JP7574875B2 - 電動機 - Google Patents

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Description

本発明は、電動機に関する。
電動機としては、ロータコアの内部に永久磁石が埋め込まれた埋込磁石型のロータを備えるものが知られている。この種の電動機は、永久磁石の外周側に形成される複数の磁極部が周方向に沿って設けられたロータと、ロータの外周側に配置された複数のティース部及び環状のヨーク部を有するステータと、を備える。
関連技術としては、回転するロータの周方向において、ロータコアの外周面とティース部の内周面との間の空隙(エアギャップ)の大きさを変化させることで、周方向に沿った空隙での磁束密度分布を正弦波に近づけて、トルクリップルを低減する電動機がある(特許文献1)。
特開2021-90351号公報
ここで、永久磁石の個数(磁極部の個数)である極数と、巻き線が巻かれた巻回部の個数に相当するティース部の個数との比率が2:3となる電動機は、ロータの周方向に隣り合うN極磁極部とS極磁極部の組である1つの極対(以後、「一極対」とも言う)の範囲においては、平均して3つのティース部がロータに対向することになる。ここで一例として、一極対の範囲に3つのティース部が対向するとき(ロータの周方向に並ぶ3つのティース部のうちの中央のティース部が、周方向に隣り合う磁極部同士の間の中央とロータの回転中心とを結ぶ直線であるq軸上に位置するとき)にステータとロータの間を循環する磁路が形成された場合において、ロータの周方向に並ぶ3つのティース部のうちの中央のティース部に着目する。この場合、ステータのヨーク部を通過せずにティース部の内周側の端部(鍔部)を経由してN極磁極部からS極磁極部へ至る磁路と、N極磁極部からこのティース部をロータの径方向に縦断した後にヨーク部を経由して隣り合うティース部からS極磁極部へと至る磁路との、2種類の磁路が生じる。このように中央のティース部において2種類の磁路が形成された場合、中央のティース部を通過する磁束は、q軸に対して対称的な分布にはなり得ない。つまり、極数とティース部の個数との比率が2:3となる電動機では、1つの極対をなすN極永久磁石とS極永久磁石において、N極永久磁石とこのN極永久磁石に近接するティース部との間を通過する磁束密度分布と、S極永久磁石とこのS極永久磁石に近接するティース部との間を通過する磁束密分布とが、q軸に対して対称にはならない。
そのため、極数とティース部の個数との比率が2:3、言い換えると、極対の個数(以後、「極対数」とも言う)とティース部の個数との比率が1:3となる3相巻線の集中巻き電動機では、回転するロータの周方向においてロータとステータとの間の空隙での磁束密度分布を正弦波に近づけることが困難であった。この要因としては、例えば、ロータコアの外周面における磁極部の範囲の形状が、磁極部の中央とロータの回転中心とを結ぶ直線であるd軸に対して対称であることが挙げられる。そこで、ロータコアの外周面における磁極部の範囲で形成される空隙の大きさを工夫することで、空隙での磁束密度分布を正弦波に近づけることが考えられる。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、回転するロータの周方向においてロータとステータとの間の空隙での磁束密度分布を正弦波に近づけることができる電動機を提供することを目的とする。
本願の開示する電動機の一態様は、永久磁石が埋め込まれて複数の磁極部が周方向に沿って設けられたロータコアを有するロータと、ロータの外周側に配置された複数のティース部を有するステータと、を備え、磁極部の極対の個数がm個、複数のティース部の個数が3m個であり、ロータコアは、永久磁石の周方向における両端部のそれぞれから連続するように延びる非磁性部を有する電動機であって、ロータの回転中心線に直交する平面において、各磁極部は、ロータの回転中心と一方の非磁性部のロータコアの径方向における外周端とを通る直線である第1境界線と、ロータの回転中心と他方の非磁性部のロータコアの径方向における外周端とを通る直線である第2境界線と、の間における前記外周面に形成された磁極外周面を有し、ロータの回転中心線に直交する平面において、前記周方向における磁極部の中央と、前記回転中心と、を結ぶ直線をd軸とし、前記周方向に隣り合う磁極部同士の間の中央と、前記回転中心と、を結ぶ直線をq軸として、磁極外周面は、d軸に対してロータの回転方向の前方側に位置して複数の曲率半径を有する前方側外周面と、d軸に対して前記回転方向の後方側に位置して複数の曲率半径を有する後方側外周面と、で形成され、前記平面において磁極部をd軸に沿って仮想的に折り返して、前方側外周面を後方側外周面に重ねたとき、前方側外周面は、前記径方向において後方側外周面よりも内側に位置する小径外周面を有する。
本願の開示する電動機の一態様によれば、回転するロータの周方向においてロータとステータとの間の空隙での磁束密度分布を正弦波に近づけることができる。
図1は、実施例1の電動機を示す平面図である。 図2は、実施例1におけるロータを示す平面図である。 図3は、実施例1におけるロータのロータコアの要部を説明するための平面図である。 図4は、実施例1におけるロータコアの一極対を示す拡大図である。 図5は、実施例1におけるロータコアの各磁極部の磁極外周面を示す模式図である。 図6は、実施例1におけるロータコアの磁極外周面の形状を説明するための模式図である。 図7は、比較例のロータコアの要部を説明するための平面図である。 図8は、比較例のロータにおける磁束の分布を示す平面図である。 図9は、比較例のロータを備えた電動機のエアギャップにおけるロータの周方向の磁束密度分布を示す図である。 図10は、実施例1のロータにおける磁束の分布を示す平面図である。 図11は、実施例1のロータの周方向における磁束密度分布を示す図である。 図12は、電動機に生じる振動について実施例1と比較例とで比較して示す図である。 図13は、電動機の周囲で生じる騒音について実施例1と比較例とで比較して示す図である。 図14は、実施例2におけるロータコアの要部を説明するための平面図である。 図15は、実施例2のロータの周方向における磁束密度分布を示す図である。 図16は、変形例のロータコアの要部を示す平面図である。
以下に、本願の開示する電動機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する電動機が限定されるものではない。
(電動機の構成)
図1は、実施例1における電動機を示す平面図である。図2は、実施例1におけるロータを示す平面図である。図1及び図2に示すように、本実施例1の電動機1は、6極9スロットの集中巻型の3相モータである。電動機1は、ロータ21と、ロータ21の外周側に配置されるステータ22と、を備える。
ロータ21は、ケイ素鋼板等の軟磁性体からなる複数の金属板が積層されて形成された円柱状のロータコア23を有しており、複数の金属板は、例えばカシメにより一体化されている。ロータコア23の中心軸には、回転軸としてのシャフト3が挿通されて、シャフト3とロータ21が固定されている。また、ロータコア23には、長穴状の複数の冷媒ガス通路9がロータコア23の軸方向(シャフト3の軸方向)に貫通して設けられており、複数の冷媒ガス通路9がシャフト3の軸まわりに沿って間隔をあけて配置されている。実施例1におけるロータコア23の要部については後述する。
ステータ22は、概ね円筒形に形成されており、ロータ21の外周側を囲むように配置されている。ステータ22は、例えば、不図示の圧縮機の圧縮容器の内部等に固定される。図1に示すように、ステータ22は、ステータコア24と、上インシュレータ25及び下インシュレータ(図示せず)と、複数の巻き線46と、を備える。
図2に示すように、ステータコア24は、ロータコア23の外周面27との間に所定の空隙(エアギャップ)をあけて配置されている。ステータコア24は、環状のヨーク部31から、ロータコア23の径方向の内側へ向かって延びる9つのティース部32が、ステータコア24の周方向において40[度](機械角)の間隔を等間隔にあけて形成されている。各ティース部32には、ステータコア24の内周側に位置する先端から、ステータコア24の周方向の両側に突出する鍔部33が形成されている。各ティース部32は、同一形状に形成されている。各ティース部32には、図1に示すように、各巻き線46が集中巻きで巻回された巻回部45がそれぞれ形成されている。複数の巻き線46は、3つのU相巻き線46-U1~46-U3と、3つのV相巻き線46-V1~46-V3と、3つのW相巻き線46-W1~46-W3と、を有する。また、ステータ22において、各巻回部45から引き出されて一束にまとめられた中性線は、絶縁チューブで覆われて、ステータ22の周方向(ロータ21の回転方向)に隣り合う巻回部45の隙間に挿入されている(図1参照)。上インシュレータ25は、ステータコア24の上端部に固定されている。下インシュレータは、ステータコア24の下端部に固定されている。上インシュレータ25及び下インシュレータは、ステータコア24と巻き線46とを絶縁する絶縁部材である。
