以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
〔一実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態に係る車載表示装置100がフロントウインドウ21に表示する虚像の一例を示す図である。図2は、本発明の一実施形態に係る車載表示装置100を搭載した自車両30の内部配置例を模式的に示す図である。図3は、本発明の一実施形態に係る車載表示装置100が備える光学系230の構成例を模式的に示す図である。
図2において、本実施形態に係る車載表示装置100は、例えば、移動体としての走行体である自車両30のダッシュボード内に設置される。ダッシュボード内の車載表示装置100から発せられる画像光である投射光Lが光透過部材としてのフロントウインドウ21で反射され、視認者である運転者20に向かって照射される。これにより、運転者20は、後述するルートナビゲーション画像等を虚像Gとして視認することができる。なお、フロントウインドウ21の内壁面に光透過部材としてのコンバイナを設置し、コンバイナによって反射する投射光Lによって運転者20に虚像Gを視認させるようにしてもよい。
フロントウインドウ21の上部に前方撮影用カメラ22及び運転者カメラ23が配置される。前方撮影用カメラ22は前方を撮影する。前方撮影用カメラ22が撮影する前方には、車載表示装置100がフロントウインドウ21に表示する表示情報及びその背景が含まれる。すなわち前方撮影用カメラ22はフロントウインドウ21に映った車載表示装置100が表示する表示情報を撮影するとともに、その背景をフロントウインドウ21越しに撮影する。前方撮影用カメラ22がフロントウインドウ21越しに撮影する背景とは、自車両30の前方環境(すなわち前方車両、路面等)である。運転者カメラ23は運転者20の視点位置を検出するために運転者20を撮影する。
本実施形態においては、運転者20から虚像Gまでの距離が5m以上になるように車載表示装置100の光学系230等が設計されている。本実施形態のように虚像Gまでの距離が5m以上であれば、従来よりも運転者20が眼球の水晶体を動かす量が減り、虚像Gへの焦点調整時間を短縮して虚像Gの内容を早期に認識できるようになる。また運転者20の眼球の疲労を軽減することができる。更には、虚像Gの内容に運転者20が気付きやすくなり、虚像Gによって運転者20へ情報を適切に提供することが容易になる。虚像Gまでの距離が5m以上であれば運転者20は眼球をほとんど輻輳運動させることなく虚像Gに焦点を合わせることができる。したがって、運動視差を利用して距離感(知覚距離の変化)や奥行き感(知覚距離の違い)を知覚させる効果が眼球の輻輳運動によって薄まってしまうことが抑制される。よって、画像の距離感や奥行き感を利用した運転者20の情報知覚効果を有効に発揮させることができる。
図3に示す車載表示装置100が備える光学系230は、赤色、緑色及び青色のレーザ光源201R,201G及び201Bと、各レーザ光源に対して設けられるコリメータレンズ202,203及び204と、2つのダイクロイックミラー205及び206とを含む。光学系230は更に、光量調整部207と、光走査部としての光走査装置208と、自由曲面ミラー209と、光発散部材としてのマイクロレンズアレイ210と、光反射部材としての投射ミラー211とを含む。また光源ユニット220では、レーザ光源201R,201G及び201B、コリメータレンズ202,203及び204、並びにダイクロイックミラー205及び206が、光学ハウジングによってユニット化されている。
レーザ光源201R,201G及び201BとしてLD(半導体レーザ素子)を利用することができる。赤色レーザ光源201Rから射出される光束の波長は例えば640nmであり、緑色レーザ光源201Gから射出される光束の波長は例えば530nmであり、青色レーザ光源201Bから射出される光束の波長は例えば445nmである。
本実施形態に係る車載表示装置100では、マイクロレンズアレイ210上に結像される中間像を自車両30のフロントウインドウ21に投射することで、その中間像の拡大画像を運転者20に虚像Gとして視認させる。レーザ光源201R,201G及び201Bから発せられる各色のレーザ光は、それぞれ、コリメータレンズ202,203及び204で略平行光とされた後、2つのダイクロイックミラー205及び206によって合成される。合成されたレーザ光は光量調整部207で光量が調整された後、光走査装置208のミラーによって偏向されることにより、自由曲面ミラー209上を二次元的に走査する。光走査装置208によって偏向されることにより自由曲面ミラー209上を二次元的に走査する走査光L'は自由曲面ミラー209で反射されて歪みを補正された後、マイクロレンズアレイ210に集光され、マイクロレンズアレイ210に中間像G'を描画する。
