以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのパターン形成装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
なお、実施形態の図では、地面に対して水平な平面内における所定の方向をX軸方向とし、該平面内でX軸方向と直交する方向をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(高さ方向)をZ軸方向とする。
実施形態に係るパターン形成装置は、所定方向に搬送される基材にレーザ光を照射するパターン形成装置であって、レーザ光を射出する光源部と、レーザ光を所定方向に走査する第1の光走査部と、レーザ光を所定方向の交差方向に走査する第2の光走査部と、第1又は第2の光走査部による走査光を基材に照射する光照射部とを有する。実施形態では、第2の光走査部は、所定方向における複数の位置で、レーザ光を交差方向に走査する。交差方向は、例えば所定方向に略直交する方向である。
このようにすることで、実施形態に係るパターン形成装置は、所定方向における1つの位置で第2の光走査部がレーザ光を走査する場合と比較して、基材にレーザ光を照射する時間を長くしてパターン形成時間を長くする。これにより実施形態に係るパターン形成装置は、基材の搬送速度を確保し、搬送される基材に対するパターン形成の生産性を確保可能にする。
ここで、基材とは物体の素材部分をいう。物体には、例えば飲料等を収容する収容器が挙げられる。また収容器には、PET等の樹脂を含んで構成され、飲料を収容するPETボトル等が挙げられる。但し、物体に特段の制限はなく、如何なる物であってもよい。収容器も、形状及び材質に制限はなく、如何なる形状の如何なる材質の収容器であってもよい。
基材の表面は、素材における外部の空気等に触れる面を意味する。実施形態では、基材の内部と対称になる用語として基材の表面という用語を用いるため、例えば板状の基材の場合には、基材の表側の面と裏側の面は何れも基材の表面に該当する。また筒状の基材の場合には、基材の外側の面と内側の面は何れも基材の表面に該当する。
パターンは、文字や、バーコード等のコード、図形、画像等を含み、例えば、収容器、又は収容器に収容される飲料等の被収容物の、名称や識別番号、製造業者、製造日時等の被収容物に関する情報を表示するものである。
PETボトル等の収容器では、これらの情報が記録された記録媒体(ラベル)を収容器の表面に貼り付けることで、これらの情報を表示する場合がある。実施形態では、収容器を構成する基材の表面に、これらの情報を示すパターンを形成することで、記録媒体を用いずに、いわゆるラベルレスで基材に上記の情報を表示する。
[第1実施形態]
<パターン形成装置200の構成例>
まず、図1乃至図3を参照して、第1実施形態に係るパターン形成装置200について説明する。図1は、パターン形成装置200の構成の一例を説明する上面図、図2は側面図、図3は図2の矢印D方向から収容器を視た図である。
パターン形成装置200は、矢印A方向に搬送されるPETボトル等の収容器1にパルスレーザ光の走査光202を照射して、収容器1を構成する基材の表面又は内部の少なくとも一方にパターンを形成する装置である。パターン形成装置200は、パルスレーザ光の矢印C方向への走査光202を用いたいわゆるレーザ加工により、基材の表面又は内部の少なくとも一方の性状を変化させ、パターンを形成できる。ここで、矢印A方向に対応する搬送方向は所定方向の一例であり、搬送方向に直交し、矢印C方向に対応する走査方向は、交差方向の一例である。またパルスレーザ光は、レーザ光の一例である。
図1乃至図3に示すように、パターン形成装置200は、パルスレーザ21と、ビームエキスパンダ22と、ガルバノミラー221と、ポリゴンミラー231と、fθレンズ241とを有する。
パルスレーザ21は、パルスレーザ光を射出する光源部の一例である。パルスレーザ21は、略平行のパルス状のレーザビームを図1のY軸正方向に向けて射出する。またパルスレーザ21は、発振波長が1064ナノメートルの基本波と、発振波長が532ナノメートルの第2次高調波と、発振波長が355ナノメートルの第3次高調波の3つの発振波長のパルスレーザ光を切り替えて射出可能である。
何れの発振波長においてもパルスレーザ光のパルス幅は15ピコ秒以下である。パルスレーザ光の繰り返し周波数は、シングルショットから200kHzまでの範囲で適宜選択可能である。パルスレーザ光のビーム径は、基本波で略2.0mm、第2次高調波で略1.4mm、第3次高調波で略1.3mmである。
このようなパルスレーザ21には、例えばファイバーレーザをベースにしたコヒーレント社製のTalisker Ultra355-4等を適用可能である。但し、これに限定されるものではなく、他のパルスレーザを用いることもできる。
またパルスレーザ21は、収容器1に形成したいパターンのパターンデータに基づき、射出(オン)と非射出(オフ)を切替制御可能である。
パターン形成装置200は、パルスレーザ21のY軸正方向側にビームエキスパンダ22を配置する。ビームエキスパンダ22は、パルスレーザ21が射出するパルスレーザ光のビーム径を所定の拡大倍率で拡大した略平行のレーザビームをY軸正方向側に出射する光学系である。
パターン形成装置200は、ビームエキスパンダ22のY軸正方向側にガルバノミラー221を配置する。ガルバノミラー221は、ビームエキスパンダ22によりビーム径が拡大されたパルスレーザ光を、Z軸正方向側に向けて偏向する。また、ガルバノミラー221はモータを駆動源にして矢印Bの方向に揺動可能であり、この揺動により、ビームエキスパンダ22からのパルスレーザ光を搬送方向に走査する第1の光走査部の一例である。
ポリゴンミラー231は、矢印C方向に対応する走査方向にパルスレーザ光を走査する第2の光走査部の一例である。ポリゴンミラー231は、モータを駆動源にして回転可能な回転多面鏡であり、複数(ここでは6個)の反射面を含んでいる。パターン形成装置200は、ガルバノミラー221のZ軸正方向側にポリゴンミラー231を配置する。ポリゴンミラー231は、X軸と平行な軸回り(矢印B'方向)に回転して反射面の角度を変化させることで、ガルバノミラー221から入射されるパルスレーザ光を走査方向に走査できる。
ポリゴンミラー231は、ガルバノミラー221による搬送方向への走査光を、走査方向に走査することで、搬送方向における複数の位置で、走査方向にパルスレーザ光を走査可能である。
fθレンズ241は、パルスレーザ光のポリゴンミラー231による走査方向への走査光202を、収容器1を構成する基材に照射する光照射部の一例である。fθレンズ241は、fθレンズ241の周辺部及び中心部を通過した走査光202の走査速度が略一定になるように設計及び製作されたレンズである。またfθレンズ241は、収容器1を構成して所定の位置に配置される基材上で、パルスレーザ光を集光させるように設計及び製作されている。図1では、1つのレンズで構成されたfθレンズ241を光照射部の一例として示すが、光照射部は複数のレンズを含んで構成されてもよいし、ミラー等のレンズ以外の光学素子を含んでもよい。
パターン形成装置200は、fθレンズ241のY軸正方向側に収容器1を配置し、収容器1におけるfθレンズ241に対向する被照射面400に走査光202を照射する。またパターン形成装置200は、ベルトコンベア等の搬送部上に収容器1を載置し、Y軸と直交する矢印A方向に搬送する。
図1に示すように、パターン形成装置200は、収容器1の搬送方向に対応する矢印A方向の上流側に、搬送される収容器1を検知する搬送検知部300を設けている。搬送検知部300は、搬送検知用発光素子301と、搬送検知用受光素子302とを有し、搬送検知用LD301が搬送検知用PD302に向けて照射する光を収容器1が遮光するタイミングを検知する。パターン形成装置200は、この遮光タイミングと、走査光202の照射位置と搬送検知部300との間の距離情報とに基づいて、搬送される収容器1が走査光202の照射位置に進入するタイミングを検知し、搬送方向におけるパターン形成の開始タイミングを決定する。
また図2に示すように、ポリゴンミラー231の近傍には同期検知部25が設けられている。同期検知部25は、同期検知用LD(Laser Diode)251と同期検知用PD(Photo Diode)252とを有し、同期検知用LD251がポリゴンミラー231に向けて射出したレーザ光の反射光を同期検知用PD252で受光する。パターン形成装置200は、同期検知用PD252の受光信号に基づき、走査方向におけるパターン形成の開始タイミングを決定する。
パターン形成装置200は、搬送方向及び走査方向のそれぞれにおけるパターン形成の開始タイミングをトリガーにし、パターンデータに基づいてパルスレーザ21のオンとオフを制御しながら、矢印A方向に搬送される収容器1に対して走査方向に延伸するライン状の走査光202を照射する。これにより、図3に示すように、収容器1の被照射面400に、2次元的な所望のパターン401(2次元パターン)を形成できるようになっている。
またパターン形成装置200は、ベルトコンベア等の搬送部により順次搬送される複数の収容器1のそれぞれの基材に順次パターンを形成することができる。
<パターン形成装置200によるパターン形成の生産性>
ここで、パターン形成装置200によるパターン形成の生産性について説明する。容器サイズをW[mm]、搬送される複数の収容器1において隣接する収容器1同士の間隔をd[mm]とし、パターン形成の生産性をX[個/分]とすると、収容器1の搬送速度V[mm/s]は次式で算出される。
また画素密度をa[dpi]とし、生産性Xを確保するために、ポリゴンミラー231による1走査当たりに許容される時間Tは次式で算出される値になる。
さらに、走査方向におけるパターン形成領域をLz[mm]とすると、生産性Xを確保するために、副走査方向における1ドット当たりに許容される時間Δt[s]は、次式で算出される値になる。
次に、パルスレーザ光のフルエンスについて説明する。
パルスレーザ光のフルエンスFは次のように表すことができる。
P=E・ν
F=E/S
但し、P[W]はパルスレーザの平均出力(光強度)を表し、E[J]はパルスレーザ光の1パルス当たりのパルスエネルギーを表し、ν[Hz]はパルスレーザによるパルスレーザ光の射出の繰返し周波数を表す。F[J/cm2]はフルエンスを表し、S[cm2]はレーザビームスポットの面積を表す。フルエンスFは、パルスエネルギーをレーザビームスポットの面積で除算した値に対応する。収容器1を構成する基材におけるフルエンスは、パルスレーザ21の射出するパルスレーザ光のパルスエネルギーを、収容器1を構成する基材上でのレーザビームスポットの面積で除算した値になる。
パターン形成装置200は、パルス幅がナノ秒スケールのパルスレーザ光では、基材の吸光スペクトルに応じた熱変性によりパターン形成(レーザ加工)を行う。一方、パターン形成装置200は、パルス幅がピコ秒スケールのパルスレーザ光では、吸光スペクトル及び多光子吸収のそれぞれに応じた熱変性でパターン形成(レーザ加工)を行う。なお、多光子吸収とは、パルスレーザ光が照射されることで、パルスレーザ光の発振波長の1/2又は1/3に対応する波長の光で励起されたような状態になり、複数の光子が吸収されることで電子及び原子の状態が高いエネルギー準位に遷移する非線形現象をいう。パルス幅がピコ秒スケールのパルスレーザ光を用いると、固体の状態から溶融状態を経ることなく基材を昇華し、基材に加工痕を形成できる。
