JP7515342B2 - シール付玉軸受 - Google Patents

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この発明は、内輪と外輪の間にシール部材が設けられたシール付玉軸受に関する。
自動車や産業機械などの回転軸を支持する軸受として、玉軸受が多く用いられる。一般に、玉軸受は、内輪と、内輪の径方向外側に同軸に設けられた外輪と、内輪と外輪の間の環状空間内に設けられた複数の玉と、その複数の玉を保持する保持器とを有する。
保持器としては、例えば、特許文献1のように、玉の通過領域に隣接して周方向に延びる保持器円環部と、保持器円環部から周方向に隣り合う玉の間を軸方向に延びる片持ち梁状の保持器爪部とを有する樹脂製保持器(いわゆる冠形保持器)が知られている。保持器爪部は、玉の表面に対向する玉案内面を有し、この玉案内面は、玉を抱え込むように玉の表面に沿った凹球面とされている。
また、例えば、特許文献2のように、玉軸受の外部から内部に異物が侵入するのを防止したり、玉軸受の内部から外部に潤滑剤(潤滑油やグリースなど)が漏れたりするのを防止したりするため、内輪と外輪の間に形成される環状空間の軸方向の端部開口を、環状のシール部材で塞いだシール付玉軸受が使用されることがある。
特許第3035766号公報 国際公開第2016/143786号公報
近年、EV(バッテリー式電気自動車)やHEV(ハイブリッド電気自動車)等の電気自動車の分野では、電動モータの小型軽量化を図るために、電動モータの高速回転化が進められている。このような電動モータの回転が入力される回転軸を支持する玉軸受は、dmn値(玉のピッチ円直径dm(mm)×回転数n(min-1))が200万を超える条件で使用されることもある。
本願の発明者らは、EVやHEV等の高速回転する回転軸を支持する玉軸受に、冠形保持器を使用することを検討した。
しかしながら、高速回転する玉軸受に冠形保持器を使用する場合、片持ち梁状の保持器爪部に作用する遠心力によって、保持器爪部を径方向外方に向かって傾ける方向のねじり変形が保持器円環部に生じ、その変形によって保持器爪部が玉に干渉するおそれがあることが分かった。保持器爪部が玉に干渉すると、玉軸受の発熱の原因となる。
特に、冠形保持器を使用する軸受が、シール付玉軸受でもある場合、冠形保持器の保持器円環部がシール部材に接触すれば、その接触部分の摺動抵抗によって異常発熱するおそれがあるので、保持器円環部がシール部材に接触しないように、保持器円環部の軸方向幅寸法を抑える必要がある。そのため、保持器円環部の剛性を高めることが難しく、保持器爪部に作用する遠心力によって保持器円環部にねじり変形が生じやすく、保持器爪部が玉に干渉しやすい。
このように、冠形保持器をシール付玉軸受に使用した場合、そのシール付玉軸受を高速回転の用途に使用することが難しかった。また、軸受の設置部位のスペースが狭く、軸受の幅寸法を小さく抑える必要があるときに、冠形保持器がシール部材に接触するのを回避することが難しいことから、シール付玉軸受を採用することを断念し、シール部材を設けずに軸方向の両端が開放した開放型の玉軸受を採用せざるを得ないこともあった。
この発明が解決しようとする課題は、高速回転で使用したときに遠心力による樹脂製保持器の変形が生じにくいシール付玉軸受を提供することである。
上記の課題を解決するため、この発明では、以下の構成をシール付玉軸受に採用する。
内輪と、
前記内輪の径方向外側に同軸に設けられた外輪と、
前記内輪と前記外輪の間に形成される環状空間に組み込まれた複数の玉と、
前記環状空間の軸方向の一方の端部開口を塞ぐ環状のシール部材と、
前記複数の玉を保持する樹脂製保持器と、を備え、
前記樹脂製保持器は、前記玉の通過領域と前記シール部材とで軸方向に挟まれる領域を周方向に延びる保持器円環部と、前記保持器円環部から周方向に隣り合う前記玉の間を軸方向に延びる片持ち梁状の保持器爪部とを有するシール付玉軸受において、
前記保持器円環部は、前記シール部材と軸方向に対向して摺接する保持器側摺接面を有し、
前記シール部材は、前記保持器側摺接面に摺接するシール側摺接面を有し、
前記保持器側摺接面と前記シール側摺接面のうちの一方の摺接面に、周方向に沿った断面形状が軸方向に凸の円弧状の複数の軸方向突起が周方向に一定ピッチで形成されていることを特徴とするシール付玉軸受。
このようにすると、保持器側摺接面とシール側摺接面のうちの一方の摺接面に、周方向に沿った断面形状が軸方向に凸の円弧状の複数の軸方向突起が周方向に一定ピッチで形成されているので、その軸方向突起と摺接面の間に、くさび膜効果による油膜が形成され、その油膜によって軸方向突起と摺接面の間が流体潤滑状態となり、保持器とシール部材の間の接触抵抗をきわめて小さく抑えることができる。そのため、保持器とシール部材の接触部分の摺動抵抗によって異常発熱するのを防止することができる。また、保持器円環部がシール部材に摺接して設けられているので、保持器円環部の軸方向厚さを大きく設定することができ、保持器円環部の剛性を高めることが可能となる。そのため、高速回転で使用したときにも、保持器爪部が受ける遠心力による保持器円環部のねじり変形を抑えることができ、保持器爪部が径方向外方に向かって傾くのを抑えることができる。
前記保持器爪部の軸方向長さが、前記玉の半径よりも大きく設定され、
前記保持器爪部は、前記玉と周方向に対向する周方向対向面を有し、
前記周方向対向面の、前記玉を周方向に受け止める部分は、前記玉を受け止めたときに軸方向分力を生じないように、周方向の傾斜をもたず軸方向に真っ直ぐ延びるストレート形状とされている構成を採用すると好ましい。
