JP7653209B2 - マメ科植物用培土及びその使用、マメ科植物用栽培セット、マメ科植物の栽培方法、並びに、培土付きマメ科植物の苗 - Google Patents
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Description
特許文献2には、エンドファイトであるベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34、K45、又はCBS菌株を接種することにより、作物の生長を安定化させる有利な特質を付与できることが記載されている。
特許文献3には、エンドファイトであるベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34菌株を接種することにより、トマトへの放射性セシウム吸収抑制効果があることが記載されている。
特許文献4には、アゾスピリラムブラジレンス(Azospirillum brasilense)NI-10株と根粒菌を接種することにより、マメ科植物の成長促進、収量増加の効果があることが記載されている。
特許文献5には、エンドファイトであるステノトロホモナス(Stenotrophomonas sp.)MYK101菌株を、マメ科の植物に接種することにより、生長促進、収量増加の効果があることが記載されている。
<1> クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む根部エンドファイト系植物共生菌と、
土壌と、
を含むマメ科植物用培土。
<2> 根粒菌をさらに含む、前記<1>に記載のマメ科植物用培土。
<3> 前記クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類は、クラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)である、前記<1>又は<2>に記載の植物のマメ科植物用培土。
<4> 前記根部エンドファイト系植物共生菌は、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類である、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土。
<5> 前記土壌は、pH4以上6未満である、前記<4>に記載のマメ科植物用培土。<6> 前記根部エンドファイト系植物共生菌は、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類である、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土。<7> 前記土壌は、pH6以上7以下である、前記<6>に記載のマメ科植物用培土。<8> 前記<1>~<7>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土、及びマメ科植物体を含む、マメ科植物用栽培セット。
<9> 前記<1>~<7>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土を用いてマメ科植物を栽培することを含む、マメ科植物の栽培方法。
<10> 前記栽培において、前記根部エンドファイト系植物共生菌及び根粒菌を同時期に植物体と混合して前記マメ科植物を栽培する、前記<9>に記載のマメ科植物の栽培方法。
<11> 前記<1>~<7>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土と、マメ科植物の苗と、を含む、培土付きマメ科植物の苗。
<12> 前記<1>~<7>のいずれか1つに記載のマメ科植物用培土の、マメ科植物の栽培のための使用。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ下限値及び上限値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本文中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本開示において要素が単数形で表記されている場合であっても、特に明示されているときを除き、技術的な矛盾が生じない限りは複数の存在を排除しない。
本開示のマメ科植物用培土は、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む根部エンドファイト系植物共生菌と、土壌と、を含むマメ科植物用培土である。
本開示のマメ科植物用培土は、上記構成を有することにより、マメ科植物の生育を促進することができる。この作用機序は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
培土に含まれるクラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む根部エンドファイト系植物共生菌は、マメ科植物の根の周囲において、網目状に菌糸を伸ばす。そして菌類は、マメ科植物の根の表面に付着すると、付着器を形成し、マメ科植物の根の細胞内部へ侵入し、定着し、つまり菌類とマメ科植物との共生が成立する。
