JP7679178B2 - 医療用ドリル、及び医療用プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、医療用ドリル、及び医療用プログラムに関する。
従来、医療行為である手術や検診において、様々な医療機器を用いた施術が行われている。このような医療機器に関する技術が、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。
これら特許文献1や特許文献2に開示の技術では、生体組織を開孔するための施術機構(例えば、実際に切削を行うドリル刃)をモータで動作させると共に、このモータの電流値の変動に基づいてモータの動作制御を行っている。
特許第5692702号公報 特開2004-298559号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されているような一般的な技術は、モータの電流値に基づいて動作制御を行っているに過ぎない。この電流値は、あくまでモータの駆動の状態を示す情報であって、実際に施術を行っている施術機構の状態を適切に示す情報とは言い難い。
この点、施術機構の状態を、より適切に示す情報を取得することができれば、より精度高い動作制御を行ったり、ユーザに対してこの適切な情報を通知したりすることができる。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものである。そして、本発明の課題は、施術時における施術機構の状態を、より適切に示す情報を取得することである。
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る医療機器は、
患者に対する施術用の施術機構と、
前記施術機構に施術を行わせる施術用アクチュエータと、
前記施術に伴い検出された位置に関する情報に基づいて、力触覚に関する制御パラメータを算出すると共に、該力触覚に関する制御パラメータに基づいて、前記施術用アクチュエータによる前記施術機構に施術を行わせるための動作を制御する動作制御手段と、
前記力触覚に関する制御パラメータを取得するパラメータ取得手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、施術時における施術機構の状態を、より適切に示す情報を取得することができる。
本発明の第1の実施形態に係る医療機器の全体構成の一例を示すブロック図である。 制御対象装置の動作の制御の基本的原理の概念を示す模式図である。 力・触覚伝達機能が定義された場合の制御の概念を示す模式図である。 マスタ・スレーブシステムの概念を示す模式図である。 マスタ側ユニット及びスレーブ側ユニットの基本的構成を示す模式図である。 医療機器制御処理を実現するための、情報処理ユニットのハードウェア及び機能ブロックの一例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る医療機器に相当する構成の医療用ドリルにて、実際に貫通試験を行った際の、試験結果を示すグラフである。 医療機器制御処理の流れを説明するフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る医療機器の全体構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る医療機器の全体構成の一例を示すブロック図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。
[本発明の基本的概念]
以下では、本発明の実施形態の一例として、第1の実施形態、第2の実施形態、及び第3の実施形態という3つの実施形態について説明をする。まず前提として、これら3つの実施形態に共通する本発明の基本的概念について説明する。
本発明の各実施形態に係る医療機器は、少なくとも、施術機構と、施術用アクチュエータと、動作制御部と、パラメータ取得部と、を備える。
施術機構は、患者に対する施術用の機構である。そして、施術用アクチュエータは、施術機構に施術を行わせる。この場合に、動作制御部は、施術に伴い検出された位置に関する情報に基づいて、力触覚に関する制御パラメータを算出すると共に、該力触覚に関する制御パラメータに基づいて、施術用アクチュエータによる施術機構に施術を行わせるための動作を制御する。そして、パラメータ取得部は、この力触覚に関する制御パラメータを取得する。
このように、本発明の各実施形態に係る医療機器は、力触覚に関する制御パラメータに基づいて施術機構の動作を実際に制御する。また、本発明の各実施形態に係る医療機器は、この力触覚に関する制御パラメータを単に制御に用いるのみならず、この力触覚に関する制御パラメータを取得する。ここで、この力触覚に関する制御パラメータは、モータの電流値等と比較して、施術時における施術機構の状態を、より適切に示す情報である。
すなわち、本発明の各実施形態に係る医療機器によれば、施術時における施術機構の状態を、より適切に示す情報を取得することができる。
また、本発明の各実施形態に係る医療機器によれば、この適切な情報に基づいてより精度高く動作制御を行ったり、ユーザに対してこの適切な情報を通知したりすることもできる。
以上が、本発明の基本的概念である。次に、各実施形態について詳細に説明をする。
<第1の実施形態>
[構成]
図1は、本実施形態に係る医療機器1aの基本的構成を示す模式図である。なお、図1においては、施術を行う際の医療機器1aの移動方向(図中では矢印にて表す)を正面とした場合の、医療機器1aの側面図が模式的に示されると共に、可動筐体10及び固定筐体20を透過して内部構成が示されている。また、図1においては、これら可動筐体10及び固定筐体20に有線接続されている情報処理ユニット50と、施術の対象となる施術対象部位60と、についても模式的に示されている。
本実施形態を含む各実施形態では、説明のための一例として、医療機器1a(後述の医療機器1b及び医療機器1cを含む)が、生体組織を開孔するための施術機構としてドリル刃を備えた医療用ドリルであることを想定する。そして、ユーザである医師等の操作者が、この医療用ドリルである医療機器1a(後述の医療機器1b及び医療機器1cを含む)を用いて、脊椎外科手術を行い、施術対象部位60である脊椎骨を切削することを想定する。
ここで、医療用ドリルを用いた脊椎骨等の骨の切削では、骨の付近に通っている神経等の組織を損傷しないように留意して切削をする必要がある。しかしながら、このような切削手術は現状、医師の経験や感覚のみに基づいて行われているのが現状であり、より安全性の担保が望まれる。そこで、医師の経験の増加や感覚の向上を目的として、模擬骨やシミュレータを用いた切削トレーニング等も行われている。しかしながら、このような切削トレーニングでは技量の定量的な評価が困難であり、その効果を実感出来ないこともある。
この点、各実施形態は、上述したように、施術時における施術機構の状態を、より適切に示す情報である力触覚に関する制御パラメータを取得することができる。そして、各実施形態は、この力触覚に関する制御パラメータに基づいて、所定の状態(例えば、脊椎骨の貫通)を検出し、それ以上の施術を抑制するような動作制御(すなわち、エマージェンシーストップ)を行う。これにより、神経等の組織の損傷を防止することができる。すなわち、各実施形態は、上述した安全性の担保を実現することができる。また、各実施形態は、例えば、この力触覚に関する制御パラメータをユーザに通知する。これにより、各実施形態は、上述した切削トレーニングでの技量の定量評価を実現することができる。
このように、各実施形態は、脊椎骨を切削する医療用ドリルに好適である。そのため、以下では、各実施形態に係る医療機器1a(後述の医療機器1b及び医療機器1cを含む)が、脊椎骨を切削する医療用ドリルであることを想定して説明する。
ただし、これは説明のための一例に過ぎず、各実施形態の適用範囲は、これに限られない。例えば、各実施形態に係る医療機器1a(後述の医療機器1b及び医療機器1cを含む)は、医療用ドリルを含む医療機器全般に適用できる。また、各実施形態において、施術対象部位60は、人間等の生体の脊椎骨であってもよいが、生体の脊椎骨以外の骨や骨以外の身体部位であってもよいし、生体の身体の内部又は外部に配置された他の物体(例えば、人工関節や人工骨といった人工的な器官や、身体を固定するギプス等)の部位であってもよい。
図1に戻り、医療機器1aは、可動筐体10と、固定筐体20と、情報処理ユニット50とを備える。また、可動筐体10内部にはマスタ側ユニット11(マスタ側ドライバ111、マスタ側アクチュエータ112、及びマスタ側位置センサ113を含む)が配置されると共に、可動筐体10外部にはスイッチ12及びスイッチレバー13が配置される。さらに、固定筐体20内部には、スレーブ側ユニット21(スレーブ側ドライバ211、スレーブ側アクチュエータ212、及びスレーブ側位置センサ213を含む)、ドリル刃回転モータ22、及びドリル刃23が配置される。
可動筐体10は、施術を行う際の医療機器1aの移動方向に対応する軸(以下、「ドリル軸」と称する。)に沿って直動(すなわち、直線的な移動)可能な状態で、固定筐体20に接続されている。また、情報処理ユニット50は、信号線等を含んだケーブルで可動筐体10に有線接続されている。ただし、情報処理ユニット50は、可動筐体10又は固定筐体20の内部に配置されてもよい。
これら医療機器1aが備える各部には、図示を省略した外部電源又は内蔵バッテリ等から電源が供給される。また、これら医療機器1aが備える各部は、図示を省略した信号線を介して、様々なデータや、モータのオンオフの状態等を切り替えるための信号等を送受する。
