本発明は、被締結部材の締結の為の締結具であって、ボルトのボルトねじ部に、前記ボルトの軸方向に平行に形成された、縦溝状空間部を少なくとも一つ以上設けたボルトと、ワッシャーの環状形状面と垂直な面で直立し接続する突片部、或いは前記ワッシャーの環状形状面と同一の平面で、前記ワッシャーの環状部内端周縁部より前記ワッシャーの空洞部に突出する突片部を、前記ワッシャーの環状部内端周縁部に、少なくとも一つ以上連設させ、また、ワッシャーの環状部外端周縁部近傍に、切込隆起部を少なくとも一つ以上設けたワッシャーと、ナット下部に設けた鍔部の鍔部外端周端部に、前記切込隆起部が隆起時に嵌合する切込み凹部を、少なくとも一つ以上設けたナットと、からなる締結具である。
[1.本発明の一実施形態に係る、緩まない締結構造を形成するボルト、ナット、ワッシャーについて]
まず、本発明の一実施形態(第一実施形態と呼ぶ)に係る、緩まないナット構造について述べる。まず、第一実施形態に係る緩まないナットを用いた締結機構の全体図を図1に示す。図1が示すように、本実施形態における締結機構は、図1の下部より、ボルト30、第一ワッシャー22、被締結部材20、被締結部材20、第二ワッシャー8、ナット1の鍔部4、ナット1、の順に重なり締結される。ここで、第一ワッシャー22は極めて一般的な、扁平な形状を有し、内部が環状の空洞のドーナツ型のワッシャーであり、第一実施形態に係る特徴的なワッシャーは、第二ワッシャー8である。
そして、図1が示すように、第一ワッシャー22と第二ワッシャー8間に被締結部材20を挟み込み固定する。被締結部材20は、図1では二部の被締結部材20を挟み込み締結しているが、締結可能な範疇において、被締結部材20の数、厚さ等その態様を問わない。
そして、図1の上部における、第二ワッシャー8、ナット1での締結構造が、特に本発明の実施形態における、緩まないナット構造としての特徴構造を有する。
そして、図1の状態より、実際に締結状態においた図が図2となる。図2が示すように、ボルト30は被締結部材20二つを嵌合し、その上部に第二ワッシャー8、ナット1の鍔部4及びナット部材3が設けられ、頂部にはボルト30の先端部47が露出する。
次に、図3を用い、第一実施形態に係るボルト30について述べる。図3(a)に示す通り、第一実施形態に係るボルト30は、ボルト本体部33の一般的なボルトねじ部31の、ねじ形状が設けられているボルトねじ部31の表面において、ボルト30の軸方向を長手方向とし、略直方体状の空隙部としての、縦溝状空間部32を有する。縦溝状空間部32の一部には、被締結部材20の締結状態において、第二ワッシャー8の突片部12が嵌合する(図4)。そのため、本締結機構において、締結時に同時に使用する第二ワッシャー8の、突片部12の数及び大きさに即し、ボルトねじ部31の縦溝状空間部32の数、大きさ、厚さ等は柔軟に変更可能し使用する。但し、縦溝状空間部32の存在はボルト30の耐久性等の機能に影響を及ぼすため、ボルト30の耐久性等の機能面を考慮し、縦溝状空間部32の大きさ等を設計する。縦溝状空間部32のボルト30の軸方向への長さは、ボルト30のボルトねじ部31全長としても良いし、ボルトねじ部31の途中部までとしボルトねじ部31全長に及ばなくても良い。縦溝状空間部32の実施態様の一例としては、例えばボルトねじ部31において、縦溝状空間部32のボルト30の軸方向に垂直な面における断面部が、略同一円周状に等間隔で三つ配設されている(図3c)。
また、かかる縦溝状空間部32のボルト頭部34側の頭部側縦溝状空間部端部46は、その一態様として、ボルト30におけるボルトねじ部31の起点近傍であるが、ボルトねじ部31の途中部を頭部側縦溝状空間部端部46としてもよい。また、頭部側縦溝状空間部端部46に、前述の第二ワッシャー8の突片部12の基部が、必ずしも当接する必要はない。すなわち、第二ワッシャー8は、ボルト30の頭部側縦溝状空間部端部46で第二ワッシャー8の位置を固定されていても良いし、被締結部材20により第二ワッシャー8の位置を固定されていても良い。
また、縦溝状空間部32は、頭部側縦溝状空間部端部46でない側である、ボルトねじ先端部47まで配設されている。このため、第二ワッシャー8は、その突片部12の基部をボルトねじ先端部47から嵌め込み、ボルト頭部34に向け滑らせることで、縦溝状空間部32の所望する位置に嵌合することが出来る。また、係るように縦溝状空間部32はボルトねじ先端部47まで配設されているため、図3における、ボルト30のボルトねじ先端部47側からの平面図である図3(c)では、縦溝状空間部32の断面を視認することが出来る。