なお、本実施形態では、中間像G'の画素(中間像の一点)ごとの光束を個別に発散させて出射する光発散部材としてマイクロレンズアレイ210を用いているが、他の光発散部材を用いてもよい。また、中間像G'の形成方法としては、液晶ディスプレイ(LCD)や蛍光表示管(VFD)を利用した方式でもよい。ただし、大きな虚像Gを高い輝度で表示させるには、本実施形態のようにレーザ走査方式が好ましい。
本実施形態のようにレーザ走査方式によれば、虚像Gの表示領域内の非画像部分については、レーザ光源201R,201G及び201Bを消灯させることにより当該非画像部分に光が照射されることを完全に無くすことができる。よって、当該非画像部分を通じた自車両30の前方風景の視認性が車載表示装置100から照射される光によって低下する事態を回避でき、前方風景の視認性をより向上させることができる。さらに、車載表示装置100が表示する虚像Gに含まれる一部画像について部分的に輝度を高めるような表示制御を行う場合も、レーザ走査方式が好適である。
光走査装置208は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の、公知のアクチュエータ駆動システムでミラーを主走査方向及び副走査方向に傾斜動作させ、ミラーに入射するレーザ光を偏向して自由曲面ミラー209を二次元的に走査(ラスタスキャン)する。ミラーの駆動制御は、レーザ光源201R,201G及び201Bの発光タイミングに同期して行われる。なお光走査装置208は上述した構成に限らず、例えば、互いに直交する2つの軸回りをそれぞれ揺動あるいは回動する2つのミラーを含むミラー系の光走査装置であってもよい。
図4は、本発明の一実施形態に係る車載表示装置100が備える制御系250の構成例を示す図である。図4に示すように、制御系250は、FPGA(Field Programmable Gate Array)251、CPU(Central Processing Unit)252、ROM(Read-Only Memory)253、RAM(Random Access Memory)254、インタフェース(以下、I/Fという)255、バスライン256、LDドライバ257及びMEMSコントローラ258を含む。FPGA251は、LDドライバ257を用いて光源ユニット220のレーザ光源201R,201G及び201Bの動作を制御し、MEMSコントローラ258を用いて光走査装置208のMEMS208aの動作を制御する。CPU252は車載表示装置100の各機能を実現する。ROM253は、CPU252が車載表示装置100の各機能を実現するために実行する画像処理用プログラム等の各種プログラムを記憶している。RAM254はCPU252のワークエリアとして使用される。I/F255は、外部コントローラ等と通信するためのインタフェースであり、例えば、自車両30のCAN(Controller Area Network)を介して、車両ナビゲーション装置40、各種センサ50等に接続される。
また、I/F255には、自車両30の前方を撮影する前方撮影用カメラ22、すなわちフロントウインドウ21に映る、車載表示装置100が表示する表示情報を撮影するとともに、その背景をフロントウインドウ21越しに撮影する前方撮影用カメラ22が接続される。I/F255には更に、運転者20の視点位置を検出するために運転者カメラ23が接続される。制御系250は検出された運転者20の視点位置に基づいて、前方撮影用カメラ22により撮影される表示情報及びその背景の画像に対し画像処理を施すことにより、当該画像を運転者20の視点位置から見たときの画像に変換する。制御系250は例えば運転者カメラ23が撮影した運転者20の頭部の画像を画像解析することによって運転者20の視点位置を検出する。
図5は、本発明の一実施形態に係る車載表示装置100及び周辺装置の概略構成例を示す図である。本実施形態においては、虚像Gによって運転者20へ提供される運転者提供情報を取得する情報取得部として車両ナビゲーション装置40、センサ50等が設けられている。車載表示装置100は、主に、表示部の一例である光学系230と、制御部の一例である制御系250とを含む。
