JP7544487B2 - シーリング材組成物 - Google Patents

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Description

本発明はシーリング材組成物に関する。
従来、シーリング材は、建築物等において各種部材間の接合部や隙間を充填し、水密性又は気密性等を確保する目的で幅広く使用されている。
シーリング材としては、特許文献1には、耐久性、硬化後の接着性を低下することなく、シーリング材の施工時にスリップ現象が生じにくいシーリング材組成物の提供を目的として、分子内に加水分解性シリル基を有し、その主鎖骨格がポリアルキレンエーテル、又は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体である重合体(A)100重量部に対し、
分子内に水酸基を含有するシリコーン系界面活性剤(B)0.1~5重量部、
脂肪酸系、樹脂酸系、又は脂肪酸エステル系表面処理剤で表面処理された平均粒子径が0.05μm以下0.01μm以上である炭酸カルシウム(C)40~100重量部、
疎水性シリカ(D)1~10重量部、
硬化触媒(E)0.5~15重量部
を含有する、シーリング材組成物が記載されている。
特開2012-57002号公報
本発明者らは特許文献1を参考にして、プラスチックバルーン(樹脂中空体)を含有するシーリング材組成物を調製しこれを評価したところ、このような組成物は、作業性が低い(例えば垂れやすい)場合又は耐久性が低い場合があることが明らかとなった。
また、シーリング材が2成分型である場合、2成分を混合して混合物(シーリング材)を得、上記シーリング材を硬化させた後、シーリング材の表面にアバタ(シーリング材の表面における部分的な凹凸の状態を指す。クレーターともいう。)が発生することがある。上記のようなアバタの発生は、上記のように2成分を混合してシーリング材を得る際に、上記シーリング材に空気の気泡が混入すること、及び/又は、シーリング材に混入した空気がシーリング材の表面から抜けてシーリング材の表面が凹むこと等が、その理由として挙げられる。
そこで、本発明は、アバタが目立ちにくく意匠性に優れ、かつ、耐久性に優れ、より好ましい実施形態においては作業性がより優れるシーリング材組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、シーリング材のアバタの問題点について、シーリング材組成物に樹脂バルーン(樹脂中空体)を特定の範囲の量で含有させることによって、シーリング材の表面にアバタが発生しても、アバタが目立ちにくくなるとともに、耐久性に優れ、より好ましい実施形態においては作業性がより優れることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
[1] 加水分解性シリル基を有する重合体(A)100質量部に対して、
樹脂中空体(B)0.1~10質量部、
炭酸カルシウム(C)100~300質量部、及び
二酸化ケイ素(D)0.1~10質量部を含有する、シーリング材組成物。
[2] 上記樹脂中空体(B)が、炭酸カルシウムを被覆させた、アクリルニトリル系共重合体の中空体を含み、
上記樹脂中空体(B)の平均粒子径が、80~150μmである、[1]に記載のシーリング材組成物。
[3] 上記炭酸カルシウム(C)の平均粒子径は、0.01~5.00μmである、[1]又は[2]に記載のシーリング材組成物。
[4] 上記炭酸カルシウム(C)は、表面処理された炭酸カルシウム(c-2)を含む、[1]~[3]のいずれかに記載のシーリング材組成物。
[5] 上記二酸化ケイ素(D)は、親水性の二酸化ケイ素であり、
上記二酸化ケイ素(D)の平均粒子径が、10~20μmである、[1]~[4]のいずれかに記載のシーリング材組成物。
本発明のシーリング材は、アバタが目立ちにくく意匠性に優れ、かつ、耐久性に優れ、より好ましい実施形態においては作業性がより優れる
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルはアクリル又はメタクリルを表す。
また、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその製造方法について特に制限されない。例えば、従来公知の方法が挙げられる。また、各成分として市販品を使用することができる。
