各図を参照して本発明の各実施形態について説明する。複数の図面に示された同一の事項については同一の符号を付してその説明を省略する。本明細書における上下左右の用語は、図面における方向を示す。方向を示すこれらの用語は説明の便宜上のものであり、各構成要素を配置する際の姿勢を限定するものではない。
図1には、本発明の実施形態に係る車両搭載用の電力変換装置100の構成が示されている。電力変換装置100は、電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2、補機電池モジュール10-3、電源コネクタ18、第1終端コア16E1および第2終端コア16E2を備えている。電源モジュール10-1は、力率調整回路12(PFC:Power Factor Correction)、スイッチング回路14-1、結合巻線LA、リアクトルLBおよびコア16を備えている。力率調整回路12には電源コネクタ18が接続されている。
電源コネクタ18には、サービスステーションや駐車場に設けられた充電装置等の外部装置30が接続されている。外部装置30は、電源コネクタ18を介して力率調整回路12に交流電力を供給する。力率調整回路12は、電源コネクタ18から自らに流入する電流および自らから電源コネクタ18に流出する電流の時間波形を調整することで、外部装置30から供給される電力の力率を調整すると共に、スイッチング回路14-1に直流電圧を出力する。これによって力率調整回路12は、力率を調整しながら、外部装置30から電源コネクタ18を介してスイッチング回路14-1に電力を供給する。なお、力率調整回路12は、力率を調整しながら、スイッチング回路14-1から外部装置30に電源コネクタ18を介して電力を供給してもよい。
スイッチング回路14-1は、並列に接続されたスイッチングアームαおよびβを備えている。各スイッチングアームは、直列に接続された第1スイッチング素子S1および第2スイッチング素子S2を備えている。第1スイッチング素子S1および第2スイッチング素子S2には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の半導体素子が用いられてよい。スイッチング素子としてIGBTが用いられる場合、2つのスイッチング素子が直列接続されるとは、一方のエミッタ電極に他方のコレクタ電極が接続されることをいう。スイッチング素子としてMOSFETが用いられる場合、2つのスイッチング素子が直列接続されるとは、一方のソース電極に他方のドレイン電極が接続されることをいう。
スイッチング素子としてIGBTが用いられる場合、IGBTのエミッタ電極にアノード電極が接続され、コレクタ電極にカソード電極が接続されたダイオードをスイッチング素子が備える。スイッチング素子としてMOSFETが用いられる場合、MOSFETのソース電極にアノード電極が接続され、ドレイン電極にカソード電極が接続されたダイオードをスイッチング素子が備える。
スイッチングアームαおよびβの両端は一対の直流端子をなし、スイッチングアームαおよびβの両端には力率調整回路12が接続されている。スイッチングアームαが備える第1スイッチング素子S1と第2スイッチング素子S2の直列接続点と、スイッチングアームβが備える第1スイッチング素子S1と第2スイッチング素子S2の直列接続点との間には、直列接続された結合巻線LAおよびリアクトルLBが接続されている。結合巻線LAは、コア16に巻き回された導線によって形成されている。
各スイッチングアームが備える第1スイッチング素子S1および第2スイッチング素子S2は交互にオンオフする。すなわち、第1スイッチング素子S1がオフからオンになると共に、第2スイッチング素子S2はオンからオフになる。そして、第1スイッチング素子S1がオンからオフになると共に、第2スイッチング素子S2はオフからオンになる。スイッチングアームαが備える各スイッチング素子のスイッチングタイミングと、スイッチングアームβが備える各スイッチング素子のスイッチングタイミングには、例えば、180°の位相差があってよい。スイッチング回路14-1は、力率調整回路12から出力される直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧を結合巻線LAおよびリアクトルLBに印加する。
主機電池モジュール10-2は、スイッチング回路14-2、結合巻線LA、リアクトルLBおよびコア16を備えている。スイッチング回路14-2は、スイッチングアームXおよびYを備えている。スイッチングアームXおよびYは、それぞれスイッチングアームαおよびβと同様の構成を有し、同様の動作をする。スイッチング回路14-2のスイッチングアームXおよびYの両端は一対の直流端子をなし、スイッチングアームXおよびYの両端には主機電池32が接続されている。
