JP7519319B2 - 押しボタン構造及び腕時計 - Google Patents

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Description

本発明は、押しボタン構造及び腕時計に関する。
押しボタンを有する腕時計等の携帯機器において、ねじを用いてロック部材を押しボタンの軸方向に移動させ、ボタン可動領域を変動させることで、押しボタンの操作を可能にしたり不可能にしたりできるボタンロック機構が開示されている(特許文献1~4参照)。機器外装体に設けられた貫通孔にパイプが取り付けられ、押しボタンの軸部は該パイプに挿入され、止め輪により抜け止めがなされている。
特許第5876316号公報 特許第6122361号公報 特開2004-319446号公報 特開平7-287077号公報
特許文献1及び特許文献2に記載の従来例では、ロック部材の軸方向位置を変えることによって押しボタンのストローク量を規制する。ロック部材を機器外装体の外側へ移動させると、押しボタンのストローク量が少なくなる。また、止め輪の破損防止のため、ロック部材の外側への移動限界を定めるストッパ部が設けられている。しかしながら、ロック部材がパイプに螺合しているため、押しボタンをロックする時及び押しボタンのロックを解除する時のどちらにおいても、ロック部材が回転することによりパイプに回転力を与えてしまう。仮にパイプにねじを設け、該ねじを機器外装体にねじ込んでパイプを固定した場合、この回転力により機器外装体に対するパイプのねじ込みが緩んでしまう。このため、ろう付けや接着等によりパイプを機器外装体に固定する必要があり、パイプを機器外装体から取り外しできない。高級腕時計の場合、定期的にメンテナンスを行うことで長い年月にわたる使用が可能であり、部品単位まで分解可能であることが望ましい。しかしながら、パイプが腕時計のケースに固定されていると、腕時計を部品単位まで分解することが難しい。
特許文献3に記載の従来例では、ボタン部材の外側のリング部材を回転させてもリング部材自身は軸方向に移動せず、リング部材の内部に設けられたロック部材がねじにより軸方向に移動して、ボタン部材のストロークを規制する。この場合、リング部材の回転力がパイプに伝わり難いので、パイプとケースとの結合手段をねじ込み機構にすることで、メンテナンス時に部品単位まで分解することは可能となり得る。しかしながら、リング部材の内側に、パイプと常に噛み合うロック部材を設けるため、リング部材を含む操作ボタン全体の外径が大きくなる課題がある。また、この従来例では、ロック部材の操作でボタンを外側に必要以上に加重を掛けてしまうことで、特許文献1や特許文献2に記載の止め輪の破損防止対策もなされていない。
なお、特許文献4では、パイプを腕時計ケースに固定する手段として、従来のろう付けや接着に代わり、パイプと防水固定リングが互いに螺合するねじ込み機構が用いられている。パイプは腕時計ケースの段付き貫通穴に内側から挿入され、防水固定リングは該段付き貫通穴に外側から挿入される。パイプの外側に防水固定リングを螺合させることで、パイプが腕時計ケースに固定されている。しかしながら、この文献には、パイプに組み込まれる機構について全く記載がなく、パイプと防水固定リングの間に防水性を保持するパッキンを設けて、ろう付けや接着に変わる品質向上性が提示されただけに過ぎない。
本発明は、腕時計における押しボタン部分の外径を大きくすることなく、止め輪の破損を防止可能とし、かつ腕時計を部品単位まで分解できるようにすることを目的とする。