本明細書において、アバタが目立ちにくく意匠性に優れることを単に「意匠性に優れる」という場合がある。また、上記意匠性、作業性、及び耐久性のうちの少なくとも1つがより優れることを、「本発明の効果がより優れる」ということがある。
本明細書において、加水分解性シリル基を有する重合体(A)を単に「重合体(A)」又は「成分(A)」と称する場合がある。樹脂中空体(B)を単に「成分(B)」と称する場合がある。炭酸カルシウム(C)、二酸化ケイ素(D)についても同様である。
[シーリング材組成物]
本発明のシーリング材組成物(本発明の組成物)は、
加水分解性シリル基を有する重合体(A)100質量部に対して、
樹脂中空体(B)0.1~10質量部、
炭酸カルシウム(C)100~300質量部、及び
二酸化ケイ素(D)0.1~10質量部を含有する、シーリング材組成物である。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
<<重合体(A)>>
本発明の組成物は、加水分解性シリル基を有する重合体(A)を含有する。
重合体(A)は上記加水分解性シリル基の加水分解及び縮合によって例えばシロキサン結合を形成することができる。
<加水分解性シリル基>
重合体(A)は、分子内に加水分解性シリル基を有する。上記加水分解性シリル基は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有する。上記加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基が挙げられる。中でも、本発明の効果により優れるという観点から、アルコキシ基が好ましい。上記加水分解性基としてアルコキシ基を有する加水分解性シリル基をアルコキシシリル基と称する場合がある。
なお、上記加水分解性基の一部が加水分解し、シラノール基となってもよい。
上記加水分解性シリル基としては、例えば、下記式(1)で表される基が挙げられる。
-SiR1 3-a(OR2 (1)
式(1)中、R1 2はそれぞれ独立に炭化水素基を表し、aは1~3を表す。
1 2としての炭化水素基は特に制限されない。例えば、脂肪族炭化水素基(直鎖状、分岐状若しくは環状)、芳香族炭化水素基又はこれらの組み合わせが挙げられる。
1は、脂肪族炭化水素基又はフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基であることが更に好ましい。
2は脂肪族炭化水素基が好ましい。OR2は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基であるのがより好ましく、メトキシ基が更に好ましい。
aは、本発明の効果がより優れるという観点から、2~3が好ましく、2がより好ましい。
(主鎖)
重合体(A)の主鎖は、本発明の効果により優れるという観点から、骨格が少なくとも炭素を有する有機重合体であることが好ましい。
重合体(A)の主鎖としては、例えば、ポリエーテル系重合体(例えばポリオキシアルキレン)、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、エーテル/エステル共重合体、エチレン性不飽和化合物の重合体、ジエン系化合物の重合体が挙げられる。
上記加水分解性シリル基は上記主鎖の末端又は側鎖に結合することができる。上記加水分解性シリル基は上記主鎖に直接又は有機基を介して結合することができる。上記有機基は特に制限されない。
重合体(A)は、本発明の効果により優れるという観点から、加水分解性シリル基を有する、ポリエーテル系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、エーテル/エステル共重合体、エチレン性不飽和化合物の重合体又はジエン系化合物の重合体が好ましく、加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体がより好ましく、加水分解性シリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体が更に好ましく、アルコキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体が特に好ましい。
