JP7654191B2 - 塗膜の耐久性評価方法及び高耐久性塗膜 - Google Patents

塗膜の耐久性評価方法及び高耐久性塗膜 Download PDF

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Description

本発明は塗膜の耐久性評価方法及び高耐久性塗膜に関する。
屋外で使用される塗装材には、紫外線劣化などに対する長期間の耐久性が必要とされる場合が増えている。代表的な耐久性塗料として、JIS K5669 鋼構造物用耐候性塗料1級に分類されるふっ素樹脂系塗料(非特許文献1)がある。これらの塗料の屋外環境での耐久性の促進試験としては、JIS B7751“紫外線カーボンアーク灯式の耐光性試験機及び耐候性試験機”や、JIS B7753“サンシャインカーボンアーク灯式の耐光性試験機及び耐候性試験機”に代表される試験装置を用いる環境促進試験が公開されている。
また、塗料に使用される顔料の光触媒活性に着目して過酸化水素水を間欠噴霧する試験が公開されている(非特許文献2)。過酸化水素を用いる方法は、高耐久性塗膜の上塗りの評価方法として実環境での劣化状態と良い相関があることが報告されている。
これらの試験は、いずれも湿潤環境あるいは乾燥環境で紫外線を含む光を試験材に照射する方法で、照射後の試験材の外観及び表面性状に起因した光沢、色彩の変化で耐久性を評価している。
一方、配電機材や送電鉄塔等の屋外の電力設備では、酸化チタン顔料を含む無彩色の重防食系の塗装が多く適用されていることから、塗膜の耐候性に影響する主要因子として、酸化チタンの光触媒作用による塗膜樹脂の酸化劣化に関する検討が行われている(非特許文献3)。そして、非特許文献3では、光触媒活性の異なる顔料を用いたふっ素樹脂系塗料を炭素鋼材に塗装して暴露試験を行った結果から、酸化チタン顔料の触媒活性が、試験材の光沢保持率や塗膜樹脂の分解に影響を与えることが報告されている。
JIS K5659:2018 鋼構造物用耐候性塗料 森 寛爾他"塗膜の高速耐候性試験法の開発"マテリアルライフ学会誌、13[4]p180~184(Oct.2001) 市場幹之他"重防食塗膜の耐候性評価法の検討"第57回材料と環境討論会、p334~337(2010)
しかしながら、本発明者が経年劣化した塗装材を調査したところ、JIS K5659鋼構造物用耐候性塗料1級に分類されるふっ素樹脂系塗料であっても、使用した塗料によって発錆などの経年劣化の程度に違いがあることを確認した。
すなわち、光沢保持率は同等の塗膜であっても、塗膜の保護性は同等ではなく、健全な塗膜と塗膜下で鋼材の腐食が生じている塗膜とがあることが判明した。塗膜の表面の光沢は、樹脂の耐久性能とは関係のない、例えば塗膜内の無機系顔料の種類・形状などにも影響される可能性があることが推察された。
そこで、塗膜の耐久性を評価するには、塗膜の光沢や色彩といった表面状態だけでなく、塗膜の内層の劣化についての評価も必要であることが示唆された。従来の促進試験法や暴露試験に適用されてきた、光沢や色彩といった表面状態の計測だけでは、塗膜内部の劣化状態の優劣を判断できないことが問題であった。
上記の課題を解決するため、本発明は、塗膜、とりわけ一般に耐久性塗料として知られているふっ素樹脂系塗料の塗膜に関して、塗膜表面だけでなく内部の劣化をも含めた経年劣化に対する塗膜の耐久性評価方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、塗膜の耐久性評価方法を用いて、高耐久性ふっ素樹脂系塗膜を提供することを目的とする。
