JP7653209B2 - マメ科植物用培土及びその使用、マメ科植物用栽培セット、マメ科植物の栽培方法、並びに、培土付きマメ科植物の苗 - Google Patents

マメ科植物用培土及びその使用、マメ科植物用栽培セット、マメ科植物の栽培方法、並びに、培土付きマメ科植物の苗 Download PDF

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Description

本開示は、マメ科植物用培土及びその使用、マメ科植物用栽培セット、マメ科植物の栽培方法、並びに、培土付きマメ科植物の苗に関する。
国連食糧農業機関によると、問題無く作物を生産できる農地面積は、世界の全農地面積の40%程度である。現在ではさらに年間約500万haの農地が劣化しており、農地の確保に関する新たな取り組みがなされない限り、2050年には、世界の1人当たりの耕作可能地は、1960年における耕作可能地の水準の1/4にまで減少すると予想されている。そのため、生産性を重視する慣行農法から、環境を重視する持続的農業への変換が必要となっている。
生産性を重視する慣行農法では、特定の農地で特定の種類の作物のみを栽培する場合がある。しかし同じ場所で同じ作物を栽培し続けることで、ある特定の種類の病原体(例えば病害虫又は病原菌等)の増殖が助長され、生態系のバランスが崩れ、そして作物の生産はダメージを受ける。これは、病原体の多くは作物に対して宿主特異性を有するからである。この問題を解消する方法として、根部エンドファイト系植物共生菌を用いた栽培方法が知られている。根部エンドファイト(Dark-Septate Endophyte;DSE)系植物共生菌とは、植物と菌根を形成して植物根内をすみかとする、植物と共生関係にある有用微生物である。
特許文献1には、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)属に分類されるダイズ根粒菌による低温環境でのダイズ生育促進効果が記載されている。
特許文献2には、エンドファイトであるベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34、K45、又はCBS菌株を接種することにより、作物の生長を安定化させる有利な特質を付与できることが記載されている。
特許文献3には、エンドファイトであるベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34菌株を接種することにより、トマトへの放射性セシウム吸収抑制効果があることが記載されている。
特許文献4には、アゾスピリラムブラジレンス(Azospirillum brasilense)NI-10株と根粒菌を接種することにより、マメ科植物の成長促進、収量増加の効果があることが記載されている。
特許文献5には、エンドファイトであるステノトロホモナス(Stenotrophomonas sp.)MYK101菌株を、マメ科の植物に接種することにより、生長促進、収量増加の効果があることが記載されている。
非特許文献1には、フザリウム(Fusarium)属の菌類により萎黄病が誘発されたイチゴの苗に、菌類であるクラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)SK51を共生させるという栽培方法が記載されている。
特開2021-090395号公報 特開2021-052740号公報 特開2016-054711号公報 特開平08-109109号公報 特開2015-027995号公報
Wiwiek Harsonowati et al., The Effectiveness of a Dark Septate Endophytic Fungus, Cladophialophora chaetospira SK51, to Mitigate Strawberry Fusarium Wilt Disease and With Growth Promotion Activities, Front. Microbiol., 2020.Apr.15, Vol.11, Art.585
上述のように共生菌を用いた植物の生育促進に関する種々の研究がなされているが、マメ科植物の生育促進についてさらなる技術の開発が望まれている。
本開示は、マメ科植物の生育を促進することができるマメ科植物用培土及びその使用、マメ科植物用栽培セット、マメ科植物の栽培方法、並びに、培土付きマメ科植物の苗を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
<1> クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む根部エンドファイト系植物共生菌と、
土壌と、
を含むマメ科植物用培土。
<2> 根粒菌をさらに含む、前記<1>に記載のマメ科植物用培土。
<3> 前記クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類は、クラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)である、前記<1>又は<2>に記載の植物のマメ科植物用培土。
<4> 前記根部エンドファイト系植物共生菌は、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類である、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土。