このとき、収容器1の基材にパターンを形成するために要求されるフルエンスが、1パルスで1ドットのパターン形成が可能なパルスレーザ21を選定した場合、パターン形成周波数は繰り返し周波数であるν[Hz]となる。一方、パルスレーザ21のフルエンスが小さく、1ドットのパターン形成にNパルスが必要になる場合には、パターン形成周波数はν/N[Hz]となるため、1ドットのパターン形成に必要な時間は、N/ν [s]となる。この場合には、ΔtはN/ν[s]より大きい値しか許容されず、1回の走査によるパターン形成に許容される速度より速い速度で収容器1を搬送させることができない。つまり、1ドットのパターン形成に許容される時間が生産性の律速になる。
これに対し、本実施形態では、ポリゴンミラー231は、収容器1の搬送方向における複数の位置で、レーザ光を走査方向に走査する。搬送方向における複数の位置の数を多くするほど、収容器1の見かけ上の搬送速度が遅くなるため、パターン形成時間を長くすることができる。
<パターン形成装置の動作例>
ここで、図4は、ガルバノミラーの動作の一例を説明する図であり、(a)はX軸正方向への走査例、(b)はX軸負方向への走査例を示す。ガルバノミラーを矢印Bに沿って揺動させることで、ポリゴンミラー231による走査光202を搬送方向に走査することができる。図4(a)では、走査光202はX軸正方向側に走査され、図4(b)では、走査光202はX軸負方向側に走査されている。つまり、搬送方向における2つの位置でポリゴンミラー231は走査光202を走査している。
次に図5乃至図7を参照して、比較例に係るパターン形成装置200Xの動作を説明する。図5はパターン形成装置200Xの動作の第1例を示す上面図、図6はパターン形成装置200Xの動作の第2例を示す上面図、図7はパターン形成装置200Xの動作の第3例を示す上面図を示している。なお、パターン形成装置200Xでは、パターン形成装置200と同じ機能を有する構成部には、便宜的に同じ部品番号を付している。
図5乃至図7に示すように、パターン形成装置200Xは、Z軸方向偏向ミラー221Xを有する。Z軸方向偏向ミラー221Xは、ビームエキスパンダ22のY軸正方向側に配置され、ビームエキスパンダ22によりビーム径が拡大されたパルスレーザ光を、Z軸正方向側に向けて偏向する。Z軸方向偏向ミラー221Xは、上述したガルバノミラー221のように揺動する機能は有さず、搬送方向において、ポリゴンミラー231がパルスレーザ光を走査する位置は、1つの固定された位置になる。
図5乃至図7は、複数の収容器である収容器1と収容器1'が矢印A方向に搬送されながらパターン形成装置200Xが走査光202を照射する様子を示している。図5では、収容器1の最もX軸正方向側に走査光202が照射され、図6では、パターン形成装置200Xは収容器1の最もX軸負方向側に走査光202を照射し、図7では、収容器1'の最もX軸正方向側に走査光202を照射している。図5乃至図7における未パターン形成領域402は、収容器1又は1'で、まだパターンが形成されていない領域を示し、パターン形成済み領域403は、収容器1又は1'で、パターンが形成済みの領域を示す。
図7に示すように、搬送方向において隣接する収容器1と収容器1'との間には、収容器1と収容器1'が配置される間隔に対応する非パターン形成区間404が存在する。搬送方向における非パターン形成区間404の長さは所定間隔の一例である。パターン形成装置200Xでは、走査光202が非パターン形成区間404を照射する間は、収容器1及び収容器1'の基材にパターン形成をできず、生産性の無駄が生じる。
次に図8乃至図11を参照して、本実施形態に係るパターン形成装置200の動作を説明する。図8はパターン形成装置200の動作の第1例を示す上面図、図9はパターン形成装置200の動作の第2例を示す上面図、図10はパターン形成装置200の動作の第3例を示す上面図、図11はパターン形成装置200の動作の第4例を示す上面図である。
図8乃至図11は、図5乃至図7と同様に、複数の収容器である収容器1と収容器1'が搬送方向に搬送されながら、パターン形成装置200が走査光202を照射する様子を示している。
図8では、ガルバノミラー221がポリゴンミラー231による走査光202をX軸負方向側に走査することで、パターン形成装置200は、収容器1がfθレンズ241の対向位置に到達する前に、収容器1の最もX軸正方向側の初期位置A0に走査光202を照射している。
図9では、パターン形成装置200は、収容器1がfθレンズ241に対向する位置で収容器1の中央に走査光202を照射している。図10では、パターン形成装置200は、ガルバノミラー221が走査光202をX軸正方向側に走査することで、収容器1がfθレンズ241に対向する位置を通過した後に、収容器1の最もX軸負方向側に走査光202を照射している。
収容器1及び1'は、搬送速度Vで搬送され、搬送に合わせてガルバノミラー221の角度が変化しながらパターン形成装置200は収容器1を構成する基材にパターンを形成する。図8の状態で、基材の未パターン形成領域402へのパターン形成が開始され、図9の状態で未パターン形成領域402のうちの半分にパターンが形成されパターン形成済み領域403になっている。図10の状態では基材へのパターン形成が完了し、基材全体がパターン形成済み領域403になっている。
その後、図11では、パターン形成装置200は、次の収容器1'の最もX軸正方向側の位置から非パターン形成区間404'だけX軸正方向側にずれた位置に走査光202を照射するように、ガルバノミラー221は角度を変化させる。その後、収容器1'がX軸正方向に搬送され、図8の状態になった際に、パターン形成装置200は収容器1'へのパターン形成を開始する。
パターン形成装置200Xにおける収容器1の搬送速度をV'、非パターン形成区間をbとし、パターン形成装置200における収容器1の搬送速度をV、非パターン形成区間をb'とすると、次式が成立する。
A'/A=b/b'
非パターン形成区間404'を小さくすればするほど生産性を高めることができるが、下式条件を満足すれば、本実施形態による生産性向上効果が図れる。
0.4<Lx/(Lx+S)<1
ここで、Lxは、パターンの搬送方向におけるサイズを表し、Sは搬送方向における収容器1と収容器1'間の間隔を表す。本実施形態では、Sは搬送方向における非パターン形成区間404の長さに対応する。0.4以下の条件では、比較例と生産性が変わらない。0.4より大きい場合として追従制御可能であり、高精度にパターンを形成できる。
また、本実施形態では、ガルバノミラー221は、ポリゴンミラー231による走査光202を搬送方向に走査した後に、この搬送方向への走査にかかる時間よりも短時間で、ポリゴンミラー231による走査光202の照射位置を、搬送方向への走査における初期位置A0に戻す。この初期位置A0は、図8に示す走査光202の搬送方向における照射位置に対応する。また搬送方向への走査は、走査光202の搬送方向における照射位置を、図8に示す照射位置から図10に示す照射位置まで変化させることに対応する。従って、図10の状態から図8の状態まで戻す時間は、図8の状態から図10の状態になるまでにかかる時間よりも短いということもできる。
ここで、図12は、搬送方向への走査にかかる時間と搬送方向への走査における初期位置A0に戻すことにかかる時間との関係の一例を示す図である。図12の横軸は時間を示し、縦軸はガルバノミラー221の回転角速度を示している。
図12において、期間t1は、所定の収容器1へのパターン形成のために、ガルバノミラー221がポリゴンミラー231による走査光202を搬送方向に走査するためにかかる期間を表している。期間t2は、所定の収容器1にパターン形成するための搬送方向への走査が終了した後、ポリゴンミラー231による走査光202の照射位置を、搬送方向への走査における初期位置A0に戻す期間を表している。期間t1'は、所定の収容器1の次にパターン形成する対象となる、所定の収容器1に隣接する収容器へのパターン形成のために、ガルバノミラー221がポリゴンミラー231による走査光202を搬送方向に走査するためにかかる期間を表している。
図12に示すように、期間t1及びt1'におけるガルバノミラー221の回転角速度ω1に対し、期間t2におけるガルバノミラー221の回転角速度ω2は、正負の符号が反転し、且つ絶対値が大きくなっている。つまり、期間t1及びt1'ではガルバノミラー221は正方向に回転角速度ω1で回転し、期間t2ではガルバノミラー221は負方向に回転角速度ω1より速い回転角速度ω2で回転する。これにより、ガルバノミラー221は、期間t1及びt1'の各々よりも短い期間t2で、ポリゴンミラー231による走査光202の照射位置を、搬送方向への走査における初期位置A0に戻すことができる。
<パターン形成装置200の作用効果>
次にパターン形成装置200の作用効果について説明する。
従来、レーザビームを照射して樹脂材料等の基材にパターンを形成するパターン形成装置が知られている。またパルスレーザビームを1次元走査して基材にパターンを形成する方法が開示されている。しかしながら、基材にパターンを形成する方法は、基材が十分に変性するために必要な時間だけパルスレーザ光を照射する必要がある。
パルスレーザビームを1次元走査して基材にパターンを形成する方法は、基材の搬送速度が速いと、パターン形成のための時間が短くなって、搬送される基材にパターンを形成できなくなるため、パターン形成可能な程度に基材の搬送速度を遅くすると、パターン形成の生産性が低下する場合がある。
本実施形態では、パターン形成装置200は、ガルバノミラー221(第1の光走査部)がレーザ光を搬送方向に走査することで、ポリゴンミラー231(第2の光走査部)は、搬送方向における複数の位置で、レーザ光を走査方向に走査する。またパターン形成装置200は、ポリゴンミラー231による走査光の照射位置を、搬送される収容器1(基材)の位置に応じてガルバノミラー221により搬送方向に変化させつつ、収容器1に2次元パターンを形成する。
このようにすることで、パターン形成装置200は、搬送方向における1つの位置で第2の光走査部がレーザ光を走査する場合と比較して、基材にレーザ光を照射する時間を長くしてパターン形成時間を長くすることができる。これによりパターン形成装置200は、基材の搬送速度を確保して、搬送される基材に対するパターン形成の生産性を確保することができる。
なお、第2の光走査部にはポリゴンミラーの他、ガルバノミラーや音響光学素子、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラー等を用いてもよい。但し、パルスレーザ光のパルスエネルギーに対して耐久性があるものが好ましい。
また、本実施形態では第1の光走査部が搬送方向に走査した後のパルスレーザ光を、第2の光走査部が走査方向に走査する構成を例示したが、パターン形成装置200は、第2の光走査部が走査方向に走査した後のパルスレーザ光を、第1の光走査部が搬送方向に走査する構成であってもよい。また、パターン形成装置200は、搬送方向と走査方向の両方にパルスレーザ光を走査可能な2軸駆動のガルバノミラーや、MEMSミラー、音響光学素子を用いて、第1の光走査部と第2の光走査部の機能を一体に実現することもできる。
但し、ガルバノミラーを含んで第1の光走査部を構成し、ポリゴンミラーを含んで第2の光走査部を構成すると、パターン形成装置200は、パルスレーザ光に対する耐久性を確保しつつ、高速走査が可能になるため、より好適である。
また、本実施形態では、パターン形成装置200は、以下の(1)式を満足する。
ΔV≧V-Lx/(tL・N) ・・・ (1)