本実施形態に係る車両ナビゲーション装置40としては、自動車等に搭載される公知の車両ナビゲーション装置を広く利用することができる。車両ナビゲーション装置40からは、虚像Gとして表示させるルートナビゲーション画像を生成するために用いられる情報が出力され、この情報は制御系250に入力される。ルートナビゲーション画像には、例えば、図1に示すように、自車両30が走行している道路の車線(走行レーン)の数、次に進路変更(右折、左折、分岐等)すべき地点までの距離、次に進路変更する方向等の情報を示す画像が含まれている。これらの情報が車両ナビゲーション装置40から制御系250に入力される。その結果、制御系250の制御の下、車載表示装置100が、走行レーン指示画像711、車間距離提示画像712、進路指定画像721、残り距離画像722、交差点等名称画像723等のルートナビゲーション画像を虚像Gとして上段画像表示領域Aに表示する。
また、図1に示した画像例では、車載表示装置100が下段画像表示領域Bに、道路の固有情報(道路名、制限速度等)を示す画像を虚像Gとして表示する。この道路の固有情報も、車両ナビゲーション装置40から制御系250に入力される。その結果、制御系250の制御の下、車載表示装置100が、当該道路固有情報に対応する道路名表示画像701、制限速度表示画像702、追い越し禁止表示画像703等を虚像として下段画像表示領域Bに表示する。
図5のセンサ50は、自車両30の挙動、自車両30の状態、自車両30の周辺の状況等を示す各種情報を検出するための1又は2以上のセンサを含む。センサ50からは、虚像Gとして表示させる画像を生成するために用いられるセンシング情報が出力され、このセンシング情報は制御系250に入力される。例えば、図1に示した画像例では、自車両30の車速を示す車速表示画像704(図1の例では「83km/h」という文字画像)を、車載表示装置100が虚像として下段画像表示領域Bに表示する。すなわち、自車両30のCAN情報に含まれる車速情報がセンサ50から制御系250に入力され、制御系250の制御の下、車載表示装置100が当該車速を示す文字画像を虚像Gとして下段画像表示領域Bに表示する。
センサ50は、自車両30の車速を検出するセンサ以外には、例えば、(1)自車両30の周辺(前方、側方又は後方)に存在する他車両、歩行者又は建造物(ガードレールや電柱等)との距離を検出するレーザレーダ装置や撮像装置、自車両の外部環境情報(外気温、明るさ、天候等)を検出するためのセンサ、(2)運転者20の運転動作(ブレーキ操作、アクセル開閉度等)を検出するためのセンサ、(3)自車両30の燃料タンク内の燃料残量を検出するためのセンサ、(4)エンジンやバッテリー等の各種車載機器の状態を検出するセンサ等を含んでよい。センサ50が検出した情報を制御系250へ送ることで、車載表示装置100が情報を虚像Gとして表示して運転者20へ提供することができる。
次に、車載表示装置100によって表示される虚像Gについて説明する。本実施形態における車載表示装置100において、虚像Gによって運転者20へ提供される運転者提供情報は、運転者20にとって有用な情報であればどのような情報であってもよい。本実施形態では、便宜上、運転者提供情報を受動情報と能動情報とに大別する。
受動情報とは、所定の情報提供条件が満たされたタイミングで運転者20によって受動的に認知される情報である。したがって、車載表示装置100が有する設定タイミングで運転者20へ提供される情報は受動情報に含まれる。また、情報が提供されるタイミングと提供する情報の内容との間に一定の関係性を有する情報も受動情報に含まれる。受動情報としては、例えば、運転時の安全性に関わる情報、ルートナビゲーション情報等が挙げられる。運転時の安全性に関わる情報として、自車両30と先行車両350との車間距離を示す情報(車間距離提示画像712)、運転に関わる緊急性のある情報(運転者に緊急操作を指示する緊急操作指示情報等の警告情報あるいは注意喚起情報等)等がある。また、ルートナビゲーション情報は、予め設定された目的地までの走行ルートを案内するための情報であり、公知の車両ナビゲーション装置によって運転者へ提供される情報と同様の情報であってよい。ルートナビゲーション情報としては、直近の交差点で走行すべき走行レーンを指示する走行レーン指示情報(走行レーン指示画像711)や、次に直進方向から進路変更すべき交差点や分岐点での進路変更操作を指示する進路変更操作指示情報等が挙げられる。進路変更操作指示情報として、交差点等においていずれの進路をとるべきかを指定する進路指定を行う進路指定情報(進路指定画像721)、進路変更操作を行う交差点等までの残り距離を示す情報(残り距離画像722)、交差点等の名称を示す情報(交差点等名称画像723)等がある。
