以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
まず、本実施の形態のシールド掘進機の全体構成について図1を参照して説明する。図1は本実施の形態のシールド掘進機の内部を横から透かして見た要部構成図である。
本実施の形態のシールド掘進機1は、例えば、カッタヘッド2で掘削された土砂に添加材を注入して練り混ぜることで生成された不透水性と塑性流動性(自由に変形および移動できる性質)とを有する泥土を、カッタヘッド2と機器本体3との間のチャンバ4内に充填した状態で掘進することにより、切羽の土圧に対抗する泥土圧を発生させて切羽の安定性を確保した状態で掘削を行う泥土加圧式のシールドマシンである。
カッタヘッド2は、地盤を掘削するシールドカッタ盤であり、シールド掘進機1の先端頭部の前面に機器本体3の周方向に沿って正逆方向に回転可能な状態で設置されている。
このカッタヘッド2の前面(切羽に対向する面)には、センタービットCB、ビットBおよびスクレーパツース(図示せず)等が装着されている。センタービットCBやビットBは、主に地山を切り崩す掘削部品であり、スクレーパツースは、主に地山を切削する切削部品である。なお、ビットBに代えて、例えば、ローラカッタ等を装着してもよい。
また、カッタヘッド2の外周には、コピーカッタCCが設置されている。コピーカッタCCは、曲線施工時の余堀りやシールド掘進機1の姿勢制御等を行う役割を備えている。また、カッタヘッド2の裏面内の中央周辺には、複数本の攪拌棒SBが装着されている。攪拌棒SBは、例えば、円柱状の突出部材で形成されており、カッタヘッド2が回転するとチャンバ4内の土砂と添加材とを撹拌混合する役割を備えている。なお、この攪拌棒SBには、例えば、振動センサが内装されている。
機器本体3は、シールド掘進機1を駆動する主要構成部である。シールド掘進機1を駆動する機器等は、機器本体3の外殻を構成するスキンプレート5によって取り囲まれ保護されている。スキンプレート5は、前胴プレート(前胴部)5aと、その後方の後胴プレート(後胴部)5bとを有している。この前胴プレート5aと後胴プレート5bとは、例えば、円筒状の鋼製板によって構成されており、後胴プレート5bの先端の球面軸受部が前胴プレート5aの内周面に接した状態で入り込むことで係合されている。
後胴プレート5bは、前胴プレート5a側に位置する後胴内筒部5ba、および後胴内筒部5baに後続して設置された後胴外筒部5bbで構成されている。なお、後胴プレート5bの詳細な構造については後述する。
スキンプレート5内の中空空間は、前胴プレート5aの内部に設けられた隔壁7によって切羽側と機内側とに区画されている。隔壁7の切羽側(すなわち、カッタヘッド2と隔壁7との間)には、前述のチャンバ4が設けられている。なお、カッタヘッド2により掘削された土砂等は、カッタヘッド2の前裏面を貫通する貫通孔(図示せず)を通じチャンバ4内に取り込まれるようになっている。
一方、スキンプレート5の中空空間の機内側には、カッタ駆動体8、中折れジャッキ9a、シールドジャッキ9b、スクリューコンベア10、エレクタ11およびテールシール12Ba,12Bb等が設置されている。また、シールドジャッキ9bを構成するロッド9baの先端には、シールドジャッキ9bの推力をセグメントSG(後述する)の広い範囲に伝えるためのスプレッダ15が、シールドジャッキ9bのロッド9baの位置とセグメントSGの位置とを合わせるためのブロック9bbを介して取り付けられている。なお、図示はしないが、機器本体3には、上記の他に、チャンバ4内の泥土圧を検出する土圧検出部やチャンバ4内に上記添加材(作泥土材)を注入する添加材注入部等、種々の機器が設置されている。
カッタ駆動体8は、カッタヘッド2を正逆方向に回転させるモータ(駆動源)であり、カッタヘッド2の正面内の外周近傍位置に、カッタヘッド2の周方向に沿って複数個並んで設置されている。なお、ここでは、カッタ駆動方式として外周支持駆動方式が例示されている。
中折れジャッキ9aは、シールド掘進機1の推進方向や姿勢を修正する機器であり、機器本体3内において前胴プレート5aと後胴プレート5bとを連結するように前胴プレート5aと後胴プレート5bとの境界を跨いだ状態で機器本体3の周方向に沿って複数本並んで設置されている。この中折れジャッキ9aに圧油を供給し前胴プレート5aと後胴プレート5bとを予め決められた方向および角度に屈折させた状態でシールド掘進機1を推進することでシールド掘進機1の推進方向や姿勢を制御することが可能になっている。
シールドジャッキ9bは、機器本体3の後方に設置されたセグメントSGに反力をとってシールド掘進機1を前進させるための推進力を発生させる機器であり、後胴プレート5bを構成する後胴内筒部5baに設置されている。このシールドジャッキ9bは前胴プレート5aと後胴プレート5bとの境界を跨いだ状態で配置されており、機器本体3の周方向に沿って複数本並んで設置されている。
スクリューコンベア10は、チャンバ4内に取り込まれた土砂を機外に排出するための機器であり、チャンバ4から隔壁7を貫通し、後方に向かって斜め上方に連続的に延在するように設置されている。なお、ここでは、リボンスクリューコンベアが例示されている。
