以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
以下の説明では、図1又は図2に示した互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向を洗濯機1の説明に使用する場合がある。X方向及びZ方向は、図1に示した洗濯機1の設置状態における前後方向及び高さ方向(又は上下方向若しくは鉛直方向)に対応する。また図1の紙面に垂直な方向が、図3及び図4に示したY方向であり、洗濯機1の設置状態における左右方向に対応する。本明細書において、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語は、洗濯機1の設置状態に基づいた用語である。
まず図1を参照して、洗濯機1の全体構成について説明する。洗濯機1は、例えば、ドラム式洗濯機である。洗濯機1は、例えば直方体状の筐体2を備える。筐体2の形状は適宜に変更可能である。筐体2の前面には、開閉自在な円形のドア3が取り付けられている。筐体2の前面には、洗濯物が投入される円形の投入口4が形成されている。投入口4は、ドア3によって閉鎖され、又は開放される。筐体2内には、外槽6及びドラム(洗濯槽)7が配置されている。外槽6及びドラム7は、何れも有底円筒状を呈する。外槽6は、筐体2内において複数のダンパ11とスプリング12とにより弾性的に支持されている。外槽6内には、ドラム7が回転自在に配置されている。外槽6及びドラム7は、例えば、X方向に延びる中心軸線に関して同心状に(同軸に)配置されている。外槽6は、ドラム7の開口部7aの前方に位置する円形の開口部6aを有する。
外槽6の開口部6aの周縁部と筐体2の投入口4の周縁部が、弾性材料からなる円環状のパッキン8により連結されている。パッキン8は、例えば一部に引張コイルばね等が組み込まれた円形のワイヤによって、外槽6及び投入口4に対して外周側から締め付けられ、固定されている。閉じられたドア3の周面がパッキン8に接触し、投入口4とドア3との間が水封される。ドラム7内には、洗濯物が収容される。ドラム7の内周面には、多数の脱水孔7bが形成されている。ドラム7の内周面には、更に、前部においてバランサ7cが設けられると共に、周方向に等しい間隔で複数の(例えば3つの)バッフル7dが設けられている。
筐体2内であって外槽6の後方には、ドラム7を回転させるための駆動モータ9が設置されている。駆動モータ9の回転軸9aがX方向に延び、ドラム7の一部に連結されている。回転軸9aとドラム7は、プーリや減速機構等を介して連結されてもよく、直接連結されてもよい。駆動モータ9は、洗い工程及びすすぎ工程時には、ドラム7内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さく洗濯物がタンブリングするような比較的低い回転数で、ドラム7を回転させる。駆動モータ9は、脱水工程時には、ドラム7内の洗濯物に加わる遠心力が重力より大きく洗濯物がドラム7の内周面に張り付くような比較的高い回転数で、ドラム7を回転させる。
筐体2の後部には、給水管13及び給水バルブ14が配置されている。給水管13は、可撓性を有するホースであってもよいし、ホース以外の配管材料から構成されてもよい。給水バルブ14が開かれることにより、水道栓からの水道水が給水管13を通じて外槽6内に供給される。外槽6は、洗濯水を貯留可能である。本明細書において、「洗濯水」は、洗濯物の洗い工程及びすすぎ工程等の各工程に応じた液体を意味する。したがって、洗い工程では、洗濯水は洗剤などを含む水(液体)でよいし、すすぎ工程では、洗濯液は水でよい。またすすぎ工程において、洗濯水に柔軟剤が含まれてもよい。
