以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。Z軸は、鉛直方向に平行である。上方および下方は、それぞれZ軸正方向およびZ軸負方向に対応する。
[全体構成]
本実施形態のブレード用カートリッジは、基板Fを分断装置で分断する際に用いられるブレードを保持するカートリッジである。以降、本実施形態では、「ブレード用カートリッジ」は、単に、「カートリッジ」と称して説明される。
図1は、本実施形態に係るブレードによって分断される基板Fの模式図である。
本実施形態において、基板Fは、たとえば、電子機器等に広く利用される半導体デバイスの材料であるセラミック基板である。
また、基板Fは、半導体ウェーハであってもよい。この場合、ウェーハの材質として、たとえば、単結晶シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、およびヒ化ガリウム(GaSa)等が挙げられる。半導体ウェーハの上記のような材質、厚み、およびサイズは、製造目的の半導体デバイスの種類、機能等によって適切に選択され、設計される。
あるいは、基板Fは、上記半導体デバイスの材料に限られない。基板Fは、ガラス基板、低温焼成セラミックスや高温焼成セラミックスなどのセラミックス基板、シリコン基板、化合物半導体基板、サファイア基板、石英基板等であってもよい。また、基板Fは、表面または内部に脆性材料に該当しない薄膜あるいは半導体材料を付着させたり、含ませたりしたものであってもよい。
さらに、基板Fは、2つの基板が貼り合わされてなる貼り合わせ基板であってもよい。このような基板Fとして、たとえば、一方の基板にはカラーフィルタ(CF)が形成され、もう一方の基板には薄膜トランジスタ(TFT)が形成されているものが挙げられる。
図1に示すように、基板Fは、ダイシングテープ2に貼付され、フレーム3に保持された状態で分断される。この場合、基板FのスクライブラインLが形成されていない裏面側に、ダイシングテープ2が貼付される。基板Fの表面には、スクライブラインLが形成されている。なお、図1では、格子状に形成されたスクライブラインLが図示されているが、スクライブラインLの形成方法は、これに限られない。
図2は、分断装置1におけるブレード10の取り付け位置付近の拡大図である。なお、図1では基板Fが省略されている。
図2に示すように、分断装置1は、取付部4と、載置部5と、受け部6と、移動部7と、を備える。取付部4は、ブレード10を保持したカートリッジ20が取り付けられる。カートリッジ20は、取付部4にブレード10の刃先がX軸方向に沿うように取り付けられる。
取付部4は、カートリッジ20に保持されたブレード10の刃先が受け部6に支持される基板Fと向き合うように受け部6の上方に配置される。取付部4は、カートリッジ20及びブレード10と一体となって上下動可能であり、この動作によって基板を分断可能である。なお、ブレード10およびカートリッジ20の構成については、追って図3~図5を参照して説明する。
載置部5は、フレーム3を載置する台である。載置部5は、円環状に形成されており、X-Y平面において回転可能なように構成されている。載置部5は、Y軸方向に移動可能な移動部7に支持されている。よって、載置部5は、Y軸方向に移動可能である。載置部5にフレーム3が載置されることにより、基板Fが載置部5にセットされる。基板Fが載置部5に載置されるとき、基板FのスクライブラインLが形成されている表面側が下方に位置付けられるように、フレーム3が載置部5に載置される。
受け部6には、Y軸方向の中央付近にX軸方向に延びる溝部が設けられている。この溝部の真上にブレード10の刃先が位置付けられる。また、載置部5にフレーム3が載置された後、受け部6の溝部が基板FのスクライブラインLに沿うように、載置部5の回転位置とY軸方向の位置が調整される。
受け部6は、Y軸方向に離隔して設けられたX軸方向に延びる2本の受け部で構成することもできる。この場合、2本の受け部の間に形成される空間が上記の溝部として機能する。また、受け部6は、基板Fを受ける面が弾性体で構成されたテーブルとすることもできる。この場合の受け部は、基板Fがブレード10に押圧されたときに弾性体が基板Fの変形に応じて弾性変形することによって、溝部が設けられた受け部6と同様に作用する。
移動部7は、載置部5を支持する移動体であり、レール8に沿ってY軸方向に移動する。移動部7を移動させることにより、上記のように、載置部5のY軸方向の位置を調整でき、これにより、載置部5に装着された基板FのスクライブラインLを、受け部6の溝部とブレード10の刃先との間に位置付けることができる。
次に、上記の構成を備える分断装置1を用いて、図1に示されている基板Fを分断する動作について説明する。この場合、分断装置1は、Y軸方向に並んでいるスクライブラインLを、最もY軸正側に位置するスクライブラインLから最もY軸負側に位置するスクライブラインLまで順に、スクライブラインLに沿って分断する。
基板Fが図示しない搬送部によって載置部5に載置されると、分断装置1は、移動部7をレール8に沿ってY軸負方向に移動させるとともに、載置部5を回転させて、ブレード10の刃先の下方に、図1において最もY軸正側に位置するスクライブラインLを位置付ける。このとき、受け部6に設けられている溝部は、上記のように、ブレード10の刃先に対抗するように位置付けられている。
そして、分断装置1は、ブレード10を降下させて、基板Fに対して所定の荷重を付与する。これにより、ブレード10の真下に位置付けられているスクライブラインLに沿って基板Fが分断される。なお、基板Fに対して付与される所定の荷重は、基板Fの厚み、サイズ、種類によって異なる。
