JP7527853B2 - 光電変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換装置及び撮像システムに関するものである。
近年、単一光子レベルの微弱光を検出可能な半導体装置について、幅広い分野での応用が期待されている。特に、従来は連続値として扱ってきた入力光の輝度を光子数という離散値として精確に計数する、いわゆるフォトンカウンティングが注目されている。
フォトンカウンティングを実現する光検出素子の一例として、アバランシェフォトダイオード(以下、「APD」とも表記する)が挙げられる。APDは、半導体のpn接合部に誘起された強電界により発生するアバランシェ増倍現象を用いることで、光子により励起された信号電荷量を数倍~百万倍程度に増幅することができる。このアバランシェ増倍現象の高ゲイン性を利用することで、微弱光の信号を大きく増幅し、読み出し回路で生じる読み出しノイズに対するSN比を向上させることができる。単一光子レベルの輝度分解能を実現することができる。
特許文献1には、複数の単一光子アバランシェフォトダイオード(SPAD)から成るアレイを備える撮像装置が記載されている。特許文献1に記載の撮像装置のアレイでは、少なくとも2つの検出領域が区画される。特許文献1に記載の撮像装置は、前記2つの検出領域に対してそれぞれ少なくとも1つの信号出力端を有している。そして、特許文献1には、2つの検出領域から出力された二つの信号より特性曲線を求めることで有効ダイナミックレンジを拡大する方法が記載されている。
特表2018-512573
しかしながら、特許文献1において二つの信号から特性曲線を求める必要があり、信号処理が複雑になるという課題があった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、アバランシェフォトダイオードを用いた光電変換装置の信号処理を簡素化することを目的とする。
本発明の一つの側面は、光に対する感度が互いに異なる第一のアバランシェフォトダイオードと、第二のアバランシェフォトダイオードと、を有する画素と、前記第一のアバランシェフォトダイオードで生じた電荷に基づく信号及び前記第二のアバランシェフォトダイオードで生じた電荷に基づく信号をカウントするためのカウンタ回路と、を含む光電変換装置であって、前記カウンタ回路から出力されるカウント数が所定の閾値に達すると前記カウント数の処理を切り替える機能を有する。
本発明によれば、アバランシェフォトダイオードを用いた光電変換装置のフォトンカウント処理性能を向上させることができる。
実施形態にかかる光電変換装置の概略図である。 実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。 実施形態にかかる光電変換装置の画素のAPDの構成例を示す平面模式図及び断面模式図である。 APDの電流-電圧特性の一例を示すグラフである。 入射フォトン数とカウントされるフォトン数との関係を示すグラフである。 実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。 入射フォトン数とカウントされるフォトン数との関係を示すグラフである。 実施形態にかかる光電変換装置の画素のAPDの構成例を示す平面図である。 実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。 入射フォトン数とカウントされるフォトン数との関係を示すグラフである。 実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。 入射フォトン数とカウントされるフォトン数との関係を示すグラフである。 実施形態にかかる撮像システムの概略構成を示すブロック図である。 実施形態にかかる撮像システム及び移動体の構成例を示す図である。
[第1の実施形態]
本発明の第1実施形態による光電変換装置及びその駆動方法について、図1から図8を用いて説明する。
図1は、実施形態にかかる光電変換装置の概略図であり、図2は、実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。図3は、実施形態にかかる光電変換装置の画素のAPDの構成例を模式的に示す平面図及び断面図である。図4はAPDの電流-電圧特性の一例を示すグラフであり、図5は実施形態にかかる入射フォトン数とカウントされるフォトン数との関係を示すグラフである。図6は実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。図7は実施形態にかかる入射フォトン数とカウントされるフォトン数との関係を示すグラフである。図8は実施形態にかかる光電変換装置の画素のAPDの構成例を示す平面図である。
(光電変換装置の全体構成)
本実施形態による撮像装置100は、図1に示すように、画素領域10と、垂直走査回路20と、列読み出し回路30と、水平走査回路40と、制御回路50と、信号処理回路60とを有している。
画素領域10には、複数行及び複数列に渡ってマトリクス状に配された複数の画素12が設けられている。画素領域10の画素アレイの各行には、行方向(図1において横方向)に延在して、制御信号線14が配されている。制御信号線14は、行方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。また、画素領域10の画素アレイの各列には、列方向(図1において縦方向)に延在して、垂直出力線16が配されている。垂直出力線16は、列方向に並ぶ画素12にそれぞれ接続され、これら画素12に共通の信号線をなしている。図1においては1本の垂直出力線が描かれているが、出力される信号のbit数に応じ複数本の垂直出力線が接続されていてもよい。
画素領域10を構成する画素12の数は、特に限定されるものではない。例えば、一般的なデジタルカメラのように数千行×数千列の画素12で画素領域10を構成してもよく、1行又は1列に並べた複数の画素12で画素領域10を構成してもよい。或いは、1つの画素12で画素領域10を構成してもよい。
各行の制御信号線14は、垂直走査回路20に接続されている。垂直走査回路20は、画素12から画素信号を読み出す際に画素12内の読み出し回路を駆動するための制御信号を、制御信号線14を介して画素12に供給する回路部である。
各列の垂直出力線16の一端は、列読み出し回路30に接続されている。画素12から読み出された画素信号は、垂直出力線16を介して列読み出し回路30に入力される。列読み出し回路30は、画素12から読み出された画素信号を保持するメモリ等を含み得る。
水平走査回路40は、列読み出し回路30において保持された画素信号を列毎に順次、出力回路60に転送するための制御信号を、列読み出し回路30に供給する回路部である。制御回路50は、垂直走査回路20、列読み出し回路30及び水平走査回路40の動作やそのタイミングを制御する制御信号を供給するための回路部である。信号処理回路60は画素信号の処理を行う。
(画素の構成)
本実施形態による画素12の構成と接続関係について説明する。図2は、画素12の概略構成を示すブロック図ないし等価回路図である。それぞれの画素12は、図2に示すように、光電変換部140と、カウンタ回路120と、カウンタ回路121と、選択回路130と、選択回路150とを含む。
光電変換部140はアバランシェフォトダイオード143(以下、「APD」とも表記する)、APD144を含む。APD143、APD144のアノードは、電圧VLを供給する電源に接続されている。APD143、APD144のカソードは、P型MOSトランジスタ141、142のドレイン、及びインバータ回路145、146の入力端子に接続されている。P型MOSトランジスタ141、142のソースは、電圧VLよりも電位の高い電圧VHを供給する電源に接続されている。
インバータ回路145、インバータ回路146の出力端子は、光電変換部140の出力端子である。インバータ回路145、インバータ回路146の出力端子は、それぞれ、カウンタ回路120、カウンタ回路121に接続されている。カウンタ回路120は選択回路150の0端子に、カウンタ回路121は選択回路150の1端子に接続され、選択回路150のOUT端子は選択回路130を介して垂直出力線16に接続されている。
画素の各要素の機能について説明する。
光電変換部140はAPD143、APD144に入射した光を光電変換し、発生した電荷はアバランシェ増倍を発生させる。そのために、APD143、APD144のそれぞれには、逆方向降伏電圧を超える電圧が印加される。後述するクエンチング抵抗がAPD143、APD144のそれぞれに接続されているため、アバランシェ増倍の発生に起因してAPD143、APD144のカソードの電圧が変化する。
図2の構成例において、APD143はAPD144よりも光電変換部の受光面の面積が大きく、光に対する感度が高い。なお、光電変換部上に入射光を受光部に導くためのマイクロレンズが設けられる場合、1つのマイクロレンズがAPD143、APD144の双方を覆うように配される。したがって、1つのマイクロレンズを受光面に射影した際に、当該マイクロレンズの射影がAPD143、APD144のそれぞれの受光面と少なくとも部分的に重なる。
