本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
まず、光輝性動画模様(3)について説明する。光輝性動画模様(3)は、一般にホログラム又はOVD(Optical Variable Device)と呼ばれ、回折格子(18)を主体とした構造を有する。本明細書において、光輝性動画模様(3)は、ホログラム形成層(12)として樹脂により形成された回折格子(18)と光透過性を有さない金属の金属膜(13)を有した構造であることを前提として説明する。この光輝性動画模様(3)は、光透過性を有する基材(2)である用紙やプラスティック等に貼付したり、下地が印刷された印刷物上に貼付してもよい。金属のように光透過しない基材(2)に貼付した場合には、本発明の効果は発現しないため適さない。
(第一の実施の形態)
まず、図1に本発明におけるスリットタイプの光輝性動画模様(3)が透過性を有する基材(2)に貼付された印刷物(1)を示す。光輝性動画模様(3)は、少なくともホログラム形成層(12)と金属膜(13)を有する構成であり、反射光下において、動画的な視覚効果を生じる動画模様(4)が可視化されて視認される。好ましい形態として、動画模様(4)は、第一の動画模様(4-1)と第二の動画模様(4-2)を有する。なお、本第一の実施の形態において、動画模様(4)は、第一の動画模様(4-1)と第二の動画模様(4-2)により形成しているが、潜像要素群が金属膜を備えていない構成であれば、反射光下及び透過光下において異なる情報が確認できることから、潜像要素群が金属膜を備えない構成でのみ、本発明の光輝性動画模様(3)を形成してもよい。
図2に光輝性動画模様(3)の構成の概要を示す。光輝性動画模様(3)は、光輝性要素群(5)と潜像要素群(6)とを備えて成る。潜像要素群(6)は、光輝性要素群(5)と干渉することで動画模様(4)を再生する画像の基となる。潜像要素群(6)は、第一の動画模様(4-1)を再生する働きを成す第一の潜像要素群(6-1)と、第二の動画模様(4-2)を再生する働きを成す第二の潜像要素群(6-2)に区分けされる。反射光下で真円として視認されていた動画模様(4)は、潜像要素群(6)と光輝性要素群(5)との干渉によって再生されたモアレ模様である。モアレ模様が発生する原理については、後述する。なお、本明細書において、光輝性要素群(5)は、樹脂によって形成された回折格子(18)を含むホログラム形成層(12)に蒸着を施した金属膜(13)を有する構造である。
図3に光輝性要素群(5)の構成を示す。光輝性要素群(5)は、ライン状の光輝性要素(7)が第一の方向(S1方向)に特定の基準ピッチ(P0)で規則性を有して連続して配置されて成る。本明細書における「規則性を有して配置する」とは、複数の要素を同じ幅で同じピッチで同じ方向に連続して配置することを意味する。光輝性要素(7)の第一の方向(S1方向)の幅については、基準ピッチ(P0)以下の大きさであればいずれの大きさでも問題ない。ただし、本発明の効果が最も高いのは、ラインの幅が基準ピッチ(P0)と同じ値をとる場合である。図3の右下の拡大図に、光輝性要素(7)の内部の回折格子(18)を示す。第一の実施の形態における光輝性要素(7)は、連続した曲線による円弧状の格子線(8)が複数配列された回折格子(18)から成る。ただし、光輝性要素(7)内部の回折格子(18)の構成は、これに限定されるものではない。なお、本明細書において、回折格子(18)を形成する一つ一つの溝を格子線(8)と呼ぶ。
第一の実施の形態における光輝性要素(7)内部の回折格子(18)の格子線(8)は、一部に格子線(8)の角度が連続的に変化する構造を有している形態を用いて説明する。格子線(8)は、直線でも曲線でも問題ないが、図3に示す円弧を用いる場合、円弧立ち上がり角度としては、スリットタイプであれば10度以上85度以下(逆側の端部であれば-10度以上-85度以下)とし、より望ましくは30度以上80度以下(逆側の端部であれば-30度以上-80度以下)である。この角度が小さすぎる場合、動画模様(4)の動きの大きさが小さくなり、大きすぎる場合は回折格子(18)の格子線(8)同士が重なりやすくなり、回折光が生じづらくなるため望ましくない。