スクライブラインLに沿って基板Fが分断されると、分断装置1は、ブレード10を一旦上昇させる。その後、分断装置1は、スクライブラインLのピッチ分だけ、移動部7をY軸正側に移動させる。これにより、次のスクライブラインLがブレード10の真下に位置付けられる。そして、分断装置1は、上記と同様にして、スクライブラインLに沿って基板Fを分断する。
こうして、基板FにY軸方向に並んで形成されている全てのスクライブラインLに沿って基板Fの分断が完了すると、分断装置1は、載置部5を90°回転させて、回転前にX軸方向に並んでいたスクライブラインLをX軸方向に平行に設定する。そして、分断装置1は、これらのスクライブラインLに対する分断を、上記と同様にして行う。こうして、全てのスクライブラインLに対する基板Fの分断が終了した後、基板Fは、図示しない搬送部によって、次のステージへと搬送される。
なお、上記構成では、載置部5が回転およびY軸方向の移動を行うことにより、各スクライブラインLがブレード10の直下に位置付けられたが、ブレード10の方が回転および直線移動して、各スクライブラインLの直上位置に位置付けられる構成であってもよい。分断装置1は、ブレード10と載置部5とが相対的に移動する構成であればよい。
[カートリッジ]
上記のように、本実施形態では、ブレード10がカートリッジ20に装着された状態で、分断装置1に取り付けられる。カートリッジ20を用いることで、ブレード10を容易に分断装置1に着脱できる。ブレード10は、刃先が基板Fの表面に平行となるように、分断装置1に装着される必要がある。このため、ブレード10は、カートリッジ20に取り付けられる際に、刃先がカートリッジ20の基準面(第1基準面)に対して平行となるように調整される。これにより、カートリッジ20の基準面を分断装置1の基準面に密着させてカートリッジ20が分断装置1に装着されることで、ブレード10の刃先が基板Fの表面に平行となる。
図3は、ブレード10が装着された状態のカートリッジ20の構成を示す斜視図であり、図4は、図3に示したカートリッジ20の分解斜視図である。
図4に示すように、カートリッジ20は、ベースプレート30と、保持プレート40と、固定ネジ50と、押さえプレート60と、押さえネジ70と、付勢部材80と、基準プレート90と、を備えている。また、ユーザが、ブレード10を保持したカートリッジ20を把持しやすいよう、カートリッジ20に取っ手21が設けられている。ベースプレート30と基準プレート90とによって、カートリッジ20のベースが構成される。
ベースプレート30はS45C等の金属材料から形成されており、保持プレート40はS45C等の金属材料から形成されている。また、押さえプレート60はSUS304等の金属材料から形成されており、基準プレート90は、S45C等の金属材料から形成されている。これらの部材が、他の材料から形成されてもよい。
ブレード10は、平板形状に形成されており、Z軸方向に向かって先細り形状に形成された刃先11が、長手方向に沿って設けられている。ブレード10は、刃先11近傍以外の部分が均一な厚みとなるように形成されている。
ブレード10には、Y軸正側の側面からY軸負側の側面に貫通する4つの孔12が形成されている。4つの孔12は、X軸方向に略等間隔に並んでいる。これらの孔12のそれぞれには、固定ネジ50の軸52が挿入される。孔12の径は、固定ネジ50の軸52の径よりも若干大きく形成されている(図12(b)参照)。
ベースプレート30は、板状の部材であり、X軸方向の長さがブレード10の端部13のX軸方向の長さと同程度に形成されている。ベースプレート30のY軸正側の側面30aに、ブレード10のY軸負側の側面の略全範囲が当接する。側面30aは、後で説明する保持プレート40とともにブレード10を挟持する挟持面である。なお、ベースプレート30のX軸方向の長さは上記に限られず、ブレード10の端部13のX軸方向の長さより長くてもよい。
ベースプレート30には、側面30aからY軸負側の側面に貫通する4つのネジ孔31が形成されている。4つのネジ孔31は、ベースプレート30にX軸方向に等間隔に並んでいる。これらのネジ孔31のそれぞれには、固定ネジ50の軸52がネジ留めされる。
また、ベースプレート30の上面には、T字状の凹部32が形成されている。この凹部32によって、ベースプレート30の上面に、X軸に並ぶ2つの凸部33が形成されている。2つの凸部33と、これら凸部33に挟まれる凹部32に、X軸方向に並ぶ3つの穴35が形成され、これらの穴35に、それぞれ、金属製のピン24が圧入されている。また、各凸部33には、ピン24をX軸方向に挟んで2つのネジ孔34が形成されている。
保持プレート40は、板状の部材であり、X軸方向の長さがブレード10の端部13のX軸方向の長さと同程度に形成されている。保持プレート40のY軸負側の側面40aにブレード10のY軸正側の側面の略全範囲が当接する。側面40aは、上記したベースプレート30の側面30aとともに、ブレード10を挟持する挟持面である。なお、保持プレート40のX軸方向の長さは上記に限られず、ブレード10の端部13のX軸方向の長さより長くてもよい。
保持プレート40には、Y軸正側の側面から側面40aに貫通する4つの孔41が形成されている。4つの孔41は、保持プレート40にX軸方向に等間隔に並んで形成されている。これらの孔41のそれぞれは、互いに径が異なる孔41aおよび孔41bから構成される(図12(b)参照)。孔41bに、固定ネジ50の軸52が通されて、孔41aに、固定ネジ50の頭部51が挿入される。孔41aの径は、固定ネジ50の頭部51の径よりも若干大きく形成されている。
また、保持プレート40の上面に、一段低い凹部42が形成され、この凹部42のX軸負側および正側に、それぞれ凸部43が形成されている。
