JP7831354B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

車両の制御装置

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エンジンと一対の駆動輪との間の動力伝達経路に設けられた自動変速機と、それらエンジンと自動変速機との間に設けられたロックアップクラッチ付きトルクコンバータと、を備える車両の、制御装置に関する。
エンジンと一対の駆動輪との間の動力伝達経路に設けられた自動変速機と、それらエンジンと自動変速機との間に設けられたロックアップクラッチ付きトルクコンバータと、を備える車両の、制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のものがそれである。特許文献1に記載の車両の制御装置では、ロックアップクラッチが解放状態である場合にトルクコンバータにおいて動力を伝達する流体であるオイルの油温に応じてロックアップクラッチの断接制御が実行される。具体的には、オイルが高温時には、低温時に比較してロックアップクラッチを係合状態とする回転速度範囲を低速側にシフトさせている。これにより、高温時にはロックアップクラッチが係合状態となりやすいため、オイルの油温がさらに上昇することが抑制される。
特開平2-180364号公報
ところで、特許文献1に記載の車両の制御装置では、例えば坂路や砂路において高温時にロックアップクラッチを係合状態するとエンジン・ストールが発生することを懸念して、自動変速機の変速段が第2速変速段以上である場合に限定しロックアップクラッチを係合状態とすることが考えられる。すなわち、自動変速機の変速段が第1速変速段である場合には、ロックアップクラッチを係合状態とはしないことが考えられる。しかしながら、自動変速機の変速段が第2速変速段である場合にロックアップクラッチが係合状態とされても、トルク不足により自動変速機の変速段が第2速変速段から第1速変速段にダウンシフトされる場合がある。この場合、第1速変速段にダウンシフトされたことでロックアップクラッチが解放状態とされてしまい、トルクコンバータでの発熱量が抑制されずオイルの油温が上昇してしまうおそれがある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジン・ストールの発生が抑制されつつオイルの油温の上昇が抑制される、車両の制御装置を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、エンジンと、前記エンジンと一対の駆動輪との間の動力伝達経路に設けられた自動変速機と、前記動力伝達経路のうち前記エンジンと前記自動変速機との間に設けられたロックアップクラッチ付きトルクコンバータと、を備える車両の、制御装置であって、前記ロックアップクラッチが解放状態である場合に前記トルクコンバータにおいて動力を伝達する流体であるオイルの油温が所定の判定油温以上である場合には、前記自動変速機の変速段が第2速変速段以上である場合に比較して、前記自動変速機の変速段が第1速変速段である場合における前記ロックアップクラッチを係合状態とする車速関連値の下限値を高く設定することにある。
本発明の車両の制御装置によれば、前記ロックアップクラッチが解放状態である場合に前記トルクコンバータにおいて動力を伝達する流体であるオイルの油温が所定の判定油温以上である場合には、前記自動変速機の変速段が第2速変速段以上である場合に比較して、前記自動変速機の変速段が第1速変速段である場合における前記ロックアップクラッチを係合状態とする車速関連値の下限値が高く設定される。これにより、エンジン・ストールの発生を抑制しつつ、トルクコンバータでの発熱量が抑制されることでオイルの油温の上昇が抑制される。
本発明の実施例に係る電子制御装置が搭載される車両の概略構成図であるとともに、車両における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。 スロットル弁開度と、自動変速機の各変速段におけるロックアップクラッチを係合状態とするタービン回転速度の下限値と、の関係の例を説明する図である。 図1に示す電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートの一例である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の実施例に係る電子制御装置90が搭載される車両10の概略構成図であるとともに、車両10における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。
車両10は、エンジン12、トルクコンバータ14、自動変速機16、ディファレンシャルギヤ18、一対の駆動輪20、油圧制御回路50、オイルポンプ60、及び電子制御装置90を備える。例えば、トルクコンバータ14、自動変速機16、ディファレンシャルギヤ18、及び油圧制御回路50は、ケース40内に収容されている。