P型MOSトランジスタ141、142はAPDをガイガーモードで動作させる際のクエンチング抵抗として機能する。この抵抗が存在することによって、アバランシェ増倍の発生により、APD143、APD144のカソードの電圧が一時的に変化し、その後、元の電圧(典型的には、電圧VH)に戻る。電源ノードとカソードとの間に適当なインピーダンスが生じるためである。このように、クエンチング抵抗を接続することによって、入射した光子の数に対応した回数の電圧の変化が生じる。
インバータ回路145、146はAPDから出力される信号が閾値を超えるか否かを判定し、入力される信号の閾値に対する大小関係を反転した信号を出力する。インバータ回路145、インバータ回路146のそれぞれの入力端子はAPD143、APD144のカソードに接続されているので、インバータ回路145、インバータ回路146の出力は、カソードの電圧変化が整形されたパルス波となる。すなわち、APDから出力される連続的な信号をパルス状に整形して出力する、波形整形機能を担っている。上述のように、光子の入射のたびにAPDのカソードで電圧変化が生じる。そのため、入射した光子の数に対応した数のパルス波が、各インバータ回路から出力される。結果として、フォトンカウントが可能になる。
カウンタ回路120、121はインバータ回路から出力されるパルスの数をカウントすることで、APDの入射したフォトンの数をカウントする。たとえば3bitのカウンタ回路であれば、10進数で2の3乗まで、例えば、0から7までのカウント値を得ることができる。カウント値がカウンタ回路の最大値に到達すると、カウンタがオーバーフローを起こし、カウンタ回路の最大値以上のカウント値を得ることができない。カウンタ回路は初期値から、あるいは不定値からカウントを再開するため、得られるカウント値と実際の入力フォトン数が一致しなくなる。また、カウンタ回路はリセットされると再び初期値からカウントが始まる。
選択回路150は、S端子のレベルがLoの時は0端子の出力をOUT端子から出力し、S端子のレベルがHiの時は1端子の出力をOUT端子から出力する。選択回路150の0端子には高感度のAPD143のインバータ回路145を介した出力が接続され、選択回路150の1端子には低感度のAPD144のインバータ回路146を介した出力が接続されている。選択回路150のS端子にはSEL2が接続されている。カウント値が一定の閾値を超えると、SEL2は制御回路50によってLoからHiに切り替わる。選択回路150の出力は選択回路130に入力されている。つまり、カウンタ回路120のカウント値あるいはカウンタ回路121のカウント値のいずれか一方が選択回路150によって選択され、選択回路130に入力される。
選択回路130は、制御信号線14を介して垂直走査回路20に接続され、制御回路50から供給される制御信号を受けてカウンタ回路120あるいはカウンタ回路121のカウント値の垂直出力線16への読み出しを選択する。選択された信号は画素領域10内の複数の画素12の中で信号を読みだされる画素の信号として垂直出力線16へと出力される。
制御信号線14は、リセット信号線RESと、選択信号線SEL1と、SEL2とを含む。リセット信号線RESは、対応する行に属する画素12のカウンタ回路120、カウンタ回路121にそれぞれ接続され、カウンタ回路のカウントをリセットするリセット信号を供給している。選択信号線SEL1は、対応する行に属する画素12の選択回路130に接続され、各画素から垂直出力線への信号の読み出しを制御する信号を選択回路130に供給する。選択信号線SEL2は、対応する行に属する画素12の選択回路150のS端子と接続され、選択回路150のOUT端子から出力される信号として0端子の出力と1端子の出力のいずれを選択するかを制御する信号を選択回路150に供給する。
図3を用いて、APD143およびAPD144の構造について説明する。本実施形態による撮像装置は、一例では、APD143およびAPD144が設けられた第1基板と、他の構成要素が設けられた第2基板とを貼り合わせることにより構成することができる。他の構成要素は、APD143およびAPD144以外の画素12の構成要素のほか、垂直走査回路20、列読み出し回路30、水平走査回路40、制御回路50、信号処理回路60等の周辺回路も含み得る。図3(b)は、これら2つの基板のうち、APDが設けられた基板の図3(a)T-T‘断面での模式的な断面図を示したものである。なお、本実施形態による撮像装置は図3(b)に示す構成に限られず、例えば画素12の一部を第1基板に設け、他の一部を第2基板に設けた積層構造の画素でも良い。
各画素12のAPD143、APD144は、いずれも半導体基板210に形成される。半導体基板210は、例えばn型のシリコン基板である。半導体基板210は、第1面212と、第1面212に対向する第2面214とを含む。例えば、第1面212は半導体基板210の表面であり、第2面214は半導体基板210の裏面である。
半導体基板210には、n型半導体領域224が設けられている。n型半導体領域224は、p型半導体領域からなる分離部220によって、1つの画素12に対応する領域毎に分けられている。分離部220は、平面視においてそれぞれのn型半導体領域224を囲うように配されている。p型半導体領域220の第2面214側は、半導体基板210の第2面214に接して設けられたp型半導体領域222に接している。
1つの画素12に含まれるAPD143、APD144を構成するp型半導体領域とn型半導体領域とのうち、n型半導体領域は分離部220及びp型半導体領域222を含む。n型半導体領域は分離部220によって分けられたn型半導体領域224の1つ、及び、当該n型半導体領域224に配されたn型半導体領域226、228を含む。
なお、ここでは各画素12の複数のAPDが配されるn型半導体領域224を、pn接合分離によって分離する例を示しているが、他の素子分離方法によって分離するようにしてもよい。他の素子分離方法としては、例えば、STI(Shallow Trench Isolation)法、DTI(Deep Trench Isolation)法、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法等が挙げられる。
分離部220により画定されたそれぞれのn型半導体領域224は、一の画素12に含まれる複数のAPD143、APD144を構成している。図3(a)に示す、n型半導体領域224に配されたAPD143、APD144を分離する白抜き部は、図3(b)のp型半導体領域230に対応している。
APD143は、n型半導体領域224の外周部をカソード、n型半導体領域224に接するp型半導体領域220、222をアノードとしている。また、n型半導体領域226はAPD143のカソードの一部である。APD144は、n型半導体領域224の中心部をカソード、p型半導体領域220、222をアノードとしている。n型半導体領域228はAPD144のカソードの一部である。n型半導体領域226、n型半導体領域228は、半導体基板210の第1面212に接して配されている。APD143、APD144はp型半導体領域220によって画素12の外の素子からは分離される。APD143、APD144は、共通のアノードとして、p型半導体領域220、222を含む。これに対して、APD143のカソードとAPD144のカソードとは、p型半導体領域230によって電気的に分離されている。p型半導体領域230は隣接するAPDのn型半導体領域228と226の間に、半導体基板210の第1面212に接して配されている。
APDが設けられた半導体基板210の第1面212の上には、絶縁膜234が設けられている。絶縁膜234の上には、コンタクトプラグ236を介してp型半導体領域220に接続された配線238と、コンタクトプラグ240を介してn型半導体領域226、n型半導体領域228に接続された配線242とが設けられている。
アノードであるp型半導体領域220には、配線238及びコンタクトプラグ236を介して、電圧VLが供給される。カソードであるn型半導体領域226、n型半導体領域228は、コンタクトプラグ240及び配線242を介して、図2に示すインバータ回路145、インバータ回路146にそれぞれ接続される。
APD143を例に挙げると、p型半導体領域220とn型半導体領域226の間に逆バイアスが印加されているため、p型半導体領域220及び222とn型半導体領域224とのPN接合面には空乏層が形成される。p型半導体領域222の第2面214から光が入射すると、入射部の半導体領域中で電子・正孔対が形成される。生成された電子はp型半導体222からn型半導体領域226へ向かう電界によって加速され、アバランシェ増倍が発生する。