外槽6の底部には、下方に窪んだ窪み部6bが形成されている。窪み部6bには排水管16が接続されている。排水管16は、例えば、第1排水管16a及び第2排水管16bを有する。これらの第1排水管16a及び第2排水管16bは、可撓性を有するホースであってもよいし、ホース以外の配管材料から構成されてもよい。排水管16は、外槽6内の洗濯水を排出する。洗濯水は、排水管16が例えば下方に向けて配設されることにより、排水管16を通じて自然流下にて排出される。第2排水管16bは、例えば洗濯機1の機外へ(下方へ)延びている。第1排水管16a及び第2排水管16bを通じて洗濯機1から排出された洗濯水は、防水パン等に設けられた排水口を通じて排水される。なお、排水管16のレイアウトは適宜に変更されてもよい。
洗濯機1は、例えば排水管16の途中に設けられ、洗濯水に含まれる異物を捕集する排水フィルタ100を備えている。排水フィルタ100の導入管25(図3参照)が第1排水管16aの下流端に接続されている。排水フィルタ100の後端には例えば排水ホースH等が取り付けられており、排水ホースHが第2排水管16bの上流端に接続されている。排水フィルタ100は、ケース20と、ケース20内に装着されたフィルタ組立体Aとを備えている。フィルタ組立体Aはケース20内に収納されている。第2排水管16bには、例えば排水バルブ17が設けられている。第1排水管16a、排水フィルタ100、及び第2排水管16bは自然流下による排水路を構成している。排水バルブ17が開かれることで、外槽6及び第1排水管16aから流下した洗濯水は排水フィルタ100に導入され、排水フィルタ100を通過後(ろ過後)に、第2排水管16bを通じて排出される。なお、排水バルブ17が第1排水管16a(すなわち排水フィルタ100の上流側)に設けられてもよい。
洗濯機1は、使用者によって操作される操作ボタン、及び、上述した駆動モータ9の駆動、給水バルブ14の開閉、及び排水バルブ17の開閉等を制御するコントローラ(何れも図示せず)を備える。コントローラは、使用者による操作に応じて、予め記憶されたプログラムに従って洗濯機1における種々の運転を行う。また図1では、洗剤投入装置、及び、(洗濯機1に乾燥機能が設けられる場合には)乾燥機能に係るヒータ、ファン、ダクト等の各部の図示は省略されている。
排水フィルタ100は、筐体2内の例えば右下付近に設置されている。排水フィルタ100は、筐体2内において適宜の手段により固定されている。ケース20は、ケース20の後部(図示右側部分)がケース20の前部(図示左側部分)よりも低くなるよう、傾斜して設けられている。フィルタ組立体Aは、ケース20に対して着脱可能である。筐体2の前面の右下部の開口2fを塞ぐカバーBを開けることにより、使用者の手がフィルタ組立体Aにアクセスできる。フィルタ組立体Aは、例えば洗濯機1における運転が完了した際、使用者によって脱水等の操作(詳しくは後述する)がなされた後、開口2fを介して洗濯機1の外部に取り出される。これにより、排水フィルタ100のメンテナンスが可能となる。
図2以降の必要な図を参照して、排水フィルタ100について詳細に説明する。図2及び図3は、それぞれ、排水フィルタ100の縦断面図及び斜視図である。排水フィルタ100は傾斜した状態(姿勢)で設置されているが、図2以降の各図では、この傾斜を考慮せずに、排水フィルタ100が単品として示されている。したがって、図2以降では、図1に示したX方向線(前後方向線)及びZ方向線(上下方向線)は省略されている。図4及び図5は、それぞれ、図3のIV-IV線に沿った断面図及びV-V線に沿った断面図である。
排水フィルタ100は、外槽6に接続された第1排水管16aから洗濯水を導入し通水することで洗濯水に含まれる異物を捕獲する。図2及び図3に示されるように、ケース20は、略円筒状のケース本体21と、例えばケース本体21の側面に接続された導入管25と、ケース本体21の後端に形成された円形の排出口26aとを備える。ケース本体21に対する導入管25の接続部には導入口25a(図5参照)が形成されている。ケース20の材料は特に限定されないが、ケース20は例えば樹脂製である。導入管25に第1排水管16aが接続され、排出口26aには排水ホースHが取り付けられ、またフィルタ組立体Aがケース本体21内に挿入されてケース本体21の挿入口27を閉塞することにより、ケース20は密閉性を有している。導入口25aは第1排水管16aを通じて洗濯水を導入し、排出口26aはフィルタ本体30を通過したろ過後の洗濯水を排出する。
