〈ラップド結合Vベルト〉
以下に、必要により添付図面を参照しつつ、本発明の結合Vベルト(ラップド結合Vベルト)を詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一のまたは機能が共通する要素(または部材)には同じ符号を付す場合がある。
図1は、本発明の結合Vベルトの一例を示す概略部分断面斜視図である。図1に示すように、この結合Vベルト1は、間隔をおいてベルト幅方向(図1中のB方向)に平行に並んだ3本のラップドVベルト部Vを備えている。この3本のラップドVベルト部Vの各外周面は、ベルト長さ方向(周長方向、図1中のA方向)に延びる心線3aを含むタイバンド(結合部材)Tによって連結されている。
前記タイバンドTは、前記心線3aを含む接着ゴム層3と、この接着ゴム層3のベルト外周側に積層された第1ゴム層2と、前記接着ゴム層3と前記ラップドVベルト部Vとの間に介在する第2ゴム層4とで形成されている。
前記ラップドVベルト部Vは、ベルト外周側に形成された第3ゴム層5aと、この第3ゴム層5aの内周面に積層され、かつ前記第3ゴム層5aよりも低いゴム硬度Hs(タイプA)を有する第4ゴム層5bとからなるVベルト本体5の内周面および側面がカバー布6で被覆された構造を有している。
[従来の結合Vベルトとの相違点]
前述のように、本発明の結合Vベルトは、タイバンド中に心線を含むことを特徴とする。これに対して、概略断面図を図2に示すように、従来の結合Vベルト50は、3本のラップドVベルト部52が、各外周面を布帛などで形成されたタイバンド51で連結されている。さらに、従来の結合Vベルト50において、各ラップドVベルト部52は、ベルト外周側に形成された伸張ゴム層53と、この伸張ゴム層53の内周面に積層された接着ゴム層54と、この接着ゴム層54の内周面に積層された圧縮ゴム層55とで形成されたラップドVベルト部52の全面が外被布56で被覆された構造を有している。
このように、従来の結合Vベルトでは、タイバンドが布帛などで形成され、心線がラップドVベルト部中に埋設されているのに対して、本発明の結合Vベルトは、心線がタイバンド中に埋設されており、構造的に大きく相違している。従来の結合Vベルトのように、心線を含む芯体層(接着ゴム層)や心線が各Vベルト部に配設されていると、Vベルト部ごとに心線の配列にばらつきが生じる。原因としては、設計(図面)上は同じ配列であっても、実際のスピニングでは製造上のばらつきが生じる(図面通りには配列しない)ためであると推定される。特に、長尺のベルトであれば、1つのVベルト部の長さ方向では部位によって配列がばらつくため、その影響が大きい。さらに、伝動ベルトの分野では、ベルトの伸びやすさの指標として、「伸長率」や「弾性率(モジュラス)」で表し、その「弾性率」は、配列する心線(繊維)の弾性率に支配され、心線の繊維種や配列密度(幅あたりの本数)の調整で決まるため、心線の配列の状態もベルトの伸びに影響する。このように、心線の配列について、1つのVベルト部の長さ方向にばらつきがあり、かつ並列する各Vベルト部の間でもバラつきがあれば、Vベルト部ごとにベルトの伸びの差が大きく生じるので、結合Vベルトの横振れ(または捻じれ)が発生すると推定できる。
これに対して、本発明では、各Vベルト部ではなく、タイバンド内部に心線(特に、接着ゴム層の内部に埋設された心線)を配設することで、結合Vベルト内での心線の配列の状態(厚み方向の位置や、心線同士の間隔など)が比較的均質になる。このような配列の場合、製造上、1連のスピニングのみで心線を配設できるので、スピニング間のばらつきを低減できる。
さらに、従来のラップド結合VベルトではVベルト部の外周全面がカバー布で覆われるベルトが主流であったが、本発明では、Vベルト部の外周面はカバー布で覆われていない。そのため、本発明の結合Vベルトでは、Vベルト部の外周面は第3ゴム層が露出されていることにより、タイバンドの第2ゴム層との接着性も向上できる。
[Vリブドベルトとの相違点]
普通自動車のエンジンに搭載される補機を駆動するベルトとして、Vリブドベルトが広く利用されている。Vリブドベルトは、図3(a)に示すように、内周面に複数のリブ部61を有する構造を有しており、このリブ部61は、圧縮ゴム層64で形成されており、この圧縮ゴム層64の外周面に、心線63aを含む接着ゴム層63が積層され、さらにこの接着ゴム層63の外周面に伸張ゴム層62が積層されている。Vリブドベルト60はリブ部61がゴム層のみで形成されているため、心線がリブ部に埋設されていない点は、本発明のラップド結合VベルトとVリブドベルトとで共通している。
しかし、Vリブドベルトは、自動車エンジンの構造に追従したレイアウトで走行させるために、狭い空間において、正曲げ、逆曲げを繰り返す高度な屈曲性(柔軟性)が重視される環境で利用される。そのため、Vリブドベルトのレイアウトの特徴は、ベルト長さは比較的短尺であり、厚みも薄くする傾向がある上に、求められる伝動容量も小さくなる。
これに対して、本発明のラップド結合Vベルトは、欧米などの大農場で用いられる大規模な農業機械のベルト伝動機構に用いるためのベルトであり、農業機械の大規模さに応じてベルト長さが長尺で、ベルトを巻き掛けるプーリとプーリとの軸間距離(スパン長さ)が非常に長い走行レイアウトで用いられる。また、高い伝動容量が求められるため、大面積の摩擦伝動面が必要となる。
このような用途上の走行レイアウトの違いから、ベルト長さは、Vリブドベルトでは最大でも3,000mmであるのに対して、ラップド結合Vベルトでは10,000mm程にもなる。ラップド結合Vベルトは、このように長尺で、かつプーリとプーリとの軸間距離が非常に長いため、本発明で課題とする並列して走行するVベルト部の伸びの差による横振れ(または捻じれ)が顕著に生じるのに対して、短尺でスパン長さも短いVリブドベルトでは、本発明のような課題が生じることはない。
本発明では、このような大規模な農業機械で用いるラップド結合Vベルト特有の課題を解決する手段として、(Vリブドベルトからは想到できない)ラップド結合Vベルト特有の寸法設計をしているため、両ベルトは、形状および構造において大きな相違点を有している。例えば、図3にVリブドベルトおよびラップド結合Vベルトのサイズを示すが、ラップド結合Vベルトに関する図3(b)では、隣接するラップドVベルト部V間のピッチはリブピッチとして示され、aはタイバンドTの厚みを示し、bはラップドVベルト部の厚みを示す。一方、Vリブドベルトに関する図3(a)では、前記ラップドVベルト部の厚みに相当するリブ部の厚みをbとし、全厚からリブ部の厚みを除いた厚みをaとした。
図3(a)と図3(b)との比較からも明らかなように、ラップド結合VベルトとVリブドベルトとでは、ベルト厚みに対するリブ部の比率(b/全厚)が異なり、外観としての形状も異なる上に、各サイズについても大きく異なる。
このようなベルト形状の相違点について、Vリブドベルトの代表的なベルト形(H、J、K、L)と、ラップド結合Vベルトの代表的なベルト形[ASABE(American Society of Agricultural and Biological Engineers)の基準であるHA、HB、HC]とを比較した結果を表1に示す。
表1に示されるように、両ベルトの相違点としては、以下の相違点が挙げられる。
ラップド結合Vベルトは、Vリブドベルトに対して、全体的に大型である(全厚が大きく、リブピッチも大きい)。
前述の通り、図3でも示されているように、全厚に対しリブ高さbの割合(b/全厚)は、Vリブドベルトよりもラップド結合Vベルトの方が高く、ラップド結合Vベルトでは約80%を占める。すなわち、ラップド結合Vベルトでは、図3中のaは2~5mm、bは8~15mmで設定し、「b/全厚」が60~90%で設定するのに対して、Vリブドベルトでは60%未満である。
リブ高さbは、摩擦伝動面の面積を決める設計パラメータであるため、リブ高さbの大小が、単位リブ(単位Vベルト部)の伝動容量を決定づける。ラップド結合Vベルトは、Vリブドベルトに対し、bの寸法、および全厚を占める割合が大きいため、Vリブドベルトでは達成できない高負荷条件で使用でき、かつ高い伝動容量が得られる。
実際に、自動車エンジンの補機駆動で伝動ベルトにかかる負荷は1リブ当たり1.5kW程度であるため、Vリブドベルトはこの水準の負荷条件に対応すべく設計されている。一方、大規模な農業機械のベルト伝動機構の負荷条件は、1リブあたり25kW程度であるため、ラップド結合Vベルトはこの水準の負荷条件に対応すべく設計が必要である。仮に、Vリブドベルトを結合Vベルトの負荷条件で用いれば、摩擦伝動面の面積が小さすぎて、厳しい負荷に耐えられずスリップアウトして動力を伝達できなくなる。
[タイバンド(結合部材)]
本発明の結合Vベルトにおいて、タイバンド(結合部材)は心線を含んでいればよいが、架橋ゴム組成物で形成されたゴム層中に心線が埋設されたタイバンドであってもよく、耐久性を向上できる点から、外周側から、第1ゴム層、心線を含む接着ゴム層、第2ゴム層が順次積層されたタイバンドが好ましい。
(心線)
心線は、特に限定されないが、通常、ベルト幅方向に所定の間隔で配列した撚りコードである。心線は、ベルトの長手方向に延びて配設され、ベルトの長手方向に平行に所定のピッチで並列に延びて配設されていてもよいが、生産性の点から、通常、ベルト長手方向に略平行に、所定のピッチで並列に延びて螺旋状に配設されている。心線を螺旋状に配設する場合、ベルト長手方向に対する心線の角度は、例えば5°以下であってもよく、ベルト走行性の点から、0°に近いほど好ましい。また、隣接する芯体の中心間の距離であるピッチまたは間隔(特に、心線のスピンニングピッチ)は、1~3.6mmの範囲に設定されることが好ましく、1.2~3mmの範囲に設定されることがさらに好ましく、1.4~2.4mmの範囲に設定されることがより好ましい。
心線は、接着ゴム層を構成する架橋ゴム組成物と接していればよく、例えば、その一部が架橋ゴム組成物中に埋設されていてもよいが、耐久性を向上できる点から、接着ゴム層の表面に心線が露出していない形態(心線の全体が接着ゴム層中に完全に埋設された形態)が好ましい。
心線を構成する繊維としては、例えば、ポリオレフィン系繊維(例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)、ポリアミド繊維[例えば、ポリアミド6繊維、ポリアミド66繊維、ポリアミド46繊維などの脂肪族ポリアミド繊維(ナイロン繊維)、アラミド繊維など]、ポリアルキレンアリレート系繊維[例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維などのC2-4アルキレンC8-14アリレート系繊維など]、ビニルアルコール系繊維(ポリビニルアルコール繊維、エチレン-ビニルアルコール共重合体繊維、ビニロン繊維など)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維などの合成繊維;セルロース系繊維(綿、麻などのセルロース繊維、セルロース誘導体の繊維など)、羊毛などの天然または半合成繊維;炭素繊維などの無機繊維などが挙げられる。これらの繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
前記繊維のうち、高モジュラスの点から、エチレンテレフタレート、エチレン-2,6-ナフタレートなどのC2-4アルキレン-C8-14アリレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維(ポリアルキレンアリレート系繊維)、ポリアミド繊維(アラミド繊維など)などの合成繊維、炭素繊維などの無機繊維などが汎用され、ポリエステル繊維(特に、ポリエチレンテレフタレート系繊維、ポリエチレンナフタレート系繊維)、ポリアミド繊維(特に、アラミド繊維)が好ましく、耐摩耗性にも優れる点から、アラミド繊維などの全芳香族ポリアミド繊維が特に好ましい。アラミド繊維は、商品名「コーネックス(登録商標)」、「ノーメックス(登録商標)」、「ケブラー(登録商標)」、「テクノーラ」、「トワロン(登録商標)」などの市販品であってもよい。