このような構成の医療機器1aでは、2基の直動モータであるマスタ側アクチュエータ112及びスレーブ側アクチュエータ212と、1基の回転モータであるドリル刃回転モータ22とが駆動することにより、施術を実行可能とする。
ここで、マスタ側アクチュエータ112は、可動筐体10と物理的に連結されると共に、可動筐体10に対してドリル軸に沿った直動をするための推進力を付与する直動モータである。このマスタ側アクチュエータ112は、例えば、直動シャフトモータにより実現される。
スレーブ側アクチュエータ212は、固定筐体20及びドリル刃回転モータ22(及びこれに物理的に連結されたドリル刃23)と物理的に連結されると共に、ドリル刃回転モータ22(及びこれに物理的に連結されたドリル刃23)に対してドリル軸に沿った直動をするための推進力を付与する直動モータである。このスレーブ側アクチュエータ212は、例えば、直動ボイスコイルモータにより実現される。
ここで、ドリル刃回転モータ22及びドリル刃23は、ドリル軸に沿って直動可能な状態で固定筐体20と接続されている。従って、ドリル刃23の先端部(すなわち、施術対象部位60に接触して切削を行う部分)は、スレーブ側アクチュエータ212が付与する推進力における推進方向に応じて、固定筐体20から露出したり、遮蔽したりする。
ドリル刃回転モータ22は、ドリル刃23及びスレーブ側アクチュエータ212と物理的に連結されると共に、施術機構であるドリル刃23に対してドリル軸を回転軸とした回転をするための回転力を付与する回転モータである。なお、ドリル刃回転モータ22は、一定の強さで回転力を付与することを想定するが、これに限らず、図示を省略したフットペダル等をユーザが操作することにより、ドリル刃回転モータ22が付与する回転力の強さをユーザが調整できるようにしてもよい。
これらモータが駆動して、実際に施術が行われる場合、まずユーザは、左右の何れか一方の手で固定筐体20を施術対象部位60の近傍に固定すると共に、他方の手でスイッチレバー13を握る。これに伴い、スイッチレバー13によりスイッチ12が押下されると、ドリル刃回転モータ22がオン状態に切り替わり、ドリル刃回転モータ22はドリル刃23に対する回転力の付与を開始する。これに連動し、ドリル刃回転モータ22に物理的に連結されているドリル刃23は回転を開始する。
次に、ユーザは、他方の手で、操作機構である可動筐体10及びこれに連結されているマスタ側ユニット11をドリル軸に沿って施術対象部位60に向けて直動させるという操作を行う。
ここでその詳細については後述するが、医療機器1aでは、情報処理ユニット50による制御によって、マスタ側ユニット11をマスタ装置とし、スレーブ側ユニット21をスレーブ装置としたバイラテラル制御機能が実現される。すなわち、マスタ装置の動作(ここでは、可動筐体10が受け付けたユーザによる移動操作)がスレーブ装置に伝達すると共に、スレーブ装置に対する物体からの反力(ここでは、ドリル刃23の切削に対する施術対象部位60からの反力)の入力をマスタ装置にフィードバックするバイラテラル制御機能が実現される。
そのため、ユーザが可動筐体10及びこれに連結されているマスタ側ユニット11をドリル軸に沿って施術対象部位60に向けて直動させるという操作を行うと、これに連動し、スレーブ側アクチュエータ212が、ドリル刃回転モータ22及びドリル刃23を施術対象部位60に向けて直動させる。これにより、回転しているドリル刃23は施術対象部位60に押し当てられ、施術対象部位60である脊椎骨を切削する施術が実現される。
このように、医療機器1aは、バイラテラル制御を実現することで、操作機構である可動筐体10と、施術機構であるドリル刃23との間で相互に力触覚の伝達を行う。そのため、ユーザは、2基の直動モータの存在を意識することなく、1基の回転モータのみを備える一般的な医療用ドリルと同様の感覚で、医療機器1aを使用することができる。
それに加えて、医療機器1aは、このバイラテラル制御機能を実現するにあたり、力触覚に関する制御パラメータを算出して、この力触覚に関する制御パラメータを取得する。これにより[本発明の基本的概念]の説明の際に上述した効果を奏することが可能となる。
また、一般的な医療用ドリルでは、1基の回転モータのみが装着されているため、回転負荷に関する情報しか取得することができない。これに対して、本実施形態では、2基の直動モータを備えたことによって、回転モータによる切削でドリル刃23にかかる外乱トルクの情報と、ドリル軸に沿った直動に関する情報とが同期された情報を取得することができる。これにより、脊椎骨の切削という物理現象をより多角的に分析することが可能となる。
以上、医療機器1aの構成について説明した。次に、上述したバイラテラル制御機能を実現するための基本的原理について説明する。
[制御対象装置に対する動作制御]
次に、上述した各実施形態に係る医療機器1での具体的な処理の説明の前提として、本実施形態における、制御対象装置(ここでは、各実施形態に係る医療機器1)に対する動作制御の基本的原理について説明する。
なお、人間の動作(すなわち、人間の身体的行為)は、1つの関節等の個別の「機能」が単独で、あるいは組み合わされて構成されるものである。
したがって、本発明の各実施形態において、「動作」とは、人間の身体における部位の個別の「機能」を構成要素として実現される統合的な機能を表すものとする。例えば、ユーザの手等によってマスタ装置を移動させる操作は、手の各指や手首、及びこれらに連結する腕や肩の関節等の機能を構成要素とする統合的な機能である。
(基本的原理)
本発明の各実施形態における動作の制御の基本的原理は、どのような動作も力源と速度(位置)源及び動作を表す変換の三要素で数理的に表現できることから、変換及び逆変換により定義される変数群に対し、双対関係にある理想力源及び理想速度(位置)源より制御エネルギーを制御対象のシステムに供給することで、抽出した動作を構造化し、再構築あるいは拡張増幅し動作を可逆的に自動実現(再現)する、というものである。
図2は、本発明の各実施形態における制御対象装置の動作の制御の基本的原理の概念を示す模式図である。
図2に示す基本的原理は、人間の動作を実現するために利用可能なアクチュエータの制御則を表しており、アクチュエータの現在位置を入力として、位置(又は速度)あるいは力の少なくとも一方の領域における演算を行うことにより、アクチュエータの動作を決定するものである。
すなわち、本発明の各実施形態における制御対象装置の動作の制御の基本的原理は、制御対象システムCSと、機能別力・速度割当変換ブロックFTと、理想力源ブロックFCあるいは理想速度(位置)源ブロックPCの少なくとも1つと、逆変換ブロックIFTとを含む制御則として表される。
制御対象システムCSは、アクチュエータによって作動するロボットであり、加速度等に基づいてアクチュエータの制御を行う。ここで、制御対象システムCSは、人間の身体における1つ又は複数の部位の機能を実現するものであるが、その機能を実現するための制御則が適用されていれば、具体的な構成は必ずしも人間の身体を模した形態でなくてもよい。例えば、制御対象システムCSは、アクチュエータによってリンクに一次元のスライド動作を行わせるロボットとすることができる。
機能別力・速度割当変換ブロックFTは、制御対象システムCSの機能に応じて設定される速度(位置)及び力の領域への制御エネルギーの変換を定義するブロックである。具体的には、機能別力・速度割当変換ブロックFTでは、制御対象システムCSの機能の基準となる値(基準値)と、アクチュエータの現在位置とを入力とする座標変換が定義されている。この座標変換は、一般に、基準値及び現在速度(位置)を要素とする入力ベクトルを速度(位置)の制御目標値を算出するための速度(位置)からなる出力ベクトルに変換すると共に、基準値及び現在の力を要素とする入力ベクトルを力の制御目標値を算出するための力からなる出力ベクトルに変換するものである。具体的には、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおける座標変換は、次式(1)及び(2)のように一般化して表される。
Figure 0007679178000001
ただし、式(1)において、x’1~x’n(nは1以上の整数)は速度の状態値を導出するための速度ベクトルであり、x’a~x’m(mは1以上の整数)は、基準値及びアクチュエータの作用に基づく速度(アクチュエータの移動子の速度又はアクチュエータが移動させる対象物の速度)を要素とするベクトル、h1a~hnmは機能を表す変換行列の要素である。また、式(2)において、f’’1~f’’n(nは1以上の整数)は力の状態値を導出するための力ベクトルであり、f’’a~f’’m(mは1以上の整数)は、基準値及びアクチュエータの作用に基づく力(アクチュエータの移動子の力又はアクチュエータが移動させる対象物の力)を要素とするベクトルである。
機能別力・速度割当変換ブロックFTにおける座標変換を、実現する機能に応じて設定することにより、各種動作を実現したり、スケーリングを伴う動作の再現を行ったりすることができる。
すなわち、本発明の各実施形態における制御対象装置の動作の制御の基本的原理では、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおいて、アクチュエータ単体の変数(実空間上の変数)を、実現する機能を表現するシステム全体の変数群(仮想空間上の変数)に“変換”し、速度(位置)の制御エネルギーと力の制御エネルギーとに制御エネルギーを割り当てる。そのため、アクチュエータ単体の変数(実空間上の変数)のまま制御を行う場合と比較して、速度(位置)の制御エネルギーと力の制御エネルギーとを独立に与えることが可能となっている。
