JP7628034B2 - 新規なRh錯体及び該Rh錯体を含む酢酸合成用触媒並びに酢酸の合成方法 - Google Patents

新規なRh錯体及び該Rh錯体を含む酢酸合成用触媒並びに酢酸の合成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7628034B2
JP7628034B2 JP2021040317A JP2021040317A JP7628034B2 JP 7628034 B2 JP7628034 B2 JP 7628034B2 JP 2021040317 A JP2021040317 A JP 2021040317A JP 2021040317 A JP2021040317 A JP 2021040317A JP 7628034 B2 JP7628034 B2 JP 7628034B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
complex
acetic acid
reaction
carbon dioxide
catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021040317A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022139786A (ja
Inventor
和治 鈴木
了輔 原田
俊太郎 高橋
貴男 榎本
恵梨子 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Original Assignee
Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tanaka Kikinzoku Kogyo KK filed Critical Tanaka Kikinzoku Kogyo KK
Priority to JP2021040317A priority Critical patent/JP7628034B2/ja
Publication of JP2022139786A publication Critical patent/JP2022139786A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7628034B2 publication Critical patent/JP7628034B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Pyridine Compounds (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、新規なRh錯体に関する。また、本発明は、メタノールを二酸化炭素でカルボニル化して酢酸とするための前記Rh錯体を適用した触媒及び酢酸の合成方法に関する。
酢酸(CHCOOH)の合成方法として従来からよく知られているものとしてモンサント法がある。モンサント法とは、メタノール(CHOH)と一酸化炭素(CO)を触媒の存在下で反応させて、メタノールをカルボニル化して酢酸を合成する方法である。この合成反応に適用される触媒として、貴金属触媒であるロジウム(Rh)触媒があり、ロジウムにカルボニル配位子が配位したRh錯体([Rh(CO))が知られている。
モンサント法はその発見以降、反応条件等の改良(特許文献1等)を経て酢酸の工業的合成プロセスの主流の一つとなっているが、メタノールのカルボニル化のために一酸化炭素を必須とする点において変更はない。そして、この合成プロセスでは、酢酸の製造量に対して等量以上の一酸化炭素が必要となる。そのため、酢酸製造プラント内にカルボニル化の設備と共に一酸化炭素発生設備を設置する必要がある。また、一酸化炭素は毒性を有することが広く知られており、その管理には細心の注意が必要となる。
そこで、メタノールのカルボニル化に二酸化炭素(CO)を利用する検討が一部でなされている。二酸化炭素は、一酸化炭素に対して毒性は低く、その管理負担は小さくなる。また、化学プラント等では、熱源・動力発生用のボイラー等からの排ガスから二酸化炭素を回収する設備が設置されていることが多い。この二酸化炭素回収設備をカルボニル化のための二酸化炭素の供給源とすることができれば、酢酸製造設備のコストダウンに繋がる。