図2に示すように、実施例1の電動機1のロータコア23は、永久磁石13a、13b、13c、13d、13e、13f(以下、永久磁石13とも言う。)が埋め込まれる複数の磁石埋込孔12a、12b、12c、12d、12e、12f(以下、磁石埋込孔12とも言う。)を有する。ロータコア23には、6つのスリット状の磁石埋込孔12が、シャフト3を中心として正六角形の各辺をなすように形成されている。各磁石埋込孔12は、ロータコア23の周方向に所定間隔をあけて配置されている。磁石埋込孔12には、板状の永久磁石13が埋め込まれている。なお、ロータコア23の軸方向の両端面には、永久磁石13の抜け止めのための端板が取り付けられているが、ロータコア23の要部を説明するために端板の図示を省略している。この端板は、ロータコア23のリベット穴7に通されるリベット8によってロータコア23に対して固定されている。
上述のようにロータコア23には、永久磁石13が埋め込まれることで6つの磁極部11、すなわち3つのN極磁極部11Nと3つのS極磁極部11Sが、ロータコア23の周方向に沿って交互に設けられている。N極磁極部11N及びS極磁極部11S(以下、磁極部11とも言う。)は、永久磁石13を含み、ロータコア23の径方向において永久磁石13の外周側部分(永久磁石13とロータコア23の外周面27との間の部分)である。また、各磁極部11には、板状の永久磁石13が、永久磁石13の厚さ方向が後述のd軸Dに沿うように配置されている。
そして、本願の開示する電動機は、自然数をmとして、磁極部11(N極磁極部11NとS極磁極部11S)がなす極対の個数がm個、複数のティース部32の個数が3m個である。また、磁極部11の個数、すなわち極数は、2m個である。実施例1の電動機1は一例として、極数が6個、極対の個数が3個、ティース部32の個数が9個である。
また、ロータ21の回転中心(ロータコア23の回転中心)Oを通る回転中心線に対して直交する平面(以下、直交平面とも言う。)において、ロータ21の周方向における磁極部11の中央(永久磁石13の中央)と、回転中心Oとを結ぶ直線をd軸Dとし、ロータ21の周方向に隣り合う磁極部11同士の間の中央と、回転中心Oとを結ぶ直線をq軸Qとする。回転中心Oを通る回転中心線は、シャフト3の軸方向に沿うシャフト3の中心線と一致する。ロータコア23は、ロータコア23の周方向に等間隔で回転中心Oから放射状に延びる複数のd軸Dと、ロータコア23の周方向に等間隔で回転中心Oから放射状に延びる複数のq軸Qと、を有する。
図3は、実施例1におけるロータ21のロータコア23の要部を説明するための平面図である。図2及び図3に示すように、ロータコア23は、複数の非磁性部14a~14f、15a~15f(以下、非磁性部14、15と称する。)と、複数の溝部16、17と、非磁性部14、15と溝部16、17との間に形成された複数のブリッジ部18と、を有する。ここでは、磁石埋込孔12の両端側に形成された非磁性部14、15のうち、一方の非磁性部である第1非磁性部14(14a~14f)がロータ21の回転方向Rの前方側に位置し、他方の非磁性部である第2非磁性部15(15a~15f)が回転方向Rの後方側に位置するものとする。なお、ロータコア23の周方向におけるロータコア23の外周面27の形状の詳細については後述する。
ロータコア23は、ロータコア23の周方向における永久磁石13の両端から連続するように、ロータコア23の径方向の外側に向かって、すなわちロータコア23の外周面27に向かって延びる非磁性部(フラックスバリア)14、15を有する。非磁性部14、15は、磁石埋込孔12に連続する空間部として形成されており、隣り合う磁極部11同士の間においてステータ22のヨーク部31を通過せずにティース部32の鍔部33を経由して磁極部11同士を循環する磁路が生じるのを非磁性部14、15によって防いでいる。言い換えると、ロータコア23には、ロータコア23の軸方向に貫通する貫通孔が形成されており、貫通孔において永久磁石13によって埋まる領域が磁石埋込孔12であり、貫通孔において永久磁石13によって埋まらない領域が空間部である非磁性部14、15である。
ロータコア23の外周面27には、ロータコア23の周方向に隣り合う磁極部11同士の間に、外周面27の一部がロータコア23の径方向に切り欠かれて窪んだ溝部16、17が、ロータコア23の回転中心線に沿って形成されている。言い換えると、溝部16、17は、ロータコア23の周方向において、隣り合う非磁性部14、15の間に位置しており、q軸Q上に配置されている。実施例1における溝部16、17の内面形状の詳細については後述する。
(ロータコアの特徴的な構造)
次に、実施例1におけるロータコア23の特徴的な構造について説明する。実施例1の特徴には、ロータコア23の周方向におけるロータコア23の外周面27の形状が含まれる。
(一極対外周面の形状)
図1~図3に示すように、ロータ21の回転中心線に直交する平面(図面の紙面である直交平面。以下、直交平面とも称する。)において、ロータコア23の外周面27のうち、1つの極対である一極対を形成する範囲のロータコア23の外周面27を、一極対外周面28とする。また、直交平面において、磁極部11(N極磁極部11NとS極磁極部11Sの組)がなす極対の個数をm個(mは自然数)とする。このとき、直交平面におけるロータコア23の外周面27の全体の形状は、1つの一極対外周面28の形状がロータコア23の周方向に対してm回繰り返されることで形成されている。つまり、直交平面において、m個の一極対外周面28のそれぞれは、ロータ21の回転中心Oに対して互いに回転対称となるように形成されている。言い換えれば、直交平面において、後述するq軸Qを基準としてロータコア23の外周面27を周方向にm等分したそれぞれが一極対外周面28であり、m個の一極対外周面28のそれぞれは互いに同じ形状である。これにより、ロータコア23とこのロータコア23に径方向で対向するステータコア24とで形成される磁束の経路も周期的にm回繰り返されることとなる。その結果、機械角で360/m[度]毎に、電気角では360[度]毎に、同じ磁束密度分布が周期的に繰り返されるため、ロータコア23が1回転する間で磁束密度分布が不規則に変動することで振動が増大してしまうのを、抑制できる。例えば、実施例1のロータコア23の外周面27は、ロータコア23の全周において、一極対外周面28が3回繰り返して形成されている。
ここで、上述の直交平面において、非磁性部(第1非磁性部14、第2非磁性部15)の内周面のうち、ロータコア23の径方向で最も外周側に位置する箇所を外周端14E、15Eとする。また、ロータ21の回転中心Oと第1非磁性部14のロータコア23の径方向における外周端14Eとを通る直線を、第1境界線B1とする。また、ロータ21の回転中心Oと第2非磁性部15のロータコア23の径方向における外周端15Eを通る直線を第2境界線B2とする。このとき、ロータコア23の各磁極部11の外周面27は、1つの磁極部11を通過する2つの境界線(第1境界線B1と第2境界線B2)の間の範囲に形成された磁極外周面29を有する。
したがって、一極対外周面28は、ロータコア23の外周面27の周方向において、図3、図4に示すように、溝部17においてq軸Qを基準として回転方向Rの前方側に位置する溝部分の内面と、溝部17に対して回転方向Rの前方側に位置するN極磁極部11Nの磁極外周面29(以下、N極外周面29Nとも言う。)と、N極外周面29Nに対して回転方向Rの前方側に位置する1つの溝部16の内面と、溝部16に対して回転方向Rの前方側に位置するS極磁極部11Sの磁極外周面29(以下、S極外周面29Sとも言う。)と、S極磁極部11Sに対して回転方向Rの前方側に位置する他の溝部17においてq軸Qを基準として回転方向Rの後方側に位置する溝部分の内面と、を含む一極対の範囲である。1つの磁極外周面29(N極外周面29NまたはS極外周面29S)は、外周面27における、周方向に隣り合う2つのq軸Qの間に位置する外周面27の範囲のうち、溝部16、17を含まない磁極部11の範囲である。言い換えれば、各磁極外周面29(N極外周面29N及びS極外周面29S)はそれぞれ、外周面27の周方向で、1つの磁極部11を通過する2つの境界線(第1境界線B1、第2境界線B2)の間の範囲に形成された部分である。
図4は、実施例1におけるロータコア23の一極対を示す拡大図である。図3及び図4に示すように、直交平面において、N極磁極部11NのN極外周面29NとS極磁極部11SのS極外周面29Sは、N極磁極部11NとS極磁極部11Sのいずれか一方の磁極部をロータ21の回転中心Oまわりに60[度]、仮想的に回転させて、N極磁極部11NとS極磁極部11Sの他方の磁極部に重ねたときに互いに一致しない形状に形成されている。なお、仮想的に回転させる対象となる磁極部は、N極磁極部11NとS極磁極部11Sのどちらの磁極部でもよい。また、回転中心Оまわりに回転させる方向は、時計回りと反時計回りのどちらの方向でもよい。ここでは、N極磁極部11Nを反時計回りに60[度]仮想的に回転させてS極磁極部11Sに重ねたと仮定して説明する。
従来のロータコア(後述する比較例を示す図7参照)では一般的に、隣り合う磁極部(S極磁極部とN極磁極部)同士において、各磁極部の磁極外周面を含む一極対外周面の形状が、q軸Qに対して対称な形状である。そのため、1つの極対をなすN極永久磁石とS極永久磁石において、N極永久磁石とこのN極永久磁石に近接するティース部との間を通過する磁束密度分布と、S極永久磁石とこのS極永久磁石に近接するティース部との間を通過する磁束密分布とが、q軸Qに対して対称にはならない。