重合体(A)としては、市販品を用いてもよい。重合体(A)のうち、加水分解性シリル基を有するポリエーテルとしては、いわゆる「変成シリコーン」と呼ばれるものが市販されている。このような市販品としては、MSP-S203、S303、S810(商品名、カネカ社製)、ES-S2410、ES-S2420、ES-S3430、ES-S3630、ES-S2730C(商品名、旭硝子社製)等が挙げられる。
重合体(A)のうち、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体の市販品としては、例えば、SA100S、SA310S、XX009S(商品名、カネカ社製)等が挙げられる。
<<樹脂中空体(B)>>
本発明の組成物は、樹脂中空体(B)を含有する。
本発明の組成物は樹脂中空体(B)を含有することによって、上記意匠性に優れる。
樹脂中空体(B)は、外殻が樹脂によって構成され、内部が空洞であることが好ましい態様として挙げられる。
樹脂中空体(B)の外殻の材料としては、例えば、フェノール樹脂;尿素樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニリデン;アクリロニトリル系共重合体(例えば、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとの共重合体、アクリロニトリル及びアクリロニトリルと共重合可能な、ブタジエン、スチレンのようなビニル系モノマーの共重合体等)のような熱可塑性樹脂等が挙げられる。
樹脂中空体(B)は、本発明の効果により優れ、耐候性に優れるという観点から、アクリロニトリル系共重合体の中空体を含むことが好ましい。
上記樹脂中空体(B)は、その表面がフィラーで被覆されていてもよい。上記フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンが挙げられる。
上記樹脂中空体(B)は、本発明の効果により優れ、耐候性に優れるという観点から、上記フィラーで被覆されていることが好ましく、炭酸カルシウムで被覆されていることがより好ましく、炭酸カルシウムを被覆させた、アクリルニトリル系共重合体の中空体を含むことが更に好ましい。
なお、樹脂中空体(B)が炭酸カルシウムで被覆されている樹脂中空体である場合、上記樹脂中空体を被覆する炭酸カルシウムは、後述する炭酸カルシウム(C)に含まれない。
また、樹脂中空体(B)を被覆しうる上記フィラーは、後述する二酸化ケイ素(D)を含まない。
(樹脂中空体(B)の平均粒子径)
樹脂中空体(B)の平均粒子径は、本発明の効果により優れるという観点から、80~150μmであることが好ましく、100~140μmであることがより好ましい。
本発明において、樹脂中空体(B)の平均粒子径は、レーザー回折法により測定することができる。
なお、本発明において、樹脂中空体(B)としての樹脂中空体の平均粒子径が(例えばA~Bμmのように)数値範囲で表示される場合には、上記樹脂中空体(B)の平均粒子径の数値範囲の中央値(つまり(A+B)/2)を樹脂中空体(B)の平均粒子径として取り扱うことができる。
樹脂中空体(B)としての樹脂中空体の平均粒子径が数値範囲で表示される場合、上記樹脂中空体(B)の平均粒子径(上記中央値)は、本発明の効果により優れるという観点から、80~150μmであることが好ましく、100~140μmであることがより好ましく、115~130μmが更に好ましい。
(樹脂中空体(B)の真比重)
樹脂中空体(B)の真比重は、本発明の効果により優れるという観点から、0.05~0.35g/cm3が好ましく、0.07~0.12g/cm3がより好ましい。
本発明において、樹脂中空体(B)の真比重とは、樹脂中空体を微粉砕して得られた、樹脂中空体の外殻のみから求めた比重を指す。
樹脂中空体(B)の真比重は、例えば、気体置換型ピクノメーター法(定容積膨張法)により、島津製作所製乾式自動密度計アキュピック1330(商品名)等を使用し、測定することが可能である。
なお、本発明において、樹脂中空体(B)としての樹脂中空体の真比重が(例えばC~Dg/cm3のように)数値範囲で表示される場合には、上記樹脂中空体(B)の真比重の数値範囲の中央値(つまり(C+D)/2)を樹脂中空体(B)の真比重として取り扱うことができる。
