JP7836025B2 - 高炉への還元ガス吹込方法及び高炉 - Google Patents

高炉への還元ガス吹込方法及び高炉

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本願は高炉への還元ガス吹込方法及び高炉を開示する。
製鉄プロセスにおいてCO排出量を削減することが検討されている。例えば、高炉にて銑鉄を製造する際、還元材としてのコークス等の一部に替えて、水素ガス等の還元ガスを利用することがあり得る。高炉への還元ガス吹込方法として、特許文献1には、熱風羽口の熱風流路内又は壁面内に還元ガス吹込用のランスを配置し、当該ランスを介して還元ガスを吹き込む方法が開示されている。尚、還元ガスの吹き込みを想定したものではないが、特許文献2には、熱風羽口の壁面内に燃料噴射ランスを挿入し、当該燃料噴射ランスを介して高炉内へと燃料としての粉炭を吹き込む方法が開示されている。
特許第4997734号公報 特許第5840202号公報
特許文献1に開示されているように熱風羽口の流路内にランスを配置した場合、ランスが熱風に曝され、ランスの熱損傷等が懸念される。また、熱風羽口に設けられた還元ガス吹込ランスを介して高炉内へと比重の小さな還元ガスを吹き込む場合、高炉内の壁面を伝って還元ガスが上昇するなどして、還元ガスの偏流が生じ易い。従来技術においては、高炉内の還元ガスの偏流について、十分な検討がなされていない。本願は、高炉の内部へと比重の小さな還元ガスを吹き込む場合に、還元ガス吹込ランスの熱損傷を抑制可能であり、かつ、還元ガスの偏流を抑制可能な技術を開示する。
本願は、上記課題を解決するための手段として、以下の複数の態様を開示する。
<態様1>
高炉への還元ガス吹込方法であって、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口から、前記高炉の内部へと、熱風を吹き込むとともに、
前記熱風羽口の壁面内に設けられ、かつ、前記熱風羽口の先端部に開口を有する還元ガス吹込ランスを介して、前記高炉の内部へと、還元ガスを吹き込むこと、を含み、
前記還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
前記還元ガスの比重が、前記熱風の比重よりも小さく、
前記還元ガス吹込ランスの前記開口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pと同じであるか、又は、前記高さ位置Pよりも下方に存在する、
高炉への還元ガス吹込方法。
<態様2>
態様1の高炉への還元ガス吹込方法であって、
前記高さ位置Pが、前記高さ位置Pよりも下方に存在する、
高炉への還元ガス吹込方法。
<態様3>
態様1又は2の高炉への還元ガス吹込方法であって、
前記還元ガスが、水素ガスを含む、
高炉への還元ガス吹込方法。
<態様4>
高炉であって、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口と、
前記熱風羽口の壁面内に設けられ、かつ、前記熱風羽口の先端部に開口を有する還元ガス吹込ランスと、
を有し、
前記還元ガス吹込ランスから前記高炉の内部へと吹き込まれる還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
前記還元ガスの比重が、前記熱風羽口から前記高炉の内部へと吹き込まれる熱風の比重よりも小さく、
前記還元ガス吹込ランスの前記開口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pと同じであるか、又は、前記高さ位置Pよりも下方に存在する、
高炉。
<態様5>
態様4の高炉であって、
前記高さ位置Pが、前記高さ位置Pよりも下方に存在する、
高炉。
<態様6>
態様4又は5の高炉であって、
前記還元ガスが、水素ガスを含む、
高炉。
本開示の技術によれば、還元ガス吹込ランスを介して高炉の内部へと比重の小さな還元ガスを吹き込む場合に、還元ガス吹込ランスの熱損傷を抑制可能であり、かつ、還元ガスの偏流を抑制可能である。
