JP7541269B2 - 中空屈曲部材の製造方法及び中空屈曲部材の製造装置 - Google Patents

中空屈曲部材の製造方法及び中空屈曲部材の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、中空屈曲部材の製造方法と、中空屈曲部材の製造装置とに関する。
自動車や各種機械等の強度部材、補強部材または構造部材として、中空の屈曲した形状を有する金属製部材が用いられる。この中空屈曲部材には、軽量かつ高強度であること等が求められる。従来、この種の中空屈曲部材は、例えば、冷間の曲げ加工、プレス加工品の溶接、厚板の打ち抜き、又は鍛造等により製造されてきた。しかし、これらの製造方法では、製造される中空屈曲部材の軽量化および高強度化には限界がある。
近年では、特許文献3等に開示されるように、チューブハイドロフォーミング工法により中空屈曲部材を製造することが検討されている。しかし、チューブハイドロフォーミング工法は冷間成形であるため、高強度材の成形には限界がある。
このような現状に鑑み、本発明者らは、特許文献1により曲げ加工装置に係る発明をなした。図8は、この曲げ加工装置100の概略を示す説明図である。
図8に示すように、曲げ加工装置100では、金属製の中空素材Pmを矢印F方向へ送りながら、下流位置に配置されるローラダイス104により曲げ加工を行って、中空屈曲部材Ppを製造する。すなわち、支持手段101の下流位置で高周波加熱コイル102によって中空素材Pmを部分的に焼入れ可能な温度域に急速加熱するとともに、高周波加熱コイル102の下流に配置される水冷装置103により中空素材Pmを急冷する。そして、中空素材Pmを支持しながら送るローラダイス104を三次元方向(場合によっては二次元方向)に移動して、中空素材Pmの加熱された部分に曲げモーメントを付与することにより、中空素材Pmに曲げ加工を行う。この曲げ加工装置100によれば、高い作業効率で高強度の中空屈曲部材Ppを製造することが可能である。
国際公開第2006/093006号 国際公開第2011/024741号 国際公開第2011/99592号
自動車や各種機械等に用いられる中空屈曲部材には、種々の形状を持つものが存在する。曲がり部の曲げ半径が例えば金属管の直径(矩形断面の場合は曲げ方向の辺の長さ)の1~2倍又はそれ以下の曲がり部を有する多様な中空屈曲部材が存在する。
特許文献1の方法により、曲げ半径の小さい曲がり部を形成するように曲げ加工をした場合、曲がり部の内周側にしわを生じたり、あるいは曲がり部の外周側の板厚が大きく減少して破断が発生したりするおそれがある。そのため、上記のような曲げ半径の小さな曲がり部を有する中空屈曲部材を製造することは困難であった。
これらの課題を解決するために、本発明者らは、特許文献2に開示されるせん断加工装置に係る発明をなした。
図9に示すように、このせん断加工装置200は、第1の支持手段201と、加熱手段202と、冷却手段203と、把持手段204と、を備える。図9を参照して、第1の支持手段201は、金属製の中空素材Pmを、その長手方向へ相対的に送りながら、位置A1において支持する。加熱手段202は、位置B1において中空素材Pmを部分的に加熱する。冷却手段203は、位置B1よりも下流にある位置C1において中空素材Pmの加熱部分を冷却する。把持手段204は、位置C1よりも下流にある位置D1において、中空素材Pmを位置決めしながら、把持部を二次元方向または三次元方向に移動させることによって、中空素材Pmの加熱部分にせん断力を与える。これにより、せん断加工部が形成され、中空屈曲部材が得られる。
せん断加工装置200によれば、中空素材Pmの加熱部分に対しせん断加工と熱処理(冷却による焼入れ)とを行うことが可能になる。そして、せん断加工装置200によれば、曲げ半径の小さい曲がり部を有する高強度の中空屈曲部材を、低コストで確実に量産可能である。
さらに、特許文献2には、誘導加熱コイル301、及び冷却水噴射ノズル302を、角管である中空素材Pmの長手方向に対して傾斜して配置することによって、上記せん断加工による中空素材Pmの肉厚減少を防ぐことが開示されている。すなわち、図10を参照して、加工前の中空素材Pmの板厚をtとし、せん断角度をθとしたとき、前記傾斜を設けずに誘導加熱コイル301を配置してせん断加工を行った場合、せん断加工後の板厚はt・cosθとなる。これに対し、誘導加熱コイル301を傾斜させてせん断加工を行った場合、せん断加工後の板厚をtのままとすることができることが開示されている。
一方、自動車や機械用の部品として、U字型又はこれに類似した形状を持つ多様な中空屈曲部材が存在する。
図10を参照して、特許文献2には、誘導加熱コイル301、及び冷却水噴射ノズル302を中空素材Pmの長手方向に対して傾斜して配置したせん断加工装置300が開示されている。せん断加工装置300により、図中の上方向へのせん断加工と下方向へのせん断加工とを連続して実施した場合には、下方向へのせん断加工の際の加熱及び冷却が不均一になる。加熱及び冷却が不均一であると、得られる中空屈曲部材は必要な特性が十分でないおそれがある。特に、誘導加熱コイル301および冷却水噴射ノズル302の傾斜角度αが10度以上の場合、逆方向にせん断加工した際の加熱と冷却の不均一が顕著になる。したがって、図10のせん断加工装置300では、U字型又はこれに類似した形状を持つ一体型の中空屈曲部材の製造は困難である。そのため、このような部品は、複数の部分に分けて製造し、これらを溶接などの方法により一体化する必要があった。
U字型又はこれに類似した形状を持つ中空屈曲部材を、溶接工程等を要さずに、一体的に製造できる方法または装置の開発が望まれる。それにより、得られる部品の信頼性が向上する上に、煩雑な工程が不要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、付加的な溶接工程等を要さず、U字型又はこれに類似した形状を持つ中空屈曲部材を一体的に製造可能とする製造方法及び製造装置の提供を目的とする。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用している。
(1)本発明の一態様に係る中空屈曲部材の製造方法は、
金属製の長尺な中空素材を、第1の位置で支持しながら前記中空素材の長手方向である送り方向へ送る、送り工程と、
前記第1の位置よりも下流の第2の位置で前記中空素材を部分的に加熱して加熱部を形成する、加熱工程と、
前記第2の位置よりも下流の第3の位置で前記加熱部の下流側に位置する前記中空素材の少なくとも一部を冷却して冷却部を形成する、冷却工程と、
前記第3の位置よりも下流の第4の位置で前記中空素材を把持し、前記中空素材の把持部を二次元方向又は三次元方向に移動させる、せん断加工工程と、
を有し、
前記送り工程、前記加熱工程、前記冷却工程、及び前記せん断加工工程を含む第1の一連工程により、第1のせん断加工部を形成し、
前記送り工程、前記加熱工程、前記冷却工程、及び前記せん断加工工程を含む第2の一連工程により、第2のせん断加工部を形成し、
前記第1の一連工程では、前記送り方向に垂直な面に対して正の傾斜方向である第1の方向への傾斜角をもって前記加熱及び前記冷却を行い、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に第1のせん断力を付与して、前記第1のせん断加工部を形成し、
前記第2の一連工程では、前記送り方向に垂直な面に対して負の傾斜方向である第2の方向への傾斜角をもって前記加熱及び前記冷却を行い、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に、前記第1のせん断力の方向とは相対的に異なる方向に第2のせん断力を付与して、前記第2のせん断加工部を形成することで、
前記第1のせん断加工部及び前記第2のせん断加工部を含む、U字型又は略U字型の中空屈曲部材を製造する。
(2)上記(1)に記載の中空屈曲部材の製造方法は、
前記第1の一連工程後、前記第2の一連工程において、次の(A)又は(B)から選択される工程を備えてもよい。
(A)前記送り方向に垂直な面に対して前記第1の方向とは異なる前記第2の方向の傾斜角で前記加熱および前記冷却を行う。
(B)前記中空素材の前記長手方向の中心軸線を回転中心として、前記中空素材を回転させてから前記加熱および前記冷却を行う。
(3)上記(2)に記載の中空屈曲部材の製造方法は、
前記加熱工程では、前記中空素材の前記長手方向に沿った前記中心軸線を含む断面形状において、前記中空素材に対向して略平行部を備える加熱手段を用いてもよい。
(4)上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の中空屈曲部材の製造方法は、
前記第1の一連工程よりも後でかつ前記第2の一連工程よりも前に、前記中空素材に対する前記把持部の位置を、前記第1のせん断加工部と前記第2のせん断加工部との間の位置としてもよい。
(5)本発明の他の態様に係る中空屈曲部材の製造装置は、
金属製の長尺な中空素材を、第1の位置で支持しながら前記中空素材の長手方向である送り方向へ送る、送り手段と、
前記第1の位置よりも下流の第2の位置で前記中空素材を部分的に加熱して加熱部を形成する、加熱手段と、
前記第2の位置よりも下流の第3の位置で前記加熱部の下流側に位置する前記中空素材の少なくとも一部を冷却して冷却部を形成する、冷却手段と、
前記第3の位置よりも下流の第4の位置で前記中空素材を把持し、前記中空素材の把持部を二次元方向又は三次元方向に移動させる、せん断加工手段と、
を有し、
前記送り手段、前記加熱手段、前記冷却手段、及び前記せん断加工手段を含む第1の一連手段により、第1のせん断加工部を形成し、
前記送り手段、前記加熱手段、前記冷却手段、及び前記せん断加工手段を含む第2の一連手段により、第2のせん断加工部を形成し、
