以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
<第1実施形態>
図1に示す駆動システム30は、eVTOL10に搭載されている。eVTOL10は、電動垂直離着陸機であり、垂直方向に離着陸することが可能である。eVTOLは、electric Vertical Take-Off and Landing aircraftの略称である。eVTOL10は、大気中を飛行する航空機であり、飛行体に相当する。eVTOL10は、乗員が乗る有人航空機である。駆動システム30は、eVTOL10を飛行させるために駆動するシステムである。
eVTOL10は、機体11及びロータ20を有している。機体11は、機体本体12及び翼13を有している。機体本体12は、機体11の胴体であり、例えば前後に延びた形状になっている。機体本体12は、乗員が乗るための乗員室を有している。翼13は、機体本体12から延びており、機体本体12に複数設けられている。翼13は固定翼である。複数の翼13には、主翼、尾翼などが含まれている。
図1、図3に示すロータ20は、機体11に複数設けられている。ロータ20は、機体本体12及び翼13のそれぞれに設けられている。ロータ20は、後述するモータ軸線Cmを中心に回転する。ロータ20の回転軸線がモータ軸線Cmになっている。モータ軸線Cmは、ロータ20の中心線に一致している。モータ軸線Cmが延びる方向を軸方向ADと称すると、モータ軸線Cmについては、軸方向ADと径方向RDと周方向CDとが互いに直交している。ロータ20は、周方向CDに回転する。なお、径方向RDの外側が径方向外側と称され、径方向RDの内側が径方向内側と称されることがある。
ロータ20は、ブレード21、ロータヘッド22及びロータシャフト23を有している。ブレード21は、周方向CDに複数並べられている。ロータヘッド22は、複数のブレード21を連結している。ブレード21は、ロータヘッド22から径方向RDに延びている。ブレード21は、ロータシャフト23と共に回転する羽根である。ロータシャフト23は、ロータ20の回転軸であり、ロータヘッド22からモータ軸線Cmに沿って延びている。
eVTOL10は、チルトロータ機である。eVTOL10においては、ロータ20を傾けることが可能になっている。すなわち、ロータ20のチルト角が調整可能になっている。例えば、eVTOL10が上昇する場合には、モータ軸線Cmが上下方向に延びるようにロータ20の向きが設定される。この場合、ロータ20は、eVTOL10に揚力を生じさせるためのリフト用ロータとして機能する。すなわち、ロータ20は、回転翼としての役割を果たすことが可能である。eVTOL10が前方に進む場合には、モータ軸線Cmが前後方向に延びるようにロータ20の向きが設定される。この場合、ロータ20は、eVTOL10に推力を生じさせるためのクルーズ用ロータとして機能する。
eVTOL10においては、翼13を機体本体12に対して相対的に傾けることが可能になっている。すなわち、翼13ごとロータ20を傾けることが可能になっている。eVTOL10においては、機体本体12に対する翼13の傾斜角度が調整されることで、ロータ20のチルト角が調整される。なお、eVTOL10においては、ロータ20が機体11に対して相対的に傾くことが可能になっていてもよい。例えば、翼13に対するロータ20の相対的な傾斜角度が調整されることで、ロータ20のチルト角が調整されてもよい。
図1、図2に示すように、駆動システム30は、バッテリ31、分配器32、コンバータ33、通信装置34、記憶装置35、飛行制御装置40、EDS50を有している。図2では、ロータ20をRotor、バッテリ31をBattery、分配器32をDistributer、コンバータ33をDC-DC converter、と図示している。また、通信装置34をCommunication Device、記憶装置35をMemory、飛行制御装置40をFlight Controller、と図示している。
バッテリ31は、複数のEDS50に電気的に接続されている。バッテリ31は、EDS50に電力を供給する電力供給部であり、電源部に相当する。バッテリ31は、EDS50に直流電圧を印加する直流電圧源である。バッテリ31は、充放電可能な2次電池を有している。この2次電池としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などがある。なお、電源部としては、バッテリ31に加えて又は代えて、燃料電池や発電機などが用いられてもよい。
分配器32は、バッテリ31及び複数のEDS50に電気的に接続されている。分配器32は、バッテリ31からの電力を複数のEDS50に分配する。EDS50においては、後述する駆動部81が分配器32に電気的に接続されている。バッテリ31の電力は、分配器32を介して駆動部81に供給される。バッテリ31の電圧を高電圧と称すると、駆動部81には高電圧が印加される。なお、バッテリ31の電力が複数のEDS50に供給される構成であれば、分配器32がなくてもよい。分配器32がなくてもよい構成としては、例えば、複数のEDS50のそれぞれに個別に電源部が設けられた構成がある。
飛行制御装置40は、例えばECUであり、EDS50の駆動を制御する。ECUは、Electronic Control Unitの略称である。飛行制御装置40は、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータを主体として構成される。マイクロコンピュータはマイコンと称されることがある。メモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、non-transitory tangible storage mediumであり、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。
飛行制御装置40は、記憶装置35及びEDS50に電気的に接続されている。飛行制御装置40は、メモリ及び記憶装置35の少なくとも一方に記憶された制御プログラムを実行することで、EDS50の駆動に関する各種の処理を実行する。飛行制御装置40は、eVTOL10を飛行させるための飛行制御を行う。この飛行制御には、EDS50の制御、ロータ20のチルト角を変更するチルト角制御、などが含まれている。EDS50においては、後述する駆動制御部54が飛行制御装置40に電気的に接続されている。飛行制御装置40は、駆動制御部54に対して制御信号を出力することでEDS50の制御を行う。
コンバータ33は、バッテリ31、飛行制御装置40及びEDS50に電気的に接続されている。EDS50においては、駆動制御部54がコンバータ33に電気的に接続されている。コンバータ33は、バッテリ31からの電力を降圧もしくは昇圧して、飛行制御装置40及び駆動制御部54に供給する。コンバータ33が降圧した電力の電圧を低電圧と称すると、飛行制御装置40及び駆動制御部54には低電圧が印加される。この低電圧は、バッテリ31の電圧より低い電圧である。反対にコンバータ33が昇圧した電力の電圧を高電圧と称すると、飛行制御装置40及び駆動制御部54には高電圧が印加される。この高電圧は、バッテリ31の電圧より高い電圧である。
EDS50は、ロータ20を回転させるために駆動する装置であり、駆動装置に相当する。EDS50は、ロータ20に対して回転駆動する。EDS50は、Electric Drive Systemの略称である。EDS50は、電駆動装置及びEPUと称されることがある。EPUは、Electric Propulsion Unitの略称である。EDS50は、複数のロータ20のそれぞれに対して個別に設けられている。EDS50は、モータ軸線Cmに沿ってロータ20に並べられている。複数のEDS50はいずれも、機体11に固定されている。EDS50は、ロータ20を回転可能に支持している。EDS50は、ロータシャフト23に機械的に接続されている。複数のEDS50には、機体11の外側にはみ出した状態で機体11に固定されたEDS50、及び機体11の内側に埋め込まれた状態で機体11に固定されたEDS50、の少なくとも一方が含まれている。
ロータ20は、EDS50を介して機体11に固定されている。EDS50は、ロータ20に対して相対的に傾くということが生じないようになっている。EDS50は、ロータ20と共に機体11に対して相対的に傾くことが可能になっている。ロータ20のチルト角が調整される場合、ロータ20と共にEDS50の向きが設定されることになる。
図2に示すように、EDS50は、ギアボックス53、駆動制御部54、回転センサ55、モータ61、駆動部81を有している。図2では、ギアボックス53をGearbox、駆動部81をDriver、駆動制御部54をController、回転センサ55をRotation sensor、モータ61をMotor、と図示している。
モータ61は、複数相の交流モータであり、例えば3相交流方式の回転電機である。モータ61は、eVTOL10の飛行駆動源である電動機として機能する。モータ61は、回転子及び固定子を有している。モータ61は、駆動部81に電気的に接続されている。モータ61には、バッテリ31から駆動部81を介して電力が供給される。モータ61は、駆動部81から供給される電圧及び電流に応じて駆動する。モータ61としては、例えばブラシレスモータが用いられている。なお、モータ61としては、誘導モータやリアクタンスモータが用いられてもよい。
ギアボックス53は、モータ61とロータ20とを機械的に接続している。例えば、ロータシャフト23がギアボックス53を介してモータ61の回転軸に機械的に接続されている。ギアボックス53は、モータ61の回転を減速してロータ20に伝達する。ギアボックス53は、複数のギアを含んで構成されており、変速ギア及び減速機と称されることがある。ギアボックス53は、モータ61が有するモータ特性に合わせた構造になっている。
駆動部81は、モータ61に供給する電力を変換することでモータ61を駆動する。駆動部81はインバータを有している。インバータは、モータ61に供給される電力を直流から交流に変換する。インバータは、電力を変換する電力変換部である。インバータは、複数相のインバータであり、複数相のそれぞれについて電力変換を行う。インバータは、例えば3相インバータである。インバータは、複数のスイッチング素子を含んで構成されたインバータ回路である。このスイッチング素子としては、IGBT及びMOSFET等のパワー素子がある。IGBTは、Insulated Gate Bipolar Transistorの略称である。MOSFETは、Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistorの略称である。スイッチング素子は駆動素子と称されることがある。
インバータでは、複数相のそれぞれにおいてスイッチング素子が並列に接続されている。例えばモータ61が3相の交流モータである構成では、U相、V相、W相のそれぞれにおいて、モータ61に対して複数のスイッチング素子が並列に接続されている。なお、複数相のそれぞれにおいては、複数のスイッチング素子が並列に接続されていなくてもよい。例えば、U相、V相、W相のそれぞれにおいて、モータ61に対して複数のスイッチング素子が並列に接続されていなくてもよい。
回転センサ55は、モータ61に対して設けられている。回転センサ55は、モータ61の回転数及び回転角度を検出する回転検出部である。回転センサ55は、モータ61の回転数に応じた検出信号を駆動制御部54に対して出力する。回転センサ55は、例えばエンコーダやレゾルバなどを含んで構成されている。
駆動制御部54は、例えばECUであり、駆動部81を制御する。駆動制御部54は、飛行制御装置40と同様に、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータを主体として構成される。
駆動制御部54は、飛行制御装置40及び駆動部81に電気的に接続されている。駆動制御部54は、回転センサ55を含む各種センサに電気的に接続されている。駆動制御部54は、駆動部81に対して指令信号を出力することで駆動部81の制御を行う。駆動制御部54は、飛行制御装置40から入力される制御信号、及び回転センサ55などの各種センサから入力される検出信号、などに応じて指令信号を生成する。駆動部81においては、駆動制御部54から入力された指令信号に応じてインバータが駆動し、インバータによる電力変換が行われる。
各種センサとしては、回転センサ55に加えて、電流センサや電圧センサなどがある。電流センサは、例えば複数相のそれぞれについてモータ61に流れる電流を検出する。電圧センサは、例えばバッテリ31から出力される電圧を検出する。
図3に示すように、ロータ20とEDS50とはモータ軸線Cmに沿って並べられている。ロータ20は、回転により軸方向ADの一方側に空気を送ることで、eVTOL10に推力及び揚力を生じさせる。ロータ20は、軸方向ADのうちEDS50側に向けて空気を送る。ロータ20が回転した場合、モータ軸線Cmに沿って進む旋回流が生じる。この旋回流においては、空気が周方向CDに旋回しながら軸方向ADに流れる。
図3、図4に示すように、EDS50は、モータ装置60、インバータ装置80及びフィンカバー100を有している。モータ装置60は、モータ61及びモータハウジング70を有している。モータハウジング70はモータ61を収容している。モータ61は、モータシャフト62を有している。モータシャフト62は、モータ61の回転軸であり、回転子と共に回転する。回転子が回転することをモータ61の回転と称すると、モータ61は、モータ軸線Cmを中心に回転する。モータ軸線Cmは、直線状に延びる仮想線であり、モータ61の中心線に一致している。モータシャフト62は、モータ軸線Cmに沿って延びている。
インバータ装置80は、駆動部81及びインバータハウジング90を有している。インバータハウジング90は、駆動部81を収容している。モータ装置60とインバータ装置80とは、モータ軸線Cmに沿って並べられている。
モータハウジング70とインバータハウジング90とは、モータ軸線Cmに沿って並べられている。モータハウジング70及びインバータハウジング90は、全体として筒状に形成されており、モータ軸線Cmに沿って延びている。モータハウジング70とインバータハウジング90とは、軸方向ADにおいて互いに重ねられた状態になっている。モータハウジング70とインバータハウジング90とは、ボルト等の固定具により互いに固定されている。モータハウジング70及びインバータハウジング90は、金属材料等により形成されており、熱伝導性を有している。
モータハウジング70及びインバータハウジング90は、EDS50のハウジングを構成している。モータ61及び駆動部81は、ロータ20を回転させるために駆動し、その駆動により発熱しやすい。モータ61及び駆動部81が発熱体に相当し、モータハウジング70及びインバータハウジング90がハウジングに相当する。モータハウジング70の外周面70a及びインバータハウジング90の外周面90aが、ハウジングの外周面に相当する。これら外周面70a,90aは軸方向ADに並べられている。例えば、外周面70a,90aは、軸方向ADに連続的に延びる連続面を形成している。
フィンカバー100は、モータハウジング70及びインバータハウジング90を収容している。フィンカバー100は、全体として筒状に形成されており、モータ軸線Cmに沿って延びている。フィンカバー100は、軸方向ADにおいてモータハウジング70とインバータハウジング90とにかけ渡された状態になっている。フィンカバー100は、モータハウジング70及びインバータハウジング90を外周側から覆った状態になっている。フィンカバー100は、径方向RDにおいてモータハウジング70及びインバータハウジング90の外側に設けられており、外周面70a,90aに沿って延びている。フィンカバー100はダクトと称されることがある。
フィンカバー100は、樹脂材料等により形成されており、弾性変形可能になっている。フィンカバー100は、弾性変形した状態でモータハウジング70及びインバータハウジング90に取り付けられている。フィンカバー100は、弾性変形により少なくとも径方向外側に伸びており、径方向内側に向けた復元力によりモータハウジング70及びインバータハウジング90に対する位置が保持された状態になっている。このように、フィンカバー100は、弾性変形による復元力を利用してモータハウジング70及びインバータハウジング90に装着されている。フィンカバー100は、ハウジングカバーに相当する。フィンカバー100の熱伝導性は、モータハウジング70及びインバータハウジング90の熱伝導性よりも低くなっている。
EDS50には、送風装置110が取り付けられている。送風装置110は、EDS50に取り付けられており、EDS50と共にEDSユニット130を構成している。EDSユニット130は、eVTOL10に搭載されている。送風装置110は、ロータ20及びEDS50に対してモータ軸線Cmに沿って並べられている。送風装置110は、軸方向ADにおいてロータ20とEDS50との間に設けられている。EDSユニット130が駆動装置ユニットに相当する。
送風装置110は、駆動することで空気を送る。送風装置110は、送風ファン111及びシュラウド120を有している。送風ファン111は、モータ軸線Cmを中心に回転する。送風ファン111の回転軸線がモータ軸線Cmになっている。送風ファン111の中心線は、モータ軸線Cmに一致している。送風ファン111は、回転することでEDS50に向けて軸方向ADに空気を送る。送風ファン111は、EDS50を冷却するための冷却風をEDS50に向けて送る。本実施形態では、EDS50にとって送風ファン111側が上流側になる。
送風ファン111が回転した場合、モータ軸線Cmに沿って進む旋回流が生じる。送風ファン111により生じる旋回流においては、ロータ20により生じる旋回流と同様に、空気が周方向CDに旋回しながら軸方向ADに流れる。送風ファン111による旋回流は、ロータ20による旋回流と同じ向きに旋回しながら進む。例えば、送風ファン111による旋回流と及びロータ20による旋回流とがいずれも、右回りに旋回しながら進む右回りの旋回流である。
送風ファン111は、ファン羽根112及びファンシャフト113を有している。ファン羽根112は、周方向CDに複数並べられている。ファン羽根112は、ファンヘッドにより連結されている。ファン羽根112は、ファンヘッドから径方向RDに延びている。ファン羽根112は、ファンシャフト113と共に回転する羽根である。ファンシャフト113は、送風ファン111の回転軸であり、ファンヘッドからモータ軸線Cmに沿って延びている。
シュラウド120は、送風ファン111を収容している。シュラウド120は、筒状に形成されており、モータ軸線Cmに沿って延びている。シュラウド120は、径方向RDにおいて送風ファン111の外側に設けられている。シュラウド120は、EDS50に取り付けられている。シュラウド120は、例えばモータハウジング70に固定されている。シュラウド120は、樹脂材料等により形成されている。シュラウド120の熱伝導性は、モータハウジング70及びインバータハウジング90の熱伝導性よりも低くなっている。
モータシャフト62は、ロータ20及び送風ファン111に接続されている。例えば、モータシャフト62に、ロータシャフト23及びファンシャフト113が接続されている。モータ61が駆動した場合、モータシャフト62と共にロータ20及び送風ファン111が回転する。上述したように、モータシャフト62はギアボックス53を介してロータ20に接続されているが、図3、図4においては、ギアボックス53の図示を省略している。なお、モータシャフト62は、ギアボックス53を介さずにロータ20に接続されていてもよい。またモータシャフト62はファンシャフト113と一体としてもよい。
EDS50においては、ロータ20及び送風ファン111により送られた空気が、外周面70a,90aに沿って流れる。このように、ロータ20及び送風ファン111により外周面70a,90aに沿って強制的に空気を流すことで、モータハウジング70及びインバータハウジング90から空気に放出される熱が多くなりやすい。すなわち、モータ61及び駆動部81等から発生した熱がモータハウジング70及びインバータハウジング90を介して外部に放出されやすい。なお、外周面70a,90aに沿って流れるのは、モータハウジング70及びインバータハウジング90との熱交換が可能な気体であれば空気でなくてもよい。
本実施形態では、外周面70a,90aに沿って流れる空気が送風ファン111により送られた空気であるとするが、実際には、ロータ20により送られた空気も外周面70a,90aに沿って流れる。このため、送風ファン111及びロータ20がいずれもファンに相当する。EDS50にとっては、空気が流れる方向である上下流方向が軸方向ADである。送風ファン111は、EDS50の上流側にある。
図4に示すように、モータハウジング70は、外周面70a、内周面70b(図7参照)及び上流端面70cを有している。外周面70a及び内周面70bは、モータ軸線Cmに沿って軸方向ADに延び、且つ周方向CDに環状に延びている。上流端面70cは、モータハウジング70の端面であり、送風ファン111側を向いている。上流端面70cは、軸方向ADに直交する方向に延びている。外周面70aには、外周上流端70a1及び外周下流端70a2が含まれている。外周上流端70a1は、外周面70aの上流側端部であり、上流端面70cの外周縁に沿って延びている。外周下流端70a2は、外周面70aの下流側端部である。
図4、図5に示すように、モータハウジング70は、ハウジング本体71、モータフィン72及びフランジ75を有している。ハウジング本体71は、全体として筒状に形成されており、モータ軸線Cmに沿って延びている。ハウジング本体71は、外周面70a、内周面70b及び上流端面70cを形成している。
モータフィン72は、外周面70aに設けられたフィンである。モータフィン72は、モータ装置60の熱を外部に放出することが可能であり、放熱フィンに相当する。モータフィン72は、モータハウジング70の表面積を大きくすることで、モータハウジング70からの放熱効果を高めている。