本発明者は、塗膜の耐久性を評価する方法として、過酸化水素水溶液中での紫外線照射を促進試験環境とし、重防食塗装系で一般に使用される、ふっ素樹脂系塗膜及びポリウレタン樹脂系塗膜を対象塗膜として、塗膜内部の劣化情報を得るため塗膜からの溶出物に着目した。すなわち、所定量の過酸化水素水溶液中で、所定面積の塗膜に対して所定時間、所定の強度の紫外線を含む光を照射し、照射後の溶液中のイオン濃度を、イオンクロマトグラフにて測定し、塗膜の単位面積当たりに換算したイオン濃度(以下、単位面積当たりイオン濃度と称す。)を指標として塗膜の耐久性を評価した。
過酸化水素水溶液の濃度が、0.5質量%未満では紫外線を含む光を照射してもふっ素イオンと有機イオンの溶出量が少ないため、単位面積当たりイオン濃度が小さくバラツキも大きくなり、1.5質量%を超えてもふっ素イオンと有機イオンの溶出量に変化がなかった。一方で、有機系の顔料で調色された塗膜で変色が確認された。
また、試験材料の過酸化水素水溶液との接触面積が、0.7cm以下ではふっ素イオンと有機イオンの溶出量が小さく分析誤差が大きくなり、12cmを超えると均一な光照射が難しくなり、ふっ素イオンと有機イオンの単位面積当たりイオン濃度が小さくなった。
また、光源としては、紫外領域から可視光まで出力が安定している点で水銀ランプが望ましく、照射面積が小さい場合は、波長が280nm~380nmの範囲にあるLEDランプも適用可能であった。照射光の波長が280nm~380nmの範囲の強度が弱い場合、あるいは、照射光の波長が280nm~380nmの範囲を含まず、380nmを超える可視光領域の範囲にある場合は、ふっ素イオンと有機イオンの溶出が著しく低下し評価できなかった。
また、照射強度は、光源の波長が単一の場合は当該波長の強度で規定し、広域の波長の場合は300nm~400nmの波長の強度で規定した。照射強度が30W/m未満では、ふっ素イオンと有機イオンの溶出量が著しく減少し、一方、照射強度が90W/mを超えるとふっ素イオンと有機イオンの溶出量は増加するが、溶出量の再現性が悪化した。照射時間は、6時間未満ではふっ素イオンと有機イオンの溶出量が著しく減少し、48時間を超えるとふっ素イオンと有機イオンの溶出量は頭打ちとなり、接触面積に対する溶出量が低下することで再現性が低下した。水に不溶の分解物が塗膜表面に堆積して劣化反応を阻害したものと推察された。
実環境での10年間の暴露試験では、高耐久性ふっ素樹脂系塗膜はいずれも光沢保持率が低下していた(後記の表1参照)。光沢保持率が50%以下に低下しているものの、良好な防食性能を示した塗膜について、未曝露保管材を用いて、1質量%の過酸化水素水溶液中で、液温50℃、照射強度80W/m、照射時間24時間の条件で光照射を行った後、過酸化水素水溶液のイオン分析を行ったところ、ふっ素イオンの濃度が0.1ppm/cm以下であることが判明した。つまり、過酸化水素水溶液中に溶出したふっ素イオンの量は、塗膜の防食性能と相関するが、ふっ素イオンの量だけでは光沢保持率との相関を整理できなかった。
一方、同じく光沢保持率が低下しており、残膜厚は同レベルであるが発錆が認められた塗膜について、未曝露保管材を用いて、上記と同じ条件で光照射を行った後、過酸化水素水溶液のイオン分析を行ったところ、ふっ素イオンの濃度が0.1ppm/cm以下であることが確認された。発錆が認められながら、ふっ素イオンの濃度が0.1ppm/cm 以下である試験材について、詳細に分析を行ったところ、イオンクロマトグラフでふっ素イオン(F)と塩化物イオン(Cl)の間の保持時間で検出される有機イオンの濃度が高いことを見出した。当該塗膜の場合は、例えば、ふっ素樹脂以外の樹脂の含有率が高い塗料(フッ素樹脂とアクリル樹脂の配合塗料等)のように樹脂全体の分解は進行しているものの、ふっ素樹脂の配合量が少ないために、見掛け上、ふっ素イオンの溶出量が低下したものと推定された。