スイッチングアームXが備える第1スイッチング素子S1と第2スイッチング素子S2の直列接続点と、スイッチングアームYが備える第1スイッチング素子S1と第2スイッチング素子S2の直列接続点との間には、直列接続された結合巻線LAおよびリアクトルLBが接続されている。結合巻線LAは、コア16に巻き回された導線によって形成されている。スイッチング回路14-2は、主機電池32から出力された直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧を結合巻線LAおよびリアクトルLBに印加する。また、スイッチング回路14-2は、結合巻線LAの両端に現れる交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を主機電池32に印加する。
補機電池モジュール10-3は、スイッチング回路14-3、結合巻線LA、リアクトルLBおよびコア16を備えている。スイッチング回路14-3は、スイッチングアームWおよびZを備えている。スイッチングアームWおよびZは、それぞれスイッチングアームαおよびβと同様の構成を有し、同様の動作をする。スイッチング回路14-3のスイッチングアームWおよびZの両端は一対の直流端子をなし、スイッチングアームWおよびZの両端には補機電池34が接続されている。
スイッチングアームWが備える第1スイッチング素子S1と第2スイッチング素子S2の直列接続点と、スイッチングアームZが備える第1スイッチング素子S1と第2スイッチング素子S2の直列接続点との間には、直列接続された結合巻線LAおよびリアクトルLBが接続されている。結合巻線LAは、コア16に巻き回された導線によって形成されている。また、スイッチング回路14-3は、結合巻線LAの両端に現れる交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を補機電池34に印加する。
各コア16、第1終端コア16E1および第2終端コア16E2は、磁性体によって形成されている。第1終端コア16E1、第2終端コア16E2、電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3は、それぞれが備えるコア16が、第1終端コア16E1および第2終端コア16E2と共に磁路を形成するように配置される。磁路は磁束を集中させて磁束を導く経路である。磁路には、電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3のそれぞれが備える結合巻線LAが発生した磁束が通過する。電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3のそれぞれの結合巻線LAは、磁路を介して相互に磁気的に結合する。
電力変換装置100では、電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3のスイッチングによって、外部装置30から主機電池32および補機電池34に電力が供給され、主機電池32および補機電池34が充電される。また、主機電池32から補機電池34に電力が供給され、補機電池34が充電されてもよい。
上記では、電源モジュール10-1に外部装置30が接続される実施形態について説明した。電源モジュール10-1には、電力供給事業者等による商用電源システムが接続されてもよい。
また、上記では、1系統の補機電池モジュール10-3および補機電池34を備える実施形態が示された。電力変換装置には、複数系統の補機電池モジュール10-3および補機電池34が設けられてもよい。この場合、電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および複数の補機電池モジュール10-3のそれぞれが備えるコア16が磁路を形成する。電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および複数の補機電池モジュール10-3の各結合巻線LAは、磁路を介して相互に磁気的に結合する。
図2には、電力変換モジュール10の分解斜視図が示されている。電力変換モジュール10は、電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3として用いられる。図2では、図面の右方向がx軸正方向とされている。また、図面の奥に向かう方向がy軸正方向とされ、上方向がz軸正方向とされている。図3には、電力変換モジュール10の平面図が示されている。電力変換モジュール10は、結合巻線LA、コア16、回路基板40、スイッチング素子S、冷却器42および筐体44を備えている。筐体44は、zx平面に沿って広がり対向する一対のzx平面壁46と、一対のzx平面壁46の右端でyz平面に沿って広がるyz平面壁48を含む。