これに対して、実施例1におけるロータコア23は、1つの一極対外周面28に着目したとき、この一極対外周面28がq軸Qに対して互いに異なる形状に形成されることにより、1つの極対をなすN極永久磁石13とS極永久磁石13において、N極永久磁石13とこのN極永久磁石13に近接するティース部32との間を通過する磁束密度分布と、S極永久磁石13とこのS極永久磁石13に近接するティース部32との間を通過する磁束密分布とを、q軸Qに対して対称に近づけることが可能になる。そのため、一極対外周面28の範囲においてロータコア23とティース部32との間に形成される空隙(エアギャップ)の位置における磁束密度分布(空隙位置における径方向への磁束密度[T]を周方向に亘って測定または解析したもの)を更に正弦波に近づけることができる。
例えば、実施例1では、ロータ21の回転中心Oからロータコア23の外周面27までの距離が変化する径変化領域A3(後述)の曲率半径rが、N極外周面29Nの径変化領域A3とS極外周面29Sの径変化領域A3とでそれぞれ異なる。これにより、一極対外周面28がq軸Qに対して互いに異なる形状を、容易に実現できる。
なお、N極磁極部11N及びS極磁極部11Sの一方の磁極部11を他方の磁極部11に重ねるときに一方の磁極部11を仮想的に回転させる回転中心Oまわりの回転角度は、360/(2m)[度]である。(極対の個数をm個とする。)また、以下の説明において、ロータ21の回転中心Oまわりに仮想的に回転させる場合の回転角度についても360/(2m)[度]である。例えば、実施例1では、極対の個数がm=3であるため、N極磁極部11Nをロータ21の回転中心Oまわりに仮想的に回転させてS極磁極部11Sに重ねるとき、回転角度は360/6=60[度]である。
(磁極外周面の形状)
図5は、実施例1におけるロータコア23の各磁極部11の磁極外周面29を示す模式図である。図6は、実施例1におけるロータコア23の磁極外周面29の形状を説明するための模式図である。
図5及び図に6示すように、直交平面において、N極磁極部11NのN極外周面29Nが、このN極磁極部11Nにおけるd軸DであるN極d軸DNに対して非対称な形状に形成されており、S極磁極部11SのS極外周面29Sが、このS極磁極部11Sにおけるd軸であるS極d軸DSに対して非対称な形状に形成されている。
このように、各磁極部11の範囲に形成される磁極外周面29の形状を工夫することで、1つの極対をなすN極永久磁石13とS極永久磁石13において、N極永久磁石13とこのN極永久磁石13に近接するティース部32との間を通過する磁束密度分布と、S極永久磁石13とこのS極永久磁石13に近接するティース部32との間を通過する磁束密分布とを、q軸Qに対して更に対称に近づけることが可能になる。そのため、上述した一極対外周面28の形状の工夫によって得られる効果に加えて、一極対外周面28の範囲においてロータコア23とティース部32との間に形成される空隙(エアギャップ)での磁束密度分布を正弦波に更に近づけることができる。
(N極外周面の形状)
具体的には、N極磁極部11NのN極外周面29Nは、図5に示すように、N極d軸DNに対してロータ21の回転方向Rの前方側に位置するN極前方側外周面29N-Fと、N極d軸DNに対して回転方向Rの後方側に位置するN極後方側外周面29N-Rと、を有する。
図6は、ロータコア23の直交平面において磁極部11をd軸Dに沿って仮想的に折り返して、前方側外周面29―Fを後方側外周面29-Rに仮想的に重ねた図である。ここではN極磁極部11Nを仮想的に折り返した場合について説明する。図6に示すように、ロータコア23の直交平面においてN極磁極部11NをN極d軸DNに沿って仮想的に折り返して重ねたとき、N極前方側外周面29N-Fは、ロータコア23の径方向においてN極後方側外周面29N-Rよりも内側に位置する小径外周面34を有している。一方、N極後方側外周面29N-Rは、ロータコア23の径方向においてN極前方側外周面29N-Fよりも内側に位置する部分を有しない。言い換えると、N極前方側外周面29N-Fは、N極後方側外周面29N-Rと重なる部分(重複外周面35)と、N極後方側外周面29N-Rよりも内周側に位置する部分(小径外周面34)と、のみを有する。そして、N極後方側外周面29N-Rの方から見た場合、N極後方側外周面29N-Rは、N極前方側外周面29N-Fと重なる部分(重複外周面35)と、N極前方側外周面29N-Fよりも外周側に位置する部分(大径外周面36)と、のみを有する。
(S極外周面の形状)
また、上述したN極磁極外周面29Nと同様に、図5に示すように、S極磁極部11SのS極外周面29Sは、S極d軸DSに対してロータ21の回転方向Rの前方側に位置するS極前方側外周面29S-Fと、S極d軸DSに対して回転方向Rの後方側に位置するS極後方側外周面29S-Rと、を有する。
S極磁極部11Sを仮想的に折り返した場合について説明する。図6に示すように、ロータコア23の直交平面においてS極磁極部11SをS極d軸DSに沿って仮想的に折り返して重ねたとき、S極前方側外周面29S-Fは、ロータコア23の径方向においてS極後方側外周面29S-Rよりも内側に位置する小径外周面34を有している。一方、S極後方側外周面29S-Rは、ロータコア23の径方向においてS極前方側外周面29S-Fよりも内側に位置する部分を有しない。言い換えると、S極前方側外周面29S-Fは、S極後方側外周面29S-Rと重なる部分(重複外周面35)と、S極後方側外周面29S-Rよりも内周側に位置する部分(小径外周面34)と、のみを有する。そして、S極後方側外周面29S-Rの方から見た場合、S極後方側外周面29S-Rは、S極前方側外周面29S-Fと重なる部分(重複外周面35)と、S極前方側外周面29S-Fよりも外周側に位置する部分(大径外周面36)と、のみを有する。
(N極外周面とS極外周面との関係)
また、図3及び図4に示すように、直交平面において、N極後方側外周面29N-RとS極後方側外周面29S-Rは、ロータ21の回転中心Oまわりに仮想的に回転させてN極磁極部11NとS極磁極部11Sとを重ねたときに互いに一致しない形状に形成されている。
具体的には、ロータコア23の直交平面において、N極後方側外周面29N-Rをロータ21の回転中心Oまわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させてS極後方側外周面29S-Rに重ねたとき、S極後方側外周面29S-Rは、ロータコア23の径方向においてN極後方側外周面29N-Rよりも内側に位置する小径外周面34(図3参照)を有し、かつ、N極後方側外周面29N-Rは、ロータコア23の径方向においてS極後方側外周面29S-Rよりも内側に位置する部分を有しない。言い換えると、S極後方側外周面29S-Rは、N極後方側外周面29N-Rと重なる部分(重複外周面35)と、N極後方側外周面29N-Rよりも内周側に位置する部分(小径外周面34)と、のみを有する。N極後方側外周面29N-Rは、S極後方側外周面29S-Rと重なる部分(重複外周面35)と、S極後方側外周面29S-Rよりも外周側に位置する部分(大径外周面36)と、のみを有する。
あるいは、これとは逆に、ロータコア23の直交平面において、N極後方側外周面29N-Rをロータ21の回転中心Oまわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させてS極後方側外周面29S-Rに重ねたとき、N極後方側外周面29N-Rは、ロータコア23の径方向においてS極後方側外周面29S-Rよりも内側に位置する小径外周面(図示せず)を有し、かつ、S極後方側外周面29S-Rは、ロータコア23の径方向においてN極後方側外周面29N-Rよりも内側に位置する部分を有しなくてもよい。言い換えると、N極後方側外周面29N-Rは、S極後方側外周面29S-Rと重なる部分(重複外周面35)と、S極後方側外周面29S-Rよりも内周側に位置する部分(小径外周面34)と、を有するように形成されてもよい。S極後方側外周面29S-Rは、N極後方側外周面29N-Rと重なる部分(重複外周面35)と、N極後方側外周面29N-Rよりも外周側に位置する部分(大径外周面36)と、のみを有するように形成されてもよい。
例えば、実施例1では、ロータ21の回転中心Oからロータコア23の外周面までの距離が変化する径変化領域A3の曲率半径rが、N極外周面29Nの径変化領域A3とS極外周面29Sの径変化領域A3とで互いに異なる。これにより、N極磁極部11NとS極磁極部11Sのいずれか一方の磁極部をロータ21の回転中心Oまわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させて、N極磁極部11NとS極磁極部11Sのいずれか他方の磁極部に重ねたときに互いに一致しない形状を、容易に実現できる。
また同様に、ロータコア23の直交平面において、N極前方側外周面29N-FとS極前方側外周面29S-Fは、ロータ21の回転中心Oまわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させてN極磁極部11NとS極磁極部11Sとを重ねたときに互いに一致しない形状に形成されている(図3参照)。
