以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る製造装置100の模式的な断面図である。製造装置100は、プリ・プランジャー式の射出成形装置であり、樹脂製の成形品を製造するのに用いられる。製造装置100は、可塑化部111と、射出部112と、可塑化部111及び射出部112を連結する連結部の一例である連結ユニット113と、制御装置200と、を備える。制御装置200は、制御部の一例であり、例えばプロセッサを有する、1つまたは複数のコンピュータで構成されている。制御装置200は、可塑化部111及び射出部112に含まれる構成要素を制御可能である。
可塑化部111は、投入された樹脂材を可塑化し、連結ユニット113を介して射出部112へ供給する。射出部112は、可塑化部111から供給された溶融樹脂を金型10へ射出して、金型10の内部に供給する。金型10が型締めされることにより、金型10の内部には、キャビティCVが画成される。キャビティCVは、成形品の形状に対応する空間である。射出部112は、溶融樹脂を射出することで、ランナーを通じてキャビティCVに溶融樹脂を充填する。
可塑化部111は、不図示のホッパと、可塑化シリンダ121と、可塑化スクリュ122と、可塑化駆動部123と、を有する。不図示のホッパには、例えばペレット状の樹脂材が投入される。樹脂材は、熱可塑性樹脂である。可塑化シリンダ121は、不図示のヒータによって加熱されることで、供給された樹脂材を可塑化する温度に調整される。可塑化シリンダ121の内部126には、可塑化スクリュ122が配置されている。可塑化スクリュ122は、回転可能なスクリュである。可塑化スクリュ122の直径は、例えば20mmである。
可塑化駆動部123は、例えばモータなどの駆動源を備えており、可塑化スクリュ122を回転駆動するよう構成されている。可塑化駆動部123の駆動源は、制御装置200によって制御される。可塑化スクリュ122は、可塑化駆動部123に回転駆動されることにより、不図示のホッパから供給された樹脂材を、可塑化しつつ可塑化スクリュ122の先端へ移動させる。
射出部112は、射出シリンダ141と、射出プランジャ142と、切替弁143と、射出駆動部144と、を有する。射出シリンダ141及び射出プランジャ142の材質は、金属であることが好ましい。金属は、例えばハイス鋼または超硬合金であることが好ましい。
射出シリンダ141は、溶融樹脂が供給される供給口Sと、溶融樹脂を射出するノズルNと、を有する。ノズルNは、射出口の一例である。第1実施形態では、射出シリンダ141における軸線C1の方向の先端がノズルNとなっている。ノズルNを金型10に接触させることで、射出シリンダ141の内部146と金型10のキャビティCVとが連通される。
可塑化シリンダ121と射出シリンダ141とは、連結ユニット113を介して接続されている。連結ユニット113は、供給口Sから射出シリンダ141の外部(即ち可塑化部111)へ溶融樹脂が逆流しないよう供給口Sに接続された弁として、逆止弁131を有する。逆止弁131は、供給口Sから射出シリンダ141の外へ溶融樹脂が流れることを妨げる弁である。可塑化シリンダ121の内部126と射出シリンダ141の内部146とは、流路PT1で接続されており、流路PT1に逆止弁131が配置されている。連結ユニット113は、流路PT1を画成する部材132,133を有する。逆止弁131は、部材132,133の内側に配置されている。逆止弁131は、ボール11と、樹脂の流入側に設けられた弁座51と、樹脂の流出側に設けられた弁爪52と、を有する。ボール11の直径は、例えば8mmである。
逆止弁131は、射出シリンダ141から可塑化スクリュ122へ溶融樹脂が逆流しない向きで供給口Sに接続されている。逆止弁131が供給口Sに接続して配置されることにより、流路PT1において、溶融樹脂は、可塑化シリンダ121から射出シリンダ141へ向かう順方向には流れ、射出シリンダ141から可塑化シリンダ121へ向かう逆方向には流れない。流路PT1は、溶融樹脂が流れる流路である。可塑化スクリュ122によって可塑化され溶融された樹脂は、逆止弁131及び射出シリンダ141の供給口Sを介して射出シリンダ141の内部146に供給される。これにより、射出シリンダ141の内部146は、可塑化スクリュ122から供給された溶融樹脂が貯留可能となっている。なお、供給口Sには、逆止弁131の代わりに開閉弁を設けてもよい。
射出シリンダ141の内部146において、ノズルNの近傍には、切替弁143が配置されている。切替弁143は、ノズルNから溶融樹脂を射出する位置(開位置)と、ノズルNから溶融樹脂が射出されるのを遮断する位置(閉位置)とに切り替え可能である。切替弁143は、ノズルN(射出口)から射出シリンダ141の外へ溶融樹脂が流れることを妨げる弁である。切替弁143は、制御装置200に制御される。射出シリンダ141は、内部空間を画成する内周面147を有する。射出プランジャ142は、射出シリンダ141に対して軸線C1の方向であるZ方向に移動可能に射出シリンダ141に嵌合して配置されている。
射出駆動部144は、駆動源の一例であるモータ151と、伝達機構152と、押圧部材153と、を含む。押圧部材153の材質は、金属であることが好ましい。モータ151は、例えば回転モータであり、制御装置200に制御される。伝達機構152は、モータ151の駆動力を押圧部材153に伝達する機構である。伝達機構152は、例えば直動機構を含む。伝達機構152は、さらにタイミングベルトを含んでもよい。直動機構は、回転運動を直線運動に変換する機構であり、例えばボールねじ及びナットを含む機構である。直動機構は、Z方向に直動する直動部材154を有する。押圧部材153は、直動部材154に連結されている。これにより、第1実施形態では、モータ151は、押圧部材153がZ方向に直線的に移動するよう、押圧部材153をZ方向に伝達機構152を介して駆動可能である。押圧部材153は、射出プランジャ142とは別体に構成されており、射出プランジャ142と分離されている。よって、押圧部材153は、射出プランジャ142に対して接触及び離間可能である。
ここで、Z方向のうち、射出プランジャ142及び押圧部材153のそれぞれが軸線C1に沿ってノズルNに近づく方向、即ち射出シリンダ141の貯留された溶融樹脂を射出シリンダ141のノズルNからキャビティCVへ射出するための方向をZ1方向とする。また、Z方向のうち、射出プランジャ142及び押圧部材153のそれぞれが軸線C1に沿ってノズルNから遠ざかる方向をZ2方向とする。Z2方向は、Z1方向とは反対の方向である。また、射出プランジャ142及び押圧部材153のそれぞれがZ1方向に移動することを前進、射出プランジャ142及び押圧部材153のそれぞれがZ2方向に移動することを後退という。Z1方向は、第1方向の一例であり、Z2方向は、第2方向の一例である。射出プランジャ142及び押圧部材153のそれぞれは、Z1方向及びZ2方向に移動可能である。
押圧部材153は、モータ151に駆動されてZ方向に移動することで、射出プランジャ142に対して接触及び離間可能である。つまり、押圧部材153は、モータ151に駆動されてZ1方向に移動することにより、押圧部材153に接触している射出プランジャ142をZ1方向に移動させるよう、射出プランジャ142をZ1方向に押圧可能である。また、押圧部材153は、モータ151に駆動されてZ2方向に移動することにより、射出プランジャ142から離間可能である。即ち、Z1方向は、押圧部材153が射出プランジャ142を押圧可能な方向であり、Z2方向は、押圧部材153が射出プランジャ142から離間可能な方向である。
射出シリンダ141の内部146は、射出プランジャ142がZ方向に摺動可能な部分148と、部分148に対してZ1方向に位置する部分149とを含む。各部分148,149は、略円柱状の空間である。部分148と部分149とは連通している。部分148は、部分149より大径である。つまり、射出プランジャ142は、部分148においてZ方向に移動可能であるが、射出シリンダ141における部分148と部分149との段差部分である当接面150に当接することで、Z1方向への移動が規制される。このように、射出プランジャ142は、押圧部材153と当接面150との間でZ方向に移動可能である。そして、射出プランジャ142は、押圧部材153に当接することで、押圧部材153を越えてZ2方向へ移動するのが規制され、当接面150に当接することで、当接面150を越えてZ1方向へ移動するのが規制される。
供給口S及びノズルNは、部分149と連通している。部分149において、供給口SとノズルNとの間に切替弁143が配置されている。切替弁143は、開閉弁である。よって、切替弁143が閉位置に切り替えられている状態において、可塑化シリンダ121から流路PT1を介して流れてきた溶融樹脂は、供給口Sから部分149に供給され、次いで部分149から部分148に供給される。
溶融樹脂が射出シリンダ141に供給された後、切替弁143が開位置に切り替えられている状態において、射出プランジャ142がZ1方向に所定速度で前進することで、溶融樹脂がノズルNから射出される。このとき、逆止弁131によって射出シリンダ141内の溶融樹脂が可塑化シリンダ121へ逆流するのが低減される。ノズルNから射出された溶融樹脂は、ノズルNと連通されたキャビティCVに充填される。
押圧部材153は、Z方向に延びる軸状の部材である。押圧部材153の直径は、例えば10mmである。Z方向は、押圧部材153の長手方向でもある。射出シリンダ141の内部146は、Z1方向における後端側が開放された開口となっている。そして、射出シリンダ141の開口を通じて押圧部材153が挿通されることで、押圧部材153のZ1方向における先端部分1531が射出シリンダ141の内部146に位置している。押圧部材153のZ1方向における先端部分1531が射出プランジャ142に対向する第1部分である。押圧部材153のZ1方向における後端部分1532は直動部材154に連結されている。
射出プランジャ142は、略円柱状の部材である。射出プランジャ142は、押圧部材153の先端部分1531に接触する、Z1方向における後端部分1422と、射出シリンダ141に注入された溶融樹脂に接触する、Z1方向における先端部分1421と、を含む。後端部分1422は、押圧部材153に対向する第2部分の一例である。後端部分1422は、Z方向において先端部分1421に対して反対の部分である。射出プランジャ142の少なくとも先端部分1421、第1実施形態では射出プランジャ142の全体が、射出シリンダ141の内部146に位置している。
