JP7531895B2 - 壁面ベースシステム - Google Patents

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Description

本発明は、住居や事務所等の居室の壁面に対し、簡単な作業で固定することができ、また、簡単に取り外すことができ、各種ボードや、棚板等の造作物を固定するベースとして利用することができる壁面ベースシステムに関する。
住居や事務所等の居室において壁面ラック等の造作物を設置する場合、転倒防止の観点からは、設置対象壁面に対してビスを打ち込んで固定することが望ましいが、賃貸物件においては、壁面等に対してビスを打ち込むことに制約がある場合がある。また、壁面が石膏ボードによって形成されている場合、ビス等によって重量のある造作物を固定することは難しいという問題がある。
実用新案登録第3224885号公報 特開2020-14701号公報
壁面を傷つけることなく、簡単な作業だけで対象壁面に対して造作物等を固定することができ、かつ、簡単に取り外すことができるような壁面ベースシステムが望まれる。本発明は、そのような壁面ベースシステムを提供することを目的とする。
本発明に係る壁面ベースシステムは、壁面に沿って垂直に配置される縦長のベース材と、ベース材の上端部に装着され、ベース材を天井面に対して固定するための上端側アジャスターと、ベース材の下端部に装着され、ベース材を床面に対して固定するための下端側アジャスターとによって構成され、表側面に多数のスリットが長手方向に沿って等間隔に形成され、フックを係止させることができる縦長の金属製の補強材が、ベース材の表側面に固定されていることを特徴としている。
尚、ベース材の表側面に、長手方向へ延在する縦溝が形成され、補強材が、ベース材の縦溝内に嵌合した状態で固定されていることが好ましい。また、上端側アジャスターが、垂直部及び水平部を有するL型金具と、L型金具の水平部の上面に固定された端板と、端板の上面に固定された滑り止め材とによって構成され、L型金具の垂直部に複数個のビス孔が形成され、これらのビス孔に挿通したビスによってL型金具がベース材に対して固定され、ベース材とL型金具の相対位置を上下方向に変更することにより、端板の突出量を調整できるように構成されていることが好ましい。
更に、L型金具の垂直部に、複数個のビス孔が、縦方向及び横方向へ等間隔で並列するように形成され、ベース材の上端部に、複数個の下孔が、L型金具のビス孔と同じ態様で形成され、ビス孔及び下孔の上下の間隔寸法分のピッチで、ベース材とL型金具の相対位置を上下方向に変更することにより、端板の突出量を調整できるように構成されていることが好ましい。
また、下端側アジャスターが、ベース材の下端部の前方側に固定された前下駄と、前下駄の内部に形成された垂直な空洞部内にボルト軸が進入した状態で保持された脚部とによって構成され、脚部を回転させることにより、脚部の突出量を調整することができるように構成されていることが好ましい。更に、ベース材の下端部の裏側に、壁面下部に配置される巾木を避けるための切欠が形成されていることが好ましい。
また、水平な棚板と、棚板の下側に配置される棚受けと、補強材のスリット内に進入可能な大きさを有し、補強材のスリットの間隔と同じ間隔で棚受けの背面側に配置された複数個のフックとによって構成された可動棚を付帯させることにより、本発明に係る壁面ベースシステムを、壁面ラックシステムとして構成することができる。
また、複数本のベース材を、間隔を置いて配置して、可動棚として、ベース材の間隔寸法よりも大きな幅の水平な棚板と、ベース材の間隔と同じ間隔で棚板の下側に固定された複数個の棚受けと、補強材のスリット内に進入可能な大きさを有し、補強材のスリットの間隔と同じ間隔で各棚受けの背面側に配置された複数個のフックとによって構成された可動棚を付帯させ、隣接するベース材を、可動棚によって連結できるように構成することもできる。
更に、少なくとも二本のベース材を、間隔を置いて配置して、上下に間隔を置いて配置した少なくとも二本の水平な連結材によってベース材を連結し、ベース材、及び、連結材からなる枠の内側において、ボードが支持されるように構成す
ることにより、本発明に係る壁面ベースシステムを、壁面に沿ってボード(マーカーボード、コルクボード等)を支持するシステムとして構成することができる。