次に、第一実施形態に係る第二ワッシャー8について図4を用い詳細に述べる。図4に示す通り、第一実施形態に係る第二ワッシャー8は、略環状構造の内部空間部を有する環状構造体である、ワッシャー本体部11を本体とし、ワッシャー本体部11の環状部内端周縁部40に突片部12を複数有し、またワッシャー本体部11の環状部外端周縁部41近傍において、切込隆起部10を複数有する態様となる(出願人はこのような第二ワッシャーをバタフライワッシャーと呼称している)。なお、係る第二ワッシャー8は、その一実施形態として環状構造体であるが、ボルト30のボルト本体部33に適切に嵌り込むことが可能な態様である以上、環状部内端周縁部40及び環状部外端周縁部41が角ばった態様でも良い。かかる形状の一例としては、例えば正十二角形等の形状である。
次に、突片部12について述べる。係る突片部12は、略直方体の突起物が、その長手方向の端部である、突片部下端部50(突片部12の長手方向の下端部)がワッシャー本体部11の環状部内端周縁部40に連接した構造となっている。そして、係る突片部12の長手方向の横幅は、先述のボルト30の縦溝状空間部32の横幅と略同程度であり、ボルト30の縦溝状空間部32に突片部12の突片部本体51が嵌合することとなる。また、かかる突片部12の突片部本体51の高さ幅は、大きければ大きい程、第二ワッシャー8の固定強度に貢献する。但し、第二ワッシャー8及び、第二ワッシャー8上部に設けられる他の部材の重力に対し、最低限の耐久性を有する長さであれば良い。あるいは、第二ワッシャー8の内側の空間である空洞部9に向かい、第二ワッシャー8と同一の平面で、例えば略長方形状の突片部としても良い。係る場合では、係る突出部を第二ワッシャー8の縦溝状空間部32の断面と略同形状とすることで、縦溝状空間部32に適切に嵌合可能な態様とする。すなわち、係る場合では、第二ワッシャー8に垂直に直立する突出部は見られず、第二ワッシャー8の平面図において、第二ワッシャー8の環状部内端周縁部40より第二ワッシャー8の内側に突出する突出部を確認することが出来る。
また、係る突片部12の略直方体を構成する各辺は略直線であり、突片部12の全体の形状は略直方体状となるものの、突片部12の長手方向を構成する辺を、ワッシャー本体部11の環状部内端周縁部40を構成する円弧に即し(即ち環状部内端周縁部40と同一円周上に)円弧状とし、突片部12を所謂バームクーヘンの断片様の形状としても良い。なお、この突片部12を構成する辺部が円弧上の場合は、当然ながら、嵌合する対象であるボルト30の縦溝状空間部32も、第二ワッシャー8の突片部12が嵌合可能なようにバームクーヘンの断片様の形状とする。
また、係る第二ワッシャー8に配設されている突片部12は、その一態様として、第二ワッシャー8の環状部内端周縁部40に沿い、等間隔に3つ配設されている。ただし、その突片部12の数及び、突片部12の長手方向の長さ等は、ボルト30に安定し第二ワッシャー8が嵌合する以上、その態様を問わず変更があってよい。
また、突片部12は、第二ワッシャー8を構成する面より、下向きに下垂し延出する態様としても良い。このような態様でも、ボルト30の縦溝状空間部32に適切に嵌合し固定される。
次に、第二ワッシャー8の切込隆起部10について説明する。係る切込隆起部10は、ワッシャー本体部11の、環状部外端周縁部41近傍において、環状部外端周縁部41よりワッシャー本体部11の内部に向かい、第一切込48、及び第二切込49から構成される切込部52により形成されている(図4(a))。
より具体的には、切込隆起部10は、環状部外端周縁部41より、環状部外端周縁部41を構成する円の中心に向かい(すなわち、環状部外端周縁部41上の切込開始点42を通る、環状部外端周縁部41を構成する円の接線と垂直な線であって、切込開始点42を通る線に沿い)、ワッシャー本体部11のワッシャー幅(ワッシャーの外径と、ワッシャーの内径の差分の半分の長さ)の略三分の一程度の長さで第一切込48が生じている(図4(c))。そして更に、係る第一切込48のワッシャー本体部11内の第一切込48端部より、第一切込48と略90°で、第二切込49が形成される。係る第二切込49の向きは、図4(c)のワッシャー平面図において、第一切込48端部より左側或いは右側のどちらに切れ込んでいてもよいが、同一のワッシャー本体部11における切込隆起部10において、全ての切込隆起部10の第二切込49の切り込み向きを統一するのが望ましい。