能動情報とは、運転者自らが決めるタイミングで運転者20によって能動的に認知される情報である。能動情報は、運転者20の希望するタイミングで運転者へ提供されれば十分な情報であり、例えば、情報が提供されるタイミングと情報の内容との間の関係性が低いか又はそのような関係性が無いような情報は能動情報に含まれる。能動情報は、運転者20の希望するタイミングで運転者20が取得する情報であることから、ある程度の長い期間あるいは常時、表示され続けるような情報である。例えば、自車両30が走行している道路の固有情報、自車両30の車速情報(車速表示画像704)、現在時刻情報等が挙げられる。道路の固有情報としては、例えば、その道路名を示す情報(道路名表示画像701)、その道路の制限速度等の規制内容を示す情報(制限速度表示画像702、追い越し禁止表示画像703)等、当該道路に関わる情報として運転者20にとって有用なものが挙げられる。
本実施形態では、このように大別される受動情報と能動情報とを、虚像Gを表示可能なそれぞれ対応する表示領域に表示する。具体的には、本実施形態では、車載表示装置100が虚像を表示する領域として上下方向に並んだ2つの表示領域を設定する。これらのうちの上段画像表示領域Aには主に受動情報に対応する受動情報画像を表示し、下段画像表示領域Bには主に能動情報に対応する能動情報画像を表示する。なお、能動情報画像の一部を上段画像表示領域Aに表示させる場合には、上段画像表示領域Aに表示される受動情報画像の視認性を優先する態様で能動情報画像を表示する。
また、本実施形態においては、車載表示装置100が表示する虚像Gとして、立体視を用いて表現された立体視画像を用いる。具体的には、車載表示装置100が虚像を表示する上段画像表示領域Aに表示される車間距離提示画像712及び走行レーン指示画像711として、遠近法により表現される遠近法画像を用いる。
詳しくは、車間距離提示画像712に含まれる5本の横線の長さを上側に向かうほど短くなるように表示する。すなわち車間距離提示画像712を、1つの消失点に向かうように透視図法により作図された遠近法画像としている。特に、本実施形態では、その消失点が運転者20の注視点近傍に定まるように車間距離提示画像712が形成される。その結果、運転中の運転者20に車間距離提示画像712の奥行き感を知覚させやすい。また、本実施形態では、更に、遠近法画像としての車間距離提示画像712を、横線の太さが上側に向かうほど細くなり、あるいは横線の輝度が上側に向かうほど低くなる態様で表示する。その結果、運転中の運転者20は、車間距離提示画像712の奥行き感を更に知覚しやすくなる。
(車載表示装置100の機能構成)
図6は、本発明の一実施形態に係る車載表示装置100の機能構成を示す図である。図6に示す車載表示装置100は、図1~図5を参照して説明したように、自動車等の車両(自車両30)に搭載される装置である。
車載表示装置100は、自車両30の周囲に存在する移動体を検出し、当該移動体の移動方向およびリスク度を表す画像を、車室内の運転者による視認可能な位置(例えば、フロントウインドウ)に表示することができる。なお、車載表示装置100によって検出される移動体としては、他車両、人物、動物等が挙げられる。
図6に示すように、車載表示装置100は、車両情報取得部102、環境情報取得部104、移動体検出部111、移動方向特定部112、リスク度判定部113、走行車線検出部114、画像生成部115、視点位置検出部116、表示制御部117、およびヘッドアップディスプレイ120を備える。
車両情報取得部102は、自車両30に関する情報(以下、「自車両情報」と示す)を取得する。例えば、車両情報取得部102は、自車両30が備えるECU(Electronic Control Unit)から、CAN(Controller Area Network)を介して、自車両情報を取得する。車両情報取得部102によって取得される自車両情報としては、例えば、車速情報、ハンドル操舵角情報等が挙げられる。
環境情報取得部104は、自車両30の周辺の環境に関する情報(以下、「環境情報」と示す)を取得する。例えば、環境情報取得部104は、環境情報の一例として、前方撮影用カメラ22によって撮像された自車両30の前方の画像(以下、「前方画像」と示す)を取得する。また、例えば、環境情報取得部104は、環境情報の一例として、自車両30に搭載された距離センサ(図示省略)によって検出された、自車両30の前方の物体までの距離を表す距離情報を取得する。なお、環境情報取得部104は、少なくとも一部の環境情報を、車両の外部(例えば、他車両、周辺設置物等)から、無線通信を介して取得してもよい。例えば、環境情報取得部104は、移動体の位置情報、移動体の進行方向情報等を、他車両、周辺設置物等から無線通信を介して取得してもよい。
