JP7754759B2 - 木質建材、建物用木質ユニット、建物およびその製造方法 - Google Patents
木質建材、建物用木質ユニット、建物およびその製造方法Info
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Description
(1) 複数の木質建材をプレストレス工法で連結して建物とするために用いられる木質建材であって、前記木質建材は、集成材、ならびに前記集成材の長手方向を貫通する繊維強化樹脂製補強材および前記集成材の長手方向を貫通する少なくとも2つの金属製中空管状補強材を含み、前記繊維強化樹脂製補強材は、その長手方向に配向した補強繊維およびマトリクス樹脂からなり、前記金属製中空管状補強材の少なくとも二つは、複数の木質建材をプレストレス工法で連結するために張力を掛けられた緊張材を収容するために用いられることを特徴とする、木質建材である。
(2) 複数の木質ユニットをプレストレス工法で連結して建物とするために用いられる木質ユニットであって、前記木質ユニットは木質梁材および木質土台材を含み、前記木質梁材は、上記(1)に記載の木質建材であり、前記木質土台材は、緊張材を収容するために用いられる長手方向を貫通する中空部を備える、建物用木質ユニットである。
(3) 上記(2)に記載の建物用木質ユニットを少なくとも二つ含む建物であって、前記建物用木質ユニットの少なくとも二つは、前記建物用木質ユニットの木質梁材および/または木質土台材の中空部に配置され、張力を掛けられた緊張材によって連結されている、建物である。
(4) 上記(2)に記載の建物用木質ユニットの少なくも二つを、前記建物用木質ユニットの木質梁材および/または木質土台材の中空部が連続するように配置する工程、前記建物用木質ユニットの木質梁材および/または木質土台材の中空部に緊張材を配置する工程、および前記緊張材に張力を掛けることで前記建物用木質ユニットの少なくとも二つを相互に接続した状態で固定する工程を含む、建物の製造方法である。
集成材は、木質材料片(木質ラミナ)を相互に接着剤で貼り合わせて構成された木質の材料であり、単一木材や、木材の繊維方向に長く切削加工した引き板または小角材を木質ラミナとして用い、それらの木質ラミナの繊維方向を互いに平行にして積層し、接着剤を用いて貼り合わせたものである。
繊維強化樹脂製補強材は、その長手方向に配向した補強繊維およびマトリクス樹脂からなる。補強繊維は、少なくともその一部、好ましくは全部がマトリクス樹脂に内包される。
繊維強化樹脂製補強材を構成する補強繊維として、木材の補強に適した強度を有する繊維を用いる。本発明の木質建材は、その用途が建物を成り立たせるための部材であるため、火災時においても強度低下が起こらないことが好ましい。このため、補強繊維は、融点またはガラス転移温度が200℃以上である有機繊維であるか、無機繊維であることが好ましい。いずれも連続繊維であることが好ましい。
補強繊維の中でも炭素繊維が特に好ましく、炭素繊維の中でもポリアクリロニトリル系繊維を焼成して得られるアクリルニトリル系の炭素繊維が最も好ましい。
繊維強化樹脂製補強材を構成するマトリクス樹脂は、火災時において強度低下を引き起こさないために、熱硬化性樹脂であることが好ましい。
熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂を例示することができる。中でも物性や加工性、最終的な木材との接着性の観点からビニルエステル樹脂が好ましい。
繊維強化樹脂製補強材における補強繊維とマトリクス樹脂との体積分率は、好ましくは40/60~60/40である。また、補強繊維の繊維強化樹脂製補強材における存在密度は、その長さ方向の断面において、好ましくは10,000~18,000本/mm2である。
繊維強化樹脂製補強材の断面形状は、矩形であることが好ましい。これに対して、断面形状が円形であると、繊維強化樹脂製補強材と木質部分との間に隙間ができやすく、両者間の接着性が低下するため好ましくない。
本発明の木質建材における繊維強化樹脂製補強材の配置の態様は、木質建材の断面の中心から等距離の位置に繊維強化樹脂製補強材を複数本配置した態様であるか、木質集成材の中心に対して点対称に繊維強化樹脂製補強材を複数本配置した態様であることが好ましい。木質建材の断面の中心から等距離の位置に、繊維強化樹脂製補強材を、2本、4本または6本配置した態様であることが特に好ましい。