<5> 前記土壌は、pH4以上6未満である、前記<4>に記載のマメ科植物用培土。<6> 前記根部エンドファイト系植物共生菌は、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類である、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土。<7> 前記土壌は、pH6以上7以下である、前記<6>に記載のマメ科植物用培土。<8> 前記<1>~<7>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土、及びマメ科植物体を含む、マメ科植物用栽培セット。
<9> 前記<1>~<7>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土を用いてマメ科植物を栽培することを含む、マメ科植物の栽培方法。
<10> 前記栽培において、前記根部エンドファイト系植物共生菌及び根粒菌を同時期に植物体と混合して前記マメ科植物を栽培する、前記<9>に記載のマメ科植物の栽培方法。
<11> 前記<1>~<7>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土と、マメ科植物の苗と、を含む、培土付きマメ科植物の苗。
<12> 前記<1>~<7>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土の、マメ科植物の栽培のための使用。
本開示によれば、マメ科植物の生育を促進することができるマメ科植物用培土及びその使用、マメ科植物用栽培セット、マメ科植物の栽培方法、並びに、培土付きマメ科植物の苗が提供される。
図1Aは、実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培14日目のダイズ苗の(A)全身の生育状態を表す写真である。 図1Bは、実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培14日目のダイズ苗の(B)茎~葉の領域と根の領域それぞれにおける乾燥質量に関するグラフである。 図2は、実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培140日目に収穫されたダイズの乾燥質量に関するグラフである。 図3は、実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培40日目の植物体の根に付随して産生した根粒の状態を表す写真である。 図4は、実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培0日目、100日目、及び140日目のダイズ植物体におけるリン酸吸収量に関するグラフである。 図5Aは、実施例4、5及び比較例2における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培20日目のダイズ植物体における(A)葉の数に関するグラフである。 図5Bは、実施例4、5及び比較例2における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培20日目のダイズ植物体における(B)乾燥質量に関するグラフである。 図5Cは、実施例4、5及び比較例2における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培20日目のダイズ植物体における(C)苗の生育状態を表す写真である。 図6Aは、実施例6及び比較例3における栽培27日目のダイズ植物体における(A)根の本数に関するグラフである。 図6Bは、実施例6及び比較例3における栽培27日目のダイズ植物体における(B)葉の数に関するグラフである。 図7Aは、実施例7及び比較例4における栽培20日目のダイズ植物体における(A)根の本数に関するグラフである。 図7Bは、実施例7及び比較例4における栽培20日目のダイズ植物体における(B)葉の数に関するグラフである。
以下、本開示の一実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の開示において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ下限値及び上限値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本文中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本開示において要素が単数形で表記されている場合であっても、特に明示されているときを除き、技術的な矛盾が生じない限りは複数の存在を排除しない。
≪マメ科植物用培土≫
本開示のマメ科植物用培土は、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む根部エンドファイト系植物共生菌と、土壌と、を含むマメ科植物用培土である。
本開示のマメ科植物用培土は、上記構成を有することにより、マメ科植物の生育を促進することができる。この作用機序は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
培土に含まれるクラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む根部エンドファイト系植物共生菌は、マメ科植物の根の周囲において、網目状に菌糸を伸ばす。そして菌類は、マメ科植物の根の表面に付着すると、付着器を形成し、マメ科植物の根の細胞内部へ侵入し、定着し、つまり菌類とマメ科植物との共生が成立する。