エレクタ11は、セグメントSGを把持して掘削坑の内周方向に旋回し、掘削坑の内周方向の組立位置に移送する組立装置であり、後胴内筒部5baの内周面に沿って設けられた中間リング体16に取り付けられて、エレクタ駆動用の油圧モータ(図示せず)等によって掘削坑の周方向に沿って回転可能な状態で後胴プレート5bの中空内に設置されている。
テールシール12Ba,12Bbは、後胴プレート5bを構成する後胴外筒部5bbの後端においてスキンプレート5の内周とセグメントSGの外周との間に設けられており、掘進作業中に、シールド掘進機1の後端側の外部から機器本体3の機内に、地下水、土砂および裏込め材等(以下、地下水等という)が入り込むのを防止する止水構造部であり、バネ性を有する金属製のブラシ、および当該ブラシを挟むようにブラシの前後と内部に配置された弾性を有する金属板で構成されている。
テールシール12Ba,12Bbは、例えば、スキンプレート5の最後端側の内周において、シールド掘進機1の前後方向(シールド掘進機1の中心軸方向、掘削坑の延在方向)に沿って互いに離間した状態で2箇所に設置されているとともに、各テールシール12Ba,12Bbは、セグメントSGの外周を取り囲むようにスキンプレート5の内周に沿って環状に複数個並んだ状態で設置されている。また、これらのテールシール12Ba,12Bbの間には、シール室12Rが形成されている。なお、テールシールの設置個数は2箇所に限定されるものではなく、例えば、シールド掘進機1の前後方向に沿って3箇所以上に設置してもよい。
また、各テールシール12Ba,12Bbは、スキンプレート5の内周に片持ち状態で設置されている。すなわち、各テールシール12Ba,12Bbの一端側(機器本体3の前後方向の一端側)はスキンプレート5の内周に固定され、テールシール12Ba,12Bbの一端側と他端側(機器本体3の前後方向の他端側)との間でセグメントSGに向かって傾斜した状態で折れ曲がり、さらに、テールシール12Ba,12Bbの他端側はテールシール12Ba,12Bbのバネ力によってセグメントSGに押し付けられた状態で接触するようになっている。
また、後胴プレート5bの外周には、シール剤供給管14が設置されている。シール剤供給管14は、シール室12Rにグリス等のようなシール剤を供給するための配管であり、後胴プレート5bの外周の複数個設置されている。このシール剤供給管14を通じてシール室12R内にシール剤が充填されることにより、スキンプレート5の内周とセグメントSGの外周との隙間がシールされ、テールシール12Ba,12Bbと相俟って、掘進作業中にシールド掘進機1の機内に地下水等が入り込むことが防止される。
さらに、後胴プレート5bの外壁には、裏込め材供給路(図示せず)が設置されている。裏込め材供給路は、例えば、セメント系の硬化材または固化材からなる裏込め材をスキンプレート5の後方の掘削坑とセグメントSGとの隙間に供給するための配管である。なお、掘削坑とセグメントSGとの隙間に裏込め材を充填することにより、地盤沈下が防止され、さらに、セグメントSGと地山とが一体構造となってセグメントSGの継手からの漏水が防止される。
また、裏込め材供給路は、例えば、スキンプレート5の頂部を挟んで2箇所に設けられている。シール剤供給管14はスキンプレート5の外周の複数箇所に設けられているのに対して、裏込め材供給路はスキンプレート5の頂部付近にしか設けられていない。これは、シール剤は粘性が高いので、セグメントSGの外周に付着させるためにはスキンプレート5の内周に満遍なく供給しなければならないのに対して、裏込め材は粘性が低いのでスキンプレート5の頂部付近に供給すれば自重でセグメントSGの外周下部にまで回り込むからである。
なお、シール剤供給管14および裏込め材供給路の形成箇所や形成数は上記したものに限定されない。例えば、シール剤供給管14はさらに数多く設けてもよく、裏込め材供給路はスキンプレート5の軸方向の頂部の1箇所だけに設けてもよい。
次に、シールド掘進機1の後胴プレート5bについて図2を用いて説明する。図2は後胴プレート5bを横から見た要部構成図である。なお、図2では、後胴外筒部5bbが移動して後胴プレート5bが最も長くなった状態となっている。
後胴プレート5bの構造について説明する。後胴プレート5bは、前胴プレート5a側に位置する後胴内筒部5ba、および後胴内筒部5baに後続して設置された後胴外筒部5bbで構成されており、後胴内筒部5baと後胴外筒部5bbとが軸方向で部分的に重なり合っている。また、後胴外筒部5bbは後胴内筒部5baと摺動するようにして軸方向に移動可能になっている。したがって、後胴外筒部5bbの移動によって後胴プレート5bの全長が伸縮する。
図2に示すように、後胴外筒部5bbの内周面には、第1の固定部材用溝部(第1の固定部材用係合部)21、第2の固定部材用溝部(第2の固定部材用係合部)22および伝達部材用溝部(伝達部材用係合部)23が前方から後方に向かって周方向に形成されている。なお、本願において「周方向」とは、後胴外筒部5bbの軸方向に対する垂直面内での方向をいう。
