半導体デバイスの製造工程では、2枚の半導体基板(以下、「ウェハ」という。)が接合された重合ウェハにおいて、第2のウェハの表面に形成されたデバイス層を第1のウェハに転写することが行われている。このデバイス層の転写は、例えばレーザリフトオフを用いて実行される。すなわち、チャックに保持された重合ウェハの内部にレーザ照射部からレーザ光を照射することで、第1のウェハと第2のウェハの接合強度を低下させた後、第2のウェハを第1のウェハから剥離することで、デバイス層を第1のウェハに転写する。
レーザリフトオフでは、重合ウェハを回転させると共に、レーザ光を径方向外側から内側に移動させながら、当該レーザ光をパルス状に照射する。この際、第1のウェハと第2のウェハの剥離をウェハ面内で均一に行うためには、レーザ光を照射する間隔、すなわちパルスの間隔を一定にするのが好ましい。しかしながら、パルスの間隔を一定にしようとすると、レーザ光が径方向外側から内側に移動するにしたがって、重合ウェハの回転速度が速くなる。そして、重合ウェハの回転速度が上限に達すると、レーザ光の照射位置が径方向内側に移動するにつれ、レーザ光の照射間隔は小さくなっていき、中央領域ではレーザ光が重なる場合もあり得る。また、中央領域において重合ウェハの回転速度が速くなると、第1のウェハが剥離してしまうおそれもある。そこで、外周領域において重合ウェハを回転させながらレーザ光を照射し、中央領域において、重合ウェハの回転を停止させた状態でレーザ光を走査させる。
ここで、例えば重合ウェハの加工中心(加工位置の中心)と、チャック回転中心とがずれている場合、外周領域において適切な位置にレーザ光が照射されず、重合ウェハが存在しないところにレーザ光が照射されるおそれがある。また、加工中心とチャック回転中心がずれている場合、中央領域まで走査されず、外周領域と中央領域の境界において未加工領域が生じるおそれがある。
本開示にかかる技術は、基板の所望の位置にレーザ光が照射されるように位置調整を行う。以下、本実施形態にかかる基板処理装置としてのレーザ照射装置を備えたウェハ処理システム、及び基板処理方法としてのウェハ処理方法ついて、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本実施形態にかかる後述のウェハ処理システム1では、図1に示すように第1のウェハW1と第2のウェハW2とが接合された基板としての重合ウェハTに対して処理を行う。以下、第1のウェハW1において、第2のウェハW2に接合される側の面を表面W1aといい、表面W1aと反対側の面を裏面W1bという。同様に、第2のウェハW2において、第1のウェハW1に接合される側の面を表面W2aといい、表面W2aと反対側の面を裏面W2bという。
第1のウェハW1は、例えばシリコン基板等の半導体ウェハである。一実施形態において、第1のウェハW1は略円板形状を有する。第1のウェハW1の表面W1aには、デバイス層D1と表面膜F1が表面W1a側からこの順で積層されている。デバイス層D1は、複数のデバイスを含む。表面膜F1としては、例えば酸化膜(THOX膜、SiO2膜、TEOS膜)、SiC膜、SiCN膜又は接着剤などが挙げられる。
第2のウェハW2は、例えばシリコン基板等の半導体ウェハである。一実施形態において、第2のウェハW2は略円板形状を有する。第2のウェハW2の表面W2aには、レーザ吸収層P、デバイス層D2及び表面膜F2が表面W2a側からこの順で積層されている。レーザ吸収層Pは、後述するようにレーザ照射部110から照射されたレーザ光を吸収する。レーザ吸収層Pには、例えば酸化膜(SiO2膜)が用いられるが、レーザ光を吸収するものであれば特に限定されない。デバイス層D2と表面膜F2はそれぞれ、第1のウェハW1のデバイス層D1、表面膜F1と同様である。そして、第1のウェハW1の表面膜F1と第2のウェハW2の表面膜F2が接合される。なお、レーザ吸収層Pの位置は、上記実施形態に限定されず、例えばデバイス層D2と表面膜F2の間に形成されていてもよい。
図2に示すようにウェハ処理システム1は、搬入出ブロック10、搬送ブロック20、及び処理ブロック30を一体に接続した構成を有している。搬入出ブロック10と処理ブロック30は、搬送ブロック20の周囲に設けられている。具体的に搬入出ブロック10は、搬送ブロック20のY軸負方向側に配置されている。処理ブロック30の後述するレーザ照射装置31及び後述する分離装置32は搬送ブロック20のX軸負方向側に配置され、後述する第1の洗浄装置33及び後述する第2の洗浄装置34は搬送ブロック20のX軸正方向側に配置されている。