ここでn型半導体領域226の不純物濃度は、n型半導体領域224の不純物濃度よりも高い。さらにp型半導体領域230によるポテンシャル障壁がn型半導体領域226周辺に形成されることにより、アバランシェ増倍によって発生した電荷はその生成位置に対応するn型半導体領域226に集められる。
APD144についても同様にアバランシェ増倍が起こり、生成された電荷はn型半導体領域228に集められる。n型半導体領域226、228の濃度を十分に高くすることでアバランシェ増倍の発生するPN接合部から段階的にポテンシャルの谷を形成し、n型半導体領域226、228に電荷を集めることができる。
また、p型半導体領域220、222の不純物濃度は、p型半導体領域230の不純物濃度よりも高く、n型半導体224との間でアバランシェ増倍を起こすに十分な電界を形成している。なお、半導体基板210をp型のシリコン基板とし、図3のn型半導体224部をp型半導体領域220、222よりも不純物濃度の薄いp型半導体領域224aとすることも可能である。この場合、p型半導体領域224aとn型半導体領域226の間に形成される電界によってアバランシェ増倍が発生する構成となる。このように、半導体領域224を、分離部220より低濃度のp型半導体領域224aに置換することによって、電界強度を高めることができ、結果として、より低電圧でのアバランシェ増倍を可能とする。このような構成では、n型半導体領域226端部にアバランシェ増倍の発生が集中することを防ぐガード領域を設けることがノイズの削減に有効である。
図3に示す画素の構成例では、一の画素12に含まれるAPDのうち中央部に小面積で低感度のAPD143、外周部に大面積で高感度のAPD144を配置しているが、画素の構成例はこれに限られない。
その他の構成例として、画素上に配置されるマイクロレンズの集光効率を利用することが考えられる。マイクロレンズ中央部の下に配置されるAPDを高感度用、マイクロレンズ外周部の下に配置されるAPDを低感度用としても同様の効果が得られる。
(駆動方法)
次に、本実施形態による撮像装置の駆動方法について説明する。
電圧VH及び電圧VLは、APD143、APD144に、ガイガーモードで動作するに十分な逆バイアス電圧を印加することが可能となるように設定されている。ここでは一例として、APDが、図4に示すような電流-電圧特性を有している場合を想定する。図4に示すAPDの逆方向降伏電圧(以下、単に降伏電圧とも呼ぶ)は、-50Vから-53.3Vの間の値である。すなわち、このAPDに、-50V程度までの逆バイアスが印加されてもアバランシェ増倍は起きないが、それより大きな逆バイアスが印加されるとアバランシェ増倍が起きる。また、-53.3V程度以上の逆バイアスが印加されると、アバランシェ増倍のゲインが非常に高い、いわゆるガイガーモードで動作する。
本実施形態ではAPDをガイガーモードで動作する単一光子アバランシェフォトダイオード(SPAD)として使用する。そのため、APDのアノードには電圧VLとして例えば-50Vを印加し、P型MOSトランジスタのソースには電圧VHとして例えば+3.3Vを印加する。その結果、APD143、APD144には、それぞれ約53.3Vの逆バイアスが印加されている。
クエンチング抵抗としてのP型MOSトランジスタ141、P型MOSトランジスタ142のゲートには、通常、ソースに印加する電圧と同じ電圧を印加する。これによって、P型MOSトランジスタ141、P型MOSトランジスタ142は、トランジスタの寸法で抵抗値が決まる抵抗素子として動作する。P型MOSトランジスタ141、P型MOSトランジスタ142のゲートに印加する電圧をソースに印加する電圧よりも低く設定し、より抵抗値の大きな抵抗素子として利用することも可能である。P型MOSトランジスタ141、P型MOSトランジスタ142のゲート電圧は、所望のクエンチング抵抗が得られるように適宜設定することができる。
APDには、電圧VHと電圧VLとの間の電位差である53.3Vの逆バイアス電圧が印加されている。この逆バイアス電圧は降伏電圧よりも高い電圧でありアバランシェ増倍を起こすに十分である。しかし、種となるキャリアが存在しない状態ではアバランシェ増倍は起こらず、APDに電流は流れない。
この状態で半導体基板210の第2面214側からフォトンが入射すると、n型半導体領域224でフォトンが吸収され、電子・ホール対が生成される。これらのうちホールは、p型半導体領域220、222、230を介して排出される。一方電子はn型半導体領域226、あるいはn型半導体領域228の電界で加速されてアバランシェ増倍を引き起こし、APDはガイガーモードで動作する。
キャリアの動作に着目すると、アバランシェ増倍が起きてAPDに大電流が流れることで、APDのカソード側の端子であるノードの電位が降下し、アバランシェ増倍は停止する。カソード側の端子のキャリアは負荷として接続されたP型MOSトランジスタ141、142を介して排出され、カソード側の端子は再び初期電圧に戻る(クエンチング動作)。
このように、APDのカソードの電位は、フォトンの入射に伴い、キャリア待機状態から、ガイガーモードで大電流が流れて電圧が降下した状態となり、その後再びキャリア待機状態に戻る。この電圧波形をインバータ回路145、146により成形することで、1フォトンの到来時刻を開始点とする信号パルスが生成される。この信号パルスの数を数えることで、いわゆるフォトンカウンティングを行うことができる。
APD143、APD144は、互いに独立してフォトンの検出が可能であり、インバータ回路145、インバータ回路146からは、それぞれ信号パルスが出力される。インバータ回路145、インバータ回路146の出力はカウンタ回路120、カウンタ回路121へと出力される。これにより、カウンタ回路120ではAPD143で検出されたフォトンの総数がカウントされ、カウンタ回路121ではAPD144で検出されたフォトンの総数がカウントされることになる。
カウンタ回路120、カウンタ回路121でカウントされたカウント値は、選択回路150によっていずれか一方が選択され、選択されたカウント値は垂直走査回路20からの選択信号に応じた選択回路130の動作により、垂直出力線16へと出力される。
(バリエーション1)
図5を用いて第1の実施形態の1つの動作例を説明する。
図5は横軸に単位時間・単位面積あたりに入射するフォトン数、縦軸に各APDに対応してカウントされるフォトンカウント数を示したものである。図5におけるプロット443は図2におけるAPD143に対応するフォトンカウント数を示し、プロット444は図2におけるAPD144に対応するフォトンカウント数を示している。プロット445は本実施形態における画像処理後の単位面積当たりの入射フォトン数と演算処理後のフォトンカウント数の関係を両対数でプロットしたものである。
前述の通り、APD143の方が、APD144よりも受光面積が大きい。そのため、単位時間・単位面積当たりで等量の入射光が照射された場合、APD143で生じる電荷量の方が、APD144で生じる電荷の量より多い。即ちAPD143は、APD144と比較して光に対する感度が高く、プロット443の傾きはプロット444の傾きより大きい。
本実施形態において、例えばAPD143とAPD144の感度比がn倍であるとし、同一光量が入射する状況においてAPD143に対応するカウント数はAPD144に対応するカウント数のn倍とする。
本実施形態の光電変換装置がAPDによるフォトンカウンティングを正確に行える光量の環境で用いられる場合、あるいは光電変換装置がクエンチング動作を瞬時に行うことができる高性能なAPDによって構成されている場合を考える。このような場合、各画素のAPDにフォトンが入射したことに応じて、カウンタ回路120、121のカウント数が変化する。しかし、光量や露光時間によってはカウンタ回路が飽和してしまう可能性がある。
本実施形態では、APD143のカウント数443に基づき、カウントされるフォトン量に応じて使用する、または、画素12から出力するカウント数を切り替える。
APD143、APD144に光が入射すると、各APDでアバランシェ増倍が発生し、カウンタ回路120、カウンタ回路121のそれぞれでパルスのカウントが実施される。各カウンタ回路から出力されたカウント値は選択回路150に入力される。
制御回路50から供給される制御信号が、垂直走査回路20及びSEL2を介して、選択回路150のS端子に入力される。選択回路150は、S端子のレベルがLoの時は0端子の入力がOUT端子から出力される。つまりカウンタ回路120でカウントされるAPD143のフォトンカウント数443が出力される。
出力されたAPD143のカウント数443が一定の閾値aを超えると、制御回路50によってSEL2がLoからHiに切り替わる。S端子のレベルがHiの時、選択回路150は1端子の入力がOUT端子から出力される。つまりカウンタ回路121でカウントされるAPD144のフォトンカウント数444が出力される。