理想力源ブロックFCは、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に従って、力の領域における演算を行うブロックである。理想力源ブロックFCにおいては、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に基づく演算を行う際の力に関する目標値が設定されている。この目標値は、実現される機能に応じて固定値又は可変値として設定される。例えば、基準値が示す機能と同様の機能を実現する場合には、目標値としてゼロを設定したり、スケーリングを行う場合には、再現する機能を示す情報を拡大・縮小した値を設定したりできる。
理想速度(位置)源ブロックPCは、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に従って、速度(位置)の領域における演算を行うブロックである。理想速度(位置)源ブロックPCにおいては、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に基づく演算を行う際の速度(位置)に関する目標値が設定されている。この目標値は、実現される機能に応じて固定値又は可変値として設定される。例えば、基準値が示す機能と同様の機能を実現する場合には、目標値としてゼロを設定したり、スケーリングを行う場合には、再現する機能を示す情報を拡大・縮小した値を設定したりできる。
逆変換ブロックIFTは、速度(位置)及び力の領域の値を制御対象システムCSへの入力の領域の値(例えば電圧値又は電流値等)に変換するブロックである。
このような基本的原理により、制御対象システムCSのアクチュエータにおける位置の情報が機能別力・速度割当変換ブロックFTに入力されると、位置の情報に基づいて得られる速度(位置)及び力の情報を用いて、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおいて、機能に応じた位置及び力の領域それぞれの制御則が適用される。そして、理想力源ブロックFCにおいて、機能に応じた力の演算が行われ、理想速度(位置)源ブロックPCにおいて、機能に応じた速度(位置)の演算が行われ、力及び速度(位置)それぞれに制御エネルギーが分配される。
理想力源ブロックFC及び理想速度(位置)源ブロックPCにおける演算結果は、制御対象システムCSの制御目標を示す情報となり、これらの演算結果が逆変換ブロックIFTにおいてアクチュエータの入力値とされて、制御対象システムCSに入力される。
その結果、制御対象システムCSのアクチュエータは、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された機能に従う動作を実行し、目的とするロボットの動作が実現される。
すなわち、本発明の各実施形態においては、ロボットによって所定の行為時の人間の動作をより適切に実現することが可能となる。
(定義される機能例)
次に、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義される機能の具体例について説明する。
機能別力・速度割当変換ブロックFTでは、入力されたアクチュエータの現在位置に基づいて得られる速度(位置)及び力を対象とした座標変換(実現する機能に対応した実空間から仮想空間への変換)が定義されている。
機能別力・速度割当変換ブロックFTでは、このような現在位置から速度(位置)及び力と、機能の基準値としての速度(位置)及び力とを入力として、速度(位置)及び力それぞれについての制御則が加速度次元において適用される。
すなわち、アクチュエータにおける力は質量と加速度との積で表され、アクチュエータにおける速度(位置)は加速度の積分によって表される。そのため、加速度の領域を介して、速度(位置)及び力を制御することで、アクチュエータの現在位置を取得して、目的とする機能を実現することができる。
以下、各種機能の具体的な例を説明する。
(力・触覚伝達機能)
図3は、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおいて力・触覚伝達機能が定義された場合の制御の概念を示す模式図である。また、図4は、力・触覚伝達機能が適用されるマスタ装置及びスレーブ装置を含むマスタ・スレーブシステムの概念を示す模式図である。
図3及び図4に示すように、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義される機能として、マスタ装置の動作をスレーブ装置に伝達すると共に、スレーブ装置に対する物体からの反力の入力を操作反力としてマスタ装置にフィードバックする機能(バイラテラル制御機能)を実現することができる。
この場合、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおける座標変換は、次式(3)及び(4)として表される。
Figure 0007679178000002
ただし、式(3)において、x’pは速度(位置)の状態値を導出するための速度、x’fは力の状態値に関する速度である。また、x’mは基準値(マスタ装置からの入力)の速度(マスタ装置の現在位置の微分値)、x’sはスレーブ装置の現在の速度(現在位置の微分値)である。また、式(4)において、fpは速度(位置)の状態値に関する力、ffは力の状態値を導出するための力である。また、fmは基準値(マスタ装置からの入力)の力、fsはスレーブ装置の現在の力である。
(スケーリング機能)
上述の力・触覚伝達機能において、位置、力及び時間のスケーリング機能をさらに実現することができる。
スケーリング機能とは、基準となる制御に対して、出力される位置、力あるいは時間のスケールを拡大あるいは縮小する機能である。スケーリング機能によって、例えば、マスタ装置の動きの大きさを縮小してスレーブ装置で再現したり、マスタ装置の動きの強さ(力)を強めてスレーブ装置で再現したり、あるいは、マスタ装置の動きの速度を低下させてスレーブ装置で再現したりすることができる。
以下、スケーリング機能を実現するための構成例について説明する。
(スケーリングを伴う力・触覚伝達機能)
スケーリングを伴う力・触覚伝達機能が実現される場合、図2における機能別力・速度割当変換ブロックFTにおける座標変換は、次式(5)及び(6)として表される。
Figure 0007679178000003
式(5)及び式(6)に示す座標変換とした場合、スレーブ装置の位置がα倍(αは正数)、スレーブ装置の力がβ倍(βは正数)されて、マスタ装置に伝達される。
このようなスケーリング機能によって、例えば、施術の際に、ユーザの操作に伴う力触覚を抑制したり、強調したりすることができるため、より繊細な作業や、より力の必要な作業を行う場合に有効となる。
(スケーリングによる位置の制限を伴う力・触覚伝達機能)
スケーリングによる位置の制限を伴う力・触覚伝達機能が実現される場合、図2における機能別力・速度割当変換ブロックFTにおける座標変換は、例えば、次式(7)~(10)として表される。
なお、このような機能を実現する場合、以下のような条件を考慮することが適当である。
・速度次元まで連続であること(ヤコビ行列の存在条件)
・制限後の位置が元の位置の単調増加関数であること(安定性の条件)
・xs<aの時にはxs=xshatもしくはxs≒xshat(xshatは式(9)及び式(10)において機能別力・速度割当変換ブロックFTに含まれるパラメータ)
(安全領域での制御性能を保証する条件)
・飽和関数であること(ポジションリミットを実現する条件)
これらの条件を満たす他の関数として、atan関数を採用することも可能である。
Figure 0007679178000004
式(7)~式(10)に示す座標変換とした場合、スレーブ装置の位置がa未満の場合、式(7)、(8)の座標変換を適用することで、スレーブ装置とマスタ装置とは同様の位置に制御される。一方、スレーブ装置の位置がa以上の場合、式(9)、(10)の座標変換を適用することで、スケーリング機能が作用し、スレーブ装置は(1/b+a)の位置を超えないように制御される。
このようなスケーリング機能によって、例えば、施術の際に、ユーザの操作に伴うスレーブ装置の移動を抑制したすることが可能となる。
[マスタ側ユニット及びスレーブ側ユニットの構成]
次に、マスタ側ユニット11及びスレーブ側ユニット21の構成について、図5を参照して説明をする。図5は、医療機器1aにおける、マスタ側ユニット11及びスレーブ側ユニット21の基本的構成を示す模式図である。
図5に示すように、医療機器1aにおいて、マスタ側ユニット11及びスレーブ側ユニット21は、情報処理ユニット50と通信可能に接続される。
マスタ側ユニット11は、マスタ側ドライバ111と、マスタ側アクチュエータ112と、マスタ側位置センサ113と、を備える。また、マスタ側ユニット11は、マスタ側アクチュエータ112により、操作機構70を動作させる。上述したように、医療機器1aでは、可動筐体10が操作機構70に相当する。
同様に、スレーブ側ユニット21は、スレーブ側ドライバ211と、スレーブ側アクチュエータ212と、スレーブ側位置センサ213と、を備える。また、スレーブ側ユニット21は、スレーブ側アクチュエータ212により、施術機構80を動作させる。上述したように、医療機器1aでは、ドリル刃23(及びこれに連結されたドリル刃回転モータ22)が施術機構80に相当する。
なお、以下の説明において、マスタ側とスレーブ側を区別することなく説明する場合には、名称や符号の一部を省略して、単に「ユニット」、「ドライバ」、「アクチュエータ」、「位置センサ」と称する。
医療機器1aでは、図2から図4までを参照して上述した動作制御の基本的原理に基づいて、情報処理ユニット50、マスタ側ユニット11、及びスレーブ側ユニット21が協働することにより、マスタ側ユニット11がマスタ装置として動作し、スレーブ側ユニット21がスレーブ装置として動作する。
