以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、実施形態の原子炉を示す概略図である。
図1に示す原子炉100は、加圧水型の原子力発電プラントに用いられる加圧水型原子炉である。加圧水型の原子力発電プラントは、原子炉100において、一次冷却材である軽水を加熱した後、高温となった一次冷却材を図示しない蒸気発生器に送る。そして、原子力発電プラントは、蒸気発生器において、高温となった一次冷却材を、二次冷却材と熱交換させることにより二次冷却材を蒸発させ、蒸発した二次冷却材の蒸気をタービンに送って発電機を駆動させることにより、発電を行っている。また、蒸気発生器に流入した高温の一次冷却材は、二次冷却材と熱交換を行うことにより冷却され、原子炉100に戻され再び高温に加熱される。一方、タービンで発電に用いられた二次冷却材の蒸気は、復水器で冷却されて液体に戻され復給水管を介して蒸気発生器に戻され一次冷却材との熱交換により再び蒸気となる。
原子炉100は、圧力容器である原子炉容器101を有する。原子炉容器101は、原子炉容器本体101Aに原子炉容器蓋101Bが複数のスタッドボルトおよびナットにより固定されている。原子炉容器本体101Aは、一次冷却材を蒸気発生器に送る出口管台101Aaと、蒸気発生器で二次冷却材と熱交換して冷却された一次冷却材が戻される入口管台101Abとが設けられている。この原子炉容器101の内部に、制御棒駆動装置1、および燃料集合体102が収容される。制御棒駆動装置1の詳細は後述するが、原子炉容器101の内部の上側に配置される。燃料集合体102は、核燃料物質であり、原子炉容器101の内部の下側に設けられた炉心103に配置される。燃料集合体102は、図示しないが、多数の燃料棒が支持格子により格子状に束ねられて上下に長尺に構成されている。この燃料集合体102は、炉心103に対し、上端部を上側に向け、下端部を下側に向けて立てられた状態で多数配置される。また、炉心103は、内部に制御棒104が配置される。制御棒104は、多数の燃料集合体102の内部に上側から挿入され抜き挿し可能となっている。制御棒104は、中性子を吸収する制御材で形成され、燃料集合体102の内部に挿入されることで、燃料集合体102の核燃料物質の核分裂反応に伴う中性子を吸収して臨界状態にならないように制御することができる。一方、制御棒104は、燃料集合体102の内部から抜かれることで、原子炉100内の中性子数を増加させ、臨界から定格出力になるまで反応を上げることができる。また、原子炉容器101の内部であって、炉心103と制御棒駆動装置1との間には、制御棒104の昇降を案内する制御棒案内管105が多数配置されている。
図2は、実施形態の制御棒駆動装置を示す概略側面図である。図3は、実施形態の制御棒駆動装置を示す一部拡大断面図である。図4は、実施形態の制御棒駆動装置における電磁コイルのケーブルを示す概略斜視図である。図5は、実施形態の駆動機構を示す概略断面図である。図6は、実施形態の駆動機構を示す概略平断面図である。図7は、実施形態の駆動機構の一部を示す概略側断面図である。図8は、実施形態の駆動機構の一部を示す概略側断面図である。図9は、実施形態の駆動機構を示す模式図である。
制御棒駆動装置1は、上述したように原子炉容器101の内部に収容されている。制御棒駆動装置1は、制御棒104を上下方向に移動させることで、制御棒104を燃料集合体102の内部に抜き挿しする制御を行う。制御棒駆動装置1は、駆動モータ(駆動部)2と、電磁クラッチ3と、減速機構4と、駆動機構5と、駆動軸6と、付勢手段7と、を有する。
駆動モータ2は、図2に示すように、制御棒駆動装置1において上側に配置されている。駆動モータ2は、図3に示すように、ロータ(回転子)2Aと、ステータ(固定子)2Bと、を有する。
ロータ2Aは、上下方向に延びる中心軸CL上で上下方向に延びて設けられている。中心軸CLが延びる上下方向を軸方向ともいう。ロータ2Aは、駆動モータ2と、電磁クラッチ3と、減速機構4と、駆動機構5とを収容するケース11に対して中心軸CLの周りに回転可能に設けられている。ロータ2Aは、磁性材で形成されている。ロータ2Aは、突極2Aaを有する。突極2Aaは、ロータ2Aにおいて中心軸CLから離れる径方向内側に延びた突起であり、中心軸CLの周りの周方向に間隔をおいて複数設けられている。また、ロータ2Aは、中心軸CL上で軸方向に貫通する貫通孔からなる中空部2Abが形成されている。
