以下、本開示の実施の形態における伝熱面監視装置およびそれを用いた伝熱面洗浄システムについて図面を参照して説明する。本実施の形態では、廃熱ボイラを有する焼却プラントに伝熱面監視装置および伝熱面洗浄システムが適用された場合を例示する。
[伝熱面監視装置]
まず、本実施の形態における伝熱面監視装置について説明する。図1は、本実施の形態における伝熱面監視装置および伝熱面洗浄システムが適用される焼却プラントの内部構造を示す概略断面図である。図1に示す焼却プラント100は、酸素含有ガスを用いて廃棄物を焼却するための火炉室103を有する焼却炉102と、焼却炉102から排出される燃焼排ガスから排熱を水蒸気として回収する蒸気回収装置であるボイラ104と、を含む。焼却炉102のボイラ104とは反対側、すなわち、上流側には、ホッパ105およびシュート106が配置されており、ボイラ104から下流側には、燃焼排ガスの排気経路107が煙突108まで延びている。例えば、排気経路107には、上流側から順に、エコノマイザ、減温塔、集塵機およびブロワが設けられ得る。
焼却炉102は、火炉室103の下方に設けられたストーカを有している。ストーカは、廃棄物の搬送手段として機能する。ストーカは、シュート106に近い側から順に乾燥ストーカ111、燃焼ストーカ112および後燃焼ストーカ113を有する。すなわち、これらのストーカ111,112,113は、廃棄物の移動方向に配列されている。乾燥、燃焼および後燃焼ストーカ111,112,113の下方には、風箱114,115,116がそれぞれ設けられている。
さらに、焼却炉102は、火炉室103とボイラ104との間に火炉室103と連続する再燃焼室117を有する。なお、燃焼ストーカ112は、図例では1段であるが、2段以上設けられていてもよい。各ストーカ111,112,113は、例えば、互いに異なるインターバルで間欠的に作動する。
火炉室103では、廃棄物の熱分解および部分酸化反応により燃焼ガスが生成され、この燃焼ガスが廃棄物と共に燃焼される。再燃焼室117は、火炉室103から流出する燃焼ガスを完全燃焼させるためのものである。廃棄物の燃焼後のダストは、後燃焼ストーカ113に隣接して設けられた排出口118から排出される。
ボイラ104では、焼却炉102から排出される燃焼排ガスによる廃熱によって蒸気が生成される。より詳しくは、図1に示すように、ボイラ104は、燃焼排ガスが通過する排ガス通路109を備えている。排ガス通路109は、再燃焼室117の上方に配置された放射室119と、放射室119と上部同士が連通する第1煙道120と、第1煙道120と下部同士が連通する第2煙道121と、を含む。言い換えると、ボイラ104は、内部空間として、放射室119、第1煙道120および第2煙道121を有する。
放射室119および第1煙道120および第2煙道121を規定する壁の各々には、複数の伝熱管123が設けられている。複数の伝熱管123の材料は、例えばSTB340等の炭素鋼である。ボイラ104は、複数の伝熱管123に接続されたボイラドラム124を備えている。複数の伝熱管123には、ボイラドラム124から送られてくる水が流れる。複数の伝熱管123内の水は、放射室119および第1煙道120の廃熱を回収して、その一部が蒸発して汽水となりボイラドラム124へと戻される。ボイラドラム124に戻った汽水は、一部が気化して蒸気となっている。
第2煙道121には、過熱器125が設けられている。過熱器125は、ボイラドラム124内の蒸気を燃焼熱または燃焼排ガスの熱で過熱するための過熱器管126を備えている。過熱器125により過熱されて高温高圧となった過熱蒸気は、発電機127と連結されたタービン128に送られて発電に利用される。ボイラ104を通過した燃焼排ガスの大部分は、排気経路107を流れた後に、煙突108から大気中へ放出される。
図2は、図1に示す放射室のII-II断面図である。図2に示すように、放射室119は、4つの伝熱面F1,F2,F3,F4により区画された断面矩形状である。4つの伝熱面F1,F2,F3,F4は、何れも複数の伝熱管123が連結されたメンブレン壁を有する。以下では、4つの伝熱面を、第1伝熱面F1、第2伝熱面F2、第3伝熱面F3および第4伝熱面F4と称する。第2伝熱面F2は、第1伝熱面F1に対向し、第4伝熱面F4は、第3伝熱面F3に対向する。
第1伝熱面F1および第2伝熱面F2は、放射室119、第1煙道120および第2煙道121の配設方向を含む第1仮想面に平行な面、すなわち、図1の紙面に平行な面であり、第3伝熱面F3および第4伝熱面F4は、第1伝熱面F1および第2伝熱面F2に交差する面である。第3伝熱面F3は、第1煙道120を区画する伝熱面でもある。