心線を構成する繊維はマルチフィラメント糸の形態であってもよい。マルチフィラメント糸の繊度は、例えば300~10000dtex(特に500~5000dtex)であってもよい。マルチフィラメント糸は、例えば100~5000本程度のフィラメントを含んでいてもよく、好ましくは500~4000本、さらに好ましくは1000~3000本のフィラメントを含む。
心線としては、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。心線の平均線径(撚りコードの繊維径)は、例えば0.5~3mmであってもよく、好ましくは0.6~2.5mm、さらに好ましくは0.7~2mm、より好ましくは1.1~2mmである。
心線は、接着ゴム層中に埋設させる場合、前記接着ゴム層を形成する架橋ゴム組成物との接着性を向上させるため、表面処理されていてもよい。表面処理の方法としては、慣用の表面処理剤を含む処理液などで処理する方法などが挙げられる。表面処理剤としては、例えば、レゾルシン(R)とホルムアルデヒド(F)とゴムまたはラテックス(L)とを含むRFL液[例えば、レゾルシン(R)とホルムアルデヒド(F)とが縮合物(RF縮合物)を形成し、前記ゴムまたはラテックス(L)として、例えば、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ゴムを含むRFL液]、エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、シランカップリング剤、架橋ゴム組成物(例えば、表面シラノール基を含み、ゴムとの化学的結合力を高めるのに有利な含水珪酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンなどを含む架橋ゴム組成物など)などが挙げられる。これらの表面処理剤は、単独でまたは二種以上組み合わせてもよく、同一または異なる表面処理剤で複数回に亘り順次に処理してもよい。心線は、少なくともRFL液で接着処理するのが好ましい。
(接着ゴム層)
接着ゴム層は、前記心線を含む架橋ゴム組成物で形成されている。架橋ゴム組成物は、ラップドVベルトのゴム組成物として慣用的に利用されているゴム成分を含む架橋ゴム組成物(心線用架橋ゴム組成物)であってもよい。
(A)ゴム成分
心線用架橋ゴム組成物に含まれるゴム成分(心線用ゴム成分)としては、公知の加硫または架橋可能なゴムおよび/またはエラストマーから選択できる。ゴム成分(A)としては、例えば、ジエン系ゴム[天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム(CR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム);水素化ニトリルゴム(水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマーを含む)などの前記ジエン系ゴムの水添物など]、オレフィン系ゴム[例えば、エチレン-α-オレフィン系ゴム(エチレン-α-オレフィンエラストマー)、ポリオクテニレンゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレンゴムなど]、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示できる。これらのゴム成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、架橋剤および架橋促進剤が拡散し易い点から、エチレン-α-オレフィンエラストマー[エチレン-プロピレン共重合体(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)などのエチレン-α-オレフィン系ゴム]、クロロプレンゴムが汎用される。特に、心線用ゴム成分を高負荷環境で用いる場合、機械的強度、耐候性、耐熱性、耐寒性、耐油性、接着性などのバランスに優れる点から、クロロプレンゴム、EPDMが好ましい。さらに、前記特性に加えて、耐摩耗性にも優れる点から、クロロプレンゴムが特に好ましい。クロロプレンゴムは、硫黄変性タイプであってもよく、非硫黄変性タイプであってもよい。
心線用ゴム成分がクロロプレンゴムを含む場合、心線用ゴム成分中のクロロプレンゴムの割合は、例えば50質量%以上(特に80~100質量%程度)であってもよく、100質量%(クロロプレンゴムのみ)が特に好ましい。
心線用ゴム成分の割合は、心線用架橋ゴム組成物中10~90質量%程度の範囲から選択でき、好ましくは30~80質量%、さらに好ましくは40~75質量%、より好ましくは50~70質量%、最も好ましくは55~65質量%である。
(B)フィラー
心線用架橋ゴム組成物は、心線用ゴム成分に加えてフィラー(心線用フィラー)をさらに含んでいてもよい。フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、シリカ(補強性シリカ)、クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカなどが挙げられる。これらのフィラーは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのフィラーのうち、カーボンブラック、シリカが好ましく、カーボンブラックと補強性シリカとの組み合わせが特に好ましい。
カーボンブラックの平均粒径(個数平均一次粒径)は、例えば5~200nm、好ましくは10~150nm、さらに好ましくは15~100nmである。補強効果が高い点から、カーボンブラックは小粒径であってもよく、カーボンブラックの平均粒径は、例えば5~38nm、好ましくは10~35nm、さらに好ましくは15~30nmである。小粒径のカーボンブラックとしては、例えば、SAF、ISAF-HM、ISAF-LM、HAF-LS、HAF、HAF-HSなどが例示できる。SAF、ISAFおよびHAFは、従来のカーボンブラックの分類であり、いずれもハードカーボンと称される小粒径のカーボンブラックに相当する。詳細には、SAFの平均粒径は19nm、ISAFの平均粒径は22nm、HAFの平均粒径は28nmである。これらのカーボンブラックは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
なお、本願において、カーボンブラックの平均粒径は、例えば、ランダムに選択した10個の一次粒子について、透過型電子顕微鏡などを用いて粒径を測定し、相加平均値を算出することにより求めることができる。
シリカには、乾式シリカ、湿式シリカ、表面処理したシリカなどが含まれる。また、シリカは、製法での分類によって、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ゲル法シリカ(シリカゲル)などにも分類できる。これらのシリカは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、表面シラノール基が多く、ゴムとの化学的結合力が強い点から、含水珪酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。
シリカの平均粒径は、例えば1~1000nm、好ましくは3~300nm、さらに好ましくは5~100nm、より好ましくは10~50nmである。シリカの粒径が大きすぎると、ゴムの機械的特性が低下する虞があり、小さすぎると、均一に分散するのが困難となる虞がある。
また、シリカは、非多孔質または多孔質のいずれであってもよいが、BET法による窒素吸着比表面積は、例えば50~400m2/g、好ましくは70~350m2/g、さらに好ましくは100~300m2/g、より好ましくは150~250m2/gである。比表面積が大きすぎると、均一に分散するのが困難となる虞があり、比表面積が小さすぎると、ゴムの機械的特性が低下する虞がある。
心線用フィラーの割合は、心線用ゴム成分100質量部に対して、例えば1~100質量部、好ましくは10~80質量部、さらに好ましくは30~70質量部、より好ましくは40~60質量部である。心線用フィラーの割合が少なすぎると、ベルトの耐久性が低下する虞があり、多すぎると、接着力が低下する虞がある。
カーボンブラックと補強性シリカとを組み合わせる場合、補強性シリカの割合は、カーボンブラック100質量部に対して、例えば10~200質量部、好ましくは30~100質量部、さらに好ましくは50~80質量部である。補強性シリカの割合が少なすぎると、接着力が低下する虞があり、多すぎると、ベルトの耐久性が低下する虞がある。
(C)他の添加剤
心線用架橋ゴム組成物は、必要に応じて、他の添加剤として、架橋剤(または加硫剤)、共架橋剤(架橋助剤)、架橋促進剤、架橋遅延剤、金属酸化物(酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、軟化剤(パラフィンオイル、ナフテン系オイルなどのオイル類など)、加工剤または加工助剤(例えば、ステアリン酸などの脂肪酸、ステアリン酸金属塩などの脂肪酸金属塩、ステアリン酸アマイドなどの脂肪酸アマイド、ワックス、パラフィンなど)、接着性改善剤[例えば、レゾルシン-ホルムアルデヒド共縮合物(RF縮合物)、アミノ樹脂(窒素含有環状化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサアルコキシメチルメラミン(ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミンなど)などのメラミン樹脂、メチロール尿素などの尿素樹脂、メチロールベンゾグアナミン樹脂などのベンゾグアナミン樹脂など)、これらの共縮合物(レゾルシン-メラミン-ホルムアルデヒド共縮合物など)など]、老化防止剤(酸化防止剤、熱老化防止剤、屈曲き裂防止剤、オゾン劣化防止剤など)、可塑剤[脂肪族カルボン酸系可塑剤(アジピン酸エステル系可塑剤、セバシン酸エステル系可塑剤など)、芳香族カルボン酸エステル系可塑剤(フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤など)、オキシカルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、エーテル系可塑剤、エーテルエステル系可塑剤など]、着色剤、粘着付与剤、滑剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(紫外線吸収剤、熱安定剤など)、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。なお、金属酸化物は、架橋剤として作用してもよい。また、接着性改善剤において、レゾルシン-ホルムアルデヒド共縮合物およびアミノ樹脂は、レゾルシンおよび/または窒素含有環状化合物(メラミンなど)とホルムアルデヒドとの初期縮合物(プレポリマー)であってもよい。
架橋剤(心線用架橋剤)としては、ゴム成分の種類に応じて慣用の成分が使用でき、例えば、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛など)、有機過酸化物(ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイドなど)、硫黄系架橋剤などが例示できる。硫黄系架橋剤としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、塩化硫黄(一塩化硫黄、二塩化硫黄など)などが挙げられる。これらの架橋剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。ゴム成分がクロロプレンゴムである場合、心線用架橋剤として金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化亜鉛など)を使用してもよい。
心線用架橋剤の割合は、架橋剤およびゴム成分の種類に応じて、固形分換算で、心線用ゴム成分100質量部に対して、例えば1~20質量部程度の範囲から選択できる。例えば、架橋剤としての金属酸化物の割合は、心線用ゴム成分100質量部に対して、例えば1~20質量部、好ましくは3~17質量部、さらに好ましくは5~15質量部、より好ましくは7~13質量部である。