エンジン12は、車両10における走行用の動力源であり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の周知の内燃機関である。
トルクコンバータ14は、周知の流体式動力伝達装置である。トルクコンバータ14における入力側のポンプ翼車14pはクランク軸30を介してエンジン12に連結されている。トルクコンバータ14における出力側のタービン翼車14tはタービン軸32に連結されている。ポンプ翼車14pとタービン翼車14tとの間には、ロックアップクラッチLUが設けられている。トルクコンバータ14は、ロックアップクラッチLU付きのトルクコンバータである。ロックアップクラッチLUが係合状態(=直結状態)である場合には、ポンプ翼車14p及びタービン翼車14tが直結されて一体的に回転させられる。ロックアップクラッチLUが解放状態(=切断状態)である場合には、ポンプ翼車14pとタービン翼車14tとの間は直結されず流体を介して動力が伝達される。以下、ロックアップクラッチLUが係合状態である場合を、「LUオン状態」と記し、ロックアップクラッチLUが解放状態である場合を、「LUオフ状態」と記すこととする。トルクコンバータ14のポンプ翼車14pには、例えば機械式のオイルポンプ60が動力伝達可能に連結されている。オイルポンプ60は、エンジン12により回転駆動されることによって、オイルOILを油圧制御回路50へ圧送する。
オイルOILは、トルクコンバータ14がLUオフ状態である場合において、ポンプ翼車14pとタービン翼車14tとの間で動力を伝達する流体である。本実施例では、オイルOILは、ロックアップクラッチLUの断接制御及び自動変速機16の変速制御などを行うために設けられた油圧アクチュエータに供給される作動油でもある。オイルOILは、例えばATF(Automatic Transmission Fluid)である。なお、周知のように、トルクコンバータ14は、LUオン状態に比較して、LUオフ状態の方が発熱量が大きい。これは、LUオフ状態では、トルクコンバータ14内でオイルOILが激しくかき混ぜられることによる。
自動変速機16は、周知の自動変速機であり、例えば遊星歯車式や常時噛合型平行軸式などの有段変速機である。自動変速機16の入力側の回転部材である入力軸34は、タービン軸32に相対回転不能に連結されている。自動変速機16の出力側の回転部材である出力軸36は、ディファレンシャルギヤ18に連結されている。自動変速機16は、後述する電子制御装置90により制御される油圧制御回路50によって、異なる変速比γatのうちから所望の変速比γatが形成されるように制御される。変速比γatは、入力回転速度Ninと出力回転速度Nout[rpm]との回転速度比(=Nin/Nout)である。入力回転速度Ninは入力軸34の回転速度であり、出力回転速度Noutは出力軸36の回転速度である。例えば、自動変速機16の前進走行用の変速段には、第1速変速段「1st」~第8速変速段「8th」の8つの変速段がある。第1速変速段「1st」が低速変速段側であり、第8速変速段「8th」が高速変速段側である。すなわち、自動変速機16の8つの変速段において、第1速変速段「1st」の変速比γatが最も大きく、第8速変速段「8th」の変速比γatが最も小さい。
ディファレンシャルギヤ18は、自動変速機16の出力軸36から伝達された走行用の動力を受けて、一対のドライブシャフト38を介して一対の駆動輪20に対し適宜回転速度差を許容しつつ相互に等しい駆動トルクを伝達する周知のディファレンシャルギヤである。
エンジン12から出力される走行用の動力は、トルクコンバータ14、自動変速機16、ディファレンシャルギヤ18を介して一対の駆動輪20に伝達される。エンジン12と一対の駆動輪20との間において走行用の動力が伝達される伝達経路が、動力伝達経路PTである。自動変速機16は動力伝達経路PTに設けられ、動力伝達経路PTのうちエンジン12と自動変速機16との間にトルクコンバータ14が設けられている。
油圧制御回路50は、オイルポンプ60から圧送されたオイルOILの油圧を元圧として、ケース40内の各部に潤滑及び冷却や作動制御に必要なオイルOILを供給する。例えば、オイルOILは、ポンプ翼車14pとタービン翼車14tとの間で動力を伝達する流体としてトルクコンバータ14に供給される。例えば、ロックアップクラッチLUの断接制御及び自動変速機16の変速制御などを行うために設けられた油圧アクチュエータに、オイルOILが供給される。
電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、油圧制御用等の各コンピュータを含んで構成される。なお、電子制御装置90は、本発明における「制御装置」に相当する。
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えば、エンジン回転速度センサ92、タービン回転速度センサ94、油温センサ96、及びアクセル開度センサ98など)による検出値に基づく各種信号等(例えば、エンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne[rpm]、タービン軸32の回転速度であるタービン回転速度Nt[rpm]、オイルOILの温度である油温THoil[℃]、及び運転者の加速操作の大きさを表す運転者のアクセル操作量であるアクセル開度θacc[%]など)が、それぞれ入力される。