高炉の構成の一例を概略的に示している。高炉に備えられる一部の構成については省略して示している。 熱風羽口の先端部におけるランス先端部の構成の他の例を概略的に示している。 高炉における熱風羽口と還元ガス吹込ランスとの位置関係の一例を概略的に示している。 高炉における熱風羽口と還元ガス吹込ランスとの位置関係の一例を概略的に示している。 高炉における熱風羽口と還元ガス吹込ランスとの位置関係の一例を概略的に示している。 先行例、実施例1~3及び比較例1~2の各々についての熱風羽口とランス開口との位置関係を概略的に示している。
以下、本開示の高炉への還元ガス吹込方法及び高炉の一実施形態について説明する。ただし、本開示の高炉への還元ガス吹込方法及び高炉は以下の実施形態に限定されるものではない。
1.高炉への還元ガス吹込方法
図1に示されるように、一実施形態に係る高炉10への還元ガス吹込方法は、
前記高炉10のシャフト下端11axよりも下方かつ出銑口12よりも上方に設けられた熱風羽口13から、前記高炉10の内部へと、熱風を吹き込むとともに、
前記熱風羽口13の壁面内に設けられ、かつ、前記熱風羽口13の先端部13aに開口14aを有する還元ガス吹込ランス14から、前記高炉10の内部へと、還元ガスを吹き込むこと、を含む。
前記還元ガスは、前記高炉10の内部において還元材として機能するガスである。
前記還元ガスの比重は、前記熱風の比重よりも小さい。
前記還元ガス吹込ランス14の前記開口14aの中心の高さ位置Pは、前記熱風羽口13の中心の高さ位置Pと同じであるか、又は、前記高さ位置Pよりも下方に存在する。
1.1 熱風羽口
高炉10は、シャフト下端11axよりも下方かつ出銑口12よりも上方に熱風羽口13を有する。「シャフト下端」とは、シャフト11aと炉腹(ベリー)11bとの境界部分をいう。「シャフト」とは、炉腹11bよりも上方の部分であって、通常、上から下に向かうにつれて炉径が増大する部分をいう。「炉腹」とは、シャフトよりも下方かつ朝顔(ボッシュ)11cよりも上方の部分であって、通常、炉径が最大となる部分をいう。炉腹11bの炉径(直径)は、例えば、5m以上20m以下、又は、10m以上18m以下であってもよい。「出銑口」とは、高炉10の下部に設けられた溶銑出湯口をいう。「熱風羽口」とは、高炉に熱風を吹き込むためのノズルをいう。高炉10は、炉腹下端11bxよりも下方かつ出銑口12よりも上方に熱風羽口13を有していてもよく、朝顔下端11cxよりも下方かつ出銑口12よりも上方に熱風羽口13を有していてもよい。
熱風羽口13の構成は公知である。例えば、熱風羽口13は、水冷構造を有するものであってもよい。熱風羽口13は、高炉10の外部の熱風炉に対して、熱風管等を介して接続され得る。言い換えれば、高炉10は、熱風炉から熱風管及び熱風羽口13を介して、高炉10の内部に熱風が吹き込まれるように構成され得る。熱風羽口13の直径(高炉10の内部に面する開口の円相当直径、ノズル径)は、例えば、20mm以上400mm以下、又は、40mm以上300mm以下であってもよい。
高炉10に設けられる熱風羽口13の数は、特に限定されるものではなく、高炉の内容積に応じて、決定され得る。高炉10には、複数の熱風羽口13が高炉10の周方向に配置され得る。言い換えれば、高炉10においては、上面視において、複数の熱風羽口13が、円周方向上に配置され得る。通常、複数の熱風羽口13の各々の中心の高さ位置Pは、同様である。
1.2 還元ガス吹込ランス
高炉10は、還元ガス吹込ランス14を有する。還元ガス吹込ランス14は、高炉10の外部の還元ガス供給源に対して、還元ガス供給流路等を介して接続され得る。言い換えれば、高炉10は、還元ガス供給源から還元ガス供給流路及び還元ガス吹込ランス14を介して高炉10の内部に還元ガスが吹き込まれるように構成され得る。還元ガス供給源や還元ガス供給流路の形態に特に制限はない。