搬入出ブロック10は、例えば外部との間で複数の重合ウェハT、複数の第1のウェハW1、複数の第2のウェハW2をそれぞれ収容可能なカセットCt、Cw1、Cw2がそれぞれ搬入出される。搬入出ブロック10には、カセット載置台11が設けられている。図示の例では、カセット載置台11には、複数、例えば3つのカセットCt、Cw1、Cw2をX軸方向に一列に載置可能になっている。なお、カセット載置台11に載置されるカセットCt、Cw1、Cw2の個数は、本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。
搬送ブロック20には、X軸方向に延伸する搬送路21上を移動可能に構成されたウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、重合ウェハT、第1のウェハW1又は第2のウェハW2を保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム23、23を有している。各搬送アーム23は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸回りに移動可能に構成されている。なお、搬送アーム23の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置22は、カセット載置台11のカセットCt、Cw1、Cw2、レーザ照射装置31、分離装置32、第1の洗浄装置33及び第2の洗浄装置34に対して、重合ウェハT、第1のウェハW1、第2のウェハW2を搬送可能に構成されている。
処理ブロック30は、レーザ照射装置31、分離装置32、第1の洗浄装置33及び第2の洗浄装置34を有している。一例において、レーザ照射装置31と分離装置32は、搬送ブロック20のX軸負方向側において積層して配置される。また、第1の洗浄装置33と第2の洗浄装置34は、搬送ブロック20のX軸正方向側において積層して配置される。なお、レーザ照射装置31、分離装置32、第1の洗浄装置33及び第2の洗浄装置34の数や配置はこれに限定されるものではない。
レーザ照射装置31は、重合ウェハTの内部、より具体的には第2のウェハW2のレーザ吸収層Pにレーザ光を照射して第2のウェハW2とレーザ吸収層Pの界面における接合強度を低下させる。この重合ウェハTの内部において接合強度の低下した界面(本実施形態においては第2のウェハW2とレーザ吸収層Pの界面)を、本開示の技術においては「分離面」という場合がある。なお、レーザ照射装置31は、重合ウェハTをレーザ処理するウェハ処理装置として機能するとともに、重合ウェハTの処理位置を調整する位置調整装置としても機能する。
図3及び図4に示すようにレーザ照射装置31の内部には受渡位置A1と処理位置A2が設定されている。受渡位置A1は、搬送アーム23から後述のチャック100に重合ウェハTの受け渡しができる位置であって、且つ、後述のカメラ120により重合ウェハT(レーザ吸収層P)に形成されたレーザ光の加工部分を撮像できる位置である。処理位置A2は、後述のレーザ照射部110から重合ウェハT(レーザ吸収層P)にレーザ光を照射できる位置である。
レーザ照射装置31は、重合ウェハTを上面で保持する、基板保持部としてのチャック100を有している。チャック100は上面に重合ウェハTの保持面を備え、第1のウェハW1の裏面W1bの全面、又は裏面W1bの径方向内側の一部を吸着保持する。チャック100は、一例として静電チャック(ESC:Electrostatic Chuck)や真空チャック(Vacuum Chuck)である。チャック100には、重合ウェハTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは、チャック100を貫通して形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、昇降可能に構成されている。
チャック100は、エアベアリング101を介して、スライダテーブル102に支持されている。スライダテーブル102の下面側には、回転機構103が設けられている。回転機構103は、駆動源として例えばモータを内蔵している。チャック100は、回転機構103によってエアベアリング101を介して、θ軸(鉛直軸)回りに回転可能に構成されている。スライダテーブル102は、その下面側に設けられた移動機構104によって、基台105に設けられY軸方向に延伸するレール106に沿って、上記した受渡位置A1と処理位置A2の間で移動可能に構成されている。なお、移動機構104の駆動源は特に限定されるものではないが、例えばリニアモータが用いられる。また、チャック100をX軸方向に移動させる移動機構107が設けられていてもよい。移動機構107の構成は任意であるが、例えばエアベアリング101に設けられ、ネジ等を用いてチャック100を機械的に移動させるものであってもよい。