ふっ素イオン濃度が0.1ppm/cm以下で発錆を生じた試験材は、有機イオンの濃度が0.3ppm/cmを超えており、ふっ素イオン濃度が0.1ppm/cm以下で発錆を生じていない試験材は、有機イオンの溶出も軽微であった。
以上の知見に基づき、塗膜内を含めて劣化した樹脂の総量評価方法として、樹脂の分解物に相当する、溶出したイオンについて分析を行うことにより、塗膜の内部劣化に着目した経年耐久性の評価が可能であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ふっ素樹脂系塗膜について、塗膜表面だけでなく内部の劣化をも含めた経年劣化に対する耐久性を評価する方法であって、
実環境での経年曝露試験を行ったふっ素樹脂系塗料の塗膜を有する鋼材を試験材とし、
1.0質量%の過酸化水素水溶液を試験溶液として用い、
前記試験溶液に接触させた塗膜に、280~380nmの波長を含む光を、照射強度80.0w/m で24時間照射した後、
前記試験溶液中に溶出したふっ素イオンと有機イオンの濃度を測定し、
前記塗膜の単位面積当りに換算したイオン濃度量と前記試験材の発錆の有無との相関を指標として塗膜の耐久性を評価する
ことを特徴とする塗膜の耐久性評価方法。
(2)前記塗膜のふっ素イオンの溶出量が0.1ppm/cm 以下、かつ、有機イオンの溶出量が0.3ppm/cm 以下で、曝露試験で錆や塗膜下腐食が認められない塗膜を高耐久性塗膜と評価する、
前記(1)記載の塗膜の耐久性評価方法。
本発明によれば、耐候性に優れたふっ素樹脂系塗膜の内部劣化を反映した、塗膜の長期耐久性評価方法を提供することができる。すなわち、試験溶液中へ溶出したイオンの濃度量から塗膜の内部劣化を評価するので、光沢や色彩等の表面状態の計測だけでは分からなかった、塗膜内部の劣化を判断することが可能になる。また、該塗膜の耐久性評価方法を用いることにより、長期耐久性能に優れるふっ素樹脂系塗膜を提供することができる。
本発明に係る塗膜の耐久性評価方法に用いる装置の概略を説明する正面図である。 同じく断面図である。
本発明の塗膜の耐久性評価方法では、塗膜を形成した試験材における所定面積の領域(以下、「接触面」と称する。)を過酸化水素水溶液に接触させ、該接触面に、280~380nmの波長を含む光を、所定の強度で所定の時間照射した後、接触面から溶出してきたイオンの濃度を測定し、接触面の単位面積当たりに換算したイオン濃度により、劣化状態を判定する。
塗膜を形成した試験材における接触面の面積は、特に限定されるものではなく、試験材の大きさ、分析精度等を考慮すると、0.8~12cmが好ましく、より好ましくは5~10cmである。接触面の面積が0.8cm以上であれば、ふっ素イオン及び有機イオンの溶出量をある程度確保できるため分析誤差を小さくすることができる。また、接触面の面積が12cm以下であれば、均一に光照射することができ、分析に必要な溶出量を確保できる。
本発明の評価方法に用いる過酸化水素の濃度は、0.5~2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.7~1.8質量%、特に好ましくは1.0~1.5質量%である。過酸化水素の濃度が0.5質量%以上であれば、ふっ素イオン及び有機イオンの溶出量が十分となり、測定のバラツキを小さくすることができる。一方、2.0質量%以下であれば、ふっ素イオンや有機イオンの溶出量が頭打ちとなる恐れが少なくなり、有機系顔料で調色された塗膜により変色が生じることがない。
また、紫外線照射により塗膜の光分解反応が促進される塗膜もあるため、かかる塗膜を評価する際には、過酸化水素等の酸化剤を用いずに純水(イオン交換水、蒸留水等)のみで試験しても良い。