例として、図4に光輝性要素(7)の回折格子(18)の構成の一例を示す。図4(a)の回折格子(18)は、光輝性要素(7)を縦方向に区分けした複数のセル(7a)ごとに、それぞれわずかに角度の異なる複数の直線の格子線(8)が配置されることで、疑似的に図3と同様な円弧状の回折格子(18)の構造を再現して成る。本例における格子線(8)の円弧立ち上がり角度に相当する角度は、約80度である。図4(b)の回折格子(18)は、光輝性要素(7)を横方向に区分けした複数のセル(7a)ごとに、それぞれわずかに角度の異なる複数の直線の格子線(8)が集中線状に配置されて成る。本例における格子線(8)の立ち上がり角度は、約-80度である。円弧状でない場合には、マイナスの角度であっても問題ない。
図4(c)の回折格子(18)は、光輝性要素(7)を横方向に区分けした複数のセル(7a)ごとに、円弧又は曲線の格子線(8)の一部を切り出した構造であって、本例における格子線(8)の円弧立ち上がり角度は、約80度である。以上のように、光輝性要素(7)中の回折格子(18)は、少なくとも一部に格子線(8)の角度が一定の範囲で連続的に変化する構造を有していればよい。その角度変化の大きさは、30度以上180度以下とすることが望ましい。例えば、図4(a)の例でいえば、左端の円弧立ち上がり角度は、80度で中央が0度、右端の角度が-80度であれば、角度変化は160度である。この角度の変化が小さすぎる場合、入射光の角度変化によって、光輝性要素(8)中の光を反射する領域が連続的に移動する機能が低下し、動画模様(4)の動画効果が低くなり、逆に角度の変化が大きすぎる場合、動画模様(4)の視認性が低くなる。なお、図4は、光輝性要素(7)を複数のセル(7a)ごとに格子線(8)を集中線、円弧状に配置しているが、複数のセル(7a)に区分けせずに光輝性要素(7)ごとに格子線(8)を集中線、円弧状に配置してもよい。
また、光輝性要素(7)について図2に示したように格子線(8)の配列角度が光輝性要素(7)内において徐々に変化する構造を用いて説明したが、本発明の光輝性要素(7)の格子線(8)の構造はこれに限定されず、格子線(8)の密度が変化する構造であってもよい。例えば、図19(a)に示すように、光輝性要素(7)中の格子線(8)の密度が粗から密、あるいは密から粗へと段階的に変化する構成を用いてもよい。図19に示すように、格子線(8)の密度が変化することでも、光輝性要素(8)中の光を反射する領域が連続的に移動する効果は生じる。格子線(8)の密度は200線/mmから5000線/mmの範囲で設計することが望ましく、より望ましくは範囲500線/mmから2000線/mmを含む範囲で設計することがより好ましい。
また、図19(b)、図19(c)及び図19(d)に示すように、光輝性要素(7)内部が一定の幅の微小ライン単位(7a)で分割され、その微小ライン内部の格子線(8)の密度は同じであるものの、それぞれの微小ライン間の格子線(8)の密度は異なり、光輝性要素(7)の中で第一の方向(S1方向)に隣り合った微小ラインの格子線(8)の密度が、粗から密、あるいは密から粗へと方向性をもって段階的に増加あるいは減少する構成でもよい。いずれにしても、光輝性要素(7)は、入射光の角度変化によって、光輝性要素(7)中の光を反射する領域が連続的に移動する効果を有していれば、格子線(8)の構成は如何なる構成であっても問題ない。