選択回路150のOUT端子は選択回路130に入力されており、選択回路130の出力はSEL1から供給される制御信号によって垂直読み出し回路16へ読み出される。読み出されたカウント数443、カウント数444は信号処理回路60によって演算処理される。具体的にはカウント数443が閾値aを超えない場合(入射光量が領域Aの範囲の場合)はカウント数443をフォトン数として使用する。カウント数443がaを超える場合(入射光量が領域Bの範囲の場合)はカウント数444をn倍した結果をフォトン数とすることで、フォトンカウント数の線形性を保っている。ここで閾値aは、例えばカウンタ回路120がカウント可能な最大の値である。しかし、閾値aには、カウンタ回路120のカウント可能な範囲で、任意の値を用いることができる。また、カウント数444に乗じる値は、APD143とAPD144との感度比に応じた値であることが好ましい。しかし、正確な感度比を用いなくてもよいし、乗算に代えて定数を加算するなどの演算をしてもよい。
高感度のAPD143のカウント数443が閾値aを超えるような強い光が入射する環境下では、カウンタ回路120の飽和が発生することが考えられる。そこで、画像の形成に使用する信号を、低感度のAPD144に対応するカウント数444を用いる。低感度のAPD144では、パルスの発生頻度が低いため、対応するカウンタ回路121では飽和が発生しにくい。よって、カウンタ回路121に切り替えることで、高感度の画素に対応するカウンタ回路120が飽和するような環境下でもフォトンカウントを続けることができる。一方で、上述のような強い光が入射しない場合には、高感度のAPD143によって、暗時でもSN比の高い信号を得ることができる。
本実施形態ではこのように閾値となるカウント数を境に画像の形成に利用するAPDを切り替え、またAPDの感度比に応じてカウント数を等倍するなど補正処理を切り替える。これによって、カウンタ回路の飽和を防ぎ、かつAPD143に対応するカウント数443を使用する領域Aと、APD144に対応するカウント数444を使用する領域Bの両方で線形性を保ったまま信号を出力することを実現している。すなわち、ダイナミックレンジの拡大が可能である。
以上の説明では、画素12からは選択回路150によって選択された、カウント数443およびカウント数444のいずれか一方だけが読み出された。これに対して、カウント数443およびカウント数444の両方が、画素12から読み出されるように構成してもよい。そして、その後、カウント数443と閾値aとを比較し、画像の形成に使用する信号を選択すればよい。この時の比較と選択は、撮像装置が行ってもよいし、撮像装置の外部の信号処理装置が行ってもよい。
本実施形態では選択回路150のS端子にはSEL2の制御信号が入力されていたが、図6に示すようにカウンタ回路120の出力の一部を選択回路150のS端子に入力してもよい。この場合、上述の通りAPD143、APD144のそれぞれでアバランシェ増倍が発生し、カウンタ回路120、カウンタ回路121のそれぞれでパルスのカウントが実施され、各カウンタ回路から出力されたカウント値は選択回路150に入力される。
カウンタ回路120の出力の一部が選択回路150のS端子に入力される。選択回路150は、S端子のレベルがLoの時は0端子の入力がOUT端子から出力される。つまりカウンタ回路120でカウントされるAPD143のフォトンカウント数443が出力される。
カウンタ回路120の出力が一定の閾値aを超え、S端子の入力がLoからHiに切り替わると、選択回路150は1端子の入力をOUT端子から出力する。つまりカウンタ回路121でカウントされるAPD144のフォトンカウント数444が出力される。
以降の読み出し及び演算処理は上述の実施形態と同様である。
このような回路を用いた実施形態では前述の実施形態と比べ一度の露光に際し必要な制御信号数を減らすことができ、信号処理をより簡素化することができる。また、信号処理の簡素化に伴い消費電力の低減も期待できる。
(バリエーション2)
次に、本実施形態の別の動作例を説明する。前述の動作例が、カウンタ回路120のオーバーフローを課題としていたのに対して、この動作例ではAPD143におけるパイルアップ現象を課題としている。この動作例ではAPD144のカウント数444に基づき、カウントされるフォトン量に応じて使用するカウント値を切り替える。この動作例におけるフォトンカウント動作について、図7を用いてより具体的に説明する。
図7のグラフの縦軸と横軸は、図5と同じである。すなわち、図7は、横軸に単位時間・単位面積あたりに入射するフォトン数、縦軸にカウンタ回路120、121によってカウントされるフォトンカウント数を示したものである。図7におけるカウント数443とカウント数444は、それぞれ図2におけるAPD143とAPD144に対応するフォトンカウント数を示している。プロット445は本実施形態における単位面積あたりの入射フォトン数とフォトンカウント数の演算処理後の関係を両対数でプロットしたものである。
図7の領域Aに示すように、入射するフォトンの数が少ない場合には、APD143、APD144の入射フォトン数と、カウンタ回路120、カウンタ回路121のカウント数との間で、高い線形性が得られる。
しかし、入射するフォトン数が多い場合(領域B)には、まず、カウンタ回路120によるフォトンカウント数が実際に入射したフォトン数よりも少なくなることがある。極端に光が強く、入射するフォトンの数が著しく多い場合には、カウンタ回路120によるフォトンカウントができず、フォトンカウント数がほぼゼロになってしまうことがある。
一方で前述の通りAPD144はAPD143と比べ感度が低いため、カウンタ回路120によるフォトンカウントができなくなるような強い光が入射する場合も、カウンタ回路121では正確なフォトンカウントが可能である。
したがって、入射するフォトンの数が図7の領域Aで示された範囲に含まれる場合は、APD144とAPD143との両方の出力が線形性を維持できるため、APD143により高感度での光検出が可能である。対して、入射するフォトンの数が図7の領域Bで示された範囲に含まれる場合は、APD143の出力は線形性が低下しうる。他方、APD144の出力は線形性を維持することができる。
このような現象が生じる原因について説明する。入射するフォトン数が比較的少ないA領域では、APD143、APD144共に、APD内でフォトンを検出するタイミングが時間的に重なる確率は非常に低い。インバータ回路145、146において信号パルスが立ち上がった後、次のフォトンが来るまでにパルスが立ち下がるので、APDに入射したフォトンの数に相当する数の信号パルスを出力することができる。
一方、入射するフォトン数の多いB領域の場合、インバータ回路145において、信号パルスが立ち上がった後それが立ち下がる前に、APD143に再びフォトンが入射する確率が高くなる。新たなフォトンが入射することでアバランシェ電流が増加し、結果として、APD143のカソード、つまりインバータ回路145の入力ノードの電圧が戻りにくくなる。そのため、複数の信号パルスが繋がるパイルアップ現象が起こり、新しく入射したフォトンはカウントされない可能性がある。さらに、入射するフォトンの数が著しく多い場合には、インバータ回路の出力がハイレベルのまま変化しなくなる。この結果、カウンタ回路120において信号パルスをカウントすることができず、フォトンカウント数がゼロになってしまうことが生じうる。
このように、フォトンカウンティングでは、1つのフォトンを検出してから次のフォトンを検出できるようになるまでの期間(「デッドタイム」と呼ばれる)によって検出可能なフォトン到来頻度(=光の強さ)が決定される。デッドタイムの長さは、クエンチング抵抗(P型MOSトランジスタ141、142)のインピーダンスや、APD143、144のカソードの寄生容量に応じて変化する。
月明かりや星明かりといった非常に暗い状況でもフォトンを検出できるような超高感度の撮像装置を実現するためには、ある程度大きなサイズの画素12を設けることが考えられる。しかしながら、このように構成した撮像装置では、日中の光の下のような明るい状況ではたとえ絞り機構で光量を落としたとしてもフォトン検出頻度が高くなりすぎ、フォトンカウンティングができなくなる。
APD144はAPD143に対して面積が小さく感度が小さい。したがって領域Aの範囲の光が入射する状況においてはAPD143のカウント数443に対して小さいカウント数を示す。領域Bの範囲の光が入射しAPD143に対応するカウント数の低下が起きている状態でも、APD144に入射するフォトンの頻度がデッドタイムに重ならない程度であればAPD144でのフォトンカウント数は入射フォトン数に対して線形に増加を続ける。
本実施形態において、例えばAPD143とAPD144の感度比がn倍であるとする。領域A内の同一光量においてAPD143に対応するカウント数はAPD144に対応するカウント数のn倍とする。
前述のバリエーション1同様、APD143、APD144に光が入射すると、各APDでアバランシェ増倍が発生し、カウンタ回路120、カウンタ回路121のそれぞれでパルスのカウントが実施される。各カウンタ回路から出力されたカウント値は選択回路150に入力される。