固定ネジ50は、カートリッジ20に4つ設けられる。固定ネジ50は、ブレード10をベースプレート30の側面30aと保持プレート40の側面40aとで挟んだ状態で、ベースプレート30に保持プレート40を固定するために用いられる。固定ネジ50は、頭部51と軸52とから構成される。上記のとおり、軸52は、保持プレート40の孔41aおよびブレード10の孔12に通されて、ベースプレート30のネジ孔31に止められる。このとき、頭部51は、保持プレート40の孔41bに挿入される(図12(b)参照)。
押さえプレート60は、T字状に形成された均一な厚みを有する板状部材である。押さえプレート60は、X軸方向に延びる直線部60aと、直線部60aのX軸方向の中央からY軸負方向に突出する突出部60bとを有する。突出部60bには、ピン24を挿入するための孔61が形成されている。
押さえプレート60の直線部60aは、ベースプレート30の凹部32の長手方向部分よりも短く、押さえプレート60の直線部60aの幅(Y軸方向の幅)は、ベースプレート30の凹部32の長手方向部分の幅よりも大きい。また、押さえプレート60の突出部60bの幅は、ベースプレート30の2つの凸部33間の隙間と略同じサイズである。
なお、押さえプレート60の直線部60aの長さは、ブレード10の端部13のX軸方向の長さと同じであってもよく、端部13より長く形成されてもよい。
押さえプレート60の直線部60aの上面は、後述のように、基準プレート90のネジ孔92にネジ止めされる3つの押さえネジ70で等間隔に押さえられる。また、外側の2つの押さえネジ70の位置は、カートリッジ20を組み立てたとき、ブレード10の端部13のX軸方向の中央位置に対してX軸方向に対称な位置である。
また、押さえプレート60の直線部60aの両端部に付勢部材80がそれぞれ配置される。付勢部材80は、たとえば、コイルバネにより構成される。これら付勢部材80の配置位置は、上記の押さえネジ70と同様、カートリッジ20を組み立てたとき、ブレード10の端部13のX軸方向の中央位置に対してX軸方向に対称な位置である。
基準プレート90は、ブレード10、ベースプレート30、保持プレート40、および押さえプレート60の上方に位置する。基準プレート90は、板状の部材である。図3および図4の構成では、基準プレート90のX軸方向の長さがベースプレート30および保持プレート40のX軸方向の長さより長く形成されているが、基準プレート90のX軸方向の長さがベースプレート30および保持プレート40のX軸方向の長さと同程度に延ばされてもよい。
基準プレート90は、Z軸方向に貫通する4つのネジ孔91が形成されている。4つのネジ孔91は、基準プレート90のY軸負側の端縁に沿ってX軸方向に等間隔に並んでいる。これら4つのネジ孔91のそれぞれに、ネジ25の軸部がネジ留めされる。
また、基準プレート90は、Z軸方向に貫通するネジ孔92が形成されている。ネジ孔92は、X軸方向に等間隔に3つ並んでいる。ネジ孔92のそれぞれに押さえネジ70がネジ留めされる。
上記のネジ孔91およびネジ孔92が形成される基準プレート90の上面は、後述する取り付け治具100にカートリッジ20をセットする際、取り付け治具100の第1基準面111に当接する面である(図11参照)。すなわち、基準プレート90の上面は、カートリッジ20の基準面90aである。
図5は、基準プレート90をZ軸負側つまり下面側から見た場合の、基準プレート90の斜視図である。
図5に示すように、基準プレート90の下面には、T字状の凹部93が形成されている。凹部93は、X軸方向に延びる直線部93aと、分岐部93bのX軸方向の中央からY軸負方向に延びて基準プレート90のY軸負側の側面に連通する分岐部93bとを有する。
基準プレート90の凹部93の直線部93aの両端部に穴95が形成されている。穴95のそれぞれに付勢部材80が挿入される。また、基準プレート90のY軸負側の端縁部に、3つの穴96が形成されている。3つの穴96は、X軸方向に等間隔に並んでいる。3つの穴96のうち中央に位置する穴96は、凹部93の分岐部93bに形成され、残り2つの穴96は、分岐部93bの両側に離れた位置に形成されている。穴96のそれぞれにピン24(図4参照)が嵌め込まれる。基準プレート90のX軸正側の側面とX軸負側の側面には、それぞれ、留め孔94形成されている。
図4に戻り、取っ手21は、基準プレート90をX軸正側および負側の側面に装着される。取っ手21は、把持部22と軸部23とから構成されている。把持部22は、ユーザが把持する部分である。軸部23は、基準プレート90のX軸正側および負側の側面に形成されている留め孔94に圧入される。これにより、取っ手21が基準プレート90に装着される。
[取り付け治具]
上記のような構成のカートリッジ20にブレード10を取り付けるための取り付け治具100について図6~図11を参照して説明する。本実施形態では、以降、「取り付け治具100」は、単に「治具100」と称される。
図6は、治具100の構成を示す斜視図である。なお、図6は、カートリッジ20がセットされる前の治具100の状態を示す図である。また、図7は、図6に示される治具100を、背面側(Y軸負側)から見た場合の斜視図である。
図6に示すように、治具100は、第1基準ブロック110と、第2基準ブロック120と、支持機構130と、固定機構140と、ストッパ150と、押さえ部材160と、支持部材170と、レバー180と、を備える。
上記の構成のうち、第1基準ブロック110、固定機構140、押さえ部材160、および支持部材170は、支持板101に設置されている。支持板101は、中央の板部101Aの両側に袖部101Bを一体的に有する。支持板101は、X軸方向に対称な形状である。また、図6および図7に示すように、支持板101には、X軸方向の中央に、Y軸方向に貫通する矩形状の孔101aが形成されている。孔101aを介して、支持機構130が第2基準ブロック120を支持する。支持板101は、架台102に支持される。