但し、(1)式において、ΔVは、ガルバノミラー221によるレーザ光の搬送方向への走査速度を表し、Vは、収容器1の搬送速度を表し、Lxは、パターンの搬送方向におけるサイズを表す。またtLは、搬送方向に直交する方向(交差方向)の走査線に対応する交差走査線の1走査線にかかる走査時間を表し、Nは、2次元パターンの形成のために必要な交差走査線の走査線数を表す。
例えば、搬送方向におけるサイズLxのパターンを形成する場合に、走査時間tLを長くする必要があると、収容器1の搬送速度を遅くしなければならず、搬送速度を遅くした分、収容器1へのパターンを形成するための生産性が低下する。特に収容器1へのパターン形成では、レーザ光による照射領域で収容器1が変性するまでに時間がかかる場合があり、走査時間tLが長くなりやすい。
(1)式の条件を満足するように走査速度ΔVを決定すると、搬送方向における収容器1の見かけの搬送速度を遅くすることができる。これにより、実際の搬送速度Vを遅くすることなく走査時間tLを長くし、収容器1へのパターン形成時間を長くすることができる。その結果、収容器1へのパターンを形成するための生産性を高く確保することができる。
また、本実施形態では、ガルバノミラー221は、搬送方向への走査後に、搬送方向への走査にかかる時間よりも短時間で、ポリゴンミラー231による走査光の照射位置を、搬送方向への走査における初期位置A0へ戻す。これによりパターン形成装置200は、搬送される収容器1に対するパターン形成の生産性をより高く確保することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るパターン形成装置200aについて説明する。なお、第1実施形態で説明した構成部と同一の構成部には、同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。この点は、以降に示す実施形態においても同様とする。
本実施形態では、第2の光走査部は反射面の角度を変化させて、走査方向にレーザ光を走査し、第1の光走査部は、第2の光走査部の反射面の搬送方向への倒れに伴う、基材における走査光の照射位置ずれを補正するように、レーザ光を搬送方向に走査する。これにより、本実施形態は基材へのパターンの形成精度を確保する。ここで、反射面の搬送方向への倒れは、反射面の面内において搬送方向と直交する軸周りに反射面が傾くことをいう。
<ポリゴンミラーの面倒れ例>
ここで、図13は、ポリゴンミラーの面倒れの一例を説明する図であり、(a)はポリゴンミラーの上面図、(b)はポリゴンミラーの側面図である。
図13(b)は3通りのポリゴンミラーの側面図を示しており、上段は面倒れがない状態、中段はY軸負方向側に反射光を偏向させる面倒れがある状態、下段はY軸正方向側に反射光を偏向させる面倒れがある状態をそれぞれ示している。ポリゴンミラーの面倒れは、基材における走査光の照射位置をずれさせ、形成されるパターン品質を低下させる。
図14は、ポリゴンミラーの面倒れによるパターン品質の低下の一例を説明する図である。(a)は位置ずれがない場合、(b)は位置ずれがある場合を示す。
ポリゴンミラーに面倒れがないと、図14(a)に示すように、ポリゴンミラーによる走査ラインは搬送方向において等間隔に配列する。一方、ポリゴンミラーに面倒れがあると、図14(b)に示すように、ポリゴンミラーによる走査ラインの搬送方向における間隔が変動し、形成されるパターンの品質が低下する。
<パターン形成装置200aの構成例>
次に、図15を参照してパターン形成装置200aの構成について説明する。図15はパターン形成装置200aの構成の一例を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図15に示すように、パターン形成装置200aは、ポリゴンミラー231'と、回転原点センサ233と、処理部500とを有する。なお、図15は、パターン形成装置200aの主要部の構成のみを示している。パターン形成装置200aにおける主要部以外の構成には、第1実施形態に示したパターン形成装置200の構成を適用可能である。
図15(a)に示すように、ポリゴンミラー231'は、X軸正方向側の面に、ポリゴンミラー231'の回転原点を検出するために使用されるマーク232を設けている。マーク232は、面に塗料を塗布して形成されてもよいし、ポリゴンミラー231'のX軸正方向側の面に凹部又は凸部等の所定の形状を設けることで形成されてもよい。パターン形成装置200aは、ポリゴンミラー231'の回転の同期を同期検知部25により検知する。またポリゴンミラー231'は、面231a乃至231fの6つの面を含んでいる。
回転原点センサ233は、ポリゴンミラー231'のX軸正方向側に設けられた反射型のセンサである。回転原点センサ233は、LD等の発光素子と、PD等の受光素子を有する。発光素子はポリゴンミラー231'のX軸正方向側の面に光を照射し、PDは、発光素子が照射した光がポリゴンミラー231'のX軸正方向側の面で反射した光を受光し、受光した光の光強度に応じた電圧信号を処理部500に出力する。パターン形成装置200aは、マーク232の検出情報を含む回転原点センサ233の出力信号に基づき、ポリゴンミラー231'の反射面の倒れ(以下、面倒れという)に伴う走査光の基材における照射位置ずれを補正する。
<処理部500の機能構成例>
次に図16を参照して、パターン形成装置200aが有する処理部500の機能構成について説明する。図16は、処理部500の機能構成の一例を説明するブロック図である。なお、適宜図1乃至図3及び図15の構成図を参照して説明する。
図16に示すように、処理部500は、パルスレーザ制御部517と、同期検知制御部520と、ポリゴンミラー制御部530と、ポリゴンミラー面特定制御部541と、ガルバノミラー制御部550と、面倒れ情報格納部560とを有する。
これらのうち、パルスレーザ制御部517、同期検知制御部520、ポリゴンミラー制御部530、ポリゴンミラー面特定制御部541及びガルバノミラー制御部550の各機能は、処理部500の機能は電気回路で実現される他、これらの機能の一部をソフトウェア(CPU;Central Processing Unit)によって実現することができる。複数の回路又は複数のソフトウェアによってこれらの機能を実現してもよい。また面倒れ情報格納部560の機能は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により実現できる。
パルスレーザ制御部517は、パワー調整部518と、パルス制御部519とを有し、パルスレーザ21を制御する。パワー調整部518は、パルスレーザ21が射出するパルスレーザ光のパワーを制御し、パルス制御部519は、パルスレーザ光のパルス幅を制御する。またパルスレーザ制御部517は、同期検知制御部520による検出信号に基づき、パルスレーザ光の射出を制御できる。
同期検知制御部520は、同期検知部25が有する同期検知用LD251によるレーザ光の射出を制御し、同期検知用PD252の検出信号を取得し、パルスレーザ制御部517及びポリゴンミラー面特定制御部541のそれぞれに提供する。ポリゴンミラー制御部530は、ポリゴンミラー231'の回転駆動を制御する。
ポリゴンミラー面特定制御部541は、回転原点センサ233の出力からポリゴンミラー231'の回転原点情報を検出する。ポリゴンミラー面特定制御部541は、回転原点の検出タイミングと、同期検知制御部520n検出信号とに基づき、ポリゴンミラー231'を構成する6つの面のうち、収容器1を構成する基材にパルスレーザ光を照射している面を、ポリゴンミラー231'の回転中に特定することができる。ポリゴンミラー面特定制御部541は、特定した面の情報をガルバノミラー制御部550に提供する。
ガルバノミラー制御部550は、面倒れ補正部551を有し、ガルバノミラー221の揺動駆動を制御する。面倒れ補正部551は、面倒れ情報格納部560を参照し、予め取得されて面倒れ情報格納部560が格納するポリゴンミラー231'の各面の面倒れ情報を取得する。そして面倒れ情報に基づき、ガルバノミラー221の揺動角度を制御することで、ポリゴンミラー231'の各面の面倒れにより、ポリゴンミラー231'による走査光202が収容器1の基材に照射される位置の位置ずれを補正する。
ポリゴンミラー231'の各面の面倒れは、ポリゴンミラーの231'の回転ごとに再現するため、ポリゴンミラー231'を構成する6つの面のうち、基材にパルスレーザ光を照射している面を特定し、面倒れを相殺するようにガルバノミラー221の角度を調整することで、面倒れによる走査光202の照射位置ずれを補正できる。
<面倒れの補正動作例>
次に、図17を参照して、パターン形成装置200aにおけるポリゴンミラー231'の面倒れの補正動作について説明する。図17は、パターン形成装置200aの動作の一例を説明する図であり、(a)はX軸正方向への走査による補正例、(b)はX軸負方向への走査による補正例を示す。
図17(a)では、ポリゴンミラー231'の反射面はδθ(-)[deg]だけX軸負方向側に面倒れしている。この場合には、正常な状態の反射面による反射光に対して、ポリゴンミラー231'の反射光は2×δθ(-)[deg]だけずれ、収容器1の基材では照射位置ずれδdだけ走査光202の照射位置がX軸負方向側にずれる。
これに対し、本実施形態では、ポリゴンミラー231'の面倒れ情報に基づいて、ガルバノミラー221がθ(+)-2×δθ(-)[deg]の角度だけパルスレーザ光を走査する(偏向させる)ことで、照射位置ずれδdを補正できる。
図17(b)では、ポリゴンミラー231'の反射面はδθ(-)[deg]だけX軸正方向側に面倒れしている。この場合においても同様に、パターン形成装置200aは、ポリゴンミラー231'の面倒れによる照射位置ずれδdを補正できる。
次に図18は、パターン形成装置200aの動作の第1例を説明するタイミングチャートである。図18の上段に示すタイミングは、同期検知部25による同期検知信号のタイミングを示している。左から面231d、面231c、面231b、面231a、面231f、面231e及び面231dの同期検知信号を表示している。
図18の中段に示すタイミングは、回転原点センサ233による回転原点信号のタイミングを示している。ポリゴンミラー231'の面231dのタイミングで、ポリゴンミラー231'の面231cに対応する位置に形成されたマーク232を回転原点センサ233が検出する。この際、同期検知部25による同期検知信号のタイミングと、走査ラインの書き出しタイミングを、パターン形成装置200aの出荷前調整等において予め定めておくことで、走査光202によるパターン形成の適切な開始位置を決定できる。つまり、回転原点センサ233で回転原点を検出した後、図18の例では3回分の同期を検知することで、パターン形成装置200aは、ポリゴンミラー231'の面231cによる走査を開始する。
ポリゴンミラー231'の形状は正六角形であるため、ポリゴンミラー231'の面231cから面231dへと回転した際の走査ラインの後端と次の走査ラインの先端の間隔は、既知の値となる。その間に、パターン形成装置200aは、ガルバノミラー221により収容器1の追従動作と、ポリゴンミラー231'の面倒れ補正動作を実行する。
次に図19は、パターン形成装置200aの動作の第2例を説明するタイミングチャートである。図19は、収容器1へのパターン形成後から、次の収容器1'のパターン形成開始までのタイミングを示している。収容器1及び1'の搬送速度は一定であるため、搬送検知部300が収容器1を検知した後、所定の同期検知回数をカウントした後で、収容器1'へのパターン形成が開始される。パターン形成領域は予め定められているため、該当する走査ライン数のパターン形成(同期検知回数)を経て、パターン形成が終了する。ここから、次の収容器1'が検知され、パターン形成開始までの間に、ガルバノミラー221は、非パターン形成区間404'の開始位置に走査光202が配置されるように角度を変更することができる。