本実施形態においては、還元ガス吹込ランス14が、熱風羽口13の壁面内に設けられることが重要である。「熱風羽口の壁面内に設けられた還元ガス吹込ランス」とは、図1に示されるようにランス先端に至るまで熱風羽口の壁面内に埋設されている必要はなく、例えば、図2に示されるように、ランスの少なくとも一部が熱風羽口の壁面よりも内側に接しつつ熱風羽口の流路内に露出するような形態も含まれる。すなわち、還元ガス吹込ランスは、ランス全周のうちの少なくとも一部が、熱風羽口の壁面よりも内側に存在するなどして、熱風羽口内の水冷構造によって還元ガス吹込ランスの冷却が可能である限り(ランスの熱損傷が抑制され得る限り)、当該ランスの全周のうちの一部が熱風羽口の流路内に露出していてもよい。還元ガス吹込ランスの熱損傷をより一層抑制する観点からは、熱風羽口において、還元ガス吹込ランスの全周が当該熱風羽口の壁面内に設けられることが好ましい。また、本実施形態においては、還元ガス吹込ランス14が、熱風羽口13の先端部13aに開口14aを有し、当該開口14aから高炉10の内部へと還元ガスが吹き込まれるように構成される。「熱風羽口の先端部に開口を有する還元ガス吹込ランス」とは、還元ガス吹込ランスが、熱風羽口の先端又はその近傍において開口していることを意味する。本実施形態においては、熱風羽口の先端面とランス開口とが面一である(ランスの先端が熱風羽口の先端にまで達している)必要はない。すなわち、「熱風羽口の先端部に開口を有する」とは、熱風羽口の先端面とランス開口とが面一である(ランスの先端が熱風羽口の先端にまで達している)形態のほか、ランス先端が熱風羽口の先端の近傍にまで達している形態も含む。具体的には、ランス先端から熱風羽口の先端までの距離が、0mm以上50mm以下である場合に、ランスが「熱風羽口の先端部に開口を有する」ものとみなす。このように、本実施形態においては、還元ガス吹込ランス14が、熱風羽口13の壁面内に設けられることで、還元ガス吹込ランス14が熱風に曝され難くなり、また、熱風に曝されたとしても熱風羽口13の壁面内の水冷構造によって還元ガス吹込ランス14を冷却することができ、還元ガス吹込ランス14の熱損傷等が抑制され得る。
還元ガス吹込ランス14の開口14aの直径(高炉10の内部に面する開口の円相当直径)は、例えば、10mm以上50mm以下であってもよく、20mm以上30mm以下であってもよい。或いは、還元ガス吹込ランス14の開口14aの直径は、熱風羽口13の直径の0.05%以上0.8%以下、又は、0.1%以上0.5%以下であってもよい。
高炉10に設けられる還元ガス吹込ランス14の数は、特に限定されるものではない。例えば、高炉10に設けられる少なくとも1つの熱風羽口13に、少なくとも1つの還元ガス吹込ランス14が設けられていてもよい。言い換えれば、高炉10が複数の熱風羽口13を有する場合、当該複数の熱風羽口13の一部のみが還元ガス吹込ランス14を有していてもよいし、その全部が還元ガス吹込ランス14を有していてもよい。また、1つの熱風羽口13に対して、1つの還元ガス吹込ランス14が設けられていてもよいし、複数の還元ガス吹込ランス14が設けられていてもよい。複数の還元ガス吹込ランス14の各々の開口14aの中心の高さ位置Pは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
1.3 熱風羽口と還元ガス吹込ランスの開口との位置関係
本実施形態において、還元ガス吹込ランス14の開口14aの中心の高さ位置Pは、熱風羽口13の中心の高さ位置Pと同じであるか、又は、高さ位置Pよりも下方に存在することが重要である。本発明者らの新たな知見によると、還元ガス吹込ランス14の開口14aの中心の高さ位置Pが熱風羽口13の中心の高さ位置Pよりも上方に存在する場合、還元ガス吹込ランス14から吹き込まれた還元ガスが高炉10の壁面を伝って上昇するなどして、高炉10の内部において還元ガスの偏流が生じ易い。これに対し、還元ガス吹込ランス14の開口14aの中心の高さ位置Pが熱風羽口13の中心の高さ位置Pと同じか、又は、高さ位置Pよりも下方に存在する場合、高炉10の内部において、熱風の下側に流れる還元ガスの量が増加するとともに、壁面を伝って上昇する還元ガスの量が減少し、還元ガスが高炉10の内部の径方向中心(炉中心)まで到達し易くなる。結果として、高炉10の内部における還元ガスの偏流が抑制され、還元ガスの利用効率が改善される。特に、還元ガス吹込ランス14の開口14aの中心の高さ位置Pが、熱風羽口13の中心の高さ位置Pよりも下方に存在する場合に、還元ガスの偏流を抑制する効果が一層顕著となる。
