。治療用細胞またはそれらから分化した子孫細胞は、移植された細胞の少なくとも一部またはその構成要素の少なくとも一部が生存し続けることが可能な対象の体内の所望の部位への送達が可能な好適な経路を介して投与することができる。対象に投与した後の細胞の生存能力は、数時間という短い時間(たとえば24時間~数日間)から数年間さらには対象の一生涯(たとえば長期生着)であってもよい。
本明細書に記載の治療用細胞が予防目的で提供される場合、該治療用細胞は、FOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態(たとえばIPEX症候群などの自己免疫疾患)の何らかの症状が発症する前に対象に投与することができる。したがって、いくつかの実施形態において、遺伝子組換え幹細胞集団の予防的投与は、前記疾患または前記状態の症状の発症の予防に使用される。
いくつかの実施形態において、遺伝子組換え幹細胞が治療目的で提供される場合、該遺伝子組換え幹細胞は、FOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態(たとえばIPEX症候群などの自己免疫疾患)の症状または徴候が発症した際に(またはその後に)、たとえば疾患や状態の発症時に提供される。
本明細書に記載の様々な実施形態において使用される治療用細胞(たとえばゲノム編集された幹細胞)の有効量は、少なくとも102個、少なくとも5×102個、少なくとも103個、少なくとも5×103個、少なくとも104個、少なくとも5×104個、少なくとも105個、少なくとも2×105個、少なくとも3×105個、少なくとも4×105個、少なくとも5×105個、少なくとも6×105個、少なくとも7×105個、少なくとも8×105個、少なくとも9×105個、少なくとも1×106個、少なくとも2×106個、少なくとも3×106個、少なくとも4×106個、少なくとも5×106個、少なくとも6×106個、少なくとも7×106個、少なくとも8×106個、少なくとも9×106個、またはこれらの倍数量であってもよい。治療用細胞は、1人以上のドナーに由来するものであってもよく、自家由来のものであってもよい。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、治療用細胞は、該治療用細胞の投与を必要とする対象に投与する前に培養により拡大増殖される。
いくつかの実施形態において、FOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態(たとえばIPEX症候群)を有する対象の細胞における機能性FOXP3の発現量の適度かつ漸進的な増加は、前記疾患または前記状態の1つ以上の症状の緩和、長期生存率の向上、および/またはその他の治療に関連する副作用の軽減に有益でありうる。このような細胞をヒト対象に投与すると、機能性FOXP3の産生量を増加させる治療用細胞が存在することになるため有益である。いくつかの実施形態において、対象に効果的な治療を行うことによって、治療された対象においてFOXP3の総量に対し、少なくとも1%、3%、5%、もしくは7%または少なくとも約1%、約3%、約5%、もしくは約7%の機能性FOXP3が生じる。いくつかの実施形態において、機能性FOXP3は、FOXP3の総量の少なくとも10%または少なくとも約10%を占める。いくつかの実施形態において、機能性FOXP3は、FOXP3の総量の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、もしくは少なくとも100%、または少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくは少なくとも約100%を占めるか、または最大でも20%、最大でも30%、最大でも40%、最大でも50%、最大でも60%、最大でも70%、最大でも80%、最大でも90%、もしくは最大でも100%を占める。同様に、機能性FOXP3の量が著しく上昇した細胞の亜集団を比較的少ない数で導入した場合であっても、様々な対象において有益である可能性があり、これは、状況によっては、正常化された細胞が病変細胞に対して選択的優位性を有することになるためである。しかしながら、機能性FOXP3の量が増加した中程度の数の治療用細胞であっても、対象における前記疾患または前記状態の1つ以上の態様の緩和に有益である可能性がある。いくつかの実施形態において、このような細胞が投与された対象における治療用細胞の10%もしくは約10%、20%もしくは約20%、30%もしくは約30%、40%もしくは約40%、50%もしくは約50%、60%もしくは約60%、70%もしくは約70%、80%もしくは約80%、90%もしくは約90%またはそれ以上は、機能性FOXP3の産生量が増加している。
実施形態において、特定の方法または経路によって治療用細胞組成物(たとえば本明細書に記載の細胞のいずれかによる複数の細胞を含む組成物)を対象に送達することにより、該細胞組成物の少なくとも一部を所望の部位に局在させることができる。細胞組成物は、対象において有効な治療となる適切な経路であれば、どのような経路で投与することもでき、たとえば、細胞組成物の投与によって、該組成物の少なくとも一部(たとえば少なくとも1×104個の細胞)が、対象体内の所望の部位に一定期間にわたり送達できる。投与方法として、注射、点滴、点滴注入および経口摂取が挙げられる。「注射」には、静脈内注射、筋肉内注射、動脈内注射、髄腔内注射、脳室内注射、関節包内注射、眼窩内注射、心臓内注射、皮内注射、腹腔内注射、経気管注射、皮下注射、表皮下注射、関節内注射、被膜下注射、クモ膜下注射、脊髄内注射、脳脊髄内注射および胸骨内注射ならびに点滴が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、投与経路は静脈内経路である。細胞の送達では、注射または点滴による投与を行うことができる。
一実施形態では、細胞は全身投与され、言い換えれば、治療用細胞集団は、標的部位や、標的組織または標的臓器に直接投与されるのではなく、対象の循環系に入り、代謝およびその他の同様のプロセスを受ける。
FOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態(たとえばIPEX症候群)の治療用または抑制用の組成物を使用した治療法の有効性は、熟練した臨床医によって決定することができる。しかしながら、疾患の徴候もしくは症状のいずれか1つまたはそのすべて(一例として、機能性FOXP3の量)が有益な形で変化した場合(たとえば少なくとも10%増加した場合)、または臨床的に認められたその他の症状もしくはマーカーが改善もしくは緩和された場合に、治療法が有効であると見なされる。また、入院または医療的介入の必要性による評価から、個体の悪化が止まったことを判断するによっても有効性を測定することができる(たとえば、疾患の進行が停止するか、少なくとも遅くなる)。これらの指標を測定する方法は、当業者に知られており、かつ/または本明細書に記載されている。治療法は、個体または動物(一例としてヒトまたは哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない)における疾患のあらゆる処置または抑制を含み、(1)疾患の抑制、たとえば症状の進行の停止もしくは遅延、または(2)疾患の緩和、たとえば症状の退行の誘導、および(3)症状の発症の予防もしくは症状の発症の可能性の低下を含む。
組成物
一態様において、本開示は、本明細書で開示された方法を実施するための組成物を提供する。組成物は、ゲノム標的化核酸(たとえばgRNA);部位指向性ポリペプチド(たとえばDNAエンドヌクレアーゼ)または該部位指向性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;および本明細書で開示された方法による所望の遺伝子組換えを行うために挿入されるポリヌクレオチド(たとえばドナー鋳型)のうちの1つ以上を含むことができる。
いくつかの実施形態において、組成物は、ゲノム標的化核酸(たとえばgRNA)をコードするヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、部位指向性ポリペプチド(たとえばDNAエンドヌクレアーゼ)を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、部位指向性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、ゲノムに挿入されるポリヌクレオチド(たとえばドナー鋳型)を含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、(i)ゲノムを標的とする核酸(たとえばgRNA)をコードするヌクレオチド配列、および(ii)部位指向性ポリペプチド(たとえばDNAエンドヌクレアーゼ)、または該部位指向性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、(i)ゲノムを標的とする核酸(たとえばgRNA)をコードするヌクレオチド配列、および(ii)ゲノムに挿入されるポリヌクレオチド(たとえばドナー鋳型)を含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、(i)部位指向性ポリペプチド(たとえばDNAエンドヌクレアーゼ)、または該部位指向性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、および(ii)ゲノムに挿入されるポリヌクレオチド(たとえばドナー鋳型)を含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、(i)ゲノムを標的とする核酸(たとえばgRNA)をコードするヌクレオチド配列、(ii)部位指向性ポリペプチド(たとえばDNAエンドヌクレアーゼ)、または該部位指向性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、および(iii)ゲノムに挿入されるポリヌクレオチド(たとえばドナー鋳型)を含む。
前記組成物のいずれかの実施形態のいくつかでは、該組成物は、単一分子ガイドを使用したゲノム標的化核酸を有する。前記組成物のいずれかの実施形態のいくつかでは、該組成物は、二分子ガイドを使用したゲノム標的化核酸を有する。前記組成物のいずれかの実施形態のいくつかでは、該組成物は、二分子ガイドまたは単一分子ガイドを2つ以上有する。いくつかの実施形態において、前記組成物は、核酸を標的化する核酸をコードするベクターを有する。いくつかの実施形態において、ゲノム標的化核酸は、DNAエンドヌクレアーゼ、特にCasエンドヌクレアーゼ(たとえばCas9エンドヌクレアーゼ)と組み合わせて使用するように構成される。
いくつかの実施形態において、組成物は、ゲノム編集、特にFOXP3またはその誘導体をコードする配列の細胞ゲノムへの挿入に使用することができる1つ以上のgRNAを含むことができる。前記1つ以上のgRNAは、内在性FOXP3遺伝子上のゲノム部位、内在性FOXP3遺伝子内のゲノム部位、または内在性FOXP3遺伝子の近傍のゲノム部位を標的とすることができる。したがって、いくつかの実施形態において、前記1つ以上のgRNAは、FOXP3遺伝子上のゲノム配列に相補的なスペーサー配列、FOXP3遺伝子内のゲノム配列に相補的なスペーサー配列、またはFOXP3遺伝子の近傍のゲノム配列に相補的なスペーサー配列を有することができる。