共架橋剤(架橋助剤または共加硫剤co-agent)としては、公知の架橋助剤、例えば、多官能(イソ)シアヌレート[例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)など]、ポリジエン(例えば、1,2-ポリブタジエンなど)、不飽和カルボン酸の金属塩[例えば、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウムなどの(メタ)アクリル酸多価金属塩]、オキシム類(例えば、キノンジオキシムなど)、グアニジン類(例えば、ジフェニルグアニジンなど)、多官能(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート]、ビスマレイミド類(脂肪族ビスマレイミド、例えば、N,N’-1,2-エチレンジマレイミド、N,N′-ヘキサメチレンビスマレイミド、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)シクロヘキサンなどのアルキレンビスマレイミド;アレーンビスマレイミドまたは芳香族ビスマレイミド、例えば、N,N’-m-フェニレンジマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレジマレイミド、4,4’-ジフェニルメタンジマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’-ジフェニルエーテルジマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンジマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼンなど)などが挙げられる。これらの架橋助剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの架橋助剤のうち、多官能(イソ)シアヌレート、多官能(メタ)アクリレート、ビスマレイミド類(N,N’-m-フェニレンジマレイミドなどのアレーンビスマレイミドまたは芳香族ビスマレイミド)が好ましく、ビスマレイミド類を用いる場合が多い。架橋助剤(例えば、ビスマレイミド類)の添加により架橋度を高め、粘着摩耗などを防止できる。
ビスマレイミド類などの共架橋剤(心線用共架橋剤)の割合は、固形分換算で、心線用ゴム成分100質量部に対して、例えば5質量部以下、好ましくは1質量部以下であり、共架橋剤を含まないのがより好ましい。
架橋促進剤(加硫促進剤)としては、例えば、チウラム系促進剤[例えば、テトラメチルチウラム・モノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラム・ジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラム・ジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラム・ジスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、N,N’-ジメチル-N,N’-ジフェニルチウラム・ジスルフィドなど]、チアゾ-ル系促進剤[例えば、2-メルカプトベンゾチアゾ-ル、2-メルカプトベンゾチアゾ-ルの亜鉛塩、2-メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなど]、スルフェンアミド系促進剤[例えば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミドなど]、グアニジン類(ジフェニルグアニジン、ジo-トリルグアニジンなど)、ウレア系またはチオウレア系促進剤(例えば、エチレンチオウレアなど)、ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸塩類などが挙げられる。これらの架橋促進剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの架橋促進剤のうち、TMTD、DPTT、CBSなどが汎用される。
架橋促進剤(心線用架橋促進剤)の割合は、固形分換算で、心線用ゴム成分100質量部に対して15質量部以下(例えば0~15質量部)であってもよく、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.2~5質量部、さらに好ましくは0.3~3質量部、より好ましくは0.5~1.5質量部である。
心線用加工剤または加工助剤(ステアリン酸など)の割合は、固形分換算で、心線用ゴム成分100質量部に対して10質量部以下(例えば0~10質量部)であってもよく、例えば0.1~5質量部、好ましくは0.3~3質量部、さらに好ましくは0.5~3質量部である。
心線用老化防止剤の割合は、固形分換算で、心線用ゴム成分100質量部に対して、例えば0.5~15質量部、好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは2.5~7.5質量部、より好ましくは3~7質量部である。
心線用可塑剤の割合は、固形分換算で、心線用ゴム成分100質量部に対して30質量部以下(例えば0~30質量部)であってもよく、例えば0.5~20質量部、好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは3~7質量部である。
接着ゴム層のゴム硬度Hs(タイプA)は、例えば60~90°程度の範囲から選択でき、好ましくは72~80°、さらに好ましくは73~78°、より好ましくは74~78°、最も好ましくは75~77°である。ゴム硬度が小さすぎると、ベルトの耐久性が低下する虞があり、大きすぎると、接着力が低下する虞がある。
なお、本願において、各ゴム層(架橋ゴム組成物)のゴム硬度は、JIS K6253(2012)(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム-硬さの求め方-)に規定されているスプリング式デュロメータ硬さ試験に準拠して、タイプAデュロメータを用いて測定された値Hs(タイプA)である。各ゴム層のゴム硬度は、単にゴム硬度と記載する場合がある。詳細には、各ゴム層のゴム硬度は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
接着ゴム層の引張強度は、ベルト幅方向において、例えば12~20MPa、好ましくは13~18MPa、さらに好ましくは14~17MPaである。引張強度が小さすぎると、耐側圧性が低下する虞がある。逆に、引張強度が大きすぎると、屈曲性が低下する虞がある。
なお、本願において、各ゴム層(架橋ゴム組成物)の引張強度は、JIS K6251(2017)に準拠した方法で測定できる、各ゴム層の引張強さTの値である。詳細には、各ゴム層の引張強度は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
(第1ゴム層)
第1ゴム層は、第1ゴム成分を含む第1架橋ゴム組成物で形成されている。第1架橋ゴム組成物に含まれる第1ゴム成分としては、好ましい態様も含めて、心線用ゴム成分として例示されたゴム成分から選択できる。第1ゴム成分は、心線用ゴム成分と異なるゴム成分であってもよいが、通常、心線用ゴム成分と同種である。
第1架橋ゴム組成物は、フィラー(第1フィラー)をさらに含んでいてもよい。第1フィラーとしては、心線用フィラーとして例示されたフィラーなどが挙げられる。前記フィラーのうち、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、好ましい態様も含めて、心線用フィラーとして例示されたカーボンブラックから選択できる。
第1フィラー(特に、カーボンブラック)の割合は、第1ゴム成分100質量部に対して、例えば5~100質量部、好ましくは10~80質量部、さらに好ましくは15~50質量部、より好ましくは20~40質量部である。第1フィラーの割合が少なすぎると、ベルトの耐久性が低下する虞があり、多すぎると、機械的特性が低下する虞がある。
第1架橋ゴム組成物は、短繊維(第1短繊維)をさらに含んでいてもよい。第1短繊維を構成する繊維としては、例えば、前記心線を構成する繊維として例示された繊維などが挙げられる。前記繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記繊維のうち、合成繊維や天然繊維、特に、エチレンテレフタレート、エチレン-2,6-ナフタレートなどのC2-4アルキレンC8-14アリレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維(ポリアルキレンアリレート系繊維)、ポリアミド繊維(アラミド繊維など)などの合成繊維、綿繊維などのセルロース繊維、炭素繊維などの無機繊維などが汎用される。中でも剛直で高い強度およびモジュラスの繊維、例えば、ポリエステル繊維(特に、ポリエチレンテレフタレート系繊維、ポリエチレンナフタレート系繊維)、ポリアミド繊維(特に、アラミド繊維)、セルロース繊維(特に綿繊維)が好ましく、アラミド繊維などの全芳香族ポリアミド繊維を含むのが特に好ましい。アラミド繊維の割合は、短繊維中1質量%以上(例えば5~100質量%)であってもよい。
第1短繊維の平均繊維径は、例えば2μm以上、好ましくは2~100μm、さらに好ましくは3~50μm(例えば5~50μm)、より好ましくは7~40μm、最も好ましくは10~30μmである。短繊維の平均長さは、例えば1~20mm、好ましくは1.5~10mm、さらに好ましくは2~5mm、より好ましくは2.5~4mmである。
なお、本願において、短繊維の平均繊維径および平均長さは、例えば、ランダムに選択した10本の短繊維について、走査型電子顕微鏡などを用いて繊維径および長さをそれぞれ測定し、相加平均値を算出することにより求めることができる。
第1架橋ゴム組成物中の第1短繊維の分散性や接着性の観点から、第1短繊維は、慣用の方法で接着処理(または表面処理)されていてもよい。慣用の表面処理剤を含む処理液などで処理する方法などが挙げられる。表面処理の方法としては、前記心線の表面処理剤として例示された表面処理剤などが挙げられる。前記表面処理剤は、単独でまたは二種以上組み合わせてもよく、短繊維を同一または異なる表面処理剤で複数回に亘り処理してもよい。
第1短繊維は、プーリからの押圧に対するベルトの圧縮変形を抑制するため、ベルト幅方向に配向して第1ゴム層中に埋設されていてもよい。
第1短繊維の割合は、第1ゴム成分100質量部に対して50質量部以下程度の範囲から選択でき、例えば30質量部以下、好ましくは10~30質量部である。第1短繊維の割合が多すぎると、ゴム硬度が高すぎて屈曲性が低下する虞がある。
第1架橋ゴム組成物も、必要に応じて、心線用架橋ゴム組成物の項で例示された他の添加剤をさらに含んでいてもよい。
架橋剤(第1架橋剤)としては、心線用架橋剤として例示された架橋剤などが挙げられる。前記架橋剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。ゴム成分がクロロプレンゴムである場合、第1架橋剤としては、前記架橋剤のうち、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化亜鉛など)を含む架橋剤が好ましく、金属酸化物と硫黄系架橋剤との組み合わせが特に好ましい。
架橋剤としての金属酸化物と硫黄系架橋剤とを組み合わせる場合、硫黄系架橋剤の割合は、金属酸化物100質量部に対して、例えば0.1~50質量部、好ましくは1~30質量部、さらに好ましくは3~10質量部程度である。
共架橋剤(第1共架橋剤)としては、好ましい態様も含めて、心線用共架橋剤として例示された共架橋剤から選択できる。第1共架橋剤の割合は、第1ゴム成分100質量部に対して、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.5~8質量部、さらに好ましくは1~5質量部、より好ましくは2~4質量部である。