図3A及びBに、還元ガス吹込ランス14の開口14aの中心の高さ位置Pが熱風羽口13の中心の高さ位置Pよりも下方に存在する場合の一例を示す。図3Aに示されるように、還元ガス吹込ランス14の開口14aの中心は、熱風羽口13の中心の真下に設けられていてもよい。すなわち、高炉10の周方向における還元ガス吹込ランス14の開口14aの中心の位置が、熱風羽口13の中心の位置と同じであってもよい。また、図3Bに示されるように、還元ガス吹込ランス14の開口14aの中心は、熱風羽口13の中心の斜め下に設けられていてもよい。すなわち、高炉10の周方向において、還元ガス吹込ランス14の開口14aの中心が、熱風羽口13の中心とは異なる位置に存在していてもよい。
図3Cに、還元ガス吹込ランス14の開口14aの中心の高さ位置Pが熱風羽口13の中心の高さ位置Pと同じである場合を示す。図3Cに示されるように、還元ガス吹込ランス14の開口14aは、熱風羽口13の横に設けられていてもよい。
1.4 熱風
熱風羽口13から吹き込まれる熱風は、例えば、空気からなるものであってもよいし、空気を酸素富化したものであってもよい。熱風の温度は、例えば、1000℃以上である。熱風の温度は、1000℃以上2000℃以下、1000℃以上1700℃以下、1000℃以上1500℃以下、又は、1000℃以上1300℃以下であってもよい。熱風羽口13における熱風の流速(熱風の流量(m/s)/熱風羽口13の吹出口の開口面積(m))は、高炉10の操業状況に応じて、調整されてもよい。一実施形態において、熱風の流速は、後述する流速V1であってもよい。
1.5 還元ガス
還元ガス吹込ランス14から吹き込まれる還元ガスは、高炉10の内部において還元材として機能するガスである。すなわち、高炉10に吹き込まれる前において還元材として機能しないようなガスであっても、高炉10の内部において熱分解するなどして還元材(還元成分)を生成し得るガスであれば、本願にいう「還元ガス」に含まれるものとする。また、還元ガスの比重は、熱風羽口13から高炉10の内部へと吹き込まれる熱風の比重よりも小さい。このような還元ガスとしては、例えば、水素ガス、炭化水素ガス(例えば、メタンガス)、一酸化炭素ガス、及び、アンモニアガスから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。特に、還元ガスが水素ガスを含む場合に、本開示の技術による一層高い効果が期待できる。還元ガス吹込ランス14から吹き込まれる還元ガスの温度は、例えば、0℃以上2000℃以下、又は、25℃以上1500℃以下であってもよい。本実施形態において、還元ガス吹込ランス14の開口14aにおける還元ガスの流速(還元ガスの流量(m/s)/還元ガス吹込ランス14の吹出口の開口面積(m))は、例えば、各還元ガスの使用温度における音速以下であってもよい。一実施形態において、還元ガス吹込ランス14から吹き込まれる還元ガスの流速は、後述する流速V2であってもよい。
1.6 熱風の流速及び還元ガスの流速
熱風羽口13から吹き込まれる熱風の流速V1は、特に限定されるものではないが、例えば、当該流速V1が100m/s以上1000m/s以下、中でも200m/s以上400m/s以下であると、高炉10の内部における還元ガスの偏流が一層抑制され易くなる。また、還元ガス吹込ランス14から吹き込まれる還元ガスの流速V2は、特に限定されるものではないが、例えば、当該流速V2が100m/s以上1000m/s以下、中でも200m/s以上800m/s以下であると、高炉10の内部における通気が安定し、炉内還元反応が安定的に進む操業となる。