具体的には、ロータコア23の直交平面において、N極前方側外周面29N-Fをロータ21の回転中心Oまわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させてS極前方側外周面29S-Fに重ねたとき、S極前方側外周面29S-Fは、ロータコア23の径方向においてN極前方側外周面29N-Fよりも内側に位置する小径外周面34(図3参照)を有し、かつ、N極前方側外周面29N-Fは、ロータコア23の径方向においてS極前方側外周面29S-Fよりも内側に位置する部分を有しない。言い換えると、S極前方側外周面29S-Fは、N極前方側外周面29N-Fと重なる部分(重複外周面35)と、N極前方側外周面29N-Fよりも内周側に位置する部分(小径外周面34)と、のみを有する。N極前方側外周面29N-Fは、S極前方側外周面29S-Fと重なる部分(重複外周面35)と、S極前方側外周面29S-Fよりも外周側に位置する部分(大径外周面36)と、のみを有する。
あるいは、これとは逆に、ロータコア23の直交平面において、N極前方側外周面29N-Fをロータ21の回転中心Oまわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させてS極前方側外周面29S-Fに重ねたとき、N極前方側外周面29N-Fは、ロータコア23の径方向においてS極前方側外周面29S-Fよりも内側に位置する小径外周面(図示せず)を有し、かつ、S極前方側外周面29S-Fは、ロータコア23の径方向においてN極前方側外周面29N-Fよりも内側に位置する部分を有しなくてもよい。言い換えると、N極前方側外周面29N-Fは、S極前方側外周面29S-Fと重なる部分(重複外周面35)と、S極前方側外周面29S-Fよりも内周側に位置する部分(小径外周面34)と、を有するように形成されてもよい。S極前方側外周面29S-Fは、N極前方側外周面29N-Fと重なる部分(重複外周面35)と、N極前方側外周面29N-Fよりも外周側に位置する部分(大径外周面36)と、のみを有するように形成されてもよい。
例えば、実施例1では、ロータ21の回転中心Oからロータコア23の外周面までの距離が変化する径変化領域A3の曲率半径rが、N極外周面29Nの径変化領域A3とS極外周面29Sの径変化領域A3とで互いに異なる。これにより、N極磁極部11NとS極磁極部11Sのいずれか一方の磁極部をロータ21の回転中心Oまわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させて、N極磁極部11NとS極磁極部11Sのいずれか他方の磁極部に重ねたときに互いに一致しない形状を、容易に実現できる。
直交平面において、ロータコア23の磁極外周面29は、図3に示すように、d軸Dから溝部16、17に近づくに従って、ロータ21の回転中心Oからの距離が徐々に小さくなるように形成されている。
具体的には、ロータコア23の直交平面において、ロータコア23の磁極外周面29の各々は、図3に示すように、d軸D上の位置でロータ21の回転中心Oからの距離(半径)が最大の外径Lとなる。また、直交平面において、N極磁極部11NのN極外周面29NとS極磁極部11SのS極外周面29Sは、d軸D上の位置で回転中心Oからの距離、すなわち外径Lが等しくなる。
また、ロータコア23の外周面27は、q軸Qが溝部16を通るように溝部16の内面16aが形成された溝部領域A1と、q軸Qが溝部17を通るように溝部17の内面17aが形成された溝部領域A1と、を有する。ここで、溝部領域A1は、例えば、直交平面において、溝部16(溝部17)の内面16a(内面17a)に接する接線(図示せず)とq軸Qとが、溝部16(溝部17)の内側でなす角度が45[度]以下になる領域である。言い換えると、直交平面において、径変化領域A3は、溝部16(溝部17)側の一端に接する接線とq軸Qとが、溝部16(溝部17)の内側でなす角度が45[度]を超える領域である。
図3及び図5に示すように、磁極外周面29は、d軸Dが通る位置に形成されてロータ21の回転中心Oからの距離が一定の径一定領域A2と、溝部領域A1と径一定領域A2との間に形成されてロータ21の回転中心Oからの距離が変化する径変化領域A3と、を有する。径一定領域A2は、回転中心Oからの最大曲率半径rmとなる曲率半径で形成される最大曲率半径領域である。径変化領域A3は、径一定領域A2における回転中心Oからの最大曲率半径rmよりも小さい複数の曲率半径で形成されている。
図3では、径一定領域A2のうち、N極磁極部11N側を径一定領域An2とすると共に、この径一定領域An2のうち、回転方向Rの前方側を径一定領域An2―F、回転方向Rの後方側を径一定領域An2―Rとする。同様に、径一定領域A2のうち、S極磁極部11S側を径一定領域As2とすると共に、この径一定領域As2のうち、回転方向Rの前方側を径一定領域As2―F、回転方向Rの後方側を径一定領域As2―Rとする。
径変化領域A3を形成する複数の曲率半径は、溝部16、17に近づくに従って曲率半径rが徐々に小さくなる。ここでは説明の単純化のために、N極前方側外周面29N-Fの径変化領域A3を形成する曲率半径の組合せと、N極後方側外周面29N-Rの径変化領域A3を形成する曲率半径の組合せとが、それぞれ等しいものとして説明する。すなわち、前方側径変化領域A3-Fの第1曲率半径r1-Fと、後方側径変化領域A3-Rの第1曲率半径r1-Rとは、r1-F=r1-R=r1とし、前方側径変化領域A3-Fの第2曲率半径r2-Fと、後方側径変化領域A3-Fの第2曲率半径r2-Rとは、r2-F=r2-R=r2とする。一例として径変化領域A3は、最大曲率半径rmよりも小さい第1曲率半径r1で形成された第1領域A3-1と、第1曲率半径r1よりも小さい第2曲率半径r2で形成された第2領域A3-2と、を有する。径変化領域A3には、径一定領域A2から溝部領域A1に向かって、第1領域A3-1、第2領域A3-2の順に連続して形成されている。なお、実施例1では、第1曲率半径r1と第2曲率半径r2の大きさの差が比較的小さいため、第1領域A3-1と第2領域A3-2とが滑らかに連続している。各曲率半径r(r1、r2)の中心Or(Or1、Or2)は、曲率半径が小さくなるに従ってロータコア23の外周面27に近づくように配置されている。なお、複数の曲率半径の種類は、2種類に限定されない。
図3では、前方側径変化領域A3-Fの第2曲率半径r2-Fのうち、N極磁極部11N側を第2曲率半径rn2-Fとし、S極磁極部11S側を第2曲率半径rs2-Fとする。同様に、後方側径変化領域A3-Rの第2曲率半径r2-Rにうち、N極磁極部11N側を第2曲率半径rn2-Rとし、S極磁極部11S側を第2曲率半径rs2-Rとする。なお、図3では、第1曲率半径r1の図示を省略する。
また、径一定領域A2は、図5に示すように、d軸Dに対してロータ21の回転方向Rの前方側に位置する前方側一定領域A2-Fと、d軸Dに対して回転方向Rの後方側に位置する後方側一定領域A2-Rと、を有する。前方側一定領域A2-Fの周方向の長さは、後方側一定領域A2-Rの周方向の長さよりも小さい。これにより、各磁極外周面29において、前方側外周面29-Fの範囲で形成される空隙(エアギャップ)がq軸Qに向かうに従って徐々に大きくなると共に、後方側外周面29-Rの範囲で形成される空隙(エアギャップ)がq軸Qに向かうに従って徐々に大きくなる比率を、前方側外周面29―Fの範囲で形成される空隙(エアギャップ)がq軸Qに向かうにしたがって徐々に大きくなる比率よりも、小さくする形状を容易に得られる。すなわち、前方側一定領域A2-Fが、後方側一定領域A2-Rよりも小さいことにより、各直交平面においてN極磁極部11NをN極d軸DNに沿って仮想的に折り返して、N極前方側外周面29N-FをN極後方側外周面29N-Rに重ねたとき、N極前方側外周面29N-Fは、ロータコア23の径方向においてN極後方側外周面29N-Rよりも内側に位置する小径外周面34を有し、かつ、N極後方側外周面29N-Rは、ロータコア23の径方向においてN極前方側外周面29N-Fよりも内側に位置する部分を有しないという形状を、容易に得ることができる。
また、実施例1では、図5に示すように、d軸Dに対してロータ21の回転方向Rの前方側に位置する前方側径変化領域A3-Fは、d軸Dに対して回転方向Rの後方側に位置する後方側径変化領域A3-Rよりも大きい。これにより、各磁極外周面29において、前方側外周面29-Fの範囲で形成される空隙が徐々に大きくすると共に、後方側外周面29-Rの範囲で形成される空隙が徐々に大きくなる比率を、前方側外周面29―Fよりも小さくする形状を容易に得られる。
なお、説明の単純化のために、N極前方側外周面29N-Fの前方側径変化領域A3-Fを形成する複数の曲率半径の組合せと、N極後方側外周面29N-Rの径変化領域A3-Rを形成する複数の曲率半径の組合せとが、それぞれ等しいものとして説明したが、前方側径変化領域A3-Fと後方側径変化領域A3-Rは、複数の曲率半径の組合せが互いに異なっていてもよい。例えば、前方側径変化領域A3-F(As3-F)の第1曲率半径r1-Fと、後方側径変化領域A3-R(As3-R)の第1曲率半径r1-Rとが、互いに異なっていてもよい。同様に、前方側径変化領域A3-F(As3-F)の第2曲率半径r2-F(rs2-F)と、後方側径変化領域A3-R(As3-R)の第2曲率半径r2-R(rs2-R)とが、互いに異なっていてもよい。
(溝部の内面形状)