第1の態様に係る押しボタン構造は、貫通孔が形成された腕時計のケースと、前記貫通孔に挿入されて前記ケースに固定され、外周に第1雄ねじ部及びストッパ部が設けられたパイプと、前記ストッパ部に接離される係止部、ボタン収容可能な凹部、及び前記第1雄ねじ部に螺合する第1雌ねじ部を夫々備え、前記パイプの軸方向に移動可能に取り付けられたロック部材と、前記パイプを貫通した軸部、及び前記凹部の底面と対向する対向部を有して前記ケースの外部に位置されたヘッドを備えて軸方向に移動可能に設けられた押しボタンと、前記押しボタンを前記ケースの外側に向けて付勢するばねと、前記軸部の前記ケースの内部に位置された軸端部に取り付けられ、前記押しボタンを前記パイプから抜け止めする止め輪と、を有し、前記パイプは、内周に第2雌ねじ部が設けられ前記ケースの外側から前記貫通孔に挿入される外パイプと、前記第2雌ねじ部に螺合する第2雄ねじ部が設けられ前記ケースの内側から前記外パイプの内側に螺合する内パイプと、を有し、前記ケースに対する前記パイプの回転が規制されている。
この腕時計の押しボタン構造では、外パイプの第2雌ねじ部に内パイプの第2雄ねじ部が螺合することで、パイプがケースに着脱可能に固定されている。腕時計のメンテナンス時には、外パイプと内パイプとを分離することで、パイプをケースから取り外すことができる。
ロック部材の第1雌ねじ部がパイプの第1雄ねじ部に螺合しており、ロック部材を回転させることで該ロック部材をパイプの軸方向に移動させることができる。このため、リング部材とパイプの間にロック部材が配置される構造(特許文献3)と比較して、腕時計における押しボタン部分の外径が大きくなることを抑制できる。
ケースに対するパイプの回転が規制されているので、ロック部材の回転力が外パイプに伝わったとしても、外パイプと内パイプとの螺合が緩むことはない。したがって、ロック部材の回転によるパイプの緩みを防止して、パイプをケースに安定的に固定することができる。
第2の態様は、第1の態様に係る押しボタン構造において、前記第1雄ねじ部が、前記外パイプの外周に設けられ、前記外パイプの外周のうち前記ケースに当接する部位に係合部が設けられ、前記ケースのうち前記外パイプが当接する部分に、前記係合部を係止して前記外パイプの回転を規制する回転規制部が設けられている。
この腕時計の押しボタン構造では、ロック部材の回転力が外パイプに伝わることで外パイプが回転しようとしても、外パイプの係合部がケースの回転規制部に係止されて、外パイプの回転が規制される。このため、外パイプと内パイプとの螺合が緩むことを防止できる。
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る押しボタン構造において、前記内パイプのうち、前記ケースの外側に位置する端面には、割り溝が形成されている。
この腕時計の押しボタン構造では、例えば工具をケースの外側から内パイプの割り溝に差し込んで内パイプを回転させることで、内パイプと外パイプとを螺合させたり分離させたりすることができる。このため、ケースとパイプの組立及び分解を容易に行うことができる。
第4の態様に係る腕時計は、第1~第3の態様の何れか1態様に係るボタン構造を有する。
この腕時計は、上記した腕時計の押しボタン構造を有しているので、腕時計における押しボタン部分の外径を大きくすることなく、止め輪の破損を防止可能とし、かつ腕時計を部品単位まで分解することができる。
本発明によれば、腕時計における押しボタン部分の外径を大きくすることなく、止め輪の破損を防止可能とし、かつ腕時計を部品単位まで分解することができる。
第1実施形態に係る腕時計を示す正面図である。 腕時計の押しボタン構造において、押しボタンがロック状態とされ、押込み不可能とされた状態を示す断面図である。 腕時計の押しボタン構造において、押しボタンが非ロック状態とされ、押込み可能とされた状態を示す断面図である。 腕時計の押しボタン構造を示す分解斜視図である。 腕時計の押しボタン構造において、ケース、内パイプ、外パイプ及びロック部材を示す分解斜視図である。 外パイプとロック部材の係合部を示す斜視図である。 第2実施形態に係る腕時計を示す正面図である。 腕時計の押しボタン構造において、押しボタンがロック状態とされ、押込み不可能とされた状態を示す断面図である。 腕時計の押しボタン構造において、押しボタンが非ロック状態とされ、押込み可能とされた状態を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
[第1実施形態]