前記第1の一連手段では、前記送り方向に垂直な面に対して正の傾斜方向である第1の方向への傾斜角をもって前記加熱及び前記冷却を行い、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に第1のせん断力を付与して、前記第1のせん断加工部を形成し、
前記第2の一連手段では、前記送り方向に垂直な面に対して負の傾斜方向である第2の方向への傾斜角をもって前記加熱及び前記冷却を行い、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に、前記第1のせん断力の方向とは相対的に異なる方向に第2のせん断力を付与して、前記第2のせん断加工部を形成することで、
前記第1のせん断加工部及び前記第2のせん断加工部を含む、U字型又は略U字型の中空屈曲部材を製造する。
(6)上記(5)に記載の中空屈曲部材の製造装置は、
次の(A)又は(B)から選択される手段を備えてもよい。
(A)前記送り方向に垂直な面に対して前記第1の方向とは異なる前記第2の方向の傾斜角で前記加熱および前記冷却を行う。
(B)前記中空素材の前記長手方向の中心軸線を回転中心として、前記中空素材を回転させてから前記加熱および前記冷却を行う。
(7)上記(6)に記載の中空屈曲部材の製造装置は、
前記加熱手段は、前記中空素材の前記長手方向に沿った前記中心軸線を含む断面形状において、前記中空素材に対向して略平行部を有してもよい。
(8)上記(5)(7)のいずれか1項に記載の中空屈曲部材の製造装置は、
前記せん断加工手段が、前記中空素材を把持する把持手段を複数備えてもよい。
上記各態様に係る中空屈曲部材の製造方法及び製造装置によれば、付加的な溶接工程等を要することなく、U字型又はこれに類似した形状を持つ中空屈曲部材を一体的に製造可能となる。
本発明の第1実施形態に係る中空屈曲部材の製造装置及び製造方法を模式的に示す縦断面図であって、(a)~(d)の工程順にせん断加工が行われる。 同製造装置を用いた同製造方法により製造された中空屈曲部材の外形を示す図であって、(a)はU字型部品、(b)は開き角度を有するU字型部品、(c)は概略U字型でかつ2つの屈曲部位P1,P2間に2箇所の曲がり部Pa,Pbを有する部品を示している。 本発明の第2実施形態に係る中空屈曲部材の製造装置及び製造方法を模式的に示す縦断面図であって、(a)~(d)の工程順にせん断加工が行われる。 本発明の第3実施形態に係る中空屈曲部材の製造装置及び製造方法を模式的に示す縦断面図であって、(a)~(d)の工程順にせん断加工が行われる。 本発明の第4実施形態に係る中空屈曲部材の製造装置及び製造方法を模式的に示す縦断面図であって、(a)~(e)の工程順にせん断加工が行われる。 本発明の第5実施形態に係る中空屈曲部材の製造装置及び製造方法を模式的に示す縦断面図である。 本発明の各実施形態で製造される中空屈曲部材の他の例を示す図であって、(a)~(c)は斜視図を示す。 特許文献1に開示された曲げ加工装置の概略構成を示す説明図である。 特許文献2に開示されたせん断加工装置の概略構成を示す説明図である。 特許文献2に開示された他のせん断加工装置の概略構成を示す説明図である。
以下、本発明の各実施形態に係る中空屈曲部材の製造方法及び製造装置を、図面を参照しながら説明する。以降の説明では、矩形の横断面形状を有する中空の鋼製角管を素材(以下、中空素材Pm)とし、中空屈曲部材Ppを製造する場合を例示して説明する。
[第1実施形態]
まず、本製造方法を適用する中空屈曲部材の製造装置(以下、製造装置10)を先に説明し、続いて製造方法を説明する。
[中空屈曲部材の製造装置]
図1は、本実施形態に係る製造装置10及びこの製造装置10を用いた中空屈曲部材の製造方法を模式的に示す説明図である。
この製造装置10により、中空素材Pmをせん断加工して中空屈曲部材Ppを得る。中空素材Pmは、その長手方向に垂直な断面が中空矩形の閉断面形状を有する鋼製の長尺な角管である。なお、本実施形態の加工対象である中空素材Pmは、角管に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、さらには各種異形の断面形状を有する管であってもよい。矩形断面を持つ中空素材Pmは、その断面形状が正方形、長方形の何れであってもよい。中空素材Pmは、鋼管以外の金属管であってもよい。
図1に示すように、この製造装置10は、支持装置11と、加熱装置12と、冷却装置13と、せん断力付与装置14と、制御装置15と、送り装置19と、を備える。
(1)支持装置11
支持装置11は、複数(図1の例では2組)のロール11a,11bを備える。一組のロール11aは、これらの間に中空素材Pmを挟み込んで支持する。同様に、一組のロール11bも、これらの間に中空素材Pmを挟み込んで支持する。一組のロール11bの下流位置に他の一組のロール11aが隣接配置されている。これらロール11a,11bにより、中空素材Pmは第1の位置Aにおいて支持される。
なお、支持装置11としては、中空素材Pmをその送り方向に沿って送り自在に支持できればよく、その他の構成の支持装置を採用してもよい。
支持装置11は、図示されない搭載台上に固定配置されている。しかし、この態様に限定されるものではなく、例えば、支持装置11を産業用ロボットのエンドエフェクター(図示略)によって支持してもよい。
例えば、後述の第3実施形態では、支持装置11を、図4の(c)の矢印に示すように、せん断力付与装置14及び送り装置19と共に同期させて、中空素材Pmの中心軸線CL回りに回転させるように構成してもよい。
(2)送り装置19
送り装置19は、図1に示すように、支持装置11により支持された中空素材Pmを、所定の送り速度でその長手方向(矢印Fに沿った紙面左手方向)へ送る。送り装置19は、電動サーボシリンダーを用いたタイプが例示されるが、特定型式のものに限らず、ボールネジを用いたタイプやタイミングベルトやチェーンを用いたタイプ等も採用できる。
中空素材Pmは、支持装置11が設置された部分が第1の位置Aを通過した後、送り装置19によってさらに矢印F方向へ送られる。
例えば、後述の第3実施形態では、送り装置19を、図4の(c)の矢印に示すように、支持装置11及びせん断力付与装置14と共に同期させて、中空素材Pmの中心軸線CL回りに回転させるように構成してもよい。これにより、中空素材Pmの長手方向の中心軸線CLを回転中心として中空素材Pmを回転させることができる。
(3)加熱装置12
加熱装置12は、第1の位置Aより、中空素材Pmの送り方向の下流にある第2の位置Bで加熱をおこなうよう配置されている。加熱装置12は、支持装置11を経て送られてくる中空素材Pmの長手方向の一部分における横断面の全周を加熱する。加熱装置12として誘導加熱装置を用いる。この誘導加熱装置は、中空素材Pmを例えば高周波誘導加熱することができるコイルを有する。
加熱装置12の加熱コイル12aは、中空素材Pmの外表面から所定の間隔を空けて、中空素材Pmの長手方向の一部における横断面の全周を囲むように、配置される。中空素材Pmは、加熱装置12により部分的に急速加熱される。
加熱装置12の設置手段(不図示)は、加熱コイル12aを第2の位置Bにおいて傾斜角度調整自在に配置できる。すなわち、加熱装置12の前記設置手段は、加熱コイル12aを、中空素材Pmの送り方向に対して設定した角度に傾斜させる回転手段(不図示)を備える。図1の(a)において、加熱コイル12aの傾斜方向をL1とする。本実施形態では、中空素材Pmの長手方向(矢印Fに示す、中空素材Pmの送り方向)に向かって、側面視で傾斜角度αをもって交差するように、加熱コイル12aが傾斜配置されている。この傾斜角度αは、前記長手方向に対して直交する方向(直線L2の延在方向)とL1とのなす角度である。この傾斜角度αの方向は、中空素材Pmの送り方向に向かう正方向である。
より具体的には、図1の(a)に示すように加熱コイル12aの中心線を含む縦断面で見て、加熱コイル12aの中心位置を通り直線L2方向および中空素材Pmの中心軸線CL方向に直交する軸線を回転軸線として、この回転軸線回りに加熱コイル12aを前記回転手段により回転(傾斜)させることで、その傾斜角度をαに設定することができる。加えて、前記回転手段により加熱コイル12aを逆方向に回転(傾斜)させることにより、その傾斜角度を-αに反転させることもできる。この傾斜角度-αの方向は、中空素材Pmの送り方向と反対の方向に向かう負方向である。これにより、図1の(b)において紙面左側(正の傾斜方向)に傾いていた加熱コイル12aの上部を、図1の(c)に示すように紙面右側(負の傾斜方向)に傾けることができる。これにより、加熱コイル12aの傾斜角度をαから-αに反転させることが可能になる。
なお、加熱コイル12aの傾斜角度α(度)が、(1)式を満足する場合、板厚や断面寸法を変えずに加工することができる。ここで、θ(度)は中空屈曲部材Ppの屈曲角度である。
α=(1/2)θ (1)式
この式を満たさないα、θを用いることにより、板厚や断面寸法を積極的に調整することもできる。
板厚の変動を抑制してせん断加工部を形成する場合、α(度)の好ましい範囲は、(2)式を満たす。
(1/2)θ-2≦α≦(1/2)θ+2 (2)式
加熱装置12の加熱コイル12aの断面形状は、中空素材Pmが丸管である場合、円形状であることが好ましい。具体的には、中空素材Pmの長手方向に沿った中心軸線CLより矢視したときの加熱コイル12aの投影形状が、中空素材Pmと均一のクリアランスを有する同心円形状となることが好ましい。これにより、加熱コイル12aが正の傾斜角度または負の傾斜角度に傾斜している時において、加熱コイル12aにより加熱される中空素材Pmの外周面を効率良く加熱することができる。中空素材Pmが矩形を含む異形断面形状である場合,中空素材Pmの長手方向に沿った中心軸線CLより矢視したときの加熱コイル12aの投影形状が、中空素材Pmと加熱に適したクリアランスを有する形状となることが好ましい。後述する第2実施形態、第4実施形態及び第5実施形態についても同様である。