図6に示すように、第1基準ブロック110は、矩形状のブロック部材であり、支持板101の前面(Y軸正側の面)の上方に設置される。第1基準ブロック110は、S45Cを焼き入れ・焼き戻した金属素材等を用いて形成される。
第1基準ブロック110の下面111は、ブレード10の刃先11(図3、図4参照)の平行出しが行われる際に基準となる面である。すなわち、第1基準ブロック110の下面111は、治具100の第1基準面111を構成する。この第1基準面111の略全範囲に、カートリッジ20の基準面90aが当接する(図12参照)。
第2基準ブロック120は、前面(Y軸正側の面)に4つの切欠きが形成された板状のブロック部材である。第2基準ブロック120は、X軸方向に対称な形状である。また、第2基準ブロック120は、S45Cを焼き入れ・焼き戻した金属素材等を用いて形成される。
第2基準ブロック120の上面には、X軸方向の中央付近にごく浅い凹部が形成されている。この凹部以外の第2基準ブロック120の上面は同一平面である。第2基準ブロック120の上面は、ブレード10の刃先11の平行出しの際、刃先11を受ける面である(図11参照)。すなわち、第2基準ブロック120の上面121は、治具100の第2基準面121を構成する。
第2基準ブロック120の前面に形成された4つの切欠きのうち、端の2つの切欠き122aには、2つの押圧部材143の当接部143aがそれぞれ位置づけられる。2つの切欠き122aの上面(上側の内側面)は、押圧部材143の当接部143aが当接する面である。
第2基準ブロック120のX軸方向の中央には、Y軸方向に貫通する孔124が形成されており、この孔124に回転ベアリング125が嵌め込まれている。また、第2基準ブロック120には、孔124の直下に、回転可能にレバー180が設けられる。第2基準ブロック120は、支持機構130によって、Z軸方向に移動可能に、支持板101に支持される。
図6および図7に示すように、支持機構130は、付勢部材131と、シャフト132と、保持部材133と、スライダ134と、レール135と、ガイドブロック136と、軸137と、を備える。
レール135は、支持板101の背面(Y軸負側の面)に、孔101aを縦断するように取り付けられる。孔101aの内部を上下に移動可能に、ガイドブロック136が取り付けられたスライダ134がレール135に支持されている。軸137はガイドブロック136に設けられており、第2基準ブロック120の孔124に通される。この状態で軸137に回転ベアリング125が設けられることにより、孔124に回転ベアリング125が嵌め込まれる。こうして、回転ベアリング125を介して、第2基準ブロック120の背面(Y軸負側の面)にスライダ134が装着される。これにより、第2基準ブロック120は、スライダ134を介してレール135に支持される。
第2基準ブロック120は、スライダ134が孔101aを上下に移動可能な範囲において、上下に移動可能である。すなわち、第2基準ブロック120の移動範囲は、孔101aの上面と下面とによって規定される。また、第2基準ブロック120は、回転ベアリング125を軸として、X-Z平面に平行な方向に揺動可能である。
保持部材133は、Y軸方向に屈曲した鉤状の部材であって、Y軸正側の下端にX軸方向に延びる鍔状の台座部133Aが一体形成されている。台座部133Aには、上下に貫通するネジ孔が形成され、この孔にシャフト132がネジ留めされて固定される。シャフト132の軸部には台座部133Aのネジ孔に噛み合うネジ溝が形成されている。シャフト132がネジ孔にネジ留めされる際に、シャフト132が付勢部材131に通される。シャフト132は、付勢部材131を支持軸である。
付勢部材131は、コイルバネである。付勢部材131の上端は、第2基準ブロック120の下面に取り付けられる。付勢部材131の下端は、台座部133Aの上面に取り付けられる。第2基準ブロック120が固定されていない状態において、付勢部材131は、第2基準ブロック120の重さに釣り合う長さに圧縮される。
上記の構成により、付勢部材131が第2基準ブロック120を下向き(Z軸負方向)に付勢すると、付勢部材131は、シャフト132に沿って収縮し、第2基準ブロック120はスライダ134に支持されながらZ軸負方向に移動する。また、付勢部材131が第2基準ブロック120を上向き(Z軸正方向)に付勢すると、付勢部材131は、シャフト132に沿って伸長し、第2基準ブロック120はスライダ134に支持されながらZ軸正方向に移動する。このようにして、第2基準ブロック120は上下に移動する。
図6に示すように、固定機構140は、規制部材141と、調整機構142と、押圧部材143と、を備える。固定機構140は、支持板101の2つの袖部101Bにそれぞれ設けられる。
規制部材141は、側面視においてL字状の部材であって、袖部101Bの上端に設置される。調整機構142は、受け部材144と、押しネジ145と、引きネジ146とを備える。受け部材144は、袖部101Bの背面にネジで固定されている。図7では、受け部材144を袖部101Bに固定するためのネジが省略されている。
押しネジ145が締められると、規制部材141と受け部材144との間のZ軸方向の距離が拡大する。引きネジ146が締められると、規制部材141と受け部材144との間のZ軸方向の距離が縮まる。押しネジ145および引きネジ146を含む調整機構142の構成および機能は、周知であるので、ここでは、説明を省略する。