第1軟化剤(ナフテン系オイルなどのオイル類)の割合は、固形分換算で、第1ゴム成分100質量部に対して30質量部以下(例えば0~30質量部)であってもよく、例えば1~30質量部、好ましくは3~20質量部、さらに好ましくは3~10質量部である。
第1加工剤または加工助剤(ステアリン酸など)の割合は、固形分換算で、第1ゴム成分100質量部に対して10質量部以下(例えば0~10質量部)であってもよく、例えば0.1~5質量部、好ましくは0.3~3質量部、さらに好ましくは0.5~3質量部である。
第1老化防止剤の割合は、固形分換算で、第1ゴム成分100質量部に対して、例えば0.5~15質量部、好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは2.5~7.5質量部、より好ましくは3~7質量部である。
第1ゴム層のゴム硬度Hs(タイプA)は、例えば80~100°程度の範囲から選択でき、好ましくは83~95°、より好ましくは85~93°、さらに好ましくは88~92°、最も好ましくは89~91°である。ゴム硬度が小さすぎると、耐側圧性が低下する虞があり、大きすぎると、プーリ溝とのフィット性や屈曲性が低下する虞がある。
第1ゴム層の引張強度は、ベルト幅方向において、例えば15~50MPa、好ましくは20~40MPa、さらに好ましくは23~35MPa、より好ましくは25~30MPa、最も好ましくは26~28MPaである。引張強度が小さすぎると、耐側圧性が低下する虞がある。逆に、引張強度が大きすぎると、屈曲性が低下する虞がある。
(第2ゴム層)
第2ゴム層は、第2ゴム成分を含む第2架橋ゴム組成物で形成されている。第2架橋ゴム組成物に含まれる第2ゴム成分としては、好ましい態様も含めて、心線用ゴム成分として例示されたゴム成分から選択できる。第2ゴム成分は、心線用ゴム成分と異なるゴム成分であってもよいが、通常、心線用ゴム成分と同種である。
第2架橋ゴム組成物は、フィラー(第2フィラー)をさらに含んでいてもよい。第2フィラーとしては、心線用フィラーとして例示されたフィラーなどが挙げられる。前記フィラーのうち、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、好ましい態様も含めて、心線用フィラーとして例示されたカーボンブラックから選択できる。
第2フィラー(特に、カーボンブラック)の割合は、第2ゴム成分100質量部に対して、例えば5~100質量部、好ましくは10~80質量部、さらに好ましくは30~70質量部、より好ましくは40~60質量部である。第2フィラーの割合が少なすぎると、ベルトの耐久性が低下する虞があり、多すぎると、機械的特性が低下する虞がある。
第2架橋ゴム組成物は、短繊維(第2短繊維)をさらに含んでいてもよい。第2短繊維を構成する繊維としては、好ましい態様も含めて、第1短繊維として例示された繊維から選択できる。第2短繊維の平均繊維径および平均長さも、好ましい態様も含めて、第1短繊維の平均繊維径および平均長さの数値範囲から選択できる。
第2架橋ゴム組成物中の第2短繊維の分散性や接着性の観点から、第2短繊維は、慣用の方法で接着処理(または表面処理)されていてもよい。表面処理の方法としては、慣用の表面処理剤を含む処理液などで処理する方法などが挙げられる。表面処理剤としては、前記心線の表面処理剤として例示された表面処理剤などが挙げられる。前記表面処理剤は、単独でまたは二種以上組み合わせてもよく、短繊維を同一または異なる表面処理剤で複数回に亘り処理してもよい。
第2短繊維は、プーリからの押圧に対するベルトの圧縮変形を抑制するため、ベルト幅方向に配向して第2ゴム層中に埋設されていてもよい。
第2短繊維の割合は、第2ゴム成分100質量部に対して50質量部以下程度の範囲から選択でき、例えば30質量部以下、好ましくは10~30質量部である。第2短繊維の割合が多すぎると、ゴム硬度が高すぎて屈曲性が低下する虞がある。
第2架橋ゴム組成物も、必要に応じて、心線用架橋ゴム組成物の項で例示された他の添加剤をさらに含んでいてもよい。
架橋剤(第2架橋剤)としては、心線用架橋剤として例示された架橋剤などが挙げられる。前記架橋剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。ゴム成分がクロロプレンゴムである場合、第2架橋剤としては、前記架橋剤のうち、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化亜鉛など)を含む架橋剤が好ましく、金属酸化物と硫黄系架橋剤との組み合わせが特に好ましい。
架橋剤としての金属酸化物と硫黄系架橋剤とを組み合わせる場合、硫黄系架橋剤の割合は、金属酸化物100質量部に対して、例えば0.1~50質量部、好ましくは1~30質量部、さらに好ましくは3~10質量部程度である。
共架橋剤(第2共架橋剤)としては、好ましい態様も含めて、心線用共架橋剤として例示された共架橋剤から選択できる。第2共架橋剤の割合は、第2ゴム成分100質量部に対して、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.5~8質量部、さらに好ましくは1~5質量部、より好ましくは2~4質量部である。
第2軟化剤(ナフテン系オイルなどのオイル類)の割合は、固形分換算で、第2ゴム成分100質量部に対して30質量部以下(例えば0~30質量部)であってもよく、例えば1~30質量部、好ましくは3~20質量部、さらに好ましくは3~10質量部である。
第2加工剤または加工助剤(ステアリン酸など)の割合は、固形分換算で、第2ゴム成分100質量部に対して10質量部以下(例えば0~10質量部)であってもよく、例えば0.1~5質量部、好ましくは0.3~3質量部、さらに好ましくは0.5~3質量部である。
第2老化防止剤の割合は、固形分換算で、第2ゴム成分100質量部に対して、例えば0.5~15質量部、好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは2.5~7.5質量部、より好ましくは3~7質量部である。
第2ゴム層のゴム硬度Hs(タイプA)は、例えば80~100°程度の範囲から選択でき、好ましくは85~95°、より好ましくは87~94°、さらに好ましくは90~93°、最も好ましくは92~93°である。ゴム硬度が小さすぎると、耐側圧性が低下する虞があり、大きすぎると、プーリ溝とのフィット性や屈曲性が低下する虞がある。
第2ゴム層の引張強度は、ベルト幅方向において、例えば15~50MPa、好ましくは20~45MPa、さらに好ましくは23~40MPa、より好ましくは25~35MPa、最も好ましくは28~32MPaである。引張強度が小さすぎると、耐側圧性が低下する虞がある。逆に、引張強度が大きすぎると、屈曲性が低下する虞がある。
(タイバンドの特性)
タイバンドの平均厚み(図3における厚みa)は1.8~8mm程度の範囲から選択でき、例えば1.8~6mm、好ましくは2~5mm、さらに好ましくは2~4mm(例えば2~3mm)、より好ましくは2.5~4mm、最も好ましくは2.5~3.5mmである。特に、ASABE HA形では、前記平均厚みは2~5mmであってもよく、ASABE HB形およびHC形では、前記平均厚みは2.5~4mm(特に2.5~3.5mm)であってもよい。タイバンドの厚みが小さすぎると輪断しやすくなることで耐久性が低下する虞があり、大きすぎると屈曲性が低下することで耐久性(耐屈曲疲労性)が低下する虞がある。
第1ゴム層の平均厚みは、接着ゴム層の平均厚みに対して、例えば0.1~2倍、好ましくは0.5~1.5倍、さらに好ましくは0.8~1.2倍である。接着ゴム層に対する第1ゴム層の厚み比が小さすぎると、ベルトの耐久性が低下する虞があり、大きすぎると、ベルトの屈曲性が低下する虞がある。
第2ゴム層の平均厚みは、接着ゴム層の平均厚みに対して、例えば0.1~2倍、好ましくは0.5~1.5倍、さらに好ましくは0.8~1.2倍である。接着ゴム層に対する第2ゴム層の厚み比が小さすぎると、ベルトの耐久性が低下する虞があり、大きすぎると、ベルトの屈曲性が低下する虞がある。
[ラップドVベルト部]
本発明の結合Vベルトにおいて、タイバンドに連結されるラップドVベルト部は、心線を含まないラップドVベルト部であればよく、図1に示すラップドVベルト部(ベルト外周側に形成された第3ゴム層と、この第3ゴム層の内周面に積層され、かつ前記第3ゴム層よりも低いゴム硬度Hsを有する第4ゴム層とからなるVベルト本体の内周面および側面がカバー布で被覆された構造を有するラップドVベルト部)に限定されず、少なくとも側面がカバー布で被覆されたVベルト本体を有し、無端状でV字状断面を有するラップドVベルト部であればよい。なお、本発明の結合Vベルトでは、前記V字状断面の左右の両側面(V字状側面)が摩擦伝動面である。なお、V字状断面において、ベルト幅の広い側が外周側であり、ベルト幅の狭い側が内周側である。V字状側面のV角度(α1)は、ベルト厚み方向に対して、例えば35~45°、好ましくは36~44°、さらに好ましくは37~43°、より好ましくは38~42°、最も好ましくは39~41°(特に40°)である。
(カバー布)
本発明の結合Vベルトでは、Vベルト本体は外周面(タイバンドと接する面)がカバー布で被覆されていないVベルト本体が好ましく、このようなVベルト本体では、Vベルト本体の外周面は架橋ゴム組成物が露出しているため、タイバンドの第2ゴム層との接着力を向上できる。さらに、タイバンドの第2ゴム層との接着力を向上でき、かつ生産性にも優れる点から、図1に示すような内周面および側面のみがカバー布で被覆されたVベルト本体が特に好ましい。
カバー布(外被布)は、慣用の布帛で形成されている。布帛としては、例えば、織布、編布(緯編布、経編布)、不織布などの布材などが挙げられ、これらのうち、平織、綾織、朱子織などの織布、交差角が90°を超え120°以下程度の織布、編布などが好ましく、一般産業用や農業機械用の伝動ベルトのカバー布として汎用されている織布[交差角が直角である平織布、交差角が90°を超え120°以下程度の平織布(広角度帆布)]が特に好ましい。さらに、耐久性が要求される用途では、布帛は、広角度帆布であってもよい。
布帛を構成する繊維としては、例えば、前記心線を構成する繊維として例示された繊維などが挙げられる。前記繊維は、一種類の繊維を単独で使用した単独糸であってもよく、二種以上の繊維を組み合わせた複合糸(混紡糸など)であってもよい。
前記繊維のうち、機械的特性および経済性に優れる点から、ポリエステル系繊維とセルロース系繊維との混紡糸が好ましい。
ポリエステル系繊維は、ポリアルキレンアリレート系繊維であってもよい。ポリアルキレンアリレート系繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維などのポリC2-4アルキレン-C8-14アリレート系繊維などが挙げられる。これらのポリエステル系繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用することもできる。
セルロース系繊維には、セルロース繊維(植物、動物またはバクテリアなどに由来するセルロース繊維)、セルロース誘導体の繊維が含まれる。セルロース繊維としては、例えば、木材パルプ(針葉樹、広葉樹パルプなど)、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維(綿繊維(コットンリンター)、カポックなど)、ジン皮繊維(麻、コウゾ、ミツマタなど)、葉繊維(マニラ麻、ニュージーランド麻など)などの天然植物由来のセルロース繊維(パルプ繊維);ホヤセルロースなどの動物由来のセルロース繊維;バクテリアセルロース繊維;藻類のセルロースなどが例示できる。セルロース誘導体の繊維としては、例えば、セルロースエステル繊維;再生セルロース繊維(レーヨン、キュプラ、リヨセルなど)などが挙げられる。これらのセルロース系繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用することもできる。これらのうち、綿繊維が好ましい。
