発電用の蒸気タービンの車室などは、内部の高温高圧に耐え抜く必要があり、その据え付けには大型のボルトを使用している。そして車室などの施工時のほか、検査や修理の終了後、このボルトを締め付ける際は、あらかじめボルトを加熱して伸びを生じさせる場合がある。この伸びにより、ボルトが冷却した後は、内部に引張荷重が作用した状態になるため、車室などの部品を強固に据え付けることができるほか、運用時の高温状態においても、内部の圧力を受け止めることができる。
このように、ボルトの締め付けに先立ち、ボルトを加熱することを前提とする場合、ボルトの内部には中心孔を形成してあることが多く、実際に加熱する際は、中心孔に棒状のヒーターを差し込むことになるが、ボルトと同等の長さを有するヒーターを使用することで、全域を均等に加熱することができる。そして加熱された状態で締め付けを行い、その後にボルトを冷却していき、冷却を終えた段階でボルトの伸び量を測定することになるが、これが適正な範囲から外れている場合、締め付けをやり直すことになる。
中心孔が形成されたボルトにナットを締め付けていく過程を図6に示す。ここでは蒸気タービンを取り囲む車室が上半外部車室と下半外部車室に分割されており、しかも両車室の接触面を貫くように締結穴を形成してあり、そこにボルトを差し込んでいく。このボルトは、汎用のスタッドボルトと同様、丸棒状の軸部だけで構成されており、その上下にナットを螺合させることになる。そして両車室を密着させる際は、図の左上のように、双方の締結穴を同心に揃え、次の図の右上のように、上下の締結穴を貫くようにボルトを差し込んでいくが、その際は、あらかじめボルトの上部にナットを螺合させておく。その後、図の中央のように、中心孔にヒーターを差し込んでボルトを加熱すると、伸びを生じることになる。この状態において、図の左下のように、ボルトの下端部にナットを螺合させ、ボルトとナットが規定の位置関係に揃うまで締め付けを行う。その後、図の右下のように、中心孔にパイプを差し込み、エアホースから供給された空気を中心孔に流すことでボルトの冷却を行い、冷却を終えた段階でボルトの伸び量を測定し、締め付けが適正であるか否かを判断することになる。なお実際には、加熱前の段階でボルトの下端部にナットを仮締めしておく。
蒸気タービンなどで使用するボルトの冷却については、その重要性から様々な技術開発が行われており、その例として後記の特許文献が挙げられる。そのうち特許文献1では、一対のフランジをボルトとナットで挟み込む構造において、ボルトを加熱した後の冷却時間を短縮し、フランジの温度上昇を抑制できる技術が開示されている。このフランジには、ボルトを差し込むためのボルト穴を形成してあり、そこにボルトを差し込んだ後、ボルトの内部にヒーターを挿入して加熱し、次にナットを締め付ける。その後、外部からボルト穴に向けて冷却流体を流入させ、それがボルトを取り囲むように流れることで、ボルトの冷却時間を短縮できるほか、フランジの温度上昇を抑制することができる。なおボルト穴は、ボルトよりも大径であり、冷却流体が流れる隙間が確保されているほか、フランジには、ボルト穴に接続する冷却流体通路を形成してある。
また特許文献2では、短時間でボルトを冷却できるボルト冷却装置が開示されている。このボルト冷却装置は、液体冷媒が封入された棒状のヒートパイプと、その一端側に設けられた放熱フィンとの二要素で構成されており、ボルトが加熱された後、ボルトに設けられた孔にヒートパイプを挿入すると、封入された液体冷媒が高温になって上昇し、放熱フィンの近傍に到達する。その結果、液体冷媒の熱は放熱フィンから大気中に放出され、それに伴って液体冷媒の温度が低下するため、液体冷媒はヒートパイプの内部を下降していき、再び加熱されることになり、この過程を繰り返すことで、短時間でボルトを冷却することができる。