いくつかの実施形態において、組成物用のgRNAは、配列番号1~7、15~20および27~29に示されるスペーサー配列、ならびに配列番号1~7、15~20および27~29のいずれか1つと少なくとも50%または少なくとも約50%、少なくとも55%もしくは少なくとも約55%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%の同一性または相同性を有するバリアントのうちのいずれか1つから選択されるスペーサー配列を含む。いくつかの実施形態において、キット用のgRNAのバリアントは、配列番号1~7、15~20および27~29のいずれか1つと少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%、または少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の配列同一性を有するスペーサー配列を含む。
いくつかの実施形態において、組成物用のgRNAは、ゲノム内の標的部位に相補的であるスペーサー配列を有する。いくつかの実施形態では、前記スペーサー配列は、15塩基長~20塩基長である。いくつかの実施形態において、スペーサー配列とゲノム配列との間の相補性は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも100%である。
いくつかの実施形態において、組成物は、DNAエンドヌクレアーゼもしくは該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸、および/またはFOXP3もしくはその機能性誘導体をコードする核酸配列を有するドナー鋳型を有しうる。いくつかの実施形態において、前記DNAエンドヌクレアーゼは、Casエンドヌクレアーゼ(たとえばCas9エンドヌクレアーゼ)である。いくつかの実施形態において、前記DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸は、DNAまたはRNAである。
いくつかの実施形態において、キット用の核酸の1つ以上は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、gRNAは、AAVベクターにコードすることができる。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸は、AAVベクターにコードすることができる。いくつかの実施形態において、ドナー鋳型は、AAVベクターにコードすることができる。いくつかの実施形態において、2つ以上の核酸を単一のAAVベクターにコードすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸とgRNA配列を単一のAAVベクターにコードすることができる。
いくつかの実施形態において、組成物は、リポソームまたは脂質ナノ粒子を有することができる。したがって、いくつかの実施形態において、前記組成物のどのような化合物(たとえば、DNAエンドヌクレアーゼまたは該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸、gRNAおよびドナー鋳型)であっても、リポソームまたは脂質ナノ粒子に内包化して製剤化することができる。いくつかの実施形態において、そのような化合物の1つ以上は、共有結合または非共有結合を介してリポソームまたは脂質ナノ粒子と結合している。いくつかの実施形態において、前記化合物のいずれかは、別々または一緒にリポソームまたは脂質ナノ粒子に内包化することができる。したがって、いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼまたは該DNAエンドヌクレアーゼをコード化する核酸、gRNAおよびドナー鋳型のそれぞれは、別々にリポソームまたは脂質ナノ粒子に内包化して製剤化される。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼは、gRNAと一緒にリポソームまたは脂質ナノ粒子に内包化して製剤化される。いくつかの実施形態において、DNAエンドヌクレアーゼまたは該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸、gRNAおよびドナー鋳型は、一緒にリポソームまたは脂質ナノ粒子に内包化して製剤化される。
いくつかの実施形態において、前記組成物は、1種以上のさらなる試薬をさらに有し、このようなさらなる試薬は、緩衝液、細胞にポリペプチドまたはポリヌクレオチドを導入するための緩衝液、洗浄緩衝液、コントロール試薬、コントロールベクター、コントロールRNAポリヌクレオチド、インビトロでDNAからポリペプチドを作製するための試薬、シーケンシング用アダプターなどから選択される。緩衝液は、安定化緩衝液、再構築用緩衝液、希釈緩衝液などであってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、オンターゲットな結合の促進または増強、エンドヌクレアーゼによるDNAの切断、または標的化特異性の向上に使用される1つ以上の構成要素をさらに含むことができる。
いくつかの実施形態において、組成物の構成要素のいずれかは、特定の投与方法および剤形に応じて、担体、溶媒、安定剤、アジュバント、希釈剤などの薬学的に許容される添加剤とともに製剤化される。実施形態において、ガイドRNA組成物は、通常、生理学的に適合性のあるpHを達成するように製剤化され、生理学的に適合性のあるpHは、製剤および投与経路に応じて、3~11もしくは約3~約11、または3~7もしくは約3~約7の範囲である。いくつかの実施形態において、前記pHは、pH5.0~pH8の範囲またはpH約5.0~pH約8の範囲に調整される。いくつかの実施形態において、前記組成物は、本明細書に記載の少なくとも1種の化合物の治療有効量と、1種以上の薬学的に許容される添加剤とを有する。場合によって、前記組成物は、本明細書に記載の化合物の組み合わせを有することができ、または細菌増殖の処置または予防に有用な第2の有効成分(たとえば、抗菌剤または抗微生物剤が挙げられるが、これらに限定されない)を含むことができ、または本開示の試薬の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、gRNAは、1種以上の別の核酸、たとえば、DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸および/またはドナー鋳型とともに製剤化される。別法として、DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸およびドナー鋳型は、それぞれ別々にまたは別の核酸と組み合わせて、gRNA製剤について前述した方法で製剤化される。
好適な添加剤として、たとえば、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー、不活性ウイルス粒子などの、代謝の進行が緩慢な巨大分子を含む担体分子が挙げられる。その他の典型的な添加剤として、酸化防止剤(たとえばアスコルビン酸が挙げられるが、これに限定されない)、キレート剤(たとえばEDTAが挙げられるが、これに限定されない)、炭水化物(たとえばデキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、またはヒドロキシアルキルメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない)、ステアリン酸、液体(たとえば油、水、生理食塩水、グリセロール、またはエタノールが挙げられるが、これらに限定されない)、湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝物質などが挙げられる。
いくつかの実施形態において、組成物の化合物のいずれか(たとえば、DNAエンドヌクレアーゼまたは該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸、gRNAおよびドナー鋳型)は、化学的トランスフェクション(たとえばリポフェクション)またはエレクトロポレーションなどのトランスフェクションにより細胞に送達することができる。いくつかの実施形態において、細胞に提供する前に、DNAエンドヌクレアーゼをgRNAとあらかじめ複合体化させ、リボ核タンパク(RNP)複合体を形成することができる。いくつかの実施形態において、前記RNP複合体は、トランスフェクションにより細胞に送達される。このような実施形態において、前記ドナー鋳型は、トランスフェクションにより細胞に送達される。
いくつかの実施形態において、「組成物」は、エクスビボでの治療法で使用される治療用細胞を含む治療用組成物を指す。
実施形態において、治療用組成物は、細胞組成物と生理学的に許容される担体とを含み、有効成分として該組成物中に溶解または分散される本明細書に記載の少なくとも1種のさらなる生物活性剤を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、治療用組成物は、治療目的で哺乳動物またはヒト対象に投与する場合、免疫原性が所望される場合を除き、実質的に免疫原性を有さない。
通常、本明細書に記載の遺伝子組換え治療用細胞は、薬学的に許容される担体を含む懸濁液として投与される。当業者であれば、細胞組成物に使用される薬学的に許容される担体は、対象に送達される細胞の生存能力を実質的に阻害するような量の緩衝液、化合物、凍結保存剤、防腐剤またはその他の薬剤を含まないことを理解できるであろう。細胞を含む製剤は、たとえば、細胞膜の完全性を維持させる浸透圧緩衝液を含んでいてもよく、場合によっては、投与時に細胞の生存能力を維持するか、細胞の生着を増強するための栄養素を含んでいてもよい。このような製剤および懸濁液は、当業者に知られており、かつ/または日常的な実験を使用して、本明細書に記載に従って前駆細胞との使用に適合させることができる。
いくつかの実施形態において、細胞組成物は、乳化操作によって細胞の生存能力に悪影響が及ばない限り、乳化することができ、あるいはリポソーム組成物として提供することができる。細胞およびその他の有効成分は、本明細書に記載の治療方法での使用に適した量で、薬学的に許容されかつ有効成分と適合性のある1種以上の添加剤と混合することができる。
細胞組成物に含まれるさらなる薬剤として、細胞組成物中の構成要素の薬学的に許容される塩が挙げられる。薬学的に許容される塩として、たとえば塩酸やリン酸などの無機酸、または酢酸、酒石酸もしくはマンデル酸などの有機酸により形成される酸付加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基で形成される)が挙げられる。また、遊離カルボキシル基で形成される塩は、たとえば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、鉄水酸化物などの無機塩基、またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することができる。
生理学的に許容される担体は当技術分野でよく知られている。典型的な液体担体は、有効成分および水以外の材料を含まない滅菌水溶液、または生理学的pH値のリン酸ナトリウムなどの緩衝液もしくは生理食塩水、またその両方を含む滅菌水溶液(リン酸緩衝生理食塩水など)である。さらに、水性担体は、1種類以上の緩衝塩、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの塩、デキストロース、もしくはポリエチレングリコールまたはその他の溶質を含むことができる。また、液体組成物は、水に加えて別の液相を含んでいてもよく、あるいは水を除去して別の液相を含んでいてもよい。このような別の液相の例として、グリセリン、綿実油などの植物油、または水-油乳剤が挙げられる。特定の障害または状態の治療に有効な細胞組成物に使用される活性化合物の量は、その障害または状態の特性に応じて異なり、公知の臨床技術によって決定することができる。