<パターン形成装置200aの作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、ポリゴンミラー231'(第2の光走査部)は反射面の角度を変化させて、走査方向にレーザ光を走査し、ガルバノミラー221(第1の光走査部)は、反射面の搬送方向への倒れに伴う走査光の基材における照射位置ずれを補正するように、レーザ光を搬送方向に走査する。
これにより、パターン形成装置200aは、第2の光走査部の面倒れによる走査光の照射位置ずれを補正し、基材へのパターンの形成精度を確保することができる。なお、これ以外の効果は、第1実施形態で説明したものと同様である。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るパターン形成装置200bについて説明する。ここで、ガルバノミラー等の第1の光走査部を備えないパターン形成装置では、収容器の搬送速度は一定であるため、画素密度を変えることはできず、画素密度(解像度)を上げるためには、パターン全体の画素密度を上げる必要がある。その結果、パターンの形成時間も長くなる。
本実施形態では、パターン形成装置は画像データに基づいてパターンを形成し、第1の光走査部は、基材のパターン形成領域における画像データの有無、又は画像データの種類の少なくとも一方に応じて、レーザ光の走査量を変化させることで、所望の領域のみでパターンの画素密度を向上可能にする。
パターン形成装置200bの構成には、第1実施形態で示したパターン形成装置200の構成を適用することができる。
ガルバノミラーにより走査方向への走査光を搬送方向に収容器に追従して走査することで、図20に示すように、搬送方向における走査ラインの間隔を等しくしてパターンを形成することができる。図20において丸で囲った領域F付近の拡大図を図21に示す。
図21は、パターンの画素密度の一例を説明する図である。(a)は600dpi(dot per inch)の一例、(b)は1200dpiの一例、(c)は1200dpiの他の例を示す。
図21(a)に示すように、パターン形成装置200bは、600dpiでは、42マイクロメートル間隔の走査ラインでパターンを形成する。また図21(b)に示すように、パターン形成装置200bは、1200dpiでは、21マイクロメートル間隔の走査ラインでパターンを形成する。
本実施形態では、ガルバノミラーによる走査方向への走査線の搬送方向に沿う方向への走査量(走査線の移動量)を変更することで、所望の領域で画素密度を変えることができる。この所望の領域は、基材のパターン形成領域における画像データの有無、又は画像データの種類の少なくとも一方に応じた領域である。
例えば、文字領域(テキスト等)と画像領域(写真、図形、デザイン、バーコード等)等のパターンに含まれる画像の種類に応じて、該当領域の画素密度を変化させることで、画像の種類に応じて該当領域の適正な視認性を確保可能にする。
画素密度は任意に設定できるが、画素密度を変更する領域と変更しない領域では、画素密度の違いは整数倍であることが望ましい。例えば、1200dpiは600dpiに対して画素密度が2倍異なっている。600dpiの領域では、搬送速度に沿った走査ライン間隔でパターンを形成し、1200dpiの領域でのみ、ガルバノミラーによる走査量を変化させることで、最短ライン数で両方の画素密度に対応してパターンを形成可能になる。
図22は、本実施形態に係るパターンの一例を示す図である。黒く塗りつぶした部分が画素密度1200dpiの領域であり、これ以外は画素密度600dpiの領域である。このようにパターン形成装置200bは、所望の領域のみでパターンの画素密度を変えることができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、収容器の製造装置及び製造方法について説明する。ここで、収容器の製造装置は、パターン形成装置の一例に対応する。また収容器の製造装置は、収容器を構成する基材をパルスレーザで加工することでパターンを形成するため、レーザ加工装置の一例に対応する。以下に示す各実施形態に係る製造装置は、上述したパターン形成装置200、200a又は200bの何れか1つの構成及び機能を備え、パターン形成装置200、200a又は200bと同様の作用効果を得ることができる。
<製造装置100の構成例>
まず、製造装置100の構成について説明する。図23は製造装置100の構成の一例を示す図である。製造装置100は、収容器を構成する基材の性状を変化させることで、基材の表面又は内部の少なくとも一方に、第2パターンの集合体により構成される第1パターンを形成する。ここで基材の性状とは、基材の性質又は状態をいう。
図23に示すように、製造装置100は、レーザ照射部2と、被加工物を回収させる回転機構3と、保持部31と、移動機構4と、集塵部5と、制御部6とを備えている。製造装置100は、円筒状の容器である収容器1を、保持部31を介して収容器1の円筒軸10回りに回転可能に保持する。そして、レーザ照射部2から収容器1にパルスレーザ光を照射して、収容器1を構成する基材の性状を変化させることで、収容器1の表面に第2パターンの集合体により構成される第1パターンを形成する。なお、以下では、説明を簡略化するため、第2パターンの集合体により構成される第1パターンを、適宜第1パターンという場合がある。
レーザ照射部2は、パルスレーザから射出されるパルスレーザ光を図23のY方向に走査し、正のZ方向に配置されている収容器1に向けて加工レーザビーム20を照射する。なお、このレーザ照射部2については、図24を用いて詳述する。
回転機構3は、保持部31を介して収容器1を保持している。保持部31は回転機構3の備える駆動部としてのモータのモータ軸に接続されるカップリング部材であり、一端を収容器1の口部に挿し込んで収容器1を保持する。モータ軸の回転により、保持部31を回転させることで、保持部31に保持された収容器1を円筒軸10回りに回転させる。
移動機構4は、テーブルを備える直動ステージであり、移動機構4のテーブル上には回転機構3が載置されている。移動機構4は、テーブルをY方向に進退させることで、回転機構3、保持部31及び収容器1を一体にしてY方向に進退させる。
集塵部5は、収容器1における加工レーザビーム20が照射される部分の近傍に配置されたエアー吸引装置である。加工レーザビーム20の照射により第1パターンを形成する際に生じるプルームや粉塵をエアーの吸引により収集することで、プルームや粉塵による製造装置100、収容器1及び周辺の汚れを防止する。
制御部6は、パルスレーザ21、走査部23、回転機構3、移動機構4及び集塵部5のそれぞれにケーブル等を介して電気的に接続されており、制御信号を出力することでそれぞれの動作を制御する。
製造装置100は、制御部6による制御下で、回転機構3により収容器1を回転させながら、Y方向に走査される加工レーザビーム20をレーザ照射部2により収容器1に照射する。そして、収容器1における基材の表面もしくは裏面又は内部の少なくとも一方に第1パターンを2次元的に形成する。
ここで、レーザ照射部2による加工レーザビーム20のY方向への走査領域は、範囲が制限される場合がある。そのため、走査領域より広い範囲に第1パターンを形成する場合には、製造装置100は移動機構4で収容器1をY方向に移動させることで、収容器1における加工レーザビーム20の照射位置をY方向にずらす。その後、再び回転機構3により収容器1を回転させながら、レーザ照射部2で加工レーザビーム20をY方向に走査することで、収容器1における基材の表面又は内部の少なくとも一方に第1パターンを形成する。これにより、収容器1のより広い領域(ボトルの口部から底部にいたる任意の領域)に第1パターンを形成できる。
<レーザ照射部2の構成例>
次に、レーザ照射部2の構成について説明する。図24は、レーザ照射部2の構成の一例を示す図である。図24に示すように、レーザ照射部2は、パルスレーザ21と、ビームエキスパンダ22と、走査部23と、走査レンズ24と、同期検知部25とを備えている。
パルスレーザ21は例えばパルスレーザ光を射出するレーザ光源である。パルスレーザ21は、パルスレーザ光が照射された収容器1における基材の表面又は内部の少なくとも一方の性状を変化させるために好適な出力(光強度)のパルスレーザ光を射出する。
パルスレーザ21は、パルスレーザ光の射出のオン又はオフの制御、射出周波数の制御、及び光強度制御等が可能になっている。パルスレーザ21の一例として、波長が532nmで、パルスレーザ光のパルス幅が16ピコ秒、平均出力4.9Wのパルスレーザを用いることができる。収容器1における基材の性状を変化させる領域でのパルスレーザ光の直径は1μm以上で200μm以下であることが好ましい。
また、パルスレーザ21は、1つのパルスレーザで構成されてもよいし、複数のパルスレーザで構成されてもよい。複数のパルスレーザを用いる場合、パルスレーザ毎にオン又はオフの制御、射出周波数の制御及び光強度制御等を独立に行えるようにしてもよいし、共通にしても良い。
パルスレーザ21から射出された平行光のパルスレーザ光は、ビームエキスパンダ22により直径が拡大され、走査部23に入射する。
走査部23は、モータ等の駆動部により反射角度を変化させる走査ミラーを備えている。走査ミラーによる反射角度を変化させることで、入射するパルスレーザ光をY方向に走査する。この走査ミラーには、ガルバノミラーやポリゴンミラー、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラー等を用いることができる。
なお、実施形態では走査部23がパルスレーザ光をY方向に1次元走査する例を示すが、これに限定されるものではない。走査部23は、直交する2方向に反射角度を変化させる走査ミラーを用いてパルスレーザ光をXY方向に2次元走査してもよい。
但し、円筒状の収容器1の表面にパルスレーザ光を照射する場合は、XY方向に2次元走査すると、X方向への走査に応じて収容器1の表面上でのビームスポット径が変化するため、このような場合は1次元走査のほうが好ましい。
走査部23により走査されるパルスレーザ光は、加工レーザビーム20として収容器1における基材の表面又は内部の少なくとも一方に照射される。
走査レンズ24は、走査部23により走査される加工レーザビーム20の走査速度を一定にするとともに、収容器1における基材の表面又は内部の少なくとも一方の所定位置に、加工レーザビーム20を収束させるfθレンズである。収容器1における基材の性状を変化させる領域で、加工レーザビーム20のビームスポット径が最小になるように走査レンズ24と収容器1が配置されることが好ましい。なお、走査レンズ24は複数のレンズの組み合わせにより構成されてもよい。
同期検知部25は、加工レーザビーム20の走査と回転機構3による収容器1の回転とを同期させるために用いられる同期検知信号を出力する。同期検知部25は、受光した光強度に応じた電気信号を出力するフォトダイオードを備え、フォトダイオードによる電気信号を同期検知信号として制御部6に出力する。
図24では、加工レーザビームを走査する例を示したが、加工レーザビームを例えば印字幅の範囲に多数設けて加工レーザビームアレイとし、収容器1を回転させることで、収容器1上を多数のレーザビームで1方向に走査する構成とすることも可能である。図25はその一例を示す図であり、収容器1に並列の複数のレーザビームからなる加工レーザビームアレイを示している。