接触面に照射する光としては、280nm~380nmの紫外線を含む光が用いられる。380nm以下の紫外線を含まない光や、380nm以上の可視光領域の光を用いた場合は、ふっ素イオン及び有機イオンの溶出量が著しく少なくなるため、劣化状態の評価が困難となる。光源としては、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、誘電体バリア放電ランプ、LEDランプ等を使用することができる。
光の照射強度としては、30W/m以上90W/m以下が好ましく、50W/m以上90W/m以下がより好ましい。照射強度が30W/m以上であれば、ふっ素イオン及び有機イオンの溶出量が分析に十分な量となり、90W/m以下であれば、ふっ素イオン及び有機イオンの溶出量が増加しても再現性が低下することがない。
光の照射時間は、6時間以上48時間未満が好ましく、より好ましくは12時間以上36時間未満、さらに好ましくは20時間以上30時間未満である。照射時間が6時間以上であれば、分析に必要なふっ素イオン及び有機イオンの溶出量が得られる。一方、照射時間が48時間未満であれば、ふっ素イオン及び有機イオンの溶出量が頭打ちとなりデータの再現性が悪くなることが少ない。
本発明の塗膜の耐久性評価方法における評価対象塗膜は、紫外線により劣化が促進される屋外用塗料の上塗塗料の塗膜で、厚みが25~30μm程度のものが好適である。
評価対象塗膜を形成する塗料としては、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、変性エポキシ樹脂系塗料、シリコン樹脂系塗料、ふっ素樹脂系塗料(ポリフッ化ビニリデン樹脂塗料、ポリフッ化ビニル樹脂塗料、フルオロオレフィン共重合体等をベースとするふっ素樹脂系塗料)、塩化ゴム系塗料、フタル酸(アルキド)樹脂系塗料等が挙げられる。これらの塗料の形態は、限定されるものではなく、エマルジョン塗料、水性塗料、溶剤塗料、粉体塗料等であって良い。なお、本発明において“ふっ素樹脂系塗料”という場合は、変性ふっ素樹脂系塗料も含まれる。
それら塗料の中でも、本発明の塗膜の耐久性評価方法は、耐久性塗料であるふっ素樹脂系塗料の耐久性評価方法として好適である。ふっ素樹脂系塗料はふっ素樹脂とウレタン樹脂やアクリル樹脂との混合塗料であっても良い。
上記のふっ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PEP(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF´(ポリビニリデンフルオライド)、PVF(ポリビニルフルオライド)、FEVE(フルオロエチレン-ビニルエーテル)交互共重合体等が挙げられる。
また、本発明の塗膜の耐久性評価方法は、酸化チタンが配合されている塗料に適用可能である。酸化チタンの種類、配合量、配合方法等は特に限定されない。光触媒反応が進行しなくなるような表面処理がなされた酸化チタンが配合されている塗料にも適用でき、例えば、無機成分(シリカ、アルミナ等)、有機成分(ポリオール等)で表面処理された、酸化チタン含有量が80~90質量%に調整された酸化チタン等を配合した塗料等が挙げられる。
塗膜を構成する樹脂の種類によって、劣化状態の評価指標とする溶出イオンは異なる。ふっ素樹脂系塗料では、ふっ素イオン及び有機イオンが指標となる。また、ふっ素樹脂が分子構造に塩素を含む場合は塩素イオンも指標となる。一方、ふっ素樹脂を含まないアクリル樹脂系塗料やウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料等では、カルボン酸イオン等の有機イオンが指標となる。