先端部分1531及び後端部分1422のうち、少なくとも一方が球面状となっていることが好ましい。これにより、押圧部材153と射出プランジャ142とは点接触する。第1実施形態では、先端部分1531が球面状であり、後端部分1422が平面状である。なお、後端部分1422が球面状で先端部分1531が平面状であってもよい。また、後端部分1422及び先端部分1531の両方が球面状であってもよい。
射出プランジャ142は、射出シリンダ141の内部146においてZ方向に摺動可能に内周面147と嵌合(接触)している。射出シリンダ141の内径φ1は、射出プランジャ142において射出シリンダ141と嵌合する部分の直径φ2より大きい。射出シリンダ141の内径φ1と、射出プランジャ142の直径φ2との差(φ1-φ2)が2μm以上50μm以下であることが好ましい。第1実施形態において、射出シリンダ141の内径φ1は、内部146の部分148の直径である。差(φ1-φ2)が2μm以上50μm以下であることにより、射出シリンダ141と射出プランジャ142との隙間から樹脂が漏れるのを効果的に低減することができる。また、射出プランジャ142が射出シリンダ141の内周面147に引っかかる、即ちかじりが生じるのを効果的に低減することができる。
例えば、射出プランジャ142の直径φ2が12mm、高さが15mmの円柱状の部材であって、射出シリンダ141の内径φ1が12.01mmである場合、内径φ1と直径φ2との差(φ1-φ2)は、0.01mmとなる。
一方、押圧部材153は、射出シリンダ141の内周面147と接触しないよう、射出プランジャ142より小径に形成されている。このように、押圧部材153は、射出シリンダ141と非接触、即ち射出シリンダ141から離間している。
第1実施形態において、製造装置100は、射出プランジャ142が押圧部材153に接触したか否か、または射出プランジャ142が押圧部材153から離間したか否か、を検知するのに用いられるセンサ155を更に備える。センサ155は、例えば押圧部材153に設けられた歪ゲージである。このセンサ155の検知値を用いることにより、制御装置200は、押圧部材153に射出プランジャ142が接触したか否かを判断することができる。なお、センサ155は、押圧部材153への射出プランジャ142の接触を検知できれば、どのようなセンサであってもよい。即ち、センサ155は、射出プランジャ142と押圧部材153との接触及び/又は離間を検知可能なセンサであればよい。接触及び/又は離間を接離と略称することもできる。
センサ155は歪ゲージのような機械式センサに限らず、例えば、電磁式センサであってもよいし、光学式センサであってもよい。
電磁式センサとしてのセンサ155は、射出プランジャ142と押圧部材153との距離に応じた静電容量や磁界の変化を検出することができる。センサ155が射出シリンダ141の近傍にある場合、射出シリンダ141からの熱がセンサ155に及ぼす影響(精度低下)を考慮すると、射出シリンダ141とセンサ155との間には、断熱部材を配置することが好ましい。断熱部材の材料としては、ガラス繊維を、ポリエステルなどの有機材バインダあるいはシリコン化合物などの無機材バインダで結合した材料を用いることができる。耐熱性(例えば200℃以上)の面で、断熱部材には、ガラス繊維をシリコン化合物のバインダで結合した材料が好適である。電磁式センサとしてのセンサ155は、押圧部材153を駆動するための駆動源のトルクを検出するセンサであってもよい。モータ151がサーボモータであれば、センサ155は、射出プランジャ142と押圧部材153との距離としてサーボモータ電流値を検出するセンサであってもよい。
光学式センサとしてのセンサ155は、発光部と受光部を含みうる。発光部から射出プランジャ142と押圧部材153との当接部近傍へ光が照射される。光学式センサによる射出プランジャ142と押圧部材153との接離検知の第1例では、センサ155の発光部と受光部とが、射出プランジャ142と押圧部材153との当接部に対して同じ側に配置されうる。センサ155の発光部から射出プランジャ142と押圧部材153との当接部近傍へ光が照射された光のうち、射出プランジャ142及び/又は押圧部材153からの反射光を、センサ155の受光部が受光する。射出プランジャ142と押圧部材153とが離間している場合には、射出プランジャ142と押圧部材153との間に隙間が生じているため、照射された光の少なくとも一部は、この隙間を通過し、射出プランジャ142でも押圧部材153でも反射せず、センサ155の受光部には到達しない。この原理を利用すれば、センサ155の受光部の受光量が相対的に大きければ、射出プランジャ142と押圧部材153とが接触していることを検知することができる。そして、センサ155の受光部の受光量が相対的に小さければ、射出プランジャ142と押圧部材153とが離間していることを検知することができる。なお、ここでは、射出プランジャ142及び/又は押圧部材153からの反射光として説明したが、反射体は、射出プランジャ142及び/又は押圧部材153そのものであることは必須ではなく、射出プランジャ142及び/又は押圧部材153に連動する反射部材であってもよい。
光学式センサによる射出プランジャ142と押圧部材153との接離検知の第2例では、センサ155の発光部と受光部とが、射出プランジャ142と押圧部材153との当接部に対して互いに反対側に配置されうる。センサ155の発光部から射出プランジャ142と押圧部材153との当接部近傍へ光が照射された光のうち、射出プランジャ142と押圧部材153との間の隙間を通過した通過光を、センサ155の受光部が受光する。射出プランジャ142と押圧部材153とが離間している場合には、射出プランジャ142と押圧部材153との間に隙間が生じているため、照射された光の少なくとも一部が、この隙間を通過し、センサ155の受光部に到達する。射出プランジャ142と押圧部材153とが接触している場合には、射出プランジャ142と押圧部材153との間に隙間が生じていないか、隙間が小さいため、照射された光の少なくとも一部が、センサ155の受光部に到達しない。この原理を利用すれば、センサ155の受光部の受光量が相対的に大きければ、射出プランジャ142と押圧部材153とが離間していることを検知することができる。そして、センサ155の受光部の受光量が相対的に小さければ、射出プランジャ142と押圧部材153とが接触していることを検知することができる。
光学式センサによる射出プランジャ142と押圧部材153との接離検知の第1例、第2例のいずれにおいても、発光部および受光部の両方を、射出プランジャ142および押圧部材153の一方に連動するように配置することができる。あるいは、発光部および受光部の一方を、射出プランジャ142および押圧部材153の一方に連動するように配置し、発光部および受光部の他方を、射出プランジャ142および押圧部材153の他方に連動するように配置することもできる。あるいは、発光部および受光部の一方を、射出プランジャ142とも押圧部材153とも連動しない、別の構造体に取り付けることもできる。発光部の代わりに、製造装置100の設置環境における自然光や照明光を用いることもできる。一方、センサ155の発光が変調パルス方式であれば、製造装置100の設置環境における自然光や照明光などの外乱光の影響を低減して、安定的に検出することができる。
センサ155の取り付けスペースや、射出シリンダ141および射出プランジャ142からの熱がセンサ155に及ぼす影響(精度低下)を考慮すると、発光部および受光部を一体にしたセンサ155を押圧部材153に固定することが好ましい。押圧部材153に固定された光学式のセンサ155の発光部が、射出プランジャ142の押圧部材153側の端部を照射し、射出プランジャ142での反射光量を光学式のセンサ155の受光部で検出することができる。
センサ155から得られる出力を分析すれば、射出プランジャ142と押圧部材153との接触及び/又は離間を二値的あるいは多値的に検知することができる。接触及び/又は離間の二値的な検知は、センサ155から得られる出力と所定の閾値との比較により行うことができる。また、接触及び/又は離間の多値的な検知では、射出プランジャ142と押圧部材153との間の距離の違いや、射出プランジャ142と押圧部材153との間の圧力の違いなどの情報を取得することができる。さらに、センサ155から得られる出力を分析することで、様々な情報を取得することができる。例えば、制御装置200は、センサ155からの出力と同期して、射出プランジャ142と押圧部材153とが互いに離間した状態から射出プランジャ142と押圧部材153とが互いに接触するまでの時間、及び/又は射出プランジャ142と押圧部材153とが互いに接触した状態から射出プランジャ142と押圧部材153とが互いに離間するまでの時間を計時することができる。そして、制御装置200は、計時した時間に基づいて、射出シリンダ141と射出プランジャ142との間の摺動抵抗に応じた情報を推測することができる。摺動抵抗に応じた情報を推測する手法としては、アルゴリズムを用いた演算、LUT処理、機械学習モデルなどを用いることができ、これらの処理は制御装置200にて行うことができる。このように、製造装置100は、センサ155からの出力の経時変化に基づいて、射出シリンダ141と射出プランジャ142との間の摺動抵抗の変化に応じた情報を取得する。摺動抵抗が変化すると、計量時の背圧や保圧工程時の圧力絶対値が変化(実際の内圧が減少)し、成形品の樹脂の密度変化が起こる可能性がある。成形品の樹脂の密度は成形品の品質にかかわる。そこで、センサ155を用いて摺動抵抗の変化を検出することで、成形品の品質変化を検知することができる。これにより、成形品の品質を確保することができる。不良品を大量に製造する前に、制御装置200が成形品の品質変化を警告する(オペレータに知らせる)ことで、不良品を削減することができる。このように、センサ155を用いて、成形品の成形不良を低減することができる。
