JP7499934B1 - リン化インジウム基板及び半導体エピタキシャルウエハ - Google Patents

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Abstract

【課題】表面うねりが抑制されたリン化インジウム基板及び半導体エピタキシャルウエハを提供する。【解決手段】直径50mm以上であり、エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqが200nm以下である、リン化インジウム基板。【選択図】図1

Description

本発明は、リン化インジウム基板及び半導体エピタキシャルウエハに関する。
インジウムリン(InP)は、III族のインジウム(In)とV族のリン(P)とからなるIII-V族化合物半導体材料である。半導体材料としての特性は、バンドギャップ1.35eV、電子移動度~5400cm2/V・sであり、高電界下での電子移動度はシリコンやガリウム砒素といった他の一般的な半導体材料より高い値になるという特性を有している。また、常温常圧下での安定な結晶構造は立方晶の閃亜鉛鉱型構造であり、その格子定数は、ヒ化ガリウム(GaAs)やリン化ガリウム(GaP)等の化合物半導体と比較して大きな格子定数を有するという特徴を有している。
シリコンフォトニクスにおいては、InP基板上にエピタキシャル成長させた後、Si基板にボンディング等の方法で貼り合わせてデバイスとする手法が用いられる。貼り合わせプロセスにおいては、InPエピタキシャル成長層とSiデバイスの接着がデバイスの特性上極めて重要であるが、基板表面のうねりはエピタキシャル成長後の膜表面にも伝搬し、貼り付け精度に関係すると考えられる。このように、Siデバイスに貼りつける際のInPエピタキシャル成長層表面のうねりの制御は非常に重要である。
特許文献1には、研磨布付き回転研磨盤において所定のInPウエハの鏡面研磨液を用いて鏡面研磨を行うことで、InPウエハの表面うねりを抑制する技術が開示されている。
特許文献2には、円周上に回転自在に配設された複数の円盤状のチャックの表面に半導体ウエハを吸着し、少なくとも前記円周の大きさを有する円盤状の砥石を前記チャックの回転方向と反対方向に回転し、前記砥石の中心部に設けられたノズルから水、続いて乾燥用気体を噴出して半導体ウエハを研削する方法であって、チャックと砥石を回転軸方向に相対的に接近させてウエハと砥石が接触している面積を一定に保ちながら複数のウエハを一括して所定の厚さまで研削することを特徴とする半導体ウエハの研削方法に関する技術が開示されている。当該技術では、チャックと砥石を回転軸方向に相対的に接近させて接触せしめ、ノズルから水、続いて乾燥用気体が噴出され、砥石が複数ウエハの面上を一括して所定の厚さまで研削することで、基板のうねりを抑制している。
特許文献3には、臭素をメチルアルコールに溶解させた溶液とシリカコロイド水溶液との混合液を用いて研摩することを特徴とするリン化インジウムの研摩方法が開示されている。そしてこのような混合液の調整によって基板を研摩することで、エッチピットに起因する基板のうねりを抑制している。
特公平07-027881号公報 特許第3316939号公報 特開昭58-145604号公報
上述のように、InP基板上にエピタキシャル成長させた後、Si基板に貼り合わせてデバイスとする際、InPエピタキシャル成長層とSiデバイスの接着がデバイスの特性上極めて重要であるが、基板表面のうねりはエピタキシャル成長後の膜表面にも伝搬し、貼り付け精度に関係すると考えられる。このため、表面全体のうねりが大きいInP基板を使用してエピタキシャル成長を実施した場合、貼り合わせがうまくいかなくなる問題がある。
特許文献1及び2に開示された技術は基板のうねりを抑制するものであるが、基板の全体にわたってうねりがどの程度抑制されているかについて開示がない。
また、特許文献3に開示された技術は、エッチピットに起因する基板のうねりを抑制するものであり、基板の局所的なうねりに着目し、当該局所的なうねりを抑制する技術に係る。このように、特許文献3には基板の全体にわたってうねりを抑制する技術については開示がない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、表面うねりが抑制されたリン化インジウム基板及び半導体エピタキシャルウエハを提供することを目的とする。
上記課題は、以下のように特定される、本発明の実施形態によって解決される。