第1伝熱面F1は、赤外線が透過する第1窓W1を有している。伝熱面監視装置1は、第1窓W1を通じて第2伝熱面F2を撮影するように、第1伝熱面F1より外側に設けられた第1赤外線カメラ11を備えている。さらに、伝熱面監視装置1は、第2窓W2を通じて第1伝熱面F1を撮影するように、第2伝熱面F2より外側に設けられた第2赤外線カメラ12を備えている。図1における位置P1は、第1窓W1および第2窓W2の位置を示している。位置P1は、例えば放射室119における廃ガス流通方向中央部に位置する。
第1赤外線カメラ11は、第2伝熱面F2を撮影することにより、第2伝熱面の表面温度を測定する。同様に、第2赤外線カメラ12は、第1伝熱面F1を撮影することにより、第1伝熱面F1の表面温度を測定する。赤外線カメラ11,12による測定結果は、赤外線カメラ11,12の撮影範囲における表面温度分布として得られる。表面温度分布は、例えば、撮影範囲が所定の温度範囲に応じて異なる複数の色に色分けされた画像データである。
さらに、伝熱面監視装置1は、放射室119内におけるガス温度を測定する温度計13を備えている。温度計13は、例えば、熱電対を有する温度センサ等を含む。温度計13は、放射室119内に配設される。温度計13の配設位置は、特に限られないが、例えば、第1赤外線カメラ11または第2赤外線カメラ12の撮影画角内に配設される。
第1赤外線カメラ11は、鉛直方向に沿った所定の回転軸R1回りに回転可能である。第2赤外線カメラ12も、同様に、鉛直方向に沿った所定の回転軸R2回りに回転可能である。回転軸R1および回転軸R2は、何れも、第1伝熱面F1または第2伝熱面F2に平行かつ第3伝熱面F3または第4伝熱面F4に平行である。
図3は、図2に示す赤外線カメラを回転させたときを示す図である。図3の例では、第1赤外線カメラ11および第2赤外線カメラ12が何れも第3伝熱面F3に向くように回転させた状態を示している。このように、第1赤外線カメラ11または第2赤外線カメラ12を回転させることにより、第3伝熱面F3を撮影し、第3伝熱面F3の表面温度を測定可能である。同様に、第1赤外線カメラ11または第2赤外線カメラ12を回転させることにより、第4伝熱面F4を撮影し、第4伝熱面F4の表面温度を測定可能である。
なお、第1赤外線カメラ11の撮影画角は、例えば、第1赤外線カメラ11を第2伝熱面F2の正対位置に位置させた状態で、第2伝熱面F2の水平方向両端部が含まれるような画角に設定され得る。ただし、それより狭い画角であってもよい。この場合、上記のように第1赤外線カメラ11を回転軸F1回りに所定角度ずつ回転させて複数枚撮影することにより、第2伝熱面F2の水平方向全域の表面温度分布を得るようにしてもよい。第2赤外線カメラ12についても同様である。
図4は、本実施の形態における伝熱面監視装置の概略構成を示すブロック図である。伝熱面監視装置1は、上述した第1赤外線カメラ11、第2赤外線カメラ12、温度計13および演算器14を備えている。演算器14は、各種データを記憶するストレージを備えたコンピュータによって構成される。例えば、演算器14は、CPU、メインメモリ(RAM)、ストレージ、通信インターフェイス等を備えている。
なお、本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、または、それらの組み合わせを含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本明細書において、回路、ユニット、または手段(…部)は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、ユニット、または手段はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
演算器4は、監視対象の伝熱面F1,F2,F3,F4の表面温度分布を対応する赤外線カメラ11,12から取得する。さらに、演算器14は、監視対象の伝熱面F1,F2,F3,F4により区画されるボイラ104の内部空間のガス温度を温度計13から取得する。演算器4は、伝熱面の表面温度およびガス温度を用いて対応する伝熱面に付着した付着物の厚みを推定する推定演算を行う。
ここで、付着物であるダストの表面温度Tdは、ガス温度Tgおよびダストの厚みtdを用いて以下の式で表される。
ここで、Kは、伝熱管123の熱貫流率であり、Kdは、ダストの表面における熱貫流率であり、Twは、伝熱管123内を流通する水の温度である。αcは、対流熱伝達率であり、αrは輻射熱伝達率であり、αwは、伝熱管123の管内熱伝達率である。λは、伝熱管123の熱伝導率であり、tは伝熱管123の肉厚である。λdはダストの熱伝導率である。
上記式(1)から式(4)に用いられるダストの表面温度Td、ガス温度Tgおよびダストの厚みtd以外の値は、何れも設計時の熱計算または平均実測値等から予め与えられる。したがって、上記式(1)から式(4)は、ダストの表面温度Tdおよびガス温度Tgからダストの厚みtdを求める式として、以下のように書き直せる。