共生が成立すると、共生前のマメ科植物にとっては栄養として効率良く利用されなかったアミノ酸又はタンパク質等も、菌類によって植物に提供され易くなる。これにより、マメ科植物は、共生前に比べて、窒素及びリン等の栄養分を吸収しやすくなり、生育が促進され易くなると考えられる。
根部エンドファイト系植物共生菌は、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む。根部エンドファイト系植物共生菌は、1種単独の使用であっても、2種以上の併用であってもよい。
土壌は、例えば、有機栽培土壌、慣行栽培土壌(すなわち無機栽培土壌)、及びこれらの混合土壌のいずれであってもよい。
有機栽培土壌とは、農薬及び化学肥料を含まない土壌のことをいう。
慣行栽培土壌(すなわち無機栽培土壌)とは、農薬及び/又は化学肥料を含む土壌のことをいう。
マメ科植物用培土は、マメ科植物の生育をより促進する観点から、根粒菌をさらに含むことが好ましい。
根粒菌とは、マメ科植物の根に根粒を形成する菌類を指す。
一般に、マメ科植物は、根粒菌と共生する。根粒菌がマメ科植物の根に形成した根粒を介して大気中の窒素をアンモニア態窒素に変換し、これを宿主であるマメ科植物に供給し、大豆は窒素源を得ている。このように、従来、マメ科植物は根粒菌と既に共生し得ることが知られており、根粒菌に加えてさらに他の菌類を共生させると、根粒菌によるマメ科植物の生育促進が阻害されるものと考えられていた。これに対し本発明者らは、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類、及び、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む根部エンドファイト系植物共生菌が、根粒菌や植物体と共生し、マメ科植物の生育を阻害せず促進するという新たな知見を見出した。
マメ科植物用培土は、本開示の効果が奏される範囲内であれば、根部エンドファイト系植物共生菌、土壌、及び根粒菌以外のその他の成分をさらに含有してもよい。その他の成分としては、例えば、固体媒質(例えば、ロイシン、メチオニン、若しくはフェニルアラニン等のアミノ酸、又はショ糖等)及び液体媒質(例えば、水、滅菌水、滅菌蒸留水、又は生理食塩水等)、菌類を培土中において安定的に保持するための成分(例えば、安定化剤又は等張化剤等)、及び本開示に係る菌類の増殖促進のための成分(例えば、麦芽エキス培地(MEB)、CM麦芽酵母培地(CMMY)(CM寒天8.5g、寒天15g、麦芽エキス10g、酵母エキス1g、及び滅菌水1Lの混合物)、小麦ふすま、米ぬか、又は腐葉土等)等が挙げられる。
本開示の栽培セットは、本開示のマメ科植物用培土、及びマメ科植物体を含む、マメ科植物用栽培セットである。本開示によれば、マメ科植物の生育を促進するマメ科植物用栽培セットが得られる。
マメ科植物の種子には、発芽前の種の状態だけでなく、幼根や幼芽が現れた種子も概念として包含する。
マメ科植物の苗は、子葉のみが現れた苗;3葉期の苗;3葉期超えの期の苗;親株から増殖した子苗、孫苗(例えばランナー苗);接ぎ木、挿し木等で増殖したクローン苗;などが挙げられる。
本開示のマメ科植物の栽培方法は、本開示のマメ科植物用培土を用いてマメ科植物を栽培すること(以下、「栽培工程」ともいう)を含む、マメ科植物の栽培方法である。
本開示によれば、生育が促進されたマメ科植物を栽培することができる。
上記本開示のマメ科植物用培土と他の土壌や培土とを混合して栽培する場合、本開示のマメ科植物用培土を混合する時期は、土壌にマメ科植物の種を播種する時点、土壌に3葉期である苗を植え替える時点、又は土壌に苗を定植させる時点のいずれであってもよい。あるいは、本開示のマメ科植物用培土を予め混合した土壌に、マメ科植物の種を播種する、3葉期である苗を植え替える、又は土壌に苗を定植させる態様であってもよい。
例えば、栽培工程は、低温短日条件で花芽形成した後に、高温長日条件で栽培する態様であってもよい。
前記低温短日条件とは、気温5℃超15℃以下であり、日長が0時間以上12時間以下であることをいう。
前記高温長日条件とは、気温が15℃超25℃以下(好ましくは20℃超25℃以下であり、より好ましくは23±1℃である)の範囲内であり、日長が12時間超24時間以下(好ましくは14時間超24時間以下であり、より好ましくは15時間以上17時間以下である)の範囲内であることをいう。
本開示に係るマメ科植物の苗は、本開示のマメ科植物用培土と、マメ科植物の苗と、を含む、培土付きマメ科植物の苗である。本開示によれば、生育が促進されるマメ科植物の苗が得られる。
本開示によれば、マメ科植物の栽培のために、本開示のマメ科植物用培土の使用することで、マメ科植物の生育を促進することができる。
根部エンドファイト系植物共生菌として、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophora)の菌類であるクラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)SK51(以下、Ccともいう。)と、エクソフィアラ属(Exophiala)の菌類であるエクソフィアラ(Exophiala sp.)SK47(以下、Espともいう。)と、ベラノオプシス属(Veronaeopsis)の菌類であるベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34(以下、Vsともいう。)と、をそれぞれ準備した。