共生が成立すると、共生前のマメ科植物にとっては栄養として効率良く利用されなかったアミノ酸又はタンパク質等も、菌類によって植物に提供され易くなる。これにより、マメ科植物は、共生前に比べて、窒素及びリン等の栄養分を吸収しやすくなり、生育が促進され易くなると考えられる。
本開示において、マメ科植物の生育促進は、根部エンドファイト系植物共生菌を含まない培土を用いたマメ科植物の栽培と対比して、栽培されたマメ科植物における実、葉、茎等の地上部の収量の乾燥質量が増加すること、又は、栽培されたマメ科植物における根の収量の乾燥質量が増加することによって確認することができる。
本開示のマメ科植物用培土で栽培されるマメ科植物の種類は、特に制限されず、ダイズ、エンドウマメ、ソラマメ、アズキ等の公知のマメ科植物が適用できる。上記の中でも、本開示のマメ科植物用培土は、ダイズ及びアズキの生育の促進に特に優れている。
<根部エンドファイト系植物共生菌>
根部エンドファイト系植物共生菌は、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む。根部エンドファイト系植物共生菌は、1種単独の使用であっても、2種以上の併用であってもよい。
根部エンドファイト系植物共生菌は、マメ科植物の生育をより促進する観点から、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類の少なくとも一方の菌類を含むことが好ましく、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、又は、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類の一方を含むことがより好ましい。
根部エンドファイト系植物共生菌とは、植物と菌根を形成して植物根内をすみかとする、植物と共生関係にある微生物である。
クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類としては、例えば、Cladophialophora chaetospira、Cladophialophora arxii、Cladophialophora tortuosa、Cladophialophora floridana、Cladophialophora psammophila、Cladophialophora boppii、Cladophialophora hachijoensis、Cladophialophora carrionii、Cladophialophoratumbae、及びCladophialophora tumulicola等が挙げられる。上記の中でも、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類としては、マメ科植物の生育をより促進する観点から、クラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)であることが好ましい。クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類は、1種単独の使用であっても、2種以上の併用であってもよい。
クラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)としては、受託番号NITE BP-03539で寄託されたクラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)SK51(以下、SK51又はSK51株ともいう)又はその変異株が好ましい。前記SK51株は、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8に住所を有する、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センターに寄託されている(受託日:2021年9月28日)。
変異の導入法としては、ニトロソ化合物(例えばニトロソアミン又はニトロソグアニジン等)若しくはアルキル化剤(例えばEMS;ethyl methanesulfonate等)のような化学物質処理による方法、紫外線照射、又は放射線照射等が挙げられるが、これらに限定されない。得られた変異株が、SK51株と同等又はそれ以上の当該作用を示すか否かは、得られた変異株によるマメ科植物の生育促進作用を評価し、これをSK51株による当該作用の結果と比較することで検定することができる。
エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類としては、例えば、エクソフィアラ ピシフィラ(Exophiala pisciphila)等の既知種及びこれらの変異株、並びにエクソフィアラ(Exophiala sp.)SK47などが挙げられる。上記の中でも、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類としては、マメ科植物の生育をより促進する観点から、エクソフィアラ(Exophiala sp.)SK47であることが好ましい。エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類は、1種単独の使用であっても、2種以上の併用であってもよい。
ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類としては、例えば、ベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)及びこの変異株等が挙げられる。上記の中でも、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類としては、マメ科植物の生育をより促進する観点から、ベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)であることが好ましい。ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類は、1種単独の使用であっても、2種以上の併用であってもよい。
本開示のマメ科植物用培土の製造方法は、特に制限されず、公知の菌類を含む培土の製造方法が適用できる。本開示のマメ科植物用培土の製造方法は、例えば、根部エンドファイト系植物共生菌を含む培養液(例えば1×10 hyphal fragments/ml~1×10hyphal fragments/ml)を培養材(例えば、小麦ふすま、米ぬか、腐葉土及び滅菌水の混合物)と混合して培養(例えばチャンバー内で3週間~4週間培養)した後、この培養材を土壌とさらに混合することで製造されていてもよい。この際、マメ科植物用培土の総量に対する根部エンドファイト系植物共生菌を含む培養材の含有量は、マメ科植物の生育をより促進する観点から、5質量%~10質量%であることが好ましい。
根部エンドファイト系植物共生菌の総菌類数は、特に制限されないが、マメ科植物の生育をより促進する観点からは、マメ科植物用培土に対して、1×10hyphal fragments/g以上であることが好ましい。なお、マメ科植物と根部エンドファイト系植物共生菌とは共生関係にあることから、マメ科植物の栽培時間の経過と共に、培土中の根部エンドファイト系植物共生菌の菌類数は増加していく。上記した菌類数は、マメ科植物用培土でマメ科植物の栽培を開始する時点(例えば、培土に植物の種を播種する時点、又は培土に、別途生育させた3葉期である苗を植え替えて定植させる時点等)における菌類数である。
根部エンドファイト系植物共生菌の菌類数は、50質量%CMMY寒天培地に菌類をプレーティングした後に、23℃で7日間培養することで、測定することができる。
培土中の根部エンドファイト系植物共生菌の存在形態は、菌類の生活環のいずれの形態であってもよい。菌類の形態は、例えば菌糸体であってもよく、胞子体であってもよい。
マメ科植物用培土は、本開示の効果が奏される範囲内で、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類以外のその他の根部エンドファイト系植物共生菌をさらに含んでいてもよい。その他の根部エンドファイト系植物共生菌としては、例えば、Meliniomyces variabilis 、Phialocephala fortinii等が挙げられる。
マメ科植物用培土は、本開示の効果が奏される範囲内で、根部エンドファイト系植物共生菌以外のその他の微生物をさらに含んでいてもよい。その他の微生物としては、例えば、後述する根粒菌の他に、Agrobacterium pusense(例えばリゾビウム(Rhizobium sp.)Y9等)、シュードモナス属(Pseudomonas)の細菌類、パエニバシラス属(Paenibacillus)の細菌類、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas)の細菌類、デルフチア属(Delftia)の細菌類などが挙げられる。
<土壌>
土壌は、例えば、有機栽培土壌、慣行栽培土壌(すなわち無機栽培土壌)、及びこれらの混合土壌のいずれであってもよい。
有機栽培土壌とは、農薬及び化学肥料を含まない土壌のことをいう。
慣行栽培土壌(すなわち無機栽培土壌)とは、農薬及び/又は化学肥料を含む土壌のことをいう。
土壌のpHは、本開示の効果がより奏される観点から、pH3以上pH7以下であることが好ましい。土壌のpHは、例えば、pH3以上4未満であっても、pH4以上6未満であっても、pH6以上7以下であってもよい。
土壌のpHは、以下の方法で測定される。土壌と蒸留水を1:2.5(有機物含量が高い土壌を用いる場合は1:5)の比率で混合し、往復振とう機で1時間以上攪拌した後、23℃±2℃にて、懸濁液のpHをガラス電極法により測定した値を土壌のpHとする。
例えば、根部エンドファイト系植物共生菌がベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類である場合、土壌は、マメ科植物の生育をより促進する観点から、pH4以上6未満であることが好ましい。
例えば、根部エンドファイト系植物共生菌がクラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類である場合、土壌は、マメ科植物の生育をより促進する観点から、pH6以上7以下であることが好ましい。
<根粒菌>
マメ科植物用培土は、マメ科植物の生育をより促進する観点から、根粒菌をさらに含むことが好ましい。
根粒菌とは、マメ科植物の根に根粒を形成する菌類を指す。
一般に、マメ科植物は、根粒菌と共生する。根粒菌がマメ科植物の根に形成した根粒を介して大気中の窒素をアンモニア態窒素に変換し、これを宿主であるマメ科植物に供給し、大豆は窒素源を得ている。このように、従来、マメ科植物は根粒菌と既に共生し得ることが知られており、根粒菌に加えてさらに他の菌類を共生させると、根粒菌によるマメ科植物の生育促進が阻害されるものと考えられていた。これに対し本発明者らは、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む根部エンドファイト系植物共生菌が、根粒菌や植物体と共生し、マメ科植物の生育を阻害せず促進するという新たな知見を見出した。
