JP7530840B2 - 塗布用器具及び塗布容器 - Google Patents

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本発明は、内容液を塗布するための塗布部を備える塗布用器具、及び塗布容器に関する。
従来、例えばマスカラ等の化粧料をまつげ等に塗布するための塗布部を備える塗布用器具、及びこの塗布用器具と内容液を収容する容器で構成される塗布容器が知られている(例えば特許文献1参照)。このような塗布容器は、容器に塗布用器具を装着することによって塗布部に内容液が付着し、塗布用器具を取り外して内容液をすぐに塗布することができるため、利便性に優れている。
特開2004-73525号公報 特開平10-295433号公報
ところでマスカラをまつげに塗布するにあたっては、まずビューラーを使ってまつげの形を整えておく(まつげをカールさせる)ことが一般的である。すなわち、まつげへの化粧は、ビューラーでまつげの形状を整える時間とマスカラをまつげに塗布する時間の両方を要している。また外出先でまつげへの化粧を行おうとすると、塗布容器とともにビューラーも持ち運ぶ必要がある。更にビューラーは、特許文献2に示されているように複雑な形状をしている。このため、塗布容器を収容するポーチ等にビューラーも入れることで、ポーチ等が嵩張ってしまい、持ち運びに不便さを抱えている。
このような従来の問題点に鑑み、本発明は、まつげへの化粧がより短い時間で済むうえ持ち運びの不便さを解消することができる塗布用器具、及び塗布容器を提供することを目的とする。
本発明は、軸部と、該軸部の先端に設けられる塗布部とを有する器具本体部と、前記器具本体部に対し、前記塗布部から離れる遠位位置と該塗布部に近づく近位位置との間で移動可能に保持されるスライド部と、弾性変形可能であって、一端部が前記塗布部に連結するとともに他端部が前記スライド部に連結し、該スライド部を前記遠位位置に移動させた状態では該塗布部に近接する一方、該スライド部を前記近位位置に移動させた状態では該塗布部から離隔する弾性部と、を備え、前記塗布部は、前記スライド部が前記遠位位置及び前記近位位置のいずれの状態にあっても同じ位置に位置して不動であり、前記スライド部を前記近位位置に移動させた状態では、前記弾性部は、前記塗布部に対し径方向外側に撓む塗布用器具である。
前記塗布部と前記弾性部は、軟材質の素材で一体的に形成されていることが好ましい。
前記スライド部に対して前記近位位置から前記遠位位置に向かう向きに付勢力を付加する付勢部を備えることが好ましい。
また本発明は、内容液を収容する収容空間に通じる口部を有する容器と、上述した塗布用器具とを備え、前記器具本体部を、前記軸部が該口部の内側を延伸する状態で該口部に装着されて該口部を閉塞するキャップとした塗布容器でもある。
本発明の塗布用器具及び塗布容器によれば、スライド部を近位位置に移動させた状態で塗布部と弾性部との間にまつげを挿入し、その後、スライド部を遠位位置に移動させることで、まつげを塗布部と弾性部で挟持することができる。従って、この状態で軸部を回転させると、まつげをカールさせることができる。すなわち、ビューラーを使用せずともまつげの形を整えることができるため、ビューラーを持ち運ぶ必要がなくなって不便さを解消することができる。また塗布部には、マスカラ等の内容液が付着しているため、カールさせながらまつげに内容液を塗布することができ、化粧をより短い時間で済ませることができる。
本発明に従う塗布容器の一実施形態を示す正立姿勢での断面図である。 容器から取り外した状態での塗布用器具の断面図である。 スライド部を近位位置に移動させた状態での塗布用器具の断面図である。 まつげをカールさせながら内容液を塗布する状態を示した図である。
以下、図面を参照しながら本発明に従う塗布容器の一実施形態(塗布容器10)について説明する。なお便宜上、図1に示すように塗布容器10を正立姿勢にした状態の向きで説明する。以下の説明において上下方向とは、図示した軸線Oに沿う方向である。また径方向とは、軸線Oに対して垂直な面内で軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で軸線Oを中心として周回する方向である。
本実施形態の塗布容器10は、本明細書等における「容器」を構成するものとして、容器本体1としごき部材2を備えている。また塗布容器10は、本明細書等における「塗布用器具」を構成するものとして、キャップ本体3、軸部材4、スライド部材5、Oリング6、ばね7、塗布部材8を備えている。図1に示すように容器本体1、しごき部材2、キャップ本体3、軸部材4、スライド部材5、Oリング6、ばね7は、基本的に軸線Oを中心とする形状で形作られている。