各ユニットが、マスタ装置及びスレーブ装置の一方の装置として動作する場合、他方の装置として動作するユニット(すなわち、マスタ側ユニット11又はスレーブ側ユニット21)のアクチュエータ(すなわち、マスタ側アクチュエータ112又はスレーブ側アクチュエータ212)に設置された位置センサ(すなわち、マスタ側位置センサ113又はスレーブ側位置センサ213)の検出結果を入力として、機能に応じた動作を行う。
また、医療機器1aに実装される機能は、上述したように、情報処理ユニット50にて実現される機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義される座標変換を切り替えることで、種々変更することができる。
情報処理ユニット50は、医療機器1a全体を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、メモリあるいはハードディスク等の記憶装置を含んだ情報処理装置によって構成される。
情報処理ユニット50は、図2や図3における機能別力・速度割当変換ブロックFTと、理想力源ブロックFCと、理想速度(位置)源ブロックPCと、逆変換ブロックIFTとの機能を備えている。そして、情報処理ユニット50では、これらの機能により、マスタ装置及びスレーブ装置の一方の装置として動作するための制御を行う。
そのために、情報処理ユニット50は、医療機器1aに備えられる機能毎の基準となる値(以下、「基準値」と称する。)を取得する。この基準値は、例えば、マスタ装置及びスレーブ装置の一方の装置として動作する場合の、他方の装置として動作するユニットのアクチュエータに設置された位置センサから出力される時系列の検出値である。このように他方の装置として動作するユニットから時系列の検出値をリアルタイムで情報処理ユニット50に基準値として取得する場合、情報処理ユニット50は、通信インターフェース(通信I/F)によって構成することができる。
すなわち、情報処理ユニット50には、まず、他方の装置として動作するユニットの位置センサによって検出された時系列に沿った検出値(すなわち、施術に伴い検出された位置に関する情報)が基準値として入力される。この時系列に沿った検出値は、他方の装置として動作するユニットの動作を表すものであり、情報処理ユニット50は、入力された検出値(位置)から導出された速度(位置)及び力の情報に対して、機能に応じて設定されている座標変換を適用する。
そして、情報処理ユニット50は、座標変換によって得られた速度(位置)の状態値を導出するための速度(位置)に対し、速度(位置)の領域における演算を行う。同様に、情報処理ユニット50は、座標変換によって得られた力の状態値を導出するための力に対し、力の領域における演算を行う。さらに、情報処理ユニット50は、算出した速度(位置)の領域における演算結果及び力の領域における演算結果に対して、加速度等への次元統一の処理を施し、また、機能に応じて設定されている座標変換の逆変換を適用する。これにより、情報処理ユニット50は、算出した速度(位置)の領域における演算結果及び力の領域における演算結果がアクチュエータへの入力の領域の値に変換される。
また、情報処理ユニット50では、さらに、医療機器1aによる施術を制御するための処理を行うための機能ブロックが機能する。この機能ブロックについては、図6を参照して後述する。
ドライバは、情報処理ユニット50によって逆変換されたアクチュエータへの入力の領域の値をアクチュエータに対する具体的な制御指令値(電圧値又は電流値等)に変換し、その制御指令値をアクチュエータに出力する。
アクチュエータは、ドライバから入力された制御指令値に従って駆動され、制御対象装置の位置(すなわち、操作機構70に相当する可動筐体10の位置、又は、施術機構80に相当するドリル刃23(及びこれに連結されたドリル刃回転モータ22)の位置)を制御する。
位置センサは、アクチュエータによって制御される制御対象装置の位置を検出し、検出値を情報処理ユニット50に出力する。
このような構成により、医療機器1aは、位置センサによって検出されたアクチュエータの位置から得られる速度(位置)及び力を、機能に応じた座標変換によって速度(位置)の領域及び力の領域の状態値に変換する。これにより、機能に応じて速度(位置)及び力それぞれに制御エネルギーが分配される。そして、それぞれの状態値が逆変換されて制御指令値とされ、この制御指令値に従って、ドライバによりアクチュエータが駆動される。
したがって、医療機器1aは、マスタ装置及びスレーブ装置の一方のアクチュエータの位置を検出することで、目的とする機能を実現するために必要な速度(位置)及び力の状態値を算出することができ、これらの状態値に基づいてマスタ装置及びスレーブ装置の他方のアクチュエータを駆動することで、マスタ装置及びスレーブ装置の位置及び力を目的とする状態に制御することができる。
また、医療機器1aは、情報処理ユニット50における機能に応じた座標変換を切り替えることで、異なる機能を実現することが可能となる。例えば、医療機器1aに備えられた記憶装置に、複数の機能に対応して、各種機能に応じた座標変換を記憶しておき、目的に応じて、いずれかの機能に応じた座標変換を選択することで、医療機器1aにおいて種々の機能を実現させることが可能となる。
例えば、(力・触覚伝達機能)として上述した機能を実現する場合、医療機器1aは、情報処理ユニット50に対して入力される基準値を、他方の装置として動作するユニットからリアルタイムに入力される位置及び力の取得値とすることができる。この場合、他方の装置として動作するユニットの動作とリアルタイムに連動して、一方の装置を制御することができる。すなわち、この場合、情報処理ユニット50においては、式(2)として表される座標変換が定義されるため、マスタ装置として動作するマスタ側アクチュエータ112の位置とスレーブ装置として動作するスレーブ側アクチュエータ212の位置との差がゼロとなる状態に制御される。
また、(力・触覚伝達機能)として上述した機能を実現する場合、マスタ装置として動作するマスタ側アクチュエータ112に操作者が加える操作における力触覚をスレーブ装置に伝達すると共に、スレーブ装置として動作するスレーブ側アクチュエータ212に作用する物体(例えば、施術対象部位60)からの反力を操作反力としてマスタ装置として動作するマスタ側アクチュエータ112にフィードバックする。これにより、マスタ装置に対して行われた操作がスレーブ装置で適切に再現されると共に、スレーブ装置に入力された物体からの反力を操作反力としてマスタ装置に適切に伝達することができる。
他にも、例えば、(スケーリング機能)として上述した機能を実現する場合、医療機器1aは、スケーリング機能によって、例えば、一方の装置として動作するユニットの動きの大きさを縮小して他方の装置として動作するユニットで再現したり、一方の装置として動作するユニットの動きの強さ(力)を強めて他方の装置として動作するユニットで再現したり、あるいは、一方の装置として動作するユニットの動きの速度を低下させて他方の装置として動作するユニットで再現したりすることができる。
上述のようにして、情報処理ユニット50は、マスタ側ユニット11のマスタ装置としての動作や、スレーブ側ユニット21のスレーブ装置としての動作を制御すると共に、さらに、「医療機器制御処理」を行なう。ここで、医療機器制御処理は、医療機器1aによる施術を制御する一連の処理である。
図6は、この医療機器制御処理を実現するための、情報処理ユニット50のハードウェア及び機能ブロックの一例を示すブロック図である。図6に示すように、情報処理ユニット50は、プロセッサ51と、ROM52と、RAM53と、通信部54と、記憶部55と、入力部56と、出力部57と、ドライブ58と、を含む。また、図6では図示を省略しているが、図5において図示したように、情報処理ユニット50には、ドライバと、位置センサとが接続される。これら各部は、信号線により接続されており、相互に信号を送受する。
プロセッサ51は、ROM52に記録されているプログラム、又は、記憶部55からRAM53にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM53には、プロセッサ51が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
なお、図中において、プロセッサ51は、単一のプロセッサとして図示されているが、これは一例に過ぎない。例えば、プロセッサ51を、複数のプロセッサにより実現するようにしてもよい。この場合、例えば、上述したマスタ装置やスレーブ装置としての動作を制御する機能(図中における「動作制御部511」や「パラメータ取得部512」に相当)と、これと協働して医療機器制御処理を行う機能(図中における「状態検出部513」や「通知部514」に相当)とを、それぞれ別のプロセッサにより実現してもよい。さらに、この場合、プロセッサは、情報演算処理装置単体によって構成されるものの他、これら演算処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の処理回路を含むものであってもよい。さらに、この場合、ROM52やRAM53等は、プロセッサ毎にそれぞれ設けられていてもよい。すなわち、情報処理ユニット50を、例えば、マスタ装置やスレーブ装置としての動作を制御するユニット(例えば、力・触覚伝達制御用の集積回路)と、医療機器制御処理を行うユニット(例えば、医療機器制御処理用のプログラムを組み込んだパーソナルコンピュータ)というように、複数のユニットに分散して実現してもよい。また、
通信部54は、プロセッサ51が、マスタ側ユニット11やスレーブ側ユニット21や、他装置との間で通信を行うための通信制御を行う。記憶部55は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、各種データを記憶する。