根粒菌としては、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)の細菌(例えばブラディリゾビウム ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)等)、リゾビウム属(Rhizobium)の細菌類などが挙げられる。上記の中でも、根粒菌としては、マメ科植物の生育をより促進する観点から、ブラディリゾビウム ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)であることが好ましい。
<その他の成分>
マメ科植物用培土は、本開示の効果が奏される範囲内であれば、根部エンドファイト系植物共生菌、土壌、及び根粒菌以外のその他の成分をさらに含有してもよい。その他の成分としては、例えば、固体媒質(例えば、ロイシン、メチオニン、若しくはフェニルアラニン等のアミノ酸、又はショ糖等)及び液体媒質(例えば、水、滅菌水、滅菌蒸留水、又は生理食塩水等)、菌類を培土中において安定的に保持するための成分(例えば、安定化剤又は等張化剤等)、及び本開示に係る菌類の増殖促進のための成分(例えば、麦芽エキス培地(MEB)、CM麦芽酵母培地(CMMY)(CM寒天8.5g、寒天15g、麦芽エキス10g、酵母エキス1g、及び滅菌水1Lの混合物)、小麦ふすま、米ぬか、又は腐葉土等)等が挙げられる。
≪マメ科植物用栽培セット≫
本開示の栽培セットは、本開示のマメ科植物用培土、及びマメ科植物体を含む、マメ科植物用栽培セットである。本開示によれば、マメ科植物の生育を促進するマメ科植物用栽培セットが得られる。
マメ科植物体としては、例えば、マメ科植物の種子、苗等が挙げられる。
マメ科植物の種子には、発芽前の種の状態だけでなく、幼根や幼芽が現れた種子も概念として包含する。
マメ科植物の苗は、子葉のみが現れた苗;3葉期の苗;3葉期超えの期の苗;親株から増殖した子苗、孫苗(例えばランナー苗);接ぎ木、挿し木等で増殖したクローン苗;などが挙げられる。
≪マメ科植物の栽培方法≫
本開示のマメ科植物の栽培方法は、本開示のマメ科植物用培土を用いてマメ科植物を栽培すること(以下、「栽培工程」ともいう)を含む、マメ科植物の栽培方法である。
本開示によれば、生育が促進されたマメ科植物を栽培することができる。
栽培工程では、マメ科植物の生育をより促進する観点から、根部エンドファイト系植物共生菌及び根粒菌を同時期に植物体と混合してマメ科植物を栽培することが好ましい。つまり、本開示のマメ科植物用培土は、マメ科植物の生育をより促進する観点から、根粒菌をさらに含むことが好ましい。
栽培工程は、例えば、本開示のマメ科植物用培土を用いてマメ科植物を種から苗まで生育した後に、土壌に前記苗を定植させてマメ科植物を収穫期まで栽培する工程であってもよい。
栽培方法は、本開示のマメ科植物用培土を用いているのであれば特に制限されず、本開示のマメ科植物用培土を単独で使用して栽培してもよく、本開示のマメ科植物用培土を、定植用の土壌や他の培土と混合して栽培してもよい。
上記本開示のマメ科植物用培土と他の土壌や培土とを混合して栽培する場合、本開示のマメ科植物用培土を混合する時期は、土壌にマメ科植物の種を播種する時点、土壌に3葉期である苗を植え替える時点、又は土壌に苗を定植させる時点のいずれであってもよい。あるいは、本開示のマメ科植物用培土を予め混合した土壌に、マメ科植物の種を播種する、3葉期である苗を植え替える、又は土壌に苗を定植させる態様であってもよい。
栽培条件は、使用する土壌、マメ科植物の品種、天候等に応じて適宜設計してよい。
例えば、栽培工程は、低温短日条件で花芽形成した後に、高温長日条件で栽培する態様であってもよい。
前記低温短日条件とは、気温5℃超15℃以下であり、日長が0時間以上12時間以下であることをいう。
前記高温長日条件とは、気温が15℃超25℃以下(好ましくは20℃超25℃以下であり、より好ましくは23±1℃である)の範囲内であり、日長が12時間超24時間以下(好ましくは14時間超24時間以下であり、より好ましくは15時間以上17時間以下である)の範囲内であることをいう。
栽培工程では、例えば、マメ科植物の生育に用いた人工気象室内を一定の気温に保ち、さらに育成場所を数日毎にローテーションすることで、気温の均一性を担保してもよい。
≪培土付きマメ科植物の苗≫
本開示に係るマメ科植物の苗は、本開示のマメ科植物用培土と、マメ科植物の苗と、を含む、培土付きマメ科植物の苗である。本開示によれば、生育が促進されるマメ科植物の苗が得られる。
≪マメ科植物用培土の使用≫
本開示によれば、マメ科植物の栽培のために、本開示のマメ科植物用培土の使用することで、マメ科植物の生育を促進することができる。
以下、本開示を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
≪根部エンドファイト系植物共生菌の準備≫
根部エンドファイト系植物共生菌として、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類であるクラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)SK51(以下、Ccともいう。)と、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類であるエクソフィアラ(Exophiala sp.)SK47(以下、Espともいう。)と、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類であるベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34(以下、Vsともいう。)と、をそれぞれ準備した。