前記Espは、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8に住所を有する、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センターに、受託番号NITE BP-03540として寄託された菌類である(受託日:2021年9月28日)。
前記Ccは、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8に住所を有する、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センターに、受託番号NITE BP-03539として寄託された菌類である(受託日:2021年9月28日)。
前記Vsは、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8に住所を有する、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センターに、受託番号NITE P-01933、NITE BP-01933として寄託された菌類である(受託日:2014年9月5日)。
この3種類の菌類を、それぞれ250mLの2質量%麦芽エキス培地(MEB)を入れた500mL容量のフラスコで、23℃及び120rpmの振とう条件で4週間培養した。培養後、培養液をろ過することで3種類の菌糸体をそれぞれ採取し、MEB培地に由来する物質の持ち込みが無いように、採取された菌糸体を含む液体が透明になるまで滅菌蒸留水で菌糸体を洗浄した。その後、得られた各菌糸体と滅菌蒸留水とを、コンタミネーションを防ぐためにミキサー及びラミナーフローを使用して、それぞれ1分間最低速度で混合することで、前培養液を得た。前培養液中の各菌類の生存率は、菌糸体を含む前培養液を直接50質量%CMMY寒天培地にプレーティングした後に、23℃で7日間培養することで測定した。
有機栽培土壌として、有機の土(サカタのタネ社製)を準備した。
表1に示すpHの土壌と、表1に示す種類の根部エンドファイト系植物共生菌を含む資材と、根粒菌と、を混合し、各例のマメ科植物用培土を得た。根部エンドファイト系植物共生菌は、培土全体に対して10質量%になるよう混合した。
栽培対象のダイズの種子を準備した。種子の表面を、以下に示す方法で殺菌した。具体的には、種子を70質量%エタノール溶液に40秒間浸した後、次亜塩素酸ナトリウム(1質量%有効塩素)溶液に15秒間浸した。次に、種子を滅菌蒸留水で3回洗浄し、一晩乾燥させた後、1質量%水寒天培地上に置き、23℃で2日間静置して発芽させた。その後、人工気象室内を23℃に保ち3葉期の苗になるまで生育させた。
なお、実施例1では、栽培対象のダイズとして、豆腐などへの加工特性に優れた「ふくゆたか」の種子を準備した。実施例2~実施例5では、栽培対象のダイズとして、納豆などへの加工特性に優れた「すずまる」の種子を準備した。
根部エンドファイト系植物共生菌を含む資材を含まず、且つ、表1に示すpHの有機栽培土壌とする仕様とした以外は、実施例1と同様の仕様によりマメ科植物用培土を得た。そして、実施例1と同様の手法でダイズを栽培した。
<ダイズ苗の生育状態:栽培14日目>
実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培14日目のダイズ苗の(A)全身の生育状態を表す写真を図1Aに示す。
実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培14日目のダイズ苗の(B)茎~葉の領域と根の領域それぞれにおける乾燥質量に関するグラフを図1Bに示す。
なお、乾燥質量は、各例のマメ科植物用培土で栽培した後、ダイズの植物体をポットから取り出し、茎~葉の領域と根の領域とに分別して40℃で72時間乾燥させた後、質量を測定した値である。統計解析は、SPSS version 20.0(SPSS, IBM, Armonk, NY, United States)を用いて、一元配置分散分析(ANOVA)及びTukeyの範囲検定(p<0.05)を行った。
図1A及び図1Bに示すように、根部エンドファイト系植物共生菌と共生した実施例1~実施例3のダイズ苗は、根部エンドファイト系植物共生菌と共生していない比較例1のダイズ苗に比べて、苗の茎~葉の領域は乾燥質量が大きく向上しており、マメ科植物の生育が促進されていることがわかった。
図1Bに示すように、根部エンドファイト系植物共生菌と共生した実施例1~実施例3のダイズ苗の中でも、根部エンドファイト系植物共生菌がそれぞれVs、Ccである実施例2及び実施例3は、根部エンドファイト系植物共生菌がEspである実施例1に比べて、苗の茎~葉の領域は乾燥質量がより向上しており、マメ科植物であるダイズの生育促進により優れることがわかった。
実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培140日目に収穫されたダイズの乾燥質量に関するグラフを図2に示す。なお、収穫されたダイズの乾燥収量とは、さやから取り出したダイズ豆の乾燥収量をさす。乾燥収量は、評価<ダイズ苗の生育状態:栽培14日目>と同様の測定と統計解析を行った。