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えば、エンジン12及び油圧制御回路50など)に各種指令信号(例えば、エンジン12を制御するためのエンジン制御信号Se、油圧制御回路50を介して自動変速機16の変速制御を行うための変速制御信号Sat及びロックアップクラッチLUの断接制御を行うためのLU制御信号Sluなど)が、それぞれ出力される。
電子制御装置90は、エンジン制御部90a、変速制御部90b、LU制御部90c、油温判定部90d、条件設定部90e、及び条件判定部90fを機能的に備える。
エンジン制御部90aは、車両走行中においては、例えば駆動要求量マップにアクセル開度θacc及び車速V[km/h]を適用することで、運転者による車両10に対する駆動要求量を算出する。駆動要求量マップは、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された、駆動要求量を求めるための関係である。エンジン制御部90aは、車両10に対する駆動要求量を実現するようにエンジントルクTe[Nm]を制御する。駆動要求量マップでは、車速Vに替えて出力軸36の回転速度である出力回転速度Noutやタービン回転速度Ntなどを用いても良いし、又、アクセル開度θaccに替えて電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth[%]などを用いても良い。
変速制御部90bは、例えば変速マップを用いて自動変速機16の変速判断を行い、必要に応じて変速制御を実行する。変速マップは、例えばアクセル開度θacc及び車速Vを変数とする二次元座標上に、自動変速機16の変速が判断されるための変速線を有する予め定められた所定の関係である。変速マップでは、車速Vに替えて出力軸36の回転速度である出力回転速度Noutなどを用いても良いし、又、アクセル開度θaccに替えて要求駆動トルクTrdem[Nm]やスロットル弁開度θthなどを用いても良い。
LU制御部90cは、トルクコンバータ14のロックアップクラッチLUの断接状態を制御する。LU制御部90cは、例えば車両発進時等の比較的低車速の場合にはLUオフ状態になるように制御し、比較的高車速の場合にはLUオン状態になるように制御する。ロックアップクラッチLUの断接状態の切替条件については、後述する。
油温判定部90dは、油温THoilが所定の判定油温THoil_jdg[℃]以上であるか否かを判定する。所定の判定油温THoil_jdgは、オイルOILによって冷却されるケース40内の各部が過熱状態とならないように、実験的に或いは設計的に予め定められた油温THoilの判定温度である。以下、「油温THoilが所定の判定油温THoil_jdg未満である状態」を「通常温度状態」と記し、「油温THoilが所定の判定油温THoil_jdg以上である状態」を「高温状態」と記すこととする。
条件設定部90eは、ロックアップクラッチLUの断接状態の切替条件を設定する。例えば、条件設定部90eは、以下のようにロックアップクラッチLUの断接状態の切替条件を設定する。
ここで、「LUオフ状態とLUオン状態とを切り替えるタービン回転速度Nt」を、「最低タービン回転速度Nt_min」と記すこととする。「最低タービン回転速度Nt_min」は、「LUオン状態となるように制御する条件が成立するタービン回転速度Ntの回転速度範囲の下限値」である。本実施例では、タービン回転速度Ntが最低タービン回転速度Nt_min以上である場合にはLUオン状態に制御され、タービン回転速度Ntが最低タービン回転速度Nt_min未満である場合にはLUオフ状態に制御される。すなわち、最低タービン回転速度Nt_minは、LUオン状態となるように制御するタービン回転速度Ntの回転速度範囲と、LUオフ状態となるように制御する条件が成立するタービン回転速度Ntの回転速度範囲と、の境界値である。エンジン・ストールが発生しないようにするためには、最低タービン回転速度Nt_minは高く設定する方が良い。一方、トルクコンバータ14での発熱量を抑制するためには、最低タービン回転速度Nt_minは低く設定する方が良い。したがって、エンジン・ストールの発生の抑制の観点及びトルクコンバータ14での発熱量の抑制の観点に基づいて、最低タービン回転速度Nt_minは設定される。なお、タービン回転速度Ntは、車速Vの増減に連動して増減する回転速度であって、本発明における「車速関連値」に相当する。最低タービン回転速度Nt_minは、本発明における「下限値」に相当する。
オイルOILが通常温度状態であると油温判定部90dが判定した場合には、条件設定部90eは、自動変速機16の変速段に応じて最低タービン回転速度Nt_minをそれぞれ設定する。オイルOILが高温状態であると油温判定部90dが判定した場合には、条件設定部90eは、自動変速機16の変速段に応じて最低タービン回転速度Nt_minをそれぞれ設定する。最低タービン回転速度Nt_minの具体的な設定については、後述する。