ダストの表面温度Tdは、赤外線カメラ11,12により取得される伝熱面の表面温度に対応する。ガス温度Tgは、温度計13により取得される温度である。演算器14は、温度計13で計測されたガス温度Tgを取得するとともに、伝熱面の表面温度分布からある位置座標における温度を取得し、取得した温度をダストの表面温度Tdとして用いて、上記式(5)よりダストの厚みtdを算出する。すなわち、上記式(5)は、第1項に変数Tg,Tdを含み、第2項は定数である。
上記式(5)において、ガス温度Tgが高くなると、第1項の分子が分母に比べて大きくなるため、ダストの厚みtdが大きくなる。これは、ダストの厚みtdが大きくなるとボイラ104内の排ガスと伝熱管123との間の熱交換が低下した結果、ガス温度Tgの低下が抑制されることを意味する。また、上記式(5)において、ダストの表面温度Tdが高くなると、第1項の分母が小さくなるため、ダストの厚みtdが大きくなる。これは、ダストの厚みtdが大きくなるとボイラ104内の排ガスと伝熱管123との間の熱交換が低下した結果、ダストの表面温度Tdが上昇することを意味する。したがって、ガス温度Tgが高いほどダストの厚みtdが大きくなり、ダストの表面温度Tdが高いほどダストの厚みtdが大きくなる。
演算器14は、伝熱面の表面温度分布、すなわち、赤外線カメラ11,12の撮影画像における複数の位置座標についてダストの厚みtdを算出する。例えば、演算器14は、表面温度分布から所定の座標位置間隔ごとに温度を取得し、取得した温度のそれぞれについてダストの厚みtdを算出する。これにより、赤外線カメラ11,12の撮像画像範囲内の伝熱面におけるダストの厚み分布が得られる。
以上のように、本実施の形態における伝熱面監視装置1によれば、赤外線カメラ11,12で撮影される撮影画像から得られる伝熱面F1,F2,F3,F4の表面温度と、ボイラ104内のガス温度とから、赤外線カメラ11,12の撮像範囲である平面画像に厚み情報が加えられた三次元的な情報として付着物であるダストの厚みtdを得ることができる。したがって、伝熱面F1,F2,F3,F4に付着したダストの厚み分布を定量的かつリアルタイムに推定することができる。また、時間経過に応じて繰り返し撮影を行うことにより、伝熱面F1,F2,F3,F4に付着したダストの厚み分布の時間的変化を得ることもできる。
また、赤外線カメラ11,12が互いに対向配置されるため、対向する伝熱面F1,F2の双方のダストの厚み分布を推定することができる。また、赤外線カメラ11,12が回転軸R1,R2回りに回転するため、赤外線カメラ11,12のための第1窓W1および第2窓W2が設置される第1伝熱面F1および第2伝熱面F2に直交する伝熱面F3,F4のダストの厚み分布も推定することができる。したがって、伝熱面監視装置1に必要な部品点数を抑制しつつ広範囲の伝熱面の状況を監視することができる。
赤外線カメラ11,12の位置は、測定する伝熱面の位置に応じて適宜設定され得る。例えば、第1煙道120における伝熱面におけるダストの厚み分布を得るためには、第1煙道120における位置P2、位置P3またはそれらの両方の位置に赤外線カメラ11,12が設置される。また、例えば、第2煙道121における伝熱面におけるダストの厚み分布を得るためには、第2煙道121における位置P4,P5またはそれらの両方の位置に赤外線カメラ11,12が設置される。
このように、伝熱管123で区画される各排ガス経路の一または複数箇所に赤外線カメラ11,12が設置され得る。複数箇所に赤外線カメラ11,12を設置する場合、排ガス経路の流れ方向、例えば上下方向に複数設置してもよいし、排ガス経路の流れ方向に交差する方向、例えば左右方向に複数設置してもよい。また、本実施の形態において、赤外線カメラ11,12は、左右方向に回転可能である例を示しているが、これに加えて、または、これに代えて、上下方向に回転可能であってもよい。例えば、赤外線カメラ11,12は、水平面に平行な回転軸回りに回転可能であってもよい。
赤外線カメラ11,12の複数個所への設置、赤外線カメラ11,12の回転、またはそれらの組み合わせにより、所望の伝熱面全体を撮影することが可能である。すなわち、伝熱面全体の表面温度分布を取得することができる。したがって、演算器14は、伝熱面全体の表面温度分布から伝熱面全体において付着したダストの厚み分布を推定することができる。
ボイラ104内のガス温度を計測する温度計13も、ボイラ104内の複数箇所に設置され得る。例えば、第1煙道120における伝熱面を監視する場合には、第1煙道120内に温度計13が設置されてもよい。また、例えば、第2煙道121における伝熱面を監視する場合には、第2煙道121内に温度計13が設置されてもよい。また、放射室119、第1煙道120および第2煙道121のそれぞれに温度計13が設置されてもよい。この場合、放射室119の伝熱面におけるダストの厚み分布の推定演算には、放射室119内の温度計13で計測されたガス温度が用いられ、第1煙道120におけるダストの厚み分布の推定演算には、第1煙道120内の温度計13で計測されたガス温度が用いられ、第2煙道121におけるダストの厚み分布の推定演算には、第2煙道121内の温度計13で計測されたガス温度が用いられ得る。