一対のzx平面壁46の左端にはボビン構造50が形成されている。ボビン構造50は、左側手前の角の空間を囲む枠構造を有している。枠構造は、右側の内壁面の一部と左側の内壁面の一部が、円弧(または円弧に近似した曲面)を描いて外側に膨らむように、矩形の内壁面を変形させた形状を有している。枠構造の内側には、z軸方向を軸方向とする筒52が設けられている。図2に示されている筒52は円筒形状である。筒52の形状は、角筒形状や円筒の円形断面を所定方向に縮小した形状であってもよい。筒52は、その側面と枠構造の内壁との間に橋渡された梁54によって、枠構造の内側に固定されている。
枠構造の奥側の内壁面および手前側の内壁面には、コア16を構成する外側コア部材22が設けられている。手前側の外側コア部材22の内壁面と奥側の外側コア部材22の内壁面とは対向し、各外側コア部材22の内壁面は、円弧(または円弧に近似した曲面)を描いて外側に膨らんでいる。枠構造に形成された左右の円弧形状の内壁面と、一対の外側コア部材22の内壁面は、仮想的な共通の筒上にあってよい。
筒52の内側には、コア16を形成する内側コア部材20が固定されている。内側コア部材20は、筒52の内側に嵌め込まれる柱形状を有しz軸方向に延びている。図2に示されている例では、内側コア部材20は円柱形状である。筒52の周囲には、結合巻線LAを形成する導線が巻き回されている。すなわち、一対の外側コア部材22と、筒52内の内側コア部材20との間に結合巻線LAが形成されている。結合巻線LAを構成する導線の両端は、一対のzx平面壁46とyz平面壁48に囲まれた枠内領域38に引き出されている。
内側コア部材20の上面および各外側コア部材22の上面は、電力変換モジュール10から磁束が流出し、または、電力変換モジュール10に磁束が流入する第1磁束通過面となる。また、内側コア部材20の下面および各外側コア部材22の下面は、電力変換モジュール10に磁束が流入し、または、電力変換モジュール10から磁束が流出する第2磁束通過面となる。第1磁束通過面および第2磁束通過面は、磁束に大きな影響を与えない部材で内側コア部材20および外側コア部材22の表面が覆われた面であってもよい。
枠内領域38には冷却器42が設けられている。冷却器42は、yz平面壁48を貫く冷媒流入管42in、yz平面壁48を貫く冷媒流出管42outおよび本体部42Mを備えている。本体部42Mは、冷媒流入管42inおよび冷媒流出管42outに結合する直方体部分と、枠内領域38の下方を塞ぐスイッチング素子支持部分を備えている。スイッチング素子支持部分の上面には複数のスイッチング素子Sが固定されている。冷媒流入管42inからは水等の冷媒が流入する。冷媒は、本体部42Mの内部を流通しながら各スイッチング素子Sから熱を奪い、冷媒流出管42outから流出する。
スイッチング素子Sの上方は回路基板40によって覆われ、スイッチング素子Sは回路基板40に接続される。スイッチング素子Sは回路基板40に固定されてもよい。回路基板40には、スイッチング素子Sを動作させるための電子回路が固定されている。また、枠内領域38に引き出された結合巻線LAの両端は、回路基板40に接続されている。
このように、本実施形態に係る電力変換モジュール10は、スイッチング回路と、スイッチング回路に接続された結合巻線LAと、結合巻線LAが発生する磁束を導くコア16と、筐体44とを備えている。筐体44は、結合巻線LA、スイッチング回路およびコア16を収容または固定している。筐体44における第1外面(図2において上側を臨む面)にコア16の一端に対応する第1磁束通過面が形成され、筐体44における第2外面(図2において下側を臨む面)にコア16の他端に対応する第2磁束通過面が形成されている。第1外面および第2外面は反対方向(図2の上方向および下方向)を臨んでいる。
図4には、電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3を連ねた状態が示されている。以下の説明では、電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3のそれぞれを、これらの総称を用いて電力変換モジュールと称する場合がある。