次の特許文献3では、前記の両文献のようなボルトの冷却ではなく、大型の蒸気タービンについて、その水平フランジの締め付けボルトの伸び測定装置が開示されている。ここでは、締め付けボルトの締め付け作業を熱間で行っており、その残留熱応力を利用して締め付け力を確保しているが、その際、締め付けボルトの伸び量を測定することで締め付け力を算定している。そしてこの測定装置は、ワイヤーとワイヤードラムとエンコーダーと接触子などで構成されており、ワイヤーはワイヤードラムに巻き付けられているほか、ワイヤードラムから繰り出されたワイヤーの先端には、接触子が取り付けられている。さらにワイヤードラムの回転はエンコーダーで監視されており、これによってワイヤーロープの繰り出し長さを把握することができる。実際の測定時は、締め付けボルトの通孔に接触子を差し込み、これを通孔の出口やタップ穴の底に接触させ、その際のエンコーダーの値により、締め付けボルトの伸び量を把握することができる。
前記の特許文献のように、加熱されたボルトを締め付けた後、強制的に冷却を行うことで、締め付け状態を確認するまでの時間を短縮することができる。蒸気タービンの車室は、多数のボルトが狭い間隔で連続的に配置されており、その冷却時間を短縮することは、発電設備の施工や検査や修理を円滑に進める上で極めて重要である。ただし特許文献1で開示された技術は、フランジなどの部品に冷却流体通路を形成する必要があり、汎用性に乏しい。また特許文献2で開示された装置は、構造が複雑であるほか、ボルトの長さに応じて個別に装置を製造する必要があるなど、導入時や運用時の費用面などで課題がある。そこで多くの現場では、先の図6のように、エアホースの端部にパイプを取り付け、このパイプをボルトの中心孔に差し込み、空気を流すことで冷却を行っている。この方法は、あらゆる現場で簡単に実施できるほか、ボルトの長さが異なる場合でも柔軟に対応できるなど、多くの利点を有するため、現状においても広く実施されている。
ただし、単純にパイプを中心孔に差し込んだだけでは、空気の流れの反力によって中心孔から飛び出してしまう恐れがある。またボルトが車室などの部品に差し込まれた後は、その周辺構造により、中心孔の両端が外部に露出している場合と、一端だけが外部に露出している場合がある。そして仮に、両端が外部に露出している中心孔にパイプを差し込んだ場合、パイプの先端面よりも先では十分な空気が流れるものの、パイプの先端面よりも手前側では、空気の流れが不足して冷却が不十分になる恐れがある。そのほか、中心孔の一端だけが外部に露出している場合、そこが空気の入り口と出口を兼ねることになり、空気の放出手段が重要な課題になる。
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、加熱されたボルトを締め付けた後、その冷却を確実に実施できるほか、ボルトの周辺構造の違いに対応することのできるボルト冷却用治具およびボルトの冷却方法の提供を目的としている。
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、ボルトの内部を貫く中心孔の端部に形成されたメネジに螺合する接続筒と、該接続筒の一端面を塞ぐ頭部と、該頭部から突出する給気口とを有しており、前記給気口に供給された空気を前記接続筒から前記中心孔に流すことで前記ボルトを冷却することができ、前記接続筒には、前記中心孔内の空気を外部に放出するための排気口を形成してあることを特徴とするボルト冷却用治具である。
本発明は、加熱された大型のボルトを確実に冷却することを目的としているが、このボルトの中心部には、軸線方向に伸びる中心孔を形成してあることを前提とする。しかも中心孔の端部には、メネジを形成してあるものとする。このメネジは、ボルトを吊り上げる際などに使用する。なおボルトを車室などの部品に差し込んだ際、その端部は、部品から突出して外部に露出する場合もあれば、部品の内部に埋め込まれ、外部に露出しない場合もある。