本発明に係る壁面ベースシステムは、壁面を傷つけることなく、簡単な作業だけで対象壁面に対して造作物等を固定することができ、かつ、簡単に取り外すことができる。
図1は、本発明の第一実施形態に係る壁面ベースシステム1の正面図である。 図2は、図1に示すベース材2の上端部21及び上端側アジャスター5の斜視図である。 図3は、図1に示すベース材2の下端部22及び下端側アジャスター6の斜視図である。 図4は、図1に示すベース材2の部分的な水平断面斜視図である。 図5は、図1に示すベース材2の部分的な垂直断面図、及び、可動棚7の側面図である。 図6は、本発明の第二実施形態に係る壁面ベースシステム1の正面図である。 図7は、本発明の第三実施形態に係る壁面ベースシステム1の正面図である。 図8は、図7に示す左側のベース材2Aの水平断面図である。 図9は、図7に示す上方側の連結材3Aの垂直断面図である。
以下、添付図面に沿って、本発明に係る壁面ベースシステムの実施形態について説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る壁面ベースシステム1の正面図である。この壁面ベースシステム1は、壁面に沿って垂直に配置された一本の縦長のベース材2と、少なくとも一個(本実施形態においては三個)の可動棚7とによって構成されている。
ベース材2は、幅90mm、厚さ30mm、長さ2348mmの木材によって形成され、幅90mmの面(表側面)が壁面と平行となる向きで配置することにより、壁面から厚さ寸法分(30mm)突出する形となり、日本建築において柱の一部が室内に露出する真壁作りのような壁面を形成することができる。
ベース材2の上端部には、ベース材2を天井面に対して固定するための上端側アジャスター5が装着され、ベース材2の下端部には、ベース材2を床面に対して固定するための下端側アジャスター6が装着されている。
図2は、図1に示すベース材2の上端部21及び上端側アジャスター5の斜視図である。図2(1)に示すように、上端側アジャスター5は、垂直部及び水平部からなるL型金具51と、L型金具51の水平部の上面に固定された端板52と、端板52の上面に固定されたゴム製の滑り止め材53とによって構成されている。L型金具51の垂直部には、合計8つのビス孔54が、縦方向及び横方向(縦四段、横二列)に等間隔で並列するように形成されている。また、ベース材2の上端部21には、合計8つの下孔23が、L型金具51のビス孔54と同じ態様で形成されている。
上端側アジャスター5は、L型金具51のビス孔54が、ベース材2の下孔23と重なるように位置を合わせて、それらの孔に複数本(好ましくは四本)のビス(図示せず)を打ち込むことにより、ベース材2の表側面に対して固定される。尚、ベース材2に対するL型金具51の位置合わせに際しては、ビス孔54及び下孔23の上下の間隔寸法分のピッチで、両者の相対位置を上下方向に変更することができ、端板52の突出量(ベース材2の上端部21から上方への突出量)を適宜調整することができる。
より具体的には、図2(2)において実線で示す位置(図2(1)に示すベース材2の下側二段の四つの下孔23と、L型金具51の上側二段の四つのビス孔54とが重なる位置)から、破線で示す位置(ベース材2の上側二段の四つの下孔23と、L型金具51の下側二段の四つのビス孔54とが重なる位置)までの範囲で、端板52の突出量を五段階で調整することができる。
図3は、図1に示すベース材2の下端部22及び下端側アジャスター6の斜視図である。図示されているように、下端側アジャスター6は、前下駄61と、脚部62とによって構成されている。前下駄61は、ベース材2の下端部22の表側面に固定されており、その内部には垂直な空洞部63が形成されている。脚部62は、ボルト軸64が前下駄61の空洞部63内に進入した状態で保持されている。
また、空洞部63の下端には、脚部62のボルト軸64と螺合するナット(又はソケット)(図示せず)が配置されており、脚部62を回転させることにより、脚部62の突出量(ベース材2の下端部22から下方への突出量)を適宜(図3(1)に示す位置から図3(2)に示す位置までの範囲で)調整することができる。尚、ベース材2の下端部22の裏側(壁面側)には、壁面下部に配置される巾木(図示せず)を避けるための切欠24が形成されている。