以上の構成の製造装置100を用いて成形品を製造する方法について、詳細に説明する。図2~図5は、第1実施形態に係る製造装置100を用いた、成形品の製造方法の説明図である。図2~図5には、製造装置100の断面を模式的に図示している。第1実施形態では、押圧部材153の動作制御において、圧力制御を用いず、位置及び速度制御を用いる。第1実施形態の製造装置100では、計量工程、射出工程、及び冷却工程を繰り返し、順次成形品を製造する。第1実施形態の製造装置100は、保圧工程の必要のないエラストマー樹脂の成形に用いることができる。プリ・プランジャー式の射出成形機である製造装置100において溶融樹脂を計量する際には、可塑化スクリュ122を回転させて可塑化された溶融樹脂を、射出シリンダ141に搬送して射出シリンダ141の内部146に貯留させる。
図2には、製造装置100の計量工程開始直前の状態を示す。射出工程完了時、つまり計量工程開始直前において、制御装置200は、可塑化スクリュ122の回転を停止させている。その際、射出プランジャ142は、クッション位置P0に対して所定量(例えば2mm)、Z2方向に後退したクッション位置P1で停止している。クッション位置P0は、射出シリンダ141の内部146において射出プランジャ142が当接面150に接触する位置である。
逆止弁131のボール11が可塑化スクリュ122の側に移動し、図2の破線の円で示すようにボール11が弁座51に着座した状態で、流路PT1が閉鎖されている。また、射出プランジャ142と押圧部材153は、接触した状態となっている。
図3には、製造装置100の計量工程中の状態を示す。計量工程は、可塑化スクリュ122から射出シリンダ141に供給される溶融樹脂を計量する工程である。計量工程において、制御装置200は、切替弁143を閉じ、モータ151を動作させて直動部材154をZ2方向に後退させることにより、押圧部材153を計量完了位置P2に後退させる。即ち、制御装置200は、計量工程において、押圧部材153を計量完了位置P2に移動させるようモータ151を制御する。計量完了位置P2は、第1位置の一例である。計量完了位置P2は、例えばクッション位置P0からZ2方向に25mm離れた位置である。射出プランジャ142は、クッション位置P1に留まっており、押圧部材153と離間される。
その後、制御装置200は、可塑化スクリュ122を例えば50rpmで回転させることで、可塑化スクリュ122で可塑化された溶融樹脂を、流路PT1を介して射出シリンダ141へ供給する。その際、逆止弁131のボール11は、射出シリンダ141の側に移動し、図3の破線の円で示すようにボール11が弁爪52に接触する。この接触状態において、ボール11と弁爪52との間には隙間が存在し、流路PT1が開通された状態となっている。射出プランジャ142は、供給口Sを介して射出シリンダ141の内部146に流入した溶融樹脂の圧力により押圧され、Z2方向へ後退する。
射出プランジャ142は、押圧部材153から離間した状態で可塑化スクリュ122によって射出シリンダ141に溶融樹脂が供給されると、溶融樹脂にZ2方向に押圧されて、押圧部材153に接触するまでZ2方向に後退する。
図4には、製造装置100の計量工程完了時の状態を示す。制御装置200は、計量完了位置P2に位置する押圧部材153によって射出プランジャ142の移動が規制されたことにより、溶融樹脂の計量が完了したと判定する。射出プランジャ142は、押圧部材153に接触すると、Z2方向への移動が規制される。射出プランジャ142がZ2方向に後退して押圧部材153に接触すると、押圧部材153に設置されたセンサ155の検出値が閾値を超えて変化する。これにより、制御装置200は、射出プランジャ142が押圧部材153に接触したことを感知する。制御装置200は、射出プランジャ142が押圧部材153に接触したことを感知すると、可塑化スクリュ122の回転を停止させる。これにより、計量工程が完了する。即ち、制御装置200は、計量完了位置P2に位置する押圧部材153に射出プランジャ142が接触することにより、溶融樹脂の計量が完了したと判定する。
ここで、計量工程において、仮に射出プランジャを駆動機構で強制的に後退させると、射出シリンダ内の溶融樹脂にエアが巻き込まれる現象が発生することがある。溶融樹脂にエアが巻き込まれる原因はいくつか考えられる。例えば、射出プランジャと射出シリンダとの隙間や可塑化スクリュからエアが射出シリンダ内に引き込まれることが考えられる。また、例えば、溶融樹脂の圧力が変化することにより、溶融樹脂内に溶け込んでいたエアが気泡となって現れることが考えられる。いずれにせよ、溶融樹脂にエアが巻き込まれた状態で成形品を製造すると、成形品にボイドやシルバーストリーク等の成形不良が発生することがある。
第1実施形態では、射出プランジャ142は、計量工程において射出シリンダ141内の樹脂圧によって後退するため、射出プランジャを強制的に後退させる場合と比較して、溶融樹脂にエアが巻き込まれるのを低減することができる。
図5には、製造装置100の射出行程中の状態を示す。射出工程において、制御装置200は、切替弁143を開き、押圧部材153を所定速度(例えば20mm/s)でZ1方向に前進させる。射出プランジャ142は、Z1方向に前進する押圧部材153によってZ1方向に押圧されると、射出シリンダ141の内部146の溶融樹脂を射出シリンダ141のノズルNからキャビティCVへ射出するようZ1方向に前進する。このように、射出プランジャ142は、押圧部材153に接触した状態で押圧部材153に押圧されて前進することにより、射出シリンダ141内の溶融樹脂を金型10のキャビティCVに注入する。そして、制御装置200は、射出プランジャ142がクッション位置P1に到達した時点で押圧部材153の移動を停止させる。
この射出工程中、射出シリンダ141の内部146及び流路PT1の樹脂圧が高まるため、逆止弁131のボール11は可塑化スクリュ122側に移動し、流路PT1が閉鎖される。流路PT1が閉鎖されることで可塑化スクリュ122へ樹脂が逆流するのを低減することができる。
ここで、射出工程において、押圧部材153には、大きな射出反力が加わる。この力により、伝達機構152が固定されている筐体が撓み、押圧部材153が軸線C1に対して僅かに傾くことがある。
第1実施形態では、射出工程において僅かに傾いた状態で押圧部材153を前進させても、押圧部材153の外周面は、射出シリンダ141の内周面147と非接触状態に保たれる。即ち、押圧部材153と射出シリンダ141との間には、押圧部材153と射出シリンダ141とが接触しないようにクリアランスが設けられている。
また、押圧部材153の先端部分1531が球面状であるため、押圧部材153が僅かに傾いて前進しても、先端部分1531が後端部分1422に対して滑る。これにより、射出プランジャ142と射出シリンダ141との嵌合部分にかかる負荷を低減することができ、射出プランジャ142が射出シリンダ141に引っかかる、即ちかじりが生じるのを低減することができる。
射出工程において金型10のキャビティCVに溶融樹脂を充填した後、冷却工程において冷却時間(例えば7s)に亘って金型10内の樹脂を冷却して固化させる。その後、金型10を型開きし、金型10から成形品を取り出す。
以上のプロセスにより、成形品にボイドやシルバーストリーク等の成形不良が発生するのを低減することができ、成形品の製造に係る歩留まりが向上する。
なお、第1実施形態では、金型10における冷却時間中に、次の成形品を製造するための上述した計量工程を行うことができる。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同様の事項については、その説明を簡略化又は省略する。図6~図9は、第2実施形態に係る製造装置100Aを用いた、成形品の製造方法の説明図である。図6~図9には、製造装置100Aの断面を模式的に図示している。第2実施形態における製造装置100Aの構成は、第1実施形態において説明した図1に示す製造装置100に、圧力センサ161を追加したものである。
第2実施形態の製造装置100Aでは、押圧部材153の動作制御において圧力制御を用いる。圧力センサ161は、射出シリンダ141内の樹脂圧を検知するためのセンサであり、射出シリンダ141内に設けられている。圧力センサ161でセンシングした圧力に対応する圧力値は、制御装置200に入力され、処理される。制御装置200は、射出シリンダ141内の圧力が設定圧力となるように、モータ151に制御指令を与えてモータ151を制御する。
第2実施形態の製造装置100Aでは、計量工程、サックバック工程、射出工程、保圧工程、冷却工程を繰り返し、順次成形品を製造する。
図6には、製造装置100Aの計量工程開始直前の状態を示す。なお、可塑化スクリュ122の直径は、例えば32mmである。押圧部材153の外径は、例えば18mmである。射出プランジャ142は、例えば直径が20mm、高さが25mmの円柱状の部材であり、射出シリンダ141の内径は例えば20.01mmである。その際、射出シリンダ141の内径と射出プランジャ142の直径との差は、2μm以上50μm以下の範囲内にある0.01mmとなる。
射出工程完了時、つまり計量工程開始直前において、制御装置200は、可塑化スクリュ122の回転を停止させている。その際、射出プランジャ142は、クッション位置P0に対して所定量(例えば3mm)、Z2方向に後退したクッション位置P1で停止している。クッション位置P0は、射出シリンダ141の内部146において射出プランジャ142が当接面150に接触する位置である。
逆止弁131のボール11が可塑化スクリュ122の側に移動し、ボール11が弁座51に着座した状態で、流路PT1が閉鎖されている。また、射出プランジャ142と押圧部材153は、接触した状態となっている。
図7には、製造装置100Aの計量工程中の状態を示す。計量工程において、制御装置200は、切替弁143を閉じ、可塑化スクリュ122を例えば100rpmで回転させることで、可塑化スクリュ122で可塑化された溶融樹脂を、流路PT1を介して射出シリンダ141へ供給する。その際、逆止弁131のボール11は、射出シリンダ141の側に移動し、ボール11が弁爪52に接触する。この接触状態において、ボール11と弁爪52との間には隙間が存在し、流路PT1が開通された状態となっている。溶融樹脂は、逆止弁131及び供給口Sを通り、射出シリンダ141内に流入する。これにより、射出シリンダ141内の樹脂圧が高まる。