図3に示すように、ロータコア23の直交平面において、溝部16の内面16aの形状は、q軸Qに対して非対称に形成されている。同様に、溝部17の内面17aの形状は、q軸Qに対して非対称に形成されている。また、ロータコア23の外周面27には、溝部16と溝部17がロータコア23の周方向に沿って交互に配置されている。直交平面において、ロータコア23の周方向に隣り合う溝部16の内面16aと溝部17の内面17aの形状は互いに異なる。このような溝部16、17の内面16a、17aの形状は、内面16a、17aを各磁極外周面29の径変化領域A3と滑らかに連続させた結果として形成されている。
(非磁性部の形状)
S極磁極部11Sが有する2つの非磁性部(第1非磁性部14、第2非磁性部15)は、このS極磁極部11Sにおけるd軸であるS極d軸DSに対して互いに非対称な形状に形成されている。N極磁極部11Nが有する2つの非磁性部(第1非磁性部14、第2非磁性部15)は、このN極磁極部11Nにおけるd軸であるN極d軸DNに対して互いに非対称な形状に形成されている。また、N極磁極部11Nが有する2つの非磁性部14、15と、S極磁極部11Sが有する2つの非磁性部14、15は、ロータ21の回転中心Oまわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させてN極磁極部11NとS極磁極部11Sとを重ねたときに互いに一致しない形状に形成されている。
具体的には、ロータコア23の直交平面において、N極磁極部11NとS極磁極部11Sが有する4つの非磁性部14、15は、形状が互いに異なる。例えば、図3に示すように、ロータコア23の周方向に隣り合う磁極部11(N極磁極部11NとS極磁極部11S)における4つ非磁性部14a、15a、14b、15bの形状が互いに異なる。これは、磁極外周面29の形状と溝部16、17の形状とに合わせて、各非磁性部14、15を大きく確保することと、ブリッジ部18の機械的強度を適正に確保することとを両立させる結果として形状が互いに異なっている。よって、ロータコア23によれば、磁極外周面29を含む一極対外周面28による磁束密度分布の調整と、非磁性部14、15による磁束の流れの調整と、ブリッジ部18の機械的強度の確保と、をそれぞれ適切に得ることができる。
また、ロータコア23において各リベット穴7の中心は、各q軸Q上に位置している。図示しないが、ロータコア23の各磁極部11は、2つの非磁性部14,15を有する構造に限定されず、例えば、磁石埋込孔12と磁極外周面29との間において、各非磁性部14、15のd軸D側に隣り合うように、更に他の非磁性部(空間部)が設けられてもよい(後述する比較例を示す図8参照)。
(実施例1と比較例との比較)
上述した実施例1と比較する比較例について説明する。図7は、比較例のロータコアの要部を説明するための平面図である。図7に示すように、比較例のロータコア101は、一極対の範囲の一極対外周面128がq軸Qに対して対称形状に形成されている点で、実施例1と異なる。また、比較例のロータコア101は、各磁極部11の磁極外周面129がd軸Dに対して対称形状に形成されている点で、実施例1と異なる。さらに、比較例のロータコア101の外周面127は、溝部102が形成される範囲と、この溝部102の範囲におけるq軸Q上に突起部103が形成されている点とが、実施例1と異なる。
図8は、比較例のロータにおける磁束の分布(磁束線図)を示す平面図である。図8において、ロータの回転方向R(反時計回り)に対して機械角が0[度]から120[度]までの範囲を示している。図8に示す実験モデルでは、ロータコア101の冷媒ガス通路9を省略している。図8は、ロータの回転方向Rに対してN極磁極部11N、S極磁極部11Sの順に並んでおり、ロータの周方向に並ぶ3つのティース部32のうちの中央のティース部32が、60[度]に位置するq軸Q上に位置している状態を示している。
図8に示すように、中央のティース部32はその周方向の中心がq軸Q上に位置するものの、中央のティース部32では、N極磁極部11Nから中央のティース部32に流れた磁束がヨーク部31を通過せずに鍔部33を経由して、隣り合うS極磁極部11Sへ流れる磁路が生じており、この磁路における磁束の分布がq軸Qに対して非対称となることが顕著に現れている。
図9は、比較例のロータを備えた電動機のエアギャップにおけるロータの周方向の磁束密度分布を示す図である。図9において、縦軸が径方向の磁束密度[T]を示し、横軸がロータの周方向に対する機械角[度]を示す。図9において、理想的な正弦波を実線で示し、比較例を破線で示す。図9は、図8における機械角が0[度]から120[度]までの範囲において、比較例のロータコア101の一極対外周面128と各ティース部32との間の空隙(エアギャップ)での磁束密度分布を示している。
図9に示すように、比較例の磁束密度分布は、0[度]近傍、60[度]近傍、120[度]近傍の各位置で、理想的な正弦波からのずれの大きさ(歪み)が大きくなっている。そのため比較例では、ロータに作用する磁束が滑らかに変化せず、ロータの径方向に生じる加振力が大きくなりやすい。また、電動機をベクトル制御する際の基準となる磁束密度が0(ゼロ)[T]となる点が、理想的な正弦波では0[度]、60[度]、120[度]に現れるのに対し、比較例のロータを備えた電動機では、磁束密度が0(ゼロ)[T]となる点が、特に0[度]、60[度]からは3~5[度]程離れた機械角で現れている。そのため、比較例のロータを備えた電動機では、ロータの周方向の磁束密度分布が理想的な正弦波から離れること、特に、N極磁極部11NとS極磁極部11Sの組がなす極対の個数をm個としたとき、磁束密度が0[T]となる点がロータコア101の周方向で360/(2m)[度]の倍数となる角度から離れた機械角で現れることで、ロータの回転制御を適正化することができない。その結果、比較例のロータを備えた電動機は、ロータの径方向に生じる振動が十分に低減できない。なお、ロータの周方向においてティース部32同士の間の開口部となる40[度]、80[度]の位置近傍では、磁束密度が急激に低下する結果として、磁束密度分布が理想的な正弦波から大きくずれる。
図10は、実施例1のロータ21における磁束の分布(磁束線図)を示す平面図である。図10において、ロータ21の回転方向Rに対して機械角が0[度]から120[度]までの範囲を示している。図10に示す実験モデルでは、ロータコア23の冷媒ガス通路9を省略している。図10は、ロータ21の回転方向Rに対してU相ティース部32U、V相ティース部32V、W相ティース部32Wの順に並んでおり、U相ティース部32UとV相ティース部32VがN極磁極部11NのN極外周面29Nに対向する共に、V相ティース部32VとW相ティース部32WがS極磁極部11SのS極外周面29Sに対向する状態を示している。この状態を一例として、ロータ21における磁束の流れを説明する。
図10に示すように、実施例1では、U相ティース部32Uについて、ロータコア23のN極後方外周面29N-Rのq軸Q近傍(径変化領域A3)でのロータコア23の外径をq軸Q側に向かって徐々に小さくし、N極後方外周面29N-RとU相ティース部32Uの鍔部33との空隙が大きくされている。これにより、N極後方外周面29N-Rのq軸Q近傍での磁気抵抗を上げて、N極後方外周面29N-Rからの磁束の漏れを抑え、N極後方外周面29N-RからU相ティース部32Uへ向けて磁束を効果的に流し、磁束の流れがスムーズにされている。
次に、実施例1では、V相ティース部32Vについて、ロータコア23のN極前方外周面29N-Fのq軸Q近傍でのロータコア23の外径がq軸Qに向かって小さくなる比率が、N極後方外周面29N-Rのq軸Q近傍よりも増やされている。これにより、N極前方外周面29N-Fのq軸Q近傍でのV相ティース部32Vに向かう磁束の流れを調整し、N極前方外周面29N-FからV相ティース部32Vに流れた磁束がヨーク部31を通過せずにV相ティース部32Vの鍔部33を経由して、隣り合うS極磁極部11Sへ流れる磁路が生じることが抑えられている。
また、V相ティース部32Vでは、V相ティース部32Vの鍔部33からS極磁極部11Sへ向かう磁束が少ないので、S極後方外周面29S-Rのq軸Q近傍におけるロータコア23の外径を、S極前方外周面29S-Fのq軸Q近傍よりも大きくし、かつ、緩やかに小さくしている。
次に、実施例1では、W相ティース部32Wについて、ロータコア23のS極前方外周面29S-Fのq軸Q近傍でのロータコア23の外径をq軸Q側に向かって徐々に小さくし、S極前方外周面29S-FとW相ティース部32Wの鍔部33との空隙が大きくされている。これにより、S極前方外周面29S-Fのq軸Q近傍での磁気抵抗を上げて、W相ティース部32Wの鍔部33からの磁束の漏れを抑えることで、W相ティース部32WからS極前方外周面29S-Fへ向けて磁束を効果的に流し、S極磁極11Sの永久磁石13へ向かう磁束の流れがスムーズにされている。
ここで図10に示す実施例1は、図8に示す比較例と比べると、3つのティース部32における中央のティース部32であるV相ティース部32Vにおいて、N極磁極部11NからV相ティース部32Vに流れた磁束がヨーク部31を通過せずに鍔部33を経由して、隣り合うS極磁極部11Sへ流れる磁路における磁束の分布が、q軸Qに対して非対称になることが抑制されている。このため、中央のティース部32がq軸Q上に位置する60[度]の付近で磁束密度分布が理想的な正弦波に近づけられる(図11参照)。