ボルト冷却用治具は、接続筒と頭部と給気口の三要素を中心に構成される。そのうち接続筒は、文字通りの円筒状の部位であり、ボルトの中心孔に差し込まれる。そして接続筒の外周面にはオネジを形成してあり、これが中心孔の端部に形成されたメネジに螺合することで、ボルト冷却用治具が取り付けられた状態になる。また頭部は、接続筒の一端面を塞ぐ部位であり、通常は接続筒よりも一回り大きく、中心孔に入り込むことはない。なお頭部については、接続筒のオネジと中心孔のメネジを螺合させる際の駆動源になるため、工具で挟み込むことのできる平面を形成しておく。
給気口は、外部から供給される空気を取り入れるための部位であり、頭部を基準として接続筒の反対側に配置される。この給気口は、工場内などに敷設された空気配管に連結できるならば、その具体的な形態は自在だが、通常は、空気配管の端部に組み込まれたカプラーと連結可能な構成にする。したがって接続筒をボルトの中心孔に取り付けた際は、中心孔が頭部で覆い隠されるほか、頭部から給気口が突出した状態になる。そして給気口から取り入れられた空気は、頭部の中を経て接続筒の内部に流れていき、ボルトの冷却を担うことになる。
排気口は、接続筒の側周面に形成した切り抜きであり、中心孔に滞留した空気を外部に放出するための機能を果たす。仮に中心孔の両端が外部に露出しているならば、その一端側に供給されたた空気は、中心孔を通り抜けて他端側から外部に放出されることになる。ただし中心孔の一端だけが外部に露出している場合、そこにボルト冷却用治具を取り付けるため、内部の空気を外部に放出することが難しい。そこで接続筒に排気口を形成し、そこから空気を放出することで、中心孔の内部で空気の流れが発生するため、ボルトの冷却が可能になる。
排気口は、前記のように接続筒の側周面に形成してある。そのため、接続筒と中心孔との螺合長さを増大させて排気口を塞いだ場合、排気口の機能を一時的に無効化することができる。ただし螺合長さを抑制して排気口を外部に露出させた場合、そこから空気の放出が可能になる。したがって中心孔の内部で速度が低下した空気は、新たに供給された空気で押されて排気口から外部に放出され、ボルトを効率よく冷却することができる。
このように、ボルト冷却用治具を接続筒と頭部と給気口の三要素で構成し、頭部を挟み込むように接続筒と給気口を配置した上、接続筒のオネジをボルトの中心孔のメネジに螺合させることで、ボルト冷却用治具を安定した状態で取り付けることができる。そのため接続筒から中心孔に空気を供給する際、その反力でボルト冷却用治具がボルトから飛び出してしまうことを防ぎ、ボルトを確実に冷却することができる。しかも接続筒は、中心孔の全長と比較してはるかに短いほか、中心孔の端部に配置されるため、ボルトの全域を均等に冷却することができる。
請求項2記載の発明は、中心孔の一端だけが外部に露出している場合を想定したものであり、接続筒の内周面に差し込み可能な延長管を用い、給気口に供給された空気を延長管から中心孔に流し、その空気が接続筒付近に到達することでボルトを冷却することができ、且つ排気口は、接続筒の先端面から伸びる切り込み状であることを特徴とする。ここでの延長管は、単純な棒状であり、その一端側が接続筒の内周面に差し込まれて一体化するほか、給気口から取り入れられた空気は、延長管の内部を通り抜けた後、中心孔に流れていく。そのほか延長管は、必要に応じて接続筒から着脱可能とする。そのため通常、接続筒の内周面にはメネジを形成するほか、延長管の一端側の外周面にはオネジを形成し、このメネジとオネジを螺合させることで、延長管が接続筒に取り付けられる。
ボルトの中心孔において、その一端だけが外部に露出しており、他端は外部に露出していない場合、ボルト冷却用治具は、外部に露出している側の端部に取り付けることになるが、仮に延長管を使用しないならば、内部の圧力の増大によって空気の流れが妨げられ、中心孔の奥まで到達することなく排気口から放出され、冷却が均等に進まない恐れがある。そこで延長管を使用することで、接続筒から離れた中心孔の奥にも確実に空気を供給することができる。しかも延長管から流れ出た空気は、中心孔と延長管との隙間を経て排気口に到達するため、その間でボルトの全域を冷却することになる。そのほか延長管は、接続筒の内周面に接触するため、排気口の入り口側を塞ぐことになる。