図2における棒グラフの内に付された「-」は、各データの中央値(第2四分位数)を指す。
図2における棒グラフの内に付された「×」は、各データの平均値を指す。
図2における棒グラフの内に付された「*」は、統計処理の結果、統計学的有意性が示されたデータを指す。
図2に示すように、根部エンドファイト系植物共生菌と共生した実施例1~実施例3のダイズ植物体は、根部エンドファイト系植物共生菌と共生していない比較例1のダイズ植物体に比べて、マメ科植物であるダイズの生育が促進され、収穫量が増量することがわかった。
実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培40日目の植物体の根に付随して産生した根粒の状態を図3に示す。
図3に示すように、根部エンドファイト系植物共生菌と共生した実施例1~実施例3のダイズ植物体は、根部エンドファイト系植物共生菌と共生していない比較例1のダイズ植物体に比べて、根に付随して産生される根粒の量が多い傾向にあることがわかった。一般的に、根粒は、マメ科植物の根に対して窒素等の栄養源を供給する傾向にある。そのため、各実施例で得られたダイズの収穫量の増加や生育の促進は、根粒の量の増加が要因の一つであることが考えられる。
実施例1、2、3及び比較例1における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培0日目、100日目、及び140日目のダイズ植物体におけるリン酸吸収量に関するグラフを図4に示す。リン酸吸収量は、各栽培日数におけるダイズ苗からBray第一法に倣って抽出された可給態リン酸を元に、分光光度計測定装置(SPCA-6210、株式会社 島津製作所製)により定量した値である。また、評価<ダイズ苗の生育状態:栽培14日目>と同様の統計解析を行った。
図4に示すように、根部エンドファイト系植物共生菌と共生した実施例1~実施例3のダイズ植物体は、根部エンドファイト系植物共生菌と共生していない比較例1のダイズ植物体に比べて、リン酸吸収量が多い傾向にあることがわかった。一般的に、マメ科植物にはリン酸が栄養源として働くことから、各実施例で得られたダイズの収穫量の増加や生育の促進は、リン酸吸収量の増加が要因の一つであることが考えられる。
実施例4、5及び比較例2における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培20日目のダイズ植物体における(A)葉の数に関するグラフを図5Aに示す。
実施例4、5及び比較例2における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培20日目のダイズ植物体における(B)乾燥重量に関するグラフを図5Bに示す。
実施例4、5及び比較例2における根部エンドファイト系植物共生菌とダイズ苗を混合してから栽培20日目のダイズ植物体における(C)苗の生育状態を表す写真を図5Cに示す。
図5B中、「SDM」はShoot Dry Mass(つまり葉と茎(地上部)の乾燥重量)を指し、「RDM」はRoot Dry Mass(つまり根の乾燥重量)を指す(単位:g)。乾燥重量と統計解析は、評価<ダイズ苗の生育状態:栽培14日目>と同様の手法で行った。
図5A~Cに示すように、根部エンドファイト系植物共生菌がVsである実施例4のダイズ植物体は、根部エンドファイト系植物共生菌がCcである実施例5のダイズ植物体や、根部エンドファイト系植物共生菌と共生していない比較例2のダイズ植物体に比べて、葉の数や乾燥質量が増加する傾向にあった。つまり、pH4の弱酸性土壌環境下でも、マメ科植物の生育が促進されることがわかった。
実施例1と同様の材料及び手法で、ダイズの種子を滅菌させた。
その後、表2に示す種類の根部エンドファイト系植物共生菌を含むマメ科植物用培土に種子を入れ、人工気象室内で、23℃で7日間静置して発芽、生育させた。
その後、栽培7日目に、前記苗を、根粒菌を含む培土を用いて人工気象室内で、明所に30℃14時間、及び暗所に22℃10時間、光合成光子フラックス密度(PPFD)を89.46m-2・s-1として、定植し、栽培した。栽培中は、1日一度水やりを行った。
根部エンドファイト系植物共生菌を含むマメ科植物用培土を、根部エンドファイト系植物共生菌を含まない培土とした以外は、実施例6と同様の仕様としてダイズを栽培した。
実施例1と同様の材料及び手法で、ダイズの種子表面を殺菌した。
その後、表2に示す種類の根部エンドファイト系植物共生菌と根粒菌を含むマメ科植物用培土に種子を入れ、人工気象室内で、23℃で7日間静置して発芽、生育させた。
その後、栽培4日目に、前記苗を、人工気象室内で、明所に30℃14時間、暗所22℃10時間、光合成光子フラックス密度(PPFD)を89.46m-2・s-1として、定植、栽培した。栽培中は、1日一度水やりを行った。
根部エンドファイト系植物共生菌と根粒菌を含むマメ科植物用培土を、根部エンドファイト系植物共生菌を含まず根粒菌のみを含む培土とした以外は、実施例7と同様の仕様としてダイズを栽培した。
<根粒菌と根部エンドファイト系植物共生菌の配合時期の評価>