(1)直径50mm以上であり、
エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqが200nm以下である、リン化インジウム基板。
(2)エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqが100~200nmである、(1)に記載のリン化インジウム基板。
(3)前記直径が50~150mmである、(1)または(2)に記載のリン化インジウム基板。
(4)(1)~(3)のいずれかに記載のリン化インジウム基板と、前記リン化インジウム基板の主面に設けられたエピタキシャル結晶層と、を有する、半導体エピタキシャルウエハ。
本発明の実施形態によれば、表面うねりが抑制されたリン化インジウム基板及び半導体エピタキシャルウエハを提供することができる。
本発明の実施形態に係るリン化インジウム基板の表面の模式図である。 うねりWqの算出方法を説明するためのウエハ表面の模式図である。
次に本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
〔リン化インジウム基板〕
以下、本実施形態のリン化インジウム基板の構成について説明する。
本実施形態のリン化インジウム(InP)基板は、基板表面(主面)、基板裏面、及び、エッジ部を備える。エッジ部は、結晶の方位を示すオリエンテーションフラット(OF)、及び、基板の主面と裏面とを見分けるためのインデックスフラット(IF)を有していてもよい。
リン化インジウム基板の主面は、エピタキシャル結晶層を形成するための面とすることができる。エピタキシャル結晶層を形成するための面とは、本実施形態のリン化インジウム基板を、半導体素子構造の形成のためにエピタキシャル成長用の基板として使用する際に、実際にエピタキシャル成長を実施する面である。
リン化インジウム基板の主面は直径50mm以上に形成されている。また、リン化インジウム基板の主面の直径は50~150mmであってもよい。リン化インジウム基板の平面形状は、円形であってもよく、四角形等の矩形であってもよい。
リン化インジウム基板の厚さは特に限定されないが、例えば、300~900μmであるのが好ましく、300~700μmであるのがより好ましい。特にリン化インジウム基板の直径(口径)が大きい場合、リン化インジウム基板の厚さが300μm未満であると割れる恐れがあり、900μmを超えると母材結晶が無駄になるという問題が生じることがある。
本実施形態のリン化インジウム基板は、ドーパント(不純物)として、Zn(亜鉛)をキャリア濃度が1×1016cm-3以上1×1019cm-3以下となるように含んでもよく、S(硫黄)をキャリア濃度が1×1016cm-3以上1×1019cm-3以下となるように含んでもよく、Sn(錫)をキャリア濃度が1×1016cm-3以上1×1019cm-3以下となるように含んでもよく、Fe(鉄)を抵抗率が1×105Ωcm以上1×108Ωcm以下となるように含んでもよい。
図1に、本発明の実施形態に係るリン化インジウム基板の表面の模式図を示す。リン化インジウム基板は略円盤状に形成され、OF及びIFを有している。なお、図1は、本発明の実施形態に係るリン化インジウム基板におけるエッジ部を理解するための図面であり、本発明の実施形態に係るリン化インジウム基板はこのような形状に限定されるものではない。特に、OF及びIFは有していなくてもよい。
本発明の実施形態に係るリン化インジウム基板は、エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqが200nm以下に制御されている。ここで、本発明において、ロールオフの影響を除いたウエハの外周から中心におよそ5mm以内の領域を「エッジ部」とし、当該ロールオフの影響を除いたウエハの外周から中心に5mm以内の領域を除いたウエハ表面全体を「エッジ部を除いた基板表面全体」とする。すなわち、本発明において「エッジ部を除いた基板表面全体」は、図1における「うねり測定エリア」として示された中心部の円形の領域を示している。
ウエハは全面同時に研削するため、研磨の影響でロールオフが起こってしまうエッジ部分(外周から中心におよそ5mm以内の領域)を除いて、中心部を測定することでウエハ全体のうねりを代表して測定したことになる。また、うねりは周期的なものであるため、口径によらず一定であると考えられる。