ステータ2Bは、ロータ2Aの周りを囲むように中心軸CLを中心とした筒状に形成されている。ステータ2Bは、磁性材で形成されている。ステータ2Bは、中心軸CLに向く径方向内側に延びてロータ2Aに向き、中心軸CLの周りの周方向に間隔をおいて複数設けられた芯部2Baを有している。ステータ2Bは、各芯部2Baに電磁コイル2Cが絶縁材(図示せず)を介して巻き付けられている。また、ステータ2Bは、電磁コイル2Cが、図4に示す無機絶縁ケーブル8で構成されている。
無機絶縁ケーブル8は、心線8aの周りを金属シース8bで囲み、心線8aと金属シース8bとの間に例えば酸化マグネシウムなどの無機絶縁物8cを充填したもので、MIケーブル(Mineral Insulated Cable)ともいう。本実施形態において、無機絶縁ケーブル8は、金属シース8bが耐熱性・耐蝕性に優れる耐熱・耐蝕合金である、例えばインコネル690(登録商標)で形成されている。
この駆動モータ2は、ステータ2Bの電磁コイル2Cへ電流を流すことにより発生する磁界の吸引力によりロータ2Aの突極2Aaが当該電磁コイル2Cの巻かれた芯部2Baに引き付けられロータ2Aが中心軸CLの周りに回転する。即ち、駆動モータ2は、永久磁石を用いず、磁性材からなるロータ2Aを、ステータ2Bの電磁コイル2Cに生じる磁界の吸引力により回転させるリラクタンスモータを構成する。
電磁クラッチ3は、図3に示すように、第一磁極3Aと、第二磁極3Bと、電磁コイル3Cと、を有する。
第一磁極3Aは、磁性材からなり、駆動モータ2のロータ2Aに固定されている。従って、第一磁極3Aは、駆動モータ2のロータ2Aの回転に伴って回転する。第一磁極3Aは、軸方向の下端に径方向外側に突出し下端面が平坦な吸着部3Aaが形成されている。
第二磁極3Bは、磁性材からなり、第一磁極3Aに磁着することが可能であり、ケース11に対して軸方向に移動可能に設けられている。また、第二磁極3Bは、ケース11に対して中心軸CLの周りに回転可能に設けられている。第二磁極3Bは、軸方向の上端に径方向外側に突出し上端面が平坦な吸着部3Baが形成されている。吸着部3Baは、その上端面が第一磁極3Aの吸着部3Aaの下端面に対向して設けられている。第二磁極3Bは、その下端が減速機構4に接続されている。
第一磁極3Aおよび第二磁極3Bは、中心軸CL上で軸方向に貫通する貫通孔からなる中空部3Dが形成されている。中空部3Dは、駆動モータ2のロータ2Aに形成された中空部2Abと同等の内径に形成され中空部2Abに連通する。
電磁コイル3Cは、ケース11に固定され、第一磁極3Aと第二磁極3Bとに軸方向に磁界を発生するように設けられている。電磁コイル3Cは、図4に示す無機絶縁ケーブル8で構成されている。
この電磁クラッチ3は、電磁コイル3Cに電流を流すことで、軸方向に磁界が発生し、第一磁極3Aの吸着部3Aaおよび第二磁極3Bの吸着部3Baに作用する。磁界が吸着部3Aaおよび吸着部3Baに作用すると、これらが相互に吸着する吸着力が発生し、第一磁極3Aに第二磁極3Bが引き付けられ吸着する。第一磁極3Aに第二磁極3Bが吸着すると、第一磁極3Aおよび第二磁極3Bを介して駆動モータ2の回転が減速機構4および駆動機構5に伝達される。一方、電磁クラッチ3は、電磁コイル3Cに電流を流さないと、第一磁極3Aの吸着部3Aaおよび第二磁極3Bの吸着部3Baへの磁界の作用がなく、第一磁極3Aと第二磁極3Bとの吸着が解除される。第一磁極3Aと第二磁極3Bとの吸着が解除されると、駆動モータ2の回転が減速機構4および駆動機構5に伝達されなくなり、減速機構4および駆動機構5が回転自由な状態になる。