このようにすると、玉が保持器爪部に受け止められたときに、保持器爪部に軸方向分力が生じないので、保持器がシール部材に軸方向に強く押し付けられるのを防ぐことができる。そのため、保持器とシール部材の接触部分の摺動抵抗を効果的に抑えることが可能となる。
前記周方向対向面の、前記玉を周方向に受け止める部分は、遠心力で前記保持器爪部が径方向外方に移動したときに前記周方向対向面が前記玉に干渉しないように、保持器円環部の中心と保持器爪部の中心とを結ぶ直線と平行に延びている構成を採用すると好ましい。
このようにすると、保持器爪部に作用する遠心力によって、保持器円環部および保持器爪部が変形し、その変形に伴って保持器爪部が径方向外方に移動したときに、保持器爪部の周方向対向面が玉に干渉するのを防止することができる。
前記軸方向突起は、周方向に沿った断面における軸方向に凸の円弧状の頂部の高さが径方向に沿って一定の平行頂部と、周方向に沿った断面における軸方向に凸の円弧状の頂部の高さが前記平行頂部の径方向外端から径方向外方に向かって次第に低くなる傾斜頂部とを有する構成を採用すると好ましい。
このようにすると、低速で軸受が回転し、保持器爪部が受ける遠心力が比較的小さいときには、軸方向突起の平行頂部と摺接面との間に、くさび膜効果による油膜を形成することができる。また、高速で軸受が回転し、保持器爪部が受ける遠心力が比較的大きいときには、保持器円環部が比較的大きいねじり変形を生じた状態で、軸方向突起の平行頂部および傾斜頂部と摺接面との間に、くさび膜効果による油膜を形成することができる。このように、軸受の回転速度によらず、安定して保持器とシール部材との間にくさび膜効果による油膜を形成することが可能となる。
前記傾斜頂部は、周方向に直交する断面形状が、前記平行頂部と滑らかに接続するR形状とすると好ましい。
このようにすると、傾斜頂部と平行頂部とが滑らかに接続しているので、保持器円環部が比較的大きいねじり変形を生じた状態で、平行頂部および傾斜頂部と摺接面との間にくさび膜効果による油膜を形成するときに、その油膜を安定して形成することが可能である。
前記複数の軸方向突起は、前記玉のピッチ円に重なる位置かそれよりも径方向外側に配置すると好ましい。
このようにすると、保持器爪部に作用する遠心力によって、保持器爪部を径方向外方に向かって傾ける方向のねじり変形が保持器円環部に生じたときに、そのねじり変形により、保持器側摺接面とシール側摺接面とが、軸方向突起よりも径方向外側に外れた位置で接触する事態を防止することができる。
前記軸方向突起が、前記シール側摺接面に形成されている場合、
前記シール部材は、環状の芯金と、前記芯金の表面に加硫接着されたゴム材とを有し、
前記軸方向突起は、前記ゴム材で形成されている構成を採用すると好ましい。
このようにすると、高い寸法精度をもつ軸方向突起を低コストで形成することが可能である。
前記保持器円環部の内周に、前記内輪の外周に摺接して案内される保持器被案内面を形成すると好ましい。
このようにすると、保持器円環部の内周の保持器被案内面と内輪の外周との摺接により、樹脂製保持器を径方向に位置決めすることができる。
前記樹脂製保持器の内周には、前記保持器爪部の径方向内側面と前記保持器被案内面とを軸方向に貫通して形成された内径側油溝を設けると好ましい。
このようにすると、保持器爪部の径方向内側の領域に供給された潤滑剤が、内径側油溝を通って、保持器円環部とシール部材の間の領域に導入される。そのため、保持器側摺接面とシール側摺接面のうちの一方の摺接面と軸方向突起との間を十分に潤滑して、効果的にくさび膜による油膜を形成することが可能となる。
前記保持器円環部は、周方向に直交する断面において前記保持器側摺接面と前記保持器被案内面との間を斜めに接続する面取り部を有する構成を採用すると好ましい。
このようにすると、保持器爪部の径方向内側の領域から、内径側油溝を通って、保持器円環部とシール部材の間の領域に導入された潤滑剤を、遠心力の作用で面取り部に沿って円滑に保持器側摺接面まで導くことが可能となる。
前記保持器爪部の径方向外側面には、前記保持器爪部の先端から前記保持器円環部に向かって軸方向に延びる外径側油溝が形成され、
前記外径側油溝は、前記保持器爪部の先端の側から前記保持器円環部の側に向かって溝底の位置が次第に径方向外側に変化する形状を有する構成を採用すると好ましい。
このようにすると、外径側油溝の溝底の位置が、保持器爪部の先端の側から保持器円環部の側に向かって次第に径方向外側に変化するので、外径側油溝内に供給された潤滑剤が、ポンピング作用によって、保持器爪部の先端の側から保持器円環部の側に向かって移動し、保持器円環部とシール部材の間の領域に導入される。そのため、保持器側摺接面とシール側摺接面のうちの一方の摺接面と軸方向突起との間を十分に潤滑して、効果的にくさび膜による油膜を形成することが可能となる。
前記環状空間の前記シール部材で塞がれた側の軸方向端部とは反対側の軸方向端部は、外部から供給される潤滑剤を前記環状空間に受け入れるように、シール部材を設けずに開放している構成を採用すると好ましい。
このようにすると、保持器側摺接面とシール側摺接面のうちの一方の摺接面と軸方向突起との間を十分に潤滑して、確実にくさび膜による油膜を形成することが可能となる。
上記構成のシール付玉軸受は、電気自動車の電動モータの回転を減速する電気自動車用トランスミッションの軸受として使用すると特に好適である。