ポリエステル系繊維とセルロース系繊維との質量割合は、例えば前者/後者=90/10~10/90、好ましくは80/20~20/80、さらに好ましくは70/30~30/70(特に60/40~40/60)である。
布帛を構成する糸の平均繊度は、例えば5~30番手、好ましくは10~25番手、さらに好ましくは15~23番手である。
布帛(原料布帛)の目付量は、例えば100~500g/m2、好ましくは200~400g/m2、さらに好ましくは250~350g/m2である。
布帛(原料布帛)の平均厚みは、例えば0.1~1.5mm、好ましくは0.2~1mm、さらに好ましくは0.3~0.7mmである。
布帛(原料布帛)が織布の場合、布帛の糸密度(経糸および緯糸の密度)は、例えば60~100本/50mm、好ましくは70~90本/50mm、さらに好ましくは72~80本/50mmである。
カバー布は、単層であってもよく、多層(例えば二~五層、好ましくは二~四層程度)であってもよいが、生産性などの点から、単層(1プライ)または二層(2プライ)が好ましい。
カバー布は、Vベルト本体との接着性を向上させるために、ゴム成分が付着した布帛であってもよい。ゴム成分が付着したカバー布は、例えば、ゴム組成物を溶剤に溶かしたゴム糊をソーキング(浸漬)する処理、固形状のゴム組成物をフリクション(擦り込み)する処理などの接着処理を施した布帛であってもよい。接着処理は、布帛の少なくとも一方の表面を処理すればよく、少なくともVベルト本体と接触する面を処理するのが好ましい。
カバー布に付着させるゴム組成物(カバー布用ゴム組成物)を構成するゴム成分(カバー布用ゴム成分)としては、好ましい態様も含めて、心線用ゴム成分として例示されたゴム成分から選択できる。
カバー布用ゴム組成物は、フィラー(カバー布用フィラー)をさらに含んでいてもよい。カバー布用フィラーとしては、心線用フィラーとして例示されたフィラーなどが挙げられる。前記フィラーのうち、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、好ましい態様も含めて、心線用フィラーとして例示されたカーボンブラックから選択できる。
カバー布用フィラー(特にカーボンブラック)の割合は、カバー布用ゴム成分100質量部に対して、例えば5~80質量部、好ましくは10~75質量部、さらに好ましくは30~70質量部、より好ましくは40~60質量部である。
カバー布用ゴム組成物は、必要に応じて、心線用架橋ゴム組成物の項で例示された他の添加剤をさらに含んでいてもよい。
架橋剤(カバー布用架橋剤)としては、心線用架橋剤として例示された架橋剤などが挙げられる。前記架橋剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。ゴム成分がクロロプレンゴムである場合、カバー布用架橋剤としては、前記架橋剤のうち、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化亜鉛など)を含む架橋剤が好ましい。
カバー布用架橋剤の割合は、架橋剤およびゴム成分の種類に応じて、固形分換算で、カバー布用ゴム成分100質量部に対して、例えば1~20質量部、好ましくは3~17質量部、さらに好ましくは5~15質量部、より好ましくは7~13質量部である。
ビスマレイミド類などの共架橋剤(カバー布用共架橋剤)の割合は、固形分換算で、カバー布用ゴム成分100質量部に対して、例えば5質量部以下、好ましくは1質量部以下であり、共架橋剤を含まないのがより好ましい。
架橋促進剤(カバー布用架橋促進剤)の割合は、固形分換算で、カバー布用ゴム成分100質量部に対して15質量部以下(例えば0~15質量部)であってもよく、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.2~5質量部、さらに好ましくは0.3~3質量部、より好ましくは0.5~1.5質量部である。
カバー布用加工剤または加工助剤(ステアリン酸など)の割合は、固形分換算で、カバー布用ゴム成分100質量部に対して10質量部以下(例えば0~10質量部)であってもよく、例えば0.1~5質量部、好ましくは0.3~3質量部、さらに好ましくは0.5~3質量部である。
カバー布用老化防止剤の割合は、固形分換算で、カバー布用ゴム成分100質量部に対して、例えば0.5~15質量部、好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは2.5~7.5質量部、より好ましくは3~7質量部である。
カバー布用可塑剤の割合は、固形分換算で、カバー布用ゴム成分100質量部に対して、例えば3~50質量部、好ましくは5~40質量部、さらに好ましくは10~30質量部、より好ましくは15~25質量部である。
カバー布用架橋ゴム組成物のゴム硬度Hsは、例えば40~70°、好ましくは45~65°、さらに好ましくは50~60°である。外被布に付着させる架橋ゴム組成物の引張強度は、ベルト幅方向において、例えば5~20MPa、好ましくは10~15MPa、さらに好ましくは12~13MPaである。
カバー布の平均厚み(多層の場合、各層の平均厚み)は、例えば0.4~2mm、好ましくは0.5~1.4mmである。カバー布の厚みが薄すぎると、耐摩耗性が低下する虞がある。逆に、カバー布の厚みが厚すぎると、ベルトの屈曲性が低下する虞がある。
(Vベルト本体)
Vベルト本体は、架橋ゴム組成物で形成されたゴム層で形成されていればよく、図1に示す二層構造のVベルト本体に限定されず、単層構造のVベルト本体、三層以上の積層構造を有するVベルト本体であってもよい。これらのうち、耐側圧性と屈曲性とを両立できる点から、二層以上の積層構造を有するVベルト本体が好ましく、タイバンドに接するベルト外周側に形成された高硬度(高剛性)の第3ゴム層と、この第3ゴム層よりも低いゴム硬度Hsを有する第4ゴム層とを含むVベルト本体、単層構造のVベルト本体がさらに好ましく、前記第3ゴム層と前記第4ゴム層とからなる二層構造のVベルト本体が特に好ましい。第3ゴム層と第4ゴム層とからなる二層構造のVベルト本体は、単層構造のVベルト本体と同程度の硬度を有する第4ゴム層の外周側に、第4ゴム層よりも高硬度の第3ゴム層を配設することにより、単層構造のVベルト本体に比べて、より高度な耐側圧性を実現できる。
第3ゴム層は、第3ゴム成分を含む第3架橋ゴム組成物で形成されている。第3架橋ゴム組成物において、第3フィラーや第3短繊維などの各成分および割合、ゴム硬度および引張強度の範囲としては、好ましい態様も含めて、第2架橋ゴム組成物の第2フィラーや第2短繊維などの各成分および割合の範囲から選択できる。第3架橋ゴム組成物は、タイバンドとの層間密着性および生産性などの点から、第2架橋ゴム組成物と同種または同一のゴム組成物であるのが好ましい。
第3ゴム層のゴム硬度Hs(タイプA)は、第4ゴム層より大きく、例えば80~100°程度の範囲から選択でき、好ましくは90~95°、より好ましくは90~94°、さらに好ましくは90~93°、最も好ましくは92~93°である。ゴム硬度が小さすぎると、耐側圧性が低下する虞があり、大きすぎると、プーリ溝とのフィット性や屈曲性が低下する虞がある。
第3ゴム層の引張強度は、第4ゴム層より大きく、ベルト幅方向において、例えば15~50MPa、好ましくは20~45MPa、さらに好ましくは23~40MPa、より好ましくは25~35MPa、最も好ましくは28~32MPaである。引張強度が小さすぎると、耐側圧性が低下する虞がある。逆に、引張強度が大きすぎると、屈曲性が低下する虞がある。
第4ゴム層は、第4ゴム成分を含む第4架橋ゴム組成物で形成されている。第4架橋ゴム組成物に含まれる第4ゴム成分としては、好ましい態様も含めて、心線用ゴム成分として例示されたゴム成分から選択できる。第4ゴム成分は、心線用ゴム成分と異なるゴム成分であってもよいが、通常、心線用ゴム成分と同種である。
第4架橋ゴム組成物は、フィラー(第4フィラー)をさらに含んでいてもよい。第4フィラーとしては、心線用フィラーとして例示されたフィラーなどが挙げられる。前記フィラーのうち、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、好ましい態様も含めて、心線用フィラーとして例示されたカーボンブラックから選択できる。
第4フィラー(特に、カーボンブラック)の割合は、第4ゴム成分100質量部に対して、例えば5~100質量部、好ましくは10~80質量部、さらに好ましくは15~50質量部、より好ましくは20~40質量部である。第4フィラーの割合が少なすぎると、ベルトの耐久性が低下する虞があり、多すぎると、機械的特性が低下する虞がある。
第4架橋ゴム組成物も、必要に応じて、心線用架橋ゴム組成物の項で例示された他の添加剤をさらに含んでいてもよい。
架橋剤(第4架橋剤)としては、心線用架橋剤として例示された架橋剤などが挙げられる。前記架橋剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。ゴム成分がクロロプレンゴムである場合、カバー布用架橋剤としては、前記架橋剤のうち、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化亜鉛など)を含む架橋剤が好ましい。
第4架橋剤の割合は、架橋剤およびゴム成分の種類に応じて、固形分換算で、第4ゴム成分100質量部に対して、例えば1~20質量部、好ましくは3~17質量部、さらに好ましくは5~15質量部、より好ましくは7~13質量部である。
ビスマレイミド類などの共架橋剤(第4共架橋剤)の割合は、固形分換算で、第4ゴム成分100質量部に対して、例えば5質量部以下、好ましくは1質量部以下であり、共架橋剤を含まないのがより好ましい。
架橋促進剤(第4架橋促進剤)の割合は、固形分換算で、第4ゴム成分100質量部に対して15質量部以下(例えば0~15質量部)であってもよく、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.2~5質量部、さらに好ましくは0.3~3質量部、より好ましくは0.5~1.5質量部である。
第4加工剤または加工助剤(ステアリン酸など)の割合は、固形分換算で、第4ゴム成分100質量部に対して10質量部以下(例えば0~10質量部)であってもよく、例えば0.1~5質量部、好ましくは0.3~3質量部、さらに好ましくは0.5~3質量部である。
第4老化防止剤の割合は、固形分換算で、第4ゴム成分100質量部に対して、例えば0.5~15質量部、好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは2.5~7.5質量部、より好ましくは3~7質量部である。
第4可塑剤の割合は、固形分換算で、第4ゴム成分100質量部に対して、例えば3~50質量部、好ましくは5~40質量部、さらに好ましくは10~30質量部、より好ましくは15~25質量部である。
第4ゴム層のゴム硬度Hs(タイプA)は、第3ゴム層よりも小さく、第3ゴム層と第4ゴム層とのゴム硬度Hsの差[(第3ゴム層のゴム硬度)-(第4ゴム層のゴム硬度)]は、例えば1°以上(特に5°以上)であればよく、好ましくは5~30°(例えば7~27°)、より好ましくは10~25°(例えば12~20°)、さらに好ましくは14~20°(例えば15~19°)、最も好ましくは14~18°(特に15~17°)である。前記ゴム硬度Hsの差が小さすぎると、屈曲性が低下する虞がある。
第4ゴム層のゴム硬度Hs(タイプA)は、例えば60~90°程度の範囲から選択でき、好ましくは72~80°、より好ましくは73~78°、さらに好ましくは74~78°、最も好ましくは75~77°である。ゴム硬度が小さすぎると、耐側圧性が低下する虞があり、大きすぎると、プーリ溝とのフィット性や屈曲性が低下する虞がある。
第4ゴム層の引張強度は、第3ゴム層よりも小さく、ベルト幅方向において、例えば12~20MPa、好ましくは13~18MPa、さらに好ましくは14~17MPaである。引張強度が小さすぎると、耐側圧性が低下する虞がある。逆に、引張強度が大きすぎると、屈曲性が低下する虞がある。