図5に、前述の構造を有する光輝性要素(7)に対して、入射光の角度が変化した場合に生じる効果を説明する。図5(a)に示すように、左にある光源(11)から光輝性要素(7)に光が入射した場合、それぞれの光輝性要素(7)が光を強く反射する面(7a)は、光輝性要素(7)の左側となる。図5(b)に示すように、中央にある光源(11)から光輝性要素(7)に光が入射した場合、それぞれの光輝性要素(7)が光を強く反射する面(7a)は、光輝性要素(7)の中央となる。図5(c)に示すように、右にある光源(11)から光輝性要素(7)に光が入射した場合、それぞれの光輝性要素(7)が光を強く反射する面(7a)は、光輝性要素(7)の右側となる。
以上のように、光源(11)が、第一の方向(S1方向)に移動するに従い、光輝性要素(7)の中の光を強く反射する面(7a)も、同じく第一の方向(S1方向)に連続的に移動する。なお、光源(11)の移動方向と、光輝性要素(7)が光を強く反射する面(7a)の移動方向は同じである必要はなく、逆方向に動いても問題ない。すなわち、光輝性要素(7)中の回折格子(18)が、格子線(8)の角度あるいは密度が連続的に変化する構造を有することによって、入射光の角度変化によって、光輝性要素(7)中の光を反射する領域が連続的に移動する効果を生じる。逆に、任意の方向から光が入射した場合に、光輝性要素(7)全体が光を反射する構造では本発明の要件を満たさない。
本発明の光輝性要素(7)が備える、入射光の角度変化によって、光輝性要素(7)中の光を反射する領域が連続的に移動する効果は、本発明の動画効果を得るために不可欠なものである。以上のように、本発明の光輝性動画模様(3)は、光輝性要素(7)の回折格子(18)の少なくとも一部に、格子線(8)の角度が一定の範囲で連続的に変化する構造を有していなければならない。
続いて、潜像要素群(6)について、図6を用いて説明する。潜像要素群(6)は、第一の潜像要素群(6-1)と第二の潜像要素群(6-2)に区分けされる。第一の潜像要素群(6-1)と第二の潜像要素群(6-2)の構成の違いは、金属膜(13)の有無であるが、それぞれの潜像要素群(6-1、6-2)の画線構成に工夫を設けることで、動画効果を多彩にすることができる。一例として、第一の潜像要素群(6-1)と第二の潜像要素群(6-2)の画線構成において、第一の動画模様(4-1)と第二の動画模様(4-2)が逆方向に移動する特殊な視覚効果を付与する構成を用いた例で説明する。
まず、第一の潜像要素群(6-1)の画線構成について説明する。まず、動画模様(4)として再生したい画像の基となる画像、本明細書中では、これを基画像(9)とし、第一の実施の形態では、出現させる画像を真円とする。この基画像(9)を光輝性要素(7)の配置方向である第一の方向(S1方向)に圧縮し、第一の潜像要素(10-1)とする。第一の潜像要素(10-1)の圧縮の度合いは、少なくとも配置するピッチ(P1、P2)よりも狭い幅に設定する必要がある。この第一の潜像要素(10-1)を光輝性要素(7)の配置方向と同じ第一の方向(S1方向)に特定の第一のピッチ(P1)で規則性を有して複数配列する。第一のピッチ(P1)及び第二のピッチ(P2)の値は、基準となる光輝性要素(7)の配置ピッチである基準ピッチ(P0)を100とすると、80%から120%の範囲の中の100%を除く数値に設定する必要がある。本例において、第一のピッチ(P1)は、基準ピッチ(P0)よりわずかに大きい値とした。
続いて、対となる第二の潜像要素群(6-2)の画線構成について説明する。第二の潜像要素群(6-2)は、第二の潜像要素(10-2)を光輝性要素(7)の配置方向と同じ第一の方向(S1方向)に特定の第二のピッチ(P2)で規則性を有して複数配列する。仮に第一の潜像要素群(6-1)の第一のピッチ(P1)が基準ピッチ(P0)よりも大きな値に設定したとすると、第二のピッチ(P2)は、基準ピッチ(P0)よりも小さな値に設定することが望ましい。これは、光を反射させた場合に再生され、動画効果が生じる第一の動画模様(4-1)と第二の動画模様(4-2)の動きの方向を逆方向とするための工夫である。