そして、上記の酢酸合成の例のように、有機合成分野における二酸化炭素の利用促進は、近年の環境問題の解決の一助にもなる。即ち、従来から化石燃料の燃焼等による排ガス中の二酸化炭素による温室効果が指摘されている。この問題に対処するため、世界的に温室効果ガスの排出量削減に向けた対策がなされている。この対策の一環として、例えば、二酸化炭素の回収と共にこれを貯留する取り組みが近年なされている(CCS:Carbon dioxide Capture and Sequestration)。こうして貯蔵された二酸化炭素を有機合成に広く利用することができれば、二酸化炭素の排出・回収・消費のサイクルを形成することができる。
特開平7-25814号公報
しかし、上記モンサント法におけるメタノールのカルボニル化のように、これまでに確立した反応系の構成を変更することは容易ではない。上記で例示したメタノールのカルボニル化による酢酸の合成反応に関して言えば、上述のRh錯体([Rh(CO))の存在下、反応系に一酸化炭素がある場合のみ合成反応が進行し得るのであってこの触媒で二酸化炭素による反応を進行させることはできない。
本発明は以上のような背景のもとになされたものであり、上記したメタノールのカルボニル化を含む酢酸の合成反応等について、反応系の構成として二酸化炭素を適用した場合であっても反応を進行させ得る新たな貴金属錯体を提供する。そして、この検討により明らかとなった、二酸化炭素の有機合成分野における利用範囲の拡張の可能性を提示することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を行い、二酸化炭素に対する活性を発揮し得る新たな貴金属錯体として、Rhを中心金属とし、クォーターピリジン((2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’-quaterpyridine(qpy))を配位子とする新規なRh錯体を見出した。そして、このRh錯体の触媒的作用につき検討を行い本発明に想到した。
上記課題を解決する本発明は、下記構造式で示される、Rhにクォーターピリジン又はその誘導体と2つのハロゲンA、Bが配位したRh錯体である。
Figure 0007628034000001
(上記式中、クォーターピリジンの置換基X、X、X、X、X、X、Xは、それぞれ、水素、ハロゲン、メチル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基のいずれかである。また、ハロゲンA及びBは、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかである。A、Bは同じハロゲンであっても良いし、異なるハロゲンでも良い。Yはカウンターアニオンである。)
後述するように、本発明に係るRh錯体は、中心金属であるRhが水中で水素(H)から電子を受容して中間錯体(錯体2)に変化しつつ、反応系の構成物質に電子を供与して初期の錯体に再生する触媒サイクルを進行させる。現段階では、この触媒サイクルは、メタノールを二酸化炭素によりカルボニル化し酢酸を合成する反応に作用することが確認されている。また、このときの反応サイクルにおける中間体の構成も明らかとなっている。以下、本発明に係るRh錯体と、このRh錯体を適用する酢酸合成用の触媒及び酢酸合成のプロセスについて説明する。
(I)本発明に係るRh錯体
本発明に係るRh錯体は、ロジウム(Rh3+)に配位子としてクォーターピリジン(以下、この配位子をqpy配位子と称することがある)が配位した錯体である。本発明に係るRh錯体において、qpy配位子は、+3価のRh中心金属(Rh3+)が水素からの電子を受容(貯蔵)し、還元状態にある高活性な+1価のRh(Rh)の中間錯体の形成を容易にすることができる。電子受容性を有するqpy配位子は、電子貯蔵性を有するRh中心金属の負電荷を分散し、安定化するためである。この反応は、水を溶媒とすることで好適に進行する。また、qpy配位子は、その構造的特徴として歪んだ平面四配位構造を採り、Rh中心金属に反応物質との反応場を与えることができる。そして、生成した前記の中間錯体は、電子供与体として作用して反応物質の挿入・脱離を経て所望の反応を進行させることとなる。