本発明において、エッジ部を除いた基板表面全体の「うねりWq」は、JIS B 0601:2013に規定される「二乗平均平方根うねり」である。当該うねりWqを測定することで、エッジ部を除いた基板表面全体のうねりの平均値について定量化することができる。
リン化インジウム基板のエッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqは、株式会社キーエンス製レーザー顕微鏡VKX-3000の白色干渉測定機能を用いて測定することができる。リン化インジウム基板のエッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqの測定に際しては、干渉測定用10倍レンズを使用し、ウエハの中心を測定範囲の中央となるように取った約1mm×40mmの範囲の輪郭曲線としてうねり(Wq:二乗平均平方根うねり)曲線を測定し、カットオフ波長λc=25mmとしてうねりを求める。うねりWqの算出に際しては、図2に示すように、約1mm×40mmの範囲の基板表面における短手方向の中心を基準線とし、約4.5μmの間隔(レーザー顕微鏡VKX-3000で規定されている基本間隔)の20本分を1測定間隔として(約4.5μm×20本=約90μm間隔)、短手方向に対して平行移動した周囲本数10本、及び、基準線の合計11本の長手方向の40mmに渡るうねりを求め、その平均値をWqとする。なお、当該平均値は、株式会社キーエンス製レーザー顕微鏡VKX-3000の白色干渉測定機能によって自動的に測定される。
測定は熱膨張等の影響を無視できるように室温22±5℃に管理されたクリーンルーム内で実施する。なお、レーザー顕微鏡VKX-3000の白色干渉測定機能の各種設定条件は以下の通りとする。
・傾き補正:自動
・DCL/BCL:なし
・計測種別:うねり
・カットオフ波長:λs及びλfは設定しない。λcは25mm。
・終端効果の補正:有効
・ダブルガウシアン:OFF
・スタイラスモード:OFF
・基準波長数:1
・プロファイル数:11
ウエハは全面同時に研削されるため、面内の位置依存性はなく、上記部分のうねり曲線を評価すれば、貼り合わせプロセスに必要なウエハ全体のうねりを代表して測定したことになる。また、うねりは周期的なものであるため、口径によらず一定であると考えられる。
リン化インジウム基板のエッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqが200nm以下であると、エピタキシャル成長後の表面うねりが低減され、Siデバイスを含むSi基板上へ貼り合わせた場合でも、うねりの影響による接着不良が良好に抑制されたリン化インジウム基板を提供することができる。リン化インジウム基板のエッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqは、180nm以下であるのが好ましく、150nm以下であるのがより好ましい。また、当該うねりWqの下限値は特に限定されないが、Wqが100~200nmであってもよい。
〔リン化インジウム基板の製造方法〕
次に、本発明の実施形態に係るリン化インジウム基板の製造方法について説明する。
リン化インジウム基板の製造方法としては、まず、公知の方法にてリン化インジウムのインゴットを作製する。
次に、リン化インジウムのインゴットを研削して円筒にする。このとき、ウエハの外周部分の所定位置に、オリエンテーションフラット(OF)、及び、インデックスフラット(IF)を形成してもよい。
次に、研削したリン化インジウムのインゴットから主面及び裏面を有するウエハを切り出す。このとき、リン化インジウムのインゴットの結晶両端を所定の結晶面に沿って、ワイヤーソー等を用いて切断し、複数のウエハを750~850μmの厚さに切り出す。
ウエハを切り出す工程では、ワイヤーを水平方向に往復させながら常に新線を送り続けるとともに、リン化インジウムのインゴットを載せたステージをワイヤーへ向かって鉛直方向に移動させることが好ましい。
ワイヤーソーによるインゴットの切断条件を以下に示す。
・ワイヤーの新線供給速度:10~60m/分
・ワイヤーの往復速度:300~350m/分
・リン化インジウムのインゴットを載せたステージの鉛直方向移動速度:200~400μm/分
・ワイヤーソーの砥粒の管理:
使用砥粒GC #1200、切削油PS-LP-500Dとし、砥粒は粘度計のロータ軸の回転速度60rpmのときに300~400mPa・sになるように管理する。当該粘度は、東機産業株式会社製TVB-10粘度計で測定することができる。