入力部56は、各種ボタン等の医療機器1aに備えられる入力装置、又はマウス及びキーボード等の外部入力装置で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。出力部57は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や、音声や警告音等を出力する。
ドライブ58には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア(図示を省略する。)が適宜装着される。ドライブ58よってリムーバブルメディアから読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部55にインストールされる。
このようなハードウェア構成において、医療機器制御処理を実現する場合、図8に示すようにプロセッサ51にて、動作制御部511と、パラメータ取得部512と、状態検出部513と、通知部514と、が機能する。
また、このようなハードウェア構成において、医療機器制御処理を実現する場合、図8に示すように記憶部55の一領域には、パラメータ記憶部551が設定される。
以下で特に言及しない場合も含め、これら機能ブロック間では、処理を実現するために必要なデータを、適切なタイミングで適宜送受信する。
動作制御部511は、上述のようにして、マスタ装置として動作するマスタ側ユニット11や、スレーブ装置として動作するスレーブ側ユニット21に対して、力・触覚伝達機能を適用した動作の制御を行う。すなわち、動作制御部511は、図2や図3における機能別力・速度割当変換ブロックFTと、理想力源ブロックFCと、理想速度(位置)源ブロックPCと、逆変換ブロックIFTとの機能を実現する。また、この場合に動作制御部511は、図3を参照して上述したようにして、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおいて力・触覚伝達機能を定義して、力・触覚伝達機能を適用した動作の制御を行う。さらに、この場合に動作制御部511は、機能に応じた座標変換を切り替えることで、異なる機能を実現する。
パラメータ取得部512は、動作制御部511による力・触覚伝達機能を適用した動作の制御で用いた制御パラメータである「力触覚に関する制御パラメータ」を取得する。以下では、説明のための一例として、パラメータ取得部512は、位置センサによって検出されたアクチュエータの位置から得られる位置を示す値及び力を示す値を、力触覚に関する制御パラメータとして取得することを想定する。
ここで、上述したように、アクチュエータにおける力は質量と加速度との積として算出でき、アクチュエータにおける速度(位置)は加速度の積分によって算出することができる。そこで、例えば、パラメータ取得部512は、各位置センサにより検出される各アクチュエータの位置や、上述した式(3)及び式(4)の座標変換結果に対応する情報に基づいて、リアルタイムに積分等の演算を行うことで位置を示す値及び力を示す値を算出して、これら力触覚に関する制御パラメータを取得する。
また、パラメータ取得部512は、取得した力触覚に関する制御パラメータをパラメータ記憶部551に記憶させる。すなわち、パラメータ記憶部551は、力触覚に関する制御パラメータを記憶する記憶部として機能する。
状態検出部513は、パラメータ取得部512が取得した力触覚に関する制御パラメータに基づいて、施術機構80による施術の状態が所定の状態であることを検出する。そして、動作制御部511は、状態検出部513がこの所定の状態を検出した場合に、力・触覚伝達機能を適用した動作の制御を切り替える。
本実施形態では、説明のための一例として、状態検出部513は、施術機構80が施術対象部位60である脊椎骨を貫通したことを、所定の状態として検出する。そして、動作制御部511は、状態検出部513が脊椎骨の貫通を検出した場合に、施術機構80が行う施術を抑制するように、力・触覚伝達機能を適用した動作の制御を切り替える。これにより、脊椎骨に沿った神経等の組織の損傷を防止することができる。これにより、上述した安全性の担保を実現することができる。
施術機構80(ここでは、ドリル刃23)が施術対象部位60(ここでは、脊椎骨)を貫通したことを検出する方法の一例について図7を参照して説明する。図7は、医療機器1aに相当する構成の医療用ドリルにて、実際に貫通試験を行った際の、試験結果を示すグラフである。グラフにおいて横軸は、時間を示す。また、グラフにおいて縦軸は、時系列に沿って変化する、スレーブ側直動モータ(ここでは、医療機器1aにおけるスレーブ側アクチュエータ212)の力触覚に関する制御パラメータの値として、位置を示す値(スレーブ側アクチュエータ212の作用に伴う位置)と、力を示す値(ここでは、施術対象部位60からの反力)を示す。
グラフに示すように施術が開始され、施術対象部位60に対する施術機構80での切削が実行されると、位置を示す値及び力を示す値は、大きく変動することなく、一定の値を保つ。このように切削が継続した後に、施術対象部位60が貫通したタイミング(図中に「貫通」というテキストで示す。)で、力を示す値が大きく変動し、急激に小さな値となる。また、同タイミングで位置を示す値が大きく変動し、急激に大きな値となる。これは、施術機構80の貫通により、施術対象部位60からの反力がほぼなくなると共に、反力をほぼ受けなくなった施術機構80の直動距離が長くなるためである。
状態検出部513は、このような力を示す値の大きな変動に基づいて、施術機構80が施術対象部位60を貫通したことを検出(図中に「貫通検出」というテキストで示す。)する。そのために、例えば、状態検出部513は力の値について、単位時間あたりの変動量を算出し、直近の単位時間あたりの変動量が所定の閾値以上に大きい場合に、貫通したことを検出する。この変動量についての所定の閾値は、例えば、施術対象部位60の物理特性と施術機構80の物理特性等に基づいて、予め絶対値として設定されていてもよいし、単位時間以前の変動量(すなわち、切削中の変動量)を基準とした相対値として設定されてもよい。
あるいは、このように変動量に基づいて検出するのではなく、例えば、力を示す値の瞬間値について所定の閾値を設定しておき、力を示す値の瞬間値に基づいて貫通を検出するようにしてもよい。
また、上述したように、貫通時には、位置を示す値についても大きく変動するので、力を示す値ではなく、位置を示す値について閾値を設定して貫通を検出するようにしてもよい。
状態検出部513は、施術機構80が施術対象部位60を貫通したことを検出すると、この貫通を検出した旨を動作制御部511に対して出力する。そして、動作制御部511は、状態検出部513が貫通を検出した場合に、施術機構80が行う施術を抑制するように、力・触覚伝達機能を適用した動作の制御を切り替える。例えば、動作制御部511は、マスタ側ユニット11と、スレーブ側ユニット21に対する制御を、バイラテラル制御から、スレーブ側ユニット21を固定する位置制御へ切り替える。
このようなスレーブ側ユニット21を固定する位置制御を実現するために、例えば、動作制御部511は、動作の制御において、上述した(スケーリング機能)を適用する。例えば、動作制御部511は、動作の制御において、上述した(スケーリングを伴う力・触覚伝達機能)を適用して、マスタ側ユニット11の動きを基準とした制御においてスレーブ側ユニット21にて出力される位置のスケールを極めて縮小する。あるいは、動作制御部511は、動作の制御において、上述した(スケーリングによる位置の制限を伴う力・触覚伝達機能)を適用して、貫通を検出した位置をポジションリミットとして設定する。
他にも、例えば、動作制御部511は、貫通が検出された場合には、マスタ側ユニット11の動きと関わりなくスレーブ側アクチュエータ212の制御を行うこととし、スレーブ側アクチュエータ212を強制的に停止させるように制御したり、スレーブ側アクチュエータ212により施術機構80が施術対象部位60から遠ざかる方向に直動するように制御したりしてもよい。
これにより、仮に貫通後にユーザが操作機構70による操作を継続したとしても、スレーブ側アクチュエータ212は、施術機構80をそれ以上移動させることはない。この場合、例えば、図7に示すように、力を示す値はほぼゼロとなるように制御されると共に、位置を示す値が一定値のままとなる。すなわち、施術機構80の位置が固定され、施術がこれ以上行われないという、施術が抑制された状態となる。
従って、脊椎骨に沿った神経等の組織の損傷を防止することができる。これにより、上述した安全性の担保を実現することができる。すなわち、エマージェンシーストップの機能を実現させることが可能となる。
なお、他にも、貫通が検出された場合には、動作制御部511は、スイッチレバー13がスイッチ12を押下していることに関わりなく、ドリル刃回転モータ22による回転を停止させるような制御を行うようにしてもよい。これにより、より安全性を高めることが可能となる。また、状態検出部513は、貫通以外の所定の状態を検出するようにしてもよい。例えば、施術対象部位60が比較的柔らかな生体組織である場合に、この施術対象部位60以外の比較的硬い生体組織や比較的硬い人工的な器官等に接触してしまったことを所定の状態として検出してもよい。この場合、例えば、力を示す値が大きく変動し、急激に大きな値となり、同タイミングで位置を示す値が大きく変動し、急激に小さな値となると考えられる。状態検出部513は、このような値の変化に基づいて、所定の状態を検出してもよい。