減速機構4は、電磁クラッチ3と駆動機構5との間に配置される。減速機構4は、電磁クラッチ3を介して駆動モータ2の回転が伝達され、この回転を減速しつつ駆動機構5に伝達する。減速機構4は、図5に示すように、例えば、遊星歯車機構からなる第一減速部4A、第二減速部4Bおよび第三減速部4Cが軸方向に積層して配置される。減速機構4は、この構成により、中央に軸方向に貫通する中空部4Dを有する。中空部4Dは、中心軸CL上で軸方向に貫通する貫通孔からなり、電磁クラッチ3に形成された中空部3Dと同等の内径に形成され中空部3Dに連通する。
駆動機構5は、電磁クラッチ3が吸着した状態において、駆動モータ2により駆動され、駆動軸6を昇降させる。駆動機構5は、図5から図9に示すように、ケース11の内部に設けられ、ラックギヤ5Aと、第一ピニオンギヤ5Bと、第二ピニオンギヤ5Cと、差動機構(ディファレンシャルギヤ)5Dと、第一出力軸5Eと、第二出力軸5Fと、第一伝達歯車群5Gと、第二伝達歯車群5Hと、を有する。
ラックギヤ5Aは、単一で構成され、上述した中空部2Ab,3D,4Dに挿通されるように上下方向(軸方向)に沿って連続して直線状に延びて形成される。ラックギヤ5Aは、長板状に形成された板面に、延在方向に沿って多数の噛合歯5Aaが形成される。実施形態のラックギヤ5Aは、一方の板面に噛合歯5Aaが形成される。ラックギヤ5Aは、上下方向に移動可能にケース11の内部で支持される。ラックギヤ5Aは、その下端が駆動軸6に連結される。
第一ピニオンギヤ5Bは、円柱形状の周面に噛合歯5Baが形成される。第一ピニオンギヤ5Bは、噛合歯5Baがラックギヤ5Aの噛合歯5Aaに噛み合う。第一ピニオンギヤ5Bは、上下方向(軸方向)に沿う中心軸CLに直交する水平方向に沿って延びる軸5Bbに固定される。第一ピニオンギヤ5Bは、軸5Bbが軸受5Bcによってケース11の内部に回転可能に支持されることで回転可能に設けられる。
第二ピニオンギヤ5Cは、円柱形状の周面に噛合歯5Caが形成される。第二ピニオンギヤ5Cは、噛合歯5Caがラックギヤ5Aの噛合歯5Aaに噛み合う。第二ピニオンギヤ5Cの噛合歯5Caは、第一ピニオンギヤ5Bの噛合歯5Baと同じピッチ・モジュールである。第二ピニオンギヤ5Cは、上下方向(軸方向)に沿う中心軸CLに直交する水平方向に沿って延びる軸5Cbに固定される。第二ピニオンギヤ5Cは、軸5Cbが軸受5Ccによってケース11の内部に回転可能に支持されることで回転可能に設けられる。
差動機構5Dは、ギヤケース5Daと、小ギヤ5Dbと、第一出力ギヤ5Dcと、第二出力ギヤ5Ddと、を有する。
ギヤケース5Daは、軸受5Deによってケース11の内部に回転可能に支持されることで中心軸CLの周りに回転可能に設けられる。ギヤケース5Daは、減速機構4に接続され、駆動モータ2の回転が伝達されることで回転する。
小ギヤ5Dbは、ギヤケース5Daの内部に配置される。小ギヤ5Dbは、傘歯車からなり、外周に噛合歯5Dbaが形成される。小ギヤ5Dbは、水平方向に延びる軸5Dfに固定される。小ギヤ5Dbは、軸5Dfが軸受5Dgによってギヤケース5Daに回転可能に支持されることで回転可能に設けられる。この小ギヤ5Dbは、ギヤケース5Daの内部に同一のものが複数(実施形態では2つ)配置されていてもよい。複数の小ギヤ5Dbは、軸5Dfの回転軸が中心軸CLで交わるように配置される。
第一出力ギヤ5Dcは、ギヤケース5Daの内部に配置される。第一出力ギヤ5Dcは、中央に孔が設けられた中空の傘歯車からなり、外周に噛合歯5Dcaが形成される。第一出力ギヤ5Dcは、軸受5Dhによってギヤケース5Daの内部に回転可能に支持されることで中心軸CLの周りに回転可能に設けられる。第一出力ギヤ5Dcは、噛合歯5Dcaが小ギヤ5Dbの噛合歯5Dbaに噛み合う。
第二出力ギヤ5Ddは、ギヤケース5Daの内部に配置される。第二出力ギヤ5Ddは、中央に孔が設けられた中空の傘歯車からなり、外周に噛合歯5Ddaが形成される。第二出力ギヤ5Ddの噛合歯5Ddaは、第一出力ギヤ5Dcの噛合歯5Dcaと同じピッチ・モジュールである。第二出力ギヤ5Ddは、軸受5Diによってギヤケース5Daの内部に回転可能に支持されることで中心軸CLの周りに回転可能に設けられる。第二出力ギヤ5Ddは、上下方向で第一出力ギヤ5Dcと対向し、噛合歯5Ddaが小ギヤ5Dbの噛合歯5Dbaに噛み合う。