また、係る切込隆起部10は、例えば一実施形態として、ワッシャー本体部11に同一円周上に8ヶ所、等間隔で設けられる。但し、係る切込隆起部10はその必要に応じて、等間隔で数を変える等、その数に異なる態様があってもよい。また、係る切込隆起部10は、右周りボルト、左周りボルトどちらにも配設可能である。
また、係る切込隆起部10の第一切込48は、ワッシャー幅の略三分の一の長さで生じているが、第二ワッシャー8の耐久性と、第二ワッシャー8の上部に配設されるナット1の固定性等を考慮の上、例えばワッシャー幅の略二分の一にする等、様々な態様があって良い。
そして、係る切込隆起部10は、その切込部52において、切込部52を、第一切込48近傍を持ち上げ部とし、第二切込49に沿って持ち上げるような態様で、上部に持ち上げることが出来る(図4(b))。ここで、第二ワッシャー8の素材は、例えば合成樹脂等比較的柔軟で変形可能な素材か、或いは比較的容易に変形可能な金属であり、通常の力で変形不可能な、頑丈な素材でない。そのため係る切込隆起部10は、可撓性を有しており、第一切込48近傍を持ち上げることが可能であり、またかかる持ち上げた状態のまま維持出来る態様となっている。
そして、第二ワッシャー8の切込隆起部10の具体的な使用態様としては、切込隆起部10を持ち上げることで、第二ワッシャー8上部に設けられたナット1の鍔部4が固定され、その結果鍔部4の上部に接続するナット1自体の自由な回転運動を完全に抑制することが出来る(図7)。一方で、ナット1を回転させボルト30に固定させる際、あるいはナット1の固定状態を解除する際には、ナット1の鍔部4に嵌合している切込隆起部10を下に押し下げ、切込隆起部10を第二ワッシャー8のワッシャー本体部11と同一平面とすることにより、第二ワッシャー8上部のナット1を自由回転可能な状態にすることが出来る。
また、切込隆起部10をナット1の鍔部4に嵌合させる際には、例えば一実施形態における8個の切込隆起部10の全てを嵌合に用いる必要はなく、例えば等間隔に設けられた4個の切込隆起部10のみを用いるといった態様でもよい。あるいは、1或いは2個の切込隆起部10のみを用い、一ヶ所乃至は二ヶ所でナット1の鍔部4の嵌合する態様としても良い(図7)。このような場合、ナット1との嵌合に使用しない切込隆起部10は、隆起させず、第二ワッシャー8のワッシャー本体部11と、同一平面上で一体となるような態様にする。そして、このような状態の第二ワッシャー8上部に、ナット1に設けられた鍔部4を被覆させる。すなわち、第二ワッシャー8の切込隆起部10と、ナット1の鍔部4の切込み凹部6の嵌合様式は、完全に一対一対応で補完し合う必要はない。
次に、第一実施形態に係る、ナット1について図5、及び図6を用い説明する。第一実施形態に係るナット1は、図5に示すように、一般的なナット1とほぼ同じ態様を有した略正六角柱上の構造物であり、ナット1の中心部においてねじれ部31を有する円柱状の孔部2が、またナット1の下部に縮径状の凸部55有するナット部材3を有する。
また、ナット部材3の下部には図6に示す鍔部4を有する。ナット部材3と鍔部4は、接続され一体成型された構造体としてもよいし、ナット1の形状を有するナットと、鍔部4の形状を有するパーツを各々成形後結合し、一つのナットとし使用する態様でも良い。但し、各々別々のパーツとしてナット1と鍔部4とを結合させ一つのナットとして使用する場合は、ナット1の凸部55と鍔部4の凹部56を緊密に結合させ一体のナット1として使用するが、ナット1と鍔部4との結合において、ナットの固定或いは緩みを目的とする回転の向きによりナット1と鍔部4とが緩まない結合様式が望ましい。この緩まない結合様式の一例としては、例えば図5、及び図6に示すように、ナット1の凸部55として六角柱状の突起物を成形し、この六角柱状の突起物に適切に嵌合する、六角柱状の凹部56を鍔部4に形成し、ナット1及び鍔部4を嵌合して用いるといった態様である。すなわち、鍔部4の空洞部7で、ナット部材3と鍔部4を嵌合する。
また、鍔部4は、ナット1と同様の鉄鋼等金属で構成されていても良いし、合成樹脂等で構成されていても良い。
そして、鍔部4は、図6に示すように、略環状形状の鍔部本体5に、例えば同一円周上に等間隔で三ヶ所の切込み凹部6を有する。切込み凹部6は、鍔部4の外周縁部近傍の一部を削り取るような形式で欠失した部位である。そして、切込み凹部6は、略直方体状の形状であり、切込み凹部6には、締結状態においてナット1下部に配設される、第二ワッシャー8の切込隆起部10が嵌合される(図7)。なお、三ヶ所の切込み凹部6は一実施例に過ぎず、第二ワッシャー8の切込隆起部10の位置や数、及び形状等を考慮し、切込み凹部6の数や形状等を異ならせる態様としても良い。