この発明のシール付玉軸受は、保持器側摺接面とシール側摺接面のうちの一方の摺接面に、周方向に沿った断面形状が軸方向に凸の円弧状の複数の軸方向突起が周方向に一定ピッチで形成されているので、その軸方向突起と摺接面の間に、くさび膜効果による油膜が形成され、その油膜によって軸方向突起と摺接面の間が流体潤滑状態となり、保持器とシール部材の間の接触抵抗をきわめて小さく抑えることができる。そのため、保持器とシール部材の接触部分の摺動抵抗によって異常発熱するのを防止することができる。また、保持器円環部がシール部材に摺接して設けられているので、保持器円環部の軸方向厚さを大きく設定することができ、保持器円環部の剛性を高めることが可能となる。そのため、高速回転で使用したときにも、保持器爪部が受ける遠心力による保持器円環部のねじり変形を抑えることができ、保持器爪部が径方向外方に向かって傾くのを抑えることができる。
この発明の第1実施形態にかかるシール付玉軸受を示す断面図 図1のII-II線に沿った断面図 図1のIII-III線に沿った断面図 図1のシール付玉軸受のシール部材の近傍の拡大断面図 図4のV-V線に沿った断面図 図1の保持器を保持器爪部の側から見た斜視図 図1の保持器を保持器円環部の側から見た斜視図 図1の保持器を保持器円環部の側から見た側面図 図8に示す保持器の変形例を示す側面図 図1のシール部材のシールリップの近傍を拡大して示す図 図10のXI-XI線に沿った断面図 図1のシール付玉軸受を組み込んだ電気自動車用トランスミッションの概略図 この発明の第2実施形態にかかるシール付玉軸受を図4に対応して示す断面図 図13のXIV-XIV線に沿った断面図 図14に示す軸方向突起をシール側摺接面の側から見た図
図1に、この発明の第1実施形態にかかるシール付玉軸受1を示す。このシール付玉軸受1は、内輪2と、内輪2の径方向外側に同軸に設けられた外輪3と、内輪2と外輪3の間に形成される環状空間4内に周方向に間隔をおいて組み込まれた複数の玉5と、環状空間4の軸方向の両側の端部開口のうち一方の端部開口を塞ぐ環状のシール部材6と、複数の玉5の周方向の間隔を保持する樹脂製保持器7(以下単に「保持器7」という)とを有する。
内輪2の外周には、玉5が転がり接触する内輪軌道溝8と、内輪軌道溝8の軸方向外側に位置する一対の内輪溝肩部9と、内輪溝肩部9の軸方向外側に位置する摺動凹部10とが形成されている。内輪軌道溝8は、玉5の表面に沿った凹円弧状の断面をもつ円弧溝であり、内輪2の外周の軸方向中央を周方向に延びて形成されている。一対の内輪溝肩部9は、内輪軌道溝8を軸方向に挟む両側を周方向に延びる土手状の部分である。摺動凹部10は、内輪溝肩部9の軸方向外側に隣接して形成された周方向に延びる凹部である。摺動凹部10の内面には、シール部材6の内径側端部に設けられたシールリップ11が摺接している。図では、摺動凹部10の内面のシールリップ11が摺接する面は、軸方向に沿って一定の外径をもつ円筒面である。
外輪3の内周には、玉5が転がり接触する外輪軌道溝12と、外輪軌道溝12の軸方向外側に位置する一対の外輪溝肩部13と、外輪溝肩部13の軸方向外側に位置するシール固定溝14とが形成されている。外輪軌道溝12は、玉5の表面に沿った凹円弧状の断面をもつ円弧溝であり、外輪3の内周の軸方向中央を周方向に延びて形成されている。一対の外輪溝肩部13は、外輪軌道溝12を軸方向に挟む両側を周方向に延びる土手状の部分である。シール固定溝14は、外輪溝肩部13の軸方向外側に隣接して形成された周方向に延びる溝である。シール固定溝14には、シール部材6の外径側端部に設けられた嵌合部15が嵌合して固定されている。
玉5は、外輪軌道溝12と内輪軌道溝8との間で径方向に挟み込まれている。外輪軌道溝12の軸方向幅寸法は、玉5の直径の半分よりも大きい。また、内輪軌道溝8の軸方向幅寸法は、玉5の直径の半分よりも大きい。
図4に示すように、シール部材6は、環状の芯金16の表面にゴム材17(例えばニトリルゴム、アクリルゴムなど)を加硫接着して形成された環状の部材である。シール部材6は、シール固定溝14に嵌合する嵌合部15と、嵌合部15から径方向内方に延びる円環板部18と、摺動凹部10の内面に摺接するシールリップ11とを有する。芯金16は、円環板状のフランジ部19と、フランジ部19の径方向外端に沿って軸方向内側に曲げられた円筒部20とを有する。フランジ部19は、シール部材6の円環板部18に埋め込まれ、円筒部20は、シール部材6の嵌合部15に埋め込まれている。
図1に示すように、シール部材6は、環状空間4の軸方向の両側の端部開口のうち一方の端部開口のみに設けられている。すなわち、環状空間4のシール部材6で塞がれた側(図では右側)の軸方向端部とは反対側(図では左側)の軸方向端部は、外部から供給される潤滑油を環状空間4に受け入れるように、シール部材6を設けずに開放している。
保持器7は、玉5の通過領域とシール部材6とで軸方向に挟まれる領域を周方向に延びる保持器円環部21と、保持器円環部21から周方向に隣り合う玉5の間を軸方向に延びる保持器爪部22とを有する。保持器円環部21と保持器爪部22は、樹脂組成物によって継ぎ目の無い一体に形成されている。保持器円環部21と保持器爪部22とを形成する樹脂組成物は、樹脂材のみからなるものを使用することも可能であるが、ここでは、樹脂材に繊維強化材を添加したものが使用されている。