移動体検出部111は、環境情報取得部104によって取得された環境情報に基づいて、自車両30の周辺に存在する移動体を検出する。例えば、移動体検出部111は、環境情報取得部104によって取得された自車両30の前方の画像(すなわち、前方撮影用カメラ22によって撮像された自車両30の前方の画像。以下、「前方画像」と示す)に対して、公知の画像認識処理を行うことにより、自車両30の周辺に存在する移動体(例えば、他車両、人物等)を検出する。但し、この方法に限らず、移動体検出部111は、その他の情報(例えば、距離センサによって取得された距離情報、外部から無線通信を介して取得された移動体の位置情報等)に基づいて、自車両30の周辺に存在する移動体を検出してもよい。これにより、移動体検出部111は、前方画像に写し出されていない移動体についても、検出することができる。
移動方向特定部112は、環境情報取得部104によって取得された環境情報に基づいて、移動体検出部111によって検出された移動体の移動方向を特定する。例えば、移動体検出部111は、環境情報取得部104によって時系列に取得された複数の前方画像における、移動体の位置や大きさなどの変化に基づいて、移動体の移動方向を特定する。但し、この方法に限らず、移動方向特定部112は、その他の情報(例えば、距離センサによって取得された距離情報、外部から無線通信を介して取得された移動体の進行方向情報等)に基づいて、移動体の移動方向を特定してもよい。これにより、移動体検出部111は、前方画像に写し出されていない移動体についても、移動方向を特定することができる。また、移動方向特定部112は、自車両30に対する移動体の相対的な移動方向を、他車両の移動方向として特定してもよい。例えば、自車両30の前方を走行中の他車両が停止して、当該他車両が自車両30に接近してくる場合、移動方向特定部112は、他車両が自車両30に向ってくる方向を、他車両の移動方向として特定してもよい。
リスク度判定部113は、環境情報取得部104によって取得された環境情報等に基づいて、移動体検出部111によって検出された移動体のリスク度を判定する。例えば、リスク度判定部113は、移動体検出部111によって検出された移動体の位置が、運転者によって視認され難い位置である場合(例えば、前方の車両や障害物等によって隠れた位置である場合)、当該移動体のリスク度を高く判定する。また、例えば、リスク度判定部113は、移動体検出部111によって検出された移動体が、自車両30に近接している場合、当該移動体のリスク度を高く判定する。但し、これらの方法に限らず、リスク度判定部113は、その他のリスク要因(例えば、移動体の速度、移動体の動き、移動体の種別、天候、時間帯、走行場所等)に基づいて、移動体のリスク度を判定してもよい。
走行車線検出部114は、環境情報取得部104によって取得された環境情報に基づいて、移動体検出部111によって検出された移動体(他車両)の走行車線を検出する。例えば、走行車線検出部114は、環境情報取得部104によって取得された前方画像から、公知の画像認識技術を用いて、複数の走行車線(例えば、自車両30の走行車線、自車両30の走行車線と並行する他の走行車線、反対車線等)を検出する。そして、走行車線検出部114は、移動体検出部111によって検出された移動体の位置情報等に基づいて、前方画像から検出された複数の走行車線の中から、移動体(他車両)の走行車線を検出する。
画像生成部115は、移動方向特定部112によって特定された移動体の移動方向に基づいて、当該移動方向を表す画像(以下、「移動方向画像」と示す)を生成する。例えば、画像生成部115は、自車両30の運転者の視点位置から見た移動体の移動方向を表す矢印の図形を用いた画像を、移動方向画像として生成する。ここで、画像生成部115は、リスク度判定部113によって判定されたリスク度に応じた、色、形状、サイズ、および動きの少なくともいずれか一つを有する、移動方向画像を生成することができる。これにより、画像生成部115は、移動体のリスク度を、運転者に対して視覚的に容易に把握させることが可能な、移動方向画像を生成することができる。例えば、画像生成部115は、リスク度が「中度」である場合、「注意」を意味する黄色の矢印の図形を用いた移動方向画像を生成し、リスク度が「高度」である場合、「危険」を意味する赤色の矢印の図形を用いた移動方向画像を生成する。また、画像生成部115は、走行車線検出部114によって検出された走行車線の形状に応じた、移動方向画像を生成することができる。すなわち、画像生成部115は、自車両30に近づくにつれて徐々に横幅が大きくなる移動方向画像を生成することができる。
視点位置検出部116は、環境情報取得部104によって取得された環境情報に基づいて、公知の方法を用いて、自車両30の運転者の視点位置を検出する。例えば、視点位置検出部116は、カメラによって撮像された車室内の画像から、公知の画像認識技術を用いて、自車両30の運転者の目を画像認識し、画像認識された目の位置を、自車両30の運転者の視点位置として検出する。