樹脂中空体(B)としての樹脂中空体の真比重が数値範囲で表示される場合、樹脂中空体(B)の真比重(上記中央値)は、本発明の効果により優れるという観点から、0.05~0.35g/cm3が好ましく、0.07~0.12g/cm3がより好ましく、0.10~0.12g/cm3が更に好ましい。
<樹脂中空体(B)の含有量>
本発明において、樹脂中空体(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、0.1~10質量部である。
成分(B)の含有量が上記範囲であることによって、本発明は意匠性、作業性、耐久性に優れる。
成分(B)の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、重合体(A)100質量部に対して、5~10質量部が好ましく、8~10質量部がより好ましい。
なお、樹脂中空体(B)がフィラーで被覆されている場合、成分(B)の含有量は、上記フィラーを含んだ量を指す。
<<炭酸カルシウム(C)>>
本発明の組成物は、炭酸カルシウム(C)(成分(C))を含有する。
本発明の組成物は成分(C)を含有することによって、作業性に優れる。
成分(C)は特に制限されない。例えば、未処理の炭酸カルシウム(c-1)又は表面処理された炭酸カルシウム(c-2)が挙げられる。
なお、未処理の炭酸カルシウムは、表面処理がされていない炭酸カルシウムを指す。
炭酸カルシウムを表面処理するために用いられる表面処理剤は特に制限されない。表面処理剤は、本発明の効果により優れ、組成物の混合性に優れるという観点から、脂肪酸、樹脂酸及び脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、脂肪酸を含むことがより好ましい。
上記脂肪酸は特に制限されない。例えば、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸;オレイン酸、エライジン酸、リノーリ酸、リシノール酸などの不飽和脂肪酸が挙げられる。
(炭酸カルシウム(C)の平均粒子径)
炭酸カルシウム(C)の平均粒子径は、本発明の効果により優れ、組成物の混合性に優れるという観点から、0.01~5.00μmであることが好ましく、0.01~1.00μmがより好ましく、0.01~0.1μmが更に好ましい。
本発明において、炭酸カルシウム(C)の平均粒子径は、電子顕微鏡によって観察される一次粒子径の平均値を指す。
成分(C)が未処理の炭酸カルシウム(c-1)を含む場合、未処理の炭酸カルシウム(c-1)の平均粒子径は、本発明の効果により優れ、組成物の混合性に優れるという観点から、0.01~5.00μmであることが好ましく、0.05~3.0μmがより好ましく、0.5~3.0μmが更に好ましい。
成分(C)が表面処理された炭酸カルシウム(c-2)を含む場合、表面処理された炭酸カルシウム(c-2)の平均粒子径は、本発明の効果により優れ、組成物の混合性に優れるという観点から、0.01~5.00μmであることが好ましく、0.01~1.00μmがより好ましく、0.01~0.1μmが更に好ましい。
<炭酸カルシウム(C)の含有量>
本発明において、炭酸カルシウム(C)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、100~300質量部である。
成分(C)の含有量が上記範囲であることによって、本発明は作業性、意匠性に優れ、作業性に優れる。
成分(C)の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、重合体(A)100質量部に対して、100~200質量部が好ましく、100~180質量部がより好ましく、120~150質量部が更に好ましい。
炭酸カルシウム(C)は、本発明の効果により優れるという観点から、未処理の炭酸カルシウム(c-1)及び/又は表面処理された炭酸カルシウム(c-2)を含むことが好ましく、表面処理された炭酸カルシウム(c-2)を含むことがより好ましく、未処理の炭酸カルシウム(c-1)及び表面処理された炭酸カルシウム(c-2)を含むことが更に好ましい。
上記炭酸カルシウム(C)が表面処理された炭酸カルシウム(c-2)を含む場合、本発明の効果により優れるという観点から、上記炭酸カルシウム(C)は、表面処理され、平均粒子径が0.05~1.0μmである炭酸カルシウム(c-2-1)、及び/又は、表面処理され、平均粒子径が0.01μm以上0.05μm未満である炭酸カルシウム(c-2-2)を含むことが好ましく、上記炭酸カルシウム(c-2-1)及び炭酸カルシウム(c-2-2)を含むことがより好ましい。