第一出力軸5Eは、上下方向に延びる円筒形状に形成される。第一出力軸5Eは、軸受5Eaによってケース11の内部に回転可能に支持されることで中心軸CLの周りに回転可能に設けられる。第一出力軸5Eは、上端が差動機構5Dの第一出力ギヤ5Dcに連結される。
第二出力軸5Fは、上下方向に延びる円筒形状に形成される。第二出力軸5Fは、第一出力軸5Eの筒内に挿通され、軸受5Faによって第一出力軸5Eの内部に回転可能に支持されることで中心軸CLの周りに回転可能に設けられる。即ち、第二出力軸5Fは、第一出力軸5Eに同一軸心上で貫通して構成され、相互が相対的に回転可能に設けられる。また、第二出力軸5Fは、円筒形状によって中央に軸方向に貫通する中空部5Fbを有する。中空部5Fbは、減速機構4に形成された中空部4Dと同等の内径に形成され中空部4Dに連通する。従って、中空部5Fbは、駆動機構5のラックギヤ5Aが挿通される。また、第二出力軸5Fは、上端が差動機構5Dの第二出力ギヤ5Ddに連結される。
第一出力軸5Eおよび第二出力軸5Fは、上記のとおり同一軸心上で貫通して構成されていることから、双方が軸方向に沿って差動機構5Dの下方に延びて形成される。
第一伝達歯車群5Gは、出力ギヤ5Gaと、傘歯伝達ギヤ5Gbと、平歯伝達ギヤ5Gcを有する。
出力ギヤ5Gaは、第一出力軸5Eの下端に連結される。出力ギヤ5Gaは、中央に孔が設けられた中空の傘歯車からなり、外周に噛合歯5Gaaが形成される。
傘歯伝達ギヤ5Gbは、傘歯車からなり、外周に噛合歯5Gbaが形成される。傘歯伝達ギヤ5Gbは、噛合歯5Gbaが出力ギヤ5Gaの噛合歯5Gaaに噛み合う。傘歯伝達ギヤ5Gbは、水平方向に沿って延びる軸5Gdに固定される。傘歯伝達ギヤ5Gbは、軸5Gdが軸受5Geによってケース11の内部に回転可能に支持されることで回転可能に設けられる。
平歯伝達ギヤ5Gcは、円板状の外周に噛合歯5Gcaが形成される。平歯伝達ギヤ5Gcは、複数設けられ、互いの噛合歯5Gcaが噛み合って連続して設けられる。実施形態の駆動機構5では、平歯伝達ギヤ5Gcは、3つ設けられる。第一の平歯伝達ギヤ5Gcは、傘歯伝達ギヤ5Gbと共に軸5Gdに固定され、軸受5Geによって回転可能に設けられる。第二の平歯伝達ギヤ5Gcは、水平方向に延びる軸5Gfに固定される。第二の平歯伝達ギヤ5Gcは、軸5Gfが軸受5Ggによってケース11の内部に回転可能に支持されることで回転可能に設けられる。第三の平歯伝達ギヤ5Gcは、第一ピニオンギヤ5Bと共に軸5Bbに固定され、軸受5Bcによって回転可能に設けられる。
即ち、第一伝達歯車群5Gは、第一出力軸5Eと共に出力ギヤ5Gaが回転し、この回転を各平歯伝達ギヤ5Gcを介して第一ピニオンギヤ5Bに伝達する。このように、第一出力軸5Eは、第一伝達歯車群5Gを介して第一ピニオンギヤ5Bに係合する。
第二伝達歯車群5Hは、出力ギヤ5Haと、傘歯伝達ギヤ5Hbと、平歯伝達ギヤ5Hcを有する。
出力ギヤ5Haは、第二出力軸5Fの下端に連結される。出力ギヤ5Haは、中央に孔が設けられた中空の傘歯車からなり、外周に噛合歯5Haaが形成される。出力ギヤ5Haの噛合歯5Haaは、実施形態の構成例では出力ギヤ5Gaの噛合歯5Gaaと同じピッチ・モジュールである。
傘歯伝達ギヤ5Hbは、傘歯車からなり、外周に噛合歯5Hbaが形成される。傘歯伝達ギヤ5Hbは、噛合歯5Hbaが出力ギヤ5Haの噛合歯5Haaに噛み合う。傘歯伝達ギヤ5Hbの噛合歯5Hbaは、実施形態の構成例では傘歯伝達ギヤ5Gbの噛合歯5Gbaと同じピッチ・モジュールである。傘歯伝達ギヤ5Hbは、水平方向に沿って延びる軸5Hdに固定される。傘歯伝達ギヤ5Hbは、軸5Hdが軸受5Heによってケース11の内部に回転可能に支持されることで回転可能に設けられる。