キット
いくつかの実施形態は、前記組成物のいずれか、たとえば、ゲノム編集用の組成物または細胞組成物(たとえば治療用細胞組成物)と、1つ以上のさらなる構成要素を含むキットを提供する。
いくつかの実施形態において、キットは、たとえばゲノム編集または細胞療法などの所望の目的のために、前記組成物と同時または連続して投与することができる1つ以上のさらなる治療剤を有していてもよい。
いくつかの実施形態において、キットは、キットの各構成要素を使用して前記方法を実施するための説明書をさらに含んでいてもよい。前記方法を実施するための説明書は、通常、適切な記録媒体に記録される。たとえば、前記説明書は、紙やプラスチックなどの基材に印刷されていてもよい。前記説明書は、前記キットまたはその構成要素を入れた容器のラベル(すなわち包装または副包装に貼付されたラベル)に記載された添付文書として前記キット中に含まれていてもよい。また、前記説明書は、適切なコンピューター可読記憶媒体(たとえばCD-ROM、ディスケット、フラッシュドライブなど)上の電子記憶データファイルとして含まれていてもよい。場合によっては、実際の説明書がキットに含まれておらず、リモートソースから(インターネットなどを介して)説明書を取得するための手段を提供することができる。この実施形態の一例として、説明書を閲覧および/またはダウンロードすることが可能なウェブアドレスを含むキットが挙げられる。説明書と同様に、該説明書を入手するための前記手段は、適切な基材上に記録することができる。
さらなる実施形態
いくつかの実施形態において、遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、
少なくとも1つの遺伝子座を含む第1の核酸を含むCD34+細胞を提供する工程;
CAS9タンパク質、または該CAS9タンパク質をコードする第2の核酸配列を提供する工程;
前記CAS9タンパク質または第2の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程;
少なくとも1つの遺伝子座にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つのCRISPRスペーサー配列をコードする第3の核酸または該少なくとも1つのCRISPRスペーサー配列をコードする1組の核酸を導入する工程;および
遺伝子送達カセットを含む第4の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程
を含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記CD34+細胞を活性化する工程をさらに含み、該活性化は、該CD34+細胞に第2の核酸を導入する前に行われる。いくつかの実施形態において、活性化は、トロンボポエチン(TPO)、幹細胞因子(SCF)、FLT3LおよびIL-6からなる群から選択されるサイトカインにCD34+細胞を接触させることによって行われる。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの遺伝子座は、FOXP3遺伝子、AAVS1遺伝子座またはTRA遺伝子である。いくつかの実施形態において、第2の核酸、第3の核酸、前記1組の核酸および/または第4の核酸は、1つ以上のベクターに組み込まれて提供される。いくつかの実施形態において、前記1つ以上のベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、自己相補型ベクターである。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは一本鎖ベクターである。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、自己相補型ベクターと一本鎖ベクターの組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記CAS9タンパク質をコードする第2の核酸は、mRNAである。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つのスペーサー配列は、配列番号2、3または5に示される配列を含む。いくつかの実施形態において、第2の核酸、第3の核酸、前記1組の核酸および/または第4の核酸は、真核細胞(ヒト細胞など)における発現のためにコドン最適化されている。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、ヒトのコドンに最適化されたFOXP3 cDNA配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、プロモーターをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、MNDプロモーター、PGKプロモーターまたはE2Fプロモーターである。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)のコード配列、μCISC、CISCγ、FRBおよび/またはLNGFRe(LNGFRエピトープのコード配列)をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)のコード配列および/またはLNGFRe(LNGFRエピトープのコード配列)をコードする配列をさらに含む。
いくつかの実施形態において、前記方法は、第2の遺伝子送達カセットを含む第5の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、第5の核酸は、ベクターに含まれている。いくつかの実施形態において、前記ベクターはAAVベクターである。いくつかの実施形態において、第5の核酸は、CISC、FRB、マーカータンパク質、μCISC、および/またはβCISCをコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第5の核酸は、マーカータンパク質をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸および/または第5の核酸は、P2A自己切断ペプチドをコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸および/または第5の核酸は、ポリA配列をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ポリA配列は、SV40ポリAまたはFOXP3の3’UTRを含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、WPRE3エレメントを含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸および/または第5の核酸が前記CD34+細胞に導入され、該第4の核酸および/または第5の核酸は、FOXP3cDNA-LNGFRとDISC、FOXP3cDNA-LNGFRとμDISC、LNGFR-FOXP3cDNAとDISC、LNGFR-FOXP3cDNAとμDISC、CISCβ-DNとCISCγ-FOXP3cDNA-LNGFR、またはCISCβ-DNとCISCγ-LNGFR-FOXP3cDNAを発現する発現カセットをコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸および/または第5の核酸は、前記CD34+細胞に導入され、該第4の核酸および/または第5の核酸が、発現カセットをコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、遺伝子座に特異的な配列を有する少なくとも1つの相同アームを含み、該相同アームの長さは、AAVベクターへの効率的なパッケージングが達成されるように構成されている。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの相同アームの長さは、0.25kb、0.3kb、0.45kb、0.6kb、0.8kbもしくは1kb、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の長さである。いくつかの実施形態において、前記マーカーは、LNGF、RQR8またはEGFRtである。いくつかの実施形態において、前記方法は、FOXP3と共発現させるためのタンパク質またはサイトカインをコードする第6の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記タンパク質または前記サイトカインは、T細胞受容体、キメラ抗原受容体またはIL10である。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、配列番号34または36に示される配列を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記マーカーの濃度を上昇させることによって前記CD34+細胞を選択する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、hTPO、hFlt3、hSCFおよび/またはhIL6を含む培地に前記CD34+細胞を接触させる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる方法によって作製されたFOXP3発現用CD34+細胞を提供する。いくつかの実施形態において、前記FOXP3は、構成的に発現されるか、制御下で発現される。前記方法は、
少なくとも1つの遺伝子座を含む第1の核酸を含むCD34+細胞を提供する工程;
CAS9タンパク質、または該CAS9タンパク質をコードする第2の核酸配列を提供する工程;
前記CAS9タンパク質または第2の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程;
少なくとも1つの遺伝子座にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つのCRISPRスペーサー配列をコードする第3の核酸または該少なくとも1つのCRISPRスペーサー配列をコードする1組の核酸を導入する工程;および
遺伝子送達カセットを含む第4の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程
を含む。