前記Espは、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8に住所を有する、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センターに、受託番号NITE BP-03540として寄託された菌類である(受託日:2021年9月28日)。
前記Ccは、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8に住所を有する、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センターに、受託番号NITE BP-03539として寄託された菌類である(受託日:2021年9月28日)。
前記Vsは、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8に住所を有する、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センターに、受託番号NITE P-01933、NITE BP-01933として寄託された菌類である(受託日:2014年9月5日)。
この3種類の菌類を、それぞれ250mLの2質量%麦芽エキス培地(MEB)を入れた500mL容量のフラスコで、23℃及び120rpmの振とう条件で4週間培養した。培養後、培養液をろ過することで3種類の菌糸体をそれぞれ採取し、MEB培地に由来する物質の持ち込みが無いように、採取された菌糸体を含む液体が透明になるまで滅菌蒸留水で菌糸体を洗浄した。その後、得られた各菌糸体と滅菌蒸留水とを、コンタミネーションを防ぐためにミキサー及びラミナーフローを使用して、それぞれ1分間最低速度で混合することで、前培養液を得た。前培養液中の各菌類の生存率は、菌糸体を含む前培養液を直接50質量%CMMY寒天培地にプレーティングした後に、23℃で7日間培養することで測定した。
なお各菌類の大量生産は、以下の方法で行った。詳細には、10mLの各菌類の前培養液(1×10hyphal fragments/ml)を、滅菌された培養材(小麦ふすま50g、米ぬか50g、腐葉土150g、及び滅菌水170mLの混合物)を入れた滅菌済みプラスチックバッグにそれぞれ添加した。そして、前記各菌類の前培養液及び培養材の混合物を、チャンバー内で3週間~4週間培養することで、各菌類を含む資材をそれぞれ調製した。
≪土壌の調製≫
有機栽培土壌として、有機の土(サカタのタネ社製)を準備した。
前記準備した有機栽培土壌はpH6.0であり、これを「中性の有機栽培土壌」とした。一方で、前記準備した有機栽培土壌に対してピートモス(刀川平和農園製)を適量混合することで、pH4.0である「弱酸性の有機栽培土壌」を調製した。
なお土壌のpHは、以下の方法で測定した。具体的には、土壌のpHは、土壌と蒸留水を1:2.5(有機物含量が高い土壌を用いる場合は1:5)の比率で混合し、往復振とう機で1時間以上攪拌した後、23℃±2℃にて、懸濁液のpHをガラス電極法により測定した。
上記のいずれの土壌も、121℃及び30分の条件で2回加圧滅菌した。
≪マメ科植物用培土の作製≫
表1に示すpHの土壌と、表1に示す種類の根部エンドファイト系植物共生菌を含む資材と、根粒菌と、を混合し、各例のマメ科植物用培土を得た。根部エンドファイト系植物共生菌は、培土全体に対して10質量%になるよう混合した。
≪ダイズの栽培:実施例1~実施例5≫
栽培対象のダイズの種子を準備した。種子の表面を、以下に示す方法で殺菌した。具体的には、種子を70質量%エタノール溶液に40秒間浸した後、次亜塩素酸ナトリウム(1質量%有効塩素)溶液に15秒間浸した。次に、種子を滅菌蒸留水で3回洗浄し、一晩乾燥させた後、1質量%水寒天培地上に置き、23℃で2日間静置して発芽させた。その後、人工気象室内を23℃に保ち3葉期の苗になるまで生育させた。
なお、実施例1では、栽培対象のダイズとして、豆腐などへの加工特性に優れた「ふくゆたか」の種子を準備した。実施例2~実施例5では、栽培対象のダイズとして、納豆などへの加工特性に優れた「すずまる」の種子を準備した。
直径6cmのポットに、表1に示す種類の根部エンドファイト系植物共生菌を含む資材と、根粒菌と、表1に示すpHの有機栽培土壌と、をそれぞれ混合して、マメ科植物用培土を得た。このポットに、上述の3葉期の苗を定植し、人工気象室内で、明所に30℃14時間、及び暗所に22℃10時間、光合成光子フラックス密度(PPFD)を89.46m-2・s-1として、定植し、栽培した。栽培中は、1日一度水やりを行った。
≪ダイズの栽培:比較例1~比較例2≫
根部エンドファイト系植物共生菌を含む資材を含まず、且つ、表1に示すpHの有機栽培土壌とする仕様とした以外は、実施例1と同様の仕様によりマメ科植物用培土を得た。そして、実施例1と同様の手法でダイズを栽培した。
≪評価≫
<ダイズ苗の生育状態:栽培14日目>
実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培14日目のダイズ苗の(A)全身の生育状態を表す写真を図1Aに示す。
実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培14日目のダイズ苗の(B)茎~葉の領域と根の領域それぞれにおける乾燥質量に関するグラフを図1Bに示す。
なお、乾燥質量は、各例のマメ科植物用培土で栽培した後、ダイズの植物体をポットから取り出し、茎~葉の領域と根の領域とに分別して40℃で72時間乾燥させた後、質量を測定した値である。統計解析は、SPSS version 20.0(SPSS, IBM, Armonk, NY, United States)を用いて、一元配置分散分析(ANOVA)及びTukeyの範囲検定(p<0.05)を行った。