また、今回、動画模様(4)としたのは真円であり、シンメトリーな画像であるが、仮に非シンメトリーな画像を用いて、第一のピッチ(P1)や第二のピッチ(P2)の値を基準ピッチ(P0)よりも大きな値とする場合には、基画像(9)を圧縮する際に、第一の方向(S1方向)と直角な方向を軸に基画像(9)をミラー反転させる必要がある。これは、第二の潜像要素(10-2)の配置ピッチ(P2)が基準ピッチ(P0)よりも大きい値の場合、再生される動画模様(4)は、基画像(9)をミラー反転させた画像となるためであり、これを防ぐためにはあらかじめ基画像(9)をミラー反転させておく必要がある。
なお、本明細書において、第一の潜像要素(10-1)と第二の潜像要素(10-2)は、同一の基画像(9)により形成しているが、互いに異なる基画像(9)により形成してもよい。
以上のような構成の光輝性要素群(5)と潜像要素群(6)を組み合わせることで、光輝性動画模様(3)が構成される。本発明でいう「光輝性要素群(5)と潜像要素群(6)を組み合わせる」とは、図16(a)に示すように、潜像要素群(6)と光輝性要素群(5)が重なり合って、潜像要素(10)と光輝性要素(7)が重なった領域には光輝性要素(7)由来の回折格子(18)が存在しない形態を指す。また、「光輝性要素群(5)と潜像要素群(6)が一体化する」とは、図16(b)に示すように、潜像要素(10)の内部や輪郭が、本来、重なり合う光輝性要素(7)の回折格子(18)によって構成され、回折格子(18)を有する潜像要素(10)が存在するが、その周囲には光輝性要素(7)の回折格子(18)は存在しない形態を指す。
次に、図7に光輝性要素群(5)と、二つの潜像要素群(6)の断面構成について示す。光輝性要素(7)は、少なくとも回折格子(18)と金属膜(13)を有する。第一の潜像要素群(6-1)は、少なくとも金属膜(13)を有するが、格子線(8)が刻まれておらず、回折格子(18)を有さない(金属膜(13)により、第一の潜像要素群(6-1)を形成)。一方、第二の潜像要素群(6-2)は、少なくとも金属膜(13)を有さず、回折格子(18)を有しても有さなくともよい。本第一の実施の形態では、回折格子(18)を有さない形態とする。重要なのは、第一の潜像要素群(6-1)と第二の潜像要素群(6-2)の潜像要素群(6)に相当する領域のいずれか一方が金属膜(13)を有さず、もう一方は、金属膜(13)を有することである。
第二の潜像要素群(6-2)は、金属膜(13)を除去するか、そもそも蒸着を施さない構成である。金属膜を除去する場合には、金属膜の吸収波長帯にあたる波長のレーザを照射するか、酸又はアルカリ等の薬品により金属膜(13)を部分的に除去する方法で形成できる(ディメタライズ加工)。また、第二の潜像要素群(6-2)が回折格子(18)を有する場合は、第二の潜像要素群(6-2)の中に光輝性要素(7)と同じパターンの格子線(8)が刻まれている回折格子(15)の構成を用いてもよい。本実施の形態では、第一の潜像要素群(6-1)が金属膜(13)を有し、第二の潜像要素群(6-2)が金属膜(13)を有さない構成としたが、これが逆であってもよい。なお、本第一の実施形態は、第一の潜像要素群(6-1)と第二の潜像要素群(6-2)を上下に区分けして配置しているが、上下方向ではなく左右に区分けして配置してもよい。