通知部514は、ユーザに対して、医療機器1aを用いた施術に関する様々な情報を提示する。例えば、通知部514は、ユーザに対して、パラメータ取得部512が取得した力触覚に関する制御パラメータを、リアルタイムに又は施術完了後等に通知する。他にも、例えば、通知部514は、状態検出部513により貫通が検出されたことを、リアルタイムに又は施術完了後等に通知する。ユーザは、これらの通知を参照して、例えば、ユーザ自身の操作(例えば、操作機構70に対する操作の強さや移動量)をリアルタイムに調整したり、施術完了後に切削トレーニング等での技量の定量評価を行うための指標としたりすることができる。
ここで、通知部514による通知は、例えば、図7に例示したようなグラフを出力部57に含まれるディスプレイへ表示することにより実現される。この場合に、スレーブ側アクチュエータ212についての力を示す値や位置を示す値のみならず、マスタ側アクチュエータ112についての力を示す値や位置を示す値を、さらに表示するようにしてもよい。このようにマスタ側アクチュエータ112についての力触覚に関するパラメータも表示すれば、例えば、ユーザが、貫通したにも関わらず操作機構70による操作を取りやめず、操作を継続してしまったこと等を把握することができる。
また、他にも、通知部514による通知は、例えば、出力部57に含まれるスピーカからの警告音や音声の出力や、出力部57に含まれるLED(Light Emitting Diode)等の発光部の点滅等により実現されてもよい。
このような、通知部514の通知によれば、力触覚に関する制御パラメータを、定量的なデータとしてユーザに通知して、ユーザによる解析を補助することが可能となる。例えば、ユーザによる、切削層識別や生体の力学性情報の解析を補助することが可能となる。
[医療機器制御処理]
本実施形態に係る医療機器1aが実行する医療機器制御処理の処理内容について、図8のフローチャートを参照して説明する。図8は、医療機器制御処理の流れを説明するフローチャートである。医療機器制御処理は、ユーザによる、医療機器1aを用いた施術の開始に伴い実行される。
ステップS11において、ユーザからの、スイッチレバー13によりスイッチ12を押下する操作に基づいて、ドリル刃回転モータ22はドリル刃23に対する回転力の付与を開始する。これに連動し、ドリル刃回転モータ22に物理的に連結されているドリル刃23は回転を開始する。
ステップS12において、ユーザからの、可動筐体10及びこれに連結されているマスタ側ユニット11をドリル軸に沿って施術対象部位60に向けて直動させるという操作に基づいて、動作制御部511は、マスタ装置として動作するマスタ側ユニット11や、スレーブ装置として動作するスレーブ側ユニット21に対して、力・触覚伝達機能を適用した動作の制御を開始する。
ステップS13において、パラメータ取得部512は、動作制御部511による力・触覚伝達機能を適用した動作の制御で用いた、力触覚に関する制御パラメータの取得を開始する。
ステップS14において、通知部514は、ユーザに対して、パラメータ取得部512が取得した力触覚に関する制御パラメータ等の通知を開始する。
ステップS15において、状態検出部513は、パラメータ取得部512が取得した力触覚に関する制御パラメータに基づいて、施術における所定の状態(ここでは、脊椎骨の貫通)を検出したか否かを判定する。所定の状態を検出した場合は、ステップS15においてYesと判定され、処理はステップS16に進む。一方で、所定の状態を検出していない場合は、ステップS15においてNoと判定され、処理はステップS17に進む。
ステップS16において、動作制御部511は、施術機構80が行う施術を抑制するように、力・触覚伝達機能を適用した動作の制御を切り替える。
ステップS17において、動作制御部511は、終了条件が充足したか否かを判定する。例えば、ユーザによる施術のための操作が終了した場合や、ステップS16において施術を抑制する処理が行われた場合に、終了条件が充足したと判定される。終了条件が充足した場合は、ステップS17においてYesと判定され、本処理は終了する。一方で、終了条件が充足していない場合は、ステップS17においてNoと判定され、処理はステップS15から繰り返される。
以上説明した、医療機器制御処理によれば、施術時における施術機構の状態を、より適切に示す情報を取得することができる。
また、医療機器制御処理によれば、この適切な情報に基づいてより精度高く施術を抑制するような動作制御を行ったり、ユーザに対してこの適切な情報を通知したりすることもできる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明をする。ここで、以下の第2の実施形態の説明及び第3の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と相違する点について詳細に説明する一方で、第1の実施形態と共通する点については、重複する再度の説明を省略する。例えば、第1の実施形態と同様の符号が付された構成要素の詳細や、上述した[制御対象装置に対する動作制御]における基本的原理や、情報処理ユニット50が備える各機能ブロックの機能や、[医療機器制御処理]の処理内容等について、第1の実施形態と共通する点については、重複する再度の説明を省略する。
図9は、本実施形態に係る医療機器1bの基本的構成を示す模式図である。なお、図1と同様に、図9においては、施術を行う際の医療機器1bの移動方向(図中では矢印にて表す)を正面とした場合の、医療機器1bの側面図が模式的に示されると共に、筐体30を透過して内部構成が示されている。また、これも図1と同様に、図9においては、筐体30に有線接続されている情報処理ユニット50と、施術の対象となる施術対象部位60と、についても模式的に示されている。
医療機器1bは、可動筐体10と固定筐体20とを備えていた医療機器1aと異なり、筐体30という単一の筐体を備える。そして、筐体30の内部にはマスタ側ユニット11(マスタ側ドライバ111、マスタ側アクチュエータ112、及びマスタ側位置センサ113を含む)スレーブ側ユニット21(スレーブ側ドライバ211、スレーブ側アクチュエータ212、及びスレーブ側位置センサ213を含む)、ドリル刃回転モータ22、及びドリル刃23が配置される。また、筐体30外部には、医療機器1aが備えていたスイッチ12及びスイッチレバー13に代えて、ラックアンドピニオン14及びスイッチレバー15が配置される。
また、医療機器1aでは、マスタ側アクチュエータ112は、可動筐体10に物理的に接続されると共に、可動筐体10に対してドリル軸に沿った直動をするための推進力を付与する直動モータであることを想定していた。これに代えて、医療機器1bでは、マスタ側アクチュエータ112は、筐体30に物理的に接続されると共に、ラックアンドピニオン14に対してドリル軸を回転軸とした回転力を付与する回転モータであることを想定する。
ラックアンドピニオン14は、このマスタ側アクチュエータ112が付与するドリル軸を回転軸とした回転力を、スイッチレバー15がドリル軸と直交する軸に対して直動をするための推進力に変換する。すなわち、ユーザにとってみれば、マスタ側アクチュエータ112の回転に伴い、スイッチレバー15が押し上げられる(すなわち、スイッチレバー15が開こうとする)ことによって操作反力が伝達される。これにより、医療機器1bでは、可動筐体10に代えて、スイッチレバー15が操作機構70として機能する。
このような医療機器1bの構成において、第1の実施形態と同様に、情報処理ユニット50による制御によって、マスタ側ユニット11をマスタ装置とし、スレーブ側ユニット21をスレーブ装置としたバイラテラル制御機能が実現される。すなわち、マスタ装置の動作(ここでは、ユーザによるスイッチレバー15を握る操作)がスレーブ装置に伝達すると共に、スレーブ装置に対する物体からの反力(ここでは、ドリル刃23の切削に対する施術対象部位60からの反力)の入力をマスタ装置にフィードバックするバイラテラル制御機能が実現される。
そのため、ユーザがスイッチレバー15を握るという操作を行うと、これに連動し、スレーブ側アクチュエータ212が、ドリル刃回転モータ22及びドリル刃23を施術対象部位60に向けて直動させる。これにより、回転しているドリル刃23は施術対象部位60に押し当てられ、施術対象部位60である脊椎骨を切削する施術が実現される。
このように、医療機器1bは、バイラテラル制御を実現することで、操作機構70であるスイッチレバー15と、施術機構80であるドリル刃23との間で相互に力触覚の伝達を行う。そのため、ユーザは、2基の直動モータの存在を意識することなく、1基の回転モータのみを備える一般的な医療用ドリルと同様の感覚で、医療機器1aを使用することができる。
それに加えて、医療機器1bは、このバイラテラル制御機能を実現するにあたり、力触覚に関する制御パラメータを算出して、この力触覚に関する制御パラメータを取得する。これにより[本発明の基本的概念]の説明の際に上述した効果を奏することが可能となる。
すなわち、医療機器1bの構成によっても、医療機器1aと同様の効果を奏することが可能となる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明をする。図10は、本実施形態に係る医療機器1cの基本的構成を示す模式図である。なお、図1及び図9と同様に、図10においては、施術を行う際の医療機器1cの移動方向(図中では矢印にて表す)を正面とした場合の、医療機器1cの側面図が模式的に示されると共に、筐体40を透過して内部構成が示されている。また、これも図1及び図9と同様に、図10においては、筐体40に有線接続されている情報処理ユニット50と、施術の対象となる施術対象部位60と、についても模式的に示されている。