処理位置A2におけるチャック100の上方には、レーザ照射部110が設けられている。レーザ照射部110は、レーザヘッド111、光学系112、及びレンズ113を有している。レーザ照射部110は、レーザ光を走査(スキャン)させることができる。以下の説明において、レーザ光Lを走査させるとは、レーザ照射部110のレンズ113から照射されるレーザ光Lを、レーザ吸収層Pに対して移動させることをいう。
レーザヘッド111は、レーザ光をパルス状に発振するレーザ発振器(図示せず)を有している。このレーザ光は、いわゆるパルスレーザである。また、本実施形態ではレーザ光はCO2レーザ光であり、CO2レーザ光の波長は例えば8.9μm~11μmである。なお、レーザヘッド111は、レーザ発振器の他の機器、例えば増幅器などを有していてもよい。
光学系112は、レーザ光の強度や位置を制御する光学素子(図示せず)と、レーザ光を減衰させて出力を調整するアッテネータ(図示せず)と、レーザ光を走査させるレーザ走査部(図示せず)を有している。レーザ走査部には、例えばロータリーウェッジスキャナやガルバノスキャナが用いられる。また、光学系112は、レーザ光の分岐を制御可能に構成されてもよい。
レンズ113は、チャック100に保持された重合ウェハTにレーザ光を照射する。レーザ照射部110から発せられたレーザ光は第2のウェハW2を透過し、レーザ吸収層Pに照射される。レンズ113は、移動機構(図示せず)によって水平方向に移動可能に構成されていてもよいし、昇降機構(図示せず)によって鉛直方向に昇降可能に構成されていてもよい。
また、受渡位置A1におけるチャック100の上方には、カメラ120が設けられている。カメラ120は、マクロカメラやマイクロカメラ等から選択される1つ以上のカメラを有している。なお、カメラ120は、移動機構(図示せず)によって水平方向に移動可能に構成されていてもよいし、昇降機構(図示せず)によって鉛直方向に昇降可能に構成されていてもよい。
カメラ120は、チャック100に保持された重合ウェハTにおいて、レーザ光が照射された加工部分を撮像する。カメラ120は、例えば同軸レンズを備え、赤外光(IR)を照射し、さらに対象物からの反射光を受光する。カメラ120で撮像された画像データは、後述する制御装置40に出力される。
なお、後述するようにウェハ処理システム1は制御装置40を有しているが、かかる制御装置40は、レーザ照射装置31に設けられ当該レーザ照射装置31を制御する制御部としても機能する。
分離装置32は、レーザ照射装置31で接合強度が低下された、分離面としての第2のウェハW2とレーザ吸収層Pの界面を基点として第1のウェハW1から第2のウェハW2を剥離する。
一例において分離装置32は、図5に示すように、第1のウェハW1の裏面W1bを下方から吸着保持する吸着チャック200と、第2のウェハW2の裏面W2bを上方から吸着保持する吸着パッド210とを有する。そして分離装置32では、図5に示すように吸着チャック200が第1のウェハW1を吸着保持し、吸着パッド210が第2のウェハW2を吸着保持した状態で、当該吸着パッド210を上昇させて、レーザ吸収層Pから第2のウェハW2を剥離する。
なお、分離装置32の構成はこれに限定されるものではなく、第1のウェハW1から第2のウェハW2を剥離できれば、任意の構成をとることができる。
第1の洗浄装置33は、分離装置32での剥離により分離された第1のウェハW1の表面W1a側を洗浄する。例えば第1のウェハW1の表面W1a側のレーザ吸収層Pにブラシを当接させて、当該レーザ吸収層Pを洗浄する。なお、第1のウェハW1の洗浄には、加圧された洗浄液を用いてもよい。また、第1の洗浄装置33は、第1のウェハW1の表面W1a側と共に、裏面W1bを洗浄する構成を有していてもよい。
第2の洗浄装置34は、分離装置32での剥離により分離された第2のウェハW2の表面W2a側を洗浄する。例えば第2のウェハW2の表面W2aにブラシを当接させて、当該表面W2aを洗浄する。なお、第2のウェハW2の洗浄には、加圧された洗浄液を用いてもよい。また、第2の洗浄装置34は、第2のウェハW2の表面W2a側と共に、裏面W2bを洗浄する構成を有していてもよい。