実施例6及び比較例3における栽培27日目のダイズ植物体における(A)根の本数に関するグラフを図6Aに示す。
実施例6及び比較例3における栽培27日目のダイズ植物体における(B)葉の数に関するグラフを図6Bに示す。
実施例7及び比較例4における栽培20日目のダイズ植物体における(A)根の本数に関するグラフを図7Aに示す。
実施例7及び比較例4における栽培20日目のダイズ植物体における(B)葉の数に関するグラフを図7Bに示す。
図6A、B及び図7A、Bに示すように、根部エンドファイト系植物共生菌を含むマメ科植物用培土とダイズ植物体との混合するタイミングに関わらず、実施例のマメ科植物用培土は、比較例のマメ科植物用培土に比べて、マメ科植物であるダイズの生育を促進させることがわかった。
また、図6Aと図7Aに示すように、共生菌と根粒菌とを同じ栽培日数(つまり同じタイミング)で種子と混合したほうが、マメ科植物であるダイズの生育がより促進されることがわかった。
Claims (12)
- クラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)SK51、エクソフィアラ(Exophiala sp.)SK47、及びベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34からなる群より選択される少なくとも1種の菌類を含む根部エンドファイト系植物共生菌と、
土壌と、
根粒菌と、
を含むダイズ用培土。 - 前記根部エンドファイト系植物共生菌がクラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)SK51である、請求項1に記載のダイズ用培土。
- 前記根部エンドファイト系植物共生菌がクラドフィアロフォラ ケトスピラ(Cladophialophora chaetospira)SK51であり、前記土壌のpHが6以上7以下である、請求項2に記載のダイズ用培土。
- 前記根部エンドファイト系植物共生菌がエクソフィアラ(Exophiala sp.)SK47である、請求項1に記載のダイズ用培土。
- 記根部エンドファイト系植物共生菌がエクソフィアラ(Exophiala sp.)SK47であり、前記土壌のpHが6以上7以下である、請求項4に記載のダイズ用培土。
- 前記根部エンドファイト系植物共生菌がベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34である、請求項1に記載のダイズ用培土。
- 前記根部エンドファイト系植物共生菌がベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34であり、前記土壌のpHが4以上6未満である、請求項6に記載のダイズ用培土。
- 前記根部エンドファイト系植物共生菌がベラノオプシス シンプレックス(Veronaeopsis simplex)Y34であり、前記土壌のpHが3以上4以下である、請求項6に記載のダイズ用培土。
- 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のダイズ用培土、及びダイズ体を含む、ダイズ用栽培セット。
- 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のダイズ用培土を用いてダイズを栽培することを含む、ダイズの栽培方法。
- 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のダイズ用培土と、ダイズの苗と、を含む、培土付きダイズの苗。
- 請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のダイズ用培土の、ダイズの栽培のための使用。
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| Wiwiek Harsonowati, Malek Marian, Surono, and Kazuhiko Narisawa,The Effectiveness of a Dark Septate Endophytic Fungus, Cladophialophora chaetospira SK51, to Mitigat,Frontiers in Microbiology,2020年04月15日,Vol. 11, Article 585,pp. 1-11 |
| エダマメ(大豆)の対するアゾスピリラム菌の接種効果の解明,アゾスピリラム菌概要書(土壌生態科),中央農試クリーン農業部土壌生態科、花・野菜技術センター研究部園芸環境科,2001年01月,p.1-4,https://www.hro.or.jp/agricultural/center/result/kenkyuseika/gaiyosho/h13gaiyo/2001304.htm |
| 山崎亜耶乃、成澤才彦,根部エンドファイトVeronaeopsis simplexY34を用いたFusarium属菌によるエンドウ土壌病害の抑制,土と微生物,日本,日本土壌微生物学会,2018年,Vol.72 No.2,p.114 |
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