調整機構142は、第2基準ブロック120の第2基準面121が、左右一対の規制部材141に押し当てられたときに、第2基準ブロック120の第2基準面121が第1基準ブロック110の第1基準面111に対して平行になるように、左右一対の規制部材141のZ軸方向の高さ位置を調整するために用いられる。
すなわち、第2基準ブロック120の第2基準面121が、左右一対の規制部材141に押し当てられた状態で、一対の調整機構142の押しネジ145と引きネジ146とが操作され、第1基準面111に対する第2基準面121の平行出しが行われる(図8参照)。平行出しは、たとえば、ピックテスターを用いて行われる。上記のように、第2基準ブロック120は、回転ベアリング125によって揺動可能に支持されている。このため、平行出しの際に規制部材141の高さが変更されると、それに応じて、第2基準ブロック120は、円滑に傾く。これにより、第2基準ブロック120の第2基準面121が、円滑かつ精度良く平行出しされる。
回転ベアリング125は、調整機構142とともに、第2基準面121が規制部材141に当接した状態において、第2基準面121が第1基準面111と平行になるように調整する調整機構を構成する。
こうして平行出しが行われた後、規制部材141の前面に形成された2つの孔にネジを締めて、ネジの先端を、支持板101の袖部101Bの前面に圧接させる。これにより、規制部材141の位置が固定され、第2基準面121の平行出しが完了する。平行出しが完了した後は、第2基準面121が一対の規制部材141に当接すると、第2基準面121は、常に、第1基準面111に平行になる。
押圧部材143は、支持板101の一対の袖部101Bの下方にそれぞれ設置される。2つの押圧部材143は、Z軸方向の同じ位置に、それぞれ設置される。押圧部材143は、トグルクランプである。本実施形態では、押圧部材143として、水平型トグルクランプが用いられる。押圧部材143は、当接部143aと、レバー143bとを備える。
図6の状態から、一対の押圧部材143のレバー143bが上方に回動されると、当接部143aがZ軸正方向に移動して、第2基準ブロック120の一対の切欠き122aの上面に当接する。さらに、レバー143bが回動されると、当接部143aは、第2基準ブロック120を上方に持ち上げて、一対の規制部材141に当接させる(図8参照)。このとき、付勢部材131が伸長する。この状態で、レバー143bは、トグルクランプの機能により、上側の回動終端位置に保持される。これにより、強い圧力で安定的に、第2基準ブロック120の第2基準面121が一対の規制部材141に押し付けられて、第2基準ブロック120が所定の位置に固定される。
ストッパ150は、第2基準ブロック120のX軸正側の前面に設置される板状部材である。ストッパ150は、第2基準ブロック120の第2基準面121よりも、Z軸正方向に突出するように延びている。ストッパ150は、第2基準ブロック120が押圧部材143により持ち上げられて規制部材141に圧接されている状態において、カートリッジ20のX軸正側の把持部22に対向し、押圧部材143による押圧が開放されて、第2基準ブロック120が降下した状態において、カートリッジ20のX軸正側の把持部22から退避する(図11参照)。
ストッパ150は、ユーザがカートリッジ20を治具100にセットして、刃先11が第2基準面121に圧接されている状態において、ユーザがカートリッジ20を誤って治具100から取り出すことを防止するための部材である。
押さえ部材160は、第1基準ブロック110の前面(Y軸正側の面)に、X軸方向に並んで配置される。押さえ部材160は、横型のトグルクランプである。押さえ部材160は、当接部161と、レバー162とを備える。
治具100にカートリッジ20がセットされた状態で、押さえ部材160のレバー162が上方に回動されると、当接部161が下方に回動して、保持プレート40の前面に当接する。さらに、レバー162が回動されると、当接部161は、保持プレート40の前面を押圧し、カートリッジ20を、支持板101の板部101Aに押し付ける。これにより、カートリッジ20は、安定的に、前後方向に位置決めされる(図11参照)。
2つの支持部材170は、矩形状のブロック部材である。2つの支持部材170は、板部101Aの前面にY軸方向に離れて設置される。2つの支持部材170の上面は、第1基準ブロック110の第1基準面111に対して、Z軸負方向に同じ距離だけ変位した位置に配置されている。2つの支持部材170は、治具100にカートリッジ20がセットされたとき、第1基準ブロック110の第1基準面111との間で、カートリッジ20の基準プレート90を挟む。
支持部材170の上面には、ボールプランジャ171が設けられている。ボールプランジャ171の球面部分が支持部材170の上面から僅かに突出するように、ボールプランジャ171が支持部材170に設けられる。支持部材170の上面にカートリッジ20の基準プレート90が載置されると、ボールプランジャ171により第1基準面111が上方に押し上げられて、基準面90aが第1基準面111に軽く押し当てられる。これにより、カートリッジ20が治具100に仮止めされる。
レバー180は、上記のとおり、第2基準ブロック120の前面に取り付けられている。レバー180は、支軸181と、板部182と、円柱状の把持部183と、円柱状の突出部184と、から構成される。レバー180は、支軸181によって、X-Z平面に回動可能に、第2基準ブロック120に支持されている。図6に示すように、突出部184は、台座部133Aの下面に係止される。このとき、付勢部材131は、自然状態よりやや圧縮される。これにより、第2基準ブロック120は、上方への移動を規制され、図6の位置に仮止めされる。