本発明に係るRh錯体のqpy配位子は、クォーターピリジン又はその誘導体である。上記式におけるqpy配位子の置換基X~Xは、それぞれ、水素、ハロゲン、メチル基、メトキシ基、アミン、ジメチルアミノ基のいずれかである。これらの元素及び置換基に限定される理由は、これらの元素及び置換基を導入することで、Rh錯体の安定性、触媒活性、溶媒への溶解性等を適切に調節する効果が期待できるためである。
好ましくは、qpy配位子におけるX~Xそれら全てが水素となる。また、他の好ましい態様としては、X~Xのいずれか1つがハロゲン、メチル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基のいずれかであり、その他が水素となる。これらの態様が好ましい理由は、合成が比較的容易でありながら、置換基の導入による機能性の付与が可能であることから実用性に優れた錯体が得られるためである。
また、本発明に係るRh錯体は、qpy配位子と共にハロゲン原子A及びBが配位する。ハロゲンは、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかである。本発明に係るRh錯体において、水素との反応性が高く触媒サイクルの進行を促進させると共に、触媒サイクル終了後には出発物質を容易に再生するハロゲンを採用することが望ましい。このとき、A、Bは同じハロゲンであっても良いし、異なるハロゲンでも良い。
(II)本発明に係るRh錯体を含む酢酸合成用の触媒
上記のとおり、本発明に係るRh錯体は、メタノールを二酸化炭素でカルボニル化して酢酸を合成するための触媒として有用である。本発明に係るRh錯体は、酢酸合成過程で下記の触媒サイクルを示す。以下、この触媒サイクルにおける各段階について説明する。
尚、以下の説明では、Rh錯体のカウンターアニオンの記載は省略している。また、酢酸合成プロセスにおいては、メタノールと共に反応促進剤としてヨウ化メチル(CHI)を添加することがある。また、ヨウ素化合物又は金属ヨウ化物を添加し、ヨウ化メチルを生成させることもある。ここでの説明は、前記いずれかの反応促進剤により、ヨウ化メチルがin-situで反応系内に生成していると仮定する。
Figure 0007628034000002
上記触媒サイクルにおいて、本発明に係るRh([RhIII(qpy)Cl)は「錯体1」である。錯体1は、溶媒である水中で水素と反応し、ロジウムが還元(Rh3+→Rh+1)されて、低原子価錯体([Rh(qpy)])を生成する(これを「錯体2」とする)。この反応では、錯体1が水素の2電子を受容し低原子価の錯体2となる。
錯体2は、反応系内でin-situで生成されるヨウ化メチルと反応し、メチルヨード錯体([RhIII(qpy)(CH)(I)])を生成する(これを「錯体3」と称する)。この反応は、錯体Iが水(水素)から受容した2個の電子がRh経由でヨウ化メチルに移動したことを意味する。尚、これら錯体2及びこの錯体3は、錯体1と同様に新規なRh錯体である。
そして、錯体3に対する挿入反応により、配位子3のロジウムとメチル基との間(Rh-C結合)に二酸化炭素が挿入される。更に、塩酸の供給により、錯体からCHCOOIが脱離しプロトン化して酢酸(CHCOOH)を生成する。同時に、錯体3は錯体1に再生される。
以上の触媒サイクルを経て、メタノール(メタノールから生成するヨウ化メチル)は二酸化炭素によりカルボニル化して酢酸が合成される。この一連の触媒サイクルによる反応は、本発明に係るRh錯体(錯体1)が水中の水素から吸引・貯蔵した電子をヨウ化メチルと二酸化炭素へ移動させる反応である。
本発明に係る触媒は、常温・常圧下では固体状態であり、水溶性を有する。本発明に係る触媒は、水を溶媒とした反応系で均一触媒として作用する。これは、Rh錯体のqpy配位子の置換基X~Xが上記した範囲であれば共通する特性である。尚、カウンターアニオン(Y)については、特に制限はないが、サイズが小さく化学的に安定であるという理由から、塩素イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)、硝酸イオン(NO )が好ましい。