本発明の反射光下における効果について説明する。まず、光輝性動画模様(3)に光を入射させ、反射光下で回折光が生じる状況で視認される効果を図8に示す。図8(a)に示すように、ある方向に存在する光源(11)から光が入射した場合、光輝性動画模様(3)の中に二つの動画模様(4-1、4-2)が出現する。続いて、図8(b)に示すように、光源(11)の位置が変化した場合、光輝性動画模様(3)の中に出現した二つの動画模様(4-1、4-2)のうち、一方は第一の方向(S1方向)に動き、もう一方は第一の方向(S1方向)と逆方向に動く。図8(c)に示すように、光源(11)の位置が変化した場合、光輝性動画模様(3)の中に出現した二つの動画模様(4-1、4-2)のうち、一方は第一の方向(S1方向)にさらに動き、もう一方は第一の方向(S1方向)と逆方向にさらに動く。以上のように、光源(11)と光輝性動画模様(3)との角度が変化することによって、光輝性動画模様(3)の中の二つの動画模様(4-1、4-2)にS1方向とS1方向の逆方向へと動く動画効果が生じる。また、この二つの動画模様(4-1、4-2)は、目視では同じ程度の濃度に見え、一見して違いを判別できないことは、本発明の特別な効果の一つである。
また、本発明の光輝性動画模様(3)のもう一つの特徴である、透過光下で透過模様が出現する効果について図9を用いて説明する。光輝性動画模様(3)を透過光下で観察すると、第一の潜像要素群(6-1)は光を遮断し、第二の潜像要素群(6-2)は光を透過する効果が生じる。本発明においては、光輝性要素群(5)も光を遮断する構成であるために、光輝性動画模様(3)を透かした場合には、第二の潜像要素群(6-2)のみに光を透過する効果が生じる。
以上のような効果が生じる原理について説明する。反射光下において、光輝性要素群(5)が光を反射した場合、回折格子由来の強い回折光によって極めて強い光が生じる一方、潜像要素群(6-1、6-2)は、回折光を発しないため、反射する光が相対的に極めて小さいものとなる。このため、光輝性動画模様(3)に光が入射した場合、光輝性要素群(5)と潜像要素群(6-1、6-2)によって強い光の明暗が生じる。なお、光輝性要素群(5)に光が入射した場合には、それぞれの潜像要素(10-1、10-2)が全面から一様に回折光を発するのではなく、図5に示したように内部の回折格子(18)の格子線(8)の角度が入射光と直交した部位のみが回折光を発する。
この場合、光輝性要素群(5)からは、特定の基準ピッチ(P0)の周期で細い帯状に回折光が規則的に生じることとなる。この特定の基準ピッチ(P0)で帯状に生じた強い回折光によって、潜像要素群(6-1、6-2)が周期的にサンプリングされて可視化されることとなり、結果として二つの動画模様(4-1、4-2)が可視化される。全く異なる画像である潜像要素群(6)から動画模様(4)が再生されるのは、光輝性要素群(5)と潜像要素群(6)とが干渉することによって、Moire Magnification(以下、「モアレ拡大現象」という。)と呼ばれる特殊な現象が生じるためである。
層構造の異なる潜像要素群(6-1、6-2)が、反射光下では同じ程度の濃度に見え、異なる層構造であることを、一見して判別できない効果を得られるのは、光輝性要素群(6)の回折格子(18)と金属膜(13)の組み合わせに由来する強い回折光によって、動画模様(4-1、4-2)が再生されるためであり、金属膜(13)の有無のみの違いでは動画模様(4-1、4-2)の視認性に目視可能な影響を及ぼさない。一方、第二の潜像要素群(6-2)の構成として、回折格子(18)を有して、金属膜(13)を有さない形態も存在するが、この場合も、結果として二つの動画模様(4-1、4-2)は、目視上、同じ程度の濃度に視認され、異なる層構造を有することは一見して判別できない効果を得ることができる。
また、入射する光の角度が変化することで図5に示したように光輝性要素群(5)の中の強い回折光を発する領域が移動する。これによってサンプリングされる潜像要素群(6)の位置も変化し、結果として出現した動画模様(4-1、4-2)の位置が変化し、動画的な視覚効果が生じる。これが本発明において潜像要素群(6)とは全く異なる模様である動画模様(4)が再生され、かつ、入射する光の角度変化に応じて動画模様(4)が動いて見える効果が生じる原理である。