上記炭酸カルシウム(c-2-1)の平均粒子径は、本発明の効果により優れるという観点から、0.07~1.0μmが好ましい。
上記炭酸カルシウム(c-2-2)の平均粒子径は、本発明の効果により優れるという観点から、0.01~0.04μmが好ましい。
上記炭酸カルシウム(C)が上記炭酸カルシウム(c-2-1)及び上記炭酸カルシウム(c-2-2)を含む場合、上記炭酸カルシウム(c-2-2)に対する上記炭酸カルシウム(c-2-1)の質量比(炭酸カルシウム(c-2-1)/炭酸カルシウム(c-2-2))は、本発明の効果により優れるという観点から、1.0~4.0が好ましく、1.5~3.0がより好ましい。
炭酸カルシウム(C)が未処理の炭酸カルシウム(c-1)及び表面処理された炭酸カルシウム(c-2)を含む場合、表面処理された炭酸カルシウム(c-2)の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、重合体(A)100質量部に対して、100質量部以上が好ましく、100~200質量部がより好ましく、100~150質量部が更に好ましい。
炭酸カルシウム(C)が未処理の炭酸カルシウム(c-1)及び表面処理された炭酸カルシウム(c-2)を含む場合、未処理の炭酸カルシウム(c-1)の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、重合体(A)100質量部に対して、100質量部以上が好ましく、100~200質量部がより好ましく、100~150質量部が更に好ましい。
炭酸カルシウム(C)が未処理の炭酸カルシウム(c-1)及び表面処理された炭酸カルシウム(c-2)を含む場合、未処理の炭酸カルシウム(c-1)と表面処理された炭酸カルシウム(c-2)との質量比(c-1/c-2)は、本発明の効果により優れるという観点から、150/100~100/150が好ましい。
(炭酸カルシウム(C)/樹脂中空体(B)の質量比)
上記樹脂中空体(B)の含有量に対する上記炭酸カルシウム(C)の含有量の質量比(炭酸カルシウム(C)/樹脂中空体(B))は、本発明の効果により優れるという観点から、10~110が好ましく、15~80がより好ましく、15~50が更に好ましく、15~18が特に好ましい。
<<二酸化ケイ素(D)>>
本発明の組成物は、二酸化ケイ素(D)(成分(D))を含有する。
本発明の組成物は成分(D)を含有することによって、作業性に優れる。
成分(D)は特に制限されない。
例えば、親水性シリカ、疎水性シリカが挙げられる。成分(D)は、本発明の効果により優れるという観点から、親水性シリカが好ましい。
(二酸化ケイ素(D)の平均粒子径)
二酸化ケイ素(D)の平均粒子径は、本発明の効果により優れ、組成物の混合性に優れるという観点から、10~20μmであることが好ましい。
本発明において、二酸化ケイ素(D)の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された50%体積累積径(D50)をいう。なお、平均値を算出する基になる粒子径は、成分(D)の断面が楕円形である場合はその長径と短径の合計値を2で割った平均値をいい、正円形である場合はその直径をいう。
二酸化ケイ素(D)はその製造方法について特に制限されないが、湿式法による製造方法が好ましい態様の1つとして挙げられる。
<二酸化ケイ素(D)の含有量>
本発明において、二酸化ケイ素(D)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、0.1~10質量部である。
二酸化ケイ素(D)の含有量が上記範囲であることによって、本発明は作業性に優れる。
成分(D)の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、重合体(A)100質量部に対して、1~9質量部が好ましく、5~8質量部がより好ましい。
(二酸化ケイ素(D)/樹脂中空体(B)の質量比)
上記樹脂中空体(B)の含有量に対する上記二酸化ケイ素(D)の含有量の質量比(二酸化ケイ素(D)/樹脂中空体(B))は、本発明の効果により優れるという観点から、0.1~7.0が好ましく、0.5~2.0がより好ましく、0.5~1.0が更に好ましい。