加熱装置12の設置手段としては、例えば周知慣用の産業用ロボットのエンドエフェクターを例示することができるが、前記傾斜角度αを指定通り調整可能であればよく、他の設置手段も採用できる。単腕ロボットあるいはアームとモータなどを有する既成の装置も採用可能である。
加熱装置12の設置手段による傾斜角度αの調整は、制御装置15からの制御信号を前記設置手段が受けて、自動制御する構成としてもよい。この場合、中空素材Pmの長手方向において、せん断加工を行う位置と、同位置において設定すべき傾斜角度αとの関係を予め制御装置15に保存しておき、中空素材Pmの送り量が所定の送り量に達した際の加熱コイル12aの傾斜角度αが、所定の角度をなすように制御することが一例として考えられる。
図示していないが、中空素材Pmの送り方向に沿った加熱装置12の上流側位置に、中空素材Pmを予熱できる予熱装置(例えば小型の高周波加熱装置)を一つ以上配置し、この予熱手段を加熱装置12と併用して中空素材Pmを加熱することもできる。この場合、中空素材Pmを複数回加熱することが可能になる。
(4)冷却装置13
冷却装置13は、中空素材Pmの送り方向に沿った第2の位置Bよりも下流にある第3の位置Cで冷却をおこなうよう配置される。冷却装置13は、中空素材Pmのうち、第2の位置Bで加熱された部分の下流側に位置する少なくとも一部を急速に冷却する。この冷却により、中空素材Pmにおいて、加熱装置12により加熱された第1の部分(加熱部)と、冷却装置13により冷却された第2の部分(冷却部)との間の領域が、高温であって変形抵抗が大幅に低下した状態となる。
冷却装置13は、所望の冷却速度が得られるものであればよく、特定方式の冷却装置に限定されない。一般的には、冷却水を中空素材Pmの外周面の所定位置へ向けて噴射することによって中空素材Pmを冷却する水冷装置を用いることが望ましい。本実施形態では、多数の冷却水噴射ノズル13aを、加熱装置12の直ぐ下流側に、中空素材Pmの長手方向の一部の横断面を囲むように、中空素材Pmの外表面から離して配置している。これら冷却水噴射ノズル13aから、冷却水を中空素材Pmの外表面へ向けて噴射する。
冷却水は、中空素材Pmが送り出される方向へ向けて斜めに吹き付けることが、加熱装置12による中空素材Pmの加熱を阻害しない上で望ましい。また、中空素材Pmの中心軸線CL方向と直交する断面において、各冷却水噴射ノズル13aと、中空素材Pmとの間の距離を変更して設定すれば、中空素材Pmの冷却される中心軸線CL方向の領域を調整することができる。
中空素材Pmにおいて加熱装置12により加熱された部分のうち、下流側に位置する少なくとも一部は、冷却装置13により、急速に冷却される。
冷却装置13による水冷の開始温度および冷却速度を適宜調整することにより、中空素材Pmにおける急速冷却部の一部もしくは全部を焼入れたり、または焼きなますことが可能になる。これにより、中空素材Pmの曲がり部の一部または全部の強度を、例えば1500MPa以上と大幅に高めることも可能である。
冷却装置13の設置手段は、冷却装置13を第3の位置Cに配置できる手段であればよく、特定の設置手段に限定されない。本実施形態の製造装置10により高い寸法精度を有する中空屈曲部材Ppを製造するためには、第2の位置B及び第3の位置C間の距離をできる限り短く設定することによって、加熱装置12により加熱する第1の部分(加熱部)と、冷却装置13により冷却する第2の部分(冷却部)との間の領域をできるだけ小さく設定することが望ましい。このためには、冷却水噴射ノズル13aを加熱コイル12aに近接配置することが望ましい。そのため、冷却水噴射ノズル13aを加熱コイル12aの直後の位置に配置することが望ましい。さらには、前記加熱装置12の設置手段に対し、冷却装置13を固定してもよい。この場合、各冷却水噴射ノズル13aと加熱コイル12aとの相対位置関係を保ったまま、これら冷却水噴射ノズル13a及び加熱コイル12aの双方を同じ傾斜角度で傾斜させることが可能になる。
冷却装置13の設置手段を、前記加熱装置12の設置手段とは別に備えてもよい。この場合、冷却装置13の設置手段(不図示)は、各冷却水噴射ノズル13aを第3の位置Cにおいて傾斜角度調整自在に配置できる。すなわち、冷却装置13の前記設置手段は、冷却装置13を、中空素材Pmの送り方向に対して設定した角度に傾斜させることができる。例えば図1の(a)に示すように、中空素材Pmの長手方向(矢印Fに示す、中空素材Pmの送り方向)に対し、側面視で正の傾斜角度αをもって交差するように、各冷却水噴射ノズル13aを傾斜配置できる。そして、各冷却水噴射ノズル13aの傾斜角度を、加熱コイル12aの傾斜角度と同期させて常に同じとすることにより、各冷却水噴射ノズル13aを、加熱コイル12aと干渉させることなく隣接配置することが可能になる。
冷却装置13の設置手段による傾斜角度の調整は、同設置手段に備える回転手段(不図示)により行われる。回転手段は、各冷却水噴射ノズル13aを第3の位置Cにおいて傾斜角度調整自在に配置できる。回転手段は、各冷却水噴射ノズル13aを、中空素材Pmの送り方向に対して設定した角度に傾斜させる。すなわち、冷却装置13の中心線を含む縦断面で見て、冷却装置13の中心位置を通り直線L2方向および中空素材Pmの中心軸線CL方向に直交する軸線を回転軸線として、この回転軸線回りに各冷却水噴射ノズル13aを前記回転手段により回転(傾斜)させることで、図1の(a)に示すように、その傾斜角度を正の傾斜角度であるαに設定することができる。加えて、前記回転手段により各冷却水噴射ノズル13aを逆方向に回転(傾斜)させることにより、図1の(c)に示すように、その傾斜角度を負の傾斜角度である-αに反転させることもできる。このように、図1の(b)において紙面左側(正の傾斜角度)に傾いていた冷却水噴射ノズル13aを、図1の(c)に示すように紙面右側(負の傾斜角度)に傾けることができる。これにより、各冷却水噴射ノズル13aの配置に関し、その傾斜角度をαから-αに反転させることが可能になる。
冷却装置13の設置手段としては、慣用の産業用ロボットのエンドエフェクターを例示することができるが、前記傾斜角度αを指定通り調整可能であればよく、他の設置手段も採用できる。単腕ロボットあるいはアームとモータなどの回転手段等を有する既成の装置も採用可能である。
冷却装置13の設置手段による傾斜角度αの調整は、制御装置15からの制御信号を冷却装置13の前記回転手段が受けて、自動制御する構成としてもよい。この場合、制御装置15から加熱装置12の前記回転手段に送られる制御信号を参照して、同じ傾斜角度αをもって同期傾斜できるように制御することが一例として考えられる。
(5)せん断力付与装置14
せん断力付与装置14は、中空素材Pmの送り方向に沿った第3の位置Cよりも下流にある第4の位置Dに配置される。せん断力付与装置14は、中空素材Pmを位置決めしながら二次元方向または三次元方向に移動する。具体的には、せん断力付与装置14における中空素材Pmを把持する把持位置を、中空素材Pmの中心軸線CLを含む断面で見て、中空素材Pmの長手方向に沿った送り方向と中空素材Pmの長手方向に対して直交する方向との間にある傾斜方向に移動する。これにより、せん断力付与装置14は、中空素材Pmにおける、加熱装置12により加熱された第1の部分(加熱部)と、冷却装置13により冷却された第2の部分(冷却部)との間の領域の少なくとも一部に、せん断力を与えて中空素材Pmにせん断加工を行う。この把持位置の移動は、中空素材Pmの中心軸線CLに直交する軸回りに回転させない。又は、把持位置の移動は、前記回転を伴い、その回転量は通常の曲げ変形に要する回転量より抑制して回転させる。その回転量は、好ましくは通常の曲げ変形に要する回転量の50%以下である。
中空素材Pmを把持する把持位置の移動が、中空素材Pmの中心軸線CLの直交する軸に対する回転を全く伴わない場合には、完全なせん断加工となる。また、前記把持位置の移動が、中空素材Pmの中心軸線CLの直交する軸に対する回転を伴う場合であっても、その回転量が、通常の曲げ加工の際の50%以下であれば、屈曲部位P1における曲げ内と曲げ外の線長差が抑制され、しわの発生を抑制する。前記回転を伴わせることにより、せん断加工部前後の加工方向を平行以外とすることも可能となる。なお、「通常の曲げ変形」とは、変形に際しせん断変形の要素を含まず、曲げ内と曲げ外に線長差を生じさせることにより湾曲形状を得ることを指す。
図1の(a)に示す例では、せん断力付与装置14は、一つあるいは複数の上下一対の把持手段14a,14bを備える。これら把持手段14a,14bは、中空素材Pmの外表面あるいは内面に接触することによって中空素材Pmの把持位置を決める。その把持位置の調整により、せん断角度θを調整することができる。このせん断角度θは、上述した直線L1,L2を含む仮想平面上における、中空素材Pmの中心軸線CLと、冷却装置13を経た後の中空素材Pmの中心軸との間の角度である。
上下一対の把持手段14a,14bは、図示しない支持枠によって支持されている。前記支持枠は、この支持枠を二次元方向または三次元方向に移動自在に保持する移動機構(同じく図示しない)により保持される。
また、上下一対の把持手段14a,14bをロールとして、中空素材Pmの送り方向に沿ったせん断力付与装置14の設置位置よりも下流位置に、せん断力付与装置14を経た後の中空素材Pmを支持する支持装置(不図示)をさらに設けてもよい。この場合、より高い寸法精度を有する中空屈曲部材Ppを製造することが可能になる。
中空素材Pmの長手方向の一部における横断面は、加熱装置12により加熱されて変形抵抗が大幅に低下する。このため、中空素材Pmの送り方向に沿った第3の位置Cよりも下流にある第4の位置Dにおいて上下一対の把持手段14a,14bの位置を二次元方向または三次元方向に移動させることによって、図1の(a)に示すように、中空素材Pmにおける、加熱装置12により加熱された第1の部分(加熱部)と、冷却装置13により冷却された第2の部分(冷却部)との間の領域にせん断力Wsを与えることができる。