治具100にカートリッジ20をセットする場合、ユーザは、把持部183を把持して支軸181を中心に板部182をX軸負方向に回動させ、突出部184を台座部133Aに引っ掛ける。これにより、第2基準ブロック120がレバー180を介して台座部133Aに仮止めされる。こうして、ユーザは、第2基準面121に、刃先11を安定的に載置することができる。
図8は、カートリッジ20がセットされた場合の治具100の状態を示す図である。便宜上、図8では、カートリッジ20の図示が省略されている。
ここでは、レバー180が反時計方向に回動されて、レバー180の突出部184が台座部133Aから外されている。また、押圧部材143のレバー143bが上方に回動されて、第2基準ブロック120が規制部材141に圧接されている。また、ストッパ150が、支持部材170の上面より高い位置に位置付けられて、カートリッジ20のX軸正側の把持部22に対向する。さらに、押さえ部材160のレバー162が下方に倒されて、当接部161がカートリッジ20の前面を押さえる位置に位置付けられている。
[カートリッジの組立工程]
上記構成の治具100を用いたカートリッジ20が組み立て工程について、図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS11では、カートリッジ20にブレード10がセットされる。図4に示すように、ベースプレート30の側面30aと保持プレート40の側面40aとの間にブレード10が挟み込まれる。この状態で、4つの固定ネジ50が、保持プレート40の4つの孔41およびブレード10の4つの孔12にそれぞれ挿入されて、ベースプレート30のネジ孔31にネジ留めされる。このとき、ベースプレート30と保持プレート40とは、固定ネジ50で緩く固定される。
続いて、押さえプレート60が、上方からベースプレート30の凹部32に載置される。このとき、押さえプレート60の孔61に、ベースプレート30の2つの凸部33の間に設けられているピン24が挿入される。その後、押さえプレート60の直線部60aの両端部に付勢部材80が設置され、さらに、押さえプレート60およびベースプレート30の上面に基準プレート90が重ねられる。このとき、基準プレート90の下面の凹部93(図5参照)に形成されている穴95に付勢部材80が挿入される。また、保持プレート40の凸部43に、基準プレート90の下面が当接する。
また、基準プレート90の下面に形成されている3つの穴96(図5参照)に、ベースプレート30の上面に設置されたピン24が嵌め込まれる。この状態で、4つのネジ25が、基準プレート90の4つのネジ孔91にそれぞれネジ留めされて、ベースプレート30上面の4つのネジ孔34にそれぞれネジ止めされる。これにより、ベースプレート30と基準プレート90が一体化される。そして、2つの取っ手21が基準プレート90の両側面に装着され、さらに、3つの押さえネジ70が、上方から、基準プレート90の3つのネジ孔92にそれぞれ仮止めされる。
押さえネジ70は、上面に矩形の凹部が形成された頭部を有さないネジである。このため、各押さえネジ70は、旋回により、ネジ孔92の下端からさらに下方に先端が突出して、押さえプレート60の上面に到達し得る。ただし、仮止め時には、押さえネジ70の先端は、未だ、押さえプレート60の上面に到達しない程度に、ネジ孔92に止められる。
こうして、固定ネジ50と押さえネジ70とが緩くネジ止めされた状態で各部材の組み立てが完了した後、カートリッジ20が治具100にセットされる。
図10は、カートリッジ20が治具100にセットされた状態を示す図である。
なお、治具100にカートリッジ20をセットするにあたり、予め、規制部材141の高さ位置が調節される。この調節は、上記のとおり、押しネジ145および引きネジ146を回転させることにより行われる。
規制部材141の高さ位置が調節され、第2基準面121が第1基準面111に平行となるよう調整されると、図6に示すように、第2基準ブロック120に対する押圧部材143の押圧が解除される。第2基準ブロック120は、スライダ134に支持されつつ、付勢部材131によって下方に付勢されて、所定の位置に位置付けられる。
この所定の位置に第2基準ブロック120が位置付けられると、ユーザは、レバー180を時計方向に回動させて、突出部184を台座部133Aの下面に係合させる。これにより、第2基準ブロック120は、所定の位置に固定される。この操作により、第1基準面111と第2基準面121との間の空間が広がり、カートリッジ20の着脱が可能となる。
図9のステップS12では、図10に示すように、カートリッジ20が治具100にセットされる。この場合、基準プレート90の下面のX軸負側および正側の端部が支持部材170の上面に載置される。このとき、基準プレート90の下面がボールプランジャ171により下方から押圧される。これにより、基準面90aが第1基準面111に軽く当接する。この状態において、刃先11は、第2基準ブロック120の第2基準面121から離間している。その後、図9のステップS13において、刃先11の平行出しが行われる。
すなわち、ユーザは、まず、一対の押さえ部材160のレバー162を上方に押し上げて、押さえ部材160の当接部161で、カートリッジ20の前面を押さえる。次いで、ユーザは、一対の押圧部材143のレバー143bを上方に回動させて、当接部143aを第2基準ブロック120の一対の切欠き122aのそれぞれの上面に当接させる。これにより、第2基準ブロック120が下方から押圧され、第2基準面121が規制部材141の下面に当接する。
このとき、第2基準ブロック120は、第2基準面121がX軸負側および正側に配置されている各規制部材141に当接するように、回転ベアリング125を中心にX-Z平面内で揺動する。これにより、第2基準面121は、規制部材141の高さ位置に揃えられる。よって、第2基準面121は、第1基準面111と平行な位置に固定される。こうして、治具100は、図11の状態になる。