本実施形態に係る排水フィルタ100は、フィルタのメンテナンス性を考慮した構造及び機能を備えている。排水フィルタ100は、メンテナンス時に、フィルタ本体30に捕獲された異物を容易に脱水可能とし、使用者は異物にできるだけ触れずに異物を廃棄可能である。以下、各図を参照しながら排水フィルタ100における脱水機能等について説明する。図6は、フィルタ組立体Aの斜視図である。図6に示されるように、フィルタ組立体Aは、フィルタ本体30と、フィルタ本体30内に嵌め込まれた圧縮板40と、フィルタ本体30の手前側に取り付けられた操作部50とを備える。「手前」との用語は、洗濯機1の前(ドア3及びカバーBの前)にいる使用者を基準として用いられ、洗濯機1の前側と同意である。フィルタ組立体Aでは、これらが一体化されている。使用者は操作部50の着脱レバー51をつまんで回転させることにより、フィルタ組立体Aをケース20から容易に取り外し、また装着することができる。着脱レバー51はつまみとも呼ばれ、フィルタ組立体Aを一体的に取り外すための回転式のレバーである。
フィルタ組立体Aを構成する各部についても、例えば樹脂成形品が用いられる。部分的に金属が用いられてもよい。
フィルタ本体30は、上方に開放された直方体形状を有する。フィルタ本体30は、長方形板状の底壁部31(図5参照)と、底壁部31の手前側に形成された断面U字状の基端壁部32と、基端壁部32の更に手前側に形成されたフランジ部33とを有する。フィルタ本体30は、ケース20の挿入口27を介してケース20内に挿入及び装着される(図2及び図4参照)。フィルタ本体30が装着された状態で、その後端部38はケース20の排出口26aから露出している。ケース20に対するフィルタ本体30の装着構造は特に限定されないが、後端部38が排出口26aよりも後方に突出してもよい。
図6に示されるように、フィルタ本体30は、底壁部31から立ち上がる複数の櫛歯34を有する。複数の櫛歯34は、底壁部31の一対の側辺部と、後端部38に近い短辺部に沿ってフィルタ本体30の一対の側壁及び後壁を形成するように配列されている。すべての櫛歯34は、平行であり、第1方向D1に延びている。一定の間隔をあけて立設された櫛歯34は、フィルタ本体30のろ過面を構成する。フィルタ本体30の基端壁部32には、導入口25aに対面する位置に開口36が形成されており、排水フィルタ100内に導入された洗濯水はフィルタ本体30の内部へと流入する。洗濯水は多数の櫛歯34からなるろ過面を通過する。これにより、糸屑等の異物が櫛歯34に引っ掛かり、捕獲される。ろ過後の洗濯水は、櫛歯34間の間隔(間隙)を通り抜けて排出口26aから排出される。
第1方向D1は、底壁部31に垂直であるが、上述の通りケース20が傾斜しているため、フィルタ組立体Aも傾斜している。よって、第1方向D1は、XZ平面に平行に延びると共に、YZ平面に対しては所定角度をなす。フィルタ本体30のフランジ部33以外の部分(ろ過に関わる部分)は、ケース本体21内に嵌め込まれている。例えば、底壁部31、基端壁部32及び櫛歯34は、挿入口27において着脱レバー51が固定され、櫛歯34と天面21aの一部が当接することによってケース本体21内で一定の姿勢を保持している。底壁部31及び基端壁部32は、ケース本体21の内面のどこにも接触支持されず、下端部21bを含むケース本体21の周壁面から離間している。櫛歯34の上端は、ケース本体21の上部内面に形成された平坦な天面(受け面)21aに近接する。
