JP7842374B2 - スポット溶接継手の製造方法 - Google Patents
スポット溶接継手の製造方法Info
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Description
本願は、2024年3月14日に、日本に出願された特願2024-040451号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
(2)好ましくは、上記(1)に記載のスポット溶接継手の製造方法では、前記後通電の前半における累積発熱量を、前記後通電の全体における累積発熱量の2/3以上とする。
(3)好ましくは、上記(1)又は(2)に記載のスポット溶接継手の製造方法では、前記本通電の前に、前記板組を模擬するテスト板組にテスト本通電及びテスト後通電を複数回行い、複数回の前記テスト本通電において形成するナゲットの径を略同一とし、複数回の前記テスト後通電のうち、前記テスト板組を良好に後通電できた前記テスト後通電の単位体積当たりの累積発熱量を、前記板組を良好に後通電できる予め求められた単位体積当たりの前記累積発熱量とする。
(4)好ましくは、上記(3)に記載のスポット溶接継手の製造方法では、前記テスト板組の溶接部に割れを生じさせない前記テスト後通電における累積発熱量を、前記板組を良好に後通電できる予め求められた単位体積当たりの前記累積発熱量とする。
(5)好ましくは、上記(3)に記載のスポット溶接継手の製造方法では、前記テスト板組の前記ナゲットの硬さを最小化する前記テスト後通電における累積発熱量を、前記板組を良好に後通電できる予め求められた単位体積当たりの前記累積発熱量とする。
(6)好ましくは、上記(3)に記載のスポット溶接継手の製造方法では、前記テスト板組の溶接部の十字引張強さを最大化する前記テスト後通電の累積発熱量を、前記板組を良好に後通電できる予め求められた単位体積当たりの前記累積発熱量とする。
(7)好ましくは、上記(3)に記載のスポット溶接継手の製造方法では、前記板組に形成されるナゲットの径を、前記テスト板組に形成されるナゲットの径の0.7倍~1.3倍の範囲内とする。
スポット溶接継手1の製造方法では、板組11にスポット溶接をする。板組11とは、溶接母材である鋼部材111を重ねて作成した被溶接材である。板組11に含まれる鋼部材111の形状は特に限定されない。鋼部材111は、任意の立体的形状を有することができる。例えば鋼部材111がハット形部材である場合、ハット形部材のフランジ部を重ねて板組11を形成する。重ね合わせられたフランジ部をスポット溶接することにより、ハット形部材を接合してスポット溶接継手1を作成する。あるいは、鋼部材111が鋼板であってもよい。板組11が含む鋼部材111の個数は、2以上の任意の値とすることができる。
本実施形態に係るスポット溶接の製造方法において行われるスポット溶接は、本通電と後通電とを有する。本通電においては、板組11を一対のスポット溶接用電極2で挟み、板組11を加圧しながら板組11に溶接電流を流す。溶接電流は本電流とも称される。溶接電流は、板組11に抵抗発熱を生じさせ、板組11を溶融させる。
(1)電源を直流電源とし、且つ電流を一定に制御すること、及び
(2)電源を交流電源とし、且つ実効電流を一定に制御すること
の両方を含む概念である。
本通電によってナゲット121を形成した後、板組11に後通電をする。後通電においては、板組11を一対の電極で挟み、板組11を加圧しながら板組11に後熱電流を流す。後熱電流は、板組11に抵抗発熱を生じさせ、ナゲット121を焼き戻す。
q=(V×I)/(S×t)…式A
式Aにおいて、Vは電極間電圧であり、Iは溶接電流であり、Sは電流経路の断面積であり、tは板組11に含まれる鋼部材111の総板厚(mm)である。式Aによって求められる値qは、単位体積及び単位時間当たりの瞬時発熱量qである。後熱電流は、接触面積Sで総板厚tの柱状部分を通過して抵抗発熱を発生させるからである。
R=(r×t)/S…式B
q=(V×I×R)/(r×t2)
=(V2)/(r×t2)…式C