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記CD34+細胞を活性化する工程をさらに含み、該活性化は、該CD34+細胞に第2の核酸を導入する前に行われる。いくつかの実施形態において、この活性化は、トロンボポエチン(TPO)、幹細胞因子(SCF)、FLT3LおよびIL-6からなる群から選択されるサイトカインにCD34+細胞を接触させることによって行われる。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの遺伝子座は、FOXP3遺伝子、AAVS1遺伝子座またはTRA遺伝子である。いくつかの実施形態において、第2の核酸、第3の核酸、前記1組の核酸および/または第4の核酸は、1つ以上のベクターに組み込まれて提供される。いくつかの実施形態において、前記1つ以上のベクターは、ウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、自己相補型ベクターである。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは一本鎖ベクターである。いくつかの実施形態において、前記AAVベクターは、自己相補型ベクターと一本鎖ベクターの組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記CAS9タンパク質をコードする第2の核酸は、mRNAである。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つのスペーサー配列は、配列番号2、3または5に示される配列を含む。いくつかの実施形態において、第2の核酸、第3の核酸、前記1組の核酸および/または第4の核酸は、真核細胞(ヒト細胞など)における発現のためにコドン最適化されている。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、ヒトのコドンに最適化されたFOXP3 cDNA配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、プロモーターをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、MNDプロモーター、PGKプロモーターまたはE2Fプロモーターである。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)のコード配列、μCISC、CISCγ、FRBおよび/またはLNGFRe(LNGFRエピトープのコード配列)をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)のコード配列および/またはLNGFRe(LNGFRエピトープのコード配列)をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、第2の遺伝子送達カセットを含む第5の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、第5の核酸は、ベクターに含まれている。いくつかの実施形態において、前記ベクターはAAVベクターである。いくつかの実施形態において、第5の核酸は、CISC、FRB、マーカータンパク質、μCISC、および/またはβCISCをコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第5の核酸は、マーカータンパク質をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸および/または第5の核酸は、P2A自己切断ペプチドをコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸および/または第5の核酸は、ポリA配列をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ポリA配列は、SV40ポリAまたはFOXP3の3’UTRを含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、WPRE3エレメントを含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸および/または第5の核酸が前記CD34+細胞に導入され、該第4の核酸および/または第5の核酸は、FOXP3cDNA-LNGFRとDISC、FOXP3cDNA-LNGFRとμDISC、LNGFR-FOXP3cDNAとDISC、LNGFR-FOXP3cDNAとμDISC、CISCβ-DNとCISCγ-FOXP3cDNA-LNGFR、またはCISCβ-DNとCISCγ-LNGFR-FOXP3cDNAを発現する発現カセットをコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸および/または第5の核酸は、前記CD34+細胞に導入され、該第4の核酸および/または第5の核酸が、発現カセットをコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、遺伝子座に特異的な配列を有する少なくとも1つの相同アームを含み、該相同アームの長さは、AAVベクターへの効率的なパッケージングが達成されるように構成されている。いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの相同アームの長さは、0.25kb、0.3kb、0.45kb、0.6kb、0.8kbもしくは1kb、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の長さである。いくつかの実施形態において、前記マーカーは、LNGF、RQR8またはEGFRtである。いくつかの実施形態において、前記方法は、FOXP3と共発現させるためのタンパク質またはサイトカインをコードする第6の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記タンパク質または前記サイトカインは、T細胞受容体、キメラ抗原受容体またはIL10である。いくつかの実施形態において、第4の核酸は、配列番号34または36に示される配列を含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記マーカーの濃度を上昇させることによって前記CD34+細胞を選択する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、hTPO、hFlt3、hSCFおよび/またはhIL6を含む培地に前記CD34+細胞を接触させる。
いくつかの実施形態において、FOXP3をコードする遺伝子をコードする核酸を含むFOXP3発現用CD34+細胞を提供する。いくつかの実施形態において、FOXP3をコードする前記遺伝子は、FOXP3遺伝子または非FOXP3遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態において、前記非FOXP3遺伝子座は、AAVS1遺伝子座またはTRA遺伝子である。いくつかの実施形態において、前記CD34+細胞は、CISCβ:FRB-IL2Rβ、DISC、CISC-FRB、μDISC、μCISC-FRB、FRB、LNGFRおよび/またはLNGFReを発現する。いくつかの実施形態において、前記CD34+細胞から、胸腺内で分化してTregの表現型を有するT細胞を発生する前駆細胞が生じる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによるCD34+細胞を含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、対象における疾患および/または状態を治療、緩和および/または抑制する方法であって、疾患および/または状態を有する対象に、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによるCD34+細胞または組成物を提供する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記疾患は自己免疫疾患である。いくつかの実施形態において、前記疾患はIPEX症候群である。いくつかの実施形態において、前記状態は、移植片対宿主病(GVHD)である。
代表的な実施形態
実施形態1.遺伝子組換え細胞を作製する方法であって、
少なくとも1つの標的遺伝子座を含む第1の核酸を含むCD34+細胞を提供する工程;
CAS9タンパク質、または該CAS9タンパク質をコードする第2の核酸配列を提供する工程;
前記CAS9タンパク質または第2の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程;
少なくとも1つの標的遺伝子座にハイブリダイズするように構成された少なくとも1つのCRISPRスペーサー配列をコードする第3の核酸または該少なくとも1つのCRISPRスペーサー配列をコードする1組の核酸を導入する工程;および
遺伝子送達カセットを含む第4の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程
を含む方法。
実施形態2.前記CD34+細胞を活性化する工程をさらに含み、該活性化が、該CD34+細胞に第2の核酸を導入する前に行われる、実施形態1に記載の方法。
実施形態3.前記活性化が、前記CD34+細胞をCD3および/またはCD28と接触させることによって行われる、実施形態2に記載の方法。
実施形態4.前記少なくとも1つの標的遺伝子座が、FOXP3遺伝子、AAVS1遺伝子座またはTRA遺伝子である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
実施形態5.第2の核酸、第3の核酸、前記1組の核酸および/または第4の核酸が、1つ以上のベクターに組み込まれて提供される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6.前記1つ以上のベクターがウイルスベクターである、実施形態5に記載の方法。
実施形態7.前記ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、実施形態6に記載の方法。
実施形態8.前記AAVベクターが自己相補型ベクターである、実施形態7に記載の方法。
実施形態9.前記AAVベクターが一本鎖ベクターである、実施形態7または8に記載の方法。
実施形態10.前記AAVベクターが、自己相補型ベクターと一本鎖ベクターの組み合わせである、実施形態7~9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11.CAS9タンパク質をコードする第2の核酸がmRNAである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態12.前記少なくとも1つのスペーサー配列が、配列番号2、3または5に示される配列を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
実施形態13.第2の核酸、第3の核酸、前記1組の核酸および/または第4の核酸が、真核細胞(ヒト細胞など)における発現のためにコドン最適化されている、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
実施形態14.第4の核酸が、ヒトのコドンに最適化されたFOXP3 cDNA配列をコードする配列を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15.第4の核酸が、プロモーターをさらに含む、実施形態13に記載の方法。
実施形態16.前記プロモーターが、MNDプロモーター、PGKプロモーターまたはE2Fプロモーターである、実施形態15に記載の方法。
実施形態17.第4の核酸が、低親和性神経成長因子受容体(LNGFR)のコード配列および/またはLNGFRe(LNGFRエピトープのコード配列)をコードする配列をさらに含む、実施形態14~16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態18.第2の遺伝子送達カセットを含む第5の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程をさらに含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19.第5の核酸がベクターに含まれる、実施形態18に記載の方法。