このモアレ拡大現象を用いることで様々な模様を拡大して、かつ動きを見せることが可能であり、この構成を適用することで、様々なバリエーションに富んだ動画効果を再現することができる。モアレ拡大現象の具体例については、後述する。
続いて、透過光下で透過模様が生じる原理について説明する。光輝性要素群(5)と第一の潜像要素群(6-1)は、金属膜(13)が付与されているため、光は透過しない。一方で、第二の潜像要素群(6-2)は、金属膜(13)が付与されていないために光は透過する。したがって、金属膜(13)の有無によって透過光の強弱が生じることから、これによって図9に示したように、動画模様(4)とは異なる模様を透過模様として認証することによって真偽判別が可能となる。
以上のように、本発明の効果の特徴は、反射光下において、一見して違いが判別できない二つの動画模様(4-1、4-2)が、実際には異なる層構造を有しており、透過光下において、その層構造の違いに由来する透過模様を視認することができることにある。
(第二の実施の形態)
続いて、第二の実施の形態として光輝性要素(7)が帯状のラインで形成されるのではなく、ドットで形成する構成について説明する。また、第一の実施の形態において、透過光下で認証できる透過模様は、潜像要素群(6-2)の画像がそのまま視認されるために特に意味を有さない模様であったが、第二の実施の形態の例においては、透過模様として意味のある有意情報を表す例について説明する。
図10に、第二の実施の形態における光輝性要素群(5)を示す。ドット状の光輝性要素(7)内部の回折格子(18)は、同心円状の格子線(8)で構成されて成る。このドット状の光輝性要素(7)は、第一の方向(S1方向)に特定の基準ピッチ(P0)で、第二の方向(S2方向)に同じく特定の基準ピッチ(P0)で配置して成るが、第一の方向(S1方向)と第二の方向(S2方向)のピッチは同じである必要はなく、異なっていても良い。
また、第二の実施の形態では、直径(P0)の真円でドットを構成しているが、真円である必要はなく、楕円や多角形等の形態を用いても問題ない。図18に示すように、回折格子(18)を構成する格子線(8)は同心円である必要はなく、格子線(8)を集中線や角度の異なる直線の集合等で構成しても問題なく、ラインの場合と同じく、効果として入射光の角度変化によって、光輝性要素(7)中の光を反射する領域が連続的に移動する効果を生じればよく、光輝性要素(7)の回折格子(18)の少なくとも一部に格子線(8)の角度が一定の範囲で連続的に変化する構造を有してればよい。
続いて、図11にドット状の潜像要素群(6)の画線構成を示す。ドット状の潜像要素(10)は、反射時に再生したい基画像(9)を第一の方向(S1方向)及び第二の方向(S2方向)の両方向に圧縮した形態を有する。もともと微小な大きさの画像を基画像(9)として捉えても問題ない。本例では、アルファベットの「OK」を基画像(9)とし、これを縮小して潜像要素(10)とした。この潜像要素(10-1、10-2)を第一の方向(S1方向)に特定の第一のピッチ(P1)で、第二の方向(S2方向)に特定の第二のピッチ(P2)で連続して配置して成る。第一の方向(S1方向)に配置される特定の第一のピッチ(P1)は、同じであっても異なっていてもよい。この潜像要素(10)の第一のピッチ(P1)と第二のピッチ(P2)と光輝性要素(7)の基準ピッチ(P0)関係は、第一の実施の形態と同様であり、基準ピッチ(P0)を100とした場合、第一のピッチ(P1)及び第二のピッチ(P2)は、80%から120%の間の100%を除く値に設定する必要がある。