計量工程では、可塑化スクリュ122の回転により、射出シリンダ141内に流入する溶融樹脂に対して、押圧部材153を用いて射出プランジャ142に背圧と呼ばれる圧力を加える。即ち、制御装置200は、射出シリンダ141内の圧力が一定(例えば背圧1MPa)に保たれるように、押圧部材153をZ2方向に動作させる。具体的には制御装置200は、可塑化スクリュ122を回転させ、射出プランジャ142の後端部分1422と押圧部材153の先端部分1531とが接触した状態で溶融樹脂の圧力を一定に保持したまま、押圧部材153をZ2方向に後退させる。
そして、制御装置200は、押圧部材153が計量完了位置P2に到達した時点で計量工程を終了する。このように、制御装置200は、計量工程において、計量完了位置P2に押圧部材153を移動させるようモータ151を制御する。計量完了位置P2は、第1位置の一例であり、例えばクッション位置P0からZ2方向に60mm離れた位置である。その後、サックバック工程に移行する。
図8には、製造装置100Aのサックバック工程中の状態を示す。サックバック工程は、計量工程後の射出シリンダ141内の樹脂圧を低下させることで、ノズルNからの樹脂漏れ、即ち鼻タレや、次の射出工程において生じるジェッティングなどの成形不良を低減するために実施される。
サックバック工程において、制御装置200は、計量完了位置P2に対してZ2方向に後退したサックバック完了位置P3へ押圧部材153を後退させるようモータ151を制御する。サックバック完了位置P3は、第2位置の一例であり、例えばクッション位置P0からZ2方向に65mm離れた位置である。
押圧部材153を後退させた時点で、射出プランジャ142と押圧部材153とが離間し、押圧部材153が先にサックバック完了位置P3まで後退する。その後、射出プランジャ142が射出シリンダ141内の溶融樹脂に押圧されて、サックバック完了位置P3まで後退し、再び押圧部材153に接触する。これにより、サックバックが行われ、鼻タレやジェッティングを低減することができる。
第2実施形態では、サックバック工程において射出プランジャ142を駆動機構などで強制的に後退させるのではなく、溶融樹脂の樹脂圧によって後退させている。このため、射出プランジャ142は、サックバック工程において射出シリンダ141内の樹脂圧に拮抗して後退するため、溶融樹脂と射出プランジャ142の先端部分1421との間に空隙が生じず、溶融樹脂へのエアの巻き込みを低減することができる。
図9には、製造装置100Aの射出工程中の状態を示す。射出工程において、制御装置200は、切替弁143を開き、押圧部材153を所定速度(例えば30mm/s)でZ1方向に前進させる。射出プランジャ142は、押圧部材153に接触した状態で押圧部材153に押圧されて前進し、射出シリンダ141内の溶融樹脂を金型10のキャビティCVに注入する。そして、制御装置200は、射出プランジャ142がクッション位置P1に到達した時点で押圧部材153の移動を停止させる。
この射出工程中、射出シリンダ141の内部146及び流路PT1の樹脂圧が高まるため、逆止弁131のボール11は可塑化スクリュ122側に移動し、流路PT1が閉鎖される。流路PT1が閉鎖されることで可塑化スクリュ122への樹脂が逆流するのを低減することができる。
射出工程において金型10のキャビティCVに樹脂を充填した後、保圧工程に移行する。保圧工程において、制御装置200は、射出シリンダ141内の圧力が一定(例えば、保圧50MPa)に保たれるように、押圧部材153が射出プランジャ142を押圧するようモータ151を制御し、キャビティCV内の成形品の冷却による収縮を補う。保圧工程完了後、冷却工程において冷却時間(例えば10s)に亘って金型10内の成形品を冷却する。その後、金型10を型開きし、金型10から成形品を取り出す。
以上のプロセスにより、成形品にボイドやシルバーストリーク等の成形不良が発生するのを低減することができ、成形品の製造に係る歩留まりが向上する。
第2実施形態では、金型10における冷却時間中に、次の成形品を製造するための上述した計量工程及びサックバック工程を行うことができる。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。第3実施形態では、製造装置がファミリー成形装置である場合について説明する。ファミリー成形装置は、射出成形装置の一例であり、互いに異なる形状の複数の成形品を成形することができる金型を有する。金型は、キャビティを複数画成するよう構成されている。
図10~図12は、第3実施形態に係る製造装置100Bを用いた、成形品の製造方法の説明図である。図10~図12には、製造装置100Bの断面を模式的に図示している。図10は、製造装置100Bが、後述する射出工程を実施する状態を示し、図11は、製造装置100Bが、後述する保圧工程を実施する状態を示し、図12は、製造装置100Bが、後述する計量工程を実施する状態を示している。
製造装置100Bは、射出成形機101Bと、金型112Bと、制御装置200Bと、を備える。金型112Bの内部には、第1キャビティであるキャビティCV1と、第2キャビティであるキャビティCV2とが画成される。キャビティCV1とキャビティCV2とは、互いに異なる形状又はサイズである。キャビティCV1,CV2には、保圧工程において、それぞれ異なる保圧が印加されるように構成されている。
制御装置200Bは、制御部の一例であり、例えばプロセッサを有する、1つまたは複数のコンピュータで構成されている。制御装置200Bは、製造装置全体を制御可能である。
射出成形機101Bは、例えばインラインスクリュ式の射出成形機である。射出成形機101Bの動作は、制御装置200Bによって制御される。射出成形機101Bは、可塑化部111B及び射出部123Bを含む。射出成形機101Bによって金型112Bに供給された溶融樹脂は、各キャビティCV1,CV2に充填される。
可塑化部111Bは、不図示のホッパと、可塑化シリンダ121Bと、可塑化スクリュ122Bと、を有する。不図示のホッパには、例えばペレット状の樹脂材が投入される。樹脂材は、熱可塑性樹脂、例えばポリフェニレンエーテル(PPE)である。可塑化シリンダ121Bは、不図示のヒータによって加熱されることで、供給された樹脂材を可塑化する温度に調整される。可塑化シリンダ121Bの内部126Bには、可塑化スクリュ122Bが配置されている。可塑化スクリュ122Bは、回転可能であり、かつ前進及び後退可能なスクリュである。可塑化スクリュ122Bの直径は、例えば36mmである。
射出部123Bは、不図示のモータを有し、可塑化スクリュ122Bを回転させ、可塑化スクリュ122Bを前進及び後退させるよう構成されている。射出部123Bが可塑化スクリュ122Bを前進させることで、溶融樹脂を金型112Bに射出することができる。射出部123Bは、制御装置200Bによって制御される。
製造装置100Bは、射出シリンダ141B、射出プランジャ142B、ホットランナー143B、射出駆動部144Bを有する。射出駆動部144Bの動作は、制御装置200Bに制御される。射出シリンダ141Bは、溶融樹脂が供給される供給口S1と、溶融樹脂をキャビティCV1に射出するゲートG1と、を有する。ゲートG1は、射出口の一例である。ゲートG1を介して、射出シリンダ141Bの内部146BとキャビティCV1とが連通される。射出シリンダ141B及び射出プランジャ142Bの材質は、金属であることが好ましい。
ホットランナー143Bは、射出シリンダである。ホットランナー143Bにおける溶融樹脂の供給口には、可塑化シリンダ121Bが接続される。ホットランナー143Bは、溶融樹脂をキャビティCV2に射出するゲートG2を有する。ゲートG2は、射出口の一例である。ゲートG2を介して、ホットランナー143Bの内部とキャビティCV2とが連通される。
また、製造装置100Bは、ゲートG1を開閉するバルブピンV1と、ゲートG2を開閉するバルブピンV2とを有する。バルブピンV1は、ゲートG1から射出シリンダ141Bの外へ溶融樹脂が流れるのを止めるための弁である。バルブピンV2は、ゲートG2からホットランナー143Bの外へ溶融樹脂が流れるのを止めるための弁である。バルブピンV1,V2の動作は、制御装置200Bによって制御される。
ホットランナー143Bと射出シリンダ141Bとは、逆止弁131Bを介して接続されている。逆止弁131Bは、第1及び第2実施形態で説明した逆止弁131と同様の構成である。逆止弁131Bは、射出シリンダ141Bからホットランナー143Bへ溶融樹脂が逆流しない向きで供給口S1に接続されている。逆止弁131Bが供給口S1に接続して配置されることにより、溶融樹脂は、ホットランナー143Bから射出シリンダ141Bへ向かう順方向には流れ、射出シリンダ141Bからホットランナー143Bへ向かう逆方向には流れない。可塑化スクリュ122Bによって可塑化され溶融された樹脂は、ホットランナー143B、逆止弁131B及び射出シリンダ141Bの供給口S1を介して射出シリンダ141Bの内部146Bに供給される。これにより、射出シリンダ141Bの内部146Bは、可塑化スクリュ122Bから供給された溶融樹脂が貯留可能となっている。
射出シリンダ141Bは、内部空間を画成する内周面147Bを有する。射出プランジャ142Bは、射出シリンダ141Bに対して軸線C3の方向であるZ方向に移動可能に射出シリンダ141Bに嵌合して配置されている。
射出駆動部144Bは、駆動源の一例であるモータ151Bと、伝達機構152Bと、押圧部材153Bと、を含む。押圧部材153Bの材質は、金属であることが好ましい。モータ151Bは、例えば回転モータであり、制御装置200Bに制御される。伝達機構152Bは、モータ151Bの駆動力を押圧部材153Bに伝達する機構である。伝達機構152Bは、例えば直動機構を含む。伝達機構152Bは、さらにタイミングベルトを含んでもよい。直動機構は、回転運動を直線運動に変換する機構であり、例えばボールねじ及びナットを含む機構である。
直動機構は、Z方向に直動する直動部材154Bを有する。押圧部材153Bは、直動部材154Bに連結されている。これにより、第3実施形態では、モータ151Bは、押圧部材153BがZ方向に直線的に移動するよう、押圧部材153BをZ方向に伝達機構152Bを介して駆動可能である。押圧部材153Bは、射出プランジャ142Bとは別体に構成されており、射出プランジャ142Bと分離されている。よって、押圧部材153Bは、射出プランジャ142Bに対して接触及び離間可能である。