図1から図6において、本実施形態に係る腕時計11は、例えば防水時計であり、時計外装体10と、押しボタン構造Sとを有している。
(時計外装体)
図1、図2に示されるように、時計外装体10内には、表示板例えば文字板13、表示を制御する機器例えば時刻表示用の針の動きを制御するムーブメント14、図示しないランプ、及び電源として図示しない電池等の所要部材が収められている。
ムーブメント14は、ボタン応答部材例えば接点15を、少なくとも一個、例えば2個有している。これらの接点15は、板ばね等で形成されていて、ムーブメント14の外周から突出されている。接点15が後述の押しボタン61で押されることによって、ムーブメント14等が夫々の押しボタン61に与えられた機能を発揮するようになっている。例えば、図1において右上の押しボタン61はスタート・ストップの機能を分担し、右下の押しボタン61はランプの点灯・消灯をする機能を分担している。ケース21における2つの押しボタン61の間には、例えば龍頭24が設けられている。
時計外装体10において、ステンレス鋼やチタンなどの金属により環状に作られたケース21の正面には、文字板13を透視させるカバーガラス22が、例えばベゼル20を介して液密に装着されている。また、ケース21の裏面には、金属や合成樹脂などから作られた裏蓋23が液密に装着されている。
なお、図2において、符号25は、ムーブメント14を支持する中枠を示している。符号26,27,28は、夫々時計外装体10の液密を保持するためのパッキンを示している。符号24は竜頭を示している。時計外装体10の構成は、図示される構成に限られない。
次に、時計外装体10の所定箇所、例えばこの時計外装体10の側壁をなすケース21に後述の押しボタン61を配設する構成、つまり押しボタン構造Sについて説明する。本実施形態において、2つの押しボタン構造Sにおいて、押しボタン61とそれらを時計外装体10に配設する構成は互いに同様である。
(押しボタン構造)
押しボタン構造Sは、ケース21と、パイプ35と、ロック部材32と、押しボタン61と、ばね73と、止め輪64とを有している。
ケース21は、貫通孔33が形成された腕時計11のケースである。ケース21における貫通孔33と同軸上には、ケース21の外側面21aに開口する凹部31が形成されている。凹部31は、貫通孔33より大径である。貫通孔33は、その一端を凹部31の底面に開放すると共に、他端を時計外装体10の内面、例えばケース内面21bに開放して形成されている。
パイプ35は、貫通孔33に挿入されてケース21に固定され、外周に第1雄ねじ部41及びストッパ部40が設けられている。このパイプ35は、ステンレス鋼やチタンなどの金属製である。また、パイプ35は、外パイプ45と、内パイプ46とを有し、外パイプ45と内パイプ46の締結によりケース21に着脱可能に固定されている。
外パイプ45は、内周に第2雌ねじ部52が設けられケース21の外側から貫通孔33に挿入されている。第1雄ねじ部41は、ロック部材32を軸方向に進退させるためのねじ部であり、外パイプ45の外周に設けられている。具体的には、外パイプ45は、例えば、挿入筒部36と、外配置筒部37とを一体的に有している。挿入筒部36と外配置筒部37は、段付き状に形成されている。挿入筒部36は、その外径が外配置筒部37の外径より小径に形成され、貫通孔33に挿入されている。挿入筒部36の外周に形成された溝には、貫通孔33と外パイプ45との間の液密を確保するためのパッキン34が収容されている。
外配置筒部37は、貫通孔33よりもケース21の外側に位置している。外配置筒部37の挿入筒部36側の端面は、凹部31の底面に当接している。第1雄ねじ部41は、外配置筒部37の外周に設けられている。また、挿入筒部36の内周には、第2雌ねじ部52が設けられている。
外パイプ45の軸方向において、外配置筒部37の挿入筒部36側と反対側の端部には、ストッパ部40が一体的に設けられている。ストッパ部40は、第1雄ねじ部41の外径よりも大径に形成され、フランジ状に形成されている。