第3ゴム層と第4ゴム層との平均厚み比は、第3ゴム層/第4ゴム層=10/90~70/30、好ましくは20/80~60/40、より好ましくは25/75~55/45、さらに好ましくは30/70~50/50、より好ましくは40/60~45/55である。第3ゴム層の比率が小さすぎると、耐側圧性が低下する虞があり、大きすぎると、屈曲性が低下する虞がある。
Vベルト本体が第3ゴム層および第4ゴム層に加えて、他のゴム層を含む場合、他のゴム層は、単層であってもよく、複数の層であってもよい。また、他のゴム層は、第4ゴム層の外周面および内周面のいずれの面に積層されていてもよい。他のゴム層の平均厚み(複数の他のゴム層が存在する場合は合計厚み)は、Vベルト本体の平均厚みに対して、例えば30%以下であってもよく、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。すなわち、Vベルト本体は、第3ゴム層および第4ゴム層を主要な層として含むのが好ましい。第3ゴム層と第4ゴム層との合計の平均厚みは、Vベルト本体の平均厚みに対して、例えば70%以上であってもよく、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。Vベルト本体は第3ゴム層および第4ゴム層のみからなるのが特に好ましい。
Vベルト本体が単層構造である場合、Vベルト本体は、第5ゴム成分を含む第5架橋ゴム組成物で形成されている。第5架橋ゴム組成物において、第5フィラーや第5短繊維などの各成分および割合、ゴム硬度および引張強度の範囲としては、好ましい態様も含めて、第4架橋ゴム組成物の第4フィラーや第4短繊維などの各成分および割合、ゴム硬度および引張強度の範囲から選択できる。
(補強層)
Vベルト本体は、ラップド結合Vベルトの生産性を向上できる点から、二層以上のゴム層の積層構造を有し、かつ隣接するゴム層間に介在する補強層をさらに有していてもよい。Vベルト本体が三層以上のゴム層の積層構造を有する場合、全てのゴム層間に補強層が介在していてもよいが、生産性などの点から、1つのVベルト本体に対して1つの補強層が介在するのが好ましい。補強層が配設される位置は、ベルト本体の厚み方向において、中間点近辺であるか、または中間点とベルト本体の外周面との間であるのが好ましい。
図4に、本発明の結合Vベルトの他の例として、第3ゴム層と第4ゴム層との間に補強層が介在している結合Vベルトの概略部分断面斜視図を示す。この例では、第3ゴム層5aと第4ゴム層5bとの間に繊維構造体で形成された補強層5cが介在していることを除いて図1に示す結合Vベルトと同一である。
補強層を構成する繊維構造体としては、慣用の布帛を利用でき、例えば、スダレ織物、織布、編布、ネット(網状構造体またはメッシュ)などが挙げられる。これらのうち、輪断抑制とベルト長手方向に対する屈曲性(可撓性)とを両立でき、かつ生産性とのバランスにも優れる点から、スダレ織や平織などの織組織を有する織物または織布が好ましく、スダレ織物が特に好ましい。
スダレ織物の中でも、ベルト幅方向に作用する引張力に対する抵抗力をより向上できる点から、ベルト幅方向に延びる複数の糸状体を含むスダレ織物が好ましい。ベルト幅方向に延びる複数の第1の糸状体(糸条体)と、この複数の第1の糸状体よりも糸密度(配列密度)が低く、ベルト幅方向と交差する方向に延びる複数の第2の糸状体とを含むスダレ織物を用いるのが特に好ましい。
なお、本願において、ベルト幅方向に延びる糸状体は、ベルト幅方向に略平行に延びる糸状体を意味する。なお「略平行」とは、糸状体が延びる方向とベルト幅方向とがなす角度が、例えば10°以下(例えば0~5°)程度、好ましくは3°以下(例えば0~1°、特に略0°)であることを意味する。
第1の糸状体の糸密度(ベルト長さ方向5cm当たりの糸本数)は、例えば10~300本/5cm、好ましくは50~200本/5cm、さらに好ましくは80~180本/5cm、より好ましくは100~150本/5cm、最も好ましくは110~130本/5cmである。
第2の糸状体の糸密度(ベルト長さ方向5cm当たりの糸本数)は、例えば1~30本/5cm、好ましくは2~10本/5cm、さらに好ましくは2~8本/5cm、より好ましくは3~7本/5cm、最も好ましくは4~6本/5cmである。
第1および第2の糸状体を構成する繊維としては、例えば、前記第1ゴム層の第1短繊維を構成する繊維として例示された繊維などが挙げられる。前記短繊維のうち、第1の糸状体としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維が好ましく、ポリアミド66繊維などの脂肪族ポリアミド繊維が特に好ましい。第2の糸状体としては、セルロース系繊維が好ましく、綿繊維などのセルロース繊維が特に好ましい。
第1の糸状体がポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維である場合、第1の糸状体の繊度(マルチフィラメント糸などである場合は総繊度)は、例えば100~1000dtex、好ましくは200~800dtex、さらに好ましくは300~600dtex、より好ましくは400~500dtexである。
第2の糸状体が綿繊維などのセルロース繊維である場合、第2の糸状体の太さ(番手)は、例えば5~100番手、好ましくは10~70番手、さらに好ましくは20~60番手、より好ましくは30~50番手である。
繊維構造体は、ゴム成分(架橋ゴム組成物)などとの接着性を向上するために、慣用の接着処理または表面処理(例えば、接着成分を含む処理液などによる処理)が施されていてもよい。接着処理の方法としては、前記第1ゴム層の第1短繊維で記載された方法から選択できる。
繊維構造体の平均厚みは、例えば0.1~0.7mm、好ましくは0.2~0.5mm、さらに好ましくは0.3~0.4mmである。繊維構造体の厚みが薄すぎると、ラップド結合Vベルトの生産性を向上する効果が小さくなる虞がある。繊維構造体の厚みが厚すぎると、ベルトの屈曲性が低下する虞がある。
繊維構造体とゴム層との密着性を向上できる点から、補強層は、繊維構造体がゴム成分(補強層挟持ゴム)に埋設される(挟まれる)態様とするのが好ましい。当該態様は、架橋ゴム組成物中に繊維構造体が埋設する態様である。
補強層を構成する架橋ゴム組成物としては、特に限定されないが、接着ゴム層を形成する心線用架橋ゴム組成物として例示された架橋ゴム組成物から選択するのが好ましく、好ましい態様も前記心線用架橋ゴム組成物における好ましい態様から選択できる。
補強層は単独(単層)または二種以上組み合わせて(積層構造で)使用することができる。生産性なども考慮すると、補強層は単独(単層)で使用するのが好ましい。
補強層の平均厚みは、例えば0.4~1.4mm、好ましくは0.5~1mmである。補強層の厚みが薄すぎると、ラップド結合Vベルトの生産性を向上する効果が小さくなる虞がある。逆に、補強層の厚みが厚すぎると、ベルトの屈曲性が低下する虞がある。
(ラップドVベルト部の特性)
ラップドVベルト部の平均厚みは6mm以上であってもよく、例えば6~20mm、好ましくは7~18mm、さらに好ましくは8~15mmである。ラップドVベルト部の厚みが小さすぎると、摩擦伝動面の面積が小さくなって、伝動効率が低下する虞がある。
ラップドVベルト部の平均厚みは、結合Vベルト全体の平均厚みに対して、例えば60~90%、好ましくは65~90%、さらに好ましくは70~90%、より好ましくは75~90%である。ラップドVベルト部の厚み比(図3におけるb/全厚)が小さすぎると、摩擦伝動面の面積が小さくなって、伝動効率が低下する虞があり、大きすぎると、耐久性が低下する虞がある。
なお、本願において、ラップドVベルト部および結合Vベルト全体の平均厚みは、以下の方法で測定する。
まず、結合Vベルトの断面をマイクロスコープで撮影した画像において、「結合Vベルト全体」および「ラップドVベルト部」の厚みをそれぞれ計測する。次に、結合Vベルトの幅方向に並ぶラップドVベルト部ごとに1点ずつ測定点を選択し、各測定点で「結合Vベルト全体」と「ラップドVベルト部」の厚みを計測する。そして、各測定点での厚みから平均厚みを算出する。すなわち、例えば、3本のラップドVベルト部を連結した結合Vベルトの場合、3点の平均値が測定される。
Vベルト本体が第3ゴム層と第4ゴム層とを含む場合、第3ゴム層の平均厚みは、Vベルト本体の平均厚みに対して、例えば10~70%程度の範囲から選択でき、好ましくは20~60%、より好ましくは25~55%、さらに好ましくは30~50%、より好ましくは40~45%である。第3ゴム層の比率が小さすぎると、耐側圧性が低下する虞があり、大きすぎると、屈曲性が低下する虞がある。
[ラップド結合Vベルトの特性]
本発明のラップド結合Vベルトの平均厚み(ベルト厚み方向の高さまたは図3における全厚)は8mm以上であってもよく、例えば8~25mm、好ましくは9~20mm、さらに好ましくは10~18mmである。ラップド結合Vベルトの厚みが小さすぎると、摩擦伝動面の面積が小さくなって、伝動容量が低下する虞がある。
本発明のラップド結合Vベルトのベルト長さは3000mm以上であってもよく、例えば3000~20000mm、好ましくは5000~18000mm、さらに好ましくは8000~15000mm、より好ましくは10000~13000mmである。ベルト長さが小さすぎると、本発明の効果が発現しない虞がある。
本発明のラップド結合Vベルトにおいて、ラップドVベルト部のピッチ(隣接するラップドVベルト部の中央部間の平均距離)は、例えば10~50mm、好ましくは13~40mm、さらに好ましくは15~30mmである。
〈ラップド結合Vベルトの製造方法〉
本発明のラップド結合Vベルトは、Vベルト本体前駆体をカバー布で被覆するラップドVベルト部前駆体作製工程、前記工程で得られた複数のラップドVベルト部前駆体を、心線を含むタイバンド前駆体で連結する連結工程を含む。
[ラップドVベルト部前駆体作製工程]
ラップドVベルト部前駆体作製工程では、圧延処理して得られたVベルト本体前駆体は、裁断されてマントルに巻き付ける巻き付け処理に供した後、所定のベルト幅に切断する切断処理に供される。
図5は、第3ゴム層および第4ゴム層からなるVベルト本体前駆体の切断処理を説明するための概略図であり、詳細には図5(a)が概略斜視図を示し、図5(b)が図5(a)の概略部分拡大断面図を示す。図5に示されるように、圧延処理して得られた未架橋の第3ゴム層用シート7aおよび第4ゴム層用シート7bとの積層体を裁断してマントルに巻き付ける。得られた環状の積層体7は、切断処理に供され、マントル上で所定のコア幅(ベルト幅)に切断(輪切り)し、第3ゴム層用シート8aおよび第4ゴム層用シート8bからなるコア(切断した環状積層体)8を作製する。なお、第3ゴム層と第4ゴム層との間に補強層を介在させる場合は、第3ゴム層用シートと第4ゴム層用シートとの間で補強層前駆体を巻き付けて作製する。
所定のベルト幅に切断された環状積層体は、スカイビング処理およびカバー巻き処理に供される。図6は、図5で得られたコア8のスカイビング処理およびカバー巻き処理を説明するための概略図である。切断された環状積層体8は、一対のプーリ(図示せず)に架け渡され、回転させながらV形状に切削加工(スカイビング処理)される。スカイビング処理により得られた未架橋Vベルト本体(Vベルト本体前駆体)9に対して、Vベルト本体前駆体9の側面および底面(内周面)をカバー布前駆体11で被覆(カバー巻き処理)することにより、ラップドVベルト部前駆体10が得られる。
[連結工程]
連結工程では、前記工程で得られた複数のラップドVベルト部前駆体は、心線を含むタイバンド前駆体で連結されるが、このような工程を、図7~13を用いて説明する。
図7に示すように、ラップドVベルト部前駆体を連結するための連結装置20において、一対のプーリ23a,23bに巻き掛けられた状態で保持された未架橋のラップドVベルト部前駆体(複数のラップドVベルト部前駆体のセット)10が、一対のプーリ23a,23b間において、二対のプレス用モールド(内周側モールド21aと外周側モールド21bとを組み合わせた第1の一対のプレス用モールド、および内周側モールド22aと外周側モールド22bとを組み合わせた第2の一対のプレス用モールド)によって挟持されている。さらに、内周側モールド21aと内周側モールド22aとの間には、ラップドVベルト部前駆体10を架橋するための熱盤24が配設されている。