条件判定部90fは、タービン回転速度Ntが所定の最低タービン回転速度Nt_min以上であるか否かを判定する。タービン回転速度Ntが所定の最低タービン回転速度Nt_min以上であると条件判定部90fが判定することは、LUオン状態に制御する条件が成立していると条件判定部90fが判定することと同意である。タービン回転速度Ntが所定の最低タービン回転速度Nt_min未満であると条件判定部90fが判定することは、LUオン状態に制御する条件が成立していないと条件判定部90fが判定することと同意である。すなわち、LUオフ状態に制御する条件が成立していると条件判定部90fが判定することと同意である。
LU制御部90cは、条件判定部90fで成立していると判定された条件に基づいて、ロックアップクラッチLUの断接状態を制御する。すなわち、LUオン状態に制御する条件が成立している場合には、LU制御部90cは、LUオン状態となるように制御する。LUオフ状態に制御する条件が成立している場合には、LU制御部90cは、LUオフ状態となるように制御する。例えば、ダウンシフトにより自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」から第1速変速段「1st」に切り替えられる場合、変速制御部90bが変速制御を実行するとともに、条件判定部90fで成立していると判定された条件に基づいてLU制御部90cがロックアップクラッチLUの断接状態を制御する。
図2は、スロットル弁開度θthと、自動変速機16の各変速段における最低タービン回転速度Nt_minと、の関係の例を説明する図である。なお、図2では、自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」~第3速変速段「3rd」の場合が示され、第4速変速段「4th」~第8速変速段「8th」については不図示とされている。
例えば、オイルOILが高温状態である場合において自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」以上であると、スロットル弁開度θthにかかわらず、最低タービン回転速度Nt_minは1300[rpm]に設定される。この1300[rpm]は、オイルOILが高温状態である場合において、実験的に或いは設計的に予め定められたLUオン状態に制御するタービン回転速度Ntの回転速度範囲の下限値であって、LUオン状態となってもエンジン・ストールが発生しない回転速度である。
例えば、オイルOILが高温状態である場合において自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」であると、スロットル弁開度θthにかかわらず、最低タービン回転速度Nt_minは2000[rpm]に設定される。この2000[rpm]は、オイルOILが高温状態である場合において、実験的に或いは設計的に予め定められたLUオン状態に制御するタービン回転速度Ntの回転速度範囲の下限値であって、LUオン状態となってもエンジン・ストールが発生しない回転速度である。このように、オイルOILが高温状態である場合において、自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」である場合の最低タービン回転速度Nt_minは、自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」以上である場合に比較して高く設定される。好適には、ダウンシフトにより車速Vが変化しない場合に、自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」であってLUオン状態であれば、自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」となってもLUオン状態が維持されるように第1速変速段「1st」及び第2速変速段「2nd」における最低タービン回転速度Nt_minがそれぞれ設定される。
例えば、オイルOILが通常温度状態である場合において自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」であると、スロットル弁開度θthにかかわらず、最低タービン回転速度Nt_minは2000[rpm]に設定される。この2000[rpm]は、オイルOILが通常温度状態である場合において、実験的に或いは設計的に予め定められたLUオン状態に制御するタービン回転速度Ntの回転速度範囲の下限値であって、LUオン状態となってもエンジン・ストールが発生しない回転速度である。