本発明に係る触媒について、その形状(粉末状、粒状、ペレット状等)や粒子サイズ等に制限はない。また、上記のとおり水溶性を有することから、水等の適宜の溶媒により溶液化しても良い。この場合において、溶液中の錯体の濃度も特に制限されることはない。
(III)本発明に係る触媒を適用する酢酸の合成方法
本発明に係る触媒を用いた酢酸合成方法では、メタノールのカルボニル化反応を二酸化炭素により行う。また、上記の通り、本発明に係る触媒は、水溶性の均一触媒であり、水との反応により中間錯体(錯体2)を生成し、これがヨウ化メチルを活性化する。
即ち、本発明に係る酢酸の合成方法は、メタノールと二酸化炭素と水とを含む反応系で、前記メタノールを前記二酸化炭素によりカルボニル化する工程を含む酢酸の合成方法であって、上記本発明の酢酸合成用の触媒の存在下で反応を進行させるものである。
上記のとおり、本発明に係る酢酸の合成方法は水を溶媒とし、ここにメタノール及び二酸化炭素と触媒を添加して反応系を形成する。従来のモンサント法では、酢酸や酢酸メチル等のカルボン酸、カルボン酸エステルといったカルボニル基を含有する有機溶媒を含むものが用いられている。本発明では、水を主体とした溶媒により合成反応を進行させることができ、クリーンな環境下での酢酸合成が可能である。但し、溶媒は、水に前記した有機溶媒が一部含まれていても良い。
また、反応系には水素を添加することが好ましい。本発明のRh錯体は、水中の水素と反応して低原子価錯体(錯体2)となるので、反応を効率よく進行させるために水素を供給することが好ましい。
更に、本発明においても、上記触媒サイクルを円滑に開始させるため、反応系にヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル等のヨウ化アルキル等のヨウ素化合物やヨウ化リチウム等の金属ヨウ化物を反応促進剤として添加することが好ましい。
本発明の反応系は、水(溶媒)とメタノールとの混合による液相を主に含み、更に触媒(Rh)錯体と反応促進剤が溶解している。反応開始前の段階(仕込み段階)の液相におけるメタノールの割合は、1質量%以上50質量%以下とするのが好ましい。メタノールは、反応促進剤により合成反応が開始すると速やかにヨウ化メチルとなる。反応系に多量のメタノールを加えると過剰量のヨウ化メチルが反応容器内に存在することとなり、酢酸へのヨウ化物の混入が懸念される。また、触媒であるRh錯体の添加量は、ロジウム濃度換算で100ppm以上10000ppm以下とするのが好ましい。また、反応促進剤の添加量は、液相質量に対して添加する化合物の質量基準で0.1質量%以上20質量%以下とするのが好ましい。
本発明における反応条件としては、水素分圧は0.1MPa以上10MPa以下とするのが好ましい。また、二酸化炭素分圧は0.1MPa以上10MPa以下とするのが好ましい。尚、反応系全体(反応器内)における全圧は、1MPa以上10MPaとするのが好ましい。本発明では、従来のモンサント法に対して比較的低圧の条件で合成反応を進行させることができる。
反応温度については、20℃以上100℃以下とするのが好ましい。従来のモンサント法における一酸化炭素のカルボニル化では150℃を超える反応温度が必要である。本発明の触媒存在下での二酸化炭素によるカルボニル化反応は、これよりも低温で進行することができる。この反応温度と上記の圧力条件とを考慮すると、本発明に係る酢酸の合成方法は、低温・低圧でマイルドな反応条件となり、低エネルギー・低負荷な装置設計を可能とする。
以上の通り、本発明に係るクォーターピリジン配位子(qpy配位子)が配位したRh錯体は、その配位子及び中心金属の特性に基づいて電子受容性を有し、電子貯蔵体として機能する。これにより二酸化炭素等に対して新たな活性を付与することができる。そして、本発明のRh錯体により、これまで明確な報告例のない、二酸化炭素によるメタノールのカルボニル化を経た酢酸の合成が可能となる。本発明は、二酸化炭素の有機合成への利用促進を図ることができる技術であり、環境問題の新たな解決手法や経済的メリットを示唆する。