中空素材Pmにせん断力Wsが作用することにより、図1の(b)に示されるように屈曲部位P1が形成される。本実施形態では、特許文献1により開示された発明のように中空素材Pmの加熱された部分に曲げモーメントを与えるのではなく、せん断力を与える。このため、曲げ半径が例えば金属管の直径(矩形断面の場合には曲げ方向の辺の長さ)の1~2倍あるいはそれ以下の極めて小さい曲げ半径の屈曲部位を持つPpを製造することができる。
また、上述の回転手段により、中空素材Pmを中心軸線CLと平行方向に直線的に焼き入れ加工している間に、加熱コイル12aおよび冷却水噴射ノズル13aの傾斜方向を正方向(α)から負方向(-α)に、あるいは負方向(-α)から正方向(α)に切り替えることができる。これにより、中空素材Pmを継続して送りながら中空素材Pmに対して加熱および冷却する方向を変更することができる。このため、U字型あるいはこれに類似した形状を持つ一体型の中空屈曲部材Ppを製造することができる。
せん断力付与装置14は、上下一対の把持手段14a,14bを、上述したように二次元方向または三次元方向に移動自在に配置することができる機構を介して、設置されればよい。そのような機構は特に限定を要さない。例えば、産業用ロボットのエンドエフェクターにより、上下一対の把持手段14a,14bの支持枠を保持してもよい。
例えば、後述の第3実施形態では、せん断力付与装置14を、図4の(c)の矢印に示すように、支持装置11及び送り装置19と共に同期させて、中空素材Pmの中心軸線CL回りに回転させるように構成してもよい。これにより、中空素材Pmを中心軸線CL回りに回転させることができる。
(6)制御装置15
制御装置15(制御手段)は、上述した支持装置11、加熱装置12、冷却装置13、せん断力付与装置14、送り装置19の各種動作を制御する。
制御装置15は、前記送り方向に対する加熱装置12及び冷却装置13の傾斜角度αの設定を行い、前記設定に基づいて加熱装置12、冷却装置13、せん断力付与装置14、送り装置19を制御する。これにより、中空素材Pmの、送り方向に沿ったせん断力の付与前後に形成されるせん断角度を調整可能である。
[中空屈曲部材の製造方法]
上記製造装置10を用いて、中空素材Pmより中空屈曲部材Ppを製造する方法について以下に説明する。
本実施形態では、製造装置10を用いて、直線状の角管である中空素材Pmより、図2の(a)に示す中空屈曲部材Ppを製造する場合について説明する。この中空屈曲部材Ppは、それぞれ90度の角度をなす2つの屈曲部位P1,P2を有する。
図1の(a)に示すように、まず、金属製の真直な中空管である中空素材Pmを製造装置10にセットする。すなわち、第1の位置Aで中空素材Pmを支持装置11で支持し、中空素材Pmの後端側を送り装置19に固定し、そして中空素材Pmの先端側をせん断力付与装置14で把持する。第1の位置Aより下流の第2の位置Bに加熱装置12の加熱コイル12aを配置させ、第2の位置Bより下流の第3の位置Cに冷却装置13の各冷却水噴射ノズル13aを配置させる。加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aは、それぞれ、傾斜角度が前記回転手段によって正の傾斜角度であるαとなるように傾斜配置されている。この配置により、送り方向に垂直な面に対して第1の方向への傾斜角度αをもって加熱及び冷却を行う。
上記設定のもと、加熱装置12による中空素材Pmの加熱を開始する。
続いて、中空素材Pmを第1の位置Aで支持しながら中空素材Pmの長手方向である送り方向へ送りつつ(送り工程)、第2の位置Bで中空素材Pmを部分的に加熱し(加熱工程)、第3の位置Cで加熱部の下流側に位置する中空素材Pmの少なくとも一部を冷却し(冷却工程)、第3の位置Cよりも下流の第4の位置Dで中空素材Pmを把持し、その把持部をせん断力付与装置14により二次元方向または三次元方向に移動させる(せん断加工工程)。せん断加工工程は、具体的には、せん断力付与装置14の把持位置を、中空素材Pmの中心軸線CLを含む断面で見て、中空素材Pmの長手方向に沿った送り方向と中空素材Pmの長手方向に対して直交する方向との間にある傾斜方向に移動させ、中空素材Pmの中心軸線CLに直交する軸回りに回転させない、もしくは通常の曲げ変形に要する回転量より抑制して回転させる。その回転量は、好ましくは通常の曲げ変形に要する回転量の50%以下である。
本実施形態では、図1の(b)に示すように、せん断力付与装置14を前記中心軸線CL方向と直交する下方に向かって下げることにより、1つめのせん断加工を行って前記屈曲部位P1を形成する。この屈曲部位P1の屈曲角度(せん断角度θ)は直角(90度)であり、各冷却水噴射ノズル13aからの冷却水で冷却されるため、焼き入れも同時に行われている。
このように、送り工程、加熱工程、冷却工程、及びせん断加工工程を含む第1の一連工程により、第1のせん断加工部16を形成する。
このせん断加工により、中空素材Pmには、せん断力付与装置14の直後に隣接して形成された90度の屈曲部と、この屈曲部よりも後方側に形成された90度の前記屈曲部位P1とが形成される。
続いて、図1の(c)に示すように、中空素材Pmを第1の位置Aで支持しながら中空素材Pmの長手方向である送り方向へ送りつつ(送り工程)、屈曲部位P1の後方側に連なる直線部分の焼き入れを行う。
そして、第1の位置Aよりも下流の第2の位置Bで中空素材Pmを部分的に加熱し(加熱工程)、第2の位置Bよりも下流の第3の位置Cで加熱部の下流側に位置する中空素材Pmの少なくとも一部を冷却する(冷却工程)。具体的には、前記直線部分の焼き入れをしつつ図1の(b)から図1の(c)に至る間に、加熱コイル12aと各冷却水噴射ノズル13aを、前記回転手段によって反転方向に回転させる。その結果、図1の(c)に示すように、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aそれぞれの傾斜角度が、負の傾斜角度である-αに変更される。すなわち、中空素材Pmに対する加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aの相対的な傾斜角度が水平軸線回りに変更される。このように、送り方向に垂直な面に対して第1の方向とは異なる第2の方向の傾斜角で加熱および冷却を行う。
続いて、図1の(d)に示すように、第3の位置Cよりも下流の第4の位置Dで中空素材Pmを把持し、せん断力付与装置14を二次元方向または三次元方向に移動させる(せん断加工工程)。具体的には、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aそれぞれの傾斜角度を図1の(c)の工程で設定した-αに固定したまま、せん断力付与装置14を前記中心軸線CL方向と直交する上方に向かって移動させることにより、2つめのせん断加工を行って前記屈曲部位P2を形成する。この屈曲部位P2の屈曲角度(せん断角度θ)は直角(90度)であり、各冷却水噴射ノズル13aからの冷却水で冷却されるため、焼き入れも同時に行われている。従って、屈曲部位P1,P2双方のせん断位置において良好な加工熱処理が可能となる。
このように、送り工程、加熱工程、冷却工程、及びせん断加工工程を含む第2の一連工程により、第2のせん断加工部17を形成する。
以上説明の本実施形態の製造方法によれば、1つめの屈曲部位P1においてせん断加工を行う際、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aそれぞれの傾斜角度が正の傾斜角度であるαとなるように予め傾斜させて加熱及び冷却を行ってから、せん断加工を行う。そのため、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aが、中空素材Pmとの干渉を避けるよう傾斜配置されているので、良好なせん断加工を無理なく実施可能である。
加えて、2つめの屈曲部位P2においてせん断加工を行う際、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aそれぞれの傾斜角度が負の傾斜角度である-αとなるように予め傾斜角度を反転させて加熱及び冷却を行ってからせん断加工を行う。そのため、1つめの屈曲部位P1の加工と比較して、中空素材Pmと、加熱装置12及び冷却装置13とは、相対的に同じ位置関係にあるため、同じ加熱と冷却がなされ、良好な製品品質を実現できる。さらに、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aが中空素材Pmとの干渉を避けるよう傾斜配置されているので、良好なせん断加工を無理なく実施可能である。
上記せん断加工後の中空素材Pmより不要部分を切り離すことにより、図2の(a)に示す中空屈曲部材Ppを得ることができる。屈曲部位P1,P2における屈曲角度は直角(90度)に限定されない。せん断力付与装置14の動作、加熱コイル12a及び冷却水噴射ノズル13aの傾斜角度、そして送り装置19の送り速度、のそれぞれを制御装置15が調整することにより、例えば図2の(b)に示すような、開き角度を有するU字型の中空屈曲部材Ppを得ることも可能である。さらに、図2の(c)に示すような、U字型に類似した中空屈曲部材Ppを得ることも可能である。この図2の(c)に示す中空屈曲部材Ppは、概略U字型でかつ2つの屈曲部位P1,P2間に2箇所の曲がり部Pa,Pbを有する。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について以下に説明を行う。本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、その他同一構成については同一符号を用いるなどして重複説明を省略する。
[中空屈曲部材の製造装置]