例えば、オイルOILが通常温度状態である場合において自動変速機16の変速段が第3速変速段「3rd」以上であると、スロットル弁開度θthが50[%]以下の場合には最低タービン回転速度Nt_minは2000[rpm]に設定され、スロットル弁開度θthが60[%]以上の場合には最低タービン回転速度Nt_minは2300[rpm]に設定される。この2300[rpm]は、オイルOILが通常温度状態である場合において、実験的に或いは設計的に予め定められたLUオン状態に制御するタービン回転速度Ntの回転速度範囲の下限値であって、LUオン状態となってもエンジン・ストールが発生しない回転速度である。スロットル弁開度θthが50[%]~60[%]の場合には、最低タービン回転速度Nt_minは、スロットル弁開度θthの増加に応じて2000[rpm]から2300[rpm]まで線形に増加するように設定される。このようにオイルOILが通常温度状態である場合において自動変速機16の変速段が第3速変速段「3rd」以上であると、スロットル弁開度θthが小さい場合に比較して、スロットル弁開度θthが大きい場合の方が最低タービン回転速度Nt_minが高く設定される。この理由は、エンジン12に対する負荷が大きく且つエンジン回転速度Neが低いとNV(Noise Vibration)性能が低下するためLUオフ状態にしてトルクコンバータ14から一対の駆動輪20に伝達されるトルク変動を抑制するためである。
例えば、オイルOILが通常温度状態である場合において自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」であると、スロットル弁開度θthにかかわらず、実用上想定されるタービン回転速度Ntの回転速度範囲よりも大きい値に設定される。すなわち、必ずLUオフ状態となるように最低タービン回転速度Nt_minが設定される。
図2に示すように、自動変速機16の変速段が同じである場合においては、オイルOILが通常温度状態である場合に比較して、オイルOILが高温状態である場合には最低タービン回転速度Nt_minが低く設定される。例えば、自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」である場合においては、オイルOILが通常温度状態である場合には最低タービン回転速度Nt_minが実用上想定されるタービン回転速度Ntの回転速度範囲よりも大きい値に設定され、オイルOILが高温状態である場合は最低タービン回転速度Nt_minが2000[rpm]に設定される。例えば、自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」である場合において、オイルOILが通常温度状態である場合には最低タービン回転速度Nt_minが2000[rpm]に設定され、オイルOILが高温状態である場合には最低タービン回転速度Nt_minが1300[rpm]に設定される。例えば、自動変速機16の変速段が第3速変速段「3rd」である場合において、オイルOILが通常温度状態である場合には最低タービン回転速度Nt_minが2000[rpm]と2300[rpm]との間の回転速度範囲内に設定され、オイルOILが高温状態である場合には最低タービン回転速度Nt_minが1300[rpm]に設定される。
図3は、図1に示す電子制御装置90の制御作動を説明するフローチャートの一例である。図3のフローチャートは、例えば車両走行中に繰り返し実行される。
まず、油温判定部90dの機能に対応するステップS10(以下、「ステップ」を省略する。)において、油温THoilが所定の判定油温THoil_jdg以上であるか否かが判定される。S10の判定がYESである場合は、S20が実行される。S10の判定がNOである場合は、S40が実行される。
条件設定部90eの機能に対応するS20において、自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」以上である場合の最低タービン回転速度Nt_minが設定される。例えば、スロットル弁開度θthにかかわらず、最低タービン回転速度Nt_minが1300[rpm]に設定される。S20の実行後、条件設定部90eの機能に対応するS30において、自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」である場合の最低タービン回転速度Nt_minが設定される。例えば、スロットル弁開度θthにかかわらず、最低タービン回転速度Nt_minが2000[rpm]に設定される。
条件設定部90eの機能に対応するS40において、自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」以上である場合の最低タービン回転速度Nt_minが設定される。例えば、自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」であると、スロットル弁開度θthにかかわらず、最低タービン回転速度Nt_minが2000[rpm]に設定される。例えば、自動変速機16の変速段が第3速変速段「3rd」以上であると、スロットル弁開度θthが50[%]以下の場合には最低タービン回転速度Nt_minが2000[rpm]に設定され、スロットル弁開度θthが60[%]以上の場合には最低タービン回転速度Nt_minが2300[rpm]に設定される。スロットル弁開度θthが50~60[%]の場合には、最低タービン回転速度Nt_minはスロットル弁開度θthに応じて2000[rpm]と2300[rpm]との間の回転速度範囲内に設定される。S40の実行後、条件設定部90eの機能に対応するS50において、自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」である場合の最低タービン回転速度Nt_minは、実用上想定されるタービン回転速度Ntの回転速度範囲よりも大きい値に設定される。