なお、本実施形態においては、上記したように第1のウェハW1を洗浄する第1の洗浄装置33と第2のウェハW2を洗浄する第2の洗浄装置34をそれぞれ独立して配置したが、第1のウェハW1の洗浄と第2のウェハW2の洗浄は、同一の洗浄装置を用いて行われてもよい。この場合、第1のウェハW1と第2のウェハW2の洗浄は同時に行われてもよいし、又は独立して行われてもよい。
また、本実施形態においては、分離装置32を用いて第1のウェハW1から第2のウェハW2を剥離したが、レーザ照射装置31の内部においてかかる剥離を行ってもよい。例えばレーザ照射装置31の受渡位置A1に、昇降可能の搬送パッド(図示せず)を設ける。そして、チャック100が第1のウェハW1を吸着保持した状態で、搬送パッドで第2のウェハW2を吸着保持し、更に搬送パッドを上昇させることで、第1のウェハW1から第2のウェハW2を剥離する。
以上のウェハ処理システム1には、図2に示すように、制御部としての制御装置40が設けられている。制御装置40は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1における重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、ウェハ処理システム1における後述のウェハ処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置40にインストールされたものであってもよい。また、上記記憶媒体Hは、一時的なものであっても非一時的なものであってもよい。
次に、以上のように構成されたウェハ処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。なお、本実施形態では、ウェハ処理システム1の外部の接合装置(図示せず)において、第1のウェハW1と第2のウェハW2が接合され、予め重合ウェハTが形成されている。
先ず、複数の重合ウェハTを収納したカセットCtが、搬入出ブロック10のカセット載置台11に載置される。
次に、ウェハ搬送装置22によりカセットCt内の重合ウェハTが取り出され、レーザ照射装置31に搬送される。レーザ照射装置31において重合ウェハTは、搬送アーム23から受渡位置A1に配置されたチャック100に受け渡され、チャック100に吸着保持される。続いて、移動機構104によってチャック100を処理位置A2に移動させる。
次に、図6に示すようにレーザ照射部110からレーザ吸収層P、より詳細にはレーザ吸収層Pと第2のウェハW2の界面にレーザ光L(CO2レーザ光)をパルス状に照射する。この際、レーザ光Lは、第2のウェハW2の裏面W2b側から当該第2のウェハW2を透過し、レーザ吸収層Pにおいて吸収される。そして、このレーザ光Lによって、レーザ吸収層Pと第2のウェハW2の接合強度を低下させる。なお、実施形態において「接合強度が低下」とは、少なくともレーザ光Lの照射前と比較して接合強度が低下している状態のことを言い、レーザ吸収層Pの改質や、レーザ吸収層Pと第2のウェハW2の剥離を含むものとする。
ここで、本実施形態では、重合ウェハTを回転させると共に、レーザ光Lを径方向外側から内側に移動させながら、当該レーザ光Lをパルス状に照射する。この際、第2のウェハW2とレーザ吸収層Pの剥離をウェハ面内で均一に行うため、レーザ光Lを照射する間隔を一定にしようとすると、レーザ光Lが径方向外側から内側に移動するにしたがって、重合ウェハTの回転速度が速くなる。かかる場合、レーザ吸収層Pの中央領域ではレーザ光Lが重なる場合があり、また中央領域において重合ウェハTの回転速度が速くなると、回転中に第2のウェハW2が処理途中で剥離してしまうおそれもある。
そこで、図7に示すように外周領域R1において、重合ウェハTを回転させながらレーザ光Lを照射し、中央領域R2において、重合ウェハTの回転を停止させた状態でレーザ光Lを走査させる。
なお、レーザ光Lを走査させるチャック100の中央領域R2は、チャック100における保持中心としてのチャック回転中心を基準として所望の径長を有する円形状領域で、レーザ照射装置31におけるウェハ処理に先立って予め設定されている。中央領域R2の径長は、例えばレーザ照射部110のレンズ113に対するチャック100の相対的な回転速度が上限に達する径方向位置であり、換言すれば、レーザ光Lが重ならない限界の位置である。中央領域R2の径長は、一例として10mm程度である。また、レーザ光Lの照射に際してチャック100を回転させる外周領域R1は、中央領域R2よりも径方向外側の領域に設定されている。