ここで、Z方向のうち、射出プランジャ142B及び押圧部材153Bのそれぞれが軸線C3に沿ってゲートG1に近づく方向、即ち射出シリンダ141Bに貯留された溶融樹脂をゲートG1からキャビティCV1へ射出するための方向をZ1方向とする。また、Z方向のうち、射出プランジャ142B及び押圧部材153Bのそれぞれが軸線C3に沿ってゲートG1から遠ざかる方向をZ2方向とする。Z2方向は、Z1方向とは反対の方向である。また、射出プランジャ142B及び押圧部材153BのそれぞれがZ1方向に移動することを前進、射出プランジャ142B及び押圧部材153BのそれぞれがZ2方向に移動することを後退という。Z1方向は、第1方向の一例であり、Z2方向は、第2方向の一例である。射出プランジャ142B及び押圧部材153Bのそれぞれは、Z1方向及びZ2方向に移動可能である。
押圧部材153Bは、モータ151Bに駆動されてZ方向に移動することで、射出プランジャ142Bに対して接触及び離間可能である。つまり、押圧部材153Bは、モータ151Bに駆動されてZ1方向に移動することにより、押圧部材153Bに接触している射出プランジャ142BをZ1方向に移動させるよう、射出プランジャ142BをZ1方向に押圧可能である。また、押圧部材153Bは、モータ151Bに駆動されてZ2方向に移動することにより、射出プランジャ142Bから離間可能である。即ち、Z1方向は、押圧部材153Bが射出プランジャ142Bを押圧可能な方向であり、Z2方向は、押圧部材153Bが射出プランジャ142Bから離間可能な方向である。
射出シリンダ141Bの内部146Bは、射出プランジャ142BがZ方向に摺動可能な略円柱状の空間である。
押圧部材153Bは、Z方向に延びる軸状の部材である。Z方向は、押圧部材153Bの長手方向でもある。射出シリンダ141Bの内部146Bは、Z1方向における後端側が開放された開口となっている。射出シリンダ141Bの開口を通じて押圧部材153Bが挿通されることで、押圧部材153BのZ1方向における先端部分が射出シリンダ141Bの内部146Bに位置している。押圧部材153BのZ1方向における先端部分が射出プランジャ142Bに対向する第1部分である。押圧部材153BのZ1方向における後端部分は直動部材154Bに連結されている。
射出プランジャ142Bは、略円柱状の部材である。射出プランジャ142Bの直径は、例えば8mmである。射出プランジャ142Bは、押圧部材153Bの先端部分に接触する、Z1方向における後端部分と、射出シリンダ141Bに注入された溶融樹脂に接触する、Z1方向における先端部分と、を含む。射出プランジャ142Bの後端部分は、押圧部材153Bに対向する第2部分の一例である。射出プランジャ142Bの後端部分は、Z方向において射出プランジャ142Bの先端部分に対して反対の部分である。射出プランジャ142Bの少なくとも先端部分、第3実施形態では射出プランジャ142Bの全体が、射出シリンダ141Bの内部146Bに位置している。
押圧部材153Bの先端部分及び射出プランジャ142Bの後端部分のうち、少なくとも一方が球面状となっていることが好ましい。これにより、押圧部材153Bと射出プランジャ142Bとは点接触する。第3実施形態では、押圧部材153Bの先端部分が球面状であり、射出プランジャ142Bの後端部分が平面状である。なお、射出プランジャ142Bの後端部分が球面状で押圧部材153Bの先端部分が平面状であってもよい。また、射出プランジャ142Bの後端部分及び押圧部材153Bの先端部分の両方が球面状であってもよい。
射出プランジャ142Bは、射出シリンダ141Bの内部146BにおいてZ方向に摺動可能に内周面147Bと嵌合(接触)している。射出シリンダ141Bの内径は、射出プランジャ142Bにおいて射出シリンダ141Bと嵌合する部分の直径より大きい。射出シリンダ141Bの内径と、射出プランジャ142Bにおいて射出シリンダ141Bと嵌合する部分の直径との差が2μm以上50μm以下であることが好ましい。これにより、射出シリンダ141Bと射出プランジャ142Bとの隙間から樹脂が漏れるのを効果的に低減することができる。また、射出プランジャ142Bが射出シリンダ141Bの内周面147Bに引っかかる、即ちかじりが生じるのを効果的に低減することができる。
一方、押圧部材153Bは、射出シリンダ141Bの内周面147Bと接触しないよう、射出プランジャ142Bより小径に形成されている。このように、押圧部材153Bは、射出シリンダ141Bと非接触、即ち射出シリンダ141Bから離間している。
以上の構成の製造装置100Bを用いて成形品を製造する方法について説明する。図10には、製造装置100Bの射出工程の状態を示す。射出工程において、制御装置200Bは、キャビティCV2に繋がるゲートG2を閉じた状態で、キャビティCV1に繋がるゲートG1を開き、射出成形機101Bの可塑化スクリュ122Bを所定速度、例えば50mm/sで前進させる。射出成形機101Bから射出された溶融樹脂は、ホットランナー143B内の流路を流れ、逆止弁131Bを通過する。逆止弁131Bを通過した溶融樹脂は、ゲートG1を通り、キャビティCV1に充填される。制御装置200Bは、キャビティCV1の未充填の容積が所定容積、例えば30ccとなったタイミングでゲートG2を開く。これにより、キャビティCV2にも溶融樹脂が流入し、容積の異なる2つのキャビティCV1,CV2に同時に溶融樹脂を充填することができる。この時、押圧部材153Bの先端部分が、計量完了位置P2に保持されており、射出プランジャ142Bと押圧部材153Bとが接触した状態となっている。計量完了位置P2は、第1位置の一例である。計量完了位置P2は、例えばクッション位置P0からZ2方向に20mm離れた位置である。
図11には、製造装置100Bの保圧工程の状態を示す。保圧工程において、制御装置200Bは、射出駆動部144Bを制御して、キャビティCV1に第1保圧を印加し、射出成形機101Bを制御して、キャビティCV2に第1保圧より低い第2保圧を印加する。保圧工程において、制御装置200Bは、押圧部材153Bに射出プランジャ142Bを押圧させることにより、例えば80MPaである保圧を、例えば3sに亘って、射出シリンダ141Bの流路に印加する。一方、制御装置200Bは、射出成形機101Bの可塑化スクリュ122Bにより、例えば50MPaの保圧を、例えば3sに亘って、ホットランナー143Bの流路に印加する。この保圧工程の際、逆止弁131Bの樹脂の流入側の圧力と流出側の圧力との関係は、「流出側の圧力」>「流入側の圧力」となる。そのため、逆止弁131Bは閉状態となる。よって、射出プランジャ142Bにより印加された保圧80MPaはキャビティCV1に掛かり、射出成形機101Bの可塑化スクリュ122Bにより印加された保圧50MPaはキャビティCV2に掛かることとなる。保圧工程完了後は、ゲートG1、G2を閉じる。保圧工程完了時の射出プランジャ142Bは、クッション位置P1に位置する。クッション位置P1は、例えばクッション位置P0からZ2方向に2mm離れた位置である。
図12には、製造装置100Bの計量工程の状態を示す。計量工程において、制御装置200Bは、モータ151Bを動作させて押圧部材153Bを計量完了位置P2まで後退させる。この際、射出プランジャ142Bは、クッション位置P1またはその付近に留まり、押圧部材153Bと離間する。その後、制御装置200Bは、射出成形機101Bの可塑化スクリュ122Bを、例えば100rpmで回転させて、背圧2MPaを印加する。これにより、逆止弁131Bの樹脂の流入側の圧力と流出側の圧力との関係は、「流出側の圧力」<「流入側の圧力」となる。このため、逆止弁131Bは開状態となり、射出成形機101Bの可塑化スクリュ122Bで可塑化溶融された溶融樹脂がホットランナー143Bを通り、射出シリンダ141Bの内部に流入する。そして、射出シリンダ141Bの内部に流入した溶融樹脂の圧力により、射出プランジャ142BがZ2方向に押圧され、計量完了位置P2で停止している押圧部材153Bに接触するまで後退する。一方、射出成形機101Bの可塑化スクリュ122Bは、次のショットに必要な樹脂量を計量完了するまで回転しながら後退を続ける。射出成形機101Bの計量完了後、冷却時間を経て、各キャビティCV1,CV2から成形品が取り出される。その後、再び射出工程に移行する。
第3実施形態では、射出プランジャ142Bは、計量工程において射出シリンダ141B内の樹脂圧によって後退するため、射出プランジャを強制的に後退させる場合と比較して、溶融樹脂にエアが巻き込まれるのを低減することができる。
以上のプロセスにより、成形品にボイドやシルバーストリーク等の成形不良が発生するのを低減することができ、成形品の製造に係る歩留まりが向上する。
[変形例]
上述の第1~第3実施形態において、射出シリンダ、射出プランジャ及び押圧部材は、種々の変形が可能である。
(変形例1)
図13(a)は、変形例1における射出シリンダ141C、射出プランジャ142C、及び押圧部材153Cの模式的な断面図である。射出シリンダ141C、射出プランジャ142C、及び押圧部材153Cの材質は、金属であることが好ましい。射出シリンダ141Cの材質は、例えばハイス鋼である。射出プランジャ142Cの材質は、例えば粉末ハイス鋼である。押圧部材153Cの材質は、例えばハイス鋼である。第1~第3実施形態と同様に、射出プランジャ142Cの前進及び退避する方向をZ方向とし、射出プランジャ142Cの前進する方向をZ1方向とし、射出プランジャ142Cの後退する方向をZ2方向とする。Z1方向は、溶融樹脂を射出する方向であり、Z2方向は、Z1方向とは反対の方向である。
射出プランジャ142Cは、Z1方向における先端部分1421Cと、Z1方向における後端部分1422Cとを有する。射出プランジャ142Cの先端部分1421Cは、射出シリンダ141Cの内部146Cに位置し、射出プランジャ142Cの後端部分1422Cは、射出シリンダ141Cの外部に位置する。
射出シリンダ141Cの内部146Cは、射出シリンダ141Cの内周面147Cで画成される円柱状の空間である。射出プランジャ142Cは、内部146Cに挿通される円柱状の軸部41Cと、射出シリンダ141Cの当接面150Cに当接可能な鍔部42Cと、を有する。これにより、射出プランジャ142Cの軸部41Cは、射出シリンダ141Cの内周面147Cと嵌合する。
変形例1において、軸部41Cの先端部分が射出プランジャ142Cの先端部分1421Cであり、鍔部42Cの後端部分が射出プランジャ142Cの後端部分1422Cである。よって、先端部分1421Cは、軸部41Cに含まれ、後端部分1422Cは、鍔部42Cに含まれる。