電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3は、右側の電力変換モジュールの第1外面が、左側の電力モジュールの第2外面に接触または対向するように重ねられている。これによって、電源モジュール10-1の第2磁束通過面は、主機電池モジュール10-2の第1磁束通過面に接触または対向し、主機電池モジュール10-2の第2磁束通過面は、補機電池モジュール10-3の第1磁束通過面に接触または対向する。電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3は着脱自在に連ねられてよい。
第1終端コア16E1および第2終端コア16E2は板片状に形成されてよい。電源モジュール10-1の第1磁束通過面に対して、内側コア部材20と2つの外側コア部材22の表面に接触または対向する第1終端コア16E1が配置されている。補機電池モジュール10-3の第2磁束通過面に対して、内側コア部材20と2つの外側コア部材22の表面に接触または対向する第2終端コア16E2が配置されている。
図5には、各電力変換モジュールを図4のAA線で切断したときに現れる、各電力変換モジュールにおける内側コア部材20-1~20-3および外側コア部材22-1~22-3の断面が示されている。ただし、図5では、電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3に属する構成要素の符号については、それぞれ、符号「-1」~「-3」が付されている。
内側コア部材20-kの周囲には結合巻線LA-kを構成する導線が巻き回されている。ただし、kは、1~3の整数である。電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3が連ねて配置されることで、内側コア部材20-3、20-2、20-1、第1終端コア16E1、図5の上側の外側コア部材22-1、22-2、22-3、第2終端コア16E2を経て内側コア部材20-3に戻る磁路F1が形成される。また、内側コア部材20-3、20-2、20-1、第1終端コア16E1、図5の下側の外側コア部材22-1、22-2、22-3、第2終端コア16E2を経て内側コア部材22-3に戻る磁路F2が形成される。結合巻線LA-kから発せられた磁束は、磁路F1およびF2を通って他の結合巻線に鎖交する。これによって、結合巻線LA-1~LA-3が相互に結合する。
このように、電力変換装置100は、複数の電力変換モジュール(電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3)を備えている。複数の電力変換モジュールは連なって配置されている。複数の電力変換モジュールは着脱自在に連なって配置されてもよい。複数の電力変換モジュールのうちの隣接する2つの電力変換モジュールは、一方の電力変換モジュールにおける第2磁束通過面と、他方の電力変換モジュールにおける第1磁束通過面とが接触または対向するように配置されている。
複数の電力変換モジュールのそれぞれが備えるコア16は、複数のコア部材によって構成されている。本実施形態における複数のコア部材は、内側コア部材20および外側コア部材22である。第1磁束通過面は、複数のコア部材の一方の端面によって形成され、第2磁束通過面は、複数のコア部材の他方の端面によって形成されている。
電力変換装置100は、さらに、複数の電力変換モジュールのうちの一端(図4における最も左側)の1つにおける複数のコア部材(内側コア部材20および外側コア部材22)の一方の端面に接触または対向して設けられる第1終端コア16E1を備えている。電力変換装置100は、さらに、複数の電力変換モジュールのうちの他端(図4における最も右側)の1つにおける複数のコア部材の他方の端面に接触または対向して設けられる第2終端コア16E2を備えている。
一般に、2つの巻線が結合する場合、2つの巻線の間の距離が大きい程、各巻線の漏れインダクタンスが大きくなり、2つの巻線の相互インダクタンスが小さくなる。そのため、2つの電力変換モジュールのそれぞれの結合巻線の距離を近付ける程、2つの電力変換モジュールの間で伝送される電力が大きくなる傾向がある。3個以上の複数の電力変換モジュールを連ねる場合、複数の電力変換モジュールのうちから2つを選んだ組のうち、2つの電力変換モジュールの間で伝送される電力が最も大きい組を隣接させることで、電力伝送効率が高くなる。
本実施形態では、電源モジュール10-1、主機電池モジュール10-2および補機電池モジュール10-3から2つを選んだ組のうち、電源モジュール10-1および主機電池モジュール10-2の組において伝送される電力が最も大きい。そして、電源モジュール10-1および主機電池モジュール10-2は隣接して配置されている。したがって、本実施形態によれば、電源モジュール10-1および主機電池モジュール10-2を隣接させない場合に比べて、電力伝送効率が大きくなる。