平歯伝達ギヤ5Hcは、円板状の外周に噛合歯5Hcaが形成される。平歯伝達ギヤ5Hcは、複数設けられ、互いの噛合歯5Hcaが噛み合って連続して設けられる。平歯伝達ギヤ5Hcの噛合歯5Hcaは、実施形態の構成例では平歯伝達ギヤ5Gcの噛合歯5Gcaと同じピッチ・モジュールである。実施形態の駆動機構5では、平歯伝達ギヤ5Hcは、3つ設けられる。第一の平歯伝達ギヤ5Hcは、傘歯伝達ギヤ5Hbと共に軸5Hdに固定され、軸受5Heによって回転可能に設けられる。第二の平歯伝達ギヤ5Hcは、水平方向に延びる軸5Hfに固定される。第二の平歯伝達ギヤ5Hcは、軸5Hfが軸受5Hgによってケース11の内部に回転可能に支持されることで回転可能に設けられる。第三の平歯伝達ギヤ5Hcは、第二ピニオンギヤ5Cと共に軸5Cbに固定され、軸受5Ccによって回転可能に設けられる。
即ち、第二伝達歯車群5Hは、第二出力軸5Fと共に出力ギヤ5Haが回転し、この回転を各平歯伝達ギヤ5Hcを介して第二ピニオンギヤ5Cに伝達する。このように、第二出力軸5Fは、第二伝達歯車群5Hを介して第二ピニオンギヤ5Cに係合する。
上記駆動機構5の動作を説明する。図9に示すように、駆動機構5は、電磁クラッチ3が吸着した状態において、駆動モータ2の回転が差動機構5Dのギヤケース5Daに伝達される。ここでは、ギヤケース5Daは、R1方向に回転することとする。すると、ギヤケース5Daの回転に伴い、小ギヤ5Dbと第一出力ギヤ5Dcとの噛み合いによって第一出力軸5EがR1方向に回転する。同時に、ギヤケース5Daの回転に伴い、小ギヤ5Dbと第二出力ギヤ5Ddとの噛み合いによって第二出力軸5FがR1方向に回転する。
第一出力軸5EがR1方向に回転すると、第一伝達歯車群5Gは、第一出力軸5Eに連結された出力ギヤ5Gaを介し、傘歯伝達ギヤ5Gbおよび第一の平歯伝達ギヤ5GcがR2方向に回転し、続けて第二の平歯伝達ギヤ5GcがR3方向に回転し、第三の平歯伝達ギヤ5GcがR4方向に回転する。これに伴い、第一ピニオンギヤ5BがR4方向に回転し、ラックギヤ5AがS1方向である上方に移動する。
一方、第二出力軸5FがR1方向に回転すると、第二伝達歯車群5Hは、第二出力軸5Fに連結された出力ギヤ5Haを介し、傘歯伝達ギヤ5Hbおよび第一の平歯伝達ギヤ5HcがR5方向に回転し、続けて第二の平歯伝達ギヤ5HcがR6方向に回転し、第三の平歯伝達ギヤ5HcがR7方向に回転する。これに伴い、第二ピニオンギヤ5CがR7方向に回転し、ラックギヤ5AがS1方向である上方に移動する。
また、駆動機構5は、駆動モータ2の回転が差動機構5Dのギヤケース5DaにR1方向とは逆方向に伝達されると、第一ピニオンギヤ5BがR4方向とは逆方向に回転すると共に、第二ピニオンギヤ5CがR7方向とは逆方向に回転して、ラックギヤ5AがS1方向とは逆方向である下方に移動する。
このように、駆動機構5は、第一ピニオンギヤ5Bおよび第二ピニオンギヤ5Cが協働してラックギヤ5Aを上下方向に移動させる。
ここで、第一ピニオンギヤ5Bと第二ピニオンギヤ5Cの一方(例えば、第一ピニオンギヤ5B)がラックギヤ5Aに適切に噛み合い、他方(例えば、第二ピニオンギヤ5C)がラックギヤ5Aに対してバックラッシなどで噛み合いが十分でない場合がある。このような場合、差動機構を有さない駆動機構では、ラックギヤ5Aに噛み合いが十分でない第二ピニオンギヤ5Cはラックギヤ5Aに駆動力を伝達できない。したがって、ラックギヤ5Aに伝達される駆動力は、第一ピニオンギヤ5Bのみとなる。この場合、第二ピニオンギヤ5Cが負荷を分担していない状態となり、第一ピニオンギヤ5Bのみの強度では過負荷となり、ギヤ破損の問題がある。
この点、実施形態の駆動機構5は、差動機構5Dを備えている場合、第二ピニオンギヤ5Cがバックラッシュで適切にかみ合っていない状態で駆動モータ2が駆動されると、差動機構5Dの働きで、適切にかみ合っている第一ピニオンギヤ5Bがラックギヤ5Aに力を加える前に、第二ピニオンギヤ5Cはバックラッシュがなくなるまで回転しラックギヤ5Aに適切にかみ合うようになる。第二ピニオンギヤ5Cが適切にかみ合った後、両ピニオンギヤ5B,5Cが均等に(=1/2ずつ)力を分担してラックギヤ5Aを駆動する。差動機構5Dは、第一ピニオンギヤ5B、第二ピニオンギヤ5Cの区別無く、このような働きを絶えず行っているため、常に両ピニオンギヤ5B,5Cが適切にラックギヤ5Aにかみ合い、力を均等に分担することができる。このように、実施形態の駆動機構5は、差動機構5Dによって、第一ピニオンギヤ5Bおよび第二ピニオンギヤ5Cが円滑かつ確実にラックギヤ5Aに噛み合った状態で、双方ピニオンギヤ5B,5Cの駆動力をラックギヤ5Aに伝達する。即ち、実施形態の制御棒駆動装置1は、駆動機構5によって高出力のアクチュエータを実現できる。