S30の実行後及びS50の実行後、条件判定部90fの機能に対応するS60において、タービン回転速度Ntが最低タービン回転速度Nt_min以上であるか否かが判定される。すなわち、LUオン状態に制御する条件が成立しているか否かが判定される。
S60の判定がYESである場合は、LU制御部90cの機能に対応するS70において、LUオン状態となるように制御される。S60の判定がNOである場合は、LU制御部90cの機能に対応するS80において、LUオフ状態となるように制御される。S70の実行後及びS80の実行後は、リターンとなる。
本実施例の電子制御装置90によれば、オイルOILが高温状態すなわち油温THoilが所定の判定油温THoil_jdg以上である場合には、自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」以上である場合に比較して、自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」である場合における最低タービン回転速度Nt_minが高く設定される。これにより、エンジン・ストールの発生を抑制しつつ、トルクコンバータ14での発熱量が抑制されることでオイルOILの油温THoilの上昇が抑制される。
本実施例の電子制御装置90によれば、自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」以上である場合において、オイルOILが通常温度状態すなわち油温THoilが所定の判定油温THoil_jdg未満である場合に比較して、油温THoilが所定の判定油温THoil_jdg以上である場合には最低タービン回転速度Nt_minが低く設定される。油温THoilが高い場合には、油温THoilが低い場合に比較して最低タービン回転速度Nt_minが低く設定されることにより、LUオン状態に制御されやすくなる。これにより、トルクコンバータ14での発熱量が抑制されてオイルOILの油温THoilの上昇が抑制される。
本実施例の電子制御装置90によれば、オイルOILが通常温度状態すなわち油温THoilが所定の判定油温THoil_jdg未満であり且つ自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」である場合には、LUオフ状態とされる。油温THoilが高温状態ではない場合には、オイルOILの油温THoilの上昇が許容されるため、自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」である場合においてもLUオフ状態とされる。これにより、自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」である場合において、エンジン・ストールの発生が抑制されるとともに、トルク不足の状態になりにくくなる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例では、図3のフローチャートの実行は車両走行中の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、車両発進時や車両停止時においても適用可能である。
前述の実施例では、オイルOILが通常温度状態である場合において自動変速機16の変速段が第3速変速段「3rd」以上である場合に、スロットル弁開度θthに応じて最低タービン回転速度Nt_minが設定されたが、本発明はこれに限らない。例えば、オイルOILが通常温度状態である場合において自動変速機16の変速段が第3速変速段「3rd」以上である場合に、スロットル弁開度θthにかかわらず最低タービン回転速度Nt_minが2000[rpm]と固定値に設定される態様であっても良い。
前述の実施例では、オイルOILが高温状態且つ自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」の場合、及び、オイルOILが通常温度状態且つ自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」及び第3速変速段「3rd」(ただし、スロットル弁開度θthが50[%]以下の場合に限る)の場合には、最低タービン回転速度Nt_minが同じ2000[rpm]に設定される態様であったが、本発明はこれに限らない。例えば、これらの場合に、最低タービン回転速度Nt_minが異なる値に設定される態様であっても良い。