式Bにおいて、rは被溶接材(板組11)の抵抗率である。式Bによって求められるRは、断面積Sかつ総板厚tの柱状部分の抵抗である。
(1)まず、板組11を良好に後通電できる単位体積当たりの累積発熱量Qを予め求める。
(2)次いで、板組11を良好に後通電できる単位体積当たりの累積発熱量Q、及び後通電の通電時間(後熱時間)に基づいて、当該累積発熱量Qを再現可能な単位体積及び単位時間当たりの瞬時発熱量qを計算する。
(3)そして、計算された単位体積及び単位時間当たりの瞬時発熱量qが得られるように、後通電を適応制御する。
適応制御は、電極間抵抗 もしくは電極間電圧、又は後熱電流で調整することによって行う。後熱電流を調整することによって所定の単位体積及び単位時間当たりの瞬時発熱量qを達成してもよい。また、電極間抵抗もしくは電極間電圧を調整することによって所定の単位体積及び単位時間当たりの瞬時発熱量qを達成してもよい。例えば、通電中の電極間電圧をリアルタイムフィードバックし、最適条件を再現するために電流値及び通電時間を自動制御することが好ましい。
本実施形態に係るスポット溶接継手1の製造方法においては、板組11が高強度鋼部材111Hを含む。これにより、高い強度を有するスポット溶接継手1を製造することができる。ただし、高強度鋼部材111Hに設けられた溶接部12には低温割れが生じやすい。また、本通電においてはナゲット径がばらつきやすいので、適切な後通電を行って低温割れを安定的に抑制することが難しい。
本発明者らの実験結果によれば、後通電における累積発熱量を一定にすることにより、後通電の作用効果も一定の範囲内とすることができた。即ち、低温割れを抑制可能なテスト後通電の累積発熱量を再現する本番後通電によれば、低温割れを安定的に抑制することができた。即ち、本実施形態に係るスポット溶接継手1の製造方法においては、本通電における外乱によってナゲット径がばらついている場合であっても、後通電において自動的に最適な通電条件を板組11に適用し、低温割れを抑制することができた。
後通電の前半における累積発熱量を、後通電の全体における累積発熱量の2/3以上とすることが好ましい。後通電の前半における累積発熱量とは、単位体積及び単位時間当たりの瞬時発熱量qを、後通電の開始時点から後通電時間(後熱時間)の半分の時間が経過した時点までの期間で累積した値である。後通電の全体における累積発熱量とは、即ち単位体積及び単位時間当たりの瞬時発熱量qを後通電の開始から終了までの期間で累積した値である。
板組11を良好に後通電できる予め求められた単位体積当たりの累積発熱量を特定する方法は特に限定されない。上述の通り、シミュレーションによって当該発熱量を推定することができる。一方、上述の通り、本番板組を模擬するテスト板組にテスト本通電及びテスト後通電を行うことにより、当該発熱量を推定することもできる。即ち、本番本通電の前に、本番板組を模擬するテスト板組にテスト本通電及びテスト後通電を複数回行い、複数回のテスト本通電において形成するナゲット121の径を略同一とし、複数回のテスト後通電のうち、テスト板組を良好に後通電できたテスト後通電の単位体積当たりの累積発熱量を、板組11を良好に後通電できる予め求められた単位体積当たりの累積発熱量とすることができる。複数回のテスト本通電において形成するナゲット121の径が、目標径の±10%の範囲内にある場合、複数回のテスト本通電において形成するナゲット121の径は略同一であるとみなされる。好ましくは、複数回のテスト本通電において形成するナゲット121の径は、目標径の±5%の範囲内とされる。
(1)テスト板組の溶接部12に割れを生じさせないテスト後通電における累積発熱量
(2)テスト板組のナゲット121の硬さを最小化するテスト後通電における累積発熱量
(3)テスト板組の溶接部12の十字引張強さを最大化するテスト後通電における累積発熱量
本実施形態に係るスポット溶接継手1の製造方法を実施する環境においては、外乱があってもよい。従って、本番本通電によって形成したナゲット121の径が目標値に対してばらついていてもよい。適応制御された後通電によれば、ナゲット121の径のばらつきの影響を十分に緩和することができるからである。一方、本番本通電によって形成するナゲット121の径を、テスト本通電によって形成したナゲット121の径に近づけることにより、スポット溶接継手1の耐低温割れ性を一層向上させることができる。例えば、本番板組に形成されるナゲット121の径を、テスト板組に形成されるナゲット121の径の0.7倍~1.3倍の範囲内とすることが好ましい。