第1の固定部材用溝部21および第2の固定部材用溝部22には、後胴外筒部5bbを後胴内筒部5baに固定して当該後胴外筒部5bbが移動できないようにするための固定部材17がボルトにより着脱可能に且つ選択的に嵌まり込む(係合する)ようになっている。すなわち、図示するように、固定部材17が第1の固定部材用溝部21に嵌まり込むとともに後胴内筒部5baに設けられた中間リング体16に設けられた固定台16aにボルトで固定されることにより、後胴外筒部5bbが伸びた位置、つまり後胴プレート5bの長さが相対的に長くなった状態(第1の状態)で後胴外筒部5bbが後胴内筒部5baに固定される。また、第1の固定部材用溝部21があった位置が第2の固定部材用溝部22の位置となる長さまで後胴外筒部5bbが縮み、その長さで固定部材17が第2の固定部材用溝部22に嵌まり込むとともに後胴内筒部5baに設けられた中間リング体16に設けられた固定台16aにボルトで固定されることにより、後胴外筒部5bbが縮んだ位置、つまり後胴プレート5bの長さが相対的に短くなった状態(第2の状態)で後胴外筒部5bbが後胴内筒部5baに固定される。
なお、本実施の形態では、このように後胴外筒部5bbが2段階に移動するようになっているが、3段階以上に移動するようになっていてもよい。この場合には、第1の固定部材用溝部21および第2の固定部材用溝部22以外にさらに固定部材用溝部を形成する。また、本実施の形態では、固定部材17が後胴内筒部5baに設けられた中間リング体16に設けられた固定台16aに固定されることで後胴外筒部5bbが後胴内筒部5baに固定されるようになっているが、固定部材17は後胴内筒部5baの中間リング体16以外に設けられた固定台に固定されるようになっていてもよい。
また、伝達部材用溝部23には、シールドジャッキ9bに固定され、シールドジャッキ9bの伸縮により後胴外筒部5bbを軸方向に移動させる伸縮力伝達部材18(図16等)がボルトにより着脱可能に嵌まり込む(係合する)ようになっている。したがって、シールドジャッキ9bの伸縮によって後胴外筒部5bbは前述の第1の状態または第2の状態に移動する。
なお、本実施の形態では、第1の固定部材用係合部、第2の固定部材用係合部および伝達部材用係合部は凹状に形成された第1の固定部材用溝部21、第2の固定部材用溝部22および伝達部材用溝部23となって固定部材17や伸縮力伝達部材18が嵌まり込む構造になっているが、凹状である必要はなく、固定部材17や伸縮力伝達部材18が係合できるようになっていればよい。但し、後述するように、後胴外筒部5bbの内周面と摺動するようにしてスプレッダ15が移動することから、固定部材17や伸縮力伝達部材18をボルト締結するためのブロックを設けると、当該ブロックが内径側に出っ張った突起となってスプレッダ15と干渉するので望ましくない。
ここで、図3は図1のシールド掘進機を図2のA線に沿って示す断面図、図4は図3の一部を抽出して示す図、図5は図1のシールド掘進機を図2のB線に沿って示す断面図である。
図3に示すように、後胴内筒部5baの内周面に沿って中間リング体16が環状に設けられており、中間リング体16には、複数本(本実施の形態では8本)のシールドジャッキ9bが一定の間隔を開けて周方向に設置されている。また、シールドジャッキ9bとシールドジャッキ9bとの間には、後胴外筒部5bbを後胴内筒部5baに固定するための固定部材17が、後胴外筒部5bbに形成された第1の固定部材用溝部21に嵌め込まれた状態で位置している。
さらに、上下2カ所ずつのシールドジャッキ9bと固定部材17との間には、後胴外筒部5bbの後胴内筒部5baに対する周方向へのずれを規制するためのローリングストッパ(規制手段)19が設けられている。なお、ローリングストッパ19により、後述する曲線施工時に発生しやすいローリング(後胴外筒部5bbの周方向へのずれ)が防止される。
図4および後述する図8に示すように、ローリングストッパ19は、後胴外筒部5bbの軸方向に沿って延びた嵌合溝19aと、後胴内筒部5baに設けられて嵌合溝19aに嵌まり込んで嵌合溝19aに沿って移動可能な嵌合部材19bとからなる。嵌合溝19aは、後胴外筒部5bbの内周面に相互に平行に設置された一対の板状体20に挟まれた空間で形成されている。なお、本実施の形態では、嵌合溝19aが後胴外筒部5bbに形成され、嵌合部材19bが後胴内筒部5baに設けられているが、これとは逆に、嵌合溝19aが後胴内筒部5baに形成され、嵌合部材19bが後胴外筒部5bbに設けられていてもよい。
図5に示すように、シールドジャッキ9bの先端に取り付けられたスプレッダ15は、その押圧面15f(セグメントSGの先端面に対向し、セグメントSGを押圧する面)がシールドジャッキ9bのロッド9baの先端面やブロック9bbの先端面よりも後胴外筒部5bbの周方向に沿って長い正面視で略円弧状に形成されている。このような形状により、シールドジャッキ9bの推力が拡散されてセグメントSGに伝達される。
図5において、スプレッダ15における後胴外筒部5bbの内周面側の両端部には、当該スプレッダ15が後胴外筒部5bbの径方向外側へ変位することを規制する脚部(規制突起)15aが形成されている。