ここでは、3つの電力変換モジュールが連ねられた電力変換装置100が示されたが、連ねられる電力変換モジュールの個数は任意である。本実施形態に係る電力変換モジュールでは、複数の回路のそれぞれを個別に筐体に組み込み、同一の回路または異なる回路を任意の個数で組み合わせることが容易となる。これによって、複数種の電力変換装置の設計および生産を単純化することができる。
また、ここでは、各電力変換モジュールが2つの外側コア部材22を備え、複数の電力変換モジュールが連ねられることで、E型形状を向かい合わせた形状のコアが形成される実施形態が示された。各電力変換モジュールは、1つの外側コアを備えるものであってよい。この場合、複数の電力変換モジュールが連ねられることで、U型形状を向かい合わせた形状のコアが形成される。
図6には、本発明の第2実施形態に係る電力変換装置102の構成が示されている。電力変換装置102は、U相電源モジュール10U、V相電源モジュール10V、W相電源モジュール10W、電池モジュール10B、第1終端コア16E1、第2終端コア16E2、コントローラ58、電力測定器62、U相端子60U、V相端子60VおよびW相端子60Wを備えている。U相電源モジュール10Uの力率調整回路12において交流電力が入出力される一対の交流端子のうちの一方はU相端子60Uに接続されている。V相電源モジュール10Vの力率調整回路12において交流電力が入出力される一対の交流端子のうちの一方はV相端子60Vに接続されている。W相電源モジュール10Wの力率調整回路12において交流電力が入出力される一対の交流端子のうちの一方はW相端子60Wに接続されている。また、各力率調整回路12において交流電力が入出力される一対の交流端子のうちの他方は、中性点Nで共通に接続されている。
U相電源モジュール10U、V相電源モジュール10VおよびW相電源モジュール10Wは、図1に示された電源モジュール10-1と同様の構造を有している。U相端子60U、V相端子60VおよびW相端子60Wは、商用電源システムに接続される。商用電源システムからU相端子60U、V相端子60VおよびW相端子60Wには、三相交流電圧が印加される。すなわち、U相電源モジュール10U、V相電源モジュール10VおよびW相電源モジュール10Wのそれぞれには、三相交流の相電圧のうちの対応する相電圧が印加される。
ここでは、各力率調整回路12が中性点Nで共通に接続されている例が示されているが、各力率調整回路12において交流電力が入出力される一対の交流端子には、個別に交流電力源が接続されてもよい。電力変換装置102は、U相電源モジュール10U、V相電源モジュール10VおよびW相電源モジュール10Wと同様の電力変換モジュールを追加することで、四相以上の交流電力源に接続される構成としてもよい。各電力変換モジュールには、複数相の交流電圧のうちの対応する相電圧が印加される。
各力率調整回路12は、商用電源システムから供給される電力の力率を調整すると共に、各相のスイッチング回路14-1に直流電圧を出力する。各相のスイッチング回路14-1は、各相の力率調整回路12から出力された直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧を各相の結合巻線LAおよびリアクトルLBに印加する。
これによって、各力率調整回路12は、力率を調整しながら、商用電源システムからスイッチング回路14-1に電力を供給する。また、各力率調整回路12は、力率を調整しながら、スイッチング回路14-1から商用電源システムに電力を供給してもよい。
電池モジュール10Bは、図1に示された主機電池モジュール10-2と同様の構成を有している。スイッチング回路14-2のスイッチングアームXおよびYの両端は一対の直流端子をなし、スイッチングアームXおよびYの両端には電池36が接続されている。スイッチング回路14-2は、電池36から出力された直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧を結合巻線LAおよびリアクトルLBに印加する。また、スイッチング回路14-2は、結合巻線LAの両端に現れる交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧を電池36に印加する。