本実施形態で合成した合成したRh錯体([RhIII(qpy)Cl]Cl:錯体1)のORTEP図。 本実施形態で合成したRh錯体([RhIII(qpy)Cl]Cl:錯体1)のH NMRスペクトル。 本実施形態で合成したRh錯体([Rh(qpy)]Cl:錯体2)のORTEP図。 本実施形態で合成したRh錯体([Rh(qpy)]Cl:錯体2)及び錯体1のRh3d領域のXPSスペクトル。 本実施形態で合成したメチルヨード錯体([RhIII(qpy)(CH)(I)]Cl:錯体3)ののORTEP図。 本実施形態で合成したメチルヨード錯体([RhIII(qpy)(CH)(I)]Cl:錯体3)のH NMRスペクトル。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、まず、Rh錯体(錯体1)の合成を行った。そして、上記した触媒ステップをトレースしつつ、各段階で生成する錯体(錯体2、錯体3)の存在を確認した。その上で、本発明に係る触媒(Rh錯体)による二酸化炭素を使用した酢酸の合成試験を行った。尚、錯体1~錯体3の合成に際しては、合成物の確認のため、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS:日本電子株式会社 JMS-T100LC AccuTOF)、核磁気共鳴分析(H NMR:ブルカー・バイスピオン社 アヴァンスIII 600 FT-NMR分光計)、X線光電子分光法分析(XPS:アルバック・ファイ株式会社 PHI 5000 VersaProbe II)、有機元素分析(ヤナコテクニカルサイエンス株式会社 炭素・水素・窒素同時定量装置CHN コーダーMT-5)を適宜に行った。
[Rh錯体(錯体1)の合成]
塩化ロジウム(RhCl)を67mg(0.32mmol)と、qpy(2,2’:6’,2’’:6’’,2’’’-クォーターピリジン)を100mg(0.32mmol)とをエタノールに溶解した。そして、このエタノール溶液を5時間還流し反応させた。得られた溶液を室温まで冷却した後、薄茶色の固体を濾過して回収し、ジエチルエーテルで洗浄し乾燥させた。以上の操作によりRh錯体([RhIII(qpy)Cl]Cl:錯体1)を得た。このRh錯体の塩化ロジウムを基準とする収率は62%であった。
1H NMR (600 MHz, in DMSO-d6, referenced to TMS): δ8.09 (t, 2H, C-H), 8.54 (t, 2H, C-H), 8.70 (t, 2H, C-H), 8.90 (d, 2H, C-H), 8.94 (dd, 4H, C-H), 9.66 (d, 2H, C-H).
Anal. Calcd for [RhIII(qpy)Cl2](Cl)・3.5H2O: C20H21Cl3N4O3.5Rh: C, 41.23; H, 3.63; N, 9.62%. Found: C, 41.26; H, 3.38; N, 9.61%
合成したRh錯体のX線結晶構造解析によって得られたORTEP図を図1に示す(カウンターアニオンは省略する)。また、図2に合成したRh錯体のH NMRスペクトルを示すが、qpy配位子に帰属されるピークが芳香族領域に観察された。これらの結果より、目的構造の錯体1が合成されたことが確認された。
[触媒サイクルの再現試験)]
(i)錯体1→錯体2
上記で合成したRh錯体([RhIII(qpy)Cl]Cl:錯体1)20mg(38.5μmol)を水6mLに溶解させて水性懸濁液とした。そして、この水性懸濁液を室温下、水素雰囲気(0.6MPa)で12時間撹拌して錯体2([Rh(qpy)]Cl)を合成した。反応液にNaCFSO水溶液(9.9mg、57.8μmol)を添加してカウンターアニオンを塩素からCFSOに置換することにより生じた沈殿を濾過回収し、水で洗浄し真空乾燥することで黒色固体の錯体2を回収した。この錯体2の錯体1を基準とする収率は72%であった。
ESI-MS (メタノール中): m/z 413.0 {[RhI(qpy)]+, I = 100%質量範囲200から2000にて}. Anal. Calcd for [RhI(qpy)](CF3SO3) + 0.2NaCF3SO3: C21.2H14F3.6N4Na0.2O3.6RhS1.2: C, 42.67; H, 2.36; N, 9.39%. Found: C, 42.56; H, 2.40; N, 9.35%.