垂直走査回路20を介して制御回路50から供給される制御信号が、SEL2から選択回路150のS端子に入力される。選択回路150は、S端子のレベルがHiの時は1端子の入力、つまりカウンタ回路121でカウントされるAPD144のフォトンカウント数444がOUT端子から出力される。
出力されたAPD144のカウント数444が一定の閾値bより小さいとき、制御回路50によってSEL2がHiからLoに切り替わる。S端子のレベルがLoの時、選択回路150は0端子の入力、つまりカウンタ回路120でカウントされるAPD143のフォトンカウント数443をOUT端子から出力する。
選択回路150のOUT端子は選択回路130に入力されており、選択回路130はSEL1から供給される制御信号によって垂直読み出し回路16へ読み出される。読み出されたカウント数443、カウント数444は信号処理回路60によって演算処理される。具体的にはカウント数444が閾値bより小さい場合(入射光量が領域Aの範囲の場合)はカウント数443をフォトン数として使用する。カウント数444がbより大きい場合(入射光量が領域Bの範囲の場合)はカウント数444をn倍した結果をフォトン数とすることで、フォトンカウント数の線形性を保つことができる。ここで閾値bは、例えばカウンタ回路120がカウント可能な最大の値をnで除した値である。望ましくは、上述のパイルアップ現象が生じない範囲における、カウント回路120のカウント数をnで除した値が、閾値bに用いられる。
前述のように強い光が入射する環境下ではAPD143のカウント数443は、実際に入射したフォトン数よりも少ない値を示しうる。そのため、入射するフォトン数に応じた正確な信号を得られない可能性がある。
そこで本実施形態では、APD144のカウント数444が閾値b以下になるような弱い光が入射する環境下では、より感度が高くSN比が良好な信号が得られるAPD143に対応する信号を使用する。一方、APD144のカウント数444が閾値b以上になるような強い光が入射する環境下では、強い光が入射したときも線形性を保って信号を出力できるAPD144に対応する信号を使用する。
本実施形態ではこのように閾値となるカウント数を境に画像の形成に利用するAPDを切り替え、またAPDの感度比に応じてカウント数を等倍するなど補正処理を切り替える。これによって、デッドタイムの発生を防ぎ、かつAPD143に対応するカウント数443を使用する領域Aと、APD144に対応するカウント数444を使用する領域Bの両方で線形性を保ったまま信号を出力することを実現している。
カウント数444と閾値bとの比較を行うタイミングは、特に限定されない。例えば、上述のように、露光期間が終了した後に、まずカウント数444を読み出して、読み出されたカウント数444と閾値bとの比較を行ってもよい。比較の結果に応じて、カウント数443を読み出す処理を行うか、読み出さない処理を行うかを切り替えればよい。または、露光開始から一定の期間が経過した時点であって、露光期間の途中に、カウント数444と閾値bとの比較を行ってもよい。この場合、比較の結果に応じて、カウント数443を読み出す処理か、カウント数444を読み出す処理かが、切り替えられる。
さらに、本実施形態では選択回路150のS端子にはSEL2の制御信号が入力されていたが、第一のバリエーション同様SEL2を用いない回路構成も可能である。その場合、図6のカウンタ回路120に代わってカウンタ回路121の出力の一部を選択回路150のS端子に入力することが考えられる。
図8は実施形態にかかる光電変換装置の画素のAPDの構成例を模式的に示す平面図である。図8の610はAPDであり、各610のカソードであるn型半導体領域は半導体基板上で互いに分離されている。図8では配線642を用いて8つのAPDのカソードを電気的に接続し、APD610を8つ繋いだものを図3のAPD143に相当する1つのAPDとしている。
つまり、図3においてAPD144を囲む輪のように形成されたn型半導体領域226が8つに分割され、8つのn型半導体領域226がp型半導体領域からなる分離部あるいはその他の素子分離方法によって互いに分離された構成が図8に示す構成例である。
このように複数のAPDを接続して相対的に高感度なフォトダイオードを形成してもよい。
また、図3、図8に示したAPDはいずれも一例であり、本発明に適用可能なAPDの構造は平面、断面ともに、図3、図8のいずれかに示すものに限定されるものではない。
[第2の実施形態]
本実施形態について図9から図10を用いて説明する。
本実施形態においては閾値となるカウント値を境にカウンタ回路に入力する信号を切り替えることでフォトンカウント処理を簡素化させることができる。
図9は、実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。
図9における各番号は図2と同一のものには同一符号を付してあるため説明を省略し、主として第一の実施形態と異なる部分を説明する。
図9の画素12は、図9に示すように、光電変換部140と、カウンタ回路120と、選択回路130と、選択回路150と、飽和検知回路151とを含む。
選択回路150は、端子SのレベルがLoの時は0端子の入力をOUT端子から出力し、Hiレベルの時は1端子の入力をOUT端子から出力する。
選択回路150の0端子には高感度のAPD143のインバータ回路145を介した出力が接続され、選択回路150の1端子には低感度のAPD144のインバータ回路146を介した出力が接続されている。選択回路150の出力はカウンタ回路120に入力されている。また、選択回路のS端子には飽和検知回路151が接続されており、飽和検知回路151の出力は飽和検知回路151に入力されるカウンタ回路120のカウント値が一定の閾値を超えるとLoからHiに切り替わる。
飽和検知回路151はカウンタ回路120の出力の一部のLo信号、Hi信号のレベルを保持する。飽和検知回路151は選択回路130に接続されていて、保持された信号のレベルはカウント結果とともに垂直出力線16へと読み出される。
図10は本実施形態における単位時間・単位面積あたりの入射フォトン数とカウントされるフォトンカウント数との関係を示すグラフである。横軸に単位時間・単位面積あたりに入射するフォトン数、縦軸にカウンタ回路でのフォトンカウント数を示している。図10におけるプロット443は図2におけるAPD143に対応するフォトンカウント数を示している。プロット444は図2におけるAPD144対応するフォトンカウント数を示している。プロット446は本実施形態における画像処理後の単位時間・単位面積当たりの入射フォトン数と演算処理後のフォトンカウント数の関係を両対数でプロットしたものである。
本実施形態においても、例えばAPD143とAPD144の感度比がn倍であるとし、同一光量が入射する状況においてAPD143に対応するカウント数はAPD144に対応するカウント数のn倍とする。
APD143、APD144に光が入射すると、各APDでアバランシェ増倍が発生し、APD143の出力はインバータ回路145で、APD144の出力はインバータ回路146でそれぞれパルス波に整形される。インバータ回路145から出力されたパルス波は選択回路150の0端子に、インバータ回路146から出力されたパルス波は選択回路150の1端子に入力される。
選択回路150のS端子に飽和検知回路151の出力が入力される。選択回路150は、S端子のレベルがLoの時は0端子の入力、つまりAPD143の出力がOUT端子から出力され、フォトンカウント数443がカウンタ回路120でカウントされる。
出力されたAPD143のフォトンカウント数443が一定の閾値aを超えると、S端子の入力がLoからHiに切り替わる。S端子のレベルがHiの時、選択回路150は1端子の入力、つまりAPD144の出力をOUT端子から出力し、フォトンカウント数444がカウンタ回路121でカウントされる。
選択回路150のOUT端子はカウンタ回路120に接続されている。飽和検知回路151からS端子への入力が切り替わることで選択回路150のOUT端子からの出力が1端子からの入力に切り替わった時、カウンタ回路120のカウントはカウンタ回路の初期値から再開される。カウンタ回路120の出力は選択回路130に入力される。また、カウンタ回路120の飽和の有無は飽和検知回路151を介して読み出される。
選択回路130に入力されたカウント数はSELから供給される制御信号によって垂直読み出し回路16へ読み出される。読み出されたカウント数443、カウント数444は信号処理回路60によって演算処理される。具体的にはカウント数443が閾値aを超えない場合(入射光量が領域Aの範囲の場合)はカウント数443をフォトン数として使用する。カウント数443がaを超える場合(入射光量が領域Bの範囲の場合)はカウント数444をn倍した結果にaを加算した値をフォトン数とすることで、フォトンカウント数の線形性を保っている。ここで閾値aは、例えばカウンタ回路120がカウント可能な最大の値である。上述の通り、閾値aにはカウンタ回路120のカウント可能な範囲で任意の値を用いることができ、カウント数444に行う処理はAPD143とAPD144の感度比に応じた値を乗じることに限られない。