押圧部材153Cは、Z1方向における先端部分1531Cを有する。押圧部材153Cの先端部分1531Cは、射出プランジャ142Cの後端部分1422C、即ち鍔部42Cの後端部分に対して接離可能である。鍔部42Cが射出シリンダ141Cの外部に位置しているため、鍔部42Cに接離可能な押圧部材153Cは、射出シリンダ141Cと非接触状態、即ち射出シリンダ141Cから離間した状態に保たれる。
射出プランジャ142Cにおいて押圧部材153Cに対向する後端部分1422C、及び押圧部材153Cにおいて射出プランジャ142Cに対向する先端部分1531Cのうち、少なくとも一方が球面状に形成されていることが好ましい。ここで、先端部分1531Cは、第1部分の一例であり、後端部分1422Cは、第2部分の一例である。
図13(a)の例では、先端部分1531Cが球面状に形成され、後端部分1422Cが平面状に形成されている。これにより、射出プランジャ142Cと押圧部材153Cとは、点接触することができる。なお、後端部分1422Cが球面状で先端部分1531Cが平面状であってもよい。また、後端部分1422C及び先端部分1531Cの両方が球面状であってもよい。
射出シリンダ141Cの内径は、射出プランジャ142Cの軸部41Cの直径より大きい。射出シリンダ141Cの内径と、射出プランジャ142Cの軸部41Cの直径との差は、2μm以上50μm以下であることが好ましい。これにより、射出シリンダ141Cと射出プランジャ142Cの軸部41Cとの隙間から樹脂が漏れるのを効果的に低減することができる。また、射出プランジャ142Cが射出シリンダ141Cの内周面147Cに引っかかる、即ちかじりが生じるのを効果的に低減することができる。
変形例1においては、射出プランジャ142Cの後端部分1422Cが外部に露出しているため、清掃などのメンテナンスの際に、射出プランジャ142Cを射出シリンダ141Cから引き抜くのが容易となり、メンテナンス性が向上する。
また、後端部分1422Cが鍔部42Cに含まれるため、鍔部42Cに工具をひっかけることで、射出プランジャ142Cを射出シリンダ141Cから容易に引き抜くことができ、メンテナンス性がさらに向上する。
(変形例2)
図13(b)は、変形例2における射出シリンダ141D、射出プランジャ142D、及び押圧部材153Dの模式的な断面図である。射出シリンダ141D、射出プランジャ142D、及び押圧部材153Dの材質は、金属であることが好ましい。第1~第3実施形態と同様に、射出プランジャ142Dの前進及び退避する方向をZ方向とし、射出プランジャ142Dの前進する方向をZ1方向とし、射出プランジャ142Dの後退する方向をZ2方向とする。Z1方向は、溶融樹脂を射出する方向であり、Z2方向は、Z1方向とは反対の方向である。
射出プランジャ142Dは、Z1方向における先端部分1421Dと、Z1方向における後端部分1422Dとを有する。射出プランジャ142Dの先端部分1421Dは、射出シリンダ141Dの内部146Dに位置し、射出プランジャ142Dの後端部分1422Dは、射出シリンダ141Dの外部に位置する。
射出シリンダ141Dの内部146Dは、射出シリンダ141Dの内周面147Dで画成される円柱状の空間である。射出プランジャ142Dは、内部146Dに挿通される円柱状の軸部41Dと、内部146Dに挿通され、軸部41Dより大径の円柱状の軸部40Dと、射出シリンダ141Dの当接面150Dに当接可能な鍔部42Dと、を有する。軸部40Dは、軸部41Dに対してZ1方向に位置する。これにより、射出プランジャ142Dの軸部40Dは、射出シリンダ141Dの内周面147Dと嵌合する。
変形例2において、軸部40Dの先端部分が射出プランジャ142Dの先端部分1421Dであり、鍔部42Dの後端部分が射出プランジャ142Dの後端部分1422Dである。よって、先端部分1421Dは、軸部40Dに含まれ、後端部分1422Dは、鍔部42Dに含まれる。
押圧部材153Dは、Z1方向における先端部分1531Dを有する。押圧部材153Dの先端部分1531Dは、射出プランジャ142Dの後端部分1422D、即ち鍔部42Dの後端部分に対して接離可能である。鍔部42Dが射出シリンダ141Dの外部に位置しているため、鍔部42Dに接離可能な押圧部材153Dは、射出シリンダ141Dと非接触状態、即ち射出シリンダ141Dから離間した状態に保たれる。
射出プランジャ142Dにおいて押圧部材153Dに対向する後端部分1422D、及び押圧部材153Dにおいて射出プランジャ142Dに対向する先端部分1531Dのうち、少なくとも一方が球面状に形成されていることが好ましい。ここで、先端部分1531Dは、第1部分の一例であり、後端部分1422Dは、第2部分の一例である。
図13(b)の例では、先端部分1531Dが球面状に形成され、後端部分1422Dが平面状に形成されている。これにより、射出プランジャ142Dと押圧部材153Dとは、点接触することができる。なお、後端部分1422Dが球面状で先端部分1531Dが平面状であってもよい。また、後端部分1422D及び先端部分1531Dの両方が球面状であってもよい。
射出シリンダ141Dの内径は、射出プランジャ142Dの軸部40Dの直径より大きい。射出シリンダ141Dの内径と、射出プランジャ142Dの軸部40Dの直径との差は、2μm以上50μm以下であることが好ましい。これにより、射出シリンダ141Dと射出プランジャ142Dの軸部40Dとの隙間から樹脂が漏れるのを効果的に低減することができる。また、射出プランジャ142Dが射出シリンダ141Dの内周面147Dに引っかかる、即ちかじりが生じるのを効果的に低減することができる。
変形例2においては、射出プランジャ142Dの後端部分1422Dが外部に露出しているため、清掃などのメンテナンスの際に、射出プランジャ142Dを射出シリンダ141Dから引き抜くのが容易となり、メンテナンス性が向上する。
また、後端部分1422Dが鍔部42Dに含まれるため、鍔部42Dに工具をひっかけることで、射出プランジャ142Dを射出シリンダ141Dから容易に引き抜くことができ、メンテナンス性がさらに向上する。
変形例2の射出プランジャ142Dは、変形例1よりも内周面147Dとの接触面積が少ない。このため、変形例1よりさらに効果的に、射出プランジャ142Dが射出シリンダ141Dの内周面147Dに引っかかるのを効果的に低減することができる。
[第4実施形態]
図13(c)は、第4実施形態に係る製造装置の射出シリンダ141E、射出プランジャ142E、及び押圧部材153Eの模式的な断面図である。射出シリンダ141E、射出プランジャ142E、及び押圧部材153Eの材質は、金属であることが好ましい。第1~第3実施形態と同様に、射出プランジャ142Eの前進及び退避する方向をZ方向とし、射出プランジャ142Eの前進する方向をZ1方向とし、射出プランジャ142Eの後退する方向をZ2方向とする。Z1方向は、溶融樹脂を射出する方向であり、Z2方向は、Z1方向とは反対の方向である。
射出プランジャ142Eは、Z1方向における先端部分1421Eと、Z1方向における後端部分1422Eとを有する。射出プランジャ142Eの先端部分1421Eは、射出シリンダ141Eの内部146Eに位置し、射出プランジャ142Eの後端部分1422Eは、射出シリンダ141Eの外部に位置する。
射出シリンダ141Eは、基体61Eと、スリーブ62Eと、を有する。スリーブ62Eは、基体61Eに着脱可能に装着されている。射出プランジャ142Eは、スリーブ62Eと嵌合している。
スリーブ62Eは、円柱状の開口部を画成する内周面148Eを有する。スリーブ62Eの開口部は、基体61Eの内部と連通している。基体61Eの内部も円柱状に形成されている。スリーブ62Eの開口部の直径は、基体61Eの内部の直径より小さい。スリーブ62Eの開口部と、基体61Eの内部とを含んで、射出シリンダ141Eの内部146Eが構成されている。射出シリンダ141Eの内部146Eは、射出シリンダ141Eの内周面147Eで画成される空間である。
射出プランジャ142Eは、内部146Eに挿通される円柱状の軸部41Eと、射出シリンダ141Eの当接面150Eに当接可能な鍔部42Eと、を有する。当接面150Eは、スリーブ62Eに含まれる。第4実施形態では、射出プランジャ142Eの軸部41Eは、スリーブ62Eの開口部に挿通されてスリーブ62Eの内周面148Eと嵌合する。射出プランジャ142Eとスリーブ62Eとの嵌合部分のZ方向における嵌合長は、例えば35mmである。
第4実施形態において、軸部41Eの先端部分が射出プランジャ142Eの先端部分1421Eであり、鍔部42Eの後端部分が射出プランジャ142Eの後端部分1422Eである。よって、先端部分1421Eは、軸部41Eに含まれ、後端部分1422Eは、鍔部42Eに含まれる。
押圧部材153Eは、Z1方向における先端部分1531Eを有する。押圧部材153Eの先端部分1531Eは、射出プランジャ142Eの後端部分1422E、即ち鍔部42Eの後端部分に対して接離可能である。鍔部42Eが射出シリンダ141Eの外部に位置しているため、鍔部42Eに接離可能な押圧部材153Eは、射出シリンダ141Eと非接触状態、即ち射出シリンダ141Eから離間した状態に保たれる。
射出プランジャ142Eにおいて押圧部材153Eに対向する後端部分1422E、及び押圧部材153Eにおいて射出プランジャ142Eに対向する先端部分1531Eのうち、少なくとも一方が球面状に形成されていることが好ましい。ここで、先端部分1531Eは、第1部分の一例であり、後端部分1422Eは、第2部分の一例である。
図13(c)の例では、先端部分1531Eが球面状に形成され、後端部分1422Eが平面状に形成されている。これにより、射出プランジャ142Eと押圧部材153Eとは、点接触することができる。なお、後端部分1422Eが球面状で先端部分1531Eが平面状であってもよい。また、後端部分1422E及び先端部分1531Eの両方が球面状であってもよい。
射出シリンダ141Eのスリーブ62Eの内径は、射出プランジャ142Eの軸部41Eの直径より大きい。射出シリンダ141Eのスリーブ62Eの内径と、射出プランジャ142Eの軸部41Eの直径との差は、2μm以上50μm以下であることが好ましい。これにより、射出シリンダ141Eのスリーブ62Eと射出プランジャ142Eの軸部41Eとの隙間から樹脂が漏れるのを効果的に低減することができる。また、射出プランジャ142Eが射出シリンダ141Eのスリーブ62Eの内周面148Eに引っかかる、即ちかじりが生じるのを効果的に低減することができる。