この状態において、ストッパ150は、カートリッジ20の取っ手21の前面に位置付けられる。たとえば、ストッパ150に赤色等の明るい色彩が施されていると、ユーザは、ストッパ150を視認し易くなる。これにより、刃先11の平行出しが行われている間、ユーザが誤ってカートリッジ20を治具100から取り出すことをさらに防止できる。
一対の当接部143aにより第2基準ブロック120が持ち上げられる過程において、第2基準面121がブレード10の刃先11に当接し、刃先11が第2基準面121に沿うように、ブレード10が移動する。これにより、刃先11の平行出しが行われる。
上記のとおり、ブレード10の孔12の径は、固定ネジ50の軸52の径よりも若干大きく形成されているため、ブレード10はX-Z平面内で若干動くことができる。このため、第1基準面111に基準面90aが当接した状態で、第2基準面121を刃先11に当接させて第1基準面111に接近させると、刃先11は、第2基準面121に沿うようにX-Z平面内で動く。このとき、付勢部材80が押さえプレート60を介してブレード10を下方(Z軸負側)に付勢しているため、刃先11は、この付勢によって、第2基準面121に押し当てられる。これにより、刃先11は、ブレード10の自重で第2基準面121に当接するよりも、第2基準面121に沿いやすくなる。
こうして、刃先11は、略全長に亘って、第2基準面121に当接する。第2基準面121は、基準面90aが当接する第1基準面111に平行であるため、上記のように刃先11が第2基準面121に沿うと、刃先11は、基準面90aに平行となる。このようにして、刃先11の平行出しが行われる。
刃先11の平行出しが完了すると、ステップS14では、固定ネジ50が強固に締め付けられて、保持プレート40とベースプレート30とが締結される。このとき、保持プレート40が動かないように、押さえ部材160が保持プレート40をY軸負方向に押さえつける。
ステップS15では、トルクレンチにより押さえネジ70が締め付けられる。これにより、押さえプレート60を介して、ブレード10の端部13が押さえネジ70で押さえられる。こうして、図3に示すように、ブレード10とカートリッジ20の組み立てが完了する。
その後、押圧部材143および押さえ部材160が開放されて、カートリッジ20が治具100から取り外される。取り外されたカートリッジ20は、上記した分断装置1の取付部4に取り付けられ、ブレード10によって基板Fが分断される。
図12(a)は、図3のA-A断面図であり、図12(b)は、図3のB-B断面図である。
図12(a)に示すように、ブレード10の端部13は、押さえプレート60を介して、押さえネジ70で押さえられている。よって、基板Fの分断時に、ブレード10の刃先11に上方向の衝撃が付与されても、ブレード10が上方に位置ずれすることがない。よって、ブレード10を基板Fに対して平行な状態に維持でき、基板Fを安定的かつ精度良く分断できる。
また、図12(b)に示すように、ブレード10の端部13は、付勢部材80によって下方向に付勢されている。これにより、上記のように、治具100を用いて、刃先11の平行出しを行う場合に、刃先11を第2基準面121に適切に押し当てることができる。よって、刃先11の平行出しを、より円滑かつ適正に行うことができる。
<実施形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の効果が奏される。
図6、図8、図10、および図11に示すように、規制部材141および押圧部材143からなる固定機構140によって、第1基準面111と第2基準面121とが固定されると、ブレード10の刃先11が基準面90aに平行となる状態に維持される。よって、この間に、カートリッジ20に対するブレード10の取り付けを完了させることにより、ブレード10の取り付けが完了したカートリッジ20では、ブレード10の刃先11を基準面90aに対して確実に平行にできる。
図6、図8、図10、および図11に示すように、第2基準面121が規制部材141に当接した状態において、調整機構142によって、第2基準面121が第1基準面111と平行となるように調整される。よって、ブレード10の刃先11の平行出しが行われるときは常に、刃先11をカートリッジ20の基準面90aと平行な状態に調整することができる。
図6、図8、図10、および図11に示すように、第2基準面121が規制部材141に当接した状態において、調整機構142により規制部材141の高さ位置を調節することができる。これにより、第2基準面121が第1基準面111と平行になるよう調整できる。よって、ブレード10の刃先11の平行出しが行われるときは常に、刃先11をカートリッジ20の基準面90aと平行な状態に調整することができる。
図6、図8、図10、および図11に示すように、第2基準ブロック120が押圧部材143に押圧されて、第2基準面121が規制部材141に当接する際に、回転ベアリング125によって第2基準ブロック120がX-Z平面内において揺動する。これにより、第2基準面121が第1基準面111と平行になるよう、第2基準ブロック120の姿勢が調整される。よって、ブレード10の刃先11の平行出しが行われるときは常に、刃先11をカートリッジ20の基準面90aと平行な状態に調整することができる。
図6および図7に示すように、第2基準ブロック120に付勢部材131が設けられている。これにより、第2基準ブロック120に対する押圧部材143の押圧が解除されると、第2基準ブロック120は付勢部材131の付勢によって下方に移動し、第1基準面111と第2基準面121との間の空間が広がる。これにより、カートリッジ20を第1基準面111と第2基準面121との間に円滑に着脱できる。