スプレッダ15はシールドジャッキ9bのロッド9baの位置とセグメントSGの位置とを合わせるためのブロック9bbの先端に取り付けられており、図2に示すように、ブロック9bbは、シールドジャッキ9bのロッド9baに押される部分よりもセグメントSGを押す部分(つまり、スプレッダ15が取り付けられた部分)の方が後胴外筒部5bbの径方向外側に位置している。そのため、シールドジャッキ9bによりセグメントSGを押したとき、スプレッダ15は後胴外筒部5bbの径方向外側へ変位しようとする。このとき、後胴外筒部5bbの径方向外側へ変位を規制する脚部15aが形成されていないと、スプレッダ15の後胴外筒部5bbの径方向外側への変位が許容されてしまい、シールドジャッキ9bを伸長させてシールド掘進機1を掘進したときにスプレッダ15で押されている環状のセグメントSGに対して径方向外側へと拡がる力が作用することになる。一方、本実施の形態のように脚部15aが形成されていると、セグメントSGに径方向外側へと拡がる力が作用することはない。
本実施の形態では、スプレッダ15における後胴外筒部5bbの内周面側の両端部に形成された2箇所の突起である脚部15aによりスプレッダ15における後胴外筒部5bbの径方向外側への変位を規制しているが、突起は1箇所あるいは3箇所以上であってもよい。
なお、スプレッダ15側に脚部15aなどの突起を形成するのではなく、後胴外筒部5bbの内周面にスプレッダ15の変位を規制するための突起を形成することも考えられる。しかしながら、本実施の形態のシールド掘進機1では、前述のように、後胴外筒部5bbは後胴内筒部5baと摺動するようにして軸方向に移動するようになっていることから、後胴内筒部5baと接する後胴外筒部5bbの内周面に突起を設けると移動の妨げになる。よって、このような突起を設けることは望ましくない。
また、後胴外筒部5bbの内周面には前述した第1の固定部材用溝部21、第2の固定部材用溝部22および伝達部材用溝部23が形成されている。したがって、スプレッダ15が溝部22,23の位置に到達したときには脚部15aが溝部22,23に嵌まり込むことになる。そして、嵌まり込みを防止するためには、溝部22,23におけるスプレッダ15の脚部15aが通過する箇所を後胴外筒部5bbの内周面と面一にしておく必要がある。なお、脚部15aが通過する箇所の固定部材用溝部22および伝達部材用溝部23と後胴外筒部5bbの内周面とを面一にするための部材(フラットプレート24)については後述する。
ここで、図6は本実施の形態におけるスプレッダおよびその周辺の機構を平面視で示す図、図7は比較例としてのスプレッダおよびその周辺の機構を平面視で示す図である。
図6に示すように、本実施の形態のスプレッダ15では、押圧面15fとの反対面に、シールドジャッキ9bが最大に収縮したときにおいて固定部材17との干渉を回避するための凹状部15bが形成されている。凹状部15bが形成されていない場合には、図7に示すように、シールドジャッキ9bを最大に収縮させたときにスプレッダ15が固定部材17に干渉しないようにするため、スプレッダ15の引き込み位置をより前方にすることができない。一方、本実施の形態のように凹状部15bが形成されていると、シールドジャッキ9bを最大に収縮させたときのスプレッダ15の引き込み位置が図7に示す場合よりも前方になっても、スプレッダ15が固定部材17に干渉することはない。これにより、シールドジャッキ9bが収縮したときの後胴内筒部5baに対する後胴外筒部5bbの引き込み量を最大化することが可能になって、前述した第2の状態における後胴プレート5bの長さをより短くすることができる。
図8は本発明の一実施の形態に係るシールド掘進機における後胴外筒部の内周面の半周分を展開して示す平面図、図9は図5のC線に沿った後胴外筒部の軸方向を展開して示す平面図、図10は図5のD線に沿った後胴外筒部の軸方向を展開して示す平面図、図11は図5のE線に沿った後胴外筒部の軸方向を展開して示す平面図である。
図8において、シールド掘進機1の後胴外筒部5bbには、前述した第1の固定部材用溝部21、第2の固定部材用溝部22および伝達部材用溝部23が形成されている。図示するように、これらの固定部材用溝部21,22および伝達部材用溝部23は、後胴外筒部5bbの内周面の周方向の全周に亘って形成された環状溝となっている。これら固定部材用溝部21,22および伝達部材用溝部23の形成プロセスを具体的に説明すると、平板状をした半周分の後胴外筒部5bbを2枚作製し、それぞれを半円形に曲げ加工して端部同士を溶接により結合することで、円筒状の後胴外筒部5bbが得られる。そして、後胴外筒部5bbの内周を旋盤で切削加工して環状溝である固定部材用溝部21,22および伝達部材用溝部23を形成する。
なお、第1の固定部材用溝部21、第2の固定部材用溝部22および伝達部材用溝部23は、本実施の形態のように後胴外筒部5bbの内周面の周方向の全周に亘って環状に形成されている必要はなく、固定部材17や伸縮力伝達部材18が固定される箇所にスポット的に形成してもよい。
但し、第1の固定部材用溝部21、第2の固定部材用溝部22および伝達部材用溝部23をスポット的に形成する場合には、不連続な特定の箇所だけに形成しなければならないために手間がかかったり、金属である後胴外筒部5bbに熱ストレスを与えて歪みが発生してしまうが、本実施の形態のように環状に形成すれば、このような問題は発生しない。
さて、図9に示すように、図5のC線に沿った後胴外筒部5bbの軸方向には、前述した固定部材17を第1の固定部材用溝部21や第2の固定部材用溝部22に嵌め込んで後胴外筒部5bbにボルトで固定するための穴21a,22aが形成されている。
また、図10に示すように、図5のD線に沿った後胴外筒部5bbの軸方向には、伸縮力伝達部材18を伝達部材用溝部23に嵌め込んで後胴外筒部5bbにボルトで固定するための穴23aが形成されている。