容器本体1は、有底筒状をなすように形作られている。具体的には、円板状をなす底部1aと、底部1aの縁部から上方に向けて湾曲しながら延在する円筒状の胴部1bと、胴部1bの上端部から径方向内側に向けて延在する肩部1cと、肩部1cの内縁部に連結する円筒状の口部1dと、口部1dの外周面に設けられた雄ねじ部1eとを備えるものである。また容器本体1は、底部1a、胴部1b、肩部1c、及び口部1dで取り囲まれる空間(収容空間S)を備えていて、この収容空間Sには内容液(例えばマスカラ)が収容される。
しごき部材2は、例えばゴムやエラストマー、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の軟材質の素材で形成されていて、弾性変形させることが可能である。本実施形態のしごき部材2は、水平方向に延在するフランジ部2aと、フランジ部2aの内縁部から下方に向けて延在する筒状部2bと、筒状部2bの外周面に設けられた突起部2cと、筒状部2bの外周面に設けられ、下方に向かうにつれて径方向内側に向けて傾くしごき片2dを備えている。
キャップ本体3は、有蓋筒状になるカバー部3aを備えている。カバー部3aには、下方から上方に向けてカバー部3aを切り欠く切り欠き部3bが設けられている。またカバー部3aの下面には、筒状をなすストッパー部3cが設けられている。
軸部材4は、口部1dを取り囲む円環状の下側環状壁4aを備えていて、下側環状壁4aの内周面には、雄ねじ部1eに対応する雌ねじ部4bが設けられている。下側環状壁4aの上端部には、径方向内側に向けて水平方向に延在する連結壁4cが設けられている。連結壁4cの上面には、カバー部3aに嵌合して回り止め保持される円環状の上側環状壁4dと、上側環状壁4dの径方向内側に位置する円環状の内側環状壁4eが設けられている。
更に軸部材4は、連結壁4cの内縁部から下方に向けて延在する円筒状の軸部4fを備えている。軸部4fの上部における外周面には、径方向外側に向けて突出させた膨出部4gが設けられている。また軸部4fの下部には、軸部4fを径方向に貫く貫通孔4hが設けられている。
なお、上述したキャップ本体3と軸部材4は、本明細書等の「器具本体部」を構成する部材である。
スライド部材5は、円板状をなしていて上面に環状部を有する本体部5aと、本体部5aの外縁部に連結するともに切り欠き部3bの径方向外側に位置するレバー部5bと、本体部5aの下面から軸部4fの内側を下方に向けて延在する円柱状の棒状部5cと、棒状部5cの下方に設けられた凹部5dを備えている。また棒状部5cの上部には、Oリング6を保持する環状凹部5eを備えている。本体部5aはカバー部3aに対して、レバー部5bは切り欠き部3bに対して、棒状部5c(及びOリング6)は軸部4fに対して、それぞれ摺動可能に支持されている。すなわちスライド部材5は、キャップ本体3と軸部材4に対し、図1に示すように上寄りの位置(本明細書等における「遠位位置」)と、図3に示すように下寄りの位置(本明細書等における「近位位置」)との間で移動可能に保持される。なおスライド部材5は、本明細書等における「スライド部」に相当する。
Oリング6は、しごき部材2のように軟材質の素材で形成されていて、弾性を有している。なおOリング6は、しごき部材2と同一の素材で形成してもよいし、異なる素材で形成してもよい。
ばね7は、連結壁4cの上面と本体部5aとの下面との間に配置され、スライド部材5に対して上方に向けて付勢力を付加するものである。本実施形態のばね7はコイルばねであって、上側環状壁4dと内側環状壁4eの間に配されている。なお、ばね7は、本明細書等の「付勢部」に相当する。
塗布部材8は、しごき部材2のように軟材質の素材で形成されていて、弾性を有している。なお塗布部材8は、しごき部材2と同一の素材で形成してもよいし、異なる素材で形成してもよい。本実施形態の塗布部材8は、軸部4fの下端部に挿入されてこれに嵌合保持される円柱状の嵌合部8aを備えている。嵌合部8aの下端部には、下方に向けて湾曲しながら延在するとともに外周面に細い突起部分が設けられた塗布部8bが設けられている。本実施形態の塗布部8bは、細い突起部分が図1に示すように上下方向、及び図4に示すように周方向に複数設けられていて、ブラシ状になっている。