また、図6に示す様に、切込み凹部6より破線で示す部分まで欠失部を設け、切込み凹部6を略直角三角形状の欠失部としても問題はない。このような態様であれば、切込隆起部10が嵌合するための、鍔部4の切込み凹部6のスペースを十分に確保することが出来る。
また、鍔部本体5は、その一態様として環状形状であるが、例えば六角柱のように、鍔部本体5の周縁部が角ばっている形式でも良い。
[2.本発明の一実施形態に係る、締結構造について]
次に、第一実施形態に係る、締結構造について述べる。第一実施形態に係る締結構造は、先述のように図1、及び図2に示すように締結される。ここで、ボルト30に第一ワッシャー22、及び被締結部材20をはめ込み、その次に第二ワッシャー8をボルト30に嵌合する。ここで、第二ワッシャー8をボルト30に嵌合する際、ボルト30の縦溝状空間部32に、第二ワッシャー8の突片部12が丁度あて嵌るように、ボルト30のボルトねじ先端部47よりボルト30のボルト頭部34に向かい第二ワッシャー8を滑らせ嵌め込む。
そして、第二ワッシャー8が、被締結部材20かあるいは、縦溝状空間部32の頭部側縦溝状空間部端部46に当接するまで第二ワッシャー8を滑らせ、第二ワッシャー8を固定する。
次に、第二ワッシャー8の上部に、ナット1を鍔部4と供に被覆し、第二ワッシャー8と鍔部4とナット1とを嵌合させる。係る嵌合においては、通常のナット1の使用方法に即し、ナット1を締結方向に回転し固定させていく。そして、ナット1を十分に回転し締結状態にした際、第二ワッシャー8の切込隆起部10に、ナット1の切込み凹部6が嵌合するようにする。
また、ナット1を十分に回転し、締結状態にした際には、第二ワッシャー8の切込隆起部10が持ち上がり、ナット1の切込み凹部6に第二ワッシャー8の切込隆起部10と嵌合させる。係るような固定方法により、ナット1の回転方向への移動は、第二ワッシャー8により妨げられ、ナット1のゆるみ自由回転を妨げることが出来る。
また、ナット1の締結は、ナット1の戻り回転防止を目的とした過度のトルクでの締結を必要とせず、締結具の固定に必要なトルク圧で行えば良い。このため、過度なトルク圧により被締結部材20を破壊する虞はない。
また、ナット1の取り外しは、切込隆起部10を押し下げながら、ナット1を緩み方向に回転し行う。
[3.本発明の他の一実施形態に係る緩まない締結構造を形成するボルト、ナット、ワッシャーについて]
次に、本発明の他の一実施形態(以下第二実施形態と呼ぶ)に係る緩まない締結構造を形成するボルト、ナット、ワッシャーについて図8、及び図9を用い述べる。図8及び図9に示す通り、第二実施形態に係る緩まない締結構造では、第一実施形態と異なり、ナット1と第二ワッシャー71間に鍔部を配設しない。そして、ナット部材3の下部に、直接第二ワッシャー71が配設される態様となっている。
また、第二ワッシャー71の切込隆起部70は、前述の第一実施形態の第二ワッシャー8の切込隆起部10と態様が異なる。具体的には、第一実施形態の第二ワッシャー8の切込隆起部10は、鍔部4の切込み凹部6に嵌合可能な大きさの、正面視略長方形状の形状を有する。一方、第二実施形態の第二ワッシャー71は、図10(a)及び図10(b)に示す態様になる。図10(a)は、切込隆起部70を隆起させた状態における第二ワッシャー71の斜視図であり、図10(b)は、切込隆起部70を隆起していない状態における第二ワッシャー71の斜視図である。これら二図が示すように、第二実施形態に用いる第二ワッシャー71は、第二ワッシャー71の環状部内端周縁部74に、ワッシャー面と垂直に直立し接続する突片部12を有する。なお、第一実施形態と同様に、突片部12は第二ワッシャー71のワッシャー面と垂直に直立することなく、第二ワッシャー71と同一平面上において、第二ワッシャー71の空洞部73側に向かい突出させせりだす態様としても良い。これらの垂直に直立し接続する突片部12、或いは第二ワッシャー71と同一平面をなす突片部12は、ボルト30の縦溝状空間部32に嵌合されることにより、第二ワッシャー71の緩む方向への移動を完全に抑制する機能を有する。