図8は、連結工程において、プレスモールド内にラップドVベルト部前駆体が嵌め込まれた状態を示す概略断面図(ベルト幅方向の断面図)であるが、ラップドVベルト部前駆体作製工程で得られた複数のラップドVベルト部前駆体10は、筒状または環状の内周側モールド(架橋用モールド)21aに形成された溝部(ベルト幅方向に並ぶラップドVベルト部に対応する断面逆台形状の溝部)に嵌め込まれる。
図9~11は、連結工程において、ラップドVベルト部前駆体の上に、タイバンド前駆体を巻き付ける処理を説明するための概略断面図である。
図9に示すように、連結工程では、まず、内周側モールド21a(または内周側モールド22a、図示せず)の溝部に嵌め込まれ、ベルト幅方向で所定の間隔で並べられた複数のラップドVベルト部前駆体10の外周面を橋渡すように、未架橋の第2ゴム層用シート12を巻き付け、さらにその上に未架橋の内周側の接着ゴム層用シート13を巻き付ける。
次に、図10に示す様に、内周側の接着ゴム層用シート13の上に、心線14を巻き付けた後、図11に示すように、心線14の上に、未架橋の外側の接着ゴム層用シート15および未架橋の第1ゴム層用シート16を順次巻き付け、第2ゴム層用シート12、内周側の接着ゴム層用シート13、心線14、外周側の接着ゴム層用シート15および第1ゴム層用シート16の積層体であるタイバンド前駆体を得る。
図12は、ラップド結合Vベルト前駆体の架橋処理を説明するための概略断面図である。得られたラップドVベルト部前駆体およびタイバンド前駆体からなるラップド結合Vベルト前駆体は、第1ゴム層用シート16の上に外周側モールド21bを配設し、内周側モールド21aと外周側モールド21bとの間で挟んで加圧および加熱する架橋処理(加硫処理)に供される。
図13は、架橋処理したラップド結合Vベルト前駆体を切断する処理を説明するための概略断面図である。図13に示すように、架橋処理により得られた複数のラップドVベルト部がタイバンドで連結された架橋スリーブ(ラップド結合Vベルト前駆体)17は、所定幅で切断されることにより、所定本数のラップVベルト部を有する結合Vベルトが得られる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例および比較例で使用した使用材料の詳細、実施例および比較例の評価方法を以下に示す。
[使用材料]
(ゴム組成物)
ゴム組成物に配合した材料は、以下の通りである。
クロロプレンゴム:デンカ(株)製「PM-40」
酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製「キョーワマグ30」
ステアリン酸:日油(株)製「ステアリン酸つばき」
老化防止剤(オクチルジフェニルアミン):精工化学(株)製「ノンフレックスOD-3」
カーボンブラックISAF:東海カーボン(株)製「シースト3」
シリカ:エボニックジャパン(株)製「ULTRASIL(登録商標)VN3」、BET比表面積175m2/g
可塑剤:ADEKA(株)製「RS-700」
架橋促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーTT」
酸化亜鉛:正同化学工業(株)製「酸化亜鉛3種」
ナフテン系オイル:出光興産(株)製「NS-900」
共架橋剤(N,N’-m-フェニレンジマレイミド):大内新興化学工業(株)製「バルノックPM」
アラミド短繊維:帝人(株)製「コーネックス短繊維」、平均繊維長3mm、平均繊維径14μm、RFL液(レゾルシン2.6部、37%ホルマリン1.4部、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン(株)製)17.2部、水78.8部)で接着処理した固形分の付着率6質量%の短繊維
硫黄(粉末硫黄):美源化学社製
(心線1)
1670dtexのアラミド繊維束を2本引き揃えて撚り係数3.0でS方向に撚りを加えて下撚り糸を作製し、作製した下撚り糸を3本引き揃えて撚り係数3.0でZ方向に撚りを加えて作製した総繊度10020dtex、直径1.19mmの撚りコード(諸撚り糸)に接着処理を施した処理コードを心線として用いた。
(心線2)
1670dtex(フィラメント数1000)のアラミド繊維束を3本引き揃えて撚り係数3.0でS方向に撚りを加えて下撚り糸を作製し、作製した下撚り糸を5本引き揃えて撚り係数3.0でZ方向に撚りを加えて作製した総繊度25050dtex(フィラメント数15000)、直径1.9mmの撚りコード(諸撚り糸)に接着処理を施した処理コードを心線として用いた。
[接着ゴム層、フリクションゴム用ゴム組成物]
表2に示す配合のゴム組成物Aをバンバリーミキサーで混練りし、この練りゴムをカレンダーロールに通して所定厚みの未架橋圧延ゴムシートとして、接着ゴム層用シートを作製した。また、表2に示すゴム組成物Bをバンバリーミキサーでゴム練りし、フリクション用の塊状未架橋ゴム組成物を調製した。さらに、それぞれのゴム組成物の架橋物の硬度および引張強度を測定した結果も表2に示す。なお、ゴム組成物Aで形成した未架橋圧延ゴムシートは、接着ゴム層用シートだけでなく、補強層前駆体およびタイバンド用連結補強層前駆体としても使用した。
[第1~第4ゴム層用ゴム組成物]
表3に示す配合のゴム組成物C~Eをバンバリーミキサーで混練りし、この練りゴムをカレンダーロールに通して所定厚みの未架橋圧延ゴムシートとして、第1~第4ゴム層用シートをそれぞれ作製した。さらに、それぞれのゴム組成物の架橋物の硬度および引張強度を測定した結果も表3に示す。
[架橋ゴムのゴム硬度Hs]
各ゴム層用シート(未架橋ゴムシート)を温度160℃、圧力2.5MPa、時間30分でプレス加熱し、架橋ゴムシート(100mm×100mm×2mm厚み)を作製した。得られた架橋ゴムシートを3枚重ね合わせた積層物を試料とし、JIS K 6253(2012)(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム-硬さの求め方-)に規定されているスプリング式デュロメータ硬さ試験に準拠して、タイプAデュロメータを用いて架橋ゴムシートのゴム硬度Hs(タイプA)を測定した。なお、フリクション用の塊状未架橋ゴム組成物Bは、塊状ゴムから試験体をサンプリングし、カレンダーロールに通して所定厚みの未架橋圧延ゴムシートを調製した。
[架橋ゴムの引張強度]
架橋ゴムのゴム硬度Hs測定のために作製した架橋ゴムシートを試料とし、JIS K 6251(2017)に準じ、ダンベル状(5号形)に打ち抜いた試験片を作製した。短繊維を含む試料においては、短繊維の配列方向(列理方向)が引張方向となるようにダンベル状試験片を採取した。そして、試験片の両端をチャック(掴み具)で掴み、試験片を500mm/分の速度で切断するまで引っ張ったときに記録される最大引張力を試験片の初期断面積で除した値(引張強さT)を引張強度とした。
[補強層前駆体(処理スダレ)]
スダレに接着処理およびゴムシート積層処理を施して補強層前駆体とした。詳細には、経糸として470dtexのナイロン66製の片撚りコード(線径0.22mm)、緯糸として40番手の綿糸(線径0.1mm)を用い、経糸密度120本/50mm、緯糸密度5本/50mmで織製したスダレ状の織物を、RFL液(レゾルシン2.6質量部、37質量%ホルマリン1.4質量部、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン(株)製)17.2質量部、水78.8質量部の混合液)に浸漬し、乾燥した後に、表裏両面にゴム組成物Aの未架橋ゴムシートを積層した処理スダレ(厚み約0.7mm)を調製した。
[カバー布(外被材用織布)前駆体(ゴム付織布)]
織布に接着処理およびフリクション処理を施してカバー布前駆体とした。詳細には、経糸および緯糸としてポリエステル繊維と綿とを質量比50/50で混紡した20s/3(20番手3本撚り)の混紡糸を用い経糸密度75本/50mm、緯糸密度75本/50mmで平織した目付量280g/m2の帆布を、RFL液(レゾルシン2.6質量部、37質量%ホルマリン1.4質量部、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン(株)製)17.2質量部、水78.8質量部の混合液)に浸漬し、乾燥した後に、経糸と緯糸とのなす角が120度となるように広角度処理を行った。得られた広角度帆布の表裏両面に、表2のゴム組成物Bを擦り込む処理(フリクション処理)を施したゴム付き織布(目付量約500g/m2、厚み約0.6mm)を調製した。
[タイバンド用布帛前駆体(ゴム付織布)]
織布に接着処理およびフリクション処理を施してタイバンド用布帛前駆体とした。詳細には、経糸および緯糸としてポリエステル繊維と綿とを質量比50/50で混紡した10s/3(10番手3本撚り)の混紡糸を用い、経糸密度44本/50mm、緯糸密度44本/50mmで平織した目付量280g/m2の帆布を、RFL液(レゾルシン2.6質量部、37質量%ホルマリン1.4質量部、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン(株)製)17.2質量部、水78.8質量部の混合液)に浸漬し、乾燥した後に、経糸と緯糸とのなす角が120度となるように広角度処理を行った。得られた広角度帆布の表裏両面に、表2のゴム組成物Bを摺り込む処理(フリクション)を施したゴム付織布(目付け約1050g/m2、厚み約1.0mm)を調製した。
[タイバンド用連結補強層前駆体(処理スダレ)]
スダレに接着処理およびゴムシート積層処理を施してタイバンド用連結補強層前駆体とした。詳細には、経糸として470dtexのナイロン66製の片撚りコード(線径0.22mm)、緯糸として40番手の綿糸(線径0.1mm)を用い、経糸密度120本/50mm、緯糸密度5本/50mmで織製したスダレ状の織物を、RFL液(レゾルシン2.6質量部、37質量%ホルマリン1.4質量部、ビニルピリジン-スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン(株)製)17.2質量部、水78.8質量部の混合液)に浸漬し、乾燥した後に、表裏両面にゴム組成物Aの未架橋ゴムシートを積層した処理スダレ(厚み約1.5mm)を調製した。
[耐久走行試験]
(試験機)
試験には、図14に示す多軸レイアウトの多軸走行試験機を用いた。
この試験機は、表4に示す駆動プーリ(Dr1)、従動プーリ(Dn2およびDn3)およびテンションプーリ(Ten4)からなるレイアウトのプーリが駆動プーリ(Dr1)31、従動プーリ(Dn2)32、従動プーリ(Dn3)33、テンションプーリ(Ten4)34の順で配置されている。この試験機は、種々の条件(負荷等)下での耐久性能(ベルトの破損の有無)を確認できるように構成されている。
(試験方法)
各供試体の結合Vベルトを、表5に示す条件において、表6に示す負荷がかかる状態で走行させ、ベルトを目視で経過観察し、破損の有無を確認し、以下の基準で評価した。なお、走行中の負荷については、表6に示すように、従動プーリDn2および従動プーリDn3に様々な負荷がかかる状態で行った。
(耐久走行判定基準)
a:240Hr完走し、亀裂や剥離などの異常が見られなかった
b:240Hr完走し、若干の亀裂や剥離が見られた(性能に支障はない程度)
c:走行中に亀裂や剥離などの異常が見られ、完走しなかった
[横ぶれ試験]
(試験機)
試験には、図15(a)に示す二軸レイアウトの二軸走行試験機を用いた。
この試験機は、表7に示す駆動プーリ(Dr)41および従動プーリ(Dn)42からなるレイアウトのプーリが二軸で配置されている。この試験機は、種々の条件(負荷等)下での耐久性能(ベルトの破損の有無)を確認できるように構成されている。
(試験方法)