レーザ吸収層Pへのレーザ光Lの照射に際しては、先ず、カメラ120で外周領域R1を撮像する。カメラ120で撮像された画像データは、制御装置40に出力される。制御装置40では、画像データに基づいて、外周領域R1におけるレーザ光Lの照射開始位置を決定する。
次に、外周領域R1において、回転機構103によってチャック100(重合ウェハT)を回転させると共に、移動機構104によってチャック100をY負軸方向に移動させながら、レーザ光Lをパルス状に照射する。この際、レーザ光Lは走査させずに固定する。そうすると、外周領域R1において、径方向外側から内側に向けて、レーザ光Lが螺旋状に照射される。
次に、中央領域R2において、チャック100の回転を停止する。そして、レーザ照射部110からレーザ光Lをパルス状に照射する。また、中央領域R2においてこのレーザ光Lを走査させる。この際、レーザ光LのX軸方向の走査照射と、チャック100(重合ウェハT)のY軸方向への移動を交互に繰り返し行う。あるいは、レーザ光LのX軸方向の走査照射と、チャック100のY軸負方向移動を同期させてもよい。
そして、図8に示すように外周領域R1には螺旋状の加工部分(図8中の破線)が形成され、中央領域R2には円形状の加工部分(図8中の塗りつぶし部分)が形成される。なお、ウェハ処理のスループットを向上させるため、上記した光学系112によりレーザ光Lを分岐させ、レーザ吸収層Pの複数点に同時にレーザ光Lを照射してもよい。
外周領域R1及び中央領域R2にレーザ光Lが照射され、第2のウェハW2とレーザ吸収層Pの全面で接合強度が低下されると、次に、移動機構104によってチャック100(重合ウェハT)を受渡位置A1に移動させる。
次に、チャック100上の重合ウェハTはウェハ搬送装置22の搬送アーム23に受け渡され、分離装置32に搬送される。分離装置32では、図5(a)に示したように吸着チャック200で第1のウェハW1の裏面W1bを吸着保持し、更に吸着パッド210で第2のウェハW2の裏面W2bを吸着保持する。その後、図5(b)に示したように吸着パッド210が第2のウェハW2を吸着保持した状態で、当該吸着パッド210を上昇させて、レーザ吸収層Pから第2のウェハW2を剥離する。この際、上述したようにレーザ光Lの照射によってレーザ吸収層Pと第2のウェハW2の界面では接合強度が低下しているので、大きな荷重をかけることなく、レーザ吸収層Pから第2のウェハW2を剥離することができる。
剥離された第2のウェハW2は、吸着パッド210からウェハ搬送装置22の搬送アーム23に受け渡され、第2の洗浄装置34に搬送される。この際、分離装置32から搬出される第2のウェハW2は、例えば反転装置(図示せず)や吸着パッド210の動作により表裏面が反転されて、剥離面である表面W2aが上側を向いた状態とされた後、第2の洗浄装置34に搬送されてもよい。
第2の洗浄装置34では、剥離面である表面W2aが洗浄される。なお、第1の洗浄装置33では表面W2aと共に裏面W2bが洗浄されてもよい。また、表面W2aと裏面W2bをそれぞれ洗浄する洗浄部を別々に設けてもよい。その後、第2の洗浄装置34による洗浄が施された第2のウェハW2は、ウェハ搬送装置22によりカセット載置台11のカセットCw2に搬送される。
一方、吸着チャック200に保持されている第1のウェハW1については、搬送アーム23に受け渡され、第1の洗浄装置33に搬送される。第1の洗浄装置33では、剥離面である表面W1a側、具体的にはレーザ吸収層Pの表面が洗浄される。なお、第1の洗浄装置33では、レーザ吸収層Pの表面と共に、第1のウェハW1の裏面W1bが洗浄されてもよい。また、レーザ吸収層Pの表面と第1のウェハW1の裏面W1bをそれぞれ洗浄する洗浄部を別々に設けてもよい。その後、第1の洗浄装置33による洗浄が施された第1のウェハW1は、ウェハ搬送装置22によりカセット載置台11のカセットCw1に搬送される。
こうして、ウェハ処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
ここで、レーザ照射装置31において外周領域R1にレーザ光Lを照射する際、図8に示した螺旋状の加工部分(図8中の破線)の加工中心と、チャック100のチャック回転中心(回転中心)とがずれている場合、第1のウェハW1が存在しないところにレーザ光Lが照射される場合がある。
また、中央領域R2にレーザ光Lを照射する際、図8に示す円形状の加工部分(図8中の塗りつぶし部分)の加工中心と、チャック100のチャック回転中心とがずれている場合、当該中央領域R2まで走査されない。そうすると、外周領域R1と中央領域R2の境界においてレーザ光Lが照射されない未加工領域が生じる場合がある。