さらに、図11に示すように、図5のE線に沿った後胴外筒部5bbの軸方向には、第2の固定部材用溝部22および伝達部材用溝部23と後胴外筒部5bbの内周面とを面一にしてスプレッダ15の嵌まり込みを防止するためのフラットプレート(平滑化部材)24が設けられている。すなわち、前述のように、スプレッダ15はその脚部15aが後胴外筒部5bbの内周面に沿って移動することから、何らの手当もないと、スプレッダ15の脚部15aが第2の固定部材用溝部22および伝達部材用溝部23に嵌まり込んでスムーズに移動できなくなる。そこで、第2の固定部材用溝部22および伝達部材用溝部23におけるスプレッダ15の脚部15aが通過する箇所にフラットプレート24を設置することで、脚部15aが嵌まり込まないようにしている。なお、脚部15aを設けない場合には、第2の固定部材用溝部22および伝達部材用溝部23におけるスプレッダ15の全体の通過箇所にフラットプレート24を設置する。
なお、本実施の形態では、第2の固定部材用溝部22に嵌め込んで固定したときの固定部材17の範囲がスプレッダ15(詳しくは、後胴外筒部5bbの内周面に接しているスプレッダ15の脚部15a)が通過する範囲(つまり、第2の固定部材用溝部22に設置されたフラットプレート24の部分)と重なり合うため、固定部材17を第2の固定部材用溝部22に嵌め込むときには当該第2の固定部材用溝部22に設置されたフラットプレート24と干渉するので当該フラットプレート24を取り外す必要が生じる。そこで、図11に示すように、第2の固定部材用溝部22のフラットプレート24はボルト止めにより着脱可能になっている。但し、固定部材17を第2の固定部材用溝部22に嵌め込んだときの位置がスプレッダ15が通過する箇所と重なり合わなければ、第2の固定部材用溝部22に設置されたフラットプレート24も後胴外筒部5bbに固定されていてもよいのはもちろんである。
また、本実施の形態では、伝達部材用溝部23に嵌め込んで固定したときの伸縮力伝達部材18の範囲はスプレッダ15(詳しくは、後胴外筒部5bbの内周面に接しているスプレッダ15の脚部15a)が通過する範囲(つまり、伝達部材用溝部23に設置されたフラットプレート24の部分)と重なり合わないため、伸縮力伝達部材18を伝達部材用溝部23に嵌め込んでも当該伝達部材用溝部23に設置されたフラットプレート24とは干渉しないので当該フラットプレート24を取り外す必要はない。その一方で、セグメントSGの損傷を防止するためには、伝達部材用溝部23に蓋をしておいた方がよい。そこで、図11に示すように、伝達部材用溝部23のフラットプレート24は後胴外筒部5bbに固定されている。但し、伸縮力伝達部材18を伝達部材用溝部23に嵌め込んだときの範囲がスプレッダ15が通過する範囲と重なり合うときには、伝達部材用溝部23に設置されたフラットプレート24はボルト止めにより着脱可能にする。
なお、フラットプレート24は千鳥溶接(溶接した部分と溶接しない部分とが交互に存在する断続すみ肉溶接)により溶接時の入熱を低減して後胴外筒部5bbに固定するのが望ましい。
(実施例1)
次に、実施例1として、以上の構成を有するシールド掘進機1における後胴プレート5bの伸縮動作について、図12~図26を用いて説明する。ここで、図12~図19は図1のシールド掘進機の後胴プレートにおける収縮動作を連続的に示す図、図20~図26は図1のシールド掘進機の後胴プレートにおける伸長動作を連続的に示す図である。これらの図面において、(a)は後胴プレートを平面から見た概念図であり、(b)は後胴プレートを横から見た説明図である。また、(a)においては、本実施例で8本設置されたシールドジャッキの内の隣り合う2本1組のシールドジャッキが表されており、他の組のシールドジャッキも同様に動作する。
なお、後胴プレート5bの伸縮動作を行うシールド掘進機1では、図2において、第1の状態にある場合での後胴外筒部5bbの寸法は、後胴内筒部5baと重なり合っていない部分の長さ(有効長:FL)が1970mm、有効長の内でテールシール12Ba,12Bb以外の長さ(L1)が1490mm、テールシール12Ba,12Bbの長さ(L2)が480mm、第1の固定部材用溝部21と第2の固定部材用溝部22との間隔(L3)が300mmとなっている。そして、後胴外筒部5bbの移動可能な長さは第1の固定部材用溝部21と第2の固定部材用溝部22との間隔(L3)に相当することから、300mmである。但し、これらの寸法は一例であり、本発明がこれらの寸法に限定されるものではない。
先ず、シールド掘進機1の後胴プレート5bにおける収縮動作(後胴外筒部5bbが第1の状態から第2の状態へと移動する動作)について説明する。なお、後胴プレート5bを収縮させるのは、主として直線施工から曲線施工へと移行するときである。
図12に示すように、直線施工では後胴外筒部5bbを第1の状態にして後胴プレート5bの長さを長くしておき、例えば900mm幅のセグメントSGが掘削坑に連続的に設置される。なお、この状態では、固定部材17は第1の固定部材用溝部21に嵌め込まれて固定台16aに固定されており、第2の固定部材用溝部22にはフラットプレート24が設置されている。なお、セグメントSGはシールド掘進機1内で環状に組み立てられてトンネルを形成するためのトンネル覆工部材である。