各供試体の結合Vベルトを、表8に示す条件において、周回走行させ、ベルトが周回している間の横ぶれ量を、図15(b)に示すように、前記結合ベルト43に対して、ベルト厚み方向から測定するレーザー変位計((株)キーエンス製「ファイバセンサ」)44およびベルト幅方向から測定するレーザー変位計45を用いて測定した。横ぶれ量は、ベルトを2周回転させ、3周目の横ぶれ量の平均値を測定した。
比較データとして、心線が配置されたASABE HB形のラップドVベルト部を心線を含まないタイバンドで連結した従来のラップド結合Vベルト(比較例2で得られた結合Vベルト)について、33サンプルの横ぶれ量を測定したデータを図16に示す。このデータでは、図17にベルトNo.2のサンプルのベルト1周分の振幅の変化を示すが、ベルトNo.2のサンプルは横ぶれ量が5.8mmであった。横ぶれ試験は、以下の基準で判定した。判定aおよびbを合格水準とした。
(横ぶれ判定基準)
a:3mm以下
b:3mmを超えて5mm以下
c:5mmを超える
[総合判定]
本課題を解決し得る結合Vベルトとしての総合的な判定(ランク付け)の基準は、上記2つの評価項目(耐走行試験、横ぶれ試験)における判定の結果から、表9に示す基準で判定し、Cランク以上を合格とした。
(比較例1)
(未架橋ゴムベルトの調製)
マントル(円筒状ドラム)の外周面に、未架橋の第4ゴム層用シート、第3ゴム層用シート、接着ゴム層用シートを順に巻き付け、その外周に心線(心線1)を螺旋状に巻き付け、さらにその外周面に接着ゴム層用シート、第3ゴム層用シートを順に巻き付け、未架橋ゴム層と心線とが積層した筒状の未架橋スリーブを形成した。得られた未架橋スリーブを、マントルの外周に配置された状態で周方向に切断し、環状のコア(未架橋ゴムベルト)を形成した。なお、第3ゴム層用シート中の短繊維はベルト幅方向と略平行になるように配置した。
(スカイブ工程およびカバー布被覆工程(被覆工程))
コア(未架橋ゴムベルト)をマントルから取り外し、未架橋ゴムベルトの両側面を所定の角度で切削(スカイビング処理)し、未架橋ゴムベルトの断面形状を、V字状断面に形成した。スカイビング処理により得られた未架橋Vベルト本体(Vベルト本体前駆体)に対して、Vベルト本体前駆体の側面および底面(内周面)をカバー布前駆体で被覆(カバー巻き処理)することにより、ラップドVベルト部前駆体(未架橋ラップドVベルト部)を形成した。
(結合Vベルトの調製(連結工程))
次に、前記工程で得られた心線を含む複数の未架橋ラップドVベルト部を、心線を含まないタイバンド前駆体で連結した。具体的には、内周側モールドの溝部に未架橋ラップドVベルト部を嵌め込み、ベルト幅方向に所定の間隔で並べられた6本の未架橋ラップドVベルト部の外周面を橋渡すように、タイバンド用連結補強層前駆体(処理スダレ)とタイバンド用布帛前駆体(ゴム付織布)とをこの順で巻き付け、タイバンド用連結補強層前駆体とタイバンド用布帛前駆体との積層体であるタイバンド前駆体を作製した。なお、処理スダレは経糸の長手方向がベルト幅方向に対して略平行となり、かつ緯糸の長手方向がベルト周方向に対して略平行となるように配置した。
このようにセットしたタイバンド前駆体および6本の未架橋ラップドVベルト部を、内周側モールドと外周側モールドとの間で挟んで1.2MPaまで加圧し、加熱温度160℃で架橋成形処理(加硫処理)して、6本のラップドVベルト部がタイバンドで連結して結合した架橋ベルトを作製した。
得られた架橋ベルトを切断し、3本のラップドVベルト部を有するラップド結合Vベルトを作製した。得られたラップド結合Vベルトは、ASABE HA形の結合Vベルト(ベルト長10196mm、Vベルト部厚み8.04mm、タイバンド厚み2.0mm)であった。なお、同様の方法で7本のラップドVベルト部を有するラップド結合Vベルトも作製した。
(実施例1)
(未架橋ゴムベルトの調製)
マントル(円筒状ドラム)の外周面に、未架橋の第4ゴム層用シート、補強層前駆体(処理スダレ)、第3ゴム層用シートを順に巻き付け、未架橋ゴム層と補強層前駆体とが積層した筒状の未架橋スリーブを形成した。得られた未架橋スリーブを、マントルの外周に配置された状態で周方向に切断し、環状のコア(未架橋ゴムベルト)を形成した。なお、第3ゴム層用シート中の短繊維をベルト幅方向と略平行になるように配置し、処理スダレの経糸をベルト幅方向と略平行になるように配置した。
(スカイブ工程およびカバー布被覆工程(被覆工程))
コア(未架橋ゴムベルト)をマントルから取り外し、未架橋ゴムベルトの両側面を所定の角度で切削(スカイビング処理)し、未架橋ゴムベルトの断面形状を、V字状断面に形成した。スカイビング処理により得られた未架橋Vベルト本体(Vベルト本体前駆体)に対して、Vベルト本体前駆体の側面および底面(内周面)をカバー布前駆体で被覆(カバー巻き処理)することにより、ラップドVベルト部前駆体(未架橋ラップドVベルト部)を形成した。
(結合Vベルトの調製(連結工程))
次に、前記工程で得られた複数の未架橋ラップドVベルト部を、内周側モールドの溝部に嵌め込み、ベルト幅方向に所定の間隔で並べられた6本の未架橋ラップドVベルト部の外周面を橋渡すように、第2ゴム層用シート、接着ゴム層用シートを順に巻き付け、その外周に心線(心線1)を螺旋状に巻き付け、さらにその外周面に接着ゴム層用シート、第1ゴム層用シートを順に巻き付け、タイバンド前駆体を形成した。なお、第1ゴム層用シートおよび第2ゴム層用シート中の短繊維はベルト幅方向と略平行になるように配置し、処理スダレは経糸の長手方向がベルト幅方向に対して略平行となり、かつ緯糸の長手方向がベルト周方向に対して略平行となるように配置した。
このようにセットしたタイバンド前駆体および6本の未架橋ラップドVベルト部を、内周側モールドと外周側モールドとの間で挟んで1.2MPaまで加圧し、加熱温度160℃で架橋成形処理(加硫処理)して、6本のラップドVベルト部がタイバンドで連結して結合した架橋ベルトを作製した。
得られた架橋ベルトを切断し、3本のラップドVベルト部を有するラップド結合Vベルトを作製した。得られたラップド結合Vベルトは、ASABE HA形の結合Vベルト(ベルト長10196mm、Vベルト部厚み8.04mm、タイバンド厚み2.0mm)であった。第1ゴム層厚みは0.4mm、接着ゴム層厚みは1.2mm、第2ゴム層厚みは0.4mm、第3ゴム層厚みは2.0mm、第4ゴム層厚みは4.84mmであった。なお、同様の方法で7本のラップドVベルト部を有するラップド結合Vベルトも作製した。
(実施例2)
タイバンドの厚みが3.0mmであることを除いては、実施例1と同様の方法で、ASABE HA形の結合Vベルトを作製した。第1ゴム層厚みは0.9mm、接着ゴム層厚みは1.2mm、第2ゴム層厚みは0.9mm、第3ゴム層厚みは2.0mm、第4ゴム層厚みは4.84mmであった。
(実施例3)
タイバンドの厚みが5.0mmであることを除いては、実施例1と同様の方法で、ASABE HA形の結合Vベルトを作製した。第1ゴム層厚みは1.9mm、接着ゴム層厚みは1.2mm、第2ゴム層厚みは1.9mm、第3ゴム層厚みは2.0mm、第4ゴム層厚みは4.84mmであった。
比較例1および実施例1~3で得られた結合Vベルトにおける耐久走行試験および横ぶれ試験の評価結果を表10に示す。
表10の結果から明らかなように、心線がラップドVベルト部に配置された比較例1の結合Vベルトは、耐久走行はb判定であったが、横ぶれ量が大きくc判定(不合格)のため、総合判定はDランクとなった。それに対し、心線がタイバンド内に配置された実施例1~3の結合Vベルトは、耐久走行はb判定であったが、横ぶれ量がaまたはb判定(合格)の水準まで小さくなり、総合判定はBランクとなった。
(比較例2)
ラップドVベルト部がHB形であり、心線として心線2を用いたことを除いては、比較例1と同様の方法で、ASABE HB形の結合Vベルト(ベルト長10196mm、Vベルト部厚み10.74mm、タイバンド厚み2.0mm)を作製した。
(実施例4)
ラップドVベルト部がHB形であることを除いては、実施例1と同様の方法で、ASABE HB形の結合Vベルト(ベルト長10196mm、Vベルト部厚み10.74mm、タイバンド厚み2.0mm)を作製した。第1ゴム層厚みは0.4mm、接着ゴム層厚みは1.2mm、第2ゴム層厚みは0.4mm、第3ゴム層厚みは3.7mm、第4ゴム層厚みは5.84mmであった。
(実施例5)
タイバンドの厚みを3.0mmとし、心線として心線2を用いたことを除いては、実施例4と同様の方法で、ASABE HB形の結合Vベルトを作製した。第1ゴム層厚みは0.5mm、接着ゴム層厚みは2.0mm、第2ゴム層厚みは0.5mm、第3ゴム層厚みは3.7mm、第4ゴム層厚みは5.84mmであった。
(実施例6)
タイバンドの厚みが5.0mmであることを除いては、実施例5と同様の方法で、ASABE HB形の結合Vベルトを作製した。第1ゴム層厚みは1.5mm、接着ゴム層厚みは2.0mm、第2ゴム層厚みは1.5mm、第3ゴム層厚みは3.7mm、第4ゴム層厚みは5.84mmであった。
(実施例7)
タイバンドの厚みが8.8mmであることを除いては、実施例5と同様の方法で、ASABE HB形の結合Vベルトを作製した。第1ゴム層厚みは3.4mm、接着ゴム層厚みは2.0mm、第2ゴム層厚みは3.4mm、第3ゴム層厚みは3.7mm、第4ゴム層厚みは5.84mmであった。
比較例2および実施例4~7で得られた結合Vベルトにおける耐久走行試験および横ぶれ試験の評価結果を表11に示す。
表11の結果から明らかなように、心線がラップドVベルト部に配置された比較例2の結合Vベルトは、耐久走行はb判定であったが、横ぶれ量が大きくc判定(不合格)のため、総合判定はDランクとなった。それに対し、心線がタイバンド内に配置された実施例4~6の結合Vベルトは、耐久走行はaまたはb判定であったが、横ぶれ量がa判定(合格)の水準まで良好になり、総合判定はAまたはBランクとなった。実施例7の結合Vベルトでは、タイバンドが8.8mmまで大きくなると屈曲性の低下から耐久走行での寿命が小さくなった。そのため、横ぶれ量はb判定、耐久走行がc判定となり、総合判定はCランクとなった。
(比較例3)
ラップドVベルト部がHC形であり、心線として心線2を用いたことを除いては、比較例1と同様の方法で、ASABE HC形の結合Vベルト(ベルト長10196mm、Vベルト部厚み14.84mm、タイバンド厚み2.0mm)を作製した。
(実施例8)
ラップドVベルト部がHC形であることを除いては、実施例1と同様の方法で、ASABE HC形の結合Vベルト(ベルト長10196mm、Vベルト部厚み14.84mm、タイバンド厚み2.0mm)を作製した。第1ゴム層厚みは0.4mm、接着ゴム層厚みは1.2mm、第2ゴム層厚みは0.4mm、第3ゴム層厚みは5.8mm、第4ゴム層厚みは7.84mmであった。
(実施例9)
タイバンドの厚みを3.0mmとし、心線として心線2を用いたことを除いては、実施例8と同様の方法で、ASABE HC形の結合Vベルトを作製した。第1ゴム層厚みは0.5mm、接着ゴム層厚みは2.0mm、第2ゴム層厚みは0.5mm、第3ゴム層厚みは5.8mm、第4ゴム層厚みは7.84mmであった。
(実施例10)
タイバンドの厚みが5.0mmであることを除いては、実施例9と同様の方法で、ASABE HC形の結合Vベルトを作製した。第1ゴム層厚みは1.5mm、接着ゴム層厚みは2.0mm、第2ゴム層厚みは1.5mm、第3ゴム層厚みは5.8mm、第4ゴム層厚みは7.84mmであった。
比較例3および実施例8~10で得られた結合Vベルトにおける耐久走行試験および横ぶれ試験の評価結果を表12に示す。
表12の結果から明らかなように、心線がラップドVベルト部に配置された比較例3の結合Vベルトは、耐久走行はb判定であったが、横ぶれ量が大きくc判定(不合格)のため、総合判定はDランクとなった。それに対し、心線がタイバンド内に配置された実施例8~10の結合Vベルトは、耐久走行はaまたはb判定であったが、横ぶれ量がaまたはb判定(合格)の水準まで小さくなり、総合判定はAまたはBランクとなった。
以上の結果から、本発明の構成では、結合Vベルトのスケールに関わらず、結合Vベルトの横振れ(または捻じれ)が低減し、ベルトの破断や輪断に対する耐久性を向上できることがわかった。