そこで、製品化される重合ウェハTに対して上述した一連のウェハ処理を行う前において、例えばレーザ照射装置31の立ち上げ時において、加工中心とチャック回転中心を一致させるように調整する。かかる加工中心とチャック回転中心の調整は、基板としてのダミーウェハWdを用いてもよいし、重合ウェハTを用いてもよい。以下、ダミーウェハWdを用いる場合を例に説明する。
加工中心とチャック回転中心の調整には、2つの調整方法がある。
第1の調整方法について説明する。先ず、ダミーウェハWdを吸着保持したチャック100を処理位置A2に配置する。続いて、回転機構103によってチャック100を回転させながら、ダミーウェハWdの外周領域R1に対して、レーザ光Lを円環状にパルス状に照射する。この際、レーザ光Lは走査させずに固定する。そして、図9に示すようにダミーウェハWdに円環状の1周の外周加工部分Q1(図9中の破線)を形成する。
次に、チャック100を受渡位置A1に移動させる。続いて、チャック100を回転させながら、カメラ120を用いて外周加工部分Q1を撮像する。カメラ120で撮像された画像データは、制御装置40に出力される。
制御装置40では、画像データに基づいて、外周加工部分Q1の中心である外周加工中心Cq1の位置を算出する。
また制御装置40では、外周加工中心Cq1と、チャック100のチャック回転中心Ccとが一致するように、チャック100を水平方向に移動させる。具体的には、外周加工中心Cq1とチャック回転中心Ccとの距離L1を算出し、この距離L1に基づいてチャック100の水平方向(Y軸方向とX軸方向)の移動距離を算出する。チャック100のY軸方向の移動は、移動機構104によって行われる。チャック100のX軸方向の移動方法は、任意であるが、例えば移動機構107を用いて機械的に行ってもよい。また、移動機構104がチャック100をX軸方向にも移動可能に構成されている場合、当該移動機構104によってチャック100をX軸方向に移動させてもよい。あるいは、レーザ照射部110のレンズ113をX軸方向に移動させてもよい。
こうして外周加工中心Cq1とチャック回転中心Ccが一致し、円環状の外周加工部分Q1をチャック100と同心円(図9中の実線)に形成することができる。その結果、レーザ照射部110からのレーザ光Lの照射位置とチャック100の位置との相対的な位置関係を調整することができる。
第2の調整方法について説明する。先ず、ダミーウェハWdを吸着保持したチャック100を処理位置A2に配置する。続いて、ダミーウェハWdの中央領域R2に対して、チャック100の回転を停止させた状態で、レーザ光Lを走査させて、当該レーザ光Lを円環状にパルス状に照射する。そして、図10に示すようにダミーウェハWdに円環状の1周の中央加工部分Q2(図10中の破線)を形成する。
次に、チャック100を受渡位置A1に移動させる。続いて、チャック100を回転させながら、カメラ120を用いて中央加工部分Q2を撮像する。カメラ120で撮像された画像データは、制御装置40に出力される。
制御装置40では、画像データに基づいて、中央加工部分Q2の中心である中央加工中心Cq2の位置を算出する。
また制御装置40では、中央加工中心Cq2と、チャック100のチャック回転中心Ccとが一致するように、チャック100を水平方向に移動させる。具体的には、中央加工中心Cq2とチャック回転中心Ccとの距離L2を算出し、この距離L2に基づいてチャック100の水平方向(Y軸方向とX軸方向)の移動距離を算出する。チャック100のY軸方向の移動は、移動機構104によって行われる。チャック100のX軸方向の移動方法は、任意であるが、例えばネジ等を用いて機械的に行ってもよい。また、移動機構104がチャック100をX軸方向にも移動可能に構成されている場合、当該移動機構104によってチャック100をX軸方向に移動させてもよい。
こうして中央加工中心Cq2とチャック回転中心Ccが一致し、円環状の中央加工部分Q2をチャック100と同心円(図10中の実線)に形成することができる。その結果、レーザ照射部110からのレーザ光Lの照射位置とチャック100の位置との相対的な位置関係を調整することができる。特に、本実施形態のように光学系112がロータリーウェッジスキャナ等を有する場合、当該光学系112の動作中心を考慮した調整を実行することができる。