表示制御部117は、画像生成部115によって生成された移動方向画像を、ヘッドアップディスプレイ120(光学系230)を用いて、運転者による視認可能な位置(自車両30のフロントウインドウ、または、運転者の前方に設けられた透明板)に表示する。
ここで、表示制御部117は、画像生成部115によって生成された移動方向画像を、視点位置検出部116によって検出された自車両30の運転者の視点位置に基づいて、自車両30の運転者から見て、移動体検出部111によって検出された移動体の走行車線と重なる位置に表示することができる。加えて、表示制御部117は、画像生成部115によって生成された移動方向画像を、移動体検出部111によって検出された移動体よりも、当該移動体の移動方向側に表示することができる。
例えば、表示制御部117は、自車両30の前方(すなわち、自車両30の走行車線と同車線)を走行中の他車両が停止して、当該他車両が自車両30に接近してくる場合、画像生成部115によって生成された移動方向画像を、運転者から見て、自車両30の走行車線と重なる位置、且つ、他車両の後方に表示することができる。
また、例えば、表示制御部117は、反対車線を走行中の他車両が、自車両30に接近してくる場合、画像生成部115によって生成された移動方向画像を、運転者から見て、反対車線と重なる位置、且つ、他車両の前方に表示することができる。
なお、表示制御部117は、車両情報取得部102によって取得された各種自車両情報(例えば、車速情報、ハンドル操舵角情報等)、および、環境情報取得部104によって取得された各種環境情報を、ヘッドアップディスプレイ120(光学系230)を用いて、車両のフロントウインドウ(または、透明板)に表示することもできる。
本実施形態では、表示装置の一例として、ヘッドアップディスプレイ120(光学系230)を用いているが、これに限らない。例えば、表示装置として、メータパネル、ナビゲーション装置等を用いてもよい。また、表示装置は、車載表示装置100の本体に一体的に設けられたものであってもよく、車載表示装置100の本体に外部接続されたものであってもよい。
なお、車載表示装置100は、図4に示すように、CPU252、ROM253、RAM254等を備えたコンピュータを有する。そして、車載表示装置100は、CPU252が、RAM254を記憶領域として用いて、ROM253に格納されたプログラムを実行することにより、上記各機能を実現する。
また、車載表示装置100の上記複数の機能は、物理的に1台の装置によって実現されてもよく、物理的に複数台の装置によって実現されてもよい。また、上記複数の機能のうちの一部は、他の装置(例えば、ECU、外部サーバ等)に設けられたものを利用することによって実現されてもよい。
(車載表示装置100による処理の手順)
図7は、本発明の一実施形態に係る車載表示装置100による処理の手順を示すフローチャートである。
まず、環境情報取得部104が、各種環境情報を取得する(ステップS701)。次に、移動体検出部111が、ステップS701で取得された環境情報に基づいて、自車両30の周辺に存在する移動体を検出するための検出処理を行う(ステップS702)。そして、移動体検出部111が、ステップS702の検出処理において、移動体が検出されたか否かを判断する(ステップS703)。
ステップS703において、移動体が検出されなかったと判断された場合、(ステップS703:No)、車載表示装置100は、図7に示す一連の処理を終了する。
一方、ステップS703において、移動体が検出されたと判断された場合、(ステップS703:Yes)、移動方向特定部112が、ステップS701で取得された環境情報に基づいて、ステップS702の検出処理で検出された移動体の移動方向を特定する(ステップS704)。
また、リスク度判定部113が、ステップS701で取得された環境情報等に基づいて、ステップS702の検出処理で検出された移動体のリスク度を判定する(ステップS705)。
そして、リスク度判定部113が、ステップS705で判定されたリスク度が所定の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS706)。
ステップS706において、リスク度が所定の閾値以上ではないと判断された場合、(ステップS706:No)、車載表示装置100は、図7に示す一連の処理を終了する。
一方、ステップS706において、リスク度が所定の閾値以上であると判断された場合、(ステップS706:Yes)、走行車線検出部114が、ステップS701で取得された環境情報に基づいて、移動体検出部111によって検出された移動体(他車両)の走行車線を検出する(ステップS707)。