その対策として排気口は、接続筒の先端面から伸びる切り込み状としてあり、延長管が差し込まれた後も、空気の流路が確保される。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載したボルト冷却用治具を使用して中心孔に空気を流すことを特徴とするボルトの冷却方法である。このように、ボルト冷却用治具を使用してボルトを冷却することで、ボルトの全域を確実に冷却することができる。なお、この冷却方法を実施する際、ボルト冷却用治具の選択については、ボルトが差し込まれる箇所の周辺構造により、都度、判断することになる。
請求項1記載の発明のように、ボルト冷却用治具を接続筒と頭部と給気口の三要素で構成し、頭部を挟み込むように接続筒と給気口を配置した上、接続筒のオネジをボルトの中心孔のメネジに螺合させることで、ボルト冷却用治具を安定した状態で取り付けることができる。そのため接続筒から中心孔に空気を供給する際、その反力でボルト冷却用治具が飛び出してしまうことを防ぎ、ボルトを確実に冷却することができる。しかも接続筒は、中心孔の全長と比較してはるかに短いほか、中心孔の端部に配置されるため、ボルトの全域を均等に冷却することができる。
請求項2記載の発明のように、接続筒の内周面に差し込み可能な延長管を用いることで、ボルトの中心孔の両端のうち、一端だけが外部に露出している場合においても、延長管から空気を流すことで、接続筒から離れた中心孔の奥にも確実に空気を供給することができる。しかも延長管から流れ出た空気は、中心孔と延長管との隙間を経て排気口に到達するため、その間でボルトの全域を冷却することになる。
請求項3記載の発明のように、請求項1または請求項2に記載したボルト冷却用治具を使用したボルトの冷却方法により、ボルトの全域を確実に冷却することができる。その結果、早期にボルトの冷却が終了し、その伸び量の測定までの時間が短縮され、発電設備などの施工や検査や修理を円滑に進めることができる。なおボルト冷却用治具の延長管は、着脱自在である。そのため一個のボルト冷却用治具は、中心孔の両端が外部に露出している場合と、一端だけが外部に露出している場合の両方に対応可能であり、ボルトの周辺構造に応じて最適な冷却方法を選択でき、汎用性が向上する。
図1は、本発明によるボルト冷却用治具11の形状例と使用例を示しており、図の右側には、ボルト冷却用治具11の拡大図と断面図を描いてある。この図では、発電用の蒸気タービンのローター(図示は省略)を取り囲む複数の車室を組み上げるため、ボルト41を使用することを想定しており、ボルト41を加熱した状態でナット43の締め付けを行い、次にボルト冷却用治具11を取り付け、ボルト41の内部に空気を流して冷却を促進させる。そしてこの図の車室は、上半内部車室31と上半外部車室33と下半内部車室35と下半外部車室38の四要素で構成されており、そのうち図の左側の上半内部車室31と下半内部車室35は、蒸気タービンのローターを取り囲んでおり、また図の右側の上半外部車室33と下半外部車室38は、その外側を取り囲んでおり、このような二重構造で内部の圧力を受け止めている。なおこの図の各車室は、あくまでも模式的に描いたものであり、実物とは形状が異なる。
上半内部車室31は半円状であり、これを下半内部車室35の上面に載せた後、ボルト41を用いて双方を密着させる。このボルト41は、汎用のスタッドボルトと同様、丸棒状の軸部だけで構成されており、その両端部の外周面にはオネジ47を形成してある。またボルト41を差し込むため、下半内部車室35には、その上面から伸びる締結穴36を設けてあり、その内周面にはメネジ37を形成してある。なおこの締結穴36は、途中で行き止まりとなっており、その先端が外部に露出することはない。そして、締結穴36のメネジ37とボルト41のオネジ47を螺合させることで、ボルト41は下半内部車室35と一体化するが、その際、ボルト41の上部は、下半内部車室35の上面から突出しており、そこに上半内部車室31を載せると、ボルト41は上半内部車室31の上面から突出し、そこにナット43を螺合させることになる。