図4から図6に示されるように、外パイプ45の外周のうちケース21、具体的には凹部31の底面に当接する部位には、係合部48が設けられている。係合部48は、例えば、周方向の2箇所に、互いに平行に一対設けられた平面部である。一方、図4、図5に示されるように、ケース21のうち外パイプ45が当接する部分には、係合部48を係止して外パイプ45の回転を規制する回転規制部49が設けられている。回転規制部49は、凹部31の底面に例えば長円状の座ぐりを形成したものである。長円の短軸方向の幅は、係合部48の二面幅より若干大きく設定されている。係合部48が回転規制部49に引っ掛かることで、ケース21に対するパイプ35の回転が規制されている。
なお、回転規制部を回転制限部又は被係合部と言い換えることもできる。係合部48及び回転規制部49は、それぞれ平面部でなくてもよく、曲面部であってもよく、またスプラインやセレーション等、周方向に互いに係合する構成であってもよい。
なお、図2等の断面図において、係合部48及び回転規制部49は、外パイプ45の径方向の下側のみに示されている。径方向の上側には、係合部48及び回転規制部49がない部分の断面が示されている。なお、係合部48の構成及び回転規制部49の構成は、図示される例に限られず、ケース21に対するパイプ35の回転を規制可能な構成であればよい。
図2から図5において、内パイプ46の外周には、第2雄ねじ部42が設けられている。第2雄ねじ部42は、外パイプ45の第2雌ねじ部52に螺合する。これにより内パイプ46は、外パイプ45の内側に螺合している。内パイプ46のケース21の内側の端部には、フランジ部46aが設けられている。フランジ部46aの外径は、貫通孔33の直径よりも大きく設定されている。これにより、フランジ部46aは、ケース内面21bに当接している。このフランジ46aと、外パイプ45における外配置筒部37の端面とで、貫通孔33の両側からケース21を挟持することで、パイプ35がケース21に取り付けられている。
内パイプ46のうち、ケース21の外側、換言すれば、軸方向においてフランジ部46aと反対側に位置する端面には、割り溝46bが形成されている。割り溝46bは、例えば工具(図示せず)で内パイプ46を回転させることを可能にする部位である。工具として、マイナスドライバーを用いることができる。外パイプ45を貫通孔33にケース21の外側から差し込み、内パイプ46を貫通孔33内にケース21の内側から差し込んで、外パイプ45を通じてケース21の外側から割り溝46bに工具を掛けて内パイプ46を回転させる。これにより、第2雌ねじ部52に第2雄ねじ部42を螺合させ、内パイプ46を外パイプ45の内側に引き込んで締結することができる。なお、割り溝46bは、工具掛け部の一例である。工具掛け部としては、他に四角穴、六角穴等、工具から内パイプ46に回転力を作用させることが可能な各種構造が含まれる。
ロック部材32は、ストッパ部40に接離される係止部32c、ボタン収容可能な凹部32d、及び第1雄ねじ部41に螺合する第1雌ねじ部51を夫々備えている。凹部32dは、ロック状態における後述する押しボタン61のヘッド63を少なくとも部分的に収容可能に構成されている。また、凹部32dは、非ロック状態におおいてヘッド63の押込みを可能にする深さを有している。また、ロック部材32は、パイプ35のうちケース21の外側に位置する部位、具体的には、外パイプ45の外配置筒部37を覆いつつパイプ35の軸方向に移動可能に取り付けられている。具体的には、ロック部材32は、大径部32aと小径部32bを有している。大径部32aは、ケース21の凹部31よりも大径とされている。小径部32bは該凹部31より若干小径とされている。大径部32aの外周には、ロック部材32を手回し操作する際に指が滑らないようにするための複数の切溝38が、ロック部材32の軸方向と平行に設けられている。係止部32c及び凹部32dは、大径部32aの内周に形成されている。また、第1雌ねじ部51は、小径部32bの内周に形成されている。