実施形態20.前記ベクターがAAVベクターである、実施形態18に記載の方法。
実施形態21.第5の核酸が、マーカータンパク質をコードする配列を含む、実施形態18~20のいずれか1つに記載の方法。
実施形態22.第4の核酸および/または第5の核酸が、P2A自己切断ペプチドをコードする配列をさらに含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
実施形態23.第4の核酸および/または第5の核酸が、ポリA配列をコードする配列をさらに含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
実施形態24.前記ポリA配列が、SV40ポリAまたはFOXP3の3’UTRを含む、実施形態23に記載の方法。
実施形態25.第4の核酸が、WPRE3エレメントを含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態26.第4の核酸および/または第5の核酸が、前記CD34+細胞に導入され、該第4の核酸および/または第5の核酸が、発現カセットをコードする配列を含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
実施形態27.第4の核酸が、遺伝子座に特異的な配列を有する少なくとも1つの相同アームを含み、該相同アームの長さが、AAVベクターへの効率的なパッケージングが達成されるように構成されている、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
実施形態28.前記少なくとも1つの相同アームの長さが、0.25kb、0.3kb、0.45kb、0.6kb、0.8kbもしくは1kb、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の長さである、実施形態27に記載の方法。
実施形態29.前記マーカーが、LNGF、RQR8またはEGFRtである、実施形態21~28のいずれか1つに記載の方法。
実施形態30.FOXP3と共発現させるためのタンパク質またはサイトカインをコードする第6の核酸を前記CD34+細胞に導入する工程をさらに含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
実施形態31.前記タンパク質または前記サイトカインが、T細胞受容体、キメラ抗原受容体またはIL10である、実施形態30に記載の方法。
実施形態32.第4の核酸が、配列番号34または36に示される配列を含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
実施形態33.前記マーカーの濃度を上昇させることによって前記CD34+細胞を選択する工程をさらに含む、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
実施形態34.hTPO、hFlt3、hSCFおよび/またはhIL6を含む培地に前記CD34+細胞を接触させる、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
実施形態35.請求項1~34のいずれか1つに記載の方法によって製造されたFOXP3発現用CD34+細胞。
実施形態36.前記FOXP3が構成的に発現されるか、制御下で発現される、実施形態35に記載のCD34+細胞。
実施形態37.FOXP3をコードする遺伝子をコードする核酸を含むFOXP3発現用CD34+細胞。
実施形態38.FOXP3をコードする前記遺伝子が、FOXP3遺伝子または非FOXP3遺伝子座に導入される、実施形態37に記載のCD34+細胞。
実施形態39.前記非FOXP3遺伝子座が、AAVS1遺伝子座またはTRA遺伝子である、実施形態38に記載のCD34+細胞。
実施形態40.前記CD34+細胞から、胸腺内で分化してTregの表現型を有するT細胞を発生する前駆細胞が生じる、実施形態35~39のいずれか1つに記載のCD34+細胞。
実施形態41.請求項34~40のいずれか1つに記載のCD34+細胞を含む組成物。
実施形態42.対象における疾患および/または状態を治療、緩和および/または抑制する方法であって、
疾患および/または状態を有する対象に、実施形態33~39のいずれか1つに記載のCD34+細胞または実施形態41に記載の組成物を提供する工程
を含む方法。
実施形態43.前記疾患が自己免疫疾患である、実施形態42に記載の方法。
実施形態44.前記疾患が、X連鎖性(IPEX)症候群である、実施形態42に記載の方法。
実施形態45.前記状態が、移植片対宿主病(GVHD)であるか、臓器移植により生じた状態である、実施形態42に記載の方法。
いくつかの実施形態は、FOXP3変異に関連した障害の治療または抑制において使用するための医薬品を含む。
前述の実施形態のいくつかにおいて、前記細胞は生殖細胞ではない。
実施例1:FOXP3を発現させるためのCD34 + 細胞の編集
この実施例では、Cas9およびFOXP3遺伝子を標的とするgRNAを介した、AAVドナーのFOXP3遺伝子への標的組み込みにより、CD34+細胞を編集できることを例証する。CD34+細胞のFOXP3遺伝子を、以下に概説するプロトコルに従って編集した。PBMCを動員した成人ドナーから採取・濃縮して凍結保存したCD34+細胞を解凍し、無血清幹細胞増殖培地[トロンボポエチン、幹細胞因子、FLT3リガンドおよびIL-6(PeproTech)をいずれも100ng/mlの濃度で添加したCellGenix GMP SCGM培地(CellGenix社)]に懸濁して、1×106個/mlの密度で播種した。このCD34+細胞を、無血清幹細胞増殖培地で37℃で48時間培養することによって前刺激した後、Neon(登録商標)トランスフェクションシステム(ThermoFisher Scientific社)を用いて、gRNAとIntegrated DNA Technologies(IDT)社(コーラルビル、アイオワ州、米国)のAlt-R S.p. Cas9ヌクレアーゼV3(IDT Cas9)タンパク質との複合体(gRNA/Cas9、gRNA:Cas9モル比1.2:1)を含むRNPをエレクトロポレーションにより導入した。本実施例では、スペーサー配列T3(配列番号2)またはT9(配列番号5)を含むgRNAを使用した。エレクトロポレーションを行った後、細胞を各ウェル400μLの培地を含む48ウェルプレートに移し、AAVドナー鋳型#3008(配列番号33)または#3037(配列番号34)をMOI 0.5k~1.8kで添加した。AAVドナー鋳型#3037は、FOXP3発現用のFOXP3 cDNA配列を含み、AAVドナー鋳型#3008は、MNDプロモーターの制御下にあるGFPコード配列を含んでおり、これにより、GFP発現に基づいて編集率を推定することができる(図1)。RNPのエレクトロポレーションおよびAAVによる形質導入を行ってから24時間後に、培地を除去し、新鮮な幹細胞増殖培地に交換した。編集後1日目、2日目および5日目に、細胞生存率(図2)およびGFP+細胞の割合(%)を調べた。各群の細胞生存率は同程度であった。
AAVドナー鋳型#3037による編集率を評価するために、コドン最適化FOXP3 cDNA内で結合するフォワードプライマーと、相同領域外のFOXP3遺伝子と結合するリバースプライマーとを用いて、「イン-アウト」ドロップレットデジタルPCR(ddPCR)を行った。コントロールとして、ActB遺伝子に対する同サイズのコントロール増幅産物を生成させた。反応はすべて二連で行った。PCR反応は、QX200 Droplet Generator(バイオ・ラッド社)を用いてドロップレットに分割して行った。増幅は、UTP非含有のプローブ用ddPCR Supermix(バイオ・ラッド社)、900nMのプライマー、250nMのプローブ、50ngのゲノムDNAおよび1%DMSOを用いて行った。ドロップレットの解析は、QX200 Droplet Digital PCR System(バイオ・ラッド社)で、QuantaSoftソフトウェア(バイオ・ラッド社)を用いて行った。
図3に示すように、AAVドナー鋳型#3037(配列番号34)を用いて形質導入を行った場合、Cas9/gRNA-T3 RNP(配列番号2の配列を有するスペーサーを含む)で編集した細胞は、Cas9/gRNA-T9 RNP(配列番号5の配列を有するスペーサーを含む)で編集した細胞と比較して、HDR率が高かった。さらに、AAVドナー鋳型#3008を用いた場合も、Cas9/gRNA-T3 gRNA RNPで編集した細胞の方がGFPの発現が高かった。
長い相同アームを有する別のAAVドナー鋳型構造に対しても検証を行った。GFPコード配列を含むAAVドナー鋳型#3088(配列番号35)は、両末端に0.8kbのアームを有し、3'相同アームは、3'相同アームの5'末端にT3 gRNA切断部位が配置されるように修飾されている。AAVドナー鋳型#3008および#3088はいずれも、使用するgRNAでは切断されない。下表は、未処理のCD34
+細胞およびT3 gRNAを含むCas9/gRNA RNP + AAVドナー鋳型#3008または#3088で処理したCD34
+細胞の生存率を示す。AAVドナー鋳型#3088で処理した細胞の生存率の方がわずかに高かった。
AAVドナー鋳型#3088のみで処理したCD34
+細胞、Cas9/T3 gRNA RNP + AAVドナー鋳型(#3008または#3088)で処理したCD34
+細胞、またはmock処理したCD34
+細胞の編集率を、GFP
+細胞のFACS分析により確認した。以下に示すように、AAVドナー鋳型#3088を用いて編集を行った細胞のHR量は、AAVドナー鋳型#3008を用いて編集を行った細胞の約3倍であった。この結果は、0.6kbの相同アームを有するAAVドナー鋳型と比較して、0.8kbの相同アームを有するAAVドナー鋳型の方が、高い編集効率が得られることを示唆している。下表に結果をまとめた。
実施例2:他のスペーサー配列を有する実施形態
FOXP3遺伝子を標的とする別のスペーサー配列の使用も想定される。これらを表1に示す。配列番号1、4、6または7のスペーサー配列を含むgRNAを作製し、これらのgRNAのCD34+細胞における編集効率を、例えば実施例1に記載の実験と同様の方法で確認する。
表2に示すような、AAVS1遺伝子座を標的とするスペーサー配列(配列番号15~20)を含むgRNAも作製する。これらのgRNAを実施例1に記載の編集プロトコルで使用してもよい。マウスFOXP3遺伝子を標的とするスペーサー配列(配列番号27~29)を含むgRNAおよびヒトTRA遺伝子を標的とするスペーサー配列を含むgRNAも作製し、実施例1に記載の編集プロトコルで検証する。
下記の発現カセットを有するドナー鋳型も想定される:FOXP3cDNA-LNGFR、LNGFR-FOXP3cDNA、FOXP3cDNA-μDISC、FOXP3cDNA-LNGFRe-μDISC、μDISCFOXP3cDNA、LNGFRe-μDISCFOXP3cDNA、DISC、μDISC、CISCβ-DN、CISCγ-FOXP3cDNA-LNGFRおよび/またはCISCγ-LNGFR-FOXP3cDNA。
実施例3:異なるガイドRNAを用いたCAS9 RNPの送達