図7に示されるように、圧縮板40は、複数の櫛歯34に包囲されたろ過空間内に収まる長方形板状の平板部41と、複数の櫛歯34に凹凸嵌合する周縁部42とを有する。図4及び図5に示されるように、平板部41はフィルタ本体30内に配置されている。櫛歯34の間隙に相当する数の突起(この突起も歯形状である)が、平板部41の一対の側辺部と、後部の短辺部に沿って並んでいる。周縁部42の突起と櫛歯34との間には隙間が存在する。この構成により、圧縮板40はフィルタ本体30内に嵌合すると共に、その嵌合状態が維持されたまま、フィルタ本体30内において第1方向D1に移動可能である。圧縮板40は、その姿勢を保ったまま略平行に移動する。言い換えれば、圧縮板40は、櫛歯34によって可動方向を規制されており、第1方向D1にのみ移動可能である。圧縮板40は、櫛歯34と嵌合する限りにおいて、第1方向D1以外には移動できない。圧縮板40の可動範囲の第1方向D1における距離は、櫛歯34の長さにほぼ相当する。
なお、個々の櫛歯34において、周縁部42との嵌合及び圧縮板40のスライドを滑らかにするテーパ部(面取り部)が設けられてもよい。周縁部42においても、櫛歯34との嵌合及び圧縮板40のスライドを滑らかにするテーパ部(面取り部)が設けられてもよい。
図3及び図4に示されるように、操作部50は、洗濯機1の外側、言い換えれば挿入口27の外側から操作可能である。カバーB(図1参照)を開ければ、使用者は開口2fを介して片手又は両手でフィルタ組立体Aを持つことができる。操作部50は、回転式の着脱レバー51と、着脱レバー51と一体に回転する嵌合・着脱部56とを有する。例えば、扁平な形状の着脱レバー51が左右方向に向くとき、嵌合・着脱部56によってフィルタ組立体Aはケース20に装着及び固定される。使用者によって着脱レバー51が反時計回りに約90度回転させられると、嵌合・着脱部56における嵌合状態が解除され、フィルタ組立体Aをケース20から取り外すことができる。フィルタ組立体Aは、例えば第1方向D1に直交する第2方向D2に沿って取り外される。フィルタ組立体Aの装着時も、上記とは逆の手順で、フィルタ組立体Aはケース20に装着される。第2方向D2も、例えばXZ平面に平行に延びる。
嵌合・着脱部56とケース20の挿入口27との間にはフィルタ本体30のフランジ部33が配置される。フランジ部33と挿入口27との間には、円環状のパッキン28(図7参照)が設けられてもよい。上記の嵌合状態では、嵌合・着脱部56が、フランジ部33及びパッキン28を介して挿入口27を閉鎖する。嵌合・着脱部56、フランジ部33及びパッキン28により、ケース20の水封がなされる。
操作部50は、第2方向D2に押し引き可能な操作レバー53を有する。操作レバー53は、第2方向D2に延びると共に、着脱レバー51の回転中心線Lに沿って配置された軸部53aを含む。操作レバー53は、着脱レバー51内に形成されたガイド部54に沿って直線状に移動する。操作レバー53は、指掛け部53cとガイド部54との嵌合により、回転中心線L周りの回転方向においては着脱レバー51と一体に回転する。しかし操作レバー53の押し引き動作と着脱レバー51の回転動作とは、互いに独立している。操作レバー53の環状の指掛け部53cに人差し指等を入れて操作レバー53を引っ張ることで、操作レバー53は引出し方向Doutに移動する。また操作レバー53をフィルタ本体30内に向けて押し込むことで、操作レバー53は押込み方向Dinに移動する。引出し方向Dout及び押込み方向Dinは第2方向D2に平行であり、回転中心線Lにも平行である。なお、圧縮コイルバネ(バネ部材)65の弾性係数を適宜に調整することにより、使用者が意識せずとも操作レバー53を自然に戻すことができる。このようにすれば、操作レバー53の戻し忘れを防止できる。
フィルタ組立体Aでは、フィルタ本体30内において圧縮板40が昇降することによって異物の脱水が可能となっている。フィルタ組立体Aは、更に、操作レバー53に連結され、操作レバー53の押し引きに応じて第2方向D2に往復運動する往復部材61を備える。往復部材61は圧縮板40に係合している(又は連結されている)。言い換えれば、フィルタ組立体Aは、操作レバー53の押し引きに応じて圧縮板40を第1方向D1に移動させる昇降機構60を備える。本実施形態の排水フィルタ100では、昇降機構60は、カム式の連動機構となっている。