繊維強化樹脂製補強材は、集成材の内部に一体化されている。この一体化は、接着剤によることが好ましい。接着剤として、エポキシ系接着剤やアクリル系接着剤など、木材とマトリクス樹脂とを接着できるものであれば任意のものを用いることができる。
金属製中空管状補強材は木質建材の内部に配置され、金属製中空管状補強材の内部には、それを貫通する緊張材が配置され、その緊張材に張力が掛けられ、金属製中空管状補強材の軸方向に圧縮力が掛けられる。
金属製中空管状補強材に通した緊張材に張力がかけられた際に、金属製中空管状補強材がその圧縮力をもって張力に抵抗する観点からは、管状体の形状は矩形であっても円形であってもよい。木質建材の製造後に金属製中空管状補強材を木質建材の断面から挿入する場合には、管状体の形状は円形であることが好まししい。
木質建材における金属製中空管状補強材の配置の態様は、金属製中空管状補強材が木質建材の断面の中心から等距離の位置に複数本配置されている態様が好ましく、さらに断面の中心に対して点対称に金属製中空管状補強材が複数本配置されている態様が好ましい。これらの場合、断面の中心を外れた位置を、緊張材が通ることになる。
本発明の木質建材は、複数の木質建材がプレストレス工法で連結されて建物として用いられる。複数の木質建材をプレストレス工法で連結する方法として、一般的なプレストレスコンクリートの工法で使用されている方法を用いることができる。
緊張材として、一般的なプレストレストコンクリートで使用されるPC鋼線やPC鋼より線、PC鋼棒などのPC鋼材を使用することができる。さらに、引張強度やクリープ性能の高い緊張材を使用してもよく、また、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサザール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、四フッ化エチレン繊維、ガラス繊維などの高性能繊維を用いたFRP(繊維強化プラスチックス)ロッドや繊維ロープ、繊維ケーブルであってもよい。緊張材の太さは掛ける張力に応じて選択することができる。
プレストレス工法による木質建材の接合では、緊張材に張力をかける際に、木質建材の端部の金属プレートを介して木質建材の両端部から圧縮力をかけ、木質建材同士を圧着することが重要である。高い圧着を実現することで、一方の木質建材と他方の木質建材とが接合した部分をより一体化した状態に近づけることができ、接合部の曲げ特性の向上を得ることができる。
本発明の木質ユニットは、複数の木質ユニットをプレストレス工法で連結して建物とするために用いられる木質ユニットであって、前記木質ユニットは木質梁材および木質土台材を含み、前記木質梁材は、上述の木質建材であり、前記木質土台材は、緊張材を収容するために用いられる長手方向を貫通する中空部を備える、建物用木質ユニットである。
木質土台材として、一般的な木質建材を用いることができ、製材、集成材、CLT、LVLを例示することができる。木質土台材中に緊張材を収容するための長手方向を貫通する中空部を設ける場合には、集成材が好ましい。
本発明の建物は、上述の建物用木質ユニットを少なくとも二つ連結して含む建物である。そして、前記建物用木質ユニットの少なくとも二つは、前記建物用木質ユニットの木質梁材および/または木質土台材の中空部に配置され、張力を掛けられた緊張材によって連結されている。
(1)プレストレスの張力
緊張材を固定する金属プレート間に、圧縮センターホール型荷重計を配置し、金属プレート間の圧力を測定することで緊張材の張力とした。
木質建材を直列に二つ接合した試験体について、木質建材同士の接合部を試験体中央に配置し、支点間距離を4,220mmとした。集成材同士の接合部に荷重を印加する繰返し曲げ試験を実施した。繰返しは、支点間距離4,220mmに対して、木質建材の接合部のたわみ量が、1/450、1/300、1/250、1/200、1/150、1/100、1/75、1/50、1/30、1/15、1/10になるように試験を行った。ただし、試験体が破壊された場合は、そこで試験終了とした。試験体が破壊された時の荷重(最大荷重)を破断耐力Pmax(単位:kN)とした。曲げヤング係数(単位:GPa)は以下の式より求めた。試験体のたわみ量は、試験体中央部の側面に設置した高感度変位計の変化量により測定した。