また、視点位置検出部116が、ステップS701で取得された環境情報に基づいて、公知の方法を用いて、自車両30の運転者の視点位置を検出する(ステップS708)。
そして、画像生成部115が、ステップS704で特定された移動体の移動方向と、ステップS708で検出された自車両30の運転者の視点位置とに基づいて、移動体の移動方向を表す移動方向画像を生成する(ステップS709)。この際、画像生成部115は、ステップS705で判定されたリスク度に応じた、移動方向画像を生成することができる。また、画像生成部115は、ステップS707で検出された走行車線の形状に応じた、移動方向画像を生成することができる。
さらに、表示制御部117が、ステップS709で生成された移動方向画像を、ヘッドアップディスプレイ120(光学系230)を用いて、運転者による視認可能な位置(自車両30のフロントウインドウ、または、運転者の前方に設けられた透明板)に表示する(ステップS710)。この際、表示制御部117は、ステップS708で生成された移動方向画像を、運転者から見て、ステップS707で検出された移動体の走行車線と重なる位置、且つ、移動体よりも当該移動体の移動方向側に表示する。その後、車載表示装置100は、図7に示す一連の処理を終了する。
(移動方向画像の表示例)
図8は、本発明の一実施形態に係る車載表示装置100による移動方向画像の第1表示例を示す図である。図9は、本発明の一実施形態に係る車載表示装置100による移動方向画像の第2表示例を示す図である。図10は、本発明の一実施形態に係る車載表示装置100による移動方向画像の第3表示例を示す図である。
<第1表示例~第3表示例の共通点>
図8~図10は、自車両30の運転者から自車両30のフロントウインドウ越しに見た、自車両30の前方の景色を表している。
図8~図10に示す例では、自車両30が、走行車線801,802と反対車線803とを有する道路において、走行車線802を走行している。
また、図8~図10に示す例では、走行車線802における自車両30の前方に、他車両811が走行している。
また、図8~図10に示す例では、自車両30の前方において、他車両811が交差点で停止しており、相対的に他車両811が自車両30に接近してくる。
また、図8~図10に示す例では、反対車線803に他車両812が走行している。
また、図8~図10に示す例では、走行車線検出部114によって、前方撮影用カメラ22によって撮像された前方画像等に基づいて、走行車線801,802と、反対車線803とが検出されている。
<第1表示例>
図8に示す第1表示例では、車載表示装置100は、自車両30の前方を走行する他車両811を検出して、他車両811の移動方向およびリスク度を表す移動方向画像821を表示する。
例えば、図8に示す第1表示例では、移動体検出部111によって、自車両30の周辺に存在する移動体として、他車両811が検出されている。
また、図8に示す第1表示例では、相対的に他車両811が自車両30に接近してくることに伴い、リスク度判定部113によって、他車両811のリスク度が、所定の閾値よりも高いリスク度である「中度」に判定されている。
このため、図8に示す第1表示例では、自車両30のフロントウインドウには、ヘッドアップディスプレイ120(光学系230)によって、他車両811の移動方向(自車両30に接近してくる方向)およびリスク度(「中度」)を表す、移動方向画像821が表示されている。
ここで、移動方向画像821は、リスク度判定部113によって判定された他車両811のリスク度が「中度」であるために、「注意」を意味する黄色の矢印の図形が用いられている。
また、移動方向画像821は、自車両30の運転者から見て、自車両30のフロントウインドウにおける、走行車線802と重なる位置、且つ、他車両811よりも他車両811の移動方向側(他車両811の後方)に表示されている。
車載表示装置100は、このように移動方向画像821を表示することにより、自車両30の運転者に対して、他車両811のリスク度が「中度」であること、および、他車両811が自車両30に接近してくることを、視覚的に容易に把握させることができる。
<第2表示例>
図9に示す第2表示例では、車載表示装置100は、反対車線803を走行する他車両812を検出して、他車両812の移動方向およびリスク度を表す移動方向画像822を表示する。
例えば、図9に示す第2表示例では、移動体検出部111によって、自車両30の周辺に存在する移動体として、他車両812が検出されている。但し、図9に示す第2表示例では、他車両812は、他車両811によって隠されているため、自車両30の運転者から視認できない。