(硬化触媒)
本発明の組成物は、更に、硬化触媒を含有することができる。
硬化触媒は、重合体(A)を硬化させ得る化合物であれば特に制限されない。例えば、スズ系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒、アミン系触媒が挙げられる。
なかでも、硬化性に優れるという観点から、スズ系触媒が好ましい。
スズ系触媒としては、例えば、ブタン酸スズ、オクチル酸スズ、カプリル酸スズ、オレイン酸スズ等のスズカルボン酸塩(後述するアルキルスズカルボン酸塩は除く。);
ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレエート、ジオクチルスズジラウレートのようなアルキルスズカルボン酸塩;
酸化ジブチルスズのような酸化アルキルスズ;
ジブチルスズジメトキシドのようなアルキルスズアルコキシドが挙げられる。
スズ系触媒は、スズカルボン酸塩が好ましく、オクチル酸スズがより好ましい。
上記オクチル酸スズとしては、例えば、2-エチルヘキシル酸第一錫が挙げられる。
上記硬化触媒の含有量は、本発明の効果により優れ、硬化性に優れるという観点から、上記重合体(A)100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。
(添加剤)
本発明の組成物は、必要に応じて、目的又は効果を損なわない範囲で、更に、添加剤を含有することができる。
上記添加剤としては、例えば、可塑剤、有機溶媒、老化防止剤、炭酸カルシウム(C)及び二酸化ケイ素(D)以外のチクソ付与剤、炭酸カルシウム(C)及び二酸化ケイ素(D)以外の充填剤が挙げられる。
上記各添加剤は特に制限されない。適宜選択することができる。
上記可塑剤としては、例えば、ジイソノニルフタレートのような芳香族カルボン酸エステル系可塑剤;
脂肪族カルボン酸エステル系可塑剤;
エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル等のエポキシヘキサヒドロフタル酸ジアルキルエステルのようなエポキシ系可塑剤;
ポリオキシプロピレンジオールのようなポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。
上記可塑剤は、本発明の効果により優れるという観点から、芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤及びポリオキシアルキレンポリオールを併用することが好ましい。
上記可塑剤の含有量は、本発明の効果により優れるという観点から、上記重合体(A)100質量部に対して、10~200質量部が好ましく、50~100質量部が好ましい。
本発明の組成物は、1成分型、2成分型のいずれであってもよい。
本発明の組成物が2成分型である場合、本発明の組成物は、基剤と硬化剤とを有することができる。
本発明の組成物が2成分型である場合、基剤が、重合体(A)、樹脂中空体(B)、炭酸カルシウム(C)、二酸化ケイ素(D)を含有することができる。
一方、上記硬化剤は広義の硬化剤を意味する。上記硬化剤は上記硬化触媒を狭義の硬化剤(重合体(A)を硬化させ得る成分)として含むことができる。
上記添加剤は、基剤及び/又は硬化剤に含有させることができる。
本発明の組成物を製造する方法は特に限定されない。例えば、上記各成分を減圧下又は窒素等の不活性ガス雰囲気下で、ロール、ニーダー、押出し機、ボールミル、万能かくはん機、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて十分に混合する方法が挙げられる。
本発明の組成物が2成分型である場合は、基剤と硬化剤とを別々に容器にて保管し、使用する際に基剤と硬化剤とを混合して用いればよい。
本発明の組成物は、例えば、空気中の湿気等の水分によって、又は、室温条件下で若しくは加熱することによって、硬化できる。
本発明の組成物が更に硬化触媒を含有する場合は、上記硬化触媒によって硬化できる。
本発明の組成物は、シーリング材用の組成物として使用することができる。
本発明の組成物を適用することができる基材としては、例えば、コンクリート、木材、金属、ガラス、プラスチック、セラミック、石材が挙げられる。