駆動軸6は、駆動機構5のラックギヤ5Aの下端に連結され、図2に示すように、制御棒案内管105に挿通される。駆動軸6は、ラックギヤ5Aとして構成されていてもよい。従って、駆動軸6は、ケース11に対して中心軸CL上に軸方向に昇降移動が可能に設けられる。駆動軸6は、昇降移動において、駆動機構5に形成された中空部5Fb、電磁クラッチ3の第一磁極3Aおよび第二磁極3Bに形成された中空部3D、ロータ2Aに形成された中空部2Abに挿通される。そして、ラックギヤ5Aと連結、またはラックギヤ5Aとして構成される駆動軸6は、駆動機構5および制御棒駆動装置1によって上下方向に昇降移動する。駆動軸6は、その下端に制御棒104が連結される。
従って、駆動機構5および制御棒駆動装置1は、電磁クラッチ3が吸着し駆動モータ2からの駆動力の伝達を接続されるこことで、駆動モータ2により一方向の回転が伝達され、駆動軸6(制御棒104)を上昇させる。また、駆動機構5および制御棒駆動装置1は、電磁クラッチ3が吸着し駆動モータ2からの駆動力の伝達を接続されることで、駆動モータ2により他方向の回転が伝達され、駆動軸6(制御棒104)を下降させる。また、駆動機構5および制御棒駆動装置1は、電磁クラッチ3が吸着して駆動機構5と駆動モータ2とが接続されることで、駆動モータ2が駆動されていない状態において、駆動軸6(制御棒104)を上昇または下降した所定の位置にて保持する。また、駆動機構5および制御棒駆動装置1は、電磁クラッチ3が吸着解除した状態で駆動モータ2からの駆動力の伝達を切断されることで、駆動機構5の各部の回転が自由となり、駆動軸6の自由な下降を許容し、駆動軸6を伴った制御棒104の自由落下を許容する。従って、電磁クラッチ3を切断状態とすることで、制御棒104が自由落下するスクラム動作を補償し、燃料集合体102の内部に挿入され燃料集合体102の核燃料物質の核分裂反応を抑制し臨界状態にならないように制御する。
付勢手段7は、図2に示すように、本実施形態では、制御棒案内管105に設けられている。付勢手段7は、制御棒案内管105の内部に設けられ、この制御棒案内管105に挿通される駆動軸6を常に下方の炉心103側に付勢する圧縮バネを構成する。圧縮バネである付勢手段7は、上端が制御棒案内管105の内部の上端の係合部105aに引っ掛かり、下端が制御棒案内管105の内部において駆動軸6の係合部6aに引っ掛かって設けられる。従って、付勢手段7は、電磁クラッチ3が吸着解除した状態で駆動モータ2からの駆動力の伝達を切断されることで、駆動軸6の自由な下降を助勢し、駆動軸6を伴った制御棒104の自由落下を助勢する。電磁クラッチ3が吸着解除した状態では、減速機構4および駆動機構5の噛み合いの負荷が生じるが、付勢手段7は、この負荷に抗して駆動軸6の自由な下降を助勢し、駆動軸6を伴った制御棒104の自由落下を助勢する。かかる付勢手段7の作用は、舶用炉向け原子炉を想定した場合に、原子炉(船体)の傾斜・揺動・転覆の事象においても制御棒104を燃料集合体102の内部に確実に挿入する機能を担う。
このように、実施形態の駆動機構5は、移動可能に設けられる単一のラックギヤ5Aと、ラックギヤ5Aに噛み合い駆動力を伝達する第一ピニオンギヤ5Bと、ラックギヤ5Aに噛み合い駆動力を伝達する第二ピニオンギヤ5Cと、を含む。
この駆動機構5によれば、単一のラックギヤ5Aに第一ピニオンギヤ5Bおよび第二ピニオンギヤ5Cによる駆動力を足し合わせて伝達するため、小型化を図りつつ駆動伝達強度を維持でき、駆動性能を確保できる。しかも、この駆動機構5によれば、単一のラックギヤ5Aに対し、第一ピニオンギヤ5Bと第二ピニオンギヤ5Cとに荷重を分けて駆動力を伝達するため、1つのギヤに加わる負荷を軽減させられることから、潤滑油が使えない状況下においてもギヤの焼き付きが発生しない低い負荷伝達領域での駆動伝達が可能であり、駆動性能を確保できる。