図7に示されるにように、昇降機構60は、平板状の往復部材61と、往復部材61の手前側に形成されて上方に突出する連結壁部62と、往復部材61から斜め方向に延びる互いに平行な4つのカム部材63とを有する。往復部材61は、連結壁部62の嵌合凹部62aに操作レバー53の連結端53bが嵌合する(例えばH形の嵌合)ことにより操作レバー53に連結される(図5も参照)。着脱レバー51の回転に伴い操作レバー53が回転しても、連結端53bは嵌合凹部62a上で空転し、嵌合凹部62aに対する連結端53bの嵌合状態は不変である。すなわち、操作レバー53は、往復部材61(昇降機構60)に対して回転自在に係合する。4つのカム部材63は往復部材61に一体的に形成されており、往復部材61に垂直でかつ第2方向D2に平行な平面内(すなわち第1方向D1と第2方向D2を含む平面内)において、第1方向D1と第2方向D2の何れとも角度をなす第3方向に延びる。4つのカム部材63は、櫛歯34に包囲されたろ過空間内に存在する。各カム部材63は、上記平面に延びる板状をなしており、左右方向(図3に示すY方向)に薄い。図7に示されるように、平板部41には、これら4つのカム部材63に対応して、カム部材63が挿通される4つのカム挿通孔41eが形成されている。各カム挿通孔41eは、上記第3方向から見て長方形状である。
図5に示されるように、往復部材61は、フィルタ本体30の底壁部31と圧縮板40の平板部41との間に配置される。往復部材61は、例えば底壁部31上に形成されたガイド溝に案内されて、第2方向D2に移動可能である。カム部材63の上端は、櫛歯34の上端とほぼ等しい高さに位置しており、上記した天面21aに近接している。昇降機構60の全体は、カム挿通孔41eにカム部材63が挿通され、圧縮板40が可動方向を規制されていることにより、第2方向D2にのみ移動可能である(そのようにカム部材63の第3方向が設定されている)。昇降機構60は、操作レバー53の押し引きに応じて往復部材61が第2方向D2に往復運動することで、圧縮板40を第1方向D1に移動させる。
図5及び図8に示されるように、往復部材61の下面には、昇降機構60の第2方向D2における可動範囲を規制するための機構が設けられている。往復部材61の下面には、左右方向の中央の位置に突起64が設けられている。また底壁部31には、左右方向の中央の位置において、往復部材61が乗る面(接触面)よりも窪むと共に第2方向D2に延びる溝部31gが形成されている。この溝部31gに圧縮コイルバネ65が嵌まり込んでいる。圧縮コイルバネ65は、フィルタ本体30の基端壁部32と昇降機構60の突起64との間に介在されており、往復部材61の移動に伴って伸縮する。
図5に示される状態で、圧縮板40は底壁部31上に接触しており、圧縮板40は初期位置P1に位置する。圧縮コイルバネ65は、突起64に押されて自然長よりも若干圧縮されている。操作レバー53が引出し方向Doutに移動したとき、往復部材61も引出し方向Doutに移動する。突起64が圧縮コイルバネ65のバネ力に抗して引出し方向Doutに移動する。この移動に伴って、図8に示されるように、圧縮板40は上向きDupに移動する(上昇する)。図8に示される状態で、往復部材61の引出し方向Doutへの移動は、底壁部31に設けられた突起等に往復部材61が当接することにより制止される。このとき、圧縮板40は櫛歯34の上端に相当する上限位置P2に位置する。
例えば、第2方向D2に対する第3方向の角度は45°である。この場合、引出し方向Doutにおける操作レバー53のストローク(引張りストローク)と、上向きDupの圧縮板40のストローク(上昇ストローク)は等しくなる。第3方向が45°であると、力の伝達効率がもっとも高くなる。第2方向D2に対する第3方向の角度(カム角度)を大きくすると、操作レバー53のストロークは小さくなるが、力の伝達効率は低下する。
また操作レバー53が押込み方向Dinに戻されたとき、往復部材61も押込み方向Dinに移動する。この移動に伴って、圧縮板40は下向きDdownに移動する(下降する)。上向きDup及び下向きDdownは、第1方向D1に略平行な向きである。圧縮板40は、昇降板と呼ぶこともできる。