以上のように、伝熱面F1、F2,F3,F4におけるダストの厚み分布が得られることにより、ボイラ104内部の洗浄等を行うためのメンテナンス時期の設定を効率的な時期に設定することができる。例えば、演算器14は、ダストの厚み分布を所定の厚み範囲に応じて異なる複数の色に色分けされた画像データとして、所定のモニタに表示してもよい。さらに、ボイラ104内における洗浄の実施箇所の決定を、ピンポイントで行うことができる。
例えば、伝熱面全体のうち、ダストの厚みtdが所定のしきい値を超えた箇所が所定の基準面積以上になった場合に、メンテナンスを実施するようにしてもよい。例えば、演算器14は、厚み分布の画像をモニタに表示し、その画像上においてダストの厚みがしきい値を超えた箇所を強調表示してもよい。強調表示は、例えば当該箇所を点滅表示させること等を含む。また、メンテナンスを実施する際の洗浄箇所は、所定のしきい値を超えた箇所を中心とする所定の範囲内としてもよい。メンテナンスまたは洗浄作業は、作業員がボイラ104内に入って手作業で行ってもよいし、後述する洗浄装置21により行ってもよい。
[伝熱面洗浄システム]
さらに、本実施の形態では、焼却プラント100は、ボイラ104内の洗浄を行う伝熱面洗浄システム2を備えている。図5は、本実施の形態における伝熱面洗浄システムの概略構成を示すブロック図である。図5に示すように、伝熱面洗浄システム2も、伝熱面監視装置1と同様に、赤外線カメラ11,12および温度計13を備えている。赤外線カメラ11,12および温度計13は、伝熱面監視装置1および伝熱面洗浄システム2で共用してもよいし、伝熱面監視装置1用の赤外線カメラ11,12および温度計13と、伝熱面洗浄システム2用の赤外線カメラ11,12および温度計13とがボイラ104内に設置されてもよい。
さらに、伝熱面洗浄システム2は、洗浄装置21および制御器22を備えている。洗浄装置21は、特に限定されないが、例えば、洗浄流体として水を噴射する水噴射ノズル21aを有する水噴射洗浄装置である。洗浄装置21は、ボイラ104の外部に設置された本体部21bと、ボイラ104内に延出され、本体部21bと水噴射ノズル21aとの間を接続する水供給パイプ21cと、を有する。水供給パイプ21cは、ボイラ104の天井部に位置する挿通孔を介してボイラ104の内部に挿通される。本体部21bは水を圧送するポンプを含む。水供給パイプ21cは、本体部21bからの水が流通し、水噴射ノズル21aから水がボイラ104内に噴射される。本体部21bは、水噴射ノズル21aにおける水噴射の方向または噴射範囲を変更し、水噴射ノズル21aの上下方向位置を変更する駆動部を含んでいる。
制御器22は、各種データを記憶するストレージを備えたコンピュータによって構成される。例えば、制御器22は、CPU、メインメモリ(RAM)、ストレージ、通信インターフェイス等を備えている。
制御器22は、洗浄装置21の動作を制御する。例えば、制御器22は、水噴射ノズル21aの上下方向位置を制御する。また、制御器22は、水噴射ノズル21aにおける水噴射の方向または噴射範囲を制御する。これにより、伝熱面に対して水噴射ノズル21aから水を噴射する位置が制御される。また、制御器22は、水噴射ノズル21aから噴射される水の噴射量を制御する。
制御器22は、伝熱面監視装置1の演算器14が推定したダストの厚み分布に基づいて水噴射ノズル21aの位置および水の噴射量を制御する。例えば、制御器22は、ダストの厚み分布より、ダストの厚みが所定のしきい値以上である位置を目標位置に設定し、目標位置に向けて水噴射が行われるように水噴射ノズル21aの位置を制御する。また、制御器22は、目標位置におけるダストの厚みに応じて水の噴射量を制御する。水の噴射量は、例えば、噴射時間を変更したり、単位時間当たりの噴射量を変更したり、1回あたり所定の噴射量が噴射される場合に噴射回数を変更したりする等により、調整される。
水の噴射量の制御について、制御器22は、機械学習による学習済みモデルを利用して噴射量を決定してもよい。以下の例では、制御器22が強化学習により学習済みモデルを生成する態様を例示する。強化学習では、学習する主体となるエージェントと、制御対象となる環境とのやり取りにより、エージェントの学習が進行する。本実施の形態において、エージェントは、制御器22であり、制御対象となる環境は、ボイラ104および洗浄装置21である。より具体的には、エージェントの学習に際し、次の(A)から(D)が繰り返される。
(A)エージェントが時刻Tにおける環境の状態Stを観測すること。
(B)エージェントが観測結果と過去の学習に基づいて自分が取れる行動Atを選択して、行動Atを実行すること。