<制御部6のハードウェア構成例>
次に、製造装置100の備える制御部6のハードウェア構成について説明する。図26は、制御部6のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御部6はコンピュータにより構築されている。
図26に示すように、制御部6は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、HD(Hard Disk)504と、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505と、ディスプレイ506とを備えている。また制御部6は、外部機器接続I/F(Interface)508と、ネットワークI/F509と、データバス510と、キーボード511と、ポインティングデバイス512と、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514と、メディアI/F516とを備えている。
これらのうち、CPU501はプロセッサであり、制御部6全体の動作を制御する。ROM502は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶するメモリである。
RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用されるメモリである。HD504は、プログラム等の各種データを記憶するメモリである。HDDコントローラ505は、CPU501の制御に従ってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字又は画像等の各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、パルスレーザ21、走査部23、同期検知部25、回転機構3、移動機構4及び集塵部5等である。但し、他にUSB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等を接続することもできる。
ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図26に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
キーボード511は、文字、数値、各種指示等を入力するための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う入力手段の一種である。
DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
<制御部6の機能構成例>
次に、制御部6の機能構成について説明する。図27は制御部6の機能構成の一例を示すブロック図である。
図27に示すように、制御部6は、第1パターンデータ入力部61と、第2パターンパラメータ指定部62と、格納部63と、加工データ生成部64と、レーザ照射制御部65と、レーザ走査制御部66と、収容器回転制御部67と、収容器移動制御部68と、集塵制御部69とを備えている。被加工材料の材料データには、樹脂等の材料に応じた加工パラメータ情報を格納している。
これらのうち、第1パターンデータ入力部61、第2パターンパラメータ指定部62、加工データ生成部64、レーザ照射制御部65、レーザ走査制御部66、収容器回転制御部67、収容器移動制御部68及び集塵制御部69のそれぞれの機能は、何れも図26のCPU501が所定のプログラムを実行し、外部機器接続I/F508を介して制御信号を出力すること等により実現される。但し、制御部6のハードウェア構成にASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の電子回路又は電気回路を追加し、上記の各構成部の機能の一部又は全部を電子回路又は電気回路で実現してもよい。格納部63の機能は、HD504等により実現される。
第1パターンデータ入力部61は、収容器1における基材の表面又は内部の少なくとも一方に形成する第1パターンのパターンデータをPC(Personal Computer)やスキャナ等の外部装置から入力する。第1パターンのパターンデータは、バーコード、QRコード(登録商標)等のコードや文字、図形、写真等のパターンを示す情報と、第1パターンの種類を示す情報とを含む電子データである。
但し、パターンデータは、外部装置から入力されるものに限定はされない。製造装置100のユーザが制御部6のキーボード511やポインティングデバイス512を用いて生成した第1パターンのパターンデータを入力することもできる。
第1パターンデータ入力部61は、入力した第1パターンのパターンデータを加工データ生成部64及び第2パターンパラメータ指定部62のそれぞれに出力する。
第2パターンパラメータ指定部62は、第2パターンを形成するための加工パラメータを指定する。上述したように第2パターンは、第1パターンより小さい長さもしくは小さい幅、または第一パターンより小さい長さと小さい幅を有する線又は点等であり、第1パターンのコントラストを上げ、視認性を向上させるように作用するものである。
第2パターンの加工パラメータは、第2パターンとしての線の種類や長さ、太さ、加工深さ、或いは線の集合体における隣接する線同士の間隔又は配置、密度等を指定する情報である。或いは第2パターンとしての点の種類、大きさ、加工深さ、或いは点の集合体における隣接する点同士の間隔又は配置、密度等を指定する情報である。
線の種類は直線や曲線等を示す情報である。点の種類は、円や楕円、矩形、菱形等の点の形状を示す情報である。第2パターンの集合体において、第2パターンは周期性を有するように構成されてもよいし、非周期に構成されてもよい。但し、周期性を有するように構成すると、パラメータの指定をより簡略化できるため好適である。
文字、コード、図形又は写真等の第1パターンの種類に対応して、視認性を向上させるために適した第2パターンの加工パラメータは、予め実験やシミュレーションにより定められている。格納部63は、このような第1パターンの種類と加工パラメータとの対応関係を示すテーブルを格納する。第1パターンの外枠は加工しても加工しなくてもよい。加工すれば、輪郭が明確になる。加工しない場合は描画効率が向上する。
第2パターンパラメータ指定部62は、第1パターンデータ入力部61から入力した第1パターンの種類を示す情報に基づき、格納部63を参照して第2パターンの加工パラメータを取得して指定することができる。
但し、第2パターンパラメータ指定部62による指定方法は上述したものに限定されるものではない。第2パターンパラメータ指定部62は、制御部6のキーボード511やポインティングデバイス512を介してユーザの指示を受け付け、この指示に基づき格納部63を参照して第2パターンの加工パラメータを取得してもよい。
また、第2パターンパラメータ指定部62は、製造装置100のユーザが制御部6のキーボード511やポインティングデバイス512を用いて生成した第2パターンの加工パラメータを取得してもよい。
加工データ生成部64は、第1パターンのパターンデータと、第2パターンの加工パラメータとに基づいて、第2パターンの集合体により構成される第1パターンを形成するための加工データを生成する。
加工データは、回転機構3が収容器1を回転させるための回転条件データと、レーザ照射部2が加工レーザビーム20を走査するための走査条件データと、レーザ照射部2が収容器1の回転に同期して加工レーザビーム20を照射するための照射条件データとを含む。また、移動機構4が収容器1をY方向に移動させるための移動条件データと、集塵部5が集塵動作を行うための集塵条件データとを含む。
加工データ生成部64は、レーザ照射制御部65、レーザ走査制御部66、収容器回転制御部67、収容器移動制御部68及び集塵制御部69のそれぞれに対し、生成した加工データを出力する。
レーザ照射制御部65は、光強度制御部651と、パルス制御部652とを備え、照射条件データに基づき、パルスレーザ21による収容器1への加工レーザビーム20の照射を制御する。またレーザ照射制御部65は、同期検知部25からの同期検知信号に基づき、回転機構3による収容器1の回転に同期して加工レーザビーム20を収容器1への照射タイミングを制御する。
パルスレーザ21が複数のパルスレーザで構成される場合は、レーザ照射制御部65は複数のパルスレーザ毎に独立して上記の制御を行う。
光強度制御部651は加工レーザビーム20の光強度を制御し、パルス制御部652は加工レーザビーム20のパルス幅及び照射タイミングを制御する。
レーザ走査制御部66は、走査条件データに基づき、走査部23による加工レーザビーム20の走査を制御する。具体的には走査ミラーの駆動のオン又はオフの制御、駆動周波数の制御等を行う。
収容器回転制御部67は、回転条件データに基づき、回転機構3による収容器1の回転駆動のオン又はオフ、回転角度、回転方向及び回転速度等を制御する。なお、収容器回転制御部67は、収容器1を所定の回転方向に連続して回転させてもよいし、回転方向を切り替えながら±90度等の所定の角度範囲内で収容器1を往復回動(搖動)させてもよい。
収容器移動制御部68は、移動条件データに基づき、移動機構4による収容器1の移動駆動のオン又はオフ、移動方向、移動量及び移動速度等を制御する。
集塵制御部69は、集塵条件データに基づき、集塵部5による集塵のオン又はオフの制御、吸引するエアー流量又は流速等を制御する。なお、集塵部5を移動させるための機構部を設け、加工レーザビーム20が照射される位置の近傍に集塵部5が配置されるように、機構部による集塵部5の移動を制御してもよい。
<製造装置100による製造方法例>
次に、製造装置100による製造方法について説明する。図28は、製造装置100による製造方法の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS51において、第1パターンデータ入力部61は、第1パターンのパターンデータをPCやスキャナ等の外部装置から入力する。第1パターンデータ入力部61は、入力した第1パターンのパターンデータを加工データ生成部64及び第2パターンパラメータ指定部62のそれぞれに出力する。
続いて、ステップS52において、第2パターンパラメータ指定部62は、第2パターンを形成するための加工パラメータを指定する。第2パターンパラメータ指定部62は、第1パターンデータ入力部61から入力した第1パターンの種類を示す情報に基づき、格納部63を参照して第2パターンの加工パラメータを取得して指定する。
なお、ステップS51とステップS52の動作は適宜順序を入れ替えてもよく、またこれらのステップが並行して実行されてもよい。
続いて、ステップS53において、加工データ生成部64は、第1パターンのパターンデータと、第2パターンの加工パラメータとに基づいて、第2パターンの集合体により構成される第1パターンを形成するための加工データを生成する。そして、レーザ照射制御部65、レーザ走査制御部66、収容器回転制御部67、収容器移動制御部68及び集塵制御部69のそれぞれに対して、生成した加工データを出力する。
続いて、ステップS54において、レーザ走査制御部66は、走査条件データに基づき、走査部23に加工レーザビーム20のY方向への走査を開始させる。実施形態では、この走査開始に応答して、走査部23は加工レーザビーム20のY方向への走査を停止の指示が出るまで継続して行う。