図4は、図1に示すベース材2の部分的な水平断面斜視図である。図示されているようにベース材2の表側面の中央には、長手方向(縦方向)に延在する溝(縦溝26)が形成されており、この縦溝26内には、金属製の補強材27(チャンネルサポート)が嵌合した状態で配置され、ビス(図示せず)によってベース材2に対して固定されている。この補強材27は、長手方向と直交する断面が「コ」の字型(又は「C」字型)となるように形成されており、表側面に多数のスリット27a(貫通溝)が、長手方向に沿って等間隔に形成されている。
図5は、図1に示すベース材2の部分的な垂直断面図、及び、可動棚7の側面図である。可動棚7は、水平な棚板71と、棚板71の中央部下側に配置される棚受け72と、棚受け72の背面側に固定された複数個のフック73とによって構成されている。フック73は、それぞれが補強材27のスリット27a内に進入可能な大きさに形成されるとともに、スリット27aの間隔と同じ間隔で配置されており、図5において破線で示すように、ベース材2の表側からスリット27a内に進入させて係止させることができ、また、簡単に取り外すことができるように構成されている。
本実施形態の壁面ベースシステム1は、例えば次のような手順で、設置対象となる壁面に対し簡単に固定することができる。まず図3(1)に示すように、下端側アジャスター6を、脚部62の突出量が最も小さい状態とする。次に、壁面ベースシステム1の高さ寸法(上端側アジャスター5の上端から下端側アジャスター6の下端までの寸法)が、設置対象壁面の高さ寸法(天井から床面までの寸法)よりも僅かに小さくなるように、上端側アジャスター5における端板52の突出量を調整する。
そして、壁面ベースシステム1を設置対象壁面に沿うように配置し、下端側アジャスター6の脚部62を、突出量が大きくなる方向へ回転させる。そうすると、脚部62によって全体が押し上げられて上昇し、上端側アジャスター5の滑り止め材53が天井面に接触する。この状態から脚部62を同方向へ更に回転させて、天井面と床面との間で壁面ベースシステム1を突っ張らせ、滑り止め材53と天井面との間、及び、脚部62と床面との間で大きな摩擦力がそれぞれ作用して、壁面ベースシステム1が設置対象壁面に沿ってしっかりと固定された状態とする。
尚、天井面と床面との間で、壁面ベースシステム1を強い力で突っ張らせると、ベース材2の中間部分が室内側へ撓んでしまうことが懸念されるが、本実施形態においては、ベース材2が30mmの厚さ寸法を有しているとともに、金属製の補強材27が装着されているため、十分な剛性を有しており、撓みの問題を好適に回避することができる。また、可動棚7は、ベース材2の補強材27に対して極めて容易に着脱することができ、取付位置(高さ位置)を自在に変更することができる。
図6は、本発明の第二実施形態に係る壁面ベースシステム1の正面図である。本実施形態の壁面ベースシステム1は、三本のベース材2が等間隔で配置され、可動棚7として、ベース材2の間隔寸法よりも大きな幅の水平な棚板71と、ベース材2の間隔と同じ間隔で棚板71の下側に固定された棚受け72と、図5に示すフック73と同様のフック(図示せず)とによって構成されたものが使用されており、隣接するベース材2が、可動棚7によって連結される構成となっている。
この壁面ベースシステム1においても、ベース材2の補強材27に対して可動棚7を容易に着脱することができ、取付位置(高さ位置、及び、横方向の位置)を自在に変更することができる。
図7は、本発明の第三実施形態に係る壁面ベースシステム1の正面図である。本実施形態の壁面ベースシステム1は、左右に間隔を置いて、それぞれ壁面に沿って垂直に配置された少なくとも二本の縦長のベース材2(2A,2B)と、上下に間隔を置いて、ベース材2を連結する少なくとも二本の水平な連結材3(3A,3B)と、ボード4(マーカーボード、コルクボード等)とによって構成されている。
図8は、図7に示す左側のベース材2Aの水平断面図、図9は、図7に示す上方側の連結材3Aの垂直断面図である。これらの図に示されるように、左側のベース材2Aの右側側面、及び、上方側の連結材3Aの底面には、嵌合溝25,35がそれぞれ形成されている。これらの嵌合溝25,35は、支持されるボード4(図7参照)の厚さ寸法に対応している。尚、右側のベース材2B(図7参照)の左側側面、及び、下方側の連結材3B(図7参照)の上面にも、同様の嵌合溝25,35(図示せず)がそれぞれ形成されている。ボード4は、ベース材2A,2B、及び、連結材3A,3Bからなる枠の内側において、周縁部(上縁部、下縁部、及び、左右両側縁部)が、ベース材2A,2B、及び、連結材3A,3Bの嵌合溝25,35内に嵌合した状態で支持されている。