次に、ワイヤーソーによる切断工程において生じた加工変質層を除去するために、切断後のウエハに対し、所定のエッチング液により、両面エッチングする(一次エッチング)。ウエハは、エッチング液中にウエハ全体を浸漬することで、エッチングすることができる。エッチング液としては、例えば、85質量%のリン酸水溶液及び30質量%の過酸化水素水の混合溶液により、両面から合計5~15μmエッチングすることが好ましい。
次に、ウエハの外周部分の面取りを行い、直径50mm以上に制御する。面取りの後、ウエハの両面を粗研磨する。当該粗研磨工程はラッピング工程とも言われ、所定の研磨材で研磨することで、ウエハの平坦性を保ったままウエハ表面の凹凸を取り除く。ここで、上述のワイヤーソーによる切断では、ワイヤーのぶれによってウエハ全体にうねりが生じる。本発明者らは、これを除去するためには、スライシング(インゴットからウエハを切り出す工程)後のラッピングによりうねりを除去する必要があることを見出した。具体的には、100g/cm2以上の圧力をかけながらウエハの表裏面で合計100μm以上の厚みをラッピングにより除去する必要がある。なお、ラッピング量を多く取るため、必要に応じてスライシング時のウエハの厚みはその分厚くすることが好ましい。
次に、ウエハに対し、所定のエッチング液により、両面エッチングする(二次エッチング)。ウエハは、前記エッチング液中にウエハ全体を浸漬することで、エッチングすることができる。エッチング液としては、例えば、85質量%のリン酸水溶液、30質量%の過酸化水素水及び超純水の混合溶液により、両面から合計7~15μmエッチングすることが好ましい。
次に、ウエハの両面を研磨する。当該工程は、上述のラッピング工程で消しきれないうねりの除去を行うための工程であり、生産性の観点から複数枚を同時に両面研磨することが好ましい。同時に研磨されるすべてのウエハにおいて面内で均一にうねりを除去するためには、上定盤と下定盤とでウエハの両面を研磨する際に、上定盤と下定盤に設けた研磨パッド全体に十分に研磨液が浸透するように複数の研磨液供給口から十分な研磨液がウエハに供給されるようにすることが必要である。具体的には、上定盤または下定盤の面積当たり、0.07mL/分・cm2以上の流量の研磨液が供給されるようにすることで、ウエハの両面の均一研磨が可能となる。その結果、ラッピング工程で消しきれないうねりの除去が可能となる。このようにして、エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqを200nm以下に制御することができる。
次に、ウエハの主面を鏡面研磨用の研磨材で研磨して鏡面に仕上げる。
次に、洗浄を行うことで、本発明の実施形態に係るリン化インジウム基板が製造される。また、上述の鏡面仕上げの後、エッチング、鏡面研磨、洗浄等を行うことでリン化インジウム基板を製造してもよい。
〔半導体エピタキシャルウエハ〕
本発明の実施形態に係るリン化インジウム基板の主面に対し、公知の方法で半導体薄膜をエピタキシャル成長させることで、エピタキシャル結晶層を形成し、半導体エピタキシャルウエハを作製することができる。当該エピタキシャル成長の例としては、リン化インジウム基板の主面に、InAlAsバッファ層、InGaAsチャネル層、InAlAsスペーサ層、InP電子供給層をエピタキシャル成長させたHEMT構造を形成してもよい。このようなHEMT構造を有する半導体エピタキシャルウエハを作製する場合、一般には、鏡面仕上げしたリン化インジウム基板に、硫酸/過酸化水素水などのエッチング液によるエッチング処理を施して、基板表面に付着したケイ素(Si)等の不純物を除去する。このエッチング処理後のリン化インジウム基板の裏面をサセプターに接触させて支持した状態で、リン化インジウム基板の主面に、分子線エピタキシャル成長法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)又は有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によりエピタキシャル結晶層を形成する。
本発明の実施形態に係る半導体エピタキシャルウエハは、上述のように基板表面全体のうねりが抑制された本発明の実施形態に係るリン化インジウム基板を用いて作製されるため、エピタキシャル成長後の表面うねりが低減され、Siデバイスを含むSi基板上へ貼り合わせた場合でも、うねりの影響による接着不良が良好に抑制される。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を提供するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