続いて、ステップS55において、収容器回転制御部67は、回転条件データに基づき、回転機構3に収容器1の回転駆動を開始させる。実施形態では、この回転駆動開始に応答して、回転機構3は収容器1の回転を停止の指示が出るまで継続して行う。
続いて、ステップS56において、収容器移動制御部68は、移動条件データに基づき、収容器1の所定の位置に加工レーザビーム20が照射されるように、移動機構4により収容器1をY方向の初期位置に移動させる。収容器1の初期位置までの移動が完了後に、収容器移動制御部68は移動機構4を停止させる。
なお、ステップS54乃至ステップS56の動作は適宜順序を入れ替えてもよく、またこれらのステップが並行して実行されてもよい。
続いて、ステップS57において、レーザ照射制御部65は、収容器1に対する加工レーザビーム20の照射制御を開始する。
具体的には、レーザ照射部2はY方向に沿う1ライン分を走査して収容器1に加工レーザビーム20を照射する。その後、回転機構3は収容器1の円筒軸10回りに所定角度回転する。所定角度回転後に、レーザ照射部2は次の1ライン分を走査して収容器1に加工レーザビーム20を照射する。その後、回転機構3は収容器1の円筒軸10回りに所定角度回転する。このような動作を繰り返し行うことで、収容器1における基材の表面又は内部の少なくとも一方に、第1パターンが順次形成される。
続いて、ステップS58において、レーザ照射制御部65は、Y方向における収容器1の所定領域に対し、第1パターンの形成が終了したか否かを判定する。
ステップS58で終了していないと判定された場合は(ステップS58、No)、ステップS56以降の処理が再度繰り返される。
一方、ステップS58で終了したと判定された場合は(ステップS58、Yes)、ステップS59において、回転機構3は、収容器回転制御部67による停止の指示に応答して収容器1の回転駆動を停止する。
続いて、ステップS60において、走査部23は、レーザ走査制御部66による停止の指示に応答して加工レーザビーム20の走査を停止する。パルスレーザ21は、レーザ照射制御部65による停止の指示に応答して加工レーザビーム20の照射を停止する。
なお、ステップS59とステップS60の動作は適宜順序の変更が可能であり、これらのステップが並行して行われてもよい。
このようにして、製造装置100は、収容器1における基材の表面又は内部の少なくとも一方に、第2パターンの集合体により構成される第1パターンを形成することができる。
<各種データ例>
次に、収容器1の製造で用いられる各種データの一例を説明する。
(パターンデータ例)
図29は、第1パターンデータ入力部61が入力する第1パターンのパターンデータの一例を示す図である。
図29に示すように、パターンデータ611は、「ラベルレス」という文字データ612を含み、文字データ612は第1パターンとして収容器1に形成される対象となる。「ラベルレス」の5文字を構成する複数の線の集合が第1パターンのためのデータに対応する。パターンデータ611における文字データ612以外のデータは、収容器1への形成の対象外である。
パターンデータ611は、一例としてビットマップ等の画像ファイルとして提供される。またパターンデータ611を提供する画像ファイルのヘッダ情報には、第1パターンの種類を示す情報が含まれている。この例では、第1パターンの種類は「文字」である。
第1パターンデータ入力部61は、「文字」を示す情報を含むパターンデータ611を、第2パターンパラメータ指定部62及び加工データ生成部64のそれぞれに出力する。
(第1パターンの種類と加工パラメータとの対応テーブル例)
図30は、格納部63に収納される対応テーブルの一例を示している。図30に示す対応テーブル631は、文字、コード、図形又は写真等の第1パターンの種類と、第1パターンの視認性を向上させるために適した第2パターンのための加工パラメータとの対応関係を示している。この対応関係は、予め実験やシミュレーションにより定められている。
対応テーブル631の「識別情報」列に示された数値は、第1パターンの種類を示す情報を示し、「種類」列に示された情報は、第1パターンの種類を示している。また「パラメータ」列に示された情報は、第1パターンの種類に対応した加工パラメータが記録されたファイル名を示している。
第2パターンパラメータ指定部62は、対応テーブル631を参照して、第1パターンの種類を示す情報に対応するファイルを読み込み、加工パラメータを取得する。図29の例では、第1パターンの種類は「文字」であるため、第2パターンパラメータ指定部62は、「文字」を示す識別情報「1」に対応するファイル「para1」を読み出して加工パラメータを取得し、加工データ生成部64に出力する。
(加工パラメータ例)
図31は、第2パターンパラメータ指定部62が取得した加工パラメータの一例を示す図である。加工パラメータ621の「項目」列の項目に応じて、「パラメータ」列にパラメータが示されている。
(加工データ例)
図32は、加工データ生成部64が生成した加工データの一例を示す図である。加工データ641における文字データ642は、第2パターンに対応する複数の直線データにより構成されている。加工データ641における黒地領域が、加工レーザビーム20の照射により収容器1の基材の性状を変化させる領域に対応する。
<加工レーザビーム20の一例>
次に、図33は、収容器1に対する加工レーザビーム20の照射の例を示す図であり、3通りの照射の例を示している。
また図33は、収容器1の表面上での加工レーザビーム20のビームスポット201を示し、また加工レーザビーム20の走査方向(Y方向)と直交する方向に配列する3つのビームスポット201がY方向に走査された状態を示している。
このような3つのビームスポット201は、パルスレーザ21をY方向と直交する方向に3つのパルスレーザ21を並置し、3つのパルスレーザ21のそれぞれが加工レーザビーム20を照射することで得ることができる。
図33(a)、(b)は、1つめの例であり、Y方向と直交する方向でビームスポット201間に隙間がある場合である。図33(a)はY方向と直交する方向でビームスポット201間に隙間がある状態を示し、図33(b)は図33(a)のビームスポット201をY方向に高速走査させた状態を示している。高速走査させることで、3つのビームスポット201により3つの走査ラインが形成されており、Y方向における走査ライン間には隙間がある。図33(a)、(b)の配置でビームスポット201を照射すると、パターンの形成効率を上げることができる。
図33(c)、(d)は、2つめの例であり、ビームスポット201同士がY方向と直交する方向で重なる場合である。図33(c)はビームスポット201同士がY方向と直交する方向で重なっている状態を示し、図32(d)は図32(c)のビームスポット201をY方向に高速走査させた状態を示している。高速走査させることでビームスポット201による3つの走査ラインが形成されており、Y方向における走査ライン同士は重なっている。図33(c)、(d)の配置でビームスポット201を照射することで、パターンのコントラストを上げることができる。
図33(e)、(f)は3つめの例であり、ビームスポット201同士がY方向と直交する方向で接する場合である。図33(e)はビームスポット201同士がY方向と直交する方向で接している状態を示し、図33(f)は図33(e)のビームスポット201をY方向に高速走査させた状態を示している。高速走査させることでビームスポット201による3つの走査ラインが形成され、Y方向における走査ライン同士は接している。図33(e)、(f)の配置でビームスポット201を照射することで、パターンの形成効率とコントラストのバランスを取ることができる。
このような3通りの加工レーザビーム20の照射例を組み合わせて、収容器1に第2パターンの集合体により構成される第1パターンを形成できる。なお、加工レーザビーム20の数は3つに限定されるものではなく、1つであってもよいし、さらに数を増やしてもよい。加工レーザビーム20の数を増やすほど、パターン形成にかかる時間を短縮できる。
ビームスポット201の直径は、一例として42.3μmであり、図33(a)、(b)におけるY方向と直交する方向でのビームスポット201間の隙間は、一例として21.2μmである。
また、図33では、加工レーザビームを周期的に配置させる実施例を示したが、これに限定されるものではなく、非周期的な配置とすることも可能である。
<基材の性状の変化例>
次に、加工レーザビーム20の照射による収容器1の基材の性状変化について説明する。図34は、加工レーザビーム20の照射による収容器1の基材の性状変化の一例を示す図である。
図34(a)は、収容器1の表面の基材を蒸散させて形成した凹部形状を示し、図34(b)は、収容器1の表面の基材を溶融させて形成した凹部形状を示している。図34(b)の場合、図34(a)に対して凹部の周縁部が盛り上がった形状になる。
また、図34(c)は、収容器1の基材表面の結晶化状態の変化を示し、図34(d)は、収容器1の基材内部の発泡状態の変化を示している。
このように、収容器1の表面の形状を変化させたり、基材表面の結晶化状態、又は基材内部の発泡状態等の性質を変化させたりすることで、収容器1の表面又は内部に第2パターンの集合体により構成される第1パターンを形成できる。
収容器1の表面の基材を蒸散させて凹部形状を形成する方法として、例えば、波長が355nm乃至1064nm、パルス幅が10fsから500nm以下のパルスレーザを照射する。これによりレーザビームが照射された部分の基材が蒸散し、表面に微小な凹部が形成できる。
また、波長が355nm乃至1064nmのCW(Continuous Wave)レーザを照射することで、機材を溶融させて凹部を形成することも可能である。また、基材が溶融した後も、レーザを照射し続けると、基材の内部及び表面が発泡し、白濁化させることができる。
結晶化状態を変化させるためには、例えば基材をPETとし、波長が355nm乃至1064nmのCWレーザを照射して、基材の温度を一気に上げ、その後、パワーを弱くしていく等により徐冷していくことで、基材のPETを結晶化状態にすることができ、白濁化させることができる。なお、温度を上げたあと、レーザビームを消灯する等により急冷すると、PETは非晶質状態になり、透明になる。
収容器1の基材性状の変化は、図34に示したものに限定されるものではない。樹脂材料で構成された基材の黄変や酸化反応、表面改質等により基材の性状を変化させてもよい。
<第5実施形態に係る収容器1の一例>
次に、第5実施形態に係る収容器1を説明する。図35は、収容器1の一例を示す図である。収容器1は、可視光に対して透過性を有する樹脂(透明な樹脂)を基材とする円筒状のボトルである。図35は背景としての黒いスクリーンの前に置かれた収容器1を示している。透明な収容器1を通して背景の黒いスクリーンが見えている。或いは収容器1内に黒色の液体が入っており、透明な収容器1を通して収容器1内の黒色の液体が見えているとみなしてもよい。
収容器1の表面には「ラベルレス」という文字11が形成されている。背景の黒色又は収容器1内の液体の黒色に対し、文字11での周辺光の拡散により、文字11が白濁化されて視認される。「ラベルレス」の5文字を構成する複数の線の集合が文字11に対応しており、文字11は第1パターンの一例であり、第1の領域の一例である。また収容器1における文字11が形成されていない領域は、他の領域の一例である。