モータフィン72は、外周面70aから突出している。モータフィン72は、ハウジング本体71に一体的に設けられている。モータフィン72は板状に形成されている。モータフィン72は、ハウジング本体71から径方向外側に向けて延びており、且つ軸方向ADに延びている。例えば、モータ軸線Cmを通って径方向RDに延びる仮想直線を径線と称すると、モータフィン72は径線に重なるように径方向RDに延びている。モータフィン72は、外周面70aに沿って周方向CDに複数並べられている。周方向CDに隣り合う2つのモータフィン72においては、それぞれの板面が互いに対向している。モータフィン72は、軸方向ADにおいて外周面70aの中央付近に設けられている。モータフィン72は、外周面70aにおいて外周上流端70a1及び外周下流端70a2の両方から離間した位置にある。径方向RDにおいて、外周面70aからのモータフィン72の突出寸法は、外周面70aからのフランジ75の突出寸法よりも大きくなっている。
モータフィン72は、フィン上流端72a及びフィン下流端72bを有している。モータフィン72においては、軸方向ADに並ぶ両端のうち、上流側の端部がフィン上流端72aであり、下流側の端部がフィン下流端72bである。
フランジ75は、外周面70aに設けられており、外周面70aから突出している。フランジ75は、ハウジング本体71から径方向外側に向けて延びている。周方向CDにおいてフランジ75の幅寸法は、モータフィン72の板厚寸法よりも大きい。フランジ75は、上流面75aを有している。上流面75aは、フランジ75の外面のうち上流側を向いた面である。上流面75aは、軸方向ADに直交する方向に延びている。フランジ75は、幅寸法が大きいこと及び上流面75aが軸方向ADに直交していることなどにより、軸方向ADに流れる空気にとって障害物になりやすい。フランジ75は、軸方向ADに空気が流れることを阻害しやすく、阻害物に相当する。
フランジ75は、例えばケース固定部である。フランジ75は、モータハウジング70をインバータハウジング90及びシュラウド120等の固定対象に固定するための部位である。フランジ75には、例えばボルト等の固定具が螺着される。
図5に示すように、フランジ75として、外周面70aには上流フランジ751及び下流フランジ752が設けられている。上流フランジ751は、外周面70aにおいて外周上流端70a1寄りの位置にある。上流フランジ751は、例えば外周上流端70a1から外周下流端70a2に向けて軸方向ADに延びている。下流フランジ752は、外周面70aにおいて外周下流端70a2寄りの位置にある。下流フランジ752は、例えば外周下流端70a2から外周上流端70a1に向けて延びている。上流フランジ751及び下流フランジ752は、外周面70aに沿って周方向CDに複数ずつ並べられている。
外周面70aには、露出領域AL1及び隠れ領域AL2がある。隠れ領域AL2は、送風ファン111にとってフランジ75の奥側に隠れた領域である。例えば、送風ファン111にとって上流フランジ751の下流側に隠れた領域が隠れ領域AL2である。この隠れ領域AL2は、軸方向ADにおいて上流フランジ751から下流側に向けて延びている。隠れ領域AL2は、軸方向ADにおいてフランジ75を介して送風ファン111の反対側にある。隠れ領域AL2は、上流フランジ751と共に周方向CDに複数並べられている。
露出領域AL1は、送風ファン111にとってフランジ75の奥側に隠れずに露出した領域である。例えば、送風ファン111にとって上流フランジ751の下流側に隠れずに露出した領域が露出領域AL1である。露出領域AL1は、周方向CDにおいて隠れ領域AL2に並んだ領域である。露出領域AL1は、周方向CDに隣り合う2つの隠れ領域AL2にかけ渡されている。露出領域AL1は、隠れ領域AL2と共に周方向CDに複数並べられている。なお、本実施形態においては、露出領域AL1が軸並び領域に相当し、隠れ領域AL2が周並び領域に相当し、上流フランジ751が阻害物に相当する。
モータフィン72は、露出領域AL1に設けられている一方で、隠れ領域AL2には設けられていない。モータフィン72は、複数の露出領域AL1のそれぞれにおいて複数ずつ設けられている。1つの露出領域AL1に設けられた複数のモータフィン72をモータフィン群73と称すると、1つの露出領域AL1に1つのモータフィン群73が設けられている。モータフィン群73は、露出領域AL1と共に周方向CDに複数並べられている。周方向CDにおいては、隣り合う2つのモータフィン群73の間に隠れ領域AL2が存在している。
本実施形態では、モータフィン72として、順傾斜フィン721が外周面70aに設けられている。順傾斜フィン721は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜している。順傾斜フィン721は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜した方向に真っすぐに延びている。順傾斜フィン721においては、フィン上流端72aから下流側に向けて延びた上流部位を含む全ての部位が、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜している。順傾斜フィン721において、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜した部位を傾斜部と称すると、本実施形態では、順傾斜フィン721の全体が傾斜部になっている。
順傾斜フィン721の傾斜角度は、順傾斜フィン721が送風ファン111からの旋回流に沿って延びるような角度になっている。順傾斜フィン721においては、一対の板面のうち一方が上流側を向き、他方が下流側を向いている。順傾斜フィン721において、一対の板面はいずれも平坦面になっている。すなわち、順傾斜フィン721の板面は、平坦形状になっている。
順傾斜フィン721においては、フィン上流端72aとフィン下流端72bとが周方向CDにずれた位置にある。順傾斜フィン721は、送風ファン111による旋回流に沿って延びるように傾斜している。順傾斜フィン721においては、板面が旋回流に沿って延びている。順傾斜フィン721においては、板面がモータ軸線Cmに対して非平行になっている。すなわち、順傾斜フィン721においては、板面がモータ軸線Cmに対して傾斜している。フィン下流端72bは、フィン上流端72aから周方向CDの下流側に離間した位置にある。順傾斜フィン721は、放熱フィン及び傾斜フィンに相当する。
順傾斜フィン721は、複数の露出領域AL1のそれぞれにおいて、周方向CDに複数並べられている。1つの露出領域AL1において、複数の順傾斜フィン721は大きさ及び形状が同じになっている。例えば、軸方向ADの長さ寸法と板厚寸法と外周面70aからの突出寸法とが、複数の順傾斜フィン721で同じになっている。また、モータ軸線Cmに対する傾斜角度は、複数の順傾斜フィン721で同じになっている。順傾斜フィン721の傾斜角度は、例えば5度~45度になっている。複数の順傾斜フィン721は、互いに平行に延びている。複数の順傾斜フィン721は、周方向CDにおいて等間隔で並べられている。
複数の露出領域AL1において、それぞれの順傾斜フィン721は大きさ及び形状が同じになっている。モータ軸線Cmに対する順傾斜フィン721の傾斜角度も、複数の露出領域AL1において同じになっている。複数の順傾斜フィン721の間隔も、複数の露出領域AL1において同じなっている。
図7に示すように、モータハウジング70には、コイル63及びコイル支持部64が収容されている。コイル63及びコイル支持部64は、モータ61に含まれており、モータ61を構成する部品の1つである。コイル63及びコイル支持部64は、モータ61の駆動に伴って発熱しやすい。コイル63及びコイル支持部64は、発熱部材に相当する。コイル63は、モータ61を構成する巻線である。コイル63は、全体として環状に形成されており、モータハウジング70の内部において内周面70bに沿って延びている。コイル支持部64は、モータハウジング70に固定されており、コイル63を支持している。コイル支持部64は、内周面70bに沿って周方向CDに複数並べられている。コイル支持部64は、内周面70bに取り付けられている。コイル支持部64は、樹脂材料等により形成されている。
モータフィン72は、コイル63に径方向RDに並ぶ位置に設けられている。モータフィン72の少なくとも一部が、軸方向ADについてコイル63に径方向RDに重複する位置にある。モータフィン72は、コイル中心線Ccが通る位置にある。コイル中心線Ccは、コイル63の中心を通って径方向RDに延びる仮想直線である。例えば、モータフィン72は、コイル中心線Ccがモータフィン72の中心を通るように配置されている。
モータハウジング70では、外周面70aのうちコイル63に径方向RDに重複する重複領域が周方向CDに環状に延びている。この重複領域は、発熱部材であるコイル63からの熱が伝わりやすい領域である。すなわち、この重複領域は、後述する高熱領域AE1に相当する領域である。モータハウジング70では、1つの高熱領域AE1が外周面70aを周方向CDに一周したような構成になっている。
図4に示すように、インバータハウジング90は、外周面90a、内周面90b(図6、図7参照)及び下流端面90cを有している。外周面90a及び内周面90bは、モータ軸線Cmに沿って軸方向ADに延びており、且つ周方向CDに環状に延びている。下流端面90cは、インバータハウジング90の端面であり、送風ファン111とは反対側を向いている。下流端面90cは、軸方向ADに直交する方向に延びている。外周面90aには、外周上流端90a1及び外周下流端90a2が含まれている。外周上流端90a1は、外周面90aの上流側端部である。外周下流端90a2は、外周面90aの下流側端部であり、下流端面90cの外周縁に沿って延びている。
図4、図5に示すように、インバータハウジング90は、ハウジング本体91、インバータフィン92、フランジ95及びハウジング突起部96を有している。ハウジング本体91は、全体として筒状に形成されており、モータ軸線Cmに沿って延びている。ハウジング本体91は、外周面90a、内周面90b及び下流端面90cを形成している。
インバータフィン92は、外周面90aに設けられたフィンである。インバータフィン92は、インバータ装置80の熱を外部に放出することが可能であり、放熱フィンに相当する。インバータフィン92は、インバータハウジング90の表面積を大きくすることで、インバータハウジング90からの放熱効果を高めている。
インバータフィン92は、外周面90aから突出している。インバータフィン92は、ハウジング本体91に一体的に設けられている。インバータフィン92は板状に形成されている。インバータフィン92は、ハウジング本体91から径方向外側に向けて延びており、且つ軸方向ADに延びている。例えば、インバータフィン92は径線に重なるように径方向RDに延びている。インバータフィン92は、外周面90aに沿って周方向CDに複数並べられている。周方向CDに隣り合う2つのインバータフィン92においては、それぞれの板面が互いに対向している。インバータフィン92は、軸方向ADにおいて外周面90aの中央付近に設けられている。インバータフィン92は、外周面90aにおいて外周上流端90a1及び外周下流端90a2の両方から離間した位置にある。径方向RDにおいて、外周面90aからのインバータフィン92の突出寸法は、外周面90aからのフランジ95の突出寸法より大きくなっている。
インバータフィン92は、フィン上流端92a及びフィン下流端92bを有している。インバータフィン92においては、軸方向ADに並ぶ両端のうち、送風ファン111側の端部がフィン上流端92aであり、反対側の端部がフィン下流端92bである。
フランジ95は、外周面90aに設けられており、外周面90aから突出している。フランジ95は、ハウジング本体91から径方向外側に向けて延びている。周方向CDにおいてフランジ95の幅寸法は、インバータフィン92の板厚寸法よりも大きい。フランジ95は、上流面95aを有している。上流面95aは、フランジ95の外面のうち送風ファン111側を向いた面である。上流面95aは、軸方向ADに直交する方向に延びている。フランジ95は、幅寸法が大きいこと及び上流面95aが軸方向ADに直交していることなどにより、軸方向ADに流れる空気にとって障害物になりやすい。フランジ95は、軸方向ADに空気が流れることを阻害しやすく、阻害物に相当する。
フランジ95は、例えばケース固定部である。フランジ95は、インバータハウジング90をモータハウジング70等の固定対象に固定するための部位である。フランジ95には、例えばボルト等の固定具が螺着される。
図5に示すように、フランジ95として、外周面90aには上流フランジ951及び下流フランジ952が設けられている。上流フランジ951は、外周面90aにおいて外周上流端90a1寄りの位置にある。上流フランジ951は、例えば外周上流端90a1から外周下流端90a2に向けて軸方向ADに延びている。下流フランジ952は、外周面90aにおいて外周下流端90a2寄りの位置にある。下流フランジ952は、例えば外周下流端90a2から外周上流端90a1に向けて延びている。上流フランジ951及び下流フランジ952は、外周面90aに沿って周方向CDに複数ずつ並べられている。
図6に示すように、ハウジング突起部96は、外周面90aに設けられた突起である。ハウジング突起部96は、外周面90aから突出している。ハウジング突起部96は、ハウジング本体91から径方向外側に向けて延びている。ハウジング突起部96としては、インバータハウジング90の内部構造に合わせて径方向外側に突出した部位や、インバータ装置80を外部機器に電気的に接続するためのコネクタ部、などがある。例えば、図6に示すハウジング突起部96は、大型の突起である。
インバータハウジング90には、スイッチモジュール83が収容されている。スイッチモジュール83は、駆動部81に含まれており、駆動部81を構成する部品の1つである。スイッチモジュール83は、駆動部81の駆動に伴って発熱しやすい。スイッチモジュール83は発熱部材に相当する。スイッチモジュール83は、スイッチング素子及び素子保護部を有している。スイッチング素子は、インバータ等を構成する半導体素子である。素子保護部は、樹脂材料により形成されており、スイッチング素子を覆った状態で保護している。スイッチモジュール83は、インバータハウジング90の内部において内周面90bに沿って周方向CDに複数並べられている。各スイッチモジュール83は、内周面90bに取り付けられている。
スイッチモジュール83は、複数相に対して複数ずつ設けられている。例えば、スイッチモジュール83は、U相、V相、W相に対して複数ずつ設けられている。U相、V相、W相のそれぞれにおいては、複数のスイッチモジュール83のそれぞれが有するスイッチング素子が並列に接続されている。
図5、図6に示すように、外周面90aには、高熱領域AE1及び低熱領域AE2がある。高熱領域AE1は、駆動部81からの熱が比較的付与されやすい領域である。高熱領域AE1は、径方向RDにおいてスイッチモジュール83に重複する位置にある領域である。径方向RDに並んだ位置にある1組の高熱領域AE1とスイッチモジュール83とについては、スイッチモジュール83からの熱がハウジング本体71を介して高熱領域AE1に伝わりやすくなっている。高熱領域AE1は、スイッチモジュール83の位置に合わせて、周方向CDに複数並べられている。高熱領域AE1は、軸方向ADにおいて外周上流端90a1と外周下流端90a2とにかけ渡された領域である。
低熱領域AE2は、高熱領域AE1に比べて駆動部81からの熱が付与されにくい領域である。低熱領域AE2は、径方向RDにおいてスイッチモジュール83に重複しない位置にある領域である。スイッチモジュール83に対しては、低熱領域AE2の方が高熱領域AE1よりも遠い位置にある。低熱領域AE2とスイッチモジュール83との離間距離は、高熱領域AE1とスイッチモジュール83との離間距離よりも小さくなっている。低熱領域AE2は、周方向CDに隣り合う2つのスイッチモジュール83の間にある離間領域に対して径方向RDに重複する位置にある。スイッチモジュール83からの熱は、高熱領域AE1に比べて低熱領域AE2に伝わりにくくなっている。低熱領域AE2は、周方向CDに隣り合う2つの高熱領域AE1の間にあり、これら高熱領域AE1にかけ渡された領域である。低熱領域AE2は、周方向CDに複数並べられている。低熱領域AE2は、軸方向ADにおいて外周上流端90a1と外周下流端90a2とにかけ渡された領域である。
モータハウジング70及びインバータハウジング90では、低熱領域AE2が、周方向CDにおいて隣り合う2つの隠れ領域AL2の間にある。低熱領域AE2は、これら隠れ領域AL2のいずれからも周方向CDに離間した位置にある。低熱領域AE2は、露出領域AL1に軸方向ADに並んだ位置にあり、露出領域AL1から軸方向ADに延びている。高熱領域AE1は、周方向CDにおいて隣り合う2つの露出領域AL1に対して、隠れ領域AL2を介してかけ渡されている。高熱領域AE1は、露出領域AL1及び隠れ領域AL2の両方から軸方向ADに延びている。なお、高熱領域AE1が第1熱領域に相当し、低熱領域AE2が第2熱領域に相当する。
インバータハウジング90においては、図6に示すように、大型のスイッチモジュール83が内周面90bに沿って周方向CDに複数並べられている。なお、インバータハウジング90においては、スイッチモジュール群が内周面90bに沿って周方向CDに複数並べられていてもよい。スイッチモジュール群においては、小型のスイッチモジュール83が複数並べられている。この構成では、高熱領域AE1は、径方向RDにおいて1つのスイッチモジュール群に重複する位置にある領域である。
図5に示すように、インバータハウジング90においては、フランジ95が低熱領域AE2に設けられている。フランジ95は、周方向CDに隣り合う2つの高熱領域AE1のいずれからも周方向CDに離間した位置にある。
高熱領域AE1は、低熱領域AE2に比べて放熱しやすい領域になっている。高熱領域AE1にはインバータフィン92が設けられている一方で、低熱領域AE2にはインバータフィン92が設けられていない。高熱領域AE1においては、スイッチモジュール83からの熱がインバータフィン92により放熱されやすくなっている。高熱領域AE1はフィン領域に相当し、低熱領域AE2はフィンレス領域に相当する。
インバータフィン92は、複数の高熱領域AE1のそれぞれにおいて複数ずつ設けられている。1つの高熱領域AE1に設けられた複数のインバータフィン92をインバータフィン群93と称すると、1つの高熱領域AE1に1つのインバータフィン群93が設けられている。インバータフィン群93は、高熱領域AE1と共に周方向CDに複数並べられている。周方向CDにおいては、隣り合う2つのインバータフィン群93の間に低熱領域AE2が存在している。インバータフィン92は、周方向CDについてスイッチモジュール83に径方向RDに重複する位置にある。
本実施形態では、インバータフィン92として、平行フィン923が外周面90aに設けられている。平行フィン923は、モータ軸線Cmに平行に延びている。平行フィン923は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜しておらず、軸方向ADに真っすぐに延びている。平行フィン923においては、一対の板面がいずれも平坦面になっている。平行フィン923は、放熱フィンに相当する。
平行フィン923は、複数の高熱領域AE1のそれぞれにおいて、周方向CDに複数並べられている。1つの高熱領域AE1において、複数の平行フィン923は大きさ及び形状が同じになっている。例えば、軸方向ADの長さ寸法と板厚寸法と外周面90aからの突出寸法とが、複数の平行フィン923で同じになっている。複数の平行フィン923は、互いに平行に延びている。複数の平行フィン923は、周方向CDにおいて等間隔で並べられている。
複数の高熱領域AE1において、それぞれの平行フィン923は大きさ及び形状が同じになっている。複数の平行フィン923の間隔も、複数の高熱領域AE1において同じなっている。
図7に示すように、インバータフィン92は、スイッチモジュール83に径方向RDに並ぶ位置にある。インバータフィン92の少なくとも一部が、軸方向ADについてスイッチモジュール83に径方向RDに重複する位置にある。インバータフィン92は、モジュール中心線Cpが通る位置にある。モジュール中心線Cpは、スイッチモジュール83の中心を通って径方向RDに延びる仮想直線である。例えば、インバータフィン92は、モジュール中心線Cpがインバータフィン92の中心を通るように配置されている。
図示は省略するが、インバータハウジング90においても、外周面90aに露出領域AL1及び隠れ領域AL2がある。隠れ領域AL2は、例えば送風ファン111にとって上流フランジ951の奥側に隠れた領域である。露出領域AL1は、例えば送風ファン111にとって上流フランジ951のフランジの奥側に隠れずに露出した領域である。
図6、図7に示すように、フィンカバー100は、外周面100a、内周面100b及びカバー開口部100cを有している。外周面100a及び内周面100bは、モータ軸線Cmに沿って軸方向ADに延び、且つ周方向CDに環状に延びている。カバー開口部100cは、フィンカバー100において軸方向ADに並ぶ両端のそれぞれに設けられている。内周面100bがカバー内周面に相当する。
フィンカバー100の内周面100bは、外周面70a,90aに対向した状態で、外周面70a,90aに沿って延びている。この内周面100bには、モータフィン72及びインバータフィン92の一部もしくはすべてが接触している。例えば、内周面100bには、モータフィン72及びインバータフィン92の各先端面が重なっている。フィンカバー100においては、弾性変形による復元力で、内周面100bがモータフィン72及びインバータフィン92に押し付けられた状態になっている。このように、フィンカバー100の復元力により、モータハウジング70及びインバータハウジング90に対するフィンカバー100の相対位置が保持されるようになっている。なお、図7においては、図示の便宜上、内周面100bとフィン72,92との間に隙間を図示しているが、実際にはこの隙間は生じにくくなっている。