医療機器1cは、可動筐体10と固定筐体20とを備えていた医療機器1aと異なり、筐体40という単一の筐体を備える。そして、筐体40の内部にはスレーブ側ユニット21(スレーブ側ドライバ211、スレーブ側アクチュエータ212、及びスレーブ側位置センサ213を含む)、ドリル刃回転モータ22、及びドリル刃23が配置される。
一方で、医療機器1cでは、医療機器1aと異なり、マスタ側ユニット11(マスタ側ドライバ111、マスタ側アクチュエータ112、マスタ側位置センサ113を含む)、スイッチ12、及びスイッチレバー13は、省略される。
医療機器1cは、医療機器1a及び医療機器1bのようにユーザが直接手に持って施術を行う医療機器として利用することもできるが、以下の説明では、例えば、図示を省略したロボットアームの先端等に配置されて利用される医療機器であることを想定する。この場合、医療機器1a及び医療機器1bにおいてユーザの操作に基づいて行っていた、バイラテラル制御機能による動作制御は、情報処理ユニット50によって、以下のように実現される。
上述したように、情報処理ユニット50は、バイラテラル制御機能による動作制御を行う場合、機能毎の基準となる値である基準値を取得する必要がある。この基準値は、例えば、上述した医療機器1a及び医療機器1bで、スレーブ装置を制御する場合、マスタ装置として動作するマスタ側ユニット11のマスタ側アクチュエータ112に設置されたマスタ側位置センサ113から出力される時系列の検出値である。これに対して、医療機器1cでは、情報処理ユニット50が、この基準値を生成する。すなわち、医療機器1cでは、スレーブ装置として動作するスレーブ側ユニット21の動作制御を実現するために、情報処理ユニット50が操作機構70及びマスタ装置の機能を仮想的に実現する。このように、情報処理ユニット50が基準値を生成することによっても、上述した[制御対象装置に対する動作制御]における基本的原理に基づいて、スレーブ側ユニット21をスレーブ装置とした動作制御を実現することができる。
ここで、基準値は、例えば、この仮想的なマスタ装置が所定の動作を行った場合に、この仮想的なマスタ装置からリアルタイムに入力される速度(位置)及び力の取得値である。ここで、アクチュエータ単体の変数(実空間上の変数)のまま制御を行う場合と比較して、速度(位置)の制御エネルギーと力の制御エネルギーとを独立に与えることが可能となっている。
そこで、例えば、この仮想的なマスタ装置が所定の動作として、所定の力を継続するという動作を行うこととする場合、動作制御部511は、上述した式(3)において、この所定の力に対応する力の値をfm(すなわち、基準値(仮想的なマスタ装置からの入力)の力)に代入し、上述した式(4)において、ゼロの値をx’m(すなわち、基準値(仮想的なマスタ装置からの入力)の速度(仮想的なマスタ装置の現在位置の微分値))に代入する。
他にも、例えば、この仮想的なマスタ装置が所定の動作として、所定の速度(位置)を継続するという動作を行うこととする場合、動作制御部511は、上述した式(3)において、ゼロの値をfm(すなわち、基準値(仮想的なマスタ装置からの入力)の力)に代入し、上述した式(4)において、この所定の速度(位置)に対応する値をx’m(すなわち、基準値(仮想的なマスタ装置からの入力)の速度(仮想的なマスタ装置の現在位置の微分値))に代入する。
そして、動作制御部511は、この基準値に基づいて、スレーブ側ユニット21をスレーブ装置とした動作制御を実現する。施術を開始するにあたり、動作制御部511は、まずドリル刃回転モータ22の回転を開始する。次に、動作制御部511は、上述したように、この仮想的なマスタ装置が所定の動作を行ったものとして、動作制御を行う。これにより、スレーブ側アクチュエータ212が、ドリル刃回転モータ22及びドリル刃23を施術対象部位60に向けて直動させる。これにより、回転しているドリル刃23は施術対象部位60に押し当てられ、施術対象部位60である脊椎骨を切削する施術が実現される。
このように、医療機器1cは、バイラテラル制御を実現することで、仮想的なマスタ装置が所定の動作を行ったものとして、動作制御を行う。この場合に、医療機器1cは、このバイラテラル制御機能を実現するにあたり、力触覚に関する制御パラメータを算出して、この力触覚に関する制御パラメータを取得する。これにより[本発明の基本的概念]の説明の際に上述した効果を奏することが可能となる。
すなわち、医療機器cの構成によっても、医療機器1aや医療機器1bと同様の効果を奏することが可能となる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態は例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、その他の様々な実施形態を取ることが可能である共に、省略及び置換等種々の変形を行うことができる。この場合に、これら実施形態及びその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
一例として、以上説明した本発明の実施形態を、以下のようにして変形してもよい。
上述した各実施形態では、施術機構としてドリル刃23を備え、ドリル刃回転モータ22によりドリル刃23を回転する医療ドリルで各実施形態を実現することを想定していた。これに限らず、回転することを要さない施術機構を備えた医療機器で各実施形態を実現するようにしてもよい。すなわち、スレーブ側アクチュエータ212が直接施術機構を直動させるような医療機器で各実施形態を実現するようにしてもよい。あるいは、ドリル刃23等の回転を要する施術機構を備えており、スレーブ側アクチュエータ212を、ドリル刃23に対して回転力を付与する回転モータとした構成の医療機器で各実施形態を実現するようにしてもよい。何れの場合であっても、スレーブ側アクチュエータ212以外にドリル刃回転モータ22を設ける必要がなくなる。また、これらの場合に、第3の実施形態のように情報処理ユニット50を仮想的なマスタ装置として機能させることにより、マスタ側ユニット11を設ける必要もなくなり、スレーブ側アクチュエータ212という単一の駆動装置のみで構成される医療機器に適用することも可能となる。
すなわち、上述した各実施形態を実現するための医療機器は、特に限定されず、様々な医療機器により上述した各実施形態を実現することができる。また、例えば、このような様々な医療機器を構成するための駆動装置の数や、ラックアンドピニオンやボールねじ等の、回転力を推進力に変換する機構の有無も特に限定されず、医療機器には、少なくとも施術機構を動作させるための単一の駆動装置が含まれていればよい。
これらのような構成とした場合であっても、施術機構を、バイラテラル制御機能により、動作制御することができる。この場合に、このバイラテラル制御機能を実現するにあたり、力触覚に関する制御パラメータを算出して、この力触覚に関する制御パラメータを取得する。すなわち、これらのような構成とした場合であっても、[本発明の基本的概念]の説明の際に上述した効果を奏することが可能となる。
また、他の変形例として、例えば、情報処理ユニット50の一部又は全部を、可動筐体10、固定筐体20、筐体30、及び筐体40といった各筐体の内部に収容するようにしてもよい。
以上のように、各実施形態に係る、医療機器1a、医療機器1b及び医療機器1cのそれぞれは、施術機構80と、スレーブ側アクチュエータ212と、動作制御部511と、パラメータ取得部512と、を備える。
施術機構80は、患者に対する施術用の機構である。
スレーブ側アクチュエータ212は、施術機構80に施術を行わせる。
動作制御部511は、施術に伴い検出された位置に関する情報に基づいて、力触覚に関する制御パラメータを算出すると共に、該力触覚に関する制御パラメータに基づいて、スレーブ側アクチュエータ212による施術機構80に施術を行わせるための動作を制御する。
パラメータ取得部512は、力触覚に関する制御パラメータを取得する。
このように、医療機器1a、医療機器1b及び医療機器1cのそれぞれは、力触覚に関する制御パラメータを取得する。ここで、この力触覚に関する制御パラメータは、モータの電流値等と比較して、施術時における施術機構の状態を、より適切に示す情報である。
すなわち、医療機器1a、医療機器1b及び医療機器1cのそれぞれによれば、施術時における施術機構の状態を、より適切に示す情報を取得することができる。
医療機器1a、及び医療機器1bのそれぞれは、操作機構70と、マスタ側アクチュエータ112と、を備える。
操作機構70は、操作者の操作を受け付ける機構である。
マスタ側アクチュエータ112は、操作機構70に操作反力を付与する。
この場合、動作制御部511は、力触覚に関する制御パラメータに基づいて、マスタ側アクチュエータ112による操作機構70に操作反力を付与するための動作を制御すると共に、力触覚に関する制御パラメータに基づいて、スレーブ側アクチュエータ212とマスタ側アクチュエータ112との間で、力触覚を相互に伝達する。
これにより、力触覚を伝達するというバイラテラル制御を実現することで、操作者が利用する操作機構に対して操作反力を付与することができる。
医療機器1a、及び医療機器1bのそれぞれは、施術機構80に回転力を付与するアクチュエータと、回転力を付与するアクチュエータに連結されると共に、該回転力を付与するアクチュエータ及び施術機構80に施術対象の部位方向への推進力を付与するアクチュエータと、を備える。
この場合、動作制御部511は、推進力を付与するアクチュエータをスレーブ側アクチュエータ212として制御する。
これにより、力触覚に関するパラメータとして、施術対象の部位方向への推進力に関する力触覚に関するパラメータを取得することができる。
医療機器1a、医療機器1b及び医療機器1cのそれぞれは、施術機構80に、施術対象の部位方向への推進力、又は回転力の推進力又は回転力の何れかを付与するアクチュエータを備える。