このように、昇降機構60には、引出し方向Doutに移動させられた往復部材61を押込み方向Din(逆向き)に付勢する圧縮コイルバネ65が設けられている。昇降機構60による圧縮板40の移動範囲は、櫛歯34の全長(上記した櫛歯34の長さ)の範囲内に規制されている。図9は、図8の斜視図である。圧縮板40が上限位置P2に位置するとき、圧縮板40の周縁部42は櫛歯34の上端に係合している。しかし、圧縮板40はそれ以上は上向きDupに移動する(上昇する)ことができないので、フィルタ本体30から脱落することはない。
このとき、圧縮板40は、ケース本体21の天面21aに近接するか、又は当接する。圧縮板40の上昇に伴い、櫛歯34に引っ掛かった異物は周縁部42によって、カム部材63に引っ掛かった異物は平板部41によって掻き取られ、持ち上げられる。4つのカム部材63により駆動力が伝達されるため、圧縮板40はスムーズにかつ安定して上昇し、異物を掻き取る。異物は、圧縮板40と天面21aとの間に挟まれて脱水される。
なお、図5、図7及び図8に示されるように、基端壁部32には、操作レバー53の連結端53bと連結壁部62(嵌合凹部62a)の嵌合部位を覆うトンネル状のフィルタ内カバー70が設けられている。フィルタ内カバー70は、軸部53a、連結端53b、及び連結壁部62(嵌合凹部62a)を保護する。例えば、ヘアピン等の大きく硬い異物混入があった場合でも、そのような異物による動作不良が未然に防止されている。フィルタ内カバー70に、昇降機構60の移動範囲を規制する機能(制止構造等)を持たせてもよい。またフィルタ内カバー70は、軸部53a周りを封止するOリング53fの抜け防止の機能も有する。Oリング53fとフィルタ内カバー70の間にはOリング押さえ53gが設けられている。フィルタ内カバー70はOリング押さえ53gと当接しており、Oリング53fの抜けを防止している。
使用者は、排水フィルタ100をメンテナンスする際、洗濯機1の停止中にまずカバーBを開ける。開口2fを介して例えば片手を差し込み、操作レバー53を引く。このとき、着脱レバー51は閉位置にある。嵌合・着脱部56はケース20に嵌合され、挿入口27を閉鎖している。フィルタ本体30内では、圧縮板40の上昇により異物が脱水される。脱水された異物は圧縮板40に付着又は固着することが考えられる。使用者は、場合によっては、操作レバー53を押し込み(元に戻し)、圧縮板40を下降させる。このとき、カム部材63が糸屑等を押込み方向Dinに押すため、付着又は固着が解消される。脱水時に生じた水分がフィルタ本体30内に若干量だけ残存するが、糸屑等がその水分を吸い取る(水分が糸屑等に戻る)ため、フィルタ本体30に残存する水の量は減る。
使用者は、着脱レバー51を開位置まで回転させて、フィルタ組立体Aを引き出す(ケース20から取り外す)。このとき、フィルタ組立体Aは、ケース本体21によって案内されながら引出し方向Doutに引き出される。そして使用者がフィルタ組立体Aを逆さに持ち、その状態で操作レバー53を引っ張ると、糸屑等の異物が、4つのカム部材63によって押し出されると同時にその自重により発生する慣性力によって容易に脱落する。あるいは、フィルタ本体30を振って慣性力で糸屑等の異物を脱落させてもよい。なお、着脱レバー51の回転と操作レバー53の押し引きは互いに独立しているので、圧縮板40の位置によらず、フィルタ組立体Aを取り外すことができる。
排水フィルタ100によれば、洗濯水がフィルタ本体30の複数の櫛歯34を通過する際に、異物が捕獲される。メンテナンス時に、使用者が、操作レバー53を操作して圧縮板40を移動させると、圧縮板40がケース内面の天面21aに近接又は当接し、異物が脱水される。このとき、櫛歯34に引っ掛かった異物は周縁部42によって、カム部材63に引っ掛かった異物は平板部41によって掻き取られる。フィルタ本体30をケース20から取り外してフィルタ本体30の天地を逆にした上で、操作レバー53を引張り操作するか又はフィルタ本体30を振ることで、使用者は、できるだけ異物に触れずに異物を廃棄することができる。フィルタ本体30を取り外す前に、操作レバー53を再度操作して圧縮板40を戻すことで、フィルタ本体30内に滞留していた若干量の水分が異物(糸屑等)に吸い込まれる。これにより、フィルタ組立体Aを取り外した後にフィルタ本体30から水が落下する(床などを汚す)不具合を防止することができる。本実施形態の排水フィルタ100によれば、異物の脱水が可能であり、できるだけ異物に触れずに異物を廃棄可能である。