図7に示すように、シュラウド120は、外周面120a、内周面120b及びシュラウド開口部120cを有している。外周面120a及び内周面120bは、モータ軸線Cmに沿って軸方向ADに延び、且つ周方向CDに環状に延びている。シュラウド開口部120cは、シュラウド120において軸方向ADに並ぶ両端のそれぞれに設けられている。シュラウド120の内部空間124は、シュラウド開口部120cにより軸方向ADに開放されている。シュラウド120においては、内部空間124に送風ファン111が収容されている。
シュラウド120とフィンカバー100とは軸方向ADに並べられている。シュラウド120及びフィンカバー100においては、外周面100a,120aが軸方向ADに並べられ、且つ内周面100b,120bが軸方向ADに並べられている。例えば、内周面100b,120bは、軸方向ADに連続的に延びる連続面を形成している。
EDS50は、カバー通路104を有している。カバー通路104は、フィンカバー100とモータハウジング70及びインバータハウジング90との間に形成されている。フィンカバー100、モータハウジング70及びインバータハウジング90においては、内周面100bと外周面70a,90aとがモータフィン72及びインバータフィン92を介して離間している。この離間部分がカバー通路104になっている。カバー通路104は、カバー開口部100cにより軸方向ADに開放されている。シュラウド120においては、内部空間124がカバー通路104に連通している。
図5、図7に示すように、送風ファン111からの空気が旋回流としてEDS50に向けて送られた場合、この旋回流は、内部空間124からカバー通路104に流入し、外周面70a,90aに沿って流れてカバー通路104から外部に流出する。カバー通路104において露出領域AL1に到達した旋回流は、順傾斜フィン721の板面に沿って進む。
図5において、モータハウジング70については、周方向CDに隣り合う2つの隠れ領域AL2のうち、周方向CDにおいてフィン上流端72aよりもフィン下流端72bに近い方の隠れ領域AL2を「順隠れ領域AL2」と称する。「順隠れ領域AL2」には、順傾斜フィン721に沿って流れた旋回流が流れ込みやすくなっている。例えば、露出領域AL1において「順隠れ領域AL2」に最も近い位置にある順傾斜フィン721は、旋回流を「順隠れ領域AL2」に流れ込むように案内する。図5において、中央の隠れ領域AL2を「順隠れ領域AL2」とすると、右側の露出領域AL1にある順傾斜フィン721が旋回流を「順隠れ領域AL2」に流れ込むように案内する。
インバータハウジング90については、周方向CDに隣り合う2つの高熱領域AE1のうち、周方向CDにおいてフィン上流端72aよりもフィン下流端72bに近い方の高熱領域AE1を「順高熱領域AE1」と称する。「順高熱領域AE1」には、順傾斜フィン721に沿って流れた旋回流が流れ込みやすくなっている。例えば、露出領域AL1にある順傾斜フィン721は、「順高熱領域AE1」に向けて延びるように、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜しており、旋回流を「順高熱領域AE1」に流れ込むように案内することになる。図5において、中央の高熱領域AE1を「順高熱領域AE1」とすると、右側の露出領域AL1にある順傾斜フィン721が旋回流を「順高熱領域AE1」に流れ込むように案内する。
送風ファン111から送られた旋回流は、順傾斜フィン721がモータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜していることなどに起因して、順傾斜フィン721を通過した後も周方向に旋回を続けやすくなっている。一方で、この旋回流は、平行フィン923がモータ軸線Cmに平行に延びていることに起因して、平行フィン923を通過することでモータ軸線Cmに平行に進む平行流になりやすい。平行フィン923は、旋回流として流れる空気をモータ軸線Cmに沿って進むように整流する整流機能を有している。旋回流は、平行フィン923の整流機能により平行流になりやすい。平行フィン923により整流された平行流は、平行流のままカバー通路104から下流側に向けて外部に放出される。
ここまで説明した本実施形態によれば、モータハウジング70において、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜した順傾斜フィン721が外周面70aに設けられている。この構成では、EDS50にとっての冷却効果が高くなるように、外周面70aに沿って流れる空気を順傾斜フィン721により案内できる。このため、eVTOL10にとってEDS50が重くなりすぎないように、例えばモータフィン72及びインバータフィン92の数及び大きさが制限されていても、EDS50の冷却効果が低下することを順傾斜フィン721により抑制できる。したがって、EDS50について冷却効果の向上と軽量化とを順傾斜フィン721により両立できる。このように、eVTOL10への搭載に適したEDS50及びEDSユニット130を順傾斜フィン721により実現できる。
例えば本実施形態とは異なり、モータフィン72に順傾斜フィン721が含まれていない構成では、送風ファン111による旋回流に沿って延びるように傾斜したモータフィン72が存在しないことになる。この構成では、モータフィン72に到達した旋回流の流れが乱れるなどして、複数のモータフィン72の間を流れる旋回流について圧損が増加することが考えられる。このように圧損が増加すると、複数のモータフィン72の間を流れる旋回流の風量が不足し、モータフィン72による放熱効果が低下することが懸念される。またモータフィン72の下流に配置されているインバータフィン92の間を流れる風量も併せて減少し、インバータフィン92による放熱効果も低下することが懸念される。
これに対して、本実施形態によれば、順傾斜フィン721は、送風ファン111による旋回流に沿って延びるように傾斜している。この構成では、旋回流の流れが乱れないように、順傾斜フィン721が旋回流の流れを案内することができる。このため、順傾斜フィン721に到達した旋回流の流れが乱れにくくなる。そうすると、複数の順傾斜フィン721の間を流れる旋回流について圧損が増加しにくくなり、複数の順傾斜フィン721の間を流れる旋回流の風量が不足するということが生じにくくなる。したがって、複数の順傾斜フィン721の間を流れる旋回流の風量をモータ装置60の冷却とって十分に確保することができる。このように、順傾斜フィン721による放熱効果を高めることができる。
本実施形態によれば、フィンカバー100は、モータフィン72及びインバータフィン92を外周側から覆うようにモータハウジング70及びインバータハウジング90に取り付けられている。この構成では、送風ファン111による旋回流が、モータハウジング70及びインバータハウジング90とフィンカバー100との間に形成されたカバー通路104を流れることになる。このため、旋回流がモータフィン72及びインバータフィン92よりも径方向外側を流れるということをフィンカバー100により規制できる。したがって、モータフィン72及びインバータフィン92を通過する空気の量が減少して冷却効果が低下する、ということをフィンカバー100により抑制できる。
ところが、旋回流がカバー通路104を流れる場合、カバー通路104での圧損が増加することが懸念される。これに対して、本実施形態によれば、旋回流について圧損が増加することが順傾斜フィン721により抑制される。このため、仮に、カバー通路104での圧損が増加したとしても、順傾斜フィン721により圧損の増加が抑制されているため、圧損が過剰に増加するということが生じにくくなっている。
例えば本実施形態とは異なり、全てのモータフィン72がモータ軸線Cmに平行に延びた構成では、送風ファン111による旋回流が、周方向CDに案内されず、隠れ領域AL2に流れ込みにくくなる。この構成では、旋回流が、露出領域AL1には流れ込みやすい一方で、隠れ領域AL2には流れ込みにくくなるため、モータハウジング70においては、周方向CDでの熱分布が不均一になりやすい。例えば、モータハウジング70においては、隠れ領域AL2での風量が露出領域AL1での風量に比べて少なくなりやすい。一方で、モータ装置60においては、発熱部材としてのコイル63が周方向CDに環状に延びていることなどに起因して、発熱態様は周方向CDにおいて均一になりやすい。このように、発熱態様が周方向CDにおいて均一になりやすい一方で、放熱効果は隠れ領域AL2が露出領域AL1よりも低くなりやすいため、モータハウジング70においては、周方向CDでの熱分布が不均一になりやすい。
これに対して、本実施形態によれば、順傾斜フィン721は、旋回流を露出領域AL1から隠れ領域AL2に案内するように傾斜している。この構成では、露出領域AL1に流れ込んできた旋回流は、順傾斜フィン721に沿って流れることで隠れ領域AL2に流れ込みやすくなる。このため、隠れ領域AL2での風量が露出領域AL1での風量よりも少なくなるということが生じにくい。したがって、モータハウジング70において周方向CDでの熱分布が不均一になるということを抑制できる。モータハウジング70において周方向CDの全体に冷却効果を付与することができる。
本実施形態によれば、順傾斜フィン721は、旋回流を高熱領域AE1に案内するように傾斜している。この構成では、旋回流が順傾斜フィン721に沿って流れることで、高熱領域AE1に流れ込みやすくなるため、高熱領域AE1が増加しやすくなる。このため、高熱領域AE1及び低熱領域AE2のうちスイッチモジュール83に近い領域である高熱領域AE1について、風量が不足して冷却効果が低下するということを順傾斜フィン721により抑制できる。したがって、インバータハウジング90において、高熱領域AE1など一部の温度が過剰に上昇するということを順傾斜フィン721により抑制できる。
本実施形態によれば、順傾斜フィン721は、高熱領域AE1から旋回流の上流側に離間した位置に設けられ、高熱領域AE1に延びるように傾斜している。このため、旋回流が順傾斜フィン721に沿って流れやすい構成、及び順傾斜フィン721に沿って流れた旋回流が高熱領域AE1に到達しやすい構成、の両方を実現できる。
本実施形態によれば、高熱領域AE1がスイッチモジュール83に周方向CDに重複する領域であり、低熱領域AE2がスイッチモジュール83に周方向CDに重複しない領域である。この構成では、低熱領域AE2に付与される熱が、高熱領域AE1に付与される熱よりも小さくなりやすい。このため、順傾斜フィン721が旋回流を高熱領域AE1に案内することで、仮に低熱領域AE2での風量が減少したとしても、低熱領域AE2の温度が過剰に上昇するということが生じにくくなっている。したがって、低熱領域AE2での風量が高熱領域AE1での風量より少なくなったとしても、インバータハウジング90では周方向CDの全体として冷却効果を高めることができる。
本実施形態によれば、高熱領域AE1にはインバータフィン92が設けられている一方で、低熱領域AE2にはインバータフィン92が設けられていない。この構成では、低熱領域AE2での温度が過剰に上昇するということが生じにくいことを利用して、低熱領域AE2にインバータフィン92を設けないことでEDS50の軽量化を図ることができる。
本実施形態によれば、順傾斜フィン721においては、フィン上流端72aから下流側に向けて延びた上流部位がモータ軸線Cmに対して傾斜している。この構成では、順傾斜フィン721に到達した旋回流が順傾斜フィン721の上流部位に沿って流れやすくなっている。このため、順傾斜フィン721に到達した旋回流の流れが乱れることを、順傾斜フィン721の上流部位により抑制できる。したがって、複数の順傾斜フィン721の間を流れる旋回流について圧損が増加することを、順傾斜フィン721の上流部位により抑制できる。
本実施形態によれば、インバータハウジング90においては、平行フィン923が順傾斜フィン721よりも下流側に設けられている。この構成では、送風ファン111から送られた空気が旋回流のまま順傾斜フィン721を通過したとしても、この旋回流が平行フィン923により整流されて平行流になりやすい。EDS50から下流側に放出される空気が平行流とされることで、eVTOL10にて生じる推力や揚力が低下しにくくなる。例えば、カバー通路104から下流側に放出される空気の流れが平行流である場合、旋回流である場合に比べて、周方向CDに流れる成分が小さくなりやすい。このように、カバー通路104から下流側に放出される空気の流れが平行流である場合、旋回流である場合に比べて、軸方向ADに流れる成分が大きくなりやすく、その結果、eVTOL10にて得られる推力や揚力が大きくなりやすい。したがって、eVTOL10の飛行状態を適正に管理する観点でも、eVTOL10への搭載に適したEDS50を実現できる。
本実施形態では、フィンカバー100において、内周面100bにモータフィン72及びインバータフィン92の各先端面が重なった状態になっている。このため、送風ファン111による空気がモータフィン72及びインバータフィン92の各板面に沿って流れやすくなっている。したがって、モータフィン72及びインバータフィン92が発揮する冷却効果を更に高めることができる。
<変形例1-1>
モータフィン72等の放熱フィンは、隠れ領域AL2に設けられていてもよい。変形例1-1では、例えば上記第1実施形態において、順傾斜フィン721が隠れ領域AL2に設けられている。
図8に示すように、露出領域AL1及び隠れ領域AL2のそれぞれに順傾斜フィン721が設けられている。複数の順傾斜フィン721のうち1つの順傾斜フィン721が露出領域AL1と隠れ領域AL2とにかけ渡された状態になっている。この順傾斜フィン721は、露出領域AL1と隠れ領域AL2との境界部を周方向CDに跨ぐ位置に配置されている。この順傾斜フィン721においては、フィン上流端72aが露出領域AL1にある一方で、フィン下流端72bが隠れ領域AL2にある。このフィン下流端72bは、軸方向ADにおいて上流フランジ751を介して送風ファン111とは反対側にある。
本変形例によれば、1つの順傾斜フィン721において、フィン上流端72aが露出領域AL1にあり、フィン下流端72bが隠れ領域AL2にある。この構成では、露出領域AL1において順傾斜フィン721に沿って進んだ旋回流がフィン下流端72bに到達することで、隠れ領域AL2に流れ込むことになる。このため、1つの順傾斜フィン721を露出領域AL1と隠れ領域AL2との境界部を跨ぐ位置に配置することで、隠れ領域AL2の冷却効果を高めることができる。
<変形例1-2>
モータ軸線Cmに対する順傾斜フィン721等の傾斜フィンの傾斜角度は、複数の傾斜フィンで均一でなくてもよい。変形例1-2では、例えば上記第1実施形態において、複数のモータフィン72には、逆傾斜フィン722が含まれている。
図9に示すように、複数のモータフィン72には、順傾斜フィン721及び逆傾斜フィン722の両方が含まれている。逆傾斜フィン722は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜した向きが順傾斜フィン721とは逆になったフィンである。逆傾斜フィン722においては、一対の板面のうち一方が送風ファン111側を向き、他方がインバータ装置80側を向いている。逆傾斜フィン722において送風ファン111側を向いた板面と、順傾斜フィン721において送風ファン111側を向いた板面とは、周方向CDにおいて互いに逆向きになっている。逆傾斜フィン722は放熱フィン及び傾斜フィンに相当する。
本変形例では、逆傾斜フィン722が、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜した方向に真っすぐに延びている。この逆傾斜フィン722においては、全体が傾斜部になっている。逆傾斜フィン722の板面は、平坦形状になっている。逆傾斜フィン722においては、板面がモータ軸線Cmに対して非平行になっている。すなわち、逆傾斜フィン722においては、板面がモータ軸線Cmに対して傾斜している。
逆傾斜フィン722は、周方向CDにおいて旋回流を案内する向きが順傾斜フィン721とは逆になっている。そこで、周方向CDにおいて隠れ領域AL2を介して隣り合う2つの露出領域AL1のうち、一方の露出領域AL1においては、最も隠れ領域AL2に近いモータフィン72が順傾斜フィン721とされている。他方の露出領域AL1においては、最も隠れ領域AL2に近いモータフィン72が逆傾斜フィン722とされている。この構成では、一方の露出領域AL1からは順傾斜フィン721により隠れ領域AL2に旋回流が案内され、他方の露出領域AL1からは逆傾斜フィン722により隠れ領域AL2に旋回流が案内される。このように、2つの露出領域AL1の両方から1つの隠れ領域AL2に旋回流が案内されることで、隠れ領域AL2での風量が増加し、隠れ領域AL2の冷却効果を高めることができる。
本変形例では、1つの露出領域AL1に設けられた複数の順傾斜フィン721について、モータ軸線Cmに対する傾斜角度が異なっている。これら順傾斜フィン721においては、周方向CDの一方から他方に向けて徐々に傾斜角度が大きくなっている。
<変形例1-3>
モータフィン72等の放熱フィンは、放熱フィンの板厚方向に膨らむように曲がっていてもよい。変形例1-3では、例えば上記第1実施形態において、順傾斜フィン721が軸方向ADに膨らむように曲がっている。図10に示すように、複数の順傾斜フィン721はいずれも、軸方向ADの上流側に向けて膨らむように湾曲している。これら順傾斜フィン721は、全体として旋回流に沿って延びる向きに傾斜するように湾曲している。順傾斜フィン721においては、モータ軸線Cmに対する傾斜角度がフィン上流端72aからフィン下流端72bに向けて徐々に小さくなっている。
本変形例では、順傾斜フィン721が軸方向ADの上流側に向けて膨らむように曲がっているため、順傾斜フィン721に沿って流れる旋回流の向きが、フィン上流端72aからフィン下流端72bに向けて徐々に変化する。順傾斜フィン721を通過する気流が旋回流から平行流に変化する場合、順傾斜フィン721は整流機能を有していることになる。本変形例では、順傾斜フィン721が全体としてモータ軸線Cmに対して傾斜しており、この順傾斜フィン721の全体が傾斜部になっている。
また、モータフィン群73は、周方向CDに複数並べられていなくてもよい。本変形例では、1つのモータフィン群73が外周面70aを一周するように環状に延びている。例えば、図10、図11に示すように、順傾斜フィン721が露出領域AL1及び隠れ領域AL2の両方に複数ずつ設けられている。
<変形例1-4>
複数の放熱フィンにおいては、軸方向ADの長さが均一でなくてもよい。変形例1-4では、例えば上記第1実施形態において、軸方向ADの長さが複数の順傾斜フィン721で異なっている。例えば、図11に示すように、複数の順傾斜フィン721においては、周方向CDの一方から他方に向けて徐々に軸方向ADの長さ寸法が小さくなっている。なお、図10に示すように、複数の順傾斜フィン721のうち、隠れ領域AL2にある順傾斜フィン721は、露出領域AL1にある順傾斜フィン721よりも軸方向ADに短くなっていてもよい。
<変形例1-5>
モータフィン72等の放熱フィンと、コイル63等の発熱部材とは、軸方向ADにずれた位置に設けられていてもよい。変形例1-5では、例えば上記第1実施形態において、コイル63に対してモータフィン72が軸方向ADにずれた位置にある。例えば、図12に示すように、モータフィン72は、コイル中心線Ccに対してインバータ装置80側に寄った位置にある。なお、放熱フィンと発熱部材とが軸方向ADにずれた構成としては、スイッチモジュール83に対してインバータフィン92が軸方向ADにずれた位置にあってもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態では、フィンカバー100がカバー案内部を有している。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第2本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図13、図14に示すように、フィンカバー100は、カバー本体101及びカバーフィン102を有している。カバー本体101は、全体として筒状に形成されており、モータ軸線Cmに沿って延びている。カバー本体101は、外周面100a、内周面100b及びカバー開口部100cを形成している。
カバーフィン102は、内周面100bに設けられたフィンである。カバーフィン102は、内周面100bから突出している。カバーフィン102は、カバー本体101に一体的に設けられている。カバーフィン102は板状に形成されている。カバーフィン102は、カバー本体101から径方向内側に向けて延びており、且つ軸方向ADに延びている。例えば、カバーフィン102は径線に重なるように径方向RDに延びている。カバーフィン102は、内周面100bに沿って周方向CDに複数並べられている。周方向CDに隣り合う2つのカバーフィン102においては、それぞれの板面が互いに対向している。
カバーフィン102は、フィン上流端102a及びフィン下流端102bを有している。カバーフィン102においては、軸方向ADに並ぶ両端のうち、送風ファン111側の端部がフィン上流端102aであり、反対側の端部がフィン下流端102bである。
カバーフィン102は、軸方向ADにおいてモータフィン72の上流側に設けられている。カバーフィン102は、軸方向ADにおいて外周上流端70a1とモータフィン72との間にある。複数のカバーフィン102には、モータフィン72に接触したカバーフィン102と、モータフィン72から軸方向ADに離間したカバーフィン102と、が含まれている。複数のカバーフィン102には、外周上流端70a1から下流側に向けて延びたカバーフィン102と、外周上流端70a1から下流側に離間した位置にあるカバーフィン102とが含まれている。
カバーフィン102は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜している。カバーフィン102は、軸方向ADに膨らむように曲がっている。複数のカバーフィン102はいずれも、軸方向ADの上流側に向けて膨らむように湾曲している。これらカバーフィン102は、全体として旋回流に沿って延びる向きに傾斜するように湾曲している。カバーフィン102においては、モータ軸線Cmに対する傾斜角度がフィン上流端102aからフィン下流端102bに向けて徐々に小さくなっている。カバーフィン102に沿って流れる旋回流の向きは、フィン上流端102aからフィン下流端92bに向けて徐々に変化する。