(C)行動Atが実行されることで、環境の状態Stが次の状態St+1へと変化し、この状態の変化に基づいて、エージェントが報酬Rt+1を受け取ること。
(D)エージェントが状態St、行動At、報酬Rt+1および過去の学習の結果に基づいて学習を進めること。
上記(D)における学習では、エージェントは将来取得できる報酬Rの量を判断するための基準となる情報として、状態St、行動At、報酬Rt+1のマッピングを獲得する。例えば、各時刻において取り得る状態の個数をm、取り得る行動の個数をnとすると、行動を繰り返すことによって状態Stおよび行動Atの組に対する報酬Rt+1を記憶するm×nの2次元配列が得られる。そして、上記得られたマッピングに基づいて現在の状態や行動がどのくらい良いのかを示す関数である価値関数または評価関数を用い、行動を繰り返す中で価値関数を更新していくことにより状態に対する最適な行動を学習する。
価値関数の1つとして知られる状態行動価値関数Q(St,At)は、ある状態Stにおいて行動Atがどのくらい良い行動であるのかを示す。状態行動価値関数Q(St,At)は、状態および行動を引数とする関数として表現される。状態行動価値関数Q(St,At)は、行動を繰り返す中での学習において、ある状態における行動に対して得られた報酬や、行動により移行する未来の状態における行動の価値などに基づいて更新される。状態行動価値関数Q(St,At)の更新式は強化学習のアルゴリズムに応じて定義されており、例えば、代表的な強化学習アルゴリズムの1つであるQ学習においては、状態行動価値関数Q(St,At)の更新式は、以下の式(6)で定義される。
ただし、
Q:状態行動価値関数
S
t:時刻tの状態
A
t:時刻tの状態に対する行動
R
t+1:時刻t+1の状態から得られる報酬
η:学習係数(0<η≦1)
γ:割引率(0<γ≦1)
そして、上記(B)における行動Atの選択においては、過去の学習によって作成された価値関数を用いて現在の状態Stにおいて将来にわたっての報酬(Rt+1+Rt+2+…)が最適となる行動At、すなわち、状態Stにおいて最も価値の高い行動Atを選択する。Q学習においては、報酬(Rt+1+Rt+2+…)が最適となる行動Atは、報酬(Rt+1+Rt+2+…)が最大となる行動Atに相当する。
強化学習のアルゴリズムとしては、Q学習、SARSA法、TD学習、AC法など様々な手法が周知であるが、本発明に適用する方法としていずれの強化学習アルゴリズムが採用されてもよい。これらの強化学習アルゴリズムは周知であるから、本明細書における各アルゴリズムの更なる詳細な説明は省略する。
また、価値関数の更新方法として、現在の状態Stに対してある行動Atを適用することにより状態Stが新たな状態St+1に移行するたびに、価値関数の更新を行う学習方法、いわゆるオンライン学習を採用しなくてもよい。例えば、現在の状態Stに対してある行動Atを適用することにより状態Stが新たな状態St+1に移行するということを繰り返して、それら状態および行動を学習用データとして蓄積し、蓄積した学習用データを用いて価値関数を更新する、いわゆるバッチ学習やミニバッチ学習を採用してもよい。
このために、制御器22は、噴射量出力部221、状態値取得部222、報酬計算部223および学習部224を含んでいる。
噴射量出力部221は、洗浄装置21に対する指令値として噴射量を出力する。噴射量が後述する運転値となる。状態値取得部222は、赤外線カメラ11,12で撮影された撮影画像から得られる伝熱面の表面温度および温度計13で計測されたガス温度Tgを、状態値として取得する。取得した状態値は、制御器22のストレージに記憶される。ストレージには、所定時間ごとの状態値が履歴として記憶される。さらに、状態値取得部222は、噴射量指令値も取得し、ストレージに記憶する。ストレージには、洗浄装置21が洗浄を行った伝熱面の位置、洗浄を行った時刻および水の噴射量が履歴として記憶される。これにより、報酬計算部223は、所定の伝熱面位置で洗浄を行った時刻より所定時間前までの期間に含まれる当該伝熱面位置における伝熱面の表面温度Tdおよびガス温度Tgを、洗浄前表面温度および洗浄前ガス温度とみなし、洗浄を行った時刻から所定時間後までの期間に含まれる当該伝熱面位置における伝熱面の表面温度Tdおよびガス温度Tgを、洗浄後表面温度および洗浄後ガス温度とみなして、以下の計算を行う。
報酬計算部223は、予め設定された報酬条件に基づいて、状態値取得部222で取得した状態値を分析して報酬を計算する。報酬計算部223は、計算した報酬を学習部224に出力する。
報酬条件は、強化学習における報酬を与える条件である。報酬条件は、予めストレージ記憶される。例えば、報酬条件は、洗浄後ガス温度が低いと判定される場合には、洗浄後ガス温度が高いと判定される場合に比べて大きい報酬を与えることを含む。また、例えば、報酬条件は、洗浄後表面温度が高いと判定される場合には、洗浄後表面温度が低いと判定される場合に比べて大きい報酬を与えることを含む。報酬には、例えば、プラスの報酬、マイナスの報酬、または、報酬なし、すなわち、報酬ゼロなどがある。