飽和検知回路からS端子への入力の切り替えに伴いカウンタ回路120に入力される信号が切り替えられるとき、上述の通りカウンタ回路120をリセットしてカウンタの初期値からカウントを再開することができる。カウンタ回路120をオーバーフローさせることでリセットと同等の効果を得ることも可能である。いずれの場合も、カウンタ回路120の最上位bitやカウンタ性能上求められるbit数にさらに1桁追加した上位bitなど、特定のbitの遷移を観測することで検知することができる。なお、カウンタ回路120をリセットせずにカウントを続け、出力されたカウント数の補正を行ってもよい。この場合、カウンタ回路120にリセット信号を付与する必要が無く、信号処理をより簡素化することができることに加え、消費電力の低減が期待できる。
本実施形態ではこのように飽和検知回路で検知したカウント数と閾値の大小関係の変化を境にカウンタ回路に入力される信号に対応するAPDを切り替え、またAPDの感度比に応じてカウント数を等倍するなど補正処理を切り替える。これによって、APD143に対応するカウント数443を使用する領域Aと、APD144に対応するカウント数444を使用する領域Bで、線形性を保ったまま信号を出力することを実現している。すなわちダイナミックレンジの拡大が可能である。
また、本実施形態ではカウンタ回路は画素に1つあればよいため、各画素が2つのカウンタ回路を有する第一の実施形態と比較して画素を小型化することが可能となる。また、カウンタ回路のカウント数を削減することもできるため、消費電力の低減及びカウント回路の飽和する可能性を低減することも可能となる。
さらに本実施形態ではAPD143とAPD144双方のカウント値をカウンタ回路から出力する必要がなく、信号処理回路60に読み出しが必要な信号はカウンタ回路120のカウント結果と飽和信号のみであるため、読み出しの高速化が可能となる。
このように本実施形態においては閾値となるカウント値を境にカウンタ回路に入力する信号を切り替えることでフォトンカウント処理を簡素化させることができる。
なお、第1の実施形態と同様に、課題に応じて高感度APDからの信号と低感度APDからの信号のどちらを最初にカウントし、閾値の判定に用いるか選択することが可能である。
[第3の実施形態]
本実施形態について図11から図12を用いて説明する。
本実施形態においては、閾値となるカウント値を境にAPDのガイガーモードでの動作を停止させることでフォトンカウント処理を簡素化させることができる。
図11は、実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。
図11における各番号は図2と同一のものには同一符号を付してあるため説明を省略し、主として第一の実施形態と異なる部分を説明する。
図11の画素12は、図11に示すように光電変換部140と、バッファ回路147と、OR回路148と、カウンタ回路120と、選択回路130とを含む。
図11のバッファ回路147はカウンタ回路120のカウント結果と同じ論理を出力する。OR回路148はインバータ回路145、インバータ回路146の信号の論理和をカウンタ回路120に入力している。
光電変換部140はNMOSトランジスタ151を含む。NMOSトランジスタ151のゲートはバッファ回路147の出力に接続されている。ソースは接地電位に接続され、ドレインはAPD143のアノード端子に接続されている。
カウンタ回路120はOR回路148から出力されるAPD143とAPD144とに対応する信号の論理和をカウントする。
図12は実施形態にかかる入射フォトン数とカウントされるフォトンカウント数との関係を示すグラフである。横軸に単位時間・単位面積あたりに入射するフォトン数、縦軸にカウンタ回路におけるフォトンカウント数を示している。図12におけるプロット443は図2におけるAPD143に対応するフォトンと、APD144に対応するフォトンとの和のカウント数を示している。プロット447は図2におけるAPD144に対応するフォトンカウント数に閾値aを加算した値を示している。プロット448は本実施形態における画像処理後の単位時間・単位面積当たりの入射フォトン数と演算処理後のフォトンカウント数の関係を両対数でプロットしたものである。
本実施形態においても、APD143とAPD144の感度比がn倍であるとし、同一光量が入射する状況においてAPD143に対応するカウント数はAPD144に対応するカウント数のn倍とする。
APD143、APD144に光が入射すると、各APDでアバランシェ増倍が発生し、APD143の出力はインバータ回路145で、APD144の出力はインバータ回路146で、それぞれパルス波に整形される。各インバータ回路から出力されたパルス波はOR回路148に入力される。
OR回路148の出力はカウンタ回路120に入力され、カウンタ回路120の出力の一部はバッファ回路147に入力される。カウンタ回路120の出力が所定の値aに達すると、バッファ回路147の出力がLowからHiになる。バッファ回路の出力と接続されているNMOSトランジスタ151のゲート電圧もHiレベルとなり、NMOSトランジスタ151はON状態となる。
NMOSトランジスタ151のソースは接地電位に接続されているので、飽和検知回路151がON状態になるとAPD143のカソードの電位は0Vとなり、APD143に印加される逆バイアス電圧は降伏電圧以下の電圧となる。この状態では、たとえフォトンの入射により電子が発生したとしても、その電子はアバランシェ増倍を引き起こすことなく、P型MOSトランジスタ141を介して排出される。素電荷による電流は非常に小さく、P型MOSトランジスタ141による電圧の降下は非常に小さいため、インバータ回路145のスレッショルドを超えて信号パルスが出力されることはない。つまりNMOSトランジスタ151はAPD143のアバランシェ増倍を停止するスイッチとして機能する。
この結果、カウント数443が閾値aを超える場合(入射光量が領域Bの範囲の場合)ではAPD143のアバランシェ増倍が停止し、フォトンカウントもなされない。カウンタ出力が減少することで消費電力の削減が可能となる。
APD143のアバランシェ増倍が停止することにより、OR回路148を介してカウンタ回路120に入力されるパルス信号はAPD144に対応する信号のみとなる。この結果、図12に示すように領域Bでのフォトンカウント数は領域Aでのフォトンカウント数と比べて傾きが小さくなり、443と447のように閾値aを変曲点とした折れ線状の特性を示す。
カウンタ回路120の出力は選択回路130に入力されており、選択回路130の出力はSELから供給される制御信号によって垂直読み出し回路16へ読み出される。読み出されたカウント数443、カウント数447は信号処理回路60によって演算処理される。具体的にはカウント数443が閾値a以下の場合(入射光量が領域Aの範囲の場合)はカウント数443をフォトン数として使用する。カウント数443がa以上の場合(入射光量が領域Bの範囲の場合)は、カウント数447をxとしたときn(x-a)+aをフォトン数として用いる。この演算処理によってフォトンカウント数の線形性を保っている。ここで閾値aは、例えばカウンタ回路120がカウント可能な最大の値であるが、上述の通り、閾値aにはカウンタ回路120のカウント可能な範囲で任意の値を用いることができる。また、カウント数444に行う処理はAPD143とAPD144の感度比に応じた値を乗じることに限られない。
上記のように、本実施形態ではAPDのアバランシェ増倍の制御や各APDの信号を加算するか否かの制御などを切り替えられる。これによって消費電力の削減や読み出し回路の簡易化、ダイナミックレンジの拡大を可能としている。
つまり本実施形態においては、閾値となるカウント値を境にAPDのガイガーモードでの動作の可否を切り替えることでフォトンカウント処理を簡素化させることができる。
なお、第1の実施形態と同様に、課題に応じて高感度APDからの信号と低感度APDからの信号のどちらを最初にカウントし閾値の判定に用いるか選択することが可能である。
また、閾値となるカウント値を境にAPDのガイガーモードでの動作を開始させることによってもフォトンカウント処理を簡素化させることができる。例えば本実施例においてAPD143に接続されるバッファ回路147及びNMOSトランジスタ151に相当する素子がAPD144にも接続されている場合を考える。まず、APD143のみに降伏電圧以上の電圧を印加した状態でフォトンカウントを開始する。このときOR回路148にはAPD143の信号のみが入力され、フォトンカウント数として出力される。カウンタ回路120から出力されるカウント数が閾値aを超えると上述の通りAPD143のフォトンカウントは停止する。一方でAPD144に降伏電圧以上の電圧を印加し、ガイガーモードでの動作を開始させることによってAPD144のフォトンカウントを開始することが考えられる。このような実施形態ではフォトンカウント数として用いる信号のみをカウントするため、フォトンカウント処理を簡素化することができ、電力の低減も可能である。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による撮像システムについて、図13を用いて説明する。第1乃至第3実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。図13は、本実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