動作制御部511は、施術機構80に、施術対象の部位方向への推進力、又は回転力の何れかを付与するアクチュエータをスレーブ側アクチュエータ212として制御する。
これにより、力触覚に関するパラメータとして、施術機構に付与される推進力又は回転力の何れかに関する力触覚に関するパラメータを取得することができる。
医療機器1a、医療機器1b及び医療機器1cのそれぞれは、状態検出部513を備える。
状態検出部513は、パラメータ取得部512が取得した力触覚に関する制御パラメータに基づいて、施術機構80による施術の状態が所定の状態であることを検出する。
動作制御部511は、状態検出部513が所定の状態であることを検出した場合に、施術機構80が行う施術を抑制する。
これにより、施術を抑制すべき状態等を検出した場合に、施術を抑制する制御を行うことができる。
医療機器1a、医療機器1b及び医療機器1cのそれぞれにおいて、施術機構80は、施術対象部位を切削する施術機構を含んでいる。
この場合、状態検出部513は、力触覚に関する制御パラメータに基づいて、施術機構が受けた施術対象部位からの反力を検出すると共に、該反力の時系列に沿った変動に基づいて、施術機構が施術対象部位を貫通したことを、所定の状態として検出する。
これにより、施術対象部位を貫通した場合に、施術を抑制する制御を行うことができる。
[ハードウェアやソフトウェアによる機能の実現]
上述した実施形態による一連の処理を実行させる機能は、ハードウェアにより実現することもできるし、ソフトウェアにより実現することもできるし、これらの組み合わせにより実現することもできる。換言すると、上述した一連の処理を実行する機能が、各実施形態に係る医療機器1の何れかにおいて実現されていれば足り、この機能をどのような態様で実現するのかについては、特に限定されない。
例えば、上述した一連の処理を実行する機能を、ソフトウェアにより実現する場合、そのソフトウェアを構成するプログラムは、ネットワーク又は記録媒体を介してコンピュータにインストールされる。この場合、コンピュータは、専用のハードウェアが組み込まれているコンピュータであってもよいし、プログラムをインストールすることで所定の機能を実行することが可能な汎用のコンピュータ(例えば、汎用のパーソナルコンピュータ等の電子機器一般)であってもよい。また、プログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理のみを含んでいてもよいが、並列的あるいは個別に実行される処理を含んでいてもよい。また、プログラムを記述するステップは、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、任意の順番に実行されてよい。
このようなプログラムを記録した記録媒体は、コンピュータ本体とは別に配布されることによりユーザに提供されてもよく、コンピュータ本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供されてもよい。この場合、コンピュータ本体とは別に配布される記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、あるいはBlu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、例えば、MD(Mini Disc)等により構成される。これら記憶媒体は、例えば、図6のドライブ58に装着されて、コンピュータ本体に組み込まれる。また、コンピュータ本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図6のROM52、あるいは、図6の記憶部55に含まれるハードディスク等により構成される。
1a,1b,1c 医療機器、10 可動筐体、11 マスタ側ユニット、12 スイッチ、14 ラックアンドピニオン、13,15 スイッチレバー、20 固定筐体、21 スレーブ側ユニット、22 ドリル刃回転モータ、23 ドリル刃、30,40 筐体、50 情報処理ユニット、51 プロセッサ、52 ROM、53 RAM、54 通信部、55 記憶部、56 入力部、57 出力部、58 ドライブ、60 施術対象部位、70 操作機構、80 施術機構、111 マスタ側ドライバ、112 マスタ側アクチュエータ(モータ)、113 マスタ側位置センサ、211 スレーブ側ドライバ、212 スレーブ側アクチュエータ(モータ)、213 スレーブ側位置センサ、511 動作制御部、512 パラメータ取得部、513 状態検出部、514 通知部、551 パラメータ記憶部、CS 制御対象システム、FT 力・速度割当変換ブロック、FC 理想力源ブロック、PC 理想速度(位置)源ブロック、IFT 逆変換ブロック

Claims (6)

  1. 操作者の操作を受け付ける操作機構と、
    前記操作機構に操作反力を付与する操作用アクチュエータと、
    患者の施術対象部位の切削を伴う施術用の施術機構と、
    前記施術機構に施術を行わせる施術用アクチュエータと、
    動作制御手段であって、
    前記施術に伴い検出された位置に関する情報に基づいて、力触覚に関する制御パラメータを算出すると共に、
    前記力触覚に関する制御パラメータに基づいて、前記施術用アクチュエータによる前記施術機構に施術を行わせるための動作を制御し、
    前記力触覚に関する制御パラメータに基づいて、前記操作用アクチュエータによる前記操作機構に操作反力を付与するための動作を制御し、
    前記力触覚に関する制御パラメータに基づいて、前記施術用アクチュエータと前記操作用アクチュエータとの間で、力触覚を相互に伝達する、
    動作制御手段と、
    前記動作制御手段が前記操作用アクチュエータによる前記操作機構に操作反力を付与するための動作を制御するために用いる前記力触覚に関する制御パラメータを取得するパラメータ取得手段と、
    前記パラメータ取得手段が取得した前記力触覚に関する制御パラメータの時系列に沿った変動に基づいて、前記施術機構が前記施術対象部位を貫通したことを検出する状態検出手段と、
    を備え、
    前記動作制御手段は、前記状態検出手段が前記貫通したことを検出した場合に、前記施術機構が行う施術対象部位の切削を抑制する、
    ことを特徴とする医療用ドリル。
  2. 前記動作制御手段が行う、施術対象部位の切削を抑制するとは、前記力触覚の伝達を停止すると共に、前記操作者による操作機構の操作に関わらず、前記施術機構の位置を固定する制御を行うことである、
    ことを特徴とする請求項に記載の医療用ドリル。
  3. 前記施術対象部位の方向への推進力を付与する第1のアクチュエータと、
    前記施術対象部位の方向への推進力を付与する第2のアクチュエータと、
    を備えると共に、
    前記動作制御手段は、前記第1のアクチュエータを前記操作用アクチュエータとし、前記第2のアクチュエータを前記施術用アクチュエータとして制御する、
    ことを特徴とする請求項又はに記載の医療用ドリル。
  4. 前記制御パラメータは、前記操作用アクチュエータに関する、力を示す値および位置を示す値の何れか又は双方であり、
    前記状態検出手段は、前記力を示す値および前記位置を示す値の何れか又は双方について、単位時間あたりの変動量を算出し、直近の単位時間あたりの変動量が所定の閾値以上に大きい場合に、前記施術機構が前記施術対象部位を貫通したことを検出する、
    ことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の医療用ドリル。
  5. 前記施術機構に、施術対象部位方向への推進力、又は回転力の何れかを付与するアクチュエータを備え、
    前記動作制御手段は、前記施術対象部位方向への推進力、又は回転力の何れかを付与するアクチュエータを前記施術用アクチュエータとして制御する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用ドリル。
  6. 操作者の操作を受け付ける操作機構と、前記操作機構に操作反力を付与する操作用アクチュエータと、患者の施術対象部位の切削を伴う施術用の施術機構と、前記施術機構に施術を行わせる施術用アクチュエータと、を備える医療用ドリルに関する処理を行う医療用プログラムであって、
    動作制御機能であって、
    前記施術に伴い検出された位置に関する情報に基づいて、力触覚に関する制御パラメータを算出すると共に、
    前記力触覚に関する制御パラメータに基づいて、前記施術用アクチュエータによる前記施術機構に施術を行わせるための動作を制御し、
    前記力触覚に関する制御パラメータに基づいて、前記操作用アクチュエータによる前記操作機構に操作反力を付与するための動作を制御し、
    前記力触覚に関する制御パラメータに基づいて、前記施術用アクチュエータと前記操作用アクチュエータとの間で、力触覚を相互に伝達する、
    動作制御機能と、
    前記動作制御機能が前記操作用アクチュエータによる前記操作機構に操作反力を付与するための動作を制御するために用いる前記力触覚に関する制御パラメータを取得するパラメータ取得機能と、
    前記パラメータ取得機能が取得した前記力触覚に関する制御パラメータの時系列に沿った変動に基づいて、前記施術機構が前記施術対象部位を貫通したことを検出する状態検出機能と、
    をコンピュータに実現させると共に、
    前記動作制御機能は、前記状態検出機能が前記貫通したこと検出した場合に、前記施術機構が行う施術対象部位の切削を抑制する、
    ことを特徴とする医療用プログラム。
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