合成したRh錯体2のX線結晶構造解析によって得られたORTEP図を図3に示す(カウンターアニオンは省略する)。また、図4に錯体1と錯体2について測定した、Rh3d領域のXPSスペクトルを示す。錯体1において309.2eV及び313.9eV位置するRhのピークは、錯体2では306.8eV及び311.5eVへとシフトしている。これは、錯体1から錯体2が形成されたことで、中心金属であるRhが3価(Rh3+)から1価(Rh)に還元されたことを示している。これらの結果より、目的構造の錯体2が合成されたことが確認された。
(ii)錯体2→錯体3
上記で合成した錯体2([Rh(qpy)]Cl)の水溶液3mL(6.4mmol)に暗条件下でヨウ化メチル12 μL(193 μmol)を添加した。得られた混合液を6時間攪拌し、生じた黄色沈殿を濾過回収し、水で洗浄し真空乾燥させた。回収した黄色粉末をアセトニトリル/DMF混合液(1/4)に溶解して不溶物を濾過して除去した。その後、ジエチルエーテルによる再結晶より生じたオレンジ色の結晶を濾過回収し、真空中で乾燥して錯体3であるメチルヨード錯体([RhIII(qpy)(CH)(I)]Cl)を得た。この錯体3の錯体2を基準とする収率は32%であった。
1H NMR (600 MHz, in DMSO-d6, referenced to TMS): δ0.79 (d, 3H, Rh-CH3), 7.96 (t, 2H, C-H), 8.43 (t, 2H, C-H), 8.54 (t, 2H, C-H), 8.77-8.80 (m, 6H, C-H), 9.43 (d, 2H, C-H).
ESI-MS(メタノール中): m/z 554.9 {RhIII(qpy)(CH3]+, I = 100%質量範囲200から2000にて}.
Anal. Calcd for [RhIII(qpy)(CH3)(I)・0.5(CH3)2NCHO: C22.5H20.5I2N4.5O0.5Rh: C, 37.60; H, 2.88; N, 8.77%. Found: C, 37.73; H, 2.72; N, 8.53%.
合成したRh錯体3のX線結晶構造解析によって得られたORTEP図を図5に示す(カウンターアニオンは省略する)。また、図6は、上記で合成した錯体3のH NMRスペクトルを示すが、0.8ppm付近において、Rhに結合したメチル基に由来するピークが観察された。これらの結果より、目的構造の錯体3が合成されたことが確認された。
(iii)錯体3とCOとの反応による酢酸合成
上記で合成した錯体3を3.0mg(5.1μmol)含む水溶液1.5mLを、CO雰囲気(0.8MPa)の下、80℃、pH 2.0で12時間攪拌して反応させて酢酸を合成した。反応終了後、室温まで冷却した後、得られた反応液をシリカカラムに通過させ錯体を除去した。精製した反応液について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて酢酸を定量分析して得られた酢酸の収率は、錯体3を基準して10%であった。
以上の(i)~(iii)で行った、触媒サイクルの再現試験から、錯体1と各段階で生成する中間錯体である錯体2、錯体3の構造を確認することができた。そして、本発明のRh錯体を含む触媒は、ヨウ化メチルを活性化してCOを還元し、これらによって水中で酢酸を合成する一連の作用を発揮し得ることが確認された。
[酢酸の合成試験]
上記の触媒サイクルの再現試験の結果を受け、次に、水とメタノールと二酸化炭素を含む反応系におけるRh錯体の活性の有無と酢酸の合成の可否を検討した。
水/メタノール混合溶液(混合比1/1)3.9mLを作製し、混合溶液に上記と同じRh錯体1([RhIII(qpy)Cl]Cl)を1.0mg(1.92μmol)と、ヨウ化メチル6.7μL(0.108μmol)とを溶解させた。そして、この混合溶液を水素と二酸化炭素との混合雰囲気(H:0.15MPa、CO:0.8MPa)の下、80℃で24時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、ジエチルエーテルにて抽出し、その後濃縮した。
そして、得られた抽出液を用いてHPLCにて酢酸の定量分析を実施した。その結果得られた最大の触媒回転数(TON:酢酸モル数/Rh錯体モル数)は、1.0であり、酢酸の合成が可能であることが確認された。
本発明は、中心金属であるロジウムにクォーターピリジン配位子(qpy配位子)が配位した新規のRh錯体である。本発明に係るRh錯体は、二酸化炭素でメタノールをカルボニル化する酢酸の合成反応において活性を有する触媒となる。これにより、二酸化炭素の利用拡大が可能となり、環境問題に対する新たな解決手法や経済的メリットを提供することができる。
また、本発明に係るRh錯体は水中で電子を受容し還元されることによって、電子供与性の好適な中間錯体を形成することができ、反応系の構成物質に新たな活性化を付与し得る。本発明に係るRh錯体が有する電子受容性及び電子貯蔵性は、有機合成の分野において新たな反応プロセスへの考察を促すこととなる。

Claims (7)

  1. 下記構造式で示される、Rhにクォーターピリジン又はその誘導体と2つのハロゲンA、Bが配位したRh錯体。
    Figure 0007628034000003