図3の(a)に、本実施形態に係る中空屈曲部材の製造装置(以下、製造装置20)を示す。本実施形態の製造装置20が上記第1実施形態の製造装置10と特に異なるのは、加熱コイル12aの傾斜角度を調整する前記回転手段と、各冷却水噴射ノズル13aの傾斜角度を調整する前記回転手段である。
本実施形態に係る加熱コイル12aの回転手段は、中空素材Pmの長手方向(中心軸線CLに沿った送り方向)を回転中心として、加熱コイル12aを回転させる。より具体的には、前記回転手段により加熱コイル12aをその中心軸線CL回りに回転させることにより、図3の(b)において紙面上側にあった加熱コイル12aの上部を、図3の(c)に示すように紙面下側にすることができる。これにより、加熱コイル12aの傾斜角度を正の傾斜角度であるαから負の傾斜角度である-αに反転させることが可能になる。
同様に、本実施形態における冷却装置13の回転手段は、中空素材Pmの長手方向(中心軸線CLに沿った送り方向)を回転中心として、各冷却水噴射ノズル13aの配置を回転させることが可能である。より具体的には、前記回転手段により各冷却水噴射ノズル13aの配置をそれらの中心軸線CL回りに回転させることにより、図3の(b)において紙面上側にあった冷却水噴射ノズル13aを、図3の(c)に示すように紙面下側に配置することができる。これにより、各冷却水噴射ノズル13aの傾斜角度を反転させることが可能になる。
なお、各冷却水噴射ノズル13aを加熱コイル12aと一体化させて、加熱コイル12aの回転手段だけでこれら冷却水噴射ノズル13a及び加熱コイル12aを回転させてもよい。
[中空屈曲部材の製造方法]
上記製造装置20を用いて、中空素材Pmより中空屈曲部材Ppを製造する方法について以下に説明する。
本実施形態は、製造装置20を用いて、直線状の角管である中空素材Pmより、図2の(a)に示した中空屈曲部材Ppを製造する場合について説明する。
図3の(a)に示すように、まず、金属製の真直な中空管である中空素材Pmを製造装置10にセットする。すなわち、第1の位置Aで中空素材Pmを支持装置11で支持し、中空素材Pmの後端側を送り装置19に固定し、そして中空素材Pmの先端側をせん断力付与装置14で把持する。第1の位置Aより下流の第2の位置Bで加熱をおこなうよう加熱装置12の加熱コイル12aを配置させ、第2の位置Bより下流の第3の位置Cで冷却をおこなうよう冷却装置13の各冷却水噴射ノズル13aを配置させる。加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aは、それぞれ、傾斜角度が前記回転手段によって正の傾斜角度であるαとなるように傾斜配置されている。この配置により、送り方向に垂直な面に対して第1の方向への傾斜角度αをもって加熱及び冷却を行う。
上記設定のもと、加熱装置12による中空素材Pmの加熱を開始する。
続いて、中空素材Pmを第1の位置Aで支持しながら中空素材Pmの長手方向である送り方向へ送りつつ(送り工程)、第2の位置Bで中空素材Pmを部分的に加熱し(加熱工程)、第3の位置Cで加熱部の下流側に位置する中空素材Pmの少なくとも一部を冷却し(冷却工程)、第3の位置Cよりも下流の第4の位置Dで中空素材Pmを把持し、せん断力付与装置14を二次元方向または三次元方向に移動させる(せん断加工工程)。せん断加工工程では、具体的には、せん断力付与装置14の把持位置を、中空素材Pmの中心軸線CLを含む断面で見て、中空素材Pmの長手方向に沿った送り方向と中空素材Pmの長手方向に対して直交する方向との間にある傾斜方向に移動させ、中空素材Pmの中心軸線CLに直交する軸回りに回転させない、もしくは通常の曲げ変形に要する回転量より抑制して回転させる。その回転量は、好ましくは通常の曲げ変形に要する回転量に要する回転量の50%以下である。
本実施形態では、図3の(b)に示すように、せん断力付与装置14を前記中心軸線CL方向と直交する下方に向かって下げることにより、1つめのせん断加工を行って前記屈曲部位P1を形成する。この屈曲部位P1の屈曲角度(せん断角度θ)は直角(90度)であり、各冷却水噴射ノズル13aからの冷却水で冷却されるため、焼き入れも同時に行われている。
このように、送り工程、加熱工程、冷却工程、及びせん断加工工程を含む第1の一連工程により、第1のせん断加工部16を形成する。
このせん断加工により、中空素材Pmには、せん断力付与装置14の直後に隣接して形成された90度の屈曲部と、この屈曲部よりも後方側に形成された90度の前記屈曲部位P1とが形成される。
続いて、図3の(c)に示すように、中空素材Pmを第1の位置Aで支持しながら中空素材Pmの長手方向である送り方向へ送りつつ(送り工程)、屈曲部位P1の後方側に連なる直線部分の焼き入れを行う。
そして、第1の位置Aよりも下流の第2の位置Bで中空素材Pmを部分的に加熱し(加熱工程)、第2の位置Bよりも下流の第3の位置Cで加熱部の下流側に位置する中空素材Pmの少なくとも一部を冷却する(冷却工程)。具体的には、前記直線部分の焼き入れをしつつ図3の(b)から図3の(c)に至る間に、前記回転手段により、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aを、中空素材Pmの長手方向に沿った中心軸線CLを中心とする周方向に180度回転させる。その結果、図3の(c)に示すように、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aそれぞれの傾斜角度が、負の傾斜角度である-αに変更される。すなわち、中空素材Pmに対する加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aの相対的な傾斜角度が、側面視で見て変更される。このように、送り方向に垂直な面に対して第1の方向とは異なる第2の方向の傾斜角で前加熱および冷却を行う。
続いて、図3の(d)に示すように、第3の位置Cよりも下流の第4の位置Dで中空素材Pmを把持し、せん断力付与装置14を二次元方向または三次元方向に移動させる(せん断加工工程)。具体的には、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aそれぞれの傾斜角度を図3の(c)の工程で設定した-αに固定したまま、せん断力付与装置14を前記中心軸線CL方向と直交する上方に向かって移動させることにより、2つめのせん断加工を行って前記屈曲部位P2を形成する。この屈曲部位P2の屈曲角度(せん断角度θ)は直角(90度)であり、各冷却水噴射ノズル13aからの冷却水で冷却されるため、焼き入れも同時に行われている。従って、屈曲部位P1,P2双方のせん断位置において良好な加工熱処理が可能となる。
このように、送り工程、加熱工程、冷却工程、及びせん断加工工程を含む第2の一連工程により、第2のせん断加工部17を形成する。
以上説明の本実施形態の製造方法によれば、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能になる。すなわち、2つめの屈曲部位P2においてせん断加工を行う際、1つめの屈曲部位P1の加工と比較して、中空素材Pmと、加熱装置12及び冷却装置13とは、相対的に同じ位置関係にあるため、同じ加熱と冷却がなされ、良好な製品品質を実現できる。しかも、屈曲部位P1,P2を形成する際、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aを、中空素材Pmとの干渉を予め避けるよう傾斜配置させているので、良好なせん断加工を無理なく実施可能としている。
なお、本実施形態の製造方法は、中空素材Pmの長手方向に垂直な断面形状が、円形またはこれに類似したものである場合に、特に良好な加熱処理を行える。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について以下に説明を行う。本実施形態の説明では、上記第2実施形態と異なる点を中心に説明し、その他同一構成については同一符号を用いるなどして重複説明を省略する。
[中空屈曲部材の製造装置]
図4の(a)に、本実施形態に係る中空屈曲部材の製造装置(以下、製造装置30)を示す。上記第2実施形態の製造装置20では、前記回転手段により加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aを回転させてこれらの傾斜角度を調整するものとした。一方、本実施形態の製造装置30では、せん断力付与装置14を中空素材Pmとともに図4の(c)の中心軸線CL回りに180°同期回転させる。これにより、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aを一定の傾斜角度に固定したまま、中空素材Pmの方を相対的に中心軸線CLを回転中心として回転させる構成を採用している。
本実施形態に係るせん断力付与装置14、及び送り装置19は、それぞれが回転手段を備えている。
すなわち、せん断力付与装置14は、モータとアームにより構成される回転手段(不図示)を備えており、中空素材Pmを把持したまま、中心軸線CL回りの周方向に回転させることが可能である。
同様に、送り装置19も、モータにより構成される回転手段(不図示)を備えており、中空素材Pmを送り方向に送り出しながら、中心軸線CL回りの周方向に回転させることが可能である。または、せん断力付与装置14が回転している間、中空素材Pmの把持を開放し、中空素材Pmが中心軸線CL回りに回転することを阻害しない構成としてもよい。
同様に、支持装置11も、モータとアームにより構成される回転手段(不図示)を備えており、中空素材Pmを支持しながら、中心軸線CL回りの周方向に回転させることが可能である。または、せん断力付与装置14が回転している間、中空素材Pmが中心軸線CL回りに回転することを阻害しないよう一時的に支持力を緩和させたり、図示しないベアリングにより中心軸線CL回りに自由に回転できたりする構成としてもよい.