1.7 その他のガス
還元ガス吹込ランス14からは、還元ガスとともにその他のガスが吹き込まれてもよい。その他のガスとしては、例えば、窒素ガス等の不活性ガスが挙げられる。
2.高炉
本開示の技術は、高炉への還元ガス吹込方法としての側面のほか、高炉そのものとしての側面も有する。すなわち、図1に示されるように、一実施形態に係る高炉10は、
前記高炉10のシャフト下端11axよりも下方かつ出銑口12よりも上方に設けられた熱風羽口13と、
前記熱風羽口13の壁面内に設けられ、かつ、前記熱風羽口13の先端部13aに開口14aを有する還元ガス吹込ランス14と、を有する。
前記還元ガス吹込ランス14から前記高炉10の内部へと吹き込まれる還元ガスは、前記高炉10の内部において還元材として機能するガスである。
前記還元ガスの比重は、前記熱風羽口13から前記高炉10の内部へと吹き込まれる熱風の比重よりも小さい。
前記還元ガス吹込ランス14の前記開口14aの中心の高さ位置Pは、前記熱風羽口13の中心の高さ位置Pと同じであるか、又は、前記高さ位置Pよりも下方に存在する。
上述の通り、高炉10においては、前記高さ位置Pが、前記高さ位置Pよりも下方に存在する場合に、還元ガスの偏流を抑制する効果が一層高まるものと考えられる。また、還元ガスが水素ガスを含む場合に、本開示の技術による効果が一層高まるものと考えられる。
3.補足
高炉10の操業においては、例えば、高炉10の上部から高炉10の内部へと鉄鉱石(酸化鉄)やコークス等が装入される一方で、高炉10の外部の熱風炉から熱風管及び熱風羽口13を介して高炉10の内部へと熱風が吹き込まれるとともに、高炉10の外部の還元ガス供給源から還元ガス流路及び還元ガス吹込ランス14を介して高炉10の内部へと還元ガスが吹き込まれる。高炉10の内部に供給されたコークス等は、燃焼して還元ガスを発生させる。当該コークス等の燃焼によって生じた還元ガスや、還元ガス吹込ランス14から吹き込まれた還元ガスによって、酸化鉄が還元及び溶解されて、溶銑が得られる。当該溶銑は、高炉10の下部に設けられた出銑口12から出湯される。本実施形態においては、還元ガス吹込ランス14を介して高炉10の内部へと還元ガスが吹き込まれることで、その分、コークス等のカーボン含有の還元材の使用量を削減することができる。結果として、CO発生量を削減することができる。高炉10は、上記のようにして銑鉄を製造可能である限りにおいて、様々な構成を採り得る。高炉10は、例えば、上述の熱風羽口13や還元ガス吹込ランス14に加えて、その他の羽口やランスを有していてもよい。また、高炉10において、熱風羽口13よりも上方にその他の還元ガス吹込ランスが存在してもよい。熱風羽口13及び還元ガス吹込ランス14以外の高炉10の構成については、本技術分野において公知であることから、ここでは詳細な説明を省略する。
4.効果
以上の通り、本実施形態によれば、還元ガス吹込ランス14が、熱風羽口13の壁面内に設けられることで、当該ランスの熱損傷等が抑制され得る。また、本実施形態によれば、還元ガス吹込ランス14の開口14aの中心の高さ位置Pが、熱風羽口13の中心の高さ位置Pと同じか、又は、高さ位置Pよりも下方に存在することで、高炉10の内部における還元ガスの偏流を抑制可能である。
以下、実施例を示しつつ本発明についてさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱せず、その目的を達する限りにおいて、種々の条件を採用可能とするものである。以下の実施例においては、還元ガスとして水素ガスを採用した場合を例示するが、還元ガスの種類はこれに限定されるものではない。
シミュレーションモデルを使用し、還元ガスを吹き込む位置を変更しつつ、高炉内装入物の最上面での炉壁と炉中心部での水素の濃度差を比較した。具体的には、以下の先行例、実施例1~3、及び、比較例1~2の各々について、水素濃度差を求めた。