また塗布部材8は、一端部が塗布部8bの下端部に一体的に連結していて弾性変形可能な弾性部8cを備えている。弾性部8cは全体的に長尺状(帯状)であって、横断面形状は楕円状になっている(図4参照)。また弾性部8cの他端部には、スライド部材5の凹部5dに挿入されてこれに嵌合保持される嵌合突起部8dが設けられている。
上述した容器本体1としごき部材2は、筒状部2bを口部1dの内側に挿入し、フランジ部2aを口部1dの上端部に引っ掛け、更に突起部2cを肩部1cの下面に引っ掛けて、しごき部材2を容器本体1に嵌合保持させることにより、「容器」として組み立てられる。またキャップ本体3、軸部材4、スライド部材5、Oリング6、ばね7、及び塗布部材8は、Oリング6を環状凹部5eに取り付け、ばね7を連結壁4cの上面に配した状態で棒状部5cを軸部4fに挿入し、また嵌合部8aを軸部4fの下端部に嵌合保持させるとともに嵌合突起部8dを凹部5dに嵌合保持させ、更に上側環状壁4dをカバー部3aに嵌合保持させることによって、「塗布用器具」として組み立てられる。なお、上述した組み立て方法は一例であって、順序は適宜入れ替えてもよい。
上記のようにして組み立てた塗布容器10は、図1に示すように雄ねじ部1eと雌ねじ部4bを螺合させることによって、キャップ本体3と軸部材4を容器本体1に装着して口部1dを閉塞することができる。この状態において軸部4fは、口部1dの内側(筒状部2bの内側)を延伸し、軸部4fの下端部に設けられた塗布部8bは、収容空間Sにおける底部1aの近傍に位置する。すなわち、収容空間Sに収容されている内容液の量が少なくなっても、塗布部8bに内容液を付着させることができる。
また容器本体1に対してキャップ本体3と軸部材4を装着した状態において、フランジ部2aは、口部1dの上面と連結壁4cの下面で挟持される。従って、収容空間Sの内容液が塗布容器10から漏れ出す不具合を防止することができる。またこの状態においては、収容空間Sへの外気の侵入を抑制することができるため、内容液の品質劣化等も防止される。
なお収容空間Sの内容液は、貫通孔4hを通して軸部4fと棒状部5cとの隙間に浸入するが、棒状部5cに設けたOリング6が軸部4fの内周面に液密に当接するため、Oリング6よりも上方へ内容液が浸入することとはない。
収容空間Sに収容した内容液を塗布するにあたっては、容器本体1に対して軸部材4を回転して雄ねじ部1eと雌ねじ部4bとの螺合を解除し、キャップ本体3をそのまま引き上げる。ここで、容器本体1にキャップ本体3と軸部材4が装着されている状態において、軸部4fの外周面には内容液が付着していることがあるが、しごき片2dの内縁部が軸部4fの外周面に当接しているため(或いは軸部4fの外周面の近傍まで延在しているため)、キャップ本体3を引き上げることによって、軸部4fの外周面に付着した内容液を掻き落とすことができる。そして、キャップ本体3の引き上げを継続することによって塗布部8bがしごき片2dを通り抜けるため、塗布部8bに付着した余分な内容液を掻き落とすことができる。なお、図2に示すように容器本体1から取り外した後、塗布部8bに付着した内容液を更に掻き落としたい場合は、塗布部8bをしごき片2dに擦りつければよい。塗布部8bをしごき片2dに擦りつけて余分な内容液を掻き落とすことで、しごき片2dの上方に内容液が溜まることがあるが、図1に示すようにキャップ本体3と軸部材4を再び口部1dに装着した際、軸部4fに設けた膨出部4gがしごき片2dに当接するため、溜まった内容液をしごき片2dから収容空間Sに戻すことができる。
なお、容器本体1からキャップ本体3と軸部材4を引き上げるにあたっては、スライド部材5を、キャップ本体3と軸部材4に対して移動させないようにする(図1に示した状態のまま容器本体1から取り外して図2の状態にする)ことも可能であるし、例えば嵌合突起部8dの外面と軸部4fの外面との段差になる部位がしごき片2dに引っ掛かるようにして、引き上げに際してスライド部材5が下方に移動するように構成することも可能である。なお、下方に移動したスライド部材5は、ばね7の付勢力によって上方に移動する。このようにスライド部材5を、一旦、下方に移動させる場合は、貫通孔4hを通して軸部4fと棒状部5cとの隙間に侵入した内容液を、貫通孔4hから排出させることができる。これにより、容器本体1から取り外した際に貫通孔4hから余分な内容液が出てくるのを防止することができる。なお、引き上げに際して貫通孔4hから排出される内容液は、しごき片2dで掻き落として収容空間Sに戻すことができる。