第4実施形態においては、射出プランジャ142Eの後端部分1422Eが外部に露出しているため、清掃などのメンテナンスの際に、射出プランジャ142Eを射出シリンダ141Eから引き抜くのが容易となり、メンテナンス性が向上する。
また、後端部分1422Eが鍔部42Eに含まれるため、鍔部42Eに工具をひっかけることで、射出プランジャ142Eを射出シリンダ141Eから容易に引き抜くことができ、メンテナンス性がさらに向上する。
射出プランジャ142Eは、射出シリンダ141Eの基体61Eと接触しないようになっている。このため、射出プランジャ142Eは、変形例1よりも内周面147Eとの接触面積が少ない。即ち、射出プランジャ142Eは、内周面147Eのうち、スリーブ62Eの内周面148Eだけに接触する。よって、第4実施形態によれば、変形例1よりさらに効果的に、射出プランジャ142Eが射出シリンダ141Eの内周面147Eに引っかかる、即ちかじりが生じるのを効果的に低減することができる。
さらに、基体61Eに着脱可能なスリーブ62Eを用いることで、長期使用によって射出シリンダ141Eと射出プランジャ142Eとの嵌合部分に摩耗等が生じた場合でも、スリーブ62Eのみの交換で対応可能であり、メンテナンス性がさらに向上する。
ここで、射出プランジャ142Eは、射出シリンダ141Eに対して摺動する部分を含む。射出シリンダ141Eに対して摺動する部分に付着した樹脂は、射出シリンダ141Eの外へ漏れ出て、射出シリンダ141Eの外に溜まることがある。
図14は、第4実施形態に係る製造装置の一部の説明図である。図14には、第4実施形態に係る製造装置の一部の断面が図示されている。図14において、スリーブ62Eと基体61Eの間はOリングなどのシール部材63で封止されている。図14において、スリーブ62Eは、射出シリンダ141Eの基体61Eにねじ64で固定(締結)されている。ネジ64により、スリーブ62Eは、射出シリンダ141Eの基体61Eに押圧されている。射出プランジャ142Eの移動により射出プランジャ142Eとスリーブ62Eとが摺動する面積において、射出プランジャ142Eにおけるスリーブ62Eと摺動する部分の面積は、スリーブ62Eにおける射出プランジャ142Eと摺動する部分の面積より大きいことが好ましい。
射出プランジャ142Eの軸部41Eは、射出シリンダ141Eに嵌合されて摺動する部分を含む。射出プランジャ142Eの軸部41Eの直径をL1とする。スリーブ62Eの内径をL2とする。基体61Eの内径をL3とする。射出プランジャ142Eとスリーブ62Eとの嵌合部分のZ方向における嵌合長をL4とする。
樹脂の漏れ量Mは、以下の式(1)から導き出すことができる。
式(1)は、同心円筒形状の2面間に隙間ができることを前提とした、隙間からの流体の流量式である。
式(1)において、bは直径、即ち隙間の幅、lは隙間の長さ、hは隙間の高さ、ηは流体の粘度、P1-P2は圧力差を示す。式(1)から、lが大きいほど、又はbが小さいほど、樹脂の漏れ量Mを低減できることがわかる。
ここで、lは嵌合長L4に対応し、bは軸部41Eの直径L1に対応している。すなわち、樹脂の漏れ量Mを低減するには、嵌合長L4が大きいほどよく、及び/又は、軸部41Eの直径L1が小さいほどよい。
そのため、嵌合長L4は、直径L1より長いことが好ましい。実験の結果、嵌合長L4は、軸部41Eの直径L1の103%以上であることが好ましい。一方で、嵌合長L4が極端に大きいと、摺動性が低下するので、嵌合長L4は、軸部41Eの直径L1の270%以下であることが好ましい。例えば、直径L1は5mm~12.5mm、嵌合長L4は12.5mm~20mmとすることが好ましい。
軸部41Eの直径L1は、スリーブ62Eの内径L2よりも小さい。軸部41Eの直径L1とスリーブ62Eの内径L2との差は0.001mm~0.010mmであることが好ましい。
スリーブ62Eの内径L2は、射出シリンダ141Eの基体61Eの内径L3と同じであってもよいが、スリーブ62Eの内径L2は、基体61Eの内径L3より小さいことが好ましい。実験の結果、スリーブ62Eの内径L2は、基体61Eの内径L3の99.0%以上100.0%未満であることが好ましく、99.5%以上であることがより好ましく、99.8%以下であることがより好ましい。例えば、スリーブ62Eの内径L2は、基体61Eの内径L3より0.01mm~0.1mm小さいことが好ましい。
ここで、仮に射出シリンダ141Eの基体61Eと射出プランジャ142Eとの間の隙間が大きいと、この隙間に存在する樹脂が射出シリンダの外部に漏れる原因になりうる。そのため、第4実施形態では、基体61Eの内径L3をスリーブ62Eの内径L2にできるだけ近づけて、基体61Eと射出プランジャ142Eとの間の隙間をできるだけ小さくすることで、樹脂漏れが低減される。
図15(a)及び図15(b)は、第4実施形態に係る製造装置の一部の説明図である。図15(a)及び図15(b)には、第4実施形態に係る製造装置の一部の断面が図示されている。図15(a)及び図15(b)において、射出プランジャ142Eの先端には面取り部42が形成されている。面取り部42は例えばC面取りでありうる。面取りは、面取り前の角から0.1mm~1.0mm程度、好ましくは0.2mm~0.6mmの距離で行われる。面取り部42の幅は0.15mm~1.5mm程度である。
図15(b)においては、さらにスリーブ62Eの内側であって、基体61E側にも面取り部43が形成されている。面取り部43によって、スリーブ62Eの内壁と基体61Eの内壁で形成される面、すなわち、軸部41Eの側面に対向する面には、面取り部43の深さに応じた段差L5が形成される。
仮にスリーブ62Eと基体61Eとの間の段差があると、その段差に樹脂が溜まりやすく、かつ、その段差に溜まった樹脂は粘度が増大しやすい。段差に溜まった高粘度の樹脂が射出プランジャに付着して樹脂漏れを起こしうる。そこで、スリーブ62Eと基体61Eとの間の段差ができるだけ小さいことが好ましい。スリーブ62Eと基体61Eとの間には(L3-L2)/2程度の段差が形成されうる。スリーブ62Eと基体61Eとの間に形成される段差は、基体61Eの内径L3と射出プランジャ142Eの直径L1との差、すなわち、L3-L1よりも小さいことが好ましい。スリーブ62Eと基体61Eとの間に形成される段差は、(L3-L1)/2以下であることがより好ましい。例えば、スリーブ62E及び/又は基体61Eに面取り部(例えばスリーブ62Eの面取り部43)が設けられていると、スリーブ62Eと基体61Eとの間に形成される段差L5がL3-L1を超えてしまう場合がある。L3-L1は例えば、0.01mm~0.1mmである。射出プランジャ142Eの面取り部42と同様の面取り部43によって、形成される段差L5は0.1mm~1.0mmでありうる。0.1mm~1.0mm程度の深さでスリーブ62Eや基体61Eに面取り部を設けると、スリーブ62Eと基体61Eとの間に形成される段差L5が0.1mm~1.0mm程度となり、0.01mm~0.1mm程度であるL3-L1を超えてしまう。したがって、図15(b)のように、スリーブ62Eの基体61E側に0.1mm~1.0mm程度の面取り部を設けたり、基体61Eのスリーブ62E側に0.1mm~1.0mm程度の面取り部を設けたりしない方が好ましい。図15(b)よりも、図15(a)のように、スリーブ62Eと基体61Eとの間の段差を極力小さくし、例えば段差L5をL3-L1よりも小さくすること(L5<L3-L1)が好ましく、段差L5をL3-L1の半分以下にすること(L5≦(L3-L1)/2)がより好ましい。
射出プランジャ142Eの表面には、結晶粒径が10nm~1μm、好ましくは50nm~500nm、より好ましくは100nm~300nmの結晶を含む結晶層が設けられていることが好ましい。多結晶金属材料の結晶粒径は多くの場合数μmから数十μmであるが、表面近傍を、結晶粒径1μm以下のナノ結晶(微結晶)で構成された結晶層(ナノ結晶層、微結晶層)とすることで、耐摩耗性、疲労強度、及び摺動性が向上する。このような表面処理は、ショットピーニングを用いて行うことができる。ショットピーニングとは、研磨材やメディアと呼ばれる無数の球状粒子を被加工物に高速で衝突させる冷間加工法の一種である。ショットピーニングによって、被加工物に衝突した球状粒子により凹凸の塑性変形が生じると共に、圧縮残留応力による亀裂進展の抑制や表面硬度上昇による耐摩耗性向上などの表面改質を図ることができる。なお、同様の結晶層は、他の実施形態の射出プランジャにも適用可能である。
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。第5実施形態において、第1実施形態と同様の事項については、その説明を簡略化又は省略する。図16は、第5実施形態に係る製造装置100Fの模式的な断面図である。
上述の第1実施形態の製造装置100においては、射出プランジャ142が、射出駆動部144から分離されている、即ち押圧部材153に対して接離可能となっている場合について説明した。第5実施形態の製造装置100Fは、第1実施形態の製造装置100において、押圧部材153及び射出プランジャ142を、射出プランジャ142Fに置き換えたものである。即ち、射出プランジャ142Fは、射出駆動部144の直動部材154に接続されている。製造装置100Fにおいて、これ以外の構成は、第1実施形態の製造装置100と同様である。射出プランジャ142Fは、モータ151によってZ方向に駆動可能である。制御装置200は、モータ151を制御可能である。即ち、制御装置200は、射出プランジャ142FがZ方向に移動するようにモータ151の駆動を制御可能である。
制御装置200は、射出シリンダ141に溶融樹脂を供給する際に、射出プランジャ142FがZ2方向へ移動可能になるようにモータ151の駆動を停止させる。例えば、第1実施形態のような位置及び速度制御を行う場合には、計量工程において、モータ151の駆動を停止させればよい。これにより、モータ151の駆動力が発生しなくなるため、射出プランジャ142Fは、溶融樹脂の押圧力によってZ2方向に移動可能となる。そして、制御装置200は、射出シリンダ141から溶融樹脂を射出する際、射出プランジャ142Fが方向Z1へ移動可能になるようにモータ151を駆動する。