実施例1では、上述のように一極対外周面28が形成されることで、1つの一極対外周面28の範囲における、ロータコア23と各ティース部32との間の空隙(エアギャップ)での磁束密度分布が正弦波に近づけられている。そして、ロータコア23の外周面27は、3つの一極対外周面28が回転対称に形成されて、各一極対外周面28での磁束の流れが同一であるので、上述のように1つの一極対外周面28における磁束密度分布を適正化することで、ロータコア23の外周面27の全域の磁束密度分布を適正化できる。
図11は、実施例1のロータ21の周方向における磁束密度分布を示す図である。図9において、縦軸が磁束密度[T]を示し、横軸がロータ21の周方向に対する機械角[度]を示す。図11において、正弦波を実線で示し、実施例1を一点鎖線で示す。図11は、図10における機械角が0[度]から120[度]までの範囲について、実施例1のロータコア23の一極対外周面28と各ティース部32との間の空隙(エアギャップ)の位置での周方向の磁束密度分布を示している。
図11に示すように、実施例1では、0[度]近傍、60[度]近傍、120[度]近傍の各位置で、磁束密度分布が理想的な正弦波と重なるように近づけられており、図9に示す比較例と比べて、実施例1の磁束密度分布では理想的な正弦波からのずれの大きさ(歪み)が低減されている。特に、比較例と比べて実施例1は、60[度]の位置で、理想的な正弦波での60[度]の位置での磁束密度と同様に、磁束密度がほぼ0(ゼロ)[T]になる。
実施例1は、電動機1をベクトル制御する際の基準となる磁束密度が0(ゼロ)[T]となる点が、理想的な正弦波では0[度]、60[度]、120[度]に現れるのに対し、実施例1の磁束密度分布でも、磁束密度が“0”(ゼロ)[T]となる点が、0[度]、60[度]、120[度]とほぼ一致して現れるようにすることができる。これにより、N極磁極部11NとS極磁極部11Sの組がなす極対の個数をm個としたとき、磁束密度が0[T]となる点がロータコア23の周方向で360/(2m)[度]の倍数となる機械角の位置にほぼ一致して現れるため、ロータ21の回転制御を適正化することができる。また、ロータ21の周方向の磁束密度分布が360/(2m)[度]の倍数となる機械角の付近で正弦波に近づけられることで、ロータ21に作用する磁束が滑らかに変化するので、ロータ21の径方向に生じる加振力を小さくできる。その結果、実施例1のロータ21を備えた電動機1は、ロータ21の径方向に生じる振動を低減できる。
図12は、電動機に生じる振動について実施例1と比較例とで比較して示す図である。図12において、縦軸が加速度[m/s]を示し、横軸が周波数[Hz]を示す。図13は、電動機の周囲で生じる騒音について実施例1と比較例とで比較して示す図である。図13において、縦軸が音圧[dB]を示し、横軸が周波数[Hz]を示す。ここで周波数は、ロータ21の回転数に比例する値である。また、図12及び図13において、実施例1を黒で示し、比較例を白で示す。
実施例1は、図12に示すように、比較例と比べて、電動機1での周波数の全帯域において振動(加速度)が低減される。このため、実施例1は、図13に示すように、比較例と比べて、電動機1での周波数の全帯域において騒音が低減される。
(実施例1の効果)
上述したように実施例1の電動機1におけるロータコア23の各磁極部11は、ロータ21の回転中心線に直交する平面において、ロータ21の回転中心Oと第1非磁性部14のロータコア23の径方向における外周端14Eを通る直線である第1境界線B1と、ロータ21の回転中心Оと第2非磁性部15の径方向における外周端15Eを通る直線である第2境界線B2と、の間におけるロータコア23の外周面17に形成された磁極外周面29を有しており、磁極外周面29が、d軸Dに対してロータ21の回転方向Rの前方側に位置する前方側外周面29-Fと、d軸Dに対して回転方向Rの後方側に位置する後方側外周面29-Rと、を有する。直交平面において磁極部11をd軸Dに沿って仮想的に折り返して、前方側外周面29-Fを後方側外周面29-Rに重ねたとき、前方側外周面29-Fは、ロータコア23の径方向において後方側外周面29-Rよりも内側に位置する小径外周面34を有する。このような形状に磁極外周面29が形成されることにより、永久磁石13の個数(磁極部11の個数)である極数と、巻き線46が巻かれた巻回部45の個数に相当するティース部32の個数との比率が2:3となる電動機であっても、図10に示すように、3つのティース部32における中央のティース部32(32V)において、N極磁極部11Nからティース部32(32V)に流れた磁束がヨーク部31を通過せずに鍔部33を経由して隣り合うS極磁極部11Sへ流れる磁路に着目したとき、磁束の分布がq軸Qに対して非対称になることが抑制されている。このため、中央のティース部32(32V)がq軸Q上に位置する60[度]の付近での磁束密度分布が、理想的な正弦波に近づけられる。これにより、回転するロータ21の周方向においてロータ21とステータ22との間の空隙(エアギャップ)での磁束密度分布を図11に示すように正弦波に近づけることができる。特にティース部32がq軸Q上に位置する、ロータコア23の機械角が360/(2m)[度]の倍数の位置(実施例1では機械角が60[度]の倍数となる例えば0[度]、60[度]、120[度]の位置)で、磁束密度を“0”(ゼロ)[T]に近づけることができるので、ロータ21の回転制御を適正化することができる。その結果、実施例1によれば、電動機1のロータ21の振動を低減し、電動機1の周囲の騒音を低減することができる。
また、実施例1の電動機1におけるロータコア23は、直交平面において、N極磁極部11NのN極外周面29NとS極磁極部11SのS磁極外周面29Sが、ロータ21の回転中心Oまわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させてN極磁極部11NとS極磁極部11Sとを重ねたときに互いに一致しない形状に形成されている。これにより、回転するロータ21の周方向においてロータ21とステータ22との間の空隙(エアギャップ)での磁束密度分布を正弦波に更に近づけることができる。
また、実施例1の電動機1におけるロータコア23の磁極外周面29は、d軸Dが通る位置に形成されてロータ21の回転中心Oからの距離が一定の径一定領域A2と、溝部領域A1と径一定領域A2との間に形成されて回転中心Oからの距離が変化する径変化領域A3と、を有する。径一定領域A2は、d軸Dに対してロータ21の回転方向Rの前方側に位置する前方側一定領域A2-Fと、d軸Dに対して回転方向Rの後方側に位置する後方側一定領域A2-Rと、を有する。前方側一定領域A2-Fの周方向の長さは、後方側一定領域A2-Rの周方向の長さよりも小さい。これにより、各磁極外周面29において、前方側外周面29-Fの範囲で形成される空隙が徐々に大きくなると共に、後方側外周面29-Rの範囲で形成される空隙が徐々に大きくなる比率を、前方側外周面29―Fよりも小さくする形状を容易に得ることができる。
また、実施例1の電動機1におけるステータ22の各ティース部32は、巻き線46が集中巻きで巻回された巻回部45を有する。このような集中巻型の電動機1において本発明の課題を解決できる。
以下、実施例2及び変形例について図面を参照して説明する。実施例2及び変形例において、実施例1と同一の構成部材には、実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。実施例2は、各磁極部11の磁極外周面29が同一形状に形成される点が実施例1と異なる。
図14は、実施例2におけるロータコアの要部を説明するための平面図である。図14に示すように、実施例2におけるロータコア51は、実施例1と同様に、各磁極部11の磁極外周面29が、d軸Dに対してロータ21の回転方向Rの前方側に位置する前方側外周面29-Fと、d軸Dに対して回転方向Rの後方側に位置する後方側外周面29-Rと、を有する。直交平面(図14の紙面)において磁極部11をd軸Dに沿って仮想的に折り返して、前方側外周面29-Fを後方側外周面29-Rに重ねたとき、前方側外周面29-Fは、ロータコア51の径方向において後方側外周面29-Rよりも内側に位置する小径外周面34を有し、かつ、後方側外周面29-Rは、ロータコア51の径方向において前方側外周面29-Fよりも内側に位置する部分を有しない。
実施例2は、直交平面において、N極磁極部11NのN極外周面29NとS極磁極部11SのS極外周面29Sが、ロータ21の回転中心Oまわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させてN極磁極部11NとS極磁極部11Sとを重ねたときに互いに一致する形状に形成されている。この点で実施例2は、実施例1と異なる。言い換えると、実施例2のロータコア51は、直交平面において、N極磁極部11NとS極磁極部11Sとで磁極外周面29が同一形状であり、同一形状の磁極外周面29がロータコア51の外周面27の全周にわたって繰り返して形成されている。