ここから曲線施工へ移行するために後胴外筒部5bbを第2の状態にして後胴プレート5bを収縮させて長さを短くするには、先ず、図13に示すように、シールドジャッキ9bを所定長(伸縮力伝達部材18を伝達部材用溝部23に嵌め込むことができる長さ)ストロークさせてシールド掘進機1を前進させ、曲線施工用の例えば300mm幅のセグメントSGを組み立てるのに十分な空間を形成する。
次に、第2の固定部材用溝部22に設置されたフラットプレート24を撤去し、図14に示すように、固定台16aに固定されている固定部材17を取り外して第1の固定部材用溝部21から第2の固定部材用溝部22に移設する。
次に、図15に示すように、一部のシールドジャッキ9bをセグメントSGに押し当てた状態にしておいて(つまり、シールド掘進機1の後退を防止するバックリング防止措置を行った状態にしておいて)、他のシールドジャッキ9bを所定長引く。シールドジャッキ9bを引く長さは、後述する伸縮力伝達部材18を伝達部材用溝部23に嵌め込んでシールドジャッキ9bの先端に固定し、さらにその先端にスペーサ18a(図20等)を取り付けることができる長さである。なお、本実施例では、バックリング防止措置は、上部2本、下部2本の計4本のシールドジャッキ9bで行っている。但し、これら以外のシールドジャッキ9bでバックリング防止措置を行ってもよいのはもちろんである。
次に、図16に示すように、伸縮力伝達部材18を伝達部材用溝部23に嵌め込んで後胴外筒部5bbにボルトで固定し、シールドジャッキ9bの先端に(詳しくは、シールドジャッキ9bに設けられたスプレッダ15に)テンションボルトで固定する。
次に、図17に示すように、第2の固定部材用溝部22に嵌め込まれた固定部材17が固定台16aに当たる位置までシールドジャッキ9bを引く。これにより、後胴外筒部5bbが前方に移動して、後胴プレート5bの長さが相対的に短くなった第2の状態になる。ここでは、第1の固定部材用溝部21と第2の固定部材用溝部22との間隔(図2のL3の長さ)が300mmとなっているので、後胴プレート5bの長さは300mm短くなる。
このようにして後胴外筒部5bbが前方に移動したならば、固定部材17を固定台16aにボルトで固定するとともに、図18に示すように、伸縮力伝達部材18を取り外してシールドジャッキ9bをさらに引く。これにより、曲線への追従性が良好となり曲線施工をスムーズに行うことが可能な曲線施工時状態への移行が完了する。
その後は、シールド掘進機1で曲線掘削を行いながら、図19に示すように、曲線施工用のセグメントSG(例えば300mm幅のセグメントSG)を設置して行く。
次に、シールド掘進機1の後胴プレート5bにおける伸長動作(後胴外筒部5bbが第2の状態から第1の状態へと移動する動作)について説明する。なお、後胴プレート5bを伸長させるのは、主として曲線施工から直線施工へと移行するときである。
後胴外筒部5bbを第2の状態にして後胴プレート5bを短くした状態での曲線施工が終了したならば、図20に示すように、一部のシールドジャッキ9bをセグメントSGに押し当てた状態にしておき、他のシールドジャッキ9bの延長線上の伝達部材用溝部23に伸縮力伝達部材18を嵌め込んで後胴外筒部5bbにボルトで固定する。さらに、伸縮力伝達部材18のセグメントSG側にスペーサ18aを取り付ける。なお、図示するように、スペーサ18aを伸縮力伝達部材18に取り付けるためのスペースが必要なために、伸縮力伝達部材18に取り付けられたスペーサ18aとセグメントSGとの間には僅かな隙間が形成される。
次に、図21に示すように、シールドジャッキ9bを伸ばしてスプレッダ15を伸縮力伝達部材18に当て、第2の固定部材用溝部22に嵌め込まれた固定部材17を撤去する。これにより、後胴外筒部5bbは、中間リング体16に設けられた固定台16aとの締結が解除されて軸方向に移動可能な状態になる。
次に、図22に示すように、シールドジャッキ9bを伸ばしてスペーサ18aをセグメントSGに押し当てて後胴内筒部5baを前方に移動させ、固定部材17を第1の固定部材用溝部21に嵌め込んで固定台16aに固定することが可能な位置にする。これにより、後胴内筒部5baが前方に移動して、後胴プレート5bの長さが相対的に長くなった第1の状態になる。ここでは、第1の固定部材用溝部21と第2の固定部材用溝部22との間隔(図2のL3の長さ)が300mmとなっているので、後胴プレート5bの長さは300mm長くなる。
なお、前述のように、スペーサ18aとセグメントSGとの間には僅かな隙間が形成されているので、シールドジャッキ9bが伸びて伸縮力伝達部材18を介してスペーサ18aがセグメントSGに押し当てられたとき、当該隙間分だけ後胴外筒部5bbが後退移動する。すると、テールシール12Ba,12Bbが、セグメントSGに対して本来の動き(前方への動き)とは逆方向の動きをして後方に移動する。しかしながら、その移動量は前述の隙間に相当する僅かなものなので、テールシール12Ba,12Bbの形状が変形するなどの問題は発生しない。
次に、図23に示すように、固定部材17を第1の固定部材用溝部21に嵌め込んで固定台16aに固定するとともに、後胴外筒部5bbにボルトで固定する。また、第2の固定部材用溝部22にフラットプレート24を設置する。