せん断力付与装置14、支持装置11、及び送り装置19それぞれの回転手段は、制御装置15からの指示を受けた場合に、互いに同期して同じ回転速度及び同じ回転方向に向かって中空素材Pmをその中心軸線CL回りに回転させることが可能である。この回転可能範囲は、180度としてもよいし、360度としてもよい。
これら回転手段によれば、図4の(b)から図4の(c)に示すように、中空素材Pmをその中心軸線CL回りに180度回転させて上下位置を逆転させることが可能になる。この間、加熱装置12及び冷却装置13は、共に傾斜角度が固定されたままであるため、側面視における、これら加熱装置12及び冷却装置13と中空素材Pmとの相対的な角度があたかも反転したようになる。
加熱装置12の加熱コイル12aの断面形状は、中空素材の長手方向に沿った中心軸線CLを含む断面形状において、中空素材Pmに対向して略平行部を備えることが好ましい。これにより、加熱コイル12aの内周面と中空素材Pmの外周面との距離が均一になり、加熱コイル12aにより加熱される中空素材Pmの外周面を効率良く加熱することができる。
[中空屈曲部材の製造方法]
続いて、上記製造装置30を用いて、中空素材Pmより中空屈曲部材Ppを製造する方法について以下に説明する。
本実施形態は、製造装置30を用いて、直線状の角管である中空素材Pmより、図2の(a)に示した中空屈曲部材Ppを製造する場合について説明する。
図4の(a)に示すように、まず、金属製の真直な中空管である中空素材Pmを製造装置30にセットする。すなわち、第1の位置Aで中空素材Pmを支持装置11で支持し、中空素材Pmの後端側を送り装置19に固定し、そして中空素材Pmの先端側をせん断力付与装置14で把持する。第1の位置Aより下流の第2の位置Bで加熱をおこなうよう加熱装置12の加熱コイル12aを配置させ、第2の位置Bより下流の第3の位置Cで冷却を行うよう冷却装置13の各冷却水噴射ノズル13aを配置させる。加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aは、それぞれ、傾斜角度が正の傾斜角度であるαとなるように傾斜配置されている。この配置により、送り方向に垂直な面に対して第1の方向への傾斜角度αをもって加熱及び冷却を行う。
上記設定のもと、加熱装置12による中空素材Pmの加熱を開始する。
続いて、中空素材Pmを第1の位置Aで支持しながら中空素材Pmの長手方向である送り方向へ送りつつ(送り工程)、第2の位置Bで中空素材Pmを部分的に加熱し(加熱工程)、第3の位置Cで加熱部の下流側に位置する中空素材Pmの少なくとも一部を冷却し(冷却工程)、第3の位置Cよりも下流の第4の位置Dで中空素材Pmを把持し、せん断力付与装置14を二次元方向または三次元方向に移動させる(せん断加工工程)。せん断加工工程は、具体的には、せん断力付与装置14の把持位置を、中空素材Pmの中心軸線CLを含む断面で見て、中空素材Pmの長手方向に沿った送り方向と中空素材Pmの長手方向に対して直交する方向との間にある傾斜方向に移動させ、中空素材Pmの中心軸線CLに直交する軸回りに回転させない、もしくは通常の曲げ変形に要する回転量より抑制して回転させる。その回転量は、好ましくは通常の曲げ変形に要する回転量に要する回転量の50%以下である。
本実施形態では、図4の(b)に示すように、せん断力付与装置14を前記中心軸線CL方向と直交する下方に向かって下げることにより、1つめのせん断加工を行って前記屈曲部位P1を形成する。この屈曲部位P1の屈曲角度(せん断角度θ)は直角(90度)であり、各冷却水噴射ノズル13aからの冷却水で冷却されるため、焼き入れも同時に行われている。
このように、送り工程、加熱工程、冷却工程、及びせん断加工工程を含む第1の一連工程により、第1のせん断加工部16を形成する。
このせん断加工により、中空素材Pmには、せん断力付与装置14の直後に隣接して形成された90度の屈曲部と、この屈曲部よりも後方側に形成された90度の前記屈曲部位P1とが形成される。
続いて、図4の(c)に示すように、中空素材Pmを第1の位置Aで支持しながら中空素材Pmの長手方向である送り方向へ送りつつ(送り工程)、屈曲部位P1の後方側に連なる直線部分の焼き入れを行う。
そして、第1の位置Aよりも下流の第2の位置Bで中空素材Pmを部分的に加熱し(加熱工程)、第2の位置Bよりも下流の第3の位置Cで加熱部の下流側に位置する中空素材Pmの少なくとも一部を冷却する(冷却工程)。具体的には、前記直線部分の焼き入れをしつつ図4の(b)から図4の(c)に至る間に、前記各回転手段が、せん断力付与装置14、支持装置11、及び送り装置19を、同期して同じ回転方向に回転させる。これにより、中空素材Pmをその長手方向の中心軸線CLを回転中心として、周方向に180度回転させる。この時、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aは定位置において傾斜角度を一定に固定したままとする。その結果、図4の(c)に示すように、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aそれぞれの傾斜角度が、見かけ上で、負の傾斜角度である-αに変更される。すなわち、中空素材Pmに対する加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aの相対的な傾斜角度が、側面視において見かけ上、変更される。このようにして、中空素材Pmの長手方向の中心軸線CLを回転中心として、中空素材Pmを回転させてから加熱および冷却を行う。
続いて、図4の(d)に示すように、第3の位置Cよりも下流の第4の位置Dで中空素材Pmを把持し、せん断力付与装置14を二次元方向または三次元方向に移動させる(せん断加工工程)。具体的には、中空素材Pmをその中心軸線CL回りにおける角度が定位置に固定したまま、せん断力付与装置14を前記中心軸線CL方向と直交する下方に向かって下げることにより、2つめのせん断加工を行って前記屈曲部位P2を形成する。この屈曲部位P2の屈曲角度(せん断角度θ)は直角(90度)であり、各冷却水噴射ノズル13aからの冷却水で冷却されるため、焼き入れも同時に行われている。従って、屈曲部位P1,P2双方のせん断位置において良好な加工熱処理が可能となる。
このように、送り工程、加熱工程、冷却工程、及びせん断加工工程を含む第2の一連工程により、第2のせん断加工部17を形成する。
以上説明の本実施形態の製造方法によれば、上記第2実施形態と同様の効果を得ることが可能になる。すなわち、2つめの屈曲部位P2においてせん断加工を行う際1つめの屈曲部位P1の加工と比較して、中空素材Pmと、加熱装置12及び冷却装置13とは、相対的に同じ位置関係にあるため、同じ加熱と冷却がなされ、良好な製品品質を実現できる。しかも、屈曲部位P1,P2を形成する際、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aとの干渉を予め避けるように中空素材Pmを回転させるので、良好なせん断加工を無理なく実施可能としている。
なお、本実施形態の製造方法は、特に小型の中空屈曲部材Ppを製造する場合に特に有効である。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態について以下に説明を行う。本実施形態の説明では、上記第2実施形態と異なる点を中心に説明し、その他同一構成については同一符号を用いるなどして重複説明を省略する。
[中空屈曲部材の製造装置]
図5の(a)に、本実施形態に係る中空屈曲部材の製造装置(以下、製造装置40)を示す。上記第2実施形態の製造装置20では、せん断力付与装置14による把持位置が中空素材Pmの先端側のままとした。一方、本実施形態では、図5の(c)から(d)に移る際、せん断力付与装置14の把持位置を加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aの近くに移動させる構成を採用している。
製造装置40の構成は製造装置20とほぼ同じであるためその説明を省略し、この製造装置40を用いた中空屈曲部材Ppの製造方法について以下に説明する。
[中空屈曲部材の製造方法]
本実施形態は、製造装置40を用いて、直線状の丸管である中空素材Pmより、図2の(a)に示した中空屈曲部材Ppを製造する場合について説明する。
図5の(a)に示すように、まず、金属製の真直な中空管である中空素材Pmを製造装置40にセットする。すなわち、第1の位置Aで中空素材Pmを支持装置11で支持し、中空素材Pmの後端側を送り装置19に固定し、そして中空素材Pmの先端側をせん断力付与装置14で把持する。第1の位置Aより下流の第2の位置Bで加熱をおこなうよう加熱装置12の加熱コイル12aを配置させ、第2の位置Bより下流の第3の位置Cで冷却をおこなうよう冷却装置13の各冷却水噴射ノズル13aを配置させる。加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aは、それぞれ、傾斜角度が前記回転手段によって正の傾斜角度であるαとなるように傾斜配置されている。この配置により、送り方向に垂直な面に対して第1の方向への傾斜角度αをもって加熱及び冷却を行う。
上記設定のもと、加熱装置12による中空素材Pmの加熱を開始する。
続いて、中空素材Pmを第1の位置Aで支持しながら中空素材Pmの長手方向である送り方向へ送りつつ(送り工程)、第2の位置Bで中空素材Pmを部分的に加熱し(加熱工程)、第3の位置Cで加熱部の下流側に位置する中空素材Pmの少なくとも一部を冷却し(冷却工程)、第3の位置Cよりも下流の第4の位置Dで中空素材Pmを把持し、せん断力付与装置14を二次元方向または三次元方向に移動させる(せん断加工工程)。せん断加工工程では、具体的には、せん断力付与装置14の把持位置を、中空素材Pmの中心軸線CLを含む断面で見て、中空素材Pmの長手方向に沿った送り方向と中空素材Pmの長手方向に対して直交する方向との間にある傾斜方向に移動させ、中空素材Pmの中心軸線CLに直交する軸回りに回転させない、もしくは通常の曲げ変形に要する回転量より抑制して回転させる。その回転量は、好ましくは通常の曲げ変形に要する回転量に要する回転量の50%以下である。
本実施形態では、図5の(b)に示すように、せん断力付与装置14を前記中心軸線CL方向と直交する下方に向かって下げることにより、1つめのせん断加工を行って前記屈曲部位P1を形成する。この屈曲部位P1の屈曲角度(せん断角度θ)は直角(90度)であり、各冷却水噴射ノズル13aからの冷却水で冷却されるため、焼き入れも同時に行われている。
このように、送り工程、加熱工程、冷却工程、及びせん断加工工程を含む第1の一連工程により、第1のせん断加工部16を形成する。
このせん断加工により、中空素材Pmには、せん断力付与装置14の直後に隣接して形成された90度の屈曲部と、この屈曲部よりも後方側に形成された90度の前記屈曲部位P1とが形成される。
続いて、図5の(c)に示すように、中空素材Pmを第1の位置Aで支持しながら中空素材Pmの長手方向である送り方向へ送りつつ(送り工程)、屈曲部位P1の後方側に連なる直線部分の焼き入れを行う。