結果
T3スペーサー配列またはT9スペーサー配列を有するgRNAを、2つの異なるCas9ヌクレアーゼとそれぞれ複合体を形成させてRNPとして送達する場合の、細胞生存率、アレルの破壊率および相同組換え修復率を、以下に記載の通り、AAVドナー鋳型#3008と共送達して評価した。
T3スペーサー配列を含むCas9/gRNA RNPは、アレルの破壊およびHDRを誘導する能力において、T9スペーサー配列を含むCas9/gRNA RNPより優れていた。しかしながら、以下にまとめた通り、T3スペーサー配列を有するCas9/gRNA RNPでは、オフターゲット部位SLC2A6にも切断が生じることが分かった。
Cas9タンパク質の改変体である、Aldevron社(ファーゴ、ノースダコタ州、米国)のSpyFi Cas9は、オフターゲット切断を抑制することが報告されている。ICE分析では、SpyFi Cas9/T3スペーサー配列を有するFOXP3標的化gRNAを含むRNPによる、SLC2A6部位におけるオフターゲット切断は認められなかった。T3スペーサー配列、T9スペーサー配列のいずれを含む場合でも、SpyFi Cas9/gRNA RNPによるオフターゲット部位での切断は認められなかった。
方法
まず、2つの異なる供給元から入手したCas9(IDT社のAlt-R S.p. Cas9ヌクレアーゼV3またはAldevron社のSpyFi Cas9)でCD34+細胞を処理した場合の細胞生存率を比較するために、成人由来の動員CD34+細胞を、TPO、SCF、FLT3LおよびIL-6(100ng/mL)を添加したSCGM培地で48時間培養した後、Neon(登録商標)トランスフェクションシステム(型式 MPK5000, ThermoFisher Scientific社)を用いて、T3スペーサー配列またはT9スペーサー配列を含むCas9/gRNA RNP(Cas9:スペーサー比1:1.2)1μgをエレクトロポレーションにより導入した。図4に示すように、編集後1日目および2日目の細胞生存率を、前方散乱特性および側方散乱特性により評価した。
次に、2つの異なる供給元から入手したCas9(IDT社のAlt-R S.p. Cas9ヌクレアーゼV3またはAldevron社のSpyFi Cas9)を含むRNPとAAVドナー鋳型を共に用いてCD34+細胞を編集した場合の細胞生存率を比較した。結果を図5に示す。成人由来の動員CD34+細胞を、TPO、SCF、FLT3LおよびIL-6(100ng/mL)を添加したSCGM培地で48時間培養した後、Neonシステムを用いて、T3スペーサー配列またはT9スペーサー配列を含むRNP(Cas9:スペーサー比1:1.2)1μgをエレクトロポレーションにより導入し、AAVによる形質導入を行った。1日目、2日目および5日目の細胞生存率を、前方散乱特性および側方散乱特性により評価した。
FOXP3遺伝子の編集率を比較するために、2つの異なる供給元から入手したCas9(IDT社のAlt-R S.p. Cas9ヌクレアーゼV3またはAldevron社のSpyFi Cas9)を含むRNPとAAVドナー鋳型を共に用いてCD34+細胞を編集した。
全体的なインビトロ試験プロトコルは、以下の通りである。まずCD34+細胞を解凍し、解凍した細胞を2日間培養した後、0日目にRNPで処理し、その直後にAAVドナー鋳型で処理した。1日目にAAVのウォッシュアウトを行い、2日目および5日目にFACS分析を行った。
具体的には、成人由来の動員CD34
+細胞を、TPO、SCF、FLT3LおよびIL-6(100ng/mL)を添加したSCGM培地で48時間培養した後、Neonシステムを用いて、T3スペーサー配列またはT9スペーサー配列を含むCas9/gRNA RNP(Cas9:gRNA比1:1.2)1μgをエレクトロポレーションにより導入し、AAVドナー鋳型#3008による形質導入を行った。5日目にGFP発現をフローサイトメトリーにより評価した。結果を下表に示す。
さらに、2つの異なる供給元から入手したCas9を使用して編集したCD34
+細胞のFOXP3遺伝子におけるNHEJ率(CRISPR編集の推定(ICE)スコア)の比較結果を下表に示す。成人由来の動員CD34
+細胞を、TPO、SCF、FLT3LおよびIL-6(100ng/mL)を添加したSCGM培地で48時間培養した後、Neonシステムを用いて、T3スペーサー配列またはT9スペーサー配列を含むCas9/gRNA RNP(Cas9:gRNA比1:1.2)1μgをエレクトロポレーションにより導入した。細胞を5日間培養した後、ゲノムDNAを抽出した。切断部位の周辺領域を増幅してシークエンスを行い、ICE(CRISPR編集の推定)(Hsiau, T. et al., Inference of CRISPR Edits from Sanger Trace Data. bioRxiv 251082)分析を行った。遺伝子座Aは、X染色体上に存在するFOXP3以外の遺伝子座である。
次に、下表に示すように、3名のドナーにおけるT3スペーサー配列またはT9スペーサー配列を含むRNPの切断効率を比較するために、成人由来の動員CD34
+細胞をSCGMで培養し、Neonエレクトロポレーションシステムを用いてトランスフェクションを行った。細胞を5日間培養した後、ゲノムDNAを抽出した。ヌクレアーゼ切断部位の周辺領域を増幅してシークエンスを行い、ICE(CRISPR編集の推定)分析を行った。
また、下表に示すように、3名のドナーにおける、T3スペーサー配列またはT9スペーサー配列を含むRNPの切断効率を、IDT Cas9を使用して比較した。成人由来の動員CD34
+細胞を、TPO、SCF、FLT3LおよびIL-6(100ng/mL)を添加したSCGM培地で48時間培養した後、Neonシステムを用いて、T3スペーサー配列またはT9スペーサー配列を含むCas9/gRNA RNP(Cas9:スペーサー比1:1.2)1μgをエレクトロポレーションにより導入した。細胞を5日間培養した後、ゲノムDNAを抽出した。切断部位の周辺領域を増幅してシークエンスを行い、ICE(CRISPR編集の推定)分析を行った。T3スペーサー配列を有するRNPのオフターゲット切断部位(SLC2A6)の周辺領域も増幅し、ICE分析を行った。オフターゲット部位は、CCTop-CRISPR/Cas9ターゲットオンライン予測ツール(Stemmer, M. et al. (2017) Plos One, 12(4): e0176619)を使用して同定した。
さらに、下表に示すように、FOXP3遺伝子およびオフターゲット遺伝子座における、T3スペーサー配列またはT9スペーサー配列を含むRNPの切断効率を、IDT Cas9を使用した場合とSpyFi Cas9を使用した場合で比較した。成人由来の動員CD34
+細胞を上記と同様に培養した後、Neonシステムを用いて、T3スペーサー配列またはT9スペーサー配列を含むCas9/gRNA RNP(Cas9:スペーサー比1:1.2)1μgをエレクトロポレーションにより導入した。IDT社のAlt-R S.p. Cas9ヌクレアーゼV3またはAldevron社のSpyFi Cas9を使用した。細胞を5日間培養した後、ゲノムDNAを抽出した。切断部位の周辺領域を増幅してシークエンスを行い、ICE(CRISPR編集の推定)分析を行った。IDT Cas9/gRNA-T3 RNPのオフターゲット切断部位(SLC2A6)の周辺領域も増幅し、ICE分析を行った。その他のRNPでは、SLC2A6でのオフターゲット切断は認められなかった。オフターゲット部位は、CCTop-CRISPR/Cas9ターゲットオンライン予測ツールを使用して同定した。
実施例4:CD34 + 細胞トランスフェクションプロトコルの改変
結果
この実施例では、ロンザ社のnucleofectorまたはNeonエレクトロポレーションシステムを使用した、CD34+細胞のトランスフェクション効率を向上させるための細胞トランスフェクションの改変プロトコルについて説明する。
実施例3に記載のNeonエレクトロポレーション装置を使用する改良プロトコルとともに、様々なプログラムの検証を行った。ロンザ社のシステムでプログラムCM149を使用した場合、Neonシステムを使用した場合と同等の細胞生存率、トランスフェクション率およびHDR率が得られたため、以下のin vivo実験では、このプログラムを使用した。AAVドナー鋳型#3088を、T3スペーサー配列を含むSpyFi Cas9/gRNA RNPと共に使用した。DNAドナーとしてのAAVドナー鋳型#3088(配列番号33)は、この条件下で、AAVドナー鋳型#3008より高いHDR率を示した。
次に、先に記載のCD34+細胞培養プロトコル(プロトコルA)を、別のプロトコル(プロトコルB)と比較した。プロトコルBでは、サイトカイン刺激時に細胞をプロトコルAより低い密度で培養し、プロトコルAとは異なる培地を使用する。プロトコルBで培養した細胞では、プロトコルAより静止状態の細胞の割合が高く、プロトコルBによる培養物中では、長期再構築能を持つ静止状態のHSCが高い割合で維持されている可能性が示唆された。しかしながら、プロトコルBで培養する細胞で同程度のHDR率を達成するためには、より高用量のAAVを細胞に送達する必要があった。
方法
まず、ヒトCD34
+細胞へのヌクレオフェクションをロンザ社の4D-Nucleofector(商標)システム(4種類の異なるプログラム)を使用して行った場合と、ヒトCD34
+細胞へのエレクトロポレーションをNeonトランスフェクションシステム(型式 MPK5000)を使用して行った場合の細胞生存率を比較した。結果を下表に示す。
成人由来の動員CD34+細胞を、TPO、SCF、FLT3LおよびIL-6(100ng/mL)を添加したSCGM培地で48時間培養した後、Neonシステムによるエレクトロポレーションまたはロンザ社のシステムによるヌクレオフェクションを行った。細胞には、疑似トランスフェクション、GFP mRNA 1μgのトランスフェクション、またはSpyFi Cas9とT3スペーサー配列を含むgRNAとを含むRNP(Cas9:gRNA比1:1.2)1μgのトランスフェクションを行った。細胞生存率を前方散乱特性および側方散乱特性により評価した。1名のCD34+細胞ドナーから得られたデータを上記表に示す。
ヒトCD34
+細胞にロンザ社のシステムによるヌクレオフェクションを行った場合と、Neonシステムによるエレクトロポレーションを行った場合のGFP mRNA発現を比較した結果を下表に示す。
成人由来の動員CD34+細胞を、TPO、SCF、FLT3LおよびIL-6(100ng/mL)を添加したSCGM培地で48時間培養した後、Neonシステムによるエレクトロポレーションまたはロンザ社のシステムによるヌクレオフェクションを行った。細胞にGFP mRNA 1μgをトランスフェクションした後、1日目および4日目にGFP発現を評価した。1名のCD34+細胞ドナーから得たデータを上記表に示す。
次に、ヒトCD34
+細胞にロンザ社のシステムによるヌクレオフェクションを行った場合と、Neonシステムによるエレクトロポレーションを行った場合のNHEJ率を比較した。結果を下表に示す。