樹脂組成物のベースとなる樹脂材としては、ポリアミド(PA)またはスーパーエンジニアリングプラスチックを採用することができる。ポリアミドとしては、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド66(PA66)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(PA9T)等を使用することができる。また、スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を採用することができる。樹脂材に添加する繊維強化材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等を採用することができる。
保持器爪部22は、軸方向の一端を保持器円環部21に固定された固定端とし、軸方向の他端を自由端とする片持ち梁状に形成されている。保持器爪部22の軸方向長さは、玉5の半径よりも大きく設定されている。保持器爪部22は、保持器円環部21に近い側(根元側)から遠い側(先端側)に向かって径方向厚さが次第に小さくなる先細形状となっている。
図2に示すように、保持器爪部22は、玉5と周方向に対向する周方向対向面23を有する。周方向対向面23の玉5を周方向に受け止める部分は、遠心力で保持器爪部22が径方向外方に移動したときに周方向対向面23が玉5に干渉しないように、軸方向に見て、保持器円環部21の中心と保持器爪部22の中心とを結ぶ仮想の直線と平行に延びている。ここで、保持器円環部21の中心は、内輪2の中心または外輪3の中心と同じ位置である。また、保持器爪部22の中心は、軸方向に見て、保持器爪部22の周方向両側に位置する一対の周方向対向面23の中間位置である。
図3に示すように、周方向対向面23の、玉5を周方向に受け止める部分は、玉5を受け止めたときに軸方向分力を生じないように、径方向に見て、周方向の傾斜をもたず軸方向にまっすぐ延びるストレート形状となっている。
図4に示すように、保持器円環部21の軸方向厚さは、玉5とシール部材6の間の軸方向の間隔とほぼ同じ大きさ(具体的には、玉5とシール部材6の間の軸方向の間隔の95%以上、100%未満の大きさ)となっている。保持器円環部21は、シール部材6と軸方向に対向して摺接する保持器側摺接面24を有し、シール部材6は、保持器側摺接面24に摺接するシール側摺接面25を有する。
図5に示すように、保持器側摺接面24には、複数の軸方向突起26が周方向に一定ピッチで形成されている。各軸方向突起26は、周方向に沿った断面形状が軸方向に凸の円弧状となるように形成されている。また、軸方向突起26の軸方向高さは、軸方向突起26の周方向の幅寸法の5%以下に設定されている。図では、軸方向突起26の存在を分かりやすくするために、軸方向突起26の軸方向高さを誇張して示している。一方、シール側摺接面25は、軸方向に直角な円環状の平面であり、軸方向突起26は形成されていない。
図4に示すように、軸方向突起26は、玉5のピッチ円(複数の玉5の中心を結ぶ仮想の円)に重なる位置かそれよりも径方向外側に配置されている。ここで、軸方向突起26が、玉5のピッチ円に重なる位置に配置されるとは、玉5のピッチ円を通る仮想の円筒面が軸方向突起26の位置を通過する位置関係にあることをいい、軸方向突起26が、玉5のピッチ円よりも径方向外側に配置されるとは、軸方向突起26の全体が、玉5のピッチ円を通る仮想の円筒面よりも径方向外側にある位置関係をいう。図では、軸方向突起26は、玉5のピッチ円よりも径方向外側に配置されている。
図4、図7に示すように、軸方向突起26は、平行頂部27と第1の傾斜頂部28と第2の傾斜頂部29とを有する。平行頂部27は、周方向に沿った断面における軸方向に凸の円弧状の頂部の高さが径方向に沿って一定の部分である。第1の傾斜頂部28は、周方向に沿った断面における軸方向に凸の円弧状の頂部の高さが平行頂部27の径方向外端から径方向外方に向かって次第に低くなる部分である。第2の傾斜頂部29は、周方向に沿った断面の軸方向に凸の円弧状の頂部の高さが平行頂部27の径方向内端から径方向内方に向かって次第に低くなる部分である。図4に示すように、第1の傾斜頂部28は、周方向に直交する断面形状が、平行頂部27と滑らかに接続するR形状となっている。第2の傾斜頂部29も、周方向に直交する断面形状が、平行頂部27と滑らかに接続するR形状となっている。
図4に示すように、保持器円環部21の内周には、内輪2の外周の内輪溝肩部9に摺接して案内される保持器被案内面30が形成されている。図8に示すように、保持器被案内面30は、内輪溝肩部9に直接摺接する円環面である。図9に示すように、保持器被案内面30は、径方向内方に突出する凸円弧状の複数の突起31が周方向に間隔をおいて形成された円環面とすることも可能である。
図4に示すように、保持器7の内周には、保持器爪部22の径方向内側面32と保持器被案内面30とを軸方向に貫通して形成された内径側油溝33が設けられている。内径側油溝33は、図2に示すように、保持器爪部22の先端の周方向の幅の半分以上の大きさの溝幅を有する。
図4に示すように、保持器円環部21は、周方向に直交する断面において、保持器側摺接面24と保持器被案内面30との間を斜めに接続する面取り部34を有する。この面取り部34を設けたことに伴い、保持器円環部21の径方向内端の軸方向幅は、保持器円環部21の軸方向幅が最も大きくなる部位の軸方向幅の半分以下の大きさの軸方向幅となっている。また、保持器円環部21は、周方向に直交する断面において、保持器側摺接面24と保持器円環部21の外周面との間を斜めに接続する面取り部35を有する。