次に、図24に示すように、伸縮力伝達部材18とスペーサ18aとが取り付けられていないシールドジャッキ9bをセグメントSGに押し当てた状態にする。そして、伸縮力伝達部材18とスペーサ18aとが取り付けられたシールドジャッキ9bを僅かに引いてスペーサ18aとセグメントSGとの間に隙間を形成しておき、伸縮力伝達部材18とスペーサ18aとを撤去する。
次に、図25に示すように、シールドジャッキ9bを伸ばしてシールド掘進機1を前進させ、直線施工用のセグメントSGを組み立てるのに十分な空間を形成する。
次に、図26に示すように、シールドジャッキ9bを引くと、直線施工をスムーズに行うことが可能な直線施工時状態への移行が完了する。
その後は、シールド掘進機1で直線掘削を行いながら、直線施工用のセグメントSG(例えば900mm幅のセグメントSG)を設置して行く。
このように、本実施例のシールド掘進機1によれば、後胴プレート5bを構成する後胴外筒部5bbが後胴内筒部5baと摺動するようにして軸方向に移動可能になって、後胴外筒部5bbの移動によって後胴プレート5bの全長が伸縮する。したがって、後胴外筒部5bbを第1の状態から第2の状態へと移動させることで、曲線施工をスムーズに行うことが可能になる。これにより、曲線への追従性が良好になるのみならず、余掘りが大きくなることもない。
(実施例2)
次に、実施例2として、以上の構成を有するシールド掘進機1におけるテールシール12Baの交換について、図27~図41を用いて説明する。ここで、図27~図41は実施例2のシールド掘進機のテールシールの交換手順を連続的に示す図である。これらの図面において、(a)は後胴プレートを平面から見た概念図であり、(b)は後胴プレートを横から見た説明図である。また、(a)においては、本実施例で8本設置されたシールドジャッキの内の隣り合う2本1組のシールドジャッキが表されており、他の組のシールドジャッキも同様に動作する。
なお、テールシール12Baの交換を行うシールド掘進機1では、図2において、第1の状態にある場合での後胴外筒部5bbの寸法は、後胴内筒部5baと重なり合っていない部分の長さ(有効長:FL)が1610mm、有効長の内でテールシール12Ba,12Bb以外の長さ(L1)が1130mm、テールシール12Ba,12Bbの長さ(L2)が480mm、第1の固定部材用溝部21と第2の固定部材用溝部22との間隔(L3)が350mmとなっている。そして、後胴外筒部5bbの移動可能な長さは第1の固定部材用溝部21と第2の固定部材用溝部22との間隔(L3)に相当することから、350mmである。但し、これらの寸法は一例であり、本発明がこれらの寸法に限定されるものではない。
また、交換されるテールシールは、前後2カ所に設けられたテールシール12Ba,12Bbの内の前方に位置するテールシール12Baである。これは、後方に位置するテールシール12Bbは地下水や土砂の圧力を直接受けているので、このテールシール12Bbを交換のために取り外すことはできないからである。
そして、前述した後胴外筒部5bbの各寸法により、後胴外筒部5bbが第2の状態(後胴プレート5bの長さが相対的に短くなった位置)のときに、前方に位置するテールシール12BaがセグメントSGから外れて機内に露出するようになっている。
さて、テールシール12Baの交換においては、図27に示すように、後胴外筒部5bbを第1の状態にしておく。この第1の状態では、固定部材17は第1の固定部材用溝部21に嵌め込まれて固定台16aに固定されており、第2の固定部材用溝部22にはフラットプレート24が設置されている。
次に、図28に示すように、シールドジャッキ9bを所定長(伸縮力伝達部材18を伝達部材用溝部23に嵌め込むことができる長さ)ストロークさせてシールド掘進機1を前進させる。
次に、第2の固定部材用溝部22に設置されているフラットプレート24を撤去した後、固定部材17を後胴内筒部5baから取り外し、図29に示すように、取り外した固定部材17を第2の固定部材用溝部22に移設する。
次に、図30に示すように、一部のシールドジャッキ9b(図30(a)に示す場合には、下側のシールドジャッキ9b)をセグメントSGに押し当てた状態にしておいて(つまり、バックリング防止措置を行った状態にしておいて)、他のシールドジャッキ9b(図30(a)に示す場合には、上側のシールドジャッキ9b)を所定長引き、バックリング防止部材25を介在してセグメントSGに押し当てる。
次に、図31に示すように、セグメントSGに押し当てたシールドジャッキ9b(図31(a)に示す場合には、下側のシールドジャッキ9b)を所定長引き、伸縮力伝達部材18を伝達部材用溝部23に嵌め込んで後胴外筒部5bbにボルトで固定し、シールドジャッキ9bの先端に(詳しくは、シールドジャッキ9bに設けられたスプレッダ15に)テンションボルトで固定する。
次に、図32に示すように、伸縮力伝達部材18が固定されたシールドジャッキ9bを所定長引いて後胴外筒部5bbを引き込む。詳しくは、第2の固定部材用溝部22に嵌め込まれた固定部材17が固定台16aに当たる位置までシールドジャッキ9bを引く。これにより、後胴外筒部5bbが前方に移動して、後胴プレート5bの長さが相対的に短くなった第2の状態になる。ここでは、第1の固定部材用溝部21と第2の固定部材用溝部22との間隔(図2のL3の長さ)が350mmとなっているので、後胴プレート5bの長さは350mm短くなる。そして、後胴外筒部5bbが前方に移動することで、図示するように、テールシール12BaがセグメントSGから外れて機内に露出する。なお、固定部材17は固定台16aにボルトで固定する。