カバーフィン102は、モータフィン72に向けて延びるようにモータ軸線Cmに対して傾斜している。カバーフィン102は、モータフィン72に向けて下流側に延びている。カバーフィン102は、カバーフィン102に沿って流れる旋回流をモータフィン72に向けて案内する。カバーフィン102は、カバー案内部に相当する。
カバーフィン102は、径方向RDにおいて露出領域AL1に重複する位置に設けられている。カバーフィン102は、複数の露出領域AL1に対して複数ずつ設けられている。1つの露出領域AL1に対して設けられた複数のカバーフィン102をカバーフィン群103と称すると、1つの露出領域AL1に対して1つのカバーフィン群103が設けられている。カバーフィン群103は、露出領域AL1と共に周方向CDに複数並べられている。
モータハウジング70においては、外周面70aにカバーフィン102が接触している。例えば、カバーフィン102の先端面が外周面70aに重なっている。例えば、フィンカバー100においては、弾性変形による復元力で、カバーフィン102の先端面が外周面70aに押し付けられた状態になっている。なお、図14においては、図示の便宜上、外周面70aとカバーフィン102との間に隙間を図示しているが、実際にはこの隙間は生じにくくなっている。
本実施形態では、少なくとも1つのカバーフィン102がモータフィン72に接触している。互いに接触したモータフィン72とカバーフィン102とでは、フィン上流端72aとフィン下流端102bとが軸方向ADに重なるように互いに接触している。これらモータフィン72とカバーフィン102とについては、カバーフィン102がモータフィン72から上流側に向けて延びた状態になっている。例えば、カバーフィン102が有する板面とモータフィン72の板面とが、軸方向ADに連続的に延びた面になっている。
EDS50を製造する製造工程においては、モータハウジング70とインバータハウジング90とを固定した後、これらモータハウジング70及びインバータハウジング90にフィンカバー100を取り付ける工程を行う。この工程において、作業者は、カバー開口部100cの内部に上流端面70cを入り込ませるようにして、フィンカバー100の内部にモータハウジング70及びインバータハウジング90を収容させる。そして、フィン上流端72aがフィン下流端102bに接触するまで、フィンカバー100をモータハウジング70に対して軸方向ADに相対的に移動させる。このように、フィン上流端72aとフィン下流端102bとを接触させることで、軸方向ADにおいてモータハウジング70に対するフィンカバー100の相対位置を決めることができる。なお、製造工程は、EDS50を製造する製造方法に含まれる。
本実施形態では、複数のモータフィン72に平行フィン723が含まれている。平行フィン723は、モータ軸線Cmに平行に延びている。平行フィン723は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜しておらず、軸方向ADに直線状に延びている。平行フィン723においては、一対の板面がいずれも平坦面になっている。平行フィン723は放熱フィンに相当する。
本実施形態では、モータ装置60の冷却効果が高くなるように、複数のモータフィン72のそれぞれについて個別に、モータ軸線Cmに対する傾斜角度と、周方向CDの長さ寸法と、周方向CDへの曲がり度合いと、が設定されている。例えば、モータ軸線Cmに対するモータフィン72の傾斜角度は、1つのモータフィン72においてフィン上流端72aからフィン下流端72bに向けて増減している。また、モータ軸線Cmに対するモータフィン72の傾斜角度は、複数のモータフィン72で異なっている。さらに、モータフィン72において軸方向ADの長さ寸法は、複数のモータフィン72で異なっている。加えて、モータフィン72において周方向CDへの曲がり度合いは、複数のモータフィン72で異なっている。なお、周方向CDに隣り合う2つのモータフィン72の間隔は、複数のモータフィン72で均一でなくてもよい。モータ装置60の冷却効果が向上するのであれば、モータフィン72の間隔を均一にしないことが好ましい。
本実施形態では、旋回流がモータフィン72を通過することで平行流になるように、複数のモータフィン72及び複数のカバーフィン102のそれぞれについて、形状、大きさ及び位置が設定されている。このように、モータフィン72及びカバーフィン102が全体として整流機能を発揮することで、モータフィン72から平行フィン923に向けて下流側に流れ出す空気が平行流になりやすい。この場合、平行流が平行フィン923に沿って流れやすいため、インバータフィン92を通過する空気の流れに乱れが生じにくい。このため、インバータフィン92を通過する空気量が増加しやすく、インバータフィン92による放熱効果が向上しやすい。
本実施形態によれば、送風ファン111からの空気がカバーフィン102により順傾斜フィン721に案内される。この構成では、順傾斜フィン721を通過する空気量をカバーフィン102により増加させることができる。このため、順傾斜フィン721が発揮する冷却効果をカバーフィン102により更に高めることができる。また、順傾斜フィン721の傾斜部形状の一部をカバーフィン102に置き換えることにより、EDS50の重量を軽減することができる。
<変形例2-1>
カバーフィン102は、周方向CDに曲がっていなくてもよい。変形例2-1では、例えば上記第2実施形態において、カバーフィン102が真っすぐに延びている。図15に示すように、カバーフィン102は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜した方向に真っすぐに延びている。カバーフィン102においては、フィン上流端102aから下流側に向けて延びた上流部位を含む全ての部位が、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜している。モータ軸線Cmに対するカバーフィン102の傾斜角度は、モータ軸線Cmに対する順傾斜フィン721の傾斜角度よりも大きくなっている。
なお、カバーフィン102の傾斜角度は、順傾斜フィン721の傾斜角度より大きくなくてもよい。カバーフィン102は、モータ軸線Cmに平行に延びていてもよい。複数のカバーフィン102においては、大きさや形状が互いに同じになっていてもよく、異なっていてもよい。複数のカバーフィン102は、軸方向ADでの間隔が均一になっていてもよく、不均一になっていてもよい。また、カバーフィン102には、軸方向ADの上流側に向けて膨らむように曲がっていてもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態では、シュラウド120がシュラウド案内部を有している。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第3本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図16、図17に示すように、シュラウド120は、シュラウド本体121及びシュラウドフィン122を有している。シュラウド本体121は、全体として筒状に形成されており、モータ軸線Cmに沿って延びている。シュラウド本体121は、外周面120a、内周面120b及びシュラウド開口部120cを形成している。
シュラウドフィン122は、内周面120bに設けられたフィンである。シュラウドフィン122は、内周面120bから突出している。シュラウドフィン122は、シュラウド本体121に一体的に設けられている。シュラウドフィン122は板状に形成されている。シュラウドフィン122は、シュラウド本体121から径方向内側に向けて延びており、且つ軸方向ADに延びている。例えば、シュラウドフィン122は径線に重なるように径方向RDに延びている。径方向RDにおいて、内周面120bからのシュラウドフィン122の突出寸法は、外周面70aからのモータフィン72の突出寸法とほぼ同じになっている。シュラウドフィン122は、内周面120bに沿って周方向CDに複数並べられている。周方向CDに隣り合う2つのシュラウドフィン122においては、それぞれの板面が互いに対向している。
シュラウドフィン122は、フィン上流端122a及びフィン下流端122bを有している。シュラウドフィン122においては、軸方向ADに並ぶ両端のうち、送風ファン111側の端部がフィン上流端122aであり、反対側の端部がフィン下流端122bである。シュラウドフィン122は、軸方向ADにおいてモータフィン72の上流側に設けられている。シュラウドフィン122は、下流側のシュラウド開口部120cから上流側に向けて延びている。
シュラウドフィン122は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜している。シュラウドフィン122は、軸方向ADに膨らむように曲がっている。複数のシュラウドフィン122はいずれも、軸方向ADの上流側に向けて膨らむように湾曲している。これらシュラウドフィン122は、全体として旋回流に沿って延びる向きに傾斜するように湾曲している。シュラウドフィン122においては、モータ軸線Cmに対する傾斜角度がフィン上流端122aからフィン下流端122bに向けて徐々に小さくなっている。シュラウドフィン122は、軸方向ADの上流側に向けて膨らむように曲がっていることで、旋回流の向きを変化させやすい。
シュラウドフィン122は、モータフィン72に向けて延びるようにモータ軸線Cmに対して傾斜している。シュラウドフィン122は、モータフィン72に向けて下流側に延びている。シュラウドフィン122は、シュラウドフィン122に沿って流れる旋回流をモータフィン72に向けて案内する。シュラウドフィン122は、シュラウド案内部に相当する。
シュラウドフィン122は、露出領域AL1に軸方向ADに並ぶ位置に設けられている。シュラウドフィン122は、複数の露出領域AL1に対して複数ずつ設けられている。1つの露出領域AL1に対して設けられた複数のシュラウドフィン122をシュラウドフィン群123と称すると、1つの露出領域AL1に対して1つのシュラウドフィン群123が設けられている。シュラウドフィン群123は、露出領域AL1と共に周方向CDに複数並べられている。
本実施形態によれば、送風ファン111からの空気がシュラウドフィン122により順傾斜フィン721に案内される。この構成では、順傾斜フィン721を通過する空気量をシュラウドフィン122により増加させることができる。このため、順傾斜フィン721が発揮する冷却効果をシュラウドフィン122により更に高めることができる。
<第4実施形態>
上記第1実施形態では、送風ファン111がEDS50の上流側に設けられていた。これに対して、第4実施形態では、送風ファン111がEDS50の下流側に設けられている。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第4本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図18、図19に示すように、送風ファン111は、下流端面90c側に設けられている。送風ファン111は、EDS50とは反対側に向けて軸方向ADに空気を送る。送風ファン111が回転した場合、送風ファン111の下流側に加えて、送風ファン111の上流側においても旋回流が生じる。送風ファン111の上流側に生じる旋回流は、軸方向ADにおいて送風ファン111に向けて進む。この旋回流は、送風ファン111に吸い込まれる空気により生じる。送風ファン111は、EDS50を冷却するための冷却風を負圧で吸い込むことになる。本実施形態では、EDS50にとって送風ファン111側が下流側になる。
インバータハウジング90においては、インバータフィン92として、順傾斜フィン921が外周面90aに設けられている。順傾斜フィン921は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜している。順傾斜フィン921は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜した方向に真っすぐに延びている。順傾斜フィン921においては、フィン上流端92aから下流側に向けて延びた上流部位を含む全ての部位が、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜している。なお、複数のインバータフィン92には、逆傾斜フィンが含まれていてもよい。逆傾斜フィンは、モータ軸線Cmに対する傾斜向きが順傾斜フィン921とは逆になったフィンである。
順傾斜フィン921の傾斜角度は、順傾斜フィン921が送風ファン111に向けて進む旋回流に沿って延びるような角度になっている。順傾斜フィン921においては、一対の板面のうち一方が上流側を向き、他方が下流側を向いている。順傾斜フィン921において、一対の板面はいずれも平坦面になっている。順傾斜フィン921においては、フィン上流端92aとフィン下流端92bとが周方向CDにずれた位置にある。順傾斜フィン921は、送風ファン111による旋回流に沿って延びるように傾斜している。順傾斜フィン921においては、板面が旋回流に沿って延びている。順傾斜フィン921は、放熱フィン及び傾斜フィンに相当する。
図18に示すように、インバータハウジング90においては、外周面90aに露出領域AL1及び隠れ領域AL2が設定されている。隠れ領域AL2は、送風ファン111にとってフランジ95の奥側に隠れた領域である。例えば、送風ファン111にとって下流フランジ952の上流側に隠れた領域が隠れ領域AL2である。この隠れ領域AL2は、軸方向ADにおいて下流フランジ952から上流側に向けて延びている。隠れ領域AL2は、下流フランジ952と共に周方向CDに複数並べられている。
露出領域AL1は、送風ファン111にとってフランジ95の奥側に隠れずに露出した領域である。例えば、送風ファンにとって下流フランジ952の上流側に隠れずに露出した領域が露出領域AL1である。本実施形態においては、露出領域AL1が軸並び領域に相当し、隠れ領域AL2が周並び領域に相当し、下流フランジ952が阻害物に相当する。
順傾斜フィン921は、複数の露出領域AL1のそれぞれにおいて、周方向CDに複数並べられている。1つの露出領域AL1において、複数の順傾斜フィン921は大きさ及び形状が同じになっている。例えば、軸方向ADの長さ寸法と板厚寸法と外周面90aからの突出寸法とが、複数の順傾斜フィン921で同じになっている。また、モータ軸線Cmに対する傾斜角度は、複数の順傾斜フィン921で同じになっている。順傾斜フィン921の傾斜角度は、例えば5度~20度になっている。複数の順傾斜フィン921は、互いに平行に延びている。複数の順傾斜フィン921は、周方向CDにおいて等間隔で並べられている。
複数の露出領域AL1において、それぞれの順傾斜フィン921は大きさ及び形状が同じになっている。モータ軸線Cmに対する順傾斜フィン921の傾斜角度も、複数の露出領域AL1において同じになっている。複数の順傾斜フィン921の間隔も、複数の露出領域AL1において同じなっている。
図18、図19において、送風ファン111が回転した場合、内部空間124からカバー通路104に流入した空気が、外周面70a,90aに沿って流れて旋回流として送風ファン111に吸い込まれる。送風ファン111に吸い込まれる旋回流は、外周面90aにおいて順傾斜フィン921の板面に沿って進む。
図18において、インバータハウジング90については、周方向CDに隣り合う2つの隠れ領域AL2のうち、周方向CDにおいてフィン下流端92bよりもフィン上流端92aに近い方の隠れ領域AL2を「順隠れ領域AL2」と称する。空気が順傾斜フィン921に沿って流れることで、送風ファン111に吸い込まれる空気が「順隠れ領域AL2」を通りやすくなっている。例えば、露出領域AL1において「順隠れ領域AL2」に最も近い位置にある順傾斜フィン721は、「順隠れ領域AL2」から送風ファン111に空気を案内する。図18において、右側の隠れ領域AL2を「順隠れ領域AL2」とすると、中央の露出領域AL1にある順傾斜フィン921が「順隠れ領域AL2」から送風ファン111に空気を案内する。
本実施形態によれば、インバータハウジング90において、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜した順傾斜フィン921が外周面90aに設けられている。この構成では、EDS50にとっての冷却効果が高くなるように、外周面90aに沿って流れる空気を順傾斜フィン921により案内できる。このため、eVTOL10にとってEDS50が重くなりすぎないように、例えばモータフィン72及びインバータフィン92の数及び大きさが制限されていても、EDS50の冷却効果が低下することを順傾斜フィン921により抑制できる。したがって、EDS50について冷却効果の向上と軽量化とを順傾斜フィン921により両立できる。このように、eVTOL10への搭載に適したEDS50及びEDSユニット130を順傾斜フィン921により実現できる。
<第5実施形態>
第5実施形態では、モータハウジング70が誘導部を有している。第5実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第5本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図20に示すように、モータハウジング70は、ハウジング突起部76及びモータ誘導板77を有している。ハウジング突起部76は、外周面70aに設けられた突起である。ハウジング突起部76は、外周面70aから突出している。ハウジング突起部76は、ハウジング本体71から径方向外側に向けて延びている。ハウジング突起部76としては、モータハウジング70の内部構造に合わせて径方向外側に突出した部位や、モータ装置60を外部機器に電気的に接続するためのコネクタ部、などがある。例えば、図20に示すハウジング突起部76は、小型の突起である。
周方向CDにおいてハウジング突起部76の幅寸法は、モータフィン72の板厚寸法よりも大きい。ハウジング突起部76は、上流面76aを有している。上流面76aは、ハウジング突起部76の外面のうち上流側を向いた面である。上流面76aは、軸方向ADに直交する方向に延びている。ハウジング突起部76は、幅寸法が大きいこと及び上流面76aが軸方向ADに直交していることなどにより、軸方向ADに流れる空気にとって障害物になりやすい。ハウジング突起部76は、軸方向ADに空気が流れることを阻害しやすく、阻害物に相当する。
ハウジング突起部76は、周方向CDにおいてフランジ75に並べられている。ハウジング突起部76は、周方向CDに隣り合う2つの上流フランジ751の間にある。ハウジング突起部76は、軸方向ADにおいて外周下流端70a2よりも外周上流端70a1に近い位置にある。ハウジング突起部76は、外周上流端70a1から外周下流端70a2側に離間した位置にある。
複数の隠れ領域AL2には、送風ファン111にとってハウジング突起部76の奥側に隠れた隠れ領域AL2が含まれている。この隠れ領域AL2は、軸方向ADにおいてハウジング突起部76から下流側に向けて延びている。
モータ誘導板77は、外周面70aに設けられている。モータ誘導板77は、外周面70aから突出している。モータ誘導板77は、ハウジング本体71に一体的に設けられている。モータ誘導板77は、全体として板状に形成されている。モータ誘導板77は、軸方向ADにおいて上流側に向けて膨らむように曲がっている。例えば、モータ誘導板77は、中央部分が上流側に向けて膨らむように湾曲している。モータ誘導板77は、周方向CDに複数並べられている。モータ誘導板77は、送風ファン111からの空気をモータフィン72に向けて流れるように周方向CDに案内する。モータ誘導板77が誘導部及びハウジング誘導部に相当する。
図22に示すように、径方向RDにおいて、外周面70aからのモータ誘導板77の突出寸法は、外周面70aからのフランジ75の突出寸法よりも大きくなっている。モータ誘導板77とモータフィン72とでは、外周面70aからの突出寸法がほぼ同じになっている。フィンカバー100においては、内周面100bにモータ誘導板77が接触している。例えば、内周面100bには、モータ誘導板77の先端面が重なっている。フィンカバー100においては、弾性変形による復元力で、内周面100bがモータ誘導板77に押し付けられた状態になっている。なお、図22においては、図示の便宜上、内周面100bとモータ誘導板77との間に隙間を図示しているが、実際にはこの隙間は生じにくくなっている。
図20、図21、図23に示すように、モータ誘導板77は、誘導頂部77a、誘導端部77b、誘導外面77c、誘導内面77dを有している。モータ誘導板77は、一対の板面を有しており、これら板面がいずれも軸方向ADにおいて上流側に向けて膨らむように凸状に曲がっている。モータ誘導板77においては、一対の板面のうち外側の板面が誘導外面77cであり、内側の板面が誘導内面77dである。誘導外面77cは、軸方向ADにおいて上流側を向いている。誘導外面77cは、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜している。誘導内面77dは、軸方向ADにおいて下流側を向いている。誘導外面77cが誘導面に相当する。
誘導頂部77aは、誘導外面77cにおいて最も上流側にある部位である。誘導端部77bは、誘導外面77cの下流端部であり、誘導外面77cに一対含まれている。一対の誘導端部77bは、誘導頂部77aを介して周方向CDに並べられている。誘導端部77bは、軸方向ADにおいて誘導頂部77aから下流側に離間した位置にある。誘導端部77bは、モータ誘導板77の下流端部に含まれている。モータ軸線Cmに対する誘導外面77cの傾斜角度は、誘導頂部77aから誘導端部77bに向けて徐々に小さくなっている。
モータ誘導板77として、露出誘導板771及び高熱誘導板772が外周面70aに設けられている。図20、図21に示す露出誘導板771は、軸方向ADにおいて隠れ領域AL2に向けて流れる空気を、露出領域AL1に向けて流れるように周方向CDに誘導する。露出誘導板771は、隠れ領域AL2の上流側に設けられており、露出領域AL1に向けて外周面70aに沿って延びている。露出誘導板771は、隠れ領域AL2から周方向CDにはみ出た状態になっている。露出誘導板771は、周方向CDにおいて隠れ領域AL2を介して隣り合う2つの露出領域AL1にかけ渡された状態になっている。