以上の第1の調整と第2の調整は、いずれか一方を行って加工中心とチャック回転中心を調整してもよいし、あるいは両方を行って加工中心とチャック回転中心を調整してもよい。例えば、第1の調整を行って外周加工中心Cq1とチャック回転中心Ccの位置調整を行った後、第2の調整を行って中央加工中心Cq2とチャック回転中心Ccの調整を行う、2段階の調整を行ってもよい。かかる場合、より精緻にレーザ照射部110とチャック100の位置との相対的な位置関係を補正することができる。
本実施形態によれば、加工中心とチャック回転中心を一致させるように位置調整することができる。したがって、未加工領域の形成を抑制することができ、第1のウェハW1と第2のウェハW2との剥離不良を抑制することができる。また、外周領域R1のレーザ光Lと中央領域R2のレーザ光Lが重なるのを防いで、デバイスが損傷を被るのを抑制することができる。
なお、第1の調整と第2の調整では、カメラ120が適切に位置調整された状態で行われる。すなわち、カメラ120の撮像中心と、レーザ照射部110からのレーザ光Lによる加工中心と、チャック100のチャック回転中心とが、Y軸方向に同軸上に位置するように、カメラ120の位置が予め調整されている。
以上の実施形態では、加工中心とチャック回転中心を調整する際、チャック100を水平方向に移動させたが、レーザ照射部110のレンズ113を水平方向に移動させてもよし、チャック100とレンズ113の両方を水平方向に移動させてもよい。チャック100とレンズ113を相対的に水平方向に移動させることで、加工中心とチャック回転中心を調整することができる。
以上の実施形態では、加工中心とチャック回転中心を調整する際、円環状の外周加工部分Q1又は円環状の中央加工部分Q2の少なくともいずれかを形成したが、加工部分Q1、Q2の形状は円環状に限定されない。例えば矩形環状の加工部分Q1、Q2を形成して、当該矩形環状の加工中心Cq1、Cq2の位置を算出し、加工中心とチャック回転中心を調整してもよい。かかる場合、レーザ照射部110の光学系112は、ガルバノスキャナを有していてもよい。
以上の実施形態では、加工中心とチャック回転中心の第2の調整において、環状の中央加工部分Q2を形成したが、中央加工部分Q2は加工領域の全域を塗りつぶすように形成されてもよい。かかる場合、レーザ照射部110の光学系112は、ガルバノスキャナを有していてもよい。
図11に示すように円形の加工領域の全域を塗りつぶすようにレーザ光Lを照射し、円形の中央加工部分Q2を形成する。例えばガルバノスキャナを用いてステップとリピートで異なる長さの直線のレーザ光Lを照射して、円形の中央加工部分Q2を形成する。そして、円形の中央加工部分Q2の中央加工中心Cq2とチャック回転中心Ccとが一致するように、チャック100を水平方向に移動させる。
また、図12に示すように矩形の加工領域の全域を塗りつぶすようにレーザ光Lを照射し、矩形の中央加工部分Q2を形成する。例えばガルバノスキャナを用いてステップとリピートで同じ長さの直線のレーザ光Lを照射して、矩形の中央加工部分Q2を形成する。そして、矩形の中央加工部分Q2の中央加工中心Cq2とチャック回転中心Ccとが一致するように、チャック100を水平方向に移動させる。
以上の実施形態では、図8に示したように外周領域R1に対してレーザ光Lを螺旋状に照射したが、外周領域R1の全面で同心円状にレーザ光Lを照射してもよい。
以上の実施形態では、レーザ吸収層Pから第2のウェハW2を剥離するレーザリフトオフを行う際に、本開示のレーザ処理における位置調整方法を適用したが、適用対象のウェハ処理はこれに限定されない。
半導体デバイスの製造工程においては、表面に複数の電子回路等のデバイスが形成されたウェハのシリコン基板の内部に、面方向に沿ってレーザ光を照射して改質層を形成し、当該改質層を基点にウェハを分離することで、ウェハを薄化することが行われている。このレーザ光には、YAGレーザ光が用いられる。このように改質層を形成する際にも、本開示のレーザ処理における位置調整方法を適用することができる。また更に、本開示のレーザ処理における位置調整方法は、ウェハの表面の改質やウェハの表面の平坦化の技術においても適用することができる。
また、ウェハを薄化する際には、ウェハの周縁部を除去する、いわゆるエッジトリムが行われる。エッジトリムでは、周縁部にレーザ光を照射して改質することで、当該周縁部を除去しやすくする。この周縁部を改質する際にも、本開示のレーザ処理における位置調整方法を適用することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。