U相電源モジュール10U、V相電源モジュール10V、W相電源モジュール10Wおよび電池モジュール10Bのそれぞれ(各電力変換モジュール)が備えるコア16は、各電力変換モジュールが備える結合巻線LAから発生した磁束に対する磁路を形成する。各電力変換モジュールが備える結合巻線LAは相互に磁気的に結合する。電力変換装置102では、各電力変換モジュールのスイッチングによって、商用電源システムから電池36に電力が供給され、電池36から商用電源システムに電力が供給される。
W相電源モジュール10W、V相電源モジュール10V、U相電源モジュール10Uおよび電池モジュール10Bはこの順序で配置されている。W相電源モジュール10Wの結合巻線LAと、電池モジュール10Bの結合巻線LAとの間の距離は、V相電源モジュール10Vの結合巻線LAと、電池モジュール10Bの結合巻線LAとの間の距離よりも大きい。そして、V相電源モジュール10Vの結合巻線LAと、電池モジュール10Bの結合巻線LAとの間の距離は、U相電源モジュール10Uの結合巻線LAと、電池モジュール10Bの結合巻線LAとの間の距離よりも大きい。
コントローラ58は、各相のスイッチング回路14-1および電池モジュール10Bのスイッチング回路14-2を制御する。コントローラ58が各スイッチング回路を制御するため、電力変換装置102は、電池36に供給される電力を測定する電力測定器62、各相の結合巻線LAに流れる電流を測定する電流センサ(図示せず)を備えている。
図7には、筐体44に収容されたW相電源モジュール10W、V相電源モジュール10V、U相電源モジュール10Uおよび電池モジュール10Bが示されている。W相電源モジュール10W、V相電源モジュール10V、U相電源モジュール10Uおよび電池モジュール10Bのそれぞれは、図2および図3に示された電力変換モジュールと同様の構造を有している。W相電源モジュール10W、V相電源モジュール10VおよびU相電源モジュール10U、電池モジュール10Bは、右側の電力変換モジュールの第1外面が、左側の電力変換モジュールの第2外面に接触または対向するように重ねられている。W相電源モジュール10W、V相電源モジュール10V、U相電源モジュール10Uおよび電池モジュール10Bは、着脱自在に連ねられてよい。
W相電源モジュール10Wの第1磁束通過面に対して、内側コア部材20と外側コア部材22の表面に接触または対向する第1終端コア16E1が配置されている。電池モジュール10Bの第2磁束通過面に対して、内側コア部材20と外側コア部材22の表面に接触または対向する第2終端コア16E2が配置される。
コントローラ58は、W相電源モジュール10W、V相電源モジュール10V、U相電源モジュール10Uおよび電池モジュール10Bのうちいずれかの筐体44内に収容されてよい。
一般に、2つの巻線が結合する場合、2つの巻線の間の距離が大きい程、各巻線の漏れインダクタンスが大きくなり、2つの巻線の相互インダクタンスが小さくなる。したがって、2つの電力変換モジュール間の距離が大きい程、2つの結合巻線の間の距離が大きくなり、2つの電力変換モジュールの間で伝送される電力が小さくなる。
図6および図7に示されているように、W相電源モジュール10Wの結合巻線LAと、電池モジュール10Bの結合巻線LAとの間の距離は、V相電源モジュール10Vの結合巻線LAと、電池モジュール10Bの結合巻線LAとの間の距離よりも大きい。そして、V相電源モジュール10Vの結合巻線LAと、電池モジュール10Bの結合巻線LAとの間の距離は、U相電源モジュール10Uの結合巻線LAと、電池モジュール10Bの結合巻線LAとの間の距離よりも大きい。
このような各相の結合巻線LAの位置関係において、U相電源モジュール10U、V相電源モジュール10VおよびW相電源モジュール10Wを同位相でスイッチングすると、U相電源モジュール10Uから電池モジュール10Bに伝送される電力の方が、V相電源モジュール10Vから電池モジュール10Bに伝送される電力の方が大きくなる。そして、V相電源モジュール10Vから電池モジュール10Bに伝送される電力の方が、W相電源モジュール10Wから電池モジュール10Bに伝送される電力の方が大きくなる。すなわち、電池36に供給される電力に相間ばらつきが生じてしまう。
この場合、伝送電力が最も大きいU相電源モジュール10Uの電力容量を大きくする必要が生じ、U相電源モジュール10Uを大型とする必要が生じる。これによって、電力変換装置102全体が大型となることがある。
また、U相の力率調整回路12とU相端子60Uとの間、V相の力率調整回路12とV相端子60Vとの間、および、W相の力率調整回路12とW相端子60Wとの間にはブレーカが挿入されてもよい。この場合において、電池36に供給される電力に相間ばらつきがあると、伝送電力が最も大きいU相のブレーカが遮断し易くなり、所望の電力が電池36に供給されない可能性が生じる。