保持器爪部22の径方向外側面36には、保持器爪部22の先端から保持器円環部21に向かって軸方向に延びる外径側油溝37が形成されている。外径側油溝37は、保持器爪部22の先端の側から保持器円環部21の側に向かって溝底の位置が次第に径方向外側に変化する形状を有する。図3、図6に示すように、外径側油溝37は、保持器爪部22の先端の周方向の幅の半分以上の大きさの溝幅を有する。また、保持器円環部21の外周には、外径側油溝37と対応する位置に軸方向の切り欠き38が形成されている。
図10、図11に示すように、シールリップ11の内径側端部には、内輪2の外周の摺動凹部10と摺接する複数の突起39が周方向に間隔をおいて設けられている。突起39は、周方向に対して直交する方向に延びるように形成されている。図11に示すように、各突起39は、凸円弧状の断面形状を有する。
上記のシール付玉軸受1は、図12に示すように、EV(バッテリー式電気自動車)やHEV(ハイブリッド電気自動車)等の電気自動車の電動モータ41の回転を減速する電気自動車用トランスミッション40の軸受として使用することが可能である。この電気自動車用トランスミッション40の軸受は、車両走行中、低速域から高速域まで幅広い回転数で回転し、軸受が最も高速で回転するときは、dmn値(玉5のピッチ円直径(mm)×回転数(min-1))が200万を超える条件で使用される。
図12に示すトランスミッションは、電動モータ41のステータ42と、電動モータ41のロータ43と、ロータ43に連結された回転軸44と、回転軸44を回転可能に支持するシール付玉軸受1と、回転軸44と平行に配置された第2回転軸45および第3回転軸46と、回転軸44の回転を第2回転軸45に伝達する第1ギヤ列47と、第2回転軸45の回転を第3回転軸46に伝達する第2ギヤ列48とを有する。ステータ42は環状の静止部材であり、そのステータ42の内側に回転部材としてのロータ43が配置されている。ステータ42に通電すると、ステータ42とロータ43の間に働く電磁力によってロータ43が回転し、そのロータ43の回転が回転軸44に入力される。
このシール付玉軸受1は、図5に示すように、保持器側摺接面24に、周方向に沿った断面形状が軸方向に凸の円弧状の複数の軸方向突起26が周方向に一定ピッチで形成されているので、その軸方向突起26とシール側摺接面25の間に、くさび膜効果による油膜が形成され、その油膜によって軸方向突起26とシール側摺接面25の間が流体潤滑状態となり、保持器7とシール部材6の間の接触抵抗をきわめて小さく抑えることができる。そのため、保持器7とシール部材6の接触部分の摺動抵抗によって異常発熱するのを防止することができる。
ここで、摺接面間の潤滑状態は、境界潤滑状態と流体潤滑状態とに区別される。境界潤滑状態は、各摺接面に吸着した潤滑油の数層の分子層(10-5~10-6mm程度)からなる油膜で摺接面を潤滑し、摺接面の細かい凹凸の直接接触が生じている状態をいい、一方、流体潤滑状態は、くさび膜効果によって摺接面間に油膜(例えば10-3~10-1mm程度)を形成し、その油膜によって摺接面同士の直接接触が生じていない状態(油膜を介した間接的な接触のみが生じている状態)をいう。くさび膜効果が発生し流体潤滑状態になると、摺動抵抗がほぼゼロになるため、従来は不可能だった高周速での使用が可能となる。
また、このシール付玉軸受1は、図4に示すように、保持器円環部21がシール部材6に摺接して設けられているので、保持器円環部21の軸方向厚さを大きく設定し、保持器円環部21の剛性を高めることが可能となる。そのため、高速回転で使用したときにも、保持器爪部22が受ける遠心力による保持器円環部21のねじり変形を抑えることができ、保持器爪部22が径方向外方に向かって傾くのを抑えることができる。
また、このシール付玉軸受1は、軸受の設置部位のスペースが狭く、軸受の幅寸法を小さく抑える必要がある箇所(すなわち、従来は、シール付玉軸受を採用することを断念せざるを得ず、シール部材6を設けずに軸方向の両端が開放した開放型の玉軸受を採用せざるを得なかった箇所)にも設置することが可能である。
また、このシール付玉軸受1は、図3に示すように、周方向対向面23の玉5を周方向に受け止める部分が、周方向の傾斜をもたず軸方向に真っ直ぐ延びるストレート形状とされているので、玉5が保持器爪部22に受け止められたときに、保持器爪部22に軸方向分力が生じない。そのため、保持器7がシール部材6に軸方向に強く押し付けられるのを防ぐことができ、保持器7とシール部材6の接触部分の摺動抵抗を効果的に抑えることが可能である。
また、このシール付玉軸受1は、図2に示すように、周方向対向面23の玉5を周方向に受け止める部分が、保持器円環部21の中心と保持器爪部22の中心とを結ぶ直線と平行に延びているので、保持器爪部22に作用する遠心力によって、保持器円環部21および保持器爪部22が変形し、その変形に伴って保持器爪部22が径方向外方に移動したときに、保持器爪部22の周方向対向面23が玉5に干渉するのを防止することができる。
また、このシール付玉軸受1は、図4に示すように、平行頂部27と傾斜頂部とを有する軸方向突起26を採用しているので、低速で軸受が回転し、保持器爪部22が受ける遠心力が比較的小さいときには、軸方向突起26の平行頂部27とシール側摺接面25との間に、くさび膜効果による油膜を形成することができる。また、高速で軸受が回転し、保持器爪部22が受ける遠心力が比較的大きいときには、保持器円環部21が比較的大きいねじり変形を生じた状態で、軸方向突起26の平行頂部27および傾斜頂部とシール側摺接面25との間に、くさび膜効果による油膜を形成することができる。このように、軸受の回転速度によらず、安定して保持器7とシール部材6との間にくさび膜効果による油膜を形成することが可能である。