上半外部車室33は、上半内部車室31よりも一回り大きい半円状であり、上半内部車室31を据え付けた後、下半外部車室38の上面に載せ、次にボルト41を介して上半外部車室33と下半外部車室38を密着させる。下半外部車室38の外縁部分はフランジ状に突出しているため、ボルト41は、上半外部車室33と下半外部車室38を貫くように差し込み、その後、ボルト41の両端部にナット43を螺合させ、上半外部車室33と下半外部車室38を密着させる。
ボルト41の内部には、両端を貫く中心孔45を設けてあり、しかも中心孔45の端部にはメネジ48を形成してある。中心孔45は、ボルト41の加熱や冷却に使用され、またメネジ48は、ボルト41の吊り上げなどに使用される。そしてボルト41に螺合させたナット43を締め付ける際は、あらかじめボルト41の全域を加熱して全長を増大させておく。その結果、ボルト41が冷却された際は、その内部に引張荷重が作用した状態になり、上下に重なる上半内部車室31と下半内部車室35などを強固に密着させることができ、運用時の高温状態においても、この密着を維持して安全性を確保する。
ボルト冷却用治具11は、ボルト41とナット43の締め付けを終えた後、ボルト41を素早く冷却するために使用され、接続筒15と頭部13と給気口14の三要素が一体化した構成であり、六角形の頭部13の上方には給気口14が突出しており、下方には接続筒15が突出している。そして給気口14は、外部から供給される空気を取り入れるための部位であり、ここではエアホース52の端部に組み込まれたカプラー54と連結可能な構成になっており、エアホース52との連結や切り離しを極めて簡単に行うことができる。
接続筒15は円筒状の部位であり、ボルト41の中心孔45に差し込まれる。さらに接続筒15の外周面にはオネジ18を形成してあり、これが中心孔45に形成されたメネジ48に螺合することで、ボルト冷却用治具11がボルト41に取り付けられる。そして給気口14から取り入れられた空気は、頭部13の中を通過して接続筒15の先端面から中心孔45に到達し、以降、中心孔45に沿って流れていき、ボルト41を冷却していく。そのほか、接続筒15の側周面には排気口17を形成してあり、中心孔45に滞留した空気を外部に放出することができる。なおこの図の排気口17は、接続筒15の先端面から伸びる切り込み状になっている。
接続筒15を中心孔45に差し込む際は、オネジ18とメネジ48を螺合させるため、ボルト冷却用治具11を回転させる必要があり、それを考慮して頭部13は六角形としてあり、その対向する二面を工具で挟み込むことで、この作業を円滑に行うことができる。またボルト冷却用治具11の持ち運びを考慮し、頭部13には持ち手19を組み込んである。持ち手19は、針金を折り曲げただけの単純な構成であり、その端部を頭部13の側面に差し込んでおり、持ち手19は一定の範囲で自在に揺動可能である。この持ち手19により、複数のボルト冷却用治具11を一度に持ち運ぶことができ、作業の時間短縮に貢献する。
延長管21は、接続筒15の内周面に差し込み、接続筒15から離れた場所に空気を供給することができる。さらに、延長管21の一端側の外周面にはオネジ26を形成してあり、また接続筒15の内周面にはメネジ16を形成してあり、双方を螺合させることで、延長管21を接続筒15と一体化することができ、当然ながら、その後に延長管21を取り外すこともできる。そして延長管21を一体化した場合、給気口14から取り入れられた空気は、延長管21の内部に流入し、延長管21の先端面から中心孔45に流れていく。なお延長管21を接続筒15に差し込んだ後は、延長管21の外周面によって排気口17の入り口側が塞がれることになる。ただし排気口17は、接続筒15の先端面に到達しているため、延長管21の差し込み後においても、排気口17の機能が損なわれることはない。