次に、図33に示すように、バックリング防止部材25と干渉しない部分のテールシール12Baを新しいテールシール12Baに交換する。なお、図33において、交換される部分のテールシール12Baは網線で示されている。
このようにしてテールシール12Baの一部を交換したならば、図34に示すように、伸縮力伝達部材18を伝達部材用溝部23から取り外し、取り外したシールドジャッキ9bとセグメントSGとの間にバックリング防止部材25を介在させ、当該シールドジャッキ9bを伸ばしてバックリング防止部材25をセグメントSGに押し当てる。
次に、図35に示すように、テールシール12Baを交換していない部分に位置するバックリング防止部材25を外し、伸縮力伝達部材18を伝達部材用溝部23に嵌め込んで後胴外筒部5bbにボルトで固定するとともにシールドジャッキ9bの先端に(詳しくは、シールドジャッキ9bに設けられたスプレッダ15に)テンションボルトで固定する。但し、テールシール12Baを交換した部分のシールドジャッキ9bとセグメントSGとの間にはバックリング防止部材25が介在しており、固定部材17は固定台16aに固定されているので、伸縮力伝達部材18の取り付けは省略してもよい。
このようにしてバックリング防止部材25の位置を入れ替えたならば、図36に示すように、新たにバックリング防止部材25と干渉しなくなった部分のテールシール12Ba(つまり、残りの部分のテールシール12Ba)を新しいテールシール12Baに交換する。これにより、テールシール12Baの全体が交換されることになる。
そして、図37に示すように、バックリング防止部材25を外してセグメントSGを設置する。すると、機内に露出した状態になっていた新たなテールシール12BaがセグメントSGにより径方向外方に押し広げられ、設置されたセグメントSGの外周に位置することになる。これにより、シールド掘進機1におけるテールシール12Baの交換が完了する。なお、セグメントSGを設置した状態では、伸縮力伝達部材18が固定されていないシールドジャッキ9bでバックリング防止が行われる。
このようにしてテールシール12Baの交換が完了してセグメントSGを設置したならば、図38に示すように、伸縮力伝達部材18のセグメントSG側にスペーサ18aを取り付け、さらに、第2の固定部材用溝部22に嵌め込まれた固定部材17を撤去する。これにより、後胴外筒部5bbは、固定台16aとの締結が解除されて軸方向に移動可能な状態になる。なお、図示するように、スペーサ18aを伸縮力伝達部材18に取り付けるためのスペースが必要なために、伸縮力伝達部材18に取り付けられたスペーサ18aとセグメントSGとの間には僅かな隙間が形成される。
次に、図39に示すように、シールドジャッキ9bを伸ばして後胴内筒部5baを前方に移動させ、固定部材17を第1の固定部材用溝部21に嵌め込んで固定台16aに固定するとともに、後胴外筒部5bbにボルトで固定する。また、第2の固定部材用溝部22にフラットプレート24を設置する。これにより、後胴内筒部5baが前方に移動して、後胴プレート5bの長さが相対的に長くなった第1の状態になる。ここでは、第1の固定部材用溝部21と第2の固定部材用溝部22との間隔(図2のL3の長さ)が350mmとなっているので、後胴プレート5bの長さは350mm長くなる。
なお、前述のように、スペーサ18aとセグメントSGとの間には僅かな隙間が形成されているので、シールドジャッキ9bが伸びて伸縮力伝達部材18を介してスペーサ18aがセグメントSGに押し当てられたとき、当該隙間分だけ後胴外筒部5bbが後退移動する。すると、テールシール12Ba,12Bbが、セグメントSGに対して本来の動き(前方への動き)とは逆方向の動きをして後方に移動する。しかしながら、その移動量は前述の隙間に相当する僅かなものなので、テールシール12Ba,12Bbの形状が変形するなどの問題は発生しない。
次に、図40に示すように、伸縮力伝達部材18とスペーサ18aとが取り付けられていないシールドジャッキ9bをセグメントSGに押し当てた状態で、伸縮力伝達部材18とスペーサ18aとが取り付けられたシールドジャッキ9bを僅かに引いてスペーサ18aとセグメントSGとの間に隙間を形成し、伸縮力伝達部材18とスペーサ18aとを撤去する。
次に、図41に示すように、シールドジャッキ9bを引いてセグメントSGを設置して行く。
このように、本実施例のシールド掘進機1によれば、後胴プレート5bを構成する後胴外筒部5bbが後胴内筒部5baと摺動するようにして軸方向に移動可能になっているので、後胴外筒部5bbが第1の位置から第2の位置へと移動することで、テールシール12BaがセグメントSGから外れて機内に露出する。したがって、テールシール12Baの交換作業をシールド機内から行うことが可能になる。これにより、テールシール12Baの劣化や損傷に起因するトラブルを未然に防止することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。