図1A及び図1Bに示すように、根部エンドファイト系植物共生菌と共生した実施例1~実施例3のダイズ苗は、根部エンドファイト系植物共生菌と共生していない比較例1のダイズ苗に比べて、苗の茎~葉の領域は乾燥質量が大きく向上しており、マメ科植物の生育が促進されていることがわかった。
図1Bに示すように、根部エンドファイト系植物共生菌と共生した実施例1~実施例3のダイズ苗の中でも、根部エンドファイト系植物共生菌がそれぞれVs、Ccである実施例2及び実施例3は、根部エンドファイト系植物共生菌がEspである実施例1に比べて、苗の茎~葉の領域は乾燥質量がより向上しており、マメ科植物であるダイズの生育促進により優れることがわかった。
<ダイズの収穫量:栽培140日目>
実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培140日目に収穫されたダイズの乾燥質量に関するグラフを図2に示す。なお、収穫されたダイズの乾燥収量とは、さやから取り出したダイズ豆の乾燥収量をさす。乾燥収量は、評価<ダイズ苗の生育状態:栽培14日目>と同様の測定と統計解析を行った。
図2における棒グラフの内に付された「-」は、各データの中央値(第2四分位数)を指す。
図2における棒グラフの内に付された「×」は、各データの平均値を指す。
図2における棒グラフの内に付された「*」は、統計処理の結果、統計学的有意性が示されたデータを指す。
図2に示すように、根部エンドファイト系植物共生菌と共生した実施例1~実施例3のダイズ植物体は、根部エンドファイト系植物共生菌と共生していない比較例1のダイズ植物体に比べて、マメ科植物であるダイズの生育が促進され、収穫量が増量することがわかった。
<ダイズの根に産生する根粒の質量:栽培40日目>
実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培40日目の植物体の根に付随して産生した根粒の状態を図3に示す。
図3に示すように、根部エンドファイト系植物共生菌と共生した実施例1~実施例3のダイズ植物体は、根部エンドファイト系植物共生菌と共生していない比較例1のダイズ植物体に比べて、根に付随して産生される根粒の量が多い傾向にあることがわかった。一般的に、根粒は、マメ科植物の根に対して窒素等の栄養源を供給する傾向にある。そのため、各実施例で得られたダイズの収穫量の増加や生育の促進は、根粒の量の増加が要因の一つであることが考えられる。
<栽培中の土壌内におけるリン酸量の測定>
実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培0日目、100日目、及び140日目のダイズ植物体におけるリン酸吸収量に関するグラフを図4に示す。リン酸吸収量は、各栽培日数におけるダイズ苗からBray第一法に倣って抽出された可給態リン酸を元に、分光光度計測定装置(SPCA-6210、株式会社 島津製作所製)により定量した値である。また、評価<ダイズ苗の生育状態:栽培14日目>と同様の統計解析を行った。
図4に示すように、根部エンドファイト系植物共生菌と共生した実施例1~実施例3のダイズ植物体は、根部エンドファイト系植物共生菌と共生していない比較例1のダイズ植物体に比べて、リン酸吸収量が多い傾向にあることがわかった。一般的に、マメ科植物にはリン酸が栄養源として働くことから、各実施例で得られたダイズの収穫量の増加や生育の促進は、リン酸吸収量の増加が要因の一つであることが考えられる。
<土壌のpHとダイズの生育状態の相関評価>
実施例4、5及び比較例2における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培20日目のダイズ植物体における(A)葉の数に関するグラフを図5Aに示す。
実施例4、5及び比較例2における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培20日目のダイズ植物体における(B)乾燥重量に関するグラフを図5Bに示す。
実施例4、5及び比較例2における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培20日目のダイズ植物体における(C)苗の生育状態を表す写真を図5Cに示す。
図5B中、「SDM」はShoot Dry Mass(つまり葉と茎(地上部)の乾燥重量)を指し、「RDM」はRoot Dry Mass(つまり根の乾燥重量)を指す(単位:g)。乾燥重量と統計解析は、評価<ダイズ苗の生育状態:栽培14日目>と同様の手法で行った。
図5A~Cに示すように、根部エンドファイト系植物共生菌がVsである実施例4のダイズ植物体は、根部エンドファイト系植物共生菌がCcである実施例5のダイズ植物体や、根部エンドファイト系植物共生菌と共生していない比較例2のダイズ植物体に比べて、葉の数や乾燥質量が増加する傾向にあった。つまり、pH4の弱酸性土壌環境下でも、マメ科植物の生育が促進されることがわかった。
≪ダイズの栽培:実施例6≫
実施例1と同様の材料及び手法で、ダイズの種子を滅菌させた。
その後、表2に示す種類の根部エンドファイト系植物共生菌を含むマメ科植物用培土に種子を入れ、人工気象室内で、23℃で7日間静置して発芽、生育させた。
その後、栽培7日目に、前記苗を、根粒菌を含む培土を用いて人工気象室内で、明所に30℃14時間、及び暗所に22℃10時間、光合成光子フラックス密度(PPFD)を89.46m-2・s-1として、定植し、栽培した。栽培中は、1日一度水やりを行った。