押しボタン61は、例えば金属又は合成樹脂の一体成形品であって、パイプ35に支持されている。この押しボタン61は、パイプ35を貫通した軸部62、及びケース21の外部に位置されたヘッド63を備えて軸方向に移動可能に設けられている。ヘッド63の外径は、ロック部材32の凹部32dの内径より僅かに小さい。対向部65は、例えばヘッド63の裏側の端面で形成されている。ヘッド63は、ロック部材32の凹部32dの底面と対向する対向部65を有している。
ばね73は、押しボタン61をケース21の外側に向けて付勢する、例えば圧縮コイルばねである。
止め輪64は、軸部62のケース21の内部に位置された軸端部(先端部)に取り付けられ、押しボタンをパイプ35から抜け止めする、例えばEリングである。
押しボタン61は、軸部62をケース21の外側からパイプ35に挿入して貫通させた後に、ケース21の内部に突出された軸部62の軸端部に止め輪64を取付けることにより、パイプ35に対して抜け止めされた状態に取り付けられている。この取付けに伴って、ヘッド63は、時計外装体10の外部でかつロック部材32の凹部32d内に嵌入して配置される。これと共に、対向部65が、凹部32dの底面に対向する。
軸部62と外パイプ45との間には、例えば2つのパッキン71と、パッキン押え74,75とが設けられている。パッキン71は、弾性変形が可能なゴム系又はプラスチックス系の材料でリング状に形成されている。パッキン押え74は、内パイプ46におけるケース21の外側の端面に当接している。2つのパッキン71の一方はパッキン押え74に接して配置され、他方は一方のパッキン71に接して配置されている。つまり、2つのパッキン71は、軸方向に直列に並んで配置されている。パッキン押え75は、最も外側のパッキン71に接して配置されている。
ばね73は、パッキン押さえ75とヘッド63との間に圧縮状態で挟まれている。ばね73は、押しボタン61が押し込まれることにより更に圧縮可能である。このばね73のばね力によって、押しボタン61が時計外装体10の外部に向けて、具体的にはケース21の外側方に向けて付勢されている。それにより、止め輪64がパイプ35の端面、具体的には内パイプ46のフランジ部46aに引っ掛かった状態に保持される。なお、コイルばね73のばね力は、各パッキン71を時計外装体10の内部に向けて押えるので、これらパッキン71は軸部62により強く密接されてシール性が向上される。
(押しボタン構造の組立手順)
次に、押しボタン構造Sの組立手順について説明する。まず、図5、図6に示されるように、ロック部材32の内側に、外パイプ45を挿入する。このとき外パイプ45の挿入筒部36をロック部材32の大径部32a側から挿入し、外パイプ45とロック部材32を相対回転させることで、第1雄ねじ部41と第1雌ねじ部51を螺合させる。そして、外パイプ45のうち、挿入筒部36及び係合部48を、ロック部材32の小径部32bから突出させる(図6)。更に、第1雄ねじ部41の一部が小径部32bから突出してもよい。
続いて、外パイプ45の挿入筒部36をケース21の外側から貫通孔33に挿入する。このとき、係合部48が回転規制部49に適合するように、外パイプ45の周方向の向きを調節する。また、内パイプ46をケース21の内側から挿入筒部36の内側に差し込んで螺合させる。このとき、外パイプ45を通じてケース21の外側から工具(図示せず)を差し込み、内パイプ46の割り溝46bに工具を掛けて内パイプ46を回転させる。これにより、第2雌ねじ部52に第2雄ねじ部42を螺合させ、内パイプ46を外パイプ45の内側に引き込んで締結することができる。内パイプ46のフランジ46aと、外パイプ45における外配置筒部37の端面とで、貫通孔33の両側からケース21を挟持することで、パイプ35がケース21に取り付けられる。
次に、図3、図4に示されるように、押しボタン61の軸部62に、ばね73、パッキン押え75、2つのパッキン71及びパッキン押え74を順に通しつつ、軸部62をケース21の外側からパイプ35の内側に挿入する。そして、押しボタン61を押し込み、軸部62の先端をケース21の内側に突出させ、止め輪64を取り付けて、押しボタン61の抜け止めをする。このようにして、押しボタン構造Sを組み立てることができる。