そして、第1の位置Aよりも下流の第2の位置Bで中空素材Pmを部分的に加熱し(加熱工程)、第2の位置Bよりも下流の第3の位置Cで加熱部の下流側に位置する中空素材Pmの少なくとも一部を冷却する(冷却工程)。具体的には、前記直線部分の焼き入れをしつつ図5の(b)から図5の(c)に至る間に、前記回転手段により、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aを、中空素材Pmの長手方向に沿った中心軸線CLを中心とする周方向に180度回転させる。その結果、図5の(c)に示すように、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aそれぞれの傾斜角度が、負の傾斜角度である-αに変更される。すなわち、中空素材Pmに対する加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aの相対的な傾斜角度が、側面視で見て変更される。このように、送り方向に垂直な面に対して第1の方向とは異なる第2の方向の傾斜角で前加熱および冷却を行う。
以上説明の図5の(a)~図5の(c)の工程までは、先に説明した図3の(a)~図3の(c)の工程と同じである。
続いて、図5の(c)の状態より、せん断力付与装置14による中空素材Pmの把持位置を冷却装置13の近くの位置に変更して図5の(d)の状態となる。これにより、せん断力付与装置14による中空素材Pmの把持位置を、これから形成する予定の屈曲部位P2に予め近付けることが可能になる。
続いて、図5の(e)に示すように、第3の位置Cよりも下流の第4の位置Dで中空素材Pmを把持し、せん断力付与装置14を二次元方向または三次元方向に移動させる(せん断加工工程)。具体的には、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aそれぞれの傾斜角度を図5の(c)の工程で設定した-αに固定したまま、せん断力付与装置14を前記中心軸線CL方向と直交する上方に向かって移動させることにより、2つめのせん断加工を行って前記屈曲部位P2を形成する。この屈曲部位P2の屈曲角度(せん断角度θ)は直角(90度)であり、各冷却水噴射ノズル13aからの冷却水で冷却されるため、焼き入れも同時に行われている。従って、屈曲部位P1,P2双方のせん断位置において良好な加工熱処理が可能となる。
このように、送り工程、加熱工程、冷却工程、及びせん断加工工程を含む第2の一連工程により、第2のせん断加工部17を形成する。
本実施形態では、第1の一連工程よりも後でかつ第2の一連工程よりも前に、中空素材Pmに対する把持部の位置を、第1のせん断加工部16と第2のせん断加工部17との間の位置としている。
以上説明の本実施形態の製造方法によれば、上記第2実施形態と同様の効果を得ることが可能になる。すなわち、2つめの屈曲部位P2においてせん断加工を行う際1つめの屈曲部位P1の加工と比較して、中空素材Pmと、加熱装置12及び冷却装置13とは、相対的に同じ位置関係にあるため、同じ加熱と冷却がなされ、良好な製品品質を実現できる。しかも、屈曲部位P1,P2を形成する際、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aを、中空素材Pmとの干渉を予め避けるよう傾斜配置させているので、良好なせん断加工を無理なく実施可能としている。
加えて、本実施形態の製造方法によれば、加熱領域(変形領域)である屈曲部位P2の形成予定位置の近くを拘束できるため、純粋なせん断変形により近いせん断加工を屈曲部位P2に付与することが可能である。中空屈曲部材Ppの寸法や板厚などによっては、純粋なせん断変形を与えるのが難しい場合がある。しかし、本実施形態の製造方法のように、せん断力付与装置14の把持位置をせん断加工前に、このせん断加工位置に近付けることが好ましい。例えば、先に説明した図1の(c)から図1の(d)に至る前や、図4の(c)から図4の(d)に至る前に、せん断力付与装置14の把持位置を変更させることが好ましい。
[第5実施形態]
以上説明の第1実施形態から第4実施形態を繰り返すことにより、図6に示すように、複数個の中空屈曲部材Ppを連続して製造することも可能である。例えば、図6では、屈曲部位P1,P2を有する中空屈曲部材Ppと、屈曲部位P3,P4を有する中空屈曲部材Ppとの2つを得ることができる。もちろん、2個に限らず3個以上を連続して製造してもよい。
以下に本発明の各実施形態の骨子を述べる。
[1]本実施形態に係る中空屈曲部材の製造方法は、金属製の長尺な中空素材Pmを、第1の位置Aで支持しながら前記中空素材Pmの長手方向である送り方向へ送る、送り工程と、前記第1の位置Aよりも下流の第2の位置Bで前記中空素材Pmを部分的に加熱して加熱部を形成する、加熱工程と、前記第2の位置Bよりも下流の第3の位置Cで前記加熱部の下流側に位置する前記中空素材Pmの少なくとも一部を冷却して冷却部を形成する、冷却工程と、前記第3の位置Cよりも下流の第4の位置Dで前記中空素材Pmを把持し、前記中空素材Pmの把持部を二次元方向又は三次元方向に移動させる、せん断加工工程と、を有し、前記送り工程、前記加熱工程、前記冷却工程、及び前記せん断加工工程を含む第1の一連工程により、第1のせん断加工部16を形成し、前記送り工程、前記加熱工程、前記冷却工程、及び前記せん断加工工程を含む第2の一連工程により、第2のせん断加工部17を形成し、前記第1の一連工程では、前記送り方向に垂直な面に対して第1の方向への傾斜角をもって前記加熱及び前記冷却を行い、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に第1のせん断力を付与して、前記第1のせん断加工部16を形成し、前記第2の一連工程では、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に、前記第1のせん断力の方向とは相対的に異なる方向に第2のせん断力を付与して、前記第2のせん断加工部17を形成する。なお、前記第2の方向を前記第1の方向とは逆方向としてもよい。また、せん断加工部は3つ以上形成されてもよく、各せん断加工部にはそれぞれ異なる方向にせん断力を付与してもよい。
[2]上記[1]において、以下のようにしてもよい:前記第1の一連工程後、前記第2の一連工程において、次の(A)又は(B)から選択される工程を備える。
(A)前記送り方向に垂直な面に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向の傾斜角で前記加熱および前記冷却を行う。
(B)前記中空素材の前記長手方向の中心軸線CLを回転中心として、前記中空素材Pmを回転させてから前記加熱および前記冷却を行う。
[3]上記[1]または[2]において、以下のようにしてもよい:前記せん断加工工程では、前記中空素材Pmの前記中心軸線CLを含む断面で見て、前記把持部を、前記送り方向と前記送り方向に直交する方向との間にある傾斜方向に移動させ、前記中心軸線CLと直交する軸回りに回転させない、又は通常の曲げ変形に要する回転量より抑制して回転させる。
[4]上記[1]から[3]のいずれか1項において、以下のようにしてもよい:前記加熱工程では、前記中空素材Pmの前記長手方向に沿った前記中心軸線CLを含む断面形状において、前記中空素材Pmに対向して略平行部を備える加熱手段を用いる。
[5]上記[1]から[4]のいずれか1項において、以下のようにしてもよい:前記第1の一連工程よりも後でかつ前記第2の一連工程よりも前に、前記中空素材Pmに対する前記把持部の位置を、前記第1のせん断加工部と前記第2のせん断加工部との間の位置とする。
[6]本実施形態に係る中空屈曲部材の製造装置10は、金属製の長尺な中空素材Pmを、第1の位置Aで支持しながら前記中空素材Pmの長手方向である送り方向へ送る、送り手段と、前記第1の位置Aよりも下流の第2の位置Bで前記中空素材Pmを部分的に加熱して加熱部を形成する、加熱手段と、前記第2の位置Bよりも下流の第3の位置Cで前記加熱部の下流側に位置する前記中空素材Pmの少なくとも一部を冷却して冷却部を形成する、冷却手段と、前記第3の位置Cよりも下流の第4の位置Dで前記中空素材Pmを把持し、前記中空素材Pmの把持部を二次元方向又は三次元方向に移動させる、せん断加工手段と、を有し、前記送り手段、前記加熱手段、前記冷却手段、及び前記せん断加工手段を含む第1の一連手段により、第1のせん断加工部を形成し、前記送り手段、前記加熱手段、前記冷却手段、及び前記せん断加工手段を含む第2の一連手段により、第2のせん断加工部を形成し、前記第1の一連手段では、前記送り方向に垂直な面に対して第1の方向への傾斜角をもって前記加熱及び前記冷却を行い、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に第1のせん断力を付与して、前記第1のせん断加工部を形成し、前記第2の一連手段では、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に、前記第1のせん断力の方向とは相対的に異なる方向に第2のせん断力を付与して、前記第2のせん断加工部を形成する、中空屈曲部材の製造装置10である。
[7]上記[6]において、以下のようにしてもよい:次の(A)又は(B)から選択される手段を備える。
(A)前記送り方向に垂直な面に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向の傾斜角で前記加熱および前記冷却を行う。
(B)前記中空素材Pmの前記長手方向の中心軸線CLを回転中心として、前記中空素材Pmを回転させてから前記加熱および前記冷却を行う。
[8]上記[6]または[7]において、以下のようにしてもよい:前記せん断加工手段では、前記中空素材Pmの前記中心軸線CLを含む断面で見て、前記把持部を、前記送り方向と前記送り方向に直交する方向との間にある傾斜方向に移動させ、前記中心軸線CLと直交する軸回りに回転させない、又は通常の曲げ変形に要する回転量より抑制して回転させる。
[9]上記[6]から[8]のいずれか1項において、以下のようにしてもよい:前記加熱手段は、前記中空素材Pmの前記長手方向に沿った前記中心軸線CLを含む断面形状において、前記中空素材Pmに対向して略平行部を有する。
[10]上記[6]から[9]のいずれか1項において、以下のようにしてもよい:前記せん断加工手段が、前記中空素材Pmを把持する把持手段を複数備える。すなわち、前記長手方向の所定位置に、複数の把持手段を備えてもよい。
上記各実施形態の説明では、直角(90度)の角度を有する2つの屈曲部位を持つ二次元部品を成形する場合を例にとったが、本発明はこの態様のみに限定されない。すなわち、製品形状は任意の角度で良い。
また、以上の説明では、金属製の中空素材Pmが矩形断面を有する場合を例示したが、本発明はこの態様に限定されない。金属製の中空素材として、丸管や多角形管あるいは任意の曲面形状を持つ管も適用可能である。