そして、第二ワッシャー71の切込隆起部70は、平面視において、第一実施形態のように略長方形状ではなく、略三角形状の構造を有する(図10)。具体的には、図10が示すように、第二実施形態の切込隆起部70は、第二ワッシャー71の環状部外端周縁部75より第二ワッシャー71の内側に向かい、略直線状の切れ込みによる切込部76に基づき形成される。
この切込部76は、環状部外端周縁部75の円周上のある一点に関し、環状部外端周縁部75を構成する円の当該点を通る接線と、当該点を通る略15°の角度をなした直線に沿い、ワッシャー幅の略三分の一の長さで形成される。但し、図8或いは図11に示す通り、切込部76に沿い隆起し形成された切込隆起部70が、ナット部材3の嵌合側面部60に当接し固定するため、ナット部材3の嵌合側面部60に沿える、略直線状の態様であれば、切込部76の角度については様々な態様があってよい。
また、第二実施形態の切込隆起部70は、その一態様として例えば等間隔で五つであるが、一つ、或いは等間隔に三つ等様々な態様があって良い。
次に、第二実施形態における、実際の締結手法について、図8、図9、及び図11を用い述べる。第二実施形態において、ボルト30、第一ワッシャー22、二つの被締結部材20に関しては、第一実施形態の実施品と同様である。
そして、図8に示す通り、ボルト30に被締結部材20を嵌合させた後、ボルト30の縦溝状空間部32に第二ワッシャー71の環状部内端周縁部74に設けた突片部72を嵌合させ、突片部72をボルト30の縦溝状空間部32を滑らせることによりボルト30に嵌め込む。ここで、第二ワッシャー71の突片部72は、ボルト30の縦溝状空間部32の基端部まで滑らせて嵌合する態様としても良いし、縦溝状空間部32の途中部において、被締結部材20の直上で停止する態様としても良い。
また、第二実施形態における突片部72も、第一実施形態における突片部12と同様に、第二ワッシャー71を構成する面と垂直に直立し、又は、第二ワッシャー71を構成する面と同一平面上に、又は、第二ワッシャー71を構成する面に下垂する態様で配設する態様として良い。
そして、第二ワッシャー71及びナット部材3を嵌め込んだ後、第二ワッシャー71の切込隆起部70を隆起させ、切込隆起部70をナット部材3の嵌合側面部60に沿わせることでナット部材3を固定する。ここで、ナット部材3の固定に用いる切込隆起部70は、第二ワッシャー71に設けられた切込隆起部70のうちの一つでも良いし、複数でも良い。この場合、第二ワッシャーに設けられた未使用の切込隆起部70は、隆起することなく、第二ワッシャー71と同一平面上に配設される態様となる。
ここで、切込隆起部70は、その切れ込み先近傍に位置する切込隆起部基部77を起点とし、上部に略2mm持ち上げる。すると、ナット部材3の嵌合側面部60に切込隆起部70の先端部が当接し、ナット部材3の回転を防止することが出来る。
以上のように、第二実施形態では、第二ワッシャー71はボルト30に嵌合し、ボルト30の軸方向への移動しか行うことが出来ない。また、第二ワッシャー71の切込隆起部70とナット部材3の嵌合側面部60が嵌合しており、ナット部材3の回転を抑制する態様であるため、ナット部材3が自然現象により緩む虞を、完全に防ぐことが出来る。
第二実施形態は以上のような態様であるので、切込隆起部70はナット部材3の嵌合側面部60に沿い、直線状に形成するのが望ましい。但し、係る切込隆起部70は、ナット部材3の周囲の形状に即し固定可能な態様であればよい。
また、第二実施形態における第二ワッシャー71の素材は、第一実施形態における第二ワッシャー8と同様に、切込隆起部70を隆起させ、ナット部材3の嵌合側面部60に嵌合させる必要があるため、比較的容易に変形可能な金属か、或いは合成樹脂等の素材とする。その素材の一例としては、例えば鉄やステンレス、ゴム、シリコン、プラスチック等の素材から成型されていても良い。
また、例えば平面視略六角柱のナット部材3を用い固定を行う際、ナット部材3の側面六つ各々に一つずつ、第二ワッシャー8の切込隆起部70が嵌合し、ナット部材3の嵌合側面部60の六ヶ所にてナット部材3が固定されることにより、十分にナット部材3の固定を行える態様としても良い。
また、第二実施形態において、被締結部材20の被締結状態を解除する際には、切込隆起部70を第二ワッシャー71と同一の平面になるまで下降させた後、ナット部材3を緩ませる方向に回転させ緩ませる。
また、第二ワッシャー71に設けた切込隆起部70の先端部は、利便性や安全性を考慮とし、略数ミリ分欠失した態様としても良い。
また、第二ワッシャー71に設けられた切込隆起部70は、その第二ワッシャー71における切込部76の切込方向を統一するのが望ましい。