腕時計11を分解掃除する際に、押しボタン構造Sを外すには、以上説明した取付けの手順とは逆の手順によって行うことが可能である。したがって、パイプ35をケース21から外して、掃除や部品交換を行うことができる。
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図2、図3において、本実施形態に係る腕時計11は、押しボタン構造Sを有している。この押しボタン構造Sでは、外パイプ45の第2雌ねじ部52に内パイプ46の第2雄ねじ部42が螺合することで、パイプ35がケース21に着脱可能に固定されている。したがって、腕時計11のメンテナンス時には、外パイプ45と内パイプ46とを分離することで、パイプ35をケース21から取り外すことができる。また、ケース21とパイプ35の界面に接着剤等の不安定な構成を用いず、パッキン34を用いるため、経時による接着剥離等による防水性の低下がなく、防水品質を満足できる。
ロック部材32の第1雌ねじ部51が外パイプ45(パイプ35)の第1雄ねじ部41に螺合しており、ロック部材32を回転させることで該ロック部材32をパイプ35の軸方向に移動させることができる。このため、リング部材とパイプ35の間にロック部材32が配置される構造(特許文献3)と比較して、腕時計11における押しボタン部分の外径が大きくなることを抑制できる。
具体的には、図2に示されるように、ロック部材32をパイプ35の軸方向外側に移動させると、押しボタン61がロック状態となる。ロック部材32の軸方向外側への移動は、その係止部32cがストッパ部40に引っ掛かった状態に接触することで妨げられ、それ以上ロック部材32を軸方向外側へ移動させるための回転操作ができなくなる。これにより、ロック部材32の凹部32dの底面が、押しボタン61の対向部65に接近した状態となる。押しボタン61を押し込もうとしても、ヘッド63の対向部65とロック部材32の凹部32dの底面に接触するため、それ以上の押しボタン61の押込みが妨げられる。
また、図3に示されるように、ロック部材32をパイプ35の軸方向内側に移動させると、押しボタン61が非ロック状態となる。ロック部材32の軸方向内側への移動は、その小径部32bの端面が凹部31の底面に当接することで妨げられ、それ以上ロック部材32を軸方向内側へ移動させるための回転操作ができなくなる。これにより、ロック状態と比較して、ロック部材32の凹部32dの底面が押しボタン61の対向部65から離間した状態となり、押しボタン61の押込み、つまり通常使用が可能となる。
押しボタン61がケース21の外側からコイルばね73のばね力に抗して押し込まれた場合、軸部62の先端62aがこれに対向して配設されている接点15を押圧する。それにより、押しボタン61に割り当てられた機能が発揮されるようにムーブメント14が動作される。この後、押しボタン61の押圧が解除されるに伴い、押しボタン61はコイルばね73のばね力で元の状態に押し戻される。
ロック部材32の回転操作時にその回転力が外パイプ45に伝わっても、外パイプ45の係合部48がケース21の回転規制部49に係止されて、外パイプ45の回転が規制される。このため、外パイプ45と内パイプ46との螺合が緩むことを防止できる。したがって、ロック部材32の回転によるパイプ35の緩みを防止して、パイプ35をケース21に安定的に固定することができる。
パイプ35の組立及び分解の際には、工具をケース21の外側から内パイプ46の割り溝46bに差し込んで内パイプ46を回転させることで、内パイプ46と外パイプ45とを螺合させたり分離させたりすることができる。このため、ケース21とパイプ35の組立及び分解を容易に行うことができる。
腕時計11は、上記した押しボタン構造Sを有しているので、腕時計11における押しボタン部分の外径を大きくすることなく、止め輪64の破損を防止可能とし、かつ腕時計11を部品単位まで分解することができる。