また、実施形態の駆動機構5は、駆動モータ(駆動部)2の駆動力を各ピニオンギヤ5B,5Cに伝達する差動機構5Dを含む。
この駆動機構5によれば、差動機構5Dを含むことで、各ピニオンギヤ5B,5Cをラックギヤ5Aに円滑かつ確実に噛み合わせることができ、双方ピニオンギヤ5B,5Cに係る荷重を均等に分配でき、強度を確保できる。小型の原子炉100を実現させるために制御棒駆動装置1を原子炉容器101の内部に配置することが望まれる。その場合、潤滑油が使えない制約があり、ギヤの強度余裕を大きくとってギヤに加わる力を分散し、無潤滑でも成立するような設計が理想である。強度余裕を大きくすることは、大きなギヤを使うことを意味するが、制御棒駆動装置1は小型の原子炉容器101の内部に配置する必要があるため、大きなギヤを使えない。よって、小さなギヤを複数(実施形態では2個)私用して力を分散させるが、2つのギヤに確実に均等に力を分散(分担)させる必要がある。駆動機構5によれば、差動機構5Dを含むことで2つのギヤに確実に均等に力を分散(分担)させることができる。
ここで、実施形態の駆動機構5は、ケース11とは別体でケース11に取り付けられ、ケース11から抜き出すことのできる筒状のフレーム(図示せず)を設け、このフレームに対してラックギヤ5Aを除く、第一ピニオンギヤ5Bと、第二ピニオンギヤ5Cと、差動機構5Dと、第一出力軸5Eと、第二出力軸5Fと、第一伝達歯車群5Gと、第二伝達歯車群5Hと、が支持される。このように構成することで、駆動機構5は、メンテナンス時はラックギヤ5Aをケース11に残し、他の構成をケース11から抜き取ることができ、メンテナンス性を向上できる。そして、このメンテナンス時において、第一ピニオンギヤ5Bと、第二ピニオンギヤ5Cと、差動機構5Dと、第一出力軸5Eと、第二出力軸5Fと、第一伝達歯車群5Gと、第二伝達歯車群5Hと、をケース11に戻して組み立てた場合、各ピニオンギヤ5B,5Cのラックギヤ5Aに対する噛み合いが十分でない事象が生じるが、実施形態の駆動機構5は、差動機構5Dによってこの不具合を解消できる。
また、実施形態の駆動機構5は、第一ピニオンギヤ5Bに係合する第一出力軸5Eと、第二ピニオンギヤ5Cに係合する第二出力軸5Fと、を含み、第一出力軸5Eと第二出力軸5Fの一方が他方に同一軸心上で貫通して構成される。
この駆動機構5によれば、第一出力軸5Eと第二出力軸5Fの一方が他方に同一軸心上で貫通して構成されることで、第一出力軸5Eおよび第二出力軸5Fを同一方向に延びて配置できる。このため、実施形態の駆動機構5は、各ピニオンギヤ5B,5Cを共に近い位置でラックギヤ5Aに噛み合わせて配置でき、小型化に寄与できる。
また、実施形態の制御棒駆動装置1は、上記の駆動機構5によって昇降移動が可能に設けられ炉心に出し入れ可能な制御棒104が連結される駆動軸6を含む。
この制御棒駆動装置1によれば、上記の駆動機構5において単一のラックギヤ5Aに第一ピニオンギヤ5Bおよび第二ピニオンギヤ5Cによって駆動力を伝達するため、駆動軸6(制御棒104)の駆動性能を確保できる。また、この制御棒駆動装置1によれば、差動機構5Dを含むことで、各ピニオンギヤ5B,5Cをラックギヤ5Aに円滑かつ確実に噛み合わせ、双方ピニオンギヤ5B,5Cの回転力によって駆動軸6(制御棒104)を駆動できる。また、この制御棒駆動装置1によれば、第一出力軸5Eと第二出力軸5Fの一方が他方に同一軸心上で貫通して構成されることで、小型化に寄与できる。
また、制御棒駆動装置1は、駆動モータ2と、駆動モータ2により駆動される駆動機構5と、駆動機構5によって昇降移動が可能に設けられ炉心103に出し入れ可能な制御棒104が連結される駆動軸6と、駆動モータ2から駆動軸6への駆動力の伝達を接続または切断する電磁クラッチ3と、を備え、全ての前記構成(駆動モータ2、電磁クラッチ3、減速機構4、駆動機構5、駆動軸6、電磁クラッチ3、炉心103、制御棒104)が原子炉容器101の内部に配置されている。