実施例3に記載の全体的なin vitroプロトコルを使用した。成人由来の動員CD34+細胞を、TPO、SCF、FLT3LおよびIL-6(100ng/mL)を添加したSCGM培地で48時間培養した後、Neonシステムによるエレクトロポレーションまたはロンザ社のシステムによるヌクレオフェクションを行った。細胞には、SpyFi Cas9とT3スペーサー配列を含むgRNAとを含むRNP(Cas9:スペーサー比1:1.2)1μgをトランスフェクションした。5日目に細胞を回収し、ドロップレットデジタルPCRによりNHEJ率を求めた。プライマーは、NHEJプローブの結合によって切断される部位からT3スペーサー配列切断部位にかかるように設計されている。FOXP3遺伝子とは別の領域から同サイズのコントロール増幅産物を生成させた。各サンプルを二連で分析した。PCR反応は、QX200 Droplet Generator(バイオ・ラッド社)を用いてドロップレットに分割して行った。増幅は、UTP非含有のプローブ用ddPCR Supermix(バイオ・ラッド社)、900nMのプライマー、250nMのプローブ、50ngのゲノムDNAおよび1%DMSOを用いて行った。ドロップレットの解析は、QX200 Droplet Digital PCR System(バイオ・ラッド社)で、QuantaSoftソフトウェア(バイオ・ラッド社)を用いて行った。1名のCD34+細胞ドナーから得たデータを棒グラフに示す。NHEJ率は以下の式を用いて算出した。
ロンザ社のシステムを用いて様々なプログラムでヌクレオフェクションを行った場合と、Neonシステムによるエレクトロポレーションを行った場合の細胞生存率を比較するために、成人由来の動員CD34
+細胞をSCGM培地で培養した後、Neonシステムによる疑似エレクトロポレーションまたはロンザ社のシステムによる疑似ヌクレオフェクションを行った。1日目、2日目および5日目の細胞生存率を、前方散乱特性および側方散乱特性により評価した。1名のCD34
+細胞ドナーから得たデータを下表に示す。
次に、RNPとAAVを導入する際に、ロンザ社のシステムを用いて様々なプログラムでヌクレオフェクションを行った場合と、Neonシステムによるエレクトロポレーションを行った場合の細胞生存率を比較した。実施例3に記載の全体的なin vitroプロトコルを使用した。成人由来の動員CD34
+細胞を、SCGM培地で培養した後、Neonシステムによるエレクトロポレーションまたはロンザ社のシステムによるヌクレオフェクションにより、SpyFi Cas9とT3スペーサー配列を含むgRNAとを含むRNP(1μg)(Cas9:スペーサー比1:1.2)を導入し、図1に模式的に示すAAVドナー鋳型#3088による形質導入を行った。1日目、2日目および5日目の細胞生存率を、前方散乱特性および側方散乱特性により評価した。1名のCD34
+細胞ドナーから得たデータを下表の棒グラフに示す。
次に、ロンザ社のシステムを用いて様々なプログラムでヌクレオフェクションを行った場合と、Neonシステムによるエレクトロポレーションを行った場合のGFP発現(HDR)率を比較した。この実験では、AAVドナー鋳型#3088を使用した。このAAVドナー鋳型は、3'相同アームの開始側にT3スペーサー配列切断部位が配置されるように設計されている。実施例3に記載の全体的なin vitroプロトコルを使用した。成人由来の動員ヒトCD34
+細胞をSCGM培地中で培養した後、Neonシステムによるエレクトロポレーションまたはロンザ社のシステムによるヌクレオフェクションにより、RNP(1μg)を導入した。その後、AAVドナー鋳型による形質導入を行った(パネルA)。5日目に、GFP発現に基づいてHDR率を求めた。1名のCD34
+細胞ドナーから得たデータを下表に示す。プログラムCM149(ロンザ社)を使用した場合、細胞生存率の顕著な低下を伴うことなく、最も高い編集率(GFP
high)が得られたことから、プログラムCM149(ロンザ社)を以後の実験に使用することにした。
2つの異なるin vitro細胞ゲノム編集プロトコル(プロトコルAおよびB)の詳細を下表に示す。
プロトコルAでは、TPO、SCF、FLT3LおよびIL-6(各100ng/ml)を添加し、35nM UM171および1μM SR1を加えたSCGM培地で、動員ヒトCD34
+細胞を1×10
6個/mlの濃度で48時間培養した後、ロンザ社のシステムを用いてヌクレオフェクションにより、SpyFi Cas9とT3スペーサー配列を含むgRNAとを含むRNP(Cas9:スペーサー比1:1.2)1μgを導入した。次に、AAVドナー鋳型を用いて、MOI 50で細胞への形質導入を行った。形質導入から16時間後、培地を追加してAAVを希釈した。プロトコルBでは、上記と同じ添加物を含むSFEM II培地でCD34
+細胞を培養した。前刺激における細胞密度は2.50×10
5個/mlとした。48時間の前刺激後、ロンザ社のシステムを用いて細胞にヌクレオフェクションを行い、1×10
6個/mlの密度で播種した細胞に、AAVを用いてMOI 50、MOI 100またはMOI 200で形質導入を行った。形質導入から16時間後、細胞を2.5×10
5個/mlの密度で再び播種した。1日目、2日目および5日目の細胞生存率を、前方散乱特性および側方散乱特性により評価した。プロトコルAを使用した場合とプロトコルBを使用した場合の細胞生存率を比較した。1名のCD34
+細胞ドナーから得られたデータを下表に示す。
次に、プロトコルAまたはBで培養したCD34
+細胞にAAVドナー鋳型を用いて形質導入を行い、フローサイトメトリーにより評価した。1日目および2日目のGFP発現率(%)を下表に示す。1名のCD34
+細胞ドナーから得たデータを示す。
次に、プロトコルAまたはBで培養したCD34
+細胞におけるHDR率を、5日目の安定したGFP発現に基づいて求めた。GFP発現レベルをフローサイトメトリーにより評価した。1名のCD34
+細胞ドナーから得たデータを下表に示す。
下表に示すように、プロトコルAで48時間培養した細胞と、プロトコルBで48時間培養した細胞の細胞周期相を比較するために、成人由来の動員CD34
+細胞を、プロトコルAまたはBで前述と同様に培養し、培養開始から48時間後に、Muse(商標)細胞周期分析キット(Merck社、ダルムシュタット、ドイツ)を用いて細胞周期相を判定した。棒グラフは、各培養プロトコルにおける、G0/G1期、S期またはG2/M期の細胞の割合(%)を示す。DNA含量を示すDNAインデックスプロットを各棒グラフの下に示す。この結果から、SCGM(プロトコルA)を使用した場合より、プロトコルBでSFEMII培地を使用した方がCD34
+培養物中の静止状態の細胞の割合が高いことが示唆された。
実施例5:健常対象者由来CD34 + 細胞の編集方法の改変
標的組み込み後にWPREエレメントによる発現が可能なFOXP3 cDNAが導入されるように設計されたAAV6ドナーを用いて、FOXP3遺伝子を編集した。1名の健常対象者のCD34+細胞を編集した。
図1に、コドン最適化cDNA、WPRE3エレメントおよびSV40ポリアデニル化部位を発現するFOXP3 cDNAベクターを含むAAVドナー鋳型#3232の模式図を示す。下表は、前述したプロトコルBを使用して、SpyFi Cas9/T3-gRNA(1:1.2)RNPと、異なるMOIのFOXP3 cDNAベクターとを用いて編集した、健常対象者のCD34
+細胞におけるHDR率を示す。コントロールとしてのRNPなしの場合、AAVなしの場合のHDR率(%)の測定値は示していない。
上記と同様に異なるMOIで処理した細胞の細胞生存率を下表に示す。これらのデータによれば、FOXP3の遺伝子座特異的な発現が下流の変異に関係なく起こると考えられるため、このゲノム編集方法により、効果的かつ持続的な長期治癒がもたらされる可能性があることが示唆される。
実施例6:マウスにおけるHDR編集CD34 + 細胞の生着 結果
実施例4に従ってプロトコルAまたはBでCD34
+細胞を培養し、Neonトランスフェクションシステムまたはロンザ社のトランスフェクションシステムを用いて、AAVドナー鋳型#3088とSpyFi Cas9/T3 gRNAとを含むRNP(1:1.2 Cas9:gRNA)をトランスフェクションして得られたゲノム編集(GFP
+)CD34
+細胞のNSGW41レシピエントマウスにおける長期の生着を評価した。下表に示すように、RNPとAAVドナー鋳型の組み合わせ処理により、許容可能なレベルのHDRが達成された。
編集したPBSCを実験マウスに移植し、移植から12~16週間後、骨髄中のhCD45
+細胞の生着率を調べた。下表にまとめたように、複数の実験結果から算出された、骨髄中のヒト細胞の平均生着率は約60%であり、これらの細胞の約5%は長期間GFPを維持していた。
これらのデータにより、FOXP3遺伝子がHDR編集されたHSCは、長期間生着し、ドナー遺伝子発現カセットの発現を維持できることが正式に証明された。すべてのレシピエント動物の脊髄系細胞集団およびB細胞集団において、編集された細胞が確認され、これらの細胞系列における編集された細胞の比率は、mock編集されたヒトCD34
+細胞のレシピエント動物での比率と同等であった。このデータは、分化多能性HSCの編集と一致しており、HDR編集された幹細胞の分化能はFOXP3遺伝子の編集によって損なわれないことを示している。全体の生着率において、両プロトコル間で有意差は認められなかった。全体として、レシピエントマウスのB細胞集団において、編集された細胞が確認され、この細胞系列における編集された細胞の比率は、mock編集されたヒトCD34
+細胞のレシピエントマウスでの比率と同等であったことから、FOXP3遺伝子の編集によって分化能が損なわれないことが示唆される。
脾臓内のヒト造血細胞の平均生着率は骨髄よりわずかに低かったが、mock処理された細胞のレシピエント動物とHDR編集された細胞のレシピエント動物で同程度であった。HDR編集されたGFP
+細胞は、すべての細胞系列(B細胞、T細胞、骨髄系細胞)に存在しており、その比率は、mock処理細胞を移植した場合の比率と同等であった。GFP
+細胞の生着に成功したことは、下表および図6~8から分かる。
さらに、下表に示すように、骨髄に生着したヒトCD45
+造血幹細胞(HSC)(CD38
lowCD34
+の発現により定義される)の割合(%)は、mock処理された細胞のレシピエント動物とHDR編集された細胞のレシピエント動物で同等であった。GFP
+細胞は、この細胞集団に存在しており、この結果は、インビボで長期間生存可能な幹細胞集団の編集と一致している。
方法
プロトコルAでは、TPO、SCF、FLT3LおよびIL-6(各100ng/ml)を添加し、35nM UM171および1μM SR1を加えたSCGM培地で、動員ヒトCD34+細胞を1×106個/mlの濃度で48時間培養した後、Neonシステムまたはロンザ社のシステムを用いて、SpyFi Cas9/T3 gRNAを含むRNP(Cas9:gRNAモル比1:1.2)1μgを導入した。次に、AAVドナー鋳型#3088を用いて、MOI 50で細胞への形質導入を行った。上記プロトコルで培養した細胞(mock処理または編集した細胞、マウス1匹当たり1.5~2×106個)を、24時間前に12.5mg/kgのブスルファン注射で処置したNSGW41レシピエントマウスに移入した。移植から12~16週間後に、マウスを屠殺し、骨髄と脾臓の分析を行った。
プロトコルBでは、上記と同じ添加物を同じ濃度で含むSFEM II培地でCD34+細胞を培養した。前刺激における細胞密度は2.50×105個/mlとした。48時間の前刺激後、ロンザ社のシステムを用いて細胞にヌクレオフェクションを行い、1×106個/mlの密度で播種した細胞に、AAVドナー鋳型を用いてMOI 200で形質導入を行った。上記プロトコルで培養した細胞(mock処理または編集した細胞、マウス1匹当たり1.5~2×106個)を、24時間前に12.5mg/kgのブスルファン注射で処置したNSGW41レシピエントマウスに移入した。移植から12~16週間後に、マウスを屠殺し、骨髄と脾臓の分析を行った。