また、実施例2におけるロータコア51の各磁極外周面29は、実施例1と同様に、d軸Dに対して非対称な形状に形成されているが、N極外周面29NとS極外周面29Sが同一形状である点で実施例1と異なる。実施例2における各磁極外周面29が、d軸Dに対して非対称な形状となる詳細な形状は、実施例1の各磁極外周面29(図5及び図6参照)と同様であるので説明を省略する。
(溝部及び非磁性部の形状)
実施例2では、ロータコア51の周方向において共通形状の溝部52が、各磁極部11の間のq軸Q上に形成されている。溝部52の内面52aの形状は、q軸Qに対して非対称に形成されている。一方、各磁極部11において、ロータ21の回転方向Rの前方側に位置する各第1非磁性部14は互いに同一形状である。また、各磁極部11において、回転方向Rの後方側に位置する各第2非磁性部15は互いに同一形状である。
実施例1では、各磁極外周面29をd軸Dに対して非対称な形状に形成することと、N極外周面29NとS極外周面29Sと溝部16(溝部17)を含む一極対外周面28をq軸Qに対して非対称な形状に形成することと、の両方によってロータ21の周方向におけるロータコア23と各ティース部32との間の空隙(エアギャップ)での磁束密度分布を正弦波に近づけている。これに対して実施例2では、各磁極部11の磁極外周面29を同一形状に形成すると共に、各磁極外周面29をd軸Dに対して非対称な形状に形成することによって、ロータ21の周方向におけるロータコア51と各ティース部32との間の空隙(エアギャップ)での磁束密度分布を正弦波に近づけている。
図15は、実施例2のロータ21の周方向における磁束密度分布を示す図である。図15において、縦軸が磁束密度[T]を示し、横軸がロータ21の周方向に対する機械角[度]を示す。図11において、理想的な正弦波を実線で示し、実施例2を一点鎖線で示す。図15は、図14に示す2つの磁極部11と溝部52が形成された一極対外周面28の範囲である、機械角が0[度]から120[度]までの範囲について、ロータ21と各ティース部32との間の空隙(エアギャップ)の位置での周方向の磁束密度分布を示している。
図15に示すように、実施例2は、実施例1と同様に、0[度]近傍、60[度]近傍、120[度]近傍の各位置で、磁束密度分布が理想的な正弦波と重なるように近づけられており、図9に示す比較例と比べて、実施例2の磁束密度分布では理想的な正弦波からのずれの大きさ(歪み)が低減されている。特に、比較例と比べて実施例2は、60[度]近傍の位置で、理想的な正弦波での60[度]の位置での磁束密度と同様に、磁束密度がほぼ0(ゼロ)[T]になる。
(実施例2の効果)
したがって、実施例2においても、実施例1と同様に、N極磁極部11NとS極磁極部11Sの組がなす極対の個数をm個としたとき、磁束密度が0[T]となる点がロータコア51の周方向で360/(2m)[度]の倍数となる機械角にほぼ一致して現れるため、ロータ21の回転制御を適正化することができる。また、ロータ21の周方向における磁束密度分布が360/(2m)[度]の倍数となる機械角の付近で理想的な正弦波に近づけられることで、ロータ21に作用する磁束が滑らかに変化するので、ロータ21の径方向に生じる加振力の変動が抑えられる。その結果、実施例2のロータ21を備えた電動機1の径方向に生じる振動を低減し、電動機1の周囲の騒音を低減することができる。
また、図15に示す実施例2を、図11に示す実施例1と比較すると、実施例2よりも実施例1の方が、ロータ21の周方向におけるロータ21と各ティース部32との間の空隙(エアギャップ)での磁束密度分布が正弦波に更に近づけられており、正弦波に近づける観点では実施例1が好ましい。
(変形例)
図16は、変形例のロータコアの要部を示す平面図である。変形例のロータコア61では、永久磁石13の配置が実施例1、2と異なる。図16に示すように、各磁極部11には、2つの板状の永久磁石13が、各永久磁石13の厚さ方向が交差するように略V字状に配置されている。各磁極部11には、2つの永久磁石13の各一端から、ロータコア61の外周面27に向かって延びる2つの非磁性部14、15と、2つの永久磁石13の各他端の間を通るd軸D上に形成された非磁性部19と、が形成されている。変形例においても、永久磁石13の配置にかかわらず、ロータコア61の外周面27が実施例1、2と同様に形成されることで、実施例1、2と同様の効果を得ることができる。
1 電動機
3 シャフト
11 磁極部
11N N極磁極部
11S S極磁極部
13 永久磁石
14(14a~14f)、15(15a~15f)、19 非磁性部
14E、15E 外周端
16、17、52 溝部
16a、17a 内面
21 ロータ
22 ステータ
23 ロータコア
24 ステータコア
27 外周面
28 一極対外周面
29 磁極外周面
29-F 前方側外周面
29―R 後方側外周面
29N N極外周面(磁極外周面)
29N-F N極前方側外周面(前方側外周面)
29N-R N極後方側外周面(後方側外周面)
29S S極外周面(磁極外周面)
29S-F S極前方側外周面(前方側外周面)
29S-R S極後方側外周面(後方側外周面)
31 ヨーク部
32 ティース部
34 小径外周面
35 重複外周面
36 大径外周面
45 巻回部
46 巻き線
A1 溝部領域
A2 径一定領域(最大曲率半径領域)
A2-F 前方側一定領域
A2-R 後方側一定領域
A3 径変化領域
B1 第1境界線
B2 第2境界線
O 回転中心
D d軸
DN N極d軸
DS S極d軸
Q q軸
R 回転方向
rm 最大曲率半径
r1 第1曲率半径(曲率半径)
r2 第2曲率半径(曲率半径)

Claims (30)

  1. 永久磁石が埋め込まれて複数の磁極部が周方向に沿って設けられたロータコアを有するロータと、前記ロータの外周側に配置された複数のティース部を有するステータと、を備え、前記磁極部の極対の個数がm個、前記複数のティース部の個数が3m個であり、前記ロータコアは、前記永久磁石の前記周方向における両端部のそれぞれから連続するように延びる非磁性部を有する電動機であって、
    前記ロータの回転中心線に直交する平面において、各磁極部は、前記ロータの回転中心と一方の前記非磁性部の前記ロータコアの径方向における外周端とを通る直線である第1境界線と、前記ロータの前記回転中心と他方の前記非磁性部の前記径方向における外周端とを通る直線である第2境界線と、の間における外周面に形成された磁極外周面を有し、
    前記平面において、前記周方向における前記磁極部の中央と、前記回転中心とを結ぶ直線をd軸とし、前記周方向に隣り合う前記磁極部同士の間の中央と、前記回転中心とを結ぶ直線をq軸として、
    前記磁極外周面は、前記d軸に対して前記ロータの回転方向の前方側に位置して複数の曲率半径を有する前方側外周面と、前記d軸に対して前記回転方向の後方側に位置して複数の曲率半径を有する後方側外周面と、で形成されて
    前記平面において前記磁極部を前記d軸に沿って仮想的に折り返して、前記前方側外周面を前記後方側外周面に重ねたとき、
    前記前方側外周面は、前記径方向において前記後方側外周面よりも内側に位置する小径外周面を有する電動機。
  2. 前記ロータコアの外周面には、前記周方向に隣り合う前記磁極部同士の間に、前記外周面が前記径方向に窪んだ溝部が、前記回転中心線に沿って形成され、前記平面において前記q軸が前記溝部を通るように前記溝部が形成された溝部領域が設けられ、
    前記磁極外周面は、前記d軸が通る位置に形成されて前記回転中心からの距離が一定の径一定領域と、前記溝部領域と前記径一定領域との間に形成されて前記回転中心からの距離が変化する径変化領域と、を有する、
    請求項1に記載の電動機。
  3. 前記前方側外周面は、前記d軸に隣り合って形成されて前記回転中心からの距離が一定の前方側径一定領域と、前記溝部領域と前記前方側径一定領域との間に形成されて前記回転中心からの距離が変化する前方側径変化領域と、を有し、
    前記後方側外周面は、前記d軸に隣り合って形成されて前記回転中心からの距離が一定の後方側径一定領域と、前記溝部領域と前記後方側径一定領域との間に形成されて前記回転中心からの距離が変化する後方側径変化領域と、を有する、
    請求項2に記載の電動機。
  4. 前記平面において、前記ロータコアの前記外周面の形状が前記回転中心に対して回転対称となるように、1つの前記極対である一極対を形成する範囲の前記ロータコアの前記外周面を一極対外周面としたとき、前記ロータコアの前記外周面は前記一極対外周面の形状が前記周方向にm回繰り返されて形成されている、
    請求項1に記載の電動機。
  5. 各極対は、前記q軸を挟んで配置されたN極磁極部とS極磁極部を有し、
    前記平面において、前記N極磁極部と前記S極磁極部のいずれか一方の磁極部を前記回転中心まわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させて前記N極磁極部と前記S極磁極部のいずれか他方の磁極部に重ねたときに、前記N極磁極部の前記磁極外周面と前記S極磁極部の前記磁極外周面とは、互いに一致する形状に形成されている、
    請求項に記載の電動機。
  6. 各極対は、前記q軸を挟んで配置されたN極磁極部とS極磁極部を有し、
    前記平面において、前記N極磁極部と前記S極磁極部のいずれか一方の磁極部を前記回転中心まわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させて前記N極磁極部と前記S極磁極部のいずれか他方の磁極部に重ねたときに、前記N極磁極部の前記磁極外周面と前記S極磁極部の前記磁極外周面とは、互いに一致しない形状に形成されている、