高強度鋼部材111Hのビッカース硬さは特に限定されない。例えば、高強度鋼部材111Hのビッカース硬さをHV300以上、HV400以上、HV500以上、又はHV650以上とすることが好ましい。高強度鋼部材111Hのビッカース硬さをHV500以下、HV650以下、又はHV850以下としてもよい。高強度鋼部材111Hの厚さも特に限定されない。例えば高強度鋼部材111Hの厚さを1.0mm以上、1.4mm以上、又は1.8mm以上としてもよい。高強度鋼部材111Hの厚さを1.8mm以下、2.0mm以下、又は2.6mm以下としてもよい。
板組11が、引張強さ980MPa以下の低強度鋼部材111Lを有していてもよい。低強度鋼部材111Lの構成は特に限定されない。スポット溶接継手1の用途に応じた構成を、低強度鋼部材111Lに適用することができる。例えば、低強度鋼部材111Lの引張強さを270MPa以上、440MPa以上、又は590MPa以上としてもよい。低強度鋼部材111Lの引張強さを440MPa以下、590MPa以下、又は780MPa以下としてもよい。低強度鋼部材111Lのビッカース硬さをHV80以上、HV120以上、又はHV180以上としてもよい。低強度鋼部材111Lのビッカース硬さをHV150以下、HV200以下、又はHV280以下としてもよい。低強度鋼部材111Lの厚さも特に限定されない。例えば低強度鋼部材111Lの厚さを0.5mm以上、0.6mm以上、又は0.7mm以上としてもよい。低強度鋼部材111Lの厚さを1.2mm以下、1.4mm以下、又は1.6mm以下としてもよい。
鋼部材111が表面処理を有していてもよい。例えば耐食性、及び美観等を向上させるために、鋼部材111の表面にめっきが設けられていることが好ましい。めっきの種類としては、Al系めっき、Al系合金化めっき、Zn系めっき、及びZn系合金化めっき等が挙げられる。Al系めっきとは、Alの含有量が50質量%以上のめっきのことである。Al系合金化めっきとは、Alの含有量が50質量%以上であって、その一部が下地の鋼部材111と合金化されているめっきのことである。Zn系めっきとは、Znの含有量が50質量%以上のめっきのことである。Zn系合金化めっきとは、Znの含有量が50質量%以上であって、その一部が下地の鋼部材111と合金化されているめっきのことである。
板組11の板厚比は特に限定されない。板厚比とは、板組11の総厚さを、板組11の表面に配された鋼部材111のうち薄い方の厚さで割った値のことである。例えば板組11の板厚比を3以上、4以上、又は5以上としてもよい。板組11の板厚比を6以下、7以下、又は9以下としてもよい。
厳密に管理され、外乱が実質的に存在しない溶接環境において、種々のスポット溶接継手を作成した。諸条件は以下の通りとした。1条件につき2回のスポット溶接を行った。
●板組
2枚の1.5GPa級冷延鋼板(縦30mm、横50mm、厚さ1.6mm)を重ねて作成
●上記板組に関する最適条件
本通電:溶接時間360msec、溶接電流4.4kA
冷却時間:1000msec
ナゲット径:3√t(=3.79mm)
後通電:後熱時間980msec、後熱電流3.7kA
●スポット溶接条件
本通電 最適条件±0.2、±0.4、又は±0.8kA
冷却時間 1000msec
後通電 (1)最適条件における累積発熱量を制御目標値とした適応制御
(2)最適条件の後通電と同じ条件で定電流制御
スポット溶接実験の後通電は、適応制御、又は定電流制御された。後通電を適応制御したスポット溶接実験においては、最適条件の後通電における単位体積当たりの累積発熱量から、後通電の通電時間を基に単位体積及び単位時間当たりの瞬時発熱量を計算した。そしてスポット溶接実験の後通電を、計算された単位体積及び単位時間当たりの瞬時発熱量を発生させる電極間抵抗 もしくは電極間電圧、又は後熱電流で調整することによって、適応制御した。後通電を定電流制御したスポット溶接実験においては、上記最適条件の後通電を再現するようにした。