露出誘導板771は、隠れ領域AL2に対して軸方向ADに重複する位置にある。露出誘導板771は、隠れ領域AL2に設けられていることで、軸方向ADにおいて隠れ領域AL2に並んだ状態になっている。露出誘導板771においては、誘導頂部77aが隠れ領域AL2に対して軸方向ADに重複する位置にある。一方で、誘導端部77bは、隠れ領域AL2に対して軸方向ADに重複する位置ではなく、隠れ領域AL2から周方向CDに離間した位置にある。
露出誘導板771は、2つの露出領域AL1のそれぞれのモータフィン72にかけ渡された状態になっている。露出誘導板771がかけ渡された2つのモータフィン72は、周方向CDにおいて隠れ領域AL2を介して隣り合っている。露出誘導板771においては、誘導外面77cが2つのモータフィン72にかけ渡された状態になっている。露出誘導板771が有する一対の端部は、2つのモータフィン72のそれぞれに接近した位置にあり、モータフィン72に接続されていない。
露出誘導板771は、周方向CDにおいて隠れ領域AL2を介して隣り合う2つのモータフィン72から、軸方向AD及び周方向CDのいずれにおいても離間している。軸方向ADにおいては、誘導端部77bがフィン上流端72aから上流側に離間した位置にある。周方向CDにおいては、誘導端部77bがフィン上流端72aからハウジング突起部76側に離間した位置にある。
露出誘導板771は、ハウジング突起部76の上流側に設けられている。露出誘導板771は、軸方向ADにおいてハウジング突起部76に並ぶ位置にある。露出誘導板771は、ハウジング突起部76を上流側から覆った状態になっている。露出誘導板771においては、誘導内面77dがハウジング突起部76側を向いている。誘導内面77dは、ハウジング突起部76から上流側に離間している。露出誘導板771の内側には、ハウジング突起部76の少なくとも一部が入り込んだ状態になっている。周方向CDにおいては、露出誘導板771の幅寸法がハウジング突起部76の幅寸法よりも大きくなっている。
露出誘導板771は、外周上流端70a1から下流側に向けて延びている。なお、露出誘導板771は、外周上流端70a1から下流側に離間した位置に設けられていてもよい。また、露出誘導板771は、外周上流端70a1から上流側に突出した位置に設けられていてもよい。また、露出領域AL1が第1領域に相当し、隠れ領域AL2が第2領域に相当する。
図20、図23に示す高熱誘導板772は、軸方向ADにおいて低熱領域AE2に向けて流れる空気を、高熱領域AE1に向けて流れるように周方向CDに誘導する。高熱誘導板772は、低熱領域AE2の上流側に設けられており、露出領域AL1に向けて外周面70aに沿って延びている。高熱誘導板772は、周方向CDにおいて低熱領域AE2を介して隣り合う2つの高熱領域AE1から低熱領域AE2側に離間した位置にある。
高熱誘導板772は、高熱領域AE1に対して軸方向ADに重複する位置にある。高熱誘導板772は、高熱領域AE1よりも上流側の位置であって、軸方向ADにおいて高熱領域AE1に並んだ位置にある。高熱誘導板772においては、誘導頂部77a及び誘導端部77bがいずれも、軸方向ADにおいて高熱領域AE1に並んだ位置にある。なお、高熱誘導板772は、周方向CDにおいて低熱領域AE2から高熱領域AE1側にはみ出るように延びていてもよい。
高熱誘導板772は、下流フランジ752の上流側に設けられている。高熱誘導板772は、軸方向ADにおいて下流フランジ752に並ぶ位置にある。高熱誘導板772は、下流フランジ752を上流側から覆った状態になっている。高熱誘導板772においては、誘導内面77dが下流フランジ752側を向いている。誘導内面77dは、下流フランジ752から上流側に離間している。高熱誘導板772の内側には、下流フランジ752の少なくとも一部が入り込んだ状態になっている。周方向CDにおいては、高熱誘導板772の幅寸法が下流フランジ752の幅寸法よりも大きくなっている。
高熱誘導板772は、外周下流端70a2から上流側に向けて延びている。なお、高熱誘導板772は、外周下流端70a2から上流側に離間した位置に設けられていてもよい。また、高熱誘導板772は、外周下流端70a2から下流側に突出した位置に設けられていてもよい。また、高熱領域AE1が第1領域に相当し、低熱領域AE2が第2領域に相当する。
EDS50においては、下流フランジ752と上流フランジ951とが連結されていることで、モータハウジング70とインバータハウジング90とが固定されている。下流フランジ752と上流フランジ951とは、軸方向ADに並べられており、互いに重なった状態になっている。下流フランジ752と上流フランジ951とは連結具としてのボルト52により連結されている。モータハウジング70が第1ハウジングに相当し、インバータハウジング90が第2ハウジングに相当する。下流フランジ752が第1連結部に相当し、上流フランジ951が第2連結部に相当する。下流フランジ752及び上流フランジ951は阻害物に相当する。
下流フランジ752には連結孔75bが設けられており、上流フランジ951には連結孔95bが設けられている。ボルト52は、下流側から連結孔75b,95bに挿通されている。ボルト52においては、頭部52aが上流フランジ951の下流側にあり、軸部52bが連結孔75b,95bに挿通されている。このように、頭部52aが上流フランジ951の下流側にある構成では、頭部52aの大きさや形状に関係なく、高熱誘導板772と下流フランジ752との位置関係を設定できる。
図20に示すように、送風ファン111により空気がEDS50に向けて送られた場合、露出誘導板771に到達した空気は、露出誘導板771において誘導外面77cに沿って流れる。この場合、ハウジング突起部76に向けて軸方向ADに流れてきた空気は、誘導外面77cに沿って流れることで露出領域AL1に向けて進むように周方向CDに誘導される。このように露出誘導板771により誘導された空気は、露出領域AL1において複数のモータフィン72を軸方向ADに通過しやすくなる。
例えば本実施形態とは異なり、露出誘導板771が設けられていない構成では、軸方向ADに流れてきた空気がハウジング突起部76に到達すると、その空気が上流面76aに当たることなどによりハウジング突起部76の周辺で空気の流れが乱れやすい。ハウジング突起部76の周辺で生じた流れの乱れが露出領域AL1側に広がると、露出領域AL1において複数のモータフィン72を通過する空気について圧損が増加しやすくなる。そうすると、モータフィン72を通過する風量が減少し、モータフィン72による放熱効果が低下する、ということが懸念される。
図20に示すように、モータフィン72を通過して高熱誘導板772に到達した空気は、高熱誘導板772において誘導外面77cに沿って流れる。この場合、下流フランジ752に向けて軸方向ADに流れてきた空気は、誘導外面77cに沿って流れることで高熱領域AE1に向けて進むように周方向CDに誘導される。このように、高熱誘導板772により誘導された空気は、高熱領域AE1において複数のインバータフィン92を軸方向ADに通過しやすくなる。
例えば本実施形態とは異なり、高熱誘導板772が設けられていない構成では、軸方向ADに流れてきた空気が下流フランジ752に到達すると、その空気が上流面75aに当たることなどにより下流フランジ752の周辺で空気の流れが乱れやすい。下流フランジ752の周辺で生じた流れの乱れが高熱領域AE1側に広がると、高熱領域AE1において複数のインバータフィン92を通過する空気について圧損が増加しやすくなる。そうすると、インバータフィン92を通過する風量が減少し、インバータフィン92による放熱効果が低下する、ということが懸念される。
ここまで説明した本実施形態によれば、モータハウジング70に設けられたモータ誘導板77により、空気がモータフィン72及びインバータフィン92に向けて流れるように周方向CDに誘導される。この構成では、モータフィン72及びインバータフィン92を通過する空気の量がモータ誘導板77により増加しやすくなるため、モータフィン72及びインバータフィン92による冷却効果を高めることができる。このため、eVTOL10にとってEDS50が重くなりすぎないように、例えばモータフィン72及びインバータフィン92の数及び大きさが制限されていても、EDS50の冷却効果が低下することをモータ誘導板77により抑制できる。したがって、EDS50について冷却効果の向上と軽量化とをモータ誘導板77により両立できる。このように、eVTOL10への搭載に適したEDS50及びEDSユニット130をモータ誘導板77により実現できる。
本実施形態によれば、モータ誘導板77が有する誘導外面77cは、軸方向ADにおいて上流側に向けて膨らむように曲がり、モータフィン72及びインバータフィン92に向けて周方向CDに延びている。このため、送風ファン111から送られてモータ誘導板77に到達した空気を、誘導外面77cによりモータフィン72及びインバータフィン92に誘導する構成と実現できる。
本実施形態によれば、露出誘導板771は、周方向CDに隣り合う2つのモータフィン72にかけ渡された状態になっている。この構成では、2つのモータフィン72の離間部分に向けて流れてきた空気が、露出誘導板771により2つのモータフィン72のうち一方に向けて誘導される。このため、モータフィン72が存在しない離間部分に到達する空気の量を減少させること、及びモータフィン72を通過する空気の量を増加させること、の両方を実現できる。例えば、モータハウジング70において、ハウジング突起部76に到達する空気の量を減少させること、及び露出領域AL1においてモータフィン72を通過する空気の量を増加させること、の両方を実現できる。
本実施形態によれば、モータ誘導板77は、フランジ75等の阻害物を上流側から覆うように設けられている。この構成では、送風ファン111から送られた空気が阻害物に当たることがモータ誘導板77により抑制される。このため、阻害物の周辺において空気の流れが乱れるということが生じにくくなる。
例えば、露出誘導板771は、ハウジング突起部76を上流側から覆うように設けられている。この構成では、送風ファン111から送られた空気がハウジング突起部76に当たり、ハウジング突起部76の周辺において空気の流れが乱れる、ということを露出誘導板771により抑制できる。この場合、複数のモータフィン72を通過する空気について圧損が増加するということが生じにくくなるため、モータフィン72による冷却効果を高めることができる。
また、高熱誘導板772は、下流フランジ752を上流側から覆うように設けられている。この構成では、送風ファン111から送られた空気が下流フランジ752に当たり、下流フランジ752の周辺において空気の流れが乱れる、ということを高熱誘導板772により抑制できる。この場合、複数のインバータフィン92を通過する空気について圧損が増加するということが生じにくくなるため、インバータフィン92による冷却効果を高めることができる。
本実施形態によれば、高熱誘導板772は、モータハウジング70とインバータハウジング90との連結部分である下流フランジ752及び上流フランジ951を上流側から覆うように設けられている。この構成では、モータハウジング70とインバータハウジング90との連結部分周辺において空気の流れが乱れる、ということを高熱誘導板772により抑制できる。
本実施形態によれば、モータ誘導板77は、低熱領域AE2等の第2領域に軸方向ADに重複する位置に設けられ、空気を高熱領域AE1等の第1領域に向けて流れるように周方向CDに誘導する。この構成では、モータ誘導板77により第1領域での風量が増加しやすくなるため、第1領域においてモータフィン72等の放熱フィンによる冷却効果を高めることができる。
例えば、露出誘導板771は、隠れ領域AL2に軸方向ADに重複する位置に設けられ、空気を隠れ領域AL2から露出領域AL1に向けて流れるように周方向CDに誘導する。この構成では、隠れ領域AL2に向かって流れる空気が露出誘導板771により露出領域AL1に誘導されるため、露出領域AL1での風量が増加しやすくなる。このため、露出領域AL1においてモータフィン72による冷却効果を高めることができる。
本実施形態によれば、高熱誘導板772は、低熱領域AE2に軸方向ADに重複する位置に設けられ、空気を低熱領域AE2から高熱領域AE1に向けて流れるように周方向CDに誘導する。この構成では、低熱領域AE2に向かって流れる空気が高熱誘導板772により高熱領域AE1に誘導されるため、高熱領域AE1での風量が増加しやすくなる。このため、高熱領域AE1及び低熱領域AE2のうちスイッチモジュール83に近い領域である高熱領域AE1について、風量が不足して冷却効果が低下するということを高熱誘導板772により抑制できる。したがって、インバータハウジング90において、高熱領域AE1など一部の温度が過剰に上昇するということを高熱誘導板772により抑制できる。
本実施形態によれば、第1領域としての高熱領域AE1にはインバータフィン92が設けられている一方で、第2領域としての低熱領域AE2にはインバータフィン92が設けられていない。この構成では、高熱誘導板772により、インバータフィン92がない低熱領域AE2に向けて流れる空気が、インバータフィン92がある高熱領域AE1に誘導される。このため、インバータフィン92があることで冷却効果が比較的高くなっている高熱領域AE1に、送風ファン111から送られる空気を集中させることができる。したがって、低熱領域AE2にインバータフィン92を設けないことでEDS50の軽量化を実現しつつ、インバータハウジング90での冷却効果が低下することを高熱誘導板772により抑制できる。
本実施形態によれば、モータ誘導板77は、モータハウジング70に含まれ且つ外周面70aに設けられている。この構成では、モータフィン72と同様に、モータ誘導板77が放熱効果を発揮することができる。このように、モータ誘導板77が空気の誘導機能に加えて放熱効果を発揮することで、EDS50の冷却効果を更に高めることができる。
本実施形態によれば、EDS50がフィンカバー100を有している。このため、上記第1実施形態と同様に、モータフィン72及びインバータフィン92を通過する空気の量が減少して冷却効果が低下する、ということをフィンカバー100により抑制できる。また、仮に、カバー通路104での圧損が増加したとしても、モータ誘導板77により圧損の増加が抑制されているため、圧損が過剰に増加するということが生じにくくなっている。
<変形例5-1>
誘導板は放熱フィンに接続されていてもよい。変形例5-1では、例えば上記第5実施形態において、モータ誘導板77がモータフィン72に接続されている。図24に示すように、露出誘導板771がモータフィン72に接続されている。露出誘導板771は、周方向CDにおいて隠れ領域AL2を介して隣り合う2つのモータフィン72のそれぞれに接続されている。露出誘導板771は、誘導外面77cがかけ渡された2つのモータフィン72を接続している。
露出誘導板771においては、誘導端部77bがフィン上流端72aに接続されている。露出誘導板771においては、誘導外面77c及び誘導内面77dがフィン上流端72aから上流側に向けて延びている。誘導外面77c及び誘導内面77dの少なくとも一方が、モータフィン72の板面に連続的に接続されている。例えば、誘導外面77cがモータフィン72の板面に連続的に接続された構成では、誘導外面77cに沿って流れてきた空気が、モータフィン72の板面に沿って連続的に流れることになる。
本変形例によれば、露出誘導板771が2つのモータフィン72を接続している。この構成では、露出誘導板771が2つのモータフィン72に支持された状態になっている。このため、露出誘導板771の強度をモータフィン72により補うことができる。したがって、EDS50の軽量化を図るために露出誘導板771を薄型化しても、薄型化によって露出誘導板771の強度が不足するということをモータフィン72により抑制できる。
なお、誘導端部77bは、モータフィン72においてフィン上流端72aから下流側に離間した部位に接続されていてもよい。また、露出誘導板771においては、誘導端部77bから誘導頂部77a側に離間した部位がモータフィン72に接続されていてもよい。さらに、露出誘導板771は、2つのモータフィン72のうち一方だけに接続されていてもよい。
<変形例5-2>
誘導板は連結部としての機能を有していてもよい。変形例5-2では、例えば上記第5実施形態において、高熱誘導板772が上流フランジ951に連結されている。図25に示すように、高熱誘導板772は、連結孔77e及び厚肉部77fを有している。厚肉部77fは、高熱誘導板772において誘導内面77dの中央部位が下流側に向けて膨出した部位であり、他の部位に比べて厚肉になっている。連結孔77eは、厚肉部77fを軸方向ADに貫通している。高熱誘導板772と上流フランジ951とは、連結孔77e,95bに挿通されたボルト52により連結されている。
本変形例では、ボルト52が上流側から連結孔77e,95bに挿通されている。ボルト52においては、頭部52aが高熱誘導板772の上流側にある。誘導外面77cは、頭部52aの下流側から更に下流側に向けて延びている。周方向CDにおいては、誘導外面77cの幅寸法が頭部52aの幅寸法よりも大きくなっている。このため、誘導外面77cの上流側に頭部52aがあっても、送風ファン111から送られてきた空気が誘導外面77cに到達しやすい。このため、誘導外面77cによる空気を誘導する機能を発揮させることができる。なお、頭部52aは、フランジ95の下流側にあってもよい。
<変形例5-3>
インバータハウジング90が誘導部を有していてもよい。変形例5-3では、例えば上記第5実施形態において、インバータハウジング90がインバータ誘導板97を有している。図26に示すように、インバータ誘導板97は、外周面90aに設けられている。インバータ誘導板97は、外周面90aから突出している。インバータ誘導板97は、ハウジング本体91に一体的に設けられている。インバータ誘導板97は、全体として板状に形成されている。インバータ誘導板97は、軸方向ADにおいて上流側に向けて膨らむように曲がっている。例えば、インバータ誘導板97は、中央部分が上流側に向けて膨らむように湾曲している。インバータ誘導板97が誘導部及びハウジング誘導部に相当する。
径方向RDにおいて、外周面90aからのインバータ誘導板97の突出寸法は、外周面90aからのフランジ95の突出寸法よりも大きくなっている。インバータ誘導板97とインバータフィン92とでは、外周面90aからの突出寸法がほぼ同じになっている。フィンカバー100においては、内周面100bにインバータ誘導板97が接触している。例えば、内周面100bには、インバータ誘導板97の先端面が重なっている。フィンカバー100においては、弾性変形による復元力で、内周面100bがインバータ誘導板97に押し付けられた状態になっている。
インバータ誘導板97は、誘導頂部97a、誘導端部97b、誘導外面97c、誘導内面97dを有している。インバータ誘導板97は、一対の板面を有しており、これら板面がいずれも軸方向ADにおいて上流側に向けて膨らむように曲がっている。インバータ誘導板97においては、一対の板面のうち外側の板面が誘導外面97cであり、内側の板面が誘導内面97dである。誘導外面97cは、軸方向ADにおいて上流側を向いている。誘導外面97cは、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜している。誘導内面97dは、軸方向ADにおいて下流側を向いている。誘導外面97cが誘導面に相当する。
誘導頂部97aは、誘導外面97cにおいて最も上流側にある部位である。誘導端部97bは、誘導外面97cの下流端部であり、誘導外面97cに一対含まれている。一対の誘導端部97bは、誘導頂部97aを介して周方向CDに並べられている。誘導端部97bは、軸方向ADにおいて誘導頂部97aから下流側に離間した位置にある。誘導端部97bは、インバータ誘導板97の下流端部に含まれている。誘導頂部97aよりも下流側にある下流端部である。モータ軸線Cmに対する誘導外面97cの傾斜角度は、誘導頂部97aから誘導端部97bに向けて徐々に小さくなっている。
インバータ誘導板97は、軸方向ADにおいて低熱領域AE2に向けて流れる空気を、高熱領域AE1に向けて流れるように周方向CDに誘導する。インバータ誘導板97は、低熱領域AE2に設けられており、高熱領域AE1に向けて外周面70aに沿って延びている。インバータ誘導板97は、軸方向ADにおいて上流フランジ951から下流側に離間した位置にある。周方向CDにおいては、誘導外面97cの幅寸法が上流フランジ951よりも大きくなっている。インバータ誘導板97は、低熱領域AE2において、周方向CDに隣り合う2つのインバータフィン92のいずれからも周方向CDに離間した位置にある。インバータ誘導板97は、軸方向ADにおいてフィン上流端92a寄りの位置にある。インバータ誘導板97は、インバータフィン92に対してフィン上流端92aを軸方向ADに跨ぐ位置にある。
なお、インバータ誘導板97は、上記変形例5-1にてモータ誘導板77が2つのモータフィン72に接続されていたのと同様に、2つのインバータフィン92に接続されていてもよい。
モータフィン72を通過して低熱領域AE2に流れ込んでインバータ誘導板97に到達した空気は、インバータ誘導板97において誘導外面97cに沿って流れる。この場合、誘導外面97cに沿って流れた空気は、低熱領域AE2から高熱領域AE1に向けて進むように周方向CDに誘導される。このように、インバータ誘導板97により誘導された空気は、高熱領域AE1に流れ込んでインバータフィン92を軸方向ADに通過しやすくなる。このため、高熱領域AE1での風量が増加して、インバータフィン92による冷却効果を高めることができる。
例えば本実施形態とは異なり、インバータ誘導板97が低熱領域AE2に設けられていない構成では、低熱領域AE2に流れ込んできた空気が高熱領域AE1に誘導されることなく、インバータハウジング90の下流側に放出されてしまう。このため、高熱領域AE1での風量が増加しにくくなり、インバータフィン92による冷却効果が発揮されにくくなることが懸念される。