先行例:図4の「先行例」に示されるように、ランスの先端の開口の中心が、熱風羽口の開口の中心に位置するように、熱風羽口の熱風流路内(壁面外)にランスを挿入した。熱風羽口から熱風を吹き込むとともに、ランスから水素ガスを吹き込んだ。
実施例1:図4の「実施例1」に示されるように、ランスの先端の開口の中心が、熱風羽口の開口の中心の真下に位置するように、熱風羽口の壁面内にランスを挿入した。熱風羽口から熱風を吹き込むとともに、ランスから水素ガスを吹き込んだ。
実施例2:図4の「実施例2」に示されるように、ランスの先端の開口の中心が、熱風羽口の開口の中心の斜め下に位置するように、熱風羽口の壁面内にランスを挿入した。熱風羽口から熱風を吹き込むとともに、ランスから水素ガスを吹き込んだ。
実施例3:図4の「実施例3」に示されるように、ランスの先端の開口の中心の高さ位置が、熱風羽口の開口の中心の高さ位置と同じになるように、熱風羽口の壁面内にランスを挿入した。熱風羽口から熱風を吹き込むとともに、ランスから水素ガスを吹き込んだ。
比較例1:図4の「比較例1」に示されるように、ランスの先端の開口の中心が、熱風羽口の開口の中心の斜め上に位置するように、熱風羽口の壁面内にランスを挿入した。熱風羽口から熱風を吹き込むとともに、ランスから水素ガスを吹き込んだ。
比較例2:図4の「比較例2」に示されるように、ランスの先端の開口の中心が、熱風羽口の開口の中心の真上に位置するように、熱風羽口の壁面内にランスを挿入した。熱風羽口から熱風を吹き込むとともに、ランスから水素ガスを吹き込んだ。
下記表1に結果を示す。
表1に示される結果から明らかなように、先行例及び実施例1~3のように、還元ガス吹込ランスの開口の中心の高さ位置が熱風羽口の中心の高さ位置と同じか、それよりも下方にある場合、高炉内装入物の最上面での水素の濃度差はほぼ見られなかった。これは、羽口レベルで水素ガスと熱風とが十分に混合され、炉内で熱風とともに水素が分散されたためと考えられる。ただし、先行例のように、還元ガス吹込ランスの先端部が熱風羽口の壁面に接しておらず、熱風羽口の流路内にランス全周が露出した場合、熱風によってランスの熱損傷等が生じ易い。この点、先行例については、ランスの耐久性に関して課題がある。これに対し、実施例1~3のように、還元ガス吹込ランスを熱風羽口の壁面内に配置する(ランス全周の少なくとも一部が、熱風羽口の壁面の内側に配置される)ことで、当該課題を解決できる。すなわち、還元ガスの偏流の抑制と、ランスの熱損傷等の抑制とを両立する観点からは、先行例よりも実施例1~3のほうが有利である。
一方、比較例1~2のように、還元ガス吹込ランスの開口の中心の高さ位置が熱風羽口の中心の高さ位置よりも上方にある場合、高炉内装入物の最上面において炉中心と炉壁部とで水素濃度に大きな差が見られた。これは、水素ガスの比重が空気(熱風)の比重よりも小さく、熱風羽口から吹き込まれる熱風に水素ガスが押されることなく、水素ガスが炉内の壁側を優先的に流れたためと考えられる。
以上のことから、熱風羽口の壁面内に還元ガス吹込ランスを設けることで、ランスの熱損傷等を抑制することができるといえる。また、熱風羽口の壁面内に還元ガス吹込ランスを設け、当該熱風羽口の先端部に当該ランスの開口を配置したうえで、当該ランスから還元ガスを吹き込む場合、当該ランスの開口の中心の高さ位置Pが、熱風羽口の中心の高さ位置Pと同じか、又は、高さ位置Pよりも下方に存在する場合に、高炉の内部における還元ガスの偏流を抑制することができるといえる。
以上の結果をまとめると、以下の方法(1)や高炉(2)によれば、高炉の内部へと比重の小さな還元ガスを吹き込む場合に、還元ガス吹込ランスの熱損傷等を抑制可能であり、かつ、還元ガスの偏流を抑制可能といえる。
(1)高炉への還元ガス吹込方法であって、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口から、前記高炉の内部へと、熱風を吹き込むとともに、
前記熱風羽口の壁面内に設けられ、かつ、前記熱風羽口の先端部に開口を有する還元ガス吹込ランスを介して、前記高炉の内部へと、還元ガスを吹き込むこと、を含み、