上半内部車室31の据え付けに使用するボルト41の下部は、下半内部車室35の締結穴36に差し込まれるが、この締結穴36の底部は、外部に露出することのない閉じた空間である。そのためここで使用するボルト41の中心孔45は、その上端だけが外部に露出しており、ここに取り付けるボルト冷却用治具11については、あらかじめ延長管21を一体化させてあり、締結穴36の底部付近に空気を供給することができ、その空気は、中心孔45と延長管21との隙間を上昇して排気口17に到達し、外部に放出される。
対して、上半外部車室33の据え付けに用いるボルト41の下部は、下半外部車室38から外部に突出している。そのためここで使用するボルト41の中心孔45は、その上下両端が外部に露出しており、ここに取り付けるボルト冷却用治具11については、延長管21が不要であり、接続筒15を通過した空気は、中心孔45の上端付近から下端に向けて流れていき、そこから外部に放出される。このように本発明では、ボルト41の周辺構造に応じて、最適な冷却方法を選択可能である。
図2は、図1の各車室を分離させた状態を示しており、これらはボルト41で組み上げていく。蒸気タービンのローターを取り囲む上半内部車室31と下半内部車室35をボルト41で密着させるため、上半内部車室31には、その上下を貫く締結穴32を設けてある。また下半内部車室35には、有底の締結穴36を設けてあり、その内周面にはメネジ37を形成してある。そしてボルト41の下部を締結穴36に差し込み、ボルト41のオネジ47が締結穴36のメネジ37と螺合することで、ボルト41は下半内部車室35と一体化し、その際、ボルト41の上部は下半内部車室35から突出する。
次に、上半内部車室31を下半内部車室35に接近させ、突出しているボルト41を上半内部車室31の締結穴32に差し込み、その後、上半内部車室31を下半内部車室35に載せると、ボルト41の上部が上半内部車室31から突出するため、そこにナット43を螺合させ、これを締め付けると、上半内部車室31と下半内部車室35が密着する。なおボルト41の両端面には、六角形の突出部を設けてあり、これを使用してボルト41を回転させることができる。
また、上半外部車室33と下半外部車室38をボルト41で密着させるため、上半外部車室33には、その上下を貫く締結穴34を設けてある。下半外部車室38については、その外縁部分がフランジ状に突出しており、そこに締結穴39を設けてあり、下半外部車室38に上半外部車室33を載せた後、双方の締結穴34、39を同心に揃え、そこにボルト41を差し込むことになる。そしてボルト41の両端部にナット43を螺合させ、これらを締め付けると、上半外部車室33と下半外部車室38が密着する。なおボルト41を差し込む際は、その落下防止のため、あらかじめ上部にナット43を螺合させておく。
図3は、図2の各車室を所定の場所に配置し、さらにボルト41の差し込みを終えた段階を示しており、この後、ナット43を仮締めした状態でボルト41を加熱することになる。上半内部車室31を据え付けるボルト41は、その上部が上半内部車室31から突出しており、その中心孔45にヒーター61を差し込み、ボルト41を加熱している。また上半外部車室33を据え付けるボルト41は、その上部に螺合させたナット43により、上半外部車室33に支持されているほか、ボルト41の下部は、下半外部車室38から突出しているが、こちらもその中心孔45にヒーター61を差し込んでいる。
ヒーター61は丸棒状であり、中心孔45と同等の長さを有しており、ボルト41の全域を均等に加熱することができ、それによってボルト41の全長が伸びていく。そして、これ以上の加熱は不要との判断がなされると、ヒーター61を抜き取り、ボルト41とナット43が規定の位置関係に揃うまで締め付けを行う。以降、ボルト41は徐々に冷却されていくが、ナット43との螺合により、元のように収縮することはできないため、ボルト41は加熱前よりも伸びを生じることになり、これによって内部に引張荷重が作用した状態になる。なおこの図において、各ボルト41の一端側にはナット43を螺合させていないが、実際にはここにもナット43を仮締めした状態で加熱を行う。