尚、図9に示すように、上方側の連結材3Aの上面には、壁面側が低く、室内側が高くなるテーパ面36が形成されており、上方側連結材3Aを、日本建築の長押と同様に機能させることができる。
尚、ベース材2には、図1に示す第一実施形態、及び、図6に示す第二実施形態と同様に、金属製の補強材27が固定されており、図1及び図6に示すような可動棚7を取り付けることも可能であり、更に、各種のフック(ハンガーフック等)、ピクチャーレール、或いは、照明器具等、様々なアイテムを、対象壁面を傷つけることなく固定することができる。
1:壁面ベースシステム、
2,2A,2B:ベース材、
21:上端部、
22:下端部、
23:下孔、
24:切欠、
25:嵌合溝、
26:縦溝、
27:補強材、
27a:スリット、
3,3A,3B:連結材、
35:嵌合溝、
36:テーパ面、
4:ボード、
5:上端側アジャスター、
51:L型金具、
52:端板、
53:滑り止め材、
54:ビス孔、
6:下端側アジャスター、
61:前下駄、
62:脚部、
63:空洞部、
64:ボルト軸、
7:可動棚、
71:棚板、
72:棚受け、
73:フック、

Claims (7)

  1. 壁面に沿って垂直に配置される縦長のベース材と、ベース材の下端部に装着され、ベース材を床面に対して固定するための下端側アジャスターとを有し、
    表側面に多数のスリットが長手方向に沿って等間隔に形成され、フックを係止させることができる縦長の金属製の補強材が、ベース材の表側面に固定され
    下端側アジャスターが、ベース材の下端部の前方側に固定された前下駄と、前下駄の内部に形成された垂直な空洞部内にボルト軸が進入した状態で保持された脚部とを有し、脚部を回転させることにより、脚部の突出量を調整することができるように構成されていることを特徴とする壁面ベースシステム。
  2. ベース材の上端部に装着され、ベース材を天井面に対して固定するための上端側アジャスターを有していることを特徴とする、請求項1に記載の壁面ベースシステム。
  3. ベース材の表側面に、長手方向へ延在する縦溝が形成され、
    金属製の補強材が、ベース材の縦溝内に嵌合した状態で固定されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の壁面ベースシステム。
  4. ベース材の下端部の裏側に、壁面下部に配置される巾木を避けるための切欠が形成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の壁面ベースシステム。
  5. 水平な棚板と、棚板の下側に配置される棚受けと、補強材のスリット内に進入可能な大きさを有し、補強材のスリットの間隔と同じ間隔で棚受けの背面側に配置された複数個のフックとによって構成された可動棚を有していることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の壁面ベースシステム。
  6. 複数本のベース材が間隔を置いて配置され、
    可動棚として、ベース材の間隔寸法よりも大きな幅の水平な棚板と、ベース材の間隔と同じ間隔で棚板の下側に固定された複数個の棚受けと、補強材のスリット内に進入可能な大きさを有し、補強材のスリットの間隔と同じ間隔で各棚受けの背面側に配置された複数個のフックとによって構成された可動棚を有し、
    隣接するベース材を、可動棚によって連結できるように構成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の壁面ベースシステム。
  7. 少なくとも二本のベース材が間隔を置いて配置され、
    上下に間隔を置いて配置された少なくとも二本の水平な連結材によってベース材が連結され、
    ベース材、及び、連結材からなる枠の内側において、ボードが支持されていることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の壁面ベースシステム。
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