図6、図8、図10、および図11に示すように、第2基準ブロック120は、押圧部材143により規制部材141に押しつけられる。これにより、第2基準ブロック120の第2基準面121が所定の位置に固定される。よって、ブレード10の刃先11に対する平行出しが適正に行われ得る。また、第2基準ブロック120に対する押圧部材143の押圧を解除すると、第2基準面121が規制部材141から離間して、第1基準面111と第2基準面121との間の空間が広がる。よって、この空間に対するカートリッジ20の着脱を円滑に行える。
図6、図8、図10、および図11に示すように、押圧部材143は、トグルクランプによって構成される。これにより、第2基準ブロック120を規制部材141に強い圧力で押しつけて強固に固定できる。これにより、刃先11の平行出しや、その後の保持プレート40取り付けにおいて、第2基準面121が動くことを確実に防ぐことができる。このため、平行出しの後の工程において、刃先11の平行度がぶれることを確実に防ぐことができる。
図6、図8、図10、および図11に示すように、ストッパ150は、カートリッジ20の取っ手21の前面に位置付けられる。これにより、第2基準面121が規制部材141に当接する位置に第2基準ブロック120が位置付けられて、ブレード10の刃先11が第2基準面121に当接した状態にある場合は、ストッパ150によってカートリッジ20の抜取りが規制される。よって、この状態において、ユーザが誤ってカートリッジ20を抜き取ることにより、刃先11が第2基準面121に擦れて破損することを防ぐことができる。
図6、図8、図10、および図11に示すように、第1基準ブロック110の前面(Y軸正側の面)に、X軸方向に並んで2つの押さえ部材160が配置される。これにより、カートリッジ20の前面すなわち保持プレート40が押さえられるため、カートリッジ20に対するブレード10の取り付け時に、カートリッジ20がブレード10の厚み方向に移動することが抑止される。これにより、ブレード10の取り付け時に、刃先11が厚み方向に第2基準面121に擦れて破損することを防ぐことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の実施形態も種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態では、第1基準ブロック110と支持板101とは別部材であり、第1基準ブロック110の背面が支持板101に固定されて、両者は一体化されていた。しかしながら、第1基準ブロック110は、支持板101とは別部材として構成されなくてもよく、支持板101にY軸正方向に突出する直方体形状の突部が設けられ、この突部の下面が第1基準面111として構成されてもよい。
また、上記実施形態では、第2基準ブロック120は、前面に切欠きが形成されていたが、必ずしもこれらが形成される必要はない。たとえば、第2基準ブロック120は、第1基準ブロック110のような直方体形状の部材であってもよい。この場合、押圧部材143は、第2基準ブロック120の下面を押圧すればよい。
また、上記実施形態では、第2基準ブロック120の上面には、僅かながら凹凸が形成されていたが、X-Y平面において水平面状に形成されてもよい。
また、上記実施形態では、付勢部材131およびスライダ134によって第2基準ブロック120が上下に移動して、第2基準面121が第1基準面111に接近および離間するように構成された。しかしながら、第2基準ブロック120が固定され、第1基準ブロック110が上下に移動して、第1基準面111が第2基準面121に接近および離間するように構成されてもよい。第1基準面111と第2基準面121とを互いに接近および離間させる構成は、上記実施形態に限られるものではない。
また、上記実施形態では、2つの押圧部材143が第2基準面121のX軸負側および正側の端部を押圧するような位置に配置されていた。しかしながら、刃先11に過剰な力を掛けず、また、刃先11にバランスよく力を掛けることができるならば、押圧部材143は2つとは限らず、3つ以上であってもよい。
また、上記実施形態では、ストッパ150は、第2基準ブロック120のX軸正側の端部に設けられたが、ストッパ150の配置位置はこれに限られず、たとえば、第2基準ブロック120のX軸負側の端部にストッパ150が設けられてもよい。また、ストッパ150によってカートリッジ20を規制する箇所は、カートリッジ20の取っ手21の前面に限られず、保持プレート40の前面であってもよい。ストッパ150は、ユーザが誤ってカートリッジ20を取り出すことを抑制できる限りにおいて、他の位置に配置されてもよく、また、他の形状や構造であってもよい。
また、上記実施形態では、レバー180が設けられたが、レバー180が必ずしも設けられなくてもよい。この場合、第2基準ブロック120に対する押圧部材143の固定が解除されたとき、第2基準ブロック120を所定の位置に留まらせておけるように、たとえば、第2基準ブロック120の側方(X軸方向)を支持する部材が設けられるよう構成されてもよい。あるいは、第2基準ブロック120に錘を設けて、第2基準ブロック120が開放位置に保持され易くしてもよい。
押圧部材143も、トグルクランプに限られるものではなく、第2基準ブロック120を規制部材141に強固に当接させて安定的に固定できる他の部材が用いられてもよい。たとえば、ステッピングモータとギア機構を組み合わせて押圧部材143が構成されてもよい。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。