図12に潜像要素群(6)の第一の潜像要素群(6-1)と第二の潜像要素群(6-2)との区分けを示す。説明の便宜上、第二の潜像要素群(6-2)と斜線で示しているが、実際には斜線は形成されていない。この斜線で示した円の丸の内部の「OK」が第二の潜像要素群(6-2)であり、その周囲を第一の潜像要素群(6-1)で区分けした構成とした。それぞれの構成は、第一の実施の形態と同じく、光輝性要素(7)は、少なくとも回折格子(18)に金属膜(13)を有する形態とする。第一の潜像要素群(6-1)は、少なくとも金属膜(13)を有し、回折格子(18)を有さない。第二の潜像要素群(6-2)は、少なくとも金属膜(13)を有さず、回折格子(18)を有しても有さなくともよい。本例では回折格子(18)を有さない形態とする。
続いて、本発明の反射光下における効果について説明する。まず、光輝性動画模様(3)に光を入射させ、反射光下で回折光が生じる状況で視認される効果を図13に示す。図13(a)に示すように、ある方向にある光源(11)から光が入射した場合、光輝性動画模様(3)の中に二つの動画模様(4)が出現する。本第二の実施の形態において、出現する動画模様(4)は、二つで一対であり、光源が一つの場合二つの動画模様(4)が出現し、光源(11)が二つあれば、四つの動画模様(4)が出現する。
これは、第一の実施の形態の光輝性要素(7)と異なり、同心円のドットで構成した光輝性要素(7)は、一つの光源(11)から入射する光に対して直交する角度が二箇所存在するために、後述する図18に示すように、潜像要素群(6)をサンプリングする輝点(α1、α2)が二箇所となり、結果として二つの動画模様(4)が出現するためである。続いて、図13(b)に示すように、光源(11)の位置が変化した場合、光輝性動画模様(3)の中に出現した二つの動画模様(4)が、それぞれ逆方向に動きながら格子線(8)の円周(S3)に沿って回転する。図13(c)に示すように、光源(11)の位置が変化した場合、光輝性動画模様(3)の中に出現した二つの動画模様(4)は、さらに格子線(8)の円周(S3)に沿って回転して動く。以上のように、光源(11)の位置が変化することによって、光輝性動画模様(3)の中の二つの動画模様(4)が、格子線(8)の円周(S3)に沿って回転する動画効果が生じる。また、この二つの動画模様(4)の目視では、同じ程度の濃度に見え、一見して違いを判別できない。
また、本発明の光輝性動画模様(3)のもう一つの特徴である、透過光下で透過模様が出現する効果について、図14を用いて説明する。光輝性動画模様(3)を透過光下で観察すると、第一の潜像要素群(6-1)は、光を遮断し、第二の潜像要素群(6-2)は、光を透過する効果が生じる。光輝性要素群(5)も光を遮断する構成であるために、光輝性動画模様(3)を透かした場合には、第二の潜像要素群(6-2)のみが光を透過し、結果として丸の図形が出現する。以上のように、第一の潜像要素群(6-1)と第二の潜像要素群(6-2)を任意に組み合わせることで、有意情報を構成し、潜像模様に意味を付与することができる。
なお、第一の実施の形態や第二の実施の形態において示した光輝性要素群(5)や潜像要素群(6)の図は、説明を明瞭にするためにデフォルメした画像であり、本来であれば、数百から数十μm単位の微小なラインやドットが大量に充填されて成り、ラインやドット自体は目視できない程度の大きさで極めて高い密度で構成される。このため、透過画像自体は、第二の実施の形態のように丸の図形のような単純な図柄に制限されるものではなく、第一の潜像要素群(6-1)と第二の潜像要素群(6-2)とに区分けすることで、複雑な文字や記号、マーク等を表すことができることは、いうまでもない。
なお、反射光下で出現する動画模様(4)を二つではなく、一つにするには、同心円で構成される光輝性要素(7)を一般的な回折格子(18)ではなく、ブレーズド回折格子と呼ばれる断面方向に角度を有した特殊な構造の回折格子(18)を用いればよい。あるいは、特開2021-81705号公報に記載された特殊なドットの構成を用いればよい。この公報に記載のドットのように、360度の角度範囲の格子線(8)ではなく、180度以内の角度範囲の格子線(8)でドットを構成することで、一つの光源から入射する光に対して一つの動画模様(4)が出現する形態とすることができる。