ところで、図1、図2に示す状態においてスライド部材5は、ばね7の付勢力によって棒状部5cの下端部が塗布部8bから離れる上寄りの位置(遠位位置)に移動しているため、弾性部8cは、図示したように塗布部8bに近接した状態にある。一方、図3に示すようにレバー部5bを矢印の向きに移動させると、スライド部材5は、棒状部5cの下端部が塗布部8bに近づく下寄りの位置(近位位置)に移動し、弾性部8cは、その一端部と他端部が近づくため、径方向外側に撓むように弾性変形して塗布部8bから離隔する。
このように弾性部8cを塗布部8bから離隔させた後は、まつげを塗布部8bと弾性部8cの間に挿入する。そしてこの状態で、スライド部材5に付与していた力を緩めると、ばね7の付勢力によってスライド部材5は遠位位置に移動するため、図4に示すように塗布部8bと弾性部8cによってまつげを挟持することができる。従ってこの状態でキャップ本体3を軸線O回りに回転させることで、まつげをカールさせることができる。また塗布部8bには、内容液が付着している。すなわち、まつげをカールさせながら内容液を塗布することができるため、まつげへの化粧を短時間で済ませることができる。また弾性部8cは、図4に示すように横断面形状が楕円状であって角になる部分がなく、まだ弾性変形可能であってまつげに強く当たることがないため、挟持したまつげを傷つけたり、強く引っ張ってまつげを抜いてしまったりする不具合が有効に防止される。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
例えば本実施形態におけるばね7は、スライド部材5に付与していた力を緩めると、弾性部8cが塗布部8bに向けて自動的に移動する点で有利な機能を有しているが、この機能がなくてもよい場合、ばね7は廃止してもよい。またばね7は、本実施形態ではコイルばねであるが、これに限られず、板ばね等の他の手段を利用してもよい。また弾性部8cは、上述したように塗布部8bと一体的に設けることで部品点数を減らすことが可能であって、この点で有利であるが、場合によっては塗布部8bと塗布部8bとを別異の部材として形成し、その後両者を結合させてもよい。また本実施形態の器具本体部であるキャップ本体3、軸部材4等は、口部1dに装着されてこれを閉塞するキャップとしての機能を有するが、本発明に係る器具本体部としてキャップの機能は必ずしも必要ではなく、他の部位でキャップの機能が果たせるように構成してもよい。
1:容器本体(容器)
1a:底部
1b:胴部
1c:肩部
1d:口部
1e:雄ねじ部
2:しごき部材(容器)
2a:フランジ部
2b:筒状部
2c:突起部
2d:しごき片
3:キャップ本体(器具本体部)
3a:カバー部
3b:切り欠き部
3c:ストッパー部
4:軸部材(器具本体部)
4a:下側環状壁
4b:雌ねじ部
4c:連結壁
4d:上側環状壁
4e:内側環状壁
4f:軸部
4g:膨出部
4h:貫通孔
5:スライド部材(スライド部)
5a:本体部
5b:レバー部
5c:棒状部
5d:凹部
5e:環状凹部
6:Oリング
7:ばね
8:塗布部材
8a:嵌合部
8b:塗布部
8c:弾性部
8d:嵌合突起部
10:塗布容器
O:軸線
S:収容空間

Claims (4)

  1. 軸部と、該軸部の先端に設けられる塗布部とを有する器具本体部と、
    前記器具本体部に対し、前記塗布部から離れる遠位位置と該塗布部に近づく近位位置との間で移動可能に保持されるスライド部と、
    弾性変形可能であって、一端部が前記塗布部に連結するとともに他端部が前記スライド部に連結し、該スライド部を前記遠位位置に移動させた状態では該塗布部に近接する一方、該スライド部を前記近位位置に移動させた状態では該塗布部から離隔する弾性部と、を備え
    前記塗布部は、前記スライド部が前記遠位位置及び前記近位位置のいずれの状態にあっても同じ位置に位置して不動であり、
    前記スライド部を前記近位位置に移動させた状態では、前記弾性部は、前記塗布部に対し径方向外側に撓む塗布用器具。
  2. 前記塗布部と前記弾性部は、軟材質の素材で一体的に形成されている請求項1に記載の塗布用器具。
  3. 前記スライド部に対して前記近位位置から前記遠位位置に向かう向きに付勢力を付加する付勢部を備える請求項1又は2に記載の塗布用器具。
  4. 内容液を収容する収容空間に通じる口部を有する容器と、請求項1~3の何れか一項に記載の塗布用器具とを備え、
    前記器具本体部は、前記軸部が該口部の内側を延伸する状態で該口部に装着されて該口部を閉塞するキャップである塗布容器。
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