試験溶液中の溶出イオン分析には、イオンクロマトグラフ等を用いることができる。また、試験溶液中のフッ素含有量等は元素分析により求めることができる。
次に、本発明を実施例及び比較例を用いて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
海岸地域にて10年間暴露試験を行った5種の白色の塗装試験材(A~E)を用いて塗膜の耐久性を評価した。曝露試験結果をまとめて表1に示す。
いずれの塗装試験材も、ブラスト鋼材にスプレー塗装で、厚さ50μmのエポキシ樹脂系塗料の下塗り、厚さ25μmのふっ素樹脂系塗料の上塗りが施されたものである。
[評価方法]
発錆の有無;目視で観察した。
光沢保持率;試験前の塗膜の60°鏡面光沢度を100%として、試験後の塗膜の60°鏡面光沢度の保持率(光沢保持率)(%)を求めた。尚、60°鏡面光沢度は、光沢計にて測定した。
Figure 0007654191000001

表1に示すように、10年暴露した試験材の光沢保持率はいずれも約30%に低下していた。試験材A及び試験材Bには、発錆は観られず、健全な状態を維持していた。試験材C、D、Eは、白色の上塗りが残っているものの発錆がみられた。 また、暴露試験初期からの膜厚減少はいずれも2μm以下であり、試験初期の塗膜厚を保持していた。
次に、表1に示した“試験材C”について、図1に示すセルを用い、表2に示す試験条件にて、過酸化水素水溶液中での照射試験を行った。
すなわち、塗装鋼板(試験材)1の上に、面積0.7cm、7cmあるいは15.9cmの円形開口部分を有する底板5(ガラス製)を、シーリング材6を介して載置し、さらに前記底板5の上に、シーリング材6を介してガラス製の筒状の筐体4を載置した。筐体4内に試験溶液(過酸化水素水溶液)2を100ml入れた後、光照射プローブ3を用いて光照射した。
光照射は、380nm以下の紫外領域の強度が高い200Wの高安定水銀キセノンランプ(SUPERCURE-204S(SAN-EI ELECTRIC社製))を用いた。大気中での塗装鋼板(試験材)1の前記開口部分に対する照射強度が所定の値になるように、照射プローブ3の位置と出力を調整した。筐体4の直径で試験溶液2の高さを調整した。試験溶液2の温度は50℃とした。
なお、光源としてキセノンランプを用いない表2の比較例1-7は、市販の朝日分光株式会社 ソーラーシミュレータ[エントリータイプ]HAL-C100(注;スペクトルがJIS規格A級の太陽光スペクトルに近似する)を用いた。
[イオンの分析方法]
照射試験後、過酸化水素水溶液中のふっ素イオンと有機イオンの濃度を測定した。
有機イオンの濃度の測定は、イオンクロマトグラフにより、ふっ素イオンと塩化物イオンの間の保持時間で検出される様々な有機物のピーク面積を、イオンクロマトグラフに付属のChromeleon 6.80を用いて自動分析することで行った。
イオンクロマトグラフ;ICS-2100(Thermo Scientific社製)
カラムの型番:IonPac AS12A
溶離液:2.7mM炭酸ナトリウム+0.3mM炭酸水素ナトリウム
[評価方法]
評価1は、ふっ素イオンの溶出量の測定結果を、前記開口部分の単位面積当たりに換算したふっ素イオン濃度(ppm/cm)として記した。
評価2は、有機イオンの溶出量の測定結果を、前記開口部分の単位面積当たりに換算した有機イオン濃度(ppm/cm)として記した。
試験結果を表2に示す。
Figure 0007654191000002

表2に示す試験結果より、以下のことがわかる。
実施例1-1、1-2及び比較例1-1、1-2より、 過酸化水素の濃度が0.5質量%未満では、光照射してもふっ素イオンと有機イオンの溶出が小さく、バラツキも大きかった。一方、1.5質量%を超えると、ふっ素イオンと有機イオンの溶出量増加に対する効果が飽和した。