    (上記式中、クォーターピリジンの置換基であるX、X、X、X、X、X、Xは、それぞれ、水素、ハロゲン、メチル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基のいずれかである。また、ハロゲンA及びBは、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかである。A、Bは同じハロゲンであっても良いし、異なるハロゲンでも良い。Yはカウンターアニオンである。)
  2. ~Xの全てが水素である請求項1記載のRh錯体。
  3. ~Xのいずれか1つがハロゲン元素、メチル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基のいずれかであり、その他が水素である請求項1記載のRh錯体。
  4. 請求項1~請求項3のいずれかに記載のRh錯体を含む酢酸合成用の触媒。
  5. メタノールと二酸化炭素と水とを含む反応系で、前記メタノールを前記二酸化炭素によりカルボニル化する工程を含む酢酸の合成方法であって、
    請求項4記載の酢酸合成用の触媒の存在下で反応を進行させる酢酸の合成方法。
  6. 反応系は水素を更に含み、
    水素分圧0.1MPa以上10MPa以下、二酸化炭素分圧0.1MPa以上10MPa以下とし、
    反応温度を20℃以上100℃以下として反応を進行させる請求項5記載の酢酸の合成方法。
  7. 反応系は、更に、反応促進剤としてヨウ素化合物又は金属ヨウ化物を含む請求項5又は請求項6記載の酢酸の合成方法。
JP2021040317A 2021-03-12 2021-03-12 新規なRh錯体及び該Rh錯体を含む酢酸合成用触媒並びに酢酸の合成方法 Active JP7628034B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021040317A JP7628034B2 (ja) 2021-03-12 2021-03-12 新規なRh錯体及び該Rh錯体を含む酢酸合成用触媒並びに酢酸の合成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021040317A JP7628034B2 (ja) 2021-03-12 2021-03-12 新規なRh錯体及び該Rh錯体を含む酢酸合成用触媒並びに酢酸の合成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022139786A JP2022139786A (ja) 2022-09-26
JP7628034B2 true JP7628034B2 (ja) 2025-02-13

Family

ID=83399685

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021040317A Active JP7628034B2 (ja) 2021-03-12 2021-03-12 新規なRh錯体及び該Rh錯体を含む酢酸合成用触媒並びに酢酸の合成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7628034B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006298776A (ja) 2005-04-15 2006-11-02 Sharp Corp クォータピリジン誘導体、それを含む錯体、光電変換素子および色素増感型太陽電池
JP2012033444A (ja) 2010-08-03 2012-02-16 Fujifilm Corp 光電変換素子及びこれを用いた光電気化学電池、光電変換素子用組成物
JP2012209171A (ja) 2011-03-30 2012-10-25 Fujifilm Corp 光電変換素子、光電気化学電池及びこれに用いられる酸化チタン粒子
JP2013126653A (ja) 2011-11-17 2013-06-27 Sumitomo Chemical Co Ltd 光機能性材料、酸化還元反応光触媒、水分解光触媒、金属錯体及び金属錯体の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006298776A (ja) 2005-04-15 2006-11-02 Sharp Corp クォータピリジン誘導体、それを含む錯体、光電変換素子および色素増感型太陽電池
JP2012033444A (ja) 2010-08-03 2012-02-16 Fujifilm Corp 光電変換素子及びこれを用いた光電気化学電池、光電変換素子用組成物
JP2012209171A (ja) 2011-03-30 2012-10-25 Fujifilm Corp 光電変換素子、光電気化学電池及びこれに用いられる酸化チタン粒子
JP2013126653A (ja) 2011-11-17 2013-06-27 Sumitomo Chemical Co Ltd 光機能性材料、酸化還元反応光触媒、水分解光触媒、金属錯体及び金属錯体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022139786A (ja) 2022-09-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230001398A1 (en) Electrochemical reduction of carbon dioxide