本発明に係る中空屈曲部材Ppは、せん断力による加工時に同時に熱処理(例えば焼入れ)が行われて製造される。そのため、冷間でせん断加工が行われてその後に熱処理(例えば焼入れ)を行った中空屈曲部材に比較して、例えば1470MPa以上の高強度の部分を有する中空屈曲部材Ppを、より単純な工程かつ高い加工精度で製造することができる。
上記各実施形態では、図2の(a)及び図2の(b)に示したように二次元方向に屈曲した中空屈曲部材Ppを製造する場合について説明した。しかし、本発明は二次元方向に屈曲した中空屈曲部材Ppのみに限らず、例えば図7の(a)から図7の(c)に示すような三次元方向に屈曲した中空屈曲部材Ppも製造可能である。
図7の(a)に示す中空屈曲部材Ppを製造する場合、まず、加熱コイル12aを傾斜角度αに傾斜させて、部位laをせん断加工する。続いて、送り方向に熱処理しながら直線状の部位lbを熱処理する。この間に、加熱コイル12aの傾斜角度をαからα’(元のαとは異なる角度)に変更する。続いて、加熱コイル12aの傾斜角度をα’に保ったまま、部位lcをせん断加工する。
本例では、部位la及び部位lb間に屈曲部位P1が形成され、そして部位lb及び部位lc間に屈曲部位P2が形成される。
図7の(b)に示す中空屈曲部材Ppを製造する場合、まず、加熱コイル12aを傾斜角度αに傾斜させて、部位laをせん断加工する。続いて、送り方向に熱処理しながら直線状の部位lbを熱処理する。この間に、加熱コイル12aの傾斜角度をαからα’(元のαとは異なる角度)に変更し、同時に加熱コイル12aをその中心軸回りに回転させ、所定の位置に加熱コイル12aの位置を変更する。続いて、加熱コイル12aの位置を保ったまま、部位lcをせん断加工する。
本例では、部位la及び部位lb間に屈曲部位P1が形成され、そして部位lb及び部位lc間に屈曲部位P2が形成される。
図7の(c)に示す中空屈曲部材Ppを製造する場合、まず、加熱コイル12aを傾斜角度αに傾斜させて、部位laをせん断加工する。続いて、送り方向に熱処理しながら直線状の部位lbを熱処理する。この間に、同時に加熱コイル12aをその中心軸回りに回転させ、所定の位置に加熱コイル12aの位置を変更する。続いて、加熱コイル12aの位置を保ったまま、部位lcをせん断加工する。さらに、送り方向に熱処理しながら部位ldを熱処理する。この間に、加熱コイル12aをその中心軸回りに回転させ、所定の位置に加熱コイル12aの位置を変更する。続いて、加熱コイル12aの位置を保ったまま、部位leをせん断加工する。
本例では、部位la及び部位lb間に屈曲部位P1が形成され、部位lb及び部位lc間に屈曲部位P2が形成され、部位lc及び部位ld間に屈曲部位P3が形成され、そして部位ld及び部位le間に屈曲部位P4が形成される。
加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aが中空素材Pmと干渉するのを避けるために、必要に応じて、屈曲部位P1,P2及びの少なくとも一方に、無加工部を設けてもよい。この無加工部では、前記干渉を避けるために、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aの傾斜をニュートラルにする(送り方向に対して直角にする)。あるいは、前記干渉が起きない方向に加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aを傾斜させる。また、無加工部において前記干渉が起きない場合は、加熱コイル12a及び各冷却水噴射ノズル13aの向きを変えることもできる。
第1実施形態の中空屈曲部材の製造方法は、せん断加工以外による屈曲部位の形成工程を含んでもよい。例えば、複数の屈曲部位を有する部材を製造する場合、第1および第2のせん断加工部の間に、通常の曲げ加工により屈曲部を形成してもよい。この場合、製造できる部材形状の自由度をより高めることができる。通常の曲げ加工により屈曲部を形成する際、屈曲部では加熱コイル12aおよび冷却水噴射ノズル13aの傾斜角度αは中空素材Pmの送り方向に対し0°にすることが好ましい。
本発明に係る製造方法により製造される中空屈曲部材Ppは、例えば以下に例示する用途(i)~(vii)に対して適用可能である。
(i)例えば、フロントサイドメンバー、クロスメンバー、サイドメンバー、サスペンションメンバー、ルーフメンバー、Aピラーのレインフォース、Bピラーのレインフォース、バンパーのレインフォース等といった自動車車体の構造部材
(ii)例えば、シートフレーム、シートクロスメンバー等といった自動車の強度部材や補強部材
(iii)自動車の排気管等の排気系部品
(iv)自転車や自動二輪車のフレームやクランク
(v)電車等の車輛の補強部材、台車部品(台車枠、各種梁等)
(vi)船体等のフレーム部品、補強部材
(vii)家電製品の強度部材、補強部材または構造部材
本発明によれば、付加的な溶接工程等を要することなく、U字型あるいはこれに類似した形状を持つ一体型の中空屈曲部材を製造可能とする中空屈曲部材の製造方法及び製造装置を提供することができる。そのため、本発明は、産業上の利用可能性が極めて大である。
12 加熱装置(加熱手段)
13 冷却装置(冷却手段)
14 せん断力付与手段(せん断力付与装置)
15 制御装置(制御手段)
A 第1の位置
B 第2の位置
C 第3の位置
D 第4の位置
P1 屈曲部位
P2 屈曲部位
Pm 中空素材
Pp 中空屈曲部材

Claims (8)

  1. 金属製の長尺な中空素材を、第1の位置で支持しながら前記中空素材の長手方向である送り方向へ送る、送り工程と、
    前記第1の位置よりも下流の第2の位置で前記中空素材を部分的に加熱して加熱部を形成する、加熱工程と、
    前記第2の位置よりも下流の第3の位置で前記加熱部の下流側に位置する前記中空素材の少なくとも一部を冷却して冷却部を形成する、冷却工程と、
    前記第3の位置よりも下流の第4の位置で前記中空素材を把持し、前記中空素材の把持部を二次元方向又は三次元方向に移動させる、せん断加工工程と、
    を有し、
    前記送り工程、前記加熱工程、前記冷却工程、及び前記せん断加工工程を含む第1の一連工程により、第1のせん断加工部を形成し、
    前記送り工程、前記加熱工程、前記冷却工程、及び前記せん断加工工程を含む第2の一連工程により、第2のせん断加工部を形成し、
    前記第1の一連工程では、前記送り方向に垂直な面に対して正の傾斜方向である第1の方向への傾斜角をもって前記加熱及び前記冷却を行い、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に第1のせん断力を付与して、前記第1のせん断加工部を形成し、
    前記第2の一連工程では、前記送り方向に垂直な面に対して負の傾斜方向である第2の方向への傾斜角をもって前記加熱及び前記冷却を行い、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に、前記第1のせん断力の方向とは相対的に異なる方向に第2のせん断力を付与して、前記第2のせん断加工部を形成することで、
    前記第1のせん断加工部及び前記第2のせん断加工部を含む、U字型又は略U字型の中空屈曲部材を製造する、中空屈曲部材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の中空屈曲部材の製造方法であって、
    前記第1の一連工程後、前記第2の一連工程において、次の(A)又は(B)から選択される工程を備える、中空屈曲部材の製造方法。
    (A)前記送り方向に垂直な面に対して前記第1の方向とは異なる前記第2の方向の傾斜角で前記加熱および前記冷却を行う。
    (B)前記中空素材の前記長手方向の中心軸線を回転中心として、前記中空素材を回転させてから前記加熱および前記冷却を行う。
  3. 請求項2に記載の中空屈曲部材の製造方法であって、
    前記加熱工程では、前記中空素材の前記長手方向に沿った前記中心軸線を含む断面形状において、前記中空素材に対向して略平行部を備える加熱手段を用いる、中空屈曲部材の製造方法。
  4. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載の中空屈曲部材の製造方法であって、
    前記第1の一連工程よりも後でかつ前記第2の一連工程よりも前に、前記中空素材に対する前記把持部の位置を、前記第1のせん断加工部と前記第2のせん断加工部との間の位置とする、
    中空屈曲部材の製造方法。
  5. 金属製の長尺な中空素材を、第1の位置で支持しながら前記中空素材の長手方向である送り方向へ送る、送り手段と、
    前記第1の位置よりも下流の第2の位置で前記中空素材を部分的に加熱して加熱部を形成する、加熱手段と、
    前記第2の位置よりも下流の第3の位置で前記加熱部の下流側に位置する前記中空素材の少なくとも一部を冷却して冷却部を形成する、冷却手段と、
    前記第3の位置よりも下流の第4の位置で前記中空素材を把持し、前記中空素材の把持部を二次元方向又は三次元方向に移動させる、せん断加工手段と、
    を有し、
    前記送り手段、前記加熱手段、前記冷却手段、及び前記せん断加工手段を含む第1の一連手段により、第1のせん断加工部を形成し、
    前記送り手段、前記加熱手段、前記冷却手段、及び前記せん断加工手段を含む第2の一連手段により、第2のせん断加工部を形成し、
    前記第1の一連手段では、前記送り方向に垂直な面に対して正の傾斜方向である第1の方向への傾斜角をもって前記加熱及び前記冷却を行い、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に第1のせん断力を付与して、前記第1のせん断加工部を形成し、
    前記第2の一連手段では、前記送り方向に垂直な面に対して負の傾斜方向である第2の方向への傾斜角をもって前記加熱及び前記冷却を行い、前記加熱部と前記冷却部との間の領域の少なくとも一部に、前記第1のせん断力の方向とは相対的に異なる方向に第2のせん断力を付与して、前記第2のせん断加工部を形成することで、
    前記第1のせん断加工部及び前記第2のせん断加工部を含む、U字型又は略U字型の中空屈曲部材を製造する、
    中空屈曲部材の製造装置。
  6. 請求項に記載の中空屈曲部材の製造装置であって、
    次の(A)又は(B)から選択される手段を備える、中空屈曲部材の製造装置。
    (A)前記送り方向に垂直な面に対して前記第1の方向とは異なる前記第2の方向の傾斜角で前記加熱および前記冷却を行う。
    (B)前記中空素材の前記長手方向の中心軸線を回転中心として、前記中空素材を回転させてから前記加熱および前記冷却を行う。
  7. 請求項に記載の中空屈曲部材の製造装置であって、
    前記加熱手段は、前記中空素材の前記長手方向に沿った前記中心軸線を含む断面形状において、前記中空素材に対向して略平行部を有する、中空屈曲部材の製造装置。
  8. 請求項~請求項のいずれか1項に記載の中空屈曲部材の製造装置であって、
    前記せん断加工手段が、前記中空素材を把持する把持手段を複数備える中空屈曲部材の製造装置。
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