収容器1の基材の樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリエチレン(PE)、ポリプロビレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、エポキシ、バイオポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸ブレンド(PBAT)、スターチブレンドポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレートサクシネート、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシプチレート/ヒドロキシヘキサノエート(PHBH)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、バイオPET30、バイオポリアミド(PA)610,410,510、バイオPA1012,10T、バイオPA11T,MXD10、バイオポリカーポネート、バイオポリウレタン、バイオPE、バイオPET100、バイオPA11、バイオPA1010等を用いることができる。
これらのうち、ポリビニルアルコール、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート等の生分解樹脂を用いると、環境負荷を低減できるため好適である。生分解樹脂が100%であることが望ましいが、一部でも良い。例えば5%や10%、30%程度の生分解樹脂とそれ以外の割合の通常樹脂との組み合せでも環境負荷低減が期待できる。
図36は、収容器1に形成された第1パターンと第2パターンの関係の一例を示す図である。図36における拡大図111は、文字11の一部を拡大表示したものである。図36に示すように、収容器1の表面には「ラベルレス」という文字11が形成され、拡大図111に示すように、文字11は複数の直線12により構成されている。換言すると、文字11は直線12の集合体により構成されている。なお、図36では、拡大図111に対応する領域にのみ直線12を示しているが、文字11全体が直線12の集合体により構成されている。
直線12の集合体における白地領域は基材の性状が変化した領域を示し、白地領域で示す複数の直線のうちの1本の直線に対応する直線12は、第2パターンの一例であり、また第2の領域の一例である。複数の直線12は直線12の集合体の一例である。直線12は文字11より小さいパターンである。より詳しくは、直線12は、直線部分の面積が文字11を構成する複数の線部分の面積の総和より小さいパターンである。このように文字11は、文字11より小さい(微細な)直線12の集合体を含んで形成されている。
図37は、図36の拡大図111におけるA-A断面形状を示す断面図である。外側表面部121は収容器1の外側の基材表面を示している。また凹部122は加工レーザビーム20の照射で収容器1の基材の表面が蒸散することにより形成された部分を示し、直線12に対応する部分である。内側表面部123は収容器1の内側(収容器1の内部側)の基材表面を示している。
厚みtは収容器1の基材の厚みを示し、加工深さHpは凹部122の深さを示している。非加工部深さHbは非加工部の深さを示している。非加工部の深さは、収容器1の基材の厚みtから加工深さHpを差し引いた深さである。
ここで、隣接する第2パターン同士の間隔とは、隣接する第2パターンの中心間の距離をいう。図37における間隔Pは隣接する直線12同士の間隔を示している。また幅Wは直線12の太さを示している。本実施形態における直線12は周期性をもって形成されているため、間隔Pは直線12が形成された周期にも該当する。
ここで間隔Pは、0.4μm以上で130μm以下にすることが好ましい。間隔Pを0.4μm以上にすることで可視光の波長限界の制限を受けずに周辺光を拡散させることができ、直線12の集合体により構成される文字11のコントラストを向上させることができる。
また、間隔Pを130μm以下とすることで、200dpi(dot per inch)の解像度を保証するとともに、直線12のそのものが視認されることを防ぎ、文字11を白濁化したパターンとして高いコントラストで視認させることができる。間隔Pを50μm以下にすると、第2パターンそのものが視認されることを確実に防ぐことができるため、より好適である。
上述した例では間隔Pに対する好適な数値として説明したが、第2パターンが周期性を有する場合は、上記の好適な数値を周期に対しても当てはめることができる。図37では間隔Pが一定の例を示しているが一定でなく複数種類の間隔Pが存在していても良い。例えば、P1=50μm、P2=30μm、P3=60μm、P4=100μmである。
なお、図32に示した第2パターンの加工データに対して、図36は間隔の狭い第2パターンの例を示している。つまり、図32の文字データ642と図36の文字11とは対応していない。
また、拡大図111では、等間隔に周期性を持って形成された直線12の集合体を示したが、第2パターンの集合体はこれに限定されるものではない。異なる間隔で非周期に形成された複数の直線12で第2パターンの集合体を構成してもよいし、周期的又は非周期に形成された複数の点等により第2パターンの集合体を構成してもよい。第2パターンが点のパターンである場合、この点のパターンは文字11等の第1パターンより小さいパターンにする。
また、本実施形態では、凸部に対応する外側表面部121と凹部122を含む凹凸形状で第2パターンが形成されている。このように凹凸形状で第2パターンを形成する場合は、外側表面部121と凹部122との深さの差を0.4μm以上にすることが好ましい。0.4μm以上にすることで、可視光の波長限界の制限を受けずに周辺光を拡散させ、直線12の集合体により構成される文字11のコントラストを向上させることができる。なお、凸部の一例として外側表面部121を示したが、凹部122より深さが浅ければ、加工レーザビーム20を照射して収容器1の外側表面を蒸散させた部分が凸部であってもよい。
次に、図38は、加工深さHpの各種の例を示す図である。
図38(a)は加工深さHpが基材の非加工部深さHbより浅い場合の図である。より具体的には、加工深さHp対非加工部深さHbの比が、1以下対9以上から3対7となる場合である。この場合、第2パターンの剛性(機械強度)が向上する。一例として収容器1の基材の厚みが100μm乃至500μmの場合に加工深さHpは10μmである。
図38(b)は加工深さHpが基材の非加工部深さHbより深い場合の図である。より具体的には、加工深さHp対非加工部深さHbの比が、7対3から9以上対1以下となる場合である。
図38(c)は加工深さHpと基材の非加工部深さHbが同程度の場合の図である。より具体的には、加工深さHp対非加工部深さHbの比が、4対6から6対4となる場合である。
図38(d)は加工深さHpと基材の非加工部深さHbを変化させた場合の図である。
図38(a)乃至(d)に示したような加工深さHpの深さは、レーザ照射制御部65における光強度制御部651でパルスレーザ21の射出するパルスレーザ光の光強度を制御することにより調整できる。
炭酸飲料用のボトル(収容器1)の場合は、非炭酸飲料用ボトル(収容器1)に比べて強度が求められるため、非炭酸飲料用ボトル(収容器1)より基材の厚みが厚くなる場合がある。このような場合には、十分な強度を得るために、十分な非加工部深さHbを確保することが好ましい。例えば、非加工部深さHbを200μm乃至450μmにすると好適である。また描画性を確保する加工深さHpが求められる場合には、さらに樹脂の厚みを厚くして、十分な非加工部深さHb及び加工部深さHpを確保することが好ましい。
<パルスレーザと加工パラメータの対応例>
製造装置100で使用されるパルスレーザ21は、例えば、波長355nm、波長532nm、波長1064nmのパルスレーザが使用され、パルス幅は、数10fsから数100nsである。CWレーザを使用することも可能であり、CWレーザを変調して使用される。
パルスレーザ21として波長が短いパルスレーザを用いるほどビームスポット径を小さくでき、より微細な第2パターンの集合体により構成される第1パターンを形成するために好適である。
<収容器1による作用効果>
PETボトル等の収容器は、飲料等の流通及び販売における保存性等、様々な利点があるため広く利用されている。市場で流通する収容器には、その管理や販売促進のために商品名、成分表示、賞味期限、バーコード、QRコード、リサイクルマーク及びロゴマーク等を表示するラベルが貼付されることが多い。ラベルにより、消費者にとって有用な情報を提供することができる。また消費者に訴求するためのデザインをラベルで表示することで、商品の個性発揮や競争力アップを図ることができる。
一方で昨今、海洋プラスチックごみの問題等が取り沙汰され、世界的にプラスチックごみによる環境汚染をなくしていく動きが活発化している。これはPETボトル等の収容器においても例外でなく、環境に配慮したリデュースの観点で、プラスチックごみ削減のための対策が進められている。
そんな中で、収容器の循環型リサイクルへの要求が高まっている。ここで、収容器の循環型リサイクルとは、分別回収された使用済みの収容器をリサイクル業者が収容器の原料となるフレークに変え、再度収容器を製造することをいう。
このような循環型リサイクルを円滑に進めるには、PETボトル等の収容器本体、ラベル、又はキャップ等の材質が異なる基材を、リサイクルの過程で分別回収を徹底することが好ましい。分別回収のためには、消費者は1つ1つの収容器からキャップとラベルを分離する必要があり、特にラベルを剥がす作業は手作業になるため、一般消費者及び自治体の資源回収業者にとっては手間となる。そのため、収容器からラベルを剥がす作業は、分別回収を徹底させるための制約の1つになっている。
これに対し、ラベルを無くした収容器を提供する技術の検討が行われている。例えば、インクジェット方式で情報を表示するパターンを収容器本体に印刷することで、ラベルを無くす方法が検討されている。
しかし、印刷により付与されたインクがボトル回収後のリサイクル過程で残留することで不純物が増えるため、好ましくない場合がある。また不純物を削減するためにリサイクルの過程でインクを収容器本体から除去すると、管理情報が欠落してしまい、好ましくない場合がある。
また他の方法として、CO2レーザ(炭酸ガスレーザ)を用いて収容器本体に情報を表示するパターンを形成することも検討されている。
しかし、CO2レーザ等のパルスレーザの波長は長いため、ビームスポット径が大きくなることで収容器本体へのパターン形成の解像度が低くなる。その結果、画像等の情報量が多いパターンを収容器に形成すると、パターンのコントラストが低下して、視認性が低くなる場合がある。
これに対し、本実施形態では、基材の表面もしくは裏面又は内部の少なくとも一方に、第2パターンにより構成される第1パターンが形成された収容器1を提供する。
第2パターンにより構成される第1パターンは、一筆書きで形成した第1パターン等と比較して、周辺光の拡散性が高くなる。なお、ここでいう一筆書きとは、パルスレーザ光を間欠なく連続的なく照射しながら線又は図形を描くことをいう。その結果、収容器1における第1パターンが形成されていない領域に対する第1パターンのコントラストが向上する。本実施形態では、第2パターンによる光拡散効果により、第1パターンが形成されていない領域に対して第1パターンが白濁化して視認され、コントラストの向上により白濁化した領域がより白く視認される。
これにより、第1パターンが微細な線や文字等を含む情報量の多いパターンであっても、第1パターンを高いコントラストで良好に視認させることができ、情報量の多いパターンが良好な視認性で形成された収容器1を提供できる。また、収容器1の基材となる部材において、画像や図面等が良好な視認性で形成された基材を提供できる。