撮像システムとして、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、カメラヘッド、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などがあげられる。図13に、撮像システムの例としてデジタルスチルカメラのブロック図を示す。
図13において、1001はレンズの保護のためのバリアである。1002は被写体の光学像を撮像装置1004に結像させるレンズである。1003はレンズ1002を通った光量を可変するための絞りである。撮像装置1004には、上述の各実施形態で説明した撮像装置が用いられる。
1007は撮像装置1004より出力された画素信号に対して、補正やデータ圧縮などの処理を行い、画像信号を取得する信号処理部である。そして、図13において、1008は撮像装置1004および信号処理部1007に、各種タイミング信号を出力するタイミング発生部、1009はデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御部である。1010は画像データを一時的に記憶する為のフレームメモリ部である。1011は記録媒体に記録または読み出しを行うためのインターフェース部である。1012は撮像データの記録または読み出しを行う為の半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体である。1013は外部コンピュータ等と通信する為のインターフェース部である。
なお、撮像システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された画素信号を処理する信号処理部1007とを有すればよい。その場合、他の構成は撮像システムの外部に配される。
以上に説明した通り、撮像システムの実施形態において、撮像装置1004には、第1の実施形態、乃至、第3の実施形態のいずれかの撮像装置が用いられる。このような構成によれば、撮像装置から得られる画像のダイナミックレンジを拡大させることができる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による撮像システム及び移動体について、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態による撮像システム及び移動体の構成を示す図である。
本実施形態の移動体は、車載カメラを備えた自動車である。図14(a)は、自動車2100の外観と主な内部構造を模式的に示している。自動車2100は、撮像装置2102、撮像システム用集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)2103、警報装置2112、主制御部2113を備える。
撮像装置2102には、上述の各実施形態で説明した撮像装置が用いられる。警報装置2112は、撮像システム、車両センサ、制御ユニットなどから異常を示す信号を受けたときに、運転手へ向けて警告を行う。主制御部2113は、撮像システム、車両センサ、制御ユニットなどの動作を統括的に制御する。なお、自動車2100が主制御部2113を備えていなくてもよい。この場合、撮像システム、車両センサ、制御ユニットが個別に通信インターフェースを有して、それぞれが通信ネットワークを介して制御信号の送受を行う(例えばCAN規格)。
図14(b)は、自動車2100のシステム構成を示すブロック図である。自動車2100は、第1の撮像装置2102と第2の撮像装置2102を含む。つまり、本実施形態の車載カメラはステレオカメラである。撮像装置2102には、光学部2114により被写体像が結像される。撮像装置2102から出力された画素信号は、画像前処理部2115によって処理され、そして、撮像システム用集積回路2103に伝達される。画像前処理部2115は、S-N演算や、同期信号付加などの処理を行う。
撮像システム用集積回路2103は、画像処理部2104、メモリ2105、光学測距部2106、視差演算部2107、物体認知部2108、異常検出部2109、および、外部インターフェース(I/F)部2116を備える。画像処理部2104は、画素信号を処理して画像信号を生成する。また、画像処理部2104は、画像信号の補正や異常画素の補完を行う。メモリ2105は、画像信号を一時的に保持する。また、メモリ2105は、既知の撮像装置2102の異常画素の位置を記憶していてもよい。光学測距部2106は、画像信号を用いて被写体の合焦または測距を行う。視差演算部2107は、視差画像の被写体照合(ステレオマッチング)を行う。物体認知部2108は、画像信号を解析して、自動車、人物、標識、道路などの被写体の認知を行う。異常検出部2109は、撮像装置2102の故障、あるいは、誤動作を検知する。異常検出部2109は、故障や誤動作を検知した場合には、主制御部2113へ異常を検知したことを示す信号を送る。外部I/F部2116は、撮像システム用集積回路2103の各部と、主制御部2113あるいは種々の制御ユニット等との間での情報の授受を仲介する。
自動車2100は、車両情報取得部2110および運転支援部2111を含む。車両情報取得部2110は、速度・加速度センサ、角速度センサ、舵角センサ、測距レーダ、圧力センサなどの車両センサを含む。
運転支援部2111は、衝突判定部を含む。衝突判定部は、光学測距部2106、視差演算部2107、物体認知部2108からの情報に基づいて、物体との衝突可能性があるか否かを判定する。光学測距部2106や視差演算部2107は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。
運転支援部2111が他の物体と衝突しないように自動車2100を制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。
自動車2100は、さらに、エアバッグ、アクセル、ブレーキ、ステアリング、トランスミッション等の走行に用いられる駆動部を具備する。また、自動車2100は、それらの制御ユニットを含む。制御ユニットは、主制御部2113の制御信号に基づいて、対応する駆動部を制御する。
本実施形態に用いられた撮像システムは、自動車に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
以上に説明した通り、自動車の実施形態において、撮像装置2102には、第1の実施形態、乃至、第3の実施形態のいずれかの撮像装置が用いられる。このような構成によれば、撮像装置から得られる画像のダイナミックレンジを拡大させることができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
本実施形態ではAPDを高感度用と低感度用の2種類としたが例えば3種類以上のAPDを用いて各々の閾値で制御を変えてもよい。APDの種類を増やすことによって、より広範なダイナミックレンジの実現が可能である。
また、上記実施形態では、1つの画素の複数のAPDを、1つのn型半導体領域224内に配置しているが、APD毎に別々のn型半導体領域224内に配置してもよい。APD毎に別々のn型半導体領域224内に配置することにより基板上での配置の自由度の向上が見込まれる。
12 画素
100 撮像装置
143、144 アバランシェフォトダイオード
120 カウンタ回路

Claims (29)

  1. 光に対する感度が互いに異なる第一のアバランシェフォトダイオードと、第二のアバランシェフォトダイオードと、を有する画素と、
    前記第一のアバランシェフォトダイオードで生じた電荷に基づく第一の信号及び前記第二のアバランシェフォトダイオードで生じた電荷に基づく第二の信号をカウントするためのカウンタ回路と、を含む光電変換装置であって、
    前記カウンタ回路から出力されるカウント数が閾値よりも大きい場合と、前記カウンタ回路から出力されるカウント数が前記閾値よりも小さい場合とで、前記カウント数が依拠する信号が前記第一の信号と前記第二の信号との一方から他方に切り替わることを特徴とする光電変換装置。
  2. 前記第一の信号及び前記第二の信号は、それぞれ、アバランシェ増倍が生じることによる電圧の変化に応じたパルス信号であって、