細胞移植から16週間後のNSGW41マウスの骨髄から回収した細胞を分析するために、以下に記載のゲーティング法を用いた。mock処理(未処理)細胞を移植したマウスから骨髄を採取した。AAVとRNPで処理した細胞を移植したマウスからも骨髄を採取した。いずれの場合も、hCD45:mCD45キメリズムの程度を調べ、ヒトCD45ゲーティングCD33+およびCD19+染色を行った。hCD45+細胞におけるGFP発現、CD33+細胞におけるGFP発現、およびCD19+細胞におけるGFP発現を調べた。
これらの選別された細胞に、SpyFi Cas9/T3 gRNAを含むRNP(Cas9:gRNA比1:1.2)1μgをトランスフェクションし、AAVドナー鋳型#3088(配列番号35)を用いてMOI 50~200で形質導入を行った。翌日、NSGW41マウスに細胞を移植した。細胞移植の前日に12.5mg/kgのブスルファンをマウスに注射した。移植から12~16週間後に、マウスを屠殺し、ヒト細胞の存在を確認した。上記表に、選別された細胞の生着率を調べた結果をまとめた。レシピエントマウスにおける生着率は、mock処理した細胞とRNPで編集した細胞で同等であった。
細胞移植から16週間後のNSGW41マウスの脾臓から回収した細胞を分析するために、以下に記載のゲーティング法を用いた。mock処理(未処理)細胞を移植したマウスから脾臓を採取した。AAVとRNPで処理した細胞を移植したマウスからも脾臓を採取した。各コホートで、hCD45:mCD45キメリズムの程度を調べ、ヒトCD45ゲーティングCD33+およびCD19+染色を行った。hCD45+細胞におけるGFP発現、CD33+細胞におけるGFP発現、およびCD19+細胞におけるGFP発現を調べた。
これらの選別された細胞に、SpyFi Cas9/T3 gRNAを含むRNP(Cas9:gRNA比1:1.2)1μgをトランスフェクションし、AAVドナー鋳型#3088(配列番号35)を用いてMOI 50~200kで形質導入を行った。翌日、NSGW41マウスに細胞を移植した。細胞移植の1~2日前に12.5mg/kgのブスルファンをマウスに注射した。移植から12~16週間後に、マウスを屠殺し、ヒト細胞の存在を確認した。レシピエントマウスにおける生着率は、mock処理した細胞とRNPで編集した細胞で同等であった。
mock処理または編集した細胞を移植したNSGW41マウスの骨髄から回収したヒトCD34+CD38lowCD45+細胞集団中のGFP+細胞を分析するために、以下に記載のゲーティング法を用いた。hCD45:mCD45キメリズムの程度を調べ、ヒトCD45ゲーティングCD38lowCD34+染色を行った。CD38lowCD34+集団中のGFP+細胞を単離した。
これらの細胞に、SpyFi Cas9/T3 gRNAを含むRNP(Cas9:gRNA比1:1.2)1μgをトランスフェクションし、AAVドナー鋳型#3088(配列番号35)を用いてMOI 50~200で形質導入を行った。翌日、NSGW41マウスに細胞を移植した。細胞移植の1~2日前に12.5mg/kgのブスルファンをマウスに注射した。移植から12~16週間後に、マウスを屠殺し、ヒト細胞の存在を確認した。
配列
本開示において開示した配列に加えて、説明を目的として提供された本開示の代表的な様々な実施形態において言及または使用された以下の配列を提供する。
本発明は、以下の発明を含む。
[1]デオキシリボ核酸(DNA)エンドヌクレアーゼ、または該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸;
CD34+細胞のFOXP3遺伝子、AAVS1遺伝子座もしくはTRA遺伝子内の配列に相補的なスペーサー配列を含むガイドRNA(gRNA)、または該gRNAをコードする核酸;および
FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナー鋳型
を含むシステム。
[2]前記gRNAが、
i)配列番号1~7、15~20および27~29のいずれかに示されるスペーサー配列、もしくは配列番号1~7、15~20および27~29のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアント;
ii)配列番号1~7のいずれかに示されるスペーサー配列、もしくは配列番号1~7のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアント;または
iii)配列番号2、3および5のいずれかに示されるスペーサー配列、もしくは配列番号2、3および5のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアント
を含む、前記[1]に記載のシステム。
[3]前記FOXP3またはその機能性誘導体が、野生型ヒトFOXP3である、前記[1]または[2]に記載のシステム。
[4]前記DNAエンドヌクレアーゼがCas9である、前記[1]~[3]のいずれか1項に記載のシステム。
[5]前記DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸がmRNAである、前記[1]~[4]のいずれか1項に記載のシステム。
[6]前記ドナー鋳型が、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている、前記[1]~[5]のいずれか1項に記載のシステム。
[7]前記DNAエンドヌクレアーゼまたは該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸が、リポソームまたは脂質ナノ粒子への内包化により製剤化されている、前記[1]~[6]のいずれか1項に記載のシステム。
[8]前記リポソームまたは前記脂質ナノ粒子が、前記gRNAをさらに含む、前記[1]~[7]のいずれか1項に記載のシステム。
[9]CD34+細胞のゲノムを編集する方法であって、
(a)CD34+細胞のFOXP3遺伝子、AAVS1遺伝子座もしくはTRA遺伝子内の配列に相補的なスペーサー配列を含むガイドRNA(gRNA)、または該gRNAをコードする核酸;
(b)DNAエンドヌクレアーゼ、または該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸;および
(c)FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナー鋳型
をCD34+細胞に提供する工程
を含む方法。
[10]前記gRNAが、
i)配列番号1~7、15~20および27~29のいずれかに示されるスペーサー配列、もしくは配列番号1~7、15~20および27~29のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアント;
ii)配列番号1~7のいずれかに示されるスペーサー配列、もしくは配列番号1~7のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアント;または
iii)配列番号2、3および5のいずれかに示されるスペーサー配列、もしくは配列番号2、3および5のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアント
を含む、前記[9]に記載の方法。
[11]前記FOXP3またはその機能性誘導体が、野生型ヒトFOXP3である、前記[9]または[10]に記載の方法。
[12]前記DNAエンドヌクレアーゼがCas9である、前記[9]~[11]のいずれか1項に記載の方法。
[13]I)前記DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸が、前記細胞における発現のためにコドン最適化されており;かつ/または
II)前記FOXP3もしくはその機能性誘導体をコードする核酸配列が、前記細胞における発現のためにコドン最適化されている、前記[9]~[12]のいずれか1項に記載の方法。
[14]前記DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸がmRNAである、前記[9]~[13]のいずれか1項に記載の方法。
[15]前記ドナー鋳型が、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにコードされている、前記[9]~[14]のいずれか1項に記載の方法。
[16]前記DNAエンドヌクレアーゼまたは該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸が、リポソームまたは脂質ナノ粒子への内包化により製剤化されている、前記[9]~[15]のいずれか1項に記載の方法。
[17]前記リポソームまたは前記脂質ナノ粒子が、前記gRNAをさらに含む、前記[16]に記載の方法。
[18]前記DNAエンドヌクレアーゼと前記gRNAをあらかじめ複合体化させることにより形成されたリボ核タンパク(RNP)複合体を前記細胞に提供する工程を含む、前記[9]~[17]のいずれか1項に記載の方法。
[19]前記[9]~[18]のいずれか1項に記載の方法によってゲノム編集された遺伝子組換えCD34+細胞。
[20]前記[19]に記載の遺伝子組換えCD34+細胞を含む組成物。
[21]対象において、FOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態を治療または抑制する方法であって、
(a)CD34+細胞のFOXP3遺伝子、AAVS1遺伝子座もしくはTRA遺伝子内の配列に相補的なスペーサー配列を含むガイドRNA(gRNA)、または該gRNAをコードする核酸;
(b)DNAエンドヌクレアーゼ、または該DNAエンドヌクレアーゼをコードする核酸;および
(c)FOXP3またはその機能性誘導体をコードする核酸配列を含むドナー鋳型
を対象のCD34+細胞に提供する工程
を含む方法。
[22]前記gRNAが、
i)配列番号1~7、15~20および27~29のいずれかに示されるスペーサー配列、もしくは配列番号1~7、15~20および27~29のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアント;
ii)配列番号1~7のいずれかに示されるスペーサー配列、もしくは配列番号1~7のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアント;または
iii)配列番号2、3および5のいずれかに示されるスペーサー配列、もしくは配列番号2、3および5のいずれかと比較して3個以下のミスマッチを有する前記スペーサー配列のバリアント
を含む、前記[21]に記載の方法。
[23]前記FOXP3またはその機能性誘導体が、野生型FOXP3である、前記[21]または[22]に記載の方法。
[24]前記疾患または状態が、炎症性疾患または自己免疫疾患である、前記[21]~[23]のいずれか1項に記載の方法。
[25]前記疾患または状態が、IPEX症候群または移植片対宿主病である、前記[21]~[24]のいずれか1項に記載の方法。
[26]炎症性疾患または自己免疫疾患などのFOXP3関連疾患またはFOXP3関連状態の抑制または治療において使用するための、前記[9]~[18]のいずれか1項に記載の方法によってゲノム編集された遺伝子組換えCD34+細胞。
[27]前記[9]~[18]のいずれか1項に記載の方法によってゲノム編集された遺伝子組換えCD34+細胞の、医薬品としての使用。