本発明の組成物を基材に適用する方法は、特に制限されない。例えば従来公知の方法が挙げられる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明は実施例に限定されない。
<<組成物の製造>>
下記第1表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用いて、これらを撹拌機で混合し、2成分型シーリング材組成物の基剤を調製した。
2成分型シーリング材組成物の硬化剤としてスズ触媒(2-エチルヘキシル酸第一錫。商品名ニッカオクチックス錫、日本化学産業株式会社製)を用いた。
上記のとおり得られた各基剤の全量と、上記硬化剤5質量部とを、撹拌機(日本ソセー工業社製シーリング材専用容器回転式撹拌機(製品名:カルマゼ))を用いて十分に混合し、各組成物を製造した。
<<評価>>
上記のとおり製造された各組成物について以下の評価を行った。結果を第1表に示す。
(シーリング材の作製)
上記のとおり製造された各組成物を、目地(幅:40mm、奥行(深さ):20mm、長さ:1,000mm)に充填する(目地内を完全に満たす)ように打設し、打設後、金ヘラで打設された組成物の表面を均し、23℃、50%RH(相対湿度)の条件下に7日間置いて各組成物を養生させ、シーリング材を作製した。
養生後の各シーリング材の表面には、いずれも、アバタがほぼ同じように発生した。
(表面粗さの有無)
上記のとおり作製された各シーリング材の表面粗さを目視で観察した。
シーリング材の表面全体(アバタの部分も含めて)に表面粗さ(アバタ以外の凹凸であって、アバタより小さい凹凸)があった場合、これを「有り」と表示した。
シーリング材の表面にアバタがあるもののその部分も含めて上記表面全体が比較的滑らかであった場合、これを「無し」と表示した。
(意匠性)
上記のとおり作製された各シーリング材の表面のアバタの状態を目視で確認した。
・評価基準
養生後の各シーリング材の表面において、アバタがほとんど目立たなかった場合を、意匠性が最も優れると評価し、これを「AAA」と表示した。
養生後の各シーリング材の表面において、アバタがあまり目立たなかった場合を、意匠性が非常に優れると評価し、これを「AA」と表示した。
養生後の各シーリング材の表面において、アバタがややあるように見えた場合を、意匠性がやや優れると評価し、これを「A」と表示した。
養生後の各シーリング材の表面において、アバタがやや目立った場合を、意匠性が優れると評価し、これを「B」と表示した。
養生後の各シーリング材において、アバタが非常に目立った場合を、意匠性が劣ると評価し、これを「C」と表示した。
(作業性)
・評価方法
上記のとおり製造された各組成物の製造直後の粘度(Pa・s)を、20℃の条件下で、BS型粘度計(No.7ロータ)を用い、回転速度1rpm及び10rpmで計測した。
上記のとおり得られた粘度を下記式に当てはめてチクソインデックス(以下、単に「TI」と略す。)値を算出した。
TI値=(1rpmでの粘度)/(10rpmでの粘度)
・評価基準
上記のとおり算出されたTI値が、7.0以上である場合、作業性が非常に優れると評価し、これを「◎」と表示した。
TI値が、6.0以上7.0未満である場合、作業性がやや優れると評価し、これを「○」と表示した。
TI値が、5.0以上6.0未満である場合、作業性が優れると評価し、これを「△」と表示した。
TI値が、5.0未満である場合、作業性が劣ると評価し、これを「×」と表示した。
(耐久性)
JIS A1439:2016「建築用シーリング材の試験方法」の引張接着性試験に準じて引張接着性試験を行った。
まず、上記のとおり製造された各組成物と2枚のアルミニウム板(被着体)を用いて2枚のアルミニウム板の間に各組成物を配置してH型引張試験体(以下、試験体という。)を作成し、以下に示す硬化・養生条件で各組成物を硬化させて試験体を得た。
・硬化・養生条件
23℃、50%RHの条件で7日間養生した後、更に50℃の条件下で7日間養生させた。
・引張試験
上記のとおり得られた各試験体について、JIS A1439:2016に準じて温度23±2℃、湿度50±5%RH条件下で引張剪断試験を行い、引張剪断試験後の試験体における破壊状況を目視で観察した。
・評価基準
上記破壊状況が、CF(シーリング材の凝集破断)100%であった場合、又はCFとTCF(被着体表面にシーリング材が薄く残っているシーリング材の薄層凝集破断)とを含んだ場合、耐久性が優れると評価し、これを「〇」と表示した。