また、このシール付玉軸受1は、図4に示すように、第1の傾斜頂部28の周方向に直交する断面形状がR形状であり、第1の傾斜頂部28と平行頂部27とが滑らかに接続しているので、保持器円環部21が比較的大きいねじり変形を生じた状態で、平行頂部27および第1の傾斜頂部28とシール側摺接面25との間にくさび膜効果による油膜を形成するときに、その油膜を安定して形成することが可能である。
また、このシール付玉軸受1は、図4に示すように、軸方向突起26が、玉5のピッチ円に重なる位置かそれよりも径方向外側に配置されているので、保持器爪部22に作用する遠心力によって、保持器爪部22を径方向外方に向かって傾ける方向のねじり変形が保持器円環部21に生じたときに、そのねじり変形により、保持器側摺接面24とシール側摺接面25とが、軸方向突起26よりも径方向外側に外れた位置で接触する事態を防止することができる。
また、このシール付玉軸受1は、図4に示すように、保持器円環部21の内周に、内輪2の外周に摺接して案内される保持器被案内面30が形成されているので、保持器円環部21の内周の保持器被案内面30と内輪2の外周との摺接により、保持器7を径方向に位置決めすることが可能となっている。
また、このシール付玉軸受1は、図4に示すように、保持器7の内周に内径側油溝33を設けているので、保持器爪部22の径方向内側の領域に供給された潤滑油が、内径側油溝33を通って、保持器円環部21とシール部材6の間の領域に導入される。そのため、シール側摺接面25と軸方向突起26との間を十分に潤滑して、効果的にくさび膜による油膜を形成することが可能である。
また、このシール付玉軸受1は、図4に示すように、周方向に直交する断面において、保持器側摺接面24と保持器被案内面30との間を斜めに接続する面取り部34を有する保持器円環部21を採用しているので、保持器爪部22の径方向内側の領域から、内径側油溝33を通って、保持器円環部21とシール部材6の間の領域に導入された潤滑油を、遠心力の作用で面取り部34に沿って円滑に保持器側摺接面24まで導くことが可能である。
また、このシール付玉軸受1は、図4に示すように、外径側油溝37の溝底の位置が、保持器爪部22の先端の側から保持器円環部21の側に向かって次第に径方向外側に変化するので、外径側油溝37内に供給された潤滑油が、ポンピング作用によって、保持器爪部22の先端の側から保持器円環部21の側に向かって移動し、保持器円環部21とシール部材6の間の領域に導入される。そのため、シール側摺接面25と軸方向突起26との間を十分に潤滑して、効果的にくさび膜による油膜を形成することが可能である。
また、このシール付玉軸受1は、環状空間4のシール部材6で塞がれた側の軸方向端部とは反対側の軸方向端部が開放しているので、シール側摺接面25と軸方向突起26との間を十分に潤滑して、確実にくさび膜による油膜を形成することが可能である。
上記実施形態では、軸受の内部を潤滑する潤滑剤として潤滑油を用いたオイル潤滑のシール付玉軸受1を例に挙げて説明したが、この発明は、軸受の内部を潤滑する潤滑剤としてグリースを用いたグリース潤滑のシール付玉軸受1にも適用可能である。グリースは、潤滑油と、この潤滑油中に分散する増ちょう剤とを含む半固体状の潤滑剤である。
図13に、第2実施形態にかかるシール付玉軸受1を示す。第1実施形態は、保持器側摺接面24とシール側摺接面25のうちの保持器側摺接面24に軸方向突起26を設けたのに対し、第2実施形態は、シール側摺接面25に軸方向突起26を設けた点で異なり、それ以外の構成は同じである。そのため、第1実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図14に示すように、シール側摺接面25には、複数の軸方向突起26が周方向に一定ピッチで形成されている。軸方向突起26は、シール部材6を構成するゴム材17に金型で成形されている。各軸方向突起26は、周方向に沿った断面形状が軸方向に凸の円弧状となるように形成されている。また、軸方向突起26の軸方向高さは、軸方向突起26の周方向の幅寸法の5%以下に設定されている。図では、軸方向突起26の存在を分かりやすくするために、軸方向突起26の軸方向高さを誇張して示している。一方、保持器側摺接面24は、軸方向に直角な円環状の平面であり、軸方向突起26は形成されていない。
図13に示すように、軸方向突起26は、玉5のピッチ円(複数の玉5の中心を結ぶ仮想の円)に重なる位置かそれよりも径方向外側に配置されている。
図13、図15に示すように、軸方向突起26は、平行頂部27と第1の傾斜頂部28と第2の傾斜頂部29とを有する。平行頂部27は、周方向に沿った断面における軸方向に凸の円弧状の頂部の高さが径方向に沿って一定の部分である。第1の傾斜頂部28は、周方向に沿った断面における軸方向に凸の円弧状の頂部の高さが平行頂部27の径方向外端から径方向外方に向かって次第に低くなる部分である。第2の傾斜頂部29は、周方向に沿った断面の軸方向に凸の円弧状の頂部の高さが平行頂部27の径方向内端から径方向内方に向かって次第に低くなる部分である。図13に示すように、第1の傾斜頂部28は、周方向に直交する断面形状が、平行頂部27と滑らかに接続するR形状となっている。第2の傾斜頂部29も、周方向に直交する断面形状が、平行頂部27と滑らかに接続するR形状となっている。