<変形例5-4>
誘導部を補助する補助誘導部がフィンカバー100に設けられていてもよい。変形例5-4では、例えば上記第5実施形態において、補助誘導部が誘導部と放熱フィンとにかけ渡された状態になっている。図27に示すように、フィンカバー100は、カバー本体101及び補助誘導板108を有している。本変形例のカバー本体101は、上記第2実施形態と同様の構成になっている。
補助誘導板108は、フィンカバー100において内周面100bに設けられている。補助誘導板108は、内周面100bから突出している。補助誘導板108は、ハウジング本体71に一体的に設けられている。補助誘導板108は、全体として板状に形成されている。補助誘導板108は、全体として軸方向ADに延びている。例えば、補助誘導板108は、周方向CDに複数並べられている。
径方向RDにおいて、内周面100bからの補助誘導板108の突出寸法は、外周面70aからのモータフィン72の突出寸法とほぼ同じになっている。モータハウジング70においては、外周面70aに補助誘導板108が接触している。例えば、補助誘導板108の先端面が外周面70aに重なっている。例えば、フィンカバー100においては、弾性変形による復元力で、補助誘導板108の先端面が外周面70aに押し付けられた状態になっている。
補助誘導板108は、補助上流端108a及び補助下流端108bを有している。補助誘導板108においては、軸方向ADに並ぶ両端のうち、上流側の端部が補助上流端108aであり、下流側の端部が補助下流端108bである。
補助誘導板108は、露出誘導板771とモータフィン72とにかけ渡された状態になっている。補助誘導板108は、露出誘導板771が有する一対の誘導端部77bのそれぞれに対して設けられている。補助誘導板108は、軸方向ADにおいて上流側から露出誘導板771とモータフィン72との隙間を塞いだ状態になっている。補助誘導板108においては、補助上流端108a側の部位が露出誘導板771に接触しており、補助下流端108b側の部位がモータフィン72に接触している。補助誘導板108においては、一方の板面においてカバー誘導板107側の部位が誘導外面77cに重ねられ、補助下流端108bがフィン上流端72aに重ねられている。
補助誘導板108は、軸方向AD及び周方向CDの少なくとも一方に延びている。露出誘導板771とモータフィン72とについて、誘導端部77bとフィン上流端72aとが軸方向ADに離間した構成では、補助誘導板108は少なくとも軸方向ADに延びている。誘導端部77bとフィン上流端72aとが周方向CDに離間した構成では、補助誘導板108は少なくとも周方向CDに延びている。
EDS50を製造する製造工程において、作業者は、モータハウジング70にフィンカバー100を取り付ける場合に、フィン上流端72aを補助下流端108bに接触させる。この場合、作業者は、フィン上流端72aが補助下流端108bに接触するまで、フィンカバー100をモータハウジング70に対して軸方向ADに移動させる。このように、フィン上流端72aと補助下流端108bとを接触させることで、軸方向ADにおいてモータハウジング70に対するフィンカバー100の相対位置を決めることができる。
図27において、送風ファン111により露出誘導板771に到達し、誘導外面107cに沿って流れて補助誘導板108に到達した空気は、補助誘導板108によりモータフィン72に向けて軸方向ADに誘導される。このため、露出誘導板771と2つのモータフィン72との間に隙間が形成されていても、この隙間を空気が軸方向ADに通過するということが補助誘導板108により規制される。
<変形例5-5>
誘導板は、放熱フィンと障害物とにかけ渡されていてもよい。変形例5-5では、例えば上記第5実施形態において、架橋誘導板773がインバータフィン92とハウジング突起部96とにかけ渡されている。図36に示すように、架橋誘導板773は、モータ誘導板77として外周面70aに設けられている。架橋誘導板773は、ハウジング突起部96と共に、軸方向ADにおいてモータフィン72の下流側に設けられている。ハウジング突起部96は、下流フランジ75等と同様に、軸方向ADに流れる空気にとって障害物になりやすい。
架橋誘導板773は、複数のインバータフィン92のうちハウジング突起部96の隣にあるインバータフィン92とハウジング突起部96とにかけ渡されている。架橋誘導板773は、インバータフィン92とハウジング突起部96とにかけ渡された状態になっていれば、インバータフィン92及びハウジング突起部96のそれぞれに接触していても接触していなくてもよい。
例えば、架橋誘導板773では、第1誘導端部77b1がフィン上流端92aに接近した位置にあり、第2誘導端部77b2が突起上流端96aに接近した位置にあればよい。この場合、第1誘導端部77b1とフィン上流端92aとの距離と、第2誘導端部77b2と突起上流端96aとの距離とは、ほぼ同じになっている。誘導板77では、一対の誘導端部77bのうち一方の誘導端部77bが第1誘導端部77b1であり、他方の誘導端部77bが第2誘導端部77b2である。突起上流端96aは、ハウジング突起部96の上流端である。突起上流端96aは、外周面90aから径方向外側に向けて延びており、軸方向ADにおいてモータハウジング70側を向いている。
架橋誘導板773では、第1誘導端部77b1と第2誘導端部77b2とが軸方向ADにずれた位置にある。例えば、第1誘導端部77b1は、第2誘導端部77b2から軸方向ADの下流側に離れた位置にある。架橋誘導板773では、フィン上流端92aと突起上流端96aとが軸方向ADにずれた位置にあることなどに起因して、第1誘導端部77b1と第2誘導端部77b2とが軸方向ADにずれた位置にある。
第1誘導端部77b1と第2誘導端部77b2とが軸方向ADにずれた位置にあることなどに起因して、架橋誘導板773は、頂部線Caを対象軸として線対称の形状になっていない。頂部線Caは、架橋誘導板773の誘導頂部77aを通って軸方向ADに延びた直線状の仮想線である。架橋誘導板773では、頂部線Caと第1誘導端部77b1とをつなぐ部位が、頂部線Caと第2誘導端部77b2とをつなぐ部位よりも長くなっている。
なお、架橋誘導板773は、インバータフィン92とハウジング突起部96との位置関係に応じた形状になっている。このため、インバータフィン92とハウジング突起部96との位置関係によっては、架橋誘導板773が頂部線Caを対象軸として線対称の形状になっていてもよい。
本変形例では、架橋誘導板773が下流フランジ75等の阻害物を上流側から覆うように設けられている。なお、架橋誘導板773は、阻害物を上流側から覆っていなくてもよい。例えば、架橋誘導板773は、下流フランジ752及び上流フランジ951から周方向CDに離れた位置に設けられていてもよい。また、架橋誘導板773は、下流フランジ752及び上流フランジ951よりも軸方向ADの下流側に設けられていてもよい。
<変形例5-6>
誘導板は、放熱フィンと下流阻害部とにかけ渡された状態にならないように、下流阻害部に対して設けられていてもよい。変形例5-6では、例えば上記第5実施形態において、離間誘導板774が、インバータフィン92とハウジング突起部96とにかけ渡された状態にならないように、ハウジング突起部96に対して設けられている。図37に示すように、離間誘導板774は、モータ誘導板77として外周面70aに設けられている。
離間誘導板774は、ハウジング突起部96と共に、軸方向ADにおいてモータフィン72の下流側に設けられている。ハウジング突起部96は、インバータフィン92よりも軸方向ADの下流側にある。ハウジング突起部96は、軸方向ADに空気が流れることを阻害しやすい。ハウジング突起部96は下流阻害部に相当する。離間誘導板774は離間誘導部に相当する。
離間誘導板774は、インバータフィン92とハウジング突起部96との間の領域を周方向CDに跨ぐような位置に設けられている。離間誘導板774が跨いだ領域は、複数のインバータフィン92のうちハウジング突起部96の隣にあるインバータフィン92とハウジング突起部96との間の領域である。離間誘導板774では、周方向CDにおいて第1誘導端部77b1がインバータフィン92側にあり、第2誘導端部77b2がハウジング突起部96側にある。
離間誘導板774は、全体として、ハウジング突起部96からモータフィン72側に離れた位置に設けられている。離間誘導板774の少なくとも一部がハウジング突起部96よりも軸方向ADの上流側に設けられている。離間誘導板774では、少なくとも誘導頂部77a及び第2誘導端部77b2がハウジング突起部96からモータフィン72側に離れた位置にある。離間誘導板774では、第1誘導端部77b1が突起上流端96aよりも下流側にある。
離間誘導板774は、全体として、インバータフィン92から上流側に向けて延びている。離間誘導板774は、インバータフィン92に接触していても接触していなくてもよい。例えば、離間誘導板774では、第1誘導端部77b1がフィン上流端92aに接近した位置にある。離間誘導板774は、ハウジング突起部96よりもインバータフィン92に近い位置にある。例えば、第1誘導端部77b1とフィン上流端92aとの距離が、第2誘導端部77b2と突起上流端96aとの距離より小さい。なお、離間誘導板774は、空気をインバータフィン92に誘導できるのであれば、インバータフィン92からある程度離れた位置にあってもよい。
EDSユニット130では、空気が離間誘導板774とハウジング突起部96との間を流れやすくなっている。例えば、モータフィン72を軸方向ADに通過した空気は、離間誘導板774とハウジング突起部96との間を通って突起上流端96aよりも下流側に流れていく。離間誘導板774とハウジング突起部96との距離は、上流から流れてくる空気が流れやすいほどに大きくなっている。例えば、第2誘導端部77b2と突起上流端96aとの距離は、離間誘導板774での誘導頂部77aと第2誘導端部77b2との距離よりも大きくなっている。また、第2誘導端部77b2と突起上流端96aとの距離は、離間誘導板774が覆っている上流フランジ951とハウジング突起部96との距離よりも大きくなっている。
離間誘導板774では、上記変形例5-5の架橋誘導板773と同様に、第1誘導端部77b1と第2誘導端部77b2とが軸方向ADにずれた位置にある。例えば、軸方向ADにおける第1誘導端部77b1と第2誘導端部77b2との距離は、離間誘導板774の方が架橋誘導板773よりも大きい。また、離間誘導板774は、架橋誘導板773と同様に、頂部線Caを対象軸として線対称の形状になっていない。なお、空気が離間誘導板774とハウジング突起部96との間を流れやすくなっていれば、離間誘導板774が頂部線Caを対象軸として線対称の形状になっていてもよい。
本変形例によれば、離間誘導板774は、インバータフィン92とハウジング突起部96との間の領域を周方向CDに跨ぐように設けられている。このため、離間誘導板774は、モータフィン72の下流側において空気をハウジング突起部96から周方向CDに離れるように誘導する。したがって、モータフィン72を通過した空気がインバータフィン92に沿って流れやすい構成を離間誘導板774により実現できる。
また、離間誘導板774は、ハウジング突起部96からモータフィン72側に離れた位置に設けられている。この構成では、ハウジング突起部96の上流側において、ハウジング突起部96と離間誘導板774との間を冷却風としての空気が流れやすくなっている。このため、モータフィン72を通過した冷却風がハウジング突起部96に向かって軸方向ADに流れたとしても、この冷却風は、突起上流端96aを避けるように周方向CDに回り込みやすい。したがって、ハウジング突起部96の上流側に空気や熱が溜まるということが生じにくい。すなわち、ハウジング突起部96の上流側に空気や熱が溜まることを離間誘導板774とハウジング突起部96との位置関係により抑制できる。
なお、例えば上記変形例5-5では、架橋誘導板773がインバータフィン92とハウジング突起部96とにかけ渡されている。このため、モータフィン72を通過してハウジング突起部96に到達した冷却風は、突起上流端96aを避けるように周方向CDに回り込もうとしても架橋誘導板773に当たりやすい。架橋誘導板773に当たった冷却風は、突起上流端96aを周方向CDに回避することができず、熱と共にハウジング突起部96の上流側に溜まってしまう。冷却風がハウジング突起部96の上流側に溜まるということは、ハウジング突起部96の上流側にあるモータフィン72の周辺でも冷却風が流れないことになる。このため、ハウジング突起部96の上流側では、モータフィン72の周辺に空気や熱が溜まって、モータフィン72の冷却効果が低下する、ということが懸念される。
これに対して、本変形例では、上述したように、離間誘導板774とハウジング突起部96との間を冷却風が通りやすいため、ハウジング突起部96の上流側でモータフィン72の周辺に空気や熱が溜まるということが生じにくい。このため、モータフィン72の冷却効果が低下することを離間誘導板774とハウジング突起部96との位置関係により抑制できる。
<第6実施形態>
第6実施形態では、フィンカバー100が誘導部を有している。第6実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第5実施形態と同様である。第6本実施形態では、上記第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
図28、図29、図30に示すように、フィンカバー100は、カバー本体101及びカバー誘導板107を有している。本実施形態のカバー本体101は、上記第2実施形態と同様の構成になっている。
カバー誘導板107は、フィンカバー100において内周面100bに設けられている。カバー誘導板107は、内周面100bから突出している。カバー誘導板107は、カバー本体101に一体的に設けられている。カバー誘導板107は、全体として板状に形成されている。カバー誘導板107は、軸方向ADにおいて上流側に向けて膨らむように曲がっている。例えば、カバー誘導板107は、中央部分が上流側に向けて膨らむように湾曲している。カバー誘導板107は、周方向CDに複数並べられている。カバー誘導板107が誘導部及びカバー誘導部に相当する。
図30に示すように、径方向RDにおいて、内周面100bからのカバー誘導板107の突出寸法は、外周面70aからのモータフィン72の突出寸法とほぼ同じになっている。モータハウジング70においては、外周面70aにカバー誘導板107が接触している。例えば、カバー誘導板107の先端面が外周面70aに重なっている。例えば、フィンカバー100においては、弾性変形による復元力で、カバー誘導板107の先端面が外周面70aに押し付けられた状態になっている。なお、図30においては、図示の便宜上、外周面70aとカバー誘導板107との間に隙間を図示しているが、実際にはこの隙間が生じにくくなっている。
図28、図29に示すように、カバー誘導板107は、誘導頂部107a、誘導端部107b、誘導外面107c、誘導内面107dを有している。カバー誘導板107は、一対の板面を有しており、これら板面がいずれも軸方向ADにおいて上流側に向けて膨らむように曲がっている。カバー誘導板107においては、一対の板面のうち外側の板面が誘導外面107cであり、内側の板面が誘導内面107dである。誘導外面107cは、軸方向ADにおいて上流側を向いている。誘導外面107cは、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜している。誘導内面107dは、軸方向ADにおいて下流側を向いている。カバー誘導板107は、送風ファン111からの空気をモータフィン72等の誘導部に向けて流れるように周方向CDに案内する。誘導外面107cが誘導面に相当する。
誘導頂部107aは、誘導外面107cにおいて最も上流側にある部位である。誘導端部107bは、誘導外面107cの下流端部であり、誘導外面107cに一対含まれている。一対の誘導端部107bは、誘導頂部107aを介して周方向CDに並べられている。誘導端部107bは、カバー誘導板107の下流端部に含まれている。モータ軸線Cmに対する誘導外面107cの傾斜角度は、誘導頂部107aから誘導端部107bに向けて徐々に小さくなっている。
カバー誘導板107は、軸方向ADにおいて隠れ領域AL2に向けて流れる空気を、露出領域AL1に向けて流れるように周方向CDに誘導する。カバー誘導板107は、隠れ領域AL2の上流側に設けられており、露出領域AL1に向けて内周面100bに沿って延びている。カバー誘導板107は、隠れ領域AL2から周方向CDにはみ出た状態になっている。カバー誘導板107は、周方向CDにおいて隠れ領域AL2を介して隣り合う2つの露出領域AL1にかけ渡された状態になっている。
カバー誘導板107は、2つの露出領域AL1のそれぞれのモータフィン72にかけ渡された状態になっている。カバー誘導板107がかけ渡された2つのモータフィン72は、周方向CDにおいて隠れ領域AL2を介して隣り合っている。カバー誘導板107においては、誘導外面107cが2つのモータフィン72にかけ渡された状態になっている。
カバー誘導板107は、2つのモータフィン72に接触している。例えば、互いに接触したカバー誘導板107とモータフィン72とでは、カバー誘導板107の下流端部とフィン上流端72aとが軸方向ADに重なるように互いに接触している。これらカバー誘導板107とモータフィン72とについては、カバー誘導板107がモータフィン72から上流側に向けて延びた状態になっている。例えば、誘導外面107c及び誘導内面107dの少なくとも一方が、モータフィン72の板面から連続的に延びている。例えば、誘導外面107cがモータフィン72の板面から連続的に延びた構成では、誘導外面107cに沿って流れてきた空気が、モータフィン72の板面に沿って連続的に流れることになる。
EDS50を製造する製造工程において、作業者は、モータハウジング70にフィンカバー100を取り付ける場合に、フィン上流端72aをカバー誘導板107の下流端部に接触させる。この場合、作業者は、フィン上流端72aをカバー誘導板107の下流端部に接触するまで、フィンカバー100をモータハウジング70に対して軸方向ADに移動させる。このように、フィン上流端72aとカバー誘導板107の下流端部とを接触させることで、軸方向ADにおいてモータハウジング70に対するフィンカバー100の相対位置を決めることができる。
図28に示すように、送風ファン111によりカバー誘導板107に到達した空気は、カバー誘導板107において誘導外面107cに沿って流れる。この場合、ハウジング突起部76に向けて軸方向ADに流れてきた空気は、誘導外面107cに沿って流れることで露出領域AL1に向けて進むように周方向CDに誘導される。このようにカバー誘導板107により誘導された空気は、露出領域AL1において複数のモータフィン72を軸方向ADに通過しやすくなる。
本実施形態によれば、フィンカバー100に設けられたカバー誘導板107により、空気がモータフィン72及びインバータフィン92に向けて流れるように周方向CDに誘導される。この構成では、モータフィン72及びインバータフィン92を通過する空気の量がカバー誘導板107により増加しやすくなるため、モータフィン72及びインバータフィン92による冷却効果を高めることができる。このため、eVTOL10にとってEDS50が重くなりすぎないように、例えばモータフィン72及びインバータフィン92の数及び大きさが制限されていても、EDS50の冷却効果が低下することをカバー誘導板107により抑制できる。したがって、EDS50について冷却効果の向上と軽量化とをカバー誘導板107により両立できる。このように、eVTOL10への搭載に適したEDS50及びEDSユニット130をカバー誘導板107により実現できる。
例えば、上記第5実施形態のように誘導部としてのモータ誘導板77がハウジング突起部76と共にモータハウジング70に設けられた構成では、モータハウジング70を金型成形することの困難性が高いと考えられる。これは、径方向RDに直交する方向において、上流面76aと誘導内面77dとの間の空間がハウジング突起部76及びモータ誘導板77により四方から囲まれた状態になっていることなどに起因する。これに対して、本実施形態によれば、カバー誘導板107は、フィンカバー100に含まれ且つ内周面100bに設けられている。この構成では、誘導部をモータハウジング70に設ける必要がないため、モータハウジング70の形状が過剰に複雑になることを抑制できる。このため、モータハウジング70の金型成形を容易化できる。
<第7実施形態>
第7実施形態では、シュラウド120が誘導部を有している。第7実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第5実施形態と同様である。第7本実施形態では、上記第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
図31、図32に示すように、シュラウド120は、シュラウド本体121及びシュラウド誘導板127を有している。本実施形態のシュラウド本体121は、上記第3実施形態と同様の構成になっている。
シュラウド誘導板127は、シュラウド120において内周面120bに設けられている。シュラウド誘導板127は、内周面120bから突出している。シュラウド誘導板127は、シュラウド本体121に一体的に設けられている。シュラウド誘導板127は、全体として板状に形成されている。シュラウド誘導板127は、軸方向ADにおいて上流側に向けて膨らむように曲がっている。例えば、シュラウド誘導板127は、中央部分が上流側に向けて膨らむように湾曲している。径方向RDにおいて、内周面120bからのシュラウド誘導板127の突出寸法は、外周面70aからのモータフィン72の突出寸法とほぼ同じになっている。シュラウド誘導板127は、周方向CDに複数並べられている。シュラウド誘導板127が誘導部及びシュラウド誘導部に相当する。シュラウド誘導板127は、軸方向ADにおいて上流フランジ751の上流側に設けられている。