図4は、図3の後の段階を示しており、ボルト冷却用治具11を使用してボルト41を強制的に冷却している。先の図3のように、ボルト41が加熱された状態でナット43を締め付けることになるが、その後、ボルト41が冷却された状態でその伸び量を測定し、これが適正な範囲から外れている場合、締め付けをやり直すことになる。そのため冷却に要する時間を短縮することは、発電設備などの施工や検査や修理を円滑に進める上で極めて重要である。そこでナット43の締め付け後、ボルト冷却用治具11を取り付け、中心孔45に空気を供給することで強制的に冷却を行うことになる。
ボルト冷却用治具11の接続筒15は、中心孔45に差し込まれているが、ここでは先の図1で描かれたオネジ18とメネジ48が螺合しているため、ボルト冷却用治具11がボルト41から飛び出してしまうことはない。また上半内部車室31側で使用するボルト冷却用治具11については、延長管21が一体化しているため、締結穴36の底部付近に空気を供給することができるほか、接続筒15の差し込み量を抑制してあるため、排気口17が外部に露出しており、そこから中心孔45に滞留した空気が放出される。対して、上半外部車室33側で使用するボルト冷却用治具11については、延長管21を用いていないため、中心孔45の上部から空気が流れていき、中心孔45の下端で外部に放出される。そのため接続筒15の差し込み量を増大させ、排気口17を塞いでいる。
上半内部車室31と上半外部車室33と下半内部車室35と下半外部車室38は、いずれも蒸気タービンのローターを取り囲むような構造であり、ボルト41は各車室の外縁部に沿って狭い間隔で多数が連続的に配置されている。そのためボルト41の冷却は、複数を同時に行うことが望ましく、ここではマニホールド51を使用して複数のエアホース52に空気を供給している。個々のエアホース52の端部にはカプラー54が組み込まれており、これをボルト冷却用治具11の給気口14に連結する。なおボルト冷却用治具11の持ち手19は、自在に揺動可能であり、この図のような状態においては、エアホース52と接触しないよう、横倒しにしてある。その際、持ち手19を周辺の物に接触させることで、ボルト冷却用治具11の回り止めとして機能させることができる。
図5は、ボルト41を冷却している状態を断面で示しており、図の左側は、蒸気タービンのローターを取り囲む内部車室を描いてあり、図の右側は、内部車室を取り囲む外部車室を描いてある。図の左側のように、上半内部車室31を据え付けているボルト41は、その下部が外部に露出することなく締結穴36に差し込まれており、そこから空気を外部に放出することができない。そこでボルト冷却用治具11に延長管21を一体化してあり、締結穴36の底部付近に空気を供給しており、その空気は、中心孔45と延長管21との隙間を上昇するため、中心孔45の全域が冷却されることになり、最後には排気口17から外部に放出される。なお上半内部車室31に差し込まれるボルト41については、その全長が短いならば、延長管21を使用しないこともある。その場合、接続筒15からそのまま中心孔45に空気を供給し、これによって押し出された空気を排気口17から放出することになる。
次に図の右側のように、上半外部車室33を据え付けているボルト41は、その下部が下半外部車室38を貫いて外部に露出しており、そこから空気を外部に放出することができる。そのため延長管21は不要であり、接続筒15から中心孔45に空気を供給しており、その空気は、中心孔45の上端付近から下端に向けて流れていき、中心孔45の全域が冷却されることになる。そしてボルト41の冷却が終了した際は、カプラー54を切り離し、さらにボルト冷却用治具11を取り外した後、ボルト41の伸び量を測定し、締め付けが適正であるか否かを判断する。なお当然ではあるが、本発明は、蒸気タービンのローターを取り囲む車室での使用に限定されるものではない。