報酬計算部223は、洗浄後ガス温度が所定の第1基準値より小さい場合にはプラスの報酬を計算し、第1基準値より大きい場合にはマイナスまたはゼロの報酬を計算する。また、報酬計算部223は、洗浄後表面温度が所定の第2基準値より小さい場合にはプラスの報酬を計算し、第2基準値より大きい場合にはマイナスまたはゼロの報酬を計算する。第1基準値および第2基準値は、シミュレーションや過去の運転結果などにより決定され、制御器22のストレージに予め記憶されている。
洗浄後ガス温度自体を比較するのに代えて、報酬計算部223は、洗浄前ガス温度から洗浄後ガス温度を差し引いた値を、所定の第3基準値と比較し、その値が第3基準値より大きい場合にはプラスの報酬を計算し、第3基準値より小さい場合にはマイナスまたはゼロの報酬を計算してもよい。同様に、洗浄後表面温度自体を比較するのに代えて、報酬計算部223は、洗浄前表面温度から洗浄後表面温度を差し引いた値を所定の第4基準値と比較し、その値が第4基準値より大きい場合にはプラスの報酬を計算し、第4基準値より小さい場合にはマイナスまたはゼロの報酬を計算してもよい。
ここで、報酬の計算には、すべての伝熱面位置における洗浄について行われなくてもよい。例えば、計算対象として予め定められた伝熱面位置において、演算器14が推定したダストの厚みが所定のしきい値以上となることにより、洗浄装置21が当該伝熱面位置を洗浄した場合に、報酬計算部223は、当該洗浄に関する水の噴射量、洗浄後表面温度および洗浄後ガス温度から報酬を計算してもよい。
学習部224は、洗浄装置21への噴射量指令値、状態値取得部222から取得した状態値および報酬計算部223で計算された報酬に基づいて、現在の状態値から運転値、すなわち、噴射量出力部221が出力する噴射量を決定する機械学習を行う。より詳しくは、学習部224は、状態値の組み合わせにより定義される状態Stと、当該状態における運転値の決定とを引数で表現した価値関数、例えば、状態行動価値関数Q(St,At)を用いて、得られる報酬が最大となるように価値関数を更新する。
学習部224が学習した結果は、学習済みモデルとしてストレージに記憶される。なお、学習結果としての価値関数を記憶する方法としては、近似関数を用いる方法や、配列を用いる方法を一般的に用いられる。ただし、これらの方法以外にも、例えば状態が多くの状態を取るような場合には状態St、行動Atを入力として価値を出力する多値出力のSVMやニューラルネットワーク等の教師あり学習器を用いる方法などが用いられてもよい。
噴射量出力部221は、学習済みモデルと現在の状態値とに基づき、運転値である噴射量を出力する。
なお、学習済みモデルは、伝熱面の位置によらない共通の学習済みモデルであってもよいし、伝熱面の位置または領域に応じて異なる複数の学習済みモデルを含んでもよい。例えば、放射室119と、第1煙道120と、第2煙道121とでは、噴射量を決定するために用いられる学習済みモデルが互いに異なっていてもよい。この場合、学習部224は、放射室119における状態値および放射室119内での噴射量に基づいて、機械学習を行う。第1煙道120および第2煙道121についても同様である。また、例えば、第1伝熱面F1、第2伝熱面F2、第3伝熱面F3および第4伝熱面F4において、噴射量を決定するために用いられる学習済みモデルが互いに異なっていてもよい。
次に、本実施の形態における機械学習の流れを説明する。図6は、図5に示す制御器が行う機械学習の流れを示すフローチャートである。
機械学習が開始されると、状態値取得部222は、ステップS1において、時刻tにおける状態値を、状態Stを特定するためのデータとして取得する。状態値取得部222は、取得した状態値をストレージに記憶する。学習部224は、ステップS2において、状態値取得部222が取得した状態値に基づいて、現在の状態Stを特定する。学習部224は、ステップS3において、過去の学習結果と特定された状態Stとに基づいて行動Atを選択する。行動Atとは、定義された状態Stに応じた運転値の決定である。ここで、例えば、複数の運転値を選択可能な行動として用意しておき、過去の学習結果に基づいて将来に得られる報酬Rが最も大きくなる行動Aを選択するようにしてもよい。噴射量出力部221は、選択された行動Atに基づいて、出力すべき運転値を決定し、決定された運転値を洗浄装置21へ出力する。ステップS4において、洗浄装置21によって行動Atが実行され、ボイラ104内の洗浄が行われる。