また別の例として、制御装置200は、射出シリンダ141への溶融樹脂の供給が完了した際に、射出プランジャ142FがZ2方向へ移動可能にモータ151の駆動を停止させるようにしてもよい。例えば、第2実施形態のような圧力制御を行う場合には、サックバック工程において、モータ151の駆動を停止させればよい。これにより、モータ151の駆動力が発生しなくなるため、射出プランジャ142Fは、溶融樹脂の押圧力によってZ2方向に移動可能となる。
以上、第5実施形態においても、成形品にボイドやシルバーストリーク等の成形不良が発生するのを低減することができ、成形品の製造に係る歩留まりが向上する。
なお、以上の第5実施形態の構成及び制御動作を、上述の第3実施形態に適用することも可能である。
本開示は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態は、本開示の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本開示の実施形態から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本開示の実施形態による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
本明細書の開示内容は、本明細書に明示的に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した個別の概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBである」旨の記載があれば、たとえ「AはBでない」旨の記載を省略していたとしても、本明細書は「AはBでない」旨を開示していると云える。なぜなら、「AはBである」旨を記載している場合には、「AはBでない」場合を考慮していることが前提だからである。
以上の実施形態の開示は、以下の項を含む。
(項1)
溶融樹脂が供給され、溶融樹脂を射出する射出シリンダと、
第1方向と、前記第1方向とは反対の第2方向とに移動可能に、前記射出シリンダに嵌合して配置された射出プランジャと、を備え、
前記射出シリンダは、内部に前記溶融樹脂を貯留する基体と、前記基体に着脱可能なスリーブと、を有し、
前記射出プランジャは、前記スリーブに設けられた開口部を介して前記基体の内部に挿通し、前記スリーブに摺動する、
ことを特徴とする製造装置。
(項2)
前記射出プランジャは、前記基体から離間している、
ことを特徴とする項1に記載の製造装置。
(項3)
前記射出プランジャから離間可能であり、前記射出プランジャを前記第1方向に移動させるように、前記射出プランジャを押圧可能な押圧部材と、を備える、
ことを特徴とする項1または2に記載の製造装置。
(項4)
溶融樹脂が供給され、溶融樹脂を射出する射出シリンダと、
第1方向と、前記第1方向とは反対の第2方向とに移動可能に、前記射出シリンダに嵌合して配置された射出プランジャと、
前記射出プランジャから離間可能であり、前記射出プランジャを前記第1方向に移動させるように、前記射出プランジャを押圧可能な押圧部材と、
前記射出プランジャと前記押圧部材との接触及び/又は離間を検知可能なセンサと、を備える、
ことを特徴とする製造装置。
(項5)
前記押圧部材が前記射出プランジャから離間した状態で前記射出シリンダに供給された溶融樹脂が前記射出プランジャを押圧することにより、前記射出プランジャを前記第2方向に移動させるように構成されている、
ことを特徴とする項3または4に記載の製造装置。
(項6)
溶融樹脂が供給され、溶融樹脂を射出する射出シリンダと、
第1方向と、前記第1方向とは反対の第2方向とに移動可能に、前記射出シリンダに嵌合して配置された射出プランジャと、
前記射出プランジャから離間可能であり、前記射出プランジャを前記第1方向に移動させるように、前記射出プランジャを押圧可能な押圧部材と、
前記押圧部材を前記第1方向及び前記第2方向に駆動可能な駆動源と、
前記駆動源を制御可能な制御部と、を備え、
前記押圧部材が前記射出プランジャから離間した状態で前記射出シリンダに供給された溶融樹脂が前記射出プランジャを押圧することにより、前記射出プランジャを前記第2方向に移動させるように構成され、
前記制御部は、
前記射出シリンダに供給される溶融樹脂を計量する際に前記押圧部材を第1位置に移動させるよう前記駆動源を制御し、
前記第1位置に対して前記第2方向に後退した第2位置へ前記押圧部材を後退させた後に射出を行うように前記駆動源を制御する、
ことを特徴とする製造装置。
(項7)
前記射出プランジャの少なくとも先端部分が、前記射出シリンダの内部に位置している、
ことを特徴とする項1乃至6のいずれか1項に記載の製造装置。
(項8)
前記射出プランジャの全体が、前記射出シリンダの内部に位置している、
ことを特徴とする項1乃至7のいずれか1項に記載の製造装置。
(項9)
前記射出プランジャの後端部分が、前記射出シリンダの外部に位置している、
ことを特徴とする項1乃至7のいずれか1項に記載の製造装置。
(項10)
前記射出シリンダは、内部に前記溶融樹脂を貯留する基体と、前記基体に着脱可能なスリーブと、を有し、
前記射出プランジャは、前記スリーブに設けられた開口部を介して前記基体の内部に挿通し、前記スリーブに嵌合する、
ことを特徴とする項4乃至6のいずれか1項に記載の製造装置。
(項11)
前記射出プランジャにおける前記スリーブと摺動する部分の面積は、前記スリーブにおける前記射出プランジャと摺動する部分の面積より大きい、
ことを特徴とする項1乃至3および10のいずれか1項に記載の製造装置。
(項12)
前記スリーブと前記射出プランジャとの嵌合部分の嵌合長は、前記射出プランジャの直径より大きい、
ことを特徴とする項1乃至3、10および11のいずれか1項に記載の製造装置。
(項13)
前記スリーブと前記射出プランジャとの嵌合部分の嵌合長は、前記射出プランジャの直径の103%以上かつ270%以下である、
ことを特徴とする項1乃至3および10乃至12のいずれか1項に記載の製造装置。
(項14)
前記スリーブの内径は、前記基体の内径より小さい、
ことを特徴とする項1乃至3および10乃至13のいずれか1項に記載の製造装置。
(項15)
前記スリーブの内径は、前記基体の内径の99.0%以上100.0%未満であることと、前記スリーブの内径は、前記基体の内径より0.01mm~0.1mm小さいことと、の少なくとも一方を満たす、
ことを特徴とする項1乃至3および10乃至14のいずれか1項に記載の製造装置。
(項16)
前記スリーブと前記基体との間の段差が、前記射出プランジャの直径と前記基体の内径との差よりも小さい、
ことを特徴とする項1乃至3および10乃至15のいずれか1項に記載の製造装置。
(項17)
前記押圧部材は、前記射出シリンダから離間している、
ことを特徴とする項3乃至6のいずれか1項に記載の製造装置。
(項18)
前記押圧部材において前記射出プランジャに対向する第1部分、及び前記射出プランジャにおいて前記押圧部材に対向する第2部分のうち、少なくとも一方が球面状に形成されている、
ことを特徴とする項3乃至6のいずれか1項に記載の製造装置。
(項19)
前記射出シリンダの内径と、前記射出プランジャにおいて前記射出シリンダと嵌合する部分の直径との差が2μm以上50μm以下である、
ことを特徴とする項1乃至18のいずれか1項に記載の製造装置。
(項20)
前記射出シリンダは、前記溶融樹脂が供給される供給口を有し、
前記供給口から前記射出シリンダの外へ溶融樹脂が流れることを妨げる弁を更に備える、
ことを特徴とする項1乃至19のいずれか1項に記載の製造装置。
(項21)
前記射出シリンダは、前記溶融樹脂が射出される射出口を有し、
前記射出口から前記射出シリンダの外へ溶融樹脂が流れることを妨げる弁を更に備える、
ことを特徴とする項1乃至20のいずれか1項に記載の製造装置。
(項22)
キャビティを画成する金型を備え、前記溶融樹脂は前記キャビティに射出される、
ことを特徴とする項1乃至21のいずれか1項に記載の製造装置。
(項23)
複数のキャビティを画成する金型を備え、前記溶融樹脂は前記複数のキャビティに射出される、
ことを特徴とする項1乃至21のいずれか1項に記載の製造装置。
(項24)
前記押圧部材を前記第1方向及び前記第2方向に駆動可能な駆動源と、
前記駆動源を制御可能な制御部と、を更に備える、
ことを特徴とする項3乃至5のいずれか1項に記載の製造装置。
(項25)
前記制御部は、
前記射出シリンダに供給される溶融樹脂を計量する際に前記押圧部材を第1位置に移動させるよう前記駆動源を制御する、
ことを特徴とする項24に記載の製造装置。
(項26)
前記制御部は、前記第1位置に位置する前記押圧部材によって前記射出プランジャの移動が規制されたことにより、溶融樹脂の計量が完了したと判定する、
ことを特徴とする項25に記載の製造装置。
(項27)
前記射出プランジャが前記押圧部材に接触したか否か、または、前記射出プランジャが前記押圧部材から離間したか否か、を検知するのに用いられるセンサを更に備える、
ことを特徴とする項3または6に記載の製造装置。
(項28)
前記センサは光学式センサである、
ことを特徴とする項4に記載の製造装置。
(項29)
前記センサからの出力の経時変化に基づいて、前記射出シリンダと前記射出プランジャとの間の摺動抵抗の変化に応じた情報を取得する、
ことを特徴とする項4に記載の製造装置。
(項30)
前記制御部は、前記第1位置に対して前記第2方向に後退した第2位置へ前記押圧部材を後退させるよう前記駆動源を制御する、
ことを特徴とする項25に記載の製造装置。
(項31)
溶融樹脂が供給され、溶融樹脂を射出する射出シリンダと、
第1方向と、前記第1方向とは反対の第2方向とに移動可能に、前記射出シリンダに嵌合して配置された射出プランジャと、
前記射出プランジャを駆動する駆動源と、
前記駆動源を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記射出シリンダから溶融樹脂を射出する際、前記射出プランジャが前記第1方向へ移動可能になるように前記駆動源を駆動し、
前記制御部は、前記射出シリンダに溶融樹脂を供給する際、又は前記射出シリンダへの溶融樹脂の供給が完了した際に、前記射出プランジャが前記第2方向へ移動可能になるように前記駆動源の駆動を停止させる、
ことを特徴とする製造装置。
(項32)
項1乃至31のいずれか1項に記載の製造装置により成形品を製造することを特徴とする成形品の製造方法。