    請求項に記載の電動機。
  7. 各極対は、前記q軸を挟んで配置されたN極磁極部とS極磁極部を有し、
    前記平面において、前記N極磁極部の前記磁極外周面が、当該N極磁極部におけるd軸であるN極d軸に対して非対称な形状に形成され、前記S極磁極部の前記磁極外周面が、当該S極磁極部におけるd軸であるS極d軸に対して非対称な形状に形成されている、
    請求項に記載の電動機。
  8. 前記N極磁極部の前記磁極外周面は、前記N極d軸に対して前記ロータの回転方向の前方側に位置するN極前方側外周面と、前記N極d軸に対して前記回転方向の後方側に位置するN極後方側外周面と、を有し、
    前記平面において前記N極磁極部を前記N極d軸に沿って折り返して、前記N極前方側外周面が前記N極後方側外周面に重ねたとき、
    前記N極前方側外周面は、前記径方向において前記N極後方側外周面よりも内側に位置する小径外周面を有する、
    請求項に記載の電動機。
  9. 前記S極磁極部の前記磁極外周面は、前記S極d軸に対して前記ロータの回転方向の前方側に位置するS極前方側外周面と、前記S極d軸に対して前記回転方向の後方側に位置するS極後方側外周面と、を有し、
    前記平面において前記S極磁極部を前記S極d軸に沿って折り返して、前記S極前方側外周面を前記S極後方側外周面に重ねたとき、
    前記S極前方側外周面は、前記径方向において前記S極後方側外周面よりも内側に位置する小径外周面を有する、
    請求項に記載の電動機。
  10. 前記N極磁極部の前記磁極外周面は、前記N極d軸に対して前記ロータの回転方向の前方側に位置するN極前方側外周面と、前記N極d軸に対して前記回転方向の後方側に位置するN極後方側外周面と、を有し、
    前記S極磁極部の前記磁極外周面は、当該S極磁極部の前記S極d軸に対して前記回転方向の前方側に位置するS極前方側外周面と、前記S極d軸に対して前記回転方向の後方側に位置するS極後方側外周面と、を有し、
    前記平面において、前記N極磁極部と前記S極磁極部のいずれか一方の磁極部を前記回転中心まわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させて前記N極磁極部と前記S極磁極部のいずれか他方の磁極部に重ねたときに、前記N極後方側外周面と前記S極後方側外周面とは、互いに一致しない形状に形成されている、
    請求項に記載の電動機。
  11. 前記平面において、前記N極後方側外周面を前記回転中心まわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させて前記S極後方側外周面に重ねたとき、
    前記S極後方側外周面は、前記径方向において前記N極後方側外周面よりも内側に位置する小径外周面を有する、
    請求項10に記載の電動機。
  12. 前記平面において、前記N極後方側外周面を前記回転中心まわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させて前記S極後方側外周面に重ねたとき、
    前記N極後方側外周面は、前記径方向において前記S極後方側外周面よりも内側に位置する小径外周面を有する、
    請求項10に記載の電動機。
  13. 前記N極磁極部の前記磁極外周面は、前記N極d軸に対して前記ロータの回転方向の前方側に位置するN極前方側外周面と、前記N極d軸に対して前記回転方向の後方側に位置するN極後方側外周面と、を有し、
    前記S極磁極部の前記磁極外周面は、前記S極d軸に対して前記回転方向の前方側に位置するS極前方側外周面と、前記S極d軸に対して前記回転方向の後方側に位置するS極後方側外周面と、を有し、
    前記平面において、前記N極磁極部と前記S極磁極部のいずれか一方の磁極部を前記回転中心まわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させて前記N極磁極部と前記S極磁極部のいずれか他方の磁極部に重ねたときに、前記N極前方側外周面と前記S極前方側外周面は、互いに一致しない形状に形成されている、
    請求項に記載の電動機。
  14. 前記平面において、前記N極前方側外周面を前記回転中心まわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させて前記S極前方側外周面に重ねたとき、
    前記S極前方側外周面は、前記径方向において前記N極前方側外周面よりも内側に位置する小径外周面を有する、
    請求項13に記載の電動機。
  15. 前記平面において、前記N極前方側外周面を前記回転中心まわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させて前記S極前方側外周面に重ねたとき、
    前記N極前方側外周面は、前記径方向において前記S極前方側外周面よりも内側に位置する小径外周面を有する、
    請求項13に記載の電動機。
  16. 前記ロータコアの外周面には、前記周方向に隣り合う前記磁極部同士の間に、前記外周面が前記径方向に窪んだ溝部が、前記回転中心線に沿って形成されている、
    請求項1に記載の電動機。
  17. 前記平面において、前記溝部の内面形状は、前記q軸に対して非対称に形成されている、
    請求項16に記載の電動機。
  18. 前記平面において、前記周方向に隣り合う前記溝部の内面形状は互いに異なる、
    請求項16に記載の電動機。
  19. 前記平面において、前記ロータコアの前記磁極外周面は、前記d軸から前記溝部に近づくに従って、前記回転中心からの距離が徐々に小さくなる、
    請求項16に記載の電動機。
  20. 各極対は、前記q軸を挟んで配置されたN極磁極部とS極磁極部を有し、
    前記平面において、前記ロータコアの前記磁極外周面の各々は、前記d軸上の位置で前記回転中心からの距離が最大となり、
    前記平面において、前記N極磁極部の前記磁極外周面と前記S極磁極部の前記磁極外周面は、前記d軸上の位置で前記回転中心からの距離が等しくなる、
    請求項19に記載の電動機。
  21. 前記ロータコアの前記外周面は、前記q軸が前記溝部を通るように前記溝部が形成された溝部領域を有し、
    前記磁極外周面は、前記d軸が通る位置に形成されて前記回転中心からの距離が一定の径一定領域と、前記溝部領域と前記径一定領域との間に形成されて前記回転中心からの距離が変化する径変化領域と、を有し、
    前記径変化領域は、前記径一定領域における前記回転中心からの最大曲率半径よりも小さい複数の曲率半径で形成されている、
    請求項16に記載の電動機。
  22. 前記径変化領域の前記複数の曲率半径は、前記溝部に近づくに従って曲率半径が徐々に小さくなる、
    請求項21に記載の電動機。
  23. 前記径一定領域は、前記d軸に対して前記ロータの回転方向の前方側に位置する前方側一定領域と、前記d軸に対して前記回転方向の後方側に位置する後方側一定領域と、を有し、
    前記前方側一定領域は、前記後方側一定領域よりも前記周方向の大きさが小さい、
    請求項21に記載の電動機。
  24. 各磁極部には、板状の前記永久磁石が、前記永久磁石の厚さ方向が前記d軸に沿うように配置されている、
    請求項1に記載の電動機。
  25. 各磁極部には、2つの板状の前記永久磁石が、各永久磁石の厚さ方向が交差するように配置されている、
    請求項1に記載の電動機。
  26. 各極対は、前記q軸を挟んで配置されたN極磁極部とS極磁極部を有し、
    各磁極部は、前記永久磁石の両端部から、前記ロータコアの前記外周面に向かって延びる2つの前記非磁性部を有し、
    前記S極磁極部が有する前記2つの非磁性部は、当該S極磁極部におけるd軸であるS極d軸に対して互いに非対称な形状に形成され、
    前記N極磁極部が有する前記2つの非磁性部は、当該N極磁極部におけるd軸であるN極d軸に対して互いに非対称な形状に形成されている、
    請求項24に記載の電動機。
  27. 前記N極磁極部と前記S極磁極部のいずれか一方の磁極部を前記回転中心まわりに360/(2m)[度]、仮想的に回転させて前記N極磁極部と前記S極磁極部のいずれか他方の磁極部に重ねたときに、前記N極磁極部が有する前記2つの非磁性部と、前記S極磁極部が有する前記2つの非磁性部とは、互いに一致しない形状に形成されている、
    請求項26に記載の電動機。
  28. 前記平面において、前記N極磁極部と前記S極磁極部が有する4つの非磁性部は、形状が互いに異なる、
    請求項26に記載の電動機。
  29. 前記ステータは、環状のヨーク部と、前記ヨーク部から前記径方向の内側へ延びる前記複数のティース部と、を有するステータコアを有し、
    前記複数のティース部は、同一の形状に形成されている、
    請求項1に記載の電動機。
  30. 各ティース部は、巻き線が集中巻きで巻回された巻回部を有する、
    請求項1に記載の電動機。
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