(実施例1、2)
実施例1、2は以下のように作製した。
まず、リン化インジウムのインゴットを準備した。
次に、リン化インジウムのインゴットを研削して円筒にした。このとき、ウエハの外周部分の所定位置に、オリエンテーションフラット(OF)、及び、インデックスフラット(IF)を形成した。
次に、研削したリン化インジウムのインゴットから主面及び裏面を有するウエハを切り出した。このとき、リン化インジウムのインゴットの結晶両端を所定の結晶面に沿って、ワイヤーソー等を用いて切断し、複数のウエハを0.84mmの厚さに切り出した。
ウエハを切り出す工程では、ワイヤーを水平方向に往復させながら常に新線を送り続けるとともに、リン化インジウムのインゴットを載せたステージをワイヤーへ向かって鉛直方向に移動させた。
ワイヤーソーによるインゴットの切断条件を以下に示す。
・ワイヤーの新線供給速度:10~60m/分
・ワイヤーの往復速度:320m/分
・リン化インジウムのインゴットを載せたステージの鉛直方向移動速度:330μm/分
・ワイヤーソーの砥粒の管理:
使用砥粒GC #1200、切削油PS-LP-500Dとし、砥粒は粘度計のロータ軸の回転速度60rpmのときに300~400mPa・sになるように管理した。当該粘度は、東機産業株式会社製TVB-10粘度計で測定することができる。
次に、ワイヤーソーによる切断工程において生じた加工変質層を除去するために、切断後のウエハに対し、85質量%のリン酸水溶液及び30質量%の過酸化水素水の混合溶液により、両面から合計15μmエッチングした(一次エッチング)。ウエハは、エッチング液中にウエハ全体を浸漬することで、エッチングした。
次に、ウエハの外周部分の面取りを行い、直径50mm以上に制御した。面取りの後、ウエハの両面を粗研磨(ラッピング)した。具体的には、150g/cm2の圧力をかけながらウエハの表裏面で合計120μmの厚みをラッピングにより除去した。
次に、ウエハに対し、85質量%のリン酸水溶液、30質量%の過酸化水素水及び超純水の混合溶液により、両面から合計7μmエッチングした(二次エッチング)。ウエハは、エッチング液中にウエハ全体を浸漬することで、エッチングした。
次に、ウエハの両面を研磨した。当該工程は、上述のラッピング工程で消しきれないうねりの除去を行うための工程である。当該両面研磨工程では、上定盤と下定盤とでウエハの両面を研磨する際に、上定盤と下定盤に設けた研磨パッド全体に十分に研磨液が浸透するように複数の研磨液供給口から十分な研磨液がウエハに供給されるようにした。具体的には、上定盤または下定盤の面積当たり、0.072mL/分・cm2の流量(合計研磨液量)の研磨液が供給されるように設定した。なお、使用した上定盤及び下定盤の面積は、それぞれ5608cm2であった。
次に、ウエハの主面を鏡面研磨用の研磨材で研磨して鏡面に仕上げた。
次に、洗浄を行うことで、図1に示すような形状を有する直径76.2mmのリン化インジウム基板のサンプルを作製した。
(比較例1~5)
比較例1~5は、それぞれ、ラッピング工程において、ウエハの表裏面で合計40μmの厚みをラッピングにより除去したこと、及び、二次エッチング後の両面研磨工程において、上述の合計研磨液量を0.065mL/分・cm2としたこと以外は、実施例1、2と同様の条件によって、図1に示すような形状を有する直径76.2mmのリン化インジウム基板のサンプルを作製した。
(うねりWqの評価)
実施例1、2及び比較例1~5のリン化インジウム基板のサンプルについて、それぞれ、以下の方法でエッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqを測定した。
すなわち、実施例1、2及び比較例1~5の、図1に示すようなIF及びOFを有する直径76.2mmのリン化インジウム基板の各サンプルについて、外周から中心におよそ5mm以内の領域を「エッジ部」とし、ロールオフの影響を除いたウエハの外周から中心に5mm以内の領域を除いたウエハ表面全体を「エッジ部を除いた基板表面全体」とした。