上記破壊状況が、上記以外であった場合、耐久性が劣ると評価し、これを「×」と表示した。
第1表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
<(A)成分>
・加水分解性シリル基を有する合体(A):両末端に加水分解性シリル基としてジメトキシシリル基を有し、主鎖がポリオキシプロピレンである重合体。商品名「MSP-S810」、株式会社カネカ製
<成分(B)>
樹脂中空体(B)1、樹脂中空体(B)2は、本発明における成分(B)に該当する。
・樹脂中空体(B)1:炭酸カルシウムを被覆させた、アクリルニトリル系共重合体の中空体。商品名MFL-110CAL、松本油脂製薬社製。真比重:0.07~0.09g/cm3、平均粒子径:90~120μm。樹脂中空体(B)1の真比重の中央値は0.08g/cm3、平均粒子径の中央値は105μmである。
・樹脂中空体(B)2:炭酸カルシウムを被覆させた、アクリルニトリル系共重合体の中空体。商品名EMC-120(α)、日本フィライト社製。真比重0.08~0.12g/cm3、平均粒子径:100~140μm。樹脂中空体(B)2の真比重の中央値は0.10g/cm3、平均粒子径の中央値は120μmである。
<成分(C)>
・炭酸カルシウム(C)1:脂肪酸で表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム。商品名白艶華CCR、白石工業社製。平均粒子径約0.08μm。本実施例で使用された上記炭酸カルシウム(C)1は、本明細書における、表面処理され、平均粒子径が0.05~1.0μmである上記炭酸カルシウム(c-2-1)に該当する。
・炭酸カルシウム(C)2:脂肪酸で表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム。商品名Viscoexcel-30、白石工業社製。平均粒子径0.03μm。本実施例で使用された上記炭酸カルシウム(C)2は、本明細書における、表面処理され、平均粒子径が0.01μm以上0.05μm未満である上記炭酸カルシウム(c-2-2)に該当する。
<成分(D)>
・二酸化ケイ素(D):湿式法で製造された親水性シリカ。商品名カープレックス#80、DSL.ジャパン社製。平均粒子径約15μm
・可塑剤1:ジイソノニルフタレート。商品名「DINP」、株式会社ジェイ・プラス製
・可塑剤2:エポキシ系可塑剤。エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル。商品名「サンソサイザーE-PS」、新日本理化(株)社製
・可塑剤3:ポリオキシプロピレンジオール(PPG)。商品名「PREMINOL S4012」、AGC(株)社製
第1表に示す結果から明らかなように、樹脂中空体(B)を含有しない比較例1は、意匠性が非常に劣った。
樹脂中空体(B)の含有量が所定の範囲より大きい比較例2は、作業性、耐久性が劣った。
これに対して、本発明の組成物は、意匠性、作業性、耐久性に優れた。

Claims (1)

  1. 加水分解性シリル基を有する重合体(A)100質量部に対して、
    樹脂中空体(B)5~10質量部、
    炭酸カルシウム(C)105~150質量部、
    二酸化ケイ素(D)5~8質量部、及び、
    可塑剤50~100質量部を含有し、
    前記重合体(A)が、両末端に加水分解性シリル基としてジメトキシシリル基を有し、主鎖としてポリオキシプロピレン骨格を有するポリエーテル系重合体であり、
    前記樹脂中空体(B)が、炭酸カルシウムを被覆させたアクリルニトリル系共重合体の樹脂中空体であり、
    前記樹脂中空体(B)の平均粒子径が、80~150μmであり、
    前記炭酸カルシウム(C)が、脂肪酸で表面処理されたコロイダル炭酸カルシウム(c-2)であり、を含み、
    前記炭酸カルシウム(C)の平均粒子径は、0.01~5.00μmであり、
    前記二酸化ケイ素(D)が、湿式法で製造された親水性の二酸化ケイ素であり、
    前記二酸化ケイ素(D)の平均粒子径は、10~20μmである、シーリング材組成物。
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