≪ダイズの栽培:比較例3≫
根部エンドファイト系植物共生菌を含むマメ科植物用培土を、根部エンドファイト系植物共生菌を含まない培土とした以外は、実施例6と同様の仕様としてダイズを栽培した。
≪ダイズの栽培:実施例7≫
実施例1と同様の材料及び手法で、ダイズの種子表面を殺菌した。
その後、表2に示す種類の根部エンドファイト系植物共生菌と根粒菌を含むマメ科植物用培土に種子を入れ、人工気象室内で、23℃で7日間静置して発芽、生育させた。
その後、栽培4日目に、前記苗を、人工気象室内で、明所に30℃14時間、暗所22℃10時間、光合成光子フラックス密度(PPFD)を89.46m-2・s-1として、定植、栽培した。栽培中は、1日一度水やりを行った。
≪ダイズの栽培:比較例4≫
根部エンドファイト系植物共生菌と根粒菌を含むマメ科植物用培土を、根部エンドファイト系植物共生菌を含まず根粒菌のみを含む培土とした以外は、実施例7と同様の仕様としてダイズを栽培した。
≪評価≫
<根粒菌と根部エンドファイト系植物共生菌の配合時期の評価>
実施例6及び比較例3における栽培27日目のダイズ植物体における(A)根の本数に関するグラフを図6Aに示す。
実施例6及び比較例3における栽培27日目のダイズ植物体における(B)葉の数に関するグラフを図6Bに示す。
実施例7及び比較例4における栽培20日目のダイズ植物体における(A)根の本数に関するグラフを図7Aに示す。
実施例7及び比較例4における栽培20日目のダイズ植物体における(B)葉の数に関するグラフを図7Bに示す。
図6A、B及び図7A、Bに示すように、根部エンドファイト系植物共生菌を含むマメ科植物用培土とダイズ植物体との混合するタイミングに関わらず、実施例のマメ科植物用培土は、比較例のマメ科植物用培土に比べて、マメ科植物であるダイズの生育を促進させることがわかった。
また、図6Aと図7Aに示すように、共生菌と根粒菌とを同じ栽培日数(つまり同じタイミング)で種子と混合したほうが、マメ科植物であるダイズの生育がより促進されることがわかった。
2022年11月11日に出願された日本国特許出願2022-181348号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (12)

  1. クラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)SK51、エクソフィアラ(Exophiala sp.)SK47、及びベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む根部エンドファイト系植物共生菌と、
    土壌と、
    根粒菌と、
    を含むダイズ用培土。
  2. 前記根部エンドファイト系植物共生菌がクラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)SK51である、請求項1に記載のダイズ用培土。
  3. 前記根部エンドファイト系植物共生菌がクラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)SK51であり、前記土壌のpH6以上7以下である、請求項に記載のダイズ用培土。
  4. 前記根部エンドファイト系植物共生菌がエクソフィアラ(Exophiala sp.)SK47である、請求項1に記載のダイズ用培土。
  5. 記根部エンドファイト系植物共生菌がエクソフィアラ(Exophiala sp.)SK47であり、前記土壌のpHが6以上7以下である、請求項4に記載のダイズ用培土。
  6. 前記根部エンドファイト系植物共生菌がベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34である、請求項1に記載のダイズ用培土。
  7. 前記根部エンドファイト系植物共生菌がベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34であり、前記土壌のpHが4以上6未満である、請求項に記載のダイズ用培土。
  8. 前記根部エンドファイト系植物共生菌がベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34であり、前記土壌のpHが3以上4以下である、請求項6に記載のダイズ用培土。
  9. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載のダイズ用培土、及びダイズ体を含む、ダイズ用栽培セット。
  10. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載のダイズ用培土を用いてダイズを栽培することを含む、ダイズの栽培方法。
  11. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載のダイズ用培土と、ダイズの苗と、を含む、培土付きダイズの苗。
  12. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載のダイズ用培土の、ダイズの栽培のための使用。
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山崎亜耶乃、成澤才彦,根部エンドファイトVeronaeopsis simplexY34を用いたFusarium属菌によるエンドウ土壌病害の抑制,土と微生物,日本,日本土壌微生物学会,2018年,Vol.72 No.2,p.114

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