また、図9に示す第2表示例では、他車両812が自車両30に接近してくること、且つ、他車両812が自車両30の運転者から視認できない位置にあることに伴い、リスク度判定部113によって、他車両812のリスク度が、所定の閾値よりも高いリスク度である「高度」に判定されている。
このため、図9に示す第2表示例では、自車両30のフロントウインドウには、ヘッドアップディスプレイ120(光学系230)によって、他車両812の移動方向(自車両30に接近してくる方向)およびリスク度(「高度」)を表す、移動方向画像822が表示されている。
ここで、移動方向画像822は、リスク度判定部113によって判定された他車両812のリスク度が「高度」であるために、「危険」を意味する赤色の矢印の図形が用いられている。
また、移動方向画像822は、自車両30の運転者から見て、自車両30のフロントウインドウにおける、反対車線803と重なる位置、且つ、他車両812よりも他車両812の移動方向側(他車両812の前方)に表示されている。
車載表示装置100は、このように移動方向画像822を表示することにより、自車両30の運転者に対して、他車両812のリスク度が「高度」であること、および、他車両812が自車両30に接近してくることを、視覚的に容易に把握させることができる。
<第3表示例>
図10に示す第3表示例では、車載表示装置100は、図8に示す第1表示例と同様に、自車両30の前方を走行する他車両811を検出して、他車両811の移動方向およびリスク度(「中度」)を表す、黄色の矢印図形を用いた移動方向画像821を、走行車線802と重なる位置に表示する。同時に、車載表示装置100は、図9に示す第2表示例と同様に、反対車線803を走行する他車両812を検出して、他車両812の移動方向およびリスク度(「高度」)を表す、赤色の矢印図形を用いた移動方向画像822を、反対車線803と重なる位置に表示する。
車載表示装置100は、このように移動方向画像821,822を表示することにより、自車両30の運転者に対して、他車両811と他車両812とが自車両30に接近してくること、他車両811のリスク度が「中度」であること、および、他車両812のリスク度が他車両811のリスク度よりも高い「高度」であることを、視覚的に容易に把握させることができる。
なお、第1表示例~第3表示例において、画像生成部115は、他車両811,812のリスク度に応じた、色、形状、サイズ、およびアニメーション効果(例えば、点滅、輝度変化、色変換、形状変化等)の少なくともいずれか一つを有する、移動方向画像821,822を生成してもよい。画像生成部115は、この場合、リスク度「高度」を表す移動方向画像822の視覚的効果が、リスク度「中度」を表す移動方向画像821の視覚的効果よりも高くなるように、移動方向画像821,822を生成することが好ましい。
以上説明したように、一実施形態に係る車載表示装置100は、自車両30の周辺に存在する移動体を検出する移動体検出部111と、移動体検出部111によって検出された移動体の走行車線を検出する走行車線検出部114と、移動体検出部111によって検出された移動体の移動方向を特定する移動方向特定部112と、移動方向特定部112によって特定された移動方向を表す画像を生成する画像生成部115と、画像生成部115によって生成された移動方向を表す移動方向画像を、ヘッドアップディスプレイ120によって、自車両30の運転者から見て、走行車線検出部114によって検出された移動体の走行車線と重なる位置に表示する表示制御部117とを備える。
これにより、一実施形態に係る車載表示装置100は、自車両30の運転者に対して、リスクを有する移動体の走行車線および移動方向を、視覚的に容易に把握させることができる。したがって、一実施形態に係る車載表示装置100によれば、車両の運転者に適切なリスクの回避行動を行わせることができる。
また、一実施形態に係る車載表示装置100は、移動体のリスク度を判定するリスク度判定部113をさらに備え、画像生成部115は、リスク度判定部113によって判定された移動体のリスク度に応じた、色、形状、サイズ、および動きの少なくともいずれか一つを有する、移動方向画像を生成する。
これにより、一実施形態に係る車載表示装置100は、自車両30の運転者に対して、リスクを有する移動体のリスク度を、視覚的に容易に把握させることができる。したがって、一実施形態に係る車載表示装置100によれば、車両の運転者に適切なリスクの回避行動を行わせることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。