このシール付玉軸受1は、図14に示すように、シール側摺接面25に、周方向に沿った断面形状が軸方向に凸の円弧状の複数の軸方向突起26が周方向に一定ピッチで形成されているので、その軸方向突起26と保持器側摺接面24の間に、くさび膜効果による油膜が形成され、その油膜によって軸方向突起26と保持器側摺接面24の間が流体潤滑状態となり、保持器7とシール部材6の間の接触抵抗をきわめて小さく抑えることができる。そのため、保持器7とシール部材6の接触部分の摺動抵抗によって異常発熱するのを防止することができる。
また、このシール付玉軸受1は、図13に示すように、平行頂部27と傾斜頂部とを有する軸方向突起26を採用しているので、低速で軸受が回転し、保持器爪部22が受ける遠心力が比較的小さいときには、軸方向突起26の平行頂部27と保持器側摺接面24との間に、くさび膜効果による油膜を形成することができる。また、高速で軸受が回転し、保持器爪部22が受ける遠心力が比較的大きいときには、保持器円環部21が比較的大きいねじり変形を生じた状態で、軸方向突起26の平行頂部27および傾斜頂部と保持器側摺接面24との間に、くさび膜効果による油膜を形成することができる。このように、軸受の回転速度によらず、安定して保持器7とシール部材6との間にくさび膜効果による油膜を形成することが可能である。
また、このシール付玉軸受1は、図13に示すように、第1の傾斜頂部28の周方向に直交する断面形状がR形状であり、第1の傾斜頂部28と平行頂部27とが滑らかに接続しているので、保持器円環部21が比較的大きいねじり変形を生じた状態で、平行頂部27および第1の傾斜頂部28と保持器側摺接面24との間にくさび膜効果による油膜を形成するときに、その油膜を安定して形成することが可能である。
また、このシール付玉軸受1は、図13に示すように、保持器7の内周に内径側油溝33を設けているので、保持器爪部22の径方向内側の領域に供給された潤滑油が、内径側油溝33を通って、保持器円環部21とシール部材6の間の領域に導入される。そのため、保持器側摺接面24と軸方向突起26との間を十分に潤滑して、効果的にくさび膜による油膜を形成することが可能である。
その他の作用効果も第1実施形態と同様である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 シール付玉軸受
2 内輪
3 外輪
4 環状空間
5 玉
6 シール部材
7 樹脂製保持器
16 芯金
17 ゴム材
21 保持器円環部
22 保持器爪部
23 周方向対向面
24 保持器側摺接面
25 シール側摺接面
26 軸方向突起
27 平行頂部
28 第1の傾斜頂部
30 保持器被案内面
32 径方向内側面
33 内径側油溝
34 面取り部
36 径方向外側面
37 外径側油溝
40 電気自動車用トランスミッション
41 電動モータ

Claims (20)

  1. 内輪(2)と、
    前記内輪(2)の径方向外側に同軸に設けられた外輪(3)と、
    前記内輪(2)と前記外輪(3)の間に形成される環状空間(4)に組み込まれた複数の玉(5)と、
    前記環状空間(4)の軸方向の一方の端部開口を塞ぐ環状のシール部材(6)と、
    前記複数の玉(5)を保持する樹脂製保持器(7)と、を備え、
    前記樹脂製保持器(7)は、前記玉(5)の通過領域と前記シール部材(6)とで軸方向に挟まれる領域を周方向に延びる保持器円環部(21)と、前記保持器円環部(21)から周方向に隣り合う前記玉(5)の間を軸方向に延びる片持ち梁状の保持器爪部(22)とを有するシール付玉軸受において、
    前記保持器円環部(21)は、前記シール部材(6)と軸方向に対向して摺接する保持器側摺接面(24)を有し、
    前記シール部材(6)は、前記保持器側摺接面(24)に摺接するシール側摺接面(25)を有し、
    前記保持器側摺接面(24)と前記シール側摺接面(25)のうちの一方の摺接面に、周方向に沿った断面形状が軸方向に凸の円弧状の複数の軸方向突起(26)が周方向に一定ピッチで形成され
    前記軸方向突起(26)は、周方向に沿った断面における軸方向に凸の円弧状の頂部の高さが径方向に沿って一定の平行頂部(27)と、周方向に沿った断面における軸方向に凸の円弧状の頂部の高さが前記平行頂部(27)の径方向外端から径方向外方に向かって次第に低くなる傾斜頂部(28)とを有することを特徴とするシール付玉軸受。
  2. 前記保持器爪部(22)の軸方向長さが、前記玉(5)の半径よりも大きく設定され、
    前記保持器爪部(22)は、前記玉(5)と周方向に対向する周方向対向面(23)を有し、
    前記周方向対向面(23)の、前記玉(5)を周方向に受け止める部分は、前記玉(5)を受け止めたときに軸方向分力を生じないように、周方向の傾斜をもたず軸方向に真っ直ぐ延びるストレート形状とされている請求項1に記載のシール付玉軸受。
  3. 前記周方向対向面(23)の、前記玉(5)を周方向に受け止める部分は、遠心力で前記保持器爪部(22)が径方向外方に移動したときに前記周方向対向面(23)が前記玉(5)に干渉しないように、保持器円環部(21)の中心と保持器爪部(22)の中心とを結ぶ直線と平行に延びている請求項2に記載のシール付玉軸受。
  4. 前記傾斜頂部(28)は、周方向に直交する断面形状が、前記平行頂部(27)と滑らかに接続するR形状である請求項1から3のいずれかに記載のシール付玉軸受。
  5. 前記複数の軸方向突起(26)は、前記玉(5)のピッチ円に重なる位置かそれよりも径方向外側に配置されている請求項1からのいずれかに記載のシール付玉軸受。
  6. 前記軸方向突起(26)は、前記シール側摺接面(25)に形成され、
    前記シール部材(6)は、環状の芯金(16)と、前記芯金(16)の表面に加硫接着されたゴム材(17)とを有し、