また、本発明の第二実施形態の締結構造では、平面視略六角形状のナット部材3に限定されず、蝶ナットでも良い。その態様の場合では、切込隆起部70の切込部76の切込形状を、蝶ナットの締結を調整する部位である摘まみ部近傍の側面形状に即し成形し、切込隆起部70全体で蝶ナット側面と当接させ固定する。或いは、切込隆起部70の先端部を蝶ナットの側面に当接させる態様で、蝶ナットの回転を止める態様としても良い。
また、ナットが蝶ナットの場合は、第二ワッシャー71の切込隆起部70の配設部位は、略対角線上に、二個、四個、六個等偶数で配設するのが望ましい。係るような態様にしておけば、一般的に略対角線上に二部ある蝶ナットの摘まみ部を、一度に両部にて固定することが出来、より固定効果に優れた態様となる。
また、ナットがフランジナットの場合は、フランジナットのフランジ部のうち、円周部の一部を削り略直線状とし成形し、係るフランジ部の略直線状の外縁部に第二ワッシャー71の切込隆起部70を当接させることにより、フランジナットの回転を完全に抑制する態様としても良い。また、係るようなフランジナットのフランジ部の略直線状の外縁部を、一つのフランジに複数部設け、当該各部に第二ワッシャー71の切込隆起部70を当接させることにより、固定効果により優れた態様としても良い。
また、その他ナットの周縁部が、平面視略円弧状の場合は、前述のように円弧状の一部略直線状の縁部に削り成型することにより、切込隆起部70の当接による、ナットの固定を実施可能な態様とすることが出来る。
また、ナットの周縁部が六角形や四角形等の、正面視において直線状部を含むナットについては、係る第二実施形態における態様にて切込隆起部70による固定を行うことが出来る。
前述の第一実施形態、及び第二実施形態に関し、第一実施形態ではナットの底面で固定を行うのに対し、第二実施形態ではナットの側面で固定を行う。そのため、締結時の固定の安定性に関しては第一実施形態の方が優れている。そのため、一般的には第一実施形態の締結構造にて固定を行うのが望ましい。そして、例えば第一実施形態の第二ワッシャーが不足している等の緊急事態において、あくまで一時的な応急用として、第二実施形態のボルト及びワッシャーにて一時的に固定するのが望ましい。
[4.本発明の他の一実施形態に係る緩まない締結構造を形成するボルト、ナット、ワッシャーについて]
次に、本発明の他の一実施形態に係る緩まない締結構造を形成するボルト、ナット、ワッシャーについて述べる。本実施形態を第三実施形態と呼ぶ。
第三実施形態の締結構造を図12(a)及び図13に示す。図12(a)及び図13に示すように、第三実施形態の締結構造は、図12(a)の下から順に、ボルト80,第一ワッシャー81(ボルト80と被締結部材82間に位置し、図12(a)には図示されていない)、被締結部材82、第二ワッシャー83、ナット84等より構成され、被締結部材82が締結されている。
ここで、第三実施形態では、先述の第一実施形態、第二実施形態に比べ、ボルト80或いは第二ワッシャー83にその特徴を有している。
具体的には、まずボルト80には、縦溝状空間部等の加工が施されていない。そのため、係るボルト80は市販に一般的に販売されているボルトを使用することが出来る。
また、第二ワッシャー83と直接嵌合する被締結部材82には、第二ワッシャー83と嵌合するための嵌合隆起部85が配設されている。嵌合隆起部85は、例えば被締結部材82上部に於いて間隔を有し二ヶ所設けられ、第二ワッシャー83の壁面と嵌合し、第二ワッシャー83の移動を抑制することが出来る。
嵌合隆起部85の形状は、嵌合対象の第二ワッシャー83の嵌合部の形状が一致する以上、円柱状でもよいし、或いは角柱状であっても良い。また嵌合隆起部85は、溶接等により、被締結部材上に配設する態様として良い。
次に、第二ワッシャー83について述べる。第二ワッシャー83の詳細図を図14に示す。係る図14に示す様に、第二ワッシャー83は、本体部90,切込隆起部91、空洞部92、部材嵌合部93等からなる。
ここで、切込隆起部91は一例として、第二ワッシャー83の外周縁近傍に、間隔を隔て例えば四つ配設される。但し、切込隆起部91は、ナット84を固定可能な態様である以上、その数は異なるものであって良い。
次に、切込隆起部91の形状及び締結態様について述べる。本実施形態における一実施態様として、切込隆起部91は、第二ワッシャー83の外周縁部より、斜め方向に内側に入り込み形成される切込により形成される。そして、切込隆起部91の使用時には、切込の先端部と、第二ワッシャー83の外周部とを接続する直線を起点とし、隆起させ使用する。