    前記第一の信号の変化及び前記第二の信号の変化の少なくとも一方に応じて、前記カウンタ回路から出力される前記カウント数が変化することを特徴とする、請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記カウント数が前記閾値と比較されることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の光電変換装置。
  4. 前記カウンタ回路の特定のbitの値の遷移を検知することを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  5. 前記第一のアバランシェフォトダイオードと前記第二のアバランシェフォトダイオードとの感度比に応じた値を、前記カウント数に乗じることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  6. 前記カウンタ回路は、前記第一の信号をカウントした第一のカウント数及び前記第二の信号をカウントした第二のカウント数の少なくとも一方を前記カウント数として出力することを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  7. 前記第一のカウント数または前記第二のカウント数と前記閾値との大小関係に応じて前記第一のカウント数と前記第二のカウント数とのいずれか一方を選択する選択回路を有することを特徴とする、請求項6記載の光電変換装置。
  8. 前記カウンタ回路は、前記第一のアバランシェフォトダイオードに接続され、前記第一のカウント数を生成する第一のカウンタ回路と、前記第二のアバランシェフォトダイオードに接続され、前記第二のカウント数を生成する第二のカウンタ回路と、を含み
    前記第一のカウンタ回路の出力が、前記選択回路の第一の入力に接続され、
    前記第二のカウンタ回路の出力が、前記選択回路の第二の入力に接続されることを特徴とする、請求項7記載の光電変換装置。
  9. 前記第一のアバランシェフォトダイオードの感度は前記第二のアバランシェフォトダイオードの感度よりも高く、
    前記第一のカウント数が前記閾値よりも小さい場合は、選択するカウント数を前記第一のカウント数とし、前記第一のカウント数が前記閾値よりも大きい場合は、選択するカウント数を前記第二のカウント数とすることを特徴とする請求項7または請求項8記載の光電変換装置。
  10. 前記第一のアバランシェフォトダイオードの感度は前記第二のアバランシェフォトダイオードの感度よりも高く、
    選択するカウント数を前記第二のカウント数としてから一定時間経過した際に、前記第二のカウント数が前記閾値よりも小さい場合は、選択するカウント数を前記第一のカウント数とすることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか一項記載の光電変換装置。
  11. 前記第一のカウント数が前記閾値に達すると、前記カウンタ回路に入力される信号が前記第一の信号から前記第二の信号に切り替わることにより、第一のカウント数をカウントする処理から第二のカウント数をカウントする処理へ前記カウント数の処理が切り替わることを特徴とする請求項6記載の光電変換装置。
  12. 前記第一のアバランシェフォトダイオードの感度は前記第二のアバランシェフォトダイオードの感度よりも高く、
    前記第一のカウント数が前記閾値を超えると、前記カウンタ回路に入力される信号が前記第一の信号から前記第二の信号に切り替わることを特徴とする請求項6または請求項11記載の光電変換装置。
  13. 前記第一のアバランシェフォトダイオードの感度は前記第二のアバランシェフォトダイオードの感度よりも高く、
    選択するカウント数を前記第二のカウント数としてから一定時間経過した際に、前記第二のカウント数が前記閾値よりも小さい場合は、前記カウンタ回路に入力されるカウント数を前記第二のカウント数から前記第一のカウント数に切り替えることを特徴とする請求項6または請求項11記載の光電変換装置。
  14. 前記カウンタ回路に入力される信号として前記第一の信号と、前記第二の信号とから一方を選択する選択回路を有することを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  15. 各画素がそれぞれ一個のカウンタ回路を有することを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  16. 前記閾値と比較される前記カウント数が前記の閾値に達すると、前記第一のアバランシェフォトダイオードのアバランシェ増倍を停止することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  17. 前記第一のアバランシェフォトダイオードの感度は前記第二のアバランシェフォトダイオードの感度よりも高く、
    前記第一の信号と前記第二の信号との和をカウントした前記カウント数が前記閾値を超えると、前記第一のアバランシェフォトダイオードのアバランシェ増倍が停止することを特徴とする請求項16記載の光電変換装置。
  18. 前記第一のアバランシェフォトダイオードに印加される電圧を制御するスイッチを有し、
    前記カウント数が前記閾値に達すると前記第一のアバランシェフォトダイオードに印加される電圧が降伏電圧以下になることを特徴とする、請求項16または請求項17に記載の光電変換装置。
  19. 前記第一の信号と、前記第二の信号との論理和を出力するための回路を有することを特徴とする請求項16乃至請求項18のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  20. 前記閾値と比較される前記カウント数が前記閾値に達すると、前記第一のアバランシェフォトダイオードでアバランシェ増倍が開始されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  21. 前記第一のアバランシェフォトダイオードの感度は前記第二のアバランシェフォトダイオードの感度よりも高く、
    カウントの開始から一定時間経過した際に前記第二の信号をカウントした第二のカウント数が前記閾値よりも小さいとき、前記第一のアバランシェフォトダイオードがアバランシェ増倍を起こしうる状態になることを特徴とする請求項20に記載の光電変換装置。
  22. 前記第一のアバランシェフォトダイオードの感度は前記第二のアバランシェフォトダイオードの感度よりも高く、
    前記カウント数が前記閾値よりも大きいとき、前記第一のアバランシェフォトダイオードのアバランシェ増倍が停止し、前記第二のアバランシェフォトダイオードがアバランシェ増倍を起こしうる状態になることを特徴とする請求項16又は請求項20記載の光電変換装置。
  23. 前記第一のアバランシェフォトダイオードのアノードとカソードの間に降伏電圧を超える逆バイアスを印加するスイッチを有することを特徴とする、請求項20乃至請求項22のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  24. 前記第一のアバランシェフォトダイオードは、半導体基板内で互いに分離されている半導体領域が、導電部材によって電気的に接続されて構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項23のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  25. 前記第一のアバランシェフォトダイオードの受光面の面積は、前記第二のアバランシェフォトダイオードの受光面の面積と異なることを特徴とする請求項1乃至請求項24のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  26. マイクロレンズを有し、前記画素において前記第一のアバランシェフォトダイオードと前記第二のアバランシェフォトダイオードとは同一のマイクロレンズの下に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項25のいずれか一項に記載の光電変換装置。
  27. 前記マイクロレンズの中心部の下に配置されたアバランシェフォトダイオードを前記第一のアバランシェフォトダイオードとし、前記マイクロレンズの外周部の下に配置されたアバランシェフォトダイオードを前記第二のアバランシェフォトダイオードとすることを特徴とする請求項26に記載の光電変換装置。
  28. 請求項1乃至請求項27のいずれか一項に記載の光電変換装置と、
    前記光電変換装置から出力された信号に対して処理を行う処理装置と、
    を有することを特徴とする撮像システム。
  29. 移動体であって、
    請求項1乃至27のいずれか一項に記載の光電変換装置と、
    前記光電変換装置から出力された信号に対して処理を行う処理装置と、
    前記処理の結果に基づいて前記移動体を制御する制御手段と、を有することを特徴とする移動体。
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