[第2実施形態]
図7から図9において、本実施形態に係る腕時計12は、押しボタン構造Sが第1実施形態の押しボタン構造Sと異なっている。
具体的には、パッキン34が、第1実施形態においては、外パイプ45における挿入筒部36の外周の溝に設けられていたが、本実施形態では、貫通孔33の外側の端部に設けられた凹部に設けられている。これに伴い、挿入筒部36が第1実施形態と比較して薄肉化されている。その一方、内パイプ46が第1実施形態と比較して厚肉化され、内パイプ46の外周の溝にパッキン54が設けられ、ている。これにより、内パイプ46と外パイプ45との間の液密が確保されている。また、軸部62の溝には、1つのパッキン71が取り付けられている。これにより、内パイプ46と軸部62との間の液密が確保されている。
ばね73と内パイプ46との間には、板状のばね押え76が介在している。第1実施形態と異なり、ばね73と内パイプ46との間にはパッキンやパッキン押えが存在しない。
押しボタン61のヘッド63が、第1実施形態と比較して薄肉化されて板状に形成されている。図7に示されるように、ロック部材32のロック状態ではヘッド63が板状に視認できず、非ロック状態ではヘッド63が板状に視認できる。このように、ロック状態と非ロック状態とで押しボタン61の見え方が大きく異なるので、押しボタン61の状態を認識し易い。
本実施形態においても、腕時計12における押しボタン部分の外径を大きくすることなく、止め輪64の破損を防止可能とし、かつ腕時計12を部品単位まで分解することができる。
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
11 腕時計
12 腕時計
21 ケース
32 ロック部材
32c 係止部
32d 凹部
33 貫通孔
35 パイプ
40 ストッパ部
41 第1雄ねじ部
42 第2雄ねじ部
45 外パイプ
46 内パイプ
46b 割り溝
48 係合部
49 回転規制部
51 第1雌ねじ部
52 第2雌ねじ部
61 押しボタン
62 軸部
63 ヘッド
64 止め輪
65 対向部
73 ばね
S 押しボタン構造

Claims (4)

  1. 貫通孔が形成された腕時計のケースと、
    前記貫通孔に挿入されて前記ケースに固定され、外周に第1雄ねじ部及びストッパ部が設けられたパイプと、
    前記ストッパ部に接離される係止部、ボタン収容可能な凹部、及び前記第1雄ねじ部に螺合する第1雌ねじ部を夫々備え、前記パイプの軸方向に移動可能に取り付けられたロック部材と、
    前記パイプを貫通した軸部、及び前記凹部の底面と対向する対向部を有して前記ケースの外部に位置されたヘッドを備えて軸方向に移動可能に設けられた押しボタンと、
    前記押しボタンを前記ケースの外側に向けて付勢するばねと、
    前記軸部の前記ケースの内部に位置された軸端部に取り付けられ、前記押しボタンを前記パイプから抜け止めする止め輪と、
    を有し、
    前記パイプは、内周に第2雌ねじ部が設けられ前記ケースの外側から前記貫通孔に挿入される外パイプと、前記第2雌ねじ部に螺合する第2雄ねじ部が設けられ前記ケースの内側から前記外パイプの内側に螺合する内パイプと、を有し、
    前記ケースに対する前記パイプの回転が規制されている押しボタン構造。
  2. 前記第1雄ねじ部は、前記外パイプの外周に設けられ、
    前記外パイプの外周のうち前記ケースに当接する部位に係合部が設けられ、
    前記ケースのうち前記外パイプが当接する部分に、前記係合部を係止して前記外パイプの回転を規制する回転規制部が設けられている請求項1に記載の押しボタン構造。
  3. 前記内パイプのうち、前記ケースの外側に位置する端面には、割り溝が形成されている請求項1又は請求項2に記載の押しボタン構造。
  4. 請求項1~請求項3の何れか1項に記載の押しボタン構造を有する腕時計。
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