    前記軸方向突起(26)は、前記ゴム材(17)で形成されている請求項1からのいずれかに記載のシール付玉軸受。
  7. 前記保持器円環部(21)の内周に、前記内輪(2)の外周に摺接して案内される保持器被案内面(30)が形成されている請求項1からのいずれかに記載のシール付玉軸受。
  8. 前記樹脂製保持器(7)の内周には、前記保持器爪部(22)の径方向内側面(32)と前記保持器被案内面(30)とを軸方向に貫通して形成された内径側油溝(33)が設けられている請求項に記載のシール付玉軸受。
  9. 前記保持器円環部(21)は、周方向に直交する断面において前記保持器側摺接面(24)と前記保持器被案内面(30)との間を斜めに接続する面取り部(34)を有する請求項またはに記載のシール付玉軸受。
  10. 前記保持器爪部(22)の径方向外側面(36)には、前記保持器爪部(22)の先端から前記保持器円環部(21)に向かって軸方向に延びる外径側油溝(37)が形成され、
    前記外径側油溝(37)は、前記保持器爪部(22)の先端の側から前記保持器円環部(21)の側に向かって溝底の位置が次第に径方向外側に変化する形状を有する請求項1からのいずれかに記載のシール付玉軸受。
  11. 内輪(2)と、
    前記内輪(2)の径方向外側に同軸に設けられた外輪(3)と、
    前記内輪(2)と前記外輪(3)の間に形成される環状空間(4)に組み込まれた複数の玉(5)と、
    前記環状空間(4)の軸方向の一方の端部開口を塞ぐ環状のシール部材(6)と、
    前記複数の玉(5)を保持する樹脂製保持器(7)と、を備え、
    前記樹脂製保持器(7)は、前記玉(5)の通過領域と前記シール部材(6)とで軸方向に挟まれる領域を周方向に延びる保持器円環部(21)と、前記保持器円環部(21)から周方向に隣り合う前記玉(5)の間を軸方向に延びる片持ち梁状の保持器爪部(22)とを有するシール付玉軸受において、
    前記保持器円環部(21)は、前記シール部材(6)と軸方向に対向して摺接する保持器側摺接面(24)を有し、
    前記シール部材(6)は、前記保持器側摺接面(24)に摺接するシール側摺接面(25)を有し、
    前記保持器側摺接面(24)と前記シール側摺接面(25)のうちの一方の摺接面に、周方向に沿った断面形状が軸方向に凸の円弧状の複数の軸方向突起(26)が周方向に一定ピッチで形成され
    前記保持器爪部(22)の径方向外側面(36)には、前記保持器爪部(22)の先端から前記保持器円環部(21)に向かって軸方向に延びる外径側油溝(37)が形成され、
    前記外径側油溝(37)は、前記保持器爪部(22)の先端の側から前記保持器円環部(21)の側に向かって溝底の位置が次第に径方向外側に変化する形状を有することを特徴とするシール付玉軸受。
  12. 前記保持器爪部(22)の軸方向長さが、前記玉(5)の半径よりも大きく設定され、
    前記保持器爪部(22)は、前記玉(5)と周方向に対向する周方向対向面(23)を有し、
    前記周方向対向面(23)の、前記玉(5)を周方向に受け止める部分は、前記玉(5)を受け止めたときに軸方向分力を生じないように、周方向の傾斜をもたず軸方向に真っ直ぐ延びるストレート形状とされている請求項11に記載のシール付玉軸受。
  13. 前記周方向対向面(23)の、前記玉(5)を周方向に受け止める部分は、遠心力で前記保持器爪部(22)が径方向外方に移動したときに前記周方向対向面(23)が前記玉(5)に干渉しないように、保持器円環部(21)の中心と保持器爪部(22)の中心とを結ぶ直線と平行に延びている請求項12に記載のシール付玉軸受。
  14. 前記複数の軸方向突起(26)は、前記玉(5)のピッチ円に重なる位置かそれよりも径方向外側に配置されている請求項11から13のいずれかに記載のシール付玉軸受。
  15. 前記軸方向突起(26)は、前記シール側摺接面(25)に形成され、
    前記シール部材(6)は、環状の芯金(16)と、前記芯金(16)の表面に加硫接着されたゴム材(17)とを有し、
    前記軸方向突起(26)は、前記ゴム材(17)で形成されている請求項11から14のいずれかに記載のシール付玉軸受。
  16. 前記保持器円環部(21)の内周に、前記内輪(2)の外周に摺接して案内される保持器被案内面(30)が形成されている請求項11から15のいずれかに記載のシール付玉軸受。
  17. 前記樹脂製保持器(7)の内周には、前記保持器爪部(22)の径方向内側面(32)と前記保持器被案内面(30)とを軸方向に貫通して形成された内径側油溝(33)が設けられている請求項16に記載のシール付玉軸受。
  18. 前記保持器円環部(21)は、周方向に直交する断面において前記保持器側摺接面(24)と前記保持器被案内面(30)との間を斜めに接続する面取り部(34)を有する請求項16または17に記載のシール付玉軸受。
  19. 前記環状空間(4)の前記シール部材(6)で塞がれた側の軸方向端部とは反対側の軸方向端部は、外部から供給される潤滑剤を前記環状空間(4)に受け入れるように、シール部材(6)を設けずに開放している請求項1から18のいずれかに記載のシール付玉軸受。
  20. 電気自動車の電動モータ(41)の回転を減速する電気自動車用トランスミッション(40)の軸受として使用される請求項1から19のいずれかに記載のシール付玉軸受。
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