或いは、切込隆起部91の形状は、第二ワッシャー83の外周縁部に於いて、第二ワッシャー83の外周円の接線に垂直な線と平行に、空洞部92に向かい傾斜しつつ直線状に入る第一切込96と、第一切込の先端部近傍より略90°で直線状に切り込まれる第二切込97とより構成される態様としてもよい。
また第二ワッシャー83の本体部90より延出する部材嵌合部93には、被締結部材82の嵌合隆起部85が結合するための、被締結部材嵌合空間98を有している。被締結部材嵌合空間98は、被締結部材82の形状に即し、被締結部材82が適切に嵌合し固定可能な態様となる。被締結部材嵌合空間98の形状の一態様としては、例えばU字状に彎曲した構造となる。
また、部材嵌合部93は、ワッシャーに部品を溶接等行い接着しても良いし、ワッシャーを製造する際、予め鋳型に部材嵌合部93を設けておき、製造する態様としても良い。
部材嵌合部93の配設態様は例えば、第二ワッシャー83の向かい合う端部に二ヶ所設けられる。但し、部材嵌合部93は、嵌合対象の被締結部材82の嵌合隆起部85の数、位置、或いは形状に即し、一つ以上配設されていれば良い。
次に第三実施形態の締結状態について述べる。先述の図12(a)に示す様に、本実施形態では、被締結部材82の上部より第二ワッシャー83を嵌合させる。そして、第二ワッシャー83の切込隆起部91を隆起させ、上部のナット84の側面部に当接することにより、締結される。
このような締結状態におけば、まず被締結部材82と第二ワッシャー83が嵌合し、第二ワッシャー83の移動が抑制される。そして、第二ワッシャー83の切込隆起部91がナット84の側面に当接することにより、ナットの回転を抑制することが出来る。
このような態様であるので、ナットは自然放置により緩むといったことが生じない。また、本実施形態では、先述の態様のようなボルト80と第二ワッシャー83とを接続し固定する態様ではないが、被締結部材82を固定出来るので、十分な締結効果を有する。
もし第三実施形態でも固定が緩む態様である場合は、第一実施形態、第二実施形態のようにボルト80及び第二ワッシャー83に、互いに接続する固定機構を設ける態様としても良い。
また、図12(a)に示す第三実施形態の締結構造は、図12(b)に示す様にボルト締めにより行う態様としても良い。この場合、ボルト100の頭部101の頭部側面部102に切込隆起部91が当接し、ボルトの回転が抑制される態様となる。
尚、切込隆起部91による当接箇所は、図12に示すような箇所に限定されず、対角線状の二ヶ所や、固定可能である以上一ヶ所でも良い。
また、このボルト締めにおけるボルト100の頭部101の形状は、固定可能な態様である以上、六角形でなくても良く、例えば四角形状の四角ボルトでも良い。
また、被締結部材の固定状態における被締結部材82、第二ワッシャー83、ボルト80との固定状態の平面図を図15に示す。図15に示す通り、第二ワッシャー83は、図15の左右両端部近傍において、部材嵌合部93を二ヶ所有し、被締結部材82の嵌合隆起部85と嵌合する。
また、切込隆起部91は、隆起しナット側面部に当接することにより固定される。この時、ナットに当接する切込隆起部91は、例えば向かい合う二つの切込隆起部91である。ただし切込隆起部による固定箇所は二ヶ所に限定されない。
また、先述の嵌合隆起部85を有する部材は、第二ワッシャー83の下部に位置する部材に限定されない。他の部材の配置の一例としては、第二ワッシャーと同一平面上に位置し、かつ被締結部材の上部と接続する他の部材であって良い。すなわち、係るような態様では、第二ワッシャー83の被締結部材嵌合空間98は同一平面上に位置する被締結部材82より延出する嵌合隆起部85と接続する態様となる。
また、第二ワッシャー83の部材嵌合部93は、被締結部材嵌合空間98が丁度水平面に対し、平行な状態より略90度起立する状態へと、屈曲変形することが出来る(図14(c))。この場合、部材嵌合部93は、部材嵌合部基部99付近を起点とし屈曲する。そのため、この部材嵌合部93が屈曲した状態では、第二ワッシャー83の部材嵌合部93は被締結部材82に当接することなく、自由に締結或いは弛緩を行うことが出来る。
また、部材嵌合部93を被締結部材82に嵌合する際には、部材嵌合部93を水平面と略平行状態に平伏することにより、被締結部材82と嵌合させることが出来る。