圧縮した文字や記号、図形等を、サンプリングの基となる光輝性動画模様(3)における光輝性要素(7)のピッチとわずかに異なるピッチで配置することで、圧縮した文字や記号等が拡大されて出現するモアレ拡大現象と呼ばれる現象は、特許第4844894号公報や特許第5131789号公報等で利用されているものであり、画線群や画素群に、わずかにピッチの異なる圧縮された画像を重ね合わせることで、圧縮された画像がモアレとして出現するものである。それぞれの実施の形態においてモアレ拡大現象の基画像(9)として丸や「OK」という単純な文字を選択したが、これに限定されるものではく、記号、数字、マーク、写真等の任意の画像を用いることができる。
また、ピッチを変化させる以外でモアレ拡大現象を利用する方法として、配置する文字や画像の配置角度をわずかに変える方法が存在する。例えば、現在垂直(90度)で構成されている文字(潜像要素(10))を、左右いずれかの方向にわずかに傾けた角度、第一の方向(S1)に連続して配置した場合でも、モアレ拡大現象が発現する。配置角度を大きく変えた場合には、出現するモアレに歪みが生じ、不明瞭になるため、配置角度を±5度程度に抑えることが望ましい。これら潜像要素(10)の角度の変化は、ピッチの変更と併用しても問題ない。潜像要素(10)の配置角度の変化を用いる場合には、ピッチが100%であっても問題ない。
また、モアレ拡大現象のほかに、同様な圧縮画像を利用して動画効果を発現させ、かつ、潜像要素群(6)と動画模様(4)を異なる画像とすることができる画線構成として、立体画像の撮像方法から着想を得たIntegral Photography方式(以下、「IP画像方式」という。)と呼ばれる画線構成がある。これを潜像要素群(6)に適用することも可能であり、特許文献第5200284号に記載の潜像要素群(6)の構成を適用することで、より表現豊かな動画効果を発現させつつ、潜像要素群(6)の層構造を第一の潜像要素群(6-1)と第二の潜像要素群(6-2)に任意の形状に区分けすることで、本発明の透過光下で透過画像が認証できる形態としても良い。モアレ拡大現象やIP画像方式と呼ぶ画線構成を利用してホログラムを形成するには、特開2021-81705号公報に記載の構成と方法を本発明に用いればよい。
一例として、図17に示すように、桜の花びらを基画像(9)に対して、第一の方向(S1方向)に一定の幅で基画像(9)を切り出し、特定の縮率で第一の方向(S1方向)に圧縮することで、一つの潜像要素(10)を作製する。基画像(9)を切り出す位置を同じピッチ(P1)、かつ、同一幅(W2)で第一の方向(S1方向)にずらしながら、切り出しから圧縮を繰り返して潜像要素(10)を順番に作製し、それぞれの潜像要素(10)を同じピッチ(P1)で第一の方向(S1方向)に並べることで潜像要素群(6)を作製することができる。
光輝性要素(7)中の回折格子(18)は、1mmあたり500本以上の格子線(8)の密度で構成することが望ましい。この場合、動画模様(4)は青、緑、黄、赤等の異なる色相に徐々に変化しながら動く効果を生じるためである。色相変化の効果を付与したい場合には、装置の描画能力に応じて500本から3000本程度の格子線(8)で構成すればよい。
図15に、本発明の光輝性動画模様(3)を用いた印刷物に貼付されることを想定した層構造の一例を示す。本明細書中では、本発明の光輝性動画模様(3)に関して、最低限の構成のホログラム形成層(12)と金属膜(13)や透明反射層(14)を施して輝度を高めたり、保護層(15)を設けて耐久性を高めたり、接着アンカー層(16)や接着層(17)を設けて基材に貼付できる形態とすることは、本発明の常識的な応用の範囲である。