L:支点間距離
L1:荷重支点間距離
b:試験体幅
h:試験体厚み(梁成)
ΔF:最大荷重の10%-最大荷重の40%間の荷重増分
Δy:ΔFに対応するたわみ増分
である。
集成材に内包される金属製中空管状補強材(1)として、炭素鋼製(STKM16C)のパイプを使用した。この金属製中空管状補強材(1)の断面形状は円形中空であって、外径25.4mm、肉厚は全周均一で3.5mm、長さは2,300mmである。
実施例1で緊張材1本あたりにかける張力を130kNにしたこと以外は実施例1と同様として実施した。評価結果を表1に示す。実施例1よりも緊張材にかける張力を増したことで、破断耐力、曲げヤング係数はともに実施例1よりも高い結果となった。
木質建材として、金属製中空管状補強材と繊維強化樹脂性補強材が含まれていない、断面サイズ120mm×300mm、長さ4,620mmのスギ木質集成材(E65-F225)を用い、支点間距離を4,220mmとして試験体中央に荷重を印加する繰返し曲げ試験を実施した。
評価結果を表1に示す。金属製中空管状補強材と繊維強化樹脂性補強材が含まれていないことで、破断耐力、曲げヤング係数はともに実施例1に比べ低い結果となった。
実施例1で補強ラミナの替わりに木ラミナを用いたこと以外は実施例1と同様として、断面サイズ120mm×300mm、長さ2,300mmの木質建材を得た。この木質建材を実施例1と同様にプレストレス工法で接合した。
評価結果を表1に示す。繊維強化樹脂性補強材が含まれていないことで、破断耐力、曲げヤング係数はともに実施例1に比べ低い結果となった。
12 スギ集成材
13A~D 繊維強化樹脂製補強材
14A~D 金属製中空管状補強材
21A~C 木質ユニット
22 プレキャストコンクリート製基礎
23 屋根
24 外壁
25A,B ジョイントカバー
26 ドア
27 窓
32 スギ集成材
33A~D 繊維強化樹脂製補強材
34A~D 金属製中空管状補強材
41A,B 木質建材
42A~D 繊維強化樹脂製補強材
43A~D 金属製中空管状補強材
44A~D 金属プレート
45A,B 緊張材
46A~D 定着具
47A,B 圧縮センターホール型荷重計
Claims (4)
- 複数の木質建材をプレストレス工法で連結して建物とするために用いられる木質建材であって、前記木質建材は、集成材、ならびに前記集成材の長手方向を貫通する繊維強化樹脂製補強材および前記集成材の長手方向を貫通する少なくとも2つの金属製中空管状補強材を含み、前記繊維強化樹脂製補強材は、その長手方向に配向した補強繊維およびマトリクス樹脂からなり、前記金属製中空管状補強材の少なくとも二つは、複数の木質建材をプレストレス工法で連結するために張力を掛けられた緊張材を収容するために用いられることを特徴とする、木質建材。
- 複数の木質ユニットをプレストレス工法で連結して建物とするために用いられる木質ユニットであって、前記木質ユニットは木質梁材および木質土台材を含み、前記木質梁材は、請求項1に記載の木質建材であり、前記木質土台材は、緊張材を収容するために用いられる長手方向を貫通する中空部を備える、建物用木質ユニット。
- 請求項2に記載の建物用木質ユニットを少なくとも二つ含む建物であって、前記建物用木質ユニットの少なくとも二つは、前記建物用木質ユニットの木質梁材および/または木質土台材の中空部に配置され、張力を掛けられた緊張材によって連結されている、建物。
- 請求項2に記載の建物用木質ユニットの少なくも二つを、前記建物用木質ユニットの木質梁材および/または木質土台材の中空部が連続するように配置する工程、前記建物用木質ユニットの木質梁材および/または木質土台材の中空部に緊張材を配置する工程、および前記緊張材に張力を掛けることで前記建物用木質ユニットの少なくとも二つを相互に接続した状態で固定する工程を含む、建物の製造方法。
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