実施例1-1、1-2及び比較例1-3、1-4より、開口部分の面積(以下、接触面積)が0.7cm以下では、ふっ素イオンと有機イオンの溶出量が小さく分析誤差が大きくなり、接触面積が12cmを超えると、均一な光照射が難しく単位面積当たりに換算したふっ素イオンと有機イオンの濃度が小さくなった。
実施例1-1、1-2及び比較例1-7、1-8、1-9より、光源として、280nm~380nmの範囲の照射強度が強い水銀ランプを用いた実施例1-1、1-2に対して、280nm~380nmの照射光強度が380nmを超える可視光領域に比べて弱い光源を用いた比較1-7では、ふっ素イオンと有機イオンの溶出が著しく低下し、定量評価ができなかった。照射強度が30W/m未満の比較例1-8では、ふっ素イオンと有機イオンの溶出が著しく低下した。照射強度が90W/mを超える比較1-9では、ふっ素イオンと有機イオンの溶出は増加するが、溶出量の再現性が低下した。
実施例1-1、1-2及び比較例1-5、1-6より、照射時間が6時間未満では、ふっ素イオンと有機イオンの溶出が著しく低下することが判る。一方、照射時間が48時間になると、ふっ素イオンと有機イオンの溶出量は頭打ちとなるとともに、溶出量の再現性が低下した。
次に、試験材A~Eを用いて、塗膜の評価試験を行った結果を表3に示す。
[評価方法]
評価は、実施例1-1と同じく、過酸化水素濃度1.0質量%、接触面積7cm、照射強度80W/m、照射時間24時間、温度50℃の条件で実施した。
評価1は、ふっ素イオンの溶出量の測定結果を、前記開口部分の単位面積当たりに換算したふっ素イオン濃度(ppm/cm)として記した。
評価2は、有機イオンの溶出量の測定結果を、前記開口部分の単位面積当たりに換算した有機イオン濃度(ppm/cm)として記した。
評価3は、表1に示した対応する試験材の10年の曝露試験の評価結果を示した。
塗膜下腐食を生じない場合を「〇」、発錆や塗膜下腐食を生じた場合を「×」とした。
Figure 0007654191000003
表3より、評価1のふっ素イオンの溶出量及び評価2の有機物の溶出量と、評価3の曝露試験での錆や塗膜下腐食の発生状況には相関があった。
すなわち、ふっ素イオン及び有機イオンの両者の溶出量が少ない場合には、曝露試験での発錆や塗膜下腐食は認められず、ふっ素イオンあるいは有機イオンのどちらかあるいは両者の溶出量が多い場合には、曝露試験での錆や塗膜下腐食が認められた。
本発明の塗膜の耐久性評価方法によれば、塗膜のふっ素イオンの溶出量が0.1ppm/cm以下で、かつ、有機イオンの溶出量が0.3ppm/cm以下であれば、耐久性に優れたふっ素樹脂系塗膜であることがわかる。
(実施例2)参照例
異なる性状の酸化チタンを配合したふっ素樹脂系塗料3種類(F1~F3)の白色の塗料を用いて、ブラスト鋼材にスプレー塗装し、厚さ25μmの上塗りを施した塗装試験材で、海岸地域にて10年間曝露試験を行い、塗膜の耐久性を評価した。
F1;塗膜が劣化しにくいように高度に表面処理された酸化チタンが配合された、ハイグレードふっ素樹脂系塗料
F2;中程度に表面処理された酸化チタンが配合された、中グレードふっ素樹脂系塗料
F3;表面処理の程度が低い酸化チタンが配合された、低グレードふっ素樹脂系塗料
一方、当該3種類の塗装試験材について塗膜の耐久性評価試験を行った。耐久性評価試験では、実施例1と同じ装置を使用し、実施例1-1と同じ条件、すなわち過酸化水素濃度1.0質量%、開口面積7cm、280~380nmの波長の強度が強、照射強度80W/cmで、UV照射時間を24時間とし、6時間、15時間、24時間照射時での溶出イオン濃度を測定した。