行動Atが実行されて状態が移行した後、状態値取得部222は、ステップS5において、状態St+1を特定するためのデータを状態値として取得する。この段階においては、ボイラ104の状態は、時刻tから時刻t+1への時間的推移とともに、実行された行動Atによって変化している。報酬計算部223は、ステップS6において、設定された報酬条件に基づいて、時刻t+1の状態値から報酬Rt+1を求める。学習部224は、ステップS7において、状態St、行動At、および、報酬Rt+1に基づいて機械学習を進める。学習に用いられる価値関数は、適用する学習アルゴリズムに応じて決定される。学習部224は、ステップS8において、学習結果をストレージに記憶する。時刻t+1における学習は、図6に示すフローチャートにおける時刻tを時刻t+1に読み替えて上記と同様に実行可能である。
このように、学習部224は、機械学習を繰り返す。学習部224による学習は、噴射量制御に関して最適なシステムが実現されたことが確認された段階で完了させてもよい。例えば、報酬計算部223が計算した報酬が所定の割合以上でプラスになる段階で学習部224による学習を完了させてもよい。学習完了後は、新たに得られた状態値および運転値を用いた学習は行われず、学習済みモデルは更新されない。
一方、学習部224における機械学習を完了させずに継続してもよい。洗浄装置21およびボイラ104の経年変化により最適な運転値は変化し得る。機械学習を継続することにより、最適な運転値の変化にも対応可能となる。
以上のように、本実施の形態における伝熱面洗浄システム2によれば、赤外線カメラ11,12で撮影される撮影画像から得られる伝熱面F1,F2,F3,F4の表面温度と、ボイラ104内のガス温度Tgとを状態値とし、洗浄装置21による洗浄後のガス温度Tgに基づいて報酬を計算することにより、運転値である洗浄装置21から噴射される水の最適な噴射量が学習される。これにより、伝熱面の表面温度Tdおよびガス温度Tgから推定されるダストの厚みtdと、ダストを洗浄するための水の噴射量とを、伝熱面の表面温度分布に応じた伝熱面の位置ごとにピンポイントで相関させることができる。したがって、伝熱面に付着したダストの厚みに対して適切な洗浄能力を作用させることができる。
また、本実施の形態では、上述の通り、報酬計算部223は、洗浄後ガス温度が所定の第1基準値より小さい場合にはプラスの報酬を計算し、第1基準値より大きい場合にはマイナスまたはゼロの報酬を計算する。あるいは、報酬計算部223は、洗浄後ガス温度から洗浄前のガス温度を差し引いた値が所定の第3基準値より小さい場合にはプラスの報酬を計算し、第3基準値より大きい場合にはマイナスまたはゼロの報酬を計算する。これにより、洗浄によりガス温度Tgが低下したことを、ダストの厚みtdが低減し、ボイラ104内の排ガスと伝熱管123との間の熱効率が上昇したとみなして評価することができる。
さらに、本実施の形態では、洗浄後ガス温度に加えて、洗浄後表面温度に基づいても報酬が計算される。これにより、複数の評価基準を用いたより適切な学習を行うことができる。この際、報酬計算部223は、洗浄後表面温度が所定の第2基準値より大きい場合にはプラスの報酬を計算し、第2基準値より小さい場合にはマイナスまたはゼロの報酬を計算する。あるいは、報酬計算部223は、洗浄後表面温度から洗浄前表面温度を差し引いた値が所定の第4基準値より大きい場合にはプラスの報酬を計算し、第4基準値より小さい場合にはマイナスまたはゼロの報酬を計算する。これにより、洗浄により伝熱面の表面温度が上昇したことを、ダストの厚みtdが低減し、ボイラ104内の排ガスと伝熱管123との間の熱効率が上昇したとみなして評価することができる。
さらに、本実施の形態では、洗浄装置21として水を噴射する水噴射洗浄装置が用いられる。これにより、狭い面積単位での洗浄が可能となり、よりピンポイントな洗浄を行うことができる。
[変形例]
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
例えば、上記実施の形態においては、焼却プラント100の排ガスを利用する廃熱ボイラに適用される例を示したが、本開示の構成は、ダストが発生する固体燃料焚きボイラに広く適用可能である。
また、上記実施の形態においては、第1伝熱面F1および第2伝熱面F2に赤外線カメラ11,12が設置される態様を例示したが、これに加えてまたはこれに代えて、第3伝熱面F3または第4伝熱面F4に赤外線カメラが設置されてもよい。また、少なくとも1つの伝熱面における表面温度分布を得るために少なくとも1つの赤外線カメラが設置されてもよい。
また、上記実施の形態においては、伝熱面監視装置1の演算器14と、伝熱面洗浄システム2の制御器22とは、別のコンピュータにより構成される例を示したが、これに限られない。例えば、伝熱面洗浄システム2の制御器22が伝熱面監視装置1の演算器14を有してもよい。また、例えば、焼却プラント100の制御装置が演算器14および制御器22を有してもよい。
また、上記実施の形態においては、制御器22が機械学習を行うための機能ブロックまたは回路222,223,224を有する態様を例示したが、伝熱面洗浄システム2は、機械学習を行うための学習器を別途備えてもよい。