次に、当該うねり測定エリアのうねりWqを、株式会社キーエンス製レーザー顕微鏡VKX-3000の白色干渉測定機能を用いて測定した。当該測定に際しては、干渉測定用10倍レンズを使用し、ウエハの中心を測定範囲の中央となるように取った約1mm×40mmの範囲のうねり曲線を測定し、カットオフ波長λc=25mmとしてうねりを求めた。うねりWqの算出に際しては、図2に示すように、約1mm×40mmの範囲の基板表面における短手方向の中心を基準線とし、約4.5μmの間隔(レーザー顕微鏡VKX-3000で規定されている基本間隔)の20本分を1測定間隔として(約4.5μm×20本=約90μm間隔)、短手方向に対して平行移動した周囲本数10本、及び、基準線の合計11本の長手方向の40mmに渡るうねりを求め、その平均値をWqとした。なお、当該平均値は、株式会社キーエンス製レーザー顕微鏡VKX-3000の白色干渉測定機能によって自動的に測定された。
測定は熱膨張等の影響を無視できるように室温22±5℃に管理されたクリーンルーム内で実施した。なお、レーザー顕微鏡VKX-3000の白色干渉測定機能の各種設定条件は以下の通りとした。
・傾き補正:自動
・DCL/BCL:なし
・計測種別:うねり
・カットオフ波長:λs及びλfは設定しない。λcは25mm。
・終端効果の補正:有効
・ダブルガウシアン:OFF
・スタイラスモード:OFF
・基準波長数:1
・プロファイル数:11
上述の製造条件及び評価結果を表1に示す。
(考察)
実施例1及び2は、いずれも、エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqが200nm以下であり、表面うねりが良好に抑制されていた。
これに対し、比較例1~5は、いずれも、エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqが200nmを超えていた。
なお、実施例1と実施例2とは、ウエハの表裏面合計ラッピング量が120μmと同じであり、且つ、ウエハの表裏面合計研磨液量も0.072mL/分・cm2と同じであったが、エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqが118.1nm、178.9nmとそれぞれ異なる値となった。また、比較例1~5も同様に、ウエハの表裏面合計ラッピング量が40μmと同じであり、且つ、ウエハの表裏面合計研磨液量も0.065mL/分・cm2と同じであったが、エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqが228.8~306.1nmの間でそれぞれ異なる値となった。これは、ワイヤーソー切断時の温度などのバラツキにより、切断後のうねりが異なるためであると考えられる。

Claims (5)

  1. 直径50mm以上であり、
    エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqが200nm以下であり、
    前記エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqは以下の(1)~(2)の手順で測定された、リン化インジウム基板。
    (1)リン化インジウム基板について、外周から中心に5mm以内の領域を「エッジ部」とし、ウエハの外周から中心に5mm以内の領域を除いたウエハ表面全体を「エッジ部を除いた基板表面全体」とする。
    (2)次に、うねりWqを、レーザー顕微鏡の白色干渉測定機能を用いて測定する。前記測定に際しては、干渉測定用10倍レンズを使用し、ウエハの中心を測定範囲の中央となるように取った1mm×40mmの範囲のうねり曲線を測定し、カットオフ波長λc=25mmとしてうねりを求める。前記うねりWqの算出に際しては、1mm×40mmの範囲の基板表面における短手方向の中心を基準線とし、4.5μmの間隔の20本分を1測定間隔として、短手方向に対して平行移動した周囲本数10本、及び、基準線の合計11本の長手方向の40mmに渡るうねりを求め、その平均値を前記うねりWqとする。
  2. エッジ部を除いた基板表面全体のうねりWqが100~200nmである、請求項1に記載のリン化インジウム基板。
  3. 前記直径が50~150mmである、請求項1または2に記載のリン化インジウム基板。
  4. 請求項1または2に記載のリン化インジウム基板と、前記リン化インジウム基板の主面に設けられたエピタキシャル結晶層と、を有する、半導体エピタキシャルウエハ。
  5. 請求項3に記載のリン化インジウム基板と、前記リン化インジウム基板の主面に設けられたエピタキシャル結晶層と、を有する、半導体エピタキシャルウエハ。
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