前記還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
前記還元ガスの比重が、前記熱風の比重よりも小さく、
前記還元ガス吹込ランスの前記開口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pと同じであるか、又は、前記高さ位置Pよりも下方に存在する、
高炉への還元ガス吹込方法。
(2)高炉であって、
前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口と、
前記熱風羽口の壁面内に設けられ、かつ、前記熱風羽口の先端部に開口を有する還元ガス吹込ランスと、
を有し、
前記還元ガス吹込ランスから前記高炉の内部へと吹き込まれる還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
前記還元ガスの比重が、前記熱風羽口から前記高炉の内部へと吹き込まれる熱風の比重よりも小さく、
前記還元ガス吹込ランスの前記開口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pと同じであるか、又は、前記高さ位置Pよりも下方に存在する、
高炉。
10 高炉
11 炉腹
12 出銑口
13 熱風羽口
13a 先端部
14 還元ガス吹込ランス
14a 開口

Claims (6)

  1. 高炉への還元ガス吹込方法であって、
    前記高炉のシャフト下端よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口から、前記高炉の内部へと、熱風を吹き込むとともに、
    前記熱風羽口の壁面内に設けられ、かつ、前記熱風羽口の先端部に開口を有する還元ガス吹込ランスを介して、前記高炉の内部へと、還元ガスを吹き込むこと、を含み、
    前記還元ガス吹込ランスの先端から前記熱風羽口の先端までの距離が、0mm以上50mm以下であり、
    前記還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
    前記還元ガスの比重が、前記熱風の比重よりも小さく、
    前記還元ガス吹込ランスの前記開口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pと同じであるか、又は、前記高さ位置Pよりも下方に存在する、
    高炉への還元ガス吹込方法。
  2. 請求項1に記載の高炉への還元ガス吹込方法であって、
    前記高さ位置Pが、前記高さ位置Pよりも下方に存在する、
    高炉への還元ガス吹込方法。
  3. 請求項1又は2に記載の高炉への還元ガス吹込方法であって、
    前記還元ガスが、水素ガスを含む、
    高炉への還元ガス吹込方法。
  4. 高炉であって、
    前記高炉の炉腹よりも下方かつ出銑口よりも上方に設けられた熱風羽口と、
    前記熱風羽口の壁面内に設けられ、かつ、前記熱風羽口の先端部に開口を有する還元ガス吹込ランスと、
    を有し、
    前記還元ガス吹込ランスの先端から前記熱風羽口の先端までの距離が、0mm以上50mm以下であり、
    前記還元ガス吹込ランスから前記高炉の内部へと吹き込まれる還元ガスが、前記高炉の内部において還元材として機能するガスであり、
    前記還元ガスの比重が、前記熱風羽口から前記高炉の内部へと吹き込まれる熱風の比重よりも小さく、
    前記還元ガス吹込ランスの前記開口の中心の高さ位置Pが、前記熱風羽口の中心の高さ位置Pと同じであるか、又は、前記高さ位置Pよりも下方に存在する、
    高炉。
  5. 請求項4に記載の高炉であって、
    前記高さ位置Pが、前記高さ位置Pよりも下方に存在する、
    高炉。
  6. 請求項4又は5に記載の高炉であって、
    前記還元ガスが、水素ガスを含む、
    高炉。
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