また、図13に示すような隆起した切込隆起部91をナット84の側面に当接させる態様ではなく、他の一態様として図16に示すように、隆起させた切込隆起部91をナット鍔部110の嵌合空間部111に嵌合する態様として良い。
ここで、ナット鍔部110は、ナット84本体とは別の別体であっても良いし、ナット本体と一体化し離別不可能な態様であっても良い。
ナット鍔部110とナット84が別体である場合、ナット鍔部110とナット84は、ナット鍔部110中央部の空洞部112でナット84と接続する。嵌合可能である以上、空洞部112の形状は平面視六角形形状に限定されず、どのような態様でも良い。
また、この第三実施形態の他の態様における際の締結状態を、図17(側面図)及び図18(平面図)に示す。図17中央下部に示すように、第二ワッシャー83の隆起した切込隆起部91が、ナット鍔部110の嵌合空間部111に嵌合する。
また、前述の態様と同様に、切込隆起部91による嵌合部は一ヶ所以上であれば良い。
また、図18の平面図に示すように、第二ワッシャー83の嵌合隆起部85と部材嵌合部93の嵌合ヶ所は1ヶ所である。但し、前述の形態のように、二ヶ所以上嵌合ヶ所を設ける態様としても良い。
[5.本発明の一実施形態に係る、ボルト、ナット、及びワッシャーの作用効果]
次に、本発明の一実施形態に係るボルト、ナット、及びワッシャーの作用効果について述べる。
本発明の一実施形態に係るボルト、ナット、及びワッシャーを用い被締結部材を締結することにより、ボルトの縦溝状空間部に第二ワッシャーの突片部が嵌合する。そのため、第二ワッシャーをボルトに嵌合した際、第二ワッシャーはボルトの長手方向(ボルト頭部と先端部を結ぶ軸に沿った方向)に沿ってのみ移動可能となり、ボルトの短手方向と略平行に(すなわちボルトの回転向きと略平行に)移動させることが全く出来ない。このため、本実施形態では、第二ワッシャーの緩みを完全に防ぐことが出来る。
また、第一実施形態では、第二ワッシャーの切込隆起部と、第二ワッシャー上部のナットの鍔部の切込み凹部とが嵌合する。或いは、第二実施形態では、第二ワッシャーの切込隆起部と、第二ワッシャーのナットの嵌合側面部とが当接する態様となる。このため、ナットの十分な締結位置において、ナットの回転向きにナットを自由回転させることが出来ない。そのため、ナットが緩む虞を完全に無くすことが出来る。
かかるナットの固定機能を担う切込隆起部は、ボルトに完全に係止された第二ワッシャーに接続しているため、かかる切込隆起部が動く虞もない。
また、第三実施形態においても、第二ワッシャーの被締結部材嵌合空間と被締結部材の嵌合隆起部とが結合し、また第二ワッシャーの切込隆起部とナット側面部が当接し固定される。そのため、ナットの緩みを完全に抑制することが出来る。
以上のように、本実施形態に係るボルト、ナット、及びワッシャーは、第二ワッシャーの完全な固定、及び第二ワッシャーの一部である切込隆起部による、完全なナットの固定を行うことが出来る。かかるような態様であるため、本実施態様においては、経年劣化によるボルト及びナットの緩みを十分に防ぐことが出来る。
また、切込隆起部の下部に粉塵等の異物混入が想定される場合は、第二ワッシャー下部に予備のワッシャーか、或いはボルトキャップを設ける等の対策を講じる。
また、本発明に係る実施形態のナットの装着或いは離脱には、市販のソケットレンチ及びスパナーを使用し、離脱する場合はワッシャーの係合部を押し下げた状態として、装着時同様、市販のソケットレンチ及びスパナーを使用し、ナットの装着或いは離脱を行うことが出来る。
また、本発明の第一実施形態及び第二実施形態において、第二ワッシャーの切込隆起部を予め隆起させた状態にて締結に供する場合は、ナットの締結時において、ナットの締め付け圧により、切込隆起部が上部より押し下げられる態様となる。そのため、ナットの仮締や追締により嵌合部が移動することにより、当接する切込隆起部の隆起高が低減する場合が生じる。このような事態の発生を防ぐため、ナットの締結を終え締結状態においた後、嵌合部の嵌合隆起部の隆起高を再度確認することを義務付ける態様としても良い。
また、前述の内容は、利用者の利便性向上を目的とし、ワッシャーの切込隆起部を隆起させない状態で利用者に提供する場合も想定される。係るような場合でも、嵌合部の隆起の確認を使用の条件としても良い。
また、本実施形態におけるナットは、一般的に市販されているナットを用いることが出来る。
以上先述した態様は、本実施形態に限定されない。同一の技術的範囲に属すると考えられる以上は、本実施形態に係る発明と同質の発明とみなすことは言うまでもない。