前述の実施例では、「最低タービン回転速度Nt_min」を「LUオフ状態とLUオン状態とを切り替えるタービン回転速度Nt」として説明したが、本発明はこの態様に限らない。例えば、「最低タービン回転速度Nt_min」をLUオフ状態からLUオン状態へ切り替えるタービン回転速度Ntの回転速度範囲の下限値とし、「最高タービン回転速度Nt_max」をLUオン状態からLUオフ状態へ切り替えるタービン回転速度Ntの回転速度範囲の上限値とする態様であってもよい。この態様において、最高タービン回転速度Nt_maxが最低タービン回転速度Nt_minよりも低い値とされると、LUオン状態とLUオフ状態とが短期間に繰り返されてエンジン12から一対の駆動輪20へ伝達される駆動トルクの大きさが不安定になることが防止される。なお、最低タービン回転速度Nt_minと最高タービン回転速度Nt_max(<Nt_min)との差は、LUオン状態とLUオフ状態とが短期間に繰り返されないように、実験的に或いは設計的に予め定められる。
前述の実施例では、自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」以上である場合には、オイルOILが通常温度状態である場合に比較して、オイルOILが高温状態である場合には最低タービン回転速度Nt_minが低く設定されたが、本発明は必ずしもこの態様に限らない。例えば、オイルOILが高温状態である場合であっても、自動変速機16の変速比γatが低い高速変速段側の変速段(例えば、第8速変速段「8th」)である場合には、低速変速段である場合に比較して、トルクコンバータ14内でオイルOILが激しくかき混ぜられずトルクコンバータ14の発熱量は低い。そのため、このような場合には、オイルOILが通常温度状態である場合に比較して、オイルOILが高温状態である場合の最低タービン回転速度Nt_minが低く設定されなくても構わない。
前述の実施例では、オイルOILが通常温度状態であり且つ自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」である場合には、必ずLUオフ状態となるように制御されたが、本発明はこの態様に限らない。例えば、このような場合でもトルク不足の状態にならず且つエンジン・ストールが発生しないのであれば、最低タービン回転速度Nt_minが設定されても構わない。前述の実施例では、オイルOILが通常温度状態であり且つ自動変速機16の変速段が第2速変速段「2nd」以上である場合には、LUオフ状態とされたりLUオン状態とされたりする態様であったが、本発明はこの態様に限らない。例えば、このような場合でも自動変速機16の変速段が第1速変速段「1st」と同様に、必ずLUオフ状態となるように制御される態様であっても構わない。
前述の実施例では、タービン回転速度Ntが「車速関連値」であったが、本発明はこの態様に限らない。「車速関連値」は、タービン回転速度Ntの替わりに、車速Vの増減に連動して増減する回転速度であれば良い。例えば、「車速関連値」は、一対の駆動輪20の回転速度である車輪速の平均値、出力回転速度Nout、ポンプ翼車14pの回転速度、エンジン回転速度Neなどや車速Vそのものであっても良い。
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両、12:エンジン、14:トルクコンバータ、16:自動変速機、20:一対の駆動輪、90:電子制御装置(制御装置)、LU:ロックアップクラッチ、Nt:タービン回転速度(車速関連値)、Nt_min:最低タービン回転速度(下限値)、OIL:オイル、PT:動力伝達経路、THoil:油温、THoil_jdg:所定の判定油温

Claims (3)

  1. エンジンと、前記エンジンと一対の駆動輪との間の動力伝達経路に設けられた自動変速機と、前記動力伝達経路のうち前記エンジンと前記自動変速機との間に設けられたロックアップクラッチ付きトルクコンバータと、を備える車両の、制御装置であって、
    前記ロックアップクラッチが解放状態である場合に前記トルクコンバータにおいて動力を伝達する流体であるオイルの油温が所定の判定油温以上である場合には、前記自動変速機の変速段が第2速変速段以上である場合に比較して、前記自動変速機の変速段が第1速変速段である場合における前記ロックアップクラッチを係合状態とする車速関連値の下限値を高く設定する
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記自動変速機の変速段が前記第2速変速段以上である場合において、前記油温が前記所定の判定油温未満である場合に比較して、前記油温が前記所定の判定油温以上である場合には前記ロックアップクラッチを係合状態とする車速関連値の下限値を低く設定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記油温が前記所定の判定油温未満であり且つ前記自動変速機の変速段が前記第1速変速段である場合には、前記ロックアップクラッチを解放状態とする
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
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