また、インク等の不純物を収容器1本体に付与せずに第1パターンを形成できるため、循環型リサイクルの工程内で不純物を除去する工程を不要とし、またインクを不純物として除去することによる管理情報の欠落も防ぐことができる。
また、第1パターンを着色化、白色化、白濁化させることで、収容器1の基材として可視光に対して透過性を有する透明なプラスチックや透明なガラスを用いた場合にも、第1パターンを良好なコントラストで視認させることができる。
なお、本実施形態では、加工レーザビーム20によって第2パターンの集合体により構成される第1パターンを形成する例を示したが、これに限定されるものではなく、機械的に切削加工等の他の加工法も適用可能である。
また、基材の性状として形状、結晶化状態、又は発泡状態の少なくとも1つを変化させると、基材の性状を変化させる手段としてレーザビームを照射するレーザ加工法を適用できる。レーザ加工法は高速加工が可能で、かつ切削粉等の発生を抑制できるため、よりクリーンな環境で第2パターンの集合体により構成される第1パターンを形成可能になる。
また、本実施形態では、照射条件データに基づき、加工レーザビーム20の光強度を制御することで、第2パターンの加工深さHpの深さ調整を行う。これにより、第1パターンのコントラスト又は第2パターンの剛性等の適正化できる。
また、収容器1の表面又は内部で基材の性状を変化される領域における加工レーザビーム20の直径を1μm以上で200μm以下にすることが好ましい。第2パターンの集合体により構成される第1パターンによる周辺光の拡散性を良好にでき、また第1パターンの形成効率を確保することができる。
ビームスポット径が1μmよりも小さくなると、可視光の波長に近くなり、そうなると、そのビームスポット径で加工した構造で光を散乱することができなくなり、白濁化できなくなってしまう。また、200μmよりも大きくなると、人の目で構造が認識できてしまう。上記利用により、加工レーザビーム20の直径を1μm以上で200μm以下にすることが好ましい。さらに、視力がいい人でも確実に構造を視認できなくするためには、1乃至100μm以下の加工レーザビーム直径とすることがさらに好ましい。
また、隣接する第2パターン同士の間隔は0.4μm以上で130μm以下にすることが好ましい。間隔を0.4μm以上とすることで可視光の波長限界の制限を受けずに周辺光を拡散させ、第1パターンのコントラストを向上させることができる。また、130μm以下とすることで、200dpi(dot per inch)の解像度を保証するとともに、第2パターンそのものが視認されることを防いで、白濁化したパターンとして第1パターンを高いコントラストで視認させることができる。
また、第2パターンは所定の周期で形成すると、加工パラメータとして周期情報を用いることができ、第2パターンを形成するための加工パラメータを簡略化できるため好適である。
また、第2パターンを凹凸形状で構成する場合、凹凸形状における凹部と凸部の深さの差は0.4μm以上にすることが好ましい。このようにすることで、第2パターンによる周辺光の拡散性を確保でき、第1パターンのコントラストを向上させることができる。
また、2個以上で5個以下の第2パターンを含んで集合体を構成すると、第2パターンによる白濁化を良好に行わせることができるためより好適である。
さらに、収容器1の基材として生分解樹脂を用いると、樹脂廃棄物を生じさせないため、環境負荷を低減できて、より好適である。この場合、収容器1を構成する樹脂における生分解樹脂の比率は100%であることが好ましいが、30%程度であっても環境負荷は大幅に低減される。
また、実施形態は、収容器1と、収容器1に収容されている被収容物とを含んで構成される収容体も含む。図39は、このような収容体7の一例を示す図である。収容体7は、収容器1と、キャップ等の封止部材8と、収容器1に収容された液体飲料等の被収容物9とを含んで構成されている。収容器1の表面にはラベルレスという文字11が形成されている。
被収容物9は、黒、茶色、又は黄色等の色を有していることが多い。収容体7の口部には、封止部材8と螺合し固定するためのねじ部が設けられている。また、封止部材8の内側には、収容体7の口部に設けられたねじ部と螺合するためのねじ部が設けられている。
収容体7の製造方法としては、次の3態様がある。
態様1:収容器1にパターンを形成後、被収容物9を収容し、その後、封止部材8で封止する収容体7の製造方法。
態様2:被収容物9を収容し、その後、封止部材8で封止し、収容器1にパターンを形成する収容体7の製造方法。
態様3:被収容物9を収容しながら収容器1にパターンを形成し、その後、封止部材8で封止する収容体7の製造方法。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。
第5実施形態では、収容器1に形成される第1パターンを画像とし、この画像を構成する複数の画素のそれぞれを第2パターンの集合体により構成する。また、第2パターンの間隔を画素間で異ならせることで、第1パターンとしての画像を多値の階調で表現可能にする。
図40は、画素間で第2パターンの間隔を異ならせることによる階調表現の一例を説明する図であり、収容器1に形成する第1パターンに対応する画像の加工画像データ112を示している。図40に升目で示した画素1121は、加工画像データ112を構成する画素を示している。加工画像データ112は複数の画素1121により構成されている。
本実施形態では、第2パターンは点のパターンであり、複数の画素1121のそれぞれは点データ1122の集合体により構成されている。加工画像データ112において黒地領域で示す点データ1122が、加工レーザビーム20の照射により基材の性状を変化させる領域に対応する。
また、図40では、矢印の上方向に向かうほど隣接する点データ1122同士の間隔が広くなり、下方向に向かうほど隣接する点データ1122同士の間隔が狭くなっている。隣接する点データ1122同士の間隔が広いほど、収容器1に点のパターンが形成された際に周辺光の拡散性は低くなり、白濁化した第1パターンの濃度が低くなる。一方、隣接する点データ1122同士の間隔が狭いほど、収容器1に点のパターンが形成された際に周辺光の拡散性は高くなり、白濁化した第1パターンの濃度が高くなる。
このように、第2パターンの間隔を画素間で異ならせることで、画像の階調(濃淡)が表現される。
ここで、図40では、周期性を有する点のパターンの間隔により階調を表現する例を示したが、階調表現方法はこれに限定されるものではない。例えば、凹凸形状を収容器の表面に対して垂直ではなく、角度を持たせることで階調を表現することができる。このような凹凸形状の加工は、収容器1の表面に対して垂直ではなく角度を持たせて加工レーザビーム20をすることで、実行可能である。これにより収容器1の強度を保ち、角度(視認方向)によってパターンを強調させることができる。
また1つの収容器1に対して1つの方向への傾斜加工だけでなく、複数方向に傾斜加工(肩部分の加工と、側面の加工等)を実行してもよい。1つの加工工程で複数の方向に傾斜させる加工を実行してもよい。
図41は、第2パターンによる階調表現の他の例を説明する図である。図41(a)は周期性のない第2パターンの加工データを示す図である。図41(a)では、画素180は1つの画素を示し、画素180は非周期に配置された矩形の点データにより構成されている。矢印の方向は画素濃度の濃淡を示し、画素180内における点データの数が多いほど濃度が濃くなる。
図41(a)における間隔Pd1乃至Pd4は、画素180内における様々な点データの配置における隣接する点データ同士の間隔を示し、収容器1に点パターンが形成された場合の点パターン同士の間隔に対応する。
一方、図41(b)は、結晶化状態の変化によって形成された第2パターンの断面図を示している。図41(c)は図41(b)の平面図である。
図41(b)、(c)では、収容器1の基材を結晶化させる結晶化深さDを変化させることで、第2パターンによる周辺光の拡散性を変化させ、第1パターンの濃度を変化させる例を示している。結晶化深さDが深いほど、周辺光の拡散性が高くなり、白濁化の白の濃度が濃くなる(より白っぽくなる)。
次に、図42は、第5実施形態に係る収容器1aの一例を示す図である。収容器1aには、多値の階調で表現された画像13及び14が形成されている。また文字が重ねて形成された画像15が形成されている。
画像13、14及び15のそれぞれは、複数の画素により構成され、各画素は第2パターンとしての点パターンの集合体により構成されている。隣接する点パターン同士の間隔を画素間で異ならせることで、階調が表現されている。このような画像13、14及び15のそれぞれは、第1パターンの一例である。
以上説明したように、本実施形態では、収容器1に形成される第1パターンは画像であり、この画像を構成する複数の画素のそれぞれを第2パターンの集合体により構成し、また第2パターンの間隔を画素間で異ならせる。これにより、画素毎での拡散性を変化させることで、画素毎で収容器1に形成される第1パターンの濃度を変化させ、第1パターンを多値の階調で表現することができる。
文字220a以外の領域で周辺光の拡散性が向上し、文字220a以外の領域が白濁化されて視認されている。文字220bの領域では背景のスクリーンの黒色、又は収容器1内の液体の黒色が視認されている。このようにして文字220b等の第1パターンを視認させることもできる。
また、実施形態では、収容器が円筒状である例を示したが、収容器はこれに限定されるものではなく、箱状の収容器や錐体状の収容器等であってもよい。
また、実施形態では、第2パターンの集合体により構成される第1パターンを収容器の表面に形成する例を示したが、収容器を構成する基材の内部に第2パターンの集合体により構成される第1パターンを形成することもできる。
また、収容器1に収容されている被収容物についても、可視光に対して透過性を有する収容器に収容された被収容物の色に対して、第1パターンのコントラストを上げることで、良好な視認性で情報量が多いパターンが形成されたものを提供できる。例えば被収容物が黒色の場合は、収容器に白濁化された第1パターンを形成すると、第1パターンを視認しやすくなり、被収容物が白色の場合は、収容器に黒色化された第1パターンを形成すると、第1パターンを視認しやすくなる。
なお、収容器の形状は、肩部及び傾斜部の無い円柱状、四角柱等の何でもよい。また収容器の内容物は、任意の色であってよいし、また冷たいもの又はあたたかいもの、炭酸、コロイド(ヨーグルトなど)状のもの等、収容器に入るものであれば何でもよい。内容物は、例えばコーヒー、お茶、ビール、水、ジュース、炭酸、ミルク等であるが、これに限定されず、収容器に入るものであれば何でもよい。
また、収容器の内容物に応じて、加工状態を変えることもできる。例えば収容器の内容物に応じて、白色化・白濁化をレーザの強度等を調整して加工状態を変更し、濃淡を制御することができる。
またペットボトルのエンボス加工の形状に合わせて、第2パターンを形成してもよい。さらに上述した傾斜加工も併用して、凹凸の輪郭や内部、外周を加工するようにしてもよい。
なお、実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
また、機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、及び/又は、一部の機能を他のブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。