表1に記載の鋼板1及び鋼板2を重ねあわせて板組を作成した。この板組に本通電及び後通電を行って、スポット溶接継手を製造した。そして、スポット溶接継手の溶接部を観察し、低温割れの有無を確認した。後通電における制御方法、及び低温割れの有無を、表1に記載した。
例2、及び例6では、溶接環境を厳密に管理し、ナゲット径を目標値と同一の値とした。そのため、溶接部の割れを抑制することができた。
例3、例4、及び例5では、外乱に起因して、ナゲット径が目標値よりも小さくなった。例3では、後通電における入熱量が過剰となり、溶接部に割れが発生した。
例7、例8、及び例9でも、外乱に起因して、ナゲット径が目標値よりも小さくなった。しかしながら、例7、例8、及び例9では後通電が適応制御されていたので、溶接部に割れが発生しなかった。
11 板組
111 鋼部材
111H 高強度鋼部材
111L 低強度鋼部材
12 溶接部
121 ナゲット
122 熱影響部
2 電極
X 硬さ測定部
Claims (7)
- 引張強さが980MPa以上の鋼部材を1つ以上含む板組に本通電する工程と、
前記板組に後通電する工程と、
を備えるスポット溶接継手の製造方法であって、
前記本通電を、適応制御以外の手段によって制御し、
前記板組を良好に後通電できる予め求められた単位体積当たりの累積発熱量から、前記後通電の通電時間を基に単位体積及び単位時間当たりの瞬時発熱量を計算し、
前記後通電を、計算された単位体積及び単位時間当たりの前記瞬時発熱量を発生させる電極間抵抗 もしくは電極間電圧、又は後熱電流で調整することによって、適応制御するスポット溶接継手の製造方法。 - 前記後通電の前半における累積発熱量を、前記後通電の全体における累積発熱量の2/3以上とすることを特徴とする請求項1に記載のスポット溶接継手の製造方法。
- 前記本通電の前に、前記板組を模擬するテスト板組にテスト本通電及びテスト後通電を複数回行い、
複数回の前記テスト本通電において形成するナゲットの径を略同一とし、
複数回の前記テスト後通電のうち、前記テスト板組を良好に後通電できた前記テスト後通電の単位体積当たりの累積発熱量を、前記板組を良好に後通電できる予め求められた単位体積当たりの前記累積発熱量とする
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスポット溶接継手の製造方法。 - 前記テスト板組の溶接部に割れを生じさせない前記テスト後通電における累積発熱量を、前記板組を良好に後通電できる予め求められた単位体積当たりの前記累積発熱量とすることを特徴とする請求項3に記載のスポット溶接継手の製造方法。
- 前記テスト板組の前記ナゲットの硬さを最小化する前記テスト後通電における累積発熱量を、前記板組を良好に後通電できる予め求められた単位体積当たりの前記累積発熱量とすることを特徴とする請求項3に記載のスポット溶接継手の製造方法。
- 前記テスト板組の溶接部の十字引張強さを最大化する前記テスト後通電の累積発熱量を、前記板組を良好に後通電できる予め求められた単位体積当たりの前記累積発熱量とすることを特徴とする請求項3に記載のスポット溶接継手の製造方法。
- 前記板組に形成されるナゲットの径を、前記テスト板組に形成されるナゲットの径の0.7倍~1.3倍の範囲内とすることを特徴とする請求項3に記載のスポット溶接継手の製造方法。
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|---|---|---|---|
| JP2024040451 | 2024-03-14 | ||
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- 2025-02-25 WO PCT/JP2025/006222 patent/WO2025159214A1/ja active Pending
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