また本実施形態の洗濯機1によれば、フィルタ本体30にヌメリ又は黒カビ等が発生していた場合でも、使用者は、異物に触れることなく異物を廃棄でき、メンテナンス作業が快適になる。糸屑を圧縮・脱水することにより、フィルタ本体30内における糸屑の容積を減らすことで、メンテナンスの頻度を低減することもできる。
昇降機構60によれば、往復部材61とカム部材63が一体で第2方向D2に往復運動することで、圧縮板40を確実かつ容易に移動させることができる。
往復部材61は第2方向D2に移動させられた後に使用者が操作レバーを離すと、操作レバー53及び往復部材61が圧縮コイルバネ65のはたらきによって元に戻る。これにより、操作レバー53の戻し忘れを防止できる。操作レバー53が戻ると同時に圧縮板40も元に戻る。これにより、上記したフィルタ本体30内の水分の吸い取り効果が自動的に得られる。
昇降機構60による圧縮板40の第1方向D1の移動範囲は、複数の櫛歯34の全長の範囲内に規制される。これにより、圧縮板40の周縁部42は常にフィルタ本体30の複数の櫛歯34に嵌合する。言い換えれば、圧縮板40は櫛歯34によって拘束される。よって、圧縮板40がフィルタ本体30から脱落してしまうことを防止できる。
操作レバー53は、第2方向D2に延びると共に着脱レバー51の回転中心線Lに沿って配置された軸部53aを含む。これにより、着脱レバー51の回転位置にかかわらず操作レバー53を操作できる。また操作レバー53の位置にかかわらず着脱レバー51を操作できる。
続いて、図10及び図11を参照して、第2実施形態に係る排水フィルタについて説明する。図10に示される排水フィルタ100Aが先の実施形態に係る排水フィルタ100と違う点は、昇降機構60が、圧縮コイルバネ65に代えてストッパ39を備えた点である。図10(a)及び図10(b)に示されるように、ストッパ39は、底壁部31の一部が切り欠かれることで形成されている。ストッパ39は、底壁部31の左右方向の中央の位置において、往復部材61が乗る面(接触面)と同じ位置か、又は多少下がった位置に設けられている。第2方向D2に延びるストッパ39は、弾性(又は可撓性)を有しており、図10(b)に示される規制位置Paから、図11(b)に示される退避位置Pbへと移動可能(退避可能)である。先端がL字状を呈することで、フィルタ組立体Aが取り出された状態で、使用者の指先がストッパ39に引っ掛かる。ストッパ39は、規制位置Paでは突起64に接触して往復部材61を規制(制止)する。往復部材61が規制される位置は、上記実施形態における圧縮板40の上限位置P2に対応する。ストッパ39は、退避位置Pbでは、突起64の更なる移動を許容する。
この昇降機構60を備えた排水フィルタ100Aによれば、使用者がストッパ39を退避位置Pbへと退避させることで、往復部材61の移動範囲の制限が解除される。これに伴い、圧縮板40のフィルタ本体30に対する嵌合(拘束)が解かれ、図11(a)に示されるように、圧縮板40はフィルタ本体30から離脱可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。
昇降機構60は、カム式の機構に限られず、他の機構が採用されてもよい。例えば、図図12に示される変形例に係る排水フィルタ100Bのように、リンク式の機構が採用されてもよい。図12(a)に示されるように、排水フィルタ100Bの昇降機構60は、操作レバー53に連結された往復部材61と、往復部材61と圧縮板40とを連結し、往復部材61の往復運動を圧縮板40の第1方向D1の移動に変換するリンク機構66と、を有する。