図31に示すように、シュラウド誘導板127は、誘導頂部127a、誘導端部127b、誘導外面127c、誘導内面127dを有している。シュラウド誘導板127は、一対の板面を有しており、これら板面がいずれも軸方向ADにおいて上流側に向けて膨らむように曲がっている。シュラウド誘導板127においては、一対の板面のうち外側の板面が誘導外面127cであり、内側の板面が誘導内面127dである。誘導外面127cは、軸方向ADにおいて上流側を向いている。誘導外面127cは、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜している。誘導内面127dは、軸方向ADにおいて下流側を向いている。シュラウド誘導板127は、送風ファン111からの空気をモータフィン72等の誘導部に向けて流れるように周方向CDに案内する。誘導外面127cが誘導面に相当する。
誘導頂部127aは、誘導外面127cにおいて最も上流側にある部位である。誘導端部127bは、誘導外面127cの下流端部であり、誘導外面127cに一対含まれている。一対の誘導端部127bは、誘導頂部127aを介して周方向CDに並べられている。誘導端部127bは、シュラウド誘導板127の下流端部に含まれている。モータ軸線Cmに対する誘導外面127cの傾斜角度は、誘導頂部127aから誘導端部127bに向けて徐々に小さくなっている。
シュラウド誘導板127は、軸方向ADにおいて隠れ領域AL2に向けて流れる空気を、露出領域AL1に向けて流れるように周方向CDに誘導する。シュラウド誘導板127は、隠れ領域AL2の上流側に設けられており、露出領域AL1に向けて内周面120bに沿って延びている。シュラウド誘導板127は、隠れ領域AL2から周方向CDにはみ出た状態になっている。シュラウド誘導板127は、周方向CDにおいて隠れ領域AL2を介して隣り合う2つの露出領域AL1にかけ渡された状態になっている。
送風ファン111によりシュラウド誘導板127に到達した空気は、シュラウド誘導板127において誘導外面127cに沿って流れる。この場合、上流フランジ751に向けて軸方向ADに流れてきた空気は、誘導外面127cに沿って流れることで露出領域AL1に向けて進むように周方向CDに誘導される。このようにシュラウド誘導板127により誘導された空気は、露出領域AL1において複数のモータフィン72を軸方向ADに通過しやすくなる。
本実施形態によれば、シュラウド120に設けられたシュラウド誘導板127により、空気がモータフィン72及びインバータフィン92に向けて流れるように周方向CDに誘導される。この構成では、モータフィン72及びインバータフィン92を通過する空気の量がシュラウド誘導板127により増加しやすくなるため、モータフィン72及びインバータフィン92による冷却効果を高めることができる。このため、eVTOL10にとってEDS50が重くなりすぎないように、例えばモータフィン72及びインバータフィン92の数及び大きさが制限されていても、EDS50の冷却効果が低下することをシュラウド誘導板127により抑制できる。したがって、EDS50について冷却効果の向上と軽量化とをシュラウド誘導板127により両立できる。このように、eVTOL10への搭載に適したEDS50及びEDSユニット130をシュラウド誘導板127により実現できる。
<第8実施形態>
第8実施形態では、ハウジングが傾斜フィン及び誘導部の両方を有している。第8実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1、第5実施形態と同様である。第8本実施形態では、上記第1、第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
図33に示すように、モータハウジング70が順傾斜フィン721、露出誘導板771及び高熱誘導板772を有している。本実施形態においては、順傾斜フィン721が上記第1実施形態と同様の構成になっており、露出誘導板771及び高熱誘導板772が上記第5実施形態と同様の構成になっている。軸方向ADにおいては、露出誘導板771が順傾斜フィン721の上流側にあり、高熱誘導板772が順傾斜フィン721の下流側にある。
送風ファン111による旋回流がEDS50に向けて送られた場合、露出誘導板771に到達した空気は、誘導外面77cに沿って順傾斜フィン721に向けて流れる。この場合、旋回流がハウジング突起部76に当たって空気の流れが乱れ、複数の順傾斜フィン721を通過する空気について圧損が増加する、ということが生じにくい。しかも、露出誘導板771により順傾斜フィン721側に向けて周方向CDに誘導された空気が、順傾斜フィン721によりハウジング突起部76の下流側に向けて周方向CDに案内される。このため、ハウジング突起部76に向かっていた旋回流が、ハウジング突起部76を周方向CDに回り込むようにして、ハウジング突起部76の上流位置から露出領域AL1を通って隠れ領域AL2に到達しやすくなる。このように、ハウジング突起部76の上流側に露出誘導板771が設けられた構成でも、順傾斜フィン721により隠れ領域AL2での風量を増加させて、隠れ領域AL2での冷却効果を高めることができる。
<第9実施形態>
第9実施形態では、ハウジングカバーがカバー整流部を有している。第9実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第2、第5実施形態と同様である。第9本実施形態では、上記第2、第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
図34に示すように、モータハウジング70が露出誘導板771及び高熱誘導板772を有しており、フィンカバー100がカバーフィン102を有している。本実施形態においては、露出誘導板771及び高熱誘導板772が上記第5実施形態と同様の構成になっており、カバーフィン102が上記第2実施形態と同様の構成になっている。ただし、本実施形態のカバーフィン102は、送風ファン111による旋回流をモータ軸線Cmに平行に流れるように整流する。このカバーフィン102は、整流機能を有しており、カバー整流部に相当する。
カバーフィン102は、上記第2実施形態と同様に、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜し、且つ軸方向ADの上流側に向けて膨らむように曲がっている。カバーフィン102は、全体として湾曲している。カバーフィン102は、旋回流がカバーフィン102を通過することで平行流になるように曲がっている。例えば、カバーフィン102においては、フィン下流端102bがフィン上流端102aから周方向CDにおいて旋回流の下流側に離間した位置にある。また、カバーフィン102においては、フィン上流端102aから下流側に向けて延びる上流部位がモータ軸線Cmに対して傾斜している。一方で、フィン下流端102bから上流側に向けて延びる下流部位は、モータ軸線Cmに平行に延びている。
カバーフィン102は、上記第2実施形態と同様に、モータハウジング70が有する外周面70aに接触している。カバーフィン102は、径方向RDにおいてカバー本体101とハウジング本体71とにかけ渡された状態になっている。すなわち、カバーフィン102は、径方向RDにおいて内周面100bと外周面70aとにかけ渡された状態になっている。カバーフィン102は、カバー通路104を周方向CDに仕切った状態になっている。
カバーフィン102は、上記第2実施形態と同様に、周方向CDに複数並べられている。複数のカバーフィン102は、大きさ及び形状が同じになっている。例えば、軸方向ADの長さ寸法、周方向CDの長さ寸法、曲がり度合い、板厚寸法、内周面100bからの突出寸法が、複数のカバーフィン102で同じになっている。複数のカバーフィン102は、周方向CDにおいて等間隔で並べられている。複数のカバーフィン102は、これらカバーフィン102のそれぞれを通過した空気の流れが互いに平行になるように配置されている。
複数のカバーフィン102は、軸方向ADにおいて露出領域AL1に並ぶ位置に設けられている。複数のカバーフィン102は、露出領域AL1に沿って周方向CDに延びている。カバーフィン群103とモータフィン群73とは、軸方向ADに並べられている。
送風ファン111による旋回流がEDS50に向けて送られた場合、カバーフィン102に到達した空気は、カバーフィン102の板面に沿ってモータフィン72に向けて流れることで、モータ軸線Cmに平行に流れる平行流に整流される。このようにカバーフィン102により整流された平行流が、モータフィン72に沿って軸方向ADに流れる。特に、モータフィン72が平行フィン723である構成では、カバーフィン102により整流された平行流が平行フィン723に沿って流れやすい。このため、旋回流がカバーフィン102により平行流に整流されることで、モータフィン72に到達した平行流が乱れるということが生じにくい。このようにカバーフィン102により整流された平行流がモータフィン72を通過することで、モータフィン72を通過する空気について圧損が増加するということが生じにくくなっている。
本実施形態によれば、フィンカバー100において、内周面100bに設けられたカバーフィン102が整流機能を有している。この構成では、モータフィン72の放熱効果が高くなるように、モータフィン72に流れる空気をカバーフィン102により整流することができる。このため、eVTOL10にとってEDS50が重くなりすぎないように、例えばモータフィン72及びインバータフィン92の数及び大きさが制限されていても、EDS50の冷却効果が低下することをカバーフィン102により抑制できる。したがって、EDS50について冷却効果の向上と軽量化とをカバーフィン102により両立できる。このように、eVTOL10への搭載に適したEDS50及びEDSユニット130をカバーフィン102により実現できる。
本実施形態によれば、カバーフィン102は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜し、且つ軸方向ADの上流側に向けて膨らむように曲がっている。この構成では、カバーフィン102においてフィン上流端102aから延びた上流部位が、旋回流に交差する方向に延びるのではなく、旋回流に沿うように延びている。このため、フィン上流端102aに到達した旋回流が、カバーフィン102の板面に当たるように流れるのではなく、カバーフィン102の板面に沿って流れやすくなっている。しかも、旋回流は、カバーフィン102の板面に沿ってフィン下流端102bに向けて流れることで、カバーフィン102の曲がりに沿って徐々に進む方向が変わりやすい。したがって、カバーフィン102の整流機能を高めることができる。
本実施形態によれば、カバーフィン102は、径方向RDにおいて内周面100bと外周面70aとにかけ渡された状態になっている。この構成では、旋回流がカバーフィン102よりも径方向外側の位置を流れるということが内周面100bにより規制される。このため、カバーフィン102による整流機能が発揮されやすい構成を実現できる。
本実施形態によれば、複数のカバーフィン102は、それぞれを通過した旋回流が互いに平行になるように整流する。この構成では、周方向CDにおいて複数のカバーフィン102が設けられた領域の全体について、旋回流を平行流に整流できる。例えば、カバーフィン群103により整流された平行流がモータフィン群73に到達しやすくなる。このように平行流がモータフィン群73を通過することでモータフィン群73周辺での空気の流れが乱れにくくなるため、モータフィン群73の冷却効果をカバーフィン102により高めることができる。
<第10実施形態>
第10実施形態では、シュラウドがシュラウド整流部を有している。第10実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第3、第5実施形態と同様である。第10本実施形態では、上記第3、第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
図35に示すように、モータハウジング70が露出誘導板771及び高熱誘導板772を有しており、シュラウド120がシュラウドフィン122を有している。本実施形態においては、露出誘導板771及び高熱誘導板772が上記第5実施形態と同様の構成になっており、シュラウドフィン122が上記第3実施形態と同様の構成になっている。ただし、本実施形態のシュラウドフィン122は、送風ファン111による旋回流をモータ軸線Cmに平行に流れるように整流する。このシュラウドフィン122は、整流機能を有しており、シュラウド整流部に相当する。
シュラウドフィン122は、上記第2実施形態と同様に、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜し、且つ軸方向ADの上流側に向けて膨らむように曲がっている。シュラウドフィン122は、全体として湾曲している。シュラウドフィン122は、旋回流がシュラウドフィン122を通過することで平行流になるように曲がっている。例えば、シュラウドフィン122においては、フィン下流端122bがフィン上流端122aから周方向CDにおいて旋回流の下流側に離間した位置にある。また、シュラウドフィン122においては、フィン上流端122aから下流側に向けて延びる上流部位がモータ軸線Cmに対して傾斜している。一方で、フィン下流端122bから上流側に向けて延びる下流部位は、モータ軸線Cmに平行に延びている。
シュラウドフィン122は、上記第3実施形態と同様に、周方向CDに複数並べられている。複数のシュラウドフィン122は、大きさ及び形状が同じになっている。例えば、軸方向ADの長さ寸法、周方向CDの長さ寸法、曲がり度合い、板厚寸法、内周面100bからの突出寸法が、複数のシュラウドフィン122で同じになっている。複数のシュラウドフィン122は、周方向CDにおいて等間隔で並べられている。複数のシュラウドフィン122は、これらシュラウドフィン122のそれぞれを通過した空気の流れが互いに平行になるように配置されている。
複数のシュラウドフィン122は、軸方向ADにおいて露出領域AL1に並ぶ位置に設けられている。複数のシュラウドフィン122は、露出領域AL1に沿って周方向CDに延びている。シュラウドフィン群123とモータフィン群73とは、軸方向ADに並べられている。
送風ファン111による旋回流がEDS50に向けて送られた場合、シュラウドフィン122に到達した空気は、シュラウドフィン122の板面に沿ってモータフィン72に向けて流れることで、モータ軸線Cmに平行に流れる平行流に整流される。このようにシュラウドフィン122により整流された平行流が、モータフィン72に沿って軸方向ADに流れる。特に、モータフィン72が平行フィン723である構成では、シュラウドフィン122により整流された平行流が平行フィン723に沿って流れやすい。このため、旋回流がシュラウドフィン122により平行流に整流されることで、モータフィン72に到達した平行流が乱れるということが生じにくい。このようにシュラウドフィン122により整流された平行流がモータフィン72を通過することで、モータフィン72を通過する空気について圧損が増加するということが生じにくくなっている。
本実施形態によれば、フィンカバー100において、内周面100bに設けられたシュラウドフィン122が整流機能を有している。この構成では、モータフィン72の放熱効果が高くなるように、モータフィン72に流れる空気をシュラウドフィン122により整流することができる。このため、eVTOL10にとってEDS50が重くなりすぎないように、例えばモータフィン72及びインバータフィン92の数及び大きさが制限されていても、EDS50の冷却効果が低下することをシュラウドフィン122により抑制できる。したがって、EDS50について冷却効果の向上と軽量化とをシュラウドフィン122により両立できる。このように、eVTOL10への搭載に適したEDS50及びEDSユニット130をシュラウドフィン122により実現できる。
本実施形態によれば、シュラウドフィン122は、モータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜し、且つ軸方向ADの上流側に向けて膨らむように曲がっている。この構成では、シュラウドフィン122においてフィン上流端122aから延びた上流部位が、旋回流に交差する方向に延びるのではなく、旋回流に沿うように延びている。このため、フィン上流端122aに到達した旋回流が、シュラウドフィン122の板面に当たるように流れるのではなく、シュラウドフィン122の板面に沿って流れやすくなっている。しかも、旋回流は、シュラウドフィン122の板面に沿ってフィン下流端122bに向けて流れることで、シュラウドフィン122の曲がりに沿って徐々に進む方向が変わりやすい。したがって、シュラウドフィン122の整流機能を高めることができる。
本実施形態によれば、シュラウドフィン122は、径方向RDにおいて内周面120bと外周面70aとにかけ渡された状態になっている。この構成では、旋回流がシュラウドフィン122よりも径方向外側の位置を流れるということが内周面120bにより規制される。このため、シュラウドフィン122による整流機能が発揮されやすい構成を実現できる。
本実施形態によれば、複数のシュラウドフィン122は、それぞれを通過した旋回流が互いに平行になるように整流する。この構成では、周方向CDにおいて複数のシュラウドフィン122が設けられた領域の全体について、旋回流を平行流に整流できる。例えば、シュラウドフィン群123により整流された平行流がモータフィン群73に到達しやすくなる。このように平行流がモータフィン群73を通過することでモータフィン群73周辺での空気の流れが乱れにくくなるため、モータフィン群73の冷却効果をシュラウドフィン122により高めることができる。
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、又は組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
<構成群A>
上記各実施形態において、順傾斜フィン721等の傾斜フィンは、径線に対して周方向CDに傾斜していてもよい。例えば、上記第1実施形態において、順傾斜フィン721は、一方の板面が径方向内側を向き、且つ他方の板面が径方向外側を向くように、モータハウジング70において径線に対して周方向CDに傾斜していてもよい。この構成では、順傾斜フィン721において径方向内側を向いた板面と外周面70aとの間を旋回流が流れやすくなる。
上記各実施形態において、モータフィン72等の放熱フィンにおいては、一対の板面が互いに平行に延びていなくてもよい。例えば、上記第1実施形態では、順傾斜フィン721において、一対の板面の少なくとも一方が外側に膨らむように曲がっていてもよい。
上記各実施形態において、傾斜フィンは、軸方向ADの下流側に向けて膨らむように曲がっていてもよい。例えば、上記第1実施形態において、順傾斜フィン721は、軸方向ADの下流側に向けて膨らむように湾曲していてもよい。
上記各実施形態において、傾斜フィンの一部が回転軸線に対して周方向に傾斜していてもよい。すなわち、傾斜フィンの全体が傾斜部になっていなくてもよい。例えば、上記第1実施形態において、順傾斜フィン721が周方向CDに膨らむように折れ曲がっていてもよい。この順傾斜フィン721においては、フィン上流端72aから下流側に向けて延びた上流部位が、モータ軸線Cmに対して傾斜する方向に真っすぐに延びており、傾斜部になっている。一方、フィン下流端72bから上流側に向けて延びた下流部位が、モータ軸線Cmに平行に真っすぐに延びた平行部になっている。
上記各実施形態において、傾斜フィンは軸方向ADに複数並べられていてもよい。例えば、上記第1実施形態において、複数のモータフィン72に順傾斜フィン721が含まれ、複数のインバータフィン92に順傾斜フィン921が含まれていてもよい。これら順傾斜フィン721,921が周方向CDに並べられていてもよい。
<構成群B>
上記各実施形態において、モータ誘導板77等の誘導部は、径線に対して周方向CDに傾斜していてもよい。例えば、上記第5実施形態では、モータ誘導板77が径線に対して周方向CDに傾斜していることで、誘導外面77cのうち一方の誘導端部77bから延びた面部が径方向内側を向き、他方の誘導端部77bから延びた面部が径方向外側を向いていてもよい。
上記各実施形態において、モータ誘導部は板状でなくてもよい。例えば、上記第5実施形態において、外周面70aから径方向外側に向けて延びた円柱状の円柱部位が誘導部とされていてもよい。この構成では、円柱部位の外周面において上流側を向いた面部が、誘導外面77cとして誘導面に相当する。
上記各実施形態において、誘導部は、誘導面がモータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜していれば、どんな形状になっていてもよい。例えば、上記第5実施形態において、一対の誘導端部77bのうち一方が他方よりも上流側に配置されていてもよい。また、誘導外面77cは誘導頂部77aから周方向CDの一方側に向けて延びていてもよい。この構成では、誘導外面77cに誘導端部77bが1つだけ含まれていることになる。
上記各実施形態において、誘導部が第2領域に対して軸方向ADに重複する位置にある構成では、誘導部の少なくとも一部が軸方向ADにおいて第2領域に並ぶ位置にあればよい。例えば、上記第5実施形態において、露出誘導板771の全体が隠れ領域AL2におさまっていてもよい。この構成では、周方向CDにおいて露出誘導板771の幅寸法が隠れ領域AL2の幅寸法以下であることになる。また、露出誘導板771は、軸方向ADにおいて隠れ領域AL2よりも上流側に設けられていてもよい。この構成では、露出誘導板771が、隠れ領域AL2の全体を上流側から覆った状態になる。
例えば、上記第5実施形態において、高熱誘導板772は、露出領域AL1にはみ出さないように低熱領域AE2に設けられていてもよい。すなわち、高熱誘導板772の全体が低熱領域AE2におさまっていてもよい。また、高熱誘導板772は、低熱領域AE2から周方向CDにはみ出た状態になっていてもよい。この構成では、周方向CDにおいて高熱誘導板772の幅寸法が低熱領域AE2の幅寸法よりも大きいことになる。
上記各実施形態において、下流フランジ752等の第1連結部と上流フランジ951等の第2連結部とは、軸方向ADに並んでいるのではなく、周方向CDに並んでいてもよい。例えば、上記第5実施形態において、高熱誘導板772は、周方向CDにおいて下流フランジ752と上流フランジ951とにかけ渡された状態になっていてもよい。また、誘導部は、阻害物の少なくとも一部を上流側から覆っていればよい。