そこで、コントローラ58は、U相電源モジュール10U、V相電源モジュール10V、およびW相電源モジュール10Wをスイッチングする際の各相の位相関係を、各相で伝送される電力が近付けられるように、または一致するように調整する。これによって、特定の相の回路が大型となってしまうという問題が解決される。また、ブレーカが用いられる場合には、特定の相のブレーカが遮断し易くなって、十分な電力が電池36に供給されない可能性が低くなる。
図8には、U相電源モジュール10U、V相電源モジュール10V、W相電源モジュール10Wおよび電池モジュール10Bを制御するコントローラ58の構成が示されている。コントローラ58は、減算器72、76、82、比例積分器74、78、84、加算器80および86を含む。コントローラ58は、プログラムを実行するプロセッサによって構成されてもよい。この場合、プロセッサがプログラムを実行することで、これらの構成要素(減算器72、76、82、比例積分器74、78、84、加算器80および86)が、コントローラ58に構成される。
コントローラ58は、電池36に供給される電力を電力測定器62によって測定する。電力測定値Poutが正であることは、電池36が充電されていることを意味し、電力測定値Poutが負であることは、電池36が放電していることを意味する。
コントローラ58は、電力目標値Pout*から電力測定値Poutを減算して得られる電力誤差を減算器72によって求め、電力誤差を比例積分器74によって比例積分し、U相制御値φuを求める。コントローラ58は、U相の結合巻線LAに流れる電流の測定値であるU相電流測定値Iu、V相の結合巻線LAに流れる電流の測定値であるV相電流測定値IvおよびW相の結合巻線LAに流れる電流の測定値であるW相電流測定値Iwを取得する。U相電流測定値Iu、V相電流測定値IvおよびW相電流測定値Iwは、実効値であってよい。
コントローラ58は、U相電流測定値IuからV相電流測定値Ivを減算して得られるV相電流誤差を減算器76によって求め、V相電流誤差を比例積分器78によって比例積分し、比例積分値にU相制御値φuを加算して得られるV相制御値φvを加算器80によって求める。
コントローラ58は、U相電流測定値IuからW相電流測定値Iwを減算して得られるW相電流誤差を減算器82によって求め、W相電流誤差を比例積分器84によって比例積分し、比例積分値にU相制御値φuを加算して得られるW相制御値φwを加算器86によって求める。
コントローラ58は、電池モジュール10Bのスイッチング回路14-2のスイッチング位相に対して、U相電源モジュール10Uのスイッチング回路14-1のスイッチング位相がU相制御値φuだけ進むように、電池モジュール10BおよびU相電源モジュール10Uのそれぞれのスイッチング回路を制御する。
また、コントローラ58は、電池モジュール10Bのスイッチング回路14-2のスイッチング位相に対して、V相電源モジュール10Vのスイッチング回路14-2のスイッチング位相がV相制御値φvだけ進むように、電池モジュール10BおよびV相電源モジュール10Vのそれぞれのスイッチング回路を制御する。
さらに、コントローラ58は、電池モジュール10Bのスイッチング回路14-2のスイッチング位相に対して、W相電源モジュール10Wのスイッチング回路14-2のスイッチング位相がW相制御値φwだけ進むように、電池モジュール10BおよびW相電源モジュール10Wのそれぞれのスイッチング回路を制御する。
コントローラ58が実行する制御によれば、電池36に供給される電力の不足分を表す電力誤差が大きい程、U相制御値φu、V相制御値φvおよびW相制御値φwが大きくなり、各相の電源モジュールから電池36に供給される電力が大きくなる。また、V相の電力供給量に対してU相の電力供給量が大きい程度を示すV相電流誤差が大きい程V相制御値φvが大きくなり、W相の電力供給量に対してU相の電力供給量が大きい程度を示すW相電流誤差が大きい程W相制御値φwが大きくなる。
電力変換装置102では、U相制御値φuが大きい程、U相電源モジュール10Uから電池モジュール10Bに供給される電力が大きくなる。同様に、V相制御値φvが大きい程、V相電源モジュール10Vから電池モジュール10Bに供給される電力が大きくなり、W相制御値φwが大きい程、W相電源モジュール10Wから電池モジュール10Bに供給される電力が大きくなる。したがって、コントローラ58が実行する制御によれば、U相電源モジュール10U、V相電源モジュール10VおよびW相電源モジュール10Wから電池36に供給される電力の不足分が均等に電池36に供給される。