この制御棒駆動装置1によれば、駆動モータ2と、電磁クラッチ3と、減速機構4と、駆動機構5と、駆動軸6と、原子炉容器101の内部に配置されているため、原子炉容器101の外部に制御棒104を駆動する構成を有さない。即ち、実施形態の制御棒駆動装置1は、原子炉容器101の内部から外部に貫通する管台を不要とし、このため、実施形態の制御棒駆動装置1を適用することで、管台の溶接部の破断事故を想定した設計をする必要がない。この結果、本実施形態の制御棒駆動装置1によれば、原子炉容器101の安全性を向上できる。
また、実施形態の制御棒駆動装置1において、駆動機構5は、ラックギヤ5Aへのピニオンギヤ5B,5Cの噛み合いによる。実施形態の制御棒駆動装置1は、このようなラックピニオンの簡素な噛み合いにより、駆動軸6の昇降を駆動している。この結果、実施形態の制御棒駆動装置1によれば、高温および水中の環境において、故障の少ない簡素な構成において制御棒104の駆動を確実に行うことができる。
また、実施形態の制御棒駆動装置1において、電磁クラッチ3は、駆動モータ2から駆動軸6への駆動力の伝達を接続または切断するもので、駆動モータ2から駆動軸6への駆動力の伝達を切断することで、駆動軸6の自由な下降を許容でき、駆動軸6を伴った制御棒104の自由落下を許容する。従って、実施形態の制御棒駆動装置1によれば、電磁クラッチ3を切断状態とすることで、制御棒104が自由落下し、燃料集合体102の内部に挿入されるため、燃料集合体102の核燃料物質の核分裂反応を抑制し臨界状態にならないように制御できる。
また、実施形態の制御棒駆動装置1では、駆動モータ2は、磁性材からなるロータ2Aを、ステータ2Bの電磁コイル2Cに生じる磁界の吸引力により回転させる。
この制御棒駆動装置1によれば、駆動モータ2は、永久磁石を用いないリラクタンスモータを構成できる。永久磁石は、耐熱性が低く、350℃以上の高温となる原子炉容器101の内部において使用が難しい。この結果、本実施形態の制御棒駆動装置1によれば、高温の原子炉容器101の内部への配置を実現できる。
また、実施形態の制御棒駆動装置1では、駆動モータ2および電磁クラッチ3は、電磁コイル2C,3Cのケーブルが無機絶縁ケーブル8からなる。
この制御棒駆動装置1によれば、無機絶縁ケーブル8を用いることで、ステータ2Bの内部への浸水時において電磁コイル2C,3Cの機能を維持できる。
また、実施形態の制御棒駆動装置1では、無機絶縁ケーブル8は、金属シース8bが耐熱・耐蝕合金からなる。
この制御棒駆動装置1によれば、無機絶縁ケーブル8の金属シース8bに耐熱・耐蝕合金を用いることで、耐熱性を向上し、高温での環境において電磁コイル2C,3Cの機能を維持できる。
また、実施形態の制御棒駆動装置1では、駆動モータ2のロータ2Aの中心軸CL上で軸方向に貫通する中空部2Ab,3D,5Fbが形成され、中空部2Ab,3D,5Fbに駆動軸6が挿通される。
この制御棒駆動装置1によれば、中空部2Ab,3D,5Fbに駆動軸6が挿通されるため、駆動モータ2のロータ2Aの中心軸CL上に駆動軸6を配置でき、装置の小型化を図れる。
また、実施形態の制御棒駆動装置1では、駆動軸6を常に炉心103側に付勢する付勢手段7を有する。
この制御棒駆動装置1によれば、電磁クラッチ3が吸着解除した状態では、減速機構4や駆動機構5により自由な落下を妨げる負荷が生じるが、付勢手段7は、この負荷に抗して駆動軸6の自由な下降を助勢し、駆動軸6を伴った制御棒104の自由落下を助勢できる。この結果、実施形態の制御棒駆動装置1によれば、燃料集合体102の核燃料物質の核分裂反応を確実に抑制し臨界状態にならないように安全に制御できる。かかる付勢手段7の作用は、舶用炉向け原子炉を想定した場合に、原子炉(船体)の傾斜・揺動・転覆の事象においても制御棒104を燃料集合体102の内部に確実に挿入する機能を担う。
また、本実施形態の原子炉100は、上記の制御棒駆動装置1と、制御棒駆動装置1により制御される炉心103と、制御棒駆動装置1および炉心103を内部に配置する原子炉容器101と、を含む。
この原子炉容器101によれば、制御棒駆動装置1の駆動性能を確保し、原子炉容器101の安全性を向上でき、原子炉容器101の小型化を図れ、高温および水中の環境において制御棒104の駆動を確実に行うことができ、安全な制御ができる。