また、上記実施の形態においては、報酬計算部223が、洗浄後ガス温度に加えて、洗浄後表面温度に基づいても報酬を計算する態様を例示したが、報酬計算部223は、洗浄後ガス温度のみに基づいて報酬を計算してもよい。
また、上記実施の形態においては、洗浄装置21が洗浄流体として水を噴射する水噴射ノズル21aを備えた水噴射洗浄装置である態様を例示したが、これに限られない。例えば、洗浄装置21は、洗浄流体として蒸気を噴射する蒸気噴射ノズルを備えた蒸気式洗浄装置でもよい。また、例えば、洗浄装置21は、洗浄流体として圧力波を噴出する排出ダクトを備えた圧力波式洗浄装置でもよい。複数種類の洗浄装置を組み合わせてもよい。例えば、放射室119および第1煙道120を洗浄する洗浄装置21を、水噴射洗浄装置とし、過熱器が内部に張り出している第2煙道121を洗浄する洗浄装置21を、圧力波式洗浄装置または蒸気式洗浄装置としてもよい。
また、上記実施の形態においては、洗浄装置21が、ボイラ104の天井部を介してボイラ104内に洗浄流体を供給する構成を例示したが、これに限られない。例えば、洗浄装置21は、ボイラ104の側壁部を介してボイラ104内に洗浄流体を供給してもよい。例えば、伝熱面F1,F2,F3,F4のうちの少なくとも何れか1つの伝熱面は、水供給パイプ21cが挿通される挿通孔を有してもよい。この場合、複数の伝熱面領域を洗浄可能とするために、伝熱面は、複数の挿通孔を有し得る。
また、上記実施の形態においては、焼却プラント100が伝熱面監視装置1および伝熱面洗浄システム2の双方を備えた構成を例示したが、伝熱面監視装置1は、伝熱面洗浄システム2を有していない焼却プラント等のボイラにも適用可能である。すなわち、伝熱面監視装置1は、学習済みモデルを用いた洗浄のための噴射量の制御が行われないボイラ104に対しても適用可能である。
[本開示のまとめ]
本開示の一態様に係る伝熱面監視装置(1)は、ボイラ(104)の内部に露出した伝熱面(F1,F2,F3,F4)を撮影することにより、前記伝熱面(F1,F2,F3,F4)の表面温度を測定する赤外線カメラ(11,12)と、前記ボイラ(104)の内部空間におけるガス温度を測定する温度計(13)と、前記伝熱面(F1,F2,F3,F4)に付着した付着物の厚みを推定する演算器(14)と、を備え、前記演算器(14)は、測定された前記伝熱面(F1,F2,F3,F4)の表面温度および測定された前記ガス温度を用いて前記伝熱面(F1,F2,F3,F4)に付着した付着物の厚みを推定する。
上記構成によれば、赤外線カメラ11,12で撮影される撮影画像から得られる伝熱面F1,F2,F3,F4の表面温度と、ボイラ104内のガス温度とから、赤外線カメラ11,12の撮像範囲である平面画像に厚み情報が加えられた三次元的な情報として付着物であるダストの厚みtdを得ることができる。したがって、伝熱面F1,F2,F3,F4に付着したダストの厚み分布を定量的に推定することができる。
前記伝熱面は、前記ボイラ(104)の内部空間を画する第1伝熱面(F1)と、前記第1伝熱面(F1)に対向する第2伝熱面(F2)とを含み、前記第1伝熱面(F1)は、赤外線が透過する第1窓(W1)を有し、前記第2伝熱面(F2)は、赤外線が透過する第2窓(W2)を有し、前記赤外線カメラは、前記第1窓(W1)を通じて前記第2伝熱面(F2)を撮影するように、前記第1伝熱面(F1)より外側に設けられた第1赤外線カメラ(11)と、前記第2窓(W2)を通じて前記第1伝熱面(F1)を撮影するように、前記第2伝熱面(F2)より外側に設けられた第2赤外線カメラ(12)と、を含んでもよい。
本態様によれば、赤外線カメラ11,12が互いに対向配置されるため、対向する伝熱面F1,F2の双方のダストの厚み分布を推定することができる。
前記伝熱面は、前記第2伝熱面(F2)に交差する方向に設けられる第3伝熱面(F3)を含み、前記第1赤外線カメラ(11)は、前記第2伝熱面(F2)および前記第3伝熱面(F3)を撮影するために、前記第2伝熱面(F2)および前記第3伝熱面(F3)に平行な回転軸(R1)回りに回転してもよい。
本態様によれば、第1赤外線カメラ11が回転軸R1回りに回転するため、第1赤外線カメラ11のための第1窓W1が設置される第1伝熱面F1に対向する第2伝熱面F2および第2伝熱面F2に直交する第3伝熱面F3のダストの厚み分布も推定することができる。したがって、伝熱面監視装置1に必要な部品点数を抑制しつつ広範囲の伝熱面の状況を監視することができる。
本開示の他の態様に係る伝熱面監視方法は、ボイラ(104)の内部に露出した伝熱面(F1,F2,F3,F4)を赤外線カメラ(11,12)で撮影することにより、前記伝熱面(F1,F2,F3,F4)の表面温度を測定し、前記ボイラ(104)の内部空間におけるガス温度を測定し、測定された前記伝熱面(F1,F2,F3,F4)の表面温度および測定された前記ガス温度を用いて前記伝熱面(F1,F2,F3,F4)に付着した付着物の厚みを推定する。