F1,F2,F3の3種類の塗料には、塗膜を構成する塗料樹脂に塩素が含まれていることから、塗膜から過酸化水素水溶液中に溶出されるふっ素イオン、塩素イオンの濃度を測定した。
溶出したイオンの濃度測定は、実施例1と同様の方法で行った。
塗装試験材の暴露試験結果及び耐久性試験結果を表4に示す。
Figure 0007654191000004

表4より、ハイグレードふっ素樹脂系塗料(F1)では、24時間照射してもふっ素イオンの溶出量は微量であった。中グレートふっ素樹脂系塗料(F2)では、照射時間とともにふっ素イオンが溶出し、単位面積当たりのふっ素イオン濃度が高くなり、低グレードふっ素樹脂系塗料(F3)では、さらにふっ素イオンが溶出し易くなることが認められた。
塩素イオンについても、ハイグレードふっ素樹脂系塗料(F1)では溶出する塩素イオン濃度が低く、中グレートふっ素樹脂系塗料(F2)では、照射時間とともに溶出する塩素イオン濃度が高くなり、低グレードふっ素樹脂系塗料(F3)では、さらに溶出する塩素イオン濃度が高くなることが認められた。
実施例2より、樹脂構造に塩素を含むふっ素樹脂系の塗料において、溶出イオン量と塗膜暴露試験結果に相関が認められた。ふっ素樹脂系塗料の耐久性評価では、ふっ素イオン濃度の測定結果と塩素イオン濃度の測定結果に相関が認められたことから、塗膜に含まれる化合物から溶出されるイオンの種類を想定し、イオンクロマトグラフ等でイオン溶出量を測定することにより、塗膜の内部評価が可能であることがわかった。
本発明の実施例1より、紫外線を含む光を24時間照射した後に試験溶液中に溶出したふっ素イオンの濃度が、塗装試験材の単位面積当り0.1ppm/cm以下であり、かつ、試験溶液中に溶出した有機イオンの濃度が、塗装試験材の単位面積当り0.3ppm/cm以下であると、高耐久性ふっ素樹脂系塗膜と評価することができた。
また、塩素を含むふっ素樹脂系塗料の場合においても、本発明の実施例2より、紫外線を含む光を24時間照射した後に試験溶液中に溶出したふっ素イオンの濃度が、塗装試験材の単位面積当り0.1ppm/cm以下であり、かつ、試験溶液中に溶出した塩素イオンの濃度が、塗装試験材の単位面積当り0.5ppm/cm以下であると、高耐久性ふっ素樹脂系塗膜と評価することができた。
本発明の塗膜の耐久性評価方法は、塗膜内部の劣化状態の優劣を判断する方法として、広く利用することができ、とりわけ、鉄塔、橋梁、配電機材、建造物等の紫外線による塗膜内部の劣化が生じ易い屋外構造物表面塗膜の寿命診断に有効である。
1 塗装鋼板(試験材)
2 試験溶液
3 光照射プローブ
4 筺体
5 底板(ガラス製)
6 シーリング材

Claims (2)

  1. ふっ素樹脂系塗膜について、塗膜表面だけでなく内部の劣化をも含めた経年劣化に対する耐久性を評価する方法であって、
    実環境での経年曝露試験を行ったふっ素樹脂系塗料の塗膜を有する鋼材を試験材とし、
    1.0質量%の過酸化水素水溶液を試験溶液として用い、
    前記試験溶液に接触させた塗膜に、280~380nmの波長を含む光を、照射強度80.0w/m で24時間照射した後、
    前記試験溶液中に溶出したふっ素イオンと有機イオンの濃度を測定し、
    前記塗膜の単位面積当りに換算したイオン濃度量と前記試験材の発錆の有無との相関を指標として塗膜の耐久性を評価する
    ことを特徴とする塗膜の耐久性評価方法。
  2. 前記塗膜のふっ素イオンの溶出量が0.1ppm/cm 以下、かつ、有機イオンの溶出量が0.3ppm/cm 以下で、曝露試験で錆や塗膜下腐食が認められない塗膜を高耐久性塗膜と評価する、
    請求項1記載の塗膜の耐久性評価方法。
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