上記各実施形態において、EDSユニット130等の駆動装置ユニットには、カバー誘導板107等のカバー誘導部と、シュラウド誘導板127等のシュラウド誘導部と、の両方が設けられていてもよい。例えば、上記第6実施形態において、カバー誘導板107から周方向CDに離間した位置にシュラウド誘導板127が設けられていてもよい。
<構成群C>
上記各実施形態において、駆動装置ユニットには、カバーフィン102等のカバー整流部とシュラウドフィン122等のシュラウド整流部とが両方が設けられていてもよい。例えば、上記第9実施形態において、カバーフィン102とシュラウドフィン122とが軸方向ADに並べられていてもよい。この構成では、カバーフィン102及びシュラウドフィン122の両方により整流効果が発揮される。
上記各実施形態において、カバー整流部及びシュラウド整流部は、整流機能を有していれば、どんな形状になっていてもよい。例えば上記第9実施形態において、カバーフィン102は、旋回流を平行流に整流できるのであれば、少なくとも一部がモータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜していればよい。カバーフィン102は、旋回流を平行流に整流できるのであれば、モータ軸線Cmに対して傾斜していなくてもよい。カバーフィン102は、旋回流を平行流に整流できるのであれば、周方向CDに膨らむように曲がっていなくてもよい。
同様に、上記第10実施形態において、シュラウドフィン122は、旋回流を平行流に整流できるのであれば、少なくとも一部がモータ軸線Cmに対して周方向CDに傾斜していればよい。シュラウドフィン122は、旋回流を平行流に整流できるのであれば、モータ軸線Cmに対して傾斜していなくてもよい。シュラウドフィン122は、旋回流を平行流に整流できるのであれば、周方向CDに膨らむように曲がっていなくてもよい。
<共通>
上記各実施形態において、モータハウジング70は、インバータハウジング90の下流側に設けられていてもよい。例えば、モータハウジング70は、軸方向ADにおいてインバータハウジング90と送風ファン111との間に設けられていてもよい。EDSユニット130では、軸方向ADにおいて送風ファン111とインバータ装置80との間にモータ装置60があってもよく、送風ファン111とモータ装置60との間にインバータ装置80があってもよい。
上記各実施形態において、モータ装置60とインバータ装置80とでハウジングが共通化されていてもよい。例えば、モータ61及び駆動部81が1つのハウジングに収容されていてもよい。また、EDS50のハウジングには、モータ61及び駆動部81の両方が収容されていなくてもよい。このハウジングにおいては、モータ61及び駆動部81などの発熱体が収容されていればよい。
上記各実施形態において、発熱体は、ハウジングに収容された状態になっていれば、ハウジングに埋め込まれていればよい。例えば、インバータ装置80において、スイッチモジュール83がハウジング本体91に埋め込まれた状態になっていてもよい。この構成では、スイッチモジュール83が、インバータハウジング90において外周面90aと内周面90bとの間に設けられている。
上記各実施形態において、送風ファン111を回転させるための動力源は、EDS50でなくてもよい。例えば、EDS50とは異なる電動モータ等の動力源が送風ファン111を回転させる構成でもよい。例えば、上記第4実施形態においては、EDS50とは異なる動力源が、軸方向ADにおいて送風ファン111を介してEDS50とは反対側に設けられていてもよい。この場合でも、送風ファン111の回転軸線はモータ軸線Cmに一致していることが好ましい。
上記各実施形態において、EDS50の外周面に沿って流れる旋回流等の気流は、ロータ20及び送風ファン111の少なくとも一方により生じた空気の流れであればよい。例えば、EDS50に対して送風ファン111が設けられていなくてもよく、この構成では、ロータ20がファンに相当する。
上記各実施形態において、EDSユニット130等の駆動装置ユニットは、EDS50等の駆動装置と送風ファン111等のファンを備えるユニットであってもよい。例えば、駆動装置ユニットには、送風ファン111及びシュラウド120のうち送風ファン111だけが含まれていてもよい。また、駆動装置ユニットは、駆動装置及びファンに加えてロータ20を備えるユニットであってもよい。
上記各実施形態において、フィンカバー100は、ボルト等の固定具によりモータハウジング70等のハウジングに固定されていてもよい。フィンカバー100は、弾性変形可能でなくてもよい。フィンカバー100は、モータフィン72等の放熱フィンから径方向外側に離間した位置にあってもよい。また、シュラウド120は、フィンカバー100に固定されていてもよい。さらに、フィンカバー100とシュラウド120とが一体的に形成されていてもよい。
上記各実施形態において、カバーフィン102は放熱フィンの下流側に設けられていてもよい。例えば、上記第2実施形態において、カバーフィン102は、モータフィン72の下流側及びインバータフィン92の下流側の少なくとも一方に設けられていてもよい。
上記各実施形態において、EDS50はフィンカバー100を有していなくてもよい。すなわち、モータハウジング70等のハウジングにフィンカバー100が取り付けられていなくてもよい。また、EDSユニット130はシュラウド120を有していなくてもよい。すなわち、送風ファン111に対してシュラウド120が取り付けられていなくてもよい。
上記各実施形態において、eVTOL10は、チルトロータ機でなくてもよい。すなわち、eVTOL10においては、ロータ20を傾けることができなくてもよい。例えば、eVTOL10において、複数のロータ20に、リフト用のロータ20とクルーズ用のロータ20とがそれぞれ含まれていてもよい。このeVTOL10では、例えば、上昇する場合にはリフト用のロータ20が駆動し、前方に進む場合にはクルーズ用のロータ20が駆動する。
上記各実施形態において、EDS50及びEDSユニット130が搭載される飛行体は、垂直離着陸機でなくてもよい。例えば、飛行体は回転翼機又は固定翼機でもよい。回転翼機では回転翼がロータに相当する。固定翼機ではプロペラがロータに相当する。また、飛行体は、人が乗らない無人航空機でもよい。
上記各実施形態において、飛行制御装置40及び駆動制御部54は、少なくとも1つのコンピュータを含む制御システムによって提供される。制御システムは、ハードウェアである少なくとも1つのプロセッサを含む。このプロセッサをハードウェアプロセッサと称すると、ハードウェアプロセッサは、下記(i)、(ii)、又は(iii)により提供することができる。
(i)ハードウェアプロセッサは、ハードウェア論理回路である場合がある。この場合、コンピュータは、プログラムされた多数の論理ユニット(ゲート回路)を含むデジタル回路によって提供される。デジタル回路は、プログラム及びデータの少なくとも一方を格納したメモリを備える場合がある。コンピュータは、アナログ回路によって提供される場合がある。コンピュータは、デジタル回路とアナログ回路との組み合わせによって提供される場合がある。
(ii)ハードウェアプロセッサは、少なくとも1つのメモリに格納されたプログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサコアである場合がある。この場合、コンピュータは、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサコアとによって提供される。プロセッサコアは、例えばCPUと称される。メモリは、記憶媒体とも称される。メモリは、プロセッサによって読み取り可能な「プログラム及びデータの少なくとも一方」を非一時的に格納する非遷移的かつ実体的な記憶媒体である。
(iii)ハードウェアプロセッサは、上記(i)と上記(ii)との組み合わせである場合がある。(i)と(ii)とは、異なるチップの上、又は共通のチップの上に配置される。
すなわち、飛行制御装置40が提供する手段及び機能の少なくとも一方は、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又はそれらの組み合わせにより提供することができる。
<構成群Aの特徴>
[特徴A1]
飛行体(10)のロータ(20)を回転させるために駆動する駆動装置(50)であって、
ロータを回転させるための駆動により発熱する発熱体(61,81)と、
気体を送るファン(20,111)の回転軸線(Cm)に沿って延びた外周面(70a,90a)を有し、発熱体を収容したハウジング(70,90)と、
回転軸線が延びる軸方向(AD)において外周面に沿って延びるように設けられ、ファンの回転により外周面に沿って流れる気体に発熱体からの熱を放出する放熱フィン(72,721,722,723,92,921,923)と、
を備え、
放熱フィンとして、少なくとも一部が回転軸線に対して回転軸線の周方向(CD)に傾斜した傾斜フィン(721,722,921)が外周面に設けられている、駆動装置。
[特徴A2]
ファンは、気体が回転軸線に対して周方向に傾斜する向きに流れる旋回流を生じさせることが可能であり、
傾斜フィンとして、少なくとも一部が旋回流に沿って延びるように傾斜した順傾斜フィン(721)が外周面に設けられている、特徴A1に記載の駆動装置。
[特徴A3]
外周面に設けられ、軸方向に気体が流れることを阻害する阻害物(75,751,752,95,951,952)、を備え、
外周面においては、阻害物に軸方向に並び且つ軸方向において阻害物を介してファンの反対側にある軸並び領域(AL2)と、軸並び領域に周方向に並べられた周並び領域(AL1)と、があり、
傾斜フィンは、気体を周並び領域から軸並び領域に案内するように、少なくとも一部が傾斜している、特徴A1又はA2に記載の駆動装置。
[特徴A4]
外周面においては、発熱体からの熱が付与される第1熱領域(AE1)と、第1熱領域に周方向に並べられ且つ発熱体に対する離間距離が発熱体と第1熱領域との離間距離よりも大きくなるように配置された第2熱領域(AE2)と、があり、
傾斜フィンは、気体を第1熱領域に案内するように、少なくとも一部が傾斜している、特徴A1~A3のいずれか1つに記載の駆動装置。
[特徴A5]
傾斜フィンは、軸方向において第2熱領域及び第1熱領域から上流側に離間した位置に設けられ、第1熱領域に向けて延びるように少なくとも一部が傾斜している、特徴A4に記載の駆動装置。
[特徴A6]
ハウジングの内周面(80b)には、発熱体を構成する発熱部材(83)が取り付けられており、
第1熱領域は、回転軸線の径方向(RD)において発熱部材に重複する位置にある領域であり、
第2熱領域は、径方向において発熱部材に重複しない位置にある領域である、特徴A4又はA5に記載の駆動装置。
[特徴A7]
第1熱領域は、放熱フィンが設けられたフィン領域であり、
第2熱領域は、放熱フィンが設けられていないフィンレス領域である、特徴A4~A6のいずれか1つに記載の駆動装置。
[特徴A8]
傾斜フィンにおいては、上流側の端部であるフィン上流端(72a)から下流側に向けて延びた上流部位が少なくとも傾斜している、特徴A1~A7のいずれか1つに記載の駆動装置。
[特徴A9]
放熱フィンとして、回転軸線に平行に延びた平行フィン(923)が、気体の流れに対して傾斜フィンよりも下流側において外周面に設けられている、特徴A1~A8のいずれか1つに記載の駆動装置。
[特徴A10]
外周面に対向するカバー内周面(100a)を有し、放熱フィンを外周側から覆うようにハウジングに取り付けられたハウジングカバー(100)、を備えている特徴A1~A9のいずれか1つに記載の駆動装置。
[特徴A11]
カバー内周面に設けられ、カバー内周面から外周面(70a,90a)に向けて突出し、気体を傾斜フィンに案内するカバー案内部(102)、を備えている特徴A10に記載の駆動装置。
[特徴A12]
飛行体(10)に搭載される駆動装置ユニット(130)であって、
飛行体のロータ(20)を回転させるために駆動する駆動装置(50)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転して気体を送り、回転軸線に沿って駆動装置に並べられたファン(20,111)と、
を備え、
駆動装置は、
ロータを回転させるための駆動により発熱する発熱体(61,81)と、
気体を送るファン(20,111)の回転軸線(Cm)に沿って延びた外周面(70a,90a)を有し、発熱体を収容したハウジング(70,90)と、
回転軸線が延びる軸方向(AD)において外周面(70a,90a)に沿って延びるように設けられ、ファンの回転により外周面に沿って流れる気体に発熱体からの熱を放出する放熱フィン(72,721,722,723,92,921,923)と、
を有し、
放熱フィンとして、少なくとも一部が回転軸線に対して回転軸線の周方向(CD)に傾斜した傾斜フィン(721,722,921)が外周面に設けられている、駆動装置ユニット。
[特徴A13]
回転軸線に沿ってハウジングに並べられ、回転軸線の径方向外側からファンを覆っているシュラウド(120)と、
シュラウドの内周面(120b)に設けられ、内周面から外周面に向けて突出し、気体を傾斜フィンに案内するシュラウド案内部(122)と、
を備えている特徴A12に記載の駆動装置ユニット。
<構成群Bの特徴>
[特徴B1]
飛行体(10)のロータ(20)を回転させるために駆動する駆動装置(50)であって、
ロータを回転させるための駆動により発熱する発熱体(61,81)と、
空気を送るファン(20,111)の回転軸線(Cm)に沿って延びた外周面(70a,90a)を有し、発熱体を収容したハウジング(70,90)と、
回転軸線が延びる軸方向(AD)において外周面に沿って延びるように設けられ、ファンの回転により外周面に沿って流れる気体に発熱体からの熱を放出する放熱フィン(72,721,722,723,92,921,923)と、
外周面に沿って放熱フィンに並べられ、気体を放熱フィンに向けて流れるように回転軸線の周方向(CD)に誘導する誘導部(77,771,772,97,107)と、
を備えている駆動装置。
[特徴B2]
誘導部は、
軸方向において上流側に向けて膨らむように曲がり、放熱フィンに向けて周方向に延びている誘導面(77c)、を有している特徴B1に記載の駆動装置。
[特徴B3]
放熱フィンは、周方向に複数並べられており、
誘導面は、周方向に隣り合う2つの放熱フィンにかけ渡された状態になっている、特徴B2に記載の駆動装置。
[特徴B4]
誘導部は、誘導面がかけ渡された2つの放熱フィンのそれぞれに接続されている、特徴B3に記載の駆動装置。
[特徴B5]
外周面に設けられ、軸方向に気体が流れることを阻害する阻害物(75,752,76,95,951)、を備え、
誘導部は、阻害物を上流側から覆うように設けられている、特徴B1~B4のいずれか1つに記載の駆動装置。
[特徴B6]
ハウジングは、
第1連結部(752)を有する第1ハウジング(70)と、
第2連結部(951)を有し、第1ハウジングに軸方向に並べられ、第1連結部と第2連結部とが連結されていることで第1ハウジングに固定されている第2ハウジング(90)と、を有しており、
誘導部は、第1連結部及び第2連結部を阻害物として、第1連結部及び第2連結部を上流側から覆うように設けられている、特徴B5に記載の駆動装置。
[特徴B7]
放熱フィンである上流フィン(72)よりも軸方向の下流側に設けられ、軸方向に気体が流れることを阻害する下流阻害部(96)と、
誘導部として、下流阻害部から上流フィン側に離れた位置に設けられ、上流フィンの下流側において気体を下流阻害部から離れるように周方向に誘導する離間誘導部(774)と、
を備えている特徴B1~B6のいずれか1つに記載の駆動装置。
[特徴B8]
外周面には、
放熱フィンが複数設けられ、発熱体からの熱を複数の放熱フィンにより放出する第1領域(AL1,AE1)と、
周方向において第1領域に並べられた第2領域(AL2,AE2)と、
が設けられており、
誘導部は、第2領域に対して軸方向に重複する位置に設けられ、気体を第1領域に向けて流れるように周方向に誘導する、特徴B1~B7のいずれか1つに記載の駆動装置。
[特徴B9]
第1領域は、発熱体からの熱が付与される高熱領域(AE1)であり、
第2領域は、高熱領域に周方向に並べられ、発熱体に対する離間距離が発熱体と高熱領域との離間距離よりも大きくなるように配置された低熱領域(AE2)であり、
誘導部は、低熱領域に対して軸方向に重複する位置に設けられ、気体を高熱領域に向けて流れるように周方向に誘導する、特徴B8に記載の駆動装置。
[特徴B10]
高熱領域は、放熱フィンが設けられたフィン領域であり、
低熱領域は、放熱フィンが設けられていないフィンレス領域である、特徴B9に記載の駆動装置。
[特徴B11]
誘導部として、ハウジングに含まれ且つ外周面に設けられたハウジング誘導部(77,771,772,97)、を備えている特徴B1~B10のいずれか1つに記載の駆動装置。
[特徴B12]
外周面に対向する内周面(100b)を有し、放熱フィンを外周側から覆うようにハウジングに取り付けられたハウジングカバー(100)、を備えている特徴B1~B11のいずれか1つに記載の駆動装置。
[特徴B13]
誘導部として内周面に設けられたカバー誘導部(107)、を備えている特徴B12に記載の駆動装置。
[特徴B14]
飛行体(10)に搭載される駆動装置ユニット(130)であって、
飛行体のロータ(20)を回転させるために駆動する駆動装置(50)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転して気体を送り、回転軸線に沿って駆動装置に並べられたファン(20,111)と、
を備え
駆動装置は、
ロータを回転させるための駆動により発熱する発熱体(61,81)と、
空気を送るファン(20,111)の回転軸線(Cm)に沿って延びた外周面(70a,90a)を有し、発熱体を収容したハウジング(70,90)と、
回転軸線が延びる軸方向(AD)において外周面に沿って延びるように設けられ、ファンの回転により外周面に沿って流れる気体に発熱体からの熱を放出する放熱フィン(72,721,722,92,921,923)と、
外周面に沿って放熱フィンに並べられ、気体を放熱フィンに向けて流れるように回転軸線の周方向(CD)に誘導する誘導部(77,771,772,723,97,127)と、
を有している駆動装置ユニット。
[特徴B15]
回転軸線に沿ってハウジングに並べられ、回転軸線の径方向外側からファンを覆っているシュラウド(120)と、
誘導部として、シュラウドの内周面(120b)に設けられたシュラウド誘導部(127)と、
を備えている特徴B14に記載の駆動装置ユニット。
<構成群Cの特徴>
下記特徴C1によれば、ハウジングカバーの内周面にカバー整流部が設けられている。この構成では、放熱フィンの放熱効果が高くなるように、放熱フィンに向かって流れる空気をカバー整流部により整流することができる。このため、飛行体にとって駆動装置が重くなりすぎないように放熱フィンの数が制限されていても、駆動装置の冷却効果をカバー整流部により高めることができる。したがって、駆動装置について放熱効果の向上と軽量化とをカバー整流部により両立できる。
[特徴C1]
飛行体(10)のロータ(20)を回転させるために駆動する駆動装置(50)であって、
ロータを回転させるための駆動により発熱する発熱体(61,81)と、
空気を送るファン(20,111)の回転軸線(Cm)に沿って延びた外周面(70a,90a)を有し、発熱体を収容したハウジング(70,90)と、
回転軸線が延びる軸方向(AD)において外周面に沿って延びるように設けられ、ファンの回転により外周面に沿って流れる気体に発熱体からの熱を放出する放熱フィン(72,721,722,92,921,923)と、
外周面に対向する内周面(100b)を有し、放熱フィンを外周側から覆うようにハウジングに取り付けられたハウジングカバー(100)と、
内周面に設けられ、放熱フィンに向かう気体を回転軸線に沿って流れるように整流するカバー整流部(102)と、
を備えている駆動装置。
[特徴C2]
カバー整流部は、軸方向において上流側に向けて膨らむように曲がっており、少なくとも一部が回転軸線に対して回転軸線の周方向(CD)に傾斜し、特徴C1に記載の駆動装置。
[特徴C3]
カバー整流部は、回転軸線の径方向(RD)において、内周面と外周面とにかけ渡された状態になっている、特徴C1又はC2に記載の駆動装置。
[特徴C4]
カバー整流部は、周方向に複数並べられており、
複数のカバー整流部は、複数のカバー整流部のそれぞれを通過した空気の流れが互いに平行になるように整流する、特徴C1~C3のいずれか1つに記載の駆動装置。
[特徴C5]
飛行体(10)に搭載される駆動装置ユニット(130)であって、
飛行体のロータ(20)を回転させるために駆動する駆動装置(50)と、
回転軸線(Cm)を中心に回転して気体を送り、回転軸線に沿って駆動装置に並べられたファン(20,111)と、
を備え
駆動装置は、
ロータを回転させるための駆動により発熱する発熱体(61,81)と、
空気を送るファン(20,111)の回転軸線(Cm)に沿って延びた外周面(70a,90a)を有し、発熱体を収容したハウジング(70,90)と、
回転軸線が延びる軸方向(AD)において外周面に沿って延びるように設けられ、ファンの回転により外周面に沿って流れる気体に発熱体からの熱を放出する放熱フィン(72,721,722,92,921,923)と、
回転軸線に沿ってハウジングに並べられ、回転軸線の径方向外側からファンを覆っているシュラウド(120)と、
シュラウドの内周面(120b)に設けられ、放熱フィンに向かう気体を回転軸線に沿って流れるように整流するシュラウド整流部(122)と、
を備えている駆動装置ユニット。
[特徴C6]
シュラウド整流部は、軸方向において上流側に向けて膨らむように曲がっており、少なくとも一部が回転軸線に対して回転軸線の周方向(CD)に傾斜している、特徴C5に記載の駆動装置ユニット。
[特徴C7]
シュラウド整流部は、周方向に複数並べられており、
複数のシュラウド整流部は、複数のシュラウド整流部のそれぞれを通過した空気の流れが互いに平行になるように整流する、特徴C5又はC6に記載の駆動装置。