Liao et al. Post-synthetic exchange (PSE) of UiO-67 frameworks with Ru/Rh half-sandwich units for visible-light-driven H 2 evolution and CO 2 reduction
JP6071079B2 (ja) Co2水素化並びにギ酸及び/又はその塩からのh2生成用の二金属触媒
CN115872897B (zh) 一种席夫碱钴配合物、其制备方法和应用
CN105712927B (zh) 一种钴配合物制备及其合成方法
Xu et al. Electrocatalytic hydrogen evolution of a cobalt A2B triaryl corrole complex containing–N= PPh3 group
Al-Doori et al. Synthesis, spectroscopic and hydrogen storage studies of mono or bimercury (II) mixed ligand complexes of amines with 2-cyanoamino thiophenolate ligand
CN114478648A (zh) 一种类吡啶吡咯钌配合物及其制备方法和作为电催化氨氧化催化剂的应用
JP7628034B2 (ja) 新規なRh錯体及び該Rh錯体を含む酢酸合成用触媒並びに酢酸の合成方法
Chen et al. Stability or flexibility: Metal nanoparticles supported over cross-linked functional polymers as catalytic active sites for hydrogenation and carbonylation
Chin et al. Small molecule activation of nitriles coordinated to the [Re 6 Se 8] 2+ core: formation of oxazine, oxazoline and carboxamide complexes
CN103209986A (zh) 光敏剂及其用于由水生成氢气的用途
CN113603648B (zh) 一种钴配合物及其制备方法和应用
CN115197279A (zh) 一类(sp3)C^C螯合环钯金属配合物及其合成方法和应用
CN109796504B (zh) 一种含氨基二茂铁双膦配体铁铁氢化酶模型物及其合成方法和应用
CN101693727A (zh) 一种含有半夹心结构铱、铑、钌的四核/六核大环配合物及其制备方法
CN109651446B (zh) 一种单膦取代桥连氮杂丙烷桥铁铁氢化酶模型物及其合成方法和应用
CN107903272A (zh) 吡啶醇类配体的制备方法、吡啶醇类配体、金属有机框架材料及其制备方法
Zhang et al. Palladium-catalyzed allylic alkylation enabled by ketone umpolung via Pudovik addition/[1, 2]-phospha-Brook rearrangement
CN108126757A (zh) 一种银修饰磷钨氧簇催化剂的制备方法及用途
CN116874390B (zh) 一种基于Salen配体的单核钴配合物、其制备方法和应用
JP2014062038A (ja) 一酸化炭素および/または水素の製造方法
CN116212964B (zh) 甲酸制氢的铱催化剂及其制备方法和应用
Xi et al. Preparation of isoreticular MIL-101 (Cr) based on pre-and post-synthetic strategy and study for carbon dioxide capture
US20130277229A1 (en) Novel metal complex catalysts and uses thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230919

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240918

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20241114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20250120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20250128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7628034

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150