このように、コントローラ58は、複数の電力変換モジュールのうちの負荷モジュールでない複数の電源モジュールを位相制御に基づいて制御する。ここで、負荷モジュールとは、負荷装置に接続される電力変換モジュールをいう。本実施形態においては、電池36および電池36に接続される装置(図示せず)が負荷装置に相当し、電池モジュール10Bが負荷モジュールに相当する。
位相制御は、各電源モジュールから負荷モジュールに供給される負荷電力に基づいて、各電源モジュールが備えるスイッチング回路のスイッチング位相を制御するものである。
位相制御は、複数の電源モジュールのうちの1つである基準モジュールに対する基準制御値を、目標電力と負荷電力との差異、すなわち電力目標値Pout*と電力測定値Poutとの差異に基づいて求める処理を含む。本実施形態では、U相電源モジュール10Uが基準モジュールに相当し、U相制御値φuが基準制御値に相当する。
位相制御は、複数の電源モジュールのうちの基準モジュールでない通常モジュールに流れる電流と、基準モジュールに流れる電流との差異、および基準制御値に基づいて、通常モジュールに対する制御値を求める処理を含む。本実施形態では、V相電源モジュール10VおよびW相電源モジュール10Wが通常モジュールに相当し、V相制御値φvおよびW相制御値φwが、V相電源モジュール10VおよびW相電源モジュール10Wに対する制御値に相当する。位相制御は、基準制御値に基づいて、基準モジュールが備えるスイッチング回路のスイッチング位相を制御する処理と、通常モジュールに対する制御値に基づいて、通常モジュールが備えるスイッチング回路のスイッチング位相を制御する処理を含む。
図9および図10には、電力変換装置102のシミュレーション結果が示されている。図9の横軸は時間を示し縦軸は電力を示す。電力特性90Zは電力目標値Pout*を示す。電力特性90U、90Vおよび90Wは、それぞれ、U相、V相およびW相のそれぞれから電池36に供給される電力を示す。
図10の上段には、各相の結合巻線LAの端子間電圧の時間波形が示されている。図10の下段には、各相の結合巻線LAに流れる電流の時間波形が示されている。電圧時間波形91U、91Vおよび91Wは、それぞれ、U相、V相およびW相の結合巻線LAの端子間電圧の時間波形である。電圧時間波形91Bは、電池モジュール10Bの結合巻線LAの端子間電圧の時間波形である。電圧時間波形91Wの位相は、電圧時間波形91Vの位相に対して進んでいる。そして、電圧時間波形91Vの位相は、電圧時間波形91Uの位相に対して進んでいる。
電流時間波形92U、92Vおよび92Wは、それぞれ、U相、V相およびW相の結合巻線LAに流れる電流の時間波形である。各電流の時間波形は、電圧時間波形91U、91Vおよび91Wの位相関係に応じた時間波形となっている。
図11および図12には、電力変換装置102において、U相電源モジュール10U、V相電源モジュール10VおよびW相電源モジュール10Wを、仮に同相でスイッチングした場合のシミュレーション結果が示されている。図11の横軸は時間を示し縦軸は電力を示す。電力特性93Zは電力目標値Pout*を示す。電力特性93U、93Vおよび93Wは、それぞれ、U相、V相およびW相のそれぞれから電池36に供給される電力を示す。
図12の上段には、各相の結合巻線LAの端子間電圧の時間波形が示されている。図12の下段には、各相の結合巻線LAに流れる電流の時間波形が示されている。電圧時間波形94U、94Vおよび94Wは、それぞれ、U相、V相およびW相の結合巻線LAの端子間電圧の時間波形である。電圧時間波形94Bは、電池モジュール10Bの結合巻線LAの端子間電圧の時間波形である。電圧時間波形94U、94Vおよび94Wの位相は揃っている。電流時間波形95U、95Vおよび95Wは、それぞれ、U相、V相およびW相の結合巻線LAに流れる電流の時間波形である。
図9および図11から明らかなように、本実施形態に係る電力変換装置102によれば、各相のスイッチングを同相とする場合に比べて、U相、V相およびW相のそれぞれから電池36に供給される各電力が近付けられている。すなわち、本実施形態に係る電力変換装置102では、U相電源モジュール10U、V相電源モジュール10V、およびW相電源モジュール10Wをスイッチングする際の各相の位相関係が、各相で伝送される電力が近付けられるように調整される。これによって、特定の相の回路が大型となってしまうという問題が解決される。また、各相にブレーカが設けられる場合には、特定の相のブレーカが遮断し易くなって、十分な電力が電池36に供給されない可能性が低くなる。