圧縮板40が初期位置P1に位置するとき、リンク部材68は倒れた状態である。例えば、4つの平行なリンク部材68が、平板部41と往復部材61との間に設けられている。各リンク部材68の上連結軸69aは、平板部41の裏面側に設けられた軸受部において回転可能に連結されている。また各リンク部材68の下連結軸69bは、往復部材61の裏面側に設けられた(又は往復部材61の厚みの範囲内に形成された)軸受部において回転可能に連結されている。4つの上連結軸69a及び4つの下連結軸69bは、平板部41及び往復部材61の範囲内における適宜の長方形の頂点の位置に設けられる。なお、各連結軸は、軸受部の方に取り付けられてもよいし、リンク部材68、平板部41、及び往復部材61の何れとも独立し、連結部に組み込まれた軸部品であってもよい。また軸部材が省略され、円盤とそれを径方向外方から保持する嵌合構造であって、周方向に互いに摺動可能な連結構造が採用されてもよい。
4つのリンク部材68の可動空間を確保するため、平板部41の下面(裏面)には、リンク部材68を受け入れる穴部等が設けられてもよい。往復部材61には、リンク部材68を受け入れる凹部又は孔部が設けられてもよい。また底壁部31に、リンク部材68を受け入れる凹部又は孔部が設けられてもよい。
リンク式の昇降機構60によっても、図12(b)に示されるように、圧縮板40の第1方向D1の移動範囲は、複数の櫛歯34の全長の範囲内に規制されている。圧縮板40が上限位置P2に位置するとき、リンク部材68は所定角度で立った状態である。この昇降機構60を備えた排水フィルタ100Bによれば、上記した各実施形態と同様の作用・効果が奏される。またリンク機構66により、圧縮板40を確実かつ容易に移動させることができる。さらにフィルタ本体30内にカム部材63が突出することがないので、フィルタ本体30内において糸屑等を溜める容積を大きく出来る。つまりフィルタ本体30内のろ過空間を異物の除去に最大限活用することができる。よって、フィルタ本体30のお手入れも容易となる。また操作レバー53のストロークを小さくすることも可能である。
リンク式の昇降機構60が採用された排水フィルタ100Bにおいても、圧縮板40を取り外すことができる。圧縮板40をフィルタ本体30内に復帰させる際は、下がった(倒れた)位置にある4つのリンク部材68に対して圧縮板40を圧入できる。圧縮板40を取り外すことで、圧縮板40の下方に糸屑が入り込んで溜まった場合でも、当該糸屑を除去可能である。
上記した各実施形態及び変形例以外に、別の連動機構が採用されてもよい。
排水フィルタ100A又は排水フィルタ100Bの昇降機構60において、往復部材61を押込み方向Dinに付勢する付勢部材等が設けられてもよい。
ケース本体21に対してフィルタ組立体A(フィルタ本体30等)が装着される方向は、第1方向D1である場合に限られず、第1方向D1に交差する方向であってもよい。排水フィルタが傾斜しておらず、水平に設置されていてもよい。
圧縮コイルバネ65を省略し、代わりにカバーB(図1参照)の裏面に突起部を設け、カバーBを閉じたときに突起部が操作レバー53を押し戻す構造を採ってもよい。その場合でも、操作レバー53の戻し忘れを防止できる。また圧縮コイルバネ65が無いため、操作レバー53の引張り力が軽減される。引張り力としては、異物を脱水するための力のみが必要である。
着脱レバーは回転式ではなく、フック等が挿入口27に係合するロック機構を有するレバー、又は、単に挿入口27に嵌入させるタイプのレバーであってもよい。着脱レバーは、ケース20の挿入口27を閉鎖して水封できる構造であればよい。
第1方向D1と第2方向D2とが90度以外の角度をもって交差してもよい。櫛歯34が延びる方向、及び、圧縮板40が移動可能な方向が、往復部材61の移動方向である第2方向D2に対して90度以外の角度をなしてもよい。
本発明がドラム